JP2005179212A - 新規抗マラリア剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性が高く、低濃度で優れた抗マラリア作用を示す新規な抗マラリア剤を提供すること。
【解決手段】 一般式(1)
【化1】
Figure 2005179212

[式中、2つのRは同一もしくは異なり、それぞれ炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜18のアルケニル基を表し;2つのRは同一もしくは異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を表し;Rは炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数4〜18のアルケニレン基又は場合により炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基もしくは炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよいフェニレンもしくはキシリレン基を表し;Yは−NHCO−、−CONH−、−NHCS−、−COO−、−COS−、−O−又は−S−を表し;Xはアニオンを表す]で示されるビス第四アンモニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、或る種のビス第四アンモニウム塩化合物を有効成分とする、マラリア原虫類による感染症の予防及び/又は治療に有用な抗マラリア剤に関する。
マラリア原虫感染によって引き起こされるマラリアは人類最大の寄生原虫感染症であり、世界保健機構(WHO)の最新統計によると、毎年、世界中で2億6700万人もの人々がマラリアに感染し、そのうち200万人が死亡している。マラリアの起因病原体は、プラスモジウム(Plasmodium)属に属する原虫であり、例えば、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの熱帯地域全体に分布する熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)、世界各地の熱帯と温帯の一部に分布する三日熱マラリア原虫(P. vivax)、主として熱帯西アフリカに分布する卵型マラリア原虫(P. ovale)、及び世界各地に分布する四日熱マラリア原虫(P. malariae)などの原虫がハマダラ蚊を媒介としてヒトに感染する。日本国内でも輸入感染症として増加する傾向にあり、中には、診断、治療の遅れから死亡する例も見られる。
マラリアの治療及び予防には、キニーネ、クロロキン、ピリメタミン、アテミシニン、メフロキン等が用いられている。しかしながら、クロロキン網膜症に代表されるように、従来の抗マラリア剤は安全性の点で問題があり、薬剤耐性の問題も生じている。このような状況に対し、WHOも新規化学治療法剤の開発を重要な目標に掲げている。そのため、毒性が低く、マラリア感染症を治療するための毒性が低い新しいタイプの抗マラリア剤の開発が望まれている。
他方、現在、ビス第四アンモニウム塩化合物は、食品工場用等の除菌洗浄剤、温調水、紙、パルプ関係のスライムコントロール剤、樹脂、塗料、金属加工油等の防カビ防腐剤など、殺菌、防カビ、防腐、防藻の効能が求められる幅広い分野で使用することができる有用な抗菌剤として知られており(例えば、特許文献1〜5参照)、特に、水系中での殺菌、防カビ、防腐、防藻効果に優れている。しかし、これまで、ビス第四アンモニウム塩化合物が抗マラリア作用を有することは全く報告されていない。
特開平10−95773公報 特開平10−287566公報 特開2000−159607公報 特開2000−198879公報 特開2001−107082公報
本発明の目的は、マラリア原虫類による感染症の予防及び/又は治療に有用な抗マラリア剤、特に、高い有用性と安全性を兼ね備えた抗マラリア剤を提供することである。
本発明者らは、ビス第四アンモニウム塩化合物の生物活性につき研究を行っている段階で、全く意外にも、或る種のビス第四アンモニウム塩化合物が抗マラリア作用を有していること、中でも、第四アンモニウム酢酸塩がビス第四アンモニウムハライド塩よりも低毒性で抗マラリア作用に極めて優れ且つ水に対して高い溶解性し、高活性で優れた抗マラリア剤になり得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、一般式(1)
Figure 2005179212
[式中、
2つのRは同一もしくは異なり、それぞれ炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数 3〜18のアルケニル基を表し;
2つのRは同一もしくは異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミ ノ基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を表し;
Rは炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数4〜18のアルケニレン基又は場合に より炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基もしくは炭素数2〜 6のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよいフェニレンもしくはキシリレン 基を表し;
Yは−NHCO−、−CONH−、−NHCS−、−COO−、−COS−、−O−又は−S−を表し;
Xはアニオンを表す]
で示されるビス第四アンモニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア剤を提供するものである。
以下、本発明の抗マラリア剤についてさらに詳細に説明する。
前記式(1)において、
「アルキル基」は、直鎖状又は分枝鎖状であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどが挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖状又は分枝鎖状であり、例えば、アリル、メタリル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプチニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニルなどが挙げられる。
「アルコキシ基」は、アルキル部分が上記の意味を有するアルキルオキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、iso−プロポキシ、ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
「アルキレン基」としては、−(CH−で示されるタイプのものが好適であり、ここでnは1〜18、特に3〜8の範囲内にあることが好ましい。
「アルケニレン基」としては、例えば、−CH=CH−、−CH=−CH−、−CH−CH=CH−CH−等が挙げられる。
「アルコキシカルボニル基」は、アルキル部分が前記の意味を有するアルキルオキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。
「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を包含する。
「アニオン」としては、ハロゲンイオン(Cl−,Br−,Iなど)、硝酸イオン(NO )などの無機アニオンや、酢酸イオン(CHCOO)、プロピオン酸イオン(CHCOO)などの有機酸アニオンが包含される。
前記式(1)において、ピリジン環への基Yの結合位置は2−位、3−位及び4−位のいずれであってもよい。
しかして、本発明において抗マラリア剤の有効成分として使用される前記式(1)の化合物の具体例を挙げれば次のとおりである。
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム ブロマイド)(イヌイ(株)製、「ダイマー38」)、
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム アセテート)(イヌイ(株)製、「ダイマー38A」)、
4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウム ブロマイド)(イヌイ(株)製、「ダイマー136」)、
4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウム アセテート)(イヌイ(株)製、「ダイマー136A」)、
1,4−テトラメチレンビス(4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム ブロマイド)、
1,6−ヘキサメチレンビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム ブロマイド)、
1,6−オクタメチレンビス(3−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム ブロマイド)、
3,3’−(1,3−トリメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−ドデシルピリジニウムブロマイド)、
4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム アイオダイド)、
3,3’−(m−キシリルジチオ)ビス(1−テトラデシルピリジニウム ブロマイド)、
N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム ブロマイド)、
N,N’−(m−フェニレン)ビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム ブロマイド)、
4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−オクチルピリジニウム ブロマイド)、
3,3’−(m−フタルアミド)ビス(1−オクタデシルピリジニウム アイオダイド)、
4,4’−(1,8−オクタメチレンジオキシ)ビス(1−ドデシルピリジニウム ブロマイド)、
3,3’−(1,6−ヘキサメチレンジオキシ)ビス(1−ヘキサドデシルピリジニウム ブロマイド)、
4,4’−(1,6−ヘキサメチレンジオキシジカルボニル)ビス(1−オクチルピリジニウム ブロマイド)、
3,3’−(1,6−テトラメチレンジオキシジカルボニル)ビス(1−ドデシルピリジニウム ブロマイド)、
4,4’−(1,4−テトラメチレンジカルボニルジオキシ)ビス(1−オクチルピリジニウム ブロマイド)、
3,3’−(p−フタロイルジオキシ)ビス(1−デシルピリジニウム クロライド)、
4,4’−(1,8−オクタメチレンジカルボニルジチオキシ)ビス(1−オクタデシルピリジニウム ブロマイド)、
3,3’−(m−フタロイルジチオキシ)ビス(1−デシルピリジニウム アイオダイド)など。
前記式(1)の化合物は、例えば、本願出願人の出願に係る特開平9−11062号公報、特開平10−95773号公報、特開平10−287566号公報、特開2000−95763公報、特開2000−136185公報等に開示されており、或るいはこれらの公報に記載の方法に準じて製造することができる。
なお、Xが酢酸アニオン(CHCOO)を表す場合の式(1)の化合物(以下、「化合物(1A)」という)は、Xがハロゲンイオンを表す場合の式(1)の化合物(以下、「化合物(1B)」という)と酢酸アニオンとのアニオン交換反応により製造することができる。
上記のアニオン交換反応は、一般に、化合物(1B)を適当な溶媒中で酢酸アニオンの供給源と反応させることにより製造することができる。
反応溶媒としては、化合物(1B)及び酢酸アニオンの供給源の両者を溶解することができ且つ反応に対して実質的に不活性なものであれば特に制限はなく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類;ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
酢酸アニオンの供給源としては、例えば、酢酸銀、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウムなどの酢酸金属塩や、酢酸と酢酸金属塩以外の水可溶性金属塩(例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの金属水酸化物;硝酸セリウム、硝酸銀などの金属硝酸塩など)との組み合わせが挙げられ、さらに、酢酸金属塩とそれ以外の水可溶性金属塩との組み合わせ、例えば、酢酸ナトリウムと硝酸銀との組み合わせもまた使用することができる。
酢酸金属塩としては、酢酸銀、酢酸カリウム、酢酸ナトリウムが好ましく、また、酢酸と酢酸金属塩以外の水可溶性金属塩との組み合わせとしては、酢酸と水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムとの組み合わせが好ましい。
上記のアニオン交換反応は、通常、約50℃〜約110℃の範囲内の温度において、約2〜24時間程度で行うことができる。
化合物(1B)に対する酢酸アニオンの供給源の使用割合は、厳密に制限されるものではなく、該供給源の種類や反応温度等に応じて広い範囲で変えることができるが、一般には、化合物(1B)1モル当たり、酢酸アニオン換算で、2〜6モル、特に2.1〜3.0モルの範囲内が好適である。
なお、酢酸アニオンの供給源として、酢酸又は酢酸金属塩と酢酸金属塩以外の水可溶性金属塩との組み合わせを使用する場合、両者はほぼ等モル量又は酢酸又は酢酸金属塩が若干過剰となるような量で使用することが好ましい。
また、原料の化合物(1B)及び生成する化合物(1A)は、アルカリ領域で分解し着色する傾向があるので、アニオン交換反応に際しては、予め反応溶媒に酢酸アニオンの供給源を加え、さらに必要に応じて酢酸を加えて、反応溶媒のpHをほぼ中性ないし弱酸性にした状態で、化合物(1B)を添加することが望ましい。
上記のアニオン交換反応により生ずる化合物(1A)は、それ自体既知の方法、例えば、濾過、濃縮、晶析、再結晶などの手段により、単離・精製することができる。
式(1)の化合物は、後記の試験例1から明らかなように、マラリア原虫に対して現在使用されている既存の抗マラリア剤であるキニーネ(Quinine)、ピリメタミン(Pyrimethamine)及びメフロキン(Mefloquine)と同等ないしそれ以上の優れたマラリア原虫増殖阻害作用を有しており、しかも、マラリア原虫に対する選択毒性の指標となる化学療法係数も上記既存の抗マラリア剤と同等ないしそれ以上であって、毒性が少なく且つ皮膚刺激性が少なく安全であり、抗マラリア剤として、マラリア感染の予防及び/又は治療のために有用である。
式(1)の化合物を抗マラリア剤として実際使用する場合、式(1)の化合物は、ヒト又はそれ以外の哺乳類動物に対し、経口的又は非経口的(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、直腸内)に投与することができ、そして投与経路に応じた剤形、例えば、錠剤、カプセル剤、アンプル剤、散剤、顆粒剤、注射剤、点滴剤、坐剤などに製剤化することができる。
製剤化は、それ自体既知の方法に従い、式(1)の化合物を添加剤(例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、矯味矯臭剤、乳化剤など)と共に、所望の剤形に調製することにより行うことができる。その際に使用し得る添加剤としては、例えば、デンプン、ラクトース、シュクロース、グルコース、マンニトール、シリカ、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、炭酸カルシウム、カオリン、ベントナイト、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸カルシウム、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、界面活性剤などが挙げられる。
式(1)の化合物を含む製剤には、他の抗マラリア剤や、その他の薬理学的に活性な物質を含ませることもできる。
式(1)の化合物の1日当たりの投与量は、患者の症状、年齢、体重、医師の判断等に応じて広い範囲内で変えることができるが、一般には、成人1日当たり0.1〜1000mg、好ましくは1〜600mgの範囲内で投与するのが好ましい。
該投与量は、1日1回又は数回に分けて投与することができる。
また、本発明の抗マラリア剤の適用対象となるマラリア原虫類は特定のものに限定されるものではなく、熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵型マラリア原虫、四日熱マラリア原虫などによる感染に対して広く適用することができる。
本発明のビス第四アンモニウム塩化合物は、安全性が高くかつ低濃度で抗マラリア作用を示すことから、これを含有する抗マラリア剤はマラリア原虫類による感染症の予防及び/又は治療のために有用である。
以下、実施例により本発明をさらに具体例に説明するが、これら実施例は単なる例示であり、本発明の範囲を制限するものではない。
合成例1:N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム ブロマイド)(以下、「化合物4」という)の合成
エタノールを留去できる装置を備えた500ml反応缶に、イソニコチン酸エチル60g(0.397 mol)、ヘキサメチレンジアミン22.5g(0.194 mol)、トルエン350ml及びナトリウムメチラート(28%メタノール溶液)3.7gを仕込み、撹拌する。浴温80℃で6時間還流し、白色の結晶を析出させた後、浴温を100℃まで上げ、副生物のエタノール留出を行う。エタノール留出停止後、冷却し、内温を30℃以下まで下げる。析出物を濾取、トルエンで十分洗浄することにより得た白色のN,N′−ヘキサメチレンビス(イソニコチン酸アミド)をN,N−ジメチルホルムアミド30mlに溶解し、97g(0.493 mol)の臭化デカンを投入し、約110〜120℃で4時間加熱した。反応物を酢酸エチル300mlに投入し、析出した結晶を濾取後、メタノール/酢酸エチルエステルの2種類の溶剤を組み合わせて、繰り返し再結晶を行った後、減圧乾燥し、白色粉末の「化合物4」を得た。収率87.6%。融点112℃; H−NMR(CDOD):0.89(6H,t,J=6.8Hz)、1.29(24H,m)、1.40(4H,m)、1.48(4H,m)、1.68(4H,m)、2.02(4H,m)、3.46(4H,t,J=7.1Hz)、4.69(4H,t,J=7.6Hz)、8.42(4H,d,J=6.3Hz)、9.17(4H,d,J=6.8Hz); 元素分析:分子式C3864Brとして、 C H N 理論値(%) 59.37, 8.39, 7.29、実測値(%)59.24, 8.33, 7.37;ハロゲン分析(酸素フラスコ燃焼法):Br 理論値(%)20.79、実測値(%)20.92。
上記合成例1と同様にして下記表1に示す化合物1〜35を合成した。なお、表1には、上記合成例1で製造した化合物も併せて記載する。
Figure 2005179212
Figure 2005179212
合成例2
化合物4 9.2g(0.012モル)を酢酸100mlに仕込んで約80℃の水浴で溶解させた後、純水100mlを加え、さらに、酢酸銀4.05g(0.24モル)を投入し、約6時間撹拌した。析出した結晶を吸引濾過により除去した後、活性アルミナ2.0gを濾液に投入し、約3時間撹拌した。濾過後、濾液をエバポレータで濃縮し、トルエン12.9gを加えて晶析させることにより微黄白色の粗晶を得た(9.8g)。粗晶9.8gをトルエン250.8gとメタノール2.1gに60℃で加温溶解させた後、活性炭0.3gを投入し、熱時濾過した。室温まで冷却後、析出した結晶を濾過し、濾物を真空乾燥することにより、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム アセテート)の粉末(以下、「化合物37」という)を得た(7.1g)。収率81%。融点85.7〜87.6℃。
合成例3
エタノールを留去できる装置を備えた500ml反応缶に、化合物4 32.4g(0.042モル)、酢酸カリウム12.4g(0.126モル)及びエタノール300mlを仕込み、約80℃で8時間還流後、エタノール150mlを留出させた。反応液を室温まで冷却した後、析出した結晶を濾過により除去し、濾液をエバポレータで濃縮した。濃縮後、純水280mlを加えて溶解した後、5℃以下に冷却した。析出した結晶を除去後、水溶液の濃度を内標準法(JIS K0124)に従い、液体クロマトグラフィー(SPD−10AとLC−10AT、島津製作所社製)を用いて測定した。すなわち、259nmの波長で、標準物質に「化合物4」とセチルピリジニウムクロライド、希釈液にメタノールを用いて検量線を作成後、水溶液の濃度を測定したところ、約8%の 4BCAP−6,10A 水溶液であったため、さらに純水180mlを加えて N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム アセテート)の5%水溶液(以下、「化合物38」という)を得た(520g)。収率88.6%。
合成例4
化合物4 48.8g(0.063モル)と酢酸カリウム12.5g(0.127モル)をエタノール400mlに仕込み、約80℃で4時間還流した。室温まで冷やした後、析出した結晶を濾過により除去、濾液をエバポレータで濃縮した。濃度調整は、JIS K0115に従い、吸光光度計(U−3000、日立製作所社製)を使用した。すなわち、250nmの波長で、化合物4を標準物質、メタノールを希釈液にして検量線を作成した後、濃縮液の濃度を測定し、プロピレングリコールを370ml加えて溶解することにより (4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム アセテート)の10%プロピレングリコール溶液を得た(410g)。収率89.5%。
合成例5
エタノールを留去できる装置を備えた100ml反応缶で水酸化カリウム4.3g(0.075モル)をエタノール160mlに溶解させ、その溶液に酢酸6.0g(0.100モル)を加えて溶液のpHをほぼ中性にした後、上記表1の化合物番号3であるN,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム ブロマイド)(以下、「化合物3」という)17.8g(0.025モル)を加え、約80℃で8時間還流後、エタノール80mlを留出させた。反応液を室温まで冷却した後、析出した結晶を濾過により除去し、濾液をエバポレータで濃縮した。純水160mlを加えて溶解した後、5℃以下に冷却した。析出した結晶を除去後、水溶液の濃度調整は、上記合成例3に記載の内標準法(JIS K0124)に従って行ない、液体クロマトグラフィーを用いて測定した。その結果、約9%の 4BCAP−6,8A 水溶液であったため、さらに純水90mlを加えて(4−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム アセテート)の5%水溶液(以下、「化合物39」という)を得た(290g)。収率86.4%。
試験例1:抗マラリア作用の評価
(1)熱帯熱マラリア原虫の培養
マラリア原虫として熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum )FCR−3株(ATCC30932)を用い、培地として濾過滅菌したRPMI1640培地(pH7.4、ヒト血清 10%添加)を用いて、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%、窒素濃度90%、温度36.5℃の条件で培養を行なった。ヘマトクリット値(赤血球浮遊液中に占める赤血球の体積の割合)は5%とし、培養開始時の熱帯熱マラリア原虫の初期感染率は0.1%とした。24穴培養プレートを用いて培地を毎日交換し、感染率4%で植え継ぎを行なった。感染率は薄層塗抹標本を作成し、ギムザ染色あるいはDiff−Qick染色を行なった後、顕微鏡(油浸、1,000×)下で計測し、マラリア原虫感染率を下記式により算出した。
マラリア原虫感染率(%)={(感染赤血球数)/(総赤血球数)}×100
(2)マラリア原虫増殖阻害スクリーニング試験培養したマラリア原虫感染
赤血球を遠心分離で集め、血清を含む培地で洗浄を行なった後、非感染赤血球を加え、初期感染率を0.3%とした。この時のヘマトクリット値は3%とした。各サンプルは、滅菌水、ジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して所定濃度の試験液とした。
24穴培養プレートに試験液を5〜10μLずつ加え、1化合物について2又は3回の試験を行った。コントロールは滅菌水、DMF又はDMSOを10μL/ウェルを加えた。つぎに、予め所定濃度に調整した熱帯熱マラリア原虫培養液を990〜995μLずつ加え、静かにピペッティングを行ない、培地に一様に懸濁させた。培養プレートをインキュベーター中(酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%、窒素濃度90%)で72時間培養した後、それぞれのウェルについて薄層塗抹標本を作成し、ギムザ染色又はDiff−Qick染色した後、顕微鏡下で観察し、試験液添加群及びコントロール群のマラリア原虫感染率を算出した。上記で求めたマラリア原虫感染率から、次式によって増殖阻害率を算出し、50%増殖阻害濃度(EC50)を求めた。
増殖阻害率(%)={1−(b−a)/(c−a)}×100
〔式中、aは初期感染率、bは試験液添加時の感染率、cはコントロールの感染率を 示す〕
(3)マウスFM3A細胞増殖阻害試験
マウス乳癌由来FM3A細胞の野生株であるF28−7株を用いた。培地はES培地に非働化した胎児牛血清を2%となるように添加し、二酸化炭素濃度5%、37℃で培養した。この条件下でのFM3A細胞の倍加時間は約12時間であった。前培養を行ない、対数増殖期に入った細胞を5×10cells/mlとなるように培地で希釈し、サンプルはマラリア活性測定時に調製したものを用いて、24穴培養プレートにサンプル溶液を5〜10μLずつ加えた(培地などを加えた最終濃度は1×10−4〜1×10−5M)。1化合物について2又は3回の試験を行ない、コントロールとして滅菌水、DMF又はDMSOを10μL加えたウェルを同時に用意した。つぎに、用意しておいた培養細胞浮遊液を990〜995μLずつ加え、静かにピペッティングして培地に一様に懸濁させた。48時間培養した後、それぞれのウェルについて細胞数をセルカウンター(CC−108、トーアメディカル社製)で計数し、下記式により増殖率を算出して50%増殖阻害率(IC50)を算出した。
増殖率(%)={(C−A)/(B−A)}×100
〔式中、Aは初期細胞数、Bは2日後のコントロールの細胞数、Cはサンプル添加し た2日後の細胞数を示す〕
細胞増殖活性は、サンプルを添加したウェルの細胞数及びコントロールの細胞数から算出し、サンプルの細胞毒性を評価した。熱帯熱マラリア原虫とマウスFM3A細胞に対するサンプルのEC50値、IC50値からサンプルの抗マラリア作用を評価し、且つマラリア原虫に対する選択毒性の指標として用いられる化学療法係数を下記式により算出して薬効判定を行なった。
化学療法係数=(マウスFM3A細胞に対するサンプルのIC50値)÷(熱帯熱マラリア原 虫に対するサンプルのEC50値)
各サンプルについての熱帯熱マラリア原虫とマウスFM3A細胞に対するEC50値、IC50値及び化学療法係数を下記表2に示す。
Figure 2005179212
上記表2から明らかなように、本発明に従うビス第四アンモニウム酢酸塩及びビス第四アンモニウムハロゲン塩は、マラリア原虫に対し現在使用されている既存の抗マラリア剤であるキニーネ、ピリメタミン及びメフロキンと同等もしくはそれ以上の優れたマラリア原虫増殖阻害作用を示した。また、本発明に従うビス第四アンモニウム酢酸塩及びビス第四アンモニウムハロゲン塩は、マラリア原虫に対する選択毒性の指標として用いられる化学療法係数が既存の抗マラリア剤と同等もしくはそれ以上の値を示した。特に、ビス第四アンモニウム酢酸塩及びビス第四アンモニウムハロゲン塩におけるアルキル側鎖(式(1)におけるR)の炭素数が6又は8の化合物は、化学療法係数値が大きく、抗マラリア剤としてマラリア原虫類による感染症の予防及び/又は防疫、その他において臨床使用が大いに期待される。さらに、ビス第四アンモニウムハロゲン塩の臭素アニオンを酢酸アニオンに交換したビス第四アンモニウム酢酸塩は、アルキル側鎖数が同じ化合物同士の化学療法係数を比較した場合、ビス第四アンモニウムハロゲン塩の化学療法係数よりも大きい値を示したことより、ビス第四アンモニウム酢酸塩の方がビス第四アンモニウムハロゲン塩より優れた抗マラリア剤になり得る。

Claims (1)

  1. 一般式(1)
    Figure 2005179212
    [式中、
    2つのRは同一もしくは異なり、それぞれ炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数 3〜18のアルケニル基を表し;
    2つのRは同一もしくは異なり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミ ノ基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を表し;
    Rは炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数4〜18のアルケニレン基又は場合に より炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基もしくは炭素数2〜 6のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよいフェニレンもしくはキシリレン 基を表し;
    Yは−NHCO−、−CONH−、−NHCS−、−COO−、−COS−、−O−又は−S−を表し;
    Xはアニオンを表す]
    で示されるビス第四アンモニウム塩化合物を有効成分として含有することを特徴とする抗マラリア剤。
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