JP3746327B2 - 消臭剤前駆体物質およびその製造方法 - Google Patents

消臭剤前駆体物質およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は消臭剤に関し、さらに詳しくは、大きな比表面積と細孔容積を有する微粒子からなる消臭剤、および無機酸化物ゾルからなるその前駆体物質並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、悪臭問題は環境問題の中でも騒音に次いで苦情件数が増加しており、また、悪臭の発生源としては従前の工場等から生活の場へと重点が移ってきている。これらの悪臭は主に動物や植物などの有機物が腐敗、分解したものであり、例えば、アンモニア、アミン類などの塩基性成分、硫化水素、メルカプタンなどの酸性成分がその原因物質とされている。
【0003】
このような悪臭の処理方法としては、燃焼法、ガス吸収法、吸着法、マスキング法、中和法、化学処理法、微生物処理法などが知られており、何れの処理法を採るかは臭気の成分、発生状況などにより適不適がある。日常の生活環境に於ける生活型の悪臭処理には、主として吸着法、マスキング法や化学反応により臭気成分を除去する化学処理法が採られており、これらの処理法には消臭剤が使用される。
【0004】
上記化学処理法の消臭剤として、例えば、特公平6−93908号公報には、ナトリウム、カリウム、リチウム、及びカルシウムを除く金属イオンの一種または二種以上、または金属化合物の一種または二種以上を層間に有することを特徴とする水膨潤性粘土鉱物からなる消臭剤が開示されており、上記金属イオンの金属として、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、銅、コバルト、カドミウム、銀、又は亜鉛などが例示されている。
【0005】
また、特開平5−277167号公報には、粒状または塊状の吸着体に悪臭物質を分解ないし吸着する金属錯体を保持させてなる消臭体が開示されており、金属錯体として、金属がアルカリ金属、カルシウム、バリウム、マグネシウム、銅、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、チタン、バナジウム、モリブデン、タングステン、銀または亜鉛から選ばれた少なくとも一種である金属ポルフィリン誘導体が挙げられている。
【0006】
更に、特開平6−121823号公報には、Mg、SiおよびAlを含み、これらの元素の重量比が酸化物換算でコージェライトの理論組成に対応するMgO:SiO2 :Al2 3 =2:5:2である結合剤と金属酸化物触媒との焼成物からなる消臭剤が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の消臭剤は、粒子径、比表面積などの性状が考慮されていなかった為、消臭効果や耐久性の点で必ずしも十分ではなく改良の余地があった。また、これらの消臭剤を繊維に適用して消臭性繊維とする場合には、粒子径が大きいために繊維への付着力が弱く、また繊維の風合いを損ねたり、耐久性に劣るなどの問題点を有していた。
本発明は、各種悪臭物質に対して優れた消臭効果を有する消臭剤を提供すると共に、その前駆体物質および前駆体物質の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る消臭剤は、消臭機能を有する金属成分が担持された平均粒子径500nm以下の無機酸化物微粒子を含むことを特徴とする。
【0009】
前記微粒子の比表面積は100m2 /g以上であり、細孔容積は0.10ml/g以上であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る消臭剤前駆体物質は、消臭機能を有する金属成分が担持された平均粒子径500nm以下の微粒子が分散してなる無機酸化物ゾルであって、該微粒子の比表面積が100m2 /g以上であり、細孔容積が0.10ml/g以上であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る消臭剤前駆体物質の製造方法は、無機酸化物コロイド粒子を分散質とする水性ゾルに、消臭機能を有する金属成分の金属塩またはその水溶液および陰イオン交換体を混合して、前記消臭機能を有する金属成分を前記無機酸化物コロイド粒子に担持させることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において消臭剤を構成する微粒子の平均粒子径は500nm以下であり、非常に微細な粒子であるため外部比表面積が大きく、また該微粒子自体も細孔を有するため、無機酸化物コロイド粒子に均一に担持された消臭機能を有する金属成分は悪臭成分との反応性が高く優れた消臭効果を示す。
微粒子の平均粒子径が500nmより大きい場合には外部比表面積が小さくなると共に繊維などへの付着力が小さくなり、更に透明性が悪くなり風合いを損ねる。該微粒子の平均粒子径は3〜500nmの範囲が好ましく、5〜250nmの範囲が更に好ましい。
【0013】
本発明において微粒子の比表面積および細孔容積は、後述する消臭剤前駆体物質を80℃で乾燥した後、130℃で5時間乾燥した試料について、BET法および窒素吸着法で測定される。微粒子の比表面積および細孔容積が大きいほど消臭機能は増大する。
微粒子の比表面積は100〜500m2 /gであることが好ましく、150〜500m2 /gであることが更に好ましい。また、微粒子の細孔容積は0.10ml/g〜1.50ml/gであることが好ましく、0.15〜1.50ml/gであることが更に好ましい。
【0014】
消臭機能を有する金属成分としては、従来の消臭剤に使用されている金属成分が使用可能である。このような金属成分としては、例えば、金、白金、銀、パラジウム、などの貴金属、銅、亜鉛、スズ、鉄、マンガン、アルカリ金属、カルシウム、バリウム、マグネシウム、希土類、コバルト、ニッケル、チタン、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンなどが例示される。特に、金、白金、銀、銅、亜鉛、鉄、マンガンは人体に対する安全性の観点からも好ましい。
【0015】
前記金属成分の担持量は、通常の消臭剤に用いられる金属成分の量と同程度であり、例えば、金属酸化物として貴金属では0.01〜3重量%、遷移金属では0.5〜50重量%の範囲が望ましい。
【0016】
上述の特性を有する消臭剤は、その前駆体物質である無機酸化物ゾルから得られる。従って、当該無機酸化物ゾル中に分散する微粒子の平均粒子径、比表面積および細孔容積は、前記消臭剤を構成する微粒子のそれらと同じ物性を有している。
【0017】
また、無機酸化物ゾル中に分散する微粒子の粒子径分布は、σ/Dp×100で表して80%以下、好ましくは、70%以下(ここで、Dp=粒子径の平均値、σ=標準偏差とする。)であることが望ましい。該前駆体物質は、微粒子の平均粒子径が500nm以下であり、狭い粒子径分布を有するため透明性に優れており、繊維あるいはプラスチック、ガラスなどの透明基材に消臭効果を付与するのに使用して特に好適である。
【0018】
次に、この前駆体物質の製造方法について説明する。
前駆体物質は無機酸化物コロイド粒子が水に均一に分散している水性ゾル(以下、コロイド水溶液ということもある。)から製造することができ、市販の水性ゾルを使用することが可能である。上記無機酸化物コロイド粒子には、単一の無機酸化物からなるコロイド粒子の他、複合酸化物や水酸化物、あるいは、これらの混合物からなるものも含むものである。
【0019】
単一酸化物コロイド粒子としては、Al2 3 、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、ZnO2 などが例示され、複合酸化物コロイド粒子としては、SiO2 ・Al2 3 、SnO2 ・Sb2 3 、TiO2 ・ZrO2 ・SiO2 、SiO2 ・TiO2 ・Al2 3 、SiO2 ・Al2 3 ・MgO、SiO2 ・Al2 3 ・CaOなどを挙げることができる。これらの中では、特に、TiO2 、Al2 3 、ZrO2 、ZnO2 などを含む無機酸化物コロイド粒子が好適である。
【0020】
水性ゾルの濃度には特に制限はないが、20重量%以下、好ましくは0.5〜5重量%の範囲の低濃度のコロイド溶液を用いることが望ましい。
【0021】
消臭機能を有する金属成分の金属塩としては水に可溶性の金属塩が使用可能であり、金属の硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、塩酸塩、炭酸塩などの無機酸塩、酢酸などの有機酸塩などが例示される。また、金属成分としては、前述の金属成分の1種または2種以上の金属成分を使用することができる。
【0022】
上記金属塩は、金属塩水溶液として用いられることが好ましい。その際、金属塩水溶液の濃度には格別の制限はないが、5重量%以下、好ましくは3重量%以下の希薄水溶液を使用することが望ましい。金属塩水溶液によっては、濃度が高い場合、コロイド粒子が凝析を起こすことがある。
【0023】
陰イオン交換体は、陰イオン交換能を有するものであれば使用可能であり、市販の強塩基性または弱塩基性陰イオン交換樹脂の他、キレート樹脂、イオン交換膜、イオン交換フィルターなどが例示される。これらの陰イオン交換体は単独または併用して用いられる。
【0024】
水性ゾルと、金属塩またはその水溶液および陰イオン交換体とを混合するには、水性ゾルのpHを大きく変化させないような方法を採用し、例えば、次の方法で行うことができる。
予め調製した金属塩の希薄水溶液を、沈澱が生成しない程度にゆっくりコロイド溶液に添加する。このとき、所望によりコロイド溶液を陰イオン交換体の最高使用温度以下まで加温してもよい。
【0025】
次いで、または、金属塩水溶液の添加と同時に陰イオン交換体を添加し、水性ゾルのpHを添加開始前のpHに維持させる。添加終了後、80〜90℃の温度で、数時間熟成することが好ましい。
【0026】
なお、金属塩水溶液を添加したときに水性ゾルのpH低下が小さい場合には、該金属塩水溶液の添加中は陰イオン交換体を添加せずに、金属塩水溶液の添加終了後、陰イオン交換体を加えて水性ゾルのpHが添加開始前のpHになるように調整してもよい。
【0027】
一般に、水性ゾルのpHは、コロイド粒子の等電点近傍では粒子が凝集を起こしてゲル化するため、等電点からかけ離れた値を有している。しかしながら、無機酸化物水性ゾルに金属塩やその水溶液を混合すると、水性ゾルのpHが変化して等電点に近づくため、該水性ゾルはゲル化するようになる。
【0028】
上記したように、水性ゾルと、金属塩水溶液および陰イオン交換体とを混合するため、等電点よりも高いpH領域の水性ゾルでは水性ゾル中の塩イオンは除去され、該水性ゾルのpHは変化しないので、水性ゾルの安定なpH領域が維持される結果、金属成分がコロイド粒子に担持される。また、等電点よりも低いpH領域の水性ゾルでも、塩イオンを除去するため、水性ゾル中には過剰な塩イオンが存在しないのでコロイド粒子表面のゼータ電位の値は低下することがなく、該水性ゾルの安定性が維持される。
【0029】
即ち、金属塩水溶液は正に荷電した金属イオン(M+ )と負に荷電した塩イオンに解離しているが、塩イオンは陰イオン交換体の水酸化物イオン(OH- )と交換するため、溶液中には金属イオン(M+ )と水酸化物イオン(OH- )が存在することになる。更に、無機酸化物コロイド粒子表面に存在するヒドロキシル(−OH)の水素イオン(H+ )と金属イオン(M+ )がイオン交換して(−OM)と水素イオン(H+ )になり、この水素イオン(H+ )と前記水酸化物イオン(OH- )とが反応して水(H2 O)が生成される。このようにして本発明方法では、金属成分が無機酸化物コロイド粒子の表面に凝析することなく担持される。また、水性ゾルのpHを大きく変化させることがない。
【0030】
最後に、所望により残存する陰イオンを除去するためには、上記水性ゾルを限外濾過膜の使用温度まで冷却し、固形分に対し数十倍の蒸留水で洗浄、濃縮すればよい。
【0031】
無機酸化物コロイド粒子に担持させる金属成分の量は、水性ゾルに対する金属塩または金属塩水溶液の混合割合を調整することにより任意に選択することができ、通常は、酸化物として前述の0.01〜50重量%の範囲とすることができる。なお、本発明の無機酸化物ゾルからなる消臭剤前駆体物質は、上記製造方法に限定されるものではない。
【0032】
本発明の消臭剤は、次に示すような種々の用途に適用することができる。
(1)繊維への適用
各種の繊維に対して消臭性を付与することができ、繊維としては、天然繊維(綿、羊毛、絹、麻、パルプなど)、半合成繊維(レーヨン、キュプラ、アセテートなど)、合成繊維(ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリルニトリル、ポリフッ素など)、または、無機繊維(ガラス、セラミックスなど)を挙げることができる。これらの繊維に消臭性を付与するには、繊維と本発明の消臭剤前駆体物質を接触させた後、水洗、乾燥する方法、あるいは、繊維に本発明の消臭剤をスプレーする方法など、公知の方法を採用する
【0033】
消臭性付与の対象となる繊維としては、原料繊維、中間繊維製品、および最終繊維製品のいずれもが対象となる。最終繊維製品としては、例えば、一般衣料品(ブラウス、スカート、ワイシャツ、ズボン、ドレス、セーター、カーディガン、エプロン、ユニホーム、パンツ、ストッキング、ソックス、パンティストッキング、ブラジャー、ガードル、和装品、足袋、芯地、帯芯地など)、身回品(ハンカチ、スカーフ、帽子、手袋、時計バンド、カバン、手提げ袋、靴、履物、靴敷物など)、インテリア用品(カーテン、ブラインド、カーペット、マット、テーブルクロス、トイレタリー用品、カーシートカバーなど)、日用雑貨品(タオル、ふきん、モップ類、テント、寝袋、ぬいぐるみ、フィルター、ブラシなど)、寝具類(毛布、敷布、タオルケット、寝装カバー、布団側地、中綿など)、病院内で使用される製品(看護婦などが着用する白衣、手術用着衣、マスク、オムツ、オムツカバーなど)などが挙げられる。
【0034】
本発明の消臭剤前駆体物質である無機酸化物ゾルは、特に界面活性剤を含有するものが好ましく、繊維とのなじみ性に優れているので、上記最終繊維製品を洗濯した後、すすぎ洗時に該消臭剤前駆体物質を添加して消臭性を手軽に付与することができる。
【0035】
(2)樹脂、ゴムへの適用
本発明の消臭剤は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、ゴムに消臭性を付与することができる。
樹脂の種類としては、例えば、フェノール系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、アルキッド系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ケイ素系樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリフッ化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルホルマール系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、塩化ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、エチルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース等の樹脂が挙げられる。また、ゴムの種類としては天然ゴム、イソプレン系ゴム、アクリロニトリル系ゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、ブチル系ゴム、スチレン系ゴム、クロロプレン系ゴム、クロルヒドリン系ゴム、ポリオレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、多硫化ゴム、シリコーン系ゴム、フッ素系ゴム、フロロシリコーン系ゴム等のエラストマーやゴムが挙げられる。
【0036】
これらの樹脂またはゴムに消臭性を付与するには、原料に本発明の消臭剤前駆体物質である無機酸化物ゾルを添加して消臭性樹脂あるいは消臭性ゴムを得る方法、マスターバッチ用樹脂に該消臭剤を添加する方法、樹脂成形品と加温下に該消臭剤を接触させる方法、あるいは、樹脂成形品に該消臭剤前駆体物質を塗布する方法など、公知の方法により行うことができる。
【0037】
樹脂成形品としては、板、ロッド、パイプ、チューブ、フィルム、シート、容器、発泡体、その他各種の成形品または複合成形品が挙げられる。樹脂成形品の具体例としては、室内装備品(床材、壁材、便座、浴槽、洗面台、流し台、テーブル等)、美術品の保護ケース、台所用品(茶碗、弁当箱、トレー、水筒等の樹脂製食器類、まな板、飲料容器、冷蔵庫内容器等)、身回品(櫛、髭剃り道具、ブラシ、イヤホーン、眼鏡のフレーム等)、育児用品(玩具等)、日用雑貨品(ごみ箱、塵取り器、一般容器等)、包材(ごみ袋、包装用フィルム等)、自動車内装品(ハンドル、シート等)、不特定多数の人が手に触れるもの(乗物の吊り革やその把持部、待合室の椅子やベンチ、手擦り、各種押しボタン、電話受話器、パチンコ台等)、医療関係用品(病院内食器類、注射器、聴診器、手術用手袋、点滴瓶、カテーテル、医療機器樹脂部品等)、文房具楽器類(ボールペン、鉛筆等)、電気・電化製品(冷蔵庫、皿洗浄機、洗濯機、掃除機、エアコン、テレビ、電子計算機、パソコン等)などが挙げられる。
【0038】
(3)塗料への適用
各種塗料(コーティング組成物)に消臭性を付与することができる。これらの消臭性塗料は、本発明の消臭剤前駆体物質と、塗膜形成剤と、必要に応じて溶剤とからなり、消臭性塗料の種類として、油性塗料、酒精塗料、セルロース塗料、合成樹脂塗料、水性塗料、ゴム系塗料などを挙げることができる。当該消臭性塗料は、無機酸化物ゾルからなる消臭剤前駆体物質をこれらの塗膜形成剤や溶剤中に添加したり、その他塗料組成物の製造工程、あるいは塗膜を形成する任意の工程で添加混合して調製される。塗膜形成剤としては、通常、天然樹脂、ゴム質、合成樹脂などが使用され、溶剤としては、通常、水、植物油、アルコール類、石油類、エステル類、ケトン類などが使用される。
【0039】
(4)その他の分野への適用
本発明の消臭剤は、塗料、食品、樹脂等の製造・加工工場から排出される悪臭、飲食店等から排出される調理品、煙草などの臭いの消臭に有効である。また、家屋の建築材料、建具材(壁紙、襖、障子、畳等)、セラミックス類(タイル、陶器、磁気等)、革類製品(鞄、靴、毛皮、サイフ、定期入れ等)、木製品(机、戸棚、タンス、床板、天井板、内装材等)、紙製品(ティシュペーパー、ダンボール紙、紙コップ、紙皿等)、ガラス製品(花瓶、水槽等)、金属製品(サッシ、ケトル、カーエアコン等)などに消臭性を付与することができる。
更に、本発明の消臭剤は、浄水器、プールの水などの水処理剤、化粧品材料、猫砂などの防臭に使用しても好適である。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明する。
【0041】
(消臭剤前駆体物質の製造)
実施例1
18.24gの硝酸銅Cu(N03 2 ・3H2 Oに水3648gを加えて、濃度0.5重量%の硝酸銅水溶液を調製した。
TiO2 濃度が1重量%のチタンコロイド水溶液4.0kgをビーカーに採取し、これを撹拌しながら50℃に加温した。この時のチタンコロイド水溶液のpHは7.9であった。このチタンコロイド水溶液に前記硝酸銅水溶液を10g/minの速度でペリスターポンプで添加した。硝酸銅水溶液の添加でコロイド水溶液のpHが低下し始めたところで、陰イオン交換樹脂(三菱化学製)を始めのpH7.9を維持するように少量ずつ添加し、全硝酸銅水溶液の添加が終了するまで、この操作を継続した。
【0042】
陰イオン交換樹脂の全使用量は310gであり、また、コロイド水溶液の最終pHは8.1であった。
このコロイド水溶液を限外濾過膜装置でTiO2 重量に対して200倍の水で洗浄した後、濃縮して、固形分濃度20重量%の安定な銅担持チタンコロイド水溶液(A)を得た。コロイド水溶液(A)の固形分中のCuOの担持量は、14.8重量%であった。
【0043】
なお、該コロイド水溶液に分散している微粒子の平均粒子径(Dp)は、超遠心式自動粒度分布測定装置(CAPA−700)で測定したところ、31.0nmであり、標準偏差(σ)は16.1nmであり、σ/Dpの値は59%であった。
また、このコロイド溶液を80℃で乾燥した後、130℃で5時間乾燥したものの比表面積は、BET法で測定したところ、322m2 /gであり、細孔容積は窒素吸着法で測定して、0.26ml/gであった。
【0044】
実施例2
実施例1において、硝酸銅Cu(N03 2 ・3H2 Oのかわりに14.6gの硝酸亜鉛Zn(NO3 2 ・6H2 Oを用い、実施例1と同じ操作を行い、亜鉛担持チタンコロイド水溶液(B)を得た。このコロイド水溶液(B)は1ヶ月放置しても安定なコロイド状態を維持していた。
なお、コロイド水溶液(B)の固形分中のZnO担持量は9.1重量%であり、陰イオン交換樹脂の全使用量は195.0gであった。
【0045】
コロイド水溶液(B)の分散質である微粒子の平均粒子径(Dp)は50.0nm、標準偏差(σ)は20.2nm、σ/Dpの値は59%であった。また、該微粒子の130℃・5時間乾燥品の比表面積は335m2 /gであり、細孔容積は0.26ml/gであった。
【0046】
(消臭性の付与)
実施例3
実施例1で得たコロイド水溶液(A)500gに500mlの純水を添加して、0.5重量%のコロイド水溶液を調製した。80℃に加温したこの水溶液中に50gの綿布を入れ、30分間浸漬した。次いで、この綿布を500gになるまで搾り(pick up 100%)、100℃で乾燥させて、消臭処理綿布(C1)を得た。
【0047】
実施例4
実施例3において、コロイド水溶液(A)の代わりに実施例2で得たコロイド水溶液(B)を用いた以外は、実施例3と同様の処理を行い、消臭処理綿布(C2)を得た。
【0048】
実施例5
実施例3において、綿布の代わりにポリエステル繊維を用いた以外は、実施例3と同様の処理を行い、消臭処理ポリエステル繊維(P1)を得た。
【0049】
実施例6
実施例3において、コロイド水溶液(A)の代わりに実施例2で得たコロイド水溶液(B)を用い、綿布の代わりにポリエステル繊維を用いた以外は、実施例3と同様の処理を行い、消臭処理ポリエステル繊維(P2)を得た。
【0050】
(消臭性試験)
実施例7
試料として1gの消臭処理綿布(C1)と(C2)を用い、1リットルの三角フラスコ中に各試料を入れて次の条件で種々のガスを封入し、室温で2時間放置後のフラスコ中のガス濃度をガス検知管(ガステック社製)で測定した。
測定結果を、無処理の綿布を試料として用いたもの(ブランク)と共に、表1に示す。なお、表1において、括弧内の数値はガス濃度の減少率(%)を表す。
【0051】
ガス吸引量:100ml
ガスの種類:アンモニア、硫化水素、酢酸
【0052】
【表1】
Figure 0003746327
【0053】
実施例8
試料として5gの消臭処理ポリエステル繊維(P1)と(P2)を用い、3リットルのポリ容器中に各試料を入れて次の条件で種々のガスを封入し、室温で1時間放置後のポリ容器中のガス濃度を測定した。
測定結果を、無処理のポリエステル繊維を試料として用いたもの(ブランク)と共に、表2に示す。
【0054】
Figure 0003746327
【0055】
【表2】
Figure 0003746327
【0056】
実施例9
50mlの石英容器にエチルメルカプタン2mlを入れた後、実施例1で得た銅担持チタンコロイド水溶液(A)を130℃で乾燥して得られた消臭剤0.5gを入れて、室温、40℃、紫外線照射(UV)の各々の条件で6時間放置した後、容器中のガスをGC/MS(ガスクロマトグラフ・マススペクトロメーター)で分析した。分析結果を、石英容器にこの消臭剤を入れなかったもの(ブランク)の測定値と共に、表3に示す。
【0057】
【表3】
Figure 0003746327
【0058】
表3によれば、ブランク以外のケースではエチルメルカプタンがジエチルジサルファイドに一部分転換されている。これは本発明の消臭剤が触媒として作用し、〔化1〕に示すように、悪臭物質を酸化して他の物質に転換したものである。しかも、室温より温度を上昇させるほど、また、紫外線照射により転換割合が高くなり、消臭効果が加速されることが判る。
【0059】
【化1】
2C2 5 −SH + 1/2O2 → C2 5 −S−S−C2 5 +H2
【0060】
【発明の効果】
本発明の消臭剤は、アンモニア、アミン類などの塩基性成分や、硫化水素、メルカプタンなどの酸性成分などの各種悪臭物質に対して常温でも優れた消臭効果を有している。また、本発明の消臭剤は、触媒作用により半永久的に消臭効果を持続することができ、安全性に優れている。さらに、本発明の消臭剤は、繊維などに消臭機能を付与するのに使用して、風合いを損ねることもなく、洗濯耐久性などにも優れた効果を有する。
【0061】
本発明の消臭剤前駆体物質の製造方法は、無機酸化物コロイド粒子の表面に、極めて簡易な操作により所望の消臭機能を有する金属成分を担持することができる。

Claims (3)

  1. 無機酸化物コロイド粒子を分散質とする水性ゾルに、消臭機能を有する金属成分の金属塩またはその水溶液および陰イオン交換体を混合して、前記消臭機能を有する金属成分を前記無機酸化物コロイド粒子に担持させることを特徴とする、消臭機能を有する金属成分が担持された平均粒子径500nm以下の無機酸化物微粒子が分散した無機酸化物ゾルからなり、前記微粒子の粒子径分布がσ/Dp×100で表して80%以下(ここで、Dp=粒子径の平均値、σ=標準偏差とする。)である消臭剤前駆体物質の製造方法
  2. 前記微粒子の比表面積が100m2 /g以上であり、細孔容積が0.10ml/g以上である請求項1記載の消臭剤前駆体物質の製造方法
  3. 消臭機能を有する金属成分が、金、白金、銀、銅、亜鉛、鉄およびマンガンから選ばれた1種または2種以上である請求項1または請求項2記載の消臭剤前駆体物質の製造方法
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