JP6521036B1 - 水系シーラー - Google Patents

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Abstract

【課題】付着性、及び耐久付着性に優れる水系シーラーを提供する。【解決手段】水性樹脂(N)を含有する主剤(A)と、硬化剤(B)とを含み、前記水性樹脂(N)は、コア部とシェル部とを含むコアシェル構造をとり、前記シェル部が、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー由来の構成単位と、カルボキシル基、及びアミノ基を有さないエチレン性不飽和モノマー由来の構成単位と、を含有する第2樹脂を含み、前記水性樹脂(N)の質量平均分子量が10,000〜200,000であり、前記硬化剤(B)は、アミノ基を有するオルガノシランを含有する水系シーラー。【選択図】なし

Description

本発明は、水系シーラーに関する。
建築物の外壁、及び屋根等の表面を保護する塗膜は、風雨、熱、寒気、及び光等の刺激によって次第に劣化し、塗膜本来の機能が失われてしまう。このように劣化した古い塗膜(以下、「旧塗膜」とも記す。)は、その上から新たに塗料を上塗りして補修されている。
旧塗膜の組成、及び化学的特性等は、一様ではない。そのため、旧塗膜の上から新たに上塗りする塗料は、常に旧塗膜に対して優れた付着性を示すとは限らない。そこで、シーラー等の下塗り塗料が用いられる。シーラー等は、粘度が低く、様々な旧塗膜の表面から内部に浸透し、付着層を形成して、上塗り塗料と旧塗膜との付着性を向上させている。これにより上塗り塗料が、塗り替え後に被補修材の表面から剥離することを防止している。
ところが近年、無機質を含む塗料から形成された塗膜(以下、「無機塗膜」とも記す。)が、窯業建材のサイディングボード等に使用されるようになってきた。無機塗膜の表面は、一般的に表面平滑性に富み、緻密である。よって、通常のシーラー等は、無機塗膜の表面から内部に浸透しにくく、無機塗膜の上に良好な付着層を形成しにくい。仮に付着層が形成されたとしても、付着性が低いため、熱などの外的刺激に対して耐久性が低く、補修後の塗膜が比較的短期間ではがれ落ちてしまう。
したがって被補修材用のシーラーに対しては、上塗り塗料と、表面平滑性が高く緻密な無機塗膜とに対して優れた付着性を示すこと(付着性)、及び補修後の塗膜が被補修材の表面からはがれ落ちないこと(耐久付着性)が求められている。また、環境保護、及び補修施工時の安全性の観点から、被補修材用のシーラーとしては、水性媒体を多く含む水系シーラーであることが求められている。
無機塗膜と、有機物の上塗り塗料との双方に対する付着性を付与する方法として、アクリル変性エポキシ樹脂を含むカチオン性の水系シーラー(特許文献1)、及びグリシジル基を有する重合体を含む水性シーラー組成物(特許文献2,3)が提案されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の水系シーラー等は、無機塗膜の表面に対して付着性を十分に発揮できないことがあり、耐久付着性が低下することがあった。すなわち、特許文献1〜3に記載の水系シーラー等は、付着性、及び耐久付着性が不十分であった。
特開平8−295832号公報 特開平11−199825号公報 特開2000−264934公報
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、付着性、及び耐久付着性に優れる水系シーラーを提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、従来の水系シーラー等が良好な付着性を発揮できない被補修材の表面の珪素含有率が20%以上であることを突き止めた。そこで本発明の発明者らは、種々の条件について鋭意検討し、表面の珪素含有率が20%以上であっても優れた付着性、及び耐久付着性を示す水系シーラーを開発することに成功し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
[1] 水性樹脂(N)を含有する主剤(A)と、硬化剤(B)とを含み、前記水性樹脂(N)は、コア部とシェル部とを含むコアシェル構造をとり、前記コア部が、カルボキシル基、及びアミノ基を有さないエチレン性不飽和モノマー由来の構成単位を含有する第1樹脂と、エポキシ樹脂と、を含み、前記シェル部が、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー由来の構成単位と、カルボキシル基、及びアミノ基を有さないエチレン性不飽和モノマー由来の構成単位と、を含有する第2樹脂を含み、前記エポキシ樹脂の含有量が、前記第1樹脂と前記第2樹脂と前記エポキシ樹脂との合計100質量%に対して5〜20質量%であり、前記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー由来の構成単位の含有量が、前記第1樹脂と前記第2樹脂と前記エポキシ樹脂との合計100質量%に対して2〜8質量%であり、前記第1樹脂と前記エポキシ樹脂との合計質量(wグラム)と前記第2樹脂の質量(wグラム)との比(w/w)が40/60〜60/40であり、前記水性樹脂(N)の質量平均分子量が10,000〜200,000であり、前記水性樹脂(N)の平均粒子径が0.08〜0.20μmであり、前記硬化剤(B)は、アミノ基を有するオルガノシランを含有し、前記硬化剤(B)の有効成分質量(Qグラム)を主剤(A)の固形分質量(Qグラム)で除した値(Q/Q)が0.05〜1.0である水系シーラー。
[2] 前記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマーがアクリル酸、及びメタクリル酸の少なくとも一方である[1]に記載の水系シーラー。
[3] 前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂である[1]又は[2]に記載の水系シーラー。
[4] 前記アミノ基を有するオルガノシランが、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも一つである[1]〜[3]のいずれかに記載の水系シーラー。
[5] 前記主剤(A)が炭酸カルシウムを含む[1]〜[4]のいずれかに記載の水系シーラー。
本発明によれば、付着性、及び耐久付着性に優れる水系シーラーを提供できる。
以下の用語の定義は、本明細書、及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「主剤」とは、水性樹脂の粒子が水等の水性媒体に分散している液体を意味する。
「硬化剤」とは、主として水性樹脂を硬化することができる添加剤を意味する。
「コアシェル構造」とは、中心部分の樹脂組成と、中心部分の周囲を取り囲む外殻部分の樹脂組成が異なっている二重構造を意味する。ここで中心部分を「コア部」と記すことがあり、外殻部分を「シェル部」と記すことがある。
「質量平均分子量(Mw)」とは、水性樹脂を溶媒(テトラヒドロフラン(THF))に溶解し、水性樹脂が架橋を形成しないと仮定してゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した値である。
「平均粒子径」とは、「レーザー動的光散乱測定装置」(大塚電子社製)により測定される値である。
「硬化剤の有効成分質量」とは、希釈媒体以外の成分の質量である。
「主剤の固形分質量」とは、主剤を135℃で1時間乾燥した後の蒸発残分の質量である。
「表面の硅素含有率」とは、水系シーラーによる補修対象となる被補修材の表面の塗膜中に含まれる全元素に対する珪素元素の含有率である。ただし、ここでいう全元素とは、水素等の軽元素を含まない。硅素含有率は、エネルギー分散型X線分光器(EDS)により測定される値である。
<水系シーラー>
本発明の水系シーラーは、主剤(A)と、硬化剤(B)とを含む。
本発明の水系シーラーは、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、主剤(A)、及び硬化剤(B)以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
(主剤)
本発明の水系シーラーは、主剤(A)を含む。主剤(A)は、後述する水性樹脂(N)が水等の水性媒体に分散した水性樹脂組成物である。本発明の水系シーラーは、主剤(A)を含むことにより、表面の硅素含有率が20%以上であっても、被補修材の上に付着層を形成し、成膜することができる。
主剤(A)は水性樹脂(N)を含有する。主剤(A)は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、水性樹脂(N)以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。
例えば、主剤(A)は、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、カオリン、及び硫酸バリウム等の無機物を含んでいてもよい。主剤(A)が無機物を含む場合、これらの中でも混和安定性とコストの観点から、炭酸カルシウムが好ましい。
(水性樹脂)
水性樹脂(N)は、コア部とシェル部とを含むコアシェル構造をとる。水性樹脂(N)は、水等の水性媒体に分散してエマルジョンを形成する。
コア部は、カルボキシル基、及びアミノ基を有さないエチレン性不飽和モノマー(以下、「モノマー(n1)」とも記す。)由来の構成単位を含有する第1樹脂と、エポキシ樹脂と、を含む。すなわち、コア部の樹脂組成は、第1樹脂と、エポキシ樹脂とを含む組成である。
コア部がモノマー(n1)由来の構成単位を含有する第1樹脂を含むことにより、コア部に含まれるエポキシ樹脂と、後述する硬化剤(B)との反応を抑制することができる。そのため、本発明の水系シーラーによって形成された膜表面にエポキシ樹脂由来のエポキシ基が未反応のまま残存しやすくなる。膜表面に未反応のエポキシ基が残存すると、本発明の水系シーラーによって形成される膜と、上塗り塗料との付着性が向上しやすい。したがって、コア部が第1樹脂を含むことにより、本発明の水系シーラーの付着性が優れる。
モノマー(n1)の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルn−ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸イソボルニル、及びアクリル酸メトキシポリエチレングリコール等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルn−ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ノニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸イソボルニル、及びメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール等のメタクリル酸エステル類;スチレン、αメチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ビニルナフタレン、及びビニルピリジン等の芳香族ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、及びジアセトンアクリルアミド等のアミドモノマー;ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の多官能重合性モノマー;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等の上記の化合物以外のビニル化合物等が挙げられる。
第1樹脂が含有するモノマー(n1)由来の構成単位の含有量は、第1樹脂と後述する第2樹脂と後述するエポキシ樹脂との合計100質量%に対して20〜55質量%であることが好ましい。第1樹脂が含有するモノマー(n1)由来の構成単位の含有量が20質量%未満であると、耐久付着性が損なわれやすい。第1樹脂が含有するモノマー(n1)由来の構成単位の割合が55質量%を超えると、常態付着性が低下しやすい。
第1樹脂は、モノマー(n1)以外のモノマー由来の構成単位を含んでもよい。かかるモノマーとしては、カルボキシル基、及びアミノ基を有さず、かつ、エポキシ基と反応性を有する官能基を有さないモノマーであれば特に限定されない。
エポキシ樹脂は、主に、水性樹脂(N)の濡れ性、及び含浸性に寄与する。コア部がエポキシ樹脂を含むことにより、本発明の水系シーラーの付着性が優れる。
コア部に含まれるエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂であることが好ましい。また、コア部に含まれるエポキシ樹脂のエポキシ当量は、170〜210g/eqであることが好ましい。エポキシ当量が前記下限値以上であれば、耐久付着性がさらに優れる。エポキシ当量が前記上限値以下であれば、常態付着性がさらに優れる。
コア部は、エポキシ樹脂の存在下で、モノマー(n1)を重合することで合成することができるが、特に制限されない。
また、コア部は、第1樹脂、及びエポキシ樹脂以外の樹脂を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。第1樹脂、及びエポキシ樹脂以外の樹脂としては、エポキシ基と反応性を有する官能基を有さない樹脂であれば特に制限されない。
シェル部は、上述したモノマー(n1)由来の構成単位と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー(以下、「モノマー(n2)」とも記す。)由来の構成単位と、を含有する第2樹脂を含む。すなわち、シェル部の樹脂組成は、第2樹脂を含む組成である。
シェル部が第2樹脂を含むことにより、主剤(A)が後述する硬化剤(B)との間で架橋を形成することができ、本発明の水系シーラーの耐久付着性が優れる。
シェル部に含まれる第2樹脂が、モノマー(n2)由来の構成単位を含有することにより、モノマー(n2)由来のカルボキシル基が後述する硬化剤(B)と反応し、水性樹脂(N)と硬化剤(B)との間で架橋を形成することができる。
モノマー(n2)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、及び無水マレイン酸等が挙げられる。これらの中でも、モノマー(n1)との共重合性に優れる点から、モノマー(n2)はアクリル酸、及びメタクリル酸の少なくとも一方であることが好ましい。
第2樹脂が含有するモノマー(n1)由来の構成単位の含有量は、第1樹脂と第2樹脂とエポキシ樹脂との合計100質量%に対して37〜59質量%であることが好ましく、39〜55質量%であることがより好ましい。第2樹脂が含有するモノマー(n1)由来の構成単位の含有量が37質量%未満であると、常態付着性が損なわれやすい。第2樹脂が含有するモノマー(n1)由来の構成単位の割合が59質量%を超えると、耐久付着性が低下しやすい。
第2樹脂が含有するモノマー(n2)由来の構成単位の含有量は、第1樹脂と第2樹脂とエポキシ樹脂との合計100質量%に対して2〜8質量%であり、3〜6質量%であることが好ましい。第2樹脂が含有するモノマー(n2)由来の構成単位の含有量が2質量%未満であると、水性樹脂(N)のエマルジョンの安定性が損なわれやすい。第2樹脂が含有するモノマー(n2)由来の構成単位の含有量が8質量%を超えると、本発明の水系シーラーの耐水性、耐アルカリ性、及び耐候性等が低下し、耐久付着性が低下しやすい。
シェル部は、モノマー(n1)とモノマー(n2)とを共重合することで合成することができるが、特に制限されない。
また、シェル部は、第2樹脂以外の樹脂を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。第2樹脂以外の樹脂としては、後述する硬化剤(B)との架橋反応を阻害しない樹脂であれば特に制限されない。
コア部に含まれるエポキシ樹脂の含有量は、水性樹脂(N)に含まれる第1樹脂と第2樹脂とエポキシ樹脂との合計100質量%に対して5〜20質量%である。エポキシ樹脂の含有量が、水性樹脂(N)に含まれる第1樹脂と第2樹脂とエポキシ樹脂との合計100質量%に対して5質量%未満であると、エポキシ樹脂の濡れ性、及び含浸性が低下し、無機質との親和性が弱く、本発明の水系シーラーの付着性が低下しやすい。
エポキシ樹脂の含有量が、水性樹脂(N)に含まれる第1樹脂と第2樹脂とエポキシ樹脂との合計100質量%に対して20質量%を超えると、本発明の水系シーラーの耐久付着性が低下しやすい。
第1樹脂とエポキシ樹脂との合計質量(wグラム)と第2樹脂の質量(wグラム)との比(w/w)は、40/60〜60/40である。w/wが40/60未満であると、本発明の水系シーラーの浸透性が低下し、付着性が低下しやすい。w/wが60/40を超えると、主剤(A)が後述する硬化剤(B)との間で架橋を十分に形成しにくくなり、本発明の水系シーラーの耐久付着性が低下しやすい。
水性樹脂(N)の質量平均分子量は10,000〜200,000であり、10,000〜100,000であることが好ましい。水性樹脂(N)の質量平均分子量が10,000未満であると、耐水性、及び耐アルカリ性が低下し、耐久付着性が低下する傾向がある。水性樹脂(N)の質量平均分子量が200,000を超えると、被補修材に対する浸透性が低下し、本発明の水系シーラーの付着性が低下しやすい。
水性樹脂(N)の平均粒子径は、0.08〜0.20μmであり、0.10〜0.18μmであることが好ましい。水性樹脂(N)の平均粒子径が0.08未満であると、粒子安定化のために親水成分が増すため、本発明の水系シーラーの耐水性、及び耐アルカリ性が低下し、耐久付着性が低下しやすい。水性樹脂(N)の平均粒子径が0.20を超えると、被補修材に対する浸透性が低下し、本発明の水系シーラーの付着性が低下しやすい。
主剤(A)の製造方法は特に制限されないが、乳化重合法によりエマルジョンを合成する方法で製造することができる。さらに、コアシェル構造を実現するために、二段乳化重合法、及びシード重合法等を用いることができる。通常、水性樹脂(N)を重合した後の水性樹脂組成物は半透明液体となり、微細な水性樹脂(N)が水性媒体に均一分散したものとすることができる。また、水性樹脂(N)の分子量(Mw)を調整するために、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤の具体的例としては、n−ドデシルメルカプタン、及びn−オクチルメルカプタン等を挙げることができる。
主剤(A)を乳化重合法により製造する場合、乳化剤は共重合性の乳化剤であることが好ましい。かかる乳化剤を用いた乳化重合法で製造されるエマルジョンは、耐水性、耐候性、付着性、及び耐泡立ち性等に優れるため、水系シーラーに好適に用いることができる。共重合性の乳化剤の具体例としては、エレミノールJS20(三洋化成工業社製)、アントックスMS2N(日本乳化剤社製)、アントックスSAD(日本乳化剤社製)、ラテムルPD104(花王社製)、アデカリアソープSR10(ADEKA社製)、アデカリアソープSR10N(ADEKA社製)、アデカリアソープER20(ADEKA社製)、アデカリアソープNE10(ADEKA社製)、アクアロンKH10(第一工業製薬社製)、アクアロンHS10(第一工業製薬社製)、アクアロンRN20(第一工業製薬社製)などが挙げられる。
主剤(A)を乳化重合法により製造する場合、重合開始剤としては、tert−ブチルヒドロパーオキシド、及びtert−ブチル−α−クミルパーオキシド等の有機過酸化物、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、並びに過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。なお、これらの重合開始剤と還元剤とを組み合わせて重合反応を速めてもよい。
水性樹脂(N)を重合した後、主剤(A)の添加物として防腐剤、消泡剤、造膜助剤、凍結防止剤、無機顔料等を用いることができる。造膜助剤の具体例としては、テキサノール(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール1−イソブチレート)、TXIB(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジイソブチレート)、ブチルセロソルブ、ブチルカービトール、及びブチルカービトールアセテート等が挙げられる。凍結防止剤の具体例としてはプロピレングリコール、及びエチレングリコール等を挙げることができる。また無機顔料としては炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、カオリン、及び硫酸バリウム等を挙げることができる。無機顔料としては、混和安定性とコストの観点から、炭酸カルシウムが好ましい。
(硬化剤)
本発明の水系シーラーは、硬化剤(B)を含む。硬化剤(B)は、アミノ基を有するオルガノシランを含有する。硬化剤(B)がアミノ基を有するオルガノシランを含有することにより、表面の硅素含有率が20%以上であっても、被補修材に対して優れた付着性を示すことができる。
また、硬化剤(B)が、アミノ基を有するオルガノシランを含有することにより、硬化剤(B)は、主剤(A)が含有する水性樹脂(N)が有するシェル部のカルボキシル基と反応し、架橋を形成することができる。よって、硬化剤(B)を含むことにより、本発明の水系シーラーは、主剤(A)によって成膜された表層の強度を増強することでき、優れた耐久付着性を発揮することができる。
以上より、本発明の水系シーラーは、硬化剤(B)を含むことにより、付着性、及び耐久付着性が優れる。
アミノ基を有するオルガノシランの具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アミノプロピルメチルジプロポキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−フェニル3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、アミノ基を有するオルガノシランとしては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシランは、架橋反応を速やかに生じ、かつ、架橋効果も高いため、これらのアミノ基を有するオルガノシランを硬化剤(B)が含有すると、付着性、並びに耐水性、耐アルカリ性、及び耐久性等の耐久付着性がさらに優れる。
本発明の水系シーラーは、硬化剤(B)の有効成分質量(Qグラム)を主剤(A)の固形分質量(Qグラム)で除した値(Q/Q)が0.05〜1.0であり、0.05〜0.40であることが好ましい。Q/Qが1.0を超えると、架橋効果が強過ぎるため、本発明の水系シーラーの被補修材への浸透性が低下し、本発明の水系シーラーの付着性が劣る傾向がある。また、Q/Qが0.05未満であると、架橋効果が弱いため、本発明の水系シーラーの耐水性、及び耐アルカリ性が低下し、耐久付着性が低下する傾向がある。
(他の成分)
本発明の水系シーラーは、必要に応じて公知の添加剤を含んでもよい。公知の添加剤としては、炭酸水素ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、及び塩化カリウム等の塩類;紫外線吸収剤;酸化防止剤;耐熱性向上剤;ヒドロキシエチルセルロース、及びポリビニルアルコール等の増粘剤;消泡剤;レベリング剤;たれ防止剤;艶消し剤;防腐剤;劣化防止剤等を挙げることができる。これらの添加剤はいずれか1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(作用効果)
以上説明した構成を具備する本発明の水系シーラーは、環境、及び安全の観点から、適切な水系シーラーであり、上塗り塗料との付着性に優れる。また、本発明の水系シーラーは、水性樹脂(N)の分子量が10,000〜200,000であるから、表面の硅素含有率が20%以上であっても被補修材の表面に浸透しやすい。
また、本発明の水系シーラーは、水性樹脂(N)が、第1樹脂とエポキシ樹脂を含むコア部と、第2樹脂を含むシェル部とを含むコアシェル構造をとるから、硬化剤(B)が、シェル部のカルボキシル基と十分に反応し、架橋を形成することができる。よって、本発明の水系シーラーは、無機塗膜の表面と優れた付着性を示し、成膜時の耐久性にも優れる。以上より、本発明の水系シーラーは、環境、及び安全の観点から適切なシーラーであり、表面の硅素含有率が20%以上であっても被補修材の表面に対して優れた付着性、及び耐久付着性を示す。
<被補修材>
本発明の水系シーラーの主な使用対象は、特に制限されるものではないが、表面の硅素含有率が20%以上である被補修材に対しても、優れた付着性、及び耐久付着性を発揮することができる。被補修材の表面の硅素含有率が20%以上であると、従来の水系シーラーでは被補修材の塗膜の内部に浸透し難く、付着性を示すことができない。なお、本発明の水系シーラーは、被補修材の表面の硅素含有率が20%未満である被補修材に対して、従来の水系シーラーと同様に優れた付着性、及び耐久付着性を示すことができる。被補修材の具体例としては、無機質を含む塗料が上塗りされた建材、及びタイル等が挙げられる。
<被補修材の補修方法>
本発明の水系シーラーは、表面の硅素含有率が20%以上である被補修材を補修する際に、特に好適に用いることができる。本発明の水系シーラーを用いた被補修材の補修方法は、具体的には、まず、被補修材の旧塗膜の表面からゴミ、及び汚れを可能な限り取り除く。次に、旧塗膜の上に本発明の水系シーラーを上塗りして、被補修材に付着させて、本発明の水系シーラーの膜を被補修材の旧塗膜の表面の上から形成する。その後、本発明の水系シーラーからなる膜の上から、必要に応じて任意の塗料を塗装することにより、被補修材を補修することができる。
本発明の水系シーラーは、表面の硅素含有率が20%以上である被補修材に対して優れた付着性、及び耐久付着性を発揮することができる。また、本発明の水系シーラーは、硬化剤がエポキシ基を有するオルガノシランを含有するので、有機物等を含む上塗り塗料に対しても優れた付着性を発揮することができる。なお、本発明の水系シーラーは、表面の硅素含有率が20%未満である被補修材を補修する際にも、好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の各例中、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。
実施例では下記の記載にしたがって、水性樹脂(N)の質量平均分子量、平均粒子径及び固形分質量を測定した。
水性樹脂(N)の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準ポリスチレン換算の値を測定した。
水性樹脂(N)の平均粒子径は、「レーザー動的光散乱測定装置」(大塚電子社製)により測定した。
主剤(A)の固形分質量(Q)は、主剤(A)を135℃で1時間乾燥した後の蒸発残分の質量を測定した。
<水性樹脂(N)の製造>
(水性樹脂(N1))
攪拌機を備えた内容量3Lのセパラブル丸底フラスコに、水830g、アクアロンKH10(第一工業製薬社製:共重合性アニオンノニオン乳化剤、有効成分100%)4gを仕込み、撹拌しつつ60℃に昇温した。1Lビーカーに水150gを仕込み、これにアクアロンKH10を8g加えて溶解させ、撹拌しつつ、スチレンを100g、メタクリル酸メチルを130g、アクリル酸2−エチルヘキシルを120g、ビスフェノールA液状エポキシ樹脂(エポキシ当量190g/eq)を150g、チオカルコール20(花王社製:nドデシルメルカプタン)を5g仕込み、乳化させ、一段目モノマー乳化液とした。次に、200mlビーカーに水100gを仕込み、これに過硫酸カリウム3gを溶解させ、開始剤水溶液とした。65℃となったセパラブルフラスコに一段目モノマー乳化液と開始剤水溶液とをそれぞれ20%を加え、発熱と色調変化(青白色)を確認した後、一段目モノマー乳化液と40%の開始剤水溶液をセパラブルフラスコ中に2時間滴下した。ここで反応温度を70℃に維持した。滴下終了後、さらに1時間反応させて、第1樹脂とエポキシ樹脂とを含むコア部を合成した。その間1Lビーカーに水150gを仕込み、これにアクアロンKH10を8g加え、溶解させ、撹拌しつつ、スチレンを100g、メタクリル酸メチルを120g、アクリル酸2−エチルヘキシルを250g、アクリル酸を30g、チオカルコール20を5g仕込み乳化させ、二段目モノマー乳化液とした。この二段目モノマー乳化液と残り40%の開始剤水溶液をセパラブルフラスコ中に2時間滴下した。ここで反応温度を70℃に維持した。滴下終了後、さらに2時間反応させて、第2樹脂を含むシェル部を合成した。その後、冷却して40℃以下にてアンモニア水20gを加え、固形分質量45%、平均粒子径0.15μm、pH9、質量平均分子量40,000の重合例N1(アクリルエポキシエマルジョン)を得た。
表1〜3に示すように、各モノマーの組成等を変更した以外は、水性樹脂(N1)と同様にして水性樹脂(N2)〜水性樹脂(N15)の合成を行なった。得られた水性樹脂(N2)〜水性樹脂(N15)の固形分質量、平均粒子径、及び質量平均分子量を表1〜3に示す。
表1〜3中、「エポキシ樹脂の含有量(質量%)」は、第1樹脂と第2樹脂とエポキシ樹脂との合計100質量%に対するエポキシ樹脂の含有量を示す。また、「モノマー(n2)由来の構成単位の含有量(質量%)」は、第1樹脂と第2樹脂とエポキシ樹脂との合計100質量%に対するモノマー(n2)由来の構成単位の含有量(質量%)を示す。
なお、水性樹脂(N11)の製造では、乳化剤として、アクアロンKH10ではなく、非反応性乳化剤であるハイテノールNF08(第一工業製薬社製:非共重合性アニオンノニオン乳化剤)を用いた。
Figure 0006521036
Figure 0006521036
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<主剤(A)の配合>
水性樹脂(N1)〜水性樹脂(N15)を用いてそれぞれについて表4、及び表5に示す配合処方にしたがって、主剤(A1)〜(A15)を配合した。なお、表4,5中、防腐剤として、「プロクセルBD20(ロンザ社製)」を使用し、増粘剤として、「SNシックナー612(サンノプコ社製)」を使用し、分散剤として、「ノプコスパース44C(サンノプコ社製)」を使用し、炭酸カルシウムとして、「ホワイトンB(白石カルシウム社製)」を使用し、消泡剤として、「SNデフォーマー777(サンノプコ社製)」を使用した。
Figure 0006521036
Figure 0006521036
<水系シーラーの製造>
(実施例1)
主剤(A1)を100質量部に対して硬化剤(B1)として、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM903」)5.4質量部を混合して、本発明の水系シーラーを得た。
(実施例2〜10、比較例1〜13、参考例1,2)
表6〜8に示す組成に従い、実施例1と同様にして、実施例2〜10、比較例1〜13、及び参考例1,2の水系シーラーを得た。
表6〜8中、「硬化剤(B2)」は、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM603」を示し、「硬化剤(B3)」は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、「KBE903」)を示し、「硬化剤(B4)」は、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、「KBE603」)を示す。なお、硬化剤(B1)〜硬化剤(B4)の有効成分質量(Q)は、表6〜8に示す通りである。
<水系シーラーの性能評価>
実施例1〜10、比較例1〜13の被補修材の水系シーラーを、100g/m刷毛にて被着体に塗布した。被着体としては、光触媒系塗料を塗布して形成された塗膜を表面に有するサイディングボード塗板を用いた。なお、表6〜8に示すように、各実施例、及び比較例の水系シーラーに対して用いた被着体の表面の珪素含有率は、30%である。各水系シーラーを被着体に塗布した後、室温下で一日養生し、さらに水系アクリルエナメル塗料を塗装ガンにて300g/mで塗布した。その後、室温下で2週間養生したものを試験体とした。
なお、参考例1では、実施例1の水系シーラーと同組成の水系シーラーを表面の珪素含有率が10%である被着体に塗布して試験体を作製し、作製した試験体について評価を行った。参考例2では、比較例8の水系シーラーと同組成の水系シーラーを、表面の珪素含有率が10%である被着体に塗布して試験体を作製し、作製した試験体について評価を行った。なお、被着体の表面の硅素含有率は、「エネルギー分散型X線分光器(EDS)」により測定した。
「常態付着性」
上記の試験体について、JIS K 5600‐5‐6に準拠して常態付着性を確認した。常態付着性をJIS K 5600の付着性(クロスカット法)試験に基づき付着性試験を行った。ここで碁盤目は4×4mm、25目カットとした。結果を以下の評価基準にて評価した。
◎:剥離面積が全体の4%以下である。
○:剥離面積が全体の4%を超え、全体の8%以下である。
△:剥離面積が全体の8%を超え、全体の20%以下である。
×:剥離面積が全体の20%を超える。
「耐水性」
JIS K 5600‐6‐1の「浸せき法」に準拠して耐水性試験を行った。具体的には、試験体を水に96時間浸漬し、その後、試験体について、JIS K 5600の付着性試験を行った。その結果を上記の「常態付着」と同様の評価基準にて評価した。
「温冷繰り返し試験」
JIS A 6909の「温冷繰り返し試験」に準拠して温冷繰り返し試験を行った。具体的には、試験体を水に18時間浸漬し、その後−20℃で3時間放置し、最後に50℃で3時間放置する工程を1サイクルとし、この工程を10サイクル行った。10サイクルを経た後の試験体について、JIS K 5600の付着性試験を行った。その結果を上記の「常態付着」と同様の評価基準にて評価した。
「耐アルカリ性」
JIS K 5600‐6‐1の「浸せき法」に準拠して耐アルカリ性試験を行った。具体的には、試験体を水酸化カルシウム飽和溶液に48時間浸せきし、その後、試験体について、JIS K 5600の付着性試験を行った。その結果を上記の「常態付着」と同様の評価基準にて評価した。
評価結果を表6〜8に示す。
Figure 0006521036
Figure 0006521036
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上記結果に示すとおり、実施例1〜10の水系シーラーは、表面の硅素含有率が30%である被着体に対して優れた常態付着性を示すことが判った。また、実施例1〜10の水系シーラーで補修された試験体は、耐水性、及び耐アルカリ性に優れ、温冷繰り返し試験でも優れた性能を示した。すなわち、実施例1〜10の水系シーラーは、常態付着性、及び耐久付着性に優れていた。
/Qが0.05未満の比較例1の水系シーラーは、耐アルカリ性に劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例1の水系シーラーは、耐久付着性に劣っていた。
/Qが1.0を超える比較例2の水系シーラーは、常態付着性、耐水性、及び耐アルカリ性の全てが劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例2の水系シーラーは、付着性、及び耐久付着性に劣っていた。
硬化剤(B)を含まない比較例3の水系シーラーは、耐水性、及び耐アルカリ性に劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例3の水系シーラーは、耐久付着性に劣っていた。
水性樹脂(N)の質量平均分子量が10,000より小さい水性樹脂(N6)を含有する主剤(A6)を含む比較例4の水系シーラーは、耐水性、及び耐アルカリ性に劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例4の水系シーラーは、耐久付着性に劣っていた。
/wの比が40/60未満の水性樹脂(N7)を含有する主剤(A7)を含む比較例5の水系シーラーは、常態付着性、耐水性、及び耐アルカリ性の全てが劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例5の水系シーラーは、付着性、及び耐久付着性に劣っていた。
/wの比が60/40を超える水性樹脂(N8)を含有する主剤(A8)を含む比較例6の水系シーラーは、耐水性、及び耐アルカリ性に劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例6の水系シーラーは、耐久付着性に劣っていた。
水性樹脂(N)の平均粒子径が0.08μmより小さい水性樹脂(N9)を含有する主剤(A9)を含む比較例7の水系シーラーは、耐水性、及び耐アルカリ性に劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例7の水系シーラーは、耐久付着性に劣っていた。
水性樹脂(N)の平均粒子径が0.20μmより大きい水性樹脂(N10)を含有する主剤(A10)を含む比較例8の水系シーラーは、常態付着性、耐水性、及び耐アルカリ性の全てが劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例4の水系シーラーは、付着性、及び耐久付着性に劣っていた。
非反応性乳化剤を使用して合成された水性樹脂(N11)を含有する主剤(A11)を含む比較例9の水系シーラーは、常態付着性、耐水性、及び耐アルカリ性の全てが劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例9の水系シーラーは、付着性、及び耐久付着性に劣っていた。
水性樹脂(N)のコア部がエポキシ樹脂を含まない水性樹脂(N12)を含有する主剤(A12)を含む比較例10の水系シーラーは、常態付着性、耐水性、及び耐アルカリ性の全てが劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例10の水系シーラーは、付着性、及び耐久付着性に劣っていた。
水性樹脂(N)のエポキシ樹脂の含有量が第1樹脂と第2樹脂とエポキシ樹脂との合計100質量%に対して20質量%を超える水性樹脂(N13)を、含有する主剤(A13)を含む比較例11の水系シーラーは、付着性、耐水性、及び耐アルカリ性の全てが劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例11の水系シーラーは、常態付着性、及び耐久付着性に劣っていた。
モノマー(n2)由来の構成単位の含有量が第1樹脂と第2樹脂とエポキシ樹脂との合計100質量%に対して8質量%を超える水性樹脂(N14)を、含有する主剤(A14)を含む比較例12の水系シーラーは、耐水性、及び耐アルカリ性に劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例7の水系シーラーは、耐久付着性に劣っていた。
水性樹脂(N)の質量平均分子量が200,000より大きい水性樹脂(N15)を含有する主剤(A15)を含む比較例13の水系シーラーは、常態付着性、耐水性、及び耐アルカリ性の全てが劣り、温冷繰り返し試験の結果も不良であった。すなわち、比較例13の水系シーラーは、付着性、及び耐久付着性に劣っていた。
参考例1の結果より、実施例1の水系シーラーは、表面の珪素含有率が10%である被着体に対しても、優れた付着性、及び耐久付着性を発揮することが判った。また、参考例2の結果より、比較例8の水系シーラーは、表面の珪素含有率が10%である被着体に対しては優れた付着性、及び耐久付着性を発揮することが判った。
本発明の水系シーラーは、無機塗膜等の表面平滑性に富み、緻密で、液体が浸透し難い壁材等の被補修材に対して、優れた付着性、及び耐水性等の耐久付着性を発揮する。よって、これらの被補修材の改修作業を容易に行うことができ、補修後の壁材の美観を長期にわたって保つことも可能となる。また、本発明の水系シーラーは、環境、及び安全の観点から環境に配慮されている。
以上より、本発明の水系シーラーは、壁材の補修等の産業分野で極めて有用である。

Claims (6)

  1. 水性樹脂(N)を含有する主剤(A)と、硬化剤(B)とを含み、
    前記水性樹脂(N)は、コア部とシェル部とを含むコアシェル構造をとり、
    前記コア部が、カルボキシル基アミノ基とを共に有さないエチレン性不飽和モノマー(n1)由来の構成単位と、共重合性の乳化剤由来の構成単位とを含有する第1樹脂と、エポキシ樹脂と、を含み、
    前記シェル部が、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー(n2)由来の構成単位と、前記エチレン性不飽和モノマー(n1)由来の構成単位と、共重合性の乳化剤由来の構成単位とを含有する第2樹脂を含み、
    前記エポキシ樹脂の含有量が、前記第1樹脂と前記第2樹脂と前記エポキシ樹脂との合計100質量%に対して5〜20質量%であり、
    エチレン性不飽和モノマー(n2)由来の構成単位の含有量が、前記第1樹脂と前記第2樹脂と前記エポキシ樹脂との合計100質量%に対して2〜8質量%であり、
    前記第1樹脂と前記エポキシ樹脂との合計質量(wグラム)と前記第2樹脂の質量(wグラム)との比(w/w)が40/60〜60/40であり、
    前記水性樹脂(N)の質量平均分子量が10,000〜200,000であり、
    前記水性樹脂(N)の平均粒子径が0.08〜0.20μmであり、
    前記硬化剤(B)は、アミノ基を有するオルガノシランを含有し、
    前記硬化剤(B)の有効成分質量(Qグラム)を主剤(A)の固形分質量(Qグラム)で除した値(Q/Q)が0.05〜1.0である水系シーラー。
  2. エチレン性不飽和モノマー(n2)アクリル酸、及びメタクリル酸の少なくとも一方である請求項1に記載の水系シーラー。
  3. 前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂である請求項1又は2に記載の水系シーラー。
  4. オルガノシランが、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも一つである請求項1〜3のいずれか一項に記載の水系シーラー。
  5. 前記主剤(A)が炭酸カルシウムを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の水系シーラー。
  6. カルボキシル基とアミノ基とを共に有さないエチレン性不飽和モノマー(n1)と、共重合性の乳化剤と、エポキシ樹脂とを含む一段目モノマー乳化液を、重合開始剤の存在下で乳化重合して、第1樹脂と前記エポキシ樹脂とを含むコア部を合成し、次に、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー(n2)と、前記エチレン性不飽和モノマー(n1)と、共重合性の乳化剤とを含む二段目モノマー乳化液を、前記コア部及び重合開始剤の存在下で乳化重合して、第2樹脂を含むシェル部を合成し、前記コア部と前記シェル部とを含むコアシェル構造をとる水性樹脂(N)を得る第1工程と、
    前記水性樹脂(N)を含む主剤(A)と、アミノ基を有するオルガノシランを含有する硬化剤(B)と、を混合する第2工程と、
    を有する、水系シーラーの製造方法であり、
    前記第1樹脂は、前記エチレン性不飽和モノマー(n1)由来の構成単位と、共重合性の乳化剤由来の構成単位と、を含有し、
    前記第2樹脂は、前記エチレン性不飽和モノマー(n2)由来の構成単位と、前記エチレン性不飽和モノマー(n1)由来の構成単位と、共重合性の乳化剤由来の構成単位と、を含有し、
    第1工程で、前記一段目モノマー乳化液中の前記エポキシ樹脂の含有量を、前記第1樹脂と前記第2樹脂と前記エポキシ樹脂との合計100質量%に対して5〜20質量%とし、
    第1工程で、前記二段目モノマー乳化液中の前記エチレン性不飽和モノマー(n2)の含有量を、前記第1樹脂と前記第2樹脂と前記エポキシ樹脂との合計100質量%に対して2〜8質量%とし、
    前記第1工程で、前記第1樹脂と前記エポキシ樹脂との合計質量(w グラム)と前記第2樹脂の質量(w グラム)との比(w /w )が40/60〜60/40となり、前記水性樹脂(N)の質量平均分子量が10,000〜200,000となり、前記水性樹脂(N)の平均粒子径が0.08〜0.20μmとなるように前記コア部及び前記シェル部をそれぞれ合成し、
    前記第2工程で、前記硬化剤(B)の有効成分質量(Q グラム)を主剤(A)の固形分質量(Q グラム)で除した値(Q /Q )が0.05〜1.0となるように、前記主剤(A)と前記硬化剤(B)とを混合する、水系シーラーの製造方法。
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