JP6517594B2 - 分極反転構造の製造方法、光学デバイスの製造方法、反転用電極および電気光学結晶基板 - Google Patents

分極反転構造の製造方法、光学デバイスの製造方法、反転用電極および電気光学結晶基板 Download PDF

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Description

この発明は、分極反転構造の製造方法、分極反転構造を有する光学デバイス(以下においては、単に「光学デバイス」という)の製造方法、およびこれら製造方法に用いられる反転用電極、これら製造方法により製造された分極反転構造を有する電気光学結晶基板に関するものである。
従来より、リチウムナイオベート(LiNbO)やリチウムタンタレート(LiTaO)などの電気光学結晶は、光変調や波長変換などの制御を行うことを目的とした光学デバイスへの応用が進められている。
リチウムナイオベート(LiNbO)やリチウムタンタレート(LiTaO)等を材料とする強誘電体系の電気光学結晶の屈折率は、外部から与えられた電圧に応じて変化する。かかる電気光学結晶を光変調器として応用する場合、印加電圧に応じて電気光学結晶に屈折率分布が生じるように光デバイスを構成し、屈折率分布を回折格子として機能させることで、電気光学結晶を通過する光を回折させて、回折光と非回折光をアパーチャ等で分離し、変調する。特許文献1には、かかる光変調器に関する技術が開示されている。
特許文献1には、光変調器の消光比を向上するための技術が開示されている。光変調器において重要な技術要素の一つとして消光比がある。この消光比とは光変調のON/OFF時の光強度比を意味しており、消光比を高めることが従来からの課題となっている。
特に特許文献1には、強誘電体系の電気光学結晶内に分極反転構造を形成し、電圧印加によって、その内部に形成される周期的な屈折率分布が回折格子として機能する異なる周期を持つ第1電気光学結晶基板および第2電気光学結晶基板を設けることで、結晶へ電圧を印加した際に第1および第2電気光学結晶基板のいずれによっても回折されずに両者を通過してくる透過光の光量を低くでき、高い消光比が得られる技術が開示されている。
ここで、光デバイスの製造方法としては、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2には、周期分極反転構造を形成させる光学デバイスについて、強誘電体基板と支持基板との間に導電体の接合部を介在させて、強誘電体基板を支持基板で支持しながら一体化させ、強誘電体基板の強度を維持した後に、強誘電体基板を研磨して薄膜化する技術が開示されている。
また、特許文献2には、強誘電体基板の主面にレジストを塗布してパターンを形成し、当該レジスト層上に金属膜をスパッタリング処理、あるいは蒸着処理により形成することで、金属膜の一部がレジスト層の凹部に入り込んで強誘電体基板の主面上に密着位置させる技術が開示されている。
特許文献2の技術では、当該レジスト層により、金属膜と強誘電体基板とが電気的に接続される領域が周期パターン化して得られ、当該電極膜を「パターン電極」として機能させることができる。そして、いわゆる電圧印加法(電界印加法、パルス電界印加法などとも言う)によって当該パターン電極および強誘電体基板の他方主面(接合部)に形成した電極(いわゆる、対向電極)との間に強誘電体結晶材料固有の特性である分極反転電圧を超える高電圧を印加することで、強誘電体基板の強誘電体結晶中の周期的な特定領域に電界を発生させて当該特定領域の分極の向きを反転させ、強誘電体結晶中に周期的な分極反転部を形成する。
特開2015−52701号公報 特開2012−78443号公報
特許文献1には、多段に配列する周期分極反転構造間の周期方向や、接続方向の位置関係について明確には開示されていない。特許文献1に示す光変調器を実際に作成する場合、周期分極反転構造が設計通りの形状で形成されることが、高い消光比等の品質を実現するために重要である。
ここで、特許文献2の技術を用いて、多段に配列する周期分極反転構造に対応する形状の「格子電極」を形成し、いわゆる電圧印加法によって当該格子電極および強誘電体基板の他方主面に形成した対向電極との間に高電圧を印加すれば、強誘電体基板中に多段に配列する周期分極反転構造を形成することができる。
しかしながら、電圧印加法を用いて多段の周期分極反転構造を形成すると、その周期分極反転構造間の周期方向や、接続方向の位置関係によっては、分極反転が生じる部分が設計した形状から膨れることで、設計と異なる構造ができるおそれがある。
したがって、特許文献1に記載の多段に配列する周期分極反転構造について、高い消光比等の性能を実現するためには、製造プロセスの最適化、特に、多段に配列する周期分極反転構造を形成するために好適な電極パターンの形状の選択が必要となる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、多段に配列する周期分極反転構造の製造技術および多段配列周期分極反転構造を形成するために好適な電極を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本願の第1発明にかかる周期分極反転構造の製造方法は、平板状の電気光学結晶基板を含む処理基板の一方主面に設けられた反転用電極と、他方主面に設けられた共通電極と、を用いて、電圧印加法により前記電気光学結晶基板に周期分極反転構造を製造する方法であって、前記一方主面に、複数の隙間を有する絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層、および前記複数の隙間にて露出した前記一方主面である電極形成領域に、前記反転用電極を形成する反転用電極形成工程と、前記他方主面に、前記共通電極を形成する共通電極形成工程と、前記電気光学結晶基板の前記一方主面における前記電極形成領域に設けられた前記反転用電極と、前記他方主面に設けられた前記共通電極から、前記電気光学結晶基板に電圧を印加して周期分極反転構造を形成する分極反転工程とを備え、前記電極形成領域に形成される前記反転用電極は、所定の配列方向に沿って第1電極幅の複数の前記反転用電極が第1間隔で離間して周期的に配列する第1電極領域と、前記配列方向に沿って第2電極幅の複数の前記反転用電極が第2間隔で離間して周期的に配列する第2電極領域と、を有し、前記第1電極幅と前記第1間隔の長さは等しく、前記第2電極幅と前記第2間隔の長さは等しく、前記第2電極幅は、前記第1電極幅の整数倍の長さであり、前記第1電極領域は、前記第2電極領域に対し、前記配列方向に対して垂直な方向である縦方向に、前記第2電極領域における前記反転用電極の前記配列方向における中心線と、前記第1電極領域における前記反転用電極の前記配列方向における一部の中心線または前記第1間隔で前記配列方向に隣接する複数の前記反転用電極間の前記絶縁層の前記配列方向における一部の中心線と、が重なるように配列することを特徴とする。
本願の第2発明は、第1発明の周期分極反転構造の製造方法であって、前記第2電極幅は、前記第1電極幅の2倍の長さであることを特徴とする。
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の周期分極反転構造の製造方法であって、前記第1電極領域は、前記第2電極領域に対し、前記縦方向に、前記第1電極領域および前記第2電極領域における複数の前記反転用電極が互いに離間した状態で配列することを特徴とする。
本願の第4発明は、第3発明の周期分極反転構造の製造方法であって、前記第1電極領域および前記第2電極領域における複数の前記反転用電極が互いに離間する前記縦方向の離間幅と、前記第1間隔の長さは等しいことを特徴とする。
本願の第5発明は、第1発明から第4発明のいずれかの周期分極反転構造の製造方法により、前記周期分極反転構造が形成された前記処理基板を用いて、光学デバイスを製造する方法であって、前記一方主面に形成された前記反転用電極を除去する除去工程と、前記一方主面に駆動電極を形成する駆動電極形成工程とを備え、前記駆動電極は、前記第1電極領域と前記共通電極から電圧が印加されて分極反転した第1周期分極反転領域を含む前記一方主面上および、前記第2電極領域と前記共通電極から電圧が印加されて分極反転した第2周期分極反転領域を含む一方主面上に、前記縦方向に亘って延設されることを特徴とする。
本願の第6発明は、電圧印加法により前記電気光学結晶基板に周期分極反転構造を製造するために、平板状の電気光学結晶基板を含む処理基板の一方主面に設けられる反転用電極であって、前記反転用電極は、前記一方主面に形成された複数の隙間を有する絶縁層、および前記複数の隙間にて露出した前記一方主面である電極形成領域に、形成され、前記電極形成領域に形成される前記反転用電極は、所定の配列方向に沿って第1電極幅の複数の前記反転用電極が第1間隔で離間して周期的に配列する第1電極領域と、前記配列方向に沿って第2電極幅の複数の前記反転用電極が第2間隔で離間して周期的に配列する第2電極領域と、を有し、前記第1電極幅と前記第1間隔の長さは等しく、前記第2電極幅と前記第2間隔の長さは等しく、前記第2電極幅は、前記第1電極幅の整数倍の長さであり、前記第1電極領域は、前記第2電極領域に対し、前記配列方向に対して垂直な方向である縦方向に、前記第2電極領域における前記反転用電極の前記配列方向における中心線と、前記第1電極領域における前記反転用電極の前記配列方向における一部の中心線または前記第1間隔で前記配列方向に隣接する複数の前記反転用電極間の前記絶縁層の前記配列方向における一部の中心線と、が重なるように配列することを特徴とする。
本願の第7発明は、電圧印加法により形成される周期分極反転構造を有する電気光学結晶基板であって、前記電気光学結晶基板は、互いに分極方位が異なる分極反転部と非分極反転部とが配列方向に周期的に配列する前記周期分極反転構造を、前記配列方向に対して垂直な方向に少なくとも2個有し、2個の前記周期分極反転構造のうち一方である第1周期分極反転領域は、前記配列方向に沿って第1幅の複数の前記分極反転部と前記第1幅の複数の前記非分極反転部とが周期的に配列し、2個の前記周期分極反転構造のうち他方である第2周期分極反転領域は、前記配列方向に沿って第2幅の複数の前記分極反転部と前記第2幅の複数の前記非分極反転部とが周期的に配列し、前記第2幅は、前記第1幅の整数倍の長さであり、前記第1周期分極反転領域は、前記第2周期分極反転領域に対し、前記配列方向に対して垂直な方向である縦方向に、前記第2周期分極反転領域における前記分極反転部の前記配列方向における中心線と、前記第1周期分極反転領域における前記分極反転部または前記非分極反転部の前記配列方向における一部の中心線と、が重なるように配列することを特徴とする。
本願の第8発明は、第7発明の電気光学結晶基板であって、前記第2幅は、前記第1幅の2倍の長さであることを特徴とする。
本願の第9発明は、第8発明の電気光学結晶基板であって、前記第1周期分極反転領域における前記分極反転部の前記縦方向の長さは、前記第2周期分極反転領域における前記分極反転部の前記縦方向の長さよりも短いことを特徴とする。
本願の第10発明は、第9発明の電気光学結晶基板であって、前記電気光学結晶基板の厚みが35μmであり、前記第1幅が10μmであり、前記第2幅が20μmであり、前記第1周期分極反転領域における前記分極反転部の前記縦方向の長さが、200μm以上250μm以下の範囲内であり、前記第2周期分極反転領域における前記分極反転部の前記縦方向の長さが、300μm以上425μm以下の範囲内であることを特徴とする。
本発明によれば、多段に配列する周期分極反転構造の高精度化を実現できる。
本発明にかかるパターン描画装置を示す側面図である。 図1におけるパターン描画装置の露光ヘッドを示す概念図である。 図2における光学デバイスの構成を示す斜視図である。 図2における光学デバイスの構成を示す側面図である。 図2のA−A'線における光学デバイスの断面図を概略的に示す図である。 図2における光学デバイスの分極反転構造を示す概念図である。 本発明の第1実施形態における光学デバイス製造方法を示すフローチャート図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 図7における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 本発明の第1実施形態における周期分極反転構造を示す模式図である。 従来技術における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 従来技術における周期分極反転構造を示す模式図である。 本発明の第2実施形態における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 本発明の第2実施形態における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 本発明の第2実施形態における周期分極反転構造を示す模式図である。 本発明の第3実施形態における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 本発明の第3実施形態における光学デバイスの製造工程中の様子を示す模式図である。 本発明の第3実施形態における周期分極反転構造を示す模式図である。 本発明の第4実施形態における縦方向長さと0次光の透過光強度との関係を示すグラフである。 本発明の第4実施形態における縦方向長さと0次光の透過光強度との関係を示すグラフである。 本発明の変形例における周期分極反転構造を示す模式図である。
本発明にかかる光学デバイスは、種々の装置に適用可能であるが、光源から射出する光を変調して基板表面などの被露光部を照射する露光ヘッドへ好適に適用可能である。さらに、当該露光ヘッドについても、種々の装置に適用することができ、例えばパターン又は画像描画装置に適用することができる。
当該露光ヘッドをパターン描画装置に適用する場合について説明する。この適用によって高精度なパターン描画が可能となる。以下、図1から図6までを用いて、本願の第1実施形態において製造する光学デバイスおよびその用途について説明する。
<第1実施形態>
<1−1.光学デバイスの用途>
図1は、本願の光学デバイスを用いた光学ヘッドを組み込んだパターン描画装置100を示す図である。パターン描画装置100は、感光材料が表面に付与された半導体基板やガラス基板等の基板Wの表面に光を照射してパターンを描画する装置である。
パターン描画装置100は、上面フレーム101および側面フレーム102を有する。これら上面フレーム101および側面フレーム102により形成される本体内部に、装置各部が配置されて本体部が構成される。
パターン描画装置100は、搬送ロボット120および基台130を有する。搬送ロボット120は、図1に示すように、側面フレーム102に囲まれた本体内部の右手端部に配置される。また、搬送ロボット120の左手側に、基台130が配置される。基台130の一方端側領域(図1の右手側領域)が、搬送ロボット120との間で基板Wの受け渡しを行う基板受渡領域となっているのに対し、他方端側領域(図1の左手側領域)が基板Wへのパターン描画処理を行うパターン描画領域SP1となっている。
本体部の外側(第1実施形態では、図1に示すように本体部の右手側)には、基板収納カセット110が配置される。基板収納カセット110には、露光処理を受けるべき未処理の基板Wを収納される。未処理の基板Wは、本体内部に配置される搬送ロボット120によって基板収納カセット110から本体部にローディングされる。また、未処理の基板Wに対して本体部にて後述の露光処理(パターン描画処理)が施された後、処理後の基板Wが搬送ロボット120によって本体部からアンローディングされ、基板収納カセット110に戻される。
パターン描画装置100は、露光ヘッド1、露光ヘッド1が取り付けられるボックス172、ボックス172を支持する脚部材141,142、カメラ150およびステージ160をさらに有する。
脚部材141,142は、基台130上にそれぞれ図1の紙面方向(奥行方向)に2本ずつ立設され、ボックス172基台130上に支持する。ボックス172の下部にカメラ150が取り付けられる。カメラ150により、ステージ160に保持された基板Wの表面(被描画面、被露光面)を撮像することができる。
ステージ160は基台130上でステージ移動機構131により紙面左右方向、奥行方向、上下方向に移動される。ステージ移動機構131としては、モータとボールねじの組合せ等、公知の移動機構が用いられる。
本発明にかかる光学デバイスを用いる露光ヘッド1は、ボックス172に固設される。それぞれ2本の脚部材141,142の頂部を橋渡しするように露光ヘッド1の照明光学系を収納したボックス172が設けられ、基台130のパターン描画領域SP1を上方から覆っている。
<パターン描画装置の動作>
露光ヘッド1は、「副走査方向」に相当する紙面奥行方向に複数チャネルで光を同時に照射できる。すなわち、露光ヘッド1は、当該奥行方向にそれぞれ個別に変調された複数の光ビームを同時に照射することができる。そして、ステージ移動機構131により「主走査方向」に相当する紙面左右方向に移動されるステージ160に伴って移動する基板Wに対し、露光ヘッド1から変調された光(変調光)が照射されることで、基板Wにパターンを描画することができる。変調光の形成方法については、後述する。
<露光ヘッドの構成>
次に、露光ヘッド1について図2を用いて説明する。ここで、基板Wの副走査方向をX方向とし、主走査方向をY方向とする。そして、露光ヘッド1が基板Wへ光を照射する照射方向(光進行方向)をZ方向とし、露光ヘッド1から基板Wに向かう方向を(+Z)方向として示す。
図2は、露光ヘッド1の内部構成を示す概略図である。図2は露光ヘッド1をY方向から見た場合の露光ヘッド1の内部構成を概念的に示している。なお、露光ヘッド1の内部構成のうち、光源等の一部分は、適宜ボックス172に収容される。
図2に示す露光ヘッド1は、所定の波長(例えば、830、635、405あるいは355ナノメートル(nm))の光ビームを出射する半導体レーザなどにより構成された光源21を有している。なお、355nmのレーザ光を用いる場合は、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザの3倍高調波を用いる固体レーザ光源となる。この光源21はコリメータレンズ(図示省略)を有しており、半導体レーザから出射される光ビームはコリメータレンズを介して平行光とされて図示を省略するミラーを介して照明光学系2に入射する。
この照明光学系2は3枚のシリンドリカルレンズ22,23,24により構成されており、光源21から出射してきた光ビーム53はシリンドリカルレンズ22,23,24の順で通過して光学デバイス3に入射する。
これらのうちシリンドリカルレンズ22はX方向にのみビーム拡大機能(負の集光機能)を有しており、シリンドリカルレンズ22を通過した光ビーム53は光軸52に垂直な光束断面が円形から次第にX方向に長い楕円形へと変化する。一方、光軸52およびX方向に垂直なY方向に関して、シリンドリカルレンズ22を通過した光の光束断面の幅は(ほぼ)一定とされる。また、シリンドリカルレンズ23はX方向にのみ正の集光機能を有しており、シリンドリカルレンズ22を通過した光ビーム53はシリンドリカルレンズ23によりビーム整形される。つまり、シリンドリカルレンズ23を通過した光ビーム53は、光束断面がX方向に長い一定の大きさの楕円形とされてシリンドリカルレンズ24へと入射する。このシリンドリカルレンズ24は、Y方向にのみ正の集光機能を有し、Y方向のみに着目した場合には、シリンドリカルレンズ24を通過した光ビーム53は集光しつつ、光学デバイス3の入射面311へと入射する。また、X方向に関しては、図2に示すように、シリンドリカルレンズ24からの光ビーム53は平行光ビームとして光学デバイス3に入射する。
光学デバイス3は、後述する動作により、所望の領域に回折格子を形成することができ、これにより光ビーム53を変調することができる。入射面311から入射した光進行方向(+Z方向)に進む光ビーム53のうち一部は、結晶に電圧が印加されることで形成された回折格子の存する領域を通過し、他の一部は結晶に電圧が印加されないことで回折格子が形成されない領域を通過する。
回折格子が形成された領域を通過する光ビーム53は、回折格子により回折されて光進行方向とは別の方向に進む回折光として、出射面312側から出射される。また、回折格子が形成されない領域を通過する光ビーム53は、そのまま光進行方向(+Z方向)に直進する0次光として、出射面312側から出射される。この0次光が、変調光54に相当する。
電気光学結晶基板31の出射面312側に設けられた結像光学系4では、レンズ41、アパーチャ板42およびレンズ43がこの順番で配置されている。レンズ41の前側焦点は、電気光学結晶基板31の出射面312の位置に設定され、レンズ41の後側焦点にアパーチャ板42が設けられており、電気光学結晶基板31の出射面312から+Z方向に平行に射出された変調光54はアパーチャ板42のアパーチャ部分を通過してレンズ43に入射する。さらに、レンズ43の前側焦点はアパーチャ板42の位置に設定され、レンズ43の後側焦点は基板Wの表面上に設定されており、変調光54はレンズ43を介して基板Wの表面上に照射される。
これに対して、電気光学結晶基板31から射出された回折光は光軸52に対して傾いた状態で電気光学結晶基板31から射出されるため、アパーチャ板42のアパーチャ部分を通過できない。したがって、回折光はアパーチャ板42で遮蔽される。こうして、0次光としての変調光54のみが基板Wの表面に照射され、基板Wに対する露光処理が実行される。
<光学デバイスの構成>
次に、光学デバイス3について図3から図6までの図面を適宜用いて説明する。
図3は、図2における光学デバイス3の斜視図、図4はその側面図、図5は図2のA−A'断面における光学デバイス3の断面図、図6は光学デバイス3における分極反転構造を、それぞれ概念的に示す図である。
まず、図3を参照して説明する。光学デバイス3は、強誘電体結晶により構成された電気光学結晶基板31を有する。電気光学結晶基板31は、分極の向きが互いに反対である分極対を所定の周期で光進行方向(Z方向)に対して直交する配列方向に配列した周期分極反転構造を含む複数の周期分極反転領域323および324を有する。周期分極反転領域323および324の詳細な構造は、後述する。
また、光学デバイス3は、絶縁層33と、後述の多層構造を有する共通電極34と、支持基板35とを有する。電気光学結晶基板31は、絶縁層33および共通電極34を介して支持基板35に支持されている。そして、電気光学結晶基板31の支持基板35とは反対側の主面には、電極36が所定のパターンにて形成されている。
電気光学結晶基板31は、酸化マグネシウム(MgO)を添加した平板状のリチウムナイオベート(MgO:Lithium Niobate、以下「MgO:LN」と記載する)の単結晶基板で構成され、このリチウムナイオベート単結晶基板に対して後述する処理を行うことで、電気光学結晶基板31に周期分極反転領域323および324を形成する。
なお、電気光学結晶基板31の材料としては、リチウムナイオベートに限られず、酸化マグネシウム(MgO)を添加したストイキオメトリリチウムタンタレート(MgO:Stoichiometric Lithium Tantalate、以下「MgO:SLT」と記載する)を用いてもよい。また、MgOを添加しないリチウムナイオベート(LN)やリチウムタンタレート(LT)を用いてもよい。
絶縁層33は、二酸化ケイ素(SiO)により構成され、電気光学結晶基板31の下面(−Y側のZX面)の、少なくとも周期分極反転領域323および324に対して全面均一に形成される。なお、絶縁層33の材料としては、SiOに限られず、酸化アルミニウム(Al)等の酸化膜や、窒化ケイ素(SiN)等の窒化膜を用いてもよい。
共通電極34は、絶縁層33の下面(−Y側のZX面)の、少なくとも周期分極反転領域323および324に対して全面均一に形成され、接地されている。共通電極34の詳細な構造は、後述する。
支持基板35は、共通電極34の下面(−Y側のZX面)に設けられ、周期分極反転領域323および324を有する電気光学結晶基板31よりも厚みが大きい板状部材である。支持基板35としては、電気光学結晶基板31と同一組成のMgO:LNの単結晶基板が用いられ、かつ結晶方位の絶対値が電気光学結晶基板31と一致するように接合されている。
なお、図3において、支持基板35は電気光学結晶基板31と同一形状であるが、本発明の実施に関してはこれに限られず、支持基板35が電気光学結晶基板31よりも長尺状である等、電気光学結晶基板31と重複し、かつ広い面積を有する形状にて形成されてもよい。
また、支持基板35を構成する材料や組成は、電気光学結晶基板31と同一組成に限られず、任意である。ただし、上述のように支持基板35を電気光学結晶基板31と同一組成で、かつ結晶方向の絶対値を電気光学結晶基板31と一致させて構成すると、耐環境性能を向上させることができ、好適である。
例えば、光源21から高出力の光ビームを受ける等して光学デバイス3の温度が上昇した場合に、光学デバイス3の各部において熱膨張が生じる。このとき、支持基板35が電気光学結晶基板31と同一組成で、かつ結晶方向の絶対値を電気光学結晶基板31と一致させて構成されていると、電気光学結晶基板31と支持基板35における熱膨張が同様の大きさにて生じる。これにより、各部の膨張差に起因するせん断力等で周期分極反転領域323等に含まれる周期分極反転構造にダメージが生じるのを抑制することができる。
複数本の電極36(図3では2本)は、駆動部(図示省略)とそれぞれ独立して電気的に接続し、それぞれ独立して駆動部から電圧が印加される。光学デバイス3は、駆動部から電極36に印加する電圧を制御することで電気光学結晶基板31内に回折格子を形成し、光変調を行う。
次に、図4から図6を参照して、複数の周期分極反転領域323および324の構造について説明する。
図4に示すように、複数の周期分極反転領域323および324は、(−Z)方向から(+Z)方向に、この順に配列する。すなわち、周期分極反転領域323および324は、光の進行方向であるZ方向に多段に配列する周期分極反転領域である。
図5の断面図を参照する。図5では、複数の周期分極反転領域323および324のうち、周期分極反転領域323の断面が示されている。周期分極反転領域323は、後述する処理により分極反転した分極反転部321と、分極反転されなかった非分極反転部322を有し、これら分極反転部321と非分極反転部322がX方向に周期的に配列することで、周期分極反転構造が形成される。
ここで、隣接する1組の分極反転部321と非分極反転部322を分極反転対32と称する。また、周期分極反転構造が配列するX方向を、適宜「配列方向」と称する。また、複数の周期分極反転構造323および324が配列するZ方向を、適宜「縦方向」と称する。第1実施形態では、配列方向(X方向)は縦方向(Z方向)と直交し、縦方向は光進行方向と一致する。しかしながら、本発明の実施に関してはこれに限られず、縦方向が光進行方向に対して一致せず、所定の角度(例えば、0.3度)をもって縦方向と光進行方向が交差する構成としてもよい。
図6を参照する。図6は、光学デバイス3をY方向からみた平面図について、特に複数の周期分極反転領域323および324に着目した概念図である。上記図5での説明のように、周期分極反転領域323は分極反転部321と非分極反転部322を有する。これと同様に、周期分極反転領域324も、分極反転部321と非分極反転部322を有する。
周期分極反転領域323は、配列方向に沿って、それぞれ第1幅801で分極反転部321と非分極反転部322が周期的に配列する。周期分極反転領域324は、配列方向に沿って、周期分極反転領域323の第1幅801と異なる幅である第2幅802で分極反転部321と非分極反転部322が配列する。
第1実施形態において、第2幅802は第1幅801の倍の長さである。本発明の実施に関して、第2幅802は、第1幅801の整数倍の長さであれば、必ずしも第1幅801の倍の長さである必要はないが、倍の長さであることがより好適である。
チャンネル数を多く得るには、分極反転部の幅を狭くすればよい。しかしながら、実際上、製造可能な分極反転部の幅には制限が有る。図6に示すように、配列方向に異なる周期で配列する複数の周期分極反転領域323,324を縦方向に多段に配列させる場合に、周期分極反転領域323における分極反転部321の幅(第1幅801)を設計できる限り狭く設定し、周期分極反転領域324における分極反転部321の幅(第2幅802)を第1幅801の倍とすれば、全体的に分極反転部321の幅を狭くすることができ、すなわちチャンネル数を多く得ることができる。
電極36(図3乃至図5参照)は、周期分極反転領域323および324に亘って延設される。また、図5等に示すように、電極36のX方向の幅は、複数の周期分極反転領域323および324における1個の分極反転対32の幅よりも広く、いずれの周期分極反転領域323および324においても少なくとも1つ以上の分極反転対32と接している。
<光学デバイスの動作>
次に、光学デバイス3による光の変調方法について説明する。
上述のとおり、電気光学結晶基板31の(+Y)側の一方主面(ZX面)には、電極36が設けられ、(−Y)側の他方主面(ZX面)には、接地されている共通電極34が設けられる。回折格子を形成するX方向の所望の領域に対応する電極36に、駆動部から所定電圧(0[V]以外の電圧)が印加されると、当該電極36に対応する複数の周期分極反転領域323および324のそれぞれX方向の一部領域のみ、電極36と共通電極34の間に電界が生じる。
当該電界により分極反転部321または非分極反転部322は、分極している方位に応じた符号(すなわち、正または負)の屈折率の変化を受ける。これにより、分極反転部321と非分極反転部322との間に周期的な屈折率の変化が生じ、当該電界が印加された複数の周期分極反転領域323および324の領域内に回折格子が形成される。ここで、第1実施形態において形成される回折格子は、ラマン−ナス回折型の回折格子である。
なお、本発明の実施に関しては、ラマン−ナス回折型に限られず、ブラッグ回折を利用する回折格子が形成されてもよい。かかる点に関しては、特開2015−52701号公報(特許文献1)の第1実施形態ないし第6実施形態に示すとおりに、回折型について様々な組合せが可能である。
光学デバイス3への電圧印加による電界発生により、回折格子が形成され、電気光学結晶基板31の入射面から光ビーム53が入射すると、光変調が行われ、変調光54として出射面312から出射する。
より具体的には、回折格子が形成された当該一部領域に対し、入射面311から光進行方向(+Z方向)に入射した光ビーム53は、回折格子により回折され、電気光学結晶基板31の出射面312から回折光として出射する。一方、電極36への電圧の印加を行わない他方領域では電界は発生しない。したがって、当該他方領域を光進行方向(+Z方向)に進む光ビーム53はそのまま真っ直ぐに電気光学結晶基板31内を直進して電気光学結晶基板31の出射面312から0次光(非回折光)として出射する。
このように、第1実施形態にかかる光学デバイス3は、2本の電極36に対する電圧印加をそれぞれ制御することで2チャンネル分の光変調を行うことが可能となっている。
なお、本発明の実施に関しては、電極36の本数は2本に限られず、例えば512チャンネルを実現するために、電極を512本設ける構成としてもよい。
ここで、上記図6での説明のとおり、周期分極反転領域323の配列方向に沿う分極反転対32の周期に対し、周期分極反転領域324の当該周期は整数倍であり、より具体的には2倍である。すなわち、互いに隣接する周期分極反転領域において、異なる周期の周期分極反転構造を有する。
このような複数の周期分極反転領域323および324へ順次入射する光ビーム53には、回折現象が直列に複数回作用する。したがって、その結果得られる変調光54について十分な回折強度が得られ、優れた消光比を得ることができる。
<光学デバイスの製造方法>
次に、第1実施形態にかかる光学デバイス3の製造方法を説明する。
図7は、光学デバイス3の製造方法について、各工程を示すフローチャートである。
以下、図7および図8を適宜用いて、基板準備工程(S11)から第1金属層形成工程(S13)までを説明する。図8は、第1金属層形成工程終了後の電気光学結晶基板31等の様子を示す模式図である。
光学デバイス3の製造では、はじめに、電気光学結晶基板31および支持基板35を準備する基板準備工程(S11)を行う。基板準備工程では、まず単分極化しているMgO:LNの単結晶基板を準備する。そして、当該単結晶基板から、同一サイズを有する短冊状の2枚のチップを、それぞれ電気光学結晶基板31および支持基板35の原材料として切り出す。このとき、各チップに対して結晶方位を示す切欠部をマーカ(図示省略)として設ける。MgO:LNの単結晶基板のサイズは任意であるが、第1実施形態では厚み1mmの基板を用いる。
次に、電気光学結晶基板31に対して絶縁層33を形成する第1絶縁層形成工程(S12)を行う。第1絶縁層形成工程では、電子ビーム加熱蒸着処理(EB蒸着処理)によって電気光学結晶基板31としてのチップの一方主面に対し、絶縁層33を形成する。
第1実施形態において、絶縁層33の材料としては酸化ケイ素(SiO)が用いられる。なお、本発明の実施に関しては、絶縁層33を形成する材料としては酸化ケイ素に限られず、酸化アルミニウム(Al)等、他の絶縁系酸化膜を用いても良い。また、絶縁層33の形成は、電子ビーム加熱蒸着処理に限られず、スパッタリング処理等、各種の成膜処理を採用してもよい。
次に、電気光学結晶基板31の絶縁層33および支持基板35に対して、多層の金属層により構成される共通電極を形成する共通電極形成工程(S13)を行う。共通電極形成工程では、まず、電子ビーム加熱蒸着処理によって、絶縁層33の上(すなわち絶縁層33における電気光学結晶基板31とは反対側の主面)にコンタクト電極層344を形成する。また、支持基板35の一方主面に対し、コンタクト電極層341を形成する。
続いて、電子ビーム加熱蒸着処理によって、コンタクト電極層341,344上(すなわち、コンタクト電極層341における支持基板35と反対側の主面と、コンタクト電極層344における絶縁層33と反対側の主面)に、それぞれ接合電極層342,343を形成する。
コンタクト電極層341,344としては、MgO:LNと物理的接着性の高い金属が選択され、第1実施形態ではクロム(Cr)が用いられる。
なお、本発明の実施に関しては、コンタクト電極層341,344としてはCrに限られず、チタン(Ti)を用いてもよい。
接合電極層342,343としては、導電性および耐酸化性の高い金属が好適であり、第1実施形態では金(Au)が用いられる。
以上により、支持基板35および絶縁層33上に共通電極としてのコンタクト電極層341,344および接合電極層342,343が形成される。
なお、コンタクト電極層341,344は、同一材料であっても異種材料であってもよく、同一の電子ビーム加熱蒸着処理によって絶縁層33および支持基板35に同時に形成されてもよいし、別個の電子ビーム加熱蒸着処理によって絶縁層33および支持基板35に別個に形成されてもよい。また、成膜処理は電子ビーム加熱蒸着処理に限られず、抵抗加熱蒸着処理や、スパッタリング処理によって形成されてもよい。
また、接合電極層342,343は、同一材料であっても異種材料であってもよく、同一のス電子ビーム加熱蒸着処理によって絶縁層33および支持基板35に同時に形成されてもよいし、別個の電子ビーム加熱蒸着処理によって絶縁層33および支持基板35に別個に形成されてもよい。また、成膜処理は電子ビーム加熱蒸着処理に限られず、抵抗加熱蒸着処理や、スパッタリング処理によって形成されてもよい。
図7のフローチャートに戻る。共通電極形成工程(S13)によりコンタクト電極層341,344および接合電極層342,343が形成されると、次に接合工程(S14)が実行される。本工程について、図9を用いて説明する。
図9は、接合工程(S14)終了後の電気光学結晶基板31等の様子を示す模式図である。接合工程では、電気光学結晶基板31または支持基板35のチップを上下反転させて接合電極層342と接合電極層343を対向させ、接合はんだ345により接合電極層342および接合電極層343を電気的に接合させる。接合はんだ345によるはんだ接合によって、4層構造の共通電極34が形成されて電気光学結晶基板31および支持基板35が一体化される。このとき、図9に示すように、電気光学結晶基板31および支持基板35の長手方向(図9中の左右方向)において電気光学結晶基板31および支持基板35を互いに所定距離だけずらして上下方向に積層配置する。
接合はんだ345としては、低融点(例えば、融点が摂氏300度以下)の金属や、合金が用いられる。第1実施形態では、接合はんだ345として共晶はんだ(Sn−Pbはんだ)を用いる。なお、接合はんだ345として、共晶はんだの他に、各種のはんだを用いてもよい。
なお、第1実施形態では接合電極層342,343の接合に接合はんだ345を用いたが、本発明の実施に関してはこれに限られず、接合電極層342,343を対向させながら接合電極層342,343の各対向面にアルゴン高速原子ビーム(Ar Fast Atom Beam、以下「Ar−FAB」と記載する)を照射して接合電極層342,343の各対向面を活性化させ、対向面同士を密着させて接合してもよい。Ar−FAB接合によっても、4層構造の共通電極34が形成されて電気光学結晶基板31および支持基板35が一体化される。
図7のフローチャートに戻る。接合工程(S14)により接合電極層342と接合電極層343が接合されると、次に研磨工程(S14)が実行される。本工程について、図10を用いて説明する。
図10は、研磨工程終了後の電気光学結晶基板31等の様子を示す模式図である。研磨工程では、支持基板35と一体化された電気光学結晶基板31において、支持基板35とは反対側の主面を平面研磨して薄膜化する。
後述する分極反転工程(S19)において、電気光学結晶基板31に微細かつ均一な周期分極反転領域32を形成するには、電気光学結晶基板31の厚みを0.1μm〜200μm程度とすることが望ましい。第1実施形態では、電気光学結晶基板31の厚みを30μmまで研磨する。
第1実施形態における光学デバイス3の製造方法では、研磨工程(S15)よりも前に接合工程(S14)を行うことで、電気光学結晶基板31が絶縁層33および共通電極34を介して支持基板35と一体化し、機械的強度を大きくしているため、研磨工程(S15)において、電気光学結晶基板31を高精度に、しかも所望膜厚まで容易に薄膜化することができる。
また、第1実施形態において、研磨工程前の電気光学結晶基板31および支持基板35の厚みは1mmであり、研磨後の電気光学結晶基板31は30μmであるため、研磨後の電気光学結晶基板31と比べて支持基板35は十分に厚く、研磨後の電気光学結晶基板31を強固に支持可能となっている。
また、支持基板35のチップから長手方向(図10中の左方向)に飛び出した電気光学結晶基板31のチップの端部を取り除いて、電気光学結晶基板31および支持基板35の端面をそろえて整形する。
図7のフローチャートに戻る。研磨工程(S15)により電気光学結晶基板31が薄膜化され、チップが整形されると、次に第2絶縁層形成工程(S16)が実行される。本工程について、図11から図13を用いて説明する。
第2絶縁層形成工程(S16)では、電気光学結晶基板31の支持基板35とは反対側の主面に絶縁層としてのレジスト膜を塗布、パターニングすることで、パターニングされたレジスト層37を形成する。
図11は、レジスト塗布後のチップ、すなわち製造途中の光学デバイスを示す模式図であり、図12は、第2絶縁層形成工程終了後の電気光学結晶基板31等の様子を示す平面図である。図13は、図12中のB1−B1'線での断面図を概略的に示す図である。図12および図13において、電気光学結晶基板31等、製造途中の光学デバイスを符号「300」を附して示す。
まず、図11を参照する。支持基板35と一体化された電気光学結晶基板31を研磨により所望の膜厚とした後、第2絶縁層形成工程(S16)を行う。第2絶縁層形成工程では、まずスピンコート法を用いて、電気光学結晶基板31の支持基板35とは反対側の主面にレジスト液を全面塗布し、乾燥によりレジスト層37を形成する。
次に、いわゆる写真製版法によりレジスト層37をパターニングし、電気光学結晶基板31の主面に、レジスト層37に覆われた領域と、レジスト層37に覆われずに主面が露わになった領域を形成する。
図12および図13を参照する。製造途中の光学デバイス300において、レジスト層37に覆われずに主面が露わになった領域を、電極形成領域313と称する。電極形成領域313は、後の反転用電極形成工程(S17)において電気光学結晶基板31の主面に直接、反転用電極361(後述)が形成される領域である。電気光学結晶基板31内において、この電極形成領域313から電気光学結晶基板31の絶縁層33側の主面へ垂直に延びる領域が、後の分極反転工程において分極反転部321(後述)を形成する「分極反転対象部」に該当する。
後の分極反転工程(S19)では、電気光学結晶基板31のうち、反転用電極361の形成位置に対応する位置に、周期分極反転領域32の分極反転部321が形成されるため、電極形成領域313の本数やサイズは、必要とする周期分極反転領域32により任意に選択される。
図12に示すように、第1実施形態においてレジスト層37をパターニングして得られる電極形成領域313は、Z方向(図6のZ方向に相当)、すなわち縦方向に沿って、第1領域314および第2領域315と、2個の領域に分けられる。それぞれの領域内において、電極形成領域313のX方向(図6のX方向に相当)、すなわち配列方向における幅は等しく、当該配列方向に周期的に配列する。
ここで、第1領域314の配列方向におけるそれぞれの電極形成領域313の幅を、「第1形成領域幅811」と、第1領域314において配列方向に隣接する複数の電極形成領域313間のレジスト層37の配列方向における幅を、「第1間隔821」と、称する。
また、第2領域315の配列方向におけるそれぞれの電極形成領域313の幅を、「第2形成領域幅812」と、第2領域315において配列方向に隣接する複数の電極形成領域313間のレジスト層37の配列方向における幅を、「第2間隔822」と、称する。
次に、これらの幅の関係を説明する。第1形成領域幅811と第1間隔821の長さは等しい。すなわち、第1領域314では、配列方向に沿って、レジスト層37が設けられる領域と、電極形成領域313が設けられる領域が、それぞれ等間隔に周期的に配列する。
また、第2形成領域幅812と第2間隔822の長さは等しい。すなわち、第2領域315では、配列方向に沿って、レジスト層37が設けられる領域と、電極形成領域313が設けられる領域が、それぞれ等間隔に周期的に配列する。
そして、第2形成領域幅812は、第1形成領域幅811の2倍の長さを有する。本発明の実施に関しては、第2形成領域幅812は、第1形成領域幅811の2倍の長さであることは必須ではないが、少なくとも整数倍の長さであり、その中でも2倍の長さであることが好適である。
また、第1領域314における電極形成領域313は、配列方向に沿って、それぞれ1個置きに第2領域315の電極形成領域313と縦方向に接続する。
そして、第2領域315における、任意の電極形成領域313の配列方向における中心線と、当該電極形成領域313と縦方向に接続する第1領域314における電極形成領域313の配列方向における中心線は重なる。図12中に、上記の一致する中心線を中心線C1として示す。
なお、図12中には、中心線C1を1本のみ図示しているが、これは代表的に中心線を図示したものであり、実際には第2領域315における複数の電極形成領域313のそれぞれの配列方向における中心線が、当該電極形成領域313と縦方向にそれぞれ接続する第1領域314における電極形成領域313の配列方向における個別の中心線と重なる。
換言すれば、配列方向において、任意の電極形成領域313の中心線C1から当該電極形成領域313と縦方向に接続する第1領域314における1個の電極形成領域313の端(レジスト層37との境界線)までの距離861は、第1形成領域幅811の1/2倍の長さであり、第2形成領域幅812の1/4倍の長さである。上記のような電極形成領域313の配置の効果については、後述する。
図13は、製造途中の光学デバイス300を図12のB1−B1'線にて切断したXY面の断面図を示す図である。レジスト層37に凹部が設けられ、その底面(すなわち、電気光学結晶基板31の主面)に相当する位置が電極形成領域313である。換言すれば、第2絶縁層形成工程では、電気光学結晶基板31の主面において、複数の隙間を有するレジスト層37が形成され、当該複数の隙間にて露出した電気光学結晶基板31の主面が、電極形成領域313である。
ここで、レジスト層37としては、絶縁性樹脂を含むレジストを用いる。これにより、塗布・乾燥後のレジスト層37は、絶縁層として機能する。すなわち、レジスト層37は、電極形成領域313以外の領域に、後の分極反転工程(S19)において反転用電極361に与えられる電圧が伝わらないようにする絶縁層の役割を果たす。
なお、第1実施形態ではレジスト液の塗布にスピンコート法を用いたが、本発明の実施に関してはこれに限られず、バーコータ法等、各種の塗布方式を選択することができる。
図7のフローチャートに戻る。レジスト層37をパターニングし、電極形成領域313が電気光学結晶基板31の主面に形成されると、次に、反転用電極形成工程(S17)を行う。反転用電極形成工程(S17)では、レジスト膜37および電気光学結晶基板31の支持基板35とは反対側の主面に、分極反転構造を形成するための反転用電極361を形成する。以下、図14および図15を用いて、反転用電極形成工程(S17)について説明する。
図14は、反転用電極形成工程(S17)後の光学デバイス300の様子を示す平面図である。図15は、図14中のB2−B2'線での断面を示す概略図である。
反転用電極形成工程(S17)では、真空蒸着処理により、光学デバイス300のレジスト層37の表面および電気光学結晶基板31の電極形成領域313に、反転用電極361が形成される。
反転用電極361は、多種の金属からなる多層膜であり、電極形成領域313やレジスト層37の表面と直接接触するコンタクト層と、コンタクト層の表面に成膜され、後述するプローブ721と直接接触する表面層と、を有する。
コンタクト層としては、共通電極形成工程(S13)のコンタクト電極層341,344と同様に、電気光学結晶基板31を構成するMgO:LNと物理的接着性の高い金属が選択される。第1実施形態では当該金属としてクロム(Cr)が用いられる。
なお、本発明の実施に関しては、当該金属としてはCrに限られず、チタン(Ti)を用いてもよい。
表面層としては、共通電極形成工程(S13)の接合電極層342,343と同様に、導電性および耐酸化性の高い金属が選択される。第1実施形態では当該金属として金(Au)が用いられる。
反転用電極形成工程では、まず光学デバイス300について、反転用電極361を形成させる領域のみ露出させ、他の領域をマスク(図示省略)で覆う。具体的には、電極形成領域313と、レジスト層37の表面のうち端部を除く中央領域を、反転用電極361を形成させる領域として露出させ、他の領域がマスクに覆われる。この状態で、光学デバイス300へ真空蒸着処理がなされることにより、レジスト層37の表面および電気光学結晶基板31の電極形成領域313の表面にコンタクト層が成膜される。次に、表面層が、コンタクト層の表面に真空蒸着処理により成膜される。
以上により、光学デバイス300のレジスト層37の表面および電気光学結晶基板31の電極形成領域313に反転用電極361が形成される。
なお、反転用電極361の成膜処理は真空蒸着処理に限られず、スパッタリング処理によって形成されてもよい。また、反転用電極361は、第1実施形態ではコンタクト層および表面層を含む多層膜として形成したが、表面層のみを含む単層膜として形成してもよい。
また、図14に示すように、反転用電極361は、蒸着によりマスク(図示省略)で覆われなかった光学デバイス300のレジスト層37側の主面の一面に、ベタ電極として形成される。このうち、電極形成領域313においては、反転用電極361が電気光学結晶基板31と接し、それ以外の領域においては、レジスト層37と接することで電気光学結晶基板31と接しない。
すなわち、反転用電極361は、図14のY方向に沿って、電極形成領域313に形成される反転用電極361と、電極形成領域313と接さず、レジスト層37の表面に形成される反転用電極361とに分けられる。
電極形成領域313に形成される反転用電極361は、さらに第1領域314の電極形成領域313に形成されるものと、第2領域315の電極形成領域313に形成されるものに分けられる。ここで、反転用電極361のうち、第1領域314の電極形成領域313に形成される領域を、「第1電極領域363」と称し、第2領域315の電極形成領域313に形成される領域を、「第2電極領域364」と称する。
第1電極領域363では、配列方向に沿って第1電極幅831の長さを有する複数の反転用電極361が、配列方向に沿って第1間隔832の長さでそれぞれ離間して周期的に配列する。ここで、第1電極幅831は、第1形成領域幅811(図12参照)と対応し、第1実施形態では第1電極幅831と第1形成領域幅811の長さは等しい。また、第1間隔832は第1間隔821(図12参照)と対応し、第1実施形態では第1間隔832と第1間隔821の長さは等しい。
第2電極領域364では、配列方向に沿って第2電極幅841の長さを有する複数の反転用電極361が、配列方向に沿って第2間隔842の長さでそれぞれ離間して周期的に配列する。ここで、第2電極幅841は、第2形成領域幅812(図12参照)と対応し、第1実施形態では第2電極幅841と第2形成領域幅812の長さは等しい。また、第2間隔842は第2間隔822(図12参照)と対応し、第1実施形態では第2間隔842と第2間隔822の長さは等しい。
すなわち、第1電極領域363と第2電極領域364において、第1電極幅831と第1間隔832の長さは等しく、第2電極幅841と第2間隔842の長さは等しく、第2電極幅841は第1電極幅831の2倍の長さである。
また、第2電極領域364における反転用電極361の配列方向における中心線と、第1電極領域363における反転用電極361の配列方向における一部の中心線が重なるように、第1電極領域363と第2電極領域364が縦方向に配列される。図14において、上記の中心線を図12と同様に中心線C1として示す。
図15は、製造途中の光学デバイス300を図14のB2−B2'線にて切断したXY面の断面図を示す図である。図15に示すように、レジスト層37の表面、および電極形成領域313に反転用電極361が形成される。また、図15では第2電極領域364における断面図を示しており、第2電極幅841が電極形成領域313であった位置に、第2間隔842がレジスト層37の表面に、それぞれ形成されることを示している。
図7のフローチャートに戻る。光学デバイス300において、反転用電極361が形成されると、次に、保護レジスト形成工程(S18)を行う。保護レジスト形成工程では、反転用電極361およびレジスト層37を含む光学デバイス300の上面に、保護レジスト層38を形成する。図16および図17を用いて、保護レジスト形成工程を説明する。
図16は、保護レジスト形成工程後の光学デバイス300の様子を示す平面図である。図17は、図16中のB3−B3'線での断面を示す概略図である。
保護レジスト形成工程(S18)では、第2絶縁層形成工程(S16)と同様に、レジスト液をスピンコート法等により全面塗布した後に乾燥させて保護レジスト層38を形成する。次に、写真製版法等により保護レジスト層38をパターニングして、切欠き部381を形成する。これにより、反転用電極361のうち、後の分極反転工程(S19)において後述のプローブ721を接触させるコンタクト部362を露出させ、残りの部分は保護レジスト層38により保護する。
なお、本実施形態では、上記のように保護レジスト層38により、後の工程における反転要電極361へのダメージを防止するが、本願発明の実施に関しては、保護レジスト層38は必須ではない。保護レジスト層38を設けずに、すなわち保護レジスト形成工程(S18)を省略して、次の分極反転工程(S19)を行う構成としてもよい。
図7のフローチャートに戻る。光学デバイス300において、保護レジスト層38のパターニングが完了すると、次に、分極反転工程(S19)を行う。分極反転工程では、電圧印加法によって、電気光学結晶基板31のうちレジスト層37の凹部である電極形成領域313に対応する領域の分極反転を行う。図18から図21までを用いて、分極反転工程(S19)を説明する。
図18は、分極反転工程中の光学デバイス300の様子を示す模式図である。第1実施形態における分極反転工程では、図18に示す電圧印加装置70を用いる。電圧印加装置70は、電圧印加槽711、プローブ721,722、電圧源724およびプローブ721,722と電圧源724とを電気的に接続する電線723を備える。
分極反転工程が開始されると、まず、シリコンオイル712が貯留された電圧印加槽711に製造途中の光学デバイス300を浸漬させる。この状態で、次にプローブ721を反転用電極361のコンタクト部362に、プローブ722を接合電極層342を介してコンタクト電極層344に電気的に接続し、電圧源724によりプローブ721とプローブ722の間に高電圧を印加する。
図19は、高電圧印加中の光学デバイス300の様子を示す模式図である。電圧源724による高電圧の印加により。反転用電極361とコンタクト電極層344との間で電界が発生し、電気光学結晶基板31のうち電極形成領域313に対応する領域から、反対側の主面である絶縁層33側の主面まで分極反転部321が徐々に形成される。
図20は、高電圧の印加によって、光学デバイス300に周期分極反転領域32が形成された後の様子を示す模式図である。各電極形成領域313に対し、電気光学結晶基板31内に生じる電界が均一に生じれば、分極反転部321が電気光学結晶基板31の主面に対して図20に示すようにそれぞれ垂直に形成される。
図21は、分極反転工程(S19)後の電気光学結晶基板31内部の分極の様子を示す概念図である。図21において、X方向が配列方向(図6のX方向)に相当し、Z方向が縦方向(図6のZ方向)に相当し、図21における分極反転部321の位置関係は図12に示す電極形成領域313と対応する。
図20および図21に示すように、電気光学結晶基板31において電極形成領域313に対応する領域に分極反転部321が形成され、それ以外の領域は、レジスト層37が残留したために電界が作用せず、分極反転しなかった非分極反転部322となる。配列方向に互いに隣接する分極反転部321および非分極反転部322により分極反転対32が形成され、分極反転対32が、配列方向に沿って周期的に配列することで、周期分極反転領域が形成される。
図12の第1領域314および第2領域315と、それぞれ対応する位置の周期分極反転領域が、周期分極反転領域323および324となる。
高電圧の印加により、周期分極反転領域323および324が形成された後、電圧印加槽711から光学デバイス300を取り出す。
ここで、反転用電極361の好適な形状について、図12,図14および図21から図23までを用いて説明する。
第1実施形態における電極形成領域313は、図12の中心線C1に示すように、第1形成領域幅811の一部の中心線と、第2形成領域幅812の中心線とが重なるように、第1領域314および第2領域315が縦方向に配列した。すなわち、中心線C1を基準に、第2領域315における電極形成領域313が、第1領域314の任意の電極形成領域313に対して配列方向に対称構造となるよう形成した。これにより、反転用電極361も中心線C1を基準に上記の対称構造(図14参照)となり、その結果、図21に示すように分極反転部321も中心線C1を基準に配列方向に対称構造となる。
実際に、分極反転工程において電圧印加法により分極反転部321を形成すると、反転用電極361のうち第1領域314の、第2領域315との縦方向における接続部分(図14参照)において、反転用電極361の幅の違いに起因して電界の不均一が生じる。
ここで、電界の分布について説明する。「特開2009−186634号公報」でも説明されているように、矩形の電極片に電圧を印加し、電極間に電界を発生させた場合、電極片のエッジで電界強度が最大となる電界分布をとる。このため、分極反転も電極片のエッジから発生しやすい特性があり、早期発生に起因してエッジ部分で分極反転が多く進み、エッジ部分において設計通りに分極反転構造が形成されず、分極反転部が膨らむことがある。
第1実施形態の場合、反転用電極361のうち第1領域314の、第2領域315との縦方向における接続部分には、反転用電極361の幅の違いに起因して電極のエッジが多い。これにより、当該接続部分で分極反転の形成速度が他の領域よりも速くなり、図21に示すように分極反転部321が当該接続部分で反転用電極361の形状よりも膨らんで形成される。図21中に、この膨らみ部分を、「膨れF1」および「膨れF2」として記す。
これら膨れF1,F2は、本来非分極反転部322となるべき領域であり、かかる膨れF1,F2が生じると、分極反転部321の形状が設計と異なるため、本来の光変調特性を発揮できないおそれがある。
しかしながら、第1実施形態では図12,図14に示すように、電極形成領域313および反転用電極361が中心線C1を基準に対称に形成されるため、図21に示すように膨れF1,F2も各分極反転部321において配列方向に左右対称に生じる。配列方向は、光ビーム入射時の回折方向と対応する。これにより、かかる膨れが生じることに起因して回折特性、すなわち変調特性が設計値と相違するようになっても、当該相違が左右対称に生じることで、光変調特性の左右の非対称性に起因するデバイス性能の低下を抑制することができる。
この点、例えば図22に示すように、第1領域314における電極形成領域313を、第2領域315における電極形成領域313ごとの配列方向における中心線C1に対して左右対称に形成しない場合、図23のように周期分極反転領域324における分極反転部321が配列方向にそれぞれ左右非対称となり、光変調特性が回折方向で非対称となって、変調特性が第1実施形態の場合と比べ、低くなる。
上記をまとめると、第1実施形態において、縦方向(Z方向)に多段に配列する複数の周期分極反転領域323,324を形成するために、電気光学結晶基板31の一方主面に設けられる反転用電極361は、平板状の電気光学結晶基板31の一方主面(Y側のZX面)に設けられる。また、反転用電極361は、当該一方主面に形成された複数の隙間を有する絶縁層としてのレジスト層37、およびレジスト層37の複数の隙間にて露出した当該一方主面である電極形成領域313に、形成される。電極形成領域313に形成される反転用電極361は、配列方向(X方向)に沿って第1電極幅831の長さを有する複数の反転用電極361が第1間隔832で離間して周期的に配列する第1電極領域363と、配列方向に沿って第2電極幅841の長さを有する複数の反転用電極361が第2間隔842で離間して周期的に配列する第2電極領域364と、を有する。そして、第1電極幅831と第1間隔832の長さは等しく、第2電極幅841と第2間隔842の長さは等しく、第2電極幅841は、第1電極幅831の整数倍(偶数倍、より好適には2倍)の長さであり、第1電極領域363は、第2電極領域364に対し、配列方向に対して垂直な方向である縦方向(Z方向)に、第2電極領域364における反転用電極361の配列方向における中心線と、第1電極領域363における反転用電極361の配列方向における一部の中心線と、が重なるように配列することを特徴とする。
これにより、分極反転部321に膨れが生じても、当該膨れが分極反転部321のそれぞれにおいて配列方向に左右対称に生じるため、回折特性の設計値からのズレを抑制でき、より高精度な周期分極反転構造を実現することができる。
図7のフローチャートに戻る。分極反転工程(S19)により複数の周期分極反転領域323,324が形成されると、次に、反転用電極361等を取り除く除去工程と、駆動用の電極36を形成する駆動電極形成工程を有する仕上工程(S20)を行う。
仕上工程(S20)が開始されると、複数の周期分極反転領域323,324が形成された電気光学結晶基板31の主面から、レジスト層37、反転用電極361および保護レジスト層38を除去する(除去工程)。また、支持基板35等は、整形のため必要に応じて研磨される。
その後、蒸着装置により、電気光学結晶基板31の絶縁層33と反対側の主面(一方主面)に、電極36を形成する(駆動電極形成工程)。
これにより、図3ないし図6に示す光学デバイス3が得られる。ここで、コンタクト電極層341,344、接合電極層342,343および接合はんだ345は、共通電極34として扱われる。
ここで、図3乃至図5において説明したように、駆動電極としての電極36は、周期分極反転領域323を含む一方主面(Y側のZX面)上および周期分極反転領域324を含む一方主面(Y側のZX面)上に、縦方向(Z方向)に亘って延設される。
<第2実施形態>
第1実施形態では、反転用電極361の形状を、第2電極領域364における反転用電極361の配列方向における中心線と、第1電極領域363における反転用電極361の配列方向における一部の中心線と、が重なるように縦方向に配列させる形状とした。これにより、分極反転部321に膨れが生じても、当該膨れが分極反転部321のそれぞれにおいて配列方向に左右対称に生じるため、回折特性の左右非対称性を抑制できた。
しかしながら、分極反転部321の周期が短い等の条件によっては、当該膨れが配列方向に隣接する他の分極反転部321にまで膨れ拡がって癒着することで、周期分極反転構造が正確に形成されず、かかる光学デバイスを光変調器へ応用する場合には回折効率が低下する等の悪影響が生じるおそれがある。このように、分極反転部321の周期が短い等の条件次第では、膨れが生じない、または膨れが第1実施形態よりも抑制される反転用電極361の形状が必要となる。
本願の第2実施形態は、光進行方向に多段に配列される周期分極反転構造の間に隙間を設ける点で第1実施形態と相違する。かかる隙間を設けることにより、分極反転部321の膨れを抑制することができる。
図24に、第2実施形態における製造途中の光学デバイス301の概略図を示す。図24は、第2絶縁層形成工程後(図7参照)の光学デバイス301を示している。第2実施形態において、第1実施形態と相違するのは、電極形成領域313の形状であり、これに伴い反転用電極361の形状、分極反転部321の形状が相違する以外は、第1実施形態と同様の構成である。このため、特に断らない場合には第1実施形態と同符号を附して説明し、第1実施形態と同じ工程・構造等については適宜説明を省略する。
図24に示すように、第2実施形態においてレジスト層37をパターニングして得られる電極形成領域313は、Z方向に、第1領域314および第2領域315の2個の領域に分けられる。それぞれの領域内において、電極形成領域313のX方向における配列は、第1実施形態と同様であり、各部の幅は、第1実施形態と同様の用語にて称する。
すなわち、第2実施形態においても、第1形成領域幅811と第1間隔821の長さは等しい。すなわち、第1領域314では、配列方向に沿って、レジスト層37が設けられる領域と、電極形成領域313が設けられる領域が、それぞれ等間隔に周期的に配列する。
また、第2形成領域幅812と第2間隔822の長さは等しい。すなわち、第2領域315では、配列方向に沿って、レジスト層37が設けられる領域と、電極形成領域313が設けられる領域が、それぞれ等間隔に周期的に配列する。
そして、第2形成領域幅812は、第1形成領域幅811の2倍の長さを有する。本発明の実施に関しては、第2形成領域幅812は、第1形成領域幅811の2倍の長さであることは必須ではないが、少なくとも整数倍の長さであり、その中でも2倍の長さであることが好適である。
ここで、第2実施形態が第1実施形態と相違する点は、第1領域314における電極形成領域313が、第2領域315の電極形成領域313と縦方向に接続せず、所定の距離で離間する点である。以降、当該所定の距離を「離間幅851」と称する。
換言すると、第1領域314の電極形成領域313と、第2領域315の電極形成領域313との間には、縦方向に離間幅851分の距離だけレジスト層37が存する。
第2実施形態において、離間幅851は第1間隔821の長さと等しい。本発明の実施に関しては、離間幅851と第1間隔821の長さが等しいことは必須ではない。このように構成することの効果については、後述する。
第1領域314および第2領域315におけるそれぞれの電極形成領域313の配列方向における中心線の関係は、第1実施形態と同様である。すなわち、第2領域315における、任意の電極形成領域313の配列方向における中心線と、当該電極形成領域313と縦方向に離間幅851だけ離間する第1領域314における一部の電極形成領域313の配列方向における中心線は重なる。図24中に、上記の一致する中心線を中心線C1として示す。
図25は、第2実施形態における反転用電極形成工程後(図7参照)の製造途中の光学デバイスの平面図を示す概念図である。第2実施形態において、図24のような電極形成領域313を有する製造途中の光学デバイス301に対し、反転用電極形成工程を行うと、図25に示すように反転用電極361が電極形成領域313およびレジスト層37の表面に形成される。
図25は、第1実施形態の図14と対応する。すなわち、図25に示すように、第2実施形態において電極形成領域313に直接形成される反転用電極361は、Z方向に、第1電極領域363および第2電極領域364の2個の領域に分けられる。それぞれの領域内において、電極形成領域313のX方向における配列は、第1実施形態と同様であり、各部の幅は、第1実施形態と同様の用語にて称する。
すなわち、第2実施形態においても、第1電極幅831と第1間隔832の長さは等しく、第2電極幅841と第2間隔842の長さは等しい。
そして、第2電極幅841は、第1電極幅831の2倍の長さを有する。本発明の実施に関しては、第2電極幅841は、第1電極幅831の2倍の長さであることは必須ではないが、少なくとも整数倍の長さであり、その中でも2倍の長さであることが好適である。
ここで、第2実施形態が第1実施形態と相違する点は、第1電極領域363において、電極形成領域313に形成された反転用電極361が、第2電極領域364の電極形成領域313に形成された反転用電極361と縦方向に接続せず、所定の距離で離間する点である。以降、当該所定の距離を「離間幅852」と称する。離間幅852は、図24の離間幅851と対応する。
第2実施形態において、離間幅851と第1間隔821とが等しいことに対応して、離間幅852は第1間隔832の長さと等しい。本発明の実施に関しては、離間幅852と第1間隔832の長さが等しいことは必須ではない。しかしながら、このように構成することで、電極形成領域313に後に形成される反転用電極361から電気光学結晶基板31へ与えられる電界によって分極反転部321が形成される際、第1電極領域363における第1間隔832と、離間幅852との距離が等しいことから、いずれか間隔が狭い方において分極反転部321の膨れが偏って生じることを防止でき、その結果、隣接する分極反転部321と癒着することを防止することができる。
次に、第2実施形態における反転用電極361の形状の効果について説明する。図25に示すように形成された反転用電極361に対し、分極反転工程(図7参照)において電圧が印加され、反転用電極361に対応する電気光学結晶基板31内に分極反転部321が形成される際、第1実施形態と同様に、第2電極領域364における反転用電極361と第1電極領域363における反転用電極361とが中心線C1を基準に配列方向に対称構造を有することから、分極反転部321に膨れが生じても、当該膨れが分極反転部321のそれぞれにおいて配列方向に左右対称に生じるため、回折特性の低下が抑制できる。
また、第2実施形態では、さらに第1電極領域363と第2電極領域364が縦方向に離間することで、電極形成領域313に直接形成される反転用電極361のうち、配列方向における幅が互いに異なる反転用電極361間と対応する電気光学結晶基板31の分極反転部321間で、お互いの電界の影響を受けにくくなり、分極反転部321の膨れが第1実施形態と比べ抑制される。
図26は、上記の分極反転工程により光学デバイス301に形成される周期分極反転領域323および324を概念的に示す図である。離間幅852(図25参照)に対応して、周期分極反転領域323および324の間には幅803の非分極反転部322が位置する。
ここで、図26に示すように周期分極反転領域323,324の間に非分極反転部322が位置すると、完成した光学デバイス3が光変調器として動作する際の回折格子としての特性が、非分極反転部322が幅803で位置しない場合と比べ変化する。しかしながら、幅803が、縦方向に多段に配列する複数の周期分極反転領域のうち、配列周期が長い方における、非分極反転部322の配列方向における幅、すなわち周期分極反転領域324の第2幅802よりも短い距離であれば、幅803分の非分極反転部322を設けない場合と比べ変化する回折格子としての特性は、実際の変調動作上問題のない範囲となる。
したがって、幅803は縦方向に多段に配列する複数の周期分極反転領域のうち、配列周期が長い方である周期分極反転領域324の第2幅802よりも短い距離であることが好適である。ここで、幅803は離間幅851と対応し、第2幅802は第2間隔822と対応する(図24参照)。すなわち、このような構成とするためには、第2絶縁層形成工程において形成されるレジスト層37のレジストパターンが、離間幅851が第2間隔822よりも短い距離となるように設計すればよい。
以上より、回折格子の設計への影響という観点からは、離間幅851が第2間隔822よりも短い距離となることが好適であり、分極反転部321の均一な形成という観点からは、離間幅851が第1間隔821と等しい距離であることが好適である。すなわち、離間幅851は、第2間隔822よりも短く、第1間隔821以上の距離であることが好適であり、離間幅851が第1間隔821と等しい距離であることがより好適である。
<第3実施形態>
第2実施形態では、第2電極領域364における反転用電極361の配列方向における中心線と、第1電極領域363における反転用電極361の配列方向における一部の中心線と、が重なるように縦方向に配列させ、さらに第2電極領域364における反転用電極361と第1電極領域363における反転用電極361が縦方向に離間する形状とした。これにより、分極反転部321に膨れが生じても、当該膨れが分極反転部321のそれぞれにおいて配列方向に左右対称に生じるため、回折特性の低下が抑制できることに加え、
縦方向に配列する反転用電極361に対応する電気光学結晶基板31間で、互いの電界の影響を受けにくくなり、分極反転部321の膨れがより抑制された。
しかしながら、分極反転部321がより短周期である場合や、分極反転工程における印加電圧が高い場合、そして、レジスト層37の薄膜化や材料選択の都合上レジスト層37に用いる絶縁材料の絶縁性が不十分である場合等、条件によっては、第2実施形態のような対策をとっても、縦方向に配列する反転用電極361に対応する電気光学結晶基板31間で、互いの電界の影響を受け、分極反転部321の膨れが生じるおそれがある。
本願の第3実施形態は、縦方向に多段に配列される周期分極反転領域323,324の間に隙間を設ける点で第2実施形態と共通し、周期分極反転領域323,324の配置する位置関係が第1実施形態および第2実施形態と相違する。
図27に、第3実施形態における製造途中の光学デバイス302の概略図を示す。図27は、第2絶縁層形成工程後(図7参照)の光学デバイス302を示している。第3実施形態において、第2実施形態と相違するのは、電極形成領域313の形状であり、これに伴い反転用電極361の形状、分極反転部321の形状が相違する以外は、第2実施形態と同様の構成である。このため、特に断らない場合には第2実施形態と同符号を附して説明し、第2実施形態と同じ工程・構造等については適宜説明を省略する。
図27に示すように、第3実施形態においてレジスト層37をパターニングして得られる電極形成領域313は、Z方向に、第1領域314および第2領域315の2個の領域に分けられる。それぞれの領域内において、電極形成領域313のX方向における配列は、第2実施形態と同様であり、各部の幅は、第2実施形態と同様の用語にて称する。
すなわち、第3実施形態においても、第1形成領域幅811と第1間隔821の長さは等しく、第2形成領域幅812と第2間隔822の長さは等しい。また、第2形成領域幅812は、第1形成領域幅811の2倍の長さを有する。本発明の実施に関しては、第2形成領域幅812は、第1形成領域幅811の2倍の長さであることは必須ではないが、少なくとも整数倍の長さであり、その中でも2倍の長さであることが好適である。
第3実施形態では、第2実施形態と同様に、第1領域314における電極形成領域313が、第2領域315の電極形成領域313と縦方向に接続せず、所定の距離で離間する。当該所定の距離は、第2実施形態と同様に「離間幅851」と称する。
また、第3実施形態では、第2実施形態と同様に、離間幅851が第1間隔821と等しい長さを有する。この構成による効果は、第2実施形態と同様である。また、本発明の実施に関しては、離間幅851と第1間隔821の長さが等しいことは必須ではない。
ここで、第3実施形態が第2実施形態と相違する点は、第1領域314および第2領域315におけるそれぞれの電極形成領域313の配列方向における中心線の位置関係である。
第3実施形態では、第2領域315における、任意の電極形成領域313の配列方向における中心線は、当該電極形成領域313と縦方向に離間幅851だけ離間する第1領域314における一部の電極形成領域313の配列方向における中心線とは一致しない。
その代わりに、第2領域315における、任意の電極形成領域313の配列方向における中心線は、第1領域314において第1間隔821で配列方向に隣接する複数の電極形成領域313間のレジスト層37の配列方向における中心線と重なるように、第1領域314および第2領域315の電極形成領域313が縦方向に配列する。図27中に、上記の一致する中心線を中心線C2として示す。
なお、図27中には、中心線C2を1本のみ図示しているが、これは代表的に中心線を図示したものであり、実際には第2領域315における複数の電極形成領域313のそれぞれの配列方向における中心線が、当該電極形成領域313と縦方向にそれぞれ離間幅852だけ離間して配置する第1領域314における電極形成領域313間に位置するレジスト層37の配列方向における個別の中心線と重なる。
換言すれば、配列方向において、任意の中心線C2から、第1領域314において当該中心線C2が通るレジスト層37の端(電極形成領域313との境界線)までの距離862は、第1形成領域幅811の1/2倍の長さであり、第2形成領域幅812の1/4倍の長さである。上記のような電極形成領域313の配置の効果については、後述する。
図28は、第3実施形態における反転用電極形成工程後(図7参照)の製造途中の光学デバイス302の平面図を示す概念図である。第3実施形態において、図27のような電極形成領域313を有する製造途中の光学デバイス302に対し、反転用電極形成工程を行うと、図28に示すように反転用電極361が電極形成領域313およびレジスト層37の表面に形成される。
図28は、第1実施形態の図14と対応する。すなわち、図28に示すように、第3実施形態において電極形成領域313に直接形成される反転用電極361は、Z方向に、第1電極領域363および第2電極領域364の2個の領域に分けられる。それぞれの領域内において、電極形成領域313のX方向における配列は、第2実施形態と同様であり、各部の幅は、第2実施形態と同様の用語にて称する。
すなわち、第3実施形態においても、第1電極幅831と第1間隔832の長さは等しく、第2電極幅841と第2間隔842の長さは等しい。
そして、第2電極幅841は、第1電極幅831の2倍の長さを有する。本発明の実施に関しては、第2電極幅841は、第1電極幅831の2倍の長さであることは必須ではないが、少なくとも整数倍の長さであり、その中でも2倍の長さであることが好適である。
第3実施形態では、第2実施形態と同様に、電極形成領域313に形成される反転用電極361において、第1電極領域363に形成された反転用電極361と第2電極領域364に形成された反転用電極361が縦方向に接続せず、所定の距離で離間する。以降、当該所定の距離を「離間幅852」と称する。離間幅852は、図27の離間幅851と対応する。
ここで、第3実施形態が第2実施形態と相違する点は、第2電極領域364において、電極形成領域313上に直接形成された任意の反転用電極361の配列方向における中心線が、第1電極領域363において第1間隔832で配列方向に隣接する複数の反転用電極361間のレジスト層37の配列方向における中心線と重なるように、第1電極領域363および第2電極領域364の反転用電極361が縦方向に配列する点である。
第3実施形態において、離間幅851と第1間隔821とが等しいことに対応して、離間幅852は第1間隔832の長さと等しい。本発明の実施に関しては、離間幅852と第1間隔832の長さが等しいことは必須ではない。しかしながら、このように構成することで、電極形成領域313に後に形成される反転用電極361から電気光学結晶基板31へ与えられる電界によって分極反転部321が形成される際、第1電極領域363における第1間隔832と、離間幅852との距離が等しいことから、いずれか間隔が狭い方において分極反転部321の膨れが偏って生じることを防止でき、その結果、隣接する分極反転部321と癒着することを防止することができる。
次に、第3実施形態における反転用電極361の形状の効果について説明する。図28に示すように形成された反転用電極361に対し、分極反転工程(図7参照)において電圧が印加され、反転用電極361に対応する電気光学結晶基板31内に分極反転部321が形成される際、第1実施形態と同様に、第2電極領域364における反転用電極361と第1電極領域363における反転用電極361とが中心線C2を基準に配列方向に対称構造を有することから、分極反転部321に膨れが生じても、当該膨れが分極反転部321のそれぞれにおいて配列方向に左右対称に生じるため、回折特性の低下が抑制できる。
また、第3実施形態では、さらに第1電極領域363と第2電極領域364が縦方向に離間することで、電極形成領域313に直接形成される反転用電極361のうち、配列方向における幅が互いに異なる反転用電極361間と対応する電気光学結晶基板31の分極反転部321間で、お互いの電界の影響を受けにくくなり、分極反転部321の膨れが第1実施形態と比べ抑制される。
そして、第3実施形態では、図28のように反転用電極361を中心線C2を基準に配列することで、第1電極領域363の反転用電極361と、第2電極領域364の反転用電極361との距離を等しくすることができる。
換言すれば、第2電極領域364における1個の反転用電極361は、縦方向に第1電極領域363の2個の反転用電極361とそれぞれ重なるように配列し、これら2個の反転用電極361はそれぞれ第2電極領域364における当該反転用電極361と縦方向および配列方向に等しい距離だけ離間する。
これにより、電極形成領域313に直接形成される反転用電極361のうち、配列方向における幅が互いに異なる反転用電極361間と対応する電気光学結晶基板31の分極反転部321間で、お互いの電界の影響を受けたとしても、その距離がそれぞれ等しいために受ける影響を画一化でき、偏った電界が与えられることに起因する分極反転部321の膨れを抑制できる。
図29は、上記の分極反転工程により光学デバイス302に形成される周期分極反転領域323および324を概念的に示す図である。離間幅852(図28参照)に対応して、周期分極反転領域323および324の間には幅803の非分極反転部322が位置する。
ここで、図28に示すように周期分極反転領域323,324の間に非分極反転部322が位置すると、完成した光学デバイス3が光変調器として動作する際の回折格子としての特性が、非分極反転部322が幅803で位置しない場合と比べ変化する。しかしながら、幅803が、縦方向に多段に配列する複数の周期分極反転領域のうち、配列周期が長い方における、非分極反転部322の配列方向における幅、すなわち周期分極反転領域324の第2幅802よりも短い距離であれば、幅803分の非分極反転部322を設けない場合と比べ変化する回折格子としての特性は、実際の変調動作上問題のない範囲となる。
したがって、幅803は縦方向に多段に配列する複数の周期分極反転領域のうち、配列周期が長い方である周期分極反転領域324の第2幅802よりも短い距離であることが好適である。ここで、幅803は離間幅851と対応し、第2幅802は第2間隔822と対応する(図27参照)。すなわち、このような構成とするためには、第2絶縁層形成工程において形成されるレジスト層37のレジストパターンが、離間幅851が第2間隔822よりも短い距離となるように設計すればよい。
以上より、回折格子の設計への影響という観点からは、離間幅851が第2間隔822よりも短い距離となることが好適であり、分極反転部321の均一な形成という観点からは、離間幅851が第1間隔821と等しい距離であることが好適である。すなわち、離間幅851は、第2間隔822よりも短く、第1間隔821以上の距離であることが好適であり、離間幅851が第1間隔821と等しい距離であることがより好適である。
<第4実施形態>
第2、および第3実施形態では、縦方向に複数配列する周期分極反転領域として、2段の周期分極反転領域323,324を説明した。これらの周期分極反転領域323,324は、縦方向に離間幅803だけ離間して多段に配列する(図26または図29参照)。上記の実施形態では、かかる離間幅803や第1幅801、および第2幅802の大きさ、周期分極反転領域323および周期分極反転領域324の縦方向の長さについての具体的数値は限定されない。
図29を参照する。第4実施形態では、周期分極反転領域323,324により構成される回折格子において、より好適な消光比が得られる各部のサイズを説明する。なお、第4実施形態における周期分極反転構造の製造方法、光学デバイスの製造方法、反転用電極および電気光学結晶基板の構成は、第3実施形態と同様である。
第4実施形態において、図29に示される光学デバイス302には、電気光学結晶基板31および支持基板35として、酸化マグネシウム(MgO)を5mol%添加した平板状のリチウムナイオベート(MgO:LN)の単結晶基板を用い、絶縁層33としてSiOを用いる。電気光学結晶基板31は研磨工程(S15、図7参照)により35μmの厚みとされる。
また、第4実施形態において、図29に示される光学デバイス302における第1幅801は10μmである。そして、第2幅802はその2倍である20μmである。また、離間幅803は、第1幅と同じく10μmである。
周期分極反転領域323,324の縦方向の長さを説明する。周期分極反転領域323に含まれる分極反転部321の縦方向の長さは、210μmであり、周期分極反転領域324に含まれる分極反転部321の縦方向の長さは、320μmである。
ここで、これらのサイズの決定手法を説明する。まずはじめに、第1幅801の大きさとして、分極反転工程(S19、図7参照)において、分極反転部321が設計値よりも膨らんで隣接する分極反転部321と癒着しない限りにおいて小さいサイズを選択する。分極反転部321は、電気光学結晶基板31の厚みが厚いほど、設計値よりも膨らんで形成される傾向がある。かかる膨らみが隣接する分極反転部321と接触すると、本来は隣接する分極反転部321間を非分極反転部322が隔てるべきところを分極反転部321が橋渡しのように存在する状態(癒着)となり、周期的に分極反転部321と非分極反転部322が配列せず、光学デバイス3の回折格子としての性能(消光比等)が低下する。
このような癒着を避けるためには、隣接する分極反転部321間の間隔を広げればよいので、癒着を回避する観点では第1幅801の幅は大きいほうが良い。しかし、第1幅801が大きくなると、回折格子のサイズも大きくなり、高精細な光変調、すなわち回折格子の形成・非形成を電圧印加によって制御して得られる0次光のON/OFFの間隔を所望の小ささにすることができなくなる。したがって、光学デバイスのチャンネル幅を小さくする観点では、第1幅801の幅は小さいほうが良い。
第4実施形態では、電気光学結晶基板31の厚みが35μmであることから、第1幅801のサイズは、隣接する分極反転部321と癒着しない限りにおいて小さいサイズとして10μmを選択した。なお、電気光学結晶基板31の厚みが35μmよりも厚い場合には、癒着を避ける観点から第1幅を10μmよりも大きくすることが好適であり、電気光学結晶基板31の厚みが35μmよりも薄い場合には、チャンネル幅を小さくする観点から第1幅801を10μmよりも小さくすることが好適である。
以上により、第1幅801のサイズが10μmとされると、次に第2幅802と離間幅803が決定される。第2幅802は、第1ないし第3実施形態で述べたように第1幅801の2倍のサイズが好適であるから、20μmが選択される。そして、離間幅803は、第3実施形態で述べたように第1幅801と同じ幅だけ離間していることが好適であるから、10μmが選択される。
第1幅801、第2幅802および離間幅803が決定されると、次に、周期分極反転領域323,324に含まれる分極反転部321の縦方向の長さが決定される。図30と図31に、かかる縦方向長さの決定に用いるグラフを示す。
図30は、厚み35μmのMgO:LN結晶に配列周期が10μmの周期分極反転領域が設けられた光学デバイスに対し、89Vの駆動電圧を印加して回折格子を形成させた状態で縦方向に光ビームを入射させて得られる0次光の透過光強度(全ての光ビームが回折されずに透過してきた場合を1とする)と、周期分極反転領域に含まれる分極反転部の縦方向の長さとの関係を示すグラフである。すなわち、第1幅801で配列する周期分極反転領域323に対応するグラフである。
回折格子を形成させて入射光を回折させ、0次光を低減させることで光学デバイスの光変調が実現されるため、回折格子形成時の0次光の透過光強度は低いほど好適である。図30に示されるように、第1幅801が10μmであるとき、周期分極反転領域323に含まれる分極反転部321の縦方向の長さが200μm以上250μm以下の範囲(すなわち、最小値となる220μmを基準に、透過光強度が+2%より小さくなる範囲)であれば、0次光の透過光強度を低くすることができ、好適である。また、210μm以上235μm以下の範囲(すなわち、最小値となる220μmを基準に、透過光強度が+1%より小さくなる範囲)であればより好適である。このより好適な範囲において、素子長は短いほど光損失が抑えられる等の観点から、第4実施形態では210μmを選択する。
図31は、厚み35μmのMgO:LN結晶に配列周期が20μmの周期分極反転領域が設けられた光学デバイスに対し、89Vの駆動電圧を印加して回折格子を形成させた状態で光ビームを入射させて得られる0次光の透過光強度(全ての光ビームが回折されずに透過してきた場合を1とする)と、周期分極反転領域に含まれる分極反転部の縦方向の長さとの関係を示すグラフである。すなわち、第2幅802で配列する周期分極反転領域324に対応するグラフである。
図31に示されるように、第2幅802が20μmであるとき、周期分極反転領域324に含まれる分極反転部321の縦方向の長さが300μm以上425μm以下の範囲(すなわち、最小値となる365μmを基準に、透過光強度が+25%より小さくなる範囲)であれば、0次光の透過光強度を低くすることができ、好適である。また、320μm以上400μm以下の範囲(すなわち、最小値となる365μmを基準に、透過光強度が+10%より小さくなる範囲)であればより好適である。このより好適な範囲において、素子長は短いほど光損失が抑えられる等の観点から、第4実施形態では320μmを選択する。
図30,31に示すように、周期分極反転領域の配列周期が小さいほど、好適な分極反転部の縦方向長さは短くなる傾向がある。したがって、周期分極反転領域における分極反転部の縦方向長さは配列周期の大きさに伴って長くすることが好適であり、第1幅801が10μm、第2幅802が20μmを用いる第4実施形態においては、それぞれ分極反転部の縦方向長さとして210μm、320μmが好適である。
以上のようなサイズの選択により、第4実施形態では第3実施形態における効果に加え、高い消光比を得るために好適な回折格子構造を有する光学デバイスを実現することができる。
なお、第4実施形態では、第3実施形態における光学デバイスについて、サイズの選択を説明したが、本発明の実施においてはこれに限られず、第1および第2実施形態においても同様のサイズの選択を行うことで、好適な回折格子構造を有する光学デバイスを実現することができる。
<変形例>
上記のように、本発明の特定の実施形態として第1、第2、第3および第4実施形態を説明したが、本発明の実施に関しては、これら特定の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改変を行った上で実施してもよい。以降、本発明の変形例について説明する。
<変形例:3段以上の周期分極反転構造>
第1実施形態では、縦方向に複数配列する周期分極反転領域として、2段の周期分極反転領域323,324を説明した。しかしながら、本発明の実施に関しては、これに限られず、2以上に多段に配列した周期分極反転領域を含む周期分極反転構造を製造してもよい。
図32は、3段の周期分極反転領域323,324および325を示す図である。図面の表し方は、第1実施形態の図21と対応する。周期分極反転領域323,324の配列する位置関係は、第1実施形態と同様である。本変形例ではさらに周期分極反転領域325が、周期分極反転領域324のZ方向に配列する点で第1実施形態と相違する。なお、分極反転部321の膨れについては、図示省略している。
周期分極反転領域325は、第3幅804にて配列方向(X方向)に分極反転部321と非分極反転部322が周期的に配列する。第3幅804は、第2幅802の2倍であり、第1幅801の4倍の長さである。
次に、これら周期分極反転領域323,324および325の位置関係について説明する。図30に示すように、周期分極反転領域325の任意の分極反転部321における、配列方向の中心線は、当該分極反転部321と縦方向に接続する周期分極反転領域324の分極反転部321における配列方向の中心線と重なる。そして、周期分極反転領域324の任意の分極反転部321における、配列方向の中心線は、当該分極反転部321と縦方向に接続する周期分極反転領域323の分極反転部321における配列方向の中心線と重なる。
すなわち、周期分極反転領域325の任意の分極反転部321における、配列方向の中心線を「中心線C3」と定義すると、周期分極反転領域325の当該分極反転部321と縦方向に接続する周期分極反転領域324の分極反転部321における配列方向の中心線も中心線C3と一致し、周期分極反転領域324の当該分極反転部321と縦方向に接続する周期分極反転領域323の分極反転部321における配列方向の中心線も中心線C3と一致する。
換言すれば、配列方向において、最も配列方向の幅が大きい周期分極反転領域325に含まれる1個の分極反転部321における中心線C3から当該分極反転部321と周期分極反転領域324を挟んで縦方向に接続する周期分極反転領域323における1個の分極反転部321の端(非分極反転部322との境界線)までの距離863は、第1幅801の1/2倍の長さであり、第2幅802の1/4倍の長さであり、第3幅804の1/8倍の長さである。
このように構成される周期分極反転領域323,324および325は、第1実施形態で説明した図7の製造工程と略同様の工程で製造され、相違するのは第2絶縁層形成工程におけるレジストパターンの形状である。当変形例では、周期分極反転領域323,324および325に形成される分極反転部321と同様の形状で、レジスト層37をパターニングし、分極反転部321と同様の形状の電極形成領域313を設ければよい。
このような構成とすれば、第1実施形態と同様に、分極反転工程において分極反転部321に膨れが生じても、当該膨れが分極反転部321のそれぞれにおいて配列方向に左右対称に生じるため、回折特性の左右非対称性に伴うデバイス性能の低下が抑制できる。
<変形例2:電極形成領域313を予め広く、または狭く形成>
第1実施形態において、図12、図14にて説明したように、電極形成領域313の形状と、電極形成領域313上に形成される反転用電極361の形状は一致し、図21にて説明したように、電極形成領域313上に形成される反転用電極361の形状と分極反転部321の形状とは膨れ等を除き一致した。
しかしながら、実際の製造工程においては、パターニングして得られた当初の電極形成領域313と反転用電極361の形状が一致しない場合がある。レジスト層37の形成後、反転用電極361形成時の熱による影響等、種々の理由によりレジスト層37に膨張・収縮や、軟化が生じて、電極形成領域313が変形するおそれがあるからである。かかる変形について、製造条件等から、予めレジスト層37の変形が予測し得る場合には、第2絶縁層形成工程(図7参照)において形成する電極形成領域313の形状を第1実施形態の設計よりも広く、または狭く設計し、結果的に所望の反転用電極361の形状が得られるように構成してもよい。
この場合には、図12における第1形成領域幅811と第1間隔821は必ずしも等しいものではなく、同様に第2形成領域幅812と第2間隔822は必ずしも等しいものではない。
また、電極形成領域313上に形成される反転用電極361の形状と分極反転部321の形状とは膨れ等を除いても一致しない場合がある。上述のように、電界は電極のエッジ部分に集中する特性を有することから、反転用電極361の中央部よりも端部に電界が集中し、膨れ等の影響を除いても、全体的に反転用電極361の形状よりも分極反転部321の形状が大きくなる傾向が有る。この傾向は、電気光学結晶基板31の厚み(Y方向の厚み)が厚いほど、顕著に生じる。
本願では、研磨工程(図7参照)を実施することにより、電気光学結晶基板31の厚みを薄くし、膨れ等の影響を除き、反転用電極361の形状と分極反転部321の形状が略一致するように構成している。しかしながら、電気光学結晶基板31の厚みが十分薄くない場合等、反転用電極361の形状と分極反転部321の形状が一致しない場合には、形成後の分極反転部321の配列方向の幅と、非分極反転部322の配列方向の幅とが等しくなるように、予め反転用電極361の電極幅(第1実施形態では、第1電極幅831と第2電極幅841)の長さが、配列方向に隣接する反転用電極361間の間隔(第1実施形態では、第1間隔832と第2間隔842)の長さよりも短くなるように、電極形成領域313を形成するような実施としてもよい。
この発明は、電圧印加法により、電気光学結晶基板に周期分極反転構造を製造する方法に適用することができる。
1 露光ユニット
2 照明光学系
3 空間光変調器
4 結像光学系
21 光源
22 シリンドリカルレンズ
23 シリンドリカルレンズ
24 シリンドリカルレンズ
31 電気光学結晶基板
32 分極反転対
33 絶縁層
34 共通電極
35 支持基板
36 電極(駆動電極)
37 レジスト層
38 保護レジスト層
41 シリンドリカルレンズ
42 アパーチャ
43 シリンドリカルレンズ
52 光軸
53 光ビーム
54 変調光
300,301,302,303 製造途中の光学デバイス
311 入射面
312 出射面
313 電極形成領域
314 第1領域
315 第2領域
321 分極反転部
322 非分極反転部
323,324,325 周期分極反転領域
341,344 コンタクト電極層
342,343 接合電極層
345 接合はんだ
361 反転用電極
362 コンタクト部
363 第1電極領域
364 第2電極領域
711 電圧印加槽
712 シリコンオイル
721,722 プローブ
723 電線
724 電圧源
801 第1幅
802 第2幅
804 第3幅
811 第1形成領域幅
821 第2形成領域幅
812 第1間隔
822 第2間隔
831 第1電極幅
841 第2電極幅
832 第1間隔
842 第2間隔
851,852,803 離間幅
861,862,863 幅
C1,C2,C3 中心線
F1,F2 膨れ

Claims (10)

  1. 平板状の電気光学結晶基板を含む処理基板の一方主面に設けられた反転用電極と、他方主面に設けられた共通電極と、を用いて、電圧印加法により前記電気光学結晶基板に周期分極反転構造を製造する方法であって、
    前記一方主面に、複数の隙間を有する絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
    前記絶縁層、および前記複数の隙間にて露出した前記一方主面である電極形成領域に、前記反転用電極を形成する反転用電極形成工程と、
    前記他方主面に、前記共通電極を形成する共通電極形成工程と、
    前記電気光学結晶基板の前記一方主面における前記電極形成領域に設けられた前記反転用電極と、前記他方主面に設けられた前記共通電極から、前記電気光学結晶基板に電圧を印加して周期分極反転構造を形成する分極反転工程と、
    を備え、
    前記電極形成領域に形成される前記反転用電極は、所定の配列方向に沿って第1電極幅の複数の前記反転用電極が第1間隔で離間して周期的に配列する第1電極領域と、前記配列方向に沿って第2電極幅の複数の前記反転用電極が第2間隔で離間して周期的に配列する第2電極領域と、を有し、
    前記第1電極幅と前記第1間隔の長さは等しく、
    前記第2電極幅と前記第2間隔の長さは等しく、
    前記第2電極幅は、前記第1電極幅の整数倍(ただし、2倍以上)の長さであり、
    前記第1電極領域は、前記第2電極領域に対し、前記配列方向に対して垂直な方向である縦方向に、前記第2電極領域における前記反転用電極の前記配列方向における中心線と、前記第1電極領域における前記反転用電極の前記配列方向における一部の中心線または前記第1間隔で前記配列方向に隣接する複数の前記反転用電極間の前記絶縁層の前記配列方向における一部の中心線と、が重なるように配列する、
    ことを特徴とする、周期分極反転構造の製造方法。
  2. 請求項1に記載の周期分極反転構造の製造方法であって、
    前記第2電極幅は、前記第1電極幅の2倍の長さである、
    ことを特徴とする、周期分極反転構造の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の周期分極反転構造の製造方法であって、
    前記第1電極領域は、前記第2電極領域に対し、前記縦方向に、前記第1電極領域および前記第2電極領域における複数の前記反転用電極が互いに離間した状態で配列する、
    ことを特徴とする、周期分極反転構造の製造方法。
  4. 請求項3に記載の周期分極反転構造の製造方法であって、
    前記第1電極領域および前記第2電極領域における複数の前記反転用電極が互いに離間する前記縦方向の離間幅と、前記第1間隔の長さは等しい、
    ことを特徴とする、周期分極反転構造の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかの周期分極反転構造の製造方法により、前記周期分極反転構造が形成された前記処理基板を用いて、光学デバイスを製造する方法であって、
    前記一方主面に形成された前記反転用電極を除去する除去工程と、
    前記一方主面に駆動電極を形成する駆動電極形成工程と、
    を備え、
    前記駆動電極は、前記第1電極領域と前記共通電極から電圧が印加されて分極反転した第1周期分極反転領域を含む前記一方主面上および、前記第2電極領域と前記共通電極から電圧が印加されて分極反転した第2周期分極反転領域を含む一方主面上に、前記縦方向に亘って延設される、
    ことを特徴とする、光学デバイスの製造方法。
  6. 電圧印加法により電気光学結晶基板に周期分極反転構造を製造するために、平板状の前記電気光学結晶基板を含む処理基板の一方主面に設けられる反転用電極であって、
    前記反転用電極は、前記一方主面に形成された複数の隙間を有する絶縁層、および前記複数の隙間にて露出した前記一方主面である電極形成領域に、形成され、
    前記電極形成領域に形成される前記反転用電極は、所定の配列方向に沿って第1電極幅の複数の前記反転用電極が第1間隔で離間して周期的に配列する第1電極領域と、前記配列方向に沿って第2電極幅の複数の前記反転用電極が第2間隔で離間して周期的に配列する第2電極領域と、を有し、
    前記第1電極幅と前記第1間隔の長さは等しく、
    前記第2電極幅と前記第2間隔の長さは等しく、
    前記第2電極幅は、前記第1電極幅の整数倍(ただし、2倍以上)の長さであり、
    前記第1電極領域は、前記第2電極領域に対し、前記配列方向に対して垂直な方向である縦方向に、前記第2電極領域における前記反転用電極の前記配列方向における中心線と、前記第1電極領域における前記反転用電極の前記配列方向における一部の中心線または前記第1間隔で前記配列方向に隣接する複数の前記反転用電極間の前記絶縁層の前記配列方向における一部の中心線と、が重なるように配列する、
    ことを特徴とする、反転用電極。
  7. 電圧印加法により形成される周期分極反転構造を有する電気光学結晶基板であって、
    前記電気光学結晶基板は、互いに分極方位が異なる分極反転部と非分極反転部とが配列方向に周期的に配列する前記周期分極反転構造を、前記配列方向に対して垂直な方向に少なくとも2個有し、
    2個の前記周期分極反転構造のうち一方である第1周期分極反転領域は、前記配列方向に沿って第1幅の複数の前記分極反転部と前記第1幅の複数の前記非分極反転部とが周期的に配列し、
    2個の前記周期分極反転構造のうち他方である第2周期分極反転領域は、前記配列方向に沿って第2幅の複数の前記分極反転部と前記第2幅の複数の前記非分極反転部とが周期的に配列し、
    前記第2幅は、前記第1幅の整数倍(ただし、2倍以上)の長さであり、
    前記第1周期分極反転領域は、前記第2周期分極反転領域に対し、前記配列方向に対して垂直な方向である縦方向に、前記第2周期分極反転領域における前記分極反転部の前記配列方向における中心線と、前記第1周期分極反転領域における前記分極反転部または前記非分極反転部の前記配列方向における一部の中心線と、が重なるように配列する、
    ことを特徴とする、電気光学結晶基板。
  8. 請求項7に記載の電気光学結晶基板であって、
    前記第2幅は、前記第1幅の2倍の長さである、
    ことを特徴とする、電気光学結晶基板。
  9. 請求項8に記載の電気光学結晶基板であって、
    前記第1周期分極反転領域における前記分極反転部の前記縦方向の長さは、前記第2周期分極反転領域における前記分極反転部の前記縦方向の長さよりも短い、
    ことを特徴とする、電気光学結晶基板。
  10. 請求項9に記載の電気光学結晶基板であって、
    前記電気光学結晶基板の厚みが35μmであり、
    前記第1幅が10μmであり、
    前記第2幅が20μmであり、
    前記第1周期分極反転領域における前記分極反転部の前記縦方向の長さが、200μm以上250μm以下の範囲内であり、
    前記第2周期分極反転領域における前記分極反転部の前記縦方向の長さが、300μm以上425μm以下の範囲内である、
    ことを特徴とする、電気光学結晶基板。
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