JP2023172454A - 化合物及び抗マラリア剤 - Google Patents

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Masaki Kamata
潤 早川
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Abstract

【課題】細胞毒性が抑えられており、抗マラリア活性に優れ、且つ、簡便且つ安全に合成可能な化合物、及び前記化合物を用いた抗マラリア剤を提供する。【解決手段】化合物は、下記一般式(I)で表される。抗マラリア剤は、前記化合物を有効成分として含有する。TIFF2023172454000013.tif49170(一般式(I)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換若しくは無置換の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、カルボキシ基、若しくはアミノ基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、化合物及び抗マラリア剤に関する。
マラリアは、プラスモジウム(Plasmodium)属に属する原虫類の感染によって引き起こされる伝染性疾患であり、ハマダラ蚊を媒介として感染し、断続的な熱発作や貧血、脾腫等の症状を示す。マラリアは、近年、環境の変化に伴って猛威をふるい始めており、患者数2億人以上3億人以下、年間死亡者数60万人以上にも上る世界的な感染症である。
ヒトに感染するマラリア原虫には、アフリカ、アジア、ラテンアメリアの熱帯地域全体に分布する熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)、世界各地の熱帯と温帯の一部に分布する三日熱マラリア原虫(P.vivax)、世界各地に分布する四日熱マラリア原虫(P.malariae)、主として熱帯西アフリカに分布する卵形マラリア原虫(P.ovale)等の原虫が挙げられる。これらの中でも、熱帯熱マラリア原虫の感染は最も重篤な症状を呈し、発症後1週間以上2週間以下で脳症、腎症、溶血性貧血、肺水腫、心臓障害、重症腸炎等を伴って容易に重症マラリアに進展し、短期間で多臓器不全に陥り人を死に至らせる。
現在マラリアの治療に使用されている薬剤の代表的なものはクロロキン、プリマキン、ピリメタミン、アルテミシニン、メフロキン等がある。しかしながら、これらの薬剤は毒性の強いものが多いこと、さらに多くの薬剤に対する耐性原虫の出現により、この薬剤耐性マラリアの拡散が化学療法の問題点となっている。薬剤耐性マラリアに唯一有効な薬剤としてキニーネがあるが、腎不全を引き起こす可能性が極めて高く、現在の医療水準から見てもリスクの高い治療剤である。このような状況からも、抗マラリア活性が高く且つ低毒性で安全性の高い非アルカロイド系新薬の開発が期待されている。
また、抗マラリア活性を有する非アルカロイド系の化合物としては、天然有機化合物のアルテミシニンやN-89(例えば、特許文献1等参照)、N-251等の環状過酸化物誘導体が知られている。
特開2000-229965号公報
アルテミシニンは耐性マラリア治療薬として現在広く利用されているが、単独の使用ではマラリアが完治しない。一方、最近開発されたN-89、N-251は、マラリアの完治が可能であると報告されているが、まだ治療薬にはなっておらず、細胞毒性もやや高い。また、化学合成上においても、アルテミシニンは多段階の過程を要するという難点があり、N-89、N-251は製造工程中で過酸化水素を使用するため、中間体や過酸化水素による事故の危険性があるといった問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、細胞毒性が抑えられており、抗マラリア活性に優れ、且つ、簡便且つ安全に合成可能な化合物、及び前記化合物を用いた抗マラリア剤を提供する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造からなるフッ素原子を内包する環状過酸化物誘導体が、細胞毒性を抑えながら、抗マラリア活性に極めて優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) 下記一般式(I)で表される、化合物。
Figure 2023172454000001
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換若しくは無置換の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、カルボキシ基、若しくはアミノ基である。)
(2) 前記一般式(I)において、R及びRがそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、置換若しくは無置換のアルキル基である、(1)に記載の化合物。
(3) (1)又は(2)に記載の化合物を有効成分として含有する、抗マラリア剤。
上記態様の化合物によれば、細胞毒性が抑えられており、抗マラリア活性に優れ、且つ、簡便且つ安全に合成可能な化合物を提供することができる。上記態様の抗マラリア剤は、前記化合物を含み、細胞毒性が抑えられており、抗マラリア活性に優れる。
以下、本発明の一実施形態(以下、「本実施形態」という)に係る化合物について詳細に説明する。
≪化合物≫
本実施形態の化合物(以下、「化合物(I)」と称する場合がある)は、下記一般式(I)で表される。
Figure 2023172454000002
(一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換若しくは無置換の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、カルボキシ基、若しくはアミノ基である。)
化合物(I)は、フッ素原子内包型環状過酸化物誘導体であり、過酸化物構造(O-O構造)と、脂環構造に結合している2つのフッ素原子を有することで、極めて優れた抗マラリア活性を有するものである。すなわち、化合物(I)は、マラリア原虫類による感染症の予防及び治療薬として有用である。
化合物(I)が適用されるマラリア原虫類としては、アフリカ、アジア、ラテンアメリアの熱帯地域全体に分布する熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)、世界各地の熱帯と温帯の一部に分布する三日熱マラリア原虫(P.vivax)、世界各地に分布する四日熱マラリア原虫(P.malariae)、主として熱帯西アフリカに分布する卵形マラリア原虫(P.ovale)等の原虫が挙げられる。中でも、熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)に対して好ましく適用される。
また、化合物(I)は後述する実施例に示すように、細胞毒性が抑えられている。
さらに、後述するように、化合物(I)は、反応工程中の過酸化物構造(O-O構造)の導入過程で酸素や空気を使用する光化学反応を利用することで、簡便且つ安全に合成することができる。
次いで、化合物(I)の構造について以下に詳細を説明する。
<R及びR
一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換若しくは無置換の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、カルボキシ基、若しくはアミノ基である。
及びRは同一であってもよく、異なっていてもよいが、簡便に合成できることから、同一であることが好ましい。
[ハロゲン原子]
及びRにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。中でも、フッ素原子が好ましい。
[アルキル基]
及びRにおけるアルキル基としては、炭素数1以上12以下、好ましくは炭素数1以上10以下、より好ましくは炭素数1以上8以下、さらにより好ましくは炭素数1以上6以下、さらに好ましくは炭素数1以上4以下、よりさらに好ましくは炭素数1以上3以下、特に好ましくは炭素数1以上2以下である。アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、メチル基又はエチル基が好ましい。
アルキル基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基等が挙げられるが、これらに限定されない。ハロゲン原子としては、前述したもの、アルコキシ基及びアリール基としては後述するものが例示される。中でも、アルキル基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子又はアルコキシ基が好ましく、フッ素原子又はアルコキシ基がより好ましい。
フッ素原子で置換されたアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
アルコキシ基で置換されたアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
[アルコキシ基]
及びRにおけるアルコキシ基としては、炭素数1以上12以下、好ましくは炭素数1以上10以下、より好ましくは炭素数1以上8以下、さらにより好ましくは炭素数1以上6以下、さらに好ましくは炭素数1以上4以下、よりさらに好ましくは炭素数1以上3以下、特に好ましくは炭素数1以上2以下である。アルコキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。
このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、iso-プロポキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、メトキシ基又はエトキシ基が好ましい。
アルコキシ基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アリール基等が挙げられるが、これらに限定されない。ハロゲン原子としては、前述したもの、アリール基としては後述するものが例示される。中でも、アルコキシ基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
フッ素原子で置換されたアルコキシ基としては、例えば、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
[アリール基]
及びRにおけるアリール基としては、炭素数6以上12以下、好ましくは炭素数6以上10以下、より好ましくは炭素数6以上8以下である。
このようなアリール基としては、フェニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
アリール基における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基等が挙げられるが、これらに限定されない。ハロゲン原子及びアルキル基としては、前述したものが例示される。
ハロゲン原子で置換されたアリール基としては、例えば、4-フルオロフェニル基、4-クロロフェニル基等のo-、m-、又はp-ハロゲン置換フェニル基が挙げられるが、これらに限定されない。
アルキル基で置換されたアリール基としては、例えば、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基等のo-、m-、又はp-アルキル置換フェニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
[カルボキシ基]
カルボキシ基における置換基としては、例えば、アルコキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシ基としては、前述したものが例示される。
アルコキシ基で置換されたカルボキシ基としては、例えば、カルボメトキシ基、カルボエトキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
[アミノ基]
置換基を有するアミノ基は直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、置換基同士が結合して環構造を形成した環状であってもよい。
アミノ基における置換基としては、アルキル基等が挙げられるが、これに限定されない。
アルキル基で置換された鎖状のアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
環状アミノ基としては、例えば、ピペリジル基、ピロリジル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
[好ましいR及びR
これらの中でも、R及びRとしては、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましく、R及びRが同一であって、且つ、水素原子、フッ素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
すなわち、好ましい化合物(I)として具体的には、下記式(I-1)~(I-4)で表される化合物(以下、「化合物(I-1)」等と称する場合がある)等が挙げられる。なお、これらの化合物は、好ましい化合物(I)の一例に過ぎず、好ましい化合物(I)はこれらに限定されない。下記式中、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を表す。
Figure 2023172454000003
<化合物(I)の製造方法>
化合物(I)は、例えば、下記化学反応式によって示される方法によって製造することができる。以下、化合物(I)の製造方法について、下記化学反応式に示す工程(i)~(iii)に分けて詳細に説明する。なお、下記化学反応式中、R及びRは、上記で説明したR及びRと同じものである。また、一般式(Ia)~(Ic)で表される化合物をそれぞれ化合物(Ia)~(Ic)と称する場合がある。
Figure 2023172454000004
[工程(i)]
工程(i)では、化合物(Ia)と系内で発生させたジフルオロメチレンホスホニウムイリドを反応させることにより、化合物(Ib)を得る。
化合物(Ia)は、公知のジケトン化合物である。
化合物(Ib)は、ジフルオロメチレンケトン化合物である。
工程(i)における反応に際しては、化合物(Ia)、該化合物(Ia)に対して2倍モル量以上6倍モル量以下(好ましくは、4倍モル量)のクロロ酢酸ナトリウム、該化合物(Ia)に対して2倍モル量以上6倍モル量以下(好ましくは、4倍モル量)のトリ(n-ブチル)ホスフィン、乾燥ジメチルホルムアミド(溶媒)を良く混合し、100℃以上130℃以下(好ましくは、110℃以上120℃以下)で、5分間以上60分間以下(好ましくは15分間程度)加熱し、続いて、120℃以上135℃以下(好ましくは130℃程度)で、10分間以上60分間以下(好ましくは30分間程度)加熱する。
100℃以上130℃以下(好ましくは、110℃以上120℃以下)でクロロ酢酸ナトリウムの熱分解により発生したジフルオロカルベンとトリ(n-ブチル)ホスフィンが反応してジフルオロメチレンホスホニウムイリドが生成し、これが化合物(Ia)と反応して化合物(Ib)が生成する。
得られた化合物(Ib)は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー等により、反応混合物から容易に単離精製することができる。
[工程(ii)]
工程(ii)では、工程(i)で得られた化合物(Ib)を乾燥溶媒中でメチレンホスホニウムイリドと反応させることにより、化合物(Ic)を得る。
化合物(Ic)は、ジエン化合物である。
工程(ii)で用いられる溶媒としては、テトラヒドロフラン、エーテル等が挙げられ、好ましくは、テトラヒドロフランが用いられる。
化合物(Ib)のメチレン化に対してWittig試薬を用いる場合は、化合物(Ib)の2.0倍モル量以上3.0倍モル量以下(好ましくは2.2倍モル量)のメチルホスホニウム塩と、1.5倍モル量以上2.5倍モル量以下(好ましくは2.0倍モル量)のtert-ブトキカリウムからメチルホスホニウムイリドを調整し、室温(25±5℃程度)で、30分間以上5時間以下(好ましくは2時間)、化合物(Ib)と反応させるのが好ましい。
得られた化合物(Ic)は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィーにより、反応混合物から容易に単離精製することができる。
[工程(iii)]
工程(iii)では、工程(ii)で得られた化合物(Ic)を酸素存在下、適当な溶媒中で光増感剤及び補助増感剤とともに光反応することにより、化合物(I)を得る。
工程(iii)で使用される溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、アセトニトリル等が挙げられ、好ましくは、アセトニトリルが用いられる。
光増感剤としては、9,10-ジシアノアントラセン、2,4,6-トリアリールピリリウムテトラフルオロボレート、2,4,6-トリアリールピリリウムパークロレート等を用いることができ、好ましくは、2,4,6-トリフェニルピリリウムテトラフルオロボレートが用いられる。
補助増感剤としては、そのラジカルカチオンが安定で長寿命な、ナフタレン、ジュレン、ビフェニル等の芳香族炭化水素等を用いることができるが、好ましくは、ビフェニルが用いられる。
照射光は、光増感剤のみが吸収する350nm以上400nm以下の長波長光を使用するのが好ましい。波長350nm以上400nmの光を照射できるものであれば、キセノンランプであってもよく、太陽光であってもよい。また、ライオネット光照射装置(波長350nmランプ(極大波長):2W×15本=30W)を用いてもよい。
工程(iii)における反応に際しては、化合物(Ic)に対して、0.05倍モル量以上0.3倍モル量以下(好ましくは0.1倍モル量以上0.2倍モル量以下)の光増感剤(好ましくは2,4,6-トリフェニルピリリウムテトラフルオロボレート)と、化合物(Ic)に対して、1.5倍モル量以上5.0倍モル量以下(好ましくは3.0倍モル量)の補助増感剤(好ましくはビフェニル)を使用するのが好ましい。
また、反応温度は20℃以上25℃以下、反応時間は5分間以上30分間以下が好ましい。
得られた化合物(I)は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィーにより、反応混合物から容易に単離精製することができる。
以上のように、化合物(I)は、工程(iii)における過酸化物構造(O-O構造)の導入過程で酸素や空気を使用する光化学反応を利用することにより、簡便且つ安全に合成することができる。
≪抗マラリア剤≫
本実施形態の抗マラリア剤は、上記化合物(I)を有効成分として含有する。
本実施形態の抗マラリア剤は、上記化合物(I)を含有することで、細胞毒性が抑えられており、抗マラリア活性に優れるものである。
なお、本明細書において、「有効成分として含有する」とは、細胞毒性を抑えながら、抗マラリア活性を奏するのに有効量の化合物(I)を含有することを意味する。
本実施形態の抗マラリア剤をマラリア原虫類による感染症の予防や治療に使用する場合は、投与経路として、経口、皮下注射、静脈注射、局所投与等のいずれでも可能である。
また、製剤としては、通常、製薬的に許容される担体や賦形剤、その他添加剤と混合して医薬組成物として製造した散剤、錠剤、細粒剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤等の経口剤;点眼剤、注射剤、坐剤等の非経口剤が挙げられる。
投与する対象としては、限定されるものではないが、例えば、ヒト、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、及びそれらの細胞等が挙げられる。中でも、哺乳動物又は哺乳動物細胞が好ましく、ヒト又はヒト細胞が特に好ましい。
本実施形態の抗マラリア剤の投与量は、化合物(I)の種類、投与対象の症状、投与部位、投与方法等により変動する。当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。
本実施形態の抗マラリア剤の投与は、単回投与でもよく、複数回投与であってもよい。複数回投与である場合は、例えば、2時間以上12時間以下の時間毎、毎日、又は2日、5日、1週間、1.5週間、数週間、1か月若しくは数か月に1回等の頻度で投与することができる。
≪その他の実施形態≫
一実施形態において、本発明は、化合物(I)の有効量を、治療を必要とする患者又は患畜に投与することを含む、マラリア原虫類による感染症の予防方法又は治療方法を提供する。ここで、化合物(I)としては、上述したものと同様のものが挙げられる。また、マラリア原虫類としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
一実施形態において、本発明は、マラリア原虫類による感染症の予防又は治療のための、化合物(I)を提供する。ここで、化合物(I)としては、上述したものと同様のものが挙げられる。また、マラリア原虫類としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
一実施形態において、本発明は、抗マラリア剤又はマラリア原虫類による感染症の予防又は治療用医薬組成物を製造するための化合物(I)の使用を提供する。ここで、化合物(I)としては、上述したものと同様のものが挙げられる。また、マラリア原虫類としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
以下の実施例において、本発明のフッ素原子内包型環状過酸化物誘導体について、より具体例に説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
<化合物(I)の製造>
[製造例1]
(化合物(I-1)の製造)
下記反応式に従って、化合物(I-1)を合成した。
Figure 2023172454000005
1.工程(i):6,6-ジフルオロ-1,5-ジ(p-メチルフェニル)ヘキサ-5-エン-1-オン(化合物(Ib-1))の合成
1,5-ジ(p-メチルフェニル)ペンタ-1,5-ジオン(化合物(Ia-1))2.80g(10.0mmol)、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム6.29g(40.0mmol)、及びトリ(n-ブチル)ホスフィン8.52g(40.0mmol)を超脱水ジメチルホルムアミド(10mL)に溶かし、反応系内を窒素置換してから油浴で加熱攪拌した。油浴の温度を10分間以内に130度まで上昇させると、途中70度あたりで化合物(Ia-1)もクロロジフルオロ酢酸ナトリウムも完全に溶解し、100度あたりからクロロジフルオロ酢酸ナトリウムが分解してジフルオロカルベンが生成し、それがトリ(n-ブチル)ホスフィンと反応してジフルオロメチレンホスホニウムイリドを形成した。油浴の温度を130度で30分間維持することにより、このジフルオロメチレンホスホニウムイリドが化合物(Ia-1)と反応して化合物(Ib-1)が生成した。化合物(Ib-1)はカラムクロマトグラフィーにより、反応混合物から単離精製した。具体的には、反応終了後、室温まで冷却してから水150mLを加え、100mLのエーテルで3回抽出した。エーテル層を重曹水、次いで水、飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン-n-ヘキサン、1:2)により分離して、黄色油状物として化合物(Ib-1)1.46g(収率47質量%)を得た。
以下に化合物(Ib-1)の物性値を示す。
無色油状物, C20H20F2O, [M.W.314.37].
IR(KBr, cm-1):3088 ,3032 ,2954, 2926, 2900, 2871, 1684(C=O), 1608, 1573, 1515, 1453, 1409, 1378, 1362, 1328, 1314, 1303, 1274, 1180, 1120, 1106, 1077, 1036, 1019, 979, 938, 913, 870, 844, 821, 805, 728, 688, 655, 636.
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 1.81 (quintet, 2H, J = 7.6 Hz), 2.34 (s, 3H), 2.40 (s, 3H), 2.49 (tt, 2H, JH-H(t) = 7.6 Hz, JH-F(t) = 2.4 Hz), 2.92 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 7.13-7.18 (m, 2H), 7.19-7.26 (m, 4H), 7.76-7.82 (m, 2H).
13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ:21.06 (qurtet, 1C), 21.55 (qurtet, 1C), 22.35 (t, 1C),
27.01 (t, 1C), 37.34 (t, 1C), 91.72 (s, 1C, JC-F(dd) = 19.8 Hz, 14.5 Hz), 128.03 (d, 2C, JC-F(t) = 3.0 Hz), 128.06 (d, 2C), 129.18 (d, 4C), 130.26 (s, 1C), 134.43 (s, 1C), 137.03 (s, 1C), 143.66 (s, 1C), 153.63 (s, 1C, JC-F(t) = 286.1 Hz), 199.28 (s, 1C, C=O).
2.工程(ii):1,1-ジフルオロ-2,6-ジ(p-メチルフェニル)ヘプタ-1,6-ジエン(化合物(Ic-1))の合成
メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド16.20g(44.0mmol)とカリウム-tert-ブトキシド5.28g(85質量%、40.0mmol)を乾燥テトラヒドロフラン70mLに溶かし、窒素雰囲気下、室温で10分間反応させてホスホニウムイリドを調整した。
この溶液に6,6-ジフルオロ-1,5-ジ(p-メチルフェニル)ヘキサ-5-エン-1-オン(化合物(Ib-1))6.29g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(30mL)を加え、室温で2時間反応させた。反応終了後、水150mLを加え、100mLのエーテルで3回抽出した。エーテル層を重曹水、水、飽和食塩水の順に洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン)により分離して、無色油状物として化合物(Ic-1)3.23g(収率52質量%)を得た。
以下に化合物(Ic-1)の物性値を示す。
無色油状物, C21H22F2, [M.W.312.40].
IR(KBr, cm-1): 3085, 3027, 2925, 2867, 1626, 1567, 1514, 1447, 1407, 1379, 1306, 1232, 1188, 1166, 1121, 1107, 1056, 1039, 1020, 939, 894, 822, 795, 734.
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 1.51 (quintet, 2H, J = 7.6 Hz), 2.33 (s, 6H), 2.39 (tt, 2H, JH-H(t) = 7.6 Hz, JH-F(t) = 2.4 Hz), 2.47 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 4.96 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 5.22 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 7.06-7.15 (m, 6H), 7.20-7.25 (m, 2H).
13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ:21.05 (q, 1C), 21.09 (q, 1C), 26.16 (t, 1C),27.07 (t, 1C), 34.57 (t, 1C), 91.89 (s, 1C, JC-F(dd) = 19.0 Hz, 16.0 Hz), 111.79 (t, 1C), 125.95 (d, 2C), 128.03 (d, 2C, JC-F(t) = 3.1 Hz),128.92 (d, 2C), 129.08 (d, 2C), 130.54 (s, 1C), 136.84 (s, 1C), 137.02 (s, 1C), 138.11 (s, 1C), 147.66 (s, 1C), 153.52 (s, 1C, JC-F(t) = 286.9 Hz).
3.工程(iii):8,8-ジフルオロ-1,5-ジ(p-メチルフェニル)-6,7-ジオキサビシクロ[3.2.2]ノナン(化合物(I-1))の合成
パイレックス(登録商標)製試験管(長さ20cm、直径30mm)に上記の工程(ii)で合成した化合物(Ic-1)の62.5mg(0.2mmol)、トリフェニルピリリウムテトラフルオロボレート7.9mg(0.02mmol)、及びビフェニル92.5mg(0.60mmol)を加え、乾燥アセトニトリル(20mL)で溶かした。この溶液を超音波洗浄器で5分間脱気した後、10分間酸素(或いは空気でも可能)を通気した。この試験管をライオネット光照射装置(350nmランプ(極大波長):2W×15本=30W)に固定し、溶液に酸素を通気、攪拌しながら8分間光照射(波長350nm)を行った。反応終了後、1,4-ジオキサビシクロ[2.2.2]オクタン4.6mg(0.04mmol)を加えて、溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン:n-ヘキサン、1:2(容量比))により分離して化合物(I-1)16.1mg(収率23質量%)を単離した。
以下に化合物(I-1)の物性値を示す。
無色プリズム状(再結晶溶媒:n-ヘキサン),融点:115-116℃, C21H22F2O2, [M.W. 344.40].
IR(KBr, cm-1): 3062, 3027, 2979,2957,2946,2926,2860,1511,1467,1451,1432, 1415,1354,1333,1315,1244,1191,1170,1150,1107,1092,1065,1029,1020,996, 948,888,844,806,790,762,716,653,578,568,553,537,519,499.
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ:1.90-2.00 (m, 1H),2.02-2.19 (m, 1H),2.20-2.38 (m, 3H),2.339 (s, 3H),2.343 (s, 3H),2.49-2.58 (m, 1H),2.79-2.98 (m, 2H), 7.15-7.21 (m, 4H), 7.28-7.33 (m, 2H),7.42-7.47 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz,CDCl3)δ:19.67 (t, 1C, JC-F(d)= 4.6 Hz),20.99 (q, 1C),21.06 (q, 1C),37.11 (t, 1C, JC-F(d)= 5.3 Hz),39.04 (t, 1C),43.79 (t, 1C, JC-F(dd)= 28.8 Hz, 23.5 Hz),83.13 (s, 1C, JC-F(dd)= 5.3 Hz, 4.6 Hz),86.03 (s, 1C, JC-F(dd)= 26.6Hz, 24.3 Hz),118.90 (s, 1C, JC-F(t)= 251.2 Hz), 124.23 (d, 2C), 126.00 (d, 2C), 128.76 (d, 2C), 129.23 (d, 2C), 134.70 (s, 1C, JC-F(d) = 3.0 Hz), 137.63 (s, 1C), 137.80 (s, 1C), 141.31 (s, 1C).
Anal.calcd for C21H22F2O2: C, 73.24%; H, 6.44%. Found: C, 73.40%; H, 6.46%.
MS (ASAP) m/z 345 ([M+H]+).
[製造例2]
(化合物(I-2)の製造)
下記反応式に従って、化合物(I-2)を合成した。
Figure 2023172454000006
1.工程(i):6,6-ジフルオロ-1,5-ジ(p-エチルフェニル)ヘキサ-5-エン-1-オン(化合物(Ib-2))の合成
1,5-ジ(p-エチルフェニル)ペンタ-1,5-ジオン(化合物(Ia-2))3.08g(10.0mmol)、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム6.29g(40.0mmol)、及びトリ(n-ブチル)ホスフィン8.52g(40.0mmol)を超脱水ジメチルホルムアミド(10mL)に溶かし、反応系内を窒素置換してから油浴で加熱攪拌した。油浴の温度を10分間以内に130度まで上昇させると、途中70度あたりで化合物(Ia-2)もクロロジフルオロ酢酸ナトリウムも完全に溶解し、100度あたりからクロロジフルオロ酢酸ナトリウムが分解してジフルオロカルベンが生成し、それがトリ(n-ブチル)ホスフィンと反応してジフルオロメチレンホスホニウムイリドを形成した。油浴の温度を130度で30分間維持することにより、このジフルオロメチレンホスホニウムイリドが化合物(Ia-2)と反応して化合物(Ib-2)が生成した。化合物(Ib-2)はカラムクロマトグラフィーにより、反応混合物から単離精製した。具体的には、反応終了後、室温まで冷却してから水150mLを加え、100mLのエーテルで3回抽出した。エーテル層を重曹水、次いで水、飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン-n-ヘキサン、1:2(容量比))により分離して、黄色油状物として化合物(Ib-2)1.83g(収率53質量%)を得た。
以下に化合物(Ib-2)の物性値を示す。
黄色油状物, C22H24F2O, [M.W.342.42].
IR(KBr, cm-1): 3086, 3030, 2966, 2933, 2896, 2873, 1684(C=O), 1607, 1570, 1515, 1458, 1413, 1365, 1308, 1263, 1231, 1181, 1155, 1109, 1061, 1019, 998, 983, 939, 924, 834, 784.
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 1.24 (t, 3H, J = 7.6 Hz), 1.25 (t, 3H, J = 7.6 Hz), 1.82 (quintet, 2H, J = 7.6 Hz), 2.50 (tt, 2H, JH-H(t) = 7.6 Hz, JH-F(t) = 2.4 Hz), 2.64 (qurtet, 2H, J = 7.6 Hz), 2.70 (qurtet, 2H, J = 7.6 Hz), 2.93 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 7.16-7.21 (m, 2H), 7.22-7.28 (m, 4H), 7.79-7.84 (m, 2H).
13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ:15.15 (qurtet, 1C), 15.36 (qurtet, 1C), 22.39 (t, 1C), 27.03 (t, 1C), 28.47 (t, 1C), 28.89 (t, 1C), 37.40 (t, 1C), 91.76 (s, 1C, JC-F(dd) = 19.0 Hz, 15.2Hz), 127.97 (d, 2C), 128.00 (d, 2C), 128.09 (d, 2C, JC-F(t) = 3.0 Hz), 128.18 (d, 2C), 130.50 (s, 1C), 134.66 (s, 1C), 143.34 (s, 1C), 149.85 (s, 1C), 153.67 (s, 1C, JC-F(t) = 287.6 Hz), 199.34 (s, 1C, C=O).
2.工程(ii):1,1-ジフルオロ-2,6-ジ(p-エチルフェニル)ヘプタ-1,6-ジエン(化合物(Ic-2))の合成
メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド16.20g(44.0mmol)とカリウム-tert-ブトキシド5.28g(85質量%、40.0mmol)を乾燥テトラヒドロフラン70mLに溶かし、窒素雰囲気下、室温で10分間反応させてホスホニウムイリドを調整した。
この溶液に6,6-ジフルオロ-1,5-ジ(p-エチルフェニル)ヘキサ-5-エン-1-オン(化合物(Ib-2))6.85g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(30mL)を加え、室温で2時間反応させた。反応終了後、水150mLを加え、100mLのエーテルで3回抽出した。エーテル層を重曹水、水、飽和食塩水の順に洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン)により分離して、無色油状物として化合物(Ic-2)3.49g(収率51質量%)を得た。
以下に化合物(Ic-2)の物性値を示す。
無色油状物, C23H26F2,[M.W. 340.45].
IR(KBr, cm-1): 3083, 3049, 3026, 2965, 2932, 2871, 1625, 1562, 1514, 1459, 1411, 1375, 1308, 1232, 1188, 1166, 1110, 1061, 1019, 966, 941, 893, 836, 783.
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 1.23 (quintet, 3H, J = 7.6 Hz), 1.24 (quintet, 3H, J = 7.6 Hz), 1.53 (quintet, 2H, J = 7.6 Hz), 2.41 (tt, 2H, JH-H(t) = 7.6 Hz, JH-F(t) = 2.4 Hz), 2.48 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 2.63 (qurtet, 4H, J = 7.6 Hz), 4.97 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 5.23 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 7.09-7.19 (m, 6H), 7.23-7.29 (m, 2H)
13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ:15.37 (qurtet, 1C), 15.47 (qurtet, 1C), 26.19 (t, 1C), 27.06 (t, 1C), 28.47 (t, 2C), 34.57 (t, 1C), 91.91 (s, 1C, JC-F(dd) = 19.0 Hz, 15.2 Hz), 111.81 (t, 1C), 126.00 (d, 2C), 127.72 (d, 2C), 127.85 (d, 2C),128.07 (d, 2C, JC-F(t) = 3.1 Hz), 130.74 (s, 1C), 138.32 (s, 1C), 143.14 (s, 1C), 143.40 (s, 1C), 147.67 (s, 1C), 153.55 (s, 1C, JC-F(t) = 287.6 Hz).
3.工程(iii):8,8-ジフルオロ-1,5-ジ(p-エチルフェニル)-6,7-ジオキサビシクロ[3.2.2]ノナン(化合物(I-2))の合成
パイレックス(登録商標)製試験管(長さ20cm、直径30mm)に上記の工程(ii)で合成した化合物(Ic-2)の68.0mg(0.2mmol)とトリフェニルピリリウムテトラフルオロボレート7.9mg(0.02mmol)、ビフェニル92.5mg(0.60mmol)を加え、乾燥ジクロロメタン(20mL)で溶かした。この溶液を超音波洗浄器で5分間脱気した後、10分間酸素を通気した。この試験管をライオネット光照射装置(波長350nmランプ(極大波長):2W×15本=30W)に固定し、溶液に酸素を通気、攪拌しながら8分間光照射(波長350nm)を行った。反応終了後、1,4-ジオキサビシクロ[2.2.2]オクタン4.6mg(0.04mmol)を加えて、溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン:n-ヘキサン、1:2(容量比))により分離して化合物(I-2)18.4mg(収率25質量%)を単離した。
以下に化合物(I-2)の物性値を示す。
無色針状結晶(再結晶溶媒:n-ヘキサン),融点:94-95℃,C23H26F2O2, [M.W. 372.45].
IR(KBr, cm-1): 3091,3028,2963,2929,2871,1512,1455,1429,1413,1354,1333,1293,1261,1190,1170,1151,1105,1094,1065,1028,995,948,888,836,820,795,784,754,656,627.
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ:1.23 (t, 3H, J = 7.6 Hz),1.24 (t, 3H, J = 7.6 Hz),1.90-2.01 (m, 1H),2.04-2.20 (m, 1H),2.21-2.39 (m, 3H),2.50-2.59 (m, 1H),2.64 (qurtet, 2H, J = 7.6 Hz),2.65 (qurtet, 2H, J = 7.6 Hz),2.80-3.00 (m, 2H),7.18-7.24 (m, 4H),7.31-7.36 (m, 2H),7.44-7.50 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3)δ:15.26 (q, 1C),15.42 (q, 1C),19.68 (t, 1C, JC-F(d)= 4.5 Hz),28.41 (t, 2C),37.12 (t, 1C, JC-F(d)= 4.6 Hz),39.05 (t, 1C),43.79 (t, 1C, JC-F(dd)= 28.8 Hz, 22.8 Hz),83.14 (s, 1C, JC-F(t)= 4.5 Hz),86.04 (s, 1C, JC-F(dd)= 26.5 Hz, 24.2 Hz),118.94 (s, 1C, JC-F(t)= 251.9 Hz), 124.31 (d, 2C),126.06 (d, 2C),127.53 (d, 2C),128.03 (d, 2C),134.91 (s, 1C, JC-F(d)= 3.8 Hz),141.52 (s, 1C),143.95 (s, 1C),144.01 (s, 1C).
Anal.calcd for C23H26F2O2: C, 74.17%; H, 7.04%. Found: C, 74.01%; H, 7.02%.
MS (ASAP) m/z 373 ([M+H]+).
[製造例3]
(化合物(I-3)の製造)
下記反応式に従って、化合物(I-3)を合成した。
Figure 2023172454000007
1.工程(i):6,6-ジフルオロ-1,5-ジフェニルヘキサ-5-エン-1-オン(化合物(Ib-3))の合成
1,5-ジフェニルペンタ-1,5-ジオン(化合物(Ia-3))2.53g(10.0mmol)、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム6.29g(40.0mmol)、及びトリ(n-ブチル)ホスフィン8.52g(40.0mmol)を超脱水ジメチルホルムアミド(10mL)に溶かし、反応系内を窒素置換してから油浴で加熱攪拌した。油浴の温度を10分間以内に130度まで上昇させると、途中70度あたりで化合物(Ia-3)もクロロジフルオロ酢酸ナトリウムも完全に溶解し、100度あたりからクロロジフルオロ酢酸ナトリウムが分解してジフルオロカルベンが生成し、それがトリ(n-ブチル)ホスフィンと反応してジフルオロメチレンホスホニウムイリドを形成した。油浴の温度を130度で30分間維持することにより、このジフルオロメチレンホスホニウムイリドが化合物(Ia-3)と反応して化合物(Ib-3)が生成した。化合物(Ib-3)はカラムクロマトグラフィーにより、反応混合物から単離精製した。具体的には、反応終了後、室温まで冷却してから水150mLを加え、100mLのエーテルで3回抽出した。エーテル層を重曹水、次いで水、飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン-n-ヘキサン、1:2(容量比))により分離して、黄色油状物として化合物(Ib-3)1.52g(収率53質量%)を得た。
以下に化合物(Ib-3)の物性値を示す。
黄色油状物, C18H16F2O, [286.32].
IR(KBr, cm-1): 3087, 3060, 3028, 2957, 2939, 2873, 1684(C=O), 1598, 1579, 1544, 1497, 1447, 1411, 1373, 1348, 1304, 1281, 1266, 1231, 1203, 1180, 1154, 1118, 1072, 1030, 1002, 988, 940, 924, 916, 859, 844, 795, 763, 720, 690,
660, 645.
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 1.84 (quintet, 2H, J = 7.6 Hz), 2.53 (tt, 2H, JH-H(t) = 7.6 Hz, JH-F(t) = 2.4 Hz), 2.96 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 7.24-7.29 (m, 1H), 7.30-7.39 (m, 4H), 7.40-7.47 (m, 2H), 7.50-7.58 (m, 1H), 7.86-7.92 (m, 2H).
13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ:22.27 (t, 1C, JC-F(t) = 2.3 Hz), 27.01 (t, 1C), 37.46 (t, 1C), 91.93 (s, 1C, JC-F(t) = 17.5 Hz), 127.32 (d, 1C), 127.93 (d, 2C), 128.19 (d, 2C, JC-F(t) = 3.1 Hz), 128.49 (d, 2C), 128.53 (d, 2C), 132.94 (d, 1C), 133.31 (s, 1C, JC-F(d) = 1.5 Hz), 136.88 (s, 1C), 153.74 (s, 1C, JC-F(t) = 287.6 Hz), 199.58 (s, 1C, C=O).
2.工程(ii):1,1-ジフルオロ-2,6-ジフェニルヘプタ-1,6-ジエン(化合物(Ic-3))の合成
メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド16.20g(44.0mmol)とカリウム-tert-ブトキシド5.28g(85質量%、40.0mmol)を乾燥テトラヒドロフラン70mLに溶かし、窒素雰囲気下、室温で10分間反応させてホスホニウムイリドを調整した。
この溶液に6,6-ジフルオロ-1,5-ジフェニルヘキサ-5-エン-1-オン(化合物(Ib-3))5.73g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(30mL)を加え、室温で2時間反応させた。反応終了後、水150mLを加え、100mLのエーテルで3回抽出した。エーテル層を重曹水、水、飽和食塩水の順に洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン)により分離して、無色油状物として化合物(Ic-3)4.83g(収率85質量%)を得た。
以下に化合物(Ic-3)の物性値を示す。
無色油状物, C19H18F2, [M.W. 284.34].
IR(KBr, cm-1) : 3083,3058, 3027, 2935, 2867, 1627, 1601, 1575, 1496, 1445, 1386, 1343, 1306, 1232, 1167, 1122, 1074, 1056, 1029, 1002, 943, 897, 841, 778, 762, 697.
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 1.53 (quintet, 2H, J = 7.6 Hz), 2.42 (tt, 2H, JH-H = 7.6 Hz, JH-F = 2.4 Hz), 2.50 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 5.01 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 5.25 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 7.21-7.35 (m, 10H).
13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ:26.11 (t, 1C), 27.04 (t, 1C), 34.57 (t, 1C), 92.09 (s, 1C, JC-F(dd) = 20.0 Hz, 14.0 Hz), 112.62 (t, 1C), 126.08 (d, 2C), 127.16 (d, 1C), 127.33 (d, 1C), 128.18 (d, 2C, JC-F(t) = 3.0 Hz), 128.25 (d, 2C), 128.38 (d, 2C), 133.55 (s, 1C, JC-F(d) = 2.3 Hz), 141.02 (s, 1C), 147.86 (s, 1C), 153.61 (s, 1C, JC-F(dd) = 288.4 Hz, 285.3 Hz).
3.工程(iii):8,8-ジフルオロ-1,5-ジフェニル-6,7-ジオキサビシクロ[3.2.2]ノナン(化合物(I-3))の合成
パイレックス(登録商標)製試験管(長さ20cm、直径30mm)に工程(ii)で合成した化合物(Ic-3)の56.9mg(0.2mmol)、トリフェニルピリリウムテトラフルオロボレート7.9mg(0.02mmol)、及びビフェニル92.5mg(0.60mmol)を加え、乾燥アセトニトリル(20mL)で溶かした。この溶液を超音波洗浄器で5分間脱気した後、10分間酸素を通気した。この試験管をライオネット光照射装置(波長350nmランプ(極大波長):2W×15本=30W)に固定し、溶液に酸素を通気、攪拌しながら15分間光照射(波長350nm)を行った。反応終了後、1,4-ジオキサビシクロ[2.2.2]オクタン4.6mg(0.04mmol)を加えて、溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン:n-ヘキサン、1:2(容量比))により分離して化合物(I-3)10.7mg(収率17質量%)を単離した。
以下に化合物(I-3)の物性値を示す。
無色プリズム状結晶(再結晶溶媒:n-ヘキサン), 融点:89-90℃,C19H18F2O2, [M.W. 316.34].
IR(KBr, cm-1): 3068,3037,2993,2951,2919,2882,2840,1493,1468,1447,1436,1392,1360,1329,1294,1259,1213,1184,1149,1106,1075,1059,1035,997,974,944,927,896,846,822,800,757,699,659,631,595.
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ:1.92-2.02 (m, 1H),2.05-2.23 (m, 1H),2.23-2.40 (m, 3H),2.52-2.60 (m, 1H),2.84-3.01 (m, 2H),7.25-7.45 (m, 8H),7.54-7.60 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3)δ:19.64 (t, 1C, JC-F(d)= 4.6 Hz),37.15 (t, 1C, JC-F(d)= 4.6 Hz),39.05 (t, 1C),43.84 (t, 1C, JC-F(dd)= 28.8 Hz, 23.5 Hz),83.20 (s, 1C, JC-F(dd)= 5.3 Hz, 4.4 Hz),86.13 (s, 1C, JC-F(dd)= 26.5Hz, 24.3 Hz),118.87 (s, 1C, JC-F(t)= 251.9 Hz),124.25 (d, 2C),126.04 (d, 2C),127.87 (d, 1C),128.06 (d, 3C),128.60 (d, 2C),137.64 (s, 1C, JC-F(dd)= 3.8 Hz, 1.5 Hz),144.23 (s, 1C).
Anal.calcd for C19H18F2O2: C, 72.14%; H, 5.74%. Found: C, 72.21%; H, 5.63%.
MS (ASAP) m/z 317 ([M+H]+).
[製造例4]
(化合物(I-4)の製造)
下記反応式に従って、化合物(I-4)を合成した。
Figure 2023172454000008
1.工程(i):6,6-ジフルオロ-1,5-ジ(p-フルオロフェニル)ヘキサ-5-エン-1-オン(化合物(Ib-4))の合成
1,5-ジ(p-フルオロフェニル)ペンタ-1,5-ジオン(化合物(Ia-4))2.88g(10.0mmol)、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム6.29g(40.0mmol)、及びトリ(n-ブチル)ホスフィン8.52g(40.0mmol)を超脱水ジメチルホルムアミド(10mL)に溶かし、反応系内を窒素置換してから油浴で加熱攪拌した。油浴の温度を10分間以内に130度まで上昇させると、途中70度あたりで化合物(Ia-4)もクロロジフルオロ酢酸ナトリウムも完全に溶解し、100度あたりからクロロジフルオロ酢酸ナトリウムが分解してジフルオロカルベンが生成し、それがトリ(n-ブチル)ホスフィンと反応してジフルオロメチレンホスホニウムイリドを形成した。油浴の温度を130度で30分間維持することにより、このジフルオロメチレンホスホニウムイリドが化合物(Ia-4)と反応して化合物(Ib-4)が生成した。化合物(Ib-4)はカラムクロマトグラフィーにより、反応混合物から単離精製した。具体的には、反応終了後、室温まで冷却してから水150mLを加え、100mLのエーテルで3回抽出した。エーテル層を重曹水、次いで水、飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジクロロメタン-n-ヘキサン、1:2(容量比))により分離して、黄色油状物として化合物(Ib-4)1.58g(収率49質量%)を得た。
以下に化合物(Ib-4)の物性値を示す。
黄色油状物, C18H14F4O, [322.30].
IR(KBr, cm-1): 3074, 2961, 2936, 2873, 1686(C=O), 1599, 1458, 1409, 1367, 1299, 1201, 1157, 1119, 1096, 1036, 1014, 1001, 984, 939, 926, 837, 791, 740, 685, 657, 597.
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 1.81 (quintet, 2H, J = 7.6 Hz), 2.49 (tt, 2H, JH-H(t) = 7.6 Hz, JH-F(t) = 2.4 Hz), 2.93 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 7.02-7.15 (m, 4H), 7.27-7.34 (m, 2H), 7.88-7.96 (m, 2H).
13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ:22.11 (t, 1C), 27.09 (t, 1C), 37.27 (t, 1C), 91.14 (s, 1C, JC-F(dd) = 19.8 Hz, 16.0Hz), 115.51 (d, 2C, JC-F(d) = 21.2 Hz), 115.65 (d, 2C, JC-F(d) = 22.0 Hz), 129.15 (s, 1C, JC-F(t) = 3.0 Hz), 129.89 (d, 2C, JC-F(dt) = 8.4 Hz, 3.0 Hz), 130.53 (d, 2C, JC-F(d) = 9.2 Hz), 133.29 (s, 1C, JC-F(d) = 3.1 Hz), 153.71 (s, 1C, JC-F(t) = 286.9 Hz), 161.90 (s, 1C, JC-F(d) = 245.9 Hz), 165.70 (s, 1C, JC-F(d) = 253.4 Hz), 197.80 (s, 1C, C=O).
2.工程(ii):1,1-ジフルオロ-2,6-ジ(p-フルオロフェニル)ヘプタ-1,6-ジエン(化合物(Ic-4))の合成
メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド16.20g(44.0mmol)とカリウム-tert-ブトキシド5.28g(85質量%、40.0mmol)を乾燥テトラヒドロフラン70mLに溶かし、窒素雰囲気下、室温で10分間反応させてホスホニウムイリドを調整した。
この溶液に6,6-ジフルオロ-1,5-ジ(p-フルオロフェニル)ヘキサ-5-エン-1-オン(化合物(Ib-4))6.45g(20.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(30mL)を加え、室温で2時間反応させた。反応終了後、水150mLを加え、100mLのエーテルで3回抽出した。エーテル層を重曹水、水、飽和食塩水の順に洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン)により分離して、無色油状物として化合物(Ic-4)5.15g(収率81質量%)を得た。
以下に化合物(Ic-4)の物性値を示す。
無色油状物, C19H16F4, [320.32].
IR(KBr, cm-1): 3084, 3050, 2936, 2868, 1628, 1604, 1510, 1457, 1406, 1312, 1299, 1237, 1161, 1121, 1094, 1056, 1014, 944, 899, 838, 815, 740.
1H NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 1.49 (quintet, 2H, J = 7.6 Hz), 2.39 (tt, 2H, JH-H(t) = 7.6 Hz, JH-F(t) = 2.4 Hz), 2.46 (t, 2H, J = 7.6 Hz), 5.00 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 5.20 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 6.93-7.04 (m, 6H), 7.25-7.31 (m, 2H).
13C NMR(100 MHz, CDCl3) δ:25.88 (t, 1C), 27.04 (t, 1C), 34.62 (t, 1C), 91.25 (s, 1C, JC-F(dd) = 21.3 Hz, 14.4 Hz), 112.69 (t, 1C), 115.07 (d, 2C, JC-F (d) = 21.2 Hz), 115.35 (d, 2C, JC-F (d) = 21.2 Hz), 127.64 (d, 2C, JC-F(d) = 8.4 Hz),129.36 (s, 1C), 129.82 (d, 2C, JC-F(dt) = 7.6 Hz, 3.0 Hz), 136.97 (s 1C, JC-F(d) = 3.0 Hz), 146.73 (s, 1C), 153.37 (s, 1C, JC-F(t) = 286.9 Hz), 161.82 (s, 1C, JC-F(d) = 245.9 Hz), 162.26 (s, 1C, JC-F(d) = 245.1 Hz).
3.工程(iii):8,8-ジフルオロ-1,5-ジ(p-フルオロフェニル)-6,7-ジオキサビシクロ[3.2.2]ノナン(化合物(I-4))の合成
パイレックス(登録商標)製試験管(長さ20cm、直径30mm)に工程(ii)で合成した化合物(Ic-4)の64.1mg(0.2mmol)、トリフェニルピリリウムテトラフルオロボレート7.9mg(0.02mmol)、及びビフェニル92.5mg(0.60mmol)を加え、乾燥アセトニトリル(20mL)で溶かした。この溶液を超音波洗浄器で5分間脱気した後、10分間酸素を通気した。この試験管をライオネット光照射装置(波長350nmランプ(極大波長):2W×15本=30W)に固定し、溶液に酸素を通気、攪拌しながら10分間光照射(波長350nm)を行った。反応終了後、1,4-ジオキサビシクロ[2.2.2]オクタン4.6mg(0.04mmol)を加えて、溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン:n-ヘキサン、2:3(容量比))により分離して化合物(I-4)6.6mg(収率17質量%)を単離した。
以下に化合物(I-4)の物性値を示す。
無色プリズム状結晶, 融点:116-117℃(再結晶溶媒:n-ヘキサン), C19H16F4O2, [352.32].
IR(KBr, cm-1): 3078,3041,2958,2934,2890,1601,1556,1508,1430,1409,1355,1329,1308,1292,1263,1229,1166,1098,1089,1065,1027,1016,999,952,897,836,810,792,768,699,662,623,600,573.
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ:1.94-2.03 (m, 1H),2.05-2.19 (m, 1H),2.20-2.39 (m, 3H),2.48-2.56 (m, 1H),2.84-2.95 (m, 2H),7.03-7.10 (m, 4H),7.37-7.43 (m, 2H),7.49-7.56 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3)δ:19.532 (t, 1C, JC-F(d)= 4.5 Hz),39.986 (t, 1C, JC-F(d)= 4.5 Hz),38.981 (t, 1C),43.727 (t, 1C, JC-F(dd)= 28.8 Hz, 23.5 Hz),83.018 (s, 1C, JC-F(dd)= 5.3 Hz, 4.5 Hz),85.894 (s, 1C, JC-F(dd)= 26.5 Hz, 24.3 Hz),114.996 (d, 2C, JC-F(d)= 21.2 Hz),115.493 (d, 2C, JC-F(d)= 22.0 Hz),118.623 (s, 1C, JC-F(t)= 252.0 Hz),126.224 (d, 2C, JC-F(d)= 8.3 Hz),128.037 (d, 2C, JC-F(d)= 8.4 Hz),133.239 (s, 1C),139.834 (s, 1C),162.220 (s, 1C, JC-F(d)= 245.8 Hz),162.478 (s, 1C, JC-F(d)= 245.8 Hz).
Anal.calcd for C19H16F4O2: C, 64.77%; H, 4.58%. Found: C, 64.90%; H, 4.64%.
MS (ASAP) m/z 353 ([M+H]+).
[比較製造例1]
(化合物(II-1)の製造)
下記反応式に従って、化合物(II-1)を合成した。
Figure 2023172454000009
1.工程(i)’:2,6-ジ(p-メチルフェニル)ヘプタ-1,6-ジエン(化合物(IIb-1))の合成
メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド16.20g(44.0mmol)とカリウム-tert-ブトキシド5.28g(85質量%、40.0mmol)を乾燥テトラヒドロフラン70mLに溶かし、窒素雰囲気下、室温で10分間反応させてホスホニウムイリドを調整した。
この溶液に1,5-ジ(p-メチルフェニル)ペンタ-1,5-ジオン(化合物(IIa-1))2.80g(10.0mmol)のテトラヒドロフラン溶液(30mL)を加え、室温のまま30分間撹拌したのち,3時間加熱還流しながら撹拌を行った。その後、室温で 15時間撹拌してした。反応終了後、水150mLを加え、100mLのエーテルで3回抽出した。エーテル層を重曹水、水、飽和食塩水の順に洗った後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン)により分離して、無色油状物として化合物(IIb-1)2.72g(収率98質量%)を得た。
以下に化合物(IIb-1)の物性値を示す。
無色油状物, C21H24, [M.W. 276.42].
IR (KBr) cm-1: 3082, 3048, 3024, 2989, 2941, 2865, 1605, 1566, 1513, 1447.
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δppm: 1.61 (quintet, 2H, J = 7.2 Hz), 2.34 (s, 6H), 2.51 (t, 4H, J = 7.2 Hz), 4.99 (dt, 2H, J = 1.6 Hz, 1.2 Hz), 5.24 (d, 2H, J = 1.6 Hz), 7.07-7.13 (m, 4H), 7.23-7.28 (m, 4H).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δppm: 21.07 (q, 2C), 26.64 (t, 1C), 34.770 (t, 2C), 111.63 (t, 2C), 125.95 (d, 4C), 128.91 (d, 4C), 136.96 (s, 2C), 138.21 (s, 2C), 147.98 (s, 2C).
2.工程(ii)’:1,5-ジ(p-メチルフェニル)-6,7-ジオキサビシクロ[3.2.2]ノナン(化合物(II-1))の合成
パイレックス(登録商標)製試験管(長さ20cm、直径30mm)に工程(i)’で合成した化合物(IIb-1)の55.3mg(0.2mmol)、トリフェニルピリリウムテトラフルオロボレート15.8mg(0.04mmol)、及びビフェニル92.5mg(0.60mmol)を加え、乾燥アセトニトリル(20mL)で溶かした。この溶液を超音波洗浄器で5分間脱気した後、10分間酸素を通気した。この試験管をライオネット光照射装置(波長350nmランプ(極大波長):2W×15本=30W)に固定し、溶液に酸素を通気、攪拌しながら8分間光照射(波長350nm)を行った。反応終了後、1,4-ジオキサビシクロ[2.2.2]オクタン4.6mg(0.04mmol)を加えて、溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン:n-ヘキサン、1:1(容量比))により分離して化合物(II-1)45.9mg(収率74質量%)を単離した。
以下に化合物(II-1)の物性値を示す。
無色板状結晶, C21H24O2, [M.W. 308.41].
融点: 198-199 °C.
IR (KBr) cm-1: 3052, 3022, 2999, 2970, 2918, 2860, 1604, 1513, 1477, 1448.
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δppm: 1.85-1.94 (m, 1H), 1.98-2.11 (m, 1H), 2.14-2.21 (m, 2H), 2.25-2.42 (m, 6H), 2.33 (s, 6H), 7.12-7.17 (m, 4H), 7.30-7.35 (m, 4H).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δppm: 21.00 (q, 2C), 21.27 (t, 1C), 29.36 (t, 2C), 40.48 (t, 2C), 82.65 (s, 2C), 124.32 (d, 4C), 128.91 (d, 4C), 136.73 (s, 2C), 143.51 (s, 2C).
[試験例1]
(マラリア原虫増殖阻害試験)
1.マラリア原虫の前培養
本試験では、熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum FCR-3 Strain(ATCC 30932))を用いた。本試験に用いた培地は、濾過滅菌したRPMI1640培地を、pH7.4に合わせ、ヒト血清が10v/v%となるように添加した。マラリア原虫の培養はO濃度5v/v%、CO濃度5v/v%、N濃度90v/v%、温度は36.5℃で行った。ヘマトクリット値(赤血球浮遊液中に占める赤血球の体積割合)は5v/v%にして用いた。培養開始時の熱帯熱マラリア原虫の初期感染率は0.1%とした。24穴培養プレートを用いて培養し、培地は毎日交換し、感染率4%で植え継ぎを行った。感染率は薄層塗沫標本を作製し、ギムザ染色又はDiff-Quick染色を行った後、顕微鏡(油浸、1000倍)下で計測し、マラリア原虫感染率を下記式により算出した。
「マラリア原虫感染率(%)」={(感染赤血球数)/(総赤血球数)}×100
2.候補化合物存在下でのマラリア原虫による赤血球への感染
培養したマラリア原虫感染赤血球を遠心で集め、血清を含む培地で洗浄を行った後、非感染赤血球を加え、初期感染率を0.3%とした。この時のヘマトクリット値は3%であった。本試験に用いた候補化合物の一つである化合物(I-1)は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)又は滅菌水に溶解し、所定のサンプルとした。24穴培養プレートにサンプルを5μL以上10μL以下ずつ加えた。サンプルはデュープリケート又はトリプリケートにとった。コントロールは滅菌水、DMF、又はDMSOを10μL/ウェル加えた。次に、あらかじめ用意しておいた熱帯熱マラリア原虫培養液を990μL以上995μL以下ずつ加え、静かにピペッテイングを行い培地に一様に懸濁させた。培養プレートはCO-O-N(5v/v%、5v/v%、90v/v%)インキュベーター中で72時間培養した。その後、それぞれのウェルについて薄層塗沫標本を作製し、染色した後、顕微鏡下で観察し、候補化合物を加えたもののマラリア原虫感染率及びコントロールのマラリア原虫感染率を算出した。求めたマラリア原虫感染率から次式によって増殖率を算出することにより、マラリア原虫に対する50%増殖阻害濃度(EC50)を求めた。結果を表1に示す。なお、式中、aは初期のマラリア原虫感染率、bはサンプル添加時のマラリア原虫感染率、cはサンプル非添加時(コントロール)のマラリア原虫感染率を表す。
「増殖率(%)」={(b-a)/(c-a)}×100
[試験例2]
(マウスFM3A細胞増殖阻害試験)
マウス乳癌由来FM3A細胞の野生株であるF28-7株を用いた。培地はES培地に非働化した胎児牛血清を2v/v%となるように添加し、CO濃度5v/v%、37℃で培養した。この条件下でのFM3A細胞の倍加時間は約12時間であった。前培養を行い、対数増殖期に入った細胞を5×10セル/mLになるように培地で希釈した。
サンプルは上記試験例1で調製したものを用いた。24穴培養プレートにサンプル溶液を5μL以上10μL以下ずつ加えた(培地等を加えると最終濃度は1×10-4mol/L(M)以上1×10-6mol/L(M)以下となった)。サンプルはデュープリケート又はトリプリケートにとった。コントロールとして滅菌水、DMF或いはDMSOを10μL/ウェル加えた。次に、用意しておいた培養細胞浮遊液を990μL以上995μL以下ずつ加え、静かにピペッテイングを行い培地に一様に懸濁させた。48時間培養した後、それぞれのウェルについて細胞数をセルコントローラー(CC-108、トーアメディカルエレクトリクス社製)で計数し、下記式により増殖率を算出した。なお、式中、Aは初期細胞数、Bは48時間後のコントロールの細胞数、Cはサンプル添加時の48時間後の細胞数を表す。
「増殖率(%)」={(C-A)/(B-A)}×100
細胞増殖阻害活性は、サンプルを添加したウェルの細胞数及びコントロールの細胞数から算出した。これにより、サンプルの細胞毒性を評価し、細胞増殖阻害濃度(EC50)で示した。結果を表1に示す。なお、表1におけるEC50値とは、マラリア原虫又はFM3A細胞の培地にサンプル非添加時(コントロール)の増殖率又はマラリア原虫感染率を100%とし、サンプル添加によってコントロールの増殖率を50%阻害するサンプルの濃度(モル濃度)のことである。
サンプルの抗マラリア作用は、FM3A細胞に対するマラリア原虫のサンプルのEC50値の比(化学療法係数、下記式参照)から評価し、薬効測定を行った。また、比較参考のために化合物(I-1)と同じ双環式骨格構造でフッ素原子を骨格上に持たない化合物(II-1)及び抗マラリア剤として利用されているクロロキンについても同様の試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2023172454000010
また、比較のために、公知の抗マラリア剤であるキニーネ、アルテミシニン、並びに、最近開発された抗マラリア活性化合物であるN-89、及びN-251の薬効測定の文献値を表2に示した。
Figure 2023172454000011
参考文献1:Takaya Y et al., “Novel antimalarial guaiane-type sesquiterpenoids from Nardostachys chinensis roots.”, Tetrahedron Lett., Vol. 39, pp. 1361-1364, 1998.
参考文献2:Kim H S et al., “Synthesis and antimalarial activity of novel medium-sized 1,2,4,5-tetraoxacycloalkanes.”, J. Med. Chem., Vol. 44, pp. 2357-2361, 2001.
参考文献3:特開2000-229965号公報
参考文献4:綿矢 有祐ら、“抗マラリア薬”、ファルマシア、Vol. 44、No.1、32~36頁、2008年。
以上の結果、本実施形態の化合物は、細胞毒性が抑えられており、且つ、非常に優れたマラリア原虫増殖阻害活性を有することが判明した。
本実施形態の化合物によれば、細胞毒性が抑えられており、抗マラリア活性に優れ、且つ、簡便且つ安全に合成可能な化合物を提供することができる。本実施形態の抗マラリア剤は、前記化合物を含み、細胞毒性が抑えられており、抗マラリア活性に優れる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表される、化合物。
    Figure 2023172454000012
    (一般式(I)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換若しくは無置換の、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、カルボキシ基、若しくはアミノ基である。)
  2. 前記一般式(I)において、R及びRがそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、又は、置換若しくは無置換のアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
  3. 請求項1又は2に記載の化合物を有効成分として含有する、抗マラリア剤。
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