以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mは、図1に示すように、膨張完了時に、車両Vの窓(サイドウィンド)W1,W2を覆い可能に、エアバッグ25を、窓W1,W2の上縁側の周縁、すなわち、フロントピラー部FPからルーフサイドレール部RRを経てリヤピラー部RPの上方付近までの範囲に、折り畳んで収納させている。なお、実施形態の場合、車両Vは、フロントピラー部FPとリヤピラー部RPとの間に、略上下方向に沿って配置される1つの中間ピラー部CPを配設させ、膨張完了時のエアバッグ25は、図1の二点鎖線に示すように、窓W1,W2とともに、中間ピラー部CPに配置される中間ピラーガーニッシュ7や、リヤピラー部RPに配置されるリヤピラーガーニッシュ8の一部の車内側も、覆うように構成されている。
なお、実施形態では、特に断らない限り、上下,前後の方向を、車両搭載時における車両Vの上下,前後の方向と一致させて、説明する。
頭部保護エアバッグ装置Mは、図1〜3に示すように、エアバッグ25、エアバッグ25に膨張用ガスを供給するインフレーター12、取付ブラケット13、取付クリップ17、折り畳まれたエアバッグ25(折り完了体44)を収納するケース50、及び、折り完了体44の周囲に巻き付けられる巻付バンド90を、備えて構成されている。折り畳まれたエアバッグ25(折り完了体44)、インフレーター12、及び、ケース50は、巻付バンド90も含めて、車両Vへの搭載時に、車内側Iをエアバッグカバー10に覆われて収納されている(図1〜3参照)。エアバッグカバー10は、実施形態の場合、フロントピラー部FPの車内側を覆うフロントピラーガーニッシュ5の下縁5aと、ルーフサイドレール部RRの車内側を覆うルーフヘッドライニング6の下縁6aと、から構成されている。
フロントピラーガーニッシュ5とルーフヘッドライニング6とは、中間ピラーガーニッシュ7,リヤピラーガーニッシュ8とともに、合成樹脂製として、図示しない取付手段によって、フロントピラー部FPやルーフサイドレール部RRにおけるボディ1側の部材であるインナパネル2の車内側Iに取り付けられている。そして、これらの下縁5a,6aから構成されるエアバッグカバー10は、展開膨張時のエアバッグ25を突出可能に、エアバッグ25に押されて、下縁5a,6aを車内側Iに開くように、構成されている(図2,3の二点鎖線及び図28参照)。
インフレーター12は、エアバッグ25に膨張用ガスを供給するもので、図1に示すように、略円柱状のシリンダタイプとして、先端側に、膨張用ガスを吐出可能な図示しないガス吐出口を、配設させている。インフレーター12は、ガス吐出口付近を含めた先端側を、エアバッグ25の後述する接続口部28に挿入させ、接続口部28の後端側の外周側に配置されるクランプ15を利用して、エアバッグ25に対して連結されている。また、インフレーター12は、インフレーター12を保持する取付ブラケット13と、取付ブラケット13をボディ1側のインナパネル2に固定するためのボルト14と、を利用して、インナパネル2に取り付けられている。
エアバッグ25は、図1の二点鎖線に示すように、インフレーター12からの膨張用ガスを内部に流入させて、折畳状態から展開して、窓W1,W2や、中間ピラー部CP及びリヤピラー部RPにおける中間ピラーガーニッシュ7,リヤピラーガーニッシュ8の車内側を覆うように、展開膨張する構成とされている。エアバッグ25は、図2,3の二点鎖線や、図17のA及び図28に示すように、膨張用ガスGを内部に流入させて車内側壁部26aと車外側壁部26bとを離すように膨張するガス流入部26と、車内側壁部26a,車外側壁部26bを相互を結合させるように形成されて膨張用ガスを流入させない非流入部30と、を備えている。ガス流入部26は、実施形態の場合、保護膨張部27と接続口部28とを備え、非流入部30は、周縁部31、取付部33、板状部34,35、及び、閉じ部36を備える構成とされている。
ガス流入部26の保護膨張部27は、図17のAに示すように、エアバッグ25の膨張完了時に、前席の側方の窓W1を覆う前保護部27aと、後席の側方の窓W2を覆う後保護部27bと、を備えている。接続口部28は、エアバッグ25の上縁25a側の前後方向の中央付近に配置されるもので、実施形態の場合、後上がりに傾斜しつつエアバッグ25の上縁25a側から上方に突出するように形成されて、インフレーター12を接続可能に、後端側を開口させて構成されている。前保護部27aと後保護部27bとは、エアバッグ25の膨張完了時に、平らに展開した状態からの前後方向側の幅寸法を縮められ、また、厚さを規制されて、前後方向に延びる板形状を維持できるように、内部領域に、閉じ部36を配置させている。
非流入部30における周縁部31は、ガス流入部26の外周縁を、接続口部28の後端側を除いて全域にわたって囲むように形成されている。実施形態では、周縁部31の上縁31a側の領域には、図17のAに示すように、各巻付バンド90に形成される後述する係止突起125を挿入させるための貫通孔32が、形成されている。実施形態の場合、貫通孔32は、略円形に開口して形成されている。板状部34は、前保護部27aと後保護部27bとの間に配置されるもので、略長方形板状とされている。板状部35は、エアバッグ25の前端側に配置されるもので、略長方形板状とされるとともに、下端側に、略帯状として前方に延びるベルト部35aを、配置させている。
取付部33は、板状部35におけるベルト部35aの前端側を含めて、エアバッグ25の膨張完了時の上縁25a側に配置されるもので、エアバッグ25の上縁25a側を、車両Vのボディ1側であるインナパネル2に取り付けるための部位である。取付部33は、前後方向に沿って複数個(実施形態の場合、6個)配置されるもので、それぞれ、ベルト部35aの前端側を含めたエアバッグ25の上縁25aから上方に突出して、形成されている。実施形態のエアバッグ25では、前側に配置される5個の取付部33Aが、取付クリップ17を使用してインナパネル2に取り付けられ、後端側に配置される1個の取付部33Bは、詳細には説明しないが、取付ブラケット22とボルト23とを使用してインナパネル2に取り付けられる構成である(図1,25参照)。取付クリップ17を使用してインナパネル2に取り付けられる各取付部33Aには、取付クリップ17を挿通させるための取付孔33aが、略長方形状に開口して形成されている。なお、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、ベルト部35aの前端側に配置される取付部33AAと、その後側に隣接して配置される取付部33ABと、の部位には、ケースが配置されておらず(図1,25参照)、これらの取付部33AA,33ABは、図示しないが、ケースの取付座部を介さず、直接、インナパネル2に取り付けられている。
実施形態の場合、エアバッグ25は、図17のAに示すように、ポリアミド糸やポリエステル糸等を使用した袋織りによって形成される本体部38と、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されて本体部38に縫着される別体布39,40,41,42と、から構成されている。別体布39は、板状部34の部位を構成し、別体布40は、板状部35の部位を構成している。また、別体布41は、取付部33の部位を構成し、別体布42は、接続口部28の部位を構成している。本体部38は、略長方形状に形成されて、前保護部27a、後保護部27b、周縁部31、及び、板状部34の部位を構成している。なお、実施形態のエアバッグ25では、袋織りによって製造された本体部38において、板状部34の部位を切除し、この切除した部位が、接続口部28を構成する別体布42とされている。そして、本体部38において切除された領域には、別体布39が、この領域を塞ぐように配置されて、板状部34を形成している。
実施形態では、エアバッグ25は、上縁25a側の部位を蛇腹折りされ、下部側の領域を下縁25b側から車外側Oに向かって巻くようなロール折りにより、折り畳まれている。エアバッグ25を折り畳んで形成される折り完了体44は、図18に示すように、ロール折り部位44bの上側に、蛇腹折り部位44aを載せるように形成されるもので、蛇腹折り部位44aの上面側には、周縁部31の上縁31a側が露出され、巻付バンド90の係止突起125を係止させるための貫通孔32も、露出されている。
折り畳まれたエアバッグ25(折り完了体44)を収納するケース50は、熱可塑性エラストマー製とされて、実施形態の場合、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)から形成されている。ケース50は、前後方向に延びた長尺状とされている。実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、図1,25に示すように、折り完了体44において、前保護部27aの部位を収納するケース50Fと、後保護部27bの部位を収納するケース50Rと、接続口部28付近の部位を収納するケース50Cと、の三つが使用されている。前側に配設されるケース50Fは、窓W1の上縁側における前側の領域に対応して、前端側を下方に向けるように屈曲して形成され、ケース50C,50Rは、窓W1の上縁側における後側の領域から窓W2の上縁側に対応して、前後方向に沿って略直線状に延びるように形成されている(図1,25参照)。実施形態では、後側に配置されるケース50Rを例に採り、詳細に説明をする。ケース50F,50Cに関しても、外形形状が異なるものの、巻付バンド90を取り付ける構成や、取付クリップ17を使用してエアバッグ25の取付部33Aを取り付ける構成は、ケース50Rと同様の構成である。なお、ケース50は、折り畳まれたエアバッグ25(折り完了体44)を、運搬時や、車両搭載時、膨張時等において、保護したり、膨張時の展開方向の案内を行なうプロテクタの役目も果たし、折り完了体44を周囲の干渉物からカバーするように、折り完了体44の周囲に配置されるものである。
ケース50Rは、図4に示すように、折り完了体44を収納する収納部位52と、巻付バンド90の組付部101を組み付ける被組付部54と、ボディ1側のインナパネル2に取り付けられる取付座部83と、を備える構成とされている。
収納部位52は、折り完了体44の車外側Oを覆うように、折り完了体44の外周面に沿って略円弧状に湾曲して形成されている(図2,3参照)。
巻付バンド90を取り付ける被組付部54は、収納部位52の上部側に配置されるもので、実施形態の場合、ケース50Rにおける前後方向の中央よりやや前方となる1箇所に、形成されている(図4参照)。被組付部54は、図5〜8に示すように、巻付バンド90の組付部101に形成される係止クリップ114を組み付ける組付穴部56と、組付穴部56における穴本体57の周縁から延びて係止クリップ114の外周側を覆うカバー部60と、巻付バンド90の組付部101における後述する被係止部104を収納させる被係止部収納部66と、を備えている。
組付穴部56は、巻付バンド90の組付部101に形成される係止クリップ114を挿入させるもので、実施形態の場合、図5,7,10に示すように、長手方向を前後方向(折り完了体44の長手方向)に略沿わせた長方形状に開口して形成される組付凹部としての穴本体57と、穴本体57の内側に形成される組付凸部58U,58Dと、を備えている。
穴本体57は、係止クリップ114を挿入させる組付凹部を構成するもので、実施形態の場合、係止クリップ114を挿入可能に、車両搭載時において車内外方向に貫通される構成とされている。すなわち、穴本体57は、係止時の係止クリップ114の挿入方向を、窓W2の内側面Wa(図2参照)と略直交する方向として、構成されている。なお、ケース50Rの被組付部54は、車両搭載時に、窓W2の後方のリヤピラー部RPの上方に配置される部位であるが、図2,3に示すように、ボディ1側のインナパネル2は、窓W2のインナパネル2の内側面Waと略沿うように、配置される構成であり、係止クリップ114の挿入方向は、車外側に向かう方向であり、実施形態の場合、インナパネル2、すなわち、窓W2の内側面Waと略直交する方向とされることとなる。実施形態の場合、穴本体57は、前後に幅広とした扁平な略長方形状に開口して、形成されている(図5,7,8参照)。
組付凸部58U,58Dは、実施形態の場合、穴本体57の内周縁における上縁57a側と下縁57b側とに形成されるもので、係止クリップ114の後述する爪片部116U,116Dと対向する位置に、それぞれ、爪片部116U,116Dを係合可能に、配設されている。各組付凸部58U,58Dは、穴本体57の内周縁における上縁57a側と下縁57b側とから、それぞれ延びて、先端58a側を車外側Oに向けつつ上下の中央側に向けるように、車内外方向(左右方向)に対して傾斜して、形成されている(図9参照)。この組付凸部58U,58Dは、係止クリップ114の爪片部116U,116Dを係止可能に形成されるもので、係止クリップ114を穴本体57に挿入させた際に、係止クリップ114の各爪片部116U,116Dの元部側(車内側I)に配置されて、各爪片部116U,116Dを係合することとなる。実施形態の場合、各組付凸部58U,58Dは、前後方向側の幅寸法(折り完了体44の長手方向に沿った方向側の幅寸法)を、穴本体57の前後方向側の開口幅寸法より小さく設定されて、さらに、係止クリップ114(爪片部116U,116D)の前後方向側の幅寸法よりも僅かに小さく設定されている(図5,7,23,24参照)。
組付穴部56における穴本体57の周縁から延びるカバー部60は、穴本体57の外周縁から車外側Oに向かって延びるように形成されるとともに、穴本体57に挿入された状態の係止クリップ114の上下前後を覆う略四角筒状とされている。このカバー部60は、図24のB及び図27に示すように、爪片部116U,116Dを組付凸部58U,58Dに係合させた状態の係止クリップ114の前後上下の四方を、係止軸部115の先端115a側を除いて略全面にわたって覆うように構成されている。そして、組付凸部58U,58Dは、カバー部60において、上下方向側で対向するように配置される上壁部61,下壁部62の車内側端部61a,62aから突出するように形成されている(図9参照)。このカバー部60において、係止クリップ114の上側を覆う上壁部61は、組付凹部(穴本体57)内に挿入された状態の組付部101の上側を覆う上壁部59を構成するもので、具体的には、上壁部59において、下面側に組付凸部68Uを突出させている車外側部位を、構成している。また、上壁部61の車内側面61bは、折り完了体44に巻き付けられた巻付バンド90の係止クリップ114を組付穴部56(穴本体57)に押し込む際に、巻付バンド90の被係止部104における上壁部105の車外側面105aと当接して、巻付バンド90の車外側Oへの移動を規制する規制面を構成している(図21のB及び図24のB参照)。また、カバー部60において、上壁部61の前後両端側から、係止クリップ114の前後両側を覆うように下方に延びる前壁部63,後壁部64は、縦壁部を構成するもので、下壁部62より下方に延びて、下端63a,64a側を、収納部位52(被組付部54)に連ならせるように、配置されている(図7,8参照)。
巻付バンド90の被係止部104を収納させる被係止部収納部66は、組付部101の被組付部54への組付時(爪片部116U,116Dの組付凸部58U,58Dへの係止時)に、巻付バンド90の組付部101における被係止部104の上壁部105と、上壁部105から前後に延びる鍔部111F,111Rと、の領域を収納させる部位であり、車内外方向に略沿って配置される四角筒状として、下部側における前後方向の中央側の領域を、係止クリップ114における基部102を挿通可能に切り欠いて形成されている(図9,10,23のA参照)。この被係止部収納部66は、図5〜10に示すように、カバー部60の車内側Iとなる位置において、カバー部60よりも前後に幅広としてカバー部60より前後に延び、かつ、カバー部60より上方に突出するように、配置されている。
被係止部収納部66は、車外側Oを開口させるようにして、被係止部104の上壁部105と各鍔部111F,111Rの上面側とを覆うように配置される上壁部67と、各鍔部111F,111Rの前方あるいは後方を覆うように配置される前壁部74,後壁部75と、各鍔部111F,111Rの下方を覆う前下壁部76,後下壁部77と、を備える構成とされるもので、巻付バンド90において、鍔部111F,111Rの下面から先端面及び上面を経て、組付部101(被係止部104)における基部102(上壁部105)の上面側にかけての領域を囲むように、形成されている。
この被係止部収納部66において、被係止部104の上壁部105の上面側と各鍔部111F,111Rの上面側とを覆う上壁部67は、鍔部111F,111Rの上側に位置する前側部位68,後側部位69を、被係止部104の上壁部105の上側に位置する中央側部位70よりも厚肉として下方に突出させるように構成されている。この上壁部67における前側部位68と後側部位69とは、内部に被係止部104を収納させた状態で、上壁部67に対して段差を設けるように配置されている鍔部111F,111Rとの隙間を小さくするように、中央側部位70よりも下方に突出する構成とされている。また、実施形態の場合、上壁部67は、上面側に、車外側を除いた外周縁(前縁,後縁,車内側縁)に、連続的に上方に向かって突出するように形成される延設部67cと、前後の中央(リブ71の直上となる位置)に左右(車内外方向)の全域にわたって連続的に上方に突出して形成されるリブ67bと、を配設させている(図6〜8,10参照)。この延設部67c及びリブ67bは、上壁部67の強度補強のために、配設されている。
また、実施形態の上壁部67における中央側部位70の前後の中央には、下方に突出しつつ、車内側Iから車外側Oにかけて突出量を大きくするように、下面71a側を傾斜させて構成されるリブ71が、形成される。詳細には、リブ71は、下面71a側を車外側Oにかけて緩やかに傾斜させ、車外側端部71bを、大きく下方へ突出させるように形成されている(図9参照)。このリブ71は、実施形態の場合、車外側端部71bにおいて、下方への突出量を、上壁部67における前側部位68,後側部位69の中央側部位70からの突出量と略一致させて、構成されている。
この被係止部収納部66の上壁部67は、穴本体57内に係止クリップ11を挿入された状態の組付部101(被係止部104)の上側を覆う上壁部59を構成するもので、具体的には、上壁部59において、車外側部位(上壁部61)の車内側Iに配置される車内側部位を、構成している。すなわち、上壁部67は、カバー部60における上壁部61の車内側Iにおいて、上壁部61よりも上側に位置するように、上壁部61に対して段差状に配置されている。また、この上壁部67は、カバー部60における上壁部61と分離して構成されている。そして、上壁部67(中央側部位70)の下面70a側における前後の中央に形成されるリブ71は、車外側端部71bの下方への突出量分、周囲の中央側部位70よりも、車外側端部67a側において、カバー部60の上壁部61との離隔距離を上下方向側で縮められることとなる(図7,9参照)。そして、車内側部位としての上壁部67は、リブ71の車外側端部71bによって、頭部保護エアバッグ装置Mの車両搭載時において、組付部101に被組付部54から引き抜くような車内側Iへの引張力Fが作用した際に、車内側Iに向かって変位しつつ上方に撓むカバー部60の上壁部61の変形を抑制可能に、構成されている。この引張力Fの作用時には、ケース50Rにおける被組付部54周囲の部位が、カバー部60(上壁部61)を、車内側下方に向かってわずかに変位させるように、変形することとなるが、この変形時に、上壁部67は、図29のBに示すように、車外側端部67a(リブ71の車外側端部71b)を、上壁部61の車内側端部61aの上方で、かつ、車内側端部61aよりも相対的にわずかに車外側Oに配置させることとなり、上壁部61が、車内側端部61aを上方に向けるように撓んで変形しようとしても(図29の二点鎖線参照)、この車外側端部67aから下方に突出しているリブ71の車外側端部71bが、下面71cを、変形した上壁部61の車内側端部61aの上面61cと当接させることとなって、上壁部61のさらなる変形を抑制することとなる(図30参照)。
詳細に説明すれば、実施形態では、車内側部位としての上壁部67におけるリブ71の車外側端面71dと、車外側部位としての上壁部61の車内側端面61dと、は、上下方向に沿った断面において、車内外方向側の位置を略一致させつつ、上下方向に略沿って配置される構成であり(図9参照)、このリブ71の車外側端面71dと上壁部61の車内側端面61dとの配置位置は、組付け部101の組付凹部(穴本体57)への挿入時における上壁部71の撓みを許容することとなる(図22のA参照)。そして、組付部101に被組付部54から引き抜くような車内側Iへの引張力Fの作用時において、上壁部61が車内側下方に引っ張られた際には、上壁部61の車内側端面61dは、リブ71の車外側端面71dの下方において、車外側端面71dよりも車内側Iに位置することとなる(図29のB及び図30参照)。
また、実施形態では、被係止部収納部66は、車内外方向側(左右方向側)の長さ寸法を、巻付バンド90の組付部101を被組付部54に挿入させて爪片部116U,116Dを組付凸部58U,58Dに係止させる前の状態においても、鍔部111F,111Rの先端面から基部102の上面側にかけての領域の周囲を覆い可能な寸法に、設定されている。すなわち、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、折り完了体44の周囲に巻き付けた状態の巻付バンド90をケース50に組み付ける際において、巻付バンド90の係止クリップ114を、爪片部116U,116Dの先端116aを組付凸部58U,58Dの車内側面58bに当接させるまで差し込めば、図21のA及び図24のAに示すように、巻付バンド90における鍔部111F,111Rと組付部101における基部102の上側の領域(被係止部104)とが、被係止部収納部66内に収納されることとなり、巻付バンド90の組付部101は、被係止部収納部66によって、前後方向側及び上下方向側への移動を規制されることとなる。
また、実施形態のケース50Rでは、収納部位52において、被組付部54の下方となる領域に、補強部80が、形成されている。この補強部80は、収納部位52の車内側面52aから突出するように形成されている。詳細には、補強部80は、ケース50Rを車内側から見た状態で、組付穴部56における穴本体57の前縁側と後縁側(被係止部収納部66における前下壁部76,後下壁部77の下面側)から下方に延びて、収納部位52の下部付近にかけて配設されるもので、略U字形状として構成されている(図5,10参照)。この補強部80は、穴本体57の周縁から延びているカバー部60と協働して、エアバッグ25の展開膨張時に、穴本体57の周縁の部位が変形することを抑制することとなり、組付部101の被組付部54からの外れも、抑制することとなる。また、補強部80において、収納部位52の下端側において前後方向に略沿うように配置される下側部位80aは、エアバッグ25の展開膨張時に、巻付バンド90のバンド本体91を支持することとなる。
取付座部83は、折り完了体44から突出するように配置される取付部33Aに対応した位置に配置されるもので、実施形態のケース50Rでは、前端側の1箇所に、形成されている(図4参照)。取付座部83には、取付部33Aの取付孔33aに対応して、取付クリップ17の取付脚部20を貫通させる略四角形状に開口した取付孔83aが、車内外方向に貫通して形成されている。
取付部33Aを取付座部83とともにインナパネル2に取り付ける取付クリップ17は、図2に示すように、インナパネル2に形成される取付孔3に係止されるもので、合成樹脂製の拡張リベットタイプとして、取付ベース18と、取付ベース18内に配置される押しピン21と、を備える構成とされている(図2,26参照)。取付ベース18は、車内側Iに配置される基部19と、基部19からインナパネル2の取付孔3側(車外側O)に延びて取付孔3の周縁に取り付けられる取付脚部20と、を備えている。
基部19は、取付孔3周縁への取付前野状態で押しピン21を内部に収納させる押しピン収納部19aと、基部19の車外側端部において前後上下に幅広とした略長方形板状とされる押え板部19dと、を備えている。押え板部19dは、図26に示すように、取付クリップ17を、取付部33Aを介して、ケース50Rの取付座部83に仮止めした際に、取付部33Aを取付座部83側に押えるための部位である。押しピン収納部19aは、押しピン21を車外側Oに向かって押圧可能に、車内側Iを開口させて構成されるもので、押しピン21の上側を覆う部位と、下側を覆う部位と、に、押しピン21に形成される係合突起部21aの突起本体21cを係合可能な係合穴部19b,19cを、配設させている。これらの係合穴部19b,19cは、車内外方向(押しピン21の押し込み方向)に沿うようにして、2箇所に形成される。車内側Iに配置される係合穴部19bは、図26に示すように、押し込み前の状態の押しピン21の突起本体21cを係合させるもので、車外側Oに配置される係合穴部19cは、図2に示すように、押し込み後の押しピン21の突起本体21cを係合させるためのものである。
取付脚部20は、エアバッグ25の取付部33Aと、ケース50Rの取付座部83と、に貫通される取付孔33a,83aに挿入されて、取付部33Aを取付座部83に仮止め可能とするとともに、車両Vのボディ1側のインナパネル2に形成される取付孔3に挿入されて、取付座部83と取付部33Aとをボディ1側に取付可能に構成されている。取付脚部20内には、押しピン収納部19aと連通されるようにして、挿入凹部29aが、形成されている。この挿入凹部20aは、図2に示すように、押し込み時の押しピン21の拡張用軸部21dを挿入させるための部位である。また、取付脚部20には、一対の張出し鉤部20bが、形成されている。
押しピン21は、図2,26に示すように、元部側(車内側I)に、押しピン収納部19aに形成される係合穴部19b,19cに係合可能な係合突起部21aを配置させ、先端側(車外側O)に、押し込み時に張出し鉤部20b間に配置される拡張用軸部21dを、配置させて構成されている。元部側に形成される係合突起部21aは、上下で対向する2箇所に形成されるもので、車内外方向に沿って配置されるとともに上下方向の内側に撓み可能とされる撓み片21bと、撓み片21bの先端側(車内側端面)において上下の外方に向かって突出するように形成される突起本体21cと、を有し、突起本体21cは、押し込み前の状態では、押しピン収納部19aに形成される係合穴部19bに挿入されて、係合穴部19b周縁に係合される構成である。この係合突起部21aは、撓み片21bを上下方向の内側に撓ませれば、突起本体21cを係合穴部19bから取り外し可能に構成されるもので、撓み片21bを上下方向の内側に撓ませるようにして、突起本体21cを係合穴部19bから取り外しつつ、押しピン21を、拡張用軸部21dを挿入凹部20a内に挿入させるように押し込み、突起本体21cが車外側Oの係合穴部19cに到達したならば、撓み片21bが復元されて、突起本体21cが車外側Oの係合穴部19cに挿入されて、係合穴部19c周縁に係合されることとなる。そして、このとき、先端側に配置される拡張用軸部21dが、張出し鉤部20bの間に挿入されることとなる(図2参照)。
そして、この取付クリップ17では、エアバッグ25を折り畳んで形成される折り完了体44をケース50(50F,50C,50R)内に収納させてエアバッグ組付体AMを形成する際には、押しピン21を挿入凹部20a内に押し込んでいない状態(突起本体21cが係合穴部19b周縁に係合された状態)で、張出し鉤部20bが、取付座部83の取付孔83aの周縁部位83bに係止されることとなり、取付クリップ17が、取付部33Aを介して取付座部83に仮止めされることとなる(図26参照)。そして、取付座部83をインナパネル2に取り付ける際には、エアバッグ組付体AMにおいて、ケース50(50F,50C,50R)の取付座部83から車外側Oに突出している取付クリップ17の取付脚部20を、インナパネル2の取付孔3に挿入させた状態で、押しピン21を、撓み片21bを上下方向の中央側に撓ませつつ、拡張用軸部21dを挿入凹部20a内に押し込めば、突起本体21cが、車外側Oの係合穴部19bに挿入されて(図2参照)、係合穴部19b周縁に係合されることとなり、拡張用軸部21dが、張出し鉤部20bの間に挿入されることとなって、この張出し鉤部20bが、取付孔3の車外側Oの周縁を係止して、取付部33Aを、ケース50(50F,50C,50R)の取付座部83とともに、車両Vのボディ1側のインナパネル2に対して取り付けることとなる。
巻付バンド90は、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の熱可塑性エラストマー製とされるもので、実施形態の場合、図1,25に示すように、折り完了体44に対して、前後方向に沿った複数箇所(実施形態の場合、6箇所)に、巻き付けられている。巻付バンド90は、図11〜16に示すように、折り完了体44に巻き付けられる帯状のバンド本体91と、バンド本体91の一端側(組付部101側となる近接側端部91a側)に形成されてケース50Rの被組付部54に組み付けられる組付部101と、バンド本体91の他端側(組付部101から離れた離隔側端部91b側)に形成される係止爪部93と、組付部101(バンド本体91における組付部101側となる近接側端部91a側)に形成される被係止部104と、折り完了体44におけるエアバッグ25の上縁25a側に係止される係止突起125と、を備えている。バンド本体91は、折り完了体44の周囲に巻き付け可能な帯状とされている。
係止爪部93は、バンド本体91における離隔側端部91bの端縁からバンド本体91の長さ方向に沿って突出するように形成される突出片部94と、突出片部94の先端94a側における下面側(折り完了体44への巻付時の内周面側)から下方に突出するように形成される爪片95と、を備えている。突出片部94は、折り完了体44の長手方向に略沿わせて配置される略平板状として、折り完了体44の長手方向に沿った方向側(前後方向側)の幅寸法を、被係止部104における後述する係止用凹部107に挿入可能に、バンド本体91の幅寸法より小さく設定されている。また、突出片部94は、車両搭載状態において、車外側Oに向かって突出するように、形成されている。突出片部94の先端94a側に形成される爪片95は、突出片部94の幅方向(折り完了体44の長手方向)に略沿うように形成されるもので、先端95a側を突出片部94の元部94b側に向けるように、突出片部94に対して傾斜して形成されている。この爪片95は、被係止部104における係止用凹部107の内周面108に形成される爪片109に、係止される構成とされている。実施形態の場合、爪片95は、幅寸法を、突出片部94の幅寸法より若干小さく設定されている。
バンド本体91における離隔側端部91b側(係止爪部93側)には、係止爪部93を被係止部104の係止用凹部107に押し込むための押圧部97が、形成されている。押圧部97は、略平板状として、バンド本体91における離隔側端部91bの端縁近傍において、係止爪部93における突出片部94の元部から立ち上がるように、形成されている。詳細には、この押圧部97は、幅寸法を、バンド本体91の幅寸法と略一致させて構成され、バンド本体91の外周面から外方に向かって突出するように、形成されている。そして、この押圧部97において、バンド本体91の外周面から連なるように配置される外側の面(車両搭載時における車内側Iの面)が、係止爪部93を係止用凹部107に押し込み可能な押圧操作面97aとされている。押圧部97は、この押圧操作面97aを、係止爪部93の突出方向と略直交させるように、構成されている(図12,15参照)。詳細には、実施形態では、押圧部97の押圧操作面97aは、図3に示すように、車両搭載時において、上下方向に略沿うように配置されることとなる。また、実施形態では、係止爪部93(突出片部94)は、押圧操作面97aと略直交するように配置されるものの、詳細には、押圧操作面97aに対して、突出片部94の先端94aを上側に向けるように、わずかに傾斜して、配置されている(図12,15参照)。
また、バンド本体91の離隔側端部91b側には、スペーサ部99が、配設されている。このスペーサ部99は、図12,13に示すように、突出片部94の元部94b側における下面側であって、かつ、押圧部97の車外側Oとなる領域に、形成されている。このスペーサ部99は、バンド本体91の幅方向の略中央となる位置において、部分的に突出して形成されるもので、前後方向側から見て略三角形状とされる板状として、車外側Oとなる先端面99aを、押圧部97の押圧操作面97aに略沿わせるように構成されている。そして、このスペーサ部99は、係止爪部93を係止用凹部107に係止させる際に、先端面99aを、バンド本体91の近接側端部91a側となる被係止部104の係止用凹部107に形成される爪片109の元部側端面109cに、当接可能に構成されている。このスペーサ部99は、係止爪部93の係止用凹部107への押し込み時に、先端面99aを、爪片109の元部側端面109cに当接させることにより、係止爪部93の上方に配置される後述するスペーサ部106の先端面106aとともに、係止爪部93の押し込み完了位置を規定している(図19のB参照)。
組付部101は、基部102と、基部102の車外側面から突出して形成される係止クリップ114と、基部102における上部側の領域に配置される被係止部104と、基部102の前面及び後面から前後に突出して形成される鍔部111F,111Rと、を備える構成とされている。
基部102は、外形形状を略直方体状として構成されるもので、下端側に、バンド本体91の近接側端部91aを連結させて構成されている。この箱形状の基部102は、巻付バンド90の折り完了体44への巻付作業時に、作業者が把持する部位でもある。実施形態の場合、基部102は、前後方向側(折り完了体44の長手方向側)の幅寸法を、バンド本体91の幅寸法と略同一に設定されている。この基部102は、前後方向側の幅寸法を、ケース50Rに形成される被係止部収納部66の前下壁部76,後下壁部77間の離隔距離より僅かに小さく設定されて、巻付バンド90のケース50Rへの取付時に、この前下壁部76,後下壁部77間の隙間を挿通されることとなる(図31参照)。実施形態では、基部102における上側の領域(被係止部104)が、鍔部111F,111Rとともに、被係止部収納部66に収納されて、基部102における下側の領域(鍔部111F,111Rの下部側の領域であって、係止クリップ114の車内側Iの領域)が、前下壁部76,後下壁部77間に挿通されることとなる。
被係止部104は、基部102における上部側の領域に配置されるもので、係止爪部93を挿入させて係止可能な係止用凹部107を備える構成とされている。係止用凹部107は、係止爪部93を挿入可能に、係止爪部93の突出方向に沿って、被係止部104を車外側Oに向かって凹ませるように、形成されている。実施形態の場合、係止用凹部107は、図15に示すように、被係止部104(組付部101)を車内外方向に貫通して、形成されている。この係止用凹部107は、上下前後の開口幅寸法を、係止爪部93を挿入可能な寸法に、設定されている。係止用凹部107の内周面108において、折り完了体44側となる下面における車内側Iの端側には、係止爪部93の爪片95に対応して、この爪片95を係止可能な爪片109が、形成されている。爪片109は、係止爪部93に形成される爪片95に略沿うようにして、折り完了体44の長手方向に略沿って配置される。実施形態の場合、爪片109は、係止用凹部107における内周面108の下面108a側から、先端109aを、車外側Oに向けつつ上方に向かって突出して、爪片95を係止可能に構成されている。詳細に説明すれば、爪片109は、元部109b側の領域を、被係止部104の車内側面から一旦車内側Iに突出させつつ、先端109a側を車外側Oに向けるように反転させて、構成されている。この爪片109の元部109b側は、元部側端面109cを、車両搭載時において、押圧部97における押圧操作面97aと略沿わせるように構成されている。この爪片109における元部側端面109cは、上述したごとく、係止爪部93の係止用凹部107への押し込み時に、係止爪部93側に形成されるスペーサ部99の先端面99aを当接可能に、構成されている。
実施形態では、爪片95,109相互を係止させることにより、係止爪部93は、被係止部104の係止用凹部107に係止される構成である。実施形態では、係止用凹部107の内周面108における折り完了体44側の面(下面108a)と、係止爪部93の突出片部94との間に、係止用凹部107側から延びる爪片109と、突出片部94から延びる爪片95と、が、配設される構成である。これらの爪片95,109相互の係止力は、エアバッグ25の展開膨張時に、相互に撓んで、係止状態を解除可能で、かつ、折り完了体44の周囲に巻き付けた後に、押圧部97や被係止部104を手で引っ張っても、容易に係止を解除できないように、設定されている。
また、被係止部104において、基部102の上面側を構成するとともに、係止用凹部107の上縁側を構成する上壁部105は、車内側の領域を、爪片109より車内側Iに突出させるように、車内側Iに向かって張り出して、形成されている(図13〜15参照)。この上壁部105における張り出した領域は、スペーサ部106として作用する部位であり、係止爪部93を係止用凹部107に係止させる際に、先端面106aを、押圧部97の車外側面97bに当接可能に、構成されている。このスペーサ部106は、係止爪部93の係止用凹部107への押し込み時に、先端面106aを、押圧部97の車外側面97bに当接させることにより、係止爪部93の下方に配設されるスペーサ部99の先端面99aとともに、係止爪部93の押し込み完了位置を規定している。さらに、上壁部105は、被係止部収納部66の上壁部67に形成されるリブ71の車外側端部71bとの干渉を抑制するように、車外側面105aにおける前後の中央側に、車内側に向かって凹む凹部105bを、配設させている(図12,23参照)。
鍔部111F,111Rは、図11のA,12,23に示すように、組付部101における係止軸部115の元部115b側となる位置において、バンド本体91の幅方向に沿った両側(折り完了体44の長手方向に沿った両側)に張り出すように、形成されている。具体的には、鍔部111F,111Rは、基部102における上側の領域、すなわち、被係止部104における上壁部105の前面及び後面から前後に突出して形成されるもので、上壁部105から連なるようにして、前後方向側に突出するように、前後方向に略沿って形成される略平板状とされている。これらの鍔部111F,111Rは、巻付バンド90のケース50Rへの取付時において、被係止部収納部66への収納作業の利便性を高めるために、それぞれ、車外側の面を、前後方向の中央側(被係止部104側)を車外側に位置させ、前後方向の端部側を車内側に位置させるように、車内外方向に対して傾斜させて、上下方向側から見た外形形状を、略台形状として、構成されている(図23参照)。各鍔部111F,111Rは、基部102における上壁部105(被係止部104)とともに、被係止部収納部66内に収納可能に構成されるもので、被係止部収納部66内への収納時には、先端を、それぞれ、被係止部収納部66の前壁部74,後壁部75に近接させつつ、下面側を、前下壁部76,後下壁部77に支持されることとなる(図31参照)。また、この鍔部111F,111Rは、組付部101の被組付部54への組付時(爪片部116U,116Dの組付凸部58U,58Dへの係止時)に、車内側面を、被係止部収納部66の車内側面よりも車外側に位置させ、かつ、係止クリップ114による爪片部116U,116Dの先端116aを組付凸部58U,58Dの車内側面58bに当接させるまで差し込んだ状態において、被係止部収納部66の車内側面と略一致した位置に配置させるように、車内外方向側の幅寸法を、設定されている(図24のA,B参照)。
係止クリップ114は、折り完了体44をケース50Rに収納させる際に、ケース50Rの被組付部54に係止されるものである。係止クリップ114は、図13,14に示すように、基部102において、被係止部104の下方となる領域の車外側面(係止用凹部107の下側の領域)から、車外側Oに向かって突出するように、形成されている。係止クリップ114は、基部102から車外側Oに向かって突出するように形成される略平板状の係止軸部115と、係止軸部115の上面側と下面側とに突出するように形成される爪片部116U,116Dと、係止軸部115の上面115c側における爪片部116Uの元部側となる位置に配置される補助突起118と、を備えている。
係止軸部115は、軸方向をバンド本体91の幅方向(折り完了体44の長手方向)に略沿わせた平板状として、車外側に突出するように構成されている。詳細には、係止軸部115は、窓W2の内側面Waと略直交する方向に沿うように、構成されている。換言すれば、係止軸部115は、被組付部54における穴本体57(組付凹部)の貫通方向に略沿って突出するように、形成されている。この係止軸部115は、幅寸法を、被係止部104(基部102)の幅寸法と略一致させるとともに、穴本体57に円滑に挿入可能に、穴本体57の前後方向側の開口幅寸法より僅かに小さく設定されている。また、係止軸部115は、係止クリップ114の被組付部54における組付穴部55周縁との係止強度を確保するために、被係止部104側となる元部115b側の部位を、被係止部104にかけて、厚さを増すように、構成されている。
各爪片部116U,116Dは、係止軸部115の上面側と下面側とに、配置されるもので、それぞれ、係止軸部115の先端115aから上下に突出して反転しつつ係止軸部115から離れるように、傾斜して、形成されている。すなわち、各爪片部116U,116Dは、係止軸部115の先端115a側から反転しつつ、拡開されるように形成されている。また、各爪片部116U,116Dは、撓み可能とされている。実施形態の場合、各爪片部116U,116Dは、係止軸部115の全域にわたって、形成されている。各爪片部116U,116Dは、係止クリップ114を、ケース50Rの被組付部54に形成される組付穴部56に挿入させた際に、穴本体57の上縁57a側と下縁57b側とに形成される組付凸部58U,58Dに係止されるもので、組付凸部58U,58Dと対向するように、形成されている。
補助突起118は、係止軸部115の上面115c側において、爪片部116Uの元部側(車両搭載時における車内側I)となる位置に、上方に突出するように、形成されている。詳細には、この補助突起118は、係止クリップ114を上方側から見た状態で、爪片部116Uの先端116aの車内側Iにおいて近接した位置に、形成されている(図14,23参照)。この補助突起118は、組付部101の被組付部54への組付時(係止クリップ114の組付穴部56への押し込み時)において、組付凸部58Uの車外側Oとなる位置に、形成されている(図21のB,22のB参照)。また、組付部101の被組付部54への組付時には、係止クリップ114は、係止軸部115の先端115aを、カバー部60よりも車外側Oに突出させるように、配置されている(図21のB,22のB参照)。この補助突起118は、係止クリップ114の組付穴部56への押し込み時に、組付凸部58Uを容易に乗り越え可能に、上面118aを、車外側Oにかけて下降させるように、車内外方向側で傾斜させている(図14,22のA参照)。また、この補助突起118は、係止軸部115の上面115cからの突出量を、爪片部116Uよりも小さく設定されるとともに、組付部101を被組付部54に組み付けた状態で、組付凸部58Uと干渉して、係止クリップ114(組付部101、すなわち、巻付バンド90)の車内側Iへの移動を規制可能に、設定されている。この補助突起118は、係止軸部115の全域にわたって、形成されている。この補助突起118を設けることにより、組付部101の被組付部54への組付後に、爪片部116Uが組付凸部58Uとの干渉を防止できて、車両搭載時のガタツキを防止することができる。この補助突起118は、エアバッグ25の展開膨張時には、組付凸部58Uから外れて、組付凸部58Uよりも車内側Iに配置されることとなる(図28,29参照)。
この係止クリップ114は、巻付バンド90を折り完了体44の周囲に巻き付けた状態で、突出方向(押し込み方向、係止軸部115の軸方向)を、押圧部97の押圧操作面97aと略直交させるように、配置されることとなる(図20参照)。すなわち、係止クリップ114は、折り完了体44の周囲に巻き付けられた状態でケース50Rに取り付けられる際に、被組付部54に形成される組付穴部56への押圧方向を、押圧部97の押圧操作面97aと略直交させるように配置されることから、押圧操作面97aを押圧すれば、押圧部97の車外側面97bが、被係止部104に形成されるスペーサ部106の先端面106aと当接し、また、押圧部97における下部側の領域に形成されるスペーサ部99の先端面99aが、被係止部104における爪片109の元部側端面109cと当接することとなって、被係止部104ごと係止クリップ114を押し込むことにより、係止クリップ114を組付穴部56に挿入させることができる。そして、各爪片部116U,116Dを組付凸部58U,58Dに係止させて、補助突起118を上側の組付凸部58Uの車外側Oに配置させるまで、係止クリップ114を組付穴部56に押し込めば、係止クリップ114を被組付部54に組み付けることができる(図21のB参照)。
折り完了体44におけるエアバッグ25の上縁25a側に係止される係止突起125は、バンド本体91において、被係止部104と係止クリップ114とを配置させた離隔側端部91b側に、形成されている。この係止突起125は、バンド本体91における離隔側端部91b側の部位において、内周側から内方(車両搭載時における下方)に向かって突出するように、形成されている。係止突起125は、図18に示すように、エアバッグ25の上縁25a側に形成される貫通孔32に挿通可能な棒状の係止首部126と、係止首部126の先端側において膨出して形成される係止頭部127と、を備えている。係止首部126は、実施形態の場合、バンド本体91の長さ方向側を長尺とした略直方体形状として、短手方向側の両端面側に、肉盗み用の凹部(図符号省略)を、配設させている(図16参照)。実施形態の場合、係止首部126は、円形の貫通孔32を押し広げるようにして、貫通孔32に挿通されている(図18参照)。係止頭部127は、図16に示すように、バンド本体91の長さ方向側の幅寸法を、係止首部126におけるバンド本体91の長さ方向側の幅寸法と略同一として、係止首部126の先端から、バンド本体91の幅方向に沿った両側(車両搭載時における前後両側)に略平板状に延びるように、構成されている。実施形態の場合、係止頭部127は、外形形状を、バンド本体91の幅方向側を幅広として、四隅を面取りされた略八角形板状として、エアバッグ25に形成される貫通孔32周縁に係止可能に構成されている。
この係止突起125は、巻付バンド90の折り完了体44の周囲への巻付時に、折り完了体44の上方から貫通孔32に差し込むようにして配置させた際に、係止頭部127を貫通孔32周縁に係止されることとなり、巻付バンド90の折り完了体44の周囲への巻き付け作業時(係止爪部93の被係止部104への係止時)に、折り完了体44が巻付バンド90に対して回転することを防止できる。そのため、係止突起125の係止頭部127を貫通孔32周縁に係止させておけば、被係止部104を強く把持しなくとも、係止爪部93を係止用凹部107に収納させて、係止爪部93を被係止部104に容易に係止させることができ、巻付バンド90の折り完了体44の周囲への巻き付け作業が容易である。また、巻付バンド90に設けられる係止突起125を、エアバッグ25の上縁25a側に係止させることにより、係止突起125を貫通させる貫通孔32の下側において車内側に位置させて折った折目VF(図18参照)の位置を、前後の略全域にわたって略一定として、折り完了体44を車両Vに搭載させることができる。
次に、頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載について説明をする。まず、エアバッグ25を、図17のB及び図18に示すように、折り畳む。実施形態の場合、エアバッグ25を、平らに展開した状態から、上縁25a側の領域を、上縁25aと略平行な折目をつけて蛇腹折りして、蛇腹折り部位44aを形成し、下方の領域を、下縁25bを車外側壁部26b側で巻くロール折りにより折り畳んで、ロール折り部位44bを形成して、折り完了体44を形成する。実施形態の折り完了体44では、図18に示すように、蛇腹折り部位44aにおいて、上縁25a側に近く、かつ、貫通孔32より下方となる位置に、車内側Iに位置させて折った折目VFが設けられ、貫通孔32は、折り完了体44の上面側に、露出している。
次いで、図17のC及び図18に示すように、折り完了体44の周囲に、巻付バンド90を巻き付けて、折り完了体44を包む。このとき、まず、図18に示すように、巻付バンド90の係止突起125を、貫通孔32に挿入させ、係止突起125の係止頭部127を貫通孔32の周縁に係止させる。次いで、押圧部97を把持して、バンド本体91を折り完了体44の周囲に巻き付けるようにして、係止爪部93を被係止部104に接近させ、押圧部97の押圧操作面97aを押圧して、係止爪部93を被係止部104の係止用凹部107内に押し込めば、図19に示すように、係止爪部93の爪片95が、係止用凹部107の内周面108に形成される爪片109と係止され、係止爪部93を被係止部104に係止させることができる。そして、図17のCに示すように、折り完了体44の周囲を、巻付バンド90によって、折り崩れを防止してくるむことができる。
次いで、折り完了体44を、ケース50(50F,50C,50R)に取り付ける。このとき、取付部33Aを取付座部83の車内側面83cに重ねた状態で、取付クリップ17の取付脚部20を、取付部33A及び取付座部83の取付孔33a,83aに、取付座部83の車内側面83c側から挿入させ、取付脚部20を、取付座部83における取付孔83aの周縁部位83bに係止させて、取付クリップ17を取付座部83に仮止めする(図26参照)。また、図20〜24に示すように、巻付バンド90に形成される係止クリップ114を、被組付部54に接近させ、押圧部97の押圧操作面97aを押圧して、係止クリップ114を被組付部54の組付穴部56に押し込めば、係止クリップ114の爪片部116U,116Dが、組付穴部56の穴本体57周縁に形成される組付凸部58U,58Dに係止されることとなり、係止クリップ114を被組付部54に係止させることができる。このとき、実施形態では、係止クリップ114における係止軸部115の上面115c側の部位では、補助突起118が、上側の組付凸部58Uの車外側Oに配置されることとなる(図21のB,22のB参照)。さらに、このとき、組付部101における上側の部位(被係止部104)は、鍔部111F,111Rとともに、被係止部収納部66内に収納されることなる(図21のB,24のB参照)。また、取付部33Bには、取付ブラケット22を取り付けておき、さらに、折り完了体44から突出しているエアバッグ25の接続口部28に、取付ブラケット13を取付済みのインフレーター12を挿入して、クランプ15により、接続口部28とインフレーター12とを連結すれば、図25に示すようなエアバッグ組付体AMを形成することができる。
そして、エアバッグ組付体AMから突出している取付クリップ17の取付脚部20を、インナパネル2に形成される取付孔3に挿入させ、取付クリップ17の拡張用軸部21dを張出し鉤部20b間に配置させるように押しピン21を押し込めば、図2に示すように、張出し鉤部20bを取付孔3の周縁に係止させることができて、取付部33Aを、ケース50の取付座部83とともに、ボディ1側のインナパネル2に取り付けることができる。同時に、インフレーター12の取付ブラケット13を、ボルト14を使用して、インナパネル2の所定位置に固定させ、取付部33Bに取り付けられた取付ブラケット22を、ボルト23を使用してインナパネル2の所定位置に固定させれば、エアバッグ組付体AMを車両Vに組み付けることができる。その後、インフレーター12に、インフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を結線するとともに、フロントピラーガーニッシュ5,ルーフヘッドライニング6,中間ピラーガーニッシュ7,リヤピラーガーニッシュ8を、ボディ1側のインナパネル2に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Mを車両Vに搭載することができる。
頭部保護エアバッグ装置Mの車両Vへの搭載後、制御装置からの作動信号を受けてインフレーター12が作動されれば、インフレーター12から吐出される膨張用ガスがエアバッグ25内に流入して、膨張するエアバッグ25が、巻付バンド90における係止爪部93と被係止部104との係止状態を解除しつつ、エアバッグカバー10を押し開いて、下方へ突出しつつ展開し、図1の二点鎖線及び図28に示すように、窓W1,W2や中間ピラー部CP及びリヤピラー部RPの車内側を覆うように、膨張を完了させることとなる。
そして、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、組付凹部としての穴本体57内に挿入された状態の組付部101の上側を覆う上壁部59が、組付部101における爪片部116Uを係止させる組付凸部58Uを有した車外側部位(実施形態の場合、カバー部60における上壁部61)と、この車外側部位(上壁部61)の車内側Iにおいて上側に位置する車内側部位(実施形態の場合、被係止部収納部66における上壁部67)と、を備えて、段差状に構成されている。すなわち、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、組付凸部58Uを有する上壁部61が、上壁部67と分離されて車外側Oにずれて配置されていることから、組付部101を組付凹部(穴本体57)に挿入させる際には、図22のAの二点鎖線に示すように、上壁部61だけを単独で上方に向かって撓ませるように変形させることができて、従来の頭部保護エアバッグ装置と比較して、弱い力で、組付部101を被組付部54に組み付けることができる。また、エアバッグ25の展開膨張時において、組付部101に被組付部54から引き抜くような車内側Iへの引張力F(図29のB参照)の作用時には、ケース50における被組付部54の周囲の部位が、カバー部60(上壁部61)を車内側下方に向かってわずかに変位させるように変形することとなるが(図29のB参照)、この変形時に、車外側部位(上壁部61)の車内側Iに配置される車内側部位(上壁部67)は、車外側端部67aを、車外側部位の上壁部61の車内側端部61aの上方で、かつ、車内側端部61aよりも相対的に車外側Oに配置させるようにして、車内側Iに向かって変位しつつ上方に撓む上壁部61の変形を抑制することとなる。詳細に説明すれば、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、車内側部位を構成している上壁部67の下面70a側に、車外側にかけて突出量を大きくするように、下方に向かって突出するリブ71が、形成されており、上記のような引張力Fの作用時には、上壁部67は、車外側端部67a(リブ71の車外側端部71b)を、車内側下方にわずかに変位している上壁部61の車内側端部61aの上方で、かつ、車内側端部61aよりもわずかに相対的に車外側Oに配置させることとなり(図29のB参照)、上壁部61が、図29の二点鎖線に示すように、車内側端部61aを上方に向けるように撓んで変形しようとしても、この車外側端部67aから下方に突出しているリブ71の車外側端部71bが、下面71cを、上壁部61の車内側端部61aの上面61bと当接させることとなって、上壁部61のさらなる変形を抑制し、爪片部116Uと組付凸部58Uとの先端116a,58a相互の係止状態を維持できる(図30参照)。そのため、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、エアバッグ25の展開膨張時において、巻付バンド90が巻き付けを解除されて、エアバッグ25の膨張に伴って下方に引っ張られる際に、被係止部収納部66の上壁部67(車内側部位)によって、組付部101の爪片部116Uを係止させている組付凸部58Uを有する上壁部61(車外側部位)の上方への変形を抑制できることから、組付部101における係止軸部115の上面側に形成される爪片部116Uと、組付凹部(穴本体57)の内側に形成されている組付凸部58Uとの、係止状態が解除されることを、的確に防止することができる。
したがって、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、ケース50への取付作業が容易で、かつ、巻付バンド90を強固にケース50に取り付けることができる。
特に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、車内側部位としての上壁部67の前後の略中央となる位置に、下方へ突出するリブ71を配置させていることから、このようなリブを、上壁部の車外側端部側において前後の略全域にわたって設けなくとも、組付部101に被組付部54から引き抜くような車内側Iへの引張力Fの作用時に、前後の中央付近を大きく上方へ突出させるように変形する上壁部61の変形を、部分的に突出するように形成されるリブ71によって、的確に抑制することができる。
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、車外側部位を構成するカバー部60の上壁部61の前後両端側には、係止軸部115の前後両側を覆うように下方に延びて被組付部54側(実施形態の場合、収納部位52側)に連なるように配置される縦壁部としての前壁部63,後壁部64が、形成されている。すなわち、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、上壁部61が、前後両側の前壁部63,後壁部64より安定して支持されることから、組付部101を組付凹部(穴本体57)に挿入させる際に変形する上壁部61を、変形前の配置位置に安定して復元させることができる。そのため、エアバッグ25の展開膨張時には、爪片部116Uが組付凸部58Uから外れるように移動することを、的確に、防止することができる。なお、このような点を考慮しなければ、車外側部位は、前後のどちらか一方に縦壁部を配置させるように、構成してもよい。
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置では、爪片部116U,116Dが、係止軸部115の上面側と下面側とに形成され、組付凸部58U,58Dも、爪片部116U,116Dに対応して上下両側に形成していることから、組付部101と被組付部54との組付強度を向上させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、爪片部と組付凸部とを、上側の領域のみに、配置させる構成としてもよい。
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、組付部101が、被係止部
104から巻付バンド90の幅方向に沿った両側(前後両側)に張り出すように形成される鍔部111F,111Rを有し、この鍔部111F,111Rは、組付部101を被組付部54に組み付けた状態で、被係止部収納部66における前下壁部76,後下壁部77に、下面側を支持される構成である。そのため、エアバッグ25の展開膨張時において、巻付バンド90が巻き付けを解除されて、エアバッグ25の膨張に伴って下方に引っ張られる際に、鍔部111F,111Rは、前下壁部76,後下壁部77に下面側を支持されて、この下方への引張力Fに対抗することができ(図30参照)、爪片部116U,116Dと組付凸部58U,58Dとの領域に、ダイレクトに引張力が作用することを抑制することができる。そのため、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、この鍔部111F,111Rが相乗効果を奏することとなって、被係止部収納部66の上壁部67(車内側部位)にリブ71を形成し、かつ、被係止部収納部66から前後に張り出すような鍔部111F,111Rを設けることにより、組付部101における係止軸部115の上面側に形成される爪片部116Uと、組付凹部(穴本体57)の内側に形成されている組付凸部58Uとの、係止状態が解除されることを、極力防止することができる。
さらに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、ケース50が、巻付バンド90における被係止部104を収納可能な被係止部収納部66を有しており、この被係止部収納部66は、爪片部116U,116Dの組付凸部58U,58Dへの係止前の状態において、被係止部104の周囲(詳細には、鍔部111F,111Rの下面側から先端面を経て、組付部101(上壁部105)の上側にかけての領域)を囲むように構成されている。そのため、図20における左側を上側とするように横倒しにした状態のケース50に、折り完了体44を収納させる際に、巻付バンド90を、図21のA及び図24のAに示すように、係止クリップ114の爪片部116U,116Dの先端116aを組付凸部58U,58Dの車内側面58bに当接させるようにして、組付部101を被係止部収納部66に収納させるようにセットすれば、爪片部116U,116Dの組付凸部58U,58Dへの係止前の状態で、作業者が手を離しても、組付部101が、移動を抑制されて、被係止部収納部66に収納された状態を維持できて、巻付バンド90を自立させることができることから、組付部101を被係止部収納部66に収納させることにより、巻付バンド90をケース50に位置合わせしておくことが容易となる。すなわち、組付部101を被係止部収納部66に収納させるように、仮置きしておくことができることから、一旦、組付部101を被係止部収納部66に収納させた状態として、例えば、ケース50の所定箇所と折り完了体44との所定箇所に、図示しない破断可能なテープ材を巻き付ける巻付作業を行ない、その後、組付部101を被組付部54に組み付けることも可能となり、作業性を一層良好とすることができる。
また、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、ケース50と巻付バンド90とが、ともに、熱可塑性エラストマー製とされていることから、エアバッグ25の展開膨張時に、部分的な破損や分断等による分離された小片の発生を、抑制できる。
なお、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mでは、巻付バンドは、エアバッグの展開膨張時に、係止爪部と被係止部との係止状態を解除させることにより、巻き付けを解除する構成とされているが、巻付バンドの折り完了体の周囲への巻き付けの解除方法は、実施形態に限られるものではなく、例えば、バンド本体に、エアバッグの展開膨張時に破断可能な破断予定部を配設させ、バンド本体自体を破断させることにより、巻き付けを解除させる構成としてもよい。