[詳細な説明]
本明細書は試料中の活性なBoNT/Aの存在または不在を決定するため、およびBoNT/A調製物の活性/効力を決定するための新規アッセイを提供する。本明細書にて開示される新規の細胞基盤のアッセイは、アッセイが試料中のピコモル濃度量のBoNT/Aを検出することを可能にする細胞、試薬および検出方法に頼る。本明細書に開示される細胞基盤のアッセイは動物毒性研究に関する必要性を低減し、しかも多機能BoNT/A、すなわち毒素の結合および細胞取り込み、細胞サイトゾルへの転位置、およびプロテアーゼ活性を分析するのに役立つ。さらに後記で論じるように、新規方法および組成物は粗製およびバルク試料ならびに高度に精製された二鎖毒素および処方された毒素生成物を分析するために使用することができ、そしてさらに自動ハイスループットアッセイ形式で扱いやすい。
故に本明細書に開示される1つの態様はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25抗体を生成するための組成物を提供する。組成物はアジュバントおよびSNAP−25抗原、SNAP−25抗原に連結された担体またはSNAP−25抗原に連結された可動性スペーサーに連結された担体を含む組成物を含んでなることができ、ここで可動性リンカーはSNAP−25抗原と担体の間に介在する。SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25抗体を生成する免疫応答を誘発する任意のおよび全てのSNAP−25抗原が、限定するものではないが、天然発生SNAP−25から誘導されるSNAP−25抗原、非天然発生SNAP−25から誘導されるSNAP−25抗原、およびSNAP−25、天然発生SNAP−25または非天然発生SNAP−25からのSNAP−25の免疫反応生フラグメントを含んでなるSNAP−25抗原を含むSNAP−25抗原として有用であり得ることが想定される。SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25抗体を生成するために有用なSNAP−25抗原には限定するものではないが、限定するものではないが配列番号:38を含む担体ペプチドに連結されたカルボキシル化されたC末端グルタミンを有するSNAP−25ペプチドを含んでなるSNAP−25抗原が含まれる。SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25抗体を作成するために有用なその他の組成物には限定するものではないが、カルボキシル化されたC末端グルタミンを有するSNAP−25抗原に連結された可動性リンカーに連結された担体を含んでなる組成物が含まれ、ここで可動性リンカーはSNAP−25抗原と担体の間に介在する。限定するものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、フロイント完全および不完全アジュバントを含む任意のおよび全てのアジュバントがかかる組成物において有用であり得ることが想定される。
本明細書に開示される別の態様は、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25抗体を生成する方法を提供する。この方法の態様は(a)本明細書において開示される組成物を動物に投与すること;(b)α−SNAP−25抗体またはα−SNAP−25抗体生成細胞を含有する試料を動物から収集すること;および(c)試料からα−SNAP−25抗体を単離すること;の工程を含んでなる。開示された方法はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのカルボキシル末端グルタミンを含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25モノクローナル抗体、またはSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのカルボキシル末端グルタミンを含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25ポリクローナル抗体のいずれかを作成するために有用である。
本明細書に開示されるさらに別の態様はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25抗体を提供する。かかるα−SNAP−25抗体は天然発生および非天然発生抗体、ならびにモノクローナルα−SNAP−25抗体またはポリクローナルα−SNAP−25抗体の双方を含む。SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体として有用なモノクローナルα−SNAP−25抗体には限定するものではないが、ハイブリドーマ細胞株1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5および3C3E2から生成されたモノクローナルα−SNAP−25抗体が含まれる。
本明細書に開示されるなお別の態様はBoNT/A活性を検出する方法を提供する。この方法の態様は(a)確立された細胞株からの細胞をBoNT/Aを含んでなる試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/A中毒に感受性が高い;(b)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(c)SNAP−25構成要素を、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25抗体と接触させること;ならびに(d)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;ここで抗体−抗原複合体による検出はBoNT/A活性の指標である;の工程を含んでなる。工程cのα−SNAP−25抗体は場合によっては固相支持体に連結され得る。
本明細書に開示されるなお別の態様はBoNT/A活性を検出する方法を提供する。この方法の態様は(a)確立された細胞株からの細胞をBoNT/Aを含んでなる試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/Aを取り込むことができる;(b)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(c)SNAP−25構成要素を、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25抗体と接触させること;ならびに(d)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;ここで抗体−抗原複合体による検出はBoNT/A活性の指標である;の工程を含んでなる。工程cのα−SNAP−25抗体は場合によっては固相支持体に連結され得る。
本明細書に開示されるさらなる態様は哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性を決定する方法を提供する。この方法の態様は(a)α−BoNT/A中和抗体の存在または不在に関して試験中の哺乳動物から得られた被験試料にBoNT/Aを添加すること;(b)確立された細胞株からの細胞を被験試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/A中毒に感受性が高い;(c)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(d)SNAP−25構成要素を、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25抗体と接触させること;(e)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;(f)被験試料の代わりに陰性対照試料で工程a−eを繰り返すこと;ならびに(g)工程(e)で検出された抗体−抗原複合体の量を工程(f)で検出された抗体−抗原複合体の量と比較すること、ここで工程(f)で検出された抗体−抗原複合体の量に相対して工程(e)で検出された抗体−抗原複合体のより少ない検出量はα−BoNT/A中和抗体の存在の指標である;の工程を含んでなる。工程dのα−SNAP−25抗体は場合によっては固相支持体に連結されていてよい。工程fにおける対照試料はまた陰性対照試料に加えて陽性対照試料を含むこともできる。
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、破傷風菌(Clostridium tetani)、クロストリジウム・バラティ(Clostridium baratii)およびクロストリジウム・ブチリクム(Clostridium butyricum)により生成されるクロストリジウム毒素はヒトおよびその他の哺乳動物の治療的および美容的処置において最も広く用いられているものである。ボツリヌス菌の株は7つの抗原的に区別されるボツリヌス毒素の血清型(BoNT)を生成し、それはヒト(BoNT/A、BoNT/B、BoNT/EおよびBoNT/F)、動物(BoNT/C1およびBoNT/D)または土壌から単離されたもの(BoNT/G)におけるボツリヌス症激増を調査することにより同定されている。7つ全てのボツリヌス毒素血清型は類似の構造および生物学的特性を有するが、各々はまた例えば異なる薬理学的特性のような異種性の特徴をも表示する。対照的に、破傷風毒素(TeNT)は破傷風菌の均一の群により生成される。クロストリジウムの2つのその他の種、クロストリジウム・バラティおよびクロストリジウム・ブチリクムもまた各々BoNT/FおよびBoNT/Eに類似する毒素を生成する。
クロストリジウム毒素は各々およそ150kDの一本鎖ポリペプチドとして翻訳され、それは引き続いて例えば内因性クロストリジウム毒素プロテアーゼまたは環境において生成される天然発生プロテアーゼのような天然発生プロテアーゼによりジスルフィドループ内でタンパク質分解切断により切断される。この翻訳後プロセシングにより、単一のジスルフィド結合および非共有結合性相互作用により一緒に維持されるおよそ50kDaの軽鎖(LC)およびおよそ100kDaの重鎖(HC)を含んでなる二鎖分子を生じる。各成熟二鎖分子は3つの機能的に区別されるドメイン:1)神経伝達物質放出装置のコア構成要素を特異的にターゲティングする亜鉛依存性エンドペプチダーゼ活性を含有するメタロプロテアーゼ領域を含むLCに位置する酵素ドメイン;2)細胞内小胞から標的細胞の細胞質へのLCの放出を促進するHC(HN)のアミノ末端側の半分内に含有される転位置ドメイン;および3)標的細胞の表面に位置する受容体複合体に対する毒素の結合活性および結合特異性を決定するHC(HC)のカルボキシル末端側の半分内に見出される結合ドメイン;を含んでなる。
3つの機能的ドメインの結合、転位置および酵素活性は全て毒性のために必要である。この過程の全ての詳細は依然正確には解っていないが、クロストリジウム毒素がニューロンに侵入し、そして神経伝達物質放出を阻止する全体的な細胞中毒メカニズムは血清型またはサブタイプに関わらず類似する。出願人は以下の記載により限定されることを決して望まないが、中毒メカニズムを少なくとも4つの工程を含んでなるように記載することができる:1)受容体結合;2)複合体内部移行;3)軽鎖転位置;および4)酵素による標的修飾(図1)。クロストリジウム毒素のHCドメインが、標的細胞の細胞膜表面に位置する毒素特異的受容体系に結合したときにその過程は開始される。受容体複合体の結合特異性は、明確にクロストリジウム毒素受容体複合体を含んでなると思われるガングリオシドおよびタンパク質受容体の具体的な組み合わせにより一部では達成されると考えられる。一度結合すると、毒素/受容体複合体はエンドサイトーシスにより内部移行し、そして内部移行した小胞は特異的な細胞内経路に分類される。転位置工程は小胞区画の酸性化により誘発されると思われる。この工程は疎水性を増大し、ポア形成を促進し、そして毒素の重および軽鎖の分離を促進する重要なpH依存性構造再構成を開始するようである。一度分離されると、毒素の軽鎖エンドペプチダーゼは細胞内小胞からサイトゾルへ放出され、そこでそれは神経伝達物質放出装置のコア構成要素を特異的にターゲティングすると思われる。これらのコアタンパク質、小胞随伴膜タンパク質(VAMP)/シナプトブレビン、25kDaのシナプトソーム随伴タンパク質(SNAP−25)およびシンタキシンはシナプス小胞ドッキングおよび神経末端での融合に必要であり、そして可溶性N−エチルマレイミド感受性因子付着タンパク質受容体(SNARE)ファミリーのメンバーを構成する。BoNT/AおよびBoNT/Eはカルボキシル末端領域でSNAP−25を切断して、各々9個または26個のアミノ酸フラグメントを放出し、そしてBoNT/C1はまたカルボキシル末端近くでSNAP−25を切断して8個のアミノ酸フラグメントを放出する。ボツリヌス血清型BoNT/B、BoNT/D、BoNT/FおよびBoNT/G、ならびに破傷風毒素はVAMPの保存された中心部分で作用し、そしてVAMPのアミノ末端部分をサイトゾルに放出する。BoNT/C1は細胞質膜表面近くの単一の部位でシンタキシンを切断する。シナプス性SNAREの選択的タンパク質分解はクロストリジウム毒素によりインビボで引き起こされる神経伝達物質放出の遮断を説明する。クロストリジウム毒素のSNAREタンパク質標的は種々の非ニューロン型のエキソサイトーシスに共通する;これらの細胞では、ニューロンと同様に軽鎖ペプチダーゼ活性はエキソサイトーシスを阻止し、例えば「どのようにボツリヌスおよび破傷風神経毒が神経伝達物質放出を遮断するか」Yann Humeau et al., Biochimie. 82(5):427−446(2000);「ボツリヌスおよび破傷風神経毒:構造、機能および治療的利用性」Kathryn Turton et al., Trends Biochem. Sci. 27(11):552−558(2002);「ニューロンにおける破傷風およびボツリヌス神経毒の行程」Giovanna Lalli et al. Trends Microbiol. 11(9):431−437(2003)を参照されたい。
本開示の態様は一部ではSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25抗体を生成するための組成物を含んでなる。本開示のその他の態様は一部ではSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25抗体を生成するための免疫応答誘起組成物を含んでなる。本明細書で使用される際には「免疫応答誘起組成物」なる用語はSNAP−25抗原を含んでなる組成物を指し、それは動物に投与された場合、SNAP−25抗原に対する免疫応答を刺激し、それによりSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合することができるα−SNAP−25抗体を生成する。「免疫応答」なる用語は動物の免疫系による免疫応答誘起組成物に対する任意の応答を指す。免疫応答の実例には、限定するものではないが、例えばCD8+CTLの抗原特異的誘起を含むCTL応答、T細胞増殖応答およびサイトカイン放出を含むヘルパーT細胞応答、ならびに例えば抗体生成応答を含むB細胞応答のような、細胞ならびに局所性および全身性液性免疫が含まれる。「免疫応答を誘起する」なる用語は免疫応答誘起組成物または免疫応答誘起組成物をコードするポリヌクレオチドの投与をさし、ここで免疫応答は影響を受ける、すなわち刺激、開始または誘起される。
組成物はSNAP−25抗原を含んでなる。本明細書で使用される際には「抗原」なる用語は免疫応答を引き出す分子を指し、そして限定するものではないが、ペプチド、多糖類および例えばリポタンパク質および糖脂質のような脂質の抱合体を含む。本明細書で使用される際には「SNAP−25抗原」なる用語は免疫応答を引き出すことができるBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有する任意の抗原を指す。免疫応答誘起組成物において使用されるSNAP−25抗原は配列が実質的に独特であるために十分に大きくなければならず、故にSNAP−25以外の抗原に対して交差反応性である抗体を生成する可能性を低減する。加えて免疫応答誘起組成物において使用されるSNAP−25抗原は実質的にBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25に対してのみ免疫応答を誘発するために十分に小型でなければならず、故にBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25をBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を欠如するSNAP−25と区別することができるα−SNAP−25抗体を生成する可能性が増大する。さらに再現性よく選択的である良好な収率で、そしてそれは高度に感受性のアッセイの設計を可能にするために許容されるアビディティーで結合する単一のアミノ酸配列のα−SNAP−25抗体を作成することも非常に望ましい。
SNAP−25に存在するBoNT/A切断部位を取り囲む配列はP5−P4−P3−P2−P1−P1’−P2’−P3’−P4’−P5’として示され、P1−P1’は切断可能結合を表す。BoNT/Aによる切断時に、生成された得られた切断生成物はP5−P4−P3−P2−P1配列を含むフラグメントおよびP1’−P2’−P3’−P4’−P5’を含むフラグメントを含んでなる。故に本明細書で使用される際には「BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25」なる用語はそのカルボキシル末端アミノ酸としてP1残基を有する任意のSNAP−25を指す。例えばヒトSNAP−25(配列番号:5)のQ197−R198はBoNT/A切断部位に関するP1−P1’切断可能結合を表す。そのように「BoNT/A切断部位切断可能結合のカルボキシル末端グルタミンを有するSNAP−25」はそのカルボキシル末端アミノ酸でグルタミンを有する任意のSNAP−25切断生成物であり、ここでグルタミンは切断可能結合のQ197を表す。別の実例として、トルペド・マルモラータ(Torpedo marmorata)SNAP−25のK204−H205(配列番号:16)はBoNT/A切断部位に関するP1−P1’切断可能結合を表す。そのように「BoNT/A切断部位切断可能結合のカルボキシル末端リジンを有するSNAP−25」はそのカルボキシル末端アミノ酸でリジンを有する任意のSNAP−25切断生成物であり、ここでリジンは切断可能結合のK204を表す。
BoNT/A切断部位からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原を修飾して、SNAP−25抗原、ハプテンまたは、修飾を随伴しない場合に免疫原性、非免疫原性もしくは弱い免疫原性である任意のその他の抗原性化合物の免疫原性を増強することができる。この実施態様の態様では、SNAP−25抗原の切断可能結合からのカルボキシル末端P1残基をカルボキシル化することができる。カルボキシル化により2つの点でSNAP−25抗原の望ましい免疫原特性が増大する。第1に荷電したアミノ酸は免疫原性を増強するので、カルボキシル末端残基へのCOO−基の付加はSNAP−25抗原の全体的な免疫原性を増大するであろう。第2に、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基は切断時に荷電した状態であるので、カルボキシル末端残基へのCOO−基の付加は、本明細書に開示されるα−SNAP−25抗体が結合するように設計された実際の抗原をより良好に擬似するであろう。
この実施態様の態様では、SNAP−25抗原を例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、卵白アルブミン(OVA)、サイログロブリン(THY)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ダイズトリプシン阻害剤(STI)または多重付着ペプチド(multiple attachment peptide)(MAP)のような担体タンパク質に付着させるのに適合したアミノ酸の付加により、SNAP−25抗原からのアミノ末端残基を修飾することができる。例えば担体タンパク質KLHを抱合するためにシステイン残基をアミノ末端で置き換えることができる。
故に実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原は例えば少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25または少なくとも30アミノ酸長でよい。別の実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原は例えば多くても5、多くても6、多くても7、多くても8、多くても9、多くても10、多くても11、多くても12、多くても13、多くても14、多くても15、多くても16、多くても17、多くても18、多くても19、多くても20、多くても25または多くても30アミノ酸長でよい。さらに別の実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原は例えば7−12アミノ酸の間、10−15アミノ酸の間または13−18アミノ酸の間でよい。
別の実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原は配列番号:32を含んでなる。この実施態様の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原は配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:147または配列番号:148を含んでなる。さらなる実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原は配列番号:38を含んでなる。
なお別の実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原は配列番号:39を含んでなる。この実施態様の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原は配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43または配列番号:44を含んでなる。さらなる実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原は配列番号:45を含んでなる。
SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体を生成する免疫応答を誘発する任意のおよび全てのSNAP−25抗原がSNAP−25抗原として有用であり得ると想定される。故に配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:147または配列番号:148を含んでなるアミノ酸配列バリアントは、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体を生成する免疫応答を誘発するためのSNAP−25抗原として有用であり得る。故に実施態様では、SNAP−25抗原は配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:147または配列番号:148を含んでなるSNAP−25抗原に対する少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5個のアミノ酸置換、欠失または付加を置換することができる。さらに別の実施態様では、SNAP−25抗原は配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43、配列番号:44、配列番号:147または配列番号:148を含んでなるSNAP−25抗原に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有し得る。
担体を随伴しない場合に免疫原性、非免疫原性または弱い免疫原性であるSNAP−25抗原の免疫原性を増強するために、1つまたはそれより多い担体をSNAP−25抗原に連結できるということは想定される。非限定例には例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、卵白アルブミン(OVA)、サイログロブリン(THY)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ダイズトリプシン阻害剤(STI)または多重付着ペプチド(MAP)が含まれる。当分野において周知であるように、抗原を担体に結合することにより非抗原性または弱い抗原性の抗原を抗原性にすることができる。種々のその他の担体および抗原を担体に結合する方法は当分野において周知である。例えばHarlow and Lane, supra, 1998a;Harlow and Lane, supra, 1998b;およびDavid W. Waggoner, Jr.ら、「免疫原性増強担体およびその組成物ならびに同一物を使用する方法」米国特許出願公開第2004/0057958号(2004年3月25日)参照。エピトープを融合タンパク質として発現することによりエピトープを作成することもできる。ポリペプチド融合体を発現するための方法は、例えばAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology(Supplement 47), John Wiley & Sons, New York(1999)に記載されるように当業者に周知である。SNAP−25抗原のカルボキシル終端はBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でなければならないので、担体はSNAP−25抗原のアミノ端に連結されていなければならない。
可動性リンカーを随伴しない場合に免疫原性、非免疫原性または弱い免疫原性であるSNAP−25抗原の免疫原性を増強するために、1つまたはそれより多い可動性スペーサーをSNAP−25抗原に連結できるということは想定される。可動性スペーサーはSNAP−25抗原の全体的なペプチド長を増大し、そして可動性を提供し、それによりSNAP−25抗原の免疫細胞への適切な提示を促進する。非限定例としては、組成物はSNAP−25抗原を免疫細胞により良好に提示するために1つまたはそれより多い可動性スペーサーに直列に連結されたSNAP−25抗原を含んでなることができ、それにより免疫応答を促進する。
ペプチドを含んでなる可動性スペーサーは少なくとも1アミノ酸長であり、そして例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシンまたはセリンのような短い側鎖R基を伴う非荷電アミノ酸を含んでなる。故に実施態様では、可動性スペーサーは例えば少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10アミノ酸長でよい。別の実施態様では、可動性スペーサーは例えば少なくとも1、多くても2、多くても3、多くても4、多くても5、多くても6、多くても7、多くても8、多くても9または多くても10アミノ酸長でよい。さらに別の実施態様では、可動性スペーサーは例えば1−3アミノ酸の間、2−4アミノ酸の間、3−5アミノ酸の間、4−6アミノ酸の間または5−7アミノ酸の間でよい。可動性スペーサーの非限定例には、例えばGGG、GGGG(配列番号:55)およびGGGGS(配列番号:56)のようなGスペーサーまたはAAA、AAAA(配列番号:57)およびAAAAV(配列番号:58)のようなAスペーサーが含まれる。可動性スペーサーは融合タンパク質としてSNAP−25抗原にフレーム内で連結される。
前記で論じたように、可動性スペーサーを一部ではSNAP−25抗原の全体的なペプチド長を増大するために使用する。例えば5−10アミノ酸SNAP−25抗原は、3−5アミノ酸可動性スペーサーをSNAP−25抗原のアミノ端に連結することにより増大したその全体的な長さを有し得る。別の実例としては、5−10アミノ酸SNAP−25抗原は4−6アミノ酸可動性スペーサーをSNAP−25抗原のアミノ端に連結することにより増大したその全体的な長さを有し得る。別の実例としては、5−10アミノ酸SNAP−25抗原は7−10アミノ酸可動性スペーサーをSNAP−25抗原のアミノ端に連結することにより増大したその全体的な長さを有し得る。別の実例としては、7−12アミノ酸SNAP−25抗原は1−3アミノ酸可動性スペーサーをSNAP−25抗原のアミノ端に連結することにより増大したその全体的な長さを有し得る。別の実例としては、7−12アミノ酸SNAP−25抗原は4−6アミノ酸可動性スペーサーをSNAP−25抗原のアミノ端に連結することにより増大したその全体的な長さを有し得る。可動性スペーサーにより提供された増大した長さにより、小型サイズのSNAP−25抗原の選択が可能になり、それによりSNAP−25抗原が実質的にBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25に対してのみ免疫応答を誘発する見込みが増大し、故にBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25をBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を欠如するSNAP−25と区別することができるα−SNAP−25抗体を生成する可能性が増大する。
本明細書に開示される組成物は場合によっては本明細書に開示されるSNAP−25抗原および1つまたはそれより多いアジュバントを含んでなることができるということは想定される。本明細書で使用される際には「アジュバント」なる用語は、SNAP−25組成物を参照して使用される場合、SNAP−25抗原に対する免疫応答を増大または多様化する任意の物質または物質の混合物を指す。アジュバントは例えば免疫化の数または保護免疫に必要な抗原の量を低減するために役立つ。免疫応答誘起組成物におけるアジュバントの使用は周知である。これらのアジュバントの主な目的は免疫応答の増大を可能にすることである。非限定的なアジュバントには、例えばリポソーム、限定するものではないが、例えばフロイント完全アジュバント(FCA);フロイント不完全アジュバント(FIA)のようなフロイント型のアジュバントを含む油相;例えばサポニン類のようなサポゲニン配糖体;カルボポール;N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(ムラミルジペプチドまたは「MDP」として一般的に公知);およびリポ多糖類(LPS)が含まれる。かかるアジュバントは一般には水相を伴うエマルジョンの形態で使用されるか、またはさらに一般的には水不溶性無機塩からなってよい。これらの無機塩は例えば水酸化アルミニウム、硫酸亜鉛、水酸化鉄コロイド、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウムからなってよい。水酸化アルミニウム(Al(OH)3)は一般的に使用されるアジュバントである。現在では、ヒトにおいて使用するための唯一のFDA承認アジュバントはアルミニウム塩(アラム)であり、それは抗原の沈澱により抗原を「貯留する」ために使用される。前記で提供されたアジュバントは単に実例である。実際にはアジュバントが免疫応答を誘起するために欠くことができない特徴を満足する限り、任意のアジュバントを本明細書に開示されるSNAP−25組成物において使用できる。
本明細書に開示される担体はまたアジュバントとしても作用し得る。特異的アジュバントならびに作成および使用の方法が例えばGupta et al. Vaccine, 11:993−306(1993);Arnon, R.(Ed.)Synthetic Vaccines 1:83−92, CRC Press, Inc., Boca Raton, Fla.,(1987);および「免疫原性増強担体およびその組成物ならびに同一物を使用する方法」David W. Waggoner, Jr.ら、米国特許出願公開第2004/0057958号(2004年3月25日)に記載される。さらなるアジュバントにはChapter 7 (pp 141−227)「Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach」(eds. Powell, M. F. and Newman, M. J.)Pharmaceutical Biotechnology, Volume 6, Plenum Press(New York)に記載される任意の化合物が含まれる。この概論からの実例には、ムラミルジペプチド(MDP)およびMontanide 720が含まれる。ポリイノシン:シトシン(ポリI:C)のような分子またはCpGモチーフを含有するプラスミドDNAをアジュバントとしてマイクロ粒子に被包された抗原と組み合わせて投与することもできる。別の実例では、アジュバントはリステリオリシン、ストレプトリシンまたはその混合物のような、抗原性化合物の細胞の細胞質への侵入を促進する薬剤である。
故に実施態様では、SNAP−25組成物は担体ペプチドに連結されたカルボキシル化されたカルボキシル末端グルタミンを有するSNAP−25抗原を含んでなる。この実施態様の態様では、カルボキシル化されたカルボキシル末端グルタミンを有するSNAP−25抗原は配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:147または配列番号:148を含んでなる。この実施態様の別の態様では、SNAP−25抗原は配列番号:38を含んでなる。この実施態様の態様では、担体ペプチドはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、卵白アルブミン(OVA)、サイログロブリン(THY)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ダイズトリプシン阻害剤(STI)または多重付着ペプチド(MAP)である。
別の実施態様では、SNAP−25組成物は担体ペプチドに連結されたカルボキシル化されたカルボキシル末端リジンを有するSNAP−25抗原を含んでなる。この実施態様の態様では、カルボキシル化されたカルボキシル末端リジンを有するSNAP−25抗原は配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43または配列番号:44を含んでなる。この実施態様の別の態様では、SNAP−25抗原は配列番号:45を含んでなる。この実施態様の態様では担体ペプチドはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、卵白アルブミン(OVA)、サイログロブリン(THY)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ダイズトリプシン阻害剤(STI)または多重付着ペプチド(MAP)である。
なお別の実施態様では、SNAP−25組成物は1つまたはそれより多い可動性リンカーおよび担体ペプチドに連結されたカルボキシル化されたC末端グルタミンを有するSNAP−25抗原を含んでなり、ここで可動性リンカーはSNAP−25抗原と担体ペプチドの間に介在する。この実施態様の態様では、カルボキシル化されたカルボキシル末端グルタミンを有するSNAP−25抗原は配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:147または配列番号:148を含んでなる。別の実施態様では、SNAP−25抗原は配列番号:46を含んでなる。この実施態様の態様では担体ペプチドはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、卵白アルブミン(OVA)、サイログロブリン(THY)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ダイズトリプシン阻害剤(STI)または多重付着ペプチド(MAP)である。この実施態様の態様では、可動性リンカーはGスペーサーまたはAスペーサーである。
さらに別の実施態様では、SNAP−25組成物は可動性リンカーおよび担体ペプチドに連結されたカルボキシル化されたC末端リジンを有するSNAP−25抗原を含んでなり、ここで可動性リンカーはSNAP−25抗原と担体ペプチドの間に介在する。この実施態様の態様では、カルボキシル化されたカルボキシル末端リジンを有するSNAP−25抗原は配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43または配列番号:44を含んでなる。この実施態様の別の態様ではSNAP−25抗原は配列番号:47を含んでなる。この実施態様の態様では担体ペプチドはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、卵白アルブミン(OVA)、サイログロブリン(THY)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ダイズトリプシン阻害剤(STI)または多重付着ペプチド(MAP)である。この実施態様の態様では可動性リンカーはGスペーサーまたはAスペーサーである。
本開示の態様は一部ではSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体を生成するための方法を含んでなる。SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体を当分野において周知である多様な方法により生成することができる。抗体を作成および使用し、ならびに検出し、そして抗体結合特異性、結合アフィニティーおよび結合アビディティーを測定するための具体的なプロトコールは当分野において公知である。例えばANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL(Edward Harlow & David Lane, eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1998a);およびUSING ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL:PORABLE PROTOCOL No. I(Edward Harlow & David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1998b);Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2001;およびCurrent Protocols in Molecular Biology, 2004;「治療用ポリペプチド、同一物をコードする核酸および使用の方法」David Andersonら、米国特許第7034132号(2005年4月25日);および「CTLA4に対する抗体」Beatriz M. Carrenoら、米国特許第7034121号(2006年4月25日)参照。
非限定例としては、例えばウサギ、ヤギ、マウスまたは別の哺乳動物のような動物に本明細書において開示される組成物の1回またはそれより多い注射で注射することにより、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体を生成することができる。別の非限定例としては、本明細書において開示される組成物の1回またはそれより多い注射で例えば鶏卵のような卵を注射することにより、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体を生成することができる。固定された抗原を使用する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)または細胞基盤の活性アッセイを用いるような標準的な技術により免疫された動物における抗体力価を経時的にモニタリングすることができる。所望によりSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体に関するポリクローナル抗体を哺乳動物(例えば血液から)単離し、そしてIgG分画を得るためにプロテインAアフィニティークロマトグラフィーのような周知の技術により、または抗体を生成するために使用されるペプチドに対するアフィニティー精製によりさらに精製することができる。
別の非限定例としては、ハイブリドーマ法を用いてSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体を生成することができる。例えばChapter 6 Monoclonal Antibodies, pp. 196−244, Harlow & Lane, supra, 1998a;およびChapter 7 Growing Hybridomas, pp. 245−282, Harlow & Lane, supra, 1998a;およびGoding, pp. 59−103, Monoclonal Antibodies:Principles and Practice, Academic Press,(1986)参照。この方法では、例えばマウス、ハムスターまたは別の適切な宿主動物のような宿主動物は、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25に特異的に結合するであろうα−SNAP−25抗体を生成するかまたは生成することが可能であるリンパ球を引き出すために、典型的には本明細書に開示されるSNAP−25抗原の1回またはそれより多い注射を経験する。固定された抗原または細胞基盤の活性アッセイを使用する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いるような標準的な技術により、免疫された動物における抗体力価を経時的にモニタリングすることができる。これに代えて、適当な細胞培養系を用いてリンパ球をインビトロで免疫することができる。免疫後の適切な時間に、例えば抗体力価が最高であるときに、抗体生成細胞を動物から単離する。一般には、ヒト起源の細胞が望ましい場合は抹消血リンパ球を、または非ヒト哺乳動物原が望ましい場合は脾臓細胞もしくはリンパ節細胞を使用する。ポリエチレングリコールのような適当な融合剤を使用して単離された抗体生成細胞を不死細胞株と融合してハイブリドーマ細胞を形成する。不死化細胞株は通常形質転換された哺乳動物細胞、とりわけげっ歯類、ウシおよびヒト起源の骨髄腫細胞である。典型的にはネズミ骨髄腫細胞株を適切に免疫されたマウスから採取された脾細胞と融合してハイブリドーマを生成する。好ましい不死細胞株はヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン(HAT)を含有する培養培地に鋭敏であるマウス骨髄腫細胞株である。多くの骨髄腫細胞株、例えばP3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653またはSp2/O−Ag14骨髄腫系のいずれかを標準的な技術により融合パートナーとして使用することができる。次いで未融合のまたは非生産的に融合された骨髄腫細胞を死滅させる(未融合脾細胞は形質転換されていないので、数日後に死亡する)HAT培地を使用して融合の結果であるハイブリドーマ細胞を選択する。次いでハイブリドーマ細胞が成長する培養培地をSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体の存在に関して検定することができる。例えば免疫沈降アッセイ、ラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のようなインビボ結合アッセイにおいて、または細胞基盤の活性アッセイにおいてα−SNAP−25陽性培地を使用してハイブリドーマ上澄を、スクリーニングすることができる。かかる技術およびアッセイは当分野において公知である。例えばChapter 11 Immunoprecipitation, pp. 421−470, Harlow & Lane, supra, 1998a;Chapter 12 Immunoblotting, pp. 471−510, Harlow & Lane, supra, 1998a;Chapter 14 Immunoassays, pp. 553−612, Harlow & Lane, supra, 1998a参照。次いでさらなる研究を行って、抗体はまたBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を欠如するSNAP−25に対して非反応性であるかどうかを決定することができる。α−SNAP−25モノクローナル抗体の結合アフィニティーを例えばScatchard分析により決定することもできる。例えば「リガンド:リガンド結合系の特徴付けのための多目的コンピューター研究法」Peter J. Munson and David Rodbard, Anal. Biochem. 107(1):220−239(1980)参照。望ましいハイブリドーマ細胞を同定した後、限界希釈手順を用いて望ましいモノクローナル抗体を発現するクローンの細胞株が得られるまで、単一細胞に由来するクローンを単離する。BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25に関して十分に選択的であり、そして十分に高いアビディティーで結合するこれらの抗体を選び、さらに特徴付けおよび研究する。
SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体を調製するための別の代替は、例えば抗体ファージディスプレイライブラリーのような組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーをSNAP−25ペプチドでスクリーニングすることにより、そしてBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25に結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離する。ファージディスプレイライブラリーを作成およびスクリーニングするためのキットは例えば組換えファージ抗体系(Amersham GE Healthcare, Piscataway, NJ);およびSurfZAP(商標)ファージディスプレイキット(Stratagene, La Jolla, CA)のように市販により入手可能である。加えて、抗体ディスプレイライブラリーの作成およびスクリーニングに有用な方法および試薬の実例を例えばLadnerら、米国特許第5223409号;Borrebaeckら、米国特許第5712089号;Griffithsら、米国特許第5885793号;Griffithsら、米国特許第5962255号;McCaffertyら、米国特許第5969108号;Griffithsら、米国特許第6010884号;Jespersら、米国特許第6017732号;Borrebaeckら、米国特許第6027930号;Johnsonら、米国特許第6140471号;McCaffertyら、米国特許第6172197号(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)において見出すことができる。
本開示の態様は一部ではα−SNAP−25抗体またはα−SNAP−25抗体生成細胞を含有する試料を収集することを含んでなる。本明細書で使用される際には「α−SNAP−25抗体またはα−SNAP−25抗体生成細胞を含有する試料」なる用語はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する少なくとも1つのα−SNAP−25抗体を含有するか、または潜在的に含有する任意の生物学的物質を指す。SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体を含有できる、限定するものではないが、血液、血漿、血清およびリンパ液を含む任意のおよび全ての試料を、この方法において使用することができるということは想定される。SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体を生成することが可能な、限定するものではないが、CD8細胞、CTL細胞、ヘルパーT細胞およびB細胞を含む任意の細胞を、この方法において使用することができるということも想定される。種々の周知の方法を用いてα−SNAP−25抗体またはα−SNAP−25抗体生成細胞を含有する試料を個体から収集することができ、例えばHarlow & Lane, supra, 1998a;およびHarlow & Lane, supra, 1998bを参照されたい。類似して、種々の周知の方法を用いて、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体を単離するために試料を加工することができる。単離されるべき抗体の型に基づいて試料を収集するための手順を選択することができる。非限定例としては、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体を単離する場合、適切な試料はかかるα−SNAP−25抗体を含有する血液試料でよいが、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体を単離する場合、適切な試料は脾臓細胞またはハイブリドーマのようなα−SNAP−25抗体生成細胞でよい。
本開示の態様は一部ではSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体を試料から単離することを含んでなる。例えばSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体またはSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体のようなかかるα−SNAP−25抗体を単離する方法は当業者に周知である。例えばHarlow and Lane, supra, 1998a;およびHarlow and Lane, supra, 1998b参照。例えばかかるα−SNAP−25ポリクローナル抗体を例えば一次的には免疫血清のIgG分画を提供する、プロテインAまたはプロテインGを使用するアフィニティークロマトグラフィーのような周知の技術により試料から単離することができる。引き続いて、またはこれに代えて、特異的なSNAP−25抗原をカラムまたは磁性ビーズに固定してSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体を免疫アフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体を培養培地または腹水から、例えばプロテインA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティークロマトグラフィーのような従来の免疫グロブリン精製手順により単離することができる。
故に実施態様では、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体を生成する方法は工程(a)担体ペプチドに連結されたカルボキシル化されたC末端グルタミンを有するSNAP−25抗原を含んでなる組成物を動物に投与すること;(b)α−SNAP−25抗体またはα−SNAP−25抗体生成細胞を含有する試料を動物から収集すること;および(c)試料からα−SNAP−25抗体構成要素を単離すること;を含んでなる。この実施態様の態様では、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体はポリクローナル抗体である。この実施態様の別の態様では、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体はモノクローナル抗体である。この実施態様のさらなる態様では、生成されるSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体はIgGサブタイプである。この実施態様のその他の態様では、SNAP−25組成物はさらに例えばポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)またはポリビニルアルコール(PVA)のようなアジュバントを含んでなる。
別の実施態様では、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体を生成する方法は工程(a)可動性リンカーおよび担体ペプチドに連結されたカルボキシル化されたC末端グルタミンを有するSNAP−25ペプチドを含んでなる組成物を動物に投与すること、ここで可動性リンカーはSNAP−25ペプチドと担体ペプチドの間に介在する;(b)α−SNAP−25抗体またはα−SNAP−25抗体生成細胞を含有する試料を動物から収集すること;ならびに(c)試料からα−SNAP−25抗体を単離すること;を含んでなる。この実施態様の態様では、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体はポリクローナル抗体である。この実施態様の別の態様では、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体はモノクローナル抗体である。この実施態様のさらなる態様では、生成されるSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体はIgGサブタイプである。この実施態様のその他の態様では、SNAP−25組成物はさらに例えばポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)またはポリビニルアルコール(PVA)のようなアジュバントを含んでなる。
本開示の態様は一部ではBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合する単離されたα−SNAP−25抗体を含んでなる。本明細書で使用される際には「単離された」なる用語はヒトの介入を用いることによりその天然の環境から分子を分離することを指す。本明細書で使用される際には「抗体」なる用語は特定の抗原に応答して作られた免疫系により作成された、その抗原に特異的に結合する分子を指し、そして天然発生抗体および非天然発生抗体の双方を含む。本明細書で使用される際には「α−SNAP−25」なる用語は「抗SNAP−25」と同義であり、そしてSNAP−25抗原に結合する抗体を指す。例えば抗体は、フラグメントが望ましい生物学的活性を呈する限り、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ダイマー、マルチマー、多特異的抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、二機能性抗体、Ig受容体様の細胞結合抗体、線状抗体、ダイアボディーまたはミニボディー、および同一物の一本鎖誘導体でよい。抗体はVHおよびVLドメイン、ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)および重鎖定常ドメイン、CH1、CH2およびCH3、または例えばFabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fcフラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメントのような、全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性なフラグメントを含んでなる全長免疫グロブリン分子でよい。抗体を任意の脊椎動物種(例えばヒト、ヤギ、ウマ、ロバ、ネズミ、ラット、ウサギまたはニワトリ)から誘導することができ、そして任意の型(例えばIgG、IgE、IgM、IgDおよびIgA)、クラス(例えばIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM)またはサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のものでよい。天然発生抗体、非天然発生抗体およびその抗原性化合物−結合フラグメントの構造に関する一般の開示に関しては、例えばPluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer−Verlag, New York, pp. 269−315(1994);Borrabeck, Antibody Engineering, 2d ed.(Oxford University Press 1995)(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)を参照されたい。
天然発生抗体は通常約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖から構成される。各軽鎖は1つの共有結合性ジスルフィド結合により重鎖に連結されるが、ジスルフィド連結の数は様々な免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で異なる。各重および軽鎖はまた規則的に間隔をあけて配置された鎖内ジスルフィド橋を有する。各重鎖は一方の端で可変ドメイン(VH)、続いて多数の定常ドメインを有する。各軽鎖は一方の端で可変ドメイン(VL)およびそのもう一方の端で定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと並び、そして軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと並ぶ。特定のアミノ酸残基が軽鎖と重鎖可変ドメインとの間のインターフェースを形成すると考えられる。
完全な抗原認識および抗原結合部位は抗体の可変ドメイン、すなわちFvフラグメント内に含有される。このフラグメントは堅固な非共有結合性会合の1つの重鎖可変ドメイン(VH)および1つの軽鎖可変ドメイン(VL)のダイマーを含む。各ドメインは4つのフレームワーク領域(FR)を含んでなり、それは大部分はβシート立体配置をとり、3つの超可変領域により接続され、それはβシート構造を接続するループを形成し、そしてβシート構造の一部を形成する場合もある。各超可変領域は相補性決定領域(CDR)に相当するアミノ酸配列を含んでなる。集合的にはそれは抗原−結合特異性を付与するVH−VLダイマーの表面上の抗原結合部位を定義する6つのCDR領域の三次元立体配置である。例えば「免疫グロブリン超可変領域の立体構造」Cyrus Chothia, et al., Nature 342(6252):877−883(1989);「免疫学的に興味深いタンパク質の配列」Elvin A. Kabat, et al, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.(1991)(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)。抗体の定常ドメインは直接的に抗体を抗原に結合するのに関与しないが、抗体依存性細胞毒性における抗体の関与のような種々のエフェクター機能を呈する。
標的抗原は一般にはエピトープとも称される1つまたはそれより多い結合部位を有し、それはCDRにより形成される抗原結合部位により認識される。本明細書で使用される際には「エピトープ」は「抗原性決定基」と同義であり、そして免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することが可能な、またはそうでなければ分子と相互作用する例えばペプチド、多糖類または脂質含有分子のような標的抗原上の部位を指す。異なるエピトープに特異的に結合する各抗体は異なる構造を有する。故に1つの抗原は1を超える対応する抗体を有し得る。
ポリクローナル抗体とは特定の抗原に結合することが可能な少なくとも2種の抗体を含有する抗体分子の異種性集団を指す。定義によれば、ポリクローナル抗体は少なくとも2つの異なるエピトープに結合する2つの異なる抗体を含む。本明細書で使用される際には「(複数の)モノクローナル抗体」なる用語は特定の抗原に結合することが可能な1種のみの抗体含有する、抗体分子の実質的に同種性の集団を指し、すなわち集団を含んでなる個々の抗体は微量で存在し得る可能な天然発生変異体を除いて同一である。定義によれば、モノクローナル抗体は単一のエピトープに結合する。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して指向する。さらにポリクローナル抗体とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に対して指向する。その特異性に加えて、モノクローナル抗体はその他の抗体と夾雑しないで合成され得るという点で有利である。「モノクローナル」なる修飾語句は、実質的に同種の抗体の集団から得られているような抗体の特徴を示し、そして任意の特定の方法による抗体の生成を必要とするとは解釈されるべきではない。例えば本開示に従って使用するためのモノクローナル抗体を、最初にKohler et al., Nature 256:495(1975)により記載されたハイブリドーマ法により作成できるか、または組換えDNA法により作成できる(例えば:米国特許第4816567号;米国特許第5807715号参照)。例えばClackson et al., Nature, 352:624−628(1991);Marks et al., J. Mol. Biol. 222:581−597(1991)に記載される技術を用いてモノクローナル抗体をファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
故に実施態様では、α−SNAP−25抗体はBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25に選択的に結合する重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含んでなる。この実施態様の態様では、重鎖可変ドメイン(VH)は配列番号:72、配列番号:74、配列番号:76、配列番号:80または配列番号:82である。この実施態様の別の態様では、軽鎖可変ドメイン(VL)は配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90または配列番号:92である。
別の実施態様では、α−SNAP−25抗体はBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25に選択的に結合する重鎖可変ドメイン(VH)CDR1領域、CDR2領域、CDR3領域または任意のその組み合わせを含んでなる。この実施態様の態様では、重鎖可変ドメイン(VH)CDR1領域は配列番号:93、配列番号:94、配列番号:95、配列番号:118、配列番号:119または配列番号:120である。この実施態様の別の態様では、重鎖可変ドメイン(VH)CDR2領域は配列番号:96、配列番号:97、配列番号:98、配列番号:99、配列番号:121、配列番号:122または配列番号:123である。この実施態様のなお別の態様では、重鎖可変ドメイン(VH)CDR3領域は配列番号:100、配列番号:101、配列番号:102または配列番号:124である。
別の実施態様ではα−SNAP−25抗体は、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25に選択的に結合する軽鎖可変ドメイン(VL)CDR1領域、CDR2領域、CDR3領域、またはその任意の組み合わせを含んでなる。この実施態様の態様では、軽鎖可変ドメイン(VL)CDR1領域は配列番号:103、配列番号:104、配列番号:105、配列番号:106、配列番号:107、配列番号:125、配列番号:126、配列番号:127、配列番号:128または配列番号:129である。この実施態様の別の態様では、軽鎖可変ドメイン(VL)CDR2領域は配列番号:108、配列番号:109、配列番号:110、配列番号:111または配列番号:112である。この実施態様のなお別の態様では、軽鎖可変ドメイン(VL)CDR3領域は配列番号:113、配列番号:114、配列番号:115、配列番号:116または配列番号:117である。
なお別の実施態様では、α−SNAP−25抗体はBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25を含んでなるエピトープに特異的に結合する。この実施態様の態様では、エピトープは配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:147または配列番号:148を含んでなる。この実施態様の態様では、エピトープは配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43または配列番号:44を含んでなる。
前記で開示されるように、SNAP−25に存在するBoNT/A切断部位を取り囲む配列はP5−P4−P3−P2−P1−P1’−P2’−P3’−P4’−P5’と示され、P1−P1’は切断可能結合を表す。BoNT/Aによる切断時に、結果的に生成された切断生成物はP5−P4−P3−P2−P1配列を含むフラグメントおよびP1’−P2’−P3’−P4’−P5’を含むフラグメントを含んでなる。本明細書で使用される際には「SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25抗体」なる用語はP5−P4−P3−P2−P1配列を含んでなる任意のSNAP−25切断生成物フラグメントに選択的に結合するが、P1’−P2’−P3’−P4’−P5’配列を含んでなる任意のSNAP−25切断生成物フラグメントまたはBoNT/A切断部位のインタクトなP1−P1’切断可能結合を有する任意のSNAP−25には結合しないα−SNAP−25抗体を指す。本明細書で使用される際には「α−SNAP−25197抗体」なる用語は配列番号:5のグルタミン197に相当するカルボキシル末端P1残基を有するSNAP−25に選択的に結合する抗体を指す。本明細書で使用される際には「α−SNAP−25204抗体」なる用語は配列番号:16のリジン204に相当するカルボキシル末端P1残基を有するSNAP−25に選択的に結合する抗体を指す。
本明細書で使用される際には「選択的」なる用語は唯一の方式でまたは唯一のものとの独特な効果または影響または反応を有することを指す。本明細書で使用される際には「選択的に結合する」なる用語は、抗体を参照する場合、抗体が非標的エピトープと実質的に交差反応しないような、指示された標的エピトープへの抗体の識別力のある結合を指す。本明細書で定義されるような最小サイズのペプチドエピトープは約5個のアミノ酸であり、そしてペプチドエピトープは典型的には少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15または少なくとも20個のアミノ酸を含んでなる。ペプチドエピトープは非連続的でよく、すなわちそれはペプチドの一次構造において隣接しないが、ペプチドの二次、三次または四次構造により一緒にエピトープになるアミノ酸残基を含んでなる。さらにエピトープは例えば炭水化物部分、リポタンパク質もしくは糖脂質様の脂質部分、またはリン酸化されたアミノ酸様の化学的に修飾されたアミノ酸部分のようなアミノ酸配列以外の分子の一部を含んでなり得ることも留意される。この実施態様の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15または少なくとも20個のアミノ酸を含んでなる、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合することができる。この実施態様のその他の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、多くても5、多くても6、多くても7、多くても8、多くても9、多くても10、多くても15または多くても20個のアミノ酸を含んでなる、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合することができる。
選択的結合には例えば結合アフィニティー、結合特異性および結合アビディティーのような結合特性が含まれる。David J. King, Applications and Engineering of Monoclonal Antibodies, pp. 240(1998)参照。結合アフィニティーとは、抗体がそのエピトープ結合部位に留まる時間の長さを指し、そして抗体がそのエピトープに結合する強さと見なすことができる。結合アフィニティーを抗体の平衡解離定数(KD)と記載することができ、それは平衡時のKd/Ka比として定義される。ここでKaは抗体の会合速度定数であり、そしてkdは抗体の解離速度定数である。結合アフィニティーは会合および解離双方により決定され、そして高い会合でも低い解離でも単独では高アフィニティーを確実にすることはできない。会合速度定数(Ka)または結合速度定数(on−rate constant)(Kon)は単位時間あたりの結合事象の数、または抗体および抗原がその抗体−抗原複合体に可逆的に会合する傾向を測定する。会合速度定数はM−1s−1で表現され、そして以下のとおりに記号で表される:[Ab]×[Ag]×Kon。会合速度定数が大きいほど、抗体はその抗原により迅速に結合するか、または抗体と抗原との間の結合アフィニティーがより高くなる。解離速度定数(Kd)または分離速度定数(off−rate constant)(Koff)は単位時間あたりの解離事象の数、抗体−抗原複合体がその構成分子、すなわち抗体および抗原に可逆的に分離(解離)する傾向を測定する。解離速度定数はs−1で表現され、そして以下のとおりに記号で表される:[Ab+Ag]×Koff。解離速度定数が小さいほど、抗体はその抗原により強固に結合するか、または抗体と抗原との間の結合アフィニティーがより高くなる。平衡解離定数(KD)は、形成された新しい抗体−抗原複合体が、抗体−抗原複合体が平衡して解離する速度に等しいその速度を測定する。平衡解離定数はMで表現され、そしてKoff/Kon=[Ab]×[Ag]/[Ab+Ag](式中、[Ab]は抗体のモル濃度であり、[Ag]は抗原のモル濃度であり、そして[Ab+Ag]は抗体−抗原複合体のモル濃度であり、ここで全ての濃度は、系が平衡にある場合のかかる構成要素のものである。平衡解離定数が小さいほど、抗体はその抗原により強固に結合するか、または抗体と抗原との間の結合アフィニティーがより高くなる。
故に実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーは例えば1×105M−1s−1未満、1×106M−1s−1未満、1×107M−1s−1未満、または1×108M−1s−1未満の会合速度定数を有し得る。別の実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーは例えば1×105M−1s−1を超える、1×106M−1s−1を超える、1×107M−1s−1を超える、または1×108M−1s−1を超える会合速度定数を有し得る。別の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーは1×105M−1s−1から1×108M−1s−1、1×106M−1s−1から1×108M−1s−1、1×105M−1s−1から1×107M−1s−1、または1×106M−1s−1から1×107M−1s−1の間の会合速度定数を有し得る。
別の実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーは1×10−3s−1未満、1×10−4s−1未満または1×10−5s−1未満の解離速度定数を有し得る。この実施態様のその他の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーは例えば1.0×10−4s−1未満、2.0×10−4s−1未満、3.0×10−4s−1未満、4.0×10−4s−1未満、5.0×10−4s−1未満、6.0×10−4s−1未満、7.0×10−4s−1未満、8.0×10−4s−1未満または9.0×10−4s−1未満の解離速度定数を有し得る。別の実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーは例えば1×10−3s−1を超える、1×10−4s−1を超えるまたは1×10−5s−1を超える解離速度定数を有し得る。この実施態様のその他の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーは例えば1.0×10−4s−1を超える、2.0×10−4s−1を超える、3.0×10−4s−1を超える、4.0×10−4s−1を超える、5.0×10−4s−1を超える、6.0×10−4s−1を超える、7.0×10−4s−1を超える、8.0×10−4s−1を超える、または9.0×10−4s−1を超える解離速度定数を有し得る。
別の実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーは0.500nM未満の平衡解離定数を有し得る。この実施態様の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーは例えば0.500nM未満、0.450nM未満、0.400nM未満、0.350nM未満、0.300nM未満、0.250nM未満、0.200nM未満、0.150nM未満、0.100nM未満または0.050nM未満の平衡解離定数を有し得る。別の実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーは0.500nMを超える平衡解離定数を有し得る。この実施態様の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーは例えば0.500nMを超える、0.450nMを超える、0.400nMを超える、0.350nMを超える、0.300nMを超える、0.250nMを超える、0.200nMを超える、0.150nMを超える、0.100nMを超える、または0.050nMを超える平衡解離定数を有し得る。
なお別の実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーは、インタクトなSNAP−25に関して例えば1×100M−1s−1未満、1×101M−1s−1未満、1×102M−1s−1未満、1×103M−1s−1未満、または1×104M−1s−1未満の会合速度定数を有し得る。別の実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合アフィニティーはインタクトなSNAP−25に関して例えば多くても1×100M−1s−1、多くても1×101M−1s−1、多くても1×102M−1s−1、多くても1×103M−1s−1または多くても1×104M−1s−1の会合速度定数を有し得る。
結合特異性はそのエピトープを含有する分子と、そのエピトープを含有しない分子との間で識別する抗体の能力である。結合特異性を測定する1つの方式は、そのエピトープを含有しない分子に関する抗体のKon会合速度に相対して、そのエピトープを含有する分子に関する抗体のKon会合速度を比較することである。例えばBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに関するα−SNAP−25抗体の会合速度定数(Ka)を、例えばBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を欠如するSNAP−25エピトープまたはBoNT/A切断部位のインタクトな−P1’切断可能結合を有するSNAP−25エピトープのような、そのエピトープを含まないSNAP−25に相対して比較することである。この実施態様の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、その(複数の)エピトープを含まないSNAP−25に関して例えば1×100M−1s−1未満、1×101M−1s−1未満、1×102M−1s−1未満、1×103M−1s−1未満、または1×104M−1s−1未満の、会合速度定数(Ka)を有する。この実施態様のその他の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、その(複数の)エピトープを含まないSNAP−25に関して例えば多くても1×100M−1s−1、多くても1×101M−1s−1、多くても1×102M−1s−1、多くても1×103M−1s−1または多くても1×104M−1s−1の、会合速度定数(Ka)を有する。
この実施態様のなおさらなる態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、そのエピトープを含まないSNAP−25に相対して、そのエピトープに関して例えば少なくとも2倍多い、少なくとも3倍多い、少なくとも4倍多い、少なくとも5倍多い、少なくとも6倍多い、少なくとも7倍多い、少なくとも8倍多い、または少なくとも9倍多い会合速度定数(Ka)を有する。この実施態様のさらなる態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、そのエピトープを含まないSNAP−25に相対して、そのエピトープに関して例えば少なくとも10倍多い、少なくとも100倍多い、少なくとも1,000倍多いまたは少なくとも10,000倍多い会合速度定数(Ka)を有する。この実施態様のなおその他の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、そのエピトープを含まないSNAP−25に相対して、そのエピトープに関して例えば多くても1倍多い、多くても2倍多い、多くても3倍多い、多くても4倍多い、多くても5倍多い、多くても6倍多い、多くても7倍多い、多くても8倍多い、または多くても9倍多い会合速度定数(Ka)を有する。この実施態様のなおその他の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、そのエピトープを含まないSNAP−25に相対して、そのエピトープに関して例えば多くても10倍多い、多くても100倍多い、多くても1,000倍多い、または多くても10,000倍多い会合速度定数(Ka)を有する。
BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体の結合特異性を、例えばBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を欠如するSNAP−25エピトープまたはBoNT/A切断部位のインタクトなP1−P1’切断可能結合を有するSNAP−25エピトープのような、そのエピトープを含まないSNAP−25に相対して、かかるα−SNAP−25抗体がそのSNAP−25エピトープを識別することができる比として特徴付けすることもできる。この実施態様の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、そのエピトープを含まないSNAP−25に相対して、そのSNAP−25エピトープに関して例えば少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも64:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも35:1または少なくとも40:1の結合特異性比を有する。この実施態様のなおその他の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を欠如するSNAP−25に相対して、そのSNAP−25エピトープに関して例えば少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも35:1または少なくとも40:1の結合特異性比を有する。この実施態様のさらにその他の態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体は、BoNT/A切断部位のインタクトなP1−P1’切断可能結合を有するSNAP−25に相対して、そのSNAP−25エピトープに関して例えば少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも64:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも35:1または少なくとも40:1の結合特異性比を有する。
結合アビディティーは機能的アフィニティーとしても公知であり、多価抗体とその抗原との間の機能的結合力の合計を指す。抗体分子は1を超える結合部位を有し得て(例えばIgGに関して2個、IgMに関して10個)、そして多くの抗原は1を超える抗原性部位を含有する。抗体の結合アビディティーは個々の抗体結合部位の結合アフィニティーに依存するが、全ての抗体−抗原相互作用は抗体が完全に解離するために同時に破壊されなければならないので、結合アビディティーは結合アフィニティーよりも大きい。BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体はその抗体に関する任意のおよび全てのエピトープに選択的に結合することができるということは想定される。
故に実施態様では、α−SNAP−25抗体はBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体である。この実施態様の態様では、α−SNAP−25抗体は、カルボキシル末端グルタミンを有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体、またはカルボキシル末端リジンを有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体である。この実施態様のその他の態様ではα−SNAP−25抗体は、配列番号:5のグルタミン197に相当するカルボキシル末端P1残基を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体、または配列番号:16のリジン204に相当するカルボキシル末端P1残基を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体である。この実施態様のさらにその他の態様では、α−SNAP−25抗体は、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43または配列番号:44、配列番号:147または配列番号:148のカルボキシル末端アミノ酸配列を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体である。
本開示の態様は一部ではBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法を含んでなる。本明細書に開示される免疫基盤の方法を、例えば真度、精度、検出限界(LOD)、定量限界(LOQ)、範囲、特異性、選択性、直線性、耐久性および系の適合性を含むいくつかのパラメーターにより評価することができる。方法の真度は分析方法の正確さ、または測定された値と従来の真の値として認められた値もしくは認められた参照値との間の一致の近似性の測定である。方法の精度は均一な試料の複数回のサンプリングに手順を繰り返し適用した場合の、個々の試験結果の間の一致の程度である。そのように、精度は1)アッセイ内変動性;2)日内変動性(併行精度);および3)日間変動性(室内再現精度);および4)研究室間変動性(室間再現精度);を評価する。変動係数(CV%)は観察されたまたは理論的平均値に相対して表現される精度の定量的測定値である。
本明細書に開示される免疫基盤の方法は、バックグラウンドを超えてBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25を含んでなるα−SNAP−25抗体−抗原複合体の存在を検出できなければならない。方法の検出限界(LOD)とは陰性対照またはブランクとは有意に異なるシグナルを上昇させる分析物の濃度を指し、バックグラウンドから区別することができる分析物の最低濃度を表す。
故に実施態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は、陰性対照またはブランクとは有意に異なる量でBoNT/AのLODを検出することができる。この実施態様の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば10ng以下、9ng以下、8ng以下、7ng以下、6ng以下、5ng以下、4ng以下、3ng以下、2ng以下、1ng以下のBoNT/AのLODを有する。この実施態様のさらにその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば900pg以下、800pg以下、700pg以下、600pg以下、500pg以下、400pg以下、300pg以下、200pg以下、100pg以下のBoNT/AのLODを有する。この実施態様のさらなる態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば90pg以下、80pg以下、70pg以下、60pg以下、50pg以下、40pg以下、30pg以下、20pg以下、10pg以下のBoNT/AのLODを有する。この実施態様のその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば9pg以下、8pg以下、7pg以下、6pg以下、5pg以下、4pg以下、3pg以下、2pg以下、1pg以下のBoNT/AのLODを有する。この実施態様のなおその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば0.9pg以下、0.8pg以下、0.7pg以下、0.6pg以下、0.5pg以下、0.4pg以下、0.3pg以下、0.2pg以下、0.1pg以下のBoNT/AのLODを有する。
この実施態様の別の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば10nM以下、9nM以下、8nM以下、7nM以下、6nM以下、5nM以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下または1nM以下のBoNT/AのLODを有する。この実施態様のその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば900pM以下、800pM以下、700pM以下、600pM以下、500pM以下、400pM以下、300pM以下、200pM以下または100pM以下のBoNT/AのLODを有する。この実施態様のその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば100pM以下、90pM以下、80pM以下、70pM以下、60pM以下、50pM以下、40pM以下、30pM以下、20pM以下または10pM以下のBoNT/AのLODを有する。この実施態様のなおその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は10pM以下のBoNT/A、9pM以下、8pM以下、7pM以下、6pM以下、5pM以下、4pM以下、3pM以下、2pM以下または1pM以下のBoNT/AのLODを有する。この実施態様のさらにその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば1,000fM以下、900fM以下、800fM以下、700fM以下、600fM以下、500fM以下、400fM以下、300fM以下、200fM以下または100fM以下のBoNT/AのLODを有する。この実施態様のさらにその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば100fM以下、90fM以下、80fM以下、70fM以下、60fM以下、50fM以下、40fM以下、30fM以下、20fM以下または10fM以下のBoNT/AのLODを有する。この実施態様のさらにその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば10fM以下、9fM以下、8fM以下、7fM以下、6fM以下、5fM以下、4fM以下、3fM以下、2fM以下または1fM以下のボツリヌス神経毒AのLODを有する。
定量限界(LOQ)は許容できるレベルの真度および精度で測定することができる試料または標本中の分析物の最低および最高濃度である。下の定量限界とは検出方法がバックグラウンドから一貫して測定することができる最低用量を指す。上の定量限界とは、シグナルの飽和を生じる前に、検出方法がバックグラウンドから一貫して測定することができる最高用量である。方法の直線性の範囲は下の定量限界と上の定量限界との間の区域である。直線性の範囲は上の定量限界から下の定量限界を減じることにより計算される。本明細書で使用される際には「下の漸近線に関するシグナル対ノイズ比」なる用語は、バックグラウンドシグナルにより除された、下の検出限界で方法において検出されたシグナルを指す。本明細書で使用される際には「上の漸近線に関するシグナル対ノイズ比」なる用語は、バックグラウンドシグナルにより除された、上の検出限界で方法において検出されたシグナルを指す。
故に実施態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は陰性対照またはブランクとは有意に異なる量でBoNT/AのLOQを検出することができる。この実施態様の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば10ng以下、9ng以下、8ng以下、7ng以下、6ng以下、5ng以下、4ng以下、3ng以下、2ng以下、1ng以下のBoNT/AのLOQを有する。この実施態様のさらにその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば900pg以下、800pg以下、700pg以下、600pg以下、500pg以下、400pg以下、300pg以下、200pg以下、100pg以下のBoNT/AのLOQを有する。この実施態様のさらなる態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば90pg以下、80pg以下、70pg以下、60pg以下、50pg以下、40pg以下、30pg以下、20pg以下、10pg以下のBoNT/AのLOQを有する。この実施態様のその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば9pg以下、8pg以下、7pg以下、6pg以下、5pg以下、4pg以下、3pg以下、2pg以下、1pg以下のBoNT/AのLOQを有する。この実施態様のなおその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば0.9pg以下、0.8pg以下、0.7pg以下、0.6pg以下、0.5pg以下、0.4pg以下、0.3pg以下、0.2pg以下、0.1pg以下のBoNT/AのLOQを有する。
この実施態様の別の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば10nM以下、9nM以下、8nM以下、7nM以下、6nM以下、5nM以下、4nM以下、3nM以下、2nM以下または1nM以下のBoNT/AのLOQを有する。この実施態様のその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば900pM以下、800pM以下、700pM以下、600pM以下、500pM以下、400pM以下、300pM以下、200pM以下または100pM以下のBoNT/AのLOQを有する。この実施態様のその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば100pM以下、90pM以下、80pM以下、70pM以下、60pM以下、50pM以下、40pM以下、30pM以下、20pM以下または10pM以下のBoNT/AのLOQを有する。この実施態様のなおその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば10pM以下のBoNT/A、9pM以下、8pM以下、7pM以下、6pM以下、5pM以下、4pM以下、3pM以下、2pM以下または1pM以下のBoNT/AのLOQを有する。この実施態様のさらにその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば1,000fM以下、900fM以下、800fM以下、700fM以下、600fM以下、500fM以下、400fM以下、300fM以下、200fM以下または100fM以下のBoNT/AのLOQを有する。この実施態様のさらにその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば100fM以下、90fM以下、80fM以下、70fM以下、60fM以下、50fM以下、40fM以下、30fM以下、20fM以下または10fM以下のBoNT/AのLOQを有する。この実施態様のさらにその他の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は例えば10fM以下、9fM以下、8fM以下、7fM以下、6fM以下、5fM以下、4fM以下、3fM以下、2fM以下または1fM以下のBoNT/AのLOQを有する。
開示された方法の態様を実行するために有用な免疫基盤のアッセイはわずか50%の精度を有さなければならない。この実施態様の態様では、免疫基盤のアッセイはわずか50%、わずか40%、わずか30%またはわずか20%の精度を有する。この実施態様のその他の態様では、免疫基盤のアッセイはわずか15%、わずか10%またはわずか5%の精度を有する。この実施態様のその他の態様では、免疫基盤のアッセイはわずか4%、わずか3%、わずか2%またはわずか1%の精度を有する。
開示された方法の態様を実行するために有用な免疫基盤のアッセイは少なくとも50%の正確性を有さなければならない。この実施態様の態様では、免疫基盤のアッセイは少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%の正確性を有する。この実施態様のその他の態様では、免疫基盤のアッセイは少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の正確性を有する。この実施態様のその他の態様では、免疫基盤のアッセイは少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%の正確性を有する。
本明細書に開示される免疫基盤の方法は統計的に有意である下の漸近線に関するシグナル対ノイズ比および統計的に有意である上の漸近線に関するシグナル対ノイズ比を有さなければならない。この実施態様の態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は下の漸近線に関して例えば少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、少なくとも6:1、少なくとも7:1、少なくとも8:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、少なくとも15:1または少なくとも20:1のシグナル対ノイズ比を有する。この実施態様のその他の態様では、免疫基盤の方法は上の漸近線に関して例えば少なくとも10:1、少なくとも15:1、少なくとも20:1、少なくとも25:1、少なくとも30:1、少なくとも35:1、少なくとも40:1、少なくとも45:1、少なくとも50:1、少なくとも60:1、少なくとも70:1、少なくとも80:1、少なくとも90:1または少なくとも100:1、少なくとも150:1、少なくとも200:1、少なくとも250:1、少なくとも300:1、少なくとも350:1、少なくとも400:1、少なくとも450:1、少なくとも500:1、少なくとも550:1または少なくとも600:1のシグナル対ノイズ比を有する。
方法の特異性は、例えば部分的に活性な、または不活性な分析物のようなその他の関連する構成要素の排除に重要な分析物を方法が測定する能力を定義する。方法の選択性は、分析方法が試料中の種々の物質を差別化する能力を記載する。方法の直線性は、試料中の分析物の濃度に比例して直接的であるか、または十分に定義された数学的変換により結果を引き出すその能力である。故に実施態様では、本明細書に開示される免疫基盤の方法は十分に活性なBoNT/Aを、十分に活性なBoNT/Aの活性の例えば70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下または10%以下を有する部分的に活性なBoNT/Aと区別することができる。
方法の耐久性は、正常な(しかし変動する)試験条件下で同一の試料に関して得られた試験結果の室間再現精度である。手順の頑健性は、方法パラメーターにおける小さいが、慎重な変動により影響を受けずにあるその受容力の測定値であり、そして正常な利用におけるその信頼性の指標を提供する。故に耐久性は回避し難い変化を評価するが、頑健性は慎重な変化を評価する。耐久性および頑健性により評価される典型的なパラメーターには、凍結/解凍、インキュベーション時間、インキュベーション温度、試薬の寿命、試料調製物、試料貯蔵、細胞継代数、多くの毒素、精製間の変動性およびニッキング反応間の変動性の影響が含まれる。細胞基盤のアッセイに関する頑健性パラメーターには、細胞バンク(凍結の始め、中間および終わり)、細胞継代レベル、細胞播種密度、細胞ストック密度(培養何日か)、フラスコ中の細胞齢(播種までの待ち時間)、インキュベーション時間、様々なプレート、過量の血清、および試薬の供給源が含まれる。方法の系適合性は参照標準の分析による経時的な、試薬および装置の性能を含むアッセイ性能の決定である。設備、電子工学、アッセイ性能および分析されるべき試料が統合された系を構成するという事実を参照してFDAの指導では系適合性が強調される。用量対応答の対数をプロットする場合、参照物質の連続希釈および試料の連続希釈が併行曲線を生じさせるはずである平行性に関して試験することにより、系適合性を評価することができる。
本開示の態様は一部では確立された細胞株からの細胞を含んでなる。本明細書で使用される際には「細胞」なる用語は、BoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い任意の真核細胞、またはBoNT/Aを取り込むことができる任意の真核細胞を指す。細胞なる用語は例えばネズミ、ラット、ブタ、ウシ、ウマ、霊長類およびヒト細胞のような種々の生物からの;例えばニューロン性および非ニューロン性のような種々の細胞型からの;細胞を包含し、そして同種の細胞集団、組織または生物から単離できるか、またはその一部でよい。本明細書で使用される際には「確立された細胞株」なる用語は「不死細胞株」または「形質転換された細胞株」と同義であり、そして生物、組織または器官供給源から誘導される細胞集団からの無制限な繁殖に関して選択された細胞の細胞培養物を指す。定義によれば、確立された細胞株は初代細胞の細胞培養物を除外する。本明細書で使用される際には「初代細胞」なる用語は新鮮な組織または器官から直接採取された細胞であり、そして無制限に繁殖する潜在能力を有さない。確立された細胞株は細胞の異種性集団または細胞の均一な集団を含んでなることができる。単一の細胞から誘導される確立された細胞株はクローン細胞株と称される。確立された細胞株は、その細胞が全体的な細胞メカニズム(それによりBoNT/Aがタンパク質分解によりSNAP−25基質を切断し、そしてBoNT/AのBoNT/A受容体への結合、神経毒/受容体複合体の内部移行、BoNT/A軽鎖の細胞内小胞から細胞質への転位置およびSNAP−25のタンパク質分解による切断を包含する)を行うために細胞に必要な全ての構成要素を内因的に発現するものでよい。それに代えて、確立された細胞株は、その細胞が全体的な細胞メカニズム(それによりBoNT/Aがタンパク質分解によりSNAP−25基質を切断し、そしてBoNT/AのBoNT/A受容体への結合、神経毒/受容体複合体の内部移行、BoNT/A軽鎖の細胞内小胞から細胞質への転位置およびSNAP−25のタンパク質分解による切断を包含する)を行うために外因性供給源から少なくとも1つの構成要素を導入されてしまっているものでよい。遺伝子操作された細胞株とも称されるかかる確立された細胞株からの細胞は例えば外因性FGFR2、外因性FGFR3、外因性SV2、外因性SNAP−25または任意のその組み合わせを発現できる。
本開示の態様は一部ではBoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞を含んでなる。本明細書で使用される際には「BoNT/A中毒に感受性が高い(複数の)細胞」、「BoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い(複数の)細胞」または「BoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの(複数の)細胞」なる用語は全体的な細胞メカニズム(それによりBoNT/Aがタンパク質分解によりSNAP−25基質を切断し、そしてBoNT/AのBoNT/A受容体への結合、神経毒/受容体複合体の内部移行、BoNT/A軽鎖の細胞内小胞から細胞質への転位置およびSNAP−25のタンパク質分解による切断を包含する)を行うことができる(複数の)細胞を指す。定義によれば、BoNT/A中毒に感受性が高い(複数の)細胞は少なくとも1つのBoNT/A受容体および少なくとも1つのSNAP−25基質を発現するか、または発現するように操作されなければならない。本明細書で使用される際には「BoNT/Aを取り込むことができる(複数の)細胞」または「BoNT/Aを取り込むことができる確立された細胞株を含んでなる(複数の)細胞」なる用語は全体的な細胞メカニズム(それによりBoNT/Aがタンパク質分解によりSNAP−25基質を切断し、そしてBoNT/AのBoNT/A受容体への結合、神経毒/受容体複合体の内部移行、BoNT/A軽鎖の細胞内小胞から細胞質への転位置およびSNAP−25のタンパク質分解による切断を包含する)を行うことができる細胞を指す。定義によれば、BoNT/Aを取り込むことができる(複数の)細胞は少なくとも1つのBoNT/A受容体および少なくとも1つのSNAP−25基質を発現するか、または発現するように操作されなければならない。
故に実施態様では、確立された細胞株からの細胞はBoNT/A中毒に感受性が高い。この実施態様の態様では、確立された細胞株からの細胞は例えば約500pM以下、約400pM以下、約300pM以下、約200pM以下または約100pM以下のBoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い。この実施態様のその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は例えば約90pM以下、約80pM以下、約70pM以下、約60pM以下、約50pM以下、約40pM以下、約30pM以下、約20pM以下または約10pM以下のBoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い。さらにその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は例えば約9pM以下、約8pM以下、約7pM以下、約6pM以下、約5pM以下、約4pM以下、約3pM以下、約2pM以下または約1pM以下のBoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い。なおその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は例えば約0.9pM以下、約0.8pM以下、約0.7pM以下、約0.6pM以下、約0.5pM以下、約0.4pM以下、約0.3pM以下、約0.2pMまたは約0.1pM以下のBoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い。本明細書で使用される際には「約」なる用語は、記述された項目、数、パーセンテージもしくは用語の値を適したものにする場合、記述された項目、パーセンテージ、パラメーターもしくは用語の値の+または−10%の範囲を指す。
別の実施態様では、確立された細胞株を含んでなる細胞はBoNT/Aを取り込むことができる。この実施態様の態様では、確立された細胞株を含んでなる細胞は例えば約500pM以下、約400pM以下、約300pM以下、約200pM以下または約100pM以下のBoNT/Aを取り込むことができる。この実施態様のその他の態様では、確立された細胞株を含んでなる細胞は約90pM以下、約80pM以下、約70pM以下、約60pM以下、約50pM以下、約40pM以下、約30pM以下、約20pM以下または約10pM以下のBoNT/Aを取り込む能力を保有する。さらにその他の態様では、確立された細胞株を含んでなる細胞は約9pM以下、約8pM以下、約7pM以下、約6pM以下、約5pM以下、約4pM以下、約3pM以下、約2pM以下または約1pM以下のBoNT/Aを取り込む能力を保有する。なおその他の態様では、確立された細胞株を含んでなる細胞は約0.9pM以下、約0.8pM以下、約0.7pM以下、約0.6pM以下、約0.5pM以下、約0.4pM以下、約0.3pM以下、約0.2pM以下または約0.1pM以下のBoNT/Aを取り込む能力を保有する。
本開示の態様は一部ではBoNT/Aを含んでなる。本明細書で使用される際には「BoNT/A」なる用語は「ボツリヌス神経毒血清A型」または「ボツリヌス神経毒A型」と同義であり、そして天然発生BoNT/Aまたはその非天然発生BoNT/Aの双方を指し、そして約150kDaのBoNT/A神経毒および関連する非毒素関連タンパク質(NAP)、ならびに約150kDaのBoNT/A神経毒単独を含んでなるBoNT/A複合体を含む。BoNT/A複合体の非限定例には、例えば900kDaのBoNT/A複合体、500kDaのBoNT/A複合体、300kDaのBoNT/A複合体が含まれる。約150kDaのBoNT/A神経毒の非限定例には例えば配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4が含まれる。
本明細書で使用される際には「天然発生BoNT/A」なる用語は、限定するものではないが、翻訳後修飾、選択的スプライシングされた転写物または自然突然変異から生成されるBoNT/Aアイソフォームならびに例えばBoNT/A1サブタイプ、BoNT/A2サブタイプ、BoNT/A3サブタイプ、BoNT/A4サブタイプおよびBoNT/A5サブタイプのようなBoNT/Aサブタイプを含む天然発生過程により生成される任意のBoNT/Aを指す。天然発生BoNT/Aには、限定するものではないが、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、または配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3もしくは配列番号:4から例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上または100個のアミノ酸を置換、欠失もしくは付加したものが含まれる。天然発生BoNT/Aの市販により入手可能な医薬組成物には、限定するものではないが、BOTOX(登録商標)(Allergan, Inc., Irvine, CA)、DYSPORT(登録商標)/RELOXIN(登録商標)、(Ipsen Ltd., Slough, England)、PURTOX(登録商標)(Mentor Corp., Santa Barbara, CA)、XEOMIN(登録商標)(Merz Pharmaceuticals, GmbH., Frankfurt, Germany)、NEURONOX(登録商標)(Medy−Tox, Inc., Ochang−myeon, South Korea)、BTX−Aが含まれる。
本明細書で使用される際には「非天然発生BoNT/A」なる用語は、限定するものではないが、無作為変異誘発または合理的設計を用いて遺伝子操作により生成された改変されたアミノ酸配列を伴うBoNT/A、およびインビトロ化学合成により生成されたBoNT/Aを含む、その構造がヒトの用手操作を援用して修飾された任意のBoNT/Aを指す。非天然発生BoNT/Aの非限定例は例えば「翻訳後修飾およびクロストリジウム神経毒」Steward, L.E.ら、米国特許第7223577号;「活性化可能なクロストリジウム毒素」Dolly, J.O.ら、米国特許第7419676号;「クロストリジウム神経毒組成物および修飾クロストリジウム神経毒」Steward, L.E.ら、米国特許出願公開第2004/0220386号;「内因性クロストリジウム毒素受容体系に関して増強されたターゲティング能力を有する修飾クロストリジウム毒素」Steward, L.E.ら、米国特許出願公開第2008/0096248号;「クロストリジウム毒素標的細胞に関して改変されたターゲティング能力を有する修飾クロストリジウム毒素」Steward, L.E.ら、米国特許出願公開第2008/0161543号;「クロストリジウム毒素標的細胞に関して増強された転位置能力および改変されたターゲティング活性を有する修飾クロストリジウム毒素」Steward, L.E.ら、米国特許出願公開第2008/0241881号(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。
故に実施態様では、検出されているBoNT/A活性は天然発生BoNT/Aに由来する。この実施態様の態様では、検出されているBoNT/A活性はBoNT/AアイソフォームまたはBoNT/Aサブタイプに由来する。この実施態様の態様では、検出されているBoNT/A活性は配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:4のBoNT/Aに由来する。この実施態様のその他の態様では、検出されているBoNT/A活性は配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:4と例えば少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するBoNT/Aに由来する。この実施態様のその他の態様では、検出されているBoNT/A活性はBOTOX(登録商標)、DYSPORT(登録商標)/RELOXIN(登録商標)、PURTOX(登録商標)、XEOMIN(登録商標)、NEURONOX(登録商標)またはBTX−Aに由来する。
別の実施態様では、検出されているBoNT/A活性は非天然発生BoNT/Aに由来する。この実施態様のその他の態様では、検出されているBoNT/A活性は配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:4と例えば少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する非天然発生BoNT/Aバリアントに由来する。この実施態様のその他の態様では検出されているBoNT/A活性は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:4に相対して例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上の非隣接アミノ酸置換、欠失または付加を有する非天然発生BoNT/Aバリアントに由来する。この実施態様のなおその他の態様では検出されているBoNT/A活性は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:4に相対して例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上の隣接アミノ酸置換、欠失または付加を有する非天然発生BoNT/Aバリアントに由来する。
本開示の態様は一部ではSNAP−25を含んでなる。本明細書で使用される際には「SNAP−25」なる用語はBoNT/Aにより優先的に切断される天然発生SNAP−25または非天然発生SNAP−25を指す。本明細書で使用される際には「優先的に切断される」なる用語は、BoNT/AによるBoNT/A基質の切断速度が、BoNT/Aによる任意のその他の基質の切断速度よりも少なくとも1桁高いことを指す。この実施態様の態様では、BoNT/AによるBoNT/A基質の切断速度はBoNT/Aによる任意のその他の基質の切断速度よりも少なくとも2桁高い、少なくとも3桁高い、少なくとも4桁高い、または少なくとも5桁高い。
本明細書で使用される際には「天然発生SNAP−25」なる用語は、限定するものではないが、翻訳後修飾、選択的スプライシングされた転写物または自然突然変異から生成されるSNAP−25アイソフォームおよびSNAP−25サブタイプを含む天然発生過程により生成される任意のSNAP−25を指す。天然発生SNAP−25には限定するものではないが、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23もしくは配列番号:24、または配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23もしくは配列番号:24から例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上のアミノ酸を置換、欠失または付加するものが含まれる。
本明細書で使用される際には「非天然発生SNAP−25」なる用語は、限定するものではないが、無作為変異誘発または合理的設計を用いて遺伝子操作により生成されたSNAP−25、およびインビトロ化学合成により生成されたSNAP−25を含む、その構造がヒトの用手操作を援用して修飾された任意のSNAP−25を指す。非天然発生SNAP−25の非限定例は例えば「クロストリジウム毒素に関するFRETプロテアーゼアッセイ」Steward, L.E.ら、米国特許第7332567号;「クロストリジウム毒素活性に関する親油性色素基盤のFRETアッセイ」Fernandez−Salasら、米国特許出願公開第2008/0160561号(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。非天然発生SNAP−25は配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23または配列番号:24から例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上のアミノ酸を置換、欠失または付加できる。
故に実施態様では、SNAP−25は天然発生SNAP−25である。この実施態様の態様では、SNAP−25はSNAP−25アイソフォームまたはSNAP−25サブタイプである。この実施態様の態様では、天然発生SNAP−25は配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23または配列番号:24の天然発生SNAP−25である。この実施態様のその他の態様では、SNAP−25は、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23または配列番号:24と例えば少なくとも70%のアミノ酸同一性、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然発生SNAP−25である。
別の実施態様では、SNAP−25は非天然発生SNAP−25である。この実施態様のその他の態様では、SNAP−25は配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3または配列番号:4と例えば少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する非天然発生SNAP−25である。この実施態様のその他の態様では、SNAP−25は配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23または配列番号:24に相対して例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上の非隣接アミノ酸置換、欠失または付加を有する非天然発生SNAP−25である。この実施態様のなおその他の態様では、SNAP−25は配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23または配列番号:24に相対して例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上の隣接アミノ酸置換、欠失または付加を有する非天然発生SNAP−25である。
SNAP−25は内因性SNAP−25または外因性SNAP−25でよい。本明細書で使用される際には「内因性SNAP−25」なる用語は、それが細胞のゲノム内で天然にコードされるので、SNAP−25の外部供給源またはSNAP−25をコードする遺伝材料の外部供給源を必要とせずに細胞が生来的にSNAP−25を発現するように細胞に天然に存在するSNAP−25を指す。内因性SNAP−25の発現は例えば細胞分化のような環境刺激を伴っても、または伴わなくてもよい。定義によれば、内因性SNAP−25は天然発生SNAP−25またはそのバリアントのみでよい。例えば以下の確立された細胞株は内因性SNAP−25を発現する:BE(2)−M17、Kelly、LA1−55n、N1E−115、N4TG3、N18、Neuro−2a、NG108−15、PC12、SH−SY5Y、SiMaおよびSK−N−BE(2)−C。
本明細書で使用される際には「外因性SNAP−25」なる用語は、ヒトの用手操作によりSNAP−25の外部供給源またはSNAP−25をコードする遺伝材料の外部供給源の導入を介して細胞において発現されるSNAP−25を指す。外因性SNAP−25の発現は例えば細胞分化のような環境刺激を伴っても、または伴わなくてもよい。非限定例としては、確立された細胞株からの細胞はSNAP−25の一過性の、または安定したトランスフェクションにより外因性SNAP−25を発現することができる。別の非限定例としては、確立された細胞株からの細胞はSNAP−25のタンパク質トランスフェクションにより外因性SNAP−25を発現することができる。外因性SNAP−25は天然発生SNAP−25もしくはそのバリアント、または非天然発生SNAP−25もしくはそのバリアントでよい。
故に実施態様では、確立された細胞株からの細胞は内因性SNAP−25を発現する。この実施態様の態様では、確立された細胞株からの細胞により発現される内因性SNAP−25は天然発生SNAP−25である。この実施態様のその他の態様では、確立された細胞株からの細胞により発現される内因性SNAP−25は配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23または配列番号:24である。この実施態様のなおさらなる態様では、確立された細胞株からの細胞により発現される内因性SNAP−25は例えばSNAP−25アイソフォームまたはSNAP−25サブタイプのような天然発生SNAP−25である。この実施態様のその他の態様では、確立された細胞株からの細胞により発現される内因性SNAP−25は、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23または配列番号:24と例えば少なくとも70%のアミノ酸同一性、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然発生SNAP−25である。
別の実施態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して外因性SNAP−25を発現するために操作される。この実施態様の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して天然発生SNAP−25を発現するために操作される。この実施態様のその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23または配列番号:24の天然発生SNAP−25を発現するために操作される。この実施態様のなおその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して例えばSNAP−25アイソフォームまたはSNAP−25サブタイプのような天然発生SNAP−25を発現するために操作される。この実施態様のさらにその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23または配列番号:24と例えば少なくとも70%のアミノ酸同一性、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然発生SNAP−25を発現するために操作される。
実施態様の別の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して非天然発生SNAP−25を発現するために操作される。この実施態様のその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23または配列番号:24と例えば少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する非天然発生SNAP−25を発現するために操作される。この実施態様のその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23または配列番号:24に相対して、例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上の非隣接アミノ酸置換、欠失または付加を有する非天然発生SNAP−25を発現するために操作される。この実施態様のなおその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23または配列番号:24に相対して、例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上の隣接アミノ酸置換、欠失または付加を有する非天然発生SNAP−25を発現するために操作される。
BoNT/Aへの暴露の後にBoNT/A基質の切断を検出するアッセイを用いて、細胞が内因性または外因性SNAP−25を発現しているかどうかを評価することができる。これらのアッセイではSNAP−25を発現する細胞においてBoNT/A処理の後にSNAP−25切断生成物の作成を検出する。特異的ウェスタンブロット分析の非限定例、ならびに十分に特徴付けされた試薬、条件およびプロトコールを、限定するものではないが、Amersham Biosciences, Piscataway, NJ;Bio−Rad Laboratories, Hercules, CA;Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL;Promega Corporation, Madison, WI;およびStratagene, Inc., La Jolla, CA.を含む商業用の製造供給元から容易に入手可能である。SNAP−25切断に関するこれらのおよび類似のアッセイは、内因性または外因性SNAP−25を発現する細胞を同定するのに有用であり得る。
非限定例としては、BoNT/A SNAP−25切断生成物またはSNAP−25の切断および未切断双方の形態を認識する抗体を使用するウェスタンブロット分析を用いてBoNT/Aの取り込みに関して検定することができる。これらのアッセイに有用なα−SNAP−25抗体の実例には、限定するものではないが、α−SNAP−25マウスモノクローナル抗体SMI−81(Sternberger Monoclonals Inc., Lutherville, MD)、マウスα−SNAP−25モノクローナル抗体CI71.1(Synaptic Systems, Goettingen, Germany)、α−SNAP−25マウスモノクローナル抗体CI71.2(Synaptic Systems, Goettingen, Germany)、α−SNAP−25マウスモノクローナル抗体SP12(Abcam, Cambridge, MA)、α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗血清(Synaptic Systems, Goettingen, Germany)、α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗血清(Abcam, Cambridge, MA)およびα−SNAP−25ウサギポリクローナル抗血清S9684(Sigma, St Louis, MO)が含まれる。
本開示の態様は一部ではBoNT/A受容体を含んでなる。本明細書で使用される際には「BoNT/A受容体」なる用語は、BoNT/A中毒応答を引き出す様式でBoNT/Aと優先的に相互作用する天然発生BoNT/A受容体または非天然発生BoNT/A受容体のいずれかを指す。本明細書で使用される際には「優先的に相互作用する」なる用語は、BoNT/A受容体に関するBoNT/Aの平衡解離定数(KD)が、細胞表面の任意のその他の受容体に関するBoNT/Aのものよりも少なくとも1桁小さいことを指す。BoNT/A−BoNT/A受容体複合体がその構成要素分子、すなわちBoNT/AおよびBoNT/A受容体に可逆的に分離(解離)する傾向を測定する平衡定数の具体的な型である平衡解離定数は、平衡時のKD=Ka/Kdとして定義される。会合定数(Ka)はKa=[C]/[L][R]として定義され、そして解離定数(Kd)はKd=[L][R]/[C]として定義され、ここで[L]はBoNT/Aのモル濃度に等しく、[R]はBoNT/A受容体のモル濃度であり、そして[C]はBoNT/A−BoNT/A受容体複合体のモル濃度であり、そしてここで全ての濃度は系が平衡にあるときのかかる構成要素のものである。解離定数が小さいほど、BoNT/Aはその受容体により強固に結合するか、またはBoNT/AとBoNT/A受容体との間の結合アフィニティーがより高くなる。この実施態様の態様では、BoNT/A受容体に関するBoNT/Aの解離定数は、任意のその他の受容体に関するBoNT/Aのものよりも少なくとも2桁小さく、少なくとも3桁小さく、少なくとも4桁小さく、または少なくとも5桁小さい。この実施態様のその他の態様では、BoNT/A受容体と優先的に相互作用するBoNT/Aの結合アフィニティーは例えば500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下または100nM以下の平衡解離定数(KD)を有し得る。この実施態様のその他の態様では、BoNT/A受容体と優先的に相互作用するBoNT/Aの結合アフィニティーは例えば90nM以下、80nM以下、70nM以下、60nM、50nM以下、40nM以下、30nM以下、20nM以下または10nM以下の平衡解離定数(KD)を有し得る。本明細書で使用される際には「BoNT/A中毒応答を引き出す」なる用語は、BoNT/A受容体がBoNT/Aと相互作用して神経毒/受容体複合体を形成し、そして引き続きその複合体が細胞の細胞質へ内部移行する能力を指す。
本明細書で使用される際には「天然発生BoNT/A受容体」なる用語は、限定するものではないが、翻訳後修飾、選択的スプライシングされた転写物、または自然突然変異から生成されるBoNT/A受容体アイソフォーム、およびBoNT/A受容体サブタイプを含む天然発生過程により生成される任意のBoNT/A受容体を指す。天然発生BoNT/A受容体には、限定するものではないが、「ボツリヌス毒素スクリーニングアッセイ」Ester Fernandez−Salasら、米国特許出願公開第2008/0003240号;「ボツリヌス毒素スクリーニングアッセイ」Ester Fernandez−Salasら、米国特許出願公開第2008/0182799号;「SV2はボツリヌス神経毒Aに関するタンパク質受容体である」Min Dongら、Science(2006);「シナプス性小胞タンパク質2Cはボツリヌス神経毒Aの横隔神経への取り込みを媒介する」S. Mahrhold et al, FEBS Lett. 580(8):2011−2014(2006)(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載されるものような、芽細胞成長因子受容体2(FGFR2)、線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR3)、シナプス性小胞糖タンパク質2(SV2)およびGT1b様複合体ガングリオシドが含まれる。天然発生FGFR2には限定するものではないが、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69および配列番号:70、または配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69および配列番号:70から例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、もしくは100個以上のアミノ酸を置換、欠失もしくは付加したものが含まれる。天然発生FGFR3には限定するものではないが、配列番号:25、配列番号:26および配列番号:27、または配列番号:25、配列番号:26および配列番号:27から例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、もしくは100個以上のアミノ酸を置換、欠失もしくは付加したものが含まれる。天然発生SV2には限定するものではないが、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30および配列番号:31、または配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30および配列番号:31から例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、もしくは100個以上のアミノ酸を置換、欠失もしくは付加したものが含まれる。
本明細書で使用される際には「非天然発生BoNT/A受容体バリアント」なる用語は、限定するものではないが、無作為変異誘発または合理的設計を用いて遺伝子操作により生成されたBoNT/A受容体、および化学合成により生成されたBoNT/A受容体を含む、ヒトの用手操作を援用して生成されたまたは設計された任意のBoNT/A受容体を指す。非天然発生BoNT/Aバリアントの非限定例には、例えば保存BoNT/A受容体バリアント、非保存BoNT/A受容体バリアント、BoNT/A受容体キメラバリアントおよび活性なBoNT/A受容体フラグメントが含まれる。
本明細書で使用される際には「非天然発生BoNT/A受容体」なる用語は、限定するものではないが、無作為変異誘発または合理的設計を用いて遺伝子操作により生成されたBoNT/A受容体、およびインビトロ化学合成により生成されたBoNT/A受容体を含む、その構造がヒトの用手操作を援用して修飾された任意のBoNT/A受容体を指す。非天然発生BoNT/A受容体の非限定例は例えば「ボツリヌス毒素スクリーニングアッセイ」Ester Fernandez−Salasら、米国特許出願公開第2008/0003240号;「ボツリヌス毒素スクリーニングアッセイ」Ester Fernandez−Salasら、米国特許出願公開第2008/0182799号(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。非天然発生BoNT/A受容体は配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70からの例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上のアミノ酸を置換、欠失または付加できる。
故に実施態様では、BoNT/A受容体は例えばFGFR2、FGFR3またはSV2のような天然発生BoNT/A受容体である。この実施態様の態様では、BoNT/A受容体はBoNT/A受容体アイソフォームまたはBoNT/A受容体サブタイプである。この実施態様の態様では、天然発生BoNT/A受容体は配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70の天然発生BoNT/A受容体である。この実施態様のその他の態様ではBoNT/A受容体は、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70と例えば少なくとも70%のアミノ酸同一性、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然発生BoNT/A受容体である。
別の実施態様では、BoNT/A受容体は例えば遺伝子操作されたFGFR2、遺伝子操作されたFGFR3または遺伝子操作されたSV2のような非天然発生BoNT/A受容体である。この実施態様のその他の態様ではBoNT/A受容体は、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70と例えば少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する非天然発生BoNT/A受容体である。この実施態様のその他の態様ではBoNT/A受容体は、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70に相対して例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上の非隣接アミノ酸置換、欠失または付加を有する非天然発生BoNT/A受容体である。この実施態様のなおその他の態様ではBoNT/A受容体は、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70に相対して例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上の隣接アミノ酸置換、欠失または付加を有する非天然発生BoNT/A受容体である。
BoNT/A受容体は内因性BoNT/A受容体または外因性BoNT/A受容体でよい。本明細書で使用される際には「内因性BoNT/A受容体」なる用語は、それが細胞のゲノム内で天然にコードされるので、BoNT/A受容体の外部供給源またはBoNT/A受容体をコードする遺伝材料の外部供給源を必要とせずに細胞が生来的にBoNT/A受容体を発現するように細胞に天然に存在するBoNT/A受容体を指す。内因性BoNT/A受容体の発現は例えば細胞分化またはプロモーター活性化のような環境刺激を伴っても、または伴わなくてもよい。例えば以下の確立された細胞株は少なくとも1つの内因性BoNT/A受容体を発現する:BE(2)−M17、Kelly、LA1−55n、N1E−115、N4TG3、N18、Neuro−2a、NG108−15、PC12、SH−SY5Y、SiMaおよびSK−N−BE(2)−C。内因性BoNT/A受容体は天然発生BoNT/A受容体またはその天然発生バリアントのみでよい。
本明細書で使用される際には「外因性BoNT/A受容体」なる用語は、ヒトの用手操作によりBoNT/A受容体の外部供給源またはBoNT/A受容体をコードする遺伝材料の外部供給源の導入を介して細胞において発現されたBoNT/A受容体を指す。外因性BoNT/A受容体の発現は例えば細胞分化またはプロモーター活性化のような環境刺激を伴っても、または伴わなくてもよい。非限定例としては、確立された細胞株からの細胞は例えばFGFR2、FGFR3またはSV2のようなBoNT/A受容体をコードするポリヌクレオチド分子の一過性の、または安定したトランスフェクションにより1つまたはそれより多い外因性BoNT/A受容体を発現することができる。別の非限定例としては、確立された細胞株からの細胞は、例えばFGFR2、FGFR3またはSV2のようなBoNT/A受容体のタンパク質トランスフェクションにより1つまたはそれより多い外因性BoNT/A受容体を発現することができる。外因性BoNT/A受容体は天然発生BoNT/A受容体もしくはその天然発生バリアント、または非天然発生BoNT/A受容体もしくはその非天然発生バリアントでよい。
故に実施態様では、確立された細胞株からの細胞は内因性BoNT/A受容体を発現する。この実施態様の態様では、確立された細胞株からの細胞により発現される内因性BoNT/A受容体は天然発生BoNT/A受容体である。この実施態様のその他の態様では、確立された細胞株からの細胞により発現される内因性BoNT/A受容体は配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70である。この実施態様のなおさらなる態様では、確立された細胞株からの細胞により発現される内因性BoNT/A受容体は、例えばBoNT/A受容体アイソフォームまたはBoNT/A受容体サブタイプのような天然発生BoNT/A受容体である。この実施態様のその他の態様では、確立された細胞株からの細胞により発現される内因性BoNT/A受容体は、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70と例えば少なくとも70%のアミノ酸同一性、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然発生BoNT/A受容体である。
別の実施態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して外因性BoNT/A受容体を発現するために操作される。この実施態様の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して天然発生BoNT/A受容体を発現するために操作される。この実施態様のその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70の天然発生BoNT/A受容体を発現するために操作される。この実施態様のなおその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して例えばBoNT/A受容体アイソフォームまたはBoNT/A受容体サブタイプのような天然発生BoNT/A受容体を発現するために操作される。この実施態様のさらにその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70と例えば少なくとも70%のアミノ酸同一性、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する天然発生BoNT/A受容体を発現するために操作される。
実施態様の別の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して非天然発生BoNT/A受容体を発現するために操作される。この実施態様のその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70と例えば少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%のアミノ酸同一性を有する非天然発生BoNT/A受容体を発現するために操作される。この実施態様のその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70に相対して例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上の非隣接アミノ酸置換、欠失または付加を有する非天然発生BoNT/A受容体を発現するために操作される。この実施態様のなおその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:28、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69または配列番号:70に相対して例えば1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、または100個以上の隣接アミノ酸置換、欠失または付加を有する非天然発生BoNT/A受容体を発現するために操作される。
別の実施態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して外因性FGFR2、外因性FGFR3、外因性SV2または任意のその組み合わせを発現するために操作される。この実施態様の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して天然発生FGFR2、天然発生FGFR3、天然発生SV2または任意のその組み合わせを発現するために操作される。この実施態様のなおその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して非天然発生FGFR2、非天然発生FGFR3、非天然発生SV2または任意のその組み合わせを発現するために操作される。この実施態様のさらにその他の態様では、確立された細胞株からの細胞は一過性に、または安定して天然発生FGFR2もしくは非天然発生FGFR2、天然発生FGFR3もしくは非天然発生FGFR3、天然発生SV2もしくは非天然発生SV2、または任意のその組み合わせを発現するために操作される。
毒素取り込みに関する直接的および間接的アッセイを含む常法により、1つまたはそれより多い内因性または外因性BoNT/A受容体を発現する細胞を同定することができる。BoNT/A結合または取り込み特性を決定するアッセイを用いて、細胞がBoNT/A受容体を発現しているかどうかを評価することができる。かかるアッセイには、限定するものではないが、例えば[125I]BoNT/A、[125I]のような標識BoNT/Aを使用する架橋アッセイが含まれ、例えば「クロストリジウムボツリヌスC型神経毒の様々な神経芽細胞腫細胞株への結合」Noriko Yokosawa et al., Infect. Immun. 57(1):272−277(1989);「ボツリヌスCl、DおよびE型神経毒のニューロン細胞株およびシナプトソームへの結合」Noriko Yokosawa et al. Toxicon 29(2):261−264(1991);および「ラット脳シナプトソームにおけるクロストリジウムボツリヌスB型神経毒に関するタンパク質受容体の同定」Tei−ichi Nishiki et al., J. Biol. Chem. 269(14):10498−10503(1994)を参照されたい。その他の非限定的なアッセイには、標識または未標識抗体を使用してBoNT/A結合を検出する免疫細胞化学アッセイ(例えば「クロストリジウムボツリヌスC型前駆体毒素のHT−29細胞への内部移行のための受容体およびトランスポーター」Atsushi Nishikawa et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 319(2):327−333(2004)参照)および標識または未標識抗体を使用して結合毒素を検出する免疫沈降アッセイ(例えば「腸上皮細胞および赤血球に関するクロストリジウムボツリヌスC型前駆体毒素の結合サブコンポーネントの分子特徴付け」Yukako Fujinaga et al., Microbiology 150(Pt 5):1529−1538(2004)参照)が含まれる。これらのアッセイに有用な抗体には、限定するものではないが、BoNT/Aに対して選択された抗体、例えばFGFR2、FGFR3もしくはSV2のようなBoNT/A受容体に対して選択された抗体、および/または例えばGD1a、GD1b、GD3、GQ1bもしくはGT1bのようなガングリオシドに対して選択された抗体が含まれる。抗体が標識されている場合、当業者に周知の技術を用いて、ウェスタンブロット分析、抗体の細胞位置の直接顕微鏡的観察、洗浄工程、フローサイトメトリー、電気泳動またはキャピラリー電気泳動後の細胞または基質結合抗体の測定を含む種々の手段により分子の結合を検出することができる。抗体が未標識である場合、結合分子の間接的検出のための標識二次抗体を用いることができ、そして標識抗体に関するように検出を進めることができる。BoNT/A取り込み特性または特徴を決定するこれらのおよび類似のアッセイが内因性または外因性またはBoNT/A受容体を発現する細胞を同定するのに有用であり得るということは理解される。
BoNT/Aへの暴露の後の分子の放出をモニタリングするアッセイを用いて、細胞が1つまたはそれより多い内因性または外因性BoNT/A受容体を発現しているかどうかを評価することもできる。これらのアッセイでは、BoNT/A処理の後、BoNT/A受容体を発現している細胞において分子の放出の阻止が生じるであろう。周知のアッセイには、ニューロンからの例えば[3H]ノルアドリナリンまたは[3H]ドーパミン放出のような放射標識カテコラミン放出の阻止を測定する(例えば「破傷風毒素およびボツリヌス毒素F型に感度が低いカルシウム依存性小胞伝達物質放出に関する証拠」A Fassio et al., Neuroscience 90(3):893−902(1999);および「カテコラミン放出のボツリヌス毒素C1およびEに対する感度により容易に放出可能なプールに設定された小胞の選択的なターゲティングが示唆される」Sara Stigliani et al., J. Neurochem. 85(2):409−421(2003)参照)または蛍光定量的な手順を用いてカテコラミン放出を測定する(例えば「エクトアクセプター(ecto−acceptors)に結合し、そして細胞内伝達物質放出を阻止する毒素誘導体により表されるボツリヌス神経毒Aの内部移行における鎖間ジスルフィドまたその関与するチオールの役割」Anton de Paiva et al., J. Biol. Chem. 268(28):20838−20844(1993);「ボツリヌス毒素AまたはBによる25kDaのシナプトソーム関連タンパク質(SNAP−25)またはシナプトブレビンの切断後のインタクトな、および透過処理されたクロム親和性細胞の明確なエキソサイトーシス応答」Gary W. Lawrence et al., Eur. J. Biochem. 236(3):877−886(1996);および「インタクトな、および透過処理されたクロム親和性細胞においてボツリヌス神経毒C1はシンタキシンおよびSNAP−25の双方を切断する:カテコラミン放出のその遮断との相関」Patrick Foran et al., Biochemistry 35(8):2630−2636(1996)参照)方法が含まれる。その他の非限定例には、例えば下垂体前葉細胞または卵巣細胞のような内分泌細胞からのホルモン放出の阻止を測定するアッセイが含まれる。分子放出に関するこれらのおよび類似のアッセイが内因性または外因性またはBoNT/A受容体を発現する細胞を同定するのに有用であり得るということは理解される。
BoNT/Aへの暴露の後にBoNT/A基質の切断を検出するアッセイを用いて、細胞が1つまたはそれより多い内因性または外因性BoNT/A受容体を発現しているかどうかを評価することもできる。これらのアッセイでは、BoNT/A処理後、BoNT/A受容体を発現する細胞においてBoNT/A基質切断生成物の作成またはインタクトなBoNT/A基質の消失を検出する。特異的ウェスタンブロット分析の非限定例、ならびに十分に特徴付けされた試薬、条件およびプロトコールを、限定するものではないが、Amersham Biosciences, Piscataway, NJ;Bio−Rad Laboratories, Hercules, CA;Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL;Promega Corporation, Madison, WI;およびStratagene, Inc., La Jolla, CA. を含む商業的な製造供給元から容易に入手可能である。BoNT/A基質切断に関するこれらのおよび類似のアッセイは、内因性または外因性BoNT/A受容体を発現する細胞を同定するのに有用であり得る。
非限定例としては、BoNT/A SNAP−25切断生成物またはSNAP−25の切断および未切断双方の形態を認識する抗体を使用するウェスタンブロット分析を用いてBoNT/Aの取り込みに関して検定することができる。これらのアッセイに有用なα−SNAP−25抗体の実例には、限定するものではないが、SMI−81α−SNAP−25マウスモノクローナル抗体(Sternberger Monoclonals Inc., Lutherville, MD)、CI71.1マウスα−SNAP−25モノクローナル抗体(Synaptic Systems, Goettingen, Germany)、CI71.2α−SNAP−25マウスモノクローナル抗体(Synaptic Systems, Goettingen, Germany)、SP12α−SNAP−25マウスモノクローナル抗体(Abcam, Cambridge, MA)、α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗血清(Synaptic Systems, Goettingen, Germany)、α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗血清S9684(Sigma, St Louis, MO)およびα−SNAP−25ウサギポリクローナル抗血清(Abcam, Cambridge, MA)が含まれる。
本開示の態様は、遺伝子用手操作または組換え操作を介して外因性SNAP−25および/または1つもしくはそれより多い外因性BoNT/A受容体を発現するように作られた細胞を提供する。遺伝子用手操作または組換え操作を介して外因性SNAP−25および/または1つもしくはそれより多い外因性BoNT/A受容体を発現するのに有用な細胞には、内因性SNAP−25および/または1つもしくはそれより多い内因性BoNT/A受容体を発現しても、またはしなくてもよいニューロン細胞および非ニューロン細胞が含まれる。かかる遺伝子用手操作または組換え操作された細胞は構成的、組織特異的、細胞特異的または誘導プロモーターエレメント、エンハンサーエレメントまたは双方の制御下で外因性SNAP−25および1つまたはそれより多い外因性BoNT/A受容体を発現できることはさらに理解される。外因性SNAP−25および/または1つもしくはそれより多い外因性BoNT/A受容体を発現するように細胞を遺伝子用手操作または組換え操作することができる限り、任意の細胞が有用であり、そしてBoNT/A中毒を起こすことが可能であることは理解される。
それによりBoNT/Aがタンパク質分解により例えばSNAP−25、FGFR2、FGFR3またはSV2のようなSNAP−25基質を切断する全体的な細胞メカニズムを行うために、細胞に必要な構成要素をコードする外因性ポリヌクレオチド分子を細胞へ導入するために有用な方法には、限定するものではないが、例えばリン酸カルシウム媒介、ジエチル−アミノエチル(DEAE)デキストラン媒介、脂質媒介、ポリエチレンイミン(PEI)媒介、ポリリジン媒介およびポリブレン媒介のような化学媒介分配方法;例えばバイオリスティック粒子分配、マイクロインジェクション、プロトプラスト融合およびエレクトロポレーションのような物理学媒介方法;ならびに例えばレトロウイルス媒介トランスフェクションのようなウイルス媒介分配方法が含まれ、例えば「クローン化された遺伝子の培養哺乳動物細胞への導入」Sambrook & Russell, eds., Molecular Cloning A Laboratory Manual, Vol. 3, 3rd ed. pp. 16.1−16.62(2001);「哺乳動物細胞における外来遺伝子の移行および発現」Alessia Colosimo et al., Biotechniques 29(2):314−318, 320−322, 324(2000);「ニューロンへの遺伝子移入のための技術」Philip Washbourne & A. Kimberley McAllister, Philip Washbourne & A. Kimberley McAllister, Curr. Opin. Neurobiol. 12(5):566−573(2002);およびCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, pp 9.16.4−9.16.11(2000)(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)を参照されたい。ポリヌクレオチド分子を細胞に導入するための具体的な方法の選択は一部では、それによりBoNT/Aがタンパク質分解によりSNAP−25基質を切断する全体的な細胞メカニズムを行うために細胞に必要な構成要素を、細胞が一過性に、または安定して含有するかどうかに依存することは当業者には理解される。それによりBoNT/Aがタンパク質分解によりSNAP−25基質を切断する全体的な細胞メカニズムを行うために細胞に必要な構成要素をコードするポリヌクレオチド分子の非限定例は以下のとおりである:配列番号:130、配列番号:131、配列番号:132、配列番号:133、配列番号:134、配列番号:135、配列番号:136、配列番号:137または配列番号:138のFGFR2ポリヌクレオチド分子;配列番号:139、配列番号:140または配列番号:141のFGFR3ポリヌクレオチド分子;配列番号:142、配列番号:143または配列番号:144のSV2ポリヌクレオチド分子;および配列番号:145または配列番号:146のSNAP−25ポリヌクレオチド分子。
化学媒介分配方法は当業者に周知であり、そして例えば「リン酸カルシウムによる接着および懸濁細胞のトランスフェクション」Martin Jordan & Florian Worm, Methods 33(2):136−143(2004);「脳由来細胞へのプラスミド分配のためのポリエチレンイミン計画」Chun Zhang et al., Methods 33(2):144−150(2004)(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。かかる化学媒介分配方法を標準的な手順により調製することができ、そして市販により入手可能であり、例えばCellPhectトランスフェクションキット(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ);哺乳動物トランスフェクションキット、リン酸カルシウムおよびDEAEデキストラン(Stratagene, Inc., La Jolla, CA);Lipofectamine(商標)トランスフェクション試薬(Invitrogen, Inc., Carlsbad, CA);ExGen 500トランスフェクションキット(Fermentas, Inc., Hanover, MD)およびSuperFectおよびEffecteneトランスフェクションキット(Qiagen, Inc., Valencia, CA)を参照されたい。
物理学媒介方法は当業者に周知であり、そして例えば「バイオリスティックス技術を用いるニューロンにおけるプラスミド媒介遺伝子移入」Jeike E. Biewenga et al., J. Neurosci. Methods. 71(1):67−75(1997);「バイオリスティックおよびジオリスティックトランスフェクション:遺伝子銃を使用してDNAおよび親油性色素を哺乳動物細胞に分配する」John O’Brien & Sarah C. R. Lummis, Methods 33(2):121−125(2004);「インビトロおよびインビボ電場媒介透過処理、遺伝子移入および発現」M. Golzio et al., Methods 33(2):126−135(2004);および「初代細胞への遺伝子移入のための新しい非ウイルス方法」Oliver Greschet al., Methods 33(2):151−163(2004)(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。
ウイルス媒介分配方法は当業者に周知であり、そして例えば「アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスベクター」Chooi M. Lai et al.,DNA Cell Biol. 21(12):895−913(2002);「アルファウイルス基盤発現ベクター:計画および適用」Ilya Frolov et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93(21):11371−11377(1996);「DNAの哺乳動物への分配のためのレンチウイルスベクター」Roland Wolkowicz et al., Methods Mol. Biol. 246:391−411(2004);「バキュロウイルスベクター:新規哺乳動物細胞遺伝子分配ベヒクルおよびその適用」A. Huser & C. Hofmann, Am. J. Pharmacogenomics 3(1):53−63(2003);「哺乳動物細胞の形質導入のためのレトロウイルスおよびレンチウイルス基盤ベクターの一過性生成」Tiziana Tonini et al., Methods Mol. Biol. 285 :141−148(2004);「テトラサイクリン応答プロモーターによる真核細胞における遺伝子発現の厳格な制御」Manfred GossenおよびHermann Bujard、米国特許第5464758号;「遺伝子発現を調節するための方法」Hermann BujardおよびManfred Gossen、米国特許第5814618号;「昆虫ステロイドホルモン受容体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよび同一物で形質転換された細胞」David S. Hogness、米国特許第5514578号;「昆虫エクジソン受容体をコードするポリヌクレオチド」David S. Hogness、米国特許第6245531号;「C末端ホルモン結合ドメイントランケーションを有するプロゲステロン受容体」Elisabetta Vegetoら、米国特許第5364791号;「変異したステロイドホルモン受容体、その使用のための方法および遺伝子治療のための分子スイッチ」Elisabetta Vegetoら、米国特許第5874534号(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。かかるウイルス媒介分配方法を標準的な手順により調製することができ、そして市販により入手可能であり、例えばViraPower(商標)アデノウイルス発現系(Invitrogen, Inc., Carlsbad, CA)およびViraPower(商標)アデノウイルス発現系説明マニュアル25−0543バージョンA、Invitrogen, Inc.(2002年6月15日);ならびにAdEasy(商標)アデノウイルスベクター系(Stratagene, Inc., La Jolla, CA)およびAdEasy(商標)アデノウイルスベクター系説明マニュアル064004f(Stratagene, Inc.)を参照されたい。さらにかかるウイルス媒介分配系を標準的な方法により調製することができ、そして市販により入手可能であり、例えばBD(商標)Tet−OffおよびTet−On遺伝子発現系(BD Biosciences−Clonetech, Palo Alto, CA)およびBD(商標)Tet−OffおよびTet−On遺伝子発現系ユーザーマニュアルPT3001−1(BD Biosciences Clonetech)(2003年3月14日)、GeneSwitch(商標)系(Invitrogen, Inc., Carlsbad, CA)および哺乳動物細胞のためのGeneSwitch(商標)系Aミフェプリストン調節発現系バージョンD、25−0313(Invitrogen, Inc.)(2002年11月4日);ViraPower(商標)レンチウイルス発現系(Invitrogen, Inc., Carlsbad, CA)およびViraPower(商標)レンチウイルス発現系説明マニュアル25−0501バージョンE(Invitrogen, Inc.)(2003年12月8日);ならびにComplete Control(登録商標)レトロウイルス誘導哺乳動物発現系(Stratagene, La Jolla, CA)およびComplete Control(登録商標)レトロウイルス誘導哺乳動物発現系説明マニュアル064005eを参照されたい。
故に実施態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は、それによりBoNT/Aがタンパク質分解によりSNAP−25基質を切断する全体的な細胞メカニズムを行うために細胞に必要な構成要素をコードするポリヌクレオチド分子を一過性に含有する。別の実施態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は、それによりBoNT/Aがタンパク質分解によりSNAP−25基質を切断する全体的な細胞メカニズムを行うために細胞に必要な複数の構成要素をコードするポリヌクレオチド分子を一過性に含有する。この実施態様の態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は、FGFR2、FGFR3、SV2またはSNAP−25をコードするポリヌクレオチド分子を一過性に含有する。この実施態様の態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は、配列番号:130、配列番号:131、配列番号:132、配列番号:133、配列番号:134、配列番号:135、配列番号:136、配列番号:137または配列番号:138のFGFR2をコードするポリヌクレオチド分子を一過性に含有する。この実施態様のその他の態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は、配列番号:139、配列番号:140または配列番号:141のFGFR3をコードするポリヌクレオチド分子を一過性に含有する。この実施態様のなおその他の態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は、配列番号:142、配列番号:143または配列番号:144のSV2をコードするポリヌクレオチド分子を一過性に含有する。この実施態様のなおその他の態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は、配列番号:145または配列番号:146のSNAP−25をコードするポリヌクレオチド分子を一過性に含有する。
別の実施態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は、それによりBoNT/Aがタンパク質分解によりSNAP−25基質を切断する全体的な細胞メカニズムを行うために細胞に必要な構成要素をコードするポリヌクレオチド分子を安定して含有する。別の実施態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は、それによりBoNT/Aがタンパク質分解によりSNAP−25基質を切断する全体的な細胞メカニズムを行うために細胞に必要な複数の構成要素をコードするポリヌクレオチド分子を安定して含有する。この実施態様の態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞はFGFR2、FGFR3、SV2またはSNAP−25をコードするポリヌクレオチド分子を安定して含有する。この実施態様の態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は、配列番号:130、配列番号:131、配列番号:132、配列番号:133、配列番号:134、配列番号:135、配列番号:136、配列番号:137または配列番号:138のFGFR2をコードするポリヌクレオチド分子を安定して含有する。この実施態様のその他の態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は配列番号:139、配列番号:140または配列番号:141のFGFR3をコードするポリヌクレオチド分子を安定して含有する。この実施態様のなおその他の態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は、配列番号:142、配列番号:143または配列番号:144のSV2をコードするポリヌクレオチド分子を安定して含有する。この実施態様のなおその他の態様では、BoNT/A中毒に感受性が高い確立された細胞株からの細胞は、配列番号:145または配列番号:146のSNAP−25をコードするポリヌクレオチド分子を安定して含有する。
前記で言及したように、それによりBoNT/Aがタンパク質分解により例えば本明細書に開示されるSNAP−25、FGFR2、FGFR3またはSV2のようなSNAP−25基質を切断する全体的な細胞メカニズムを行うために細胞に必要な、外因性構成要素を細胞に導入することができる。かかる外因性構成要素を分配剤と共に細胞集団に導入するために有用な任意のおよび全ての方法は、この方法が所定の細胞集団内の細胞の少なくとも50%に本明細書に開示される外因性構成要素を一過性に導入するという条件で有用であり得る。故にこの実施態様の態様は所定の細胞集団の例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%が、それによりBoNT/Aがタンパク質分解により例えば本明細書に開示されるSNAP−25、FGFR2、FGFR3またはSV2のようなSNAP−25基質を切断する全体的な細胞メカニズムを行うために細胞に必要な外因性構成要素を一過性に含有する細胞集団を含み得る。本明細書で使用される際には「分配剤」なる用語は、共有結合で連結された、非共有結合で連結された、または任意のその他の様式で随伴されたポリペプチドの細胞への内部移行を可能に、または増強する任意の分子を指す。故に「分配剤」なる用語は、限定するものではないが、タンパク質。ペプチド、ペプチド擬似物質、小型分子、ポリヌクレオチド分子、リポソーム、脂質、ウイルス、レトロウイルスおよび限定するものではないが、共有結合で、または非共有結合で連結された分子を細胞膜、細胞の細胞質または核に輸送する細胞を包含する。「分配剤」なる用語が受容体媒介エンドサイトーシスを介して機能する分配剤および受容体媒介エンドサイトーシスとは独立しているものを含む任意のメカニズムにより内部移行する分子を包含することはさらに理解される。
分配剤は例えば化学的抱合または遺伝子的に生成された融合タンパク質によるように、共有結合で連結されたFGFR2、FGFR3、SV2またはSNAP−25様の構成要素の細胞取り込みを可能に、または増強する薬剤でもよい。分配剤に共有結合で連結する方法およびかかる薬剤を使用する方法は例えば「タンパク質形質導入系およびその使用方法」Steven F. Dowdy、国際公開第WO00/34308号;「活性分子の細胞内アドレッシングのためのベクターとして使用することができるペプチド」Gerard ChassaingおよびAlain Prochiantz、米国特許第6080724号;「TAT由来の輸送部分を含んでなる融合タンパク質」Alan Frankelら、米国特許第5674980号;「TAT由来の輸送ポリペプチド抱合体」Alan Frankelら、米国特許第5747641号;「TAT由来の輸送ポリペプチドおよび融合タンパク質」Alan Frankelら、米国特許第5804604号;「輸送タンパク質の使用」Peter F. J. O’Hareら、米国特許第6734167号;「生物学的に活性な分子の細胞への移入のための方法」Yao−Zhong LinおよびJack J. Hawiger、米国特許第5807746号;「生物学的に活性な分子の細胞への移入のための方法」Yao−Zhong LinおよびJack J. Hawiger、米国特許第6043339号;「細胞膜転位置活性を有するタンパク質の遺伝子操作のための配列および方法」Yao−Zhong Linら、米国特許第6248558号;「細胞膜転位置活性を有するタンパク質の遺伝子操作のための配列および方法」Yao−Zhong Linら、米国特許第6432680号;「生物学的に活性な分子の細胞への移入のための方法」Jack J. Hawigerら、米国特許第6495518号;「細胞膜転位置活性を有するタンパク質の遺伝子操作のための配列および方法」Yao−Zhong Linら、米国特許第6780843号;「生物学的膜をわたる輸送を増強するための方法および組成物」Jonathan B. RothbardおよびPaul A Wender、米国特許第6306993号;「生物学的膜をわたる輸送を増強するための方法および組成物」Jonathan B. RothbardおよびPaul A Wender、米国特許第6495663号;ならびに「タンパク質分配のための融合タンパク質」Pamela B. Davisら、米国特許第6287817号(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。
分配剤はFGFR2、FGFR3、SV2またはSNAP−25様の非共有結合で随伴された構成要素の細胞取り込みを可能に、または増強する薬剤でもよい。共有結合連結の不在下で機能する方法およびかかる薬剤を使用する方法は例えば「ペプチド媒介トランスフェクション剤および使用の方法」Gilles Divitaら、米国特許第6841535号;「細胞内タンパク質分配組成物および使用の方法」Philip L FelgnerおよびOlivier Zelphati、米国特許出願公開第2003/0008813号;ならびに「小型分子、タンパク質および核酸の細胞内分配」Michael Karas、米国特許出願公開第2004/0209797号(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。かかるペプチド分配剤を標準的な方法により調製および使用することができ、そして市販により入手可能であり、例えばCHARIOT(商標)試薬(Active Motif, Carlsbad, CA);BIO−PORTER(登録商標)試薬(Gene Therapy Systems, Inc., San Diego, CA)、BIO TREK(商標)タンパク質分配試薬(Stratagene, La Jolla, CA)およびPRO−JECT(商標)タンパク質トランスフェクション試薬(Pierce Biotechnology Inc., Rockford, IL)を参照されたい。
本開示の態様は一部ではBoNT/Aを含んでなる試料を含んでなる。本明細書で使用される際には「BoNT/Aを含んでなる試料」なる用語は活性なBoNT/Aを含有するかまたは潜在的に含有する任意の生物学的物質を指す。限定するものではないが、精製された、部分的に精製されたまたは未精製のBoNT/A;天然または非天然発生配列を有する組換え一本鎖または二鎖毒素;修飾されたプロテアーゼ特異性を有する組換えBoNT/A;改変された細胞特異性を有する組換えBoNT/A;バルクBoNT/A;例えばBOTOX(登録商標)、DYSPORT(登録商標)/RELOXIN(登録商標)、XEOMIN(登録商標)、PURTOX(登録商標)、NEURONOX(登録商標)、BTX−Aを含む処方されたBoNT/A生成物、および;例えば細菌、酵母、昆虫または哺乳動物供給源からの細胞または粗製、分画化もしくは部分的に精製された細胞ライゼート;血液、血漿または血清;生の、調理された、部分的に調理されたまたは加工された食物;飲料;動物飼料;土壌試料;水試料;池底質;ローション;化粧品;ならびに臨床処方物を含む種々の試料を本明細書に開示される方法に従って検定することができる。試料なる用語は限定するものではないが、哺乳動物組織試料、ヒツジ、ウシおよびブタ組織試料のような家畜組織試料;霊長類組織試料;ならびにヒト組織試料を含む組織試料を包含することは理解される。かかる試料は限定するものではないが、乳児腸試料のような腸試料、および創傷から得られた組織試料を包含する。非限定例としては、ピコモル濃度量のBoNT/A活性を検出する方法は、食物もしくは飲料試料中のBoNT/Aの存在もしくは活性を決定するために;例えばBoNT/Aに暴露された、または1つもしくはそれより多いボツリヌス症の病徴を有するヒトもしくは動物からの試料を検定するために;バルクBoNT/Aの生成および精製の間の活性を追跡するために;医薬用もしくは化粧用適用において使用される処方されたBoNT/A生成物を検定するために;またはα−BoNT/A中和抗体の存在または不在に関して対象の血清を検定するために;有用であり得る。
故に実施態様では、BoNT/Aを含んでなる試料は任意の量のBoNT/Aを含んでなる試料である。この実施態様の態様では、BoNT/Aを含んでなる試料は約100ng以下、約10ng以下、約1ng以下、約100pg以下、約10pg以下または約1pg以下のBoNT/Aを含んでなる。この実施態様のその他の態様では、BoNT/Aを含んでなる試料は約1μM以下、約100nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約100pM以下、約10pM以下、約1pM以下、約100fM以下、約10fM以下または約1fM以下のBoNT/Aを含んでなる。
本開示の態様は一部では処理された細胞から、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25を含んでなるSNAP−25構成要素を単離することを含んでなる。本明細書で使用される際には「BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25を含んでなるSNAP−25構成要素」なる用語は、SNAP−25切断生成物を含有する細胞構成要素を指す。限定するものではないが、細胞溶解プロトコール、スピンカラム精製プロトコール、免疫沈降、アフィニティー精製およびタンパク質クロマトグラフィーを含む、SNAP−25構成要素を富化または単離するために適当な任意の方法が有用であり得るということは想定される。
本開示の態様は一部では固相支持体に連結されたα−SNAP−25抗体を含んでなる。本明細書で使用される際には「固相支持体」なる用語は「固相」と同義であり、そして本明細書において開示されるα−SNAP−25抗体の固定のために使用することができる任意のマトリックスを指す。固相支持体の非限定例には、例えばチューブ;プレート;カラム;ピンまたは「ディップスティック」;磁性粒子、ビーズまたは例えばアガロース、セファロース、シリカおよびプラスチックのようなその他の球状もしくは繊維状のクロマトグラフィー媒質;ならびに例えばニトロセルロースおよびポリフッ化ビニリデン(PVDF)のようなシートまたは膜が含まれる。例えばガラス、炭素、ポリスチレン、塩化ポリビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、ジアゾセルロースまたはデンプンのような多様な材料を使用して固相支持体を構築することができる。選択される固相支持体は、可溶性または未結合材料からそれを容易に分離させる物理学的特性を有し得て、そして一般に例えば過剰の試薬、反応副産物または溶媒のような未結合材料を(例えば洗浄、濾過、遠心等により)固相支持体結合アッセイ構成要素から分離またはそうでなければ除去することを可能にする。固相支持体の作成および使用の仕方の非限定例は例えばMolecular Cloning, A Laboratory Manual, supra,(2001);およびCurrent Protocols in Molecular Biology, supra,(2004)(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。
本開示の態様は一部ではBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出することを含んでなる。シグナル対ノイズ比がバックグラウンドシグナルからの、抗体−抗原複合体からのシグナルを統計的に有意な程度まで区別することができるという条件で、任意の検出系を使用してこの開示された免疫基盤の方法の態様を実行できるということは想定される。免疫基盤の検出系の非限定例には、ウェスタンブロッティングおよびドットブロッティング様の免疫ブロット分析、免疫沈降分析、酵素結合性免疫吸着分析(ELISA)およびサンドイッチELISAが含まれる。撮像またはリン光体撮像を伴うオートラジオグラフィー(AU)、化学発光(CL)、電気化学発光(ECL)、生物発光(BL)、蛍光、共鳴エネルギー転移、平面偏光、比色分析またはフローサイトメトリー(FC)を用いてシグナルの検出を達成することができる。免疫基盤の検出系の記載は例えば「化学発光」Michael M.Rauhut, Kirk−Othmer Concise Encyclopedia of Chemical Technology(Ed. Grayson, 3rd ed, John Wiley and Sons, 1985);「電気化学発光の分析適用における最近の動向の概説」」A. W. Knight, Trends Anal. Chem. 18(1):47−62(1999);「化学分析における電気化学発光の最近の適用」K.A.Fahnrich et al. Talanta 54(4):531−559(2001);「分子クローニングにおいて一般的に使用される技術」pp. A8.1−A8−55(Sambrook & Russell, eds., Molecular Cloning A Laboratory Manual, Vol. 3, 3rd ed. 2001);「検出系」 pp. A9.1−A9−49(Sambrook & Russell, eds., Molecular Cloning A Laboratory Manual, Vol. 3, 3rded. 2001);Electrogenerated Chemiluminescence(Ed. Allen J. Bard, Marcel Dekker, Inc., 2004)(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に開示される。
サンドイッチELISA(またはサンドイッチイムノアッセイ)は抗原上の異なるエピトープに結合する2つの抗体に基づく方法である。目的の抗原に関して高い結合特異性を有する捕捉抗体は固体表面に結合している。次いで抗原を添加し、続いて検出抗体と称される第2の抗体を添加する。検出抗体は捕捉抗体とは異なるエピトープに抗原を結合する。それ故に抗原は2つの抗体の間で「サンドイッチされる」。抗原に関する抗体結合アフィニティーは通常イムノアッセイ感度の主な決定要因である。抗原濃度が増大するにつれて、検出抗体の量は増大して、測定される応答はより高度に至る。結合の程度を定量するために、例えば二次抗体およびレポーター基質に付着した酵素のような異なるレポーター系を使用することができ、ここで酵素反応は検出シグナルとして読み出しされる。作成されたシグナルは試料中に存在する標的抗原の量に比例する。結合事象を測定するために使用されるレポーター基質が検出形式を決定する。分光光度プレートリーダーを比色検出に使用する。さらにシグナルを増幅し、そして発光リーダーで読み取ることができる化学発光および電気化学発光基質が開発されている。レポーターはまた蛍光読み出しでもよく、ここでアッセイの酵素工程をフルオロフォアで置き換え、そして次いで蛍光リーダーを使用して読み出しを測定する。例外なくMSDサンドイッチELISA−ECL検出プラットフォーム(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)を含むECLサンドイッチELISAを実施するために必要な試薬およびプロトコールは市販により入手可能である。
故に実施態様では、BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在の検出を、免疫ブロット分析、免疫沈降分析、ELISAまたはサンドイッチELISAを使用して実施することができる。この実施態様の態様では、AU、CL、ECLもしくはBL免疫ブロット分析、AU、CL、ECL、BLもしくはFC免疫沈降分析、AU、CL、ECL、BLもしくはFC ELISA、またはAU、CL、ECL、BLもしくはFCサンドイッチELISAを使用して検出を実施する。
シングルプレックスまたはマルチプレックス様式で本開示の態様を実行することができる。シングルプレックス様式で実行されるBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法は、α−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在のみを検出するものである。マルチプレックス様式で実行されるBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法は、1つまたはそれより多い抗体−抗原複合体の存在を同時発生的に検出するものであり;その1つはα−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体であり;そして(複数の)その他のものは第2、第3、第4等の異なるタンパク質に対する抗体−抗原複合体である。例えば検出されるα−SNAP−25/SNAP−25抗体−抗原複合体の量を、第2のタンパク質に関して検出される抗体−抗原複合体の量に対して正規化することにより試料対試料変動性を最小化する内部対照として第2のタンパク質を使用することができる。そのように、第2のタンパク質は通常ハウスキーピングタンパク質のような、細胞により一貫して発現されるものである。有用な第2のタンパク質の非限定例には、例えばグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、シンタキシン、サイトカインが含まれる。マルチプレックス様式で免疫基盤のアッセイを実施する方法は例えば「マイクロアレイ形式のマルチプレックスサンドイッチアッセイ」U. B. Nielsen and B. H. Geierstanger, J. Immunol. Methods. 290(1−2):107−120 (2004);「抗体アレイを使用する定量的タンパク質プロファイリング」R. Barry and M, Soloviev, Proteomics, 4(12):3717−3726(2004);「マルチプレックス分子診断学およびエマージングマイクロアレイテクノロジーを用いるイムノアッセイ」M. M. Ling et al., Expert Rev Mol Diagn. 7(1):87−98(2007);「炎症および加齢研究におけるサイトカイン測定のためのELISAおよびマルチプレックステクノロジー」S. X. Leng et al., J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 63(8):879−884(2008)(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。
故に1つの実施態様では、BoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法を、α−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在のみを検出することによりシングルプレックス様式で実行する。別の実施態様では、BoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法を、α−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物および例えばGAPDHまたはシンタキシンのようなSNAP−25以外のタンパク質に対する少なくとも1つのその他の抗体−抗原複合体を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を同時発生的に検出することによりマルチプレックス様式で実行する。
本開示の態様は一部ではBoNT/A免疫抵抗性を決定する方法を提供する。本明細書で使用される際には「BoNT/A免疫抵抗性」なる用語は、その哺乳動物の免疫応答が直接的または間接的のいずれかで治療の有効性を低減するために、BoNT/A治療に対して十分に応答しない、またはBoNT/A治療の有益な効果の低減を示す哺乳動物を意味する。有効性の低減の非限定例は、毒素の特異性または活性を低減または防御する様式でBoNT/A毒素に結合する、少なくとも1つのα−BoNT/A中和抗体の哺乳動物における存在であろう。本明細書で使用される際には「BoNT/A治療」なる用語は、BoNT/A毒素を使用する神経調節を必要とする哺乳動物における何か望ましくないものを相殺する処置、療法、治癒、回復、リハビリテーションもしくは任意のその他の手段、または1回もしくはそれより多くの制御された用量の、医学的、治療的、治癒的、美容的、療法的もしくは任意のその他の有益な効果を有するBoNT/A毒素の医薬品、調製物もしくは混合物を哺乳動物に投与することを意味する。BoNT/A治療は限定するものではないが、任意の担体または活性成分と組み合わされ、そして任意の投与経路により投与される任意の処方における任意の天然発生またはその修飾フラグメントの使用を包含する。実例としては周知のBoNT/A治療はBOTOX(登録商標)治療である。
本開示の態様は一部では、α−BoNT/A中和抗体の存在または不在に関して試験中の哺乳動物から得られる被験試料を提供する。本明細書で使用される際には「被験試料」なる用語は、少なくとも1つのα−BoNT/A抗体を含有するか、または潜在的に含有する任意の生物学的物質を指す。α−BoNT/A抗体は抗BoNT/A中和抗体または抗BoNT/A非中和抗体でよい。本明細書で使用される際には「抗BoNT/A中和抗体」なる用語は、生理学的条件下で毒素がBoNT/A治療におけるその効果を奏することを低減または防御するような様式でBoNT/A毒素の領域に結合するであろう任意のα−BoNT/A抗体を意味する。本明細書で使用される際には「α−BoNT/A非中和抗体」なる用語は、生理学的条件下でBoNT/A毒素の領域に結合するが、毒素がBoNT/A治療におけるその効果を奏することを防御しないであろう任意のα−BoNT/A抗体を意味する。限定するものではないが、血液、血漿、血清およびリンパ液を含むα−BoNT/A抗体を含有し得る任意のおよび全ての試料をこの方法において使用することができるということは想定される。加えて限定するものではないが、鳥類ならびにマウス、ラット、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ロバ、ウシ、霊長類およびヒトを含む哺乳動物を含む、BoNT/A毒素に対してα−BoNT/A抗体を上昇させることが可能な任意のおよび全ての生物が試料のための供給源として役立ち得る。血液収集および血清調製のための具体的なプロトコールの非限定例は、例えばMarjorie Schaub Di Lorenzo & Susan King Strasinger, BLOOD COLLECTION IN HEALTHCARE(F.A. Davis Company, 2001);およびDiana Garza & Kathleen Becan−McBride, PHLEBOTOMY HANDBOOK:BLOOD COLLECTION ESSENTIALS(Prentice Hall, 6th ed., 2002)に記載される。これらのプロトコールは日常的な手順であり、十分に当業者の、およびは本明細書の教示からの範囲内である。BoNT/A毒素に対する暴露の前、単回のBoNT/A処置の後、多回のBoNT/A毒素処置の後、BoNT/A治療に対する抵抗性の発症の前、またはBoNT/A治療に対する抵抗性の発症の後に生物から被験試料を入手することができる。
本開示の態様は一部では対照試料を提供する。本明細書で使用される際には「対照試料」なる用語は、被験試料の存在または不在が公知である任意の試料を意味し、そして陰性および陽性対照試料の双方を含む。α−BoNT/A抗体の中和に関する陰性対照試料は、決してBoNT/Aに暴露されたことがなかった個体から入手することができ、そして限定するものではないが、被験試料を供給する同じ個体からからであるが、BoNT/A治療を行う前に取られた試料;BoNT/Aに決して暴露されたことがない異なる個体から取られた試料;BoNT/Aに決して暴露されたことがない複数の異なる個体から取られたプールされた試料;を含み得る。α−BoNT/A中和抗体に関する陽性対照試料は、BoNT/A免疫抵抗性を顕在化する個体から入手することができ、そして限定するものではないが、患者基盤の試験アッセイで試験して陽性である個体;インビボバイオアッセイで試験して陽性である個体;および超免疫性を示す個体、例えばBoNT/Aワクチン接種された個体を含む。
α−BoNT/A抗体を試料から精製できることがさらに予見される。限定するものではないが、プロテインA/Gクロマトグラフィーおよびアフィニティークロマトグラフィーを含む種々の手順を用いて抗BoNT/A抗体を試料から精製することができる。試料から抗体を精製するための具体的なプロトコールの非限定例は例えばANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL(Edward Harlow & David Lane, eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1998);USING ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL:PORABLE PROTOCOL NO I(Edward Harlow & David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1998);およびMOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL, supra,(2001)(出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。加えて、抗体精製方法ならびに十分に特徴付けされた試薬、条件およびプロトコールの非限定例は、限定するものではないが、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL;およびZymed Laboratories, Inc., South San Francisco, CAを含む商業的な製造供給元から容易に入手可能である。これらのプロトコールは十分に当業者の範囲内である日常的な手順である。
故に実施態様では試料は血液を含んでなる。この実施態様の態様では試料はマウス血液、ラット血液、ヤギ血液、ヒツジ血液、ウマ血液、ロバ血液、ウシ血液、霊長類血液またはヒト血液を含んでなる。別の実施態様では試料は血漿を含んでなる。この実施態様の態様では被験試料はマウス血漿、ラット血漿、ヤギ血漿、ヒツジ血漿、ウマ血漿、ロバ血漿、ウシ血漿、霊長類血漿またはヒト血漿を含んでなる。別の実施態様では試料は血清を含んでなる。この実施態様の態様では試料はマウス血清、ラット血清、ヤギ血清、ヒツジ血清、ウマ血清、ロバ血清、ウシ血清、霊長類血清およびヒト血清を含んでなる。別の実施態様では試料はリンパ液を含んでなる。この実施態様の態様では試料はマウスリンパ液、ラットリンパ液、ヤギリンパ液、ヒツジリンパ液、ウマリンパ液、ロバリンパ液、ウシリンパ液、霊長類リンパ液またはヒトリンパ液を含んでなる。なお別の実施態様では試料は被験試料である。なお別の実施態様では試料は対照試料である。この実施態様の態様では対照試料は陰性対照試料または陽性対照試料である。
本開示の態様は一部では工程(d)で検出されたBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25の量を工程(e)で検出されたBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25の量と比較することを提供する。実施態様では被験試料中のSNAP−25切断生成物の量は、対照試料中のSNAP−25切断生成物の量と比較して高い。この実施態様の態様では、陽性対照試料と比較して、被験試料中のSNAP−25切断生成物の量が多いことは、哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性の低減または欠如を示す。この実施態様の別の態様では、陰性対照試料と比較して被験試料中のSNAP−25切断生成物の量が均等であることは、哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性の低減または欠如を示す。別の実施態様では、対照試料中のSNAP−25切断生成物の量と比較して、被験試料中のSNAP−25切断生成物の量が少ない。この実施態様の態様では、陽性対照試料と比較して、被験試料中のSNAP−25切断生成物の量が少ないかまたは均等であることは、哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性の増大または存在を示す。この実施態様の別の態様では、陰性対照試料と比較して、被験試料中のSNAP−25切断生成物の量が少ないことは、哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性の増大または存在を示す。
試料中のα−BoNT/A中和抗体の存在を検出するのに適当な、例えば直線性アッセイ条件および非直線性アッセイ条件のような任意のおよび全てのアッセイ条件は本明細書に開示される方法において有用である。実施態様では、アッセイ条件は直線性である。この実施態様の態様では、BoNT/Aのアッセイ量は過剰である。この実施態様の別の態様では、BoNT/Aのアッセイ量は律速である。この実施態様の別の態様では、被験試料のアッセイ量は律速である。
本開示の態様をまた以下のようにも記載できる:
1. BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に連結された可動性リンカーに連結された担体を含んでなる組成物。
2. BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基がグルタミンまたはリジンである1の組成物。
3. SNAP−25抗原が配列番号:147を含んでなる1の組成物。
4. 可動性リンカーおよびSNAP−25抗原アミノ酸配列が配列番号:38または配列番号:46である1の組成物。
5. SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する単離されたα−SNAP−25抗体。
6. α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のカルボキシル末端グルタミンを含まないエピトープに関して1×101M−1s−1未満の会合速度定数を有し;そしてα−SNAP−25抗体がエピトープに関して0.450nM未満の平衡解離定数を有する5の単離されたα−SNAP−25抗体。
7. 単離されたα−SNAP−25抗体が配列番号:72、配列番号:74、配列番号:76、配列番号:80および配列番号:82からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変領域;ならびに配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90および配列番号:92からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変領域を有する5の単離されたα−SNAP−25抗体。
8. 単離されたα−SNAP−25抗体が少なくとも配列番号:93のVHCDR1、配列番号:94のVHCDR1、配列番号:95のVHCDR1、配列番号:118のVHCDR1、配列番号:119のVHCDR1または配列番号:120のVHCDR1を含んでなる5の単離されたα−SNAP−25抗体。
9. 単離されたα−SNAP−25抗体が少なくとも配列番号:96のVHCDR2、配列番号:97のVHCDR2、配列番号:98のVHCDR2、配列番号:99のVHCDR2、配列番号:121のVHCDR2、配列番号:122のVHCDR2または配列番号:123のVHCDR2を含んでなる5の単離されたα−SNAP−25抗体。
10. 単離されたα−SNAP−25抗体が少なくとも配列番号:100のVHCDR3、配列番号:101のVHCDR3、配列番号:102のVHVHCDR3または配列番号:124のVHCDR3を含んでなる5の単離されたα−SNAP−25抗体。
11. 単離されたα−SNAP−25抗体が少なくとも配列番号:103のVLCDR1、配列番号:104のVLCDR1、配列番号:105のVLCDR1、配列番号:106のVLCDR1、配列番号:107のVLCDR1、配列番号:125のVLCDR1、配列番号:126のVLCDR1、配列番号:127のVLCDR1、配列番号:128のVLCDR1または配列番号:129のVLCDR1を含んでなる5の単離されたα−SNAP−25抗体。
12. 単離されたα−SNAP−25抗体が少なくとも配列番号:108のVLCDR2、配列番号:109のVLCDR2、配列番号:110のVLCDR2、配列番号:111のVLCDR2または配列番号:112のVLCDR2を含んでなる5の単離されたα−SNAP−25抗体。
13. 単離されたα−SNAP−25抗体が少なくとも配列番号:113のVLCDR3、配列番号:114のVLCDR3、配列番号:115のVLCDR3、配列番号:116のVLCDR3または配列番号:117のVLCDR3を含んでなる5の単離されたα−SNAP−25抗体。
14. 単離されたα−SNAP−25抗体が配列番号:93、配列番号:121および配列番号:100を含んでなる重鎖可変領域;ならびに配列番号:105、配列番号:110および配列番号:115を含んでなる軽鎖可変領域を含んでなる5の単離されたα−SNAP−25抗体。
15. 単離されたα−SNAP−25抗体が配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:147または配列番号:148のSNAP−25エピトープに選択的に結合する5の単離されたα−SNAP−25抗体。
16. 単離されたα−SNAP−25抗体が配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43または配列番号:44のSNAP−25エピトープに選択的に結合する5の単離されたα−SNAP−25抗体。
17. (a)確立された細胞株からの細胞をBoNT/Aを含んでなる試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い;(b)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(c)SNAP−25構成要素をα−SNAP−25抗体と接触させること、ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する;ならびに(d)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;ここで抗体−抗原複合体による検出はBoNT/A活性の指標である;の工程を含んでなるBoNT/A活性を検出する方法。
18. (a)確立された細胞株からの細胞をBoNT/Aを含んでなる試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い;(b)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(c)SNAP−25構成要素を固相支持体に連結されたα−SNAP−25抗体と接触させること、ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する;ならびに(d)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;ここで抗体−抗原複合体による検出はBoNT/A活性の指標である;の工程を含んでなるBoNT/A活性を検出する方法。
19. (a)確立された細胞株からの細胞をBoNT/Aを含んでなる試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い;(b)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(c)SNAP−25構成要素を固相支持体に固定すること;(d)SNAP−25構成要素をα−SNAP−25抗体と接触させること、ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する;ならびに(e)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;ここで抗体−抗原複合体による検出はBoNT/A活性の指標である;の工程を含んでなるBoNT/A活性を検出する方法。
20. (a)確立された細胞株からの細胞をBoNT/Aを含んでなる試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/Aを取り込むことができる;(b)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(c)SNAP−25構成要素をα−SNAP−25抗体と接触させること、ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する;ならびに(d)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;ここで抗体−抗原複合体による検出はBoNT/A活性の指標である;の工程を含んでなるBoNT/A活性を検出する方法。
21. (a)確立された細胞株からの細胞をBoNT/Aを含んでなる試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/Aを取り込むことができる;(b)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(c)SNAP−25構成要素を固相支持体に連結されたα−SNAP−25抗体と接触させること、ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する;ならびに(d)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;ここで抗体−抗原複合体による検出はBoNT/A活性の指標である;の工程を含んでなるBoNT/A活性を検出する方法。
22. (a)確立された細胞株からの細胞をBoNT/Aを含んでなる試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/Aを取り込むことができる;(b)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(c)SNAP−25構成要素を固相支持体に固定すること;(d)SNAP−25構成要素をα−SNAP−25抗体と接触させること、ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する;ならびに(e)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;ここで抗体−抗原複合体による検出はBoNT/A活性の指標である;の工程を含んでなるBoNT/A活性を検出する方法。
23. (a)α−BoNT/A中和抗体の存在または不在に関して試験中の哺乳動物から得られた被験試料にBoNT/Aを添加すること;(b)確立された細胞株からの細胞を被験試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/A中毒に感受性が高い;(c)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(d)SNAP−25構成要素をα−SNAP−25抗体と接触させること、ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する;(e)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;(f)被験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−eを繰り返すことであって、陰性対照試料はBoNT/Aおよび、α−BoNT/A中和抗体を含有しないことが解っている血清を含んでなる;ならびに(g)工程eで検出された抗体−抗原複合体の量を工程fで検出された抗体−抗原複合体の量と比較すること、ここで工程fで検出された抗体−抗原複合体の量に相対して工程eで検出された抗体−抗原複合体のより少ない検出量はα−BoNT/A中和抗体の存在の指標である;の工程を含んでなる哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性を決定する方法。
24. (a)α−BoNT/A中和抗体の存在または不在に関して試験中の哺乳動物から得られた被験試料にBoNT/Aを添加すること;(b)確立された細胞株からの細胞を被験試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/A中毒に感受性が高い;(c)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(d)SNAP−25構成要素を固相支持体に連結されたα−SNAP−25抗体と接触させること、ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する;(e)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;(f)被験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−eを繰り返すことであって、陰性対照試料はBoNT/Aおよび、α−BoNT/A中和抗体を含有しないことが解っている血清を含んでなる;ならびに(g)工程eで検出された抗体−抗原複合体の量を工程fで検出された抗体−抗原複合体の量と比較すること、ここで工程fで検出された抗体−抗原複合体の量に相対して工程eで検出された抗体−抗原複合体のより少ない検出量はα−BoNT/A中和抗体の存在の指標である;の工程を含んでなる哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性を決定する方法。
25. (a)α−BoNT/A中和抗体の存在または不在に関して試験中の哺乳動物から得られた被験試料にBoNT/Aを添加すること;(b)確立された細胞株からの細胞を被験試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/A中毒に感受性が高い;(c)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(d)SNAP−25構成要素を固相支持体に固定すること;(e)SNAP−25構成要素をα−SNAP−25抗体と接触させること、ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する;(f)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;(g)被験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−fを繰り返すことであって、陰性対照試料はBoNT/Aおよび、α−BoNT/A中和抗体を含有しないことが解っている血清を含んでなる;ならびに(h)工程fで検出された抗体−抗原複合体の量を工程(g)で検出された抗体−抗原複合体の量と比較すること、ここで工程gで検出された抗体−抗原複合体の量に相対して工程fで検出された抗体−抗原複合体のより少ない検出量はα−BoNT/A中和抗体の存在の指標である;の工程を含んでなる哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性を決定する方法。
26. (a)α−BoNT/A中和抗体の存在または不在に関して試験中の哺乳動物から得られた被験試料にBoNT/Aを添加すること;(b)確立された細胞株からの細胞を被験試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/Aを取り込むことができる;(c)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(d)SNAP−25構成要素をα−SNAP−25抗体と接触させること、ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する;(e)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;(f)被験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−eを繰り返すことであって、陰性対照試料はBoNT/Aおよび、α−BoNT/A中和抗体を含有しないことが解っている血清を含んでなる;ならびに(g)工程eで検出された抗体−抗原複合体の量を工程fで検出された抗体−抗原複合体の量と比較すること、ここで工程fで検出された抗体−抗原複合体の量に相対して工程eで検出された抗体−抗原複合体のより少ない検出量はα−BoNT/A中和抗体の存在の指標である;の工程を含んでなる哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性を決定する方法。
27. (a)α−BoNT/A中和抗体の存在または不在に関して試験中の哺乳動物から得られた被験試料にBoNT/Aを添加すること;(b)確立された細胞株からの細胞を被験試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/Aを取り込むことができる;(c)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(d)SNAP−25構成要素を固相支持体に連結されたα−SNAP−25抗体と接触させること、ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する;(e)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;(f)被験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−eを繰り返すことであって、陰性対照試料はBoNT/Aおよび、α−BoNT/A中和抗体を含有しないことが解っている血清を含んでなる;ならびに(g)工程eで検出された抗体−抗原複合体の量を工程fで検出された抗体−抗原複合体の量と比較すること、ここで工程fで検出された抗体−抗原複合体の量に相対して工程eで検出された抗体−抗原複合体のより少ない量の検出はα−BoNT/A中和抗体の存在の指標である;の工程を含んでなる哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性を決定する方法。
28. (a)α−BoNT/A中和抗体の存在または不在に関して試験中の哺乳動物から得られた被験試料にBoNT/Aを添加すること;(b)確立された細胞株からの細胞を被験試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/Aを取り込むことができる;(c)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;(d)SNAP−25構成要素を固相支持体に固定すること;(e)SNAP−25構成要素をα−SNAP−25抗体と接触させること、ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合する;(f)α−SNAP−25抗体およびSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;(g)被験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−fを繰り返すことであって、陰性対照試料はBoNT/Aおよび、α−BoNT/A中和抗体を含有しないことが解っている血清を含んでなる;ならびに(h)工程fで検出された抗体−抗原複合体の量を工程gで検出された抗体−抗原複合体の量と比較すること、ここで工程gで検出された抗体−抗原複合体の量に相対して工程fで検出された抗体−抗原複合体のより少ない検出量はα−BoNT/A中和抗体の存在の指標である;の工程を含んでなる哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性を決定する方法。
29. 細胞がBoNT/A約500pM以下による、約400pM以下による、約300pM以下による、約200pM以下による、約100pM以下によるBoNT/A中毒に感受性が高い17−22および23−25の方法。
30. 細胞が約500pM以下、約400pM以下まで、約300pM以下まで、約200pM以下まで、約100pM以下までのBoNT/Aを取り込むことができる20−22および26−28の方法。
31. 試料が約100ng以下、約10ng以下、約1ng以下、100fg以下、10fg以下または1fg以下のBoNT/Aを含んでなる17−22の方法。
32. 試料が約100nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約100pM以下、約10pM以下、約1pM以下、約100fM以下、約10fM以下または約1fM以下のBoNT/Aを含んでなる17−22の方法。
33. α−SNAP−25抗体が5−16の単離されたα−SNAP−25抗体である17−28の方法。
34. 抗体−抗原複合体の存在が免疫ブロット分析、免疫沈降分析、ELISAまたはサンドイッチELISAにより検出される17−28の方法。
35. 免疫基盤の方法が下の漸近線(the lower asymptote)に関して少なくとも3:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも50:1または少なくとも100:1のシグナル対ノイズ比を有する17−28の方法。
36. 免疫基盤の方法が上の漸近線(the higher asymptote)に関して少なくとも10:1、少なくとも20:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、少なくとも200:1、少なくとも300:1、少なくとも400:1、少なくとも500:1または少なくとも600:1のシグナル対ノイズ比を有する17−28の方法。
37. 免疫基盤の方法が例えば少なくとも100ng、少なくとも50ng、少なくとも10ng、少なくとも5ng、少なくとも100pg、少なくとも50pg、少なくとも10pg、少なくとも5pg、少なくとも100fg、少なくとも50fg、少なくとも10fgまたは少なくとも5fgのEC50活性を検出することができる17−28の方法。
38. 免疫基盤の方法が例えば少なくとも10nM、少なくとも5nM、少なくとも100pM、少なくとも50pM、少なくとも10pM、少なくとも5pM、少なくとも100fM、少なくとも50fM、少なくとも10fM、少なくとも5fMまたは少なくとも1fMのEC50活性を検出することができる17−28の方法。
39. 免疫基盤の方法が例えば10pg以下、9pg以下、8pg以下、7pg以下、6pg以下、5pg以下、4pg以下、3pg以下、2pg以下、1pg以下のBoNT/AのLODを有する17−28の方法。
40. 免疫基盤の方法が例えば100fM以下、90fM以下、80fM以下、70fM以下、60fM以下、50fM以下、40fM以下、30fM以下、20fM以下または10fM以下のBoNT/AのLODを有する17−28の方法。
41. 免疫基盤の方法が例えば10pg以下、9pg以下、8pg以下、7pg以下、6pg以下、5pg以下、4pg以下、3pg以下、2pg以下、1pg以下のBoNT/AのLOQを有する17−28の方法。
42. 免疫基盤の方法が例えば100fM以下、90fM以下、80fM以下、70fM以下、60fM以下、50fM以下、40fM以下、30fM以下、20fM以下または10fM以下のBoNT/AのLOQを有する17−28の方法。
43. 免疫基盤の方法が十分に活性なBoNT/Aを、十分に活性なBoNT/Aの活性の70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下または10%以下を有する部分的に活性なBoNT/Aと区別することができる17−28の方法。
候補細胞株のスクリーニング
以下の実施例はBoNT/A中毒に感受性が高い、または本明細書に開示されるBoNT/A活性を検出する方法に必要なBoNT/A取り込み受容力を有する確立された細胞株を同定する仕方を例証する。
1. 候補細胞株のストック培養物の成長
細胞株を成長させるために、試験中の細胞株からの適当な密度の細胞を適当な成長培地30mL(表1参照)を含有する162cm2の組織培養フラスコに蒔き、そして37℃のインキュベーター中5%または10%二酸化炭素下で、細胞が望ましい密度に到達するまで成長させた。
2. 1nM BoNT/Aを使用する候補細胞株の単回用量スクリーニング
細胞基盤のアッセイの感度を改善するために試験される1つのパラメーターは、クロストリジウム神経毒を取り込み、そして基質表面に接着する良好な受容力を呈する適当な細胞株を同定することであった。最初に細胞株を、1nM BoNT/Aを取り込むその能力および表面に付着するその能力に関して試験した。細胞株が1nM BoNT/Aを取り込むことができるかどうかを決定するために、試験中の細胞株のストック培養物から適当な密度の細胞を、適切な血清成長培地(表1)1mLを含有する24ウェル組織培養プレートのウェルに蒔いた播種した。細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、細胞が望ましい密度に到達するまで成長させた(およそ18から24時間)。成長培地を各ウェルから吸引し、そして1)毒素を含有しない新鮮成長培地(未処理細胞株)または2)1nM BoNT/A複合体を含有する新鮮成長培地(処置細胞株)のいずれかで置き換えた。一晩インキュベートした後、成長培地を吸引し、そして各ウェルを1×PBS 200μLで濯ぐことにより細胞を洗浄した。細胞を採取するために、1×PBSを吸引し、2×SDS負荷バッファー50μLを添加することにより細胞を溶解し、ライゼートを清浄な試験管に移し、そして試料を95℃まで5分間加熱した。
SNAP−25未切断基質およびSNAP−25切断生成物の双方の存在に関して検出するために、各採取された試料からのアリコートをウェスタンブロットにより分析した。この分析では、採取された試料の12μLアリコートを変性還元条件下でNuPAGE(登録商標)Novex 12%Bis−Trisプレキャストポリアクリルアミドゲル(Invitrogen Inc., Carlsbad, CA)を使用してMOPSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離した。分離されたペプチドをTrans−Blot(登録商標)SD半乾燥電気泳動トランスファーセル装置(Bio−Rad Laboratories, Hercules, CA)を使用してウェスタンブロッティングによりゲルからポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜(Invitrogen Inc., Carlsbad, CA)に移した。Tris緩衝生理食塩水(TBS)(25mM 2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール塩酸(Tris−HCl)(pH7.4)、137mM塩化ナトリウム、2.7mM塩化カリウム)、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)、2%ウシ血清アルブミン(BSA)、5%脱脂粉乳を含有する溶液中、室温で2時間インキュベートすることによりPVDF膜を遮断した。遮断された膜を1)一次抗体としてα−SNAP−25マウスモノクローナル抗体(SMI−81;Sternberger Monoclonals Inc., Lutherville, MD)の1:5,000希釈;または2)一次抗体としてS9684 α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗血清(Sigma, St. Louis, MO)の1:5,000希釈のいずれかを含有するTBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)、2%BSAおよび5%脱脂粉乳中、4℃で一晩インキュベートした。α−SNAP−25マウスモノクローナルおよびウサギポリクローナル抗体の双方はSNAP−25未切断基質およびSNAP−25切断生成物の双方を検出することができ、BoNT/A取り込みの量を評価するためのパラメーターとして、各細胞株における全体的なSNAP−25発現およびBoNT/A処理後に切断されたSNAP−25のパーセントを評価することが可能になる。一次抗体でプロービングされたブロットをTBS、TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)で、各回15分間で3回洗浄した。洗浄した膜を1)二次抗体として西洋ワサビペルオキシダーゼに抱合されたヤギポリクローナル抗マウス免疫グロブリンG、重および軽鎖(IgG、H+L)抗体(Zymed, South San Francisco, CA)の1:10,000希釈;または2)二次抗体として西洋ワサビペルオキシダーゼに抱合されたヤギポリクローナル抗ウサギ免疫グロブリンG、重および軽鎖(IgG、H+L)抗体(Zymed, South San Francisco, CA)の1:10,000希釈のいずれかを含有するTBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)、2%BSAおよび5%脱脂粉乳中で室温で2時間インキュベートした。二次抗体でプロービングされたブロットをTBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)中、各回15分間で3回洗浄した。標識SNAP−25生成物のシグナル検出をECL Plus(商標)ウェスタンブロット検出系(GE Healthcare, Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を用いて可視化し、そして膜を撮像し、そして切断されたパーセントをTyphoon 9410変数形式撮像装置および撮像装置分析ソフトウェア(GE Healthcare, Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)で定量化した。ピクセルサイズ(100から200ピクセル)およびPMT電圧設定(350から600、通常400)の選択は個々のブロットに依存した。表2は1nM BoNT/Aで処理したときにSNAP−25切断生成物が検出された細胞株を示す。以下の細胞株は1nM BoNT/Aの取り込みおよび基質表面への適切な付着の双方を呈した:BE(2)−M17、IMR−32、Kelly、LA1−55n、N1E−115、N4TG3、N18、Neuro−2a、NG108−15、PC12、SH−SY5Y、SiMaおよびSK−N−BE(2)−C。
細胞株が表面に付着できるかどうかを決定するために、試験中の細胞株のストック培養物から適当な密度の細胞を、適切な成長培地(表1)1mLを含有する24ウェル組織培養プレートのウェルに蒔いた。細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、細胞が望ましい密度に到達するまで成長させた(およそ18から24時間)。播種された細胞の全数に相対して、組織プレートの底部ウェル表面に接着した細胞のパーセンテージにより細胞付着を評価した。細胞株CHP−126、IMR−32、LA−N−1、MC−IXC、NG115−401L、SK−N−BE(2)−C、SK−N−F1およびSK−N−MCは50%未満の付着を呈したので(表2)、各細胞株は適当ではないと見なされた。試験された全てのその他の細胞株は適当な付着特徴を呈した(表2)。
候補細胞株における神経毒取り込みに関する成長条件の評価
以下の実施例は、BoNT/A中毒に感受性が高いかまたはBoNT/A取り込み受容力を有していることを最大化する確立された細胞株のための成長条件の決定の仕方を例証する。
1. 候補細胞株の神経毒取り込みに及ぼす細胞分化の効果
細胞分化が神経毒取り込みを改善したかどうかを決定するために、1nM BoNT/Aの取り込みを呈する細胞株を血清不含培地に移して分化を誘起した。試験中の細胞株のストック培養物から適当な密度の細胞を、アール塩を伴う2mM GlutaMAX(商標)I、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPES、1mMピルビン酸ナトリウム、100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを伴う最小必須培地を含有する血清不含培地1mLを含有する24ウェル組織培養プレートのウェルに蒔いた。これらの細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、成長抑止および神経突起伸長のような標準的および日常的な形態学基準により評価されるように細胞が分化するまで(およそ2から3日)インキュベートした。対照として、試験中の細胞株のストック培養物から適当な密度の細胞を適切な成長培地(表1)1mLを含有する24ウェル組織培養プレートのウェルに蒔いた。これらの未分化対照細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、細胞が望ましい密度に到達するまで(およそ18から24時間)成長させた。分化型および未分化型対照培養物の双方からの培地を各ウェルから吸引し、そして0(未処理試料)、0.1nM、0.3nMまたは1nM BoNT/A複合体のいずれかを含有する新鮮培地で置き換えた。一晩インキュベートした後、実施例1に記載されるように細胞を洗浄し、そして採取した。
SNAP−25切断生成物の存在を検出するために、採取された試料を12%26ウェルCriterionゲル(Bio−Rad Laboratories, Hercules, CA)を使用してSDS−PAGEにより分離する以外は実施例1に記載されるように、各採取された試料からのアリコートをウェスタンブロットにより分析し、そしてウサギポリクローナルα−SNAP−25197抗体血清を一次抗体として使用した(実施例4参照)。表3は0.1nM BoNT/Aで処理したときにSNAP−25切断生成物を呈した細胞株を示す。試験された細胞株のうち、SiMaおよびNeuro−2a細胞株のみが未分化状態で0.1nM BoNT/Aの取り込みを呈した。しかしながら、SiMaおよびNeuro−2aに加えて、細胞株N18、LA1−55n、PC12およびSH−SY5Y全てが分化した状態で0.1nM BoNT/Aの取り込みを呈した。
2. 分化型候補細胞株の神経毒取り込みに及ぼすガングリオシド処理の効果
神経毒の低アフィニティー結合を改善する処理が神経毒取り込みを改善するかどうかを決定するために、1nM BoNT/Aの取り込みを呈する分化型細胞株をガングリオシドGT1bで処理した。試験中の細胞株のストック培養物から適当な密度の細胞を、25μg/mL GT1b(Alexis Biochemicals, San Diego, CA)を伴うかまたは伴わない前記されたような血清不含培地を含有する24ウェル組織培養プレートのウェルに蒔いた。これらの細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、前記されたような標準的および日常的な形態学基準により評価されるように細胞が分化するまでインキュベートした。培地を各ウェルから吸引し、そして0(未処理試料)、1.9pM、3.7pM、7.4pM、14.8pM、29.7pM、59.4pM、118.8pM、237.5pM、574pM、950pMおよび1900pMのBoNT/A複合体のいずれかを含有する新鮮血清不含培地で置き換えた。細胞株を24時間および48時間の2つの異なる時間でインキュベートした。毒素のインキュベーションの後、実施例1に記載されるように細胞を洗浄し、そして採取した。
SNAP−25切断生成物の存在を検出するために、採取された試料を12%26ウェルCriterionゲル(Bio−Rad Laboratories, Hercules, CA)を使用してSDS−PAGEにより分離する以外は実施例1に記載されるように、各採取された試料からのアリコートをウェスタンブロットにより分析し、そしてウサギポリクローナルα−SNAP−25197抗体血清を一次抗体として使用した(実施例4参照)。表4はBoNT/Aを取り込む分化型細胞株の能力に及ぼすガングリオシド処理の効果を示す。これらの結果により、ウェスタンブロットにおいてSNAP−25切断生成物の検出可能なバンドを生成する最低濃度のBoNT/Aが示される。
3. 候補細胞株の神経毒取り込みを増強した細胞分化特性を伴う血清不含培地の開発
細胞分化を誘起する処置改善が神経毒取り込みを改善できるかどうかを決定するために、SiMa、Neuro−2aおよびPC12細胞株を種々の血清不含培地中で成長させて分化を誘起した。試験中の細胞株のストック培養物から適当な密度の細胞を、種々の被験血清不含培地1mLを含有する24ウェル組織培養プレートのウェルに蒔いた。試験されたパラメーターは1)BoNT/A取り込みに及ぼす異なる基礎培地の効果(MEMおよびRPMI1649);2)BoNT/A取り込みに及ぼす神経栄養因子の存在または不在の効果(N2サプリメントおよびB27サプリメント);3)BoNT/A取り込みに及ぼす分化因子の存在または不在の効果(レチノイン酸および神経成長因子);および4)BoNT/A取り込みに及ぼす血清の存在または不在の効果(血清不含培地および血清使用量低減培地)であった。対照として、試験中の細胞株のストック培養物から適当な密度の細胞を対照血清不含培地(最小必須培地、アール塩を伴う2mM GlutaMAX(商標)I、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPES、1mMピルビン酸ナトリウム、100単位/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシン)1mLを含有する24ウェル組織培養プレートのウェルに蒔いた。これらの細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、成長抑止および神経突起伸長のような標準的および日常的な形態学基準により評価されるように細胞が分化するまで(およそ2から3日)インキュベートした。培地を各ウェルから吸引し、そして0(未処理試料)、0.005pM、0.015pM、0.05pM、0.14pM、0.42pM、1.2pM、3.7pM、11pM、33pM、100pMおよび300pMのBoNT/A複合体のいずれかを含有する新鮮血清不含培地で置き換えた。加えて、分化型細胞をBoNT/Aで24時間処理し、続いて培地交換し、そして新鮮培地中毒素を伴わずに48時間インキュベートしてSNAP−25切断生成物の蓄積を可能にした。次いで実施例1に記載されるように細胞を洗浄し、そして採取した。
SNAP−25切断生成物の存在を検出するために、採取された試料を12%26ウェルCriterionゲル(Bio−Rad Laboratories, Hercules, CA)を使用してSDS−PAGEにより分離する以外は実施例1に記載されるように、各採取された試料からのアリコートをウェスタンブロットにより分析し、そしてα−SNAP−25ウサギポリクローナル血清を使用した(実施例4参照)。各細胞株に関して決定された、最も最適化された培地を表5に示す。表6は細胞株をこの最適化された血清不含培地で成長させたときに検出された最低量のSNAP−25切断生成物の最低量を示す。最適化された血清不含培地の使用により結果的にLA1−55n、Neuro−2a、PC−12およびSiMa細胞株において許容されるシグナル対ノイズ比を伴うBoNT/A活性シグナルが検出された(図2)。例えば最適化された分化条件により、SNAP−25切断生成物検出において対照血清不含培地と比較して、Neuro−2aおよびPC12細胞に関して5倍、そしてSiMa細胞に関してほぼ50倍の増大を招いた。加えてバリデーションを施せる頑健なアッセイを開発するために、下の漸近線に関して3:1、および上の漸近線に関して10:1の最小シグナル対ノイズ比が必要とされる。1.2pM用量から検出されたシグナルを0pM BoNT/Aのバックグラウンドシグナルと比較した場合に、LA−1−55nを除いて、全ての最適化された細胞株により、下の漸近線に関して少なくとも3:1のシグナル対ノイズ比が提供された(図2)。加えて300pM用量からのシグナルを0pM BoNT/Aのバックグラウンドシグナルと比較した場合、全ての最適化された細胞株により、上の漸近線に関して少なくとも100:1のシグナル対ノイズ比が提供された(図2)。これらの結果により、アッセイがpM量のBoNT/Aの存在を検出していたので、これらの細胞株のいずれかを使用して本明細書に開示されるようなBoNT/A活性を検出するための免疫基盤の方法を開発できることが示される。
BoNT/A切断部位切断可能結合のP 1 残基で遊離カルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体の開発
以下の実施例はBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合することができるα−SNAP−25モノクローナル抗体の作成の仕方を例証する。
1. α−SNAP−25モノクローナル抗体の作成
SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するモノクローナルα−SNAP−25抗体を開発するために、13−残基ペプチドCDSNKTRIDEANQCOOH(配列番号:38)をSNAP−25切断生成物抗原として設計した。このペプチドは可動性リンカー領域ならびにKLHおよびカルボキシル化されたC末端グルタミン(配列番号:38)を伴うヒトSNAP−25(配列番号:5)のアミノ酸186−197に抱合するためのN末端システイン残基を含んでなる。選び抜かれた、独特なペプチド配列に対するモノクローナル抗体の作成により、密接に関係するアイソフォームのプールの中でタンパク質の特定の亜集団の同定を可能にするエピトープが制御される。Blast検索により、このペプチドがSNAP−25に対してのみ高い相同性を有し、そしてニューロン細胞においてその他のタンパク質との交差反応性の可能性がほとんどないことが示された。またコンピューターアルゴリズムを利用することにより配列を注意深く精査して、疎水性親水性指標、タンパク質表面確率、可動性の領域および好ましい二次構造、続いて選ばれたペプチド配列の相応しい配向および提示を決定した。ペプチドを合成し、そしてキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に抱合させて免疫原性を増大した。6匹のBalb/cマウスをこのペプチドで免疫し、そして約8週のうちに3回の免疫の後、マウスを試験のために出血させた。4℃で60分間インキュベートすることにより血液を凝固させた。凝固した血液を10,000×g、4℃で10分間遠心して細胞デブリをペレット化した。得られた血清を50μLアリコートに分注し、そして必要になるまで−20℃で保存した。
本明細書に開示されるその他のSNAP−25抗原に基づいた類似の計画を用いて、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25モノクローナル抗体を開発した。例えば配列番号:38のSNAP−25抗原の代わりに配列番号:45のSNAP−25抗原をKLHに抱合させることができる。別の実例としては、配列番号:38のSNAP−25抗原からのヒトSNAP−25のアミノ酸186−197を配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43または配列番号:44と置き換えることができる。
2. α−SNAP−25モノクローナル抗体の存在に関するスクリーニング
BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25モノクローナル抗体の存在を決定するために、抽出されたマウス血清を使用して比較ELISAおよび細胞基盤の切断アッセイを実施した。比較ELISAのために、2つの融合タンパク質を構築した:配列番号:48のBirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−197および配列番号:49のBirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−206。BirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−197は、配列番号:5のアミノ酸134−197を含んでなるSNAP−25ペプチドにアミノ末端で連結された配列番号:50の天然ビオチン化16アミノ酸BirAペプチドを含んでなった。BirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−206は配列番号:5のアミノ酸134−206を含んでなるSNAP−25ペプチドにアミノ末端で連結された配列番号:50の天然ビオチン化16アミノ酸BirAペプチドを含んでなった。これらの2つの基質を1×PBSに10μg/mL BirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−197およびBirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−206の濃度で懸濁した。適切な基質溶液およそ100μLを添加することにより、BirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−197およびBirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−206を別個のプレートにコーティングし、そしてプレートを室温で1時間インキュベートした。洗浄されたプレートを、6匹の免疫マウス(マウス1、マウス2、マウス3、マウス4、マウス5およびマウス6)のうちの1匹から誘導された抗体含有血清の1:10から1:100希釈を含有する1×TBS中0.5%BSA中、37℃で1時間インキュベートした。一次抗体でプロービングされたプレートをTBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μL中、各回5分間で4回洗浄した。洗浄されたプレートを、二次抗体として西洋ワサビペルオキシダーゼに抱合されたヤギポリクローナル抗マウスIgG抗体(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)の1:10,000希釈を含有する1×TBS中、37℃で1時間インキュベートした。二次抗体でプロービングされたプレートをTBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μL中4回洗浄した。標識SNAP−25生成物の発色検出をImmunoPure TMB基質キット(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)を使用する発色検出により可視化した。BirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−197コーティングされたプレートは黄色を発色したが、BirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−206コーティングされたプレートは発色せず、それによりα−SNAP−25抗体がSNAP−25197切断生成物を優先的に認識することが示された。結果により、免疫に使用された6匹のマウスのうち3匹のマウス(マウス2、マウス3およびマウス4)がより高い力価およびBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に対するさらなる特異性を有した。
ELISA軽鎖活性アッセイを用いてこれらの結果を確認した。以下の基質溶液およそ100μLを添加することにより96ウェルReacti−Bindストレプトアビジンコーティングされたプレート(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)を調製した:列A−Cを12の異なる濃度のBirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−197100μLでコーティングした;列D−Hを10μg/mLのBirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−206100μLでコーティングした。基質溶液を吸引し、そしてTBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで各ウェルを3回濯ぐことによりプレートを洗浄した。BoNT/Aの希釈をBoNT/Aインキュベーションバッファー(50mM HEPES、pH7.4、1%ウシ胎仔血清、10μM ZnCl2、10mMジチオスレイトール)中37℃で20分間予備還元し、そして予備還元されたBoNT/A 100μLを、基質でコーティングされたプレートに添加し、そして37℃で90分間インキュベートした。BoNT/Aインキュベーションバッファーを吸引し、そしてTBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで各プレートを3回濯ぐことによりBoNT/A処理プレートを洗浄した。試験中の抗体含有血清の1:10から1:100希釈を含有する1×TBS中0.5%BSA中で、洗浄されたプレートを37℃で1時間インキュベートした。一次抗体でプロービングされたプレートをTBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μL中、各回5分間で4回洗浄した。洗浄されたプレートを、二次抗体として西洋ワサビペルオキシダーゼに抱合されたヤギポリクローナル抗マウスIgG抗体(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)の1:10,000希釈を含有する1×TBS中、37℃で1時間インキュベートした。二次抗体でプロービングされたプレートをTBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μL中4回洗浄した。標識SNAP−25生成物の発色検出をImmunoPure TMB基質キット(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)を使用する発色検出により可視化した。6匹全ての免疫マウス(マウス1、マウス2、マウス3、マウス4、マウス5およびマウス6)から誘導された抗体含有血清を使用して、SNAP−25197切断生成物の存在と相関した黄色の発色がBoNT/A処理試料において検出されたが、未処理対照では検出されなかった。故に比較ELISA分析により、免疫に使用されたマウスのうち3匹のマウス(マウス2、マウス3およびマウス4)がより高い力価およびBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に対するさらなる特異性を有した。
細胞基盤の切断アッセイに関しては、適当な密度のPC12細胞を、適切な血清培地(表1)3mLを含有する60mm2組織培養プレートに蒔いた。細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、細胞が適切な密度に到達するまで成長させた。室温で5分間インキュベートした、LipofectAmine 2000(Invitrogen Inc., Carlsbad, CA)15μLを含有するOPTI−MEM還元血清培地250μLを、pQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現構築物(配列番号:51)10μgを含有するOPTI−MEM還元血清培地250μLに添加することによりトランスフェクション溶液500μLを調製した。pQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現構築物はpQBI−25発現ベクター(Qbiogene Inc., Carlsbad, CA)を含んでなり、そのプロモーターエレメントは配列番号:52のGFP−BoNT/A軽鎖をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されている。このトランスフェクション混合物を室温でおよそ20分間インキュベートした。培地を新鮮な未補充培地で置き換え、そしてトランスフェクション溶液500μLを細胞に添加した。次いで細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下でおよそ6から18時間インキュベートした。実施例2に記載されるように細胞を洗浄および採取した。SNAP−25197切断生成物の存在を検出するために、使用された一次抗体が抗体含有血清の1:1,000希釈であり、そして使用された二次抗体がマウスα−IgG西洋ワサビペルオキシダーゼ(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)の1:20,000希釈であった以外は実施例2に記載されるように、各採取された試料からのアリコートをウェスタンブロットにより分析した。3匹のマウス(マウス2、マウス3およびマウス4)から誘導された抗体含有血清を使用して、SNAP−25197切断生成物に相当する単一のバンドがBoNT/A処理試料において検出されたが、未処理対照では検出されなかった。故に細胞基盤の切断アッセイにより、免疫に使用されたマウスのうち、3匹のマウス(マウス2、マウス3およびマウス4)がより高い力価およびBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に対するさらなる特異性を有した。
3. ハイブリドーマの生成
BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25モノクローナル抗体を生成するハイブリドーマを作成するために、最終の「ブースター」免疫に引き続いて3日にマウス2から脾臓を採取し、そして標準的なハイブリドーマプロトコールを用いて脾臓細胞を骨髄腫細胞P3−X63 Ag8.653と融合させた。これらの細胞を5つの96ウェルプレートに蒔き、そしてHAT培地を使用してハイブリッドを選択した。融合後8−14日内に2つの別個のプレートにコーティングされたBirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−197およびBirA−HisTag(登録商標)−SNAP−25134−206ペプチドを伴う比較ELISAを用いておよそ480の親クローンの最初のスクリーニングを実施した。比較ELISAにより、切断されたSNAP−25197に特異的な抗体を生成するハイブリドーマを同定するための迅速なスクリーニング方法が提供された。上位18個のクローンを、前記された細胞基盤の切断アッセイを用いるさらなるスクリーニングおよびLC/Aトランスフェクトされた細胞の免疫染色に供した(表7)。
クローン1D3、1G10、2E2、3C1、3C3および3E8により生成された馴化培地は、SNAP−25206未切断基質に相対してSNAP−25197切断生成物に関して少なくとも4:1の比197/206を有する優先的な結合特異性を伴うα−SNAP−25抗体を含んでなり、そして細胞基盤の切断アッセイおよびGFP−LC/AでトランスフェクトされたPC12細胞の免疫染色を用いてSNAP−25197−切断生成物を検出したので、これらのクローンを限界希釈によりさらにクローン化した。類似してクローン2C9、2F11、3G2、4D1および4G6により生成された馴化培地は、SNAP−25197切断生成物に相対してSNAP−25206未切断基質に関して少なくとも1.5:1の比206/197を有する優先的な結合特異性を伴うα−SNAP−25抗体を含んでなり、そして細胞基盤の切断アッセイを用いてSNAP−25206−未切断生成物を検出したので、これらのクローンを限界希釈によりさらにクローン化した。これらの単一の細胞由来のクローンを比較ELISA、細胞基盤の切断および免疫染色を用いて再度スクリーニングして、そのアフィニティーおよび特異性を確認し、そして標準的な手順を用いて抗体をアイソタイプ分類した。クローン1D3B8(IgM.k)、1G10A12(IgG3.k)、2C9B10(IgG3.k)、2E2A6(IgG3.k)、2F11B6(IgM.k)、3C1A5(IgG2a.k)および3C3E2(IgG2a.k)から腹水を生成した。クローン3E8はクローニング過程の間に抗体生成を停止し、そしてさらに評価できなかった。
4. α−SNAP−25モノクローナル抗体の結合特異性の評価
BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25モノクローナル抗体の結合特異性を評価するために、クローン1D3B8、1G10A12、2C9B10、2E2A6、2F11B6、3C1A5および3C3E2由来の腹水を使用して、細胞基盤の活性アッセイ、免疫細胞化学および免疫沈降を用いてSNAP−25切断生成物を検出した。
細胞基盤の活性アッセイに関して、ウェスタンブロット分析によりα−SNAP−25抗体含有腹水が未切断SNAP−25206基質およびSNAP−25197切断生成物を検出する能力を分析することにより結合特異性を決定した。適当な密度のPC12細胞を、適切な血清培地3mLを含有する60mm2組織培養プレートに蒔き、37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、適切な細胞密度に到達するまで成長させ、そして前記されたようにpQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現構築物を欠如するトランスフェクション溶液(トランスフェクトされていない細胞)、またはpQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現構築物を含有するトランスフェクション溶液(トランスフェクトされた細胞)のいずれかでトランスフェクトした。実施例1に記載されるように細胞を洗浄および採取した。未切断SNAP−25206基質およびSNAP−25197切断生成物双方の存在を検出するために、使用された一次抗体がα−SNAP−25モノクローナル抗体含有腹水の1:100希釈であり、そして使用された二次抗体が西洋ワサビペルオキシダーゼに抱合されたα−マウスIgG(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)の1:20,000希釈であった以外は実施例1に記載されるように、各採取された試料からのアリコートをウェスタンブロットにより分析した。加えて、3つの市販により入手可能なマウスα−SNAP−25モノクローナル抗体を試験した。α−SNAP−25抗体であるSMI−81(Sternberger Monoclonals Inc., Lutherville, MD)(製造者により未切断SNAP−25206基質およびSNAP−25197切断生成物の双方を検出することが示されている)を製造者の推奨に従って15,000希釈で使用した。α−SNAP−25抗体であるMC−6050(Research & Diagnostic Antibodies, Las Vegas, NV)(製造者により未切断SNAP−25206基質およびSNAP−25197切断生成物の双方を検出することが示されている)を製造者の推奨に従って1:100希釈で使用した。α−SNAP−25抗体であるMC−6053(Research & Diagnostic Antibodies, Las Vegas, NV)(製造者によりSNAP−25197切断生成物のみを検出することが示されている)を製造者の推奨に従って1:100希釈で使用した。
表8はSNAP−25197切断生成物のみを検出したα−SNAP−25抗体含有腹水を示す。細胞基盤の切断アッセイにより、クローン1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5および3C3E2から生成された腹水は、SNAP−25197切断生成物に関して高い結合特異性を有するα−SNAP−25モノクローナル抗体を合成し、SNAP−25206未切断基質に相対してこの切断生成物の選択的認識が可能になる。市販の抗体SMI−81はSNAP−25206未切断基質を検出したが、SNAP−25197切断生成物をわずかしか認識しなかった(表8)。驚くべきことに、市販の抗体MC−6050はSNAP−25206未切断基質のみを検出し、そしてSNAP−25197切断生成物を認識し損なった(表8)。なおさらに驚くべきことに、市販の抗体MC−6050はSNAP−25206未切断基質のみを検出し、そしてSNAP−25197切断生成物を認識し損なったにもかかわらず、製造者は、この抗体がSNAP−25197切断生成物を特異的に検出すると宣伝している(表8)。故にこの分析により、1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5および3C3E2はSNAP−25197切断生成物に関して適当な選択性を呈するが、1G10A12および2F11B6は呈さないことが示される。加えて、市販の抗体SMI−81、MC−6050およびMC−6053は全てSNAP−25197切断生成物を選択的に検出し損なったので、全て本出願で開示される免疫基盤の方法に不適当である。
免疫細胞化学分析のために、免疫染色によりα−SNAP−25抗体含有腹水が未切断SNAP−25206基質およびSNAP−25197切断生成物を検出する能力を分析することにより結合特異性を決定した。例えば「ボツリヌス神経毒の軽鎖における細胞膜局在シグナル」Ester Fernandez−Salas et al., Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A. 101(9):3208−3213(2004)参照。前記されたように適当な密度のPC12細胞を蒔き、成長させ、そしてpQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現構築物を欠如するトランスフェクション溶液(トランスフェクトされていない細胞)またはpQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現構築物を含有するトランスフェクション溶液(トランスフェクトされた細胞)のいずれかでトランスフェクトした。細胞を1×PBSで洗浄し、そしてPAF5mL中、室温で30分間固定した。固定された細胞をリン酸塩緩衝生理食塩水中で洗浄し、1×PBS中0.5%Triton(登録商標)X−100(ポリエチレングリコールオクチルフェノールエーテル)5mL中でインキュベートし、1×PBSで洗浄し、そしてメタノール5mL中−20℃で6分間透過処理した。透過処理された細胞を100mMグリシン5mL中、室温で30分間遮断し、1×PBS中で洗浄し、そして1×PBS中0.5%BSA5mL中室温で30分間遮断した。遮断された細胞を1×PBS中で洗浄し、そして試験中のクローン性ハイブリドーマ細胞株からの腹水の1:10希釈を含有する1×PBS中0.5%BSA中、室温で2時間インキュベートした。一次抗体でプロービングされた細胞を1×PBS中各回5分間で3回洗浄した。洗浄された細胞を二次抗体としてALEXA(登録商標)FLUOR568(Invitrogen Inc., Carlsbad, CA)に抱合されたヤギポリクローナル抗マウス免疫グロブリンG、重および軽鎖(IgG、H+L)抗体の1:200希釈を含有する1×PBS中、室温で2時間インキュベートした。二次抗体でプロービングされた細胞を1×PBS中各回5分間で3回洗浄した。洗浄された細胞を、VECTASHIELD(登録商標)封入剤(Vector Laboratories, Burlingame, CA)でマウントし、そしてカバーガラスを載せることにより顕微鏡試験用に調製した。Leica共焦点顕微鏡で、適切なレーザー設定を用いてシグナル検出の画像が得られた。表8はSNAP−25197−切断生成物を特異的に検出するα−SNAP−25抗体含有腹水を示す。免疫細胞化学分析により、クローン1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5および3C3E2から生成された腹水が、SNAP−25197切断生成物に関して高い結合特異性を有するα−SNAP−25モノクローナル抗体を合成し、SNAP−25206未切断基質に相対してこの切断生成物の優先的な認識を可能にすることが示された。
免疫沈降分析のために、プロテインA(HiTrap(商標)プロテインA HPカラム、GE Healthcare, Amersham, Piscataway, NJ)精製されたα−SNAP−25モノクローナル抗体が未切断SNAP−25206基質およびSNAP−25197切断生成物を沈澱させる能力を分析することにより結合特異性を決定した。例えばChapter 8 Storing and Purifying Antibodies, pp. 309−311, Harlow & Lane, supra, 1998a参照。前記されたように適当な密度のPC12細胞を蒔き、成長させ、そしてpQBI−25/GFP発現構築物(対照細胞;配列番号:53)を含有するトランスフェクション溶液、またはpQBI−25/GFP−BoNT/A−LC発現構築物(実験細胞)を含有するトランスフェクション溶液のいずれかでトランスフェクトした。pQBI−25/GFP発現構築物は、そのプロモーターエレメントが配列番号:54のGFPをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されている発現ベクターを含んでなる。一晩インキュベートした後、成長培地を吸引し、そして各ウェルを1×PBS 200μLで濯ぐことにより細胞を洗浄した。細胞を採取するために、PBSを吸引し、50mM HEPES、150mM NaCl、1.5mM MgCl2、1mM EGDT、10%グリセロール、1%Triton(登録商標)X−100(ポリエチレングリコールオクチルフェノールエーテル)および1×COMPLETE(商標)プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Applied Biosciences, Indianapolis, IN)を含んでなる免疫沈降溶解バッファーを添加し、そして4℃で1時間インキュベートすることにより細胞を溶解した。溶解した細胞を3,000×g、4℃で10分間遠心して細胞デブリを除去し、そして上澄を清浄な管に移し、そしておよそ1mg/mLのタンパク質濃度まで希釈した。精製されたモノクローナル抗体およそ5μgを希釈された上澄0.5mLに添加し、そして4℃で2時間インキュベートした。一次抗体のインキュベーションの後、固定されたプロテインG(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)およそ50μLを希釈された上澄に添加し、そして4℃で1時間インキュベートした。免疫沈降溶解バッファー0.5mLを添加し、300×g、4℃で1分間遠心して固定されたプロテインGをペレット化し、そして上澄をデカントすることによりインキュベートされた上澄を各回30分間で3回洗浄した。洗浄の後、ペレットを1×SDS負荷バッファー30μL中に再懸濁し、そして試料を95℃まで5分間加熱した。未切断SNAP−25206基質およびSNAP−25197切断生成物の双方の存在を検出するために、使用された一次抗体がα−SNAP−25ポリクローナル抗体血清(実施例4参照)の1:1,000希釈であり、そして使用された二次抗体がウサギα−IgG西洋ワサビペルオキシダーゼ(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)の1:20,000希釈であった以外は実施例1に記載されるように、各採取された試料からのアリコートをウェスタンブロットにより分析した。表8は免疫沈降分析によりSNAP−25197−切断生成物を特異的に引き下げるα−SNAP−25抗体含有腹水を示す。免疫沈降分析により、クローン2E2A6および3C1A5から生成された腹水がSNAP−25197切断生成物に関して高い結合特異性を有するα−SNAP−25モノクローナル抗体を合成し、SNAP−25206未切断基質に相対してこの切断生成物の優先的な認識を可能にすることが示された。
5. α−SNAP−25モノクローナル抗体の結合アフィニティーの評価
SNAP−25197切断生成物またはSNAP−25206未切断基質のいずれかに関して高い結合特異性を示すα−SNAP−25モノクローナル抗体の結合アフィニティーを決定するために、BIAcore 3000装置でカルボキシメチルデキストラン(CM5)センサーチップ(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)を使用して結合アフィニティーアッセイを実施した。10mM HEPES(pH7.4)、150mM塩化ナトリウム、3mM EDTA、0.005%(容量/容量)界面活性剤P20を含んでなるHBS−EPバッファーで、25℃、流速10μL/分で実行した。配列番号:5のアミノ酸134−197(SNAP−25134−197)または配列番号:5のアミノ酸134−206(SNAP−25134−206)を含んでなるSNAP−25ペプチドを標準的なアミン結合を用いてCM5センサーチップの表面に共有結合により付着させた。簡単には、0.2M 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよび0.05M N−ヒドロキシスクシイミドの混合物の7分注入によりCM5チップを活性化し;次いでSNAP−25ペプチドを10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)中、流速10μL/分で20分注入し;そして未反応のスクシイミドエステルを1M塩酸エタノールアミン(pH8.5)の7分注入により遮断した。チップ上に固定されたSNAP−25134−197またはSNAP−25134−206の量は応答単位の100−150増大(約0.10−0.15ng/mm2)により反映された。クローン1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5および3C3E2から生成された腹水または精製されたモノクローナル抗体のいずれかを含んでなる抗体試料、ならびに市販により入手可能なα−SNAP−25抗体を、CM5チップの表面上を通過させて、会合時間10分および解離時間20分を可能にした。10mMグリシン−HCl(pH2.5)の流速15μL/分の1分注入による実行の間に表面を再生した。センサーグラム曲線はBIAevaluation3.0ソフトウェアを用いて1:1動力学的結合モデルに適合した。
結果により、2E2A6および3C1A5の双方がSNAP−25未切断基質を超えてSNAP−25197切断生成物に関して高度に特異的であったことが示される(表9)。MC−6050およびMC−6053の結合アフィニティーと比較した場合、1D3B6はこれらの市販の抗体に相対してSNAP−25切断生成物に関しておよそ10倍高い平衡解離定数を有した(表9)。興味深いことに、2E2A6のみがこれらの市販の抗体に相対してSNAP−25切断生成物に関してわずかに低い平衡解離定数を有した(0.405nM対0.497および0.508)(表9)。これらの市販のα−SNAP−25抗体のいずれもSNAP−25切断生成物を選択的に認識しなかったが(表8)、約0.5nMよりも低い平衡解離定数がかかる選択性を達成するためにある程度必須であると思われる。類似してMC−6050およびMC−6053の結合アフィニティーと比較した場合、2E2A6は約少なくとも1倍緩徐な分離速度(off rate)/解離定数(6.74×10−5対8.82×10−4s−1および1.18×10−3s−1)を有した(表9)。これはさらに、約8.82×10−4より緩徐な分離速度/解離定数が一部でSNAP−25切断生成物に関する選択的結合を達成するためにある程度必須であると思われること示唆する。この結果は5.78×10−5s−1の分離速度/解離定数を有した1D3B8と一致する(表9)。
6. 単離されたα−SNAP−25モノクローナル抗体からのエピトープのシークエンシング
BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができる、単離されたα−SNAP−25モノクローナル抗体のエピトープを決定するために、ハイブリドーマ1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5および3C3E2により生成されるα−SNAP−25モノクローナル抗体の可変重(VH)および可変軽(VL)鎖をコードするポリヌクレオチド分子をシークエンシングした。標準的なプロトコールを用いて各ハイブリドーマからmRNAを抽出および精製し、そしてオリゴdTアンチセンスプライマーまたは遺伝子特異的(ネズミIgG1 CHおよびカッパCL)アンチセンスプライマーのいずれかを使用してcDNAに逆転写した。cDNA生成の後、特異的なネズミおよびヒト定常ドメインプライマーを使用してPCRによりcDNAを増幅して抗体のアイソタイプを決定した。VHおよびVL縮重プライマーを使用してcDNAから可変ドメインを増幅した。5’RACEのために、ホモポリマーdCTPテールをcDNAの3’末端に付加した。次いでオリゴdGセンスプライマーおよび遺伝子特異的(CH/KC)アンチセンスプライマーを用いて重および軽鎖を増幅した。PCR生成物にはアンチセンスプライマーまでにシグナルペプチド、可変ドメインおよび定常ドメインの配列が含まれた。PCR生成物をゲル精製して小型フラグメントを除去し、そしてシークエンシングのためにブラントまたはTAベクターにクローン化した。各鎖に関して5つの独立したクローンをシークエンシングし、そしてVHおよびVL鎖のアラインメントおよびコンセンサス配列を決定した(表10)。VHおよびVLアミノ酸配列を決定するために用いられた方法は例えば「新規生理活性脂質誘導体ならびに同一物を作成および使用する方法」Roger A. Sabbadiniら、米国特許出願公開第2007/0281320号;および「ファージ抗体ライブラリーを使用することにより評価されるようなボツリヌス神経毒A型結合ドメインに対するネズミ体液性免疫応答の分子特徴付け」Peter Amersdorfer, et al., Infect. Immun. 65(9):3743−3752(その各々をその全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)に記載される。加えて抗体の可変重(VH)および可変軽(VL)鎖をシークエンシングし、そしてCDR領域を同定するために商業用サービスを利用でき、例えばFusion Antibodies Ltd., Northern Irelandを参照されたい。
本明細書に開示されるハイブリドーマにより生成されるα−SNAP−25モノクローナル抗体のVHおよびVL鎖を含んでなるポリヌクレオチド配列は以下のとおりである:1D3B8VH(配列番号:71)、2C9B10VH(配列番号:73)、2E2A6VH(配列番号:75)、3C1A5VHバリアント1(配列番号:77)、3C1A5VHバリアント2(配列番号:79)、3C3E2VH(配列番号:81);1D3B8VL(配列番号:83)、2C9B10VL(配列番号:85)、2E2A6VL(配列番号:87)、3C1A5VL(配列番号:89)および3C3E2VL(配列番号:91)。本明細書に開示されるハイブリドーマにより生成されるα−SNAP−25モノクローナル抗体のVHおよびVL鎖を含んでなるアミノ酸配列は以下のとおりである:1D3B8VH(配列番号:72)、2C9B10VH(配列番号:74)、2E2A6VH(配列番号:76)、3C1A5VHバリアント1(配列番号:78)、3C1A5VHバリアント2(配列番号:80)、3C3E2VH(配列番号:82);1D3B8VL(配列番号:84)、2C9B10VL(配列番号:86)、2E2A6VL(配列番号:88)、3C1A5VL(配列番号:90)および3C3E2VL(配列番号:92)。ハイブリドーマ1D3B8、2C9B10、2E2A6、3C1A5および3C3E2により生成されるα−SNAP−25モノクローナル抗体のVHおよびVLCDRドメインを含んでなるアミノ酸配列を表10に示す。
本明細書に開示されるハイブリドーマにより生成されるα−SNAP−25モノクローナル抗体のVHCDRドメインバリアントを含んでなるアミノ酸配列の非限定例には、1D3B8に関してはVHCDR1バリアント配列番号:118;2C9B10、2E2A6および3C1A5VHバリアント2に関してはVHCDR1バリアント配列番号:119;3C1A5VHバリアント1および3C3E2に関してはVHCDR1バリアント配列番号:120;1D3B8および2E2A6に関してはVHCDR2バリアント配列番号:121;2C9B10および3C1A5VHバリアント2に関してはVHCDR2バリアント配列番号:122;3C1A5VHバリアント1および3C3E2に関してはVHCDR2バリアント配列番号:123;1D3B8および2C9B10に関してはVHCDR3バリアントMDY;2E2A6および3C1A5VHバリアント2に関してはVHCDR3バリアントMGY;ならびに3C1A5VHバリアント1および3C3E2に関してはVHCDR3バリアント配列番号:124が含まれる。本明細書に開示されるハイブリドーマにより生成されるα−SNAP−25モノクローナル抗体のVLCDRドメインバリアントを含んでなるアミノ酸配列の非限定例には、1D3B8に関してはVLCDR1バリアント配列番号:125;2C9B10に関してはVLCDR1バリアント配列番号:126;2E2A6に関してはVLCDR1バリアント配列番号:127;3C1A5に関してはVLCDR1バリアント配列番号:128;3C3E2に関してはVLCDR1バリアント配列番号:129;1D3B8に関してはVLCDR2バリアントKVS;2C9B10に関してはVLCDR2バリアントNAK;2E2A6に関してはVLCDR2バリアントLVS;3C1A5に関してはVLCDR2バリアントYAT;および3C3E2に関してはVLCDR2バリアントYASが含まれる。
BoNT/A切断部位切断可能結合のP 1 残基で遊離カルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体の開発
以下の実施例はBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25エピトープに選択的に結合することができるα−SNAP−25ポリクローナル抗体の作成の仕方を例証する。
SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体を開発するために、10−残基ペプチドCGGGRIDEANQ(配列番号:46)をSNAP−25切断生成物抗原として設計した。このペプチドはKLHに抱合するためのN末端システイン残基、ヒトSNAP−25(配列番号:5)のアミノ酸191−197に連結された可動性スペーサーであるGスペーサー(GGG)を含んでなり、そしてカルボキシル化されたC末端グルタミンを有する。Blast検索により、このペプチドがSNAP−25に対してのみ高い相同性を有し、そしてニューロン細胞においてその他のタンパク質との交差反応性の可能性がほとんどないことが示された。またコンピューターアルゴリズムを利用することにより配列を注意深く精査して、疎水性親水性指標、タンパク質表面確率、可動性の領域および好ましい二次構造、続いて選ばれたペプチド配列の相応しい配向および提示を決定した。ペプチドを合成し、そしてキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に抱合させて免疫原性を増大した。動物を免疫する前に、細胞ライゼートに存在するタンパク質に対して免疫反応性を有さなかった動物を同定するために、ナイーブなウサギを最初に候補細胞株からの細胞ライゼートに対してウェスタンブロットでスクリーニングした。2匹のプレスクリーニングされたウサギをこのペプチドで免疫し、そして約8週のうちに3回の免疫の後、ウサギを試験のために出血させた。4℃で60分間インキュベートすることにより血液を凝固させた。凝固した血液を10,000×g、4℃で10分間遠心して細胞デブリをペレット化した。得られた血清試料を50μLアリコートに分注し、そして必要になるまで−20℃で保存した。
本明細書に開示されるその他のSNAP−25抗原に基づく類似の計画を用いて、SNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのP1残基でカルボキシル末端を含んでなるエピトープに結合するα−SNAP−25ポリクローナル抗体を開発する。例えば配列番号:46のSNAP−25抗原の代わりに、配列番号:47のSNAP−25抗原をKLHに抱合させることができる。別の実例としては、配列番号:38のSNAP−25抗原からのヒトSNAP−25のアミノ酸191−197を、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:39、配列番号:40、配列番号:41、配列番号:42、配列番号:43または配列番号:44、配列番号:147または配列番号:148と置き換えることができる。
2. α−SNAP−25ポリクローナル抗体の存在に関するスクリーニング
BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25ポリクローナル抗体の存在を決定するために、実施例3に記載されるように抽出されたウサギ血清を使用して比較ELISAおよび細胞基盤の切断アッセイを実施した。双方のウサギからの血清はBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25ポリクローナル抗体を含有した。α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗体をNTP22およびNTP23と称した。
3. α−SNAP−25ポリクローナル抗体の精製
BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25ポリクローナル抗体を精製するために、配列番号:46のSNAP−25抗原を含有するアフィニティーカラムを使用して、ウサギ血清からNTP22およびNTP23抗体を精製した。
4. α−SNAP−25ポリクローナル抗体の結合特異性の評価
BoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25抗原に選択的に結合することができるα−SNAP−25ポリクローナル抗体の結合特異性を評価するために、実施例3に記載されるように細胞基盤の活性アッセイ、免疫細胞化学および免疫沈降を用いて精製されたNTP22およびNTP23 α−SNAP−25ポリクローナル抗体を使用して切断生成物を検出した。細胞基盤の切断アッセイ、免疫細胞化学分析および免疫沈降分析全てにより、NTP22およびNTP23 α−SNAP−25ポリクローナル抗体が未切断SNAP−25と交差反応しないことが示された。故にNTP22およびNTP23の双方がSNAP−25197切断生成物に関して高い結合特異性を有し、SNAP−25206未切断基質に相対してこの切断生成物の優先的な認識を可能にする。実施例3に記載されるようにBiAcoreにおいてSPRを用いて抗原に関するアフィニティーを決定することができる。
サンドイッチELISAのための構成要素および条件調製
以下の実施例はBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25に特異的なα−SNAP−25モノクローナル抗体を使用してSNAP−25切断生成物を検出することにより、BoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法を行うために有用なサンドイッチELISAを実施するために必要な構成要素および条件を同定および調製する仕方を例証する。
1. BoNT/Aで処理された細胞からの細胞ライゼートの調製
分析用のBoNT/A処理された細胞ライゼートを得るために、Neuro−2aのストック培養物から適当な密度の細胞を、最小必須培地、アール塩を伴う2mM GlutaMAX(商標)I、1×B27サプリメント、1×N2サプリメント、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPESを含有する血清不含培地50mLを含有するT175フラスコに播種した。これらの細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、成長抑止および神経突起伸長のような標準的および日常的な形態学基準により評価されるように細胞が分化するまで(およそ2から3日)インキュベートした。対照として、Neuro−2aのストック培養物から適当な密度の細胞を適切な成長培地(表1)50mLを含有するT175フラスコに播種した。これらの未分化対照細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、細胞が50%コンフルエンスに到達するまで(およそ18時間)成長させた。分化型および未分化型対照培養物の双方からの培地を各ウェルから吸引し、そして0(未処理試料)または10nM BoNT/A複合体のいずれかを含有する新鮮培地で置き換えた。一晩インキュベートした後、細胞を洗浄し、そして新たに調製されたTriton X−100溶解バッファー(50mM HEPES、150mM NaCl、1.5mM MgCl2、1mM EGTA、1%Triton X−100)中4℃で30分間一定の攪拌を行いながら溶解することにより細胞を採取した。溶解した細胞を4000rpm、4℃で20分間遠心して、ベンチトップ遠心を使用してデブリを排除した。細胞ライゼートのタンパク質濃度をブラッドフォードアッセイにより測定した。
2. サンドイッチELISA構成要素の調製および同定
適切な捕捉抗体−検出抗体対を同定するために、11個の異なるα−SNAP−25捕捉抗体および7個の異なるα−SNAP−25検出抗体を含んでなる26個の異なる組み合わせの捕捉および検出抗体対でECLサンドイッチELISA分析を行った(表12)。使用したα−SNAP−25抗体は、本明細書において開示される2E2A6および3C1A5 α−SNAP−25マウスモノクローナル抗体、本明細書において開示されるSMI−81、MC−6050およびMC−6053 α−SNAP−25マウスモノクローナル抗体、本明細書において開示されるNTP23 α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗体、S9684 α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗体(Sigma, St. Louis, MO)、H−50 α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology, Inc., Santa Cruz, CA)、C−18 α−SNAP−25ヤギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology, Inc., Santa Cruz, CA)、N−19 α−SNAP−25ヤギポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology, Inc., Santa Cruz, CA)、ならびにSP12 α−SNAP−25マウスポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology, Inc., Santa Cruz, CA)であった。
捕捉抗体溶液を調製するために、ハイブリドーマ細胞株2E2A6および3C1A5からの腹水に含有されるα−SNAP−25モノクローナル抗体、ならびにα−SNAP−25 MC−6050およびMC−6053モノクローナル抗体を標準的なプロテインA精製プロトコールを用いて精製した。全てのその他のα−SNAP−25抗体を精製された抗体として購入した。
検出抗体溶液を調製するために、適切なα−SNAP−25抗体を製造者の説明書に従って(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)ルテニウム(II)−トリス−ビピリジン−(4−メチルスルホナート)NHSエステル標識試薬(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)に抱合させた。蒸留水で再構成されたMSD SULFO−TAG(商標)ストック溶液30μLを2mg/mL α−SNAP−25ポリクローナル抗体200μLに添加し、そして反応物を暗中室温で2時間インキュベートすることにより抱合反応を実施した。標準的なスピンカラムプロトコールを用いて標識された抗体を精製し、そして標準的な比色タンパク質アッセイを用いてタンパク質濃度を決定した。分光光度計を使用してα−SNAP−25抗体/MSD SULFO−TAG(商標)抱合体の吸光度を455nmで測定してリットルあたりのモル濃度を決定した。検出抗体溶液を必要になるまで4℃で保存した。
SNAP−25切断生成物に特異的である捕捉抗体を含んでなる固相支持体を調製するために、適切なα−SNAP−25モノクローナル抗体溶液(1×PBS中20μg/mL)およそ5μLを96ウェルMSD High Bindプレートの各ウェルに添加し、そして生物学的安全キャビネット内で2−3時間空気乾燥させて溶液を液体蒸発させる。次いで2%Amersham遮断試薬(GE Life Sciences, Piscataway, NJ)および10%ヤギ血清(VWR, West Chester, PA)を含んでなる遮断バッファー150μLを室温で2時間添加することにより、捕捉抗体結合ウェルを遮断した。遮断されたプレートを密閉し、そして必要になるまで4℃で保存した。
ECLサンドイッチELISA分析により切断されたSNAP−25切断生成物の存在を検出するために、保存されたプレートからの遮断バッファーをウェルから吸引し、前記されたようにBoNT/Aで処理された細胞からのライゼート25μLを各ウェルに添加し、そしてプレートを4℃で一晩インキュベートした。細胞ライゼートを吸引し、そして1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで各ウェルを3回濯ぐことによりプレートウェル3回を洗浄した。洗浄後、1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)中2%Amersham遮断試薬を含んでなる5μg/mL検出抗体溶液25μLを各ウェルに添加し、プレートを密閉し、そして密閉されたプレートを室温で1時間振盪しながらインキュベートした。検出抗体をインキュベートした後、ウェルを1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで3回洗浄した。洗浄後、1×リードバッファー(Read Buffer)(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)150μLを各ウェルに添加し、そしてSECTOR(商標)Imager 6000イメージリーダー(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)を使用してプレートを読み取った。各抗体対に関して10nM用量で得られたシグナルを、各抗体対に関して0nM用量で得られたシグナルにより除することにより比を計算した(表12)。これらの結果により、試験された抗体対の26個の異なる組み合わせの中で3個の抗体対のみが試験された高用量に関して10:1を超えるシグナル対ノイズ比を有した:第1対(2E2A6マウスmAbおよびS9684ウサギpAb)、第4対(3C1A5マウスmAbおよびS9684ウサギpAb)および第18対(S9684ウサギpAbおよび2E2A6マウスmAb)。さらなるアッセイ開発のために第1抗体対を選んだ。
3. 細胞分化条件の最適化
サンドイッチELISA検出系を用いる場合にBoNT/A中毒に感受性が高い細胞を含んでなる細胞株に関する最適な分化条件を決定するために、種々の細胞培養培地および分化時間の長さの双方を試験した。
最適な分化培地を決定するために、SiMa細胞株から適当な密度の細胞を、以下の培地および分化サプリメント:1)RPMI1640、10%ウシ胎仔血清、1%ペニシリン−ストレプトマイシン、2mM L−グルタミンおよび25μg/mL GT1b);2)RPMI−1640、1×B27サプリメント、1×N2サプリメントおよび25μg/mL GT1b;3)最小必須培地、1×B27サプリメント、1×N2サプリメントおよび25μg/mL GT1b;ならびに4)RPMI−1640、10%BSA、1×N2サプリメント、1×NGFサプリメントおよび25μg/mL GT1b;のうちの1つを1mL含有する、IV型コラーゲンでコーティングされた24ウェル細胞培養プレートのウェルに蒔いた。細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、成長抑止および神経突起伸長のような標準的および日常的な形態学基準により評価されるように細胞が分化するまで(およそ3日)インキュベートした。培地を各ウェルから吸引し、そして0(未処理試料)、0.2pM、2pMまたは20pM BoNT/A複合体のいずれかを含有する新鮮培地で置き換えた。一晩処理した後、細胞を洗浄し、毒素を伴わずにさらに2日間インキュベートしてSNAP−25基質の切断を可能にし、そしてセクション1にて前記されたように採取した。細胞ライゼートのタンパク質濃度をブラッドフォードアッセイにより測定した。ECLサンドイッチELISA分析によるSNAP−25切断生成物の存在の検出を、第1抗体対を使用して前記されたように実施した。実施例1にて論じられたように、未分化型細胞は分化型細胞ほど効果的に毒素を取り込まなかった。BoNT/A取り込みおよび結果的にSNAP−25切断を増大するために最も効果的な分化培地は培地3(MEM+N2+B27)、続いて培地2(RPMI−1640+N2+B27)、および培地4(RPMI−1640+N2+NGF+BSA)(図3)。培地2中で培養された細胞は、その他の培地と比較して、SNAP−25のさらなる切断を招いた。
最適な分化時間を決定するために、SiMa細胞株から適当な密度の細胞を、最小必須培地、アール塩を伴う2mM GlutaMAX(商標)I、1×B27サプリメント、1×N2サプリメント、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPESおよび25μg/mL GT1bを含有する血清不含培地100μLを含有する、ポリ−D−リジンコーティングされた96ウェル細胞培養プレートのウェルに蒔いた。6時間、24時間、48時間および72時間試験する分化時間経過を得るために細胞を異なる4日に蒔き、そして37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下でインキュベートした。培地を各ウェルから吸引し、そして0(未処理試料)、0.1pM、0.2pM、0.4pM、0.8pM、1.6pM、3.1pM、6.25pM、12.5pMまたは25pM BoNT/A複合体のいずれかを含有する新鮮培地で置き換えた。一晩処理した後、細胞を洗浄し、毒素を伴わずにさらに2日間インキュベートしてSNAP−25基質の切断を可能にし、そしてセクション1にて前記されたように採取した。採取した後、細胞ライゼートのタンパク質濃度およびECLサンドイッチELISA分析によるSNAP−25切断生成物の存在の検出を前記されたように実施した。次いでECL撮像装置から得られた生データをSigmaPlot v.9.0に移し、そして4パラメーターロジスティック適合を用いて用量−応答曲線を定義した。データをプロットする場合に、4パラメーターロジスティック関数に用いられる制約はなかった。以下の分析を用いてグラフレポートを作成した:R2(相関係数)、a(データセットに関して最大)、b(傾き)およびX0±SE(EC50値±標準誤差)。結果により、48−72時間分化した細胞で2pM未満のEC50値を達成できることが示された(図4)。分化の48時間から72時間の間の分化型細胞を使用でき、細胞の性能における有意な変化を伴わないという知見はアッセイの頑健性を強調した。48時間未満の分化時間は処方された生成物のピコモル濃度の試験に適当ではないかもしれないが、これらの短い分化時間はバルク原薬試験には十分鋭敏である。
4. BoNT/A処理時間の最適化
BoNT/Aで処理される必要のある細胞株からの細胞に最適な時間の長さを決定するために、種々の長さのBoNT/A処理時間を試験した。SiMa細胞株から適当な密度の細胞を、最小必須培地、アール塩を伴う2mM GlutaMAX(商標)I、1×B27サプリメント、1×N2サプリメント、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPESおよび25μg/mL GT1bを含有する血清不含培地100μLを含有する、ポリ−D−リジンコーティングされた96ウェル細胞培養プレートのウェルに蒔いた。細胞を蒔き、そして37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、成長抑止および神経突起伸長のような標準的および日常的な形態学基準により評価されるように細胞が分化するまで(およそ3日)インキュベートした。培地を各ウェルから吸引し、そしてRPMI1640成長培地中0(未処理試料)、0.1pM、0.2pM、0.4pM、0.8pM、1.6pM、3.1pM、6.3pM、12.5pMまたは25pM BoNT/A複合体のいずれかを含有する新鮮培地で3検体ずつ置き換えて、全用量−応答を作成した。5つの異なる長さのBoNT/A処理計画を実施した:1)BoNT/A 6時間処理、細胞の除去および洗浄、BoNT/Aを伴わずに18時間の細胞のインキュベーション、ならびにセクション1にて前記されたような細胞の採取;2)BoNT/A 24時間処理、細胞の除去および洗浄、ならびにセクション1にて前記されたような細胞の採取;3)BoNT/A 24時間処理、細胞の除去および洗浄、BoNT/Aを伴わずに24時間の細胞のインキュベーション、ならびにセクション1にて前記されたような細胞の採取;4)BoNT/A 24時間インキュベーション、細胞の除去および洗浄、BoNT/Aを伴わずに48時間の細胞のインキュベーション、ならびにセクション1にて前記されたような細胞の採取;ならびに5)BoNT/A 24時間インキュベーション、細胞の除去および洗浄、BoNT/Aを伴わずに72時間の細胞インキュベーション、ならびにセクション1にて前記されたような細胞の採取。採取した後、細胞ライゼートのタンパク質濃度、ECLサンドイッチELISAによるSNAP−25切断生成物の検出を実施し、そして前記されたようにEC50を計算した。結果により、試験されたいずれかのBoNT/A処理で2pM未満のEC50値を達成できることが示される(図5)。興味深いことに、24時間+24時間、24時間+48時間および24時間+73時間のBoNT/A処理計画により本質的に同じEC50値、各々1.0pM、1.1pMおよび0.9pMを生じた。6時間+18時間および24時間+0時間のBoNT/A処理計画に関して生じたEC50値は各々1.7pMおよび1.6pMであった。得られたシグナルの量は低いが、これらの結果により、6時間から24時間の間のBoNT/A処理時間、加えて1日から3日の処理後インキュベーションを用いて、BoNT/A活性を検出するために十分であるEC50を生じ、そしてアッセイの全体的な時間経過において柔軟性を与えることができることが示される。
5. BoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法の感度
本明細書において開示されるBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法の感度を評価するために、BoNT/A中毒に感受性が高い細胞によるBoNT/A取り込みのタイミングを決定した。SiMa細胞株から適当な密度の細胞を、最小必須培地、アール塩を伴う2mM GlutaMAX(商標)I、1×B27サプリメント、1×N2サプリメント、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPESおよび20μg/mL GT1bを含有する血清不含培地100μLを含有する、ポリ−D−リジンコーティングされた96ウェル細胞培養プレートのウェルに蒔いた。細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、成長抑止および神経突起伸長のような標準的および日常的な形態学基準により評価されるように細胞が分化するまで(およそ3日)インキュベートした。培地を各ウェルから吸引し、1nM BoNT/A複合体を含有する新鮮培地で置き換え、そしてBoNT/A処理細胞を、0分(神経毒を添加し、そして次に即座に除去した)、5分、10分、20分、30分および60分の6つの異なる時点でインキュベートした。BoNT/Aを伴わない(0nM)培地の陰性対照を使用した。インキュベーションの後、細胞を洗浄し、そしてセクション1にて前記されたように採取した。採取の後、細胞ライゼートのタンパク質濃度、ECLサンドイッチELISAによるSNAP−25切断生成物の検出を実施し、そして前記されたようにEC50を計算した。結果により、バックグラウンドを超える有意な量のSNAP−25切断生成物を生成する前に、細胞によるBoNT/Aの取り込みに1分未満しかかからないことが示された(図6)。
6. BoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法の特異性
本明細書において開示されるBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法の特異性を評価するために、部分的に不活化されたBoNT/Aを除外してBoNT/Aを正確に区別する、BoNT/A中毒に感受性が高い細胞の受容力を決定した。SiMa細胞株から適当な密度の細胞を、最小必須培地、アール塩を伴う2mM GlutaMAX(商標)I、1×B27サプリメント、1×N2サプリメント、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPESおよび25μg/mL GT1bを含有する血清不含培地100μLを含有する、ポリ−D−リジンコーティングされた96ウェル細胞培養プレートのウェルに蒔いた。細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、成長抑止および神経突起伸長のような標準的および日常的な形態学基準により評価されるように細胞が分化するまで(およそ3日)インキュベートした。培地を各ウェルから吸引し、そして1)0(未処理試料)、0.03pM、0.1pM、0.31pM、0.93pM、2.78pM、8.33pMおよび25pM BoNT/A複合体;2)0、0.14nM、0.41nM、1.23nM、3.7nM、11.11nM、33.33nMおよび100nM 不活性BoNT/A(iBoNT/A);または3)0、0.14nM、0.41nM、1.23nM、3.7nM、11.11nM、33.33nMおよび100nM LHN/Aフラグメントのいずれかを含有する新鮮培地で置き換えた。iBoNT/Aは神経毒のメタロプロテアーゼ活性を完全に不活化する軽鎖の亜鉛結合ドメインに変異を含有し、例えば「ボツリヌス神経毒Aの軽鎖の発現および精製:単一の変異が重鎖との再構成後のSNAP−25のその切断および神経毒性を無効にする」Liqing Zhou, et al., Biochemistry 34:15175−15181(1995)(その全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)を参照されたい。LHN/Aフラグメントは結合ドメインを欠如するが、インタクトな転位置ドメインおよび軽鎖を含有し、例えば「組換え毒素フラグメント」Clifford C. Shoneら、米国特許第6461617号(その全てにおいて出典明示により本明細書の一部とする)を参照されたい。24時間の処理の後、細胞を洗浄し、毒素を伴わずにさらに2日間インキュベートしてSNAP−25基質の切断を可能にし、そしてセクション1にて前記されたように採取した。採取した後、細胞ライゼートのタンパク質濃度、ECLサンドイッチELISAによるSNAP−25切断生成物の検出を実施し、そして前記されたようにEC50を計算した。結果により、iBoNT/AおよびLHN/A(EC50>100nM)に関する細胞の結合アフィニティーはBoNT/A(EC50=1.6pM)に関する結合アフィニティーよりも少なくとも60,000低いことが示される(図7)。試験された全濃度のiBoNT/Aで処理された細胞においてSNAP−25切断生成物は検出されなかった。最高用量のLHN/Aフラグメントで処理された細胞において低量のSNAP−25切断生成物が検出されたが、この活性は転位置ドメインの活性によるこのフラグメントの非特異的取り込みによるものである。故に結果により、本明細書において開示されるBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法は、それによりBoNT/Aがタンパク質分解によりSNAP−25基質を切断し、そしてBoNT/AのBoNT/A受容体への結合、神経毒/受容体複合体の内部移行、BoNT/A軽鎖の細胞内小胞から細胞質への転位置およびSNAP−25のタンパク質分解による切断を包含する中毒過程に関与する全ての工程を測定できることが示される。
ECLサンドイッチELISAを用いてBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法
以下の実施例は、ECLサンドイッチELISAを用いてBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物に特異的なα−SNAP−25モノクローナル抗体を使用してSNAP−25切断生成物を検出することによりBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法を例証する。
BoNT/Aで処理された細胞からライゼートを調製するために、確立された細胞株から適当な密度の細胞を、最小必須培地、アール塩を伴う2mM GlutaMAX(商標)I、1×B27サプリメント、1×N2サプリメント、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPESおよび25μg/mL GT1bを含有する血清不含培地100μLを含有する96ウェル組織培養プレートのウェルに蒔いた(実施例1および2参照)。これらの細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、成長抑止および神経突起伸長のような標準的および日常的な形態学基準により評価されるように細胞が分化するまで(およそ3日)インキュベートした。分化型細胞からの培地を各ウェルから吸引し、そして0(未処理試料)、0.03pM、0.1pM、0.3pM、0.9pM、2.8pM、8.3pMおよび25pM BoNT/A複合体のいずれかを含有する新鮮培地で置き換えた。24時間の処理の後、細胞を洗浄し、そして毒素を伴わずにさらに2日間インキュベートした。実施例5に記載されるように細胞を採取した。
α−SNAP−25捕捉抗体溶液を調製するために、ハイブリドーマ細胞株2E2A6からの腹水に含有されるα−SNAP−25モノクローナル抗体を標準的なプロテインA精製プロトコールを用いて精製した。α−SNAP−25検出抗体溶液を調製するために、α−SNAP−25ウサギポリクローナル抗体S9684(Sigma, St. Louis, MO)を製造者の説明書に従って(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)ルテニウム(II)−トリス−ビピリジン−(4−メチルスルホナート)NHSエステル標識試薬(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)に抱合させた。抱合反応、標識されたα−SNAP−25抗体の精製、濃度決定および保存は実施例5に記載されるとおりであった。
SNAP−25切断生成物に特異的である捕捉抗体を含んでなる固相支持体を調製するために、α−SNAP−25モノクローナル抗体2E2A6溶液(1×PBS中20μg/mL)およそ5μLを96ウェルMSD High Bindプレートの各ウェルに添加し、そして生物学的安全キャビネット内で2−3時間空気乾燥させて溶液を液体蒸発させた。次いで捕捉抗体結合ウェルを遮断し、そしてBoNT/A活性を直接検出するために使用した。
ECLサンドイッチELISA分析によりSNAP−25切断生成物の存在を検出するために、保存されたプレートからの遮断バッファーをウェルから吸引し、BoNT/Aで処理された細胞からのライゼート25μLを各ウェルに添加し、そしてプレートを4℃で一晩インキュベートした。細胞ライゼートを吸引し、そして1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで各ウェルを3回濯ぐことによりプレートウェルを3回洗浄した。洗浄後、1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)中2%Amersham遮断試薬を含んでなる5μg/mL検出抗体溶液25μLを各ウェルに添加し、プレートを密閉し、そして密閉されたプレートを室温で1時間振盪しながらインキュベートした。検出抗体をインキュベートした後、ウェルを1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで3回洗浄した。洗浄後、1×リードバッファー(Read Buffer)(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)150μLを各ウェルに添加し、そしてプレートをSECTOR(商標)Imager 6000イメージリーダー(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)を使用して読み取った。収集されたデータを分析し、そして実施例5に記載されるようにEC50を計算した。代表的な結果を図8に示す、これらの結果により、下の漸近線に関するシグナル対ノイズ比約15:1から約20:1および上の漸近線に関するシグナル対ノイズ比約20:1から約500:1でEC50のBoNT/A代表値1.0pMが検出される(約0.3pMから約2.0pMの範囲)ことが示された。
CLサンドイッチELISAを用いてBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法
以下の実施例はCLサンドイッチELISAによるBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25に特異的なα−SNAP−25モノクローナル抗体を使用してSNAP−25切断生成物を検出することによりBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法を例証する。
細胞からのライゼートをBoNT/Aで処理し、そしてα−SNAP−25捕捉抗体溶液を実施例6に記載されるように調製した。
α−SNAP−25検出抗体溶液を調製するために、α−SNAP−25ポリクローナル抗体S9684(Sigma, St. Louis, MO)を製造者の説明書に従って(Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL)西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に抱合させた。1mg/mL α−SNAP−25ポリクローナル抗体500μLを、凍結乾燥活性化ペルオキシダーゼを含有するバイアルに添加し、構成要素を混合し、そして次にシアノ水素化ホウ素ナトリウム10μLを添加することにより抱合反応を実施した。この反応混合物をドラフト内で室温で1時間インキュベートした。反応をクエンチした後、標準的なスピンカラムプロトコールを用いて標識された抗体を精製し、そして標準的な比色タンパク質アッセイを用いてタンパク質濃度を決定した。分光光度計を使用してα−SNAP−25ポリクローナル抗体/HRP抱合体の吸光度を455nmで測定してリットルあたりのモル濃度を決定した。α−SNAP−25検出抗体溶液を必要になるまで4℃で保存した。
SNAP−25切断生成物に特異的であるα−SNAP−25捕捉抗体を含んでなる固相支持体を調製するために、α−SNAP−25モノクローナル抗体2E2A6溶液(1×PBS中1mg/mL)およそ100μLを96ウェルGreinerホワイトプレートの各ウェルに添加し、そして4℃でプレートを一晩インキュベートし、そして次に過剰の抗体溶液を捨てた。次いで2%Amersham遮断試薬(GE Life Sciences, Piscataway, NJ)および10%ヤギ血清(VWR, West Chester, PA)を含んでなる遮断バッファー150μLを室温で1時間添加することにより、捕捉抗体結合ウェルを遮断した。遮断バッファーを捨て、そしてプレートをペーパータオル上でひっくり返し、そして軽くたたくことによりブロット乾燥した。次いで捕捉抗体結合ウェルを遮断し、そしてBoNT/A活性を直接検出するために使用した。
CLサンドイッチELISA分析によりSNAP−25切断生成物の存在を検出するために、BoNT/Aで処理された細胞からのライゼート50μLを各ウェルに添加し、プレートを密閉し、そして密閉されたプレートを500rpmで回転している振盪機上で4℃で2−4時間から一晩インキュベートした。細胞ライゼートを吸引し、そして1×PBS、0.05%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで各ウェルを3回濯ぐことによりプレートウェルをを洗浄した。洗浄後、1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)中2%Amersham遮断試薬を含んでなる1mg/mL α−SNAP−25ポリクローナル抗体/HRP検出抗体溶液100μLを各ウェルに添加し、プレートを密閉し、そして密閉されたプレートを650rpmで回転している振盪機上で室温で1時間インキュベートした。検出抗体をインキュベートした後、ウェルを1×PBS、0.05%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで3回洗浄した。洗浄後、SuperSignal ELISA Pico 1:1混合物(Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL)100μLを各ウェルに添加し、そしてルミノメーター(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を使用して395nmで読み取った。収集されたデータを分析し、そして実施例5に記載されるようにEC50を計算した。これらの結果により、下の漸近線に関するシグナル対ノイズ比約15:1から約20:1および上の漸近線に関するシグナル対ノイズ比約20:1から約500:1でEC50のBoNT/A代表値1.0pMが検出される(約0.3pMから約2.0pMの範囲)ことが示された。
マルチプレックスECLサンドイッチELISAを使用してBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法
以下の実施例はSNAP−25切断生成物に特異的なα−SNAP−25モノクローナル抗体および異なるタンパク質に関する第2の抗体対を使用してSNAP−25切断生成物を検出することによりBoNT/A活性を検出するマルチプレックス免疫基盤の方法を例証する。
1. 第2のタンパク質に関する捕捉抗体−検出抗体対の調製および同定
分析のための未処理細胞ライゼートを得るために、SiMa細胞のストック培養物から適当な密度の細胞を、1×RPMI1640、10%FBS、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPES、1mMピルビン酸ナトリウムおよび100単位/100μgペニシリン−ストレプトマイシンを含有する成長培地40mLを含有するT175フラスコに播種した。これらの細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、細胞がおよそ70−90%コンフルエントになるまでインキュベートした。細胞を洗浄し、そして新たに調製されたTriton X−100溶解バッファー(20mM Tris(pH7.5)、150mM塩化ナトリウム、0.001M EDTA、1mM EGTAおよび1%Triton−X−100)中4℃でおよそ30分間一定の攪拌を行いながら溶解することにより細胞を採取した。溶解した細胞を3300−3330×g、8℃で40分間遠心して、ベンチトップ遠心を用いてデブリを排除した。
第2のタンパク質のための適切な捕捉抗体−検出抗体対を同定するために、5つの異なるタンパク質からなる捕捉および検出抗体対の21個の異なる組み合わせにおいてECLサンドイッチELISA分析を行った(表13)。使用された抗体はα−シンタキシン1A−HPCマウスモノクローナル抗体S0664(Sigma, St. Louis, MO)、α−GAPDHマウスモノクローナル抗体MAB374(Chemicon, Temecula, CA)、α−シンタキシン1ウサギポリクローナル抗体S1172−1(Sigma, St. Louis, MO)、α−GAPDHウサギポリクローナル抗体2275−PC−1(R & D Systems, Minneapolis, MN)、α−シンタキシン2ウサギポリクローナル抗体S5687(Sigma, St. Louis, MO)、α−ヒトシンタキシン2マウスモノクローナル抗体MAB2936(R & D Systems, Minneapolis, MN)、α−マウスシンタキシン2ヤギポリクローナル抗体AF2568(Sigma, St. Louis, MO)、α−シンタキシン2ウサギポリクローナル抗体AB5596(Sigma, St. Louis, MO)、α−シンタキシン1ウサギポリクローナル抗体S1172−2(Sigma, St. Louis, MO)、α−h、m、rアクチンヒツジポリクローナル抗体AF4000(R & D Systems, Minneapolis, MN)、α−ベータアクチンマウスモノクローナル抗体A1978(Sigma, St. Louis, MO)、α−ベータマウスポリクローナル抗体アクチンA2228(Sigma, St. Louis, MO)、マウスα−GAPDHマウスモノクローナル抗体G8795(Sigma, St. Louis, MO)、α−GAPDHウサギポリクローナル抗体G9595(Sigma, St. Louis, MO)であった。
第2のタンパク質捕捉抗体溶液を調製するために、モノクローナル抗体を精製された抗体として購入した。第2のタンパク質検出抗体溶液を調製するために、適切な抗体を製造者の説明書に従って(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)ルテニウム(II)−トリス−ビピリジン−(4−メチルスルホナート)NHSエステル標識試薬(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)に抱合させた。蒸留水で再構成されたMSD SULFO−TAG(商標)ストック溶液30μLを2mg/mLポリクローナル抗体200μLに添加し、そして反応物を暗中室温で2時間インキュベートすることにより抱合反応を実施した。標準的なスピンカラムプロトコールを用いて標識された抗体を精製し、そして標準的な比色タンパク質アッセイを用いてタンパク質濃度を決定した。分光光度計を使用して抗体/MSD SULFO−TAG(商標)抱合体の吸光度を455nmで測定してリットルあたりのモル濃度を決定した。検出抗体溶液を必要になるまで4℃で保存した。
SNAP−25切断生成物に特異的である捕捉抗体を含んでなる固相支持体を調製するために、α−SNAP−25モノクローナル抗体2E2A6溶液(1×PBS中20μg/mL)およそ5μLを96ウェルMSD High Bindプレートの各ウェルに添加し、そして生物学的安全キャビネット内で2−3時間空気乾燥させて溶液を液体蒸発させ、そして次にプレートを密閉し、そして必要になるまで4℃で保存した。次いで3%BSA(Pierce, Rockford, IL)、10%ヤギ血清(Rockland Immunochemicals, Gilbertsville, PA)および0.05%TWEEN−20 PBS中Difco 1%脱脂乳(BD BioSciences Franklin Lakes, NJ)を含んでなる遮断バッファー150μLを室温で1−2時間添加することにより、乾燥した捕捉抗体結合ウェルを遮断した。
ECLサンドイッチELISA分析によりタンパク質の存在を検出するために、保存されたプレートからの遮断バッファーをウェルから吸引し、前記されたようにBoNT/Aで処理された細胞からのライゼート25μLを各ウェルに添加し、そしてプレートを4℃で一晩インキュベートした。細胞ライゼートを吸引し、そして1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで各ウェルを3回濯ぐことによりプレートウェルを3回洗浄した。洗浄後、前記されたような遮断バッファー中に再懸濁された5μg/mLの適切な第2のタンパク質検出抗体溶液25μLを各ウェルに添加し、プレートを密閉し、そして密閉されたプレートを室温で約1時間振盪しながらインキュベートした。検出抗体をインキュベートした後、ウェルを1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)250μLで3回洗浄した。洗浄後、1×リードバッファー(Read Buffer)(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)150μLを各ウェルに添加し、そしてプレートをSECTOR(商標)Imager 6000イメージリーダー(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)を使用して読み取った。各抗体対に関して未処理細胞ライゼートから得られたシグナルを、各抗体対に関して溶解バッファー対照(0nM用量)に関して得られたシグナルにより除することにより比を計算した(表13)。これらの結果により、試験された抗体対の21個の異なる組み合わせの中で2個の抗体対のみが試験された高用量に関して10:1を超えるシグナル対ノイズ比を有した:第16対 α−GAPDHマウスモノクローナル抗体MAB374およびα−GAPDHウサギポリクローナル抗体RDS2275−PC−1;ならびに第21対:α−GAPDHマウスモノクローナル抗体MAB374およびα−GAPDHウサギポリクローナル抗体G9545。α−GAPDHマウスモノクローナル抗体MAB374およびα−GAPDHウサギポリクローナル抗体G9545対をマルチプレックスECLサンドイッチELISAに関する第2タンパク質捕捉抗体−検出抗体対として選択した。
2. マルチプレックスECLサンドイッチELISAを使用してBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法
分析のためのBoNT/A処理細胞ライゼートを得るために、SiMa細胞株のストック培養物から適当な密度の細胞を、最小必須培地、アール塩を伴う2mM GlutaMAX(商標)I、1×B27サプリメント、1×N2サプリメント、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPESを含有する血清不含培地を含有するポリ−D−リジン96−ウェルプレートに播種した。これらの細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、成長抑止および神経突起伸長のような標準的および日常的な形態学基準により評価されるように細胞が分化するまで(およそ3日)インキュベートした。培地を各ウェルから吸引し、そして0(未処理試料)、0.67単位/mL、2.35単位/mL、8.23単位/mL、28.82単位/mL、101単位/mL、353単位/mL BoNT/A複合体のいずれかを含有する新鮮培地で置き換えた。24時間の処理の後、細胞を洗浄し、毒素を伴わずにさらに2日間インキュベートした。細胞を洗浄し、採取し、そしてセクション1にて前記されたように加工した。
α−SNAP−25捕捉抗体溶液およびα−SNAP−25検出抗体溶液を実施例7に記載されるように調製した。α−GAPDH捕捉抗体溶液を調製するために、α−GAPDHモノクローナル抗体マウスMAB374(Chemicon, Temecula, CA)を前記のセクション1に記載されるように調製した。α−GAPDH検出抗体溶液を調製するために、α−GAPDHウサギポリクローナル抗体G9545(Sigma, St. Louis, MO)を製造者の説明書に従って(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)ルテニウム(II)−トリス−ビピリジン−(4−メチルスルホナート)NHSエステル標識試薬(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)に抱合させた。抱合反応、標識されたα−SNAP−25抗体の精製、濃度決定および保存は前記のセクション1に記載されたとおりであった。
α−SNAP−25捕捉抗体およびα−GAPDH捕捉抗体を含んでなる固相支持体を調製するために、α−SNAP−25捕捉抗体溶液(1×PBS中45μg/mL)およそ2.5nLおよびα−GAPDH捕捉抗体溶液(1×PBS中120μg/mL)2.5nLをロボットシステムを用いてマルチプレックス形式の96ウェルMSD High Bindプレートの各ウェルに添加した。生物学的安全キャビネット内で少なくとも2−3時間空気乾燥させて溶液を液体蒸発させた。次いで捕捉抗体結合ウェルを遮断し、そしてBoNT/A活性およびGAPDHタンパク質を直接検出するために使用した。
マルチプレックスECLサンドイッチELISA分析によSNAP−25切断生成物の存在を検出するために、保存されたプレートからの遮断バッファーをウェルから吸引し、前記されたようにBoNT/Aで処理された細胞からのライゼート25μLを各ウェルに添加し、そしてプレートを4℃で一晩インキュベートした。細胞ライゼートを吸引し、そして1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで各ウェルを3回濯ぐことによりプレートウェルを3回洗浄した。洗浄後、前記されたような5μg/mL α−SNAP−25検出抗体溶液25μLおよび5μg/mL α−GAPDH検出抗体25μLを各ウェルに添加し、プレートを密閉し、そして密閉されたプレートを室温で約1時間振盪しながらインキュベートした。検出抗体をインキュベートした後、ウェルを1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)250μLで3回洗浄した。洗浄後、1×リードバッファー(Read Buffer)(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)150μLを各ウェルに添加し、そしてプレートをSECTOR(商標)Imager 6000イメージリーダー(Meso Scale Discovery, Gaithersburg, MD)を使用して読み取った。収集されたデータを分析し、そしてPLA2.0ソフトウェア(Stegmann Systems, GmbH, Germany)を使用した以外は実施例5に記載されるように正規化されたデータから相対効力を計算する。
比較として、シングルプレックスECLサンドイッチELISAを用いて実施例6に記載されるようにSNAP−25切断生成物の検出をも実施した。
結果により、シングルプレックスECLサンドイッチELISAから得られたSNAP−25データにより、またはマルチプレックスECLサンドイッチELISAから得られた非正規化SNAP−25データから、用量−応答曲線に適合しなかった1つの異常値試料が表されることが示された。しかしながら、SNAP−25データのGAPDHデータに対する正規化により、良好な曲線適合が示され、そして効力が予期された値により近似した。
マルチプレックスECサンドイッチELISAを使用してBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法
以下の実施例はSNAP−25切断生成物に特異的なα−SNAP−25モノクローナル抗体および異なるタンパク質に関する第2の抗体対を使用してSNAP−25切断生成物を検出することによりBoNT/A活性を検出するマルチプレックス免疫基盤の方法を例証する。
BoNT/Aで処理された細胞からライゼートを実施例6に記載されるように調製した。α−SNAP−25捕捉抗体溶液、α−SNAP−25検出抗体溶液およびα−SNAP−25固相支持体を実施例7に記載されるように調製した。
α−GAPDH捕捉抗体溶液を調製するために、α−GAPDHモノクローナル抗体MAB374(Millipore, Billerica, MA)を精製された抗体として購入した。α−GAPDH検出抗体溶液を調製するために、α−GAPDHポリクローナル抗体G9545(Sigma, St. Louis, MO)を製造者の説明書に従って(Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL)西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に抱合させた。抱合反応、濃度決定および保存は実施例7に記載されたとおりであった。
第2のタンパク質に特異的な第2の捕捉抗体を含んでなる固相支持体を調製するために、1μg/mlα−GAPDHモノクローナル抗体MAB374を含んでなるモノクローナル抗体溶液およそ100μLを96ウェルGreinerホワイトプレートの各ウェルに添加し、そして4℃で一晩インキュベートし、そして次に過剰の抗体溶液を捨てた。次いで2%Amersham遮断試薬(GE Life Sciences, Piscataway, NJ)および10%ヤギ血清(VWR, West Chester, PA)を含んでなる遮断バッファー150μLを室温で1時間添加することにより、α−GAPDH捕捉抗体結合ウェルを遮断した。遮断バッファーを捨て、そしてプレートをペーパータオル上でひっくり返し、そして軽くたたくことによりブロット乾燥した。次いで捕捉抗体結合ウェルを遮断し、そしてBoNT/A活性を直接検出するために使用した。
マルチプレックスCLサンドイッチELISA分析によりSNAP−25切断生成物の存在を検出するために、BoNT/Aで処理された細胞からの細胞ライゼート50μLをα−SNAP−25捕捉抗体固相支持体およびα−GAPDH捕捉抗体固相支持体の各ウェルに添加し、プレートを密閉し、そして密閉されたプレートを500rpmで回転している振盪機上で4℃で2−4時間から一晩インキュベートした。細胞ライゼートを吸引し、そして1×PBS、0.05%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで各ウェルを3回濯ぐことによりプレートウェルを3回洗浄した。洗浄後、1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)中2%Amersham遮断試薬を含んでなる検出抗体溶液100μLおよび1mg/mL α−SNAP−25ポリクローナル抗体/HRPを、α−SNAP−25捕捉抗体固相支持体の各ウェルに添加し、プレートを密閉し、そして密閉されたプレートを650rpmで回転している振盪機上で室温で1時間インキュベートした。類似して1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)中2%Amersham遮断試薬を含んでなる検出抗体溶液100μLおよび0.25mg/mL α−GAPDH G9545ポリクローナル抗体/HRP(Sigma Co., St Louis, MO)を、α−GAPDH捕捉抗体固相支持体の各ウェルに添加し、プレートを密閉し、そして密閉されたプレートを室温で650rpmで回転している振盪機上に室温で1時間置いた。検出抗体をインキュベートした後、ウェルを1×PBS、0.05%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで3回洗浄した。洗浄後、SuperSignal ELISA Pico 1:1混合物(Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL)100μLを各ウェルに添加し、ルミノメーター(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を使用して395nmで読み取った。収集されたデータを分析し、そして実施例5に記載されるようにEC50を計算した。結果により、検出されたα−SNAP−25抗体−抗原複合体の量に関して収集されたデータポイントは、検出されたα−GAPDH抗体−抗原複合体の量に対して正規化された後に良好に適合し、それによりさらに正確な読みを生じることが示された。これらの結果により、下の漸近線に関するシグナル対ノイズ比約15:1から約20:1および上の漸近線に関するシグナル対ノイズ比約20:1から約500:1でEC50のBoNT/A代表値1.0pMが検出される(約0.3pMから約2.0pMの範囲)ことが示された。
類似の設計を、同じα−GAPDH抗体対を伴うECLサンドイッチELISAを用いてBoNT/A切断部位切断可能結合のP1残基でカルボキシル末端を有するSNAP−25切断生成物に特異的なα−SNAP−25モノクローナル抗体を使用してSNAP−25切断生成物を検出することによりBoNT/A活性を検出するマルチプレックス免疫基盤の方法に用いることができる。
ピコモル濃度量のBoNT/Aを検出するための免疫基盤の方法
以下の実施例はピコモル濃度量の、例えばBOTOX(登録商標)、DYSPORT(登録商標)/RELOXIN(登録商標)、PURTOX(登録商標)、XEOMIN(登録商標)、NEURONOX(登録商標)またはBTX−AのようなBoNT/A医薬品を検出することができるBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法を実施する仕方を例証する。
1. ECLサンドイッチELISAを用いてBoNT/Aを検出する免疫基盤の方法
BoNT/Aで処理された細胞からライゼートを調製するために、確立された細胞株からおよそ50,000から150,000セルを、最小必須培地、アール塩を伴う2mM GlutaMAX(商標)I、1×B27サプリメント、1×N2サプリメント、0.1mM非必須アミノ酸、10mM HEPESおよび25μg/mL GT1bを含有する血清不含培地100μLを含有する96ウェル組織培養ポリ−D−リジンプレートのウェルに蒔いた(実施例1および2参照)。これらの細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、成長抑止および神経突起伸長のような標準的および日常的な形態学基準により評価されるように細胞が分化するまで(およそ2から3日)インキュベートした。分化型細胞からの培地を各ウェルから吸引し、そして塩化ナトリウム不含溶液で再構成された0(未処理試料)、0.03pM、0.1pM、0.3pM、0.9pM、2.8pM、8.3pMもしくは25pM BoNT/A医薬品;または塩化ナトリウム不含溶液で再構成された0(未処理試料)、0.7単位/mL、2.1単位/mL、6.2単位/mL、18.5単位/mL、55.6単位/mL、166.7単位/mLもしくは500単位/mL BoNT/A医薬品のいずれかを含有する新鮮培地で置き換えた。BoNT/A医薬品は塩化ナトリウムを含有するので、培養培地へのその添加は、細胞生存性に有害である高張培地を招いた。高張の問題を免れるために、塩化ナトリウムを伴わずに作成されたMEM培地200μLを使用してBoNT/A医薬品を再構成して、最終濃度25pM BoNT/A(500単位/mL)が得られた。希釈を、用いられた最高濃度(25pMまたは500単位/mL)で存在する賦形剤の量に対応させるために、使用された培地に塩化ナトリウムを添加することにより、全濃度に関して用量−応答曲線に沿ってマトリックスを一定に保った。24時間の処理の後、細胞を洗浄し、そして毒素を伴わずにさらに2日間インキュベートした。細胞を採取するために培地を吸引し、1×PBSで洗浄し、そして50mM HEPES、150mM NaCl、1.5mM MgCl2、1mM EGTA、1%Triton X−100を含んでなる溶解バッファーを各ウェルに添加することにより溶解し、そしてプレートを500rpmで回転している振盪機上で4℃で30分間インキュベートした。プレートを4000rpm、4℃で20分間遠心して、細胞デブリをペレット化し、そして上澄を捕捉抗体コーティングされた96ウェルプレートに移して検出工程を実施した。
α−SNAP−25捕捉抗体溶液、α−SNAP−25検出抗体溶液、およびSNAP−25切断生成物に特異的である捕捉抗体を含んでなる固相支持体を実施例6に記載されるように調製した。
ECLサンドイッチELISA分析によりSNAP−25切断生成物の存在を検出するために、保存されたプレートから遮断バッファーを吸引し、BoNT/Aで処理された細胞からのライゼート25μLを各ウェルに添加し、そしてプレートを4℃で2時間または24時間のいずれかでインキュベートした。細胞ライゼートを吸引し、そして1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで各ウェルを3回濯ぐことによりプレートウェルを3回洗浄した。洗浄後、1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)中2%Amersham遮断試薬を含んでなる5μg/mL α−SNAP−2検出抗体溶液25μLを各ウェルに添加し、プレートを密閉し、そして密閉されたプレートを室温で1時間振盪しながらインキュベートした。α−SNAP−25検出抗体をインキュベートした後、ウェルを1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで3回洗浄した。洗浄後、プレートを加工し、収集されたデータを分析し、そして実施例5に記載されるようにEC50を計算した。これらの結果により、下の漸近線に関するシグナル対ノイズ比約15:1から約20:1および上の漸近線に関するシグナル対ノイズ比約20:1から約500:1でEC50のBoNT/A代表値1.0pMが検出された(約0.3pMから約2.0pMの範囲)(図9)。この方法を実施例8に記載されるようにマルチプレックス様式で実施することもできる。
2. CLサンドイッチELISAを用いてBoNT/Aを検出する免疫基盤の方法
BoNT/Aで処理された細胞からのライゼートおよびα−SNAP−25捕捉抗体溶液を実施例6に記載されるように調製する。α−SNAP−25検出抗体溶液およびSNAP−25切断生成物に特異的である捕捉抗体を含んでなる固相支持体を実施例7に記載されるように調製する。
CLサンドイッチELISA分析によりSNAP−25切断生成物の存在を検出するために、BoNT/Aで処理された細胞からのライゼート25μLを各ウェルに添加し、プレートを密閉し、そして密閉されたプレートを500rpmで回転している振盪機上で4℃で2時間または24時間のいずれかでインキュベートした。細胞ライゼートを吸引し、そして1×PBS、0.05%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで各ウェルを3回濯ぐことによりプレートウェルを3回洗浄する。洗浄後、1×PBS、0.1%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)中2%Amersham遮断試薬を含んでなる1mg/mL α−SNAP−25ポリクローナル抗体/HRP検出抗体溶液100μLを各ウェルに添加し、プレートを密閉し、そして密閉されたプレートを650rpmで回転している振盪機上で室温で1時間インキュベートした。検出抗体をインキュベートした後、ウェルを1×PBS、0.05%TWEEN−20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレアート)200μLで3回洗浄する。洗浄後、SuperSignal ELISA Pico 1:1混合物(Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL)100μLを各ウェルに添加し、ルミノメーター(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を使用して395nmで読み取る。収集されたデータを分析し、そして実施例5に記載されるようにEC50を計算する。この方法を実施例8に記載されるようにマルチプレックス様式で実施することもできる。
α−BoNT/A中和抗体を検出する免疫基盤の方法
以下の実施例はα−BoNT/A中和抗体の存在を検出することができる免疫基盤の方法を実施する仕方を例証する。
BoNT/Aは現在、筋肉運動亢進、眼科、胃腸管、泌尿器科および化粧品を含む広範囲の医療適用に使用されている。BoNT/Aの長期間処置を繰り返すと、患者は毒素に対するα−BoNT/A中和抗体を発達させて、免疫抵抗性に至り得る。α−BoNT/A中和抗体はBoNT/Aの結合ドメイン(HC)および/または転位置ドメイン(HN)に結合することにより、毒素のニューロン細胞への取り込みを停止させることによりBoNT/A活性を阻止する。いくつかの研究により、ジストニアに関してBoNT/Aの処方で繰り返し処置された患者の5−10%までが、α−BoNT/A中和抗体を発達させることによる免疫抵抗性を有することが示唆されている。患者の血液中のα−BoNT/A中和抗体の存在を決定するための確立されたアッセイは、マウス保護アッセイ(MPA)である。現在はBoNT/Aはマウスへの注射の前に患者の血清と共にインキュベートされる。抗体の存在は、動物における神経毒に対する応答の低下により顕在化される。MPAはビボ基盤のアッセイであるので、それが細胞基盤のアッセイで置き換えられると、費用および時間がさらに効率的になるであろう。
α−BoNT/A中和抗体の存在または不在を検出するために、本明細書に開示されるBoNT/A活性を決定する免疫基盤の方法を用いることができる。1つの方式はウェスタンブロット検出法を用いて、種々の濃度のBoNT/Aでの処理の後に存在するSNAP−25切断生成物の量を決定することであり、もう1つの方式はECLサンドイッチELISA検出法を用いることであった。
α−BoNT/A中和抗体および、α−BoNT/A中和抗体を欠如することが解っている陰性対照試料を含んでなる試料を調製するために、異なる個体の血液から血清を単離した。免疫が減衰している個体をナイーブな個体と称した。免疫を獲得している個体を免疫された個体と称した。血液を凝固促進剤(BD Biosciences, Bedford, MA)の入った血清管に入れた。血液を1,000×g、4℃で10分間遠心することにより血清が得られた。2人のドナーの血清が得られた:一方の固体はBoNT/Aに対して免疫されたが、他方はされなかった。
BoNT/Aを含んでなる試料で処理された細胞からライゼートを調製するために、SiMa細胞を実施例6に記載されるようにポリ−D−リジン96ウェルプレートに播種し、そして分化させた。血清不含培地を使用して2.5倍増でヒト血清を1:100−1:152,000に連続希釈した。BoNT/AをSiMa培養培地0.5mL中10pMの濃度で懸濁した。BoNT/Aおよびα−BoNT/A抗体を含有する培地を混合し、そして室温で15分間または1時間インキュベートした。ヒト血清を伴うBoNT/Aで細胞を2時間処理し、続いて新鮮成長培地中15時間インキュベートした。細胞をまたさらなるインキュベーション時間なしに15時間処理した。
ウェスタンブロット分析によりSNAP−25切断生成物の存在を検出するために、培地を各ウェルから吸引し、細胞をSDS−PAGE負荷バッファー50μLに懸濁し、そして次に95℃まで5分間加熱した。12%26ウェルCriterionゲル(Bio−Rad Laboratories, Hercules, CA)を使用して採取された試料をSDS−PAGEにより分離する以外は実施例1に記載されるように、各採取された試料からのアリコートをウェスタンブロットにより分析し、そしてウサギポリクローナルα−SNAP−25197抗体血清を一次抗体として使用した(実施例4参照)。結果により、陰性対照試料と比較した場合、被験試料はSNAP25の切断低減を招いたことが示され、それにより免疫された個体からの血清がα−BoNT/A中和抗体を含有したことが実証される。
ECLサンドイッチELISAによりSNAP−25切断生成物の存在を検出するために、培地を各ウェルから除去し、そして細胞を実施例5に記載されるように溶解した。α−SNAP−25捕捉抗体溶液、α−SNAP−25検出抗体溶液およびα−SNAP−25固相支持体を実施例7に記載されるように調製した。上澄をα−SNAP−25固相支持体に移し、そしてECLサンドイッチELISAアッセイを実施例5に詳記されるように実施した。収集されたデータを分析し、そしてEC50がBoNT/Aの活性をその最大の1/2まで阻止するために必要な血清希釈であり、そして血清の最高希釈で得られたSNAP−25切断生成物シグナルを最低血清希釈で得られたシグナルで除することにより、最大シグナル(シグナルMax)の最小シグナル(シグナルMin)に対する比が得られた以外は実施例5に記載されるようにEC50を計算した。
結果により、ヒト血清におけるα−BoNT/A中和の存在を検出できることが示される。免疫された個体からの血清中でインキュベートされたBoNT/A複合体の活性は血清希釈が低下するのにつれて低下したが、一方ナイーブな血清の存在は試験されたどの希釈でもアッセイに及ぼす影響力はなかった。処方されたBoNT/A医薬品、バルクBoNT/A複合体または精製された神経毒を使用してこのアッセイを実施することができる。
操作された細胞を使用してBoNT/A活性を検出する免疫基盤の方法
以下の実施例はBoNT/A受容体をコードするポリヌクレオチド分子を確立された細胞株からの細胞に導入して、BoNT/A中毒に対する感受性をさらに改善するか、またはBoNT/A取り込み受容力を改善する仕方を例証する。
外因性BoNT/A受容体を確立された細胞株を含んでなる細胞に導入するために、カチオン性脂質法により配列番号:59のFGFR2をコードする配列番号:130のポリヌクレオチド分子、または配列番号:25のFGFR3をコードする配列番号:139のポリヌクレオチド分子を含んでなる発現構築物を確立された細胞株からの細胞にトランスフェクトした。適当な密度(約5×106セル)の確立された細胞株からの細胞を、完全培養培地5mLを含有する100mm組織培養皿に蒔き、そして37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、細胞がトランスフェクションに適切な密度に到達するまで成長させる。室温で5分間インキュベートされたLipofectAmine 2000(Invitrogen, Carlsbad, CA)60μLを含有するOPTI−MEM還元型血清培地1.5mLを、FGFR2もしくはFGFR3をコードする発現構築物24μg、または緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする対照発現構築物を含有するOPTI−MEM還元型血清培地1.5mLに添加することによりトランスフェクション溶液3mLを調製する。このトランスフェクション混合物を室温でおよそ30分間インキュベートした。完全培地をトランスフェクション溶液3mLで置き換え、そして細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下でおよそ8時間インキュベートする。トランスフェクション培地を新鮮完全培地3mLで置き換え、そして細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下でおよそ24時間インキュベートする。培地を、およそ1mM G418(Invitrogen, Carlsbad, CA)を含有する新鮮完全培地3mLで置き換える。細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下でおよそ1週間インキュベートし、古い培地を、0.5mM G418を含有する新鮮完全培養培地で置き換える。一度抗生物質抵抗性コロニーが確立されると、抵抗性コロニーを、およそ0.5mM G418を補充した新鮮完全培養培地を含有する新しい100mm培養プレートに、これらの細胞が6から20×105セル/mLの密度に到達するまで再度蒔く。
BoNT/A受容体の過剰発現がBoNT/A中毒に対する細胞感受性を改善したか、またはBoNT/A取り込み受容力を改善したかどうかを決定するために、様々な用量のBoNT/A複合体で処理された細胞を使用して用量−応答曲線を作成した。BoNT/Aで処理された細胞からライゼートを調製するために、確立されたトランスフェクトされた細胞株からの適当な密度の細胞を、適切な血清不含培地(表5)100μLを含有する96ウェル組織培養プレートのウェルに蒔いた。これらの細胞を37℃のインキュベーター中5%二酸化炭素下で、成長抑止および神経突起伸長のような標準的および日常的な形態学基準により評価されるように細胞が分化するまで(およそ3日)インキュベートした。分化型細胞からの培地を各ウェルから吸引し、そしてSiMaまたはPC12トランスフェクトされた細胞株を含んでなる細胞に関しては0(未処理試料)、0.01nM、0.04nM、0.12nM、0.37nM、1.1nM、3.3nMおよび10nM BoNT/A複合体;ならびにNeuro−2aトランスフェクトされた細胞株を含んでなる細胞に関しては0(未処理試料)、0.14nM、0.40nM、1.2nM、3.7nM、11nM、33nMおよび100nM BoNT/A複合体のいずれかを含有する新鮮培地で置き換えた。細胞をBoNT/A含有培地で6時間処理し、続いて新鮮培地を伴って15時間インキュベートし、そして2×SDS−PAGE負荷バッファー40μlを添加し、そしてプレートを95℃まで5分間加熱することにより採取した。
SNAP−25切断生成物の存在を検出するために、12%26ウェルCriterionゲル(Bio−Rad Laboratories, Hercules, CA)を使用して採取された試料をSDS−PAGEにより分離する以外は実施例1に記載されるように、各採取された試料からのアリコートをウェスタンブロットにより分析し、そして以下の一次抗体を使用した:1:1,000希釈のウサギポリクローナルα−SNAP−25抗体血清(実施例4)(AGN、ポリクローナル抗体)、1:500希釈のα−FGFR2ウサギポリクローナルC−17(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)または1:500希釈のα−FGFR3ウサギポリクローナルC−15(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)。各試料からの目的のタンパク質の強度をImage Quant(GE Healthcare, Piscataway, NJ)を用いて計算し、そして細胞株の各々に関するEC50をSigmaPlotソフトウェアを用いて推定した。
結果により、FGFR2またはFGFR3でトランスフェクトされた細胞は、GFPでトランスフェクトされた細胞よりもさらにBoNT/Aに対して鋭敏であり、そしてまた高レベルのSNAP−25切断を示したことが示される(表14)。FGFR2またはFGFR3を過剰発現する細胞に関するEC50値は、GFPを過剰発現する細胞により呈されるEC50値よりも低く、それはFGFR2またはFGFR3の導入がBoNT/A中毒に対する細胞感受性を改善したか、またはBoNT/A取り込み受容力を改善したことを示している。
SNAP−25切断生成物の存在に関する検出を実施例6−10に記載されるようにサンドイッチELISAを用いて実施することもできる。
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1]担体、少なくとも3個のアミノ酸を含んでなる可動性リンカーおよび配列番号:148を含んでなるSNAP−25抗原を含んでなる組成物。
[2]可動性リンカーおよびSNAP−25抗原アミノ酸配列が配列番号:38である[2]に記載の組成物。
[3]単離されたα−SNAP−25抗体がSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合からのカルボキシル末端グルタミンを含んでなるエピトープに結合し;
α−SNAP−25抗体がSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のカルボキシル末端グルタミンを含まないエピトープに関して1×101M−1s−1未満の会合速度定数を有し;そして
α−SNAP−25抗体がそのエピトープに関して0.450nM未満の平衡解離定数を有する;
単離されたα−SNAP−25抗体。
[4]エピトープが配列番号:32である[3]に記載の単離されたα−SNAP−25抗体。
[5]a)配列番号:72、配列番号:74、配列番号:76、配列番号:80または配列番号:82を含んでなる重鎖可変領域;および
b)配列番号:84、配列番号:86、配列番号:88、配列番号:90または配列番号:92を含んでなる軽鎖可変領域;
を含んでなる単離されたα−SNAP−25抗体。
[6]a)配列番号:93、配列番号:121または配列番号:100を含んでなる重鎖可変領域;および
b)配列番号:105、配列番号:110または配列番号:115を含んでなる軽鎖可変領域;
を含んでなる単離されたα−SNAP−25抗体。
[7]少なくとも配列番号:100のVHCDR3、配列番号:101のVHCDR3または配列番号:102のVHCDR3を含んでなる単離されたα−SNAP−25抗体。
[8]a)確立された細胞株からの細胞をBoNT/Aを含んでなる試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞は約500pM以下のBoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い;
b)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合のカルボキシル末端グルタミンを有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;
c)SNAP−25構成要素を固相支持体に連結されたα−SNAP−25抗体と接触させること、
ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のカルボキシル末端グルタミンを含んでなるエピトープに結合し、α−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のカルボキシル末端グルタミンを含まないSNAP−25からのエピトープに関して1×101M−1s−1未満の会合速度定数を有し;そしてα−SNAP−25抗体はエピトープに関して0.450nM未満の平衡解離定数を有する;
d)α−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位切断可能結合からのカルボキシル末端グルタミンを有するSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること、
ここで抗体−抗原複合体による検出はBoNT/A活性の指標である;
の工程を含んでなるBoNT/A活性を検出する方法。
[9]SNAP−25切断生成物がSNAP−25197である[8]に記載の方法。
[10]抗体−抗原複合体の存在がサンドイッチELISAを使用して検出される[8]に記載の方法。
[11]方法が下の漸近線で少なくとも3:1のシグナル対ノイズ比および上の漸近線で少なくとも10:1のシグナル対ノイズ比を有する[8]に記載の方法。
[12]試料が多くても100pMのBoNT/Aを含んでなる[8]に記載の方法。
[13]確立された細胞株からの細胞が約100pM以下のBoNT/AによるBoNT/A中毒に感受性が高い[8]に記載の方法。
[14]方法がシングルプレックス様式またはマルチプレックス様式で実施される[8]に記載の方法。
[15]a)α−BoNT/A中和抗体の存在または不在に関して試験中の哺乳動物から得られた被験試料にBoNT/Aを添加すること;
b)確立された細胞株からの細胞を被験試料で処理すること、ここで確立された細胞株からの細胞はBoNT/A中毒に感受性が高い;
c)処理された細胞からBoNT/A切断部位切断可能結合からのカルボキシル末端グルタミンを有するSNAP−25切断生成物を含んでなるSNAP−25構成要素を単離すること;
d)SNAP−25構成要素を固相支持体に連結されたα−SNAP−25抗体に接触させること、ここでα−SNAP−25抗体は;
ここでα−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のカルボキシル末端グルタミンを含んでなるエピトープに結合し、α−SNAP−25抗体はSNAP−25切断生成物からのBoNT/A切断部位切断可能結合のカルボキシル末端グルタミンを含まないSNAP−25からのエピトープに関して1×101M−1s−1未満の会合速度定数を有し;そしてα−SNAP−25抗体はそのエピトープに関して0.450nM未満の平衡解離定数を有する;
e)α−SNAP−25抗体およびBoNT/A切断部位切断可能結合からのカルボキシル末端グルタミンを有するSNAP−25切断生成物を含んでなる抗体−抗原複合体の存在を検出すること;
f)被験試料の代わりに陰性対照試料で工程b−eを繰り返すこと、陰性対照試料はBoNT/A、およびα−BoNT/A中和抗体を含有しないことが解っている血清を含んでなる;ならびに
g)工程eで検出された抗体−抗原複合体の量を工程fで検出された抗体−抗原複合体の量と比較すること、
ここで工程fで検出された抗体−抗原複合体の量に相対して工程eで検出された抗体−抗原複合体のより少ない検出量はα−BoNT/A中和抗体の存在の指標である;
の工程を含んでなる哺乳動物におけるBoNT/A免疫抵抗性を決定する方法。