JP6392430B2 - 抗ウイルス剤 - Google Patents

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本発明は、抗ウイルス剤、物品を抗ウイルス加工する方法等に関する。
近年、身近に存在する物品に対して抗ウイルス性を求める声が高まる中で、種々の抗ウイルス剤、例えば酸化亜鉛など二価金属の酸化物を用いた抗ウイルス剤の開発が進められている。一方で、身近に存在する物品に対しては、抗ウイルス性だけでなく消臭性も求められるケースが多い。
特許文献1では、酸化亜鉛等の各種成分を特定割合で配合してなる、鳥インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤が開示されている。しかし、この技術においては抗ウイルス有効成分自身による消臭性の付与にまで至ってはいない。この技術においては消臭成分を別途配合することで、消臭機能が付与されている。また、非常に多数の成分を必須とするものであり、製造コストの問題が生じていた。また、特許文献2では、二価金属の水酸化物や、四価金属のリン酸塩等が消臭作用を有することが報告されているが、これらが抗ウイルス性をも発揮できることは知られていない。
中国特許公開第104054753 A号 特開平8-284011号公報
本発明は、抗ウイルス剤を提供することを課題とする。さらには、消臭性能をも発揮することが可能な、抗ウイルス剤を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題に鑑みて鋭意研究した結果、消臭作用を有することが知られている二価金属の水酸化物が、抗ウイルス作用をも有することを見出した。本発明者はこのような知見に基づき、さらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記の態様を包含する:
項1. 二価金属の水酸化物を含有する、抗ウイルス剤.
項2. 前記二価金属の水酸化物が水酸化亜鉛である、項1に記載の抗ウイルス剤.
項3. さらに、二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上を含有する、項1または2に記載の抗ウイルス剤.
項4. 二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩を含有する、項3に記載の抗ウイルス剤.
項5. 前記二価金属のリン酸塩がリン酸亜鉛であり、且つ前記四価金属のリン酸塩がリン酸チタンである、項3又は4に記載の抗ウイルス剤.
項6. さらに、光触媒を含有する、項1〜5のいずれかに記載の抗ウイルス剤.
項7. 前記光触媒が酸化チタンである、項6に記載の抗ウイルス剤.
項8. 対象ウイルスがエンベロープウイルスである、項1〜7のいずれかに記載の抗ウイルス剤.
項9. 対象ウイルスがインフルエンザウイルスである、項1〜8のいずれかに記載の抗ウイルス剤.
項10. 抗ウイルス剤の製造のための、二価金属の水酸化物の使用.
項11. 抗ウイルス剤としての使用のための、二価金属の水酸化物.
項12. 二価金属の水酸化物を、物品に配合すること、又は物品表面にコーティングすることを含む、物品を抗ウイルス加工する方法.
項13. 二価金属の水酸化物を、物品に配合すること、又は物品表面にコーティングすることを含む、抗ウイルス加工された物品を製造する方法.
本発明によれば、抗ウイルス剤を提供することができる。この抗ウイルス剤は、抗ウイルス作用のみならず、消臭性能をも発揮することが可能である。
本発明の抗ウイルス剤を、物品(例えばウイルスが付着し得る物品)に配合すること、又は物品表面にコーティングすることにより、該物品に抗ウイルス性を付与することができる。これにより、物品を介したウイルス伝播を抑制することができ、ひいてはウイルス感染症の拡大を防止することが可能となる。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
本発明は、その一態様として、二価金属の水酸化物(好ましい態様においては二価金属の水酸化物と、二価金属のリン酸塩、四価金属のリン酸塩、及び光触媒からなる群より選択される少なくとも1種以上との組合せ)を含有する、抗ウイルス剤(本明細書において、「本発明の抗ウイルス剤」と示すこともある。)に関する。以下、これについて説明する。
1.有効成分
二価金属の水酸化物(好ましい態様においては二価金属の水酸化物と、二価金属のリン酸塩、四価金属のリン酸塩、及び光触媒からなる群より選択される少なくとも1種以上との組合せ)は抗ウイルス作用を有するので、二価金属の水酸化物(好ましい態様においては二価金属の水酸化物と、二価金属のリン酸塩、四価金属のリン酸塩、及び光触媒からなる群より選択される少なくとも1種以上との組合せ)は、抗ウイルス剤の有効成分として、好適に使用することができる。なお、本明細書において、「抗ウイルス」には、ウイルスの増殖を抑制すること、ウイルスを殺すこと、ウイルスの感染性を低減すること等が包含される。
二価金属の水酸化物は、特に制限されない。該水酸化物としては、例えば二価金属イオンと水酸化物イオンのみからなる塩が挙げられる。
「二価金属の水酸化物」を形成する二価金属イオンは、周期表の族の如何を問わず、二価金属のイオンであればよい。二価金属としては、例えば、銅等の周期表1B族元素; マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素; 亜鉛、カドミウム等の周期表2B族元素; クロム、モリブデン等の周期表6A族元素; マンガン等の周期表7A族元素; 鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム等の周期表8族元素等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは銅等の周期表1B族元素; 亜鉛等の周期表2B族元素; マンガン等の周期表7A族元素; 及び鉄、コバルト、ニッケル等の周期表8族元素が挙げられ、より好ましくは銅、亜鉛、鉄、コバルト、及びニッケルが挙げられ、さらに好ましくは銅、及び亜鉛が挙げられ、よりさらに好ましくは亜鉛が挙げられる。上記水酸化物を形成する二価金属イオンは、1種単独であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
二価金属の水酸化物は、通常、弱酸性ないし弱アルカリ性領域(pH4〜10)で水不溶性または難溶性である。
二価金属の水酸化物は、結晶質、非晶質のいずれでもよいが、好ましくは非晶質である。
二価金属の水酸化物は、1種単独であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
本発明の抗ウイルス剤は、好ましくは、有効成分として、さらに二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上を、より好ましくは二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩の両方を含有する。これにより、抗ウイルス性能及び/又は消臭性能(臭気物質の分解ではなく吸着による消臭性能)をより高めることが可能である。
二価金属のリン酸塩は、特に制限されない。該リン酸塩としては、例えば二価金属イオンとリン酸イオンのみからなる塩が挙げられる。
「二価金属のリン酸塩」を形成する二価金属イオンは、周期表の族の如何を問わず、二価金属のイオンであればよい。二価金属としては、例えば、銅等の周期表1B族元素; マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素; 亜鉛、カドミウム等の周期表2B族元素; クロム、モリブデン等の周期表6A族元素; マンガン等の周期表7A族元素; 鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム等の周期表8族元素等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは銅等の周期表1B族元素; 亜鉛等の周期表2B族元素; マンガン等の周期表7A族元素; 及び鉄、コバルト、ニッケル等の周期表8族元素が挙げられ、より好ましくは銅、亜鉛、鉄、コバルト、及びニッケルが挙げられ、さらに好ましくは銅、及び亜鉛が挙げられ、よりさらに好ましくは亜鉛が挙げられる。上記リン酸塩を形成する二価金属イオンは、1種単独であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
「二価金属のリン酸塩」を形成するリン酸イオンとしては、例えばオルトリン酸イオン、メタリン酸イオン、ピロリン酸イオン、三リン酸イオン、四リン酸イオン、オルトリン酸水素イオン等が挙げられ、好ましくはオルトリン酸イオン、メタリン酸イオン、及びピロリン酸イオンが挙げられ、より好ましくはオルトリン酸イオンが挙げられる。
二価金属のリン酸塩は、通常、水不溶性または難溶性である。
二価金属のリン酸塩は、結晶質、非晶質のいずれでもよいが、好ましくは非晶質である。
二価金属のリン酸塩は、1種単独であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
四価金属のリン酸塩は、特に制限されない。該リン酸塩としては、例えば四価金属イオンとリン酸イオンのみからなる塩が挙げられる。
「四価金属のリン酸塩」を形成する四価金属イオンは、周期表の族の如何を問わず、四価金属のイオンであればよい。四価金属としては、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、トリウム等の周期表4A族元素; ゲルマニウム、スズ、鉛等の周期表4B族元素等の周期表4族元素等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、及びスズが挙げられ、より好ましくはチタン、ジルコニウム、及びスズが挙げられ、さらに好ましくはチタン、及びジルコニウムが挙げられ、よりさらに好ましくはチタンが挙げられる。上記リン酸塩を形成する四価金属イオンは、1種単独であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
「四価金属のリン酸塩」を形成するリン酸イオンとしては、例えばオルトリン酸イオン、メタリン酸イオン、ピロリン酸イオン、三リン酸イオン、四リン酸イオン、オルトリン酸水素イオン等が挙げられ、好ましくはオルトリン酸イオン、メタリン酸イオン、及びピロリン酸イオンが挙げられ、より好ましくはオルトリン酸イオンが挙げられる。
四価金属のリン酸塩は、通常、水不溶性または難溶性である。
四価金属のリン酸塩は、結晶質、非晶質のいずれでもよいが、好ましくは非晶質である。
四価金属のリン酸塩は、1種単独であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
本発明の抗ウイルス剤が二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上を含有する場合、二価金属の水酸化物と、二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上との含有比は、特に制限されない。該含有比の範囲は、例えば、金属原子比換算で、金属原子比(水酸化物を形成する金属/リン酸塩を形成する金属)=0.1〜10、好ましくは0.2〜7、さらに好ましくは0.2〜5である。
本発明の抗ウイルス剤が有効成分として二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上を含有する場合、二価金属の水酸化物と、二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上とは、分離して存在していてもよいが、同一固体内で混合された状態で存在していることが望ましい。換言すれば、有効成分として二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上を含有する場合、本発明の抗ウイルス剤は、二価金属の水酸化物と、二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上とが混合されてなる固体を含有することが好ましい。このような固体は、後述の製造方法に示されるように、沈殿混合物、析出混合物、又は共沈混合物として得ることができる。
本発明の抗ウイルス剤は、有効成分として、さらに光触媒を含有することが好ましい。これにより、光照射下における抗ウイルス性能及び/又は消臭性能をより高めることが可能であり、また抗ウイルススペクトルをより拡大することも可能である。
本発明で使用される光触媒とは、紫外線等の光線の照射により活性酸素を生成させ、多くの有害物、悪臭物を酸化分解し、光酸化触媒として機能するものをいう。そのため、光触媒は酸化性光触媒の範疇に属する場合が多い。
光触媒としては、有機または無機を問わず、種々の光半導体が使用できるが、無機光半導体である場合が多い。光触媒としては、例えば、CdS、ZnS、In2 S3 、PbS、Cu2 S、MoS3 、WS2 、Sb3 S3 、Bi3 S3 、ZnCdS2 等の硫化物半導体; CdSe、In2 Se3 、Wse3 、HgSe、PbSe、CdTe等の金属カルコゲナイト; TiO2、ZnO、WO3 、CdO、In2 O3 、Ag2 O、MnO2 、Cu2 O、Fe2 O3 、V2 O5 、SnO2等の酸化物半導体; GaAs、Si、Se、Cd2 P3 、Zn2 P3 等の硫化物と酸化物以外の半導体等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはCdS、ZnS等の硫化物半導体; 及びTiO2 、ZnO、SnO2 、WO3 等の酸化物半導体が挙げられ、より好ましくはTiO2 、ZnO、SnO2 、WO3 等の酸化物半導体が挙げられ、さらに好ましくはTiO2 、及びZnO2が挙げられ、よりさらに好ましくはTiO2が挙げられる。
光触媒を構成する光半導体の結晶構造は特に制限されない。例えば、TiO2 は、アナターゼ型、ブルカイト型、ルチル型、アモルファス型等のいずれであってもよい。好ましいTiO2 には、アナターゼ型酸化チタンが含まれる。
光触媒はゾルやゲル状で使用できると共に粉粒状で使用してもよい。光触媒を粉粒状で使用する場合、光触媒の平均粒子径は、光活性及び脱臭効率を損なわない範囲で選択でき、例えば、0.01〜25μm、好ましくは0.05〜10μm、さらに好ましくは0.05〜5μmである。
光触媒は、1種単独であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
本発明の抗ウイルス剤が光触媒を含有する場合、二価金属の水酸化物と、光触媒との含有比は、特に制限されない。該含有比の範囲は、例えば、金属原子比換算で、金属原子比(水酸化物を形成する金属/光触媒を形成する金属)=0.1〜10、好ましくは0.2〜7、さらに好ましくは0.2〜5である。
本発明の抗ウイルス剤が有効成分として光触媒を含有する場合、二価金属の水酸化物と、光触媒とは、分離して存在していてもよいが、同一固体内で混合された状態で存在していることが望ましい。換言すれば、有効成分として光触媒を含有する場合、本発明の抗ウイルス剤は、二価金属の水酸化物と、光触媒とが混合されてなる固体を含有することが好ましい。このような固体は、後述の製造方法に示されるように、沈殿混合物、析出混合物、又は共沈混合物として得ることができる。
本発明の抗ウイルス剤が有効成分として二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上及び光触媒を含有する場合、二価金属の水酸化物、二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上、並びに光触媒は、それぞれ分離して存在していてもよいが、同一固体内で混合された状態で存在していることが望ましい。換言すれば、有効成分として二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上、並びに光触媒を含有する場合、本発明の抗ウイルス剤は、二価金属の水酸化物、二価金属のリン酸塩及び四価金属のリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種以上、並びに光触媒が混合されてなる固体を含有することが好ましい。このような固体は、後述の製造方法に示されるように、沈殿混合物、析出混合物、又は共沈混合物として得ることができる。
2.製造方法
有効成分は、慣用の種々の方法により得ることができる。例えば、有効成分として二価金属水酸化物以外の成分を含む場合であれば、二価金属水酸化物と他の成分を混合することにより、簡便に得ることができる。前記混合に際しては、粉砕等により得られたそれぞれの粉粒状成分を混合してもよい。
有効成分は、二価金属イオン、四価金属イオン、及び光触媒に対応する成分を含む溶液や、これらの金属イオンのうち2種以上の金属イオンを含む水溶液を使用して、それらの水不溶性物質の混合沈殿物を生成させる方法によっても得ることができる。この方法で得られた混合沈殿物は、通常、ゲル状であり、乾燥により非晶質構造の混合物となる。なお、この方法において、光触媒に対応する成分は、予め適切な結晶構造に調整して水溶液に添加するのが好ましい。
二価金属イオン、四価金属イオン等を含む水溶液の調製には、各種の水溶性金属化合物が用いられる。このような水溶性金属化合物としては、各種の金属塩、金属アルコキシド等が挙げられる。金属塩としては、通常の金属塩(正塩)のほか、酸性塩、オキシ塩、さらに他の複塩、錯塩の形態の金属塩を用いてもよい。また、金属塩は、水溶液のpHが中性付近で不溶性の化合物であっても、酸性溶液中で溶解する化合物であればよい。具体的には、次のような化合物が挙げられる。
(1)金属のフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物:CoCl2 、NiCl2 、CuCl2 、ZnCl2 、FeF2 、FeCl2 、FeBr2 、FeI2 、Na2 (SnF6 )、K2 (SnF6 )、K2 (SnCl6 )、CaCl2 、CrCl2 、BaCl2 、MgCl2 、MnCl2 、TiCl4 、SnCl4 、ZrCl4 、ThCl4 、ThI4 、PbCl4 、GeCl4 等。
(2)硫酸塩、硫酸アンモニウム塩、その他の硫酸塩(無機酸塩):FeSO4 、CoSO4 、(NH4 )2 Fe(SO4 )2 、ZnSO4 、CdSO4 、Ag2 SO4 、CrSO4 、CuSO4 、NiSO4 、MgSO4 、MnSO4 、K2 Co(SO4 )2 、(NH4 )2 Mn(SO4 )2 、Zr(SO4 )2 、Sn(S04 )2 、Th(SO4 )2 、Pb(SO4 )2 、Ti(SO4 )2 等。
(3)硝酸塩(無機酸塩):Zn(NO3 )2 、Co(NO3 )2 、Cd(NO3 )2 、Ca(NO3 )2、AgNO3 、Fe(NO3 )2 、Cu(NO3 )2 、Ni(NO3 )2 、Ba(NO3 )2 、Mn(NO2 )2 、Zr(NO3 )4 、Ti(NO3 )4 、Sn(NO3 )4 、Th(NO3 )4 等。
(4)塩素酸塩、過塩素酸塩、チオシアン酸塩、ジアンミン銀硫酸塩、ジアンミン銀硝酸塩、クロム酸塩等のその他の各種無機酸塩:Zn(ClO3 )2 、Ca(ClO3 )2 、Ag(ClO3 )、Ba(ClO3 )2 、Ca(ClO4 )2 、AgClO4 、Fe(ClO4 )2 、Ni(ClO4 )2 、Ba(ClO4 )2 、Mg(ClO4 )2 、Co(ClO4 )2 、Zn(SCN)2 、Ca(SCN)2 、CaCrO4 、AgCrO4 、Ag2 CO3 等。
(5)酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩:(CH3 CO2 )2 Zn、(CH3 CO2 )4 Zr、C2 O4 Co、(CH3CO2 )2 Co、(CH3 CO2 )2 Fe、(CH3 CO2 )Cu、(CH3 CO2 )2 Ni、(CH3 CO2 )2 Ba、(CH3 CO2 )2 Mg、(CH3 CO2 )Ag、(C2 O4 )2 Th等。
(6)オキシ金属塩(ハロゲン化物、無機酸塩、有機酸塩の形態のオキシ金属塩):ZrOCl2 、ZrOSO4 、ThOCl2 、TiOSO4 、ZrO(NO3)2 、ZrOCO3 、(NH4 )2 ZrO(CO3 )2 、ZrO(CH3 CO2)2 等。
(7)金属アルコキシド類;Zr(OCH3 )4 、Ti(OCH3 )4 、Zr(OC2H5)4 、Ti(OC2H5)4 等のC1-6アルコキシド。
これらの金属化合物のうち、無機酸塩、特に硫酸塩や硝酸塩等の強酸塩を用いる場合が多い。より具体的には、FeSo4 、Ti(SO4 )2 、ZnSO4、CuSO4 、AgNO3 、Cu(NO3 )2 等を用いる場合が多い。なお、四価金属化合物のうちチタン化合物やジルコニウム化合物としては、オキシ金属塩を用いる場合が多く、このような化合物には、例えば、ZrOCl2 、ZrOSO4 、TiOSO4 等が含まれる。
二価金属の水酸化物、二価金属のリン酸塩、四価金属のリン酸塩等を生成するには、例えば四価金属のリン酸塩と二価金属イオンとの共存下に二価金属の水酸化物や二価金属のリン酸塩を生成させればよい。例えば、(i)四価金属イオン及び二価金属イオンが共存する水溶液中で四価金属のリン酸塩を生成し、次いで二価金属の水酸化物や二価金属のリン酸塩を生成してもよく、また、(ii)二価金属イオンを含有しない水溶液中で予め四価金属のリン酸塩を生成した後、二価金属イオンを含む水溶液を加え、二価金属の水酸化物や二価金属のリン酸塩を生成させてもよい。
前記(i)の方法において、四価金属イオン及び二価金属イオンが共存する水溶液を用いて組成物を生成させる場合、四価金属化合物及び二価金属化合物を含む水溶液を撹拌しながら二価金属の不溶性水酸化物の生成を抑制しつつ、リン酸又はリン酸塩を添加して四価金属のリン酸塩の沈殿物を生成させればよい。この方法において、前記四価金属化合物及び二価金属化合物を含む水溶液のpHは、通常、酸性域、例えば、pH0〜6(好ましくは0〜4)であり、必要であれば二価金属水酸化物の生成を抑制するため、酸を添加して酸性域、例えばpH4以下に調整し、リン酸又はリン酸塩を添加してもよい。
前記水溶液のpHを調整する場合、適当なアルカリや酸を使用できる。アルカリとしては、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等)やアンモニア等の無機塩基、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基が使用できる。酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、シュウ酸等の有機酸が使用できる。
不溶性リン酸塩の生成に用いられるリン酸又はリン酸塩としては、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、及びそれらのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)やアンモニウム塩等が例示される。より具体的には、リン酸塩には、例えば、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム[以下、これらを単にリン酸ナトリウム(第1、第2及び第3)として示す]、リン酸カリウム(第1、第2及び第3)、リン酸アンモニウム(第1、第2級第3)、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等が含まれる。
前記(i)の方法において、通常、生成した四価金属のリン酸塩を熟成等により十分に析出させる場合が多い。熟成法には、慣用の方法、例えば、室温で長時間放置する方法、100℃以下に加温した状態で長時間放置する方法、加熱還流する方法等が利用できる。
熟成終了後、アルカリの添加によりpHを中性域、例えば、pH4〜12に調整すると、二価金属の水酸化物や二価金属のリン酸塩を生成させることができる。なお、上記水酸化物やリン酸塩の生成は、アルカリと、熟成終了後の四価金属のリン酸塩と二価金属イオンを含む液とを中性域、例えば、pH4〜12の範囲で、並行して液中へ添加することにより行ってもよい。前記のようなpH域では、二価金属の水酸化物や二価金属のリン酸塩からなる沈殿物が生成し、生成した水酸化物やリン酸塩の沈殿物と四価金属の不溶性リン酸塩の沈殿物とが沈澱混合物、析出混合物、又は共沈混合物として生成する。二価金属の水酸化物や二価金属のリン酸塩の生成において、常温での反応が遅い場合には反応系を加温してもよい。また、必要に応じて加圧下に100℃以上の温度で反応させてもよい。また、撹拌は空気を用いたバブリングにより行ってもよい。
前記(ii)の方法において、四価金属のリン酸塩の沈殿物と二価金属の水酸化物や二価金属のリン酸塩とは、上記(i)の方法に準じて生成させることができる。すなわち、前記四価金属イオンを含み二価金属イオンを含まない水溶液にリン酸又はリン酸塩を添加して予めリン酸塩を生成させる。生成したリン酸塩を必要により熟成した後、必要によりpHを酸性域、例えばpH4以下に調整し、二価金属イオンを含む水溶液(例えば、金属塩を含有する水溶液)を添加して混合し、前記と同様にpHを中性域、例えばpH4以上に調整することにより混合沈殿物を生成させてもよい。この方法では、四価金属のリン酸塩の熟成は比較的短時間であってもよい。
光触媒の調製は慣用の方法、例えば、光触媒に対応する金属イオンを含有する水溶液から水不溶性沈殿物を生成させる方法、金属アルコキシドから調製する方法、高温で酸化させる気相法等に従って行うことができる。
光触媒の製造に際しては、触媒に対応する成分を含む化合物を用いることができる。酸化チタンを例にとって説明すると、このような成分としては、例えば、TiCl4 、TiF4 、TiBr4 等のハロゲン化チタン; Ti(SO4 )2、TiOSO4 等の硫酸塩; (CH3O)4Ti、(C2 H5 O)4 Ti、[CH3 (CH2)2 O]4 Ti、[(CH3 )2 CHO) ]4 Ti、[CH3 (CH2 )3 O]4 Ti、[(CH3 )2 CHCH2 O]4 Ti等のC1-6アルコキシチタン等が使用できる。また、予め調製された酸化チタンゾル等を用いてもよい。
光触媒は、四価金属のリン酸塩、二価金属の水酸化物、二価金属のリン酸塩等を生成させる反応系に、例えば、粉粒状で添加していてもよく、四価金属のリン酸塩、二価金属の水酸化物、二価金属のリン酸塩等を生成させた後、反応系又は生成した沈殿物に添加してもよい。
さらに、光触媒は、四価金属のリン酸塩、二価金属の水酸化物、二価金属のリン酸塩等の生成と共に同時に生成させてもよい。光触媒の生成には、上記(i)及び(ii)の方法が利用できる。例えば、酸化チタンを生成させる場合、塩化チタン等のハロゲン化チタン、無機酸塩(例えば、硫酸チタン等硫酸塩)やアルコキシドを必要に応じて前記反応系に添加し、反応系のpHを中性又はアルカリ性、例えば、pH6〜12に調整することにより生成させることができる。
このようにして得られた沈殿物は、必要に応じて慣用の方法により精製してもよい。例えば、前記混合沈殿物等の沈殿物を含む反応液の濾過、温水又は水等の洗浄溶媒を用いた濾過物の洗浄、金属塩のアニオン種等の不純物の除去、溶媒除去(例えば乾燥等)を行ってもよい。前記濾過は、濾紙や濾布等を用い、常温常圧下、減圧下又は加圧下で行うことができ、遠心分離法、真空濾過法等を利用して行ってもよい。また、洗浄に際しては、傾斜洗浄法等を利用してもよい。前記乾燥操作は、慣用の方法、例えば、風乾で行ってもよく、有効成分の分解温度未満の温度、例えば、約400℃以下、好ましくは200℃以下の温度に加熱した加温下で行ってもよい。
3.抗ウイルス剤、
本発明の抗ウイルス剤の対象ウイルスとしては、特に制限されないが、例えばインフルエンザウイルス(例えばA型、B型等)、風疹ウイルス、エボラウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、ヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、アルボウイルス、RSウイルス、SARSウイルス、肝炎ウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス等)、黄熱ウイルス、エイズウイルス、狂犬病ウイルス、ハンタウイルス、デングウイルス、ニパウイルス、リッサウイルス等のエンベロープウイルス(エンベロープを有するウイルス); アデノウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ヒトパルボウイルス、脳心筋炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス等の非エンベロープウイルス(エンベロープを有さないウイルス)等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはエンベロープウイルスが挙げられ、より好ましくはインフルエンザウイルスが挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤の剤形は特に制限されず、その用途に応じて適宜選択することができる。剤形としては、例えば液剤、乳剤、懸濁剤、分散剤、エアゾール剤等の液剤; 水和剤、粉剤、粒剤、微粒剤、フロアブル剤等の固形又は半固形剤等が挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤は、有効成分(二価金属の水酸化物、好ましい態様においては二価金属の水酸化物と、二価金属のリン酸塩、四価金属のリン酸塩、及び光触媒からなる群より選択される少なくとも1種以上との組合せ)のみからなるものであってもよいが、その目的、用途等に応じて、抗ウイルス活性及び安定性に影響を与えない範囲で、公知の添加剤、例えば、他の抗ウイルス剤、他の消臭成分、微生物防除剤(抗菌剤、殺菌剤、防腐剤、防藻剤、防カビ剤等)の他、分散媒、バインダー、担体、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、保湿剤、着色料、香料、キレート剤、酸化防止剤、光安定剤、消泡剤等の、広く一般に製剤化に用いられる添加剤を添加することができる。
本発明の抗ウイルス剤が添加剤等の他の成分を含有する場合、有効成分の含有量は、特に制限されないが、例えば0.0001〜95重量%、好ましくは0.001〜50重量%とすることができる。
本発明の抗ウイルス剤は、抗ウイルス性を要する各種分野において広く使用することができる。本発明の抗ウイルス剤は、例えば工業、洗浄、医療、食品等の各種分野において使用することができる。
本発明の抗ウイルス剤のより具体的な使用態様としては、例えば物品に配合する態様、物品表面にコーティングする態様等が挙げられる。これにより、物品を抗ウイルス加工することができる。すなわち、物品に既に付着しているウイルスに対して抗ウイルス効果を発揮し、これから物品に付着するウイルスに対して抗ウイルス効果を発揮し、さらには該物品にこれから接触する他の物品に既に付着しているウイルスやこれから付着するウイルスに対して抗ウイルス効果を発揮することができる。
物品としては、各種分野において用いられている工業製品やその原材料が挙げられる。工業製品の具体例としては、塗料、接着剤、合成ゴムラテックス、インキ、ポリビニルアルコールフィルム、塩化ビニルフィルム、樹脂製品、石膏ボード、屋根材、壁材、床材、建具、塗工紙、壁紙、フロア外張り、OA機器、家電、空調機器、掃除機、机、椅子、ソファー、ベンチ、窓、つり革、ハンドル、シート、自動改札機、自動券売機、自動販売機、扉、柵、手摺、食器、調理用具、包装フィルム、包装袋、瓶、ボトル、包装パック、シンク、便器、文房具、書籍、棚、歯ブラシ、鏡、フィルター、マスク、コート、ジャケット、ズボン、スカート、ワイシャツ、ニットシャツ、ブラウス、セーター、カーディガン、ナイトウエア、肌着、下着、オムツ、サポーター、靴下、タイツ、ストッキング、帽子、スカーフ、マフラー、襟巻き、ストール、手袋、服の裏地、服の芯地、服の中綿、作業着、ユニフォーム、学童用制服等の衣料、カーテン、アミ戸、布団地、布団綿、布団カバー、枕カバー、シーツ、マット、カーペット、タオル、ハンカチ、壁布、バンドエイド、包帯等、さらにはこれらの複合材料等が挙げられる。
本発明の抗ウイルス剤は、光非依存的に抗ウイルス効果を発揮することができる。このため、本発明の抗ウイルス剤は、光が無い又は極めて弱い環境下(例えば、2000ルクス以下、好ましくは1000ルクス以下)、例えば屋内であっても、その抗ウイルス効果を効果的に発揮できる。この観点から、本発明の抗ウイルス剤は、光が無い又は極めて弱い環境下、例えば屋内での使用に適している。或いは、本発明の抗ウイルス剤は、光が無い又は極めて弱い環境下、例えば屋内で主に使用される物品の抗ウイルス加工用に適している。
光が無い又は極めて弱い環境下(例えば屋内)で主に使用される物品としては、例えば石膏ボード、壁材、床材、建具、塗工紙、壁紙、OA機器、家電、空調機器、掃除機、机、椅子、ソファー、ベンチ、窓、つり革、ハンドル、シート、自動改札機、自動券売機、食器、調理用具、包装フィルム、包装袋、瓶、ボトル、包装パック、シンク、便器、文房具、書籍、棚、歯ブラシ、鏡、フィルター、ナイトウエア、肌着、下着、オムツ、サポーター、靴下、タイツ、ストッキング、服の裏地、服の芯地、服の中綿、布団地、布団綿、布団カバー、枕カバー、シーツ、マット、カーペット、タオル、ハンカチ、壁布、バンドエイド、包帯等、さらにはこれらの複合材料等が挙げられる。
「物品に配合する」とは、物品中に有効成分が含まれるような態様(好ましくは、物品の表面に有効成分が存在するような態様)である限り特に限定されず、物品の種類に応じて適宜選択することができる。配合の態様は、例えば物品に混合する、物品の製造工程において練り込む、物品(例えば繊維の集積体からなる物品等)に含浸させる等の態様が挙げられる。
「物品表面にコーティングする」とは、物品の表面に有効成分が存在するような態様である限り特に限定されず、物品の種類に応じて適宜選択することができる。コーティングの態様は、例えば物品表面に塗布する、物品表面に噴霧する、物品表面を浸漬する等の態様が挙げられる。なお、コーティングの態様には、物品の表面に有効成分が固定される態様、固定されない態様のいずれも包含される。
本発明の抗ウイルス剤の適用量は、その使用態様、適用対象物品の種類、抗ウイルス効果を期待する期間等に応じて、適宜選択することができる。例えば、工業製品に配合する場合、工業製品1 kgあたりに対し、有効成分の量として10〜50000 mgとなるように配合することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
硫酸チタン溶液(約30 g重量%濃度、和光純薬製試薬)43.7 gを水25.8 gに添加した。この水溶液は、0.055モルのTi (IV)イオンを含んでいた。この水溶液に室温下、撹拌しながら15重量%のリン酸水溶液約53.6 gを滴下したところ、白色沈殿物が生成した。白色沈殿物が生成した混合液をそのまま2時間撹拌した(熟成工程1)。そこに硫酸亜鉛の結晶(ZnSO4・7H2O、和光純薬製試薬特級)6.75 gを添加して溶解した。得られた混合液に、15%水酸化ナトリウム溶液をpHが7.0となるまで滴下した。なお、水酸化ナトリウムの滴下に際し、pHが低下した場合には、さらに水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを約7.0に保持した。pHの低下が認められなくなるまで撹拌を続けると、白色沈殿物が生成した(熟成工程2)。生成した白色沈殿物を吸引濾別し、温脱イオン水で十分洗浄した後、40℃で乾燥し、乾燥物を乳鉢で粒径120μm以下に粉砕することにより、水酸化亜鉛、リン酸亜鉛、及びリン酸チタンが複合化したものを含む、非晶質且つ多孔質状の粉末を得た。得られた粉末を試験サンプル粉末とした。
実施例2
実施例1で得られた試験サンプル70重量部に対して酸化チタン粉末(石原産業(株)製、MC‐90)30重量部を混合し、得られた混合物をジェットミル粉砕機に供給し、粉砕することにより、水酸化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸チタン、及び酸化チタンが複合化したものを含む、非晶質且つ多孔質状の粉末を得た。得られた粉末を試験サンプル粉末とした。なお、得られた粉末の平均粒径は5μmであった。
実施例3
水酸化亜鉛(国産化学製)を試験サンプル粉末とした。
参考例1
りん酸亜鉛四水和物(和光純薬工業製、化学用)を試験サンプル粉末とした。
参考例2
硫酸チタン溶液(約30 g重量%濃度、和光純薬製試薬)43.7 gを水25.8 gに添加した。この水溶液は、0.055モルのTi (IV)イオンを含んでいた。この水溶液に室温下、撹拌しながら15重量%のリン酸水溶液約53.6 gを滴下したところ、白色沈殿物が生成した。白色沈殿物が生成した混合液をそのまま2時間撹拌した(熟成工程1)。得られた混合液に、15%水酸化ナトリウム溶液をpHが7.0となるまで滴下した。なお、水酸化ナトリウムの滴下に際し、pHが低下した場合には、さらに水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを約7.0に保持した。pHの低下が認められなくなるまで撹拌を続けると、白色沈殿物が生成した(熟成工程2)。生成した白色沈殿物を吸引濾別し、温脱イオン水で十分洗浄した後、40℃で乾燥し、乾燥物を乳鉢で粒径120μm以下に粉砕することにより、リン酸チタンの粉末を得た。得られた粉末を試験サンプル粉末とした。
試験例1(抗ウイルス性の評価)
1)使用ウイルス懸濁液の調製
ウイルスとしてインフルエンザウイルスを用いて、試験ウイルス懸濁液(1〜4×108PFU/mL)を調製した。
2)試験片の作成
試験サンプル粉末5 gを95 gの蒸留水と混合し、懸濁液を得た。得られた懸濁液0.1 mLを5×5 cmのガラス板に滴下し、4×4 cmの面積に塗布した。30分間風乾し試験サンプル片とした。
3)試験手順
試験ウイルス懸濁液0.15 mLを試験品上に滴下し、40×40 mm のフィルム(PP 製)を乗せた後、光照射下(BLB 0.1 mW/cm2)又は暗所で8時間静置した。静置後の試験片を滅菌済ストマッカー袋内に入れ、SCDLP培地10.0 mlを加え試験液を調製し、該試験液を用いて、プラーク測定法によってウイルス感染価を測定した。ウイルス感染価に基づいて、以下の式により、抗ウイルス活性値(Mv)を算出した。
Figure 0006392430
結果を表1に示す。
Figure 0006392430
表1に示されるように、二価金属の水酸化物である水酸化亜鉛を含む試験サンプル液(実施例1〜3)の、暗所で作用させた場合の抗ウイルス活性値は、1.0以上であった。このことは、実施例1〜3の試験サンプル液で処理することにより、ウイルス感染価が1/10以下になったことを意味する。以上より、二価金属の水酸化物が抗ウイルス活性を有することが示された。
二価金属の水酸化物、二価金属のリン酸塩、及び四価金属のリン酸塩を含む試験サンプル液(実施例1及び2)の、暗所で作用させた場合の抗ウイルス活性値は、3.0以上であった。このことは、実施例1及び2の試験サンプル液で処理することにより、ウイルス感染価が1/1000以下になったことを意味する。以上より、二価金属の水酸化物と、二価金属のリン酸塩及び/又は四価金属のリン酸塩との組み合わせにより、極めて顕著な抗ウイルス活性が発揮されることが示唆された。
また、二価金属の水酸化物、二価金属のリン酸塩、及び四価金属のリン酸塩をそれぞれ単独で用いた場合(実施例1並びに参考例1及び2)の抗ウイルス活性値は1.0以下であること、すなわち、それぞれ単独で用いた場合にはウイルス感染価が1/10又はそれよりも高い値になることを踏まえると、上記組み合わせによる効果(ウイルス感染価が1/1000以下になるという効果)は、単なる相加効果では無く、相乗効果であるといえる。
さらに、光触媒である酸化チタンを含む場合(実施例2)については、光照射により、より高い抗ウイルス活性(抗ウイルス活性値:5.8)を発揮できることが示された。
試験例2(消臭性能の評価)
実施例2で得られた試験サンプル粉末50 mgを用いて、SEKの「消臭加工繊維製品認証基準」別表第6に準拠して、消臭性能評価試験を実施した。
結果を表2に示す。
Figure 0006392430
表2に示されるように、二価金属の水酸化物である水酸化亜鉛を含む試験サンプル粉末(実施例2)により、種々の臭い成分を(成分によっては大半の臭い成分を)減衰させることができた。以上より、二価金属の水酸化物が消臭性能を発揮できることが示された。

Claims (10)

  1. (A)亜鉛、銅、鉄、コバルト、及びニッケルからなる群より選択される少なくとも1種以上の水酸化物、
    (B)リン酸亜鉛、並びに
    (C)リン酸チタン
    を含有する、抗ウイルス剤。
  2. 前記水酸化物が水酸化亜鉛である、請求項1に記載の抗ウイルス剤。
  3. さらに、光触媒を含有する、請求項1又は2に記載の抗ウイルス剤。
  4. 前記光触媒が酸化チタンである、請求項3に記載の抗ウイルス剤。
  5. 対象ウイルスがエンベロープウイルスである、請求項1〜4のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
  6. 対象ウイルスがインフルエンザウイルスである、請求項1〜5のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
  7. 抗ウイルス剤の製造のための、
    (A)亜鉛、銅、鉄、コバルト、及びニッケルからなる群より選択される少なくとも1種以上の水酸化物
    (B)リン酸亜鉛、並びに
    (C)リン酸チタン
    の使用。
  8. 抗ウイルス剤としての使用のための、
    (A)亜鉛、銅、鉄、コバルト、及びニッケルからなる群より選択される少なくとも1種以上の水酸化物
    (B)リン酸亜鉛、並びに
    (C)リン酸チタン
    を含有する組成物
  9. (A)亜鉛、銅、鉄、コバルト、及びニッケルからなる群より選択される少なくとも1種以上の水酸化物、
    (B)リン酸亜鉛、並びに
    (C)リン酸チタン
    を、物品に配合すること、又は物品表面にコーティングすることを含む、物品を抗ウイルス加工する方法。
  10. (A)亜鉛、銅、鉄、コバルト、及びニッケルからなる群より選択される少なくとも1種以上の水酸化物、
    (B)リン酸亜鉛、並びに
    (C)リン酸チタン
    を、物品に配合すること、又は物品表面にコーティングすることを含む、抗ウイルス加工された物品を製造する方法。
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