JP6519365B2 - 接合体、接合体の製造方法、冷却システム、及び情報処理装置 - Google Patents
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Description
前記接合部が、前記銅部材側から、トリアジンチオールに由来する化学構造と、前記樹脂よりも流動性が高い第二の樹脂とをこの順で有し、
前記銅部材と、前記樹脂部材との接合強度が、0.32MPa以上である。
銅製の銅部材に、トリアジンチオールを塗布して、前記銅部材を表面処理する工程と、
樹脂製の樹脂部材上に、前記樹脂よりも流動性が高い第二の樹脂を配して、前記樹脂部材を表面処理する工程と、
表面処理がされた前記銅部材の面と、表面処理がされた前記樹脂部材の面とを、熱圧着する工程とを含む。
前記冷却部品が、銅製の銅部材と、樹脂製の樹脂部材と、前記銅部材及び前記樹脂部材の間に接合部とを有し、
前記接合部が、前記銅部材側から、トリアジンチオールに由来する化学構造と、前記樹脂部材よりも流動性が高い第二の樹脂とをこの順で有し、
前記銅部材と、前記樹脂部材との接合強度が、0.32MPa以上である。
前記冷却部品が、銅製の銅部材と、樹脂製の樹脂部材と、前記銅部材及び前記樹脂部材の間に接合部とを有し、
前記接合部が、前記銅部材側から、トリアジンチオールに由来する化学構造と、前記樹脂部材よりも流動性が高い第二の樹脂とをこの順で有し、
前記銅部材と、前記樹脂部材との接合強度が、0.32MPa以上である。
開示の接合体の製造方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、軽量でありかつ耐久性に優れる接合体を提供できる。
開示の冷却システムによると、軽量化された冷却システムを提供できる。
開示の情報処理装置によると、軽量化された情報処理装置を提供できる。
開示の接合体は、銅部材と、樹脂部材と、接合部とを有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記銅部材としては、銅製の部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記銅部材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記樹脂部材としては、樹脂製の部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記樹脂部材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィドなどが挙げられる。
前記接合部は、前記銅部材及び前記樹脂部材の間に形成される。
前記接合部は、前記銅部材及び前記樹脂部材に接し、前記接合体の耐久性を向上させる。
以下では、前記第一の接合層、及び前記第二の接合層の説明を通じて、前記トリアジンチオールに由来する化学構造、及び前記第二の樹脂を説明する。
前記第一の接合層は、前記トリアジンチオールに由来する化学構造を含有する。
前記銅部材表面が、酸化銅を有する場合、前記第一の接合層は、前記酸化銅表面に、シランカップリング剤に由来する化学構造を有することが好ましい。
前記トリアジンチオールに由来する化学構造は、例えば、以下の一般式(1)で表される。
例えば、XがSの場合、2つのSは、前記銅部材の銅と結合し、1つの硫黄(S)は、直接又は他の成分を介して第二の樹脂と結合している。
前記炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基などが挙げられる。
前記アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
前記一般式(2)で表される化合物がアルカリ金属塩の場合、前記アルカリ金属塩としては、例えば、モノアルカリ金属塩、ジアルカリ金属塩、トリアルカリ金属塩などが挙げられる。
前記トリアジンチオールとしては、例えば、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンモノナトリウム塩などが挙げられる。
前記銅部材表面が、酸化銅を有する場合、前記第一の接合層は、前記酸化銅表面に、シランカップリング剤に由来する化学構造を有することが好ましい。
前記接合体に使用される前記銅部材の表面は、部分的に酸化し、酸化銅を形成している場合がある。前記トリアジンチオールは、銅への接着性に優れる一方で、酸化銅への接着性には乏しい。一方、前記シランカップリング剤は、酸化銅に対する接着性に優れる。そのため、前記第一の接合層が、前記酸化銅表面に、シランカップリング剤に由来する化学構造を有することで、前記接合体の耐久性がより優れる。
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(3)で表される化合物などが挙げられる。
そのため、前記一般式(3)の前記nは、1が好ましい。
これらにおけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記R21は、例えば、アミノ基、メルカプト基、グリシジル基、グリシドキシ基、脂環式エポキシ基、イミダゾール基、イソシアネート基、ウレイド基、ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基、及び置換アミノ基のいずれかの反応性官能基に由来する化学構造である。
前記第二の接合層は、第二の樹脂を含有する。
前記第二の樹脂は、前記樹脂部材の前記樹脂よりも流動性が高い。そのため、前記接合体が、前記第二の樹脂を有さない場合(即ち、前記接合部が、トリアジンチオールに由来する構造を有するが、前記第二の樹脂を有さない場合)と比べて、前記接合体の耐久性を向上できる。
流動性が高いかどうかは、例えば、軟化点を測定することにより判断できる。
前記接合体において、前記銅部材と、前記樹脂部材との接合強度は、0.32MPa以上である。前記接合強度の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.48MPaなどが挙げられる。
なお、前記接合強度は、負荷曲線から求めた最大負荷を接合面積で割った値である。前記接合面積とは、前記銅部材と、前記樹脂部材との接合面である前記接合部の面積である。
樹脂部材として、25mm×25mm×2mm厚みに成形した板材を用意する。
そして、前記接合体を製造する際の方法と同様の方法により、接合体を製造する。その際、銅部材と、樹脂部材との接合面である前記接合部の面積は、312.5mm2(=25mm×12.5mm)とする。
開示の接合体の製造方法は、銅部材表面処理工程と、樹脂部材表面処理工程と、熱圧着工程とを有し、更に必要に応じて、表面粗化処理工程などのその他の工程を有する。
開示の接合体の製造方法は、開示の前記接合体を製造する方法である。
前記銅部材表面処理工程は、銅製の銅部材に、トリアジンチオールを塗布して、前記銅部材を表面処理する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記トリアジンチオールを塗布する際、前記トリアジンチオールは、無希釈で用いてもよいし、溶媒(例えば、水)で希釈して用いてもよい。
前記接合体に使用される前記銅部材の表面は、部分的に酸化し、酸化銅を形成している場合がある。前記トリアジンチオールは、銅への接着性に優れる一方で、酸化銅への接着性には乏しい。一方、前記シランカップリング剤は、酸化銅に対する接着性に優れる。そのため、前記第一の接合層が、前記酸化銅表面に、シランカップリング剤に由来する化学構造を有することで、前記接合体の耐久性がより優れる。
前記シランカップリング剤を塗布する際、前記シランカップリング剤は、無希釈で用いてもよいし、溶媒(例えば、水)で希釈して用いてもよい。
前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70℃〜150℃が好ましく、90℃〜130℃がより好ましい。
前記加熱の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5分間〜120分間が好ましく、10分間〜60分間がより好ましい。
前記樹脂部材表面処理工程としては、樹脂製の樹脂部材上に、前記樹脂よりも流動性が高い第二の樹脂を配して、前記樹脂部材を表面処理する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記塗布の方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、スピンコート法、ベーパー法などが挙げられる。
前記乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80℃〜120℃が好ましい。
前記乾燥の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間〜120分間が好ましい。
前記官能基付与処理としては、例えば、UVオゾン処理、酸素プラズマ処理、アルカリ洗浄、コロナ放電処理、煮沸処理などが挙げられる。UVオゾン処理、酸素プラズマ処理、アルカリ洗浄、煮沸処理などを行うことにより、前記樹脂部材の表面に水酸基を付与できる。また、UVオゾン処理、酸素プラズマ処理、コロナ放電処理などを行うことにより、前記樹脂部材の表面にカルボキシル基を付与できる。
前記官能基付与処理を行うことにより、前記樹脂部材と前記第二の樹脂との密着性を向上できる。
前記熱圧着工程としては、表面処理がされた前記銅部材の面と、表面処理がされた前記樹脂部材の面とを、熱圧着する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記熱圧着の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1MPa〜3MPaが挙げられる。
前記熱圧着の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、30秒間〜120秒間が挙げられる。
前記熱圧着工程は、前記接合体の耐久性を高める点で、温度が100℃〜300℃、圧力が0.1MPa〜3MPa、時間が30秒間〜120秒間で行われることが好ましい。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面粗化処理工程などが挙げられる。
前記表面粗化処理工程は、前記銅部材表面処理工程の前に、前記銅部材の表面を粗化する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学的処理方法、物理的処理方法などが挙げられる。前記化学的処理方法としては、例えば、塩化第二銅液、塩化第二鉄液、硫酸過酸化水素水液などの処理液を前記銅部材の表面に塗布して、前記銅部材の表面を粗化する方法が挙げられる。
前記銅部材の表面を粗化することで、前記銅部材と前記樹脂部材との接合強度をより大きくし、更には前記接合体の耐久性をより優れたものとすることができる。
前記表面粗化処理工程においては、前記トリアジンチオールが塗布される前記銅部材の面以外は表面粗化が行われないようにマスキングをしておくことが好ましい。
図2A〜図2Eは、接合体の製造方法の一例を説明するための概略図である。この例では、銅部材を表面処理する際にトリアジンチオールを用いているが、シランカップリング剤は用いていない。
まず、銅製の銅部材1を用意する(図2A)。
次に、銅部材1上に、トリアジンチオールを塗布する。ここで、加熱をすることにより、トリアジンチオールの硫黄(S)が、銅と結合する(図2B)。
次に、樹脂製の樹脂部材2を用意する(図2C)。
次に、樹脂部材2上に、第二の樹脂を配する(図2D)。
次に、銅部材1のトリアジンチオールが塗布された側(第一の接合層3が形成された側)と、樹脂部材2の第二の樹脂が配された側(第二の接合層4が形成された側)とを、対向させ、熱圧着させる。そうすると、トリアジンチオールと、第二の樹脂とが結合して接合部5が形成され、耐久性に優れた接合体が得られる(図2E)。
図3A〜図3Eは、接合体の製造方法の一例を説明するための概略図である。この例では、銅部材を表面処理する際にトリアジンチオールとシランカップリング剤とを用いている。
まず、銅製の銅部材1を用意する(図3A)。銅部材1の表面の一部は自然に酸化され、酸化銅1Aが形成されている。
次に、銅部材1上に、トリアジンチオールを塗布し、更にシランカップリング剤(ここでは、3−アミノプロピルトリエトキシシラン)を塗布する。そうすると、銅部材1の表面には、トリアジンチオールが配置され、酸化銅1Aの表面には、シランカップリング剤が配置される。そして、加熱をすることにより、トリアジンチオールの硫黄(S)が、銅と結合する。更に、シランカップリング剤が、酸化銅と結合する。更には、トリアジンチオールと、シランカップリング剤とが反応する。また、シランカップリング剤は、縮合していることもある(図3B)。
次に、樹脂製の樹脂部材2を用意する(図3C)。
次に、樹脂部材2上に、第二の樹脂を配する(図3D)。
次に、銅部材1のトリアジンチオール及びシランカップリング剤が塗布された側(第一の接合層3が形成された側)と、樹脂部材2の第二の樹脂が配された側(第二の接合層4が形成された側)とを、対向させ、熱圧着させる。そうすると、シランカップリング剤と、第二の樹脂とが結合して接合部5が形成され、耐久性に優れた接合体が得られる(図3E)。なお、図示してはいないが、トリアジンチオールが第二の樹脂と結合している場合もある。
開示の冷却システムは、電子機器を冷却する冷却部品を少なくとも有し、更に必要に応じて、配管などのその他の部品を有する。
前記冷却部品は、開示の前記接合体である。
前記冷却部品は、例えば、前記銅部材と前記樹脂部材との間に、冷媒が流通する流路を有する。
前記流路へは、前記冷却部品に接続された前記配管を介して、冷媒が導入される。
前記冷媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水などが挙げられる。水には、銅の腐食を防止する腐食防止剤を添加することが好ましい。前記腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。前記腐食防止剤の濃度としては、50ppm〜150ppmが好ましい。
図4A〜図4Cは、冷却部品の一例を説明するための概略図である。
図4Aは、銅部材1の平面図である。図4Bは、図4AのA−A断面図である。銅部材1には、流路となる溝1Bが形成されている。溝1Bは、銅部材1の一方から他方へ伸びており、一方の端部及び他方の端部では一本であるが、途中では多数本に枝分かれしている。
図4Cは、図4A及び図4Bの銅部材1を有する冷却部品の断面図である。樹脂部材2は平板状であり、銅部材1上に溝1Bを覆うように配されている。銅部材1と樹脂部材2との接合面には、図示しない接合部が形成されている。
図6Aは、銅部材1の平面図である。図6Bは、図6AのA−A断面図である。銅部材1には、流路となる溝1Bが形成されている。溝1Bは、銅部材1の一方から他方へ伸びており、溝1Bは、一方から他方に渡って1本で形成されている。
図6Cは、図6A及び図6Bの銅部材1を有する冷却部品の断面図である。樹脂部材2は平板状であり、銅部材1上に溝1Bを覆うように配されている。銅部材1と樹脂部材2との接合面には、図示しない接合部が形成されている。
前記その他の部品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、配管などが挙げられる。
前記配管は、前記冷却部品に接続され、前記冷却部品に冷媒を導入、又は前記冷却部品から冷媒を排出するための管である。
開示の情報処理装置は、電子機器と、冷却部品とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部品を有する。
前記電子機器としては、例えば、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、メモリモジュール、ハードディスク装置等を搭載したシステムボードなどが挙げられる。
前記冷却部品は、開示の前記接合体である。
前記冷却部品は、前記電子機器を冷却する。
前記冷却部品は、例えば、前記銅部材と前記樹脂部材との間に、冷媒が流通する流路を有する。
前記その他の部品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、配管、ラック、冷媒循環器などが挙げられる。
前記配管は、前記冷却部品に接続され、前記冷却部品に冷媒を導入、又は前記冷却部品から冷媒を排出するための管である。
前記ラックは、例えば、その表面に前記電子機器を配置することで、前記電子機器を支持する。
前記冷却循環器としては、前記冷却部品に冷却された冷媒を供給する部品であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱交換器と、ポンプとを備える。
銅部材として、水冷フィンの付いた銅製のベースプレートを用いた。
樹脂部材として、カバー形状に成形したポリプロピレン樹脂(FP994:ダイセルポリマー製)を用いた。
銅部材における樹脂部材との接合面以外をマスキングテープによって保護した。
次に、銅部材の接合面の表面粗化処理を行った。表面粗化処理は、メック株式会社製のアマルファA−10201M薬液の中に銅部材を5分間浸漬させて行った。次に、水洗、アルカリ洗浄(5質量% NaOH、20秒浸漬)、水洗、中和処理(5質量% H2SO4、20秒浸漬)、及び水洗をこの順で行った。
図8に、表面粗化処理後の銅部材の断面SEM写真を示す。銅部材1の表面が粗くなっていることが確認できる。
次に、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンモノナトリウム塩(サンチオールN−1:三協化成株式会社製)0.1mol/L水溶液に、銅部材を5分間浸漬させた。
次に、シランカップリング剤として0.05mol/Lの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE903:信越化学工業株式会社製)水溶液に銅部材を浸漬させた。その後、100℃で、30分間加熱した。
樹脂部材における銅部材との接合面に、酸素プラズマ処理(200W,80Pa)を1分間行った。
次に、ポリヒドロキシポリオレフィン(ポリテール:三菱化学株式会社製)が濃度5質量%になるようエタノールに分散させた分散液を、前記樹脂部材における前記銅部材との接合面に塗布して100℃で1時間乾燥した。
なお、ポリヒドロキシポリオレフィン(ポリテール:三菱化学株式会社製)は、ポリプロピレン樹脂(FP994:ダイセルポリマー製)よりも流動性が高い。
表面処理をした銅部材の表面処理面と、表面処理をした樹脂部材の表面処理面とを、熱圧着(ホットプレス)をすることによって一体化してクーリングプレートを得た。熱圧着は、熱圧着温度170℃、圧力0.5MPa、熱圧着時間60秒で行った。
樹脂部材をポリフェニレンスルフィド樹脂(1140A1:ポリプラスチック株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、クーリングプレートを作製した。
なお、ポリヒドロキシポリオレフィン(ポリテール:三菱化学株式会社製)は、ポポリフェニレンスルフィド樹脂(1140A1:ポリプラスチック株式会社製)よりも流動性が高い。
銅部材として、実施例1で用いたのと同じ、水冷フィンの付いた銅製のベースプレートを用いた。
樹脂部材として、実施例1で用いたのと同じ、カバー形状に成形したポリプロピレン樹脂(FP994:ダイセルポリマー製)を用いた。
実施例1と同様にして、表面粗化処理を行った。具体的には以下のように行った。
銅部材における樹脂部材との接合面以外をマスキングテープによって保護した。
次に、銅部材の接合面の表面粗化処理を行った。表面粗化処理は、メック株式会社製のアマルファA−10201M薬液の中に銅部材を5分間浸漬させて行った。次に、水洗、アルカリ洗浄(5質量% NaOH、20秒浸漬)、水洗、中和処理(5質量% H2SO4、20秒浸漬)、及び水洗をこの順で行った。
次に、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンモノナトリウム塩(サンチオールN−1:三協化成株式会社製)0.1mol/L水溶液に、銅部材を5分間浸漬させた。
次に、シランカップリング剤として0.05mol/Lの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE903:信越化学工業株式会社製)水溶液に銅部材を浸漬させた。その後、100℃で、30分間加熱した。
樹脂部材における銅部材との接合面に、酸素プラズマ処理(200W,80Pa)を1分間行った。
表面処理をした銅部材の表面処理面と、表面処理をした樹脂部材の表面処理面とを、熱圧着(ホットプレス)をすることによって一体化してクーリングプレートを得た。熱圧着は、熱圧着温度170℃、圧力0.5MPa、熱圧着時間60秒で行った。
銅部材として、実施例1で用いたのと同じ、水冷フィンの付いた銅製のベースプレートを用いた。
樹脂部材として、実施例1で用いたのと同じ、カバー形状に成形したポリプロピレン樹脂(FP994:ダイセルポリマー製)を用いた。
実施例1と同様にして、表面粗化処理を行った。具体的には以下のように行った。
次に、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンモノナトリウム塩(サンチオールN−1:三協化成株式会社製)0.1mol/L水溶液に、銅部材を5分間浸漬させた。
次に、シランカップリング剤として0.05mol/Lの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE903:信越化学工業株式会社製)水溶液に銅部材を浸漬させた。その後、100℃で、30分間加熱した。
実施例1と同様にして、銅表面処理を行った。具体的には以下のように行った。
次に、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンモノナトリウム塩(サンチオールN−1:三協化成株式会社製)0.1mol/L水溶液に、銅部材を5分間浸漬させた。
次に、シランカップリング剤として0.05mol/Lの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(KBE903:信越化学工業株式会社製)水溶液に銅部材を浸漬させた。その後、100℃で、30分間加熱した。
樹脂部材における銅部材との接合面に、酸素プラズマ処理(200W,80Pa)を1分間行った。
表面処理をした銅部材の表面処理面と、表面処理をした樹脂部材の表面処理面とを、熱圧着(ホットプレス)をすることによって一体化してクーリングプレートを得た。熱圧着は、熱圧着温度170℃、圧力0.5MPa、熱圧着時間60秒で行った。
接合強度の測定を行った。各実施例、各比較例と同じ条件で作製した測定用サンプルを用意し、そのサンプルの接合強度の測定を行った。
具体的には、以下の方法で行った。
樹脂部材として、25mm×25mm×2mm厚みに成形した板材(FP994:ダイセルポリマー製)を用いた。
接合面の面積は、312.5mm2(=25mm×12.5mm)である。
比較例1の測定サンプルでは、樹脂部材と銅部材との接合面で界面剥離が生じた。その際の最大負荷は、50Nであり、接合強度は0.16MPaであった。
比較例2の測定サンプルでは、樹脂部材と銅部材との接合面の一部で界面剥離が生じた。その際の最大負荷は、80Nであり、接合強度は0.26MPaであった。
各実施例、各比較例で作製したクーリングプレートの内部に水を充填し、水圧ポンプを用いて耐水圧試験を行った。結果を以下に示す。
実施例1及び実施例2のクーリングプレートでは、水圧0.5MPa、5分間の試験でも水漏れ等の変化は生じなかった。
比較例1のクーリングプレートでは、水圧0.1MPaの印可で、樹脂部材と、銅部材との接合面から水漏れが生じた。
比較例2のクーリングプレートでは、水圧0.4MPaの印加で、樹脂部材と、銅部材との接合面から水漏れが生じた。
(付記1) 銅製の銅部材と、樹脂製の樹脂部材と、前記銅部材及び前記樹脂部材の間に接合部とを有する接合体であって、
前記接合部が、前記銅部材側から、トリアジンチオールに由来する化学構造と、前記樹脂よりも流動性が高い第二の樹脂とをこの順で有し、
前記銅部材と、前記樹脂部材との接合強度が、0.32MPa以上であることを特徴とする接合体。
(付記2) 前記第二の樹脂が、ポリオレフィンである付記1に記載の接合体。
(付記3) 前記銅部材表面が、酸化銅を有し、
前記接合部が、前記酸化銅表面に、シランカップリング剤に由来する化学構造を有する、付記1から2のいずれかに記載の接合体。
(付記4) 電子機器を冷却する冷却部品である付記1から3のいずれかに記載の接合体。
(付記5) 前記銅部材と前記樹脂部材との間に、冷媒が流通する流路を有する付記4に記載の接合体。
(付記6) 接合体の製造方法であって、
銅製の銅部材に、トリアジンチオールを塗布して、前記銅部材を表面処理する工程と、
樹脂製の樹脂部材上に、前記樹脂よりも流動性が高い第二の樹脂を配して、前記樹脂部材を表面処理する工程と、
表面処理がされた前記銅部材の面と、表面処理がされた前記樹脂部材の面とを、熱圧着する工程とを含むことを特徴とする接合体の製造方法。
(付記7) 前記接合体が、電子機器を冷却する冷却部品である付記6に記載の接合体の製造方法。
(付記8) 前記第二の樹脂が、ポリオレフィンである付記6から7のいずれかに記載の接合体の製造方法。
(付記9) 前記銅部材表面が、酸化銅を有し、
前記銅部材を表面処理する工程が、前記銅部材に、トリアジンチオールを塗布し、更にシランカップリング剤を塗布する工程である、付記6から8のいずれかに記載の接合体の製造方法。
(付記10) 電子機器を冷却する冷却部品を有する冷却システムであって、
前記冷却部品が、銅製の銅部材と、樹脂製の樹脂部材と、前記銅部材及び前記樹脂部材の間に接合部とを有し、
前記接合部が、前記銅部材側から、トリアジンチオールに由来する化学構造と、前記樹脂部材よりも流動性が高い第二の樹脂とをこの順で有し、
前記銅部材と、前記樹脂部材との接合強度が、0.32MPa以上である、
ことを特徴とする冷却システム。
(付記11) 前記第二の樹脂が、ポリオレフィンである付記10に記載の冷却システム。
(付記12) 前記銅部材表面が、酸化銅を有し、
前記接合部が、前記酸化銅表面に、シランカップリング剤に由来する化学構造を有する、付記10から11のいずれかに記載の冷却システム。
(付記13) 電子機器と、前記電子機器を冷却する冷却部品とを有する情報処理装置であって、
前記冷却部品が、銅製の銅部材と、樹脂製の樹脂部材と、前記銅部材及び前記樹脂部材の間に接合部とを有し、
前記接合部が、前記銅部材側から、トリアジンチオールに由来する化学構造と、前記樹脂部材よりも流動性が高い第二の樹脂とをこの順で有し、
前記銅部材と、前記樹脂部材との接合強度が、0.32MPaである、
ことを特徴とする情報処理装置。
(付記14) 前記第二の樹脂が、ポリオレフィンである付記13に記載の情報処理装置。
(付記15) 前記銅部材表面が、酸化銅を有し、
前記接合部が、前記酸化銅表面に、シランカップリング剤に由来する化学構造を有する、付記13から14のいずれかに記載の情報処理装置。
1A 酸化銅
1B 溝
2 樹脂部材
3 第一の接合層
4 第二の接合層
5 接合部
11 圧子
12 固定具
51 ラック
52 システムボード
53 クーリングプレートユニット
531 カプラ
532 カプラ
541 ラック配管
542 ラック配管
551 ホース
552 ホース
553 カプラ
554 カプラ
561 冷却水供給用配管
562 冷却水排出用配管
Claims (6)
- 銅製の銅部材と、樹脂製の樹脂部材と、前記銅部材及び前記樹脂部材の間に接合部とを有し、電子機器を冷却する冷却部品である接合体であって、
前記接合部が、前記銅部材側から、トリアジンチオールに由来する化学構造と、前記樹脂よりも流動性が高い第二の樹脂とをこの順で有し、
前記銅部材と、前記樹脂部材との接合強度が、0.32MPa以上であり、
前記接合部と接する前記銅部材の表面が粗面であり、
前記トリアジンチオールに由来する化学構造は、共有結合を介して前記第二の樹脂と結合していることを特徴とする接合体。 - 前記第二の樹脂が、ポリオレフィンである請求項1に記載の接合体。
- 前記銅部材と前記樹脂部材との間に、冷媒が流通する流路を有する請求項1から2のいずれかに記載の接合体。
- 電子機器を冷却する冷却部品である接合体の製造方法であって、
銅製の銅部材の粗面に、トリアジンチオールを塗布して、前記銅部材を表面処理する工程と、
樹脂製の樹脂部材上に、前記樹脂よりも流動性が高い第二の樹脂を配して、前記樹脂部材を表面処理する工程と、
表面処理がされた前記銅部材の面と、表面処理がされた前記樹脂部材の面とを、熱圧着する工程とを含むことを特徴とする接合体の製造方法。 - 電子機器を冷却する冷却部品を有する冷却システムであって、
前記冷却部品が、銅製の銅部材と、樹脂製の樹脂部材と、前記銅部材及び前記樹脂部材の間に接合部とを有し、
前記接合部が、前記銅部材側から、トリアジンチオールに由来する化学構造と、前記樹脂部材よりも流動性が高い第二の樹脂とをこの順で有し、
前記銅部材と、前記樹脂部材との接合強度が、0.32MPa以上であり、
前記接合部と接する前記銅部材の表面が粗面であり、
前記トリアジンチオールに由来する化学構造は、共有結合を介して前記第二の樹脂と結合していることを特徴とする冷却システム。 - 電子機器と、前記電子機器を冷却する冷却部品とを有する情報処理装置であって、
前記冷却部品が、銅製の銅部材と、樹脂製の樹脂部材と、前記銅部材及び前記樹脂部材の間に接合部とを有し、
前記接合部が、前記銅部材側から、トリアジンチオールに由来する化学構造と、前記樹脂部材よりも流動性が高い第二の樹脂とをこの順で有し、
前記銅部材と、前記樹脂部材との接合強度が、0.32MPa以上であり、
前記接合部と接する前記銅部材の表面が粗面であり、
前記トリアジンチオールに由来する化学構造は、共有結合を介して前記第二の樹脂と結合している、
ことを特徴とする情報処理装置。
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