JP6511299B6 - 金属缶溶接部の補修用ポリエステルフィルム - Google Patents

金属缶溶接部の補修用ポリエステルフィルム Download PDF

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Description

本発明は、金属缶の製造工程において溶接部を補修するために使用される補修用フィルムに関し、特に、連続的に搬送されている複数個の缶胴の内面側溶接部を被覆するためのテープ状の補修用フィルムに関する。
金属缶の製造方法として、金属板のブランクの両端部同士を抵抗シーム溶接により接合することにより、筒状の溶接缶胴を形成する方法がある。通常、金属板に平板の状態で印刷や塗装を施してから、一缶分のブランクに切断して、その後に溶接を行う。このとき、ブランクの接合予定部にまで印刷や塗装を施すと、溶接の際に通電不可能となって抵抗シーム溶接が出来なくなる。そのため、接合予定部とその近傍部分には印刷や塗装が施されない。従って、溶接缶胴は、接合部とその近傍部分を含む溶接部において金属板が露出している。そのため、溶接部に別途、保護塗装を施す必要がある。
ところが、溶接部ではブランクの両端部が重なっているため、段差が生じている。塗装により溶接部を被覆する場合、この段差を埋めるためにかなり厚塗りする必要がある。そのため、厚塗りしても流れない塗料を用いる必要や、塗膜内部に泡が発生しないための工夫をする必要があり、塗料コストや設備コストが増大する。また、塗料を厚塗りしても、段差の角部では塗膜が薄くなるため、角部において金属面が露出しやすい。露出した金属面は、特に、内容物と接触する缶の内面側において腐食する虞がある。
このような間題を解決するために、溶接部を熱可塑性フィルムで被覆する方法が提案されている。特許文献1では、表層及び下層の2層の熱可塑性ポリエステルテープであって、下層のポリエステルの融点乃至軟化温度が表層の融点よりも10℃以上低いフィルムを開示している。この2層の熱可塑性ポリエステルテープは、製膜工程において二軸延伸加工され、次いで、加熱処理して熱固定されることが開示されている。
また特許文献2では、融点が180〜240℃であり、熱融着性を有するポリエステルaからなる表面層(A)と、ガラス転移温度が60〜150℃である非晶性ポリエステルb又は融点がポリエステルaの融点よりも10℃以上低い結晶性ポリエステルb’からなる中間層(B)と、融点がポリエステルaの融点以上であるポリエステルcからなる表面層(C)との三層構造の補修フィルムが開示されている。このフィルムは、製造工程において二軸延伸され、熱固定処理されることにより製造されている。
しかしながら、従来用いられている熱可塑性フィルムでは、溶接部の段差の形状の通りに密着せず、段差部は特に段差の隅部と該フィルムの間に空隙が生じる場合があり、溶接部の全ての領域が被覆されないために、腐食しやすいという問題がある。また、熱可塑性フィルムを溶接部にラミネートするために、比較的高温まで加熱する必要がある。
特開2001−233334号公報 特開2001−205764号公報
上記問題に鑑み、本発明は、優れた密着性及び段差被覆性を有すると共に低温でラミネートできる金属缶溶接部の補修用ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明に従って、ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(NPG共重合PET)と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とを含むポリエステルフィルムであって、前記ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂においてネオペンチルグリコール(NPG)は、全ジオール成分の20〜40mol%の割合で含有され、前記ポリエステルフィルムにおいて前記ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)は10〜30質量%の割合で含有され、前記ポリエステルフィルムは15〜35μmの範囲の厚さを有し、製造工程において長手方向(縦方向)に一軸延伸され、且つ、熱処理による固定化がされていないことを特徴とする、金属缶溶接部の補修用ポリエステルフィルムが提供される。
本発明によれば、優れた密着性及び段差被覆性を有し、低温でラミネートできると共に優れた耐熱性を有する、金属缶溶接部の補修用ポリエステルフィルムを提供することができる。
本発明の補修用ポリエステルフィルムを適用した金属缶溶接部の断面模式図。 従来の補修用フィルムを適用した、金属缶溶接部の断面模式図。
以下、本発明の構成について詳細に説明する。本発明の補修用ポリエステルフィルムは、ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂と、ポリブチレンテレフタレート樹脂とを含むポリエステルフィルムである。ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂において、ネオペンチルグリコールは、全ジオール成分の20〜40mol%の割合で含有される。ポリエステルフィルムにおいて、ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂は70〜90質量%の割合で含有され、ポリブチレンテレフタレート樹脂は10〜30質量%の割合で含有される。
ポリエステルフィルムは15〜35μmの範囲の厚さを有する。また、ポリエステルフィルムは、55〜70℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。
本発明の補修用ポリエステルフィルムは、製造工程において長手方向(縦方向)に一軸延伸され、且つ、熱処理による固定化がされていないことを特徴とする。
ポリエチレンテレフタレート樹脂は、ジカルボン酸としてテレフタル酸を用い、ジオールとしてエチレングリコールを用いて縮重合することにより得られるポリエステル樹脂である。本発明で用いられるNPG共重合PETは、ジオール成分としてエチレングリコール以外にネオペンチルグリコール成分を含むポリエチレンテレフタレート(変性PET)である。
NPG共重合PETにおける、NPG成分の含有率は、全ジオール成分の20mol%以上40mol%以下の範囲である。このような割合でネオペンチルグリコール成分を含むNPG共重合PETは、非結晶性を有するために軟化しやすい。よって、ポリエステルフィルムの密着性及び段差被覆性の向上に寄与することができる。また、ネオペンチルグリコール成分の含有率が上記範囲内であると、ポリエステルフィルムを安定して製造することが可能である。
ネオペンチルグリコール成分の含有率が20mol%未満である場合、樹脂の結晶性が発現し、軟化しにくくなるため、ポリエステルフィルムの密着性及び段差被覆性が低下する。一方、ネオペンチルグリコール成分の含有率が40mol%を超える場合、当該樹脂の製造工程における重合時間が長くなるため、生産性が低下する。NPG共重合PET中のネオペンチルグリコール成分の含有率は、全ジオール成分の25〜35mol%の範囲であることが好ましい。この範囲内であると、より優れた密着性及び段差被覆性を得ることができる。
本発明で用いられるNPG共重合PETは、その性質が変化しない範囲で、テレフタル酸成分と共にテレフタル酸以外のジカルボン酸成分を含有していてもよい。より具体的には、ジカルボン酸成分の全量に対して10mol%未満の他のジカルボン酸成分を含んでいてもよい。
他のジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、(無水)フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、炭素数20〜60のダイマー酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、その他ヒドロキシカルボン酸や多官能カルボン酸を挙げることができる。
本発明で用いられるNPG共重合PETは、その性質が変化しない範囲で、エチレングリコール成分及び、ネオペンチルグリコール成分と共に他のジオール成分を含有していてもよい。より具体的には、ジオール成分の全量に対して10mol%未満の他のジオール成分を含んでいてもよい。
他のジオール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオールなどの脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノールなどの脂環族ジオール、あるいは芳香族ジオール、多官能アルコールなどが挙げられる。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分として1,4−ブタンジオールを用いて縮重合することにより得られるポリエステル樹脂である。
PBTは結晶化の速度が大きく高い耐熱性を有している。よって、PBTを含有させることにより、ポリエステルフィルムの耐熱性を向上させることができる。
本発明で用いられるPBTは、その性質が変化しない範囲で、テレフタル酸成分と共に他のジカルボン酸成分を含有していてもよい。より具体的には、ジカルボン酸成分の全量に対して10mol%未満の他のジカルボン酸成分を含んでいてもよい。
他のジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、(無水)フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、炭素数20〜60のダイマー酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、その他ヒドロキシカルボン酸や多官能カルボン酸を挙げることができる。
本発明で用いられるPBTは、その性質が変化しない範囲で、1,4−ブタンジオール成分と共に他のジオール成分を含有していてもよい。より具体的には、ジオール成分の全量に対して10mol%未満の他のジオール成分を含んでいてもよい。
他のジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオールなどの脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノールなどの脂環族ジオール、あるいは芳香族ジオール、多官能アルコールなどが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、NPG共重合PETは70〜90質量%の割合で含有され、PBTは10〜30質量%の割合で含有される。NPG共重合PETの含有率が70質量%未満である場合、ポリエステルフィルムの密着性及び段差被覆性が不十分となる。一方、PBTの含有率が10質量%未満である場合、ポリエステルフィルムの耐熱性が低い。NPG共重合PETの含有率が75〜85質量%であり、PBTの含有率が15〜25質量%である場合、密着性及び段差被覆性と耐熱性のいずれについても優れた性質を有するため、より好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、必要に応じて、他の樹脂を含んでいてもよい。また、一般に使用される添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機系微粒子、有機系微粒子、着色剤などの添加剤を含んでいてもよい。
本発明のポリエステルフィルムは、15〜35μmの範囲の厚さを有する。厚さが15μm未満である場合、薄すぎるため段差被覆性が低く、溶接部の段差を十分に被覆できない虞がある。一方、厚さが35μmを越えると、溶接部にラミネートさせる際に、ポリエステルフィルムを十分に軟化するための熱量が大きくなるため、密着性が低下する虞がある。厚さが20〜30μmの範囲であると、密着性、段差被覆性が共に優れるため、より好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは厚みが15μm以上であり、全層の厚みが35μm以内であれば表層に他のフィルムを積層したりコーティングを施したりしてもよい。
ポリエステルフィルムは、ガラス転移温度以上の温度に加熱することにより、溶接部にラミネートさせることができる。本発明の好ましい態様において、ポリエステルフィルムは55〜70℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有する。ガラス転移温度がこの範囲である場合、より低温でもラミネートさせることができるという利点を有する。
本発明のポリエステルフィルムは、例えば、原料ポリエステル樹脂の混合物を押出機にて溶融し、Tダイより押し出した後、冷却ロールにて急冷し、続いてフィルムの長手方向(縦方向)に一軸延伸(縦延伸)を行うことにより製造する。縦方向に一軸延伸することにより、ポリエステルフィルムの縦方向の強度を向上させることができる。延伸倍率は、2.5〜6.0倍の範囲であることが好ましく、3.5〜4.5倍の範囲であることがより好ましい。延伸倍率が2.5倍未満であると、ポリエステルフィルムを所望の厚みにする精度が低下する。延伸倍率が6.0倍を越えると、フィルムが破断しやすく、製膜性が低下する。
本発明のポリエステルフィルムは、金属缶溶接部を補修するために用いられる。よって、細長い帯状の形状を有することが好ましい。ポリエステルフィルムは、製造工程において延伸された方向が長手方向であるように成形される。
本発明のポリエステルフィルムは、一軸延伸された後に熱処理による固定化が施されないことを特徴とする。一軸延伸後に熱処理により固定化を行わない方法によって製造することにより、ポリエステルフィルムの結晶化が進まないため、より低温でラミネートすることが可能であると共に、より高い密着性及び段差被覆性を得ることができる。通常、熱処理による固定化を行わない場合は、寸法安定性が低下するが、一軸延伸(縦延伸)のみを行い、二軸延伸(縦延伸及び横延伸)を行わないことにより、延伸されていない方向(横方向)の熱収縮を低減することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、200℃で3分間加熱されたときの、一軸延伸された方向と直交する方向(横方向)の熱収縮率が15%以下であることが好ましい。熱収縮率が高い場合、ポリエステルフィルムを溶接部に貼り、加熱したときに、横方向にフィルムが収縮して溶接段差部のフィルムに張りが生じる。そのため、溶接部の段差の形状の通りにフィルムが密着せず、特に段差の隅部とフィルムの間に空隙が生じやすい。しかしながら、横方向の熱収縮率が15%以下であれば、密着性及び段差被覆性を向上させることができる。
補修用フィルムは、缶胴の内面側の溶接部に加熱によりラミネートする。その後、熱処理を行って密着させる。従来の補修用フィルムを用いた金属缶20の断面模式図を図2に示す。図2において、缶胴1は溶接面2において溶接されており、溶接部に段差が存在している。缶胴1の外表面における溶接部以外の面は、外面保護フィルム3により被覆されている。溶接部は、外面側溶接部保護塗膜4により被覆されている。缶胴1の内表面における溶接部以外の面は、内面保護フィルム5により被覆されている。溶接部は、補修用フィルム22により被覆されている。
従来の補修用フィルムは、例えば204℃などの融点を有するため、ラミネートの際に高温まで加熱する必要があった。また、従来の補修用フィルムは、製造工程において二軸延伸されるとともに熱固定処理されているため、結晶化が進んでいる。このような補修用フィルムは、密着性及び段差被覆性が低く、溶接部の段差においてフィルムが缶胴の表面に密着しにくい。そのため、従来の補修フィルムを用いた金属缶では、図2において符号24により示されているような空隙を生じやすい傾向があった。
次に、本発明の補修用ポリエステルフィルムを用いた金属缶10の断面模式図を図1に示す。図1において、缶胴1は溶接面2において溶接されており、溶接部に段差が存在している。缶胴1の外表面における溶接部以外の面は、外面保護フィルム3により被覆されている。溶接部は、外面側溶接部保護塗膜4により被覆されている。缶胴1の内表面における溶接部以外の面は、内面保護フィルム5により被覆されている。溶接部は、本発明のポリエステルフィルム6により被覆されている。
本発明のポリエステルフィルムは、非結晶性のNPG共重合PETを70質量%以上含んでおり、さらに、製造工程において縦方向に一軸延伸されると共に、延伸後に熱固定処理により固定化がされていない。それ故、140〜160℃という比較的低温でラミネートすることができるとともに、200〜215℃という比較的低温での熱処理により密着させることができる。また、優れた密着性及び段差被覆性を有し、図1に示すように、溶接部の段差においてもフィルムが段差の形状のとおりに缶胴の表面に密着する。
補修用ポリエステルフィルムがラミネートされた後、熱処理された缶胴は、次いで、缶胴上下における缶蓋の巻き締めと内容物の充填が行われ、その後、パストライザー処理あるいはレトルト処理される。本発明のポリエステルフィルムは、内容物が充填された状態でも高い耐熱性・耐腐食性を有する。
本発明の補修用ポリエステルフィルムは、飲料缶に代表される食品缶詰缶等、ペール缶、ブリキ板製18L缶、鋼製ドラム等の何れの金属缶にも適用可能である。また、適用できる缶材の素材は特に制限されない。一般的に溶接缶に供される金属材料のいずれにも適用できる。また、金属缶の溶接方法も特に限定されず、缶材の露出がある場合は本発明の補修フィルムを適用できる。
[実施例1]
NPG共重合PETとPBTと用いてポリエステルフィルムを作製した。NPG共重合PET中に含まれるNPG成分の含有率は30mol%とした。即ち、NPG共重合PET中の全ジオール成分を100molとした場合に、エチレングリコール成分は70molとし、NPG成分は30molとした。ポリエステルフィルム中のNPG共重合PETの割合は80質量%であり、PBTの割合は20質量%とした。
上記のNPG共重合PETとPBTとの混合物を押出機にて溶融し、Tダイより押し出した後、冷却ロールにて急冷し、続いて一軸延伸(縦延伸)を行い、厚さが25μmであるポリエステルフィルムを作製した。延伸倍率は3.8倍とした。延伸後の熱処理による固定化は行わなかった。得られたポリエステルフィルムのガラス転移温度は64℃であった。
厚さが0.19mmであるニッケルメッキ鋼板及び薄錫メッキ鋼板(LTS材)を用いて溶接缶胴を作製した。上記で作製したポリエステルフィルムを8mmの巾に切断し、缶胴の溶接部にラミネート処理により接着させた。ラミネート処理は、フィルム側にゴムロールを備え、缶胴側にセラミックロールを備えたラミネート装置を用い、缶胴の長手方向とポリエステルフィルムの長手方向(一軸延伸方向)とが平行になるように配置して、ラミネートは温度160℃、圧力14kg/cmの圧力により行った。続いて、缶胴をコンベアオーブンにいれ、熱処理を210℃で90秒間の加熱処理をし、ポリエステルフィルムを固定化した。これにより、実施例1の試験サンプルを作製した。
[実施例2〜7]
NPG共重合PET中に含まれるNPGの含有率、NPG共重合PETとPBTとの混合比率、フィルムの厚さを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にポリエステルフィルムを作製した。それぞれのポリエステルフィルムのガラス転移温度を表1に示した。それぞれのポリエステルフィルムを用いて実施例1と同様に試験サンプルを作製した。
[比較例1〜6]
NPG共重合PET中に含まれるNPGの含有率、NPG共重合PETとPBTとの混合比率、厚さを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にポリエステルフィルム及び試験サンプルを作製した。それぞれのポリエステルフィルムのガラス転移温度を表1に示した。ただし、比較例2はNPG共重合PETの生産性が悪いため、フィルムの製膜に必要な樹脂が出来なかった。また、160℃でのラミネートで密着性が得られなかった、比較例1,4,6については、200℃でラミネートを行い、密着性及びその他の評価を行った。
[比較例7]
PBTの代わりにPETを用いた以外は、実施例1と同様にフィルム及び試験サンプルを作製した。160℃のラミネートで密着性が得られなかったため、200℃でラミネートを行い、密着性及びその他の評価を行った。フィルムのガラス転移温度を表1に示した。
[樹脂生産性の評価]
NPG共重合PETの生産性を評価した。一般的な重合時間で樹脂ができた場合を○とし、重合時間が長くなるなど樹脂の製造に問題が発生した場合を×とした。
[フィルム製膜性の評価]
ポリエステルフィルムの製膜性を評価した。実施例1に記載の方法でポリエステルフィルムが問題なく製膜出来た場合を○とし、フィルムが破断したり、シワが発生し巻き取り不良となった場合を×とした。
[密着性の評価]
実施例1〜7及び比較例1〜7の試験サンプルを用いて、ポリエステルフィルムの密着性を評価した。評価は、ポリエステルフィルムが缶胴溶接部にラミネートされた試験サンプルを用いて、クロス状にカットし、粘着テープにより剥離する、JIS K5600に記載されている方法に従って行った。
評価は、溶接部にポリエステルフィルムが密着しており剥離しなかった場合を○とし、ポリエステルフィルムが剥離した場合を×とした。
[段差被覆性の評価]
ポリエステルフィルムの段差被覆性を評価した。評価は、フィルムが溶接部の段差の形状通りに密着しているか否かを、光学顕微鏡により観察して行った。段差の形状の通りに密着している場合を○とし、段差の形状に密着しておらず、フィルムと段差隅部との間に空隙が認められる場合を×とした。
[耐熱性の評価]
実施例1〜7及び比較例1〜7の試験サンプルを用いて、ポリエステルフィルムの耐熱性を評価した。試験サンプルをレトルト釜に入れ、125℃で30分間のレトルト処理を行った。レトルト処理後の試験サンプルの溶接部を目視により観察した。ポリエステルフィルムの外観に変化が認められず、良好な状態である場合を○とし、ポリエステルフィルムが浮き上がり、空隙が認められる場合、白化した場合、又は剥離した場合を×とした。
[耐内容物性の評価]
試験サンプルに上蓋を取り付け、内容物を充填し、次いで底部を取り付けて試験缶を作製した。それぞれの試験缶を用いてポリエステルフィルムの耐内容物性を評価した。ここで、耐内容物性とは、金属缶中に内容物を充填した状態での耐熱性を指す。
コーンスープを各試験缶に充填し、レトルト釜に入れて128℃で43分間の条件でレトルト処理を行った。次いで、55℃の貯蔵庫で1ヶ月間保管した。保管後の試験缶を開封し、内容物を廃棄して、缶胴溶接部の腐食状態を観察した。ポリエステルフィルムにより被覆された溶接部の鋼板に変化が認められなかった場合を○とし、鋼板に腐食が認められた場合を×とした。
各評価の結果を表1に示す。各評価は、樹脂生産性、フィルム製膜性、密着性、段差被覆性、耐熱性、及び耐内容物性の順番で行った。評価結果が悪かった場合、それ以降の評価は行わなかった。
実施例1〜7はいずれも、樹脂生産性、フィルム製膜性、密着性、段差被覆性、耐熱性、耐内容物性の全てについて良好であることが示された。
比較例1は、密着性が低かった。これは、NPG共重合PET中のNPG含有率が低いことにより、結晶性が高くなったためと考えられる。比較例2は、樹脂の重合時間が長く、また十分な粘度が得られず製膜に供する樹脂ペレットが得られなかった。
比較例3は、製膜時にフィルムがしばしば破断し、安定して製膜できなかった。比較例4は、密着性及び段差被覆性が劣った。160℃のラミネートでは十分に密着せず、200℃でラミネートできた。これは、PBTの混合比率が高いため、ポリエステルフィルムの結晶性が高くなったためと考えられる。
比較例5は、段差被覆性が不十分であった。これは、ポリエステルフィルムが薄すぎたためと考えられる。比較例6は、密着性及び段差被覆性が劣った。160℃のラミネートでは十分に密着せず、200℃でラミネートできた。これは、ポリエステルフィルムが厚いため、軟化するための熱量が大きくなったためと考えられる。
比較例7は、密着性が劣った。160℃のラミネートでは十分に密着しなかったが、200℃でラミネートできた。これはPETの軟化温度がPBTより高いためと考えられる。また、耐熱性も低かった。
[比較例8]
NPGを30mol%含有するNPG共重合PET80質量%とPBT20質量%との混合物を押出機にて溶融し、Tダイより押し出した後、冷却ロールにて急冷し、縦方向に3.5倍延伸し、続けて横方向に3.5倍延伸して、ポリエステルフィルムを作製し、実施例1と同様に試験サンプルを作製した。ただし、160℃のラミネートで密着性が得られなかったので、200℃でラミネートを行い、密着性及びその他の評価を行った。ポリエステルフィルムのガラス転移温度を表2に示した。
[比較例9]
比較例8と同様にポリエステルフィルムを製膜した後、200℃で30秒間、熱処理して固定化を行った以外は、実施例1と同様に試験サンプルを作製した。ただし、160℃のラミネートで密着性が得られなかったので、200℃でラミネートを行い密着性及びその他の評価を行った。ポリエステルフィルムのガラス転移温度を表2に示した。
[製造方法の評価]
比較例8及び9について、上記と同様に密着性、段差被覆性、耐熱性、耐内容物性を評価した。さらに、一軸延伸された方向と直交する方向(横方向)の熱収縮率を測定した。それらの結果を、実施例1の結果と合わせて表2に示す。
比較例8は、密着性及び段差被覆性が劣った。160℃のラミネートでは十分に密着しなかったが200℃でラミネートできた。これは二軸延伸により結晶化が進みすぎたためと考えられる。また、二軸延伸後に熱固定処理されていないため、横方向の収縮率が高かった。
比較例9は、比較例8と同様に密着性及び段差被覆性が劣った。これは二軸延伸及び熱固定処理で、結晶化が大きくなったためと考えられる。また、二軸延伸後に熱固定処理されているが、実施例1と比較して横方向の収縮率が高かった。これは熱固定処理が収縮に対して十分でなかったためであると考えられる。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(NPG共重合PET)と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とが混合されたポリエステルフィルムであって、
前記ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(NPG共重合PET)においてネオペンチルグリコール(NPG)は、全ジオール成分の20〜40mol%の割合で含有され、
前記ポリエステルフィルムにおいて、前記ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(NPG共重合PET)は70〜90質量%の割合で含有され、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)は10〜30質量%の割合で含有され、
前記ポリエステルフィルムは15〜35μmの範囲の厚さを有し、
製造工程において長手方向(縦方向)に一軸延伸され、且つ、熱処理による固定化がされていないことを特徴とする、金属缶溶接部の補修用ポリエステルフィルム。
[2]
前記ポリエステルフィルムは、55〜70℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有する、[1]に記載の補修用ポリエステルフィルム。
[3]
前記ポリエステルフィルムは、200℃で3分間加熱されたとき、一軸延伸された方向と直交する方向(横方向)の熱収縮率が15%以下であることを特徴とする、[1]に記載の補修用ポリエステルフィルム。
1…缶胴、2…溶接面、3…外面保護フィルム、4…外面側溶接部保護塗膜、5…内面保護フィルム、6…本発明の補修用ポリエステルフィルム、10…金属缶、20…従来の金属缶、22…従来の補修用ポリエステルフィルム、24…空隙。

Claims (3)

  1. ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(NPG共重合PET)と、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とが混合されたポリエステルフィルムであって、
    前記ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(NPG共重合PET)においてネオペンチルグリコール(NPG)は、全ジオール成分の20〜40mol%の割合で含有され、
    前記ポリエステルフィルムにおいて、前記ネオペンチルグリコール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(NPG共重合PET)は70〜90質量%の割合で含有され、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)は10〜30質量%の割合で含有され、
    前記ポリエステルフィルムは15〜35μmの範囲の厚さを有し、
    製造工程において長手方向(縦方向)に一軸延伸され、且つ、熱処理による固定化がされていないことを特徴とする、金属缶溶接部にラミネート処理により接着させて前記金属缶溶接部を補修するためのポリエステルフィルム。
  2. 前記ポリエステルフィルムは、55〜70℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有する、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 前記ポリエステルフィルムは、200℃で3分間加熱されたとき、一軸延伸された方向と直交する方向(横方向)の熱収縮率が15%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
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