JP6509954B2 - 抗ウイルス剤 - Google Patents

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本発明は、抗ウイルス剤、物品を抗ウイルス加工する方法等に関する。
近年、衛生意識のさらなる高まりと共に、身近に存在する物品に対して抗ウイルス性を求める声が高まっている。一般的に、抗ウイルス剤としては、塩化ベンザルコニウムを始めとする四級アンモニウム塩が用いられている。しかしながら、四級アンモニウム塩は、通常はノロウイルスを始めとする非エンベロープウイルスに対する抗ウイルス作用が低いので、非エンベロープウイルスを対象とする場合にはさらに何らかの添加物と組み合わせる必要があった。また、四級アンモニウム塩は、通常は水溶性が高いので、工業製品に配合等した場合は水の接触により溶脱することとなり、このため持続した抗ウイルス作用の発揮が期待できない。
一方で、銀や酸化亜鉛を始めとする無機系の抗ウイルス剤が、工業製品の抗菌加工に使用されている。しかしながら、無機系の抗ウイルス剤は使用環境等により単独使用では十分な効力が得られないことが多い。
特許文献1には、四級アンモニウム塩、低級アルコール、及び0.01wt%〜5wt%のアルカリ性物質を含有する抗ウイルス剤が開示され、特許文献2には、四級アンモニウム塩及びベンジルアルコールを含有する抗ウイルス剤が開示されている。しかしながら、いずれも、四級アンモニウム塩のみでは非エンベロープ型ウイルスに対する効果が低いので併用剤となっており、このため高コストである。
特開2008−189645号公報 特開2013−40167号公報
本発明は、より高い抗ウイルス作用を発揮できる、特にエンベロープウイルスのみならず非エンベロープウイルスに対してもより高い抗ウイルス作用を発揮できる、抗ウイルス剤を提供することを課題とする。さらには、物品により強固に付着し、抗ウイルス作用をより持続的に発揮可能な抗ウイルス剤を提供することをも課題とする。
本発明者は上記課題に鑑みて鋭意研究した結果、特定のビス四級アンモニウム化合物が、エンベロープウイルスのみならず非エンベロープウイルスに対してもより高い抗ウイルス作用を発揮できることを見出した。さらに、該化合物と銀系抗菌剤とを組み合わせることにより、抗ウイルス作用を相乗的に向上させられることを見出した。本発明者はこれらの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記の態様を包含する:
項1. 一般式(1):
Figure 0006509954
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R5は、置換基を有していてもよい炭化水素基または炭素−炭素間単結合を、Y1は、−CONRn−、−NRnCO−、−NRnCS−、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−COO−、−COS−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Y2は、−NRnCO−、−CONRn−、−CSNRn−、−OCRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−OOC−、−SOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Zは、アニオンを、aは、1または2の整数を示す。)
で示されるビス四級アンモニウム化合物を含有する、抗ウイルス剤。
項2. 一般式(1)中、R1およびR2が炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜18のヒドロキシアルキル基であり、R3およびR4が水素原子であり、且つR5が炭素数2〜18のアルキレン基、フェニレン基、キシリレン基または炭素−炭素間単結合である、項1に記載の抗ウイルス剤。
項3. R1およびR2が炭素数8〜12のアルキル基であり、R3およびR4が水素原子であり、且つR5が炭素数5〜7のアルキレン基であり、Y1が−CONH−、または−NHCO−であり、Y2が−NHCO−、または−CONH−である、項1又は2に記載の抗ウイルス剤。
項4. 一般式(1)中、Zが無機アニオン又は有機アニオンである、項1〜3のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
項5. 一般式(1)中、Zがハロゲンイオン又は遊離の有機カルボン酸である、項1〜4のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
項6. 前記ビス四級アンモニウム化合物が、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)、および/または、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムアセテート)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)、および4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)からなる群より選択される少なくとも1種以上である、項1〜5のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
項7. 前記ビス四級アンモニウム化合物の水への溶解度が0.2%以下である、項1〜6のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
項8. さらに銀系抗菌剤を含有する、項1〜7のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
項9. 対象ウイルスが非エンベロープウイルスである、項1〜8のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
項10. 抗ウイルス剤の製造のための、一般式(1):
Figure 0006509954
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R5は、置換基を有していてもよい炭化水素基または炭素−炭素間単結合を、Y1は、−CONRn−、−NRnCO−、−NRnCS−、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−COO−、−COS−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Y2は、−NRnCO−、−CONRn−、−CSNRn−、−OCRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−OOC−、−SOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Zは、アニオンを、aは、1または2の整数を示す。)
で示されるビス四級アンモニウム化合物の使用。
項11. 抗ウイルス剤としての使用のための、一般式(1):
Figure 0006509954
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R5は、置換基を有していてもよい炭化水素基または炭素−炭素間単結合を、Y1は、−CONRn−、−NRnCO−、−NRnCS−、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−COO−、−COS−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Y2は、−NRnCO−、−CONRn−、
−CSNRn−、−OCRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−OOC−、−SOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Zは、アニオンを、aは、1または2の整数を示す。)
で示されるビス四級アンモニウム化合物。
項12. 一般式(1):
Figure 0006509954
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R5は、置換基を有していてもよい炭化水素基または炭素−炭素間単結合を、Y1は、−CONRn−、−NRnCO−、−NRnCS−、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−COO−、−COS−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Y2は、−NRnCO−、−CONRn−、−CSNRn−、−OCRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−OOC−、−SOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Zは、アニオンを、aは、1または2の整数を示す。)
で示されるビス四級アンモニウム化合物を、物品に配合すること、又は物品表面にコーティングすることを含む、物品を抗ウイルス加工する方法。
項13. 一般式(1):
Figure 0006509954
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R5は、置換基を有していてもよい炭化水素基または炭素−炭素間単結合を、Y1は、−CONRn−、−NRnCO−、−NRnCS−、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−COO−、−COS−、−
O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Y2は、−NRnCO−、−CONRn−、−CSNRn−、−OCRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−OOC−、−SOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Zは、アニオンを、aは、1または2の整数を示す。)
で示されるビス四級アンモニウム化合物を、物品に配合すること、又は物品表面にコーティングすることを含む、抗ウイルス加工された物品を製造する方法。
本発明によれば、抗ウイルス剤を提供することができる。本発明の抗ウイルス剤によれば、エンベロープウイルスのみならず非エンベロープウイルスに対してもより高い抗ウイルス作用を発揮できる。
また、有効成分としている特定のビス四級アンモニウム化合物は微生物防除作用を有することが知られており、このため本発明の抗ウイルス剤は、抗ウイルス作用のみならず、細菌、真菌等の微生物に対する抗微生物作用をも発揮することが可能である。
さらに、好ましい態様においては、有効成分としている特定のビス四級アンモニウム化合物は、四級アンモニウム塩であるにも関わらず水溶性の程度が低く、また吸着性もより高いので、本発明の抗ウイルス剤は、抗ウイルス作用をより持続的に発揮することが可能である。
また、好ましい態様においては、有効成分としている特定のビス四級アンモニウム化合物は、溶液とした場合に泡立ち難く、取り扱いが容易である。
本発明の抗ウイルス剤を、物品(例えばウイルスが付着し得る物品)に配合すること、又は物品表面にコーティングすることにより、該物品に抗ウイルス性を付与することができる。これにより、物品を介したウイルス伝播を抑制することができ、ひいてはウイルス感染症の拡大を防止することが可能となる。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。

本発明は、その一態様として、一般式(1):
Figure 0006509954
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を
、R5は、置換基を有していてもよい炭化水素基または炭素−炭素間単結合を、Y1は、−CONRn−、−NRnCO−、−NRnCS−、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−COO−、−COS−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Y2は、−NRnCO−、−CONRn−、−CSNRn−、−OCRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−OOC−、−SOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Zは、アニオンを、aは、1または2の整数を示す。)
で示されるビス四級アンモニウム化合物(本明細書において、「本発明の化合物」と示すこともある。)を含有する、抗ウイルス剤(本明細書において、「本発明の抗ウイルス剤」と示すこともある)に関する。以下、これについて説明する。
一般式(1)の式中、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプチニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニルなどの炭素数2〜18のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、ブチニル、ペンチニル、オクテニルなどの炭素数2〜8のアルキニル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどの炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アズレニルなどの炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、o、mまたはp−メチルベンジル、o、mまたはp−エチルベンジル、o、mまたはp−イソプロピルベンジル、o、mまたはp−tert−ブチルベンジル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメチルベンジル、2,3,4−、3,4,5−または2,4,6−トリメチルベンジル、5−イソプロピル−2−メチルベンジル、2−イソプロピル−5−メチルベンジル、2−メチル−5−tert−ブチルベンジル、2,4−、2,5−または3,5−ジイソプロピルベンジル、3,5−ジ−tert−ブチルベンジル、1−(2−メチルフェニル)エチル、1−(3−メチルフェニル)エチル、1−(4−メチルフェニル)エチル、1−(2−イソプロピルフェニル)エチル、1−(3−イソプロピルフェニル)エチル、1−(4−イソプロピルフェニル)エチル、1−(2−tert−ブチルフェニル)エチル、1−(4−tert−ブチルフ
ェニル)エチル、1−(2−イソプロピル−4−メチルフェニル)エチル、1−(4−イソプロピル−2−メチルフェニル)エチル、1−(2,4−ジメチルフェニル)エチル、1−(2,5−ジメチルフェニル)エチル、1−(3,5−ジメチルフェニル)エチル、1−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルなどの炭素数7〜16のアラルキル基が挙げられる。
R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えば、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素など)、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6のアルコキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなどの炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどの炭素数1〜4のアルキルチオ基など)およびアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基など)などが挙げられる。これらの置換基は同一または相異なって1〜5個、好ましくは1〜3個置換していてもよい。
上記したR1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、置換基を有していない炭化水素基、または、ヒドロキシル基を有する炭化水素基が好ましく、その中でも、アルキル基またはヒドロキシアルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。R1およびR2は、同一または相異なって、ともに、好ましくはアルキル基である。
このアルキル基としては、好ましくは炭素数が1以上、より好ましくは7以上、さらに好ましくは8以上であり、また、好ましくは炭素数が18以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは12以下であるアルキル基が挙げられる。該アルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜18のアルキル基、より好ましくは炭素数が7〜18のアルキル基、さらに好ましくは炭素数が7〜15のアルキル基、よりさらに好ましくは炭素数が8〜12のアルキル基が挙げられる。
このヒドロキシアルキル基としては、好ましくは炭素数が1以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは8以上であり、また、好ましくは炭素数が18以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは12以下であるヒドロキシアルキル基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜18のヒドロキシアルキル基、より好ましくは炭素数が3〜18のヒドロキシアルキル基、さらに好ましくは炭素数が7〜15のヒドロキシアルキル基、よりさらに好ましくは炭素数が8〜12のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
一般式(1)の式中、R3およびR4で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、アルキル基、より好ましくは、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
また、R3およびR4で示される置換基を有していてもよいアルコキシ基のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシなどの炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。
また、R3およびR4で示される置換基を有していてもよいアルコキシ基の置換基としては、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基と同様のものが挙げられる。
上記したR3およびR4で示される置換基を有していてもよいアルコキシ基としては、置換基を有していないアルコキシ基が好ましく、その中でも、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどの炭素数1〜3のアルコキシ基が挙げられる。
R3およびR4は、同一または相異なって、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子であることが好ましく、その中でも、ともに水素原子であることが好ましい。
一般式(1)の式中、R5で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリレン基などの2価の炭化水素基が挙げられる。
アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、iso−プロピレン、ブチレン、iso−ブチレン、sec−ブチレン、ペンチレン、iso−ペンチレン、sec−ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、2−エチルヘキシレン、ノニレン、デシレン、イソデシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ヘキサデシレン、オクタデシレンなどの炭素数1〜18のアルキレン基が挙げられる。
アルケニレン基としては、例えば、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレン、オクテニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、テトラデセニレン、ヘキサデセニレン、オクタデセニレンなどの炭素数2〜18のアルケニレン基が挙げられる。
アルキニレン基としては、例えば、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ペンチニレン、オクテニレンなどの炭素数2〜8のアルキニレン基が挙げられる。
シクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレンなどの炭素数3〜8のシクロアルキレン基が挙げられる。
アリレン基としては、例えば、フェニレン、トリレン、キシリレン、ナフチレンなどの炭素数6〜10のアリレン基が挙げられ、好ましくは、フェニレンおよびキシリレンが挙げられる。
また、R5で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基としては、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基と同様のものが挙げられ、好ましくは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6のアルコキシ基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキ
シカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなどの炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
R5で示される置換基を有していてもよい炭化水素基として、好ましくは、アルキレン基、フェニレン基、キシリレン基または炭素−炭素間単結合が挙げら、より好ましくは、アルキレン基が挙げられる。
このアルキレン基としては、好ましくは炭素数が2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上であり、よりさらに好ましくは5以上であり、また、好ましくは炭素数が18以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは7以下であるアルキレン基が挙げられる。該アルキレン基としては、好ましくは炭素数2〜18のアルキレン基、より好ましくは炭素数3〜12のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数4〜7のアルキレン基、よりさらに好ましくは炭素数5〜7のアルキレン基が挙げられる。
また、一般式(1)の式中、Y1で示される−CONR−、−NRCO−、−NRCS−、−CRO−、および、Y2で示される−NRnCO−、−CONRn−、−CSNRn−のRnとしては、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子が挙げられ、置換基を有していてもよい炭化水素基としては、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられる。好ましくは、アルキル基または水素原子が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシルなどの炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
一般式(1)の式中、Y1として、好ましくは、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−COO−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合が挙げられ、より好ましくは−CONH−または−NHCO−が挙げられる。また、Y2として、好ましくは、−NHCO−、−CONH−、−OCH−、−OOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合が挙げられ、より好ましくは−NHCO−または−CONH−が挙げられる。
一般式(1)の式中、Zで示されるアニオンとしては、例えば、無機アニオン、有機アニオンが挙げられる。
無機アニオンとしては、例えば、ハロゲンイオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-など)、ヨウ素酸イオン(IO-)、臭素酸イオン(BrO-)、塩素酸イオン(ClO-)、過ヨウ素酸イオン(IO-)、過塩素酸イオン(ClO-)、硫酸イオン(S
-)、硝酸イオン(NO-)、リン酸イオン(PO -)、亜硫酸イオン(SO
-)、亜硝酸イオン(NO-)などが挙げられる。
有機アニオンとしては、例えば、遊離の有機カルボン酸や遊離の有機スルホン酸などの遊離の有機酸などが挙げられる。遊離の有機酸としては、炭素数1〜20、好ましくは、炭素数1〜10の遊離の有機酸が挙げられる。
遊離の有機カルボン酸としては、例えば、1価の飽和カルボン酸イオン、2価の飽和カルボン酸イオン、1価の不飽和カルボン酸イオン、2価の不飽和カルボン酸イオン、ヒドロキシカルボン酸イオン、オキソカルボン酸イオン、芳香族カルボン酸イオンなどが挙げられる。
1価の飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、蟻酸イオン(HCOO-)、酢酸イオ
ン(CHCOO-)、プロピオン酸イオン(CCOO-)、酪酸イオン(CCOO-)、イソ酪酸イオン((CHCHCOO-)、吉草酸イオン(CH(CHCOO-)、イソ吉草酸イオン((CHCHCHCOO-)、ピバル酸イオン((CHCCOO-)、オクタン酸イオン(CH(CHCOO-)、デカン酸イオン(CH(CHCOO-)、ラウリン酸イオン(CH(CH10
COO-)、ミリスチン酸イオン(CH(CH12COO-)、パルミチン酸イオン(CH(CH14COO-)、ステアリン酸イオン(CH(CH16COO-)などの炭素数1〜18の1価の飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
2価の飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、シュウ酸イオン((COO-))、
マロン酸イオン(CH(COO-))、コハク酸イオン((-OOC)(CH(COO-))、グルタル酸イオン((-OOC)(CH(COO-))、アジピン酸
イオン((-OOC)(CH(COO-))、ピメリン酸イオン((-OOC)(C
(COO-))、スベリン酸イオン((-OOC)(CH(COO-))、
アゼライン酸イオン((-OOC)(CH(COO-))、セバシン酸イオン((-
OOC)(CH(COO-))などの炭素数2〜10の2価の飽和カルボン酸イオ
ンなどが挙げられる。
1価の不飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、アクリル酸イオン(CH=CHC
OO-)、メタクリル酸イオン(CH=C(CH)COO-)、クロトン酸イオン(C
CH=CHCOO-)、cis−クロトン酸イオン(CHCH=CHCOO-)、ソルビン酸イオン(CHCH=CHCH=CHCOO-)、オレイン酸イオン(CH(CH
CH=CH(CHCOO-)、trans-9-オクタデセン酸イオン(CH(CHCH=CH(CHCOO-)、フランカルボン酸イオン(COCOO-)などの炭素数3〜18の1価の不飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
2価の不飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、マレイン酸イオン(CH(COO-
)=CHCOO-)、シトラコン酸イオン((CH)C(COO-)=CHCOO-)、メ
サコン酸イオン((COO-)C(CH)=CHCOO-)などの炭素数4〜5の2価の
不飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸イオンとしては、例えば、乳酸イオン(CHCH(OH)COO-)、リンゴ酸イオン(CH(OH)(COO-)CHCOO-)、クエン酸イオン(
CH(COO-)C(OH)(COO-)CHCOO-)、グリコン酸イオン(CH
(OH)CH(OH)CH(OH)CH(OH)CH(OH)COO-)などの炭素数3
〜6のヒドロキシカルボン酸イオンなどが挙げられる。
オキソカルボン酸イオンとしては、例えば、ピルビン酸イオン(CHCOCOO-)
、アセト酢酸イオン(CHCOCHCOO-)などの炭素数3〜4のオキソカルボン
酸イオンなどが挙げられる。
芳香族カルボン酸イオンとしては、例えば、安息香酸イオン(CCOO-)、フ
タル酸イオン(C(COO-))、ナフタレンカルボン酸イオン(C10
OO-)、ピリジンカルボン酸イオン(CNCOO-)などの炭素数5〜11の芳香族カルボン酸イオンなどが挙げられる。
また、遊離の有機スルホン酸としては、例えば、メチル硫酸イオン((CH)SO-)、エチル硫酸イオン((C)SO-)、メチルベンゼンスルホン酸イオン(CHSO-)などの炭素数1〜7の有機スルホン酸イオンが挙げられる。
また、一般式(1)の式中、Zで示される有機アニオンとしては、その他に、アミノ酸、エリソルビン酸、アスコルビン酸、デヒドロ酢酸、アルコラート、フェノラートおよび水酸基に起因する有機アニオンなどが挙げられる。
これらアニオンは、単独または2種以上併用してもよい。好ましくは、有機アニオンおよびハロゲンイオンが挙げられ、より好ましくは遊離の有機カルボン酸およびハロゲンイオンが挙げられ、さらに好ましくは1価の飽和カルボン酸イオンおよびハロゲンイオンが挙げられ、よりさらに好ましくは酢酸イオンおよびブロマイドイオン(Br-)が挙げら
れ、特に好ましくは酢酸イオンが挙げられる。
また、aは、1または2の整数を示し、具体的には、ビス四級アンモニウム塩化合物およびアニオンの種類に応じて、適宜決定される。aは、2が特に好ましい。
一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム化合物は、水溶性の程度がより低い方が、物品から溶脱し難く、抗ウイルス作用をより持続的に発揮することができる。この観点から、該化合物の水への溶解度は、例えば10%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは0.2%以下である。
一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物の好ましい態様としては、R1およびR2が炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜18のヒドロキシアルキル基であり、R3およびR4が水素原子であり、且つR5が炭素数2〜18のアルキレン基、フェニレン基、キシリレン基または炭素−炭素間単結合である態様が挙げられる。
一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物のより好ましい態様としては、R1およびR2が炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜18のヒドロキシアルキル基であり、R3およびR4が水素原子であり、且つR5が炭素数2〜18のアルキレン基、フェニレン基、キシリレン基または炭素−炭素間単結合であり、Y1が−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−COO−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合であり、Y2が−NHCO−、−CONH−、−OCH−、−OOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合である態様が挙げられる。
一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物のさらに好ましい態様としては、R1およびR2が炭素数1〜18のアルキル基であり、R3およびR4が水素原子であり、且つR5が炭素数4〜7のアルキレン基であり、Y1が−CONH−、または−NHCO−であり、Y2が−NHCO−、または−CONH−である態様が挙げられる。
一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物のよりさらに好ましい態様としては、R1およびR2が炭素数1〜18のアルキル基であり、R3およびR4が水素原子であり、且つR5が炭素数4〜7のアルキレン基であり、Y1が−CONH−であり、Y2が−NHCO−である態様が挙げられる。
一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物のよりさらに好ましい態様としては、R1およびR2が炭素数8〜12のアルキル基であり、R3およびR4が水素原子であり、且つR5が炭素数5〜7のアルキレン基であり、Y1が−CONH−、または−NHCO−であり、Y2が−NHCO−、または−CONH−である態様が挙げられる。
一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物は、以下に示す具体的な化合物に準じて公知の方法により製造することができ、その具体例としては、例えば、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム塩)、N,N’
−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)などのN,N’−アルキレン−ビス(4−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム塩、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−デシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−オクタデシルピリジニウム塩)などのN,N’−アルキレン−ビス(3−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウム塩)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−テトラデシルピリジニウム塩)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−ヘキサデシルピリジニウム塩)などの4,4’−(アルキレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(ヘキサメチレンジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)などの4,4’−(アルキレンジチオ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−ブチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−ヘキシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−デシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−テトラデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−オクタデシルピリジニウム塩)などの4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス((1−アルキル)ピリジニウム塩)、例えば、3,3’−(m−キシリルジチオ)ビス(1−テトラデシルピリジニウム塩)などの3,3’−(m−キシリルジチオ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−ヘキシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−オクタデシルピリジニウム塩)などのN,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、N,N’−(m−フェニレン)ビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)などのN,N’−(m−フェニレン)ビス(3−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ブチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ペンチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ヘキシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ヘプチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−デシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−テトラデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−オクタデシルピリジニウム塩)などの4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−
アルキルピリジニウム塩)、例えば、3,3’−(m−フタルアミド)ビス(1−オクタデシルピリジニウム塩)などの3,3’−(m−フタルアミド)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、1,4−テトラメチレンビス(4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、1,6−ヘキサメチレンビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、1,6−オクタメチレンビス(3−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、3,3’−(1,3−トリメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)などの(アルキレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(1,8−オクタメチレンジオキシ)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)、3,3’−(1,6−ヘキサメチレンジオキシ)ビス(1−ヘキサドデシルピリジニウム塩)などの(アルキレンジオキシ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(1,6−ヘキサメチレンジオキシジカルボニル)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)、3,3’−(1,6−テトラメチレンジオキシジカルボニル)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)などの(アルキレンジオキシジカルボニル)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(1,4−テトラメチレンジカルボニルジオキシ)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)などの(アルキレンジカルボニルジオキシ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(1,8−オクタメチレンジカルボニルジチオキシ)ビス(1−オクタデシルピリジニウム塩)などの(アルキレンジカルボニルジチオキシ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、3,3’−(p−フタロイルジオキシ)ビス(1−デシルピリジニウム塩)、3,3’−(m−フタロイルジチオキシ)ビス(1−デシルピリジニウム塩)などの(フタロイルジチオキシ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、1−オクチル−1’−(3−ヒドロキシトリメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−オクチル−1’−(6−ヒドロキシヘキサメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−オクチル−1’−(8−ヒドロキシオクタメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−オクチル−1’−(10−ヒドロキシデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−オクチル−1’−(12−ヒドロキシドデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(3−ヒドロキシトリメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(6−ヒドロキシヘキサメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(8−ヒドロキシオクタメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(10−ヒドロキシデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(12−ヒドロキシドデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(3−ヒドロキシトリメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(6−ヒドロキシヘキサメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(8−ヒドロキシオクタメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(10−ヒドロキシデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(12−ヒドロキシドデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩 などの
1−アルキル−1’−(12−ヒドロキシアルキレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、例えば1,1’−ジデシル−3,3’−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム塩などの1,1’−ジアルキル−3,3’−[アルキル−1,4−ジ
イルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム塩などが挙げられる。
なお、上記したビス四級アンモニウム塩化合物のピリジニウム塩としては、上記したZで示されるアニオンとの塩であれば特に制限されないが、例えば、ブロマイド(ピリジニウムブロマイド)、アイオダイド(ピリジニウムアイオダイド)、アセテート(ピリジニウムアセテート)などが挙げられる。
これらのうち、好ましくは、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)(ダイマー38、イヌイ社製)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(ダイマー38A、イヌイ社製)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピ
リジニウムブロマイド)(ダイマー136、イヌイ社製)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムアセテート)(ダイマー136A、イヌイ社製)が挙げられる。さらに好ましくは、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)(ダイマー38、イヌイ社製)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(ダイマー38A、イヌイ社製)が挙げられる。これらビス四級アンモニウム塩化合物は、単独または2種以上併用してもよい。
本発明は、有効成分として、さらに銀系抗菌剤を含有することが好ましい。これにより、本発明の化合物の抗ウイルス作用を相乗的に高めることが可能である。
銀系抗菌剤は、銀成分を含有するものである限り特に制限されない。銀系抗菌剤としては、例えば、抗菌剤および/または殺菌剤として公知のものや市販のものを各種使用することができる。また、抗菌剤や殺菌剤として用いられているものではなくとも、銀成分を含有しているもの(例えば、試薬や工業原料など)であれば、本発明の銀系抗菌剤に含まれる。
銀成分としては、例えば、金属銀(Ag); 無機化合物(例えば、AgCl,AgF,AgF2などのハロゲン化銀、Ag2O,AgOなどの酸化銀、Ag2Sなどの硫化銀、Ag2SO4,Ag2CrO4,Ag3PO4,Ag2CO3,Ag2SiO3などの酸素酸塩など)等が挙げられる。これらの中でも、銀成分として、好ましくは金属銀が挙げられる。
銀系抗菌剤の形態は粒子状であってもよく、銀成分の他に担体を含んでいてもよい。担体を含む場合は、銀系抗菌剤は、銀成分が担体に担持されてなる銀担持体であることが好ましい。
銀系抗菌剤としては、好ましくは、担体上に銀イオンを担持してなる粒子を好適に用いることができる。
前記担体としては、例えば、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、活性白土等の無機系吸着剤、ゼオライト、水酸化アパタイト、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、リン酸チタン、チタン酸カリウム、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、ハイドロタルサイト等の無機イオン交換体等の無機化合物が挙げられる。これらの無機化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの無機化合物の中でも、銀イオンを強固に担持できる点で、無機イオン交換体が好ましく、ゼオライトがより好ましい。
銀イオンの担持量は、担体100重量部に対し、通常0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
銀系抗菌剤は、担体上に、銀イオン以外のイオンを担持していてもよい。銀イオン以外のイオンとしては、例えば銅イオン、亜鉛イオン等が挙げられる。
銀系抗菌剤粒子の形状としては、例えば、球状、楕円状、多面体状、鱗片状等が挙げられる。平均粒径は、0.001〜50μmが好ましく、0.01〜10μmがより好ましい。
銀系抗菌剤の調製方法としては、特に限定されず、公知の担持方法により、前記銀イオンを前記無機化合物に担持すればよい。公知の担持方法としては、例えば、物理吸着又は化学吸着により前記銀イオンを前記無機化合物に担持させる方法、イオン交換反応により
前記銀イオンを前記無機化合物に担持させる方法、結合剤により前記銀イオンを前記無機化合物に担持させる方法、銀化合物を前記無機化合物に打ち込むことにより担持させる方法、蒸着、溶解析出反応、スパッタ等の薄膜形成法により前記無機化合物の表面に前記銀化合物の薄層を形成させることにより担持させる方法等が挙げられる。
また、銀系抗菌剤としては、例えば「ノバロンAG−300」(東亜合成化学製、銀イオン担持リン酸ジルコニウム)、「抗菌セラミックス」(新東Vセラミックス社製、銀イオン担持アパタイト)、「ゼオミックAJ−10D」(シナネンニューセラミック製、銀イオン担持ゼオライト)等の市販品を利用することもできる。
本発明の化合物は、抗ウイルス作用を有するので、抗ウイルス剤の有効成分として好適に使用することができる。なお、本明細書において、「抗ウイルス」には、ウイルスの増殖を抑制すること、ウイルスを殺すこと、ウイルスの感染性を低減すること等が包含される。
本発明の抗ウイルス剤の対象ウイルスとしては、特に制限されないが、例えばインフルエンザウイルス(例えばA型、B型等)、風疹ウイルス、エボラウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、アルボウイルス、RSウイルス、SARSウイルス、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス等)、黄熱ウイルス、エイズウイルス、狂犬病ウイルス、ハンタウイルス、デングウイルス、ニパウイルス、リッサウイルス等のエンベロープウイルス(エンベロープを有するウイルス); アデノウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ヒトパルボウイルス、脳心筋炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス等の非エンベロープウイルス(エンベロープを有さないウイルス)等が挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤は、エンベロープウイルスのみならず非エンベロープウイルスに対してもより高い抗ウイルス作用を発揮することができる。この観点から、本発明の抗ウイルス剤の対象ウイルスとして、好ましくは非エンベロープウイルスが挙げられ、より好ましくはノロウイルスが挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤の剤形は特に制限されず、その用途に応じて適宜選択することができる。剤形としては、例えば液剤、乳剤、懸濁剤、分散剤、エアゾール剤等の液剤; 水和剤、粉剤、粒剤、微粒剤、フロアブル剤等の固形又は半固形剤等が挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤は、本発明の化合物のみ(銀系抗菌剤を含有する場合は、本発明の化合物と銀系抗菌剤のみ)からなるものであってもよいが、その目的、用途等に応じて、抗ウイルス活性及び安定性に影響を与えない範囲で、公知の添加剤、例えば、微生物防除剤(抗菌剤、殺菌剤、防腐剤、防藻剤、防カビ剤等)、他の抗ウイルス剤の他、溶媒、バインダー、担体、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、保湿剤、着色料、香料、キレート剤、酸化防止剤、光安定剤、消泡剤等の、広く一般に製剤化に用いられる添加剤を添加することができる。
微生物防除剤として、より具体的には、例えば、イソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、トリアゾール系化合物、ニトロアルコール系化合物、ジチオール系化合物、チオフェン系化合物、ハロアセチレン系化合物、フタルイミド系化合物、ハロアルキルチオ系化合物、フェニルウレア系化合物、トリアジン系化合物、グアニジン系化合物、四級アンモニウム塩系化合物等が挙げられる。
なお、本発明の抗ウイルス剤は、その有効成分が、抗ウイルス作用のみならず、微生物防除作用をも有する点で優れている。この観点から、本発明の抗ウイルス剤は、微生物防除剤を含まなくとも、微生物防除作用を発揮することが可能である。
また、好ましい態様においては、本発明の化合物は、他の4級アンモニウム塩に比べて吸着性が高いため、バインダー等が無くとも、吸着性を利用した物品(例えば繊維等)への表面抗ウイルス加工を行うことができる。本発明の抗ウイルス剤を用い、上記吸着力を利用して(バインダーを使用せず)表面を抗ウイルス加工した物品は、水接触条件下であっても、(例えば、ダイマー38Aは水への溶解度が比較的高い化合物であるにも拘わらず、)抗ウイルス作用をより持続的に発揮することが可能である。この観点から、本発明の抗ウイルス剤は、バインダーを含まなくとも、抗ウイルス作用をより持続的に発揮することが可能である。
本発明の抗ウイルス剤における、本発明の化合物の含有量は、特に制限されないが、例えば0.0001〜100重量%、好ましくは0.001〜50重量%とすることができる。
本発明の抗ウイルス剤が銀系抗菌剤を含有する場合における、銀系抗菌剤の含有量は、特に制限されないが、例えば0.0001〜100重量%、好ましくは0.001〜50重量%とすることができる。
本発明の抗ウイルス剤が銀系抗菌剤を含有する場合における、銀系抗菌剤の含有量に対する本発明の化合物の含有量の比率は、例えば0.01〜100、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.2〜5、さらに好ましくは0.3〜3、よりさらに好ましくは0.5〜2である。
本発明の抗ウイルス剤は、抗ウイルス性を要する各種分野において広く使用することができる。本発明の抗ウイルス剤は、例えば工業、洗浄、医療、食品等の各種分野において使用することができる。
本発明の抗ウイルス剤のより具体的な使用態様としては、例えば物品に配合する態様、物品表面にコーティングする態様等が挙げられる。これにより、物品を抗ウイルス加工することができる。すなわち、物品に既に付着しているウイルスに対して抗ウイルス効果を発揮し、これから物品に付着するウイルスに対して抗ウイルス効果を発揮し、さらには該物品にこれから接触する他の物品に既に付着しているウイルスやこれから付着するウイルスに対して抗ウイルス効果を発揮することができる。
物品としては、各種分野において用いられている工業製品やその原材料が挙げられる。工業製品の具体例としては、塗料、接着剤、合成ゴムラテックス、インキ、ポリビニルアルコールフィルム、塩化ビニルフィルム、樹脂製品、石膏ボード、屋根材、壁材、床材、建具、塗工紙、壁紙、フロア外張り、OA機器、家電、空調機器、掃除機、机、椅子、ソファー、ベンチ、窓、つり革、ハンドル、シート、自動改札機、自動券売機、自動販売機、扉、柵、手摺、食器、調理用具、包装フィルム、包装袋、瓶、ボトル、包装パック、シンク、便器、文房具、書籍、棚、歯ブラシ、鏡、フィルター、マスク、コート、ジャケット、ズボン、スカート、ワイシャツ、ニットシャツ、ブラウス、セーター、カーディガン、ナイトウエア、肌着、下着、オムツ、サポーター、靴下、タイツ、ストッキング、帽子、スカーフ、マフラー、襟巻き、ストール、手袋、服の裏地、服の芯地、服の中綿、作業着、ユニフォーム、学童用制服等の衣料、カーテン、アミ戸、布団地、布団綿、布団カバー、枕カバー、シーツ、マット、カーペット、タオル、ハンカチ、壁布、バンドエイド、包帯等、さらにはこれらの複合材料等が挙げられる。
なお、好ましい態様においては、本発明の化合物は吸着性が高いので、物品に配合又はコーティングされた本発明の化合物は、他の4級アンモニウム塩に比べ水に洗い流され難い。このため、本発明の抗ウイルス剤は、物品が水接触条件下で使用されても、抗ウイルス作用をより持続的に発揮することが可能である。ましてや、本発明の化合物で水への溶解度が低い化合物は、物品が水接触条件下で使用されても、より更に、抗ウイルス作用をより持続的に発揮することが可能である。
「物品に配合する」とは、物品中に本発明の化合物が含まれるような態様(好ましくは、物品の表面に本発明の化合物が存在するような態様)である限り特に限定されず、物品の種類に応じて適宜選択することができる。配合の態様は、例えば物品に混合する、物品の製造工程において練り込む、物品(例えば繊維の集積体からなる物品等)に含浸させる等の態様が挙げられる。
「物品表面にコーティングする」とは、物品の表面に本発明の化合物が存在するような態様である限り特に限定されず、物品の種類に応じて適宜選択することができる。コーティングの態様は、例えば物品表面に塗布する、物品表面に噴霧する、物品表面を浸漬する等の態様が挙げられる。なお、コーティングの態様には、物品の表面に本発明の化合物が固定される態様、固定されない態様のいずれも包含される。
本発明の抗ウイルス剤の適用量は、その使用態様、適用対象物品の種類、抗ウイルス効果を期待する期間等に応じて、適宜選択することができる。例えば、工業製品に配合する場合、工業製品1kgあたりに対し、有効成分の量として10〜50000mgとなるように配合することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
溶媒として滅菌済み蒸留水を用いて、N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-
デシルピリジニウムブロマイド)(商品名:ダイマー38、イヌイ社製、純度99.9重量%)を0.1 w/v%の濃度で含有する液を調製し、これを試験サンプル液とした。
実施例2
濃度を0.05 w/v%とする以外は、実施例1と同様にして試験サンプル液を調製した。
実施例3
濃度を0.01 w/v%とする以外は、実施例1と同様にして試験サンプル液を調製した。
実施例4
溶媒として滅菌済み蒸留水を用いて、N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-
デシルピリジニウムアセテート)(商品名:ダイマー38A、イヌイ社製)を0.05 v/v%の濃度で含有する液を調製し、これを試験サンプル液とした。
実施例5
担持体として結晶性アルミノケイ酸塩(xR2O ・Al2O3 ・ySiO2)を用い、それを0.05 N硝酸銀水溶液に入れ、40℃で15時間攪拌混合することにより、銀イオン担持殺菌剤(銀ゼオライト)を得た。
溶媒として滅菌済み蒸留水を用いて、N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-
デシルピリジニウムブロマイド)(商品名:ダイマー38、イヌイ社製、純度99.9重量%)を0.025 w/v%の濃度で含有し、且つ銀ゼオライトを0.025 w/v%の濃度で含有する液を調製し、これを試験サンプル液とした。
比較例1
リン酸緩衝生理食塩水(PBS:Phosphate buffered saline)を調製し、これを試験サンプル液とした。
比較例2
溶媒として滅菌済み蒸留水を用いて塩化ベンザルコニウム溶液を希釈し、塩化ベンザルコニウムを0.05 v/v%の濃度で含有する液を調製し、これを試験サンプル液とした。なお
、塩化ベンザルコニウム溶液としては和光純薬工業社製の「10%塩化ベンザルコニウム溶
液」(商品名)を用いた。
比較例3
溶媒として滅菌済み蒸留水を用いてポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)溶液を希釈し、PHMBを0.05 v/v%の濃度で含有する液を調製し、これを試験サンプル液とした。な
お、PHMB溶液としてはロンザジャパン社製の「Proxel IB」(商品名)を用いた。
比較例4
溶媒として滅菌済み蒸留水を用いて、実施例5で作製した銀ゼオライトを、0.05 w/v%の濃度で含有する液を調製し、これを試験サンプル液とした。
試験例1(抗ウイルス性の評価)
ウイルスとしてインフルエンザウイルス(H3N2)又はネコカリシウイルス(F-9)を用
いて、試験ウイルス懸濁液(4〜6×104 PFU/mL)を調製した。この試験ウイルス懸濁液1 mLを試験サンプル液9 mLと混合し、得られた混合液を25℃で1時間放置した。放置後の混
合液0.5 mLを薬剤不活化剤(SCDLP液体培地)に加え混合した。不活化後の混合液0.1 mL
をEMEM 0.9 mLと混合して試験液を調製し、該試験液を用いて、プラーク測定法によって
ウイルス感染価を測定した。一方で、コントロールとして、試験サンプル液との混合前の試験ウイルス懸濁液を用いて、同様にウイルス感染価を測定した。ウイルス感染価に基づいて、以下の式により、抗ウイルス活性値(Mv)を算出した。
Figure 0006509954
結果を表1〜3に示す。
Figure 0006509954
Figure 0006509954
Figure 0006509954
表1及び2より、本願一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物であるダイマー38及びダイマー38Aが抗ウイルス活性を有することが示された。また、表2の通り
、本願一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物であるダイマー38及びダイマー38Aは、既存の抗ウイルス剤である塩化ベンザルコニウム及びPHMBよりも、より高い
抗ウイルス活性(特に、非エンベロープウイルスであるネコカリシウイルスに対してより高い抗ウイルス活性)を示した。
さらに、表3より、本願一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物であるダイマー38又はダイマー38Aと、銀系抗菌剤である銀ゼオライトと組み合わせることによ
り、抗ウイルス活性が相乗的に高まることが示された。
試験例2(泡立ち性の評価)
溶媒として滅菌済み蒸留水を用いて、N,N’-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-
デシルピリジニウムアセテート)(商品名:ダイマー38A、イヌイ社製)、又はジデシル
ジメチルアンモニウムアジペート(ジデシル-N,N−ジメチルアンモニウムのアジピン酸
塩)(DDAA:CAS No. 210420-85-2)を5 %の濃度で含有する液を調製し、これを試験液とした。試験液又は水50 mlを、100 mlのガラス瓶(高さ8.5cm)に入れた(液面高さ3.5cm
)。この溶液を激しく10秒間振とうして、浸透直後、並びに浸透から2分後、3分後、10分後、20分後、及び30分後の泡の高さを測定した。結果を表4に示す。
Figure 0006509954
表4の通り、本願一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム塩化合物であるダイマー38Aは、既存の抗ウイルス剤であるDDAAよりも、泡立ち難いことが示された。

Claims (5)

  1. N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムアセテート)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)、および4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)からなる群より選択される少なくとも1種以上のビス四級アンモニウム化合物、ならびに銀系抗菌剤を含有する、抗ウイルス剤。
  2. 前記ビス四級アンモニウム化合物の水への溶解度が0.2%以下である、請求項1に記載の抗ウイルス剤。
  3. 対象ウイルスが非エンベロープウイルスである、請求項1又は2に記載の抗ウイルス剤。
  4. N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムアセテート)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)、および4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)からなる群より選択される少なくとも1種以上のビス四級アンモニウム化合物、ならびに銀系抗菌剤を、物品に配合すること、又は物品表面にコーティングすることを含む、物品を抗ウイルス加工する方法。
  5. N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムアセテート)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)、および4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)からなる群より選択される少なくとも1種以上のビス四級アンモニウム化合物、ならびに銀系抗菌剤を、物品に配合すること、又は物品表面にコーティングすることを含む、抗ウイルス加工された物品を製造する方法。
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