JP5992346B2 - 波長変換素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、波長変換素子の製造方法に関するものである。
ニオブ酸リチウム単結晶やタンタル酸リチウム単結晶などの強誘電性単結晶に、周期的な分極反転構造を形成した擬似位相整合(Quasi−Phase−matching)方式の第2高調波発生(Second−Harmonic−Generation)デバイスは、紫外から赤外まで、比較的任意な波長の光を発生させることができる。このデバイスは、光ディスクメモリ用、医学用、光化学用、及び各種光計測用などの幅広い応用が可能である。
本発明者は、周期分極反転構造をリッジ型光導波路内に形成することで、高効率の高調波発生素子を提供することを研究してきた(特許文献1:特開2009−222872)。
周期分極反転構造を強誘電性単結晶基板に形成する際には不良が生じやすく、このためさまざまな製法が提案されている。特許文献2(特開2005−70192)記載の方法では、強誘電性単結晶基板を別体の基板と積層し、絶縁性液体、例えばオイル中に浸漬し、バルス電圧を印加することで周期分極反転構造を形成している。
また、特許文献3(特開2009−145560)記載の方法では、ニオブ酸リチウムのZ基板の表面に絶縁膜を設け、絶縁膜にストライプ状の細長い隙間を設けた上で、絶縁膜および隙間を被覆するように導電膜を設けている。そして、この導電膜にパルス電圧を印加することによって、基板に周期分極反転構造を形成している。
また、特許文献4(特開2010−134425)記載の方法では、ニオブ酸リチウムのZ基板の表面に絶縁膜を設け、絶縁膜にストライプ状の細長い隙間を設けた上で、絶縁膜および隙間を被覆するように導電膜を設けている。そして、この導電膜にパルス電圧を印加することによって、基板に周期分極反転構造を形成している。
特開2009−222872 特開2005−70192 特開2009−145560 特開2010−134425
本発明者は、特許文献3、4記載のように電圧印加法によって強誘電性結晶基板に周期分極反転構造を形成し、更に特許文献1記載のように強誘電性結晶基板を薄層化加工し、リッジ型光導波路を形成し、波長変換素子を量産することを検討してきた。
具体的には、特許文献3、4記載のように、強誘電性結晶基板の第一の主面側に多数列の絶縁層を形成し、隣接する絶縁層の隙間に導電材料からなる電極片部を形成した。また、強誘電性結晶基板の第二の主面には一様電極を形成し、電極片部と一様電極との間に電圧を印加することで,電極片部の周期に対応する周期を有する周期分極反転構造を形成した。そして、一様電極および絶縁層を強誘電性結晶基板から除去した後、強誘電性結晶基板の電極片部側の主面を支持基板に接着し、一様電極側の主面を研磨加工することで強誘電性結晶基板を薄層化した。これは、電極片部側では周期分極反転構造が精度良く形成できるので、波長変換効率が上がるが、周期のない一様電極側では周期分極反転構造の精度が低くなっているものと考えられたからである。従って、基板の電極片部側の主面を利用し、使用しない一様電極側の主面を研磨加工することで薄層化を実施していたのである。
ところが、実際に特許文献1記載のような素子を作成し、波長変換によって二次高調波を発生させる試験を繰り返したところ、波長変換効率が理論値に比べて低くなり、光導波路内の周期分極反転構造の品質が微視的に見て劣化していることがわかった。
本発明の課題は、電圧印加法によって周期分極反転構造を形成した強誘電性結晶基板を支持基板上に接着した波長変換素子において、波長変換効率を一層向上させることである。
本発明は、
支持基板、
強誘電性結晶のZカット基板またはオフカットZカット基板からなり、第一の主面および第二の主面を備える強誘電性結晶基板、
強誘電性結晶基板に設けられた周期分極反転構造、
強誘電性結晶基板に設けられた光導波路、および
強誘電性結晶基板の前記第二の主面と支持基板とを接着する接着層を備えている波長変換素子であって、
周期分極反転構造が、強誘電性結晶基板の第一の主面に設けられた複数の電極片部と、強誘電性結晶基板の第二の主面に設けられた絶縁膜上の一様電極との間に電圧を印加することで形成されており、強誘電性結晶基板の第一の主面の研磨加工によって強誘電性結晶基板が薄層化されていることを特徴とする。
本発明は、支持基板、
強誘電性結晶のZカット基板またはオフカットZカット基板からなり、第一の主面および第二の主面を備える強誘電性結晶基板、
前記強誘電性結晶基板に設けられた周期分極反転構造、
前記強誘電性結晶基板に設けられた光導波路、および
前記強誘電性結晶基板の前記第二の主面と前記支持基板とを接着する接着層を備えている波長変換素子であって、
前記周期分極反転構造が、前記強誘電性結晶基板の前記第一の主面に設けられた複数の電極片部と、前記強誘電性結晶基板の前記第二の主面に設けられた絶縁膜上の一様電極との間に電圧を印加することで形成されており、強誘電性結晶基板における電極片部および一様電極の材料の拡散濃度が0.1ppm未満であることを特徴とする。
本発明は、前記素子を製造する方法であって、
ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体からなる強誘電性結晶のZカット基板またはオフカットZカット基板からなる強誘電性結晶基板の第一の主面に、モリブデンまたはタングステンからなる導電膜と複数列の絶縁膜とを設け、前記導電膜が、前記絶縁膜を被覆する絶縁膜被覆部と、前記絶縁膜の間に設けられた複数の電極片部を備えており、かつ前記強誘電性結晶基板の第二の主面に絶縁膜および一様電極を順次設ける工程;
電極片部と一様電極との間に電圧を印加することによって周期分極反転構造を形成する工程;
強誘電性結晶基板の第二の主面を支持基板に接着する工程;
強誘電性結晶基板の第一の主面を研磨加工することによって薄層化する工程、および
強誘電性結晶基板に光導波路を形成する工程
を有することを特徴とする。
本発明者は、波長変換効率低下の原因を探索するため、基板の電極片部側の表面からサンプルを切断し、ダイナミックSIMS(Cameca製IMS―6f)によって元素を分析した。この結果、主元素であるニオブおよびリチウムの他、例えば電極材料として用いたモリブデンが、表面から深さ30〜40nmの領域に存在することを見いだした。これは、電極片部の材料、例えばモリブデンが、基板の主面から内部へと向かって拡散し、残留していることを示している。この拡散した電極材料が結晶品質を低下させ、波長変換効率を低下させているものと考えた。
本発明者は、この仮説に基づき、従来の常識に反して、一様電極の設けられた側の主面を支持基板に接着し、電極片部の設けられた側の主面を研磨加工することで薄層化した。こうした基板には電極材料に由来する成分は検出されないことを確認した。そして、得られた基板に光導波路を形成したところ、意外にも波長変換効率が向上することを見いだし、本発明に到達した。
(a)は、強誘電性結晶基板1上にパターニングされた絶縁層2Aおよびパターニングされていない絶縁層2Bを形成した状態を模式的に示し、(b)は、更に導電膜3A(電極片部4)および一様電極3Bを形成した状態を示し、(c)は、図1(b)のアセンブリに電圧印加している状態を示す模式図である。 (a)は、図1(c)の基板から導電膜および一様電極を除去した状態を示し、(b)は、更に絶縁層を除去した状態を示し、(c)は、周期分極反転構造7の形成された基板1の第二の主面(一様電極側の主面)1bを支持基板9に接着した状態を示し、(d)は、次いで基板1の一方の主面(電極片部側の主面)1aを研磨加工して薄層化して得られた素子14を示す。 (a)は、周期分極反転構造の形成された基板1の第一の主面(電極片部側の主面)1aを支持基板9に接着した状態を示し、(b)は、次いで基板1の第二の主面(一様電極側の主面)1bを研磨加工して薄層化して得られた素子を示す。 波長変換素子14Aの一例を示す斜視図である。 図4の素子14Aの要部を示す模式的断面図である。 実施例におけるレンズ系を示す模式図である。 周期分極反転構造の形成された基板の第一の主面側の写真である。 周期分極反転構造の形成された基板の第二の主面側の写真である。 基板の電極片部側の表面のダイナミックSIMS(Cameca製IMS-6f)による元素分析結果を示すチャートである。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
まず、図1に示すように、強誘電性結晶基板1の第一の主面1aに、パターニングされた絶縁膜2Aを形成し、第二の主面1b上に、全面にわたって絶縁膜2Bを形成する。絶縁膜2Aにはパターニングを施し、隣り合う絶縁膜2A間にそれぞれ隙間を形成する。
ここで、強誘電性結晶基板1は、Zカット基板またはオフカットZ基板からなる。
周期分極反転構造を形成するべき基板を構成する強誘電性結晶の種類は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体とする。
強誘電性結晶中には、光導波路の耐光損傷性を更に向上させるために、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、スカンジウム(Sc)及びインジウム(In)からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を含有させることができ、マグネシウムが特に好ましい。
強誘電性結晶中には、ドープ成分として、希土類元素を含有させることができる。この希土類元素は、レーザ発振用の添加元素として作用する。この希土類元素としては、特にNd、Er、Tm、Ho、Dy、Prが好ましい。
強誘電性結晶基板としては、Zカット基板、オフカットZ基板を使用する。このオフカット角度は、10°以下が好ましく、5°以下が更に好ましい。オフカットZ基板のオフカット角が10
°以下であれば、半導体レーザとの光軸調整も、傾き補正しなくても波長変換効率の劣化は無視でき、高効率な波長変換素子を実現することができる。
絶縁膜2A、2Bの材質は限定されないが、SiOやTaのような酸化物、窒化珪素のような窒化物であってよい。絶縁膜の成膜方法としては、蒸着法でもスパッタリング法、スピンコート法でもよい。
パターニングされた絶縁膜2Aの厚さは、特に限定されないが、500オングストローム以上、4000オングストローム以下が好ましい。絶縁膜の厚さが小さい場合は、絶縁性が低くなり、分極反転が形成されにくい。絶縁膜が厚すぎる場合は、パターニング精度が悪くなる。
第二の主面側の絶縁層1bの厚さは、3000 オングストローム以下が好ましく、2000オングストローム以下が最も好ましい。また、100 オングストローム以上が好ましく、1000オングストローム以上が更に好ましい。
絶縁膜をパターニングして隙間を形成する方法は特に限定されない。例えば、絶縁膜上にフォトレジストをスピンコーティングし、マスク露光、現像を経て、レジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、エッチング処理を行うことで、隙間を形成できる。エッチング処理はウェットエッチングでも、ドライエッチングでもよいが、理想的には基板表面にダメージを与えにくいウェットエッチングの方が好適である。
次いで、図1(b)に示すように、複数列の絶縁膜2Aの上に導電膜3Aを形成する。この導電膜3Aは、絶縁膜2Aを被覆する絶縁膜被覆部20と、主面1aを直接被覆する電極片部4を含む。したがって、複数列の細長い電極片部4が多数配列されると共に、隣接する電極部4間には絶縁膜2Aが介在することになる。
基板1の第二の主面1b側では、絶縁層2B上に一様電極3Bを形成する。
導電膜の材質は、Mo、Wとする。一様電極の材質は限定されないが、Al、Au、Ag、Cr、Cu、Ni、Ni-Cr 、Pd、Ta 、Mo、W、Ta、AuCrの積層膜などが好ましい。
導電膜、一様電極の形成方法は特に限定されず、蒸着法でもよく、スパッタリング法でもよい。電極の膜厚は、例えば500〜3000オングストロームとすることができる。
次いで、電圧印加法によって電極片部と一様電極との間に電圧を印加し、基板に周期分極反転構造を形成する。好ましくは、図1(c)に示すように、導電膜ないし電極片部を電源6に接続すると共に、一様電極3Bと電源との間にコンデンサを介在させる。このコンデンサは、回路部品であって良い。
あるいは、コンデンサは、両方の主面に電極33A、33Bの形成された誘電体基板5であってもよい。
この場合には、一様電極3Bと誘電体基板5上の第一の電極とを電気的に導通させ、好ましくは強誘電性結晶基板1の温度が誘電体基板5の温度よりも高い状態で誘電体基板上の第二の電極と電極片部4の間に電圧を印加することによって、周期分極反転部を形成する。
誘電体基板は、絶縁性液体中に浸漬することもできる。また、強誘電体結晶基板と誘電体基板とを別の容器内の絶縁性液体中に浸漬することもできる。
本実施形態においては、電圧印加時における強誘電性結晶基板の温度は、分極反転構造の形成促進という観点からは、80°C以上が好ましく、140°C以上がさらに好ましい。また、電圧印加時における強誘電性結晶基板の温度は、強誘電性結晶基板の割れや焦電防止という観点からは、250°C以下が好ましく、200°C以下がさらに好ましい。
また、電圧印加時における誘電体基板の温度は、基板の割れや焦電防止という観点から、130°C以下が好ましく、80°C以下がさらに好ましい。この下限は特になく、室温であってもよい。
前記観点からは、電圧印加時における強誘電性結晶基板の温度と誘電体基板の温度との温度差は、60°C以上が好ましく、100°C以上がさらに好ましい。
強誘電性結晶基板、誘電体基板は、雰囲気中に設置することができるが、絶縁性液体中に浸漬することが好ましい。この場合には、各絶縁性液体の温度に温度差を設ける。この絶縁性液体としては、絶縁オイル(例えばシリコンオイル)、フッ素系不活性液体を例示できる。
誘電体基板5の材質は、絶縁性が高く、材質内の体積抵抗率が均一で、所定の構造強度を有していることが必要である。この材質としては、シリコン、サファイア、水晶、ガラスを例示できる。また、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体、KLiNb15のような強誘電性単結晶が特に好ましい。
電圧印加方法は特に限定されない。例えば不活性雰囲気中に基板を設置して電圧を印加してもよく、絶縁体液体中に基板を設置して電圧を印加してもよい。電圧を印加する際、電圧印加プローブピンを用いる場合、ピンの電極に対する接触位置は、真ん中である方が望ましい。
電圧はパルス電圧であることが好ましく、直流バイアス電圧を更に印加してもよい。パルス電圧の好ましい条件は以下のとおりである。
パルス電圧:2.0kV〜8.0kV(/mm)
パルス幅:0.1ms〜10ms
直流バイアス電圧:1.0kV〜5.0kV(/mm)
次いで、図2(a)に示すように、導電膜および一様電極を除去し、次いで図2(b)に示すように絶縁膜を除去することで、周期分極反転構造7の形成された基板1を得る。周期分極反転構造7は、光の進行方向に向かって交互に多数配列された分極反転部7aと非反転部7bとからなる。
次いで、本発明に従い、図2(c)に示すように、基板1の第二の主面(一様電極側の主面)1bを支持基板9の主面9aに接着する。12は接着層である。
この接着剤としては、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化性接着剤、ニオブ酸リチウムなどの電気光学効果を有する材料と比較的近い熱膨張係数を有するアロンセラミックスC(商品名、東亜合成社製)(熱膨張係数13×10−6/K)を例示できる。
次いで、基板1の第一の主面(電極片部側の主面)1aを研磨することによって薄層化し、波長変換基板1Aが設けられた素子14を得る(図2(d))。なお7Aは周期分極反転構造である。
この研磨方法としては、ラッピング加工とCMP加工を併用した方法が例示できる。具体的には、研磨時間の短縮のため、始め3〜5umの砥粒でラッピング加工し、その後1umの砥粒でラッピング加工を行い、次いで、ラッピングで生じた加工変質層を除去するため、約3umの厚さ分をCMP加工により研磨除去し、薄層化している。
薄層化後の基板1Aの厚さは、波長変換効率の観点からは、6μm以下が好ましく、4μm以下が更に好ましい。また、同様に、波長変換効率および機械的強度の観点からは、1.5μm以上が好ましい。
一方、比較例においては、図3(a)に示すように、基板1の第一の主面(電極片部側の主面)1aを支持基板9の主面9aに接着する。そして、図3(b)に示すように、基板1の第二の主面(一様電極側の主面)1bを研磨し、研磨面1dを形成する。
この方法では、電極片部側に周期分極反転構造が良好に形成されると考えられることから、一様電極の主面側を研磨することで最良の波長変換効率が得られるものと予測される。ところが、実際には、本発明のほうが高い波長変換効率が得られた。これは、主面1a上の電極片部から電極材料が基板内に深さ数十nmにわたって拡散し、結晶品質が局所的に劣化したためであった。
これに対して、本発明では、一様電極と基板主面1bとの間に絶縁層があるので、電極材料の拡散を防止できる上、一様電極の設けられた側でも周期分極反転構造が良好に形成され、全体として、より高い波長変換効率が得られることが判明した。これは本発明者の発見である。
本発明の素子は、第二高調波発生素子等の高調波発生素子に適用できる。第二高調波発生素子として使用した場合には、高調波の波長は330−1600nmが好ましい。
図4、図5は、波長変換素子のより詳細な構成の一例を示すものである。
強誘電性結晶基板1Aには、一対の細長い溝15を設ける。溝15は互いに平行であり、これらの溝によってリッジ部16が形成されている。リッジ部16および溝15によってチャンネル型光導波路20が形成されている。各溝15の各外側には延在部17が形成されている。また、基板1Aの例えば全体に、前述のように周期分極反転構造7Aが形成されている。
チャンネル型光導波路20内では、光の伝搬方向に対して垂直なZ方向に向かって分極しており、分極方向が周期的に反転している。この結果、光導波路20の入射面から入射した基本波は、光導波路20内で波長変換を受け、高調波が出射面から出射する。
強誘電性結晶基板1Aの第二の主面1b側にはアンダークラッド11Bが形成されており、第一の主面にはオーバークラッド11Aが形成されている。基板1Aの第二の主面は、アンダークラッド11B、下側接着層12Bを介して支持基板9に対して接着されている。基板1Aの第一の主面は、オーバークラッド11Aを介して上側接着層12Aによって上側基板13に対して接着されている。下地接着層12Bはほぼ平坦な第二の主面に沿って形成されている。上側接着層12Aは、リッジ溝15内にも充填されており、溝充填部を形成している。これによって素子14Aが形成される。
基板に形成されるチャンネル型光導波路は限定されず、リッジ形光導波路や、拡散形光導波路であってよい。拡散形光導波路は、金属拡散(例えばチタン拡散)やプロトン交換によって形成できる。リッジ構造を形成するための加工方法は限定されず、機械加工、イオンミリング、ドライエッチング、レーザーアブレーションなどの方法を用いることができる。
また、有機樹脂接着剤のシートを波長変換層と支持基板、上側基板との間にそれぞれ介在させ、接合することができる。好ましくは、熱硬化性、光硬化性あるいは光増粘性の樹脂接着剤からなるシートを、基板1Aと支持基板9、上側基板13との間に介在させ、シートを硬化させる。このようなシートとしてはフィルム樹脂が適当である。
また、上側接着層の厚さは、本発明の観点からは、0.5〜3.0μmであることが好ましい。
上側基板の具体的材質は特に限定されず,ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、石英ガラスなどのガラスや水晶、Siなどを例示することができる。この場合、熱膨張差の観点では、基板1Aと支持基板、上側基板とを同種の材質とすることが好ましく、ニオブ酸リチウム単結晶が特に好ましい。上側基板の厚さ、支持基板の厚さも特に限定されないが、上記の観点からは100μm以上が好ましい。また、支持基板の厚さ、上側基板の厚さの上限も特にないが、実用的には2mm以下が好ましい。
また、ダイナミックSIMSによる電極材料の検出限界は0.1ppmとする。
(比較例)
図1、図2(a)、(b)、図3、図4、図5を参照しつつ説明した方法に従い、波長変換素子14Aを作製した。
具体的には、基板1としては、MgO添加のLiNbO3(MgOLN)のZカット基板を使用した。基板1の+z面(第一の主面)1aに、絶縁膜としてSiO膜を成膜した。また、−z面(第二の主面)1b上に絶縁膜2BとしてSiO膜を成膜した。各絶縁膜の膜厚は約2000オングストロームとした。
次いで、絶縁膜にフォトレジストをスピンコーティングし、マスク露光、現像を経て、レジストパターンを形成した。このレジストパターンをマスクにして、ウェットエッチング処理を行うことで、図1(a)に示すようなパターニングされた絶縁膜2Aを形成した。
続いて、スパッタリング法によって、導電膜3Aおよび3Bを成膜した。これらの膜厚は2000オングストロームとし、材質はモリブデンとした。
このように作製した基板1を絶縁オイル内に浸漬し、170℃でパルス電圧を印加した。電圧印加条件としては、約6kV/mmに設定し、約1msec幅の矩形パルスを印加した。パルスの印加回数は、パターン面積に依存するが、例えば20mmのとき、20000パルスが好適であった。
また、誘電体基板5としては、ノンドープLiNbO3のZカット基板を使用した。誘電体基板5の+z面および−z面に、それぞれ、電極33A、33Bとして、スパッタリング法によってモリブデン膜を形成した。各導電膜の膜厚は1000オングストロームとした。
電圧印加後、分極反転が形成されているのかどうかを確認するため、弗硝酸混合液(弗酸:硝酸=1:2)でウェットエッチングした。この結果、周期約7umに対応した周期状分極反転構造が一様に得られた。
次いで、周期分極反転を形成した後、厚さ0.4μmのSiOアンダークラッド11Bをスパッタ法によって成膜した。厚さ0.5mmのノンドープニオブ酸リチウム基板からなる支持基板9に接着剤12Bを塗布した後、基板1の第一の主面1a(電極片部が形成された主面)を支持基板9に貼り合せ、基板1の第二の主面(一様電極が形成された主面)1bを厚さ3.7μmとなるまで研削、研磨した(図3(a)、(b))。
次いで、レーザーアブレーション加工法により、リッジ部16を形成した。リッジ部の形成後、厚さ0.5μmのSiOオーバークラッド11Aをスパッタ法によって成膜した。そのオーバークラッド11A上に接着剤12Aを塗布した後、厚さ0.5mmのノンドープニオブ酸リチウム単結晶からなる上側基板13を接着した。これをダイサーで長さ9mm、幅1.0mmに素子を切断し、チップを得た。
得られたチップの各部分の寸法を以下に示す(図4参照)。
チップ長さ L : 8mm
チップ幅
Cw : 0.7mm
チップ高さ
Ch : 1 mm
リッジ幅
Rw : 5.8um
リッジ深さ
Rd : 2.4um
スラブ高さ
Sh : 3.75um
分極反転周期 Λ:6.56um
図6に示すように、光源22から発振した基本光をレンズ系23A、23Bによって集光し、素子14Aに入射させた。基本波は素子14A内で波長変換し、二次高調波25として出射する。この導波路においてYbドープファイバーレーザーを使用して光学特性を測定した。レーザーからの基本波の発振波長を1061nmとし、発振出力を350mWに調整し、その基本光をレンズで導波路端面に集光した結果、280mWを導波路に結合できた。導波路の温度を調節して位相整合した時に、最高72mWのSHG出力が得られた。その際の高調波の波長は530.5nmであった。
更に、ダイナミックSIMS(Cameca製IMS-6f)で測定した結果、基板最表面でモリブデンが拡散濃度10ppmで拡散していた。
また、周期分極反転構造が形成された基板の第一の主面(電極片部が形成された主面)をダイナミックSIMS(Cameca製IMS-6f)で測定した。測定結果を図9に示す。ニオブおよびリチウムの他に、深さ40nm近くまでモリブデンが拡散していることがわかる。
(実施例)
比較例と同様にして波長変換素子を製造した。ただし、比較例とは異なり、図2(c)(d)に示すように、基板の第二の主面(一様電極側の主面1bを支持基板9に接着し、基板の第一の主面(電極片部側の主面)1aを研磨加工した。他は比較例1と同じ手順で素子を製造し、同様の評価を行った。
この結果、基本光をレンズで導波路端面に集光した結果、280mWを導波路に結合できた。導波路の温度を調節して位相整合した時に、最高98mWのSHG出力が得られた。その際の高調波の波長は530.5nmであった。
また、得られた基板表面を、ふっ硝酸でウェットエッチングし、次いで顕微鏡で観察した。図7は、基板の第一の主面(電極片部側の主面)を示し、図8は、基板の第二の主面(一様電極側の主面)を示す。いずれも、全体にわたって分極反転部分が良好に形成されており、欠陥や分極反転不良は見つからなかった。ダイナミックSIMS(Cameca製IMS-6f)で測定した結果、電極材料であるモリブデンの拡散濃度は基板の第二の主面の最表面において検出限界(0.1ppm)未満であった。

Claims (4)

  1. ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体からなる強誘電性結晶のZカット基板またはオフカットZカット基板からなる強誘電性結晶基板の第一の主面に、モリブデンまたはタングステンからなる導電膜と複数列の絶縁膜とを設け、前記導電膜が、前記絶縁膜を被覆する絶縁膜被覆部と、前記絶縁膜の間に設けられた複数の電極片部を備えており、かつ前記強誘電性結晶基板の第二の主面に絶縁膜および一様電極を順次設ける工程;
    前記電極片部と前記一様電極との間に電圧を印加することによって前記周期分極反転構造を形成する工程;
    前記強誘電性結晶基板の前記第二の主面を支持基板に接着する工程;
    前記強誘電性結晶基板の前記第一の主面を研磨加工することによって薄層化し、前記第一の主面から拡散した前記モリブデンまたはタングステンを除去する工程、および
    前記強誘電性結晶基板に光導波路を形成する工程
    を有することを特徴とする、波長変換素子の製造方法。
  2. 前記光導波路がリッジ型光導波路であり、このリッジ型光導波路の両側にそれぞれリッジ溝が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記強誘電性結晶基板の前記第一の主面側に上側基板を接着層を介して接着することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記強誘電性結晶基板の前記第一の主面側におけるモリブデンまたはタングステンの拡散濃度および前記第二の主面側における前記一様電極の材料の拡散濃度が0.1ppm未満であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の方法。
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