以下、本発明を具体化した実施例1〜8を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図1〜図3に示すように、実施例1のプラットフォーム用安全柵(以下、安全柵という。)1は、本発明のプラットフォーム用安全柵の具体的態様の一例である。安全柵1は、プラットフォーム7に設けられている。プラットフォーム7は、鉄道車両やモノレール等である軌道車両9が走行する軌道3に併設されている。プラットフォーム7には、軌道車両9に対して乗降するための通路5が設定されている。通路5は、軌道車両9に設けられた複数の乗降口に対応して、プラットフォーム7の複数個所に設定されている。
図1に示すように、プラットフォーム7には、複数の安全柵1がそれぞれ対応する通路5を開放及び閉鎖可能に設置されている。各安全柵1の間には、固定柵2が配設されている。固定柵2は、プラットフォーム7における通路5以外の箇所から人等が軌道3に接近することを規制している。
本実施例では、図1の紙面上側を上側とし、紙面下側を下側とする。また、軌道車両9に乗降する人が通路5を通行する通行方向である図1の紙面に直交する方向を前後方向とする。そして、軌道車両9に乗り込む人を基準として、その人の前方となる図1の紙面奥側を前側とし、その人の後方となる図1の紙面手前側を後側とし、その人の左手側となる図1の紙面左側を左側と規定し、その人の右手側となる図1の紙面右側を右側と規定する。そして、図2以降の各図に示す上下方向、前後方向及び左右方向は、全て図1に対応している。
図1〜図3に示すように、安全柵1は、通路5に対して左方に位置する第1門柱31と、通路5に対して右方に位置する第2門柱32とを備えている。第1門柱31及び第2門柱32は、通路5を左右方向から挟んで互いに対向している。第1門柱31及び第2門柱32は、内部に空洞部が形成された略角柱体であり、プラットフォーム7からそれぞれ上向きに延びている。
図1〜図3及び図7に示すように、安全柵1は、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とを備えている。
第1上側バー11及び第1下側バー12は、本発明の「第1ゲートバー」の一例である。
第1上側バー11の第1上側先端部11A及び第1下側バー12の第1下側先端部12Aは、本発明の「第1先端部」の一例である。
第2上側バー21及び第2下側バー22は、本発明の「第2ゲートバー」の一例である。
第2上側バー21の第2上側先端部21A及び第2下側バー22の第2下側先端部22Aは、本発明の「第2先端部」の一例である。
第1上側バー11、第1下側バー12、第2上側バー21及び第2下側バー22は、アルミニウムや鉄等の金属、樹脂、FRP等によって構成され、柱状や筒状をなす長尺体である。
図2及び図7に示すように、第1上側バー11は、前後方向に延びる第1上側軸心X11周りで揺動可能に第1門柱31の上端部に支持されている。第1上側バー11の基端部には、第1上側ギヤ11Gが組み付けられている。第1上側ギヤ11Gは、第1上側バー11と一体で第1上側軸心X11周りで揺動する。
第1下側バー12は、第1上側軸心X11よりも下方で前後方向に延びる第1下側軸心X12周りで揺動可能に第1門柱31の中間部に支持されている。第1下側バー12の基端部には、第1下側ギヤ12Gが組み付けられている。第1下側ギヤ12Gは、第1下側バー12と一体で第1下側軸心X12周りで揺動する。
第2上側バー21は、前後方向に延びる第2上側軸心X21周りで揺動可能に第2門柱32の上端部に支持されている。第2上側バー21の基端部には、第2上側ギヤ21Gが組み付けられている。第2上側ギヤ21Gは、第2上側バー21と一体で第2上側軸心X21周りで揺動する。
第2下側バー22は、第2上側軸心X21よりも下方で前後方向に延びる第2下側軸心X22周りで揺動可能に第2門柱32の中間部に支持されている。第2下側バー22の基端部には、第2下側ギヤ22Gが組み付けられている。第2下側ギヤ22Gは、第2下側バー22と一体で第2下側軸心X22周りで揺動する。
図2に示すように、第1上側軸心X11と第1下側軸心X12との上下方向の間隔をH1とする。第2上側軸心X21と第2下側軸心X22との上下方向の間隔もH1である。第1上側軸心X11と第2上側軸心X21との距離をL1とする。第1下側軸心X12と第2下側軸心X22との距離をL2とする。距離L2は、距離L1よりも長く設定されている。
図2及び図7に示すように、第1門柱31内には、第1駆動ギヤ13Gと、第1引っ張りコイルバネ14とが収容されている。
第1駆動ギヤ13Gは、前後方向に延びる第1駆動軸心X13周りで回転可能に第1門柱31に支持されている。第1駆動ギヤ13Gは、第1上側ギヤ11G及び第1下側ギヤ12Gと噛み合っている。第1駆動ギヤ13Gには、第1駆動軸心X13の径外方向に突出する突出部13Tが形成されている。第1駆動ギヤ13Gは、図示しないモータに駆動されることにより、図2及び図7の紙面に向かって反時計方向に回転する。
第1引っ張りコイルバネ14の上端部は、突出部13Tに係止されている。第1引っ張りコイルバネ14の下端部は、第1門柱31の下端部に係止されている。第1引っ張りコイルバネ14は、第1駆動ギヤ13Gを図2及び図7の紙面に向かって時計方向に回転させるように付勢している。
第2門柱32内には、第2駆動ギヤ23Gと、第2引っ張りコイルバネ24とが収容されている。
第2駆動ギヤ23Gは、前後方向に延びる第2駆動軸心X23周りで回転可能に第2門柱32に支持されている。第2駆動ギヤ23Gは、第2上側ギヤ21G及び第2下側ギヤ22Gと噛み合っている。第2駆動ギヤ23Gには、第2駆動軸心X23の径外方向に突出する突出部23Tが形成されている。第2駆動ギヤ23Gは、図示しないモータに駆動されることにより、図2及び図7の紙面に向かって時計方向に回転する。
第2引っ張りコイルバネ24の上端部は、突出部23Tに係止されている。第2引っ張りコイルバネ24の下端部は、第2門柱32の下端部に係止されている。第2引っ張りコイルバネ24は、第2駆動ギヤ23Gを図2及び図7の紙面に向かって反時計方向に回転させるように付勢している。
第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とは、以下のようにして、図2に示す閉鎖位置と、図7に示す開放位置との間で揺動する。
すなわち、第1駆動ギヤ13Gを駆動するモータと、第2駆動ギヤ23Gを駆動するモータとが図示しない制御部に制御されて同期回転すると、第1駆動ギヤ13Gが第1引っ張りコイルバネ14の付勢力に抗しつつ図2及び図7の紙面に向かって反時計方向に回転し、第2駆動ギヤ23Gが第2引っ張りコイルバネ24の付勢力に抗しつつ図2及び図7の紙面に向かって時計方向に回転する。
このため、第1駆動ギヤ13Gと噛み合う第1上側ギヤ11Gによって、第1上側バー11が第1上側軸心X11周りで図2及び図7の紙面に向かって時計方向に回転する。また、第2駆動ギヤ23Gと噛み合う第2上側ギヤ21Gによって、第2上側バー21が第2上側軸心X21周りで図2及び図7の紙面に向かって反時計方向に回転する。その結果、第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図2に示す閉鎖位置まで揺動する。
また、第1駆動ギヤ13Gと噛み合う第1下側ギヤ12Gによって、第1下側バー12が第1下側軸心X12周りで図2及び図7の紙面に向かって時計方向に回転する。また、第2駆動ギヤ23Gと噛み合う第2下側ギヤ22Gによって、第2下側バー22が第2下側軸心X22周りで図2及び図7の紙面に向かって反時計方向に回転する。その結果、第1下側バー12及び第2下側バー22の組も図2に示す閉鎖位置まで揺動する。
第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図2に示す閉鎖位置にある状態で、第1上側バー11は、第1上側軸心X11から第2門柱32に向けて略水平に延び、第2上側バー21は、第2上側軸心X21から第1門柱31に向けて略水平に延び、第1上側バー11の第1上側先端部11Aと、第2上側バー21の第2上側先端部21Aとが対向している。
また、第1下側バー12及び第2下側バー22の組が図2に示す閉鎖位置にある状態で、第1下側バー12は、第1下側軸心X12から下向きに延びた後に第2門柱32に向けて屈曲して略水平に延び、第2下側バー22は、第2下側軸心X22から下向きに延びた後に第1門柱31に向けて屈曲して略水平に延び、第1下側バー12の第1下側先端部12Aと、第2下側バー22の第2下側先端部22Aとが対向している。図2に示す閉鎖位置における第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとの間隔W1は、第1下側バー12及び第2下側バー22が図2に示す閉鎖位置の近傍で同時に揺動する際に互いに干渉しない程度の大きさに設定されている。
こうして、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とは、図2に示す閉鎖位置にある状態で、通路5を閉鎖する。ここで、図2に示す閉鎖位置における第1、2上側先端部11A、21Aと第1、2下側先端部12A、22Aとの上下方向の間隔をH2とする。間隔H2は、間隔H1よりも大きい。
その一方、第1駆動ギヤ13Gを駆動するモータと、第2駆動ギヤ23Gを駆動するモータとが図示しない制御部によって不作動状態にされると、第1駆動ギヤ13Gが第1引っ張りコイルバネ14の付勢力によって図2及び図7の紙面に向かって時計方向に回転し、第2駆動ギヤ23Gが第2引っ張りコイルバネ24の付勢力によって図2及び図7の紙面に向かって反時計方向に回転する。
このため、第1駆動ギヤ13Gと噛み合う第1上側ギヤ11Gによって、第1上側バー11が第1上側軸心X11周りで図2及び図7の紙面に向かって反時計方向に回転する。また、第2駆動ギヤ23Gと噛み合う第2上側ギヤ21Gによって、第2上側バー21が第2上側軸心X21周りで図2及び図7の紙面に向かって時計方向に回転する。その結果、第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図7に示す開放位置まで揺動する。
また、第1駆動ギヤ13Gと噛み合う第1下側ギヤ12Gによって、第1下側バー12が第1下側軸心X12周りで図2及び図7の紙面に向かって反時計方向に回転する。また、第2駆動ギヤ23Gと噛み合う第2下側ギヤ22Gによって、第2下側バー22が第2下側軸心X22周りで図2及び図7の紙面に向かって時計方向に回転する。その結果、第1下側バー12及び第2下側バー22の組も図7に示す開放位置まで揺動する。
第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図7に示す開放位置にある状態で、第1上側バー11は、第1上側軸心X11から上向きに略垂直に延び、第2上側バー21は、第2上側軸心X21から上向きに略垂直に延びている。
また、第1下側バー12及び第2下側バー22の組が図7に示す開放位置にある状態で、第1下側バー12は、第1下側軸心X12から右向きに延びた後に上向きに屈曲し、第1上側バー11に隣接しつつ略垂直に延び、第2下側バー22は、第2下側軸心X22から左向きに延びた後に上向きに屈曲し、第2上側バー21に隣接しつつ略垂直に延びている。
こうして、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とは、図7に示す開放位置にある状態で、通路5を開放する。ここで、図7に示す開放位置における第1、2上側先端部11A、21Aと第1、2下側先端部12A、22Aとの上下方向の間隔をH3とする。間隔H3は、間隔H2よりも小さく、間隔H1に近い大きさとなる。本実施例では、図7に示すように、間隔H3は、間隔H1よりも小さくなっている。
図2〜図8に示すように、この安全柵1では、第1上側バー11と第2上側バー21との間とに、結合手段50が設けられ、第1下側バー12と第2下側バー22との間とにも、結合手段50が設けられている。
図4〜図6及び図8に示すように、上側の結合手段50と下側の結合手段50とは同一構成であり、ワイヤ90と長さ調整機構60とを有している。長さ調整機構60は、増し締め機構80を含んでいる。
ワイヤ90は、金属線や化学繊維等が編まれたり、撚り合わされたりしてなる柔軟な線材である。本実施例では、ワイヤ90として、伸びが少なく、破断強度が高く、耐久性に優れたものが採用される。
図2及び図7に示すように、上側の結合手段50において、ワイヤ90の一端部90Aは、第1上側バー11の第1上側先端部11Aに設けられた固定プーリ11Pに係止されている。ワイヤ90の他端部90Bは、第2上側バー21内に収容された長さ調整機構60に係止されている。ワイヤ90の中間部90Cは、第2上側バー21の第2上側先端部21Aに設けられた可動プーリ21Pに掛けられた状態で、第1上側バー11の第1上側先端部11Aと、第2上側バー21の第2上側先端部21Aとの間で張り渡されている。
下側の結合手段50において、ワイヤ90の一端部90Aは、第1下側バー12の第1下側先端部12Aに設けられた固定プーリ12Pに係止されている。ワイヤ90の他端部90Bは、第2下側バー22内に収容された長さ調整機構60に係止されている。ワイヤ90の中間部90Cは、第2下側バー22の第2下側先端部22Aに設けられた可動プーリ22Pに掛けられた状態で、第1下側バー12の第1下側先端部12Aと、第2下側バー22の第2下側先端部22Aとの間で張り渡されている。
次に、長さ調整機構60の具体的構成について図4〜図6及び図8を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とが図2に示す閉鎖位置にある状態における長さ調整機構60の姿勢を基準として、長さ調整機構60を構成する各部材の形状や相対位置関係を説明する。
図4〜図6に示すように、長さ調整機構60は、固定プレート61、可動プレート62、ワイヤ巻取りドラム81、ラチェット63及びモータ85を有している。可動プレート62及びモータ85は、増し締め機構80を兼ねている。
図6に示すように、固定プレート61は、略長方形状の板材からなる。固定プレート61の中央部よりも右寄りの部分には、前向きに凹む凹部61Aが形成されている。凹部61Aの中心部の上側部分には、後述するカム88が挿通されるカム孔61Fが貫設されている。カム孔61Fに対して左側、右側及び下側には、貫通孔61Gがそれぞれ貫設されている。固定プレート61の下端縁の中央部には、上向きに略長方形状に凹む切り欠き部61Hが形成されている。
固定プレート61の四隅には、貫通孔61Bが貫設されている。固定プレート61は、4個の接続部材71の後端部が各貫通孔61Bに接続されるとともに、各接続部材71の前端部が第2上側バー21の内部に設けられた図示しない接続部に接続されることにより、第2上側バー21に組み付けられる。
固定プレート61における凹部61Aよりも左側には、左右方向に長い長穴61Eが貫設されている。固定プレート61の下端縁側における左下の貫通孔61Bと切り欠き部61Hとの間には、貫通孔61Cが貫設されている。固定プレート61の上端縁側における凹部61Aと右上の貫通孔61Bとの間には、貫通孔61Dが貫設されている。
可動プレート62は、左右方向の長さが固定プレート61よりも短い略長方形状の板材からなる。可動プレート62は、固定プレート61に対して後側に配置されている。可動プレート62の左下の角部と右上の角部とには、左右方向に長い長穴62A、62Bがそれぞれ貫設されている。可動プレート62の中央部の上端縁側には、上下方向に長い長穴62Cが貫設されている。可動プレート62の中央部の下端縁側には、貫通孔62D及びバネ挿通孔62Eが貫設されている。可動プレート62の中央部よりも左寄りの部分には、貫通孔62Fが貫設されている。
可動プレート62は、2個のガイド軸72によって、固定プレート61に連結されている。固定プレート61の貫通孔61C及び貫通孔61Dにはそれぞれ、多段円柱形状のガイド軸72の前端部が挿入されて、加締め固定されている。可動プレート62の長穴62A、62Bにはそれぞれ、ガイド軸72の後端部が挿入されている。各ガイド軸72の後端部には、各ガイド軸72が長穴62A、62Bから外れることを規制するキャップ72Cが加締め固定されている。各ガイド軸72は、長穴62A、62B内で左右方向に摺動可能となっている。これにより、図8(a)〜(c)に示すように、可動プレート62は、固定プレート61に対して左右方向に相対変位可能となっている。
図6に示すように、ワイヤ巻取りドラム81は、本体部82、ゼンマイバネ83及びバネ保持部84が組み合わされてなる。
本体部82は、前後方向に延びる巻き取り軸心X81を中心軸とし、前端部が塞がれた略円筒形状をなしている。本体部82には、第1突出部82Aと外歯82Bとが形成されている。第1突出部82Aは、本体部82の前端部から巻き取り軸心X81を中心軸とする円筒状をなして後方に突出している。外歯82Bは、本体部82の後端部の外周面に形成されている。本体部82の外周面は、前端部と後端部との間が凹んでおり、その凹んだ部分にワイヤ90の他端部90Bが係止された上で、ワイヤ90が巻き付けられている。
バネ保持部84は、巻き取り軸心X81を中心軸とし、後端部が塞がれた略円筒形状をなしている。バネ保持部84には、第2突出部84Aが形成されている。第2突出部84Aは、バネ保持部84の後端部から巻き取り軸心X81を中心軸とする扁平な円筒状をなして後方に突出している。バネ保持部84は、その外径が本体部82の内径よりも小さくされており、本体部82内に収納されている。
ゼンマイバネ83は、板バネが渦巻状に巻かれてなり、バネ保持部84内に収容されている。ゼンマイバネ83の一端は、本体部82の第1突出部82Aに係止されている。その一方、ゼンマイバネ83の他端は、バネ保持部84の内周面に係止されている。
本体部82、ゼンマイバネ83及びバネ保持部84は、組み合わされた状態で固定プレート61に対して前側に配置され、支持軸76が前方から本体部82の第1突出部82Aと、バネ保持部84の第2突出部84Aとに挿入される。そして、第2突出部84Aと支持軸76とが固定プレート61の長穴61Eに挿入される。さらに、支持軸76の後端部が可動プレート62の貫通孔62Fに挿入され、加締め固定される。その結果、バネ保持部84が可動プレート62に回転不能に固定され、本体部82が巻き取り軸心X81周りで回転可能に可動プレート62に支持される。
図8(a)〜(c)に示すように、可動プレート62が固定プレート61に対して左右方向に相対変位すると、ワイヤ巻取りドラム81も可動プレート62と一体で変位し、固定プレート61に対して左右方向に相対変位する。ゼンマイバネ83は、本体部82を巻き取り軸心X81周りで図8の紙面に向かって反時計方向に、すなわち、ワイヤ90の巻き取り方向に回転するように付勢している。
図6に示すように、ラチェット63は、前後方向に延びる揺動軸心X63を中心軸とする軸孔63Bが貫設されたレバー形状部材である。ラチェット63は、揺動軸心X63から右向きに傾斜しつつ上向きに延びた後に屈曲して、右向きに延びている。ラチェット63には、軸孔63Bを囲みながら後方に膨出する膨出部63Aが形成されている。ラチェット63の屈曲部分には、本体部82の外歯82Bと係合可能な係合爪63Cが左向きに突設されている。ラチェット63の右向きに延びる部分の上面は、後述するカム88のカム凸部88Cに当接されることが可能な被当接部63Eとされている。
ラチェット63が固定プレート61に対して前側に配置された状態で、前方から軸孔63Bに揺動軸74が挿入される。そして、膨出部63Aと揺動軸74とが固定プレート61の切り欠き部61Hを通過する。さらに、揺動軸74の後端部が可動プレート62の貫通孔62Dに挿入され、加締め固定される。その結果、ラチェット63が揺動軸心X63周りで揺動可能に可動プレート62に支持される。
図5及び図6に示すように、揺動軸74の前端部には、捩じりコイルバネ75のコイル部分が挿通されている。捩じりコイルバネ75の一端部は、可動プレート62のバネ挿通孔62Eに係止されている。捩じりコイルバネ75の他端部は、図5に示すバネ被係合部63Dに係止されている。
図8(a)〜(c)に示すように、可動プレート62が固定プレート61に対して左右方向に相対変位すると、ラチェット63も可動プレート62と一体で変位し、固定プレート61に対して左右方向に相対変位する。捩じりコイルバネ75は、ラチェット63を揺動軸心X63周りで図8の紙面に向かって反時計方向に、すなわち、係合爪63Cを本体部81の外歯82Bと係合させるように付勢している。
係合爪63C及び外歯82Bは、ワイヤ巻取りドラム81の本体部82が巻き取り軸心X81周りで図8の紙面に向かって反時計方向に、すなわち、ワイヤ90の巻き取り方向に回転しようとする場合には、係合爪63Cが外歯82Bから逃げて本体部82によるワイヤ90の巻き取りを許容する形状とされている。また、係合爪63C及び外歯82Bは、ワイヤ巻取りドラム81の本体部82が巻き取り軸心X81周りで図8の紙面に向かって時計方向に、すなわち、ワイヤ90の引き出し方向に回転しようとする場合には、係合爪63Cが外歯82Bと噛み合って、本体部82からのワイヤ90の引き出しを禁止する形状とされている。
図6に示すように、モータ85は、ギヤ形状の回転部89と、回転部89に一体回転可能に装着されたカム88とを有している。モータ85における回転部89に対して左側、右側及び下側には、3つのねじ穴89Aが形成されている。
モータ85が固定プレート61に対して前側に配置された状態で、3本の止めねじ78が後方から固定プレート61の各貫通孔61Gに挿入され、さらに、モータ85の各のねじ穴89Aにねじ込まれる。その結果、モータ85が固定プレート61に固定される。
モータ85は、図示しない制御部に制御されて作動することにより、回転部89及びカム88をカム軸心X88周りで正転及び逆転させる。カム88は、カム軸心X88を中心軸とする扁平な円柱形状とされて、固定プレート61のカム孔61Fに挿入されている。
図6及び図8に示すように、カム88には、カム凸部88Cが形成されている。カム凸部88Cは、カム88の外周面のうちの固定プレート61よりも前側に位置する部位からカム軸心X88の径外方向に突出している。図8(c)に示すように、カム88がカム軸心X88周りで回転することにより、カム凸部88Cがラチェット63の被当接部63Eに当接可能となっている。カム凸部88Cがラチェット63の被当接部63Eを押し下げることにより、ラチェット63が揺動軸心X63周りで図8の紙面に向かって時計方向に揺動し、係合爪63Cを本体部81の外歯82Bから離間させる。
図6に示すように、カム88におけるカム軸心X88から偏心した位置には、カム穴88Bが凹設されている。カム穴88Bには、カム軸77の前端部が嵌入されている。可動プレート62の長穴62Cには、カム軸77の後端部が挿入されている。カム軸77の後端部には、カム軸77が長穴62Cから外れることを規制するキャップ77Cが加締め固定されている。図8(a)〜(c)に示すように、カム88がカム軸心X88周りで正転及び逆転することにより、カム軸77が長穴62C内で上下方向に摺動しながら、可動プレート62を固定プレート61に対して左右方向に相対変位させる。
第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図7に示す開放位置から図2に示す閉鎖位置に揺動する際、第1上側バー11の第1上側先端部11Aと第2上側バー21の第2上側先端部21Aとが接近する。この際、上側の長さ調整機構60では、図8(a)に示すように、カム凸部88Cがラチェット63の被当接部63Eを押し下げておらず、また、カム軸77によって、可動プレート62が固定プレート61に対して左側に相対変位している。
この状態では、係合爪63C及び外歯82Bは、ワイヤ巻取りドラム81の本体部82によるワイヤ90の巻き取りを許容する一方、本体部82からのワイヤ90の引き出しを禁止する。このため、上側の結合手段50を構成するワイヤ90の中間部90Cに弛みが僅かでも生じると、上側の長さ調整機構60では、ワイヤ巻取りドラム81の本体部82がゼンマイバネ83に付勢されてワイヤ90の他端部90Bを直ちに巻き取って、その弛みを解消する。
そして、第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図2に示す閉鎖位置に到達すると、上側の長さ調整機構60では、図8(a)に示すカム88が図8の紙面に向かって時計方向に回転し、図8(b)に示すように、カム軸77が可動プレート62を固定プレート61に対して右側に相対変位させる。このため、ワイヤ90の引き出しが禁止された本体部82も可動プレート62とともに右向きに変位し、ワイヤ90を引っ張る。その結果、第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとの間で張り渡されたワイヤ90の中間部90Cに作用する張力が増加する。
こうして、上側の結合手段50は、第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図2に示す閉鎖位置にある状態で、第1上側バー11の第1上側先端部11Aと、第2上側バー21の第2上側先端部21Aとを確実に結合する。
一方、第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図2に示す閉鎖位置から図7に示す開放位置に揺動する際、上側の長さ調整機構60では、図8(b)に示すカム88が図8の紙面に向かって反時計方向に回転し、図8(a)に示すように、カム軸77が可動プレート62を固定プレート61に対して左側に相対変位させる。その結果、本体部82も可動プレート62とともに左向きに変位し、ワイヤ90に対する増し締めが解除される。そして、図8(a)に示すカム88がさらに図8の紙面に向かって反時計方向に回転し、図8(c)に示すように、カム凸部88Cがラチェット63の被当接部63Eを押し下げる。
この状態では、係合爪63Cが外歯82Bから離間し、ワイヤ巻取りドラム81の本体部82からのワイヤ90の引き出しが許容される。このため、上側の長さ調整機構60では、第1上側バー11の第1上側先端部11Aと第2上側バー21の第2上側先端部21Aとが離間するのに追従して、ワイヤ90の中間部90Cが第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとの間で弛みなく張り渡されるように、本体部82からワイヤ90が引き出される。
説明は省略するが、下側の長さ調整機構60は、上側の長さ調整機構60と同様に作用し、第1下側バー12及び第2下側バー22の組の揺動に追従して、ワイヤ90の中間部90Cが第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとの間で弛みなく張り渡されるように、ワイヤ90の巻き取り及び引き出しを行う。また、下側の長さ調整機構60は、増し締め機構80を構成する可動プレート62及びモータ85のカム88等によって、第1下側バー12及び第2下側バー22の組が閉鎖位置にある状態で、第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとの間で張り渡されたワイヤ90の中間部90Cに作用する張力を増加させる。
こうして、下側の結合手段50も、第1下側バー12及び第2下側バー22の組が閉鎖位置にある状態で、第1下側バー12の第1下側先端部12Aと、第2下側バー22の第2下側先端部22Aとを確実に結合する。
<作用効果>
実施例1の安全柵1では、第1、2上側バー11、21が図2に示す閉鎖位置にある状態で、片持ち梁状に延びる第1上側バー11の第1上側先端部11Aと、片持ち梁状に延びる第2上側バー21の第2上側先端部21Aとが上側の結合手段50を構成するワイヤ90及び長さ調整機構60によって結合される。具体的には、第1、2上側バー11、21が図7に示す開放位置から図2に示す閉鎖位置に揺動する際、上側の長さ調整機構60がそれらの揺動に追従してワイヤ90の巻き取りを行い、第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとの間で張り渡されるワイヤ90の中間部90Cが弛まないようにする。次に、上側の長さ調整機構60は、第1、2上側バー11、21が図2に示す閉鎖位置にある状態で、増し締め機構80を構成する可動プレート62及びモータ85のカム88等が図8(a)に示す状態から図8(b)に示す状態に移行することによって、第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとの間で張り渡されたワイヤ90の中間部90Cに作用する張力を増加させる。これにより、第1上側バー11の第1上側先端部11Aと、第2上側バー21の第2上側先端部21Aとが確実に結合される。その結果、図2に示す閉鎖位置にある第1、2上側バー11、21が人等に押されて、第1、2上側バー11、21に負荷が作用しても、第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとがずれ難く、人が通過可能な隙間が生じ難い。
同様に、第1、2下側バー12、22が図2に示す閉鎖位置にある状態で、片持ち梁状に延びる第1下側バー12の第1下側先端部12Aと、片持ち梁状に延びる第2下側バー22の第2下側先端部22Aとが下側の結合手段50を構成するワイヤ90及び長さ調整機構60によって確実に結合される。その結果、図2に示す閉鎖位置にある第1、2下側バー12、22に負荷が作用しても、第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとがずれ難く、人が通過可能な隙間が生じ難い。
したがって、実施例1の安全柵1では、閉鎖位置にある第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22が通路5を閉鎖する状態を確実に維持できる。
また、この安全柵1では、図2に示すように、第1下側軸心X12と第2下側軸心X22との距離L2は、第1上側軸心X11と第2上側軸心X21との距離L1よりも長く設定されている。そして、第1、2上側バー11、21が図2に示す閉鎖位置にある状態で、第1上側バー11は、第1上側軸心X11から第2門柱32に向けて略水平に延び、第2上側バー21は、第2上側軸心X21から第1門柱31に向けて略水平に延び、第1上側バー11の第1上側先端部11Aと、第2上側バー21の第2上側先端部21Aとが対向している。また、第1、2下側バー12、22が図2に示す閉鎖位置にある状態で、第1下側バー12は、第1下側軸心X12から下向きに延びた後に第2門柱32に向けて屈曲して略水平に延び、第2下側バー22は、第2下側軸心X22から下向きに延びた後に第1門柱31に向けて略水平に屈曲して略水平に延び、第1下側バー12の第1下側先端部12Aと、第2下側バー22の第2下側先端部22Aとが対向している。
このような構成により、この安全柵1では、第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22が図2に示す閉鎖位置にある状態で、第1、2上側先端部11A、21Aと第1、2下側先端部12A、22Aとの上下方向の間隔H2は、第1、2上側軸心X11、X21と第1、2下側軸心X12、X22との上下方向の間隔H1よりも大きくなる。これにより、第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22は、大人から子供や車椅子に乗った人までに対応して、通路5を閉鎖できる。
その一方、第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22が図7に示す開放位置にある状態で、第1、2上側先端部11A、21Aと第1、2下側先端部12A、22Aとの上下方向の間隔H3は、第1、2上側軸心X11、X21と第1、2下側軸心X12、X22との上下方向の間隔H1に近くなる。このため、第1、2上側先端部11A、21Aとの間で張り渡されたワイヤ90の中間部90Cと、第1、2下側先端部12A、22Aとの間で張り渡されたワイヤ90の中間部90Cとの高低差を小さくできる。その結果、第1、2下側先端部12A、22Aとの間で張り渡されたワイヤ90の中間部90Cが通路5を通行する人の頭部等に接触し難く、人の通行の妨げとなり難い。
(実施例2)
図9に示すように、実施例2の安全柵では、閉鎖位置における第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとの間隔W2は、図2に示す実施例1の安全柵1に係る間隔W1よりも狭くされている。そして、この安全柵では、第1、2下側バー12、22が閉鎖位置の近傍で揺動する際、第2下側バー22が図9に実線で示すように第1下側バー12よりも先に揺動する。この際、第2上側バー21も図9に実線で示すように、第2下側バー22と同期して、第1上側バー11よりも先に揺動し、第2下側バー22と接近し過ぎないようにする。
また、実施例2の安全柵では、第1上側バー11の上面に、接触センサ19が設けられている。接触センサ19は、接触部19A、付勢バネ19B及びマイクロスイッチ19Cを有している。接触部19Aは、第1上側バー11の上面に沿って延びる長尺体である。接触部19Aは、第1上側バー11の上面に埋没可能に第1上側バー11に支持されている。付勢バネ19Bは、第1上側バー11内の複数個所に設けられ、接触部19Aを第1上側バー11の上面よりも突出させるように付勢している。マイクロスイッチ19Cは、第1上側バー11内の複数個所に設けられ、接触部19Aが第1上側バー11の上面に埋没することを検出する。
接触センサ19は、第1上側バー11の上端面以外の表面や、第1下側バー12、第2上側バー21及び第2下側バー22のそれぞれの表面にも設けられ得る。また、接触センサ19の代わりに、軟質テープ状をなしてその一部が潰れることによって接触を検出するセンサ等、各種の方式の接触センサを採用することもできる。
実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
このような構成である実施例2の安全柵では、仮に、第1、2下側バー12、22が閉鎖位置の近傍で同時に揺動すると第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとが干渉し易くなるところ、上記のように時間差を設けることで、第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとの干渉を抑制できる。その結果、この安全柵では、第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとの間隔W2が狭くなっていることにより、人が通過可能な隙間が一層生じ難い。
また、この安全柵では、第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22に人や異物等が接触することを接近センサ19によって検出でき、その検出結果に基づいて、第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22の揺動を停止できる。その結果、この安全柵では、通路5を通行する人の安全性や耐久性を向上させることができる。
(実施例3)
図10〜図12に示すように、実施例3の安全柵では、実施例1の安全柵1に係る結合手段50の代わりに、結合手段350を採用している。結合手段350は、第1上側バー11と第2上側バー21との間と、第1下側バー12と第2下側バー22との間とに設けられている。
それに伴って、図10に示すように、第1上側先端部11A及び第2上側先端部21Aは、第1上側バー11及び第2上側バー21が閉鎖位置にある状態で、第1上側先端部11Aが下側に位置し、第2上側先端部21Aが上側に位置して上下方向に重なるように形状が変更されている。第1下側先端部12A及び第2下側先端部22Aも、第1上側先端部11A及び第2上側先端部21Aと同様の形状に変更されている。
実施例3のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
上側の結合手段350と下側の結合手段350とは同一構成であるので、上側の結合手段350について説明し、下側の結合手段350についての説明は省略又は簡略する。また、以下の説明では、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とが図10に示す閉鎖位置にある状態における結合手段350の姿勢を基準として、結合手段350を構成する各部材の形状や相対位置関係を説明する。
上側の結合手段350は、第2上側バー21の第2上側先端部21Aに設けられたストライカ390と、第1上側バー11の第1上側先端部11Aに設けられたラッチ機構370とを有している。
図10及び図11に示すように、ストライカ390は、棒状の鋼材が略U字状に折り曲げられてなる。ストライカ390は、第2上側バー21の第2上側先端部21Aの下面から下向きに突出している。
図11及び図12に示すように、ラッチ機構370は、ベースプレート310、バックプレート320、フォーク330、ポール340、引張コイルバネ359、アクチュエータ360及びオープンレバー365を有している。
ベースプレート310、バックプレート320、フォーク330、ポール340及び引張コイルバネ359は、第1上側バー11の第1上側先端部21A内に収容されている。アクチュエータ360は、第1上側バー11における第1上側先端部21Aよりも第1上側軸心X11に近い部分に収容されている。オープンレバー365は、第1上側バー11内でポール340とアクチュエータ360とを連結している。
図11に示すように、鋼板製のベースプレート310の中央部には、後向きに凹む凹部311が形成されている。凹部311には、進入口312が形成されている。進入口312は、凹部311の上端縁から下向きに凹む溝状に切り欠かれている。また、凹部311には、進入口312を挟んで左右両側に軸穴310A、310Bが貫設されている。軸穴310Aには、フォーク支持軸330Sの後端部が嵌入される。軸穴310Bには、ポール支持軸340Sの後端部が嵌入される。さらに、ベースプレート310の左右両端部には、取付孔310C、310Dが貫設されている。
鋼板製のバックプレート320には、進入口321が形成されている。進入口321は、バックプレート320の上端縁から下向きに凹む溝状に切り欠かれている。また、バックプレート320には、進入口321を挟んで左右両側に軸穴320A、320Bが貫設されている。軸穴320Aには、フォーク支持軸330Sの前端部が嵌入される。軸穴320Bには、ポール支持軸340Sの前端部が嵌入される。さらに、バックプレート320の左右両端部には、取付孔320C、320Dが貫設されている。
図示は省略するが、2本のボルトがベースプレート310の取付孔310C、310D及びバックプレート320の取付孔320C、320Dに挿入され、さらに、第1上側先端部21A内に設けられた図示しない取付孔に螺入されることにより、進入口312と進入口321とは前後方向において重なった状態で、ベースプレート310及びバックプレート320が第1上側バー211に組み付けられる。進入口312、321には、ストライカ390が進入可能となっている。
フォーク330及びポール340は、肉厚な鋼板部材である。フォーク330は、フォーク支持軸330Sに揺動可能に支持されている。ポール340は、ポール支持軸340Sに揺動可能に支持されている。
フォーク330には、進入口312、321の底部側に位置する第1凸部330Bと、進入口312、321の入り口側に位置する第2凸部330Cとが形成されている。第1凸部330Bのポール340に対面する先端部には、後述するポール340のストッパ面340Bと当接可能なラッチ面330Eが形成されている。また、フォーク330における第1凸部330Bと第2凸部330Cとの間には、溝部330Dが形成されている。溝部330Dには、進入口312、321内に進入したストライカ390が収まるようになっている。
ポール340には、ストッパ面340Bが形成されている。ストッパ面340Bは、円弧状にカーブする曲面であり、上述のラッチ面330Eに対面可能に形成されている。ストッパ面340Bを構成する円弧は、フォーク330側で途切れており、そこからポール340の軸穴340A側に延びる摺動面340Cが形成されている。
引張コイルバネ359は、一端部がフォーク330に係止され、他端部がポール340に形成されている。フォーク330は、引張コイルバネ359によって、フォーク支持軸330S周りで図12の紙面に向かって時計方向に揺動するほうに付勢されている。ポール340は、引張コイルバネ359によって、ポール支持軸340S周りで図12の紙面に向かって反時計方向に揺動するほうに付勢されている。
アクチュエータ360の右端側には、出力部361が設けられている。アクチュエータ360は、図示しない制御部に制御されて、出力部361を進退させる。オープンレバー365は、一端部が出力部361に連結され、他端部がポール340に連結されている。
このような構成である実施例3の安全柵では、第1上側バー11及び第2上側バー21の組が開放位置から図10に示す閉鎖位置に揺動する際、第2上側バー21が図10に二点鎖線で示すように、第1上側バー11よりも遅れて揺動する。第1下側バー12及び第2下側バー22の組も同様である。
すると、図12(b)に示す状態にあるラッチ機構370の進入口312、321にストライカ390が進入し、フォーク330の第1凸部330Bを下向きに押しながら、溝部330Dに収まる。
そして、図12(a)に示すように、第1凸部330Bの左端面がポール340の摺動面340Cよりも下側に変位すると、ポール340が引張コイルバネ359に付勢されて揺動し、ポール340のストッパ面340Bがフォーク330のラッチ面330Eに当接する。その結果、ラッチ機構370は、ストライカ390を係止するラッチ状態となる。
こうして、上側の結合手段350は、ストライカ390及びラッチ機構370によって、図10に示す閉鎖位置にある第1、2上側バー11、21の第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとを結合する。下側の結合手段350も、同様に、図10に示す閉鎖位置にある第1、2下側バー12、22の第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとを結合する。
その一方、第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図10に示す閉鎖位置から開放位置から揺動する際、第2上側バー21が図10に二点鎖線で示すように、第1上側バー11よりも先に揺動する。第1下側バー12及び第2下側バー22の組も同様である。
第2上側バー21及び第2下側バー22の開放位置への揺動に先立って、アクチュエータ360が図示しない制御部に制御されて、出力部361を後退させる。これにより、図12(a)に示す状態にあるラッチ機構370において、ポール340がオープンレバー365に引かれる。このため、図12(b)に示すように、ポール340のストッパ面340Bがフォーク330のラッチ面330Eから離間する。このため、フォーク330が引張コイルバネ359に付勢されて揺動し、ストライカ390が第1凸部330Bに押されて進入口312、321から離脱する。その結果、ラッチ機構370は、ストライカ390を係止しないアンラッチ状態となる。
実施例3の安全柵では、結合手段350を構成するストライカ390及びラッチ機構370によって、図10に示す閉鎖位置にある第1、2上側バー11、21の第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとが結合されるとともに、図10に示す閉鎖位置にある第1、2下側バー12、22の第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとが結合される。これにより、第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22に負荷が作用しても、第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとがずれ難く、また、第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとがずれ難く、その結果、人が通過可能な隙間が生じ難い。
したがって、実施例3の安全柵では、実施例1、2の安全柵1と同様に、閉鎖位置にある第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22が通路5を閉鎖する状態を確実に維持できる。
(実施例4)
図13に示すように、実施例4の安全柵では、実施例1の安全柵1に係る結合手段50の代わりに、結合手段450を採用している。結合手段450は、第1上側バー11と第2上側バー21との間と、第1下側バー12と第2下側バー22との間とに設けられている。
実施例4のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
結合手段450は、第1上側先端部11A及び第1下側先端部12Aの形状が実施例1から変更されてなる第1屈曲部451と、第2上側先端部21A及び第2下側先端部22Aの形状が実施例1から変更されてなる第2屈曲部452とを有している。
第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22が閉鎖位置にある状態で、第1屈曲部451が右向きに延びた後に前向きに屈曲し、さらに左向きに屈曲し、第2屈曲部452が左向きに延びた後に後向きに屈曲し、さらに右向きに屈曲し、第1屈曲部451と第2屈曲部452とが互いに嵌合する。
実施例4の安全柵では、このような結合手段450により、第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22に負荷が作用しても、第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとがずれ難く、また、第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとがずれ難く、その結果、人が通過可能な隙間が生じ難い。
したがって、実施例4の安全柵では、実施例1〜3の安全柵1と同様に、閉鎖位置にある第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22が通路5を閉鎖する状態を確実に維持できる。
(実施例5)
図14(a)及び(b)に示すように、実施例5の安全柵では、実施例1の安全柵1に係る結合手段50の代わりに、結合手段550を採用している。結合手段550は、第1上側バー11と第2上側バー21との間と、第1下側バー12と第2下側バー22との間とに設けられている。
実施例5のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
結合手段550は、第1上側先端部11A及び第1下側先端部12Aの形状が実施例1から変更されてなる係合穴部551と、第2上側先端部21A及び第2下側先端部22Aの形状が実施例1から変更されてなる係合凸部552とを有している。
第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22が閉鎖位置にある状態で、係合穴部551は、断面円形状をなして、上下方向に貫通する空間を形成し、係合凸部552は円柱状をなして下向きに突出し、係合穴部551と係合凸部552とが互いに嵌合する。
実施例5の安全柵では、このような結合手段550により、第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22に負荷が作用しても、第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとがずれ難く、また、第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとがずれ難く、その結果、人が通過可能な隙間が生じ難い。
したがって、実施例5の安全柵では、実施例1〜4の安全柵1と同様に、閉鎖位置にある第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22が通路5を閉鎖する状態を確実に維持できる。
(実施例6)
実施例6の安全柵では、図2及び図7に示す結合手段50は、実施例1の安全柵1に係る長さ調整機構60の代わりに、図15〜図18に示す長さ調整機構660を採用している。実施例6のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
第2上側バー21に設けられる上側の長さ調整機構660の具体的構成について図15〜図18を参照しつつ説明する。第2下側バー22に設けられる下側の長さ調整機構660は、上側の長さ調整機構660と同様であるので、説明を省略又は簡略する。また、以下の説明では、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とが図2に示す閉鎖位置にある状態における長さ調整機構660の姿勢を基準として、長さ調整機構660を構成する各部材の形状や相対位置関係を説明する。
図15〜図17(a)に示すように、長さ調整機構660は、固定プレート661、可動プレート662、補強プレート669、ワイヤ巻取りドラム681、ラチェット663、第1ギヤ611、第2ギヤ612、第3ギヤ613、第4ギヤ614、ストッパピン619及びモータ685を有している。可動プレート662及びモータ685は、増し締め機構680を兼ねている。
図16に示すように、固定プレート661は、略長方形状の板材からなる。固定プレート661の中央部より右寄りの部分には、3つのモータ支持部661Aが形成されている。モータ支持部661Aは、固定プレート661に形成されたU字状の切り欠きの内側部分が前向きにクランク状に折り曲げられてなる。1つのモータ支持部661Aは、他の2つのモータ支持部661Aに対して下方に位置している。各モータ支持部661Aには貫通孔が貫設され、各貫通孔には、図15に示す3本の止めねじ678が挿入されている。
図16に示すように、固定プレート661の中央部より左寄りの部分には、第1円弧溝661Jと直線溝661Lとが形成されている。第1円弧溝661Jは、その上端部661Kから左向きに膨らむ半円弧を描いて下端部まで延びている。直線溝661Lは、第1円弧溝661Jの下端部に連続し、右向きに略直線状に延びている。
固定プレート661の四隅には、貫通孔661Bが貫設されている。固定プレート661は、図示しない4個の接続部材が各貫通孔661Bに挿通され、さらにその各接続部材が第2上側バー21の内部に設けられた図示しない接続部に接続されることにより、第2上側バー21に組み付けられる。
固定プレート661における第1円弧溝661Jよりも左側には、貫通孔661Cが貫設されている。固定プレート661における下側のモータ支持部661Aよりも右側には、貫通孔661Dが貫設されている。
可動プレート662は、左右方向の長さが固定プレート661よりも短い略長方形状の板材からなる。可動プレート662は、固定プレート661に対して前側に配置されている。可動プレート662の左端部には、左右方向に長い長穴662Aが貫設されている。可動プレート662の右端部の下端縁側には、左右方向に長い長穴662Bが貫設されている。
可動プレート662における長穴662Aよりも右側には、第2円弧溝662Jが形成されている。第2円弧溝662Jは、その上端部から左向きに膨らむ半円弧を描いて下端部まで延びている。
可動プレート662における長穴662Aよりも上側と下側とには、貫通孔662Q、662Rが貫設されている。可動プレート662の中央部には、貫通孔662Fが貫設されている。可動プレート662における第2円弧溝662Jと貫通孔662Fとの間には、貫通孔662Gが貫設されている。可動プレート662の中央部の下端側には、貫通孔662Dが貫設されているとともに、バネ係止片662Eが前向きに凸設されている。
可動プレート662の中央部より右寄りの部分には、左右方向に長い長穴662Mが貫設され、長穴662Mよりも下側に、左右方向に長い長穴662Nが貫設されている。可動プレート662における長穴662Mよりも右側には、貫通孔662Cが貫設されている。
可動プレート662は、2個のガイド軸672によって、固定プレート661に連結されている。固定プレート661の貫通孔661C及び貫通孔661Dにはそれぞれ、多段円柱形状のガイド軸672の後端部が挿入されて、加締め固定されている。可動プレート662の長穴662A、662Bにはそれぞれ、ガイド軸672の前端部が挿入されている。各ガイド軸672の前端部には、各ガイド軸672が長穴662A、662Bから外れることを規制するキャップ672Cが加締め固定されている。各ガイド軸672は、長穴662A、662B内で左右方向に摺動可能となっている。これにより、図17(b)、図18(a)及び図18(b)に示すように、可動プレート662は、固定プレート661に対して左右方向に相対変位可能となっている。固定プレート661の各モータ支持部661Aは、長穴662M、662Nを通過して、可動プレート662よりも前方に突出しており、可動プレート662の固定プレート661に対する相対変位を妨げない。
図15に示すように、補強プレート669は、略長方形状の板材が3段に折り曲げ加工されてなる。補強プレート669の右端部には、貫通孔669Fが貫設されている。補強プレート669の中央部には、貫通孔669G、669Hが貫設されている。補強プレート669の左端部には、貫通孔669Q、669Rが貫設されている。補強プレート669における右端部から中央部に至る屈曲部分には、ワイヤ90を通過させる開口669Wが切り欠かれている。
可動プレート662の貫通孔662Q、662Rと、補強プレート669の貫通孔669Q、669Rとに図示しない締結部材が挿入されて加締め固定され、補強プレート669の貫通孔669Fと、可動プレート662の貫通孔662Fとに、図15及び図16に示す支持軸676の前端部と後端部とが挿入されて加締め固定され、補強プレート669の貫通孔669Gと、可動プレート662の貫通孔662Gとに、図15及び図16に示す支持軸616の前端部と後端部とが挿入されて加締め固定されることにより、補強プレート669が可動プレート662に組み付けられている。
図16に示すように、ワイヤ巻取りドラム681は、本体部682、ゼンマイバネ683及びバネ保持684が組み合わされてなる。
本体部682は、前後方向に延びる巻き取り軸心X681を中心軸とし、後端部が塞がれた略円筒形状をなしている。本体部682には、第1突出部682Aと外歯682Bとが形成されている。第1突出部682Aは、本体部682の後端部から巻き取り軸心X681を中心軸とする円筒状をなして前方に突出している。外歯682Bは、本体部682の後端部の外周面に形成されている。本体部682の外周面は、前端部と後端部との間が凹んでおり、その凹んだ部分にワイヤ90の他端部90Bが係止された上で、ワイヤ90が巻き付けられている。
本体部682の後端部には、小径の第1ギヤ611が一体回転可能に組み付けられている。
バネ保持部684は、巻き取り軸心X681を中心軸とし、前端部が塞がれた略円筒形状をなしている。バネ保持部684は、その外径が本体部682の内径よりも小さくされており、本体部682内に収納されている。
ゼンマイバネ683は、板バネが渦巻状に巻かれてなり、バネ保持部684内に収容されている。ゼンマイバネ683の一端は、本体部682の第1突出部682Aに係止されている。その一方、ゼンマイバネ683の他端は、バネ保持部684の内周面に係止されている。
本体部682、ゼンマイバネ683及びバネ保持部684は、組み合わされた状態で可動プレート662と補強プレート669との間に配置され、第1ギヤ611と、本体部682の第1突出部682Aと、バネ保持部684とに支持軸676が挿入される。その結果、バネ保持部684が補強プレート669に回転不能に固定され、第1ギヤ611と本体部682とが巻き取り軸心X681周りで回転可能に可動プレート662に支持される。
図17(b)、図18(a)及び図18(b)に示すように、可動プレート662が固定プレート661に対して左右方向に相対変位すると、ワイヤ巻取りドラム681も可動プレート662と一体で変位し、固定プレート661に対して左右方向に相対変位する。ゼンマイバネ683は、本体部682を巻き取り軸心X681周りで図17及び図18の紙面に向かって時計方向に、すなわち、ワイヤ90の巻き取り方向に回転するように付勢している。
図16に示すように、ラチェット663は、前後方向に延びる揺動軸心X663を中心軸とする軸孔663Bが貫設されたレバー形状部材である。ラチェット663は、揺動軸心X663から右向きに傾斜しつつ上向きに延びた後に屈曲して、右向きに延びている。ラチェット663の屈曲部分には、本体部682の外歯682Bと係合可能な係合爪663Cが左向きに突設されている。ラチェット663の右向きに延びる部分の上面は、後述するカム688のカム凸部688Cに当接されることが可能な被当接部663Eとされている。
ラチェット663が可動プレート662に対して前側に配置された状態で、前方から軸孔663Bに揺動軸674が挿入される。そして、揺動軸674の後端部が可動プレート662の貫通孔662Dに挿入され、加締め固定される。その結果、ラチェット663が揺動軸心X663周りで揺動可能に可動プレート662に支持される。
図16及び図17(a)に示すように、揺動軸674の前端部には、捩じりコイルバネ675のコイル部分が挿通されている。捩じりコイルバネ675の一端部は、可動プレート662のバネ係止片662Eに係止されている。捩じりコイルバネ675の他端部は、ラチェット663に係止されている。
図17(b)、図18(a)及び図18(b)に示すように、可動プレート662が固定プレート661に対して左右方向に相対変位すると、ラチェット663も可動プレート662と一体で変位し、固定プレート661に対して左右方向に相対変位する。捩じりコイルバネ675は、ラチェット663を揺動軸心X663周りで図17及び図18の紙面に向かって時計方向に、すなわち、係合爪663Cを本体部681の外歯682Bと係合させるように付勢している。
係合爪663C及び外歯682Bは、ワイヤ巻取りドラム681の本体部682が巻き取り軸心X681周りで図17及び図18の紙面に向かって時計方向に、すなわち、ワイヤ90の巻き取り方向に回転しようとする場合には、係合爪663Cが外歯682Bから逃げて本体部682によるワイヤ90の巻き取りを許容する形状とされている。また、係合爪663C及び外歯682Bは、ワイヤ巻取りドラム681の本体部682が巻き取り軸心X681周りで図17及び図18の紙面に向かって反時計方向に、すなわち、ワイヤ90の引き出し方向に回転しようとする場合には、係合爪663Cが外歯682Bと噛み合って、本体部682からのワイヤ90の引き出しを禁止する形状とされている。
図15に示すように、モータ685は、可動プレート662に対して前側に配置された状態で、3本の止めねじ678が後方からねじ込まれることにより、固定プレート661に固定されている。
モータ685は、図示しない制御部に制御されて作動することにより、図15〜図18に示すように、カム688をカム軸心X688周りで正転及び逆転させる。
カム688には、カム凸部688Cが形成されている。図18(b)に示すように、カム688がカム軸心X688周りで回転することにより、カム凸部688Cがラチェット663の被当接部663Eに当接可能となっている。カム凸部688Cがラチェット663の被当接部663Eを押し下げることにより、ラチェット663が揺動軸心X663周りで図17及び図18の紙面に向かって反時計方向に揺動し、係合爪663Cを本体部681の外歯682Bから離間させる。
図15及び図16に示すように、カム穴688Bにおけるカム軸心X688から偏心した位置には、カム穴688Bが凹設されている。カム穴688Bには、伝達ロッド677の左端部が係止ピン677Cによって連結されている。可動プレート662の貫通孔662Cには、伝達ロッド677の右端部が係止ピン677Dによって連結されている。
図17(b)、図18(a)及び図18(b)に示すように、カム688がカム軸心X688周りで正転及び逆転することにより、伝達ロッド677が左右方向に変位して可動プレート662を押し引きし、可動プレート662を固定プレート661に対して左右方向に相対変位させる。
図15及び図16に示すように、大径の第2ギヤ612と小径の第3ギヤ613とは一部材である。第2ギヤ612及び第3ギヤ613は、可動プレート662と補強プレート669との間に配置され、支持軸616に回転可能に支持されている。図16〜図18に示すように、第2ギヤ612は第1ギヤ611と噛み合っている。
図15及び図16に示すように、大径の第4ギヤ614は、可動プレート662と補強プレート669との間に配置され、支持軸617に回転可能に支持されている。支持軸617は、後方から第4ギヤ614の軸穴を通過して、補強プレート669の貫通孔669Hに挿入され、加締め固定されている。第4ギヤ614は、第3ギヤ613と噛み合っている。第4ギヤ614の外周縁側には、貫通孔614Aが貫設されている。
図16に示すように、ストッパピン619は、固定プレート661の第1円弧溝661J又は直線溝661Lに後方から挿入され、可動プレート662の第2円弧溝662Jを通過し、第4ギヤ614の貫通孔614Aに挿入され、加締め固定されている。
ワイヤ巻取りドラム681の本体部682の回転は、第1〜4ギヤ611〜614によってストッパピン619に伝達される。
図18(a)及び図18(b)に示すように、可動プレート662が固定プレート661に対して左側に相対変位している状態において、ワイヤ巻取りドラム681の本体部682の回転が第1〜4ギヤ611〜614によってストッパピン619に伝達されると、ストッパピン619は、固定プレート661の第1円弧溝661Jと、可動プレート662の第2円弧溝662Jとに沿って変位する。第1〜4ギヤ611〜614のそれぞれの歯数は、ワイヤ90の引き出し長さが第1上側バー11及び第2上側バー21の組を開放位置に位置決めするための所定の長さとなった場合に、ストッパピン619が第1円弧溝661Jの上端部661Kに当て止まるように設定されている。
一方、図17(b)及び図18(a)に示すように、可動プレート662が固定プレート661に対して左右方向に相対変位する際には、すなわち、ワイヤ90の増し締め時及びその解除時には、ストッパピン619が可動プレート662の第2円弧溝662Jの下端部側に位置し、固定プレート661の直線溝661L内で左右方向に変位する。
第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図7に示す開放位置から図2に示す閉鎖位置に揺動する際、第1上側バー11の第1上側先端部11Aと第2上側バー21の第2上側先端部21Aとが接近する。この際、上側の長さ調整機構660では、図18(a)に示すように、カム凸部688Cがラチェット663の被当接部663Eを押し下げておらず、また、伝達ロッド677によって、可動プレート662が固定プレート661に対して左側に相対変位している。
この状態では、係合爪663C及び外歯682Bは、ワイヤ巻取りドラム681の本体部682によるワイヤ90の巻き取りを許容する一方、本体部682からのワイヤ90の引き出しを禁止する。このため、上側の結合手段50を構成するワイヤ90の中間部90Cに弛みが僅かでも生じると、上側の長さ調整機構660では、ワイヤ巻取りドラム681の本体部682がゼンマイバネ683に付勢されてワイヤ90の他端部90Bを直ちに巻き取って、その弛みを解消する。
そして、第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図2に示す閉鎖位置に到達すると、上側の長さ調整機構660では、図18(a)に示すカム688が図17及び図18の紙面に向かって反時計方向に回転し、図17(b)に示すように、伝達ロッド677が可動プレート662を固定プレート661に対して右側に相対変位させる。このため、ワイヤ90の引き出しが禁止された本体部682も可動プレート662とともに右向きに変位し、ワイヤ90を引っ張る。その結果、第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとの間で張り渡されたワイヤ90の中間部90Cに作用する張力が増加する。
こうして、上側の結合手段50は、第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図2に示す閉鎖位置にある状態で、第1上側バー11の第1上側先端部11Aと、第2上側バー21の第2上側先端部21Aとを確実に結合する。
一方、第1上側バー11及び第2上側バー21の組が図2に示す閉鎖位置から図7に示す開放位置に揺動する際、上側の長さ調整機構660では、図17(b)に示すカム688が図17及び図18の紙面に向かって時計方向に回転し、図18(a)に示すように、伝達ロッド677が可動プレート662を固定プレート661に対して左側に相対変位させる。その結果、本体部682も可動プレート662とともに左向きに変位し、ワイヤ90に対する増し締めが解除される。そして、図18(a)に示すカム688がさらに図17及び図18の紙面に向かって時計方向に回転し、図18(b)に示すように、カム凸部688Cがラチェット663の被当接部663Eを押し下げる。
この状態では、係合爪663Cが外歯682Bから離間し、ワイヤ巻取りドラム681の本体部682からのワイヤ90の引き出しが許容される。このため、上側の長さ調整機構660では、第1上側バー11の第1上側先端部11Aと第2上側バー21の第2上側先端部21Aとが離間するのに追従して、ワイヤ90の中間部90Cが第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとの間で弛みなく張り渡されるように、本体部682からワイヤ90が引き出される。
この際、本体部682の回転は、第1〜4ギヤ611〜614によってストッパピン619に伝達され、ストッパピン619が第1、2円弧溝661J、662Jに沿って変位する。そして、ストッパピン619が第1円弧溝661Jの上端部661Kに当て止まることにより、ワイヤ90の引き出し長さを所定の長さに規制する。その結果、上側の長さ調整機構660は、第1上側バー11及び第2上側バー21の組を開放位置に精度よく位置決めする。
説明は省略するが、下側の長さ調整機構660は、上側の長さ調整機構660と同様に作用し、第1下側バー12及び第2下側バー22の組の揺動に追従して、ワイヤ90の中間部90Cが第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとの間で弛みなく張り渡されるように、ワイヤ90の巻き取り及び引き出しを行う。また、下側の長さ調整機構660は、増し締め機構680を構成する可動プレート662及びモータ685のカム688等によって、第1下側バー12及び第2下側バー22の組が閉鎖位置にある状態で、第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとの間で張り渡されたワイヤ90の中間部90Cに作用する張力を増加させる。さらに、下側の長さ調整機構660は、第1〜4ギヤ611〜614、ストッパピン619及び第1、2円弧溝661J、662J等によって、ワイヤ90の引き出し長さを所定の長さに規制し、第1下側バー12及び第2下側バー22の組を開放位置に精度よく位置決めする。
こうして、下側の結合手段50も、第1下側バー12及び第2下側バー22の組が閉鎖位置にある状態で、第1下側バー12の第1下側先端部12Aと、第2下側バー22の第2下側先端部22Aとを確実に結合する。
実施例6の安全柵では、このような長さ調整機構660を採用する結合手段50により、第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22に負荷が作用しても、第1上側先端部11Aと第2上側先端部21Aとがずれ難く、また、第1下側先端部12Aと第2下側先端部22Aとがずれ難く、その結果、人が通過可能な隙間が生じ難い。
したがって、実施例6の安全柵では、実施例1〜5の安全柵1と同様に、閉鎖位置にある第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22が通路5を閉鎖する状態を確実に維持できる。
さらに、この安全柵では、長さ調整機構660が簡素な構成である第1〜4ギヤ611〜614、ストッパピン619及び第1、2円弧溝661J、662J等によって、ワイヤ90の引き出し長さを所定の長さに規制することにより、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とを開放位置に精度よく位置決めできる。
(実施例7)
実施例7の安全柵では、図19に示すように、実施例1の安全柵1に係る第2上側バー21及び第2下側バー22に、キーシリンダ769を設けている。また、実施例7の安全柵では、図20及び図21に示すように、実施例1の安全柵1に係る長さ調整機構60のラチェット63に開口63Hを設けている。実施例7のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
図19に示すように、キーシリンダ769は、実施例1の安全柵1に係る長さ調整機構60に対応する位置に設けられ、鍵穴を第2上側バー21及び第2下側バー22の後面に露出させている。キーシリンダ769の鍵穴にキー769Kを挿入して、R1方向に回動させることにより、キーシリンダ769がシリンダ軸心X769周りでR1方向に回動する。
図示は省略するが、キーシリンダ769は、鍵穴とは反対側に向かって延びて、長さ調整機構60内に進入している。キーシリンダ769における鍵穴とは反対側の端部には、図20及び図21に示すように、解除アーム769Aが固定されている。ラチェット63の開口63Hは、解除アーム769Aを内在させている。
解除アーム769Aは、シリンダ軸心X769周りでキーシリンダ769と一体で回動する。図20は、キーシリンダ769がシリンダ軸心X769周りでR1方向に回動していない状態における解除アーム769Aの姿勢を示している。キーシリンダ769がシリンダ軸心X769周りでR1方向に回動すると、解除アーム769Aが図21の紙面に向かって反時計方向に回動する。
図20に示すように、キーシリンダ769がシリンダ軸心X769周りでR1方向に回動していない状態では、開口63H内の解除アーム769Aよりも上方に開きスペースが確保されている。これにより、長さ調整機構60のモータ85に駆動されて回転するカム88のカム凸部88Cがラチェット63の被当接部63Eを押し下げると、ラチェット63は、解除アーム769Aに妨げられることなく揺動軸心X63周りで図20の紙面に向かって時計方向に揺動し、係合爪63Cを本体部81の外歯82Bから離間させる。その結果、ワイヤ巻取りドラム81の本体部82からのワイヤ90の引き出しが許容される。
また、この安全柵では、停電等によって長さ調整機構60のモータ85に給電できない場合、キーシリンダ769の鍵穴にキー769Kを挿入して、キーシリンダ769をシリンダ軸心X769周りでR1方向に回動させ、解除アーム769Aを図21の紙面に向かって反時計方向に回動させる。これにより、解除アーム769Aがラチェット63の開口63Hの下端縁に当接しながら、ラチェット63を押し下げると、ラチェット63は、揺動軸心X63周りで図21の紙面に向かって時計方向に揺動し、係合爪63Cを本体部81の外歯82Bから離間させる。そして、解除アーム769Aは、ラチェット63に対してつっかい棒のような状態となって、ラチェット63が揺動した状態に維持する。その結果、ワイヤ巻取りドラム81の本体部82からのワイヤ90の引き出しが許容される。
したがって、実施例7の安全柵では、停電等によって長さ調整機構60のモータ85に給電できない場合でも、キーシリンダ769に対する操作によって、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とを図7に示す開放位置まで安全に揺動させることができる。
(実施例8)
実施例8の安全柵では、図22及び図23に示すように、実施例3の安全柵に係る第1上側バー11の第1上側先端部11A及び第1下側バー12の第1下側先端部12Aに、キーシリンダ869を設けている。また、実施例8の安全柵では、実施例3の安全柵に係るアクチュエータ360の出力部361に突出部361Tを設けている。突出部361Tは、出力部361における左右方向の中間部から上向きに柱状に突出している。実施例8のその他の構成は、実施例3と同様である。このため、実施例3と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略する。
図22に示すように、キーシリンダ869は、鍵穴を第2上側バー21及び第2下側バー22の後面に露出させている。キーシリンダ869の鍵穴にキー869Kを挿入して、R2方向に回動させることにより、キーシリンダ869がシリンダ軸心X869周りでR2方向に回動する。
キーシリンダ869における鍵穴とは反対側の端部には、解除アーム869Aが固定されている。解除アーム869Aは、シリンダ軸心X869周りでキーシリンダ869と一体で回動する。図22は、キーシリンダ869がシリンダ軸心X869周りでR2方向に回動していない状態における解除アーム869Aの姿勢を示している。また、図22では、ラッチ機構370がストライカ390を係止するラッチ状態となっている。
図22に示すように、キーシリンダ869がシリンダ軸心X869周りでR2方向に回動していない状態では、解除アーム869Aは、上向きに延びて、出力部361の突出部361Tに対して右方に位置している。これにより、アクチュエータ360が作動すると、解除アーム869Aに妨げられることなく出力部360が後退する。その結果、ラッチ機構370がストライカ390を係止しないアンラッチ状態となる。
また、この安全柵では、停電等によってアクチュエータ360に給電できない場合、キーシリンダ869の鍵穴にキー869Kを挿入して、キーシリンダ869をシリンダ軸心X869周りでR2方向に回動させ、解除アーム869Aを図23の紙面に向かって反時計方向に回動させる。これにより、解除アーム869Aが突出部361Tに当接して左向きに押し、出力部360を後退させる。そして、解除アーム869Aは、出力部360に対してつっかい棒のような状態となって、出力部360を後退した状態に維持する。その結果、ラッチ機構370がストライカ390を係止しないアンラッチ状態となる。
したがって、実施例8の安全柵では、停電等によってアクチュエータ360に給電できない場合でも、キーシリンダ869に対する操作によって、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とを開放位置まで安全に揺動させることができる。
以上において、本発明を実施例1〜8に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜8に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
実施例1では、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とは、図示しないモータの駆動力によって図2に示す閉鎖位置まで揺動する一方、第1、2引っ張りコイルバネ14、24の付勢力によって図7に示す開放位置まで揺動するが、この構成には限定されない。例えば、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とは、図示しないモータが逆回転し、その駆動力によって図7に示す開放位置まで揺動するようにしてもよい。この場合、第1上側バー11及び第1下側バー12を駆動するモータと、第2上側バー21及び第2下側バー22を駆動するモータとを同期回転させ、その回転数を等しく制御することにより、第1上側バー11及び第1下側バー12と、第2上側バー21及び第2下側バー22とを開放位置に揃って揺動させることができる。なお、第1、2引っ張りコイルバネ14、24は、第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22の自重に対してバランスを取るように付勢力を調整してもよい。これにより、第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22を開放位置に揺動させる際のモータの負荷を小さくできる。
実施例1では、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とが図7に示す開放位置に到達するまで、長さ調整機構60が係合爪63Cを外歯82Bから離間させ、ワイヤ巻取りドラム81の本体部82からのワイヤ90の引き出しを許容するが、この構成には限定されない。例えば、第1上側バー11及び第2上側バー21の組と、第1下側バー12及び第2下側バー22の組とが図7に示す開放位置に到達する手前で、長さ調整機構60が係合爪63Cを外歯82Bに噛み合わせ、ワイヤ巻取りドラム81の本体部82からのワイヤ90の引き出しを禁止してもよい。この場合、第1、2上側バー11、21及び第1、2下側バー12、22を開放位置に揺動させる第1、2引っ張りコイルバネ14、24の付勢力によって、ワイヤ90の弛みを取ることができる。