以下、本発明を適用した仮止め具を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した仮止め具3を用いて構築される壁体1を示す図である。
複数のライナープレート20を上下方向及び側方向で連結することで、筒状の壁体1が構築される。本発明を適用した仮止め具3は、ライナープレート20同士を上下方向で連結する際に用いられるものである。本発明を適用した仮止め具3を用いることにより、複数のライナープレート20を連結することで、筒状の壁体1が構築される。壁体1は、立坑内や地上等に設けられ、深礎杭、集水井、水中仮締切、橋脚等を構築する際の土留め等として用いられる。
ライナープレート20は、図2に示すように、金属で構成され、上下方向に波形に形成される波形鋼板21と、波形鋼板21の上端、下端及び両側端にそれぞれフランジを有する。ライナープレート20は、波形鋼板21の上端及び下端のフランジを周方向フランジ22とし、波形鋼板21の両側端のフランジを軸方向フランジ23とする。
周方向フランジ22は、径d1で複数の孔22aが穿設される。周方向フランジ22は、図1に示すように、孔22aに締結金具としてのボルト61が挿通される。軸方向フランジ23は、矩形状の鋼板が用いられ、円形状の軸方向連結孔23aが複数穿設され、軸方向連結孔23aに締結金具としてのボルト61が挿通される。
ライナープレート20は、図2(a)及び図2(b)に示すように、平面視扇形状に形成される。このとき、周方向フランジ22は、所定の厚みを有する平面視扇形状の鋼板が用いられる。
周方向フランジ22は、短手方向である幅方向の中心軸Wが円弧状に延びており、例えば、中心軸W上に複数の孔22aが穿設される。
周方向フランジ22は、孔22aの中心軸Mとし、隣り合う孔22a、22aの中心軸M、M間距離を離間距離P1としたとき、離間距離P1がそれぞれ略等しくなる。即ち、複数の孔22aは、周方向フランジ22に等間隔で配置される。
ライナープレート20は、図3(a)及び図3(b)に示すように、平面視矩形状に形成されてもよい。このとき、周方向フランジ22は、所定の厚みを有する平面視矩形状の鋼板が用いられる。周方向フランジ22は、幅方向の中心軸Wが直線状に延びており、中心軸W上に複数の孔22aが等間隔に穿設される。
ライナープレート20は、図4(a)及び図4(b)に示すように、平面視矩形状のライナープレートが山形鋼等の連結材29を介して互いに連結されることで、平面視L字状に形成されてもよい。このとき、周方向フランジ22は、幅方向の中心軸Wがそれぞれ直線状に延びており、それぞれの中心軸W上に複数の孔22aが等間隔に穿設される。
壁体1は、側方で隣り合うライナープレート20、20の軸方向フランジ23、23同士を互いに締結金具としてのボルト61及びナット62を介して連結することで、環状のライナープレート連結体2が形成され、ライナープレート連結体2が上下方向に複数段設けられることで構築される。なお、壁体1は、上段に設けられるライナープレート連結体2におけるライナープレート20の軸方向フランジ23の位置と、下段に設けられるライナープレート連結体2におけるライナープレート20の軸方向フランジ23の位置とが互いにずれるように配置されて、構築される。
なお、壁体1は、図1において平面視で円形状に形成されるものを図示しているが、これに限らず、平面視小判形状や、平面視矩形状等に形成されるものであってもよい。
図5(a)は、本発明を適用した仮止め具3の側面図を示し、図5(b)は、その平面図を示す。
仮止め具3は、図5(a)に示すように、板状の基部31と、基部31から略垂直に延びて形成される挿通部32と、挿通部32に設けられる保持機構30とを有する。この保持機構30は、係止部33を有し、係止部33は、可動部33aを有する。なお、図示の形態に係る仮止め具3は、挿通部32に保持機構30が設けられるが、本発明を適用した仮止め具3は、基部31及び挿通部32の何れか一方又は両方に保持機構30が設けられればよい。
基部31は、図5(b)に示すように、例えば、外径が平面視円形状の金属製の板材が用いられる。基部31は、中心に孔31dが形成され、環状となって形成される。なお、基部31は、外形が平面視円形状に限らず、平面視角形状等に形成されてもよい。
挿通部32は、図5(a)に示すように、例えば、金属製のものが用いられ、外径D1で円筒状に形成される。挿通部32は、端部が基部31の孔31dに挿通されて基部31の裏面31b側で溶接されて固定される。なお、図示は省略するが、仮止め具3は、基部31の孔31dが省略されてもよく、このとき、挿通部32の端部が基部31の表面31aに溶接等で固定されてもよい。
挿通部32は、先端側に側方に向けて突出される係止部33が一体となって設けられる。挿通部32は、先端側の側方に形成されたスリット32bに金属板状の可動部33aが配置される。
可動部33aは、挿通部32の先端側に配置された軸32aを介して挿通部32に接続される。可動部33aは、基部31から離間して挿通部32に設けられる。可動部33aは、挿通部32から側方に向けて突出されて、挿通部32の先端側から基部31側に向かうにつれて、挿通部32からの突出長K1が大きくなるように傾斜して、挿通部32に設けられる。可動部33aは、軸32aを中心として図中矢印Q方向に向けて挿通部32から突出自在とされる。つまり、可動部33aは、外力が作用していない状態では挿通部32から突出されており、外力の作用を受けることで、可動部33aの一部又は全部が挿通部32の内側に収容されるように、挿通部32の内側に可動することができる。
なお、仮止め具3は、図6(a)及び(b)に示すように、必要に応じて固定部33bが設けられてもよい。即ち、仮止め具3は、板状の基部31と、基部31から略垂直に延びて形成される挿通部32と、挿通部32に設けられる保持機構30とを有する。この保持機構30は、係止部33を有し、係止部33は、可動部33aを有するものであってもよい。挿通部32は、先端側の側方に形成されたスリット32bに金属板状の可動部33aが配置され、可動部33aが配置されるスリット32bに対向する位置に、金属棒状材等の固定部33bが溶接等により固定される。このとき、固定部33bは、挿通部32に対して突出長K2だけ突出されて、挿通部32に固定される。
次に、本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート20同士を連結する方法について説明する。以下では、ライナープレート20を下方側に連結する場合を例に取り、説明する。
本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート20同士を連結するには、先ず、図7に示すように、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に仮止め具3を取り付ける。この仮止め具3の取り付けは、ライナープレート20−1を地面等に載置した状態で行うことができる。
詳細には、図7(a)に示すように、ライナープレート20−1における上端の周方向フランジ22の下方側に配置した仮止め具3を、作業員の手で図中矢印U方向に向けて上方へ移動させる。
そして、図7(b)に示すように、上方に向けて移動させた仮止め具3の挿通部32を、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22の孔22aに挿通する。このとき、挿通部32から側方に突出された係止部33の可動部33aが、ライナープレート20−1における上端の周方向フランジ22の孔22aに接触することで、挿通部32の内側に向けて可動することとなる。
そして、仮止め具3の挿通部32をさらに図中矢印U方向に上方へ移動させ、図7(c)に示すように、孔22aに挿通させた係止部33の可動部33aを挿通部32から再び突出させ、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に、仮止め具3を取り付ける。このとき、仮止め具3を支えていた作業員の手を離したとしても、挿通部32から側方に突出された係止部33がライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に係止されるため、仮止め具3がライナープレート20−1から脱落しないものとなる。
また、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に仮止め具3を取り付ける作業は、図8に示すように、例えば、2箇所の孔22aに対して行う。このとき、作業員の左右の手で仮止め具3をそれぞれ支えながら、上方に移動させることで、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に、2つの仮止め具3を取り付けることとなる。
次に、本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート20同士を連結するには、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に取り付けた仮止め具3を、ライナープレート20−2に取り付ける。
ライナープレート20−2は、側方で隣り合うライナープレート20−2と、互いの軸方向フランジ23同士を当接させてボルト61及びナット62を介して予め連結されており、ライナープレート連結体2となって立坑等に予め固定されている。
ライナープレート20−2に仮止め具3を取り付ける作業は、先ず、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に取り付けた2つの仮止め具3を、予め固定されたライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22の下方側に配置する。このとき、作業員の左右の手で、2つの仮止め具3をそれぞれ支えることで、基部31をライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に当接させ、基部31から垂直に延びる挿通部32を、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に対して垂直となるようにする。
そして、図9(a)に示すように、ライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22の下方側に配置した仮止め具3を作業員の手で支えながら、ライナープレート20−1を持ち上げ、図中矢印U方向に向けて上方へ移動させる。
そして、図9(b)に示すように、上方に向けて移動させた仮止め具3の挿通部32を、ライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22の孔22aに挿通する。このとき、挿通部32から側方に突出された係止部33の可動部33aが、ライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22の孔22aに接触することで、挿通部32の内側に向けて可動することとなる。
そして、ライナープレート20−1をさらに持ち上げることで、仮止め具3の挿通部32を図中矢印U方向に上方へ移動させ、図9(c)に示すように、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22の孔22aに挿通させた係止部33の可動部33aを挿通部32から再び側方に突出させ、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に仮止め具3を取り付ける。
このとき、仮止め具3は、係止部33の可動部33aが挿通部32から再び側方に突出されることで、挿通部32の外径D1と可動部33aの突出長K1の和が、ライナープレート20の周方向フランジ22の孔22aの径d1よりも大きくなる。このため、仮止め具3は、挿通部32に固定された係止部33の可動部33aがライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止される。また、仮止め具3は、孔22aよりも径大に形成される基部31がライナープレート20−1における上端の周方向フランジ22に係止される。
このため、仮止め具3を支えていた作業員の手を離したとしても、仮止め具3がライナープレート20−1及びライナープレート20−2から脱落しないものとなる。つまり、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22の孔22a、22aに挿通部32を挿通することで、基部31及び係止部33の可動部33aで各々の周方向フランジ22、22を係止させ、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させる。このようにして、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に取り付けた仮止め具3を、予め固定されたライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めする。
上述したように、挿通部32を孔22aに挿通したとき、挿通部32の外径D1と可動部33aの突出長K1の和が孔22aの径d1に対して大きくなることで、挿通部32に固定された係止部33の可動部33aがライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止される。
なお、仮止め具3は、図10(a)に示すように、可動部33aがライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止されずに、挿通部32から側方に突出される固定部33bがライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止されてもよい。このとき、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22の孔22a、22aに挿通部32を挿通することで、基部31及び係止部33の固定部33bで各々の周方向フランジ22、22を係止させ、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることとなる。
また、仮止め具3は、図10(b)に示すように、固定部33bがライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止されずに、挿通部32から側方に突出される可動部33aがライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止されてもよい。このとき、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22の孔22a、22aに挿通部32を挿通することで、基部31及び係止部33の可動部33aで各々の周方向フランジ22、22を係止させ、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることとなる。このとき、挿通部32の外径D1と可動部33aの突出長K1と固定部33bの突出長K2との和が、ライナープレート20の周方向フランジ22の孔22aの径d1よりも大きくなる。このように仮止め具3が固定部33bを有する場合、外径D1+突出長K2≦d1を満たすことで、挿通部32及び固定部33bが孔22aに挿通される。仮止め具3は、外径D1+突出長K2≦d1を満たす突出長K2の固定部33bを挿通部32に固定することによって、挿通部32の外径D1と可動部33aの突出長K1の和が孔22aの径d1に対して小さい場合であっても、挿通部32に固定された係止部33の可動部33aがライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止されることとなる。
また、仮止め具3は、図10(c)に示すように、挿通部32から側方に突出される可動部33a及び固定部33bがライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止されてもよい。このとき、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22の孔22a、22aに挿通部32を挿通することで、基部31並びに係止部33の可動部33a及び固定部33bで各々の周方向フランジ22、22を係止させ、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることとなる。このとき、挿通部32の外径D1と可動部33aの突出長K1と固定部33bの突出長K2との和が、ライナープレート20の周方向フランジ22の孔22aの径d1よりも大きくなる。このように仮止め具3が固定部33bを有する場合、挿通部32に固定された係止部33の可動部33a及び固定部33bがライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止されてもよい。これにより、可動部33a及び固定部33bの何れか一方のみでライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止されるときよりも、より強固に各々の周方向フランジ22、22を係止させ、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることができる。
即ち、仮止め具3は、図9及び図10に示すように、係止部33の可動部33a及び固定部33bの何れか一方又は両方で、ライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止されることとなる。そして、仮止め具3は、挿通部32の外径D1と可動部33aの突出長K1の和が孔22aの径d1に対して大きい場合には、固定部33bを省略してもよく、挿通部32の外径D1と可動部33aの突出長K1の和が孔22aの径d1に対して小さい場合には、固定部33bを設ければよい。
また、基部31と係止部33との離間距離が、ライナープレート20−1の周方向フランジ22の厚さ及びライナープレート20−1の周方向フランジ22の厚さの和より大きい場合には、図9(c)に示すように、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22が互いに離間した状態で、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることとなる。なお、図示は省略するが、基部31と係止部33との離間距離が、ライナープレート20−1の周方向フランジ22の厚さ及びライナープレート20−2の周方向フランジ22の厚さの和に略等しくてもよく、このとき、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22同士が互いに当接した状態で、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることとなる。
図11に示すように、各々の孔22a、22aに挿通部32が挿通されることで、当該孔22a、22a以外の各々の孔22a、22aも位置合わせされた状態となる。換言すれば、各々の孔22a、22aに挿通部32が挿通されることで、これら以外の各々の孔22a、22aにおける中心軸M、M同士を一致させることができる。
次に、本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート20同士を連結するには、図12に示すように、基部31及び係止部33で所定の位置に保持させて仮止めした各々の周方向フランジ22、22の各々の孔22a、22aにボルト61を挿通し、ボルト61にナット62を螺着させることで、各々の周方向フランジ22、22を連結する。
このように、本発明を適用した仮止め具3を用いることにより、従来のように1人以上の作業員によりライナープレートを持ち上げた状態を維持しつつ他の作業員がライナープレート同士を連結する必要がなく、仮止め具3の基部31及び係止部33で仮止めされて所定の位置に保持させた各々の周方向フランジ22、22の各々の孔22a、22aにボルト61を挿通し、ボルト61にナット62を螺着させることで、各々の周方向フランジ22、22を連結することができる。
即ち、ライナープレートが1人で持ち上げ可能なものであった場合、従来のライナープレートの連結方法では、1人の作業員がライナープレートを持ち上げた状態を維持しつつ他の作業員がライナープレートを連結するため、2人の作業員が必要となっていた。これに対して、本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート同士を連結する際、1人の作業員が仮止め具3が取り付けられたライナープレート20−1を持ち上げて、仮止め具3の挿通部32をライナープレート20−2の孔22aに挿通することで、仮止め具3の基部31及び係止部33で各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させる。そして、所定の位置に保持させた各々の周方向フランジ22、22を締結金具を介して連結するため、ライナープレート20−1を所定の高さに保持するための作業員が必要なく、1人の作業員で各々のライナープレート20−1、20−2を連結することが可能となる。
したがって、本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート同士を連結することにより、従来必要であったライナープレートを所定の高さに保持するための作業員の数を削減して施工を省力化することが可能となる。
また、従来のライナープレートの連結方法では、作業員がライナープレートを持ち上げた状態としながら、さらに締結金具が挿通される孔の位置合わせを行う必要があった。これに対して、本発明を適用した仮止め具3は、ライナープレート20同士を連結する際に、各々の孔22a、22aをわざわざ位置合わせする必要がなく、各々の孔22a、22aに挿通部32が挿通されることで、これら(挿通部32が挿通される各々の孔22a、22a)以外の各々の孔22a、22aも位置合わせされた状態となる。このため、本発明を適用した仮止め具3は、孔22a、22aにボルト61を挿通し易くすることができ、その結果、より短時間で施工を行うことが可能となる。
また、図9(c)及び図12に示すように、互いに離間した状態とされた各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22をボルト61及びナット62を介して連結することで、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22同士が互いに当接された状態となる。
即ち、図11に示すように、各々の孔22a、22aに挿通したボルト61にナット62を螺着させることで、仮止め具3の基部31に係止させていたライナープレート20−1を、ボルト61又はナット62に係止させることができる。このため、図13に示すように、ボルト61にナット62を螺着させた後には、仮止め具3を周方向フランジ22、22から取り外してもよい。
仮止め具3の取り外し作業は、作業員の手で係止部33の可動部33aを挿通部32の内側に向けて押し込んだ状態で、挿通部32を下方に向けて移動させればよい。
なお、仮止め具3の取り外し作業は、ライナープレート20−1の周方向フランジ22に係止させていた基部31が当該周方向フランジ22から離間するまで、ナット62をボルト61に螺着させてから行うことが好ましい。仮止め具3の取り外し作業において、ライナープレート20−1の周方向フランジ22を基部31から離間させることで、仮止め具3の基部31及び係止部33に負担させていたライナープレート20−1の自重をボルト61及びナット62に負担させることができる。これにより、仮止め具3の挿通部32が上下方向に可動していわば遊びがある状態で、各々の孔22a、22aに挿通されるものとなる。
その結果、本発明を適用した仮止め具3は、作業員の手で係止部33の可動部33aを挿通部32の内側に向けて押し込む作業をより容易に行うことができ、各々の周方向フランジ22、22から取り外す作業を、より短時間で行うことが可能となる。
そして、各々の周方向フランジ22、22から取り外された仮止め具3は、立坑等に予め固定されたライナープレート20−2の下方側等に新たにライナープレート20−1を連結する際に再利用することができる。
なお、仮止め具3は、各々の周方向フランジ22、22から取り外されることなく、各々の周方向フランジ22、22に取り付けられた状態で残置されてもよい。
本発明を適用した仮止め具3は、立坑等に予め固定されたライナープレート20−2の下方側にライナープレート20−1を連結する度に用いればよい。そして、互いに側方向で隣り合うライナープレート20−1同士を連結することで、壁体1が構築されることとなる。
以下、本発明を適用した仮止め具3の第1変形例〜第8変形例について、説明する。
仮止め具3は、図14に示すように、第1変形例において、板状の基部31に粘着力を有する粘着体4が設けられてもよい。粘着力を有する粘着体4は、瞬間接着剤等の接着剤又は両面テープ等が用いられ、基部31をライナープレート20の周方向フランジ22に固定できるものである。
仮止め具3は、粘着力を有する粘着体4により、基部31がライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に固定されるため、基部31から略垂直に延びる挿通部32を周方向フランジ22に対して固定することができ、仮止め具3が側方向にずれるのを防止することができる。その結果、仮止め具3は、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に対して垂直な状態に固定した挿通部32を、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22の孔22aに、挿通し易くすることができ、その結果、より短時間で施工を行うことが可能となる。
また、基部31がライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に固定されるため、基部31から略垂直に延びる挿通部32をライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に対して垂直な状態に固定することができる。このように基部31を周方向フランジ22に固定することで、挿通部32を周方向フランジ22に対して垂直な状態にするために仮止め具3を支える力を小さくすることができる。特に、挿通部32を孔22aに挿通した際、固定部33bを孔22aに接触させたときに挿通部32に作用する上下方向の力よりも粘着体4の粘着力を大きくすることで、仮止め具3を作業員の手で支えることなくライナープレート20−1を持ち上げて、挿通部32を孔22aに挿通することができる。
仮止め具3は、図15(a)及び図15(b)に示すように、第2変形例において、保持機構30が係止部33と、磁力部34とを有する。即ち、仮止め具3は、板状の基部31と、基部31から略垂直に延びて形成される挿通部32と、挿通部32に一体となって設けられる係止部33と、基部31に設けられて磁力を有する磁力部34とを有する。磁力部34は、マグネット等が用いられ、金属製のライナープレート20の周方向フランジ22に固定できるものである。磁力部34は、例えば、外径が平面視円形状に形成され、中心に挿通部32が挿通される図示しない孔が形成され、環状となって形成される。
磁力部34は、図15(a)に示すように、磁力を有することにより、各々の孔22aに挿通部32を挿通させたとき、磁力部34の磁力がライナープレート20−1の周方向フランジ22のみならず、ライナープレート20−2の周方向フランジ22にまで伝達されることとなる。したがって、本発明を適用した仮止め具3は、、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22の孔22a、22aに挿通部32が挿通されることで、基部31に設けられた磁力部34の磁力によって、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることとなる。このようにして、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に取り付けた仮止め具3を、予め固定されたライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めする。
また、磁力部34は、磁力を有することにより、基部31がこの磁力部34を介してライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に固定されるため、基部31から略垂直に延びる挿通部32を周方向フランジ22に対して固定することができ、仮止め具3が側方向にずれるのを防止することができる。このため、本発明を適用した仮止め具3は、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22の孔22aに挿通部32を挿通し易くすることができ、その結果、より短時間で施工を行うことが可能となる。
また、基部31がライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に固定されるため、基部31から略垂直に延びる挿通部32をライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に対して垂直な状態に固定することができる。このように基部31を周方向フランジ22に固定することで、挿通部32を周方向フランジ22に対して垂直な状態にするために仮止め具3を支える力を小さくすることができる。特に、挿通部32を孔22aに挿通した際、固定部33bを孔22aに接触させたときに挿通部32に作用する上下方向の力よりも磁力部34の磁力を大きくすることで、仮止め具3を作業員の手で支えることなくライナープレート20−1を持ち上げて、挿通部32を孔22aに挿通することができる。
また、磁力部34は、磁力を有することにより、各々の孔22aに挿通部32を挿通させたとき、磁力部34の磁力がライナープレート20−1の周方向フランジ22のみならず、ライナープレート20−2の周方向フランジ22にまで伝達されるため、各々の周方向フランジ22、22を当接させた状態とすることができる。このため、本発明を適用した仮止め具3は、各々の周方向フランジ22、22を離間させた状態のときよりも、各々の孔22a、22aにボルト61を挿通し易くすることができ、その結果、より短時間で施工を行うことが可能となる。
挿通部32に設けられる係止部33の可動部33a及び固定部33bは、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22から離間した状態とされており、仮に磁力部34の磁力がライナープレート20−1の自重を支えきれなくなった場合であっても、係止部33をライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に係止させることができる。このため、係止部33がライナープレート20−2から落下するのを防止し、いわば安全装置として機能させることができる。
なお、図15(b)に示すように、挿通部32に設けられる係止部33の可動部33a及び固定部33bは、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に係止されてもよい。このとき、本発明を適用した仮止め具3は、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22の孔22a、22aに挿通部32が挿通されることで、挿通部32に設けられた係止部33でライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22を係止させるとともに、基部31に設けられた磁力部34の磁力によって、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることとなる。このため、係止部33及び磁力部34により、各々の周方向フランジ22、22をより強固に所定の位置に保持させることができる。このようにして、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に取り付けた仮止め具3を、予め固定されたライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めできる。
仮止め具3は、図16(a)及び図16(b)に示すように、第3変形例において、保持機構30が係止部33と、磁力部34とを有する。即ち、仮止め具3は、板状の基部31と、基部31から略垂直に延びて形成される挿通部32と、基部31に設けられる係止部33及び磁力部34とを有する。
基部31は、蝶番39を介して回転自在な係止部33が一体となって設けられる。この係止部33は、側面視L字状等の鋼板等の板材が用いられる。磁力部34は、磁力を有するマグネット等が用いられ、金属製のライナープレート20に固定できるものである。挿通部32は、平面視円形状等に形成された金属の棒状部材等が用いられる。
このとき、本発明を適用した仮止め具3は、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22の孔22a、22aに挿通部32が挿通されることで、基部31に設けられた磁力部34の磁力によって、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることとなる。このため、上述した第2変形例に係る仮止め具3で説明した作用効果を奏するものとなる。
また、基部31に蝶番39を介して設けられる係止部33は、図14(b)に示すように、蝶番39を介して回転させることで挿通部32の上方側に配置されることとなり、仮に磁力部34の磁力がライナープレート20−1の自重を支えきれなくなった場合であっても、係止部33をライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に係止させることができる。このため、係止部33がライナープレート20−2から脱落するのを防止し、いわば安全装置として機能させることができる。
仮止め具3は、図17(a)及び図17(b)に示すように、第4変形例において、保持機構30が係止部33を有する。即ち、仮止め具3は、板状の基部31と、基部31から略垂直に延びて形成される挿通部32と、挿通部32に一体となって設けられる係止部33とを有する。係止部33は、基部31に対して略垂直方向を長手方向として延びる板材等が用いられ、挿通部32の先端側に配置された軸32aを介して挿通部32に接続される。係止部33は、長手方向に延びる長孔に軸32aが配置され、軸32aを中心に回転させることで、挿通部32の両側方に向けて突出させることができる。
このとき、本発明を適用した仮止め具3は、図17(a)に示すように、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22の孔22aに挿通した挿通部32が、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22の孔22aに挿通される。そして、挿通部32に設けられた係止部33を軸32aを中心として図中矢印R方向に回転させることで、図17(b)に示すように、挿通部32の両側方に向けて突出させ、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に仮止め具3を取り付ける。このとき、仮止め具3は、挿通部32から両側方に向けて突出された係止部33がライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止される。また、仮止め具3は、孔22aよりも径大に形成される基部31がライナープレート20−1における上端の周方向フランジ22に係止される。
このため、仮止め具3を支えていた作業員の手を離したとしても、仮止め具3がライナープレート20−1及びライナープレート20−2から脱落しないものとなる。つまり、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22の孔22a、22aに挿通部32を挿通することで、基部31及び係止部33で各々の周方向フランジ22、22を係止させ、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることができる。このようにして、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に取り付けた仮止め具3を、予め固定されたライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めできる。
仮止め具3は、図18(a)及び図18(b)に示すように、第5変形例において、保持機構30が係止部33を有する。即ち、仮止め具3は、板状の基部31と、基部31から略垂直に延びて形成される挿通部32と、基部31に一体となって設けられる係止部33とを有する。係止部33は、孔22aよりも縮径された筒状に形成され、一端が基部31に設けられ、他端が切り欠かれて形成される。挿通部32は、基部31及び係止部33に挿通され、頭部32cが係止部33よりも拡径されて形成される。挿通部32は、基部31から離間させて配置された頭部32cを基部31に向けて押し込むことで、係止部33の切り欠かれた他端側を拡開させることができる。
このとき、本発明を適用した仮止め具3は、図18(a)に示すように、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22の孔22aに挿通された挿通部32が、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22の孔22aに挿通される。このとき、挿通部32の頭部32cを基部31から離間させておく。そして、仮止め具3は、基部31から離間させていた挿通部32の頭部32cが基部31に向けて図中矢印T方向に押し込まれることで、図18(b)に示すように、係止部33の切り欠かれた他端側が拡開され、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に取り付けられる。このとき、仮止め具3は、拡開された係止部33がライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止される。また、仮止め具3は、孔22aよりも径大に形成される基部31がライナープレート20−1における上端の周方向フランジ22に係止される。
このため、仮止め具3を支えていた作業員の手を離したとしても、仮止め具3がライナープレート20−1及びライナープレート20−2から脱落しないものとなる。つまり、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22の孔22a、22aに挿通部32が挿通されることで、基部31及び係止部33で各々の周方向フランジ22、22を係止させ、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることができる。このようにして、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に取り付けた仮止め具3を、予め固定されたライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めできる。
仮止め具3は、図19(a)に示すように、第6変形例において、保持機構30が係止部33を有する。即ち、仮止め具3は、板状の基部31と、基部31から略垂直に延びて形成される挿通部32と、挿通部32に一体となって設けられる係止部33とを有する。挿通部32は、互いに離間された2本の板材又は棒材等が用いられ、一端が基部31に設けられ、他端に係止部33が設けられる。係止部33は、内側に空間が形成された側面視三角形状の板材又は棒材等が用いられ、基端側がそれぞれの挿通部32から両側方に突出されて形成され、先端側に向かうにつれて互いに近接され、先端で互いに連結されて形成される。係止部33は、外力の作用に対して縮むように弾性変形させることができ、また弾性力に基づいて拡開することができる。
このとき、本発明を適用した仮止め具3は、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22の孔22aに挿通された挿通部32が、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22の孔22aに挿通される。このとき、係止部33が孔22aに接触し、弾性変形させながら孔22aに挿通される。そして、孔22aに挿通された係止部33が弾性力に基づいて再び拡開され、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に仮止め具3を取り付けられる。このとき、仮止め具3は、拡開された係止部33がライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22に係止される。また、仮止め具3は、孔22aよりも径大に形成される基部31がライナープレート20−1における上端の周方向フランジ22に係止される。
このため、仮止め具3を支えていた作業員の手を離したとしても、仮止め具3がライナープレート20−1及びライナープレート20−2から脱落しないものとなる。つまり、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22の孔22a、22aに挿通部32が挿通されることで、基部31及び係止部33で各々の周方向フランジ22、22を係止させ、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることができる。このようにして、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に取り付けた仮止め具3を、予め固定されたライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めできる。
仮止め具3は、図19(b)に示すように、第7変形例において、保持機構30が係止部33を有する。即ち、仮止め具3は、板状の基部31と、基部31から略垂直に延びて形成される挿通部32と、挿通部32に一体となって設けられる複数の係止部33とを有する。この係止部33は、挿通部32の周囲を囲うようにして形成される。
このとき、本発明を適用した仮止め具3は、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22の孔22aに挿通された挿通部32が、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22の孔22aに挿通される。このとき、仮止め具3は、挿通部32の周囲に複数設けられた係止部33を孔22aに係止させることで、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に取り付けられる。また、仮止め具3は、孔22aよりも径大に形成される基部31がライナープレート20−1における上端の周方向フランジ22に係止される。
このため、仮止め具3を支えていた作業員の手を離したとしても、仮止め具3がライナープレート20−1及びライナープレート20−2から脱落しないものとなる。つまり、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22の孔22a、22aに挿通部32が挿通されることで、基部31及び係止部33で各々の周方向フランジ22、22を係止させ、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることができる。このようにして、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に取り付けた仮止め具3を、予め固定されたライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めできる。
仮止め具3は、図20(a)及び図20(b)に示すように、第8変形例において、保持機構30が、一対の係止部33、35を有する。即ち、仮止め具3は、板状の基部31と、基部31の両面からそれぞれ略垂直に延びて形成される2つの挿通部32と、一方の挿通部32に一体となって設けられる係止部33と、他方の挿通部32に一体となって設けられる係止部35とを有する。
一方の挿通部32は、先端側に両側方に向けて突出される係止部33が設けられる。係止部33は、先端が一方の挿通部32に設けられ、基端が基部31に設けられる。係止部33は、先端側の外形が側面視三角形状となるように形成され、外力の作用に対して縮むように弾性変形させることができ、また弾性力に基づいて拡開できるものとなる。
他方の挿通部32は、先端側に両側方に向けて突出される係止部35が設けられる。係止部35は、先端が他方の挿通部32に設けられ、基端が他方の挿通部32から離間されており、いわば片持ち形状となって形成される。係止部35は、先端側の外形が側面視三角形状となるように形成され、外力の作用に対して縮むように弾性変形させることができ、また弾性力に基づいて拡開できるものとなる。係止部35は、基端が他方の挿通部32から離間されているため、係止部33よりも外力の作用に対して弾性変形し易いものとなる。
本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート同士を連結するには、図20(a)に示すように、仮止め具3の一方の挿通部32を、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22の孔22aに上方から下方に向けて挿通する。このとき、一方の挿通部32に設けられた係止部33が孔22aに接触され、係止部33を弾性変形させながら孔22aに挿通する。そして、孔22aに挿通した係止部33を弾性力に基づいて再び拡開させ、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に仮止め具3を取り付ける。このとき、基部31は、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22の上面に当接される。
仮止め具3は、係止部33及び基部31がライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22を挟んで係止されるため、ライナープレート20−1から脱落しないものとなる。また、仮止め具3は、係止部33及び基部31がライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22を挟んで係止されるため、基部31に設けられた他方の挿通部32を、周方向フランジ22に対して略垂直の状態に固定することができる。
そして、仮止め具3を取り付けたライナープレート20−1を持ち上げることで図中矢印U方向に上方へ移動させ、図20(b)に示すように、仮止め具3の他方の挿通部32を、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22の孔22aに挿通する。このとき、他方の挿通部32に設けられた係止部35が孔22aに接触され、係止部35を弾性変形させながら孔22aに挿通する。そして、孔22aに挿通した係止部35を弾性力に基づいて再び拡開させ、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に仮止め具3を取り付ける。このとき、仮止め具3は、係止部35及び基部31がライナープレート20−2における下端の周方向フランジ22を挟んで係止される。
このため、仮止め具3を支えていた作業員の手を離したとしても、仮止め具3がライナープレート20−1及びライナープレート20−2から脱落しないものとなる。つまり、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22の孔22aに一方の挿通部32が挿通され、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22の孔22aに他方の挿通部32が挿通されることで、基部31、係止部33及び係止部35で各々の周方向フランジ22、22を係止させ、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることができる。このようにして、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に取り付けた仮止め具3を、予め固定されたライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めできる。
特に、本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート20同士を連結するには、仮止め具3を取り付けたライナープレート20−1を持ち上げて、他方の挿通部32をライナープレート20−2の孔22aに挿通させる。このとき、他方の挿通部32に設けられる係止部35が係止部33よりも弾性変形し易いことにより、仮止め具3を取り付けたライナープレート20−1を持ち上げて仮止め具3の他方の挿通部32をライナープレート20−2の孔22aに挿通する作業を、より容易に行うことができ、その結果、より短時間で施工を行うことが可能となる。
なお、本発明を適用した仮止め具3の第8変形例が用いられる場合、係止部33が設けられる一方の挿通部32をライナープレート20−1の孔22aに挿通され、係止部35が設けられる他方の挿通部32がライナープレート20−2の孔22aに挿通される例について説明したが、係止部35が設けられる他方の挿通部32がライナープレート20−1の孔22aに挿通され、係止部33が設けられる一方の挿通部32がライナープレート20−2の孔22aに挿通されてもよい。
また、本発明を適用した仮止め具3の第8変形例が用いられる場合、一対の係止部33、35が同一形状とされていてもよい。このとき、一対の係止部が例えば図20に示した係止部33の形状となって同一になってもよいし、図20に示した係止部35の形状となって同一となってもよい。
以上、本発明を適用した仮止め具3を、下方側に配置されるライナープレート20−1に取り付けた上で、上方側に配置されて予め固定されたライナープレート20−2に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めする場合について説明したが、以下では、本発明を適用した仮止め具3を、上方側に配置されて予め固定されたライナープレート20−2に取り付けた上で、下方側に配置されるライナープレート20−1に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めする場合について説明する。
かかる場合、本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート20同士を連結するには、図21(a)及び図21(b)に示すように、先ず、仮止め具3の挿通部32を、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22の孔22aに上方から下方に向けて挿通する。このとき、係止部33の可動部33aが孔22aに接触され、挿通部32の内側に向けて可動することとなる。そして、仮止め具3の挿通部32をさらに下方へ移動させ、孔22aに挿通させた係止部33の可動部33aを挿通部32から再び突出させ、ライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に、仮止め具3を取り付ける。このとき、仮止め具3を支えていた作業員の手を離したとしても、孔22aよりも径大に形成される基部31がライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に係止されるため、仮止め具3がライナープレート20−2から脱落しないものとなる。
そして、図21(a)に示すように、下方側に配置したライナープレート20−1を持ち上げることで、図中矢印U方向に上方へ移動させ、図21(b)に示すように、ライナープレート20−2に取り付けた仮止め具3の挿通部32を、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22の孔22aに挿通する。このとき、係止部33の可動部33aが孔22aに接触され、挿通部32の内側に向けて可動することとなる。そして、ライナープレート20−1を上方へ移動させ、孔22aに挿通させた係止部33の可動部33aを挿通部32から再び突出させ、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に、仮止め具3を取り付ける。このとき、係止部33がライナープレート20−1における上端の周方向フランジ22に係止される。
このため、仮止め具3を支えていた作業員の手を離したとしても、仮止め具3がライナープレート20−1及びライナープレート20−2から脱落しないものとなる。つまり、各々のライナープレート20−1、20−2の周方向フランジ22、22の孔22a、22aに挿通部32が挿通され、基部31及び係止部33で各々の周方向フランジ22、22を係止させることで、各々の周方向フランジ22、22の位置を保持させることができる。このようにして、予め固定されたライナープレート20−2の下端の周方向フランジ22に取り付けた仮止め具3を、ライナープレート20−1の上端の周方向フランジ22に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めできる。
以上、本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート20を下方側に連結する場合を例に取り説明したが、以下ではライナープレート20を上方側に連結する場合について説明する。
かかる場合、本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート同士を連結するには、図22(a)に示すように、仮止め具3の挿通部32を、ライナープレート20−1の下端の周方向フランジ22の孔22aに上方から下方に向けて挿通する。このとき、係止部33の可動部33aが孔22aに接触され、挿通部32の内側に向けて可動することとなる。そして、仮止め具3の挿通部32をさらに下方へ移動させ、孔22aに挿通させた係止部33の可動部33aを挿通部32から再び突出させ、ライナープレート20−1の下端の周方向フランジ22に、仮止め具3を取り付ける。
そして、仮止め具3を取り付けたライナープレート20−1を、図中矢印D方向に下方へ移動させ、図22(b)に示すように、仮止め具3の挿通部32を、予め固定されたライナープレート20−2の上端の周方向フランジ22の孔22aに挿通する。このとき、係止部33の可動部33aが孔22aに接触され、挿通部32の内側に向けて可動することとなる。そして、ライナープレート20−1を下方へ移動させ、孔22aに挿通させた係止部33の可動部33aを挿通部32から再び突出させ、ライナープレート20−2の上端の周方向フランジ22に、仮止め具3を取り付ける。このとき、立坑等に固定されたライナープレート20−2の上方に、ライナープレート20−1が載置されることとなる。このようにして、ライナープレート20−1の下端の周方向フランジ22に取り付けた仮止め具3を、予め固定されたライナープレート20−2の上端の周方向フランジ22に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めできる。
本発明を適用した仮止め具3は、特に、各々の孔22a、22aに挿通部32が挿通されることにより、ライナープレート20−2に載置したライナープレート20−1が転倒するのを防止することができる。
ライナープレート20を上方側に連結する場合、本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート20同士を連結するには、仮止め具3を上方側に配置されるライナープレート20−1の下端の周方向フランジ22に取り付けるのではなく、図23に示すように、仮止め具3を下方側に配置される予め固定されたライナープレート20−2の上端の周方向フランジ22に取り付けてもよい。このとき、本発明を適用した仮止め具3を用いてライナープレート20同士を連結するには、図23(a)に示すように、仮止め具3の挿通部32を、ライナープレート20−2の上端の周方向フランジ22の孔22aに下方から上方に向けて挿通する。このとき、係止部33の可動部33aが孔22aに接触され、挿通部32の内側に向けて可動することとなる。そして、仮止め具3の挿通部32をさらに上方へ移動させ、孔22aに挿通させた係止部33の可動部33aを挿通部32から再び突出させ、ライナープレート20−2の上端の周方向フランジ22に、仮止め具3を取り付ける。このとき、基部31に予め磁力部34を設けていてもよい。
そして、上方側に配置されるライナープレート20−1を図中矢印D方向に向けて下方へ移動させ、図23(b)に示すように、ライナープレート20−2の上端の周方向フランジ22の孔22aに挿通した仮止め具3の挿通部32を、ライナープレート20−1の下端の周方向フランジ22の孔22aに挿通する。このとき、係止部33の可動部33aが孔22aに接触され、挿通部32の内側に向けて可動することとなる。そして、ライナープレート20−1を下方へ移動させ、孔22aに挿通させた係止部33の可動部33aを挿通部32から再び突出させ、ライナープレート20−1の下端の周方向フランジ22に、仮止め具3を取り付ける。このとき、立坑等に固定されたライナープレート20−2の上方に、ライナープレート20−1が載置されることとなる。このようにして、予め固定されたライナープレート20−2の上端の周方向フランジ22に取り付けた仮止め具3を、上方側に配置されるライナープレート20−1の下端の周方向フランジ22に取り付けることで、各々の周方向フランジ22、22を仮止めできる。
本発明を適用した仮止め具3は、図17〜図22に示す仮止め具3が用いられる場合、必要に応じて、基部31に粘着体4、磁力部34等が設けられてもよい。
以上、本発明の実施形態に係る仮止め具について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。