以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、図1に示すように、膨張完了時に、車両Vの窓(サイドウィンド)W1,W2を覆い可能に、エアバッグ25を、窓W1,W2の上縁側の周縁、すなわち、フロントピラー部FPからルーフサイドレール部RRを経てリヤピラー部RPの上方付近までの範囲に、折り畳んで収納させている。なお、実施形態の場合、車両Vは、フロントピラー部FPとリヤピラー部RPとの間に、略上下方向に沿って配置される1つの中間ピラー部CPを配設させ、膨張完了時のエアバッグ25は、図1の二点鎖線に示すように、窓W1,W2とともに、中間ピラー部CPに配置される中間ピラーガーニッシュ7や、リヤピラー部RPに配置されるリヤピラーガーニッシュ8の一部の車内側も、覆うように構成されている。
なお、実施形態では、特に断らない限り、上下,前後の方向を、車両搭載時における車両Vの上下,前後の方向と一致させて、説明する。
頭部保護エアバッグ装置Mは、図1〜3に示すように、エアバッグ25、エアバッグ25に膨張用ガスを供給するインフレーター12、取付ブラケット13、取付クリップ17、折り畳まれたエアバッグ25(折り完了体44)を収納するケース50、及び、巻付バンド80を、備えて構成されている。折り畳まれたエアバッグ25(折り完了体44)、インフレーター12、及び、ケース50は、巻付バンド80を含めて、車両Vへの搭載時に、車内側Iをエアバッグカバー10に覆われて収納されている(図1〜3参照)。エアバッグカバー10は、実施形態の場合、フロントピラー部FPの車内側を覆うフロントピラーガーニッシュ5の下縁5aと、ルーフサイドレール部RRの車内側を覆うルーフヘッドライニング6の下縁6aと、から構成されている。
フロントピラーガーニッシュ5とルーフヘッドライニング6とは、中間ピラーガーニッシュ7,リヤピラーガーニッシュ8とともに、合成樹脂製として、図示しない取付手段によって、フロントピラー部FPやルーフサイドレール部RRにおけるボディ1側の部材であるインナパネル2の車内側Iに取り付けられている。そして、これらの下縁5a,6aから構成されるエアバッグカバー10は、展開膨張時のエアバッグ25を突出可能に、エアバッグ25に押されて、下縁5a,6aを車内側Iに開くように、構成されている(図2,3の二点鎖線及び図28参照)。
インフレーター12は、エアバッグ25に膨張用ガスを供給するもので、図1に示すように、略円柱状のシリンダタイプとして、先端側に、膨張用ガスを吐出可能な図示しないガス吐出口を、配設させている。インフレーター12は、ガス吐出口付近を含めた先端側を、エアバッグ25の後述する接続口部28に挿入させ、接続口部28の後端側の外周側に配置されるクランプ15を利用して、エアバッグ25に対して連結されている。また、インフレーター12は、インフレーター12を保持する取付ブラケット13と、取付ブラケット13をボディ1側のインナパネル2に固定するためのボルト14と、を利用して、インナパネル2に取り付けられている。
エアバッグ25は、図1の二点鎖線に示すように、インフレーター12からの膨張用ガスを内部に流入させて、折畳状態から展開して、窓W1,W2や、中間ピラー部CP及びリヤピラー部RPにおける中間ピラーガーニッシュ7,リヤピラーガーニッシュ8の車内側を覆うように、展開膨張する構成とされている。エアバッグ25は、図2,3の二点鎖線や図17のA及び図28に示すように、膨張用ガスGを流入させて車内側壁部26aと車外側壁部26bとを離すように膨張するガス流入部26と、車内側壁部26a,車外側壁部26b相互を結合させるように形成されて膨張用ガスを流入させない非流入部30と、を備えている。ガス流入部26は、実施形態の場合、保護膨張部27と接続口部28とを備え、非流入部30は、周縁部31、取付部33、板状部34,35、及び、閉じ部36を備える構成とされている。
ガス流入部26の保護膨張部27は、図17のAに示すように、エアバッグ25の膨張完了時に、前席の側方の窓W1を覆う前保護部27aと、後席の側方の窓W2を覆う後保護部27bと、を備えている。接続口部28は、エアバッグ25の上縁25a側の前後方向の中央付近に配置されるもので、実施形態の場合、後上がりに傾斜しつつエアバッグ25の上縁25a側から上方に突出するように形成されて、インフレーター12を接続可能に、後端側を開口させて構成されている。前保護部27aと後保護部27bとは、エアバッグ25の膨張完了時に、平らに展開した状態からの前後方向側の幅寸法を縮められ、また、厚さを規制されて前後方向に延びる板形状を維持できるように、内部領域に、閉じ部36を配置させている。
非流入部30における周縁部31は、ガス流入部26の外周縁を、接続口部28の後端側を除いて全域にわたって囲むように形成されている。実施形態では、周縁部31の上縁31a側の領域には、図17のAに示すように、各巻付バンド80に形成される後述する係止突起109を挿入させるための貫通孔32が、形成されている。実施形態の場合、貫通孔32は、略円形に開口して形成されている。板状部34は、前保護部27aと後保護部27bとの間に配置されるもので、略長方形板状とされている。板状部35は、エアバッグ25の前端側に配置されるもので、略長方形板状とされるとともに、下端側に、略帯状として前方に延びるベルト部35aを、配置させている。
取付部33は、板状部35におけるベルト部35aの前端側を含めて、エアバッグ25の膨張完了時の上縁25a側に配置されるもので、エアバッグ25の上縁25a側を、車両Vのボディ1側であるインナパネル2に取り付けるための部位である。取付部33は、前後方向に沿って複数個(実施形態の場合、6個)配置されるもので、それぞれ、ベルト部35aの前端側を含めたエアバッグ25の上縁25aから上方に突出して、形成されている。実施形態のエアバッグ25では、前側に配置される5個の取付部33Aが、取付クリップ17を利用してインナパネル2に取り付けられ、後端側に配置される1個の取付部33Bは、詳細には説明しないが、取付ブラケット22とボルト23とを利用してインナパネル2に取り付けられる構成である(図1,24参照)。取付クリップ17を利用してインナパネル2に取り付けられる各取付部33Aには、取付クリップ17を挿通させるための取付孔33aが、略長方形状に開口して形成されている。なお、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、ベルト部35aの前端側に配置される取付部33AAと、その後に隣接して配置される取付部33ABと、の部位には、ケースが配置されておらず(図1,24参照)、これらの取付部33AA,33ABは、図示しないが、ケースの取付座部を介さず、直接、インナパネル2に取り付けられている。
実施形態の場合、エアバッグ25は、図17のAに示すように、ポリアミド糸やポリエステル糸等を使用した袋織りによって形成される本体部38と、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されて本体部38に縫着される別体布39,40,41,42と、から構成されている。別体布39は、板状部34の部位を構成し、別体布40は、板状部35の部位を構成している。また、別体布41は、取付部33の部位を構成し、別体布42は、接続口部28の部位を構成している。本体部38は、略長方形状に形成されて、前保護部27a、後保護部27b、周縁部31、及び、板状部34の部位を構成している。なお、実施形態のエアバッグ25では、袋織りによって製造された本体部38において、板状部34の部位を切除し、この切除した部位が、接続口部28を構成する別体布42とされている。そして、本体部38において切除された領域には、別体布39が、この領域を塞ぐように配置されて、板状部34を形成している。
実施形態では、エアバッグ25は、上縁25a側の部位を蛇腹折りされ、下部側の領域を下縁25b側から車外側Oに向かって巻くようなロール折りにより、折り畳まれている。エアバッグ25を折り畳んで形成される折り完了体44は、図18に示すように、ロール折り部位44bの上側に、蛇腹折り部位44aを載せるように形成されるもので、蛇腹折り部位44aの上面側には、周縁部31の上縁31a側が露出され、巻付バンド80の係止突起109を係止させるための貫通孔32も、露出されている。
折り畳まれたエアバッグ25(折り完了体44)を収納するケース50は、熱可塑性エラストマー製とされて、実施形態の場合、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)から形成されている。ケース50は、前後方向に延びた長尺状とされている。実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、図1,24に示すように、折り完了体44において、前保護部27aの部位を収納するケース50Fと、後保護部27bの部位を収納するケース50Rと、接続口部28付近の部位を収納するケース50Cと、の三つが使用されている。前側に配設されるケース50Fは、窓W1の上縁側における前側の領域に対応して、前端側を下方に向けるように屈曲して形成され、ケース50C,50Rは、窓W1の上縁側における後側の領域から窓W2の上縁側に対応して、前後方向に沿って略直線状に延びるように、形成されている(図1,24参照)。実施形態では、後側に配置されるケース50Rを例に採り、詳細に説明をする。ケース50F,50Cに関しても、外形形状が異なるものの、巻付バンド80を取り付ける構成や、取付クリップ17を使用してエアバッグ25の取付部33Aを取り付ける構成は、ケース50Rと同様の構成である。なお、ケース50は、折り畳まれたエアバッグ25(折り完了体44)を、運搬時や、車両搭載時、膨張時等において、保護したり、膨張時の展開方向の案内を行なうプロテクタの役目も果たし、折り完了体44を周囲の干渉物からカバーするように、折り完了体44の周囲に配置されるものである。
ケース50Rは、図4に示すように、折り完了体44を収納させる収納部位52と、巻付バンド80の組付部91を組み付ける被組付部54と、ボディ1側のインナパネル2に取り付けられる取付座部73と、を備える構成とされている。
収納部位52は、折り完了体44の車外側Oを覆うように、折り完了体44の外周面に沿って略円弧状に湾曲して形成されている(図2,3参照)。
巻付バンド80を取り付ける被組付部54は、収納部位52の上部側に配置されるもので、実施形態の場合、ケース50Rにおける前後方向の中央よりやや前方となる1箇所に、形成されている(図4参照)。被組付部54は、図5〜9に示すように、巻付バンド80の組付部91に形成される係止クリップ104を組み付ける組付穴部56と、巻付バンド80の組付部91に形成される鍔部101F,101Rを支持する支持部64F,64Rと、巻付バンド80の組付部91における基部92と鍔部101F,101Rとを収納させる規制用収納部66と、を備えている。
組付穴部56は、巻付バンド80の組付部91に形成される係止クリップ104を挿入させるもので、実施形態の場合、図5,7に示すように、長手方向を前後方向(折り完了体44の長手方向)に略沿わせた長方形状に開口して形成される組付凹部としての穴本体57と、穴本体57の内側に形成される組付凸部58U,58Dと、を備えている。
穴本体57は、係止クリップ104を挿入させる組付凹部を構成するもので、実施形態の場合、係止クリップ104を挿入可能に、車両搭載時において車内外方向に貫通される構成とされている。すなわち、穴本体57は、係止時の係止クリップ104の挿入方向を、窓W2の内側面Wa(図2参照)と略直交する方向として、構成されている。なお、ケース50Rの被組付部54は、車両搭載時に、窓W2の後方のリヤピラー部RPの上方に配置される部位であるが、図2,3に示すように、ボディ1側のインナパネル2は、窓W2の内側面Waと略沿うように、配置される構成であり、係止クリップ104の挿入方向は、インナパネル2、すなわち、窓W2の内側面Waと略直交する方向とされることとなる。実施形態の場合、穴本体57は、前後に幅広とした扁平な略長方形状に開口して、形成されている(図5参照)。
組付凸部58U,58Dは、実施形態の場合、穴本体57の内周縁における上縁57a側と下縁57b側とに形成されるもので、係止クリップ104の後述する爪片部106U,106Dと対向する位置に、それぞれ、爪片部106U,106Dを係合可能に、配設されている。各組付凸部58U,58Dは、穴本体57の内周縁における上縁57a側と下縁57b側とから、それぞれ延びて、先端58a側を車外側Oに向けつつ上下の中央側に向けるように、車内外方向(左右方向)に対して傾斜して、形成されている(図7参照)。この組付凸部58U,58Dは、係止クリップ104の爪片部106U,106Dを係止可能に形成されるもので、組付凸部58U,58Dは、係止クリップ104を穴本体57に挿入させた際に、係止クリップ104の各爪片部106U,106Dの元部側(車内側I)に配置されて、各爪片部106U,106Dを係合することとなる。実施形態の場合、各組付凸部58U,58Dは、前後方向側の幅寸法(折り完了体44の長手方向に沿った方向側の幅寸法)を、係止クリップ104(爪片部106U,106D)の前後方向側の幅寸法と略一致させて構成されている。
また、この組付穴部56は、穴本体57の外周縁から車外側Oに向かって延びるように形成されるとともに、穴本体57に挿入された状態の係止クリップ104の前後両側から上側にかけてを覆う略逆U字形状のカバー部60を、備える構成とされている。このカバー部60は、図3、図21のB、及び、図26に示すように、爪片部106U,106Dを組付凸部58U,58Dに係合させた状態の係止クリップ104の前後両側と上側とを略全面にわたって覆うように構成されるもので、実施形態の場合、組付凹部形成部位を、構成している。また、このカバー部60において、係止クリップ104の上側を覆う上壁部61の車内側面61aは、折り完了体44に巻き付けられた巻付バンド80の係止クリップ104を組付穴部56(穴本体57)に押し込む際に、巻付バンド80における組付部91の被係止部94における上壁部95の車外側面95aと当接して、巻付バンド80の車外側Oへの移動を規制する規制面を構成している。
巻付バンド80の組付部91に形成される鍔部101F,101Rを支持する支持部64F,64Rは、図7,8に示すように、組付穴部56の車内側Iとなる位置において、図9に示すごとく、組付穴部56の前後両側の領域に、収納部位52から連なるように、形成されている。支持部64F,64Rは、組付部91の被組付部54への組付時(爪片部106U,106Dの組付凸部58U,58Dへの係止時)に、鍔部101F,101Rの車両搭載時における下面101a側を、支持可能に、構成されている(図29参照)。この支持部64F,64Rは、被組付部54を車内側Iから見た状態で、図5,9に示すように、穴本体57(組付凹部)の前側と後側とに、それぞれ、隣接するように、形成されるもので、支持部64F,64R間の離隔距離は、穴本体57の前後方向側の開口幅寸法と略一致して構成されている。すなわち、支持部64F,64R間の離隔距離は、巻付バンド80における係止クリップ104を挿通可能で、かつ、組付部91の基部92を挿通可能な寸法に、設定されている。また、この支持部64F,64Rは、車内外方向側(左右方向側)の長さ寸法を、巻付バンド80の組付部91を被組付部54に挿入させて爪片部106U,106Dを組付凸部58U,58Dに係止させる前の状態においても、鍔部101F,101Rの下面101a側を支持可能とするような寸法に、設定されている(図23のA参照)。すなわち、各支持部64F,64Rは、先端面64bを、組付部91の被組付部54への挿入時において、爪片部106U,106Dの組付凸部58U,58Dへの係止前の状態で、組付部91における鍔部101F,101Rの下部側の部位(基部92)の前面92a,後面92bと当接可能として、組付部91の移動を規制可能な規制面として、構成されている。
規制用収納部66は、組付部91の被組付部54への組付時(爪片部106U,106Dの組付凸部58U,58Dへの係止時)に、巻付バンド80の組付部91における被係止部94の上壁部95と、上壁部95から前後に延びる鍔部101F,101Rと、の領域を収納させる部位であり(図21のB、図23のB、図27、及び、図29参照)、各支持部64F,64Rから延設されて、断面略逆U字形状に構成されている。詳細に説明すれば、規制用収納部66は、車内外方向側の幅寸法を、支持部64F,64Rと同一として、支持部64F,64Rの上方の領域に配設されるもので、被係止部94の上壁部95と各鍔部101F,101Rとの上面95b,101b側を覆うように配置される上壁部67と、各鍔部101F,101Rの先端面101c側(前面側若しくは後面側)を覆うように配置される前壁部68,後壁部69と、を有する構成とされて、支持部64F,64Rとともに、巻付バンド80において、鍔部101F,101Rの下面101a側から、鍔部101F,101Rの先端面101c及び上面101bを経て、組付部91(被係止部94)における基部92(上壁部95)の上面95b側にかけての領域を囲むように、形成されている。この組付部91における基部92は、後述するごとく、組付穴部56に挿入される係止クリップ104より上方に突出するように、形成されている。換言すれば、規制用収納部66は、組付穴部56の車内側Iであって、かつ、組付穴部56(穴本体57)よりも上部側となる位置に、配置されている(図7参照)。さらに、実施形態では、規制用収納部66は、図7に示すように、前後方向側(折り完了体44の長手方向側)から見た状態で、車外側面66aを、組付凹部形成部位としてのカバー部60の車外側面60aよりも車内側Iに位置させるように、段差状に構成されている。
さらに、実施形態では、規制用収納部66は、車内外方向側(左右方向側)の長さ寸法を、巻付バンド80の組付部91を被組付部54に挿入させて爪片部106U,106Dを組付凸部58U,58Dに係止させる前の状態においても、鍔部101F,101Rの先端面101cから基部92の上面95b側にかけての領域の周囲を覆い可能な寸法に、設定されている。すなわち、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、折り完了体44の周囲に巻き付けた状態の巻付バンド80をケース50に組み付ける際において、巻付バンド80の係止クリップ104を、爪片部106U,106Dの先端106aを組付凸部58U,58Dの車内側面58bに当接させるまで、差し込めば、図21のA及び図23のAに示すように、巻付バンド80における鍔部101F,101Rと組付部91における基部92の上側の領域(被係止部94)とが、規制用収納部66内に収納されることとなり、巻付バンド80の組付部91は、この規制用収納部66と支持部64F,64Rとによって、前後方向側及び上下方向側への移動を規制されることとなる。
また、実施形態のケース50Rでは、収納部位52において、被組付部54の下方となる領域に、補強部71が、形成されている。この補強部71は、収納部位52の車内側面52aから突出するように形成されている。詳細には、補強部71は、ケース50Rを車内側から見た状態で、組付穴部56における穴本体57の前縁側と後縁側(支持部64F,64Rの下面側)から下方に延びて、収納部位52の下部付近にかけて配設されるもので、略U字形状として構成されている(図5,9参照)。実施形態のケース50Rでは、ケース50Rを車内側から見た状態で、組付穴部56における穴本体57(組付凹部)が、図5,9に示すように、この補強部71とカバー部60とによって、周囲を略全周にわたって囲まれる構成である。すなわち、この補強部71は、カバー部60と協働して、エアバッグ25の展開膨張時に、穴本体57の周縁の部位が変形することを抑制することとなり、組付部91の被組付部54からの外れを抑制することとなる。また、補強部71において、収納部位52の下端側に配置される下側部位71aは、前後方向(折り完了体44の長手方向)に略沿うように、配置されている。この下側部位71aは、エアバッグ25の展開膨張時に、巻付バンド80のバンド本体81を支持することとなる。
取付座部73は、折り完了体44から突出するように配置される取付部33Aに対応した位置に配置されるもので、実施形態のケース50Rでは、前端側の1箇所に、形成されている(図4参照)。取付座部73には、取付部33Aの取付孔33aに対応して、取付クリップ17の取付脚部20を貫通させる略四角形状に開口した取付孔73aが、車内外方向に貫通して形成されている。
取付部33Aを取付座部73とともにインナパネル2に取り付ける取付クリップ17は、図2に示すように、インナパネル2に形成される取付孔3に係止されるもので、合成樹脂製の拡張リベットタイプとして、取付ベース18と、取付ベース18内に配置される押しピン21と、を備える構成とされている(図2,25参照)。取付ベース18は、車内側Iに配置される基部19と、基部19からインナパネル2の取付孔3側(車外側O)に延びて取付孔3の周縁に取り付けられる取付脚部20と、を備えている。
基部19は、取付孔3周縁への取付前の状態で押しピン21を内部に収納させる押しピン収納部19aと、基部19の車外側端部において前後上下に幅広とした略長方形板状とされる押え板部19dと、を備えている。押え板部19dは、図25に示すように、取付クリップ17を、取付部33Aを介して、ケース50Rの取付座部73に仮止めした際に、取付部33Aを取付座部73側に押えるための部位である。押しピン収納部19aは、押しピン21を車外側Oに向かって押圧可能に、車内側Iを開口させて構成されるもので、押しピン21の上側を覆う部位と、下側を覆う部位と、に、押しピン21に形成される係合突起部21aの突起本体21cを係合可能な係合穴部19b,19cを、配設させている。これらの係合穴部19b,19cは、車内外方向(押しピン21の押し込み方向)に沿うようにして、2箇所に形成される。車内側Iに配置される係合穴部19bは、図25に示すように、押し込み前の状態の押しピン21の突起本体21cを係合させるもので、車外側Oに配置される係合穴部19cは、図2に示すように、押し込み後の押しピン21の突起本体21cを係合させるためのものである。
取付脚部20は、エアバッグ25の取付部33Aと、ケース50Rの取付座部73と、に貫通される取付孔33a,73aに挿入されて、取付部33Aを取付座部に仮止め可能とするとともに、車両Vのボディ1側のインナパネル2に形成される取付孔3に挿入されて、取付座部73と取付部33Aとをボディ1側に取付可能に構成されている。取付脚部20内には、押しピン収納部19aと連通されるようにして、挿入凹部20aが、形成されている。この挿入凹部20aは、図2に示すように、押し込み時の押しピン21の拡張用軸部21dを挿入させるための部位である。また、取付脚部20には、一対の張出し鉤部20bが、形成されている。
押しピン21は、図2,25に示すように、元部側(車内側I)に、押しピン収納部19aに形成される係合穴部19b,19cに係合可能な係合突起部21aを配置させ、先端側(車外側O)に、押し込み時に張出し鉤部20b間に配置される拡張用軸部21dを、配置させて構成されている。元部側に形成される係合突起部21aは、上下で対向する2箇所に形成されるもので、車内外方向に沿って配置されるとともに上下方向の内側に撓み可能とされる撓み片21bと、撓み片21bの先端側(車内側端面)において上下の外方に向かって突出するように形成される突起本体21cと、を有し、突起本体21cは、押し込み前の状態では、押しピン収納部19aに形成される係合穴部19bに挿入されて、係合穴部19b周縁に係合される構成である。この係合突起部21aは、撓み片21bを上下方向の内側に撓ませれば、突起本体21cを係合穴部19bから取り外し可能に構成されるもので、撓み片21bを上下方向の内側に撓ませるようにして、突起本体21cを係合穴部19bから取り外しつつ、押しピン21を、拡張用軸部21dを挿入凹部20a内に挿入させるように押し込み、突起本体21cが車外側Oの係合穴部19cに到達したならば、撓み片21bが復元されて、突起本体21cが車外側Oの係合穴部19cに挿入されて、係合穴部19c周縁に係合されることとなる。そして、このとき、先端側に配置される拡張用軸部21dが張出し鉤部20bの間に挿入されることとなる(図2参照)。
そして、この取付クリップ17では、エアバッグ25を折り畳んで形成される折り完了体44をケース50(50F,50C,50R)内に収納させてエアバッグ組付体AMを形成する際には、押しピン21を挿入凹部20a内に押し込んでいない状態(突起本体21cが係合穴部19b周縁に係合された状態)で、張出し鉤部20bが、取付座部73の取付孔73aの周縁部位73bに係止されることとなり、取付クリップ17が、取付部33Aを介して取付座部73に仮止めされることとなる(図25参照)。そして、取付座部73をインナパネル2に取り付ける際には、エアバッグ組付体AMにおいて、ケース50(50F,50C,50R)の取付座部から車外側Oに突出している取付クリップ17の取付脚部20を、インナパネル2の取付孔3に挿入させた状態で、押しピン21を、撓み片21bを上下方向の中央側に撓ませつつ、拡張用軸部21dを挿入凹部20a内に押し込めば、突起本体21cが、車外側Oの係合穴部19cに挿入されて(図2参照)、係合穴部19c周縁に係合されることとなり、拡張用軸部21dが、張出し鉤部20bの間に挿入されることとなって、この張出し鉤部20bが、取付孔3の車外側Oの周縁を係止して、取付部33Aを、ケース50(50F.50C,50R)の取付座部73とともに、車両Vのボディ1側のインナパネル2に対して取り付けることとなる。
巻付バンド80は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の熱可塑性エラストマー製とされるもので、実施形態の場合、図1,24に示すように、折り完了体44に対して、前後方向に沿った複数箇所(実施形態の場合、6箇所)に、巻き付けられている。巻付バンド80は、図10〜15に示すように、折り完了体44に巻き付けられる帯状のバンド本体81と、バンド本体81の一端側に形成されてケース50Rの被組付部54に組み付けられる組付部91と、バンド本体81の他端側(組付部91から離れた離隔側端部81b側)に形成される係止爪部83と、係止爪部83側に配置されるスペーサ部89と、組付部91(バンド本体81における組付部91側となる近接側端部81a側)に形成される被係止部94と、被係止部94側に配置されるスペーサ部96と、折り完了体44におけるエアバッグの上縁25a側に係止される係止突起109と、を備えている。バンド本体81は、折り完了体44の周囲に巻き付け可能な帯状とされている。
係止爪部83は、バンド本体81における離隔側端部81bの端縁からバンド本体81の長さ方向に沿って突出するように形成される突出片部84と、突出片部84の先端84a側における下面側(折り完了体44への巻付時の内周面側)から下方に突出するように形成される爪片85と、を備えている。突出片部84は、折り完了体44の長手方向に略沿わせて配置される略平板状として、折り完了体44の長手方向に沿った方向側(前後方向側)の幅寸法を、被係止部94における後述する係止用凹部97に挿入可能に、バンド本体81の幅寸法より小さく設定されている。また、突出片部84は、車両搭載状態において、車外側Oに向かって突出するように、形成されている。突出片部84の先端84a側に形成される爪片85は、突出片部84の幅方向(折り完了体44の長手方向)に略沿うように形成されるもので、先端85a側を突出片部84の元部84b側に向けるように、突出片部84に対して傾斜して形成されている。この爪片85は、被係止部94における係止用凹部97の内周面98に形成される爪片99に、係止される構成とされている。実施形態の場合、爪片85は、幅寸法を、突出片部84の幅寸法より若干小さく設定されている。
バンド本体81における離隔側端部81b側(係止爪部83側)には、係止爪部83を被係止部94の係止用凹部97に押し込むための押圧部87が、形成されている。押圧部87は、略直方体状として、バンド本体81における離隔側端部81bの端縁近傍において、係止爪部83における突出片部84の元部から突出するように、形成されている。詳細には、この押圧部87は、幅寸法を、バンド本体81の幅寸法よりも若干大きくして、前後に幅広に、構成されるもので、バンド本体81の外周面から外方に向かって突出するように、形成されている。また、この押圧部87は、肉盗み用の凹部(図符号省略)を、前面側と後面側とに、それぞれ、配設させて、軽量化を図られている。この押圧部87において、バンド本体81の外周面から連なるように配置される外側の面(車両搭載時における車内側Iの面)が、係止爪部83を係止用凹部97に押し込み可能な押圧操作面87aとされている。押圧部87は、この押圧操作面87aを、係止爪部83の突出方向と略直交させるように、構成されている(図12,15参照)。詳細には、実施形態では、押圧部87の押圧操作面87aは、図3に示すように、車両搭載時において、上下方向に略沿うように配置されることとなる。また、実施形態では、係止爪部83(突出片部84)は、押圧操作面87aと略直交するように配置されるものの、詳細には、押圧操作面87aに対して、突出片部84の先端84aを上側に向けるように、わずかに傾斜して、配置されている(図3,26参照)。さらに、実施形態では、押圧部87は、車内外方向側の幅寸法を大きくした略直方体状とされており、押圧操作面87aは、車両搭載時(巻付バンド80の組付部91を被組付部54に組み付けた状態)において、ケース50における規制用収納部66内に全体を収納されず、この規制用収納部66の車内側面66bよりも車内側Iに大きく突出した位置に、配置されることとなる(図21のB及び図23のB参照)。
係止爪部83側に配置されるスペーサ部89は、実施形態の場合、図11,12に示すように、突出片部84の元部84b側における下面側であって、かつ、押圧部87の車外側Oとなる領域において、突出片部84の突出方向側に沿うように、車両搭載時における車外側Oに向かって突出して配設されている。このスペーサ部89は、係止爪部83と係止用凹部97との係止時に、係止軸部105の軸方向に沿った方向側において、係止軸部105及び押圧部87と重なる領域に、配置されている。詳細には、スペーサ部89は、組付部91を車内外方向側から見た状態において、係止軸部105の車内側Iにおいて係止軸部105と重なる領域に、配置されている。また、このスペーサ部89は、係止爪部83と係止用凹部97との係止時に、被係止部94側に配置されるスペーサ部96と、係止爪部83を間にして対向するように、係止爪部83の下方となる位置に、配置されている。スペーサ部89は、実施形態の場合、バンド本体81の幅方向側の略中央となる位置において、部分的に突出して形成されるもので、前後方向側から見て略三角形状とされる板状として、車外側Oとなる先端面89aを押圧部87の押圧操作面87aに略沿わせるように構成されている(図12参照)。このスペーサ部89は、係止爪部83を係止用凹部97に係止させる際に、先端面89aを、バンド本体81の近接側端部81a側となる被係止部94の係止用凹部97に形成される爪片99の元部側端面99cに、当接可能に、構成されている。このスペーサ部89は、係止爪部83の係止用凹部97への押し込み時に、先端面89aを、爪片99の元部側端面99cに当接させることにより、係止爪部83の上方に配設されるスペーサ部96の先端面96aとともに、係止爪部83の押し込み完了位置を規定している(図19のB参照)。
組付部91は、基部92と、基部92の車外側面から突出して形成される係止クリップ104と、基部92における上部側の領域に配置される被係止部94と、基部92の前面92a及び後面92bから前後に突出して形成される鍔部101F,101Rと、を備える構成とされている。
基部92は、外形形状を略直方体状として構成されるもので、下端側に、バンド本体81の近接側端部81aを連結させて構成されている。この箱形状の基部92は、巻付バンド80の折り完了体44への巻付作業時に、作業者が把持する部位でもある。実施形態の場合、基部92は、前後方向側(折り完了体44の長手方向側)の幅寸法を、バンド本体81の幅寸法よりも若干大きくして、前後に幅広に、構成されている。実施形態の場合、基部92は、図13,14に示すように、前後方向側の幅寸法を、押圧部87の前後方向側の幅寸法と略一致させて構成されている。また、実施形態の場合、この基部92は、前後方向側の幅寸法を、ケース50Rに形成される支持部64F,64Rの離隔距離より僅かに小さく設定されて、巻付バンド80のケース50Rへの取付時に、この支持部64F,64R間の隙間を挿通されることとなる。実施形態では、基部92における上側側の領域(後述する上壁部95)が、鍔部101F,101Rとともに、規制用収納部66に収納されて、基部92における下側の領域(鍔部101F,101Rの下部側の領域であって、係止クリップ104の車内側Iの領域)が、支持部64F,64R間に挿通されることとなる。そして、組付部91の被組付部54への組付時に、基部92は、上壁部95の上面95bを、規制用収納部66における上壁部67と近接させ、前面92aと後面92bとを、それぞれ、支持部64F,64Rの先端面64bと近接させるように、構成されている(図29参照)。
被係止部94は、基部92における上部側の領域に配置されるもので、係止爪部83を挿入させて係止可能な係止用凹部97を備える構成とされている。係止用凹部97は、係止爪部83を挿入可能に、係止爪部83の突出方向に沿って、被係止部94を車外側に向かって凹ませるように、形成されている。そして、実施形態の場合、係止用凹部97は、図15に示すように、被係止部94(組付部91)を車内外方向に貫通して、形成されている。この係止用凹部97は、上下前後の開口幅寸法を、係止爪部83を挿入可能な寸法に、設定されている。係止用凹部97の内周面98において、折り完了体44側となる下面における車内側Iの端側には、係止爪部83の爪片85に対応して、この爪片85を係止可能な爪片99が、形成されている。爪片99は、係止爪部83に形成される爪片85に略沿うようにして、折り完了体44の長手方向に略沿って配置される。実施形態の場合、爪片99は、係止用凹部97における内周面98の下面98a側から先端99aを、車外側Oに向けつつ上方に向かって突出して、爪片85を係止可能に構成されている。詳細に説明すれば、爪片99は、元部99b側の領域を、被係止部94の車内側面から一旦車内側Iに突出させつつ、先端99a側を車外側Oに向けるように反転させて、構成されている。この爪片99の元部99b側は、元部側端面99cを、車両搭載時において、押圧部87における押圧操作面87aと略沿わせるように構成されている。この爪片99における元部側端面99cは、係止爪部83の係止用凹部97への押し込み時に、係止爪部83側に形成されるスペーサ部89の先端面89aを当接可能に、構成されている。
実施形態では、爪片85,99相互を係止させることにより、係止爪部83は、被係止部94の係止用凹部97に係止される構成である。実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、係止用凹部97の内周面98側における折り完了体44側の面(下面98a)と、係止爪部83の突出片部84との間に、係止用凹部97側から延びる爪片99と、突出片部84から延びる爪片85と、が、配設される構成である。これらの爪片85,99相互の係止力は、エアバッグ25の展開膨張時に、相互に撓んで、係止状態を解除可能で、かつ、折り完了体44の周囲に巻き付けた後に、押圧部87や被係止部94を手で引っ張っても、容易に係止を解除できないように、設定されている。
また、被係止部94において、基部92の上面側を構成するとともに、係止用凹部97の上縁側を構成する上壁部95は、車内側の領域を、爪片99より車内側Iに突出させるように、車内側Iに向かって張り出して、形成されている(図12,15参照)。実施形態の場合、この上壁部95における張り出した領域が、スペーサ部96を、構成している。このスペーサ部96は、係止爪部83を係止用凹部97に係止させる際に、先端面96aを、押圧部87の車外側面87bに、当接可能に、構成されている。このスペーサ部96は、係止爪部83の係止用凹部97への押し込み時に、先端面96aを、押圧部87の車外側面87bに当接させることにより、係止爪部83の下方に配設されるスペーサ部89の先端面89aとともに、係止爪部83の押し込み完了位置を規定している。
鍔部101F,101Rは、図11〜14に示すように、組付部91における係止軸部105の元部105b側において、バンド本体81の幅方向側に沿った両側(折り完了体44の長手方向に沿った両側)に張り出すように、形成されている。具体的には、鍔部101F,101Rは、基部92における上側の領域、すなわち被係止部94における上壁部95の前面及び後面から前後に突出して形成されるもので、実施形態の場合、上壁部95から連なるようにして、前後方向側に突出するように前後方向に略沿って形成される略平板状とされている。この鍔部101F.101Rは、図13に示すように、上下方向側から見て、車外側の面を上壁部95の車外側面95aから連ならせるように、構成されている。そして、実施形態の場合、各鍔部101F,101Rは、巻付バンド80のケース50Rへの取付時において、規制用収納部66への収納作業の利便性を高めるために、それぞれ、車外側の面を、前後方向の中央側(被係止部94側)を車外側に位置させ、前後方向の端部側(先端面101c側)を車内側に位置させるように、車内外方向に対して傾斜させるように、切り欠かれて、上下方向側から見た外形形状を、略台形状として、構成されている。各鍔部101F,101Rは、前後方向側への突出量(前後方向側の幅寸法)を、基部92における上壁部95とともに、規制用収納部66内に収納可能として、かつ、規制用収納部66内への収納時には、図23のBに示すように、先端面101cを、それぞれ、規制用収納部66における前壁部68及び後壁部69に近接させるような寸法に、設定されている。また、各鍔部101F,101Rは、車内外方向側の幅寸法を、組付部91の被組付部54への組付時(爪片部106U,106Dの組付凸部58U,58Dへの係止時)に、車内側面を、支持部64F,64R及び規制用収納部66の車内側面よりも、車外側に位置させ、かつ、巻付バンド80の係止クリップ104における爪片部106U,106Dの先端106aを組付凸部58U,58Dの車内側面58bに当接させるまで差し込んだ状態において、支持部64F,64R及び規制用収納部66の車内側面と略一致した位置に配置させるように、設定されている(図23のA,B参照)。
係止クリップ104は、折り完了体44をケース50Rに収納させる際に、ケース50Rの被組付部54に係止されるものである。係止クリップ104は、図10〜12に示すように、基部92において、被係止部94の下方となる領域の車外側面(係止用凹部97の下側の領域)から、車外側に向かって突出するように、形成されている。係止クリップ104は、基部92から車外側O側に向かって突出するように形成される略平板状の係止軸部105と、係止軸部105の上面側と下面側とに突出するように形成される爪片部106U,106Dと、を備えている。係止軸部105は、幅方向をバンド本体81の幅方向(折り完了体44の長手方向)に略沿わせた平板状として、窓W2の内側面Waと略直交する方向に沿うように、被組付部54における穴本体57(組付凹部)の貫通方向に略沿って突出するように、構成されている。また、係止軸部105は、幅寸法を、被係止部94(基部92)の幅寸法と一致させて構成されるとともに、係止クリップ104の被組付部54における組付穴部55周縁との係止強度を確保するために、被係止部94側となる元部105b側の部位を、被係止部94にかけて、厚さを増すように、構成されている。各爪片部106U,106Dは、係止軸部105の先端105a側から上下に突出するように形成されるもので、それぞれ、先端106a側を車内側Iに向けて拡開させるように、傾斜して、形成されている。すなわち、各爪片部106U,106Dは、係止軸部105の先端105a側から反転しつつ拡開されるように形成されている。また、各爪片部106U,106Dは、撓み可能とされている。実施形態の場合、各爪片部106U,106Dは、係止軸部105の全域にわたって、形成されている。各爪片部106U,106Dは、係止クリップ104を、ケース50Rの被組付部54に形成される組付穴部56に挿入させた際に、穴本体57の上縁57a側と下縁57b側とに形成される組付凸部58U,58Dに係止されるもので、組付凸部58U,58Dと対向するように、形成されている。
この係止クリップ104は、巻付バンド80を折り完了体44の周囲に巻き付けた状態で、バンド本体81の離隔側端部81b側に配設される押圧部87の車外側面となる位置において、突出方向(押し込み方向、係止軸部105の軸方向)を、押圧部87の押圧操作面87aと略直交させるように、配置されることとなる(図20,21参照)。詳細には、係止クリップ104は、巻付バンド80を折り完了体44の周囲に巻き付けた状態で、係止軸部105を、押圧部87における押圧操作面87aの車外側Oとなる領域(押圧操作面87aの押圧により押し込み可能な領域であって、押圧部87、若しくは、バンド本体81における押圧部87近傍の領域)に、配設されている。すなわち、係止クリップ104は、折り完了体44の周囲に巻き付けられた状態でケース50Rに取り付けられる際に、被組付部54に形成される組付穴部56への押圧方向を、押圧部87の押圧操作面87aと略直交させるように配置されることから、押圧操作面87aを押圧すれば、押圧部87の車外側面87bが、被係止部94に形成されるスペーサ部96の先端面96aと当接し、また、押圧部87における下部側の領域に形成されるスペーサ部89の先端面89aが、被係止部94における爪片99の元部側端面99cと当接することとなって、被係止部94ごと係止クリップ104を押し込むことにより、係止クリップ104を組付穴部56に挿入させることができる。そして、各爪片部106U,106Dを組付凸部58U,58Dに係止させるまで、係止クリップ104を組付穴部56に押し込めば、係止クリップ104を被組付部54に組み付けることができる(図21のC参照)。
折り完了体44におけるエアバッグ25の上縁25a側に係止される係止突起109は、バンド本体81において、被係止部94と係止クリップ104を配置させた離隔側端部81b側に、形成されている。この係止突起109は、バンド本体81における離隔側端部81b側の部位において、内周側から内方(車両搭載時における下方)に向かって突出するように、形成されている。係止突起109は、図10のA、図14、及び図16に示すように、エアバッグ25の上縁25a側に形成される貫通孔32に挿通可能な棒状の係止首部110と、係止首部110の先端側において膨出して形成される係止頭部111と、を備えている。係止首部110は、実施形態の場合、バンド本体81の長さ方向側を長尺とした略直方体状として、短手方向側の両端面側に、肉盗み用の凹部(図符号省略)を、配設させている。実施形態の場合、係止首部110は、円形の貫通孔32を押し広げるようにして、貫通孔32に挿通されている(図18参照)。係止頭部111は、図16に示すように、バンド本体81の長さ方向側の幅寸法を、係止首部110のバンド本体の長さ方向側の幅寸法と略同一として、係止首部110の先端から、バンド本体81の幅方向に沿った両側に略平板状に延びるように、構成されている。係止頭部111は、外形形状を、バンド本体81の幅方向側を幅広として、四隅を面取りされた扁平な略八角形板状として、構成されている。この係止頭部111は、エアバッグ25に形成される貫通孔32周縁に係止可能に構成されるもので、図14に示すように、バンド本体81の幅方向に沿った方向側(前後方向側)の長さ寸法L1を、バンド本体81の幅寸法L2より大きくして、構成されている。実施形態の場合、係止頭部111は、前後方向側の長さ寸法L1を、基部92の前後方向側の幅寸法と略一致させて、構成されている。
この係止突起109は、巻付バンド80の折り完了体44の周囲への巻付時に、折り完了体44の上方から貫通孔32に差し込むようにして配置させた際に、係止頭部111を貫通孔32周縁に係止されることとなり、巻付バンド80の折り完了体44の周囲への巻き付け作業時(係止爪部83の被係止部94への係止時)に、折り完了体44が巻付バンド80に対して回転するのを防止することができる。そのため、係止突起109の係止頭部111を貫通孔32周縁に係止させておけば、被係止部94を強く把持しなくとも、係止爪部83を係止用凹部97に収納させて、係止爪部83を被係止部94に容易に係止させることができ、巻付バンド80の折り完了体44の周囲への巻き付け作業が容易である。また、巻付バンド80に設けられる係止突起109を、エアバッグ25の上縁25a側に係止させることにより、係止突起109を貫通させる貫通孔32の下側において車内側に位置させて折った折目VF(図18参照)の位置を、前後の略全域にわたって略一定として、折り完了体44を車両Vに搭載させることができる。
次に、頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明をする。まず、エアバッグ25を、図17のBに示すように、折り畳む。実施形態の場合、エアバッグ25を、平らに展開した状態から、上縁25a側の領域を、上縁25a側を略平行な折目を付けて蛇腹折りして、蛇腹折り部位44aを形成し、下方の領域を、下縁25bを車外側壁部26b側で巻くロール折りにより折り畳んで、ロール折り部位44bを形成して、折り完了体44を形成する。実施形態の折り完了体44では、図18に示すように、蛇腹折り部位44aにおいて、上縁25a側に近く、かつ、貫通孔32より下方となる位置に、車内側Iに位置させて折った折目VFが設けられ、貫通孔32は、折り完了体44の上面側に、露出している。
次いで、図18に示すように、折り完了体44の周囲に、巻付バンド80を巻き付けて、折り完了体44を包む。このとき、まず、図18のAに示すように、巻付バンド80の係止突起109を、貫通孔32に挿入させ、係止突起109の係止頭部111を貫通孔32の周縁に係止させる。次いで、押圧部87を把持して、バンド本体81を折り完了体44の周囲に巻き付けるようにして、係止爪部83を被係止部94に接近させ、押圧部87の押圧操作面87aを押圧して、係止爪部83を被係止部94の係止用凹部97内に押し込めば、図19のAに示すように、係止爪部83の爪片85が、係止用凹部97の内周面98に形成される爪片99と係止され、係止爪部83を被係止部94に係止させることができる。そして、図17のC及び図18のBに示すように、折り完了体44の周囲を、巻付バンド80によって、折り崩れを防止してくるむことができる。
次いで、折り完了体44を、ケース50(50F,50C,50R)に取り付ける。このとき、取付部33Aを取付座部73の車内側面73cに重ねた状態で、取付クリップ17の取付脚部20を、取付部33A及び取付座部73の取付孔33a,73aに、取付座部73の車内側面73c側から挿入させ、取付脚部20を、取付座部73における取付孔73aの周縁部位73bに係止させて、取付クリップ17を取付座部73に仮止めする(図25参照)。また、図20,21に示すように、巻付バンド80に形成される係止クリップ104を、被組付部54に接近させ、押圧部87の押圧操作面87aを押圧して、係止クリップ104を被組付部54の組付穴部56に押し込めば、係止クリップ104の爪片部106U,106Dが、組付穴部56の穴本体57周縁に形成される組付凸部58U,58Dに係止されることとなり、係止クリップ104を被組付部54に係止させることができる。このとき、組付部91における上側の部位は、鍔部101F,101Rとともに、規制用収納部66内に収納されることとなる(図22,23参照)。また、取付部33Bには、取付ブラケット22を取り付けておき、さらに、折り完了体44から突出しているエアバッグ25の接続口部28に、取付ブラケット13を取付済みのインフレーター12を挿入して、クランプ15により、接続口部28とインフレーター12とを連結すれば、図24に示すようなエアバッグ組付体AMを形成することができる。
そして、エアバッグ組付体AMから突出している取付クリップ17の取付脚部20を、インナパネル2に形成される取付孔3に挿入させ、取付クリップ17の拡張用軸部21dを張出し鉤部20b間に配置させるように押しピン21を押し込めば、図2に示すように、張出し鉤部20bを取付孔3の周縁に係止させることができて、取付部33Aを、ケース50の取付座部73とともに、ボディ1側のインナパネル2に取り付けることができる。同時に、インフレーター12の取付ブラケット13を、ボルト14を使用して、インナパネル2の所定位置に固定させ、取付部33Bに取り付けられた取付ブラケット22を、ボルト23を使用してインナパネル2の所定位置に固定させれば、エアバッグ組付体AMを車両Vに組み付けることができる。その後、インフレーター12に、インフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を結線するとともに、フロントピラーガーニッシュ5,ルーフヘッドライニング6,中間ピラーガーニッシュ7,リヤピラーガーニッシュ8を、ボディ1側のインナパネル2に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載後、制御装置からの作動信号を受けてインフレーター12が作動されれば、インフレーター12から吐出される膨張用ガスがエアバッグ25内に流入して、膨張するエアバッグ25が、巻付バンド80における係止爪部83と被係止部94との係止状態を解除しつつ、エアバッグカバー10を押し開いて、下方へ突出しつつ展開し、図1の二点鎖及び図28に示すように、窓W1,W2や中間ピラー部CP及びリヤピラー部RPの車内側を覆うように、膨張を完了させることとなる。
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、巻付バンド80に形成される組付部91が、組付部91をケース50に形成される被組付部54に組み付けた状態で、組付凹部としての穴本体57の周囲に配置される支持部64F,64Rに下面101a側を支持可能とされる鍔部101F,101Rを、備える構成とされ、この鍔部101F,101Rは、組付部91を被組付部54に組み付けるための係止軸部105の突出方向と略直交するように、折り完了体44の長手方向(前後方向)に沿って張り出すように、形成されている。そのため、図28に示すように、エアバッグ25の展開膨張時において、巻付バンド80が巻き付けを解除されて、エアバッグ25の膨張に伴って下方に引っ張られる際に、鍔部101F,101Rが、図29に示すように、支持部64F,64Rに下面101a側を支持されて、このような下方への引張力Fに対抗することが可能となり、また、この引張力が、巻付バンド80をケース50に組み付けている部位、すなわち、相互に係止されている爪片部106U,106Dと組付凸部58U,58Dとの領域に、係止軸部105の突出方向に沿うようにして作用することを、防止できる。そのため、このような下方への引張力を受けて、爪片部106U,106Dと組付凸部58U,58Dとの係止状態が解除されることを、防止できる。また、組付部91は、係止クリップ104の爪片部106U,106Dを撓ませるようにして、被組付部54に形成される組付凸部58U,58Dに係止される構成であることから、爪片部106U,106Dと組付凸部58U,58Dとの係止作業も容易に行うことができ、そして、撓んだ後に復元して組付凸部58U,58Dに係止された爪片部106U,106Dは、復元した分、係止代が大きくなり、十分な係止力を確保できる。特に、実施形態の場合、組付凸部58U,58Dも撓み可能な構成とされており、係止クリップ104を、被組付部54の穴本体57(組付凹部)に差し込むように車外側Oに向かって移動させれば、爪片部106U,106Dと組付凸部58U,58Dとが、ともに撓み、爪片部106U,106Dが組付凸部58U,58Dの車外側に到達すれば、爪片部106U,106Dと組付凸部58U,58Dとが、共に復元されて相互に係止されることとなり、爪片部106U,106Dと組付凸部58U,58Dとの係止作業が容易である。
したがって、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、ケース50への取付作業が容易で、かつ、巻付バンド80を強固にケース50に取り付けることができる。
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、巻付バンド80が、係止爪部83を係止用凹部97に押し込むための押圧部87を備える構成であることから、巻付バンド80の折り完了体44の周囲への巻付作業時に、図18に示すように、バンド本体81を折り完了体44の周囲に配置させた状態で、押圧部87の押圧操作面87aを操作して、係止爪部83を係止用凹部97に押し込めば、係止爪部83を係止用凹部97に係止させることができて、巻付バンド80を、折り完了体44の周囲に巻き付けることができる。また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、巻付バンド80に形成される組付部91も、押圧部87の押圧操作面87aを押圧すれば、ケース50に形成される被組付部54に組付可能に構成されている(図20,21参照)。そのため、折り完了体44に巻き付けられた状態の巻付バンド80を、ケース50に取り付ける際に、押圧操作面87aを押圧すれば、組付部91を被組付部54に組み付けることができる。すなわち、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、巻付バンド80の折り完了体44への巻付作業と、折り完了体44に巻き付けられた状態の巻付バンド80のケース50への取付作業と、が、ともに、巻付バンド80に形成される押圧部87の押圧操作面87aを押圧することにより行なうことができて、作業性が良好であり、作業工数を低減させることもできる。
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、係止爪部83若しくは係止用凹部97の周囲において、係止爪部83と係止用凹部97との係止時に、係止軸部105の軸方向に沿った方向側において、係止軸部105及び押圧部87と重なる領域に、係止爪部83の係止用凹部97への押し込み時に他方に当接されて押し込み完了位置を規定するスペーサ部89が、形成される構成である(図19参照)。詳細には、実施形態では、スペーサ部89は、係止爪部83側において、係止軸部105の車内側Iとなる位置に、配置されて、被係止部94側に配置される爪片99の元部側端面99cに当接されて、係止爪部83の押し込み完了位置を規定される構成である。そのため、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、係止爪部83の押し込み完了位置を、係止軸部105の軸方向に沿った方向側(係止軸部105の軸方向に沿った車内側)において、係止軸部105及び押圧部87と重なる領域に配置されるスペーサ部89によって、規制できることから、押圧操作面87aを押圧する際の押圧力を、無駄なく、直接的に、被組付部54若しくは係止用凹部97に作用させることができ、作業性が良好である。
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、このスペーサ部89に加えて、スペーサ部89に対して係止爪部83を間にして対向する位置に、スペーサ部96を配置させており、この係止爪部83を間にして対向する2箇所に配置されるスペーサ部89,96によって、係止爪部83の係止用凹部97への押し込み完了位置を規定している。詳細には、スペーサ部96は、被係止部94において係止用凹部97の上側となる位置に配置されるもので、このスペーサ部96は、係止爪部83側に配置される押圧部87の車外側面87bに当接されて、係止爪部83の押し込み完了位置を規定される構成である。そのため、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、係止爪部83を間にして対向する2箇所となる位置に配設されるスペーサ部89,96によって、係止爪部83の押し込み完了位置を一層安定して規定することができ、押圧操作面87aを押圧する際の押圧力を、一層安定して、被組付部54若しくは係止用凹部97に作用させることができる。なお、このようなスペーサ部の配置位置は、実施形態に限られるものではなく、係止爪部を間にして前後で対向する2箇所に、形成してもよい。また、スペーサ部の配置数は、2個に限らず、係止爪部の周囲に3個以上配設させる構成としてもよい。
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、押圧部87が車内外方向側の幅寸法を大きくした略直方体状とされており、押圧操作面87aは、車両搭載時(巻付バンド80の組付部91を被組付部54に組み付けた状態)において、ケース50における規制用収納部66内に全体を収納されず、この規制用収納部66の車内側面66bよりも車内側Iに大きく突出した位置に、配置される構成である(図21のB及び図23のB参照)。すなわち、この押圧操作面87aは、巻付バンド80の係止クリップ104を、爪片部106U,106Dの先端106aを組付凸部58U,58Dの車内側面58bに当接させるまで差し込んだセット状態(図21のA及び図23のA参照)においても、規制用収納部66から大きく車内側Iに突出して配置され、また、折り完了体44からも大きく突出して配置されることから、押圧操作面87aを押圧して係止クリップ104を押し込む際の作業性が、良好である。
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、巻付バンド80が、バンド本体81に、折り完了体44におけるエアバッグ25の上縁25a側に係止される係止突起109を、配設させる構成とし、係止突起109において、エアバッグ25の上縁25a側に形成される貫通孔32周縁に係止される係止頭部111が、バンド本体81の幅方向に沿った方向側の長さ寸法をバンド本体81の幅寸法より大きく設定される構成である。そのため、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、係止頭部111がバンド本体81から突出して配置されることとなり、図30のAに示すように、巻付バンド80を折り完了体44の周囲に巻き付けた状態において、係止首部110が貫通孔32に挿通されていない状態(係止突起109の非係止状態)では、係止頭部111を、巻付バンド80の外周側から視認できることとなる。係止首部110を貫通孔32に挿通させ、係止頭部111を貫通孔32周縁に係止させた状態では、係止頭部111は、図30のBに示すように、エアバッグ25に覆われて、巻付バンド80の外周側から視認できない。そのため、巻付バンド80を折り完了体44の周囲に巻き付けた後で、係止突起109のエアバッグ25の上縁25a側への係止状態を目視によって、容易に確認することができる。なお、このような点を考慮しなければ、係止頭部を、バンド本体より狭幅として、構成してもよく、さらには、巻付バンドとして、係止突起自体を備えない構成としてもよい。
さらにまた、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、鍔部101F.101Rが、組付部91における係止軸部105の元部105b側において、バンド本体81の幅方向側に沿った両側に張り出すように、形成されていることから、エアバッグ25の展開膨張時に、相互に係止されている爪片部106U,106Dと組付凸部58U,58Dとの領域に下方への引張力が作用することを、一層、抑制することができる。また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、ケース50が、爪片部106U,106Dの組付凸部58U,58Dへの係止前の状態で、鍔部101F,101Rの先端側から組付部91(上壁部95)の上側にかけての領域を囲むように、支持部64F,64Rから延設されて、組付部91の移動を規制する規制用収納部66を、備えている。また、支持部64F,64Rは、爪片部106U,106Dの組付凸部58U,58Dへの係止前の状態で、組付部91における鍔部101F,101Rの下部側の側面(基部92の前面92a,後面92b)と当接して、組付部91(基部92)の移動を規制可能な規制面(先端面)64bを、備える構成とされている。そのため、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、図21における左側を上側とするように横倒しにした状態のケース50に、折り完了体44を収納させる際に、巻付バンド80を、図21のA及び図23のAに示すように、係止クリップ104の爪片部106U,106Dの先端106aを組付凸部58U,58Dの車内側面58bに当接させるようにして、組付部91を規制用収納部66に収納させるようにセットすれば、爪片部106U,106Dの組付凸部58U,58Dへの係止前の状態で、作業者が手を離しても、組付部91が、移動を抑制されて、規制用収納部66に収納された状態を維持できて、巻付バンド80を自立させることができることから、組付部91を規制用収納部66に収納させることにより、巻付バンド80をケース50に位置合わせしておくことが容易となる。すなわち、組付部91を規制用収納部66に収納させるように、仮置きしておくことができることから、一旦、組付部91を規制用収納部66に収納させた状態として、例えば、ケース50の所定箇所と折り完了体44との所定箇所に、図示しない破断可能なテープ材を巻き付ける巻付作業を行ない、その後、組付部91を被組付部54に組み付けることも可能となり、作業性を一層良好とすることができる。なお、このような点を考慮しなければ、鍔部は、折り完了体の長手方向に沿った一方側のみに、配設させてもよく、また、鍔部の下面側を支持する支持部のみを配設させて、組付部(被係止部)の周囲を覆うような規制用収納部を配設させない構成としてもよい。
さらにまた、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、図7に示すように、規制用収納部66を、組付凹部(穴本体57)よりも上部側となる位置に、配置させていることから、規制用収納部66を組付凹部としての穴本体57よりも下方に配置させる場合と比較して、ケース50における折り完了体44を収納させる収納部位52を狭めなくともよい。なお、このような点を考慮しなければ、規制用収納部を組付凹部より下方となる位置に、配置させる構成としてもよい。
さらにまた、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、被組付部54の組付穴部56が、穴本体57の周囲から車外側Oに向かって突出する組付凹部形成部位としてのカバー部60を有する構成とされており、このカバー部60よりも上側に配設される規制用収納部66が、車外側面66aを、カバー部60の車外側面60aよりも車内側Iに位置させるように、段差状に構成されている(図7参照)。そのため、規制用収納部66の車外側上方への突出を抑制できて、例えば、図28に示すように、ケース50を取り付ける車体側の部材(インナパネル2)が、車内外方向側で傾斜しつつ上部側を室内側に接近させるように湾曲している湾曲パネル部2Aを備える構成であっても、ケース50を円滑にインナパネル2に取り付けることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、規制用収納部の車外側面を、カバー部の車外側面と略同一とするように、構成してもよく、さらには、規制用収納部を、カバー部よりも車外側に突出させるように、構成してもよい。
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、ケース50と巻付バンド80とが、ともに、熱可塑性エラストマー製とされていることから、エアバッグ25の展開膨張時に、部分的な破損や分断等による分離された小片の発生を、抑制できる。
なお、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、巻付バンドは、エアバッグの展開膨張時に、係止爪部と被係止部との係止状態を解除させることにより、巻き付けを解除する構成とされているが、巻付バンドの折り完了体の周囲への巻き付けの解除方法は、実施形態に限られるものではなく、例えば、バンド本体に、エアバッグの展開膨張時に破断可能な破断予定部を配設させ、バンド本体自体を破断させることにより、巻き付けを解除させる構成としてもよい。