JP6504953B2 - パイル編地及びその製造方法並びにそれを用いた洗浄具又は清掃具 - Google Patents
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Description
また、本発明の目的は、2枚の地組織が、上記熱融着フィラメントからなる連結糸で連結された二重経編地を、該熱融着フィラメントの融点もしくは軟化点未満の温度で熱セットし、その後、連結糸中央を切断することにより2枚のパイル編地とし、該パイル編地を、該熱融着フィラメントの融点もしくは軟化点以上の温度で加熱することを特徴とするパイル編地の製造方法によって達成される。
更に、本発明の目的は、上記パイル編地を有してなる洗浄具又は清掃具によって達成される。
また、本発明のパイル編地の製造方法によれば、剛性が大きいパイル編地を好適に製造することができる。
また、上記パイル編地だけでも、洗浄具や清掃具として用いることが可能であるが、パイル編地をスポンジ等と組合せて洗浄具や清掃具としてもよく、組合せた場合には、洗浄・清掃効果に加えて、把持し易くなり、また、組み合わせるスポンジの硬さに応じて、種々のものを好適に洗浄・清掃できる。
尚、融点とは結晶性を有する熱可塑性樹脂のDSC測定における結晶融解温度を意味し、軟化点とは繊維を構成する樹脂が軟化し始める温度を意味する。
本発明において、融点は、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用い、昇温速度20℃/分で測定するものである。一方、軟化点は、JIS K7196法の「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」に従って測定するものである。
また、芯部樹脂はホモポリエチレンテレフタレートではなく、10モル%以下のイソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレートを用いてもよい。
また、本発明で使用する芯鞘構造繊維は、偏心していないことが好ましく、また、芯部が2つ以上あってもよいし、本発明の目的を阻害しない範囲で芯部の一部が繊維表面に露出していてもよい。
本発明のパイル編地は、2枚の地組織が連結糸で連結された二重編地の連結糸中央を、ナイフ等にて切り開いて得られるものが好適に使用される。
中でも、ダブルラッシェル編などの二重経編地をセンターカットしたものであることが、カットパイルの立毛性や、カットパイルの先端の断面形状の点で好ましい。
また、地組織を構成する編糸の繊度は、30〜660dtexであることが好ましい。30dtexより小さいと、カットパイルの根元を強く締め付けることができずにカットパイルが倒れやすくなったり、カットパイルの抜けが生じたりする傾向にある。また、引き裂き強度が低下する傾向にある。660dtexを超えると、カットパイルを係止する糸が太くなるということであり、カットパイル根元付近の間隔が広くなり、結果としてカットパイル全体の密度が低下して、洗浄・清掃性が低下する傾向にある。特に、50〜400dtexであることが好ましい。
これらは、ハンディー圧縮試験機(カトーテック株式会社、KES−G5)を用いて測定することにより得られる。測定により、図2に示すようなグラフが得られるところ、圧縮かたさ(LC)及び回復性(RC)は下記式により算出される。
圧縮かたさ(LC)=a+bの面積/△ABCの面積
回復性(RC)=bの面積/a+bの面積
圧縮かたさ(LC)は、値が1に近づくほど圧縮がかたいことを示し、回復性(RC)は、値が100%に近づくほど、回復性があることを示す。
すなわち、ダブルラッセル編機を使用し、地組織となる糸と熱融着フィラメントからなる連結糸となる糸をそれぞれの筬に供給し、2枚の地組織が、連結糸で連結された二重経編地を編成する。得られた二重経編地を、熱融着フィラメントの融点もしくは軟化点未満の温度で熱処理し、その後、連結糸中央をカッター等で切断することにより2枚のパイル編地とする。次いで、得られたパイル編地を、熱融着フィラメントの融点もしくは軟化点以上の温度で熱処理することにより、上記条件を満たす剛性の大きいパイル編地が得られる。
柔らかいスポンジと組合せると、フライパンなど曲面を有するものを、良好に洗浄でき、一方、弾力性の少ない硬いスポンジと組合せると、バーベキューの網、フローリング、タイル等の平面の清掃に好適となるので、目的に応じて、適宜組合せると良い。
洗浄具・清掃具の一例として、例えば、図3に示すものが挙げられる。パイル編地1とスポンジ2とを、接着剤により貼り合せたものであり、洗浄具3として、または清掃具としても使用できる。
なお、評価は、下記のようにして行った。
JIS L1013(2010)の標準時試験に準じ、測定した。
フライパンの焦げ、バーベキューの網の焦げ、カーペットの毛髪の取れ具合を目視にて確認し、良好に取れたものを○、取れなかったものを×とした。
上記洗浄性又は清掃性の評価をした後、パイル編地に付着した汚れを落とし、その落ち具合を目視にて確認し、良好に落ちたものを○、落ちなかったものを×とした。
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−14G(マイヤー社製)を使用して、筬L1、L2は表面の地組織(167dtex/72f、ポリエステルマルチフィラメント)を、筬L5、L6は裏面の地組織(167dtex/72f、ポリエステルマルチフィラメント)を編成し、筬L3、L4は表裏地組織を連結して、二重経編地を編成した。連結糸として、筬L3及び4に、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(イソフタル酸比率20モル%)(軟化点185℃)を鞘部に、ホモポリエチレンテレフタレート(融点260℃)を芯部に用いた芯鞘の複合比が1:1である熱融着マルチフィラメント(280dtex/16f、単糸繊度17.5dtex、強度4.3cN/dtex、伸度38%)を使用した。
連結糸は2針間にアンダーラップして編成した。
編成後、170℃、12m/分で熱セットを行い、得られた二重経編地の連結糸の中央部をナイフで2枚に切り開き、パイル編地2枚を得た。
得られた二重経編地の経緯の密度は、33コース/22ウエルであり、パイル編地の平方インチ当たりのカットパイルの総本数は、11,616本であった。
次いで、得られたパイル編地を、190℃、15m/分で熱セットを行った。
得られたパイル編地のKES測定での圧縮かたさ(LC)は0.45、回復性(RC)は69.7%であった。
また、得られたパイル編地に厚さ4cmのスポンジを接着剤で接着し 洗浄性・清掃性の評価に行った。
評価結果を、表1に併せて示す。
筬L3及び4に、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(イソフタル酸比率20モル%)(軟化点185℃)を鞘部に、ホモポリエチレンテレフタレート(融点260℃)を芯部に用いた芯鞘の複合比が1:1である熱融着マルチフィラメント(280dtex/48f、単糸繊度5.8dtex、強度5.2cN/dtex、伸度26%)を使用し、二重経編地の経緯の密度を、33コース/21ウエルとし、パイル編地の平方インチ当たりのカットパイルの総本数は、33,264本とした他は、実施例1と同様にして、パイル編地を作成し、評価を行った。
得られたパイル編地のKES測定での圧縮かたさ(LC)は0.5、回復性(RC)は70.2%であった。
評価結果を、表1に併せて示す。
二重経編地の経緯の密度を、24コース/12ウエルとし、パイル編地の平方インチ当たりのカットパイルの総本数は、4,608本とした他は、実施例1と同様にして、パイル編地を作成し、評価を行った。
得られたパイル編地のKES測定での圧縮かたさ(LC)は0.36、回復性(RC)は51.4%であった。
評価結果を、表1に併せて示す。
二重経編地の経緯の密度を、38コース/30ウエルとし、パイル編地の平方インチ当たりのカットパイルの総本数は、54,720本とした他は、実施例1と同様にして、パイル編地を作成し、評価を行った。
得られたパイル編地のKES測定での圧縮かたさ(LC)は0.47、回復性(RC)は69.5%であった。
評価結果を、表1に併せて示す。
2 スポンジ
3 洗浄具
Claims (4)
- 地組織とカットパイルとからなるパイル編地であって、前記カットパイルが、単糸繊度5〜40dtexの、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートを鞘部に、ホモポリエチレンテレフタレートを芯部に用いた熱融着マルチフィラメントからなり、パイル編地の平方インチ当たりのカットパイルの総本数が5,000〜54,000本であり、更に、KES測定におけるパイル編地の圧縮かたさ(LC)が0.40以上、回復性(RC)が50%以上であることを特徴とするパイル編地。
- 2枚の地組織が、熱融着フィラメントからなる連結糸で連結された二重経編地を、該熱融着フィラメントの融点もしくは軟化点未満の温度で熱処理し、その後、連結糸中央を切断することによりパイル編地とし、該パイル編地を、該熱融着フィラメントの融点もしくは軟化点以上の温度で熱処理することを特徴とする請求項1記載のパイル編地の製造方法。
- 請求項1に記載のパイル編地を有してなる洗浄具。
- 請求項1に記載のパイル編地を有してなる清掃具。
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