JP2006290681A - 複合粉体 - Google Patents

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一博 川口
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Abstract

【課題】 無機粉体を表面処理することにより例えばガス処理機能を発現するような機能性付与物質を導入した複合粉体であって、該機能性付与物質の導入量を多くすることができ、しかも安定性が高い新規な複合粉体粉体を効率良く製造する方法を提供する。
【解決手段】 例えば、無機粒子からなる原料粉体に、陰イオン交換基有する重合性単量体を含む架橋重合性組成物を、前記原料粉体の飽和吸収量を越えないようにして吸収させ、それを重合させた後に金属原子を有する陰イオン性原子団を含有する溶液と接触させてイオン交換することにより複合粉体を製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガス処理材、充填材、防錆材、合成反応の触媒等として有用な複合粉体に関する。
シリカ等の無機粉体は、機械的強度に優れ、また化学的な安定性が高く、さらには安価に種々の形状や比表面積、細孔をもつものが容易に入手できるばかりでなく、表面処理を施すことにより様々な機能を付与することができる。そして、表面処理された無機粉体は、ガス処理材、各種ゴムや樹脂の充填材など様々な用途に用いられている。
これら無機粉体の処理方法としては、下記(1)〜(7)に示すような方法が知られている。
(1) シランカップリング剤を用いて官能基を導入する方法(特許文献1参照)。
(2) 無機酸化物粒子をSi−H基を有する環状シロキサンで被覆し、ついで、このSi−H基と、ビニル基を有する化合物とを白金触媒を用いてヒドロシリル化させる方法(特許文献2参照)。
(3) コロイダルシリカ粒子を溶剤に分散させた懸濁液にアクリル酸等のカルボン酸系のビニル系単量体を添加してから重合し、シリカ粒子表面をその重合体で被覆した後、さらにその表面をメチルメタクリレート、スチレン等のビニル系単量体で被覆して重合させる方法(特許文献3参照)。
(4) 溶液中にマレイン酸等の不飽和カルボン酸と該不飽和カルボン酸と共重合可能なポリビニル化合物(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジビニルベンゼン等)とシリカ粒子を加えて懸濁液を調製し、その後この懸濁液を濃縮、乾燥してシリカ表面に不飽和カルボン酸及びポリビニル化合物からなる皮膜を形成させ、さらに加熱により重合させて架橋型のイオン交換組成物を形成する方法(特許文献4参照)。
(5) シリカ系粒子をビニル系のシランカップリング剤で処理し、ついで、これを極性溶剤中に分散させ、これに単官能ビニル系単量体を加えてから重合し、非架橋型のビニル系重合体で被覆された粒子を得る方法(特許文献5参照)。
(6) ビニル系の重合体を溶剤中に分散させ、これとシリカ系粒子とを混合してシリカ系粒子表面を前記重合体で被覆する方法(特許文献6参照)。
(7) シリカ系粒子粉末と重合体粉末とをボールミル等で、湿式あるいは乾式で混合し、機械的応力により粒子表面に重合体を被着せしめて表面樹脂層を形成する方法(特許文献7参照)。
特開平6−199621号公報 特開平10−267908号公報 特開平3−281577号公報 特開平5−96184号公報 特開平10−226512号公報 特開平5−181144号公報 特開平9−80445号公報
しかしながら、これら従来の表面処理方法にはそれぞれ一長一短があり、導入できる官能基の量、処理品の安定性、処理操作の簡便性、又は処理中における異物の混入或いは被処理粒子の変化(たとえば形状、粒径、粒度分布の変化)の何れかの点で問題がある。
たとえば、前記(1)のシランカップリング剤を用いた官能基の導入では、シランカップリング剤と被処理無機粉体の表面水酸基との反応を利用しているため多くの官能基を導入するのが困難であり、処理品についても過酷な条件下では官能基を結合させているシロキサン結合が加水分解されてシランカップリング剤が脱離することがある。また、前記(2)の方法では、上記と同様に導入可能な官能基の数に制限があり、さらに使用した白金触媒の除去が困難である。また、前記(3)や(5)のように分散媒中で被処理粉体の存在下にモノマーの重合を行う方法では、被処理粒子の表面以外でも重合が起こるため、モノマーのロスが多くなるばかりでなく、このような重合により生成した重合体粒子が混入する場合がある。加えて前記(3)〜(6)の方法のように溶媒を使用する方法では、後工程として、ろ過、洗浄、乾燥等の工程を必要とするだけでなく、これらの工程で粒子同士が、解砕することが困難なほど強く凝集してしまうこともある。また、前記(7)の方法では、強い機械的応力が必要であり、エネルギー的に不利であるのみならず、この応力付与の際に粒子が破砕する場合がある。
そこで、本発明は上記のような問題を引き起こすことの無い、新規な「無機粉体の表面処理方法」を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を進めた。その結果、被処理無機粉体にその飽和吸収量を越えない範囲で「官能基を有するモノマーを含む架橋重合性組成物」を吸収させてから吸収された該組成物を重合させた場合には、被処理粉体の形状や粒径をほぼそのまま維持しつつ多くの官能基を被処理粉体の表面に導入できるという知見を得た。そして、この知見に基づき更に検討を行なったところ、このような方法により陰イオン交換基を導入した表面処理粉体を、金属原子を有する陰イオン性原子団を含有する溶液と接触させてイオン交換することにより得られる複合粉体は、それ自体が新規なものであり、ガス処理材として優れた性能を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、第一の本発明は、少なくとも1種の金属原子を含む陰イオン性の原子団が結合した陰イオン交換基を有する架橋重合体で被覆された無機粒子またはその凝集粒子からなる複合粉体である。
また、第二の本発明は、前記第一の本発明の複合粉体を製造する方法であって、下記工程(A)〜(D)を含むことを特徴とする方法である。
(A) 無機粒子からなる原料粉体と、陰イオン交換基を有する重合性単量体又は陰イオン交換基に変換化可能な官能基あるいは陰イオン交換基を導入することができる構造を有する重合性単量体を含む架橋重合性組成物と、を準備する工程、
(B) 前記原料粉体と、該原料粉体の飽和吸収量の0.1〜100%の量の前記架橋重合性組成物を混合して該原料粉体に該架橋重合性組成物を吸収させる工程、
(C) 前記工程(B)で得られた架橋重合性組成物を吸収した原料粉末について、吸収された架橋重合性組成物を重合し、更に前記重合性単量体が陰イオン交換基に変換化可能な官能基または陰イオン交換基を導入することができる構造を有する重合性単量体である場合には前記官能基を陰イオン交換基に変換するか又は前記構造に陰イオン交換基を導入することにより、陰イオン交換基を有する架橋重合体で被覆された無機粒子またはその凝集粒子からなる前駆粉体を得る工程、及び
(D) 前記工程(C)で得られた前駆粉体と金属原子を有する陰イオン性原子団を含有する溶液とを接触させてイオン交換する工程。
更に第三の本発明は、前記第一の本発明の複合粉体からなるガス処理材である。
本発明の複合粉体は、基本的には原料として用いた無機粉体の形状や粒度分布をそのまま維持しているので、用途に応じてこれらを任意に制御することができる。しかも陰イオン交換基が被覆層である架橋重合体とC−C結合を介して結合することができるため高湿度や溶液中で陰イオン交換基が脱離することがない。また、無機粒子が核となっているため、化学的安定性や機械的強度が高い。更に、シランカップリング剤を用いた場合と比べて遥かに高濃度でイオン交換基、さらにはこれとイオン結合する金属原子を含む陰イオン性の原子団を導入することができるので、高い機能性を有する。このため、上記原子団の種類によって、ガス処理材、触媒、防錆剤など様々な用途に使用することができる。
そして、本発明の製造方法によれば、上記のような優れた特徴を有する本発明の複合粉体を効率良く製造することができる。
また、本発明のガス処理材は、メチルメルカプタンのような悪臭原因ガスを分解する能力が高い。更に、活性炭に無機塩などの活性成分を担持した従来のガス処理材では、色調が黒色に限定され、使用時に周囲を汚すことがあり、多湿条件下で使用すると活性成分が流出して処理能が低下するといった問題があったが、本発明のガス処理剤にはこのような問題も無い。
本発明の複合粉体は、少なくとも1種の金属原子を含む陰イオン性の原子団が結合した陰イオン交換基を有する架橋重合体で被覆された無機粒子またはその凝集粒子からなる。
ここで、前記架橋重合体で被覆される無機粒子(以下、核粒子ともいう)は、無機粒子であれば特に限定されるものではなく、公知の無機粒子の中から目的とする用途に応じて適宜選択すればよい。粒子径、比表面積、細孔容積、形状等の異なる種々のものが容易に入手可能であり、また化学的安定性にも優れる点で、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、鉛、鉄、亜鉛等の金属又は半金属の単独酸化物、もしくは複合酸化物が好ましい。また、複合酸化物としては、さらにナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属を含むものも好適である。これらのなかでも特に、化学的安定性に優れ、また容易に種々の性状のものが入手できる点で、ケイ素の単独酸化物、又はケイ素を構成元素として含む複合酸化物(以下、ケイ素系酸化物)が好ましい。
ケイ素系酸化物をより具体的に例示すると、石英、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、ゾルゲルシリカ等のシリカ類;シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−バリウムオキサイド、シリカ−アルミナ、シリカ−カルシア、シリカ−ストロンチウムオキサイド、シリカ−マグネシア、シリカ−チタニア−ナトリウムオキサイド、シリカ−チタニア−カリウムオキサイド、シリカ−ジルコニア−ナトリウムオキサイド、シリカ−ジルコニア−カリウムオキサイド、シリカ−アルミナ−ナトリウムオキサイド、またはシリカ−アルミナ−カリウムオキサイド等の複合酸化物類;ケイ酸カルシウム、タルク、ゼオライト、モンモリロナイト等のケイ酸塩類が挙げられる。
本発明の複合粉体においては、その構成粒子は基本的に核粒子の形状が維持されるので、核粒子の形状や大きさは本発明の複合粉体の用途に応じて適宜決定すればよい。一般に平均粒径が小さく、比表面積が大きいほど周囲との接触面積が大きくなり、各種用途に使用した場合の効果に優れ、かつ樹脂等に練り込む際の分散性や塗膜性に優れる。たとえば本発明の複合粉体をガス処理材として使用する場合には、核粒子の平均一次粒子径は、0.005〜300μmであることが好ましく、0.005〜100μmであることがより好ましく、0.005〜10μmであることが特に好適である。また、形状も特に制限されず球状、板状、層状、針状あるいは不定形等、どのような形状でもよい。
本発明の複合粉体において、前記核粒子を被覆する架橋重合体(以下、被覆樹脂ともいう)は、金属原子を含む陰イオン性の原子団(以下、含金属対イオンともいう)が結合した陰イオン交換基を少なくとも1つ有する。被覆樹脂が含金属対イオンを有することにより複合粉体に該含金属対イオンの有する機能を付与することができる。本発明の複合粉体においては、上記含金属対イオンが陰イオン交換基とのイオン結合を介して被覆樹脂と結合しているため、水洗等により簡単に脱離してしまうこともないため、機能の安定性や持続性が高いものとなる。また、被覆樹脂が架橋重合体からなることにより溶剤等に対する溶解性がなくなり、安定性に優れたものとなる。
被覆樹脂を構成する架橋重合体としては、架橋型であり、かつ陰イオン交換基が結合可能な構造のものであれば特に制限されない。なお、安定性の観点から、該架橋重合体における架橋は共有結合性の架橋であることが好適である。架橋性重合体は、ポリスチレン系、(メタ)アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリウレタン系、ポリスルホン系、ポリエーテル系、ポリエーテルスルホン系の架橋樹脂を含むが、これらのなかでも、本発明の複合粉体の製造が容易であると言う理由からポリスチレン系または(メタ)アクリル系の架橋重合体であることが好ましく、化学的安定性の観点からポリスチレン系の架橋重合体であることが特に好ましい。
本発明の複合粉体では、核粒子の表面が前記被覆樹脂で被覆されているが、必ずしもその全面を被覆している必要はなく一部の表面が被覆されていればよい。しかしながら、複合樹脂の安定性の観点から、表面の全面が被覆されているのが好適である。また、被覆の状態は、核粒子の表面に被覆樹脂が容易に脱離しない形で固定化されていれば特に限定されず、例えば核粒子が細孔を有している場合には、該細孔の壁面を覆った状態、あるいは該細孔を埋めるように存在している状態、あるいはそれらが組み合わさった状態で存在していてもよい。
また、本発明の複合粉体に占める被覆樹脂の割合は、核粒子の形状や粒度分布が保持でき、機能性付与効果も高いと言う観点から、被覆樹脂の平均厚さが、核粒子の直径の1/10000〜1/10で且つ1000nm以下であること、特に核粒子の直径の1/1000〜1/100で且つ100nm以下であることが好ましい。
被覆樹脂が有する陰イオン交換基は、含金属対イオンを固定化する作用を有する。該陰イオン交換基を具体的に例示すると、第4級又は第3級アンモニウム基、第3級アミン基、ピリジニウム基、イミダゾリウム基等が挙げられる。これらの中でも、化学的安定性に優れ、金属原子を含む陰イオン性の原子団を対イオンとしたものの製造が容易であるのみならず、該陰イオン交換基を有する架橋重合体自体の製造も容易である点で、第4級または第3級アンモニウム基が好ましく、特に第4級アンモニウム基が好ましい。また必要に応じて、異なる複数種の陰イオン交換基を有していてもよい。
被覆樹脂が有する陰イオン交換基の量は陰イオン交換容量で表すことができる。陰イオン交換容量は、複合粉体に導入したい含金属対イオンの量に応じて適宜調整すればよいが、極端にイオン交換容量の大きなものは製造が困難であり、また、用途によっては、含金属対イオンとの対イオン形成に関与しない陰イオン交換基が悪影響を及ぼす場合もある。このような観点から、本発明の複合粉体における陰イオン交換容量は、乾燥状態の本発明の複合粉体1g当りにイオン交換可能な陰イオンの当量で表して、0.005〜4meq/(g−複合粉体)が好ましく、0.1〜3meq/(g−複合粉体)がより好ましい。
前記含金属対イオンとしては、水溶液中でアニオンとして存在し得る原子団であって、少なくとも1種の金属原子を含むものであれば特に限定されず、このようなアニオンとしては、例えば過酸化物イオン等のオキソアニオンが挙げられる。含金属対イオンに含まれる金属原子は特に限定されるものではないが、メチルメルカプタンなどの悪臭原因物質ガスの処理材として使用する場合おける処理能力の観点からV、Nb、Ta、Cr、Mn、Mo及びWからなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好適である。本発明の複合粉体が有する含金属対イオンは1種類のみであっても種類の異なる2種以上であってもよい。含金属対イオンとして好適なものを具体的に例示すると、過マンガン酸イオン、バナジン酸イオン、タングステン酸イオン、モリブデン酸イオンなどが挙げられる。
被覆樹脂に於いて前記含金属対イオンは、陰イオン交換基における対イオンとして存在する。即ち、陰イオン交換基の少なくとも一部は、含金属対イオンとの塩(あるいはコンプレックス)の状態で存在することになる。第4級アンモニウム基等の陰イオン交換基は1価であるため、これらが陰イオン性原子団と塩を形成すると、通常、含金属対イオンの1つと、その価数に応じた数の陰イオン交換基の残基(Polymer−NR 、Polymer−NHR など)が1組の塩の形成に関与することになるが、含金属対イオンの一部は半塩の状態で存在していてもよい。例えば、陰イオン交換基が第4級アンモニウム基であり、含金属対イオンの価数が2価である場合、Polymer−NR−MX−NR−Polymer(MXは含金属対イオンを示す)の状態となるが、一部は、Polymer−NR−MX−Y(Yはアンモニウム、ナトリウム、カリウムなどの陽イオンを示す)の状態で存在する場合もある。また逆に、陰イオン交換基のすべてが含金属対イオンと塩を形成した状態で存在している必要はなく、一部が塩化物イオンや水酸化物イオン等の1価のイオンとの塩の状態で存在していてもよい。
本発明の複合粉体が有する含金属対イオンの量は、0を越え陰イオン交換容量以下の範囲で目的に応じて適宜決定すればよい。例えば、ガス処理材や防錆材用途に用いる場合には、乾燥状態の本発明の複合粉体1g当りの含金属対イオンのモル数で表して、0.01〜2mmol/gであることが好ましく、0.05〜1.5mmol/gであることが特に好ましい。なお、後述するような製造方法で製造される本発明の複合粉体において、陰イオン交換容量をXmeq/(g−複合粉体)の前駆粉体にN価の含金属対イオンをイオン交換により結合させた場合に結合する含金属対イオンの量は、X/Nの1.2〜0.3倍程度(mmol/g)となる。
本発明の複合粉体は、第二の本発明である製造方法(本発明の製造方法)により好適に製造することができる。すなわち、本発明の製造方法によれば、簡便な操作で、樹脂粉体のような異物の混入させることなく、原料粉体の粒子形状、平均粒子径、粒度分布性状といった粉体特性を基本的保ったまま複合粉体を製造することができる。以下、本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、先ず、無機粒子からなる原料粉体と、陰イオン交換基を有する重合性単量体又は陰イオン交換基に変換化可能な官能基あるいは陰イオン交換基を導入することができる構造を有する重合性単量体を含む架橋重合性組成物を準備する{工程(A)}。ここで、原料粉体としては前記した核粒子からなる粉体が使用される。
架橋重合性組成物としては、陰イオン交換基を有する重合性単量体、又は陰イオン交換基に変換可能な官能基を有する重合性単量体或いは陰イオン交換基を導入可能な構造を有する重合性単量体、架橋剤(多官能の重合性単量体)を必須成分として含有し、任意成分としてその他の重合性単量体、重合開始剤、溶媒、各種添加剤を含有する組成物である。なお、重合性単量体に関しては、重合性に優れる点で、(メタ)アクリル基、スチリル基等のラジカル重合性の不飽和二重結合を有する重合性単量体であることが好ましい。
陰イオン交換基を有する単官能単量体として好適なものを例示すると、ビニルベンジルジメチルアミン、ビニルベンジルジエチルアミン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の芳香族ビニル系の単量体類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等のアミノ基を有する(メタ)アクリル系の単量体類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩等の第4級アンモニウム塩基を有する(メタ)アクリル系の単量体類;を挙げることができる。
陰イオン交換基に変換可能な官能基を有する重合性単量体又は陰イオン交換基を導入することができる構造を有する重合性単量体は、アミノ基、ハロゲン原子、芳香族環などの化学反応を応用して種々の陰イオン交換性基を導入することが可能な官能基または構造を有する重合性単量体を意味する。このような重合性単量体を例示すれば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−クロロスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系の単量体類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリトリデシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル等の単官能の(メタ)アクリル酸エステル系の単量体類;を挙げることができる。
架橋剤となる多官能の重合性単量体として好適に使用できるものを例示すれば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の多官能の芳香族ビニル化合物類等の芳香族ビニル系の単量体類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンジ(メタ)アクリルアミド等の多官能の非フッ素系(メタ)アクリル系の単量体類;ジビニルスルホン、フタル酸ジアリル等を挙げることができる。
前記架橋重合性組成物におけるこれら必須成分の含有量は、得ようとする被覆樹脂の性状に応じて適宜決定すればよいが、機能性の付与効果及び安定性の観点から次のようにするのが好適である。即ち、架橋重合性組成物に含まれる全重合性単量体(任意成分としての重合性単量体も含む)合計質量を基準として、「陰イオン交換基を有する重合性単量体、又は陰イオン交換基に変換可能な官能基或いは陰イオン交換基を導入可能な構造を有する重合性単量体」の好適な含有割合は70〜99.5質量%、特に80〜99質量%であり、架橋剤の好適な含有割合は0.5〜30質量%、特に1〜20質量%である。
任意成分のその他の重合性単量体は、架橋重合性組成物が原料粉体に吸収され易くする、陰イオン交換基を有する単官能単量体や陰イオン交換基に転化可能な官能基又は構造を有する重合性単量体が常温、常圧下で固体の場合にこれらを溶解せしめる、或いは被覆樹脂の物性を改良すると言った目的で添加されるものである。好適に使用される重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基を有する(メタ)アクリル系の単量体類;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクロレイン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、メチルビニルケトン等が挙げられる。
任意成分である重合開始剤としては、用いる重合性単量体に応じて、公知の重合開始剤を適宜選択して用いればよいが、加熱により重合開始能を発現するものであることが操作がより簡便であり好ましい。例えば、重合性単量体としてビニル系単量体を採用した場合には、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物や、2,2,−アゾビスイソブチロニトリルや2,2,−アゾビス−(2,4,−ジメルバレロニトリル)等のアゾビス系重合開始剤等が好適な重合開始剤として挙げられる。これら重合開始剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.1〜20質量部、好適には0.5〜10質量部用いるのが一般的である。
また、前記架橋重合性組成物には、必要に応じて重合禁止剤や重合抑制剤、紫外線吸収剤等の他の添加剤を配合したものを用いても良い。さらに、重合性単量体が固体である場合には、少量の溶剤を用いて液状のものとすることも可能である。なお、(A)工程において、それぞれ所定量の各成分を混合することにより架橋重合性組成物を調製することができる。このとき予め全ての成分を混合してもよいし、後述する工程(B)における混合操作の際に各成分を添加し架橋重合性組成物の調製を行なってもよい。
本発明の製造方法では、前記(A)工程に次いで、前記原料粉体と、該原料粉体の飽和吸収量の0.1〜100%の量の前記架橋重合性組成物を混合して該原料粉体に該架橋重合性組成物を吸収させる{工程(B)}。
ここで飽和吸収量とは前記架橋重合性組成物を原料粉体とよく混合しながら少量ずつ吸収させていったときに、自然放置の状態で架橋重合性組成物が原料粉末からにじみ出すことなく全てが原料粉体に保持される限界の吸収量を意味し、吸油量とほぼ同義である。該飽和吸収量は、予め少量の原料粉体を用いて実験的に決定することができる。本発明では、後段の(C)工程で全ての架橋重合性組成物が原料粉体に保持された状態でこれを重合硬化させるので、原料粉体の形状や粒径を維持したままの表面処理が可能となる。吸収させる架橋重合性組成物の量が飽和吸収量の0.1%未満の場合には十分な改質効果が得られない。また、吸収させる架橋重合性組成物の量が飽和吸収量を越える場合には、重合の際に粒子どうしがくっついてしまったり、樹脂のみからなる粉体が混入したりしてしまう。粒子性状の良好な複合粉体が得られると言う観点から吸収させる架橋重合性組成物の好適な量は飽和吸収量の0.1〜50%であり、さらに好ましい量は0.5〜45%であり、最も好ましい量は1〜40%である。なお、一般的に粒子の比表面積1mあたり、2×10−4〜8×10−4gの重合性単量体を使用すれば、約1nm相当の厚さの被覆層が形成されるため、この値を元に粒径や比表面積を勘案し、目的に応じて最適な量を決定すればよい。
本発明の製造方法においては、架橋重合性組成物を原料粉体に効率良く吸着させるために、使用する架橋重合性組成物の極性に応じて原料粉体の表面を改質する前処理を行なうのが好適である。
具体的には、吸着させようとする架橋重合性組成物がアミノ基、アンモニウム基等の陰イオン交換基を有し、これにより水に対する溶解度が5質量%以上である重合性単量体を含む場合には、前処理を行い原料粉体の水/n−ヘキサン分散性向が水側にするのが好ましい。特にアンモニウム基を有し、水に対する溶解度が5質量%以上かつn−ヘキサンに対する溶解度が5質量%以下の重合性単量体を含む架橋重合性組成物を吸収させる場合には、水/n−ヘキサン分散性向を水側とすることが、均一な被覆樹脂層を有する複合粉体得るために重要である。
これとは逆に、陰イオン交換基を有していないか、或いは有していても疎水性基の影響が大きいなどの理由により、水に対する溶解度が5質量%未満の架橋重合性組成物を吸収させる場合には、原料粉体の水/n−ヘキサン分散性向をヘキサン側にするのが好ましい。特にスチレン、クロロメチルスチレン等の、水に対する溶解度が1質量%未満の重合性単量体を吸着させようとする場合には、水/n−ヘキサン分散性向がヘキサン側にあるのみならず、修飾疎水化度が40質量%以上(特に50〜90質量%)とするのが好ましい。
なお上記水/n−ヘキサン分散性向は、ガラス製試験管等に水及びn−ヘキサンをほぼ等量入れ、そこへ少量の粒子粉体を加えてよく振とうして、粒子が水側とヘキサン側のどちらに分配しているかで判断できる。また、修飾疎水化度は、水−メタノールの比を変えた溶液に対する粒子粉体の浮遊割合を測定する方法によって求められる浮遊量が50%となるメタノール濃度である。
一般に、原料粉体そのもの(無機粉体そのもの)の水/n−ヘキサン分散性向は水側であので、分散性向をn−ヘキサン側にするためには前処理が必要である。前処理方法としては、一般に疎水化処理として知られている表面処理方法が採用できる。具体的には、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル、環状シロキサン、ヘキサアルキルジシラザン等により処理する方法が採用できる。これらのなかでも、均一で良好な処理ができると言う理由から環状シロキサン又はヘキサアルキルジシラザンにより処理することが好ましい。
このとき処理剤として使用する環状シロキサンとしては、より均一な表面処理ができ、入手も容易であると言う理由から、ひずみが大きく開裂しやすい構造を有する下記式で示される環状シロキサンを使用することが好ましい。
Figure 2006290681
(式中、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基、水素原子、又は水酸基であり、Meはメチル基であり、nは3〜6の整数である。)
上記式において、Rは炭素数1〜18の炭化水素基である。当該炭化水素基は炭素数が1〜18であれば特に限定されず、公知の如何なる基でもよい。当該炭化水素基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクタデシル基等の炭素数1〜18の直鎖又は分枝状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜6の環状アルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、オクタデシニル基等の炭素数2〜18のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基、スチリル基、キシリル基、メシチル基等の炭素数6〜18の置換又は非置換のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜9のアラルキル基等が挙げられる。上記炭化水素基のなかでも、炭素数1〜3の直鎖アルキル基、フェニル基、フェネチル基又はビニル基が特に好ましい。また上記式においてnは3〜6であり、特に好ましくは3〜4である。
このような環状シロキサンを具体的に例示すると、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、トリメチルトリビニルシクロトリシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシクロトリシロキサン等が挙げられる。
また、ヘキサアルキルジシラザンで処理する場合には、下記式で示されるヘキサアルキルジシラザンを用いるのが好ましい。
Figure 2006290681
(式中、R、R、R、R、R及びRは各々独立に、炭素数1〜18のアルキル基である。)
上記式において、R〜Rとして示されるアルキル基としては、前記環状シロキサンにおけるRとして例示したものと同様の基が挙げられる。高い処理効率を得るためには、当該R〜Rとしては炭素数1〜3の直鎖アルキル基が好ましい。また、R〜Rは互いに異なっていても良いが、入手の容易さや表面処理効率の点からいずれも同一の基であることが好ましい。特に好ましいヘキサアルキルジシラザンを具体的に例示すると、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ヘキサプロピルジシラザン等が挙げられる。
上記環状シロキサン、ヘキサアルキルジシラザンは各々単独で用いてもよいし、異なる化合物を2種以上併用して表面処理を行っても良い。また、他の表面処理剤と併用しても構わない。
上記のような表面処理剤を用いて原料粉体を表面処理して疎水化する場合には、処理の際に凝集が起こり難く、また、溶剤除去等の手間が不要な点で、溶剤を用いない乾式処理により行なうのが好ましい。例えば、ヘキサアルキルジシラザンによる処理を行う場合には、特許第2886037号公報、特許第2886105号公報等に記載の方法を採用するのが好適である。該方法は、容器に無機粒子の粉末を導入し、容器を密閉して、200〜300℃程度の温度において、不活性ガスの雰囲気下、ヘキサメチルジシラザンを分圧25〜150kPa程度になるように導入し一定時間、好ましくは0.5〜2時間程度保持することにより行う。この時、容器内に水蒸気を分圧で30〜100kPa程度存在させ、さらには必要に応じてアンモニア等の塩基性ガスを分圧で10〜100kPa程度共存させる方法である。
また、環状シロキサンで処理する場合には、無機粒子の粉末を撹拌しつつ、そこへ液状あるいはガス状の環状シロキサンを加え、次いで、密閉された反応系で加熱する方法である。この方法をより具体的に述べると、まず、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中、ヘンシェルミキサー等の高速撹拌装置で粒子を攪拌しつつ、そこへ環状シロキサン等を気体状もしくは液状で加え、密閉された反応系にて所定の温度まで加熱することにより製造できる。環状シロキサン等を粒子に加える方法は、液状あるいはガス状のいずれでもよく、さらに液状で加える場合には、滴下によっても良いし、噴霧によって加えても良い。均一に処理することが可能な点ではガス状で加えることが特に好ましい。上記加熱温度は、環状シロキサン等によって粒子表面が疎水化できる範囲であれば、特に制限されるものではないが、一般には、用いる環状シロキサンの沸点以上であることが好ましく、通常100〜300℃程度である。また、攪拌の際の攪拌速度等も特に限定されるものではなく、用いる攪拌装置等により一概には言えないが、一般的には、100〜3000rpm程度である。
このような乾式処理を採用することにより、無機粒子の表面処理工程における凝集を防止することができ、また必要に応じて、同じ反応容器内で重合体による被覆も可能となり、工業的に有利である。
必要に応じて前記したような前処理を施した原料粉体に架橋重合性組成物を吸収させるには、原料量粉体と架橋重合性組成物とを攪拌下に混合すればよい。十分な攪拌を行ないながら両者を混合することにより原料粉体に均一に架橋重合性組成物を吸収させることができる。なお、上記吸収処理において架橋重合性組成物は、予め全成分を混合したものを用いてもよいし、吸収処理の際に各成分を別々に供給してもよい。
攪拌の方法は特に限定されるものではなく、粒子が攪拌により浮遊する程度の状態を得られるのであれば、公知の如何なる方法でも良い。例えば、ヘンシェルミキサー等を用いて直接機械的に攪拌してもよいし、また高速気流を吹き込む攪拌、外部から振動や揺動等を与える攪拌でも良い。機械的に原料粉体を直接攪拌する場合の攪拌速度は、原料粉体の材質や形状、粒子径により一概には言えないが、一般的には100〜3000rpmとするのが好適である。なお、均一な吸収を行なうためには、吸収操作に際して所定量の架橋重合性組成物を連続的又は断続的に供給するのが好ましく、特に不活性ガス雰囲気中で噴霧により供給するのが好ましい。噴霧に際しては公知のスプレーノズル等が好適に使用できる。また添加速度も特に限定されず、他の種々の条件によって決定すれば良いが、一般的には、核粒子100g当たり1〜20ml/minである。これらを加える際の温度条件も特に制限されず、冷却下でも、加熱下でも良いが、あまりに高い温度では被覆前に単量体が重合してしまうため、一般には−10〜40℃程度が好ましい。
本発明の製造方法では、前記工程(B)で得られた架橋重合性組成物を吸収した原料粉末について、吸収された架橋重合性組成物を重合し、更に前記重合性単量体が陰イオン交換基に変換化可能な官能基または陰イオン交換基を導入することができる構造を有する重合性単量体である場合には、前記官能基を陰イオン交換基に変換するか又は前記構造に陰イオン交換基を導入することにより、陰イオン交換基を有する架橋重合体で被覆された無機粒子またはその凝集粒子からなる前駆粉体を得る{工程(C)}。
原料粉末に吸収された架橋重合性組成物を重合させる方法としては、該組成物に含まれる重合性単量体の重合方法として公知の方法が採用できるが、加熱により重合を開始させるのが好適である。例えばビニル系単量体を重合させる場合には、前記したような熱重合開始剤を用いることにより、より効率的に重合させることができる。また、当該加熱温度は、用いた重合性単量体及び重合開始剤の種類等により公知の条件を適宜設定すればよく、一般には40〜230℃、好ましくは50〜180℃程度である。このとき、酸素による重合阻害を防止するため、これら操作は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。反応容器内の圧力は、特に制限されず、加圧でもよいし、常圧でもよいし、減圧でもよい。用いた重合性単量体の種類にもよるが、それらの中でも加圧が好ましい。加圧する際の圧力としては、一般的には0.01〜0.6MPa程度である。重合時間も上記したような他の条件に合わせて適宜設定すればよく、一般的には、30〜180分程度である。
架橋重合性組成物として陰イオン交換基を有する重合性単量体を含むものを用いた場合には、このような方法により重合を行なうことにより、陰イオン交換基を有する架橋重合体で被覆された無機粒子またはその凝集粒子からなる前駆粉体を得ることができる。
また、架橋重合性組成物として陰イオン交換基に変換化可能な官能基または陰イオン交換基を導入することができる構造を有する重合性単量体を含むものを使用した場合には、前記官能基を陰イオン交換基に変換するか又は前記構造に陰イオン交換基を導入することにより、陰イオン交換基を有する架橋重合体で被覆された無機粒子またはその凝集粒子からなる前駆粉体を得ることができる。このとき、陰イオン交換基の導入は陰イオン交換樹脂の製造方法における陰イオン交換基の導入手法に準じて行うことができる。例えば重合体がアミノ基を有す場合には、ハロゲン化アルキルと反応させて、或いはハロゲン化アルキル基を有す場合には、アミン化合物と反応させていずれもアンモニウム基を導入できる。さらには、エポキシ基を有す場合には、アミン化合物と反応させることで、アンモニウム基を導入することができる。また、その他公知の化学反応を応用して、種々のイオン交換性基を導入することが可能である。なおこれらの官能基導入の際には、被覆している重合体が剥離等により喪失してしまわないよう、適宜その導入形態や反応条件を選択すべき必要がある。一般に、芳香族ビニル系の単量体の重合体は、エステル構造を有する(メタ)アクリル系単量体に比して化学的に安定であり、種々の官能基の導入が容易である。
このような陰イオン交換基の導入に際しては、得られる粒子の凝集を防止するため、溶剤を用いず、温度、圧力等の反応条件を適宜設定し、反応化剤をガス状で架橋重合処理を行なった粉体と接触させる方法を採用することが好ましい。例えば、アンモニウム塩基を導入する場合にアミン化合物又はハロゲン化アルキルを用いる場合には、これらをガス状で粉体と接触させるのが好適である。
本発明の製造方法では、前記工程(C)で得られた前駆粉体と金属原子を有する陰イオン性原子団(含金属対イオン)を含有する溶液とを接触させてイオン交換する{工程(D)}ことにより目的とする本発明の複合粉体を得る。
上記イオン交換処理で使用する含金属対イオンを含有する溶液は、含金属対イオンの塩、具体的にはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属の塩や、アルカリ土類金属の塩、アンモニウム塩を溶媒に溶解させることにより調製される。このとき溶媒としては、水でも有機溶媒でも良いが、上記塩に対する溶解性が高く、経済的であり、しかも作業環境や安全性の面から水を用いることが特に好ましい。また、上記溶液調製の際には、酸(硫酸、硝酸、塩酸等)又はアルカリ(アンモニア等)を添加してもよい。なお、調製する溶液における含金属対イオンの濃度は、調製が容易で、また各種操作性にも優れる点で、0.001〜5mmol/ml、特に0.01〜1mmol/mlとするのが好適である。
イオン交換は、このようにして調製した含金属対イオン溶液と前駆粉体を接触させることにより行なわれる。このとき、使用する含金属対イオン溶液の量はイオン交換する前駆粉体の量及び該目的とする複合粉体に導入したい含金属対イオンの量に応じて決定される。通常は、前駆粉体の陰イオン交換容量をXmeq/(g−複合粉体)とし、含金属対イオンの価数N賭したときのX/Nで表して、X/Nが0.3〜1.2の範囲となるような条件が採用される。なお、前駆粉体が有する陰イオン交換基の全てをイオン交換したい場合であって、イオン交換処理後に水洗操作やろ過操作を行なう場合にはX/Nが2以上、より好ましくは5以上、特に好ましくは10以上となるような条件が採用される。
上記イオン交換処理における含金属対イオン溶液と前駆粉体との接触は、攪拌下に両者を混合することにより好適に行なわれる。混合、攪拌時間は通常、1分〜24時間程度である。また該混合は溶液が凍結したり沸騰したりする条件でなければ如何なる温度で行ってもよく、通常は室温下で行えばよい。
このようにしてイオン交換を行なった後、固液分離して粉体を回収し、必要に応じて洗浄、乾燥処理を行なうことにより本発明の複合粉体を得ることができる。固液分離方法としては、ろ過や遠心沈降法が採用できる。また、洗浄は、イオン交換水や蒸留水等の夾雑イオンを含まない水で行うことが好適である。洗浄は不要な成分、例えば、過剰に用いた金属原子を有する陰イオン性原子団や、イオン交換により溶出してきた陽イオン成分が、必要な程度まで洗い流されるまで行えばよい。洗浄の終点は、ろ液中の金属イオン濃度や、pH、色調などにより確認することができる。乾燥の条件は、被覆樹脂が分解等しない条件で行えばよく、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥等、公知の如何なる乾燥方法を適用してもよい。また水溶液を用いた場合には、乾燥時間を節約するため、アルコール、アセトン等の揮発性有機溶媒で置換してから乾燥してもよい。加熱する場合、その温度は150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。また、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で加熱するとよい。このようにして得られた乾燥品は、通常、前記した陰イオン交換基を有する架橋重合体で被覆された無機粒子と同等の粒径、粒度分布を有する粉末であるが、乾燥工程で軽く凝集した状態になることがある。このような凝集は、通常、使用条件下(例えば、樹脂成分と混合する)で解砕されるが、必要に応じて解砕し、微粉化してもよい。逆に、取り扱い性を向上させるなどの目的で、公知の方法で造粒することもできる。
以上、本発明の製造方法について説明したが、本発明の複合粉体を製造する方法はこれに限定されるものではなく、例えば、非架橋性の重合体で粉体を被覆した後に電子線照射等により架橋させる方法をもちいても本発明の複合粉体を製造することができる。
上記のようにして製造される本発明の複合粉体は、例えば、ガス処理材、触媒、各種樹脂製品用の抗菌性充填材、防錆剤等として使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例および比較例で用いた原料、及び中間生成物、最終生成物等における各種物性は以下の方法で測定した。
平均粒子径A(平均一次粒子径)
走査型電子顕微鏡(SEM)もしくは透過型電子顕微鏡(TEM)によって撮影した粒子に関し、それぞれ1000個以上2000個未満の画像を使って、高精細画像解析ソフトウェアIP−1000PC(旭エンジニアリング社製)で解析し、粒子の形状を球形に仮定し、一次粒子の平均粒子径を求めた。
平均粒子径B: 粉体をエタノールに分散して超音波をかけながら、光散乱回折式粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製:コールターLS230)により粒度分布を測定し、個数基準算術平均径D50の値を平均粒子径Bとした。
比表面積
比表面積測定装置(島津製作所製:フローソーブ2−2300型)を用いて、窒素ガスを吸着ガスとしBET法により求めた。
炭素量
粉体粒子を被覆している炭素の量は、微量炭素分析装置(堀場製作所製EMIA−511型)を用い粒子粉体を酸素雰囲気中で1350℃に加熱して測定した。この測定により得られた炭素量を被覆粒子1g当たりに換算して示した。なお、被覆量測定のための前処理として、粒子粉末を80℃で加熱し、系内を減圧にすることによって表面の被覆に関与してない単量体及び空気中で吸着した水分等を除いた後、該粒子の炭素含有量を求めた。
陰イオン交換容量測定
粉体を、1mol/lのHCl水溶液中に分散させて10時間以上撹拌し、塩素イオン型とした後、ろ過、水洗し、残渣を1mol/lのNaNO水溶液中に10時間以上撹拌して硝酸イオン型に置換させた。続いて、ろ過して得られた溶液中に含まれる遊離した塩素イオンを電位差滴定装置(COMTITE−900、平沼産業株式会社製)で定量した(B:mol)。
続いて上記粒子を1mol/lのNaCl水溶液中に分散させて4時間以上撹拌し、ろ過して得られた残渣をイオン交換水で十分水洗した後、60℃で5時間乾燥させその重量を測定した(Wa:g)。上記測定値に基づいて、陰イオン交換容量を下記式により求めた。
陰イオン交換容量=B×1000/Wa[mmol/g−乾燥重量]。
金属含有量測定
蛍光X線分析装置(株式会社リガク製:X線スペクトロメーター3270)により金属原子の含有量を測定し、担持量(mmol/g)を求めた。
また、各実施例、比較例で製造原料として用いた無機粒子のうち、市販されていないものは以下の方法で市販品から製造した。製造した無機粒子の物性は原料の物性と併せて表1に示す。
QS102−D4の製造
熱分解法により製造された比表面積200m/g、平均粒子径A(平均一次粒子径)が0.016μm、平均粒子径B(平均二次粒子径)が0.07μmで表面処理を行っていないシリカ粉末(トクヤマ社製、商品名QS102;以下、これをQS102と称する)50gを内容積1000mlのステンレス製オートクレーブに仕込んだ。オートクレーブ内を窒素ガスで内部ガス置換した後、オートクレーブ付属の撹拌羽を400rpmで回転させながら20gのオクタメチルシクロテトラシロキサン(以下、D4と称す)を二流体ノズルにて霧状にし、シリカ粉末に均一に吹き付けた。窒素ガスを流通させたまま30分間撹拌した後、オートクレーブを密閉し、275℃で1時間加熱した。続いて、加熱したまま系中を減圧し、未反応のD4を除去した。得られた粒子(以下、QS102−D4)の物性を表1に示す。また処理前後の粒度分布パターン(平均粒子径Bの測定方法による)を図1として示す。
X37B−D4の製造
沈降法により製造された比表面積290m/g、平均粒子径Aが3.7μm、平均粒子径Bが5.4μmで表面処理を行っていないシリカ粉末(トクヤマ社製、商品名X37B;以下、これをX37Bと称する)を用いた以外は製造例1と同様にして環状シロキサン処理シリカ粒子の粉末を得た。得られた粒子(以下、X37B−D4)の物性を表1に示す。
Figure 2006290681
実施例1
50gのQS102−D4を、内容積1000mlのステンレス製オートクレーブに仕込んだ。オートクレーブ内を窒素ガスで内部ガス置換した後、オートクレーブ付属の撹拌羽を800rpmで回転させ、クロロメチルスチレン8g、ジビニルベンゼン1g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5gの重合性単量体混合溶液を、約15秒かけて二流体ノズルにて霧状にし、シリカ粉末に吹き付け、表面を濡らした。30分間撹拌した後、オートクレーブのコックを閉じて密閉し、20℃から80℃まで1時間かけて昇温し、同温度で1時間保持して単量体を重合させて、架橋ポリクロロメチルスチレンで被覆された粒子からなる粉体(被覆粉体)を得た。この粉体の平均粒子径Aは0.02μm、平均粒子径Bは0.089μm、炭素量は0.101g/gであった。
この被覆粉体のうちの50gを耐圧性ガラス容器に入れ、そこにトリメチルアミンガスを導入して系内のトリメチルアミンガス濃度を、90%以上を保った状態で密閉下にて撹拌しながら120℃で1時間加熱して四級アンモニウム化した。続いて、系中を減圧して、未反応のトリメチルアミンガスを完全に除去し、四級アンモニウム化された前駆粉体を得た。
この陰イオン交換基(四級アンモニウム基)を導入した架橋ポリクロロメチルスチレンで被覆された粒子からなる前駆粉体35gをガラス容器に移し、過マンガン酸イオン濃度0.1mol/lの過マンガン酸カリウムの水溶液700mlを加えて分散させ、撹拌しながら室温で2時間イオン交換処理を行った。続いてろ過を行い、さらに300mlのイオン交換水で4回洗浄を行った。なお、最後の洗浄におけるろ液は、ほぼ中性の無色透明の液体であった。洗浄終了後、100℃で乾燥して、比表面積が115m/g、過マンガン酸イオン担持量が0.53mmol/g、僅かに赤みがかった粉末を得た。
さらに、上記のマンガンを担持させた乾燥粉末10gを再度200mlのイオン交換水で洗浄、乾燥させた後、マンガンの含有量を測定したが、洗浄前後で変化していなかった。このことから、単に粒子表面に過マンガン酸カリウムの結晶が付着しているのではないことが明らかである。
また、別途、上記のマンガンを含む含金属対イオンを結合させた複合粉体の乾燥粉末10gを200mlの熱水に24時間浸漬した後、放冷、ろ過、乾燥し、マンガン担持量を測定したところ、0.51mmol/gであり、ほとんど変化はなかった。
比較例1
実施例1と同様の方法で、架橋ポリクロロメチルスチレンで被覆された粒子からなる粉体を得た。この粉体を四級アンモニウム化せずにそのまま過マンガン酸カリウムの水溶液に分散させようとしたが、全く分散しなかった。そこで、過マンガン酸イオン濃度が0.1mol/lの過マンガン酸カリウムの水−メタノール溶液(水20質量%)700mlに分散させ、室温で2時間撹拌後、ろ過した。300mlの水−メタノール溶液で4回洗浄を行い、70℃で乾燥後、マンガンの含有量を測定したがマンガンは検出されなかった。
上記実施例1と比較例1との対比から、陰イオン交換基(四級アンモニウム基)を有さない場合には過マンガン酸イオンが担持されず、よって、過マンガン酸イオンは該イオン交換基における対イオンとして存在、保持されていることがわかる。
比較例2
50gのQS102を内容積1000mlのステンレス製オートクレーブに入れ、撹拌しながら、トリメトキシシリル−2−(p、m−クロロメチル)フェニルエタン(United Chemical Technologies製)23gをヘキサン5gに溶解させた溶液を二流体ノズルにて霧状にし、シリカ粉末に吹き付け表面を濡らした。その後、窒素気流下100℃で2時間加熱して、表面が上記アルコキシシラン化合物で処理された粉末を得た。ついでこれを実施例1と同様の処理操作でトリメチルアミンと接触させ4級アンモニウム化を行った。得られた粒子粉末の炭素量は0.061g/g−被覆粒子、陰イオン交換容量は0.38mmol/gであった。
この粉末を実施例1と同様にして過マンガン酸カリウム水溶液で処理、イオン交換させて、マンガン担持量が0.11mmol/gの粉末を得た。これを実施例1と同様にして100℃の熱水で24時間処理した後のマンガンの含有量は0.07mmol/gであり、約6割に低下していた。
実施例2〜4
過マンガン酸カリウムに代えて、表2に示す金属塩の水溶液(いずれも含金属対イオン濃度が0.1mol/l)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、各種金属をを含む含金属対イオンを結合させた複合粉体を得た。得られた粉体の比表面積、金属含有量を併せて表2に示す。
Figure 2006290681
実施例5
QS102−D4に代えて、X37B−D4(飽和吸収量3g/g)を用いた以外は実施例1と同様の処理操作を行い、架橋ポリクロロメチルスチレンで被覆された無機粒子からなる粉体を得た。この粉体の平均粒子径Aは3.7μm、平均粒子径Bは5.4μm、炭素量は0.12g/gであった。この架橋ポリクロロメチルスチレン被覆粒子を実施例1と同様にして四級アンモニウム化し、比表面積134m/g、イオン交換容量0.67mmol/gの粒子を得た。さらに実施例1と同様にして過マンガン酸カリウム水溶液で処理して得られた乾燥粉末は、比表面積117m/g、マンガン含有量0.55mmol/gであった。
実施例6
50gのX37B(飽和吸収量3g/g)を、内容積2000mlのガラス製セパラブルフラスコに仕込んだ。内部を窒素ガスで置換した後、撹拌羽を800rpmで回転させつつ、9.6gのジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロライド塩、1.2gのエチレングリコールジメタクリレート、2.4gの水、5.2gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び0.5gのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートからなる重合性単量体混合溶液を、約15秒かけて二流体ノズルにて霧状にして吹き付けた。30分間撹拌した後、20℃から90℃まで1時間かけて昇温し、同温度で1時間保持して単量体を重合させた。得られた粉末の比表面積は125m/g、イオン交換容量は0.8mmol/gであった。
この陰イオン交換基(アンモニウムクロライド塩)を有する架橋アクリル系樹脂で被覆された無機粒子からなる前駆粉体を、実施例1と同様にして過マンガン酸カリウム水溶液で処理してイオン交換させ、乾燥後得られた粉体子の物性を測定したところ、比表面積が120m/g、マンガン含有量が0.65mmol/gであった。
実施例7
側面に撹拌装置を設けた内容量20(l)のアクリル製容器に、実施例1で得られた本発明の複合粉体(マンガン含有)の乾燥品を3g入れ、ガスの初期濃度が8ppmになるようにメチルメルカプタンガスを注入した。気相を撹拌しながら表3に示した所定の時間毎に容器内部の残留ガス濃度を、ガス検知管にて測定した。複合粉体を入れなかった場合(ブランク値)と併せて結果を表3及び図2に示す。
実施例8
複合粉体として実施例2で得た複合粉体(バナジウム含有)を用いた以外は実施例7と同様にしてガス処理能を測定した。結果を表3及び図2に示す。
比較例3
本発明の複合粉体に代えて、市販の機能性活性炭(粒状白鷺GHxUG)を用いた以外は実施例7と同様にしてガス処理能を測定した。結果を表3及び図2に示す。
Figure 2006290681
本図は、原料として用いたオクタメチルシクロテトラシロキサンで処理されたシリカ粒子(QS102−D4)、及び該処理前のシリカ粒子(QS102)の粒度分布パターンを示す図である。 本図は、実施例1で製造した本発明の複合粉体と市販の機能性活性炭とのメチルメルカプタン処理速度を示す図である。

Claims (3)

  1. 少なくとも1種の金属原子を含む陰イオン性の原子団が結合した陰イオン交換基を有する架橋重合体で被覆された無機粒子またはその凝集粒子からなる複合粉体。
  2. 請求項1に記載の複合粉体を製造する方法であって、下記工程(A)〜(D)を含むことを特徴とする方法。
    (A) 無機粒子からなる原料粉体と、陰イオン交換基を有する重合性単量体又は陰イオン交換基に変換化可能な官能基あるいは陰イオン交換基を導入することができる構造を有する重合性単量体を含む架橋重合性組成物を準備する工程、
    (B) 前記原料粉体と、該原料粉体の飽和吸収量の0.1〜100%の量の前記架橋重合性組成物を混合して該原料粉体に該架橋重合性組成物を吸収させる工程、
    (C) 前記工程(B)で得られた架橋重合性組成物を吸収した原料粉末について、吸収された架橋重合性組成物を重合し、更に前記重合性単量体が陰イオン交換基に変換化可能な官能基または陰イオン交換基を導入することができる構造を有する重合性単量体である場合には前記官能基を陰イオン交換基に変換するか又は前記構造に陰イオン交換基を導入することにより、陰イオン交換基を有する架橋重合体で被覆された無機粒子またはその凝集粒子からなる前駆粉体を得る工程、及び
    (D) 前記工程(C)で得られた前駆粉体と金属原子を有する陰イオン性原子団を含有する溶液とを接触させてイオン交換する工程
  3. 請求項1記載の複合粉体からなるガス処理材。
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