JP6503500B2 - 点群データ利用システム - Google Patents
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Description
モービルマッピングシステムは、GPS(Global Positioning System)、IMU(Inertial Measurement Unit)、レーザ、カメラ等を搭載した車両を走行させながら、道路及びその周辺のカメラ画像データやレーザ測量による点群データを取得するものであり、高精度地図作成等の技術に対して適用されるものである。
特許文献1の地物検出システムでは、上述したモービルマッピングシステムで使用される車両に搭載されたカメラにより地物を撮影するとともに、同じく車両に搭載されたレーザにより測量を行って点群データを取得して、地物の位置および大きさを検出することができる。
一般に、道路管理事業においては、道路や橋梁等の点検及び補修、交通規制の計画等様々な業務が行われるが、これらは、実際に道路が損傷している箇所、又は交通規制を行う場所等を直接訪れて行われる。
例えば、単に点群データを目で確認しても、損傷個所を特定することは困難であることが多く、結局は、道路管理事業者が実際に損傷が疑われる場所に出向いて損傷個所の特定作業を行う必要があり、その作業内容は煩雑なものであった。
上述したとおり、特許文献1の地物検出システムを用いることにより、道路及びその周囲の建造物や設置物の様子についてはある程度把握できるものの、道路や地物の損傷個所を特定することは困難であり、結局は従来通りの作業、例えば、実際に損傷が疑われる場所に出向いて損傷個所を確認する等の作業が必要である。
(1)点群データ利用システムの全体構成
図1は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムの構成を示す図である。以下、図を用いて、点群データ利用システムの構成について説明を進める。
図に示すように、点群データ利用システムは、道路を走行しながら道路構造物及びその周囲の地形や形状を測定する測定車両10と、該測定車両10により測定された地形や形状に基づいて各種データを生成して、点検対象物の損傷の検出や道路管理事業における各種シミュレーションを実行するデータ生成装置20とを有して構成される。
なお、本実施の形態において、道路構造物とは、道路及び道路周辺における構造物をいい、例えば、道路、ガードレール、中央分離帯、トンネル、橋脚等の構造体等をいう。
測定車両10は、道路を走行中又は停車中に、道路構造物及びその周囲の建造物や設置物について点群データを取得するとともに、撮影を行って画像データを取得する装置を搭載した車両である。
図2は、本発明の実施の形態における測定車両10の構成を示す図であり、図3は、その測定車両10の外観を示す図である。
図2,3に示すように、測定車両10は、
測定車両10における点群データ及び画像データの取得動作全体を制御する制御部11と、
取得した点群データ及び画像データ等を格納する情報格納部12と、
測定車両10の走行中又は停車中に道路周囲にレーザを照射するとともに、その反射光を受光して点群データを取得するレーザスキャナ13と、
測定車両10の現在位置情報を取得するGPS(Global Positioning System)14と、
測定車両10の車体の姿勢を示す情報を取得するIMU(Inertial Measurement Unit)15と、
計時を行う計時部16と、
道路及びその周囲の風景を撮影するカメラ17と、
測定車両10の走行距離を計測するオドメータ18と、
ネットワーク又は情報記録媒体と接続して情報の入出力を行う情報入出力部19と
を有して構成される。
測定車両10が道路を走行中又は停車中、レーザスキャナ13は、道路周囲の対象物(道路構造物、道路周囲の建造物・設置物を含む)にレーザを発射し、その反射光を受光する。このとき、レーザスキャナ13は、発射時・受光時の時刻を計時部16から取得得るとともに、発射方向(角度)を検出して点群データを取得する。
また、情報格納部12にはレーザスキャナ13の測定車両10の車体との相対的な位置・照射角度・受光角度の関係等の情報が格納されており、測定車両10の現在位置に基づいて、レーザスキャナ13の現在位置及び姿勢等が特定可能に構成されている。
また、情報格納部12にはカメラ17の撮影角度、画角、測定車両10の車体との相対的な位置・角度の関係等の情報が格納されており、測定車両10の現在位置に基づいて、カメラ17の現在位置及び撮影角度(姿勢)等が特定可能に構成されている。
IMU15は、ジャイロセンサと加速度センサとで構成され、測定車両10の車体の姿勢を計測する。ジャイロセンサは測定車両10の3軸方向xyzそれぞれの角速度を検出し、加速度センサは測定車両10の3軸方向xyzそれぞれの加速度を検出する。
IMU15は、測定車両10の3軸方向xyzそれぞれの角速度と加速度とを示すデータを慣性データとして生成する。慣性データには、計時部16から取得した検出時刻(取得時刻)毎に角速度と加速度とが設定されている。
格納後、情報入出力部19により上記点群データ及び画像データはデータ生成装置20に出力される。
図4は、本発明の実施の形態におけるデータ生成装置20の構成を示す図である。
データ生成装置20は、道路管理事業者等により操作されるPC等の情報処理装置であって、上述した測定車両10により取得された点群データ及び画像データに基づいて、後述するカラー点群データ及び重畳画像データを生成する。
データ生成装置20は、CPU等から構成されデータ生成装置20全体の動作を制御する制御部21と、入力した情報やネットワークを介して受信した情報等を格納する情報格納部22と、ネットワークを介して情報の送受信を行う通信部23と、ディスプレイ等から構成され情報を画面表示する表示部24と、キーやマウス等から構成され情報の入力等を行う操作部25とを有して構成される。
〔1〕データの取得・生成
(1)点群データの取得
測定車両10の走行中又は停車中に、レーザスキャナ13は、道路周囲にレーザを照射する。このとき、レーザの光軸は仰俯角及び方位角を変えることにより垂直方向及び水平方向に走査され、走査範囲内にて微小角度ごとにレーザパルスが発射される。そして、レーザスキャナ13は、その発射したレーザの反射光を受光する。
また、制御部11は、このレーザの発射時刻及び対象物の反射光の受光時刻を計時部16から取得し、このレーザの発射から反射光を受光するまでの時間に基づいてレーザスキャナ13と対象物との間の距離を計測する。
さらに、レーザスキャナ13は、受光した反射光の光強度を測定する。
これら各情報は、計時部16により計時される時刻情報とそれぞれ対応付けられ、情報格納部12に格納される。
制御部11は、上記レーザスキャナ13と対象物との間の距離、レーザスキャナ13の位置・姿勢を示す情報といった各情報に基づいて、レーザパルスを反射した対象物を構成する各座標点の空間座標(三次元座標)を表す点群データを算出する。
例えば、上記各座標点の座標の「1」が「10km」を示すといったように、座標は実際の距離と変換可能な数値であるものとする。
図に示すように、情報格納部12には、点群データとして、測定した各座標点の空間座標(X,Y,Z)と、その受光した反射光の光強度とがそれぞれ対応付けられて格納されている。
図6は、本発明の実施の形態における点群データの画像表示例を示す図である。
図に示すように、点群データは、各座標点(X,Y,Z)の集合により画像を表す。
測定車両10は、道路上を走行中又は停車中に、カメラ17で道路周囲を撮影し、画像データ(カラー)を取得する。
制御部11は、その画像データとともに、その撮影した時刻を計時部17から取得し、これらを対応付けて情報格納部12に格納する。
また、制御部11は、カメラ17の位置・姿勢は、測定車両10の位置・姿勢と一定の関係にあることから、測定車両10の位置・姿勢の情報に基づいて、上記画像撮影時のカメラ17の位置・姿勢を求める。
図の例では、撮影された画像データ(撮影画像)を、撮影時のカメラ17の位置・姿勢に対応付けられて情報格納部12に格納されている。
図8は、本発明の実施の形態における画像データの画像表示例を示す図である。
図に示すように、画像データは、通常のカメラ等で撮影された静止画又は動画を表す。
上記のように、収納装置10が点群データ及び画像データを取得した後、データ生成装置20は、これら点群データ及び画像データをネットワークを介して、又は情報記録媒体を介して測定車両10から取得する。
データ生成装置20は、これら取得したデータに基づいて、画像データに点群データを重畳したデータである重畳画像データを生成する。
図9は、本発明の実施の形態における空間座標を平面に投影し平面座標を求めることを説明するための図である。
図に示すように、データ生成装置20は、抽出した各座標点(X,Y,Z)を、視点の座標を(Px,Py,Pz)としたときに、撮影画像の座標系(投影座標点)(x,y)に投影した座標を求める。
このように、点群データにおける各座標点(X,Y,Z)を、撮影画像の座標系(x,y)に投影した座標を求めたことから、各座標点(X,Y,Z)は、撮影画像に投影された投影座標点(x,y)と対応付けられる。
データ生成装置20は、これを利用して、撮影画像上の各投影座標点(x,y)に対して、これに対応する各座標点の座標(X,Y,Z)を重畳した画像データ(重畳画像データ)を作成することができる。
図の例では、画像データ(撮影画像)と、その画像データ(撮影画像)の各投影座標点(x,y)に色データ(RGB)と各座標点の座標(X,Y,Z)とが対応付けられてデータ生成装置20に格納されている。
また、データ生成装置20は、各重畳画像データを、撮影画像ごとに管理することが可能であり、各重畳画像データに点検対象物の名称(例えば「表・下部工」等)を入力し、対応付けて格納することにより、操作者は、調べたい点検対象物の形状や現況等を容易かつ迅速に検索することが可能となる。
また、空間座標を平面に投影する際、視点の座標を変更することにより、あらゆる角度から見た任意の表示倍率の重畳画像データの画像を生成することができる。例えば、運転者の視点からの画像を生成することもできるし、垂直方向上方の視点からの画像(鳥俯瞰図)を生成し通常の平面地図と同様に利用することもできる。
また、データ生成装置20は、上記のように、測定車両10から取得した画像データ及び点群データに基づいて、色付けされた点群データであるカラー点群データを生成する。
データ生成装置20は、画像データに含まれる撮影画像及び撮影時のカメラ17の位置・姿勢・画角に基づいて、撮影画像の視野内にある点群データの各座標点(X,Y,Z)を抽出する。
次に、データ生成装置20は、図9に示すように、抽出した各座標点(X,Y,Z)を、撮影画像の座標系(投影座標点)(x,y)に投影した座標を求める。さらに、データ生成装置20は、投影した座標に相当する、例えば撮影画像中の色(RGB値)を投影前の座標点(X,Y,Z)の色とする。
図11は、本実施の形態におけるカラー点群データの一例を示す図である。
図の例では、各座標点ごとに、空間座標、受光した反射光の光強度、色データ(RGB値)が互いに対応付けられて、カラー点群データとしてデータ生成装置20に格納されている。
データ生成装置20は、さらに、各地点に対して地図座標点の座標(X,Y)の情報が対応付けられている地図データを格納している。この地図座標点の各座標(X,Y)は点群データの各座標点(X,Y,Z)のXY座標と同一又は変換可能に設定されている。以下、本実施の形態では両座標のXY座標は一致しているものとして説明を進める。
これにより、データ生成装置20は、地図データ上で地図座標点(X,Y)が指定されると、その地図座標点(X,Y)に紐付けられている点群データの座標点(X,Y,Z)を抽出し、その抽出した座標点(X,Y,Z)及びその座標点から所定距離内の各座標点(X,Y,Z)を含む点群データを表示することができる。
さらに、データ生成装置20は、これら各種データに加えて、点検対象物の名称(例えば「表・下部工」等)、点対象物の識別番号(例えば、橋脚番号)、及び近辺の距離標等のデータも紐付けて管理することができ、操作者が、操作部25を用いて検索キー(識別番号、距離標等)を入力して、点検対象物の検索を行うことができるという点検結果台帳機能も備えるものである。
また、操作者は、操作部25を用いて、点検対象物の名称を検索キーとして入力し、データ生成装置20はその検索を実行することにより、同種の道路構造物について迅速に検索することができ、緊急点検業務のリードタイムの短縮が可能となる。
次に、上記点群データ利用システムを用いて、道路及び道路周囲の設置物等の破損を検出する下記の(1)〜(4)の方法について説明する。
なお、以下、点群データと表記したとき、特記しない限り、カラー点群データも含まれるものとする。
(1)凹凸に基づく点検方法
(2)曲率に基づく点検方法
(3)レーザ強度に基づく点検方法
(4)色データに基づく点検方法
図12は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムによる凹凸に基づく点検方法の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、点群データを利用し、表面が平面を形成する点検対象物(道路構造物)の凹凸を検知して損傷の有無を点検するときのデータ生成装置20の動作について説明を進める。
次に、操作者は、操作部25を用いて、表示部24上に表示させた点群データ上の所定の点を指定して、又は線で囲んで領域を指定して点検対象物の領域を残すようにトリミング処理を行う(ステップS102)。
このとき、指定された領域の各座標点の座標(X,Y,Z)のみが複製されて情報格納部22に格納される。
すると、制御部21は、その指定された投影座標点に対応する各座標点(X,Y,Z)を含む平面を仮想基準平面として生成する(ステップS104)。
表面が平面を形成する点検対象物においては、その表面に凹凸がない場合、損傷がないと判断できる。上記仮想基準平面は、その点検対象物において、損傷等がない理想的な状態の表面を仮想的に表したものである。
なお、上記仮想基準平面については、従来の方法で作成される平面でよく、例えば、最小二乗法による回帰平面であってもよい。
図13は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムによる曲率に基づく点検方法の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、点群データを利用し、表面が平面を形成する点検対象物(道路構造物)の曲率を検知して損傷の有無を点検するときのデータ生成装置20の動作について説明を進める。
次に、操作者は、操作部25を用いて、表示部24上に表示させた点群データ上の所定の点を指定して、又は線で囲んで領域を指定して点検対象物の領域を残すようにトリミング処理を行う(ステップS202)。
このとき、指定された領域の各座標点の座標(X,Y,Z)のみが複製されて情報格納部22に格納される。
すると、制御部21は、その指定された投影座標点に対応する各座標点(X,Y,Z)を含む平面又は曲面を仮想基準面として生成する(ステップS204)。
この曲率の計算方法としては、仮想基準面を表示部24上に表示した後に、操作部25により仮想基準面上の2点を指定し、制御部21がその2点を両端とする仮想基準面上の線分の曲率を計算するようにしてもよい。
また、この線分を仮想基準面上で複数指定するようにしてもよい。
従って、仮想基準面上の線分が高いほど、点検対象物の表面の一部が突出又は窪んでいると判断可能である。
制御部21は、上記仮想基準面の曲率が所定値以上、すなわち、点検対象物の表面の一部に突出又は窪んでいる箇所が認められる場合には(ステップS206/Yes)、色を変える等、特徴的な表示を行う(ステップS207)。
その仮想基準面上において曲率が所定値以上を示した箇所は、一定以上突出したり、窪んだりしている箇所であるので、道路管理事業者は、その特徴点の箇所にしぼって破損等があるかどうか念入りに点検することができ、不陸等の破損個所を容易に発見することが可能となる。
図14は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムによるレーザ強度に基づく点検方法の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、点検対象物(道路構造物)を形成する点群データの各座標点(X,Y,Z)のレーザ強度に基づいて点検対象物の損傷の有無を点検するときのデータ生成装置20の動作について説明を進める。
次に、表示部24上に表示させた点群データ上の所定の点を指定して、又は線で囲んで領域を指定して点検対象物の画像を残すようにトリミング処理を行う(ステップS302)。
このとき、指定された領域の各座標点の座標(X,Y,Z)のみが複製されて情報格納部22に格納される。
なお、S303において点を複数指定した場合には、それら指定した点の光強度の平均値等、これら複数の光強度を考慮した値を基準として、S304において特徴点の抽出を行うようにしてもよい。
当該特徴点は、他の投影座標点(x,y)と比べて反射光の光強度が著しく異なるので、そのレーザが照射された点の材質等も異なると判断できる。
例えば、コンクリート壁表面が破損して下層の別の材質が露出している箇所や、破損により表面に凹凸がある場合は、他の箇所と比べて光強度が異なるので、操作者は、その特徴点の箇所にしぼって破損等があるかどうか念入りに点検することができ、不陸等の破損個所を容易に発見することが可能となる。
図15は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムによる色データに基づく点検方法の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、点検対象物(道路構造物)を形成する点群データの各座標点(X,Y,Z)の色データに基づいて点検対象物の損傷の有無を点検するときのデータ生成装置20の動作について説明を進める。
次に、表示部24上に表示させた重畳画像データ上の所定の点を指定して、又は線で囲んで領域を指定して点検対象物の画像を残すようにトリミング処理を行う(ステップS402)。
このとき、指定された領域の各座標点の座標(X,Y,Z)のみが複製されて情報格納部22に格納される。
すると、制御部21は、その指定された投影座標点の色データ(RGB)の値から所定値以上乖離した投影座標点を特徴点として抽出する(ステップS404)。このとき、例えば、RGB値のうち1つでも乖離していれば特徴点として抽出するようにしてもよい。
なお、S403において点を複数指定した場合には、それら指定した点のRGB値の各平均値等、これら複数のRGB値を考慮した値を基準として、S404において特徴点の抽出を行うようにしてもよい。
当該特徴点は、他の投影座標点(x,y)と比べて色が著しく異なるので、そのレーザが照射された点の材質等も異なると判断できる。
操作者は、その特徴点の箇所にしぼって破損等があるかどうか念入りに点検することができ、例えば、コンクリート壁表面が破損して下層の別の材質が露出していると推測される箇所等を容易に発見することが可能となる。
図16は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムによる異なる時期の凹凸に基づく点検方法の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、点群データを利用し、表面が平面を形成する点検対象物(道路構造物)の凹凸を異なる複数の時期で比較して、損傷の有無を点検するときのデータ生成装置20の動作について説明を進める。
次に、操作者は、操作部25を用いて、表示部24上に表示させた点群データ上の所定の点を指定して、又は線で囲んで領域を指定して点検対象物の領域を残すようにトリミング処理を行う(ステップS502)。
このとき、指定された領域の各座標点の座標(X,Y,Z)のみが複製されて情報格納部22に格納される。
すると、制御部21は、その指定された投影座標点に対応する各座標点(X,Y,Z)を含む平面を上記仮想基準平面として生成する(ステップS504)。
次に、ステップS502〜S505の処理と同様にして、この異なる時期に取得した同一の位置の点群データについても特徴点として抽出する(ステップS507〜S510)。
次に、点群データを道路管理事業における各業務に有効利用する下記の(1)〜(4)の方法について説明する。
次に、上記点群データ利用システムを用いて、道路及び道路周囲の設置物等の破損を検出する下記の(1)〜(5)の方法について説明する。
なお、以下、点群データと表記したとき、特記しない限り、カラー点群データも含まれるものとする。
(1)2点間距離の計測方法
(2)道路構造物の図面の作成方法
(3)道路の図面の作成方法
(4)作業シミュレーション
(5)交通規制シミュレーション
(6)解析用FEMモデル図の作成
図17は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムによる2点間距離の計測方法の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、点群データを利用して、画面上の2点間の実際の距離を計測する方法について説明を進める。
このとき、制御部21は、点群データにおいて、指定された2点の投影座標点(x,y)に対応付けられた各座標点の座標(X,Y,Z)を抽出する(ステップS1103)。
そして、制御部21は、その算出した2点間の距離を表示部24上に表示させる(ステップS1105)。
図の例では、指定した2点間の空間距離、XY平面上の距離及びZ軸上の距離が示されている。
図19は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムによる道路構造物の図面の作成方法の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、点群データを利用して、画面上に表示される道路の建造物・設置物について図面を作成する方法について説明を進める。
このとき、指定された領域の各座標点の座標(X,Y,Z)のみが複製されて情報格納部22に格納される。
次に、操作者は、操作部25を用いて、作成図面に相当する角度まで回転させた画像上の点をプロットし、線をなぞって作成目的の図形を描画する(ステップS1204)。
なお、立体図を作成する場合には、一方の視点から描画した後に、さらに回転させて立体図形を構成する全ての輪郭を描画する。
また、上記点をプロットすることにより、当該プロットした点の空間座標が特定され、これら点間を結ぶようになぞって線を形成することにより、各点間に形成される線(例えば直線)の空間座標も設定されることは明らかである。
図20は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムによる道路の走行方向の図面の作成方法の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、点群データを利用して、画面上に表示される道路の走行方向の垂直方向の断面図を作成する方法について説明を進める。
次に、図21に示すように、操作者は、操作部25を用いて、表示部24上に表示させた点群データ上の図面作成対象の道路の走行方向に沿って複数の座標点(X,Y)を指定し、当該指定した複数の点において隣接する2点間を結んで折れ線を形成する(ステップS1302)。
すると、制御部21は、その折れ線上の座標点(X,Y)に対応するZ座標を抽出する(ステップS1303)。
次に、制御部21は、その抽出したZ座標を示すグラフを作成し、表示する(ステップS1304)。
図22は、その道路の走行方向のZ座標を連続的に示したグラフの一例である。
図に示すグラフは、折れ線に沿った道路のZ軸方向の断面図として使用することができる。当該断面図を確認することにより、操作者は、道路の走行方向における標高の変化を容易に把握することが可能となる。
図23は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムによる道路の幅方向の図面の作成方法の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、点群データを利用して、画面上に表示される道路の幅方向の垂直方向の断面図を作成する方法について説明を進める。
次に、図21に示すように、操作者は、操作部25を用いて、表示部24上に表示させた点群データ上の図面作成対象の道路の幅方向に沿って道路両端の2点の座標点(X,Y)を指定し、当該指定した2点間を結んで線を形成する(ステップS1402)。
すると、制御部21は、その線上の座標点(X,Y)に対応するZ座標を抽出する(ステップS1403)。
次に、制御部21は、その抽出したZ座標を示すグラフを作成し、表示する(ステップS1404)。
図24は、その道路の幅方向のZ座標を連続的に示したグラフの一例である。
図に示すグラフは、折れ線に沿った道路のZ軸方向の断面図として使用することができる。当該断面図を確認することにより、道路の轍の凹凸状態を容易に把握することができ、道路の補修工事のスケジューリングも容易となる。
図25は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムによる道路管理事業の作業シミュレーションの方法の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、点群データを利用して、道路の補修作業等の道路管理事業における作業についてシミュレーションを行う方法について説明を進める。
ここで、指定方法については、地図データから当該地点を指定してもよいし、管理している点群データを表示部24上に表示させた後で、操作部25によりシミュレーションを行う作業対象を指定してもよい。
この仮想作業車両とは、実際に存在する道路管理事業における作業車両と同一のサイズ及び可動領域を有するものを仮想的に作成したデータであり、データ生成装置20の情報格納部22に格納されている。この仮想作業車両は、例えば、CADデータで作成される。
ここで、データ生成装置20において、線により囲まれた領域を「閉じた面」として認識し、複数の面で囲まれた領域を「閉じた空間」として認識するとき、仮想作業車両は、この「閉じた空間」で表される仮想的な物体として認識される。
データ生成装置20の制御部21は、上記認識により、この「閉じた空間」の内側と外側とを判定できるものとする。
従って、各座標点(X,Y,Z)の間隔が、仮想作業車両のいずれかのサイズ等よりも狭い場合は、その各座標点(X,Y,Z)間を通過することはできない。
この制約により、仮想作業車両は、各座標点(X,Y,Z)により形成される路面上を通過することなく、現実と同様に配置することができる。
また、仮想作業車両がガードレール等の障害物を通過して移動することを規制したり、電線等の障害物を通過して作業することを規制したりして、現実に即したシミュレーションを行うことが可能となる。
次に、操作者は、操作部25を用いて、仮想作業車両を路面上等に配置する(ステップS1503)。
次に、操作者は、仮想作業車両を道路上を移動させたり、その作業部位(クレーン等)を回転・伸縮等可動させ、点群データで構成された建造物や設置物と接触しないように作業可能であるか否かシミュレーションを行う(ステップS1504)。
図に示すように、点群データの各座標点(X,Y,Z)で示された道路上に仮想作業車両を配置し、クレーン等の作業部位を可動させて、ガードレール等の障害物に接触しないよう作業可能か否かシミュレーションを行うことができる。
なお、上述のとおり、点群データは、視点を変更させ、画像を任意の角度に回転させたり、任意の倍率に拡大縮小表示させることが可能であり、操作者は、操作部25を用いて、画像を回転させ、あらゆる角度からシミュレーションを行い、作業実行の可否を検討することができる。
また、操作者は、データ生成装置20に表示される三次元点群データを用いた作業シミュレーションの出力結果に基づいて、操作方法の手順が書かれたダイヤグラム等を作成し、これを作業員に渡して作業指示を行うことにより、作業員が作業車両を的確に操作することが可能となる。
図27は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムによる道路管理事業の交通規制シミュレーションの方法の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、点群データを利用して、工事や事故のため道路を一時封鎖するといった道路管理事業における交通規制についてシミュレーションを行う方法について説明を進める。
ここで、指定方法については、地図データから当該地点を指定してもよいし、垂直方向上方の視点からの点群データを表示部24上に表示させた後で、操作部25によりシミュレーションを行う地点を指定してもよい。
この仮想設置物は、上記の仮想作業車両と同様に「閉じた空間」で表される仮想的な物体として認識される。
すなわち、コーンや看板等の仮想設置物は、仮想作業車両と同様に、点群データ上の路面上に配置することができ、障害物を通過することは規制される。
次に、操作者は、操作部25を用いて、仮想設置物が配置された点群データの視点を動かしたり、表示倍率を変更させて、設置されたコーンや看板がドライバーや作業者の視点でどのように見えるかについて否かシミュレーションを行う(ステップS1604)。
図28は、本発明の実施の形態における点群データ利用システムによる交通規制シミュレーション画面の一例を示す図である。
図に示すように、点群データの各座標点(X,Y,Z)で示された道路上にコーンや看板等の仮想設置物を配置して画像の視点や倍率を変更させることにより、通行車両が交通規制エリアに近づいてきたときに、そのドライバーに交通規制が認識しやすいかどうかについてシミュレーションを行うことができる。
これまで、構造物のFEM解析を行う場合には、既存の図面や現場測量の結果を基に解析用の図面を作成し、この作成図面を用いてメッシュ図を描画し、解析用モデルの作成を行なってきた。
本実施の形態における点群データ利用システムにおいては、点群データを用いて作成された道路構造物の図面を基に構造物のFEM解析用モデル(三次元データ)の作成が可能である。
その方法は、点群データを用いて上記「(2)道路構造物の図面の作成方法」又は「(3)道路の図面の作成方法」で作成された道路構造物の三次元図面を基に、解析を行うための任意に設定する間隔のメッシュ図を描図することにより実現する。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、測定車両10は点群データ及び画像データを取得し、データ生成装置20は、これら取得した点群データ及び画像データに基づいて、道路及び道路周囲の点検対象物(道路構造物)の異常個所を検出し、表示するので、道路管理事業者は、事前にわざわざ損傷が疑われる点検対象物がある場所まで赴かなくても、その損傷の有無を容易に判断することが可能となる。
また、上記の測定車両10のモービルマッピングシステム又はデータ生成装置20をソフトウェアモジュール群として構成する場合、このプログラムは、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、または半導体等の記録媒体に記録され、上記の記録媒体からロードされるようにしてもよいし、所定のネットワークを介して接続されている外部機器からロードされるようにしてもよい。
例えば、本実施の形態では、道路構造物の点検を目的としていたが、道路とは独立した物であっても、道路周辺の建造物や設置物といった点群データが取得可能な物であれば、道路構造物と同様に、点群データを用いた各種分析(損傷の検出、図面の作成、シミュレーション等)を行うことができる。
また、本実施の形態では、点群データ利用システムを道路管理事業に利用していたが、この「道路」は狭義の「道路」にとどまらず、様々な「交通網」の意味を含む。すなわち、本実施の形態における点群データ利用システムは、他の事業分野にも適用可能である。例えば、鉄道等の他の交通管理事業にも利用可能であり、この場合、列車等の移動手段が測定車両10と同様の機能を備え、各種データの取得を行う。
例えば、測定車両10が走行できない程の狭い道路等(河川管理道、公園管理道、舗装未整備の道路)は、測定車両10として小型の軽車両を用いる。
また、軽車両さえも進入できない場所には、手持ち型の計測装置を用いて、あるいは背負子に測定装置を載せて、人間が徒歩で計測する。
例えば、空中から計測する場合には、有人航空機の他、UAV(Unmanned aerial vehicle,無人航空機)やドローンに計測装置を搭載する。このうち、ドローンは、例えば橋梁下部の計測に利用することができる。
また、海、河川、湖又は水路等の水上から計測する場合には、有人船舶の他、無人のフロートボートに計測機器を搭載する。この場合、水部の計測、桟橋部の計測、橋脚の洗掘状況の把握等に用いることができる。
上記本発明の実施の形態において、「道路構造物の図面の作成方法」について説明した。その方法では、点群の任意の点をプロットし、線をなぞって図形を描画して、図面を作成していた。
これに対し、以下説明する本発明の実施の形態の他の例においては、点群から自動的に道路構造物の輪郭線を抽出して、当該道路構造物の図面を作成する。
以下、本実施の形態の他の例について説明を進める。
図29は、本発明の実施の形態の他の例における点群データ利用システムによる道路構造物の図面の作成方法の動作の流れを示すフローチャートである。
以下、本図に沿って、点群データを利用して、画面上に表示される道路の建造物・設置物について図面を作成する方法について説明を進める。
このとき、指定された領域の各座標点の座標(X,Y,Z)のみが複製されて情報格納部22に格納される。
例えば、断面図を作成する場合には、視点を設定するとともに、その視点から断面までの奥行きの距離等を指定して、道路構造物のどの断面を作図するかを設定する。
図30は、本発明の実施の形態の他の例において、図面作成対象物の画像を微小領域に分割し、その一部を例示した図である。
本図の例では、点群により表現されている図面作成対象物の画像の表示領域が、縦6マス、横5マスの計30マスの正方形の微小領域に分割されている。
なお、本図に示す例は、簡単に説明するために、図面作成対象物の一部を抜き出したものであり、実際は、さらに広範囲の画像が表示されてもよい。
図31は、本発明の実施の形態の他の例において、図面作成対象物の画像の一部について点群(座標点)が含まれると判定された微小領域のみを斜線で塗りつぶして表したものである。
このとき、制御部21は、例えば、隣接する微小領域がない微小領域に対して、最外郭の微小領域と判定する。
なお、この隣接する微小領域には、当該微小領域を形成する各辺(縦横)同士が互いに接する又は共有されているものの他、頂点同士が接する又は共有されているものも含むようにしてよい。
図の例では、正方形状の微小領域の中心を直線で結んで輪郭線を形成している。
なお、あくまでこれは一例であり、微小領域内のどの点を通過するようにして輪郭線を形成するかは適宜変更可能である。
また、本図の例では、輪郭線を直線(折れ線)で表しているが、微小領域内の各点を通過するように曲線(B−Spline曲線等,NURBS曲線も含む)の輪郭線を形成するようにしてもよい。
図に示す例では、高速道路の構造体の点群データの画像に沿って、上記の方法により輪郭線が描画されている。
なお、当該必要な線を追加して描画する方法としては、上記ステップS1204において説明したように、操作者は、操作部25を用いて、作成図面に相当する角度まで回転させた画像上の点をプロットし、各点間を結ぶように線をなぞることで追加の線の描画を行う。
また、不要な線を削除する方法としては、実際に描画されている線自体をなぞって、当該不要な線を指定して削除するようにしてもよい。
このように、仮に自動に抽出した輪郭線だけでは、図形作成対象物の輪郭線が適切に表現されていない場合には、輪郭線を手動で適宜、追加及び削除することができる。
また、立体図を作成する場合には、一方の視点から描画した後に、さらに回転させて立体図形を構成する全ての輪郭を描画する。
また、これら作成した図形作成対象物(道路構造物)の平面図及び立体図を用いて、二次元又は三次元CADデータを容易に作成することができる。
11,21 制御部
12,22 情報格納部
13 レーザスキャナ
14 GPS
15 IMU
16 計時部
17 カメラ
18 オドメータ
19,23 情報入出力部
20 データ生成装置
24 表示部
25 操作部
Claims (1)
- 空間座標情報を有する点群データを道路(狭義の道路の他、鉄道を含む)の管理事業における対象物(道路構造物、道路周囲の建造物・設置物を含む)の管理業務に利用する点群データ利用システムであって、
前記対象物の点群データを取得する測定装置と、
前記測定装置により取得された点群データに基づいて前記対象物を表示するデータ生成装置とを有し、
前記データ生成装置は、図面作成対象物の画像を含む前記点群データを画面上に表示し、前記図面作成対象物の画像を含む前記点群データが表示されている領域を複数の微小領域に分割し、該分割した各微小領域内に前記点群データの点群の点が含まれるか否かを判定し、該点が含まれる微小領域のうち最外郭のものを通過するように前記対象物の輪郭線を描画して、図面作成対象物の平面図面又は立体図面を作成することを特徴とする点群データ利用システム。
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