JP6284240B2 - 構造物情報提供システム - Google Patents

構造物情報提供システム Download PDF

Info

Publication number
JP6284240B2
JP6284240B2 JP2015019759A JP2015019759A JP6284240B2 JP 6284240 B2 JP6284240 B2 JP 6284240B2 JP 2015019759 A JP2015019759 A JP 2015019759A JP 2015019759 A JP2015019759 A JP 2015019759A JP 6284240 B2 JP6284240 B2 JP 6284240B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
information
data
point cloud
road
management server
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015019759A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016142662A (ja
Inventor
宏一 前川
宏一 前川
石田 哲也
哲也 石田
浩 土橋
浩 土橋
和宏 津野
和宏 津野
晶夫 菅野
晶夫 菅野
裕司 矢野
裕司 矢野
敏範 尾暮
敏範 尾暮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Tokyo NUC
Original Assignee
University of Tokyo NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=56570307&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP6284240(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by University of Tokyo NUC filed Critical University of Tokyo NUC
Priority to JP2015019759A priority Critical patent/JP6284240B2/ja
Publication of JP2016142662A publication Critical patent/JP2016142662A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6284240B2 publication Critical patent/JP6284240B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、構造物情報提供システムに関し、特に、構造物の解析に用いられる情報を提供する構造物情報提供システムに関する。
道路やその周辺に配置されている橋梁等の道路構造物は、経年劣化や事故等により損傷が生じたり、将来的に生じるおそれがあったりすることから、補修補強工事を行うことが必要となる場合がある。
この場合、補修補強工事を担当する道路管理者は、補修補強方法を検討するに際し、事前に、その補修補強工事の対象の道路構造物のしゅん功図書を調べて、その道路構造物の材料や構造を把握し、これらの項目を基に解析ソフトウェアを利用して道路構造物の構造や耐久度の解析を行う。
これら構造物の解析ソフトウェアには、コンクリート構造物の非線形動的解析/静的解析、応答挙動を行うWCOMDやCOM3がある。これらWCOMDやCOM3は、地震による振動が構造物に与える影響についてシミュレートすることにより、構造物の安全性の評価やダメージレベルの検討ができ、より合理的で適切な構造物の設計を行うことが可能である。
また、上記構造物の耐久度を解析するソフトウェアには、セメント硬化体を形成するC−S−Hゲル粒子群からなる無機複合材料の微細構造モデルと物質の平衡・移動を時間軸・空間軸上で追跡するDuCOMがある。DuCOMを用いることにより、硬化コンクリートの時系列上任意の点における一軸圧縮強度、水和率、中性化度、水和率、透水係数等の各種性状について推定することが可能である。
上記解析用ソフトウェアの他、同様の解析を行う従来技術として、特許文献1が開示するところの鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法が提案されている。
特許文献1の鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法は、設計図書(しゅん功図書)などから入手したコンクリートの配合などの材料物性データに基づき、所定の確率分布などに沿って鉄筋の腐食確率を予測し、コンクリート構造物の劣化を予測するというものである。
特開2005−17157
しかしながら、上記特許文献1の鉄筋コンクリート構造物の劣化予測方法では、上述のとおり、コンクリートの配合及びスランプや強度の実験結果といった劣化予測に必要なデータを入力するにあたり、わざわざしゅん功図書などに記載された内容を調べたり、実際の施工現場に赴いて調査したりという煩雑な作業が欠かせず、効率よく劣化予測を行うことが困難であるという問題がある。
さらに、上記しゅん功図書は、施工担当者が施工範囲単位で書籍やデータとして個別に保管しているため、該当するしゅん功図書を探すのに時間等を有する他、しゅん功図書の中から該当箇所のデータを見つけるのにも時間を要してしまう。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされるものであり、道路構造物の補修補強等の道路管理事業を行う際に、道路構造物の解析に必要なデータを容易に取得し、道路管理業務を効果的に軽減する構造物情報提供システムを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明は、構造物の構成部品、配合、材料強度、スランプ実験の結果又は施工条件を示す構造物データと構造物の位置を示す情報とを対応付けて格納する管理サーバと、ネットワークを介して管理サーバから受信した情報の出力が可能なユーザ端末とを有して構成され、管理サーバは、構造物及び地形を多数の点の集合である点群で表し、点群を構成する各点の空間座標を含む点群データを格納し、点群で表される構造物及び地形から任意の範囲を選択する情報とともに、構造物データを指定する情報をユーザ端末から受信すると、選択された範囲に含まれる点の空間座標の情報と指定された構造物データとを対応付けて格納し、点群を構成する点の位置を示す情報の指定情報をユーザ端末から受信すると、位置を示す情報に対応付けられた構造物データを抽出しユーザ端末へ送信することを特徴とする。
また、本発明によれば、管理サーバは、地図上の位置の座標と点群の空間座標とが対応付けられている地図データを格納し、地図上の任意の範囲を選択する情報とともに、構造物データを指定する情報をユーザ端末から受信すると、選択された地図上の範囲に含まれる座標の情報と指定された構造物データとを対応付けて格納し、地図上の位置を示す情報の指定情報をユーザ端末から受信すると、位置に含まれる座標の情報に対応付けられた構造物データを抽出しユーザ端末へ送信することを特徴とする。
また、本発明によれば、管理サーバは、抽出した構造物データが複数ある場合、複数の構造物データのリストの情報をユーザ端末へ送信し、構造物データのリストの情報から構造物データが選択された旨の情報をユーザ端末から受信すると、選択された構造物データをユーザ端末へ送信することを特徴とする。
また、本発明によれば、管理サーバは、構造物データとして、構造物の製造過程の点群データを含むことを特徴とする。
また、本発明によれば、管理サーバは、構造物データとして、構造物を示す情報と、構造物を構成する構成部品を示す情報とを互いに対応付けて格納することを特徴とする。
また、本発明によれば、管理サーバは、構造物データとして、配合、強度試験結果、スランプ試験結果、及び施工条件のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。
また、本発明によれば、管理サーバは、構造物の解析用ソフトウェアの解析に必要な項目の情報を構造物データから抽出し、解析用ソフトウェアに入力することを特徴とする。
また、本発明によれば、管理サーバは、構造物のFEM解析に用いるFEMモデルの図形情報を、FEMモデルに該当する構造物の構成部品の位置情報に対応付けて格納し、位置情報をユーザ端末から受信すると、受信した位置情報に対応付けられたFEMモデルを用いてFEM解析を実行することを特徴とする。
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明における構造物情報提供システムによれば、構造物の構造又は性質等を示す構造物データと構造物の位置を示す情報とを対応付けて格納する管理サーバと、ネットワークを介して管理サーバから受信した情報の出力が可能なユーザ端末とを有して構成され、管理サーバは、位置を示す情報の指定情報をユーザ端末から受信すると、位置を示す情報に対応付けられた構造物データをユーザ端末へ送信するので、構造物の構造や性質等を容易に把握することが可能となる。
本発明の実施の形態における構造物情報提供システムの構成を示す図である。 本発明の実施の形態における測定車両の構成を示す図である。 本発明の実施の形態における測定車両の外観を示す図である。 本発明の実施の形態における管理サーバの構成を示す図である。 本発明の実施の形態におけるユーザ端末の構成を示す図である。 本発明の実施の形態における構造物情報提供システムによる全体動作の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における点群データの一例を示す図である。 本発明の実施の形態における空間座標を平面に投影し平面座標を求めることを説明するための図である。 本発明の実施の形態における点群データによる立体画像の表示例を示す図である。 本発明の実施の形態における画像データの一例を示す図である。 本発明の実施の形態における画像データの画像表示例を示す図である。 本実施の形態における重畳画像データの一例を示す図である。 本実施の形態におけるカラー点群データの一例を示す図である。 本発明の実施の形態における構造物情報提供システムによる点群データと構造物データとを対応付けるときの動作の流れを示すシーケンスチャートである。 本発明の実施の形態における点群地図情報において所定の領域を指定したときの一例を示す図である。 本発明の実施の形態における点群データの座標情報が対応付けられた構造物データのデータ構成の一例を示す図である。 本発明の実施の形態における点群データの立体画像において所定の領域を指定したときの一例を示す図である。 本発明の実施の形態における構造物情報提供システムによるFEMモデルの作成動作の流れを示すシーケンスチャートである。 本発明の実施の形態における構造物情報提供システムによるFEMモデルの作成動作の流れを示すシーケンスチャートである。 本発明の実施の形態における点群データの立体画像の一例を示す図である。 本発明の実施の形態における点群データの立体画像上に線を描画したときの図である。 本発明の実施の形態における点群データの立体画像から立体図形を抽出してFEMモデルを生成したときの図である。 本発明の実施の形態における道路構造物の構造物データの利用動作の流れを示すシーケンスチャートである。 本発明の実施の形態における道路構造物の構造物データの利用動作の流れを示すシーケンスチャートである。 本発明の実施の形態における道路構造物の構造物データの利用動作の流れを示すシーケンスチャートである。 本発明の実施の形態における点群地図情報において、構造物データを取得するために道路構造物を指定したときの一例を示す図である。 本発明の実施の形態における構造物データのデータ構成の一例を示す図である。
<構成>
(1)構造物情報提供システムの全体構成
本実施の形態における構造物情報提供システムは、道路構造物の形状、位置情報及び性質等を総合的に管理し、道路管理事業を行う道路管理事業者に提供するものである。
なお、本実施の形態において、道路構造物とは、道路及び道路周辺における構造物をいい、例えば、道路、ガードレール、中央分離帯、トンネル、橋脚等の構造体等をいう。
図1は、本発明の実施の形態における構造物情報提供システムの構成を示す図である。
図に示すように、構造物情報提供システムは、道路を走行しながら道路構造物及びその周囲の地形や形状をその位置情報とともに測定し、その測定結果を点群データとして取得する測定車両10と、当該道路構造物等の形状を示す点群データを測定車両10から取得して管理するとともに、当該道路構造物の構造や性質等に関する構造物データを管理する管理サーバ20と、道路管理事業者により操作される端末であって当該管理サーバ20からネットワークを介して上記点群データ及び構造物データを取得するユーザ端末30とを有して構成される。
以下、上記構造物情報提供システムを構成する測定車両10、管理サーバ20及びユーザ端末30の構成について、さらに詳細に説明する。
(2)測定車両10の構成
測定車両10は、道路を走行中又は停車中に、道路構造物及びその周囲の建造物や設置物について点群データを取得するとともに、撮影を行って画像データを取得する装置を搭載した車両である。
図2は、本発明の実施の形態における測定車両10の構成を示す図であり、図3は、その測定車両10の外観を示す図である。
図2,3に示すように、測定車両10は、
測定車両10における点群データ及び画像データの取得動作全体を制御する制御部11と、
取得した点群データ及び画像データ等を格納する情報格納部12と、
測定車両10の走行中又は停車中に道路周囲にレーザを照射するとともに、その反射光を受光して点群データを取得するレーザスキャナ13と、
測定車両10の現在位置情報を取得するGPS(Global Positioning System)14と、
測定車両10の車体の姿勢を示す情報を取得するIMU(Inertial Measurement Unit)15と、
計時を行う計時部16と、
道路及びその周囲の風景を撮影するカメラ17と、
測定車両10の走行距離を計測するオドメータ18と、
ネットワーク又は情報記録媒体と接続して情報の入出力を行う情報入出力部19と
を有して構成される。
本実施の形態において、測定車両10は、いわゆるモービルマッピングシステムの原理を利用して走行中又は停車中に道路及びその周囲の点群データを取得するものである。
測定車両10が道路を走行中又は停車中、レーザスキャナ13は、道路周囲の対象物(道路構造物、道路周囲の建造物・設置物を含む)にレーザを発射し、その反射光を受光する。このとき、レーザスキャナ13は、発射時・受光時の時刻を計時部16から取得得るとともに、発射方向(角度)を検出して点群データを取得する。
また、情報格納部12にはレーザスキャナ13の測定車両10の車体との相対的な位置・照射角度・受光角度の関係等の情報が格納されており、測定車両10の現在位置に基づいて、レーザスキャナ13の現在位置及び姿勢等が特定可能に構成されている。
カメラ17は、上記レーザスキャナ13による点群データの取得と同時に、道路周囲の風景等をカラーで撮影し、画像データを取得する。
また、情報格納部12にはカメラ17の撮影角度、画角、測定車両10の車体との相対的な位置・角度の関係等の情報が格納されており、測定車両10の現在位置に基づいて、カメラ17の現在位置及び撮影角度(姿勢)等が特定可能に構成されている。
GPS14及びオドメータ18は、測定車両10の車体の現在位置を計測する。
IMU15は、ジャイロセンサと加速度センサとで構成され、測定車両10の車体の姿勢を計測する。ジャイロセンサは測定車両10の3軸方向xyzそれぞれの角速度を検出し、加速度センサは測定車両10の3軸方向xyzそれぞれの加速度を検出する。
IMU15は、測定車両10の3軸方向xyzそれぞれの角速度と加速度とを示すデータを慣性データとして生成する。慣性データには、計時部16から取得した検出時刻(取得時刻)毎に角速度と加速度とが設定されている。
上記取得された点群データ及び画像データは、情報格納部12に格納される。
格納後、情報入出力部19により上記点群データ及び画像データは管理サーバ20に出力される。
(3)管理サーバ20の構成
図4は、本発明の実施の形態における管理サーバ20の構成を示す図である。
管理サーバ20は、道路管理事業者等により管理されるサーバ装置であって、上述した測定車両10から点群データ及び画像データを取得するとともに、これら取得したデータに基づいて点群データに関連するデータ(後述)を生成してともに管理する。
また、管理サーバ20は、上述のとおり、道路構造物の構造物データを格納している。
管理サーバ20は、ユーザ端末30からの要求に応じて、上記点群データや構造物データ等を提供するとともに、構造物データを用いて道路構造物の構造解析等を行い、その解析結果を提供する。
管理サーバ20は、CPU等から構成され管理サーバ20全体の動作を制御する制御部21と、入力した情報やネットワークを介して受信した情報等を格納する情報格納部22と、ネットワークを介して情報の送受信を行う通信部23とを有して構成される。
情報格納部22には、点群データと、点群データに関連するデータと、画像データと、構造物データと、地図データと、道路構造物について解析を行う解析用ソフトウェアと、その解析用ソフトウェアのデータベース等が格納されている。
点群データとは、測定車両10がレーザスキャナ13により照射したレーザ光の反射光を受光した場合、その反射したと推定される位置に点状にモデル化した物体が存在したと認識したときの当該点の空間座標情報(X,Y,Z)を含む情報をいう。
その点の集合を点群といい、道路構造物やこれを構成する構成部品等の物体は点群で表現される。すなわち、道路構造物や構成部品の空間位置は、複数の点群データにより定めることができる。
点群データは、画面上では微小な点の集合である点群で表示される。あらゆる視点及び拡大縮小率での表示が可能であり、例えば、道路を走行する自動車の搭乗者の視点からの立体画像で表示することもできるし、垂直上方からの見た平面地図状の画像を表示することもできる。
画像データは、測定車両10がカメラ17により撮影した画像のデータであり、動画及び静止画を含む。
点群データに関連するデータは、点群データを編集して生成されるデータであり、例えば、後述するカラー点群データ及び重畳画像データ等がある。
構造物データは、道路構造物の構造や性質等を示すデータであり、例えば、設計図の情報、強度試験等の試験結果、構成する部品の情報、施工担当者等を含む(詳しくは後述する)。
道路管理事業者は、構造物データを参照して、道路構造物の補修補強作業を行う。
地図データは、位置情報(緯度経度等の座標情報、住所情報)を含む地図のデータであり、道路や建造物(道路構造物を含む)の位置が示されている。
解析用ソフトウェアは、構造物データを入力することにより、該当する道路構造物について解析を行う解析用ソフトウェアであり、制御部21により実行される。
解析用ソフトウェアとしては、例えば、道路構造物の強度解析、耐久度解析、コンクリート等の材料の性質についての経時変化の解析等が含まれる。
さらに、具体的な例としては、FEM解析を利用した鉄筋コンクリートの振動解析用ソフトウェアであるWCOMD及びCOM3や、セメント硬化体を形成する無機複合材料の微細構造モデルと物質平衡・移動の解析用ソフトウェアであるDuCOM等があり、その他のソフトウェアでもよい。
解析用ソフトウェアのデータベースは、上記解析用ソフトウェアに入力が必要な項目を管理するデータベースである。
管理サーバ20は、解析用ソフトウェアを起動させて道路構造物の解析を行う際に、このデータベースを参照して、構造物データのうちどの項目の情報が必要かどうかを判断し、必要な項目の構造物データを解析用ソフトウェアに入力して解析処理を実行させる。
(4)ユーザ端末30の構成
図5は、本発明の実施の形態におけるユーザ端末30の構成を示す図である。
ユーザ端末30は、CPU等から構成されユーザ端末30全体の動作を制御する制御部31と、入力した情報やネットワークを介して受信した情報等を格納する情報格納部32と、ネットワークを介して情報の送受信を行う通信部33と、ディスプレイ等から構成され情報を画面表示する表示部34と、キーやマウス等から構成され情報の入力等を行う操作部35とを有して構成される。
<動作>
〔1〕動作の概略
図6は、本発明の実施の形態における構造物情報提供システムによる全体動作の流れを示すフローチャートである。
図に示すように、まず、測定車両10は道路を走行しながら地形や構造物にレーザを照射させて測定を行い、点群データを取得する(ステップS1)。
次に、管理サーバ20は、測定車両10により取得した点群データを格納するとともに、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、上記管理サーバ20から点群データを取得してこれに関連するデータ(後述する重畳画像データ等)を生成する(ステップS2)。
次に、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、道路構造物の構造、性質及び製造工程等の情報を示す構造物データを入力する(ステップS3)。
そして、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、上記点群データを平面地図状又は立体画像状に表示させ、当該表示させた点群データから道路構造物に該当する地点又は領域を指定して、当該指定した地点又は領域の点群データに対して上記入力した構造物データを対応付けて管理サーバ20に格納させる(ステップS4)。
このように、管理サーバ20は、道路構造物に該当する点群データを指定して、その指定した点群データに構造物データを対応付けて格納するので、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、平面地図状又は立体画像状に表示された点群データから、道路構造物の画像を指定すると、その道路構造物の構造物データを容易に取得することが可能となる。
以下、上記ステップS1〜4の各動作について詳細に説明する。
〔2〕点群データ等の取得(ステップS1)
(1)点群データの取得
以下、測定車両10が道路を走行中又は停車中に点群データを取得するときの動作について説明する。
測定車両10は、走行中又は停車中に、自車両に備えられているレーザスキャナ13を用いて、道路周囲にレーザを照射する。このとき、レーザの光軸は仰俯角及び方位角を変えることにより垂直方向及び水平方向に走査され、走査範囲内にて微小角度ごとにレーザパルスが発射される。そして、レーザスキャナ13は、その発射したレーザの反射光を受光する。
また、制御部11は、このレーザの発射時刻及び対象物の反射光の受光時刻を計時部16から取得し、このレーザの発射から反射光を受光するまでの時間に基づいてレーザスキャナ13と対象物との間の距離を計測する。
さらに、レーザスキャナ13は、受光した反射光の光強度を測定する。
また、測定車両10の走行中又は停車中には、レーザスキャナ13からレーザの発射方向の情報、GPS14又はオドメータ18により測定車両10の現在位置情報、IMU15により測定車両10の車体の姿勢を示す情報が、それぞれ取得される。
これら各情報は、計時部16により計時される時刻情報とそれぞれ対応付けられ、情報格納部12に格納される。
レーザスキャナ13の位置・姿勢は、測定車両10の位置・姿勢と一定の関係にあるから、制御部11は、測定車両10の位置・姿勢及びレーザの発射方向の情報に基づいて、レーザスキャナ13の位置・姿勢を求める。
制御部11は、上記レーザスキャナ13と対象物との間の距離、レーザスキャナ13の位置・姿勢を示す情報といった各情報に基づいて、レーザパルスを反射した対象物を構成する各座標点の空間座標(三次元座標)を表す点群データを算出する。
例えば、上記各座標点の座標の「1」が「10km」を示すといったように、座標は実際の距離と変換可能な数値であるものとする。
図7は、本発明の実施の形態における点群データの一例を示す図である。
図に示すように、情報格納部12には、点群データとして、測定した各座標点の空間座標(X,Y,Z)と、その受光した反射光の光強度とがそれぞれ対応付けられて格納されている。
(2)点群データの立体画像化
管理サーバ20は、上記のように取得された点群データを利用して、以下のように点群データによる立体画像を生成することができる。
図8は、本発明の実施の形態における空間座標を平面に投影し平面座標を求めることを説明するための図である。
図に示すように、管理サーバ20は、視点の座標を(Px,Py,Pz)としたときに、点群データの各座標点(X,Y,Z)を、投影座標点(x,y)に投影した座標を求める。
このようにして、管理サーバ20は、点群データの各座標点(X,Y,Z)に基づいて、ある視点から見た風景の立体画像を生成することができる。
図9は、本発明の実施の形態における点群データによる立体画像の表示例を示す図である。
図に示す例では、道路を走行する自動車の搭乗者に近い視点から見た風景の立体画像が点群により表現されており、道路管理事業者は、撮影画像と同様に、当該点群データによる風景画像を確認することにより、道路構造物等の状態を容易に把握することができる。
(3)点群データの平面地図化
また、上述のとおり、点群データの空間座標を平面に投影する際、地上垂直方向からの視点から見た任意の表示倍率の点群による画像を表示させることにより、当該点群の画像を通常の平面地図と同様に利用することもできる(以下、当該平面地図状に表される点群データを「点群地図情報」という)。
〔3〕点群データに関連するデータの生成(ステップS2)
(1)画像データの取得
測定車両10は、道路上を走行中又は停車中に、上記点群データに加え、カメラ17で道路周囲を撮影し、画像データ(カラー)を取得する。
制御部11は、その画像データとともに、その撮影した時刻を計時部17から取得し、これらを対応付けて情報格納部12に格納する。
また、制御部11は、カメラ17の位置・姿勢は、測定車両10の位置・姿勢と一定の関係にあることから、測定車両10の位置・姿勢の情報に基づいて、上記画像撮影時のカメラ17の位置・姿勢を求める。
図10は、本発明の実施の形態における画像データの一例を示す図である。
図の例では、撮影された画像データ(撮影画像)を、撮影時のカメラ17の位置・姿勢に対応付けられて情報格納部12に格納されている。
図11は、本発明の実施の形態における画像データの画像表示例を示す図である。
図に示すように、画像データは、通常のカメラ等で撮影された静止画又は動画を表す。
(2)重畳画像データの生成
上記のように、収納装置10が点群データ及び画像データを取得した後、管理サーバ20は、これら点群データ及び画像データをネットワークを介して、又は情報記録媒体を介して測定車両10から取得する。
管理サーバ20は、これら取得したデータに基づいて、画像データに点群データを重畳したデータである重畳画像データを生成する。
管理サーバ20は、画像データに含まれる撮影画像及び撮影時のカメラ17の位置・姿勢・画角に基づいて、撮影画像の視野内にある点群データの各座標点(X,Y,Z)を抽出する。
以下、図8を用いて、重畳画像データの生成について説明すると、管理サーバ20は、視点の座標を(Px,Py,Pz)としたときに、抽出した各座標点(X,Y,Z)を、撮影画像の座標系(投影座標点)(x,y)に投影した座標を求める。
このように、点群データにおける各座標点(X,Y,Z)を、撮影画像の座標系(x,y)に投影した座標を求めたことから、各座標点(X,Y,Z)は、撮影画像に投影された投影座標点(x,y)と対応付けられる。
管理サーバ20は、これを利用して、撮影画像上の各投影座標点(x,y)に対して、これに対応する各座標点の座標(X,Y,Z)を重畳した画像データ(重畳画像データ)を作成することができる。
図12は、本実施の形態における重畳画像データの一例を示す図である。
図の例では、画像データ(撮影画像)と、その画像データ(撮影画像)の各投影座標点(x,y)に色データ(RGB)と各座標点の座標(X,Y,Z)とが対応付けられて管理サーバ20に格納されている。
また、管理サーバ20は、各重畳画像データを、撮影画像ごとに管理することが可能であり、各重畳画像データに点検対象物の名称(例えば「表・下部工」等)を入力し、対応付けて格納することにより、道路管理事業者は、調べたい点検対象物の形状や現況等を容易かつ迅速に検索することが可能となる。
また、空間座標を平面に投影する際、視点の座標を変更することにより、あらゆる角度から見た任意の表示倍率の重畳画像データの画像を生成することができる。例えば、運転者の視点からの画像を生成することもできるし、垂直方向上方の視点からの画像(鳥俯瞰図)を生成し通常の平面地図と同様に利用することもできる。
(3)カラー点群データの生成
また、管理サーバ20は、上記のように、測定車両10から取得した画像データ及び点群データに基づいて、色付けされた点群データであるカラー点群データを生成する。
管理サーバ20は、画像データに含まれる撮影画像及び撮影時のカメラ17の位置・姿勢・画角に基づいて、撮影画像の視野内にある点群データの各座標点(X,Y,Z)を抽出する。
次に、管理サーバ20は、図8に示すように、抽出した各座標点(X,Y,Z)を、撮影画像の座標系(投影座標点)(x,y)に投影した座標を求める。さらに、管理サーバ20は、投影した座標に相当する、例えば撮影画像中の色(RGB値)を投影前の座標点(X,Y,Z)の色とする。
当該撮影画像の視野内にある全ての座標点について色を決定すると、管理サーバ20は、当該撮影画像を撮影した位置(Xc、Yc、Zc)と、各座標点の座標(X,Y,Z)と色(RGB値)の組み合わせをカラー点群データとして格納する。
図13は、本実施の形態におけるカラー点群データの一例を示す図である。
図の例では、各座標点ごとに、空間座標、受光した反射光の光強度、色データ(RGB値)が互いに対応付けられて、カラー点群データとして管理サーバ20に格納されている。
(4)地図データと点群データの紐付け
上述のとおり、管理サーバ20は、各地点に対して地図座標点の座標(X,Y)の情報が対応付けられている地図データを格納している。この地図座標点の各座標(X,Y)は点群データの各座標点(X,Y,Z)のXY座標と同一又は変換可能に設定されている。以下、本実施の形態では両座標のXY座標は一致しているものとして説明を進める。
管理サーバ20は、各座標点の座標(X,Y)に基づいて、上記点群データと地図データとを紐付けて格納する。
これにより、管理サーバ20は、地図データ上で地図座標点(X,Y)が指定されると、その地図座標点(X,Y)に紐付けられている点群データの座標点(X,Y,Z)を抽出し、その抽出した座標点(X,Y,Z)及びその座標点から所定距離内の各座標点(X,Y,Z)を含む点群データを表示することができる。
また、上記のとおり、本実施の形態における構造物情報提供システムにおいては、点群データと画像データの紐付けもされることから、各座標点の座標(X,Y)をキーにして、点群データ、画像データ及び地図データを紐付けすることができ、さらに、その座標(X,Y)に位置する道路構造物の構造物データをユーザ端末30により入力し、紐付けることができる。
このように、管理サーバ20は、道路管理事業に係る各種データを各座標点の座標(X,Y)をキーにして紐付けして管理するので、各種データの総合窓口として道路管理事業における点検業務の効率化を支援し、例えば、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)のプラットフォームとしての機能を果たすことができる。
また、道路管理事業者は、ユーザ端末30の操作部35を用いて、道路構造物の名称や住所等を検索キーとして入力し、管理サーバ20へ送信することにより、管理サーバ20からその検索結果である道路構造物の構造物データを迅速に取得することができ、特に緊急時のリードタイムの短縮が可能となる。
〔4〕構造物データの入力(ステップS3)
(1)道路構造物の概略
上述のとおり、道路構造物とは、道路自体又は道路周辺の構造物(橋等の建築物及び道路標識等の設置物を含む)をいう。
道路構造物は、1以上の構成部品から構成される。
これら各構成部品は、例えば、FEM(Finite Element Method)解析で用いられるFEMモデルと一対一に対応するものである。
例えば、道路構造物が「所定区間の高速道路」である場合、当該道路構造物の構成部品は「路面」、「高架脚」、「床版」及び「ガードレール」等である。
(2)構造物データの概略
次に、構造物データに含まれる各項目について具体例をあげて説明する。
上述のとおり、構造物データとは、道路構造物の構造、性質及び製造環境等の各種データである。
例えば、構造物データは、下記の項目を含むものである。
(a)「構成部品」
(b)「配合」
(c)「材料強度」
(d)「スランプ」
(e)「施工条件」
以下、各項目について簡単に説明する。
(a)構造物データの項目「構成部品」
構造物データにおける項目「構成部品」とは、当該道路構造物を構成する構成部品をいう。上述の例であげたとおり、本項目では、例えば、道路構造物が「所定区間の高速道路」である場合、当該道路構造物の構成部品が「路面」、「高架脚」及び「ガードレール」である旨の情報を管理する。
また、本項目では、各構成部品の構造を、設計図や構成部品実物の画像データにより管理する。例えば、構成部品が鉄筋コンクリートにより構成されている場合には、構成部品中に存在する鉄筋の表面積や体積が本項目に含まれる。
上記構成部品実物の画像データとしては、各製造工程の時点における道路構造物について、測定車両10が計測及び撮影することにより、点群データ及び画像データとして取得する。
(b)構造物データの項目「配合」
構造物データにおける項目「配合」とは、各構成部品を構成する材料(コンクリート、鉄筋等)の性質(材質)や配合をいう。
例えば、構成部品を構成する材料の材質がコンクリートである場合、下記の項目が含まれるとしてよい。
・セメント鉱物の組成比率
・粉体比重
・水粉体比
・単位粉体量
・骨材単位体積
・粉体中のセメントが占める重量比
・粉体中のスラグが占める重量比
・粉体中のフライアッシュが占める重量比
・有機混和材量
・粉体のブレーン値
(c)構造物データの項目「材料強度」
構造物データにおける項目「材料強度」とは、各構成部品又は当該構成部品を構成する材料の強度実験結果等の情報をいう。
例えば、「材料強度」は、下記の複数の項目に区分することができる。
・破壊基準(最大引張歪,最大圧縮歪,最大せん断歪),
・弾性要素(ポアソン比,単位重量,ヤング係数)
・コンクリート要素(圧縮強度,引張強度,単位重量)
・鋼材要素(ヤング係数,降伏強度,単位重量)
・RCジョイント(コンクリートの圧縮強度,コンクリートの引張強度,鉄筋のヤング係数,鉄筋の降伏強度)
(d)構造物データの項目「スランプ」
構造物データにおける項目「スランプ」とは、構成部品の材料がコンクリートである場合のスランプ実験結果の情報をいう。
(e)構造物データの項目「施工条件」
構造物データにおける項目「施工条件」とは、道路構造物が建造又は設置する場所の位置情報、環境情報及び施工記録等をいう。
位置情報としては、住所又は緯度経度等がある。
環境情報としては、例えば、下記の項目が含まれる。
・道路構造物の各場所における間隙水圧の初期値
・道路構造物の各場所における塩化物イオン濃度の初期値
・道路構造物の各場所における温度の初期値
・道路構造物の各場所における二酸化炭素濃度の初期値
・道路構造物の各場所における酸密度の初期値
・施工時から現在までの気象条件
施工記録としては、道路構造物の製造工程の内容や履歴(工期日程)、その担当事業者や担当者等が含まれる。
(3)構造物データの入力
道路管理事業者は、ユーザ端末30を操作して、上記のような道路構造物の構造物データを入力し、管理サーバ20へ送信して、情報格納部22に登録する。
その際、上記各項目の情報は各道路構造物固有の識別情報である構造物IDに対応付けて登録される。
また、各道路構造物を構成する構成部品ごとに、各構成部品固有の識別情報である部品IDを設定し、構造物データのうち各構成部品に関する情報(例えば、材料強度等)を該当する各部品IDに対応付けて登録するようにしてもよい。すなわち、管理サーバ20は、各構成部品ごとに構造物データを登録及び管理するよう構成してもよい。
このとき、道路構造物の構造物IDと、当該道路構造物を構成する各構成部品の部品IDとは管理サーバ20において互いに対応付けて管理される。
また、管理サーバ20は、情報格納部22に登録された構造物データの一部(構造物ID,名称,位置等)を抽出してリスト化した構造物データのリストも情報格納部22に格納しており、ユーザ端末30からの取得要求に応じて提供することが可能となっている。
〔4〕道路構造物の指定
(1)道路構造物と位置情報との対応付け(点群地図情報)
図14は、本発明の実施の形態における構造物情報提供システムによる点群データと構造物データとを対応付けるときの動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、説明を進める。
まず、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、例えば「六本木駅周辺」等任意の領域を指定して、当該領域の点群地図情報の取得要求を管理サーバ20へ送信する(ステップS101)。
管理サーバ20は、その点群地図情報の取得要求を受信すると、当該指定領域の点群地図情報を情報格納部22から抽出して、ユーザ端末30へ送信する(ステップS102)。
ユーザ端末30は、その指定領域の点群地図情報を受信すると、表示部34上に表示する(ステップS103)。
次に、道路管理事業者は、ユーザ端末30の操作部35を用いて、表示された点群地図情報上に配置されている道路構造物の表示領域を指定する(ステップS104)。
当該領域の指定方法としては、例えば、その指定対象の道路構造物の表示領域の中央部分等に指定用のカーソルを重ね合わせて点で指定したり、道路構造物を線で囲む等する。
例えば、道路構造物が「橋」である場合、その点群地図情報上に表示されている「橋」の部分を線で囲んで指定する。
図15は、本発明の実施の形態における点群地図情報において所定の領域を指定したときの一例を示す図である。
図に示すように、ユーザ端末30は、所定の領域の点群地図情報を管理サーバ20から受信すると、表示部34上に表示する。そこで、道路管理事業者は、操作部35を用いて、画面上の点群地図情報において、これから構造物データの対応付けを行う道路構造物に該当する範囲を指定する。
図の例では、当該指定する領域として、道路の一部が四角で囲まれて指定されている。
ユーザ端末30は、上記の指定した領域に位置する点群の点群データの座標情報を点群地図情報から抽出する(ステップS105)。
ここで、ユーザ端末30は、点で領域を指定した場合には、その指定した点群地図情報上の点の点群データあるいは当該点及び当該点から所定範囲分周囲に位置する点群データの座標情報を抽出する。
また、ユーザ端末30は、線で囲んで領域を指定した場合には、その囲まれた領域に含まれる点群の点群データの座標情報を抽出する。
次に、道路管理事業者は、操作部35を用いて、上記指定した道路構造物に対応付ける構造物データを選択する(ステップS106)。
ここで、ユーザ端末30にその構造物データのリストが格納されている場合には、道路管理事業者は、操作部35を操作して、そのリストを画面上に表示させ、当該表示したリストから、該当する道路構造物の構造物IDや名称等を選択する。
一方、その構造物データのリストがユーザ端末30に格納されていない場合には、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、そのリストの取得要求を管理サーバ20へ送信する。管理サーバ20は、そのリストの取得要求を受信すると、情報格納部22からその構造物データのリストを抽出し、ユーザ端末30へ送信する。そして、ユーザ端末30は、そのリストを受信すると、同様に表示及び選択する。
道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、リストから道路構造物を選択すると、その選択した道路構造物の構造物IDと、上記ステップS104で指定した点群地図情報上の領域に該当する点群データの座標情報を送信する(ステップS107)。
管理サーバ20は、その構造物IDと、指定した領域における点群データの座標情報を受信すると、当該受信した構造物IDに該当する構造物データを情報格納部22から抽出し、当該抽出した構造物データと、上記ユーザ端末30から受信した点群データの座標情報とを対応付けて情報格納部22に格納する(ステップS108)。
以上で、点群データと構造物データの対応付けの動作は終了する。
図16は、本発明の実施の形態における点群データの座標情報が対応付けられた構造物データのデータ構成の一例を示す図である。
図に示す例では、各道路構造物の構造物データが、道路構造物の名称、位置、構成部品の部品ID、対応付けられた点群データの座標情報、工期、担当事業者等が構造物IDに対応付けられて管理されている。
なお、図に示す構造物データの各項目は、あくまでも一例であり、道路構造物の補修補強に必要なものであれば、他の項目であってもよい。
また、構造物データの入力方法としては、キー入力や画像読取りのように直接入力してもよいし、ネットワーク介して他の端末やサーバ等から受信して入力してもよく、あるいは情報記録媒体を介して入力するようにしてもよい。
このように、管理サーバ20は、上記点群データの座標情報と、構造物データとを対応付けて格納することにより、これ以降、点群地図情報上の座標をユーザ端末30から受信すると、その座標情報に対応付けられた構造物データをユーザ端末30へ提供することが可能となる。
すなわち、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、点群地図情報上の所定の地点又は領域に位置する道路構造物の構造物データを管理サーバ20から容易に取得することが可能となる。
(2)道路構造物と位置情報との対応付け(立体画像)
以上説明した実施の形態では、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、点群地図情報上において道路構造物が表示されている領域を指定して、該当する構造物データと対応付けていたが、管理サーバ20から点群データの立体画像を受信して表示させ、これらに表示されている道路構造物の領域を指定するようにしてもよい。
この場合、道路管理事業者は、立体画像の点群データ上に表示されている道路構造物又は構成部品に該当する領域を点で選択したり、線で囲んだりして指定するが、視点を変更させて立体画像を回転させながら指定するようにしてもよい。
ユーザ端末30は、その指定した領域の点群データの座標情報と、構造物IDとを管理サーバ20へ送信し、管理サーバ20は、その点群データの座標情報と構造物IDとをユーザ端末30から受信すると、その受信した構造物IDの構造物データに同じく受信した点群データの座標情報を対応付けて情報格納部22に格納する。
その他の操作及び処理は、点群地図情報の場合と同様であるので省略する。
図17は、本発明の実施の形態における点群データの立体画像において所定の領域を指定したときの一例を示す図である。
図に示すように、ユーザ端末30は、所定の領域の点群データの立体画像を管理サーバ20から受信すると、表示部34上に表示する。そこで、道路管理事業者は、操作部35を用いて、画面上の立体画像において、これから構造物データの対応付けを行う道路構造物に該当する範囲を指定する。
図の例では、当該指定する領域として、ガードレールの一部が四角で囲まれて指定されている。
このように、点群データの立体画像から道路構造物の表示された領域を指定して、構造物データと点群データの座標情報とを対応付けることにより、これ以降、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、点群地図情報上の所定の地点又は領域に位置する道路構造物の構造物データを管理サーバ20から容易に取得することが可能となる。
また、視点の変更が可能な立体画像上で道路構造物に該当する領域を指定するので、構成部品単位など比較的小さな領域の指定も容易である。
(3)道路構造物と位置情報との対応付け(地図データ)
また、上記点群地図情報及び点群データの立体画像に加えて、点群データ以外の地図データ上で該当する道路構造物の領域を指定して、構造物データを対応付けることも可能である。
この場合、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、管理サーバ20から地図データを受信して表示させ、これらに表示されている道路構造物の領域を指定し、当該領域に対応する位置情報(緯度経度情報等)を構造物IDとともに管理サーバ20へ送信する。
管理サーバ20は、ユーザ端末30から受信した構造物IDに対応する構造物データに、ともに受信した位置情報を対応付けて情報格納部22に格納する。
その他の操作及び処理は、点群地図情報又は点群データの立体画像の場合と同様であるので省略する。
このように、地図データ上の道路構造物の表示された領域を指定して、構造物データと地図データの位置情報とを対応付けることにより、これ以降、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、地図データ上の所定の地点又は領域に位置する道路構造物の構造物データを管理サーバ20から容易に取得することが可能となる。
また、管理サーバ20が地図データと点群データとを対応付けて情報格納部22に格納し、管理している場合には、ユーザ端末30から点群地図情報における点群データの座標情報を受信すると、その受信した点群データの座標情報に対応付けられた地図データの位置情報を抽出し、さらに、その抽出した位置情報に対応付けられている構造物データを抽出してユーザ端末30へ提供することができる。
すなわち、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、点群地図情報からも道路構造物の構造物データを管理サーバ20から取得することができる。
〔4〕構造物データの利用
(1)FEMモデルの作成
本実施の形態における構造物情報提供システムは、解析用ソフトウェアを用いて道路構造物の構造解析を行うことができるが、その構造解析に用いるFEMモデルを作成することができる。
ここで、FEMとは、複雑な形状・性質を持つ物体を小部分に分割することで近似し、全体の挙動を予測しようとするという解析方法であり、上記FEMモデルは、その分割した小部分(の図形情報)をいう。
本実施の形態では、道路構造物の構成部品をFEMモデルとし、道路構造物全体もしくは橋脚や床版といった部分的な部位の構造解析を行う。
図18,19は、本発明の実施の形態における構造物情報提供システムによるFEMモデルの作成動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って説明を進める。
まず、道路管理事業者は、ユーザ端末30の操作部35を操作して位置情報等を指定し、FEMモデルとする「道路構造物の構成部品」の画像が含まれる点群データの立体画像の取得を管理サーバ20に対して要求する(ステップS201)。
管理サーバ20は、上記点群データの立体画像の取得要求を受信すると、該当する点群データを抽出し、ユーザ端末30へ送信する(ステップS202)。
ユーザ端末30は、上記点群データを受信すると、表示部34上にその立体画像を表示する(ステップS203)。
次に、道路管理事業者は、操作部35を用いて、表示部34上に表示させた点群データの立体画像上におけるFEMモデルの対象となる構成部品の画像上の点をプロットし、各点を結んで線をなぞる。この作業を一方の視点から描画した後に、さらに回転させて構成部品の全ての輪郭を描画して立体図形を形成する(ステップS204)。
次に、道路管理事業者は、ユーザ端末30の操作部35を操作して、上記構成部品に該当する立体図形について、任意の間隔のメッシュを設定して描画し、FEMモデルを作成する(ステップS205)。
そして、道路管理事業者は、ユーザ端末30の操作部35を操作して、上記作成したFEMモデルの図形情報を点群データの立体画像から抽出する(ステップS206)。
図20は、本発明の実施の形態における点群データの立体画像の一例を示す図である。
また、図21は、本発明の実施の形態における点群データの立体画像上に線を描画したときの図である。
また、図22は、点群データの立体画像から立体図形を抽出してFEMモデルを生成したときの図である。
ここで、上記ステップS203〜S206の動作を、図20〜22を用いて具体的に説明すると、図20には、例として、高速道路の点群データの立体画像が示されており(ステップS203)、図21では、図20に示す点群データの立体画像上に表示されている構成部品(道路、ガードレール、高架脚)の輪郭に線が描画されている(ステップS204)。また、所定間隔で一部にメッシュも描画されている(ステップS205)。
また、図22では、図21で輪郭及びメッシュを描画したことにより作成したFEMモデルを抽出している(ステップS206)。
次に、ユーザ端末30は、上記FEMモデルに含まれる点群データの座標情報を抽出し(ステップS207)、管理サーバ20へ送信する(ステップS208)。
管理サーバ20は、上記点群データの座標情報をユーザ端末30から受信すると、当該受信した座標情報に対応付けられている構造物データのリストを情報格納部22から抽出する(ステップS209)。
例えば、このとき、管理サーバ20は、その受信した座標情報の座標を含む一定範囲に含まれる1以上の道路構造物の構造物データのリストを抽出してもよいし、その座標を含む1つの道路構造物のみの構造物データのリストを抽出するようにしてもよい。
そして、管理サーバ20は、上記抽出した構造物データのリストをユーザ端末30へ送信する(ステップS210)。
ユーザ端末30は、その構造物データのリストを受信すると、表示部34上に表示し、道路管理事業者は、操作部35を操作して、リストに示されている道路構造物の構成部品から、FEMモデルの元となった構成部品を選択する(ステップS211)。
ユーザ端末30は、当該選択した構成部品の部品IDとともに、上記ステップS206において抽出したFEMモデルの図形情報を管理サーバ20へ送信する(ステップS212)。
管理サーバ20は、部品ID及びFEMモデルを受信すると、これらを互いに対応付けて情報格納部22に格納する(ステップS213)。
以上で、FEMモデルの作成動作を終了する。
このように、ユーザ端末30は、表示された点群データにより表される道路構造物の画像を任意の視点からの角度に回転させ、当該回転させた画像に沿って点・線等を描画することにより、FEMモデルを一から作成することなく、FEMモデルを容易に作成することができ、従来まで必要とされていたFEM解析に煩雑な作業内容を大幅に削減することが可能となる。
(2)構造物データの利用
以上説明のようにして、管理サーバ20は、構造物データを点群データの座標情報等と対応付けて格納すると、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、補修補強等を行う予定の道路構造物の構造物データを取得し、利用することが可能となる。
図23,24,25は、本発明の実施の形態における道路構造物の構造物データの利用動作の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って説明を進める。
まず、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、例えば「六本木駅周辺」等任意の領域を指定して、当該領域の点群地図情報の取得要求を管理サーバ20へ送信する(ステップS301)。
管理サーバ20は、その点群地図情報の取得要求を受信すると、当該指定領域の点群地図情報を情報格納部22から抽出して、ユーザ端末30へ送信する(ステップS302)。
ユーザ端末30は、その指定領域の点群地図情報を受信すると、表示部34上に表示する(ステップS303)。
次に、道路管理事業者は、ユーザ端末30の操作部35を用いて、表示された点群地図情報上から、構造物データを取得したい道路構造物に該当する領域を指定する(ステップS304)。
当該領域の指定方法としては、例えば、その指定対象の道路構造物の表示領域の中央部分等に指定用のカーソルを重ね合わせて点で指定したり、道路構造物を線で囲む等する。
例えば、道路構造物が「道路」である場合、その点群地図情報上に表示されている「道路」の部分にカーソルを重ね合わせてクリックしたりして道路構造物の指定を行う。
図26は、本発明の実施の形態における点群地図情報において、構造物データを取得するために道路構造物を指定したときの一例を示す図である。
図に示すように、ユーザ端末30は、所定の領域の点群地図情報管理サーバ20から受信すると、表示部34上に表示する。そこで、道路管理事業者は、操作部35を用いて、画面上の点群地図情報において、構造物データ取得を行う道路構造物に該当する範囲を指定する。
図の例では、当該指定する領域として、道路の一部にカーソルが重ね合されて指定されている。
ユーザ端末30は、上記の指定した領域に位置する点群の点群データの座標情報を点群地図情報から抽出する(ステップS305)。
ここで、ユーザ端末30は、点で領域を指定した場合には、その指定した点群地図情報上の点の点群データあるいは当該点及び当該点から所定範囲分周囲に位置する点群データの座標情報を抽出する。
また、ユーザ端末30は、線で囲んで領域を指定した場合には、その囲まれた領域に含まれる点群の点群データの座標情報を抽出する。
上記のように、点群地図情報上において構造物データを利用する道路構造物に該当する領域が指定されると、ユーザ端末30は、その指定された領域の点群データの座標情報を送信する(ステップS306)。
管理サーバ20は、その指定した領域における点群データの座標情報を受信すると、当該受信した点群データの座標情報に対応付けられている構造物データを情報格納部22から抽出し(ステップS307)、当該抽出した構造物データをユーザ端末30へ送信する(ステップS308)。
なお、抽出した構造物データが複数ある場合には、管理サーバ20は、その構造物データのリストを一旦ユーザ端末303へ送信し、ユーザ端末30は、そのリスト中から該当する構造物データを選択し、その構造物IDを管理サーバ20へ送信して、該当する道路構造物の構造物データを取得するようにしてもよい。
ユーザ端末30は、上記構造物データを管理サーバ20から受信すると、表示部34に表示する(ステップS309)。
図27は、本発明の実施の形態における構造物データのデータ構成の一例を示す図である。
図に示す例では、道路構造物の構造物データとして、構造物ID、道路構造物の名称、位置、構成部品の名称が示されたアイコン401、施工担当者、施工日程、環境情報、データ出力指示用のアイコン402(後述)、解析指示用のアイコン403(後述)が表示されている。
なお、図に示す構造物データの各項目は、あくまでも一例であり、道路構造物の補修補強に必要なものであれば、他の項目であってもよい。
道路管理事業者は、操作部35を用いて、上記構成部品の名称が示されたアイコン401、例えば「道路本体」のアイコン401をクリック等して選択すると、その構成部品「道路本体」の構造、材料、強度実験結果、スランプ、施工担当者、工程途中の画像等が表示される。
また、道路管理事業者は、操作部35を用いて、上記データ出力指示用のアイコン402をクリック等すると、表示されている構造物IDの構造物データを例えばCSVや表計算ソフトウェア用等のデータ形式で他の端末や記録媒体等へ出力を行うことができる。
また、道路管理事業者は、操作部35を用いて、上記解析指示用のアイコン403をクリック等すると(ステップS310/Yes)、該当する構造物IDを管理サーバ20へ送信して、当該構造物IDの道路構造物の解析(構造解析、耐久度解析等)の実行を要求する(ステップS311)。
管理サーバ20は、構造物IDを受信すると、情報格納部22に実装されている解析用ソフトウェアを起動する(ステップS312)。
次に、管理サーバ20は、情報格納部22に格納されている解析用ソフトウェアのデータベースを参照し、起動させた解析用ソフトウェアが解析する際に入力が必要な構造物データの各項目(配合情報、環境情報など)を検出する(ステップS313)。
次に、管理サーバ20は、上記ユーザ端末30から受信した構造物IDの構造物データから上記検出した各項目を抽出して解析用ソフトウェアに自動入力する(ステップS314)。
ここで、管理サーバ20は、解析用ソフトウェアがFEM解析を行うものである場合には(ステップS315/Yes)、受信した構造物IDに基づいて、対応付けられている部品IDを検出するとともに、当該検出した部品IDに対応付けられているFEMモデルを抽出する(ステップS316)。
次に、管理サーバ20は、当該抽出したFEMモデルを解析用ソフトウェアに自動入力する(ステップS317)。
そして、管理サーバ20は、当該解析用ソフトウェアを実行させ、解析結果を出力する(ステップS318)。
管理サーバ20は、その出力した解析結果をユーザ端末30へ送信する(ステップS319)。
ユーザ端末30は、その解析結果を受信すると、表示部34上に表示する(ステップS320)。
道路管理事業者は、その表示された解析結果を確認し、その後、これを利用して道路構造物の補修補強工事を行う。
<実施形態のまとめ>
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、管理サーバ20は、測定車両10により取得された点群データに基づいて、点群地図情報及び立体画像を生成し、これら生成した点群地図情報又は立体画像上の道路構造物を構成する点群データの座標情報に、当該道路構造物の構造や性質等を示す構造物データを対応付けて管理するので、道路管理事業者がユーザ端末30を用いて点群地図情報又は立体画像上の領域を指定するだけで、管理サーバ20から当該領域に含まれる道路構造物の構造物データを取得でき、当該道路構造物の構造や性質等を容易に把握することが可能となる。
従って、道路管理事業者は、道路構造物の補修補強の際、しゅん功図書をわざわざ取り寄せて道路構造物の構造等を調べたり、当時の施工担当者に問い合わせたりといった煩雑な作業をすることが不要となり、効率よく補修補強作業を進めることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、道路管理事業者は、ユーザ端末30を用いて、点群地図情報等から所定の領域を指定すると、管理サーバ20は、その指定した領域に含まれる道路構造物について構造物データを抽出し、当該抽出した構造物データを解析用ソフトウェアに自動入力して解析処理を実行するので、道路管理事業者は、道路構造物の構造や性質等の解析結果を容易に把握することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、点群データの立体画像等状の道路構造物の構成部品の輪郭を線でなぞって描画するとともに、メッシュを設定することにより、構造物データの座標情報に対応付けられたFEMモデルを作成するので、道路構造物のFEM解析を行う際に、これに必要なFEMモデルを容易に取得することが可能となる。
また、管理サーバ20は、解析用ソフトウェアを起動可能に格納するとともに、上記構造物データの座標情報に対応付けられたFEMモデルを管理し、ユーザ端末30から点群データの座標情報を受信したとき、当該座標情報に位置する道路構造物のFEMモデルを自動的に抽出し解析用ソフトウェアに入力するので、道路管理事業者は、FEM解析を行うときの作業を効果的に軽減することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、測定車両10は、完成後だけではなく、施工途中の道路構造物の点群データ及び画像データも取得し、管理サーバ20は、これらデータを構造物データとして点群データと対応付けて管理するので、道路構造物の実際の構造や施工過程をより明確に把握することができる。従って、道路構造物が当初の設計図や施工予定とは異なった構造や配合であった等の事実も容易に把握でき、道路構造物について正確な解析を行うことができる。
特に、施工工程で被覆等をして内部までは構造を把握できない道路構造物であっても、その構造を正確に把握することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、既設構造物の維持管理だけではなく、点群データを利用し、新設構造物の出来形管理にも活用することができる。
具体的には、以下のとおりである。
管理サーバ20は、測定車両10が取得した建設施工途中又は完成時の道路構造物又は構成部品の点群データを測定車両10から受信し、その受信した点群データに基づいて、上述したFEMモデルの作成方法と同様に、道路構造物及び構成部品の輪郭をなぞって抽出することにより、建設施工途中又は完成時の道路構造物又は構成部品のCADデータを生成する。
そして、ユーザ端末30は、その建設施工途中又は完成時の道路構造物又は構成部品のCADデータを管理サーバ20から受信し表示し、当該表示した道路構造物又は構成部品のCADデータと、当該道路構造物の設計図に示された道路構造物又は構成部品の構造とを照合することにより、鉄筋の間隔チェックや型枠寸法等の出来形管理を行える他、景観の検討、施工シミュレーション等に活用が可能である。
また、本実施の形態における構造物情報提供システムが、上記のように、完成時だけでなく、建設施工途中の道路構造物又は構成部品の点群データを取得するので、建設施工時のデータ等、調査・設計から、施工・維持管理に至る建設ライフサイクルの各段階で、3次元モデルデータを追加、充実化し、維持管理や解析時の基本データとして蓄積し、活用していくことが可能となる。
また、本実施の形態によれば、管理サーバ20は、構造物データとして道路構造物の制作工程の情報や施工担当者等も管理するので、道路構造物が誰によってどのように制作されたかを容易に把握することができ、いわゆる道路構造物のトレーサビリティを高度に実現することが可能となる。
また、上述のように、施工当時の担当者や部品を製作した工場等を容易に把握できるので、道路構造物に損傷が生じたときでも、その担当者と連絡をとって迅速に補修等の作業を行うことができる。
また、道路構造物に損傷が生じた場合、当該道路構造物の施工担当(事業)者が担当した他の道路構造物や、当該損傷が生じた道路構造物の制作に用いられた部材と同じ部材が用いられている他の道路構造物等についても同様の損傷が生じる(生じている)ことが推測される。
本実施の形態における構造物情報提供システムは、上記のように、施工当時の担当者や部品を製作した工場等を容易に把握できるので、その損傷が生じる(生じている)他の道路構造物を容易に検出することができ、迅速に補修補強等の対応をとることが可能となる。
また、生産現場の情報を収集し、ネットワークとデータベースを構築することで、道路構造物の設計、製作、建設、維持管理等の活動の合理化を図るシステムの1つとして、CIM(Construction Information Modeling)が提唱されている。
CIMとは、現場で発生する、制作に関する情報(例えば、設計図や構造計算、施工時の施工計画や施工時の実施状況)や技術に関する情報、それらの管理情報を3Dモデルのコンピューターシステムで統括することで、設計や管理の効率化を目的としたシステムである。
本実施の形態における構造物情報提供システムは、上記CIMを利用して、現場や維持管理の情報を収集し、ネットワークとデータベースを構築することで、設計、建設、維持管理等全般の活動の合理化を図ることを可能とするシステムである。
上記の測定車両10のモービルマッピングシステム、管理サーバ20及びユーザ端末30は、主にCPUとメモリにロードされたプログラムによって実現される。ただし、それ以外の任意のハードウェアおよびソフトウェアの組合せによってこの装置またはサーバを構成することも可能であり、その設計自由度の高さは当業者には容易に理解されるところである。
また、上記の測定車両10のモービルマッピングシステム、管理サーバ20又はユーザ端末30をソフトウェアモジュール群として構成する場合、このプログラムは、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、または半導体等の記録媒体に記録され、上記の記録媒体からロードされるようにしてもよいし、所定のネットワークを介して接続されている外部機器からロードされるようにしてもよい。
なお、上記の実施の形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施の形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
例えば、本実施の形態では、道路構造物のデータの取得や解析を目的としていたが、道路とは独立した物であっても、道路構造物と同様に、データの取得や解析を行うことができる。
また、本実施の形態では、構造物情報提供システムを道路管理事業に利用していたが、この「道路」は狭義の「道路」にとどまらず、様々な「交通網」の意味を含む。すなわち、本実施の形態における構造物情報提供システムは、他の事業分野にも適用可能である。例えば、鉄道等の他の交通管理事業にも利用可能であり、この場合、列車等の移動手段が測定車両10と同様の機能を備え、各種データの取得を行う。
10 測定車両
11,21,31 制御部
12,22,32 情報格納部
13 レーザスキャナ
14 GPS
15 IMU
16 計時部
17 カメラ
18 オドメータ
19 情報入出力部
20 管理サーバ
23,33 通信部
30 ユーザ端末
34 表示部
35 操作部
401 構成部品の名称が示されたアイコン
402 施工担当者、施工日程、環境情報、データ出力指示用のアイコン
403 解析指示用のアイコン

Claims (8)

  1. 構造物の構成部品、配合、材料強度、スランプ実験の結果又は施工条件を示す構造物データと前記構造物の位置を示す情報とを対応付けて格納する管理サーバと、
    ネットワークを介して前記管理サーバから受信した情報の出力が可能なユーザ端末とを有して構成され、
    前記管理サーバは、構造物及び地形を多数の点の集合である点群で表し、該点群を構成する各点の空間座標を含む点群データを格納し、
    前記点群で表される構造物及び地形から任意の範囲を選択する情報とともに、前記構造物データを指定する情報を前記ユーザ端末から受信すると、該選択された範囲に含まれる点の空間座標の情報と前記指定された構造物データとを対応付けて格納し、
    前記点群を構成する点の位置を示す情報の指定情報を前記ユーザ端末から受信すると、該位置を示す情報に対応付けられた前記構造物データを抽出し前記ユーザ端末へ送信することを特徴とする構造物情報提供システム。
  2. 前記管理サーバは、地図上の位置の座標と前記点群の空間座標とが対応付けられている地図データを格納し、
    前記地図上の任意の範囲を選択する情報とともに、前記構造物データを指定する情報を前記ユーザ端末から受信すると、該選択された地図上の範囲に含まれる座標の情報と前記指定された構造物データとを対応付けて格納し、
    前記地図上の位置を示す情報の指定情報を前記ユーザ端末から受信すると、該位置に含まれる座標の情報に対応付けられた前記構造物データを抽出し前記ユーザ端末へ送信することを特徴とする請求項1記載の構造物情報提供システム。
  3. 前記管理サーバは、前記抽出した構造物データが複数ある場合、該複数の構造物データのリストの情報を前記ユーザ端末へ送信し、前記構造物データのリストの情報から前記構造物データが選択された旨の情報を前記ユーザ端末から受信すると、該選択された構造物データを前記ユーザ端末へ送信することを特徴とする請求項1又は2記載の構造物情報提供システム。
  4. 前記管理サーバは、前記構造物データとして、前記構造物の製造過程の点群データを含むことを特徴とする請求項2又は3記載の構造物情報提供システム。
  5. 前記管理サーバは、前記構造物データとして、前記構造物を示す情報と、該構造物を構成する構成部品を示す情報とを互いに対応付けて格納することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の構造物情報提供システム。
  6. 前記管理サーバは、前記構造物データとして、配合、強度試験結果、スランプ試験結果、及び施工条件のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の構造物情報提供システム。
  7. 前記管理サーバは、前記構造物の解析用ソフトウェアの解析に必要な項目の情報を前記構造物データから抽出し、該解析用ソフトウェアに入力することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の構造物情報提供システム。
  8. 前記管理サーバは、前記構造物のFEM解析に用いるFEMモデルの図形情報を、該FEMモデルに該当する構造物の構成部品の位置情報に対応付けて格納し、該位置情報を前記ユーザ端末から受信すると、該受信した位置情報に対応付けられたFEMモデルを用いてFEM解析を実行することを特徴とする請求項7記載の構造物情報提供システム。
JP2015019759A 2015-02-03 2015-02-03 構造物情報提供システム Active JP6284240B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015019759A JP6284240B2 (ja) 2015-02-03 2015-02-03 構造物情報提供システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015019759A JP6284240B2 (ja) 2015-02-03 2015-02-03 構造物情報提供システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016142662A JP2016142662A (ja) 2016-08-08
JP6284240B2 true JP6284240B2 (ja) 2018-02-28

Family

ID=56570307

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015019759A Active JP6284240B2 (ja) 2015-02-03 2015-02-03 構造物情報提供システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6284240B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110567745A (zh) * 2019-09-16 2019-12-13 中国铁道科学研究院集团有限公司铁道建筑研究所 一种桥梁水下桥墩检测评估系统

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106777297A (zh) * 2016-12-30 2017-05-31 天津锦盈科技有限公司 一种旅游线路景点的网络数据收集设备
EP3576027A4 (en) 2017-01-30 2020-02-19 Mitsubishi Electric Corporation PLANT MAINTENANCE SYSTEM AND METHOD FOR PROVIDING PLANT INFORMATION
JP6749263B2 (ja) * 2017-02-09 2020-09-02 三菱電機株式会社 計測装置及び位置計算装置
JP6920899B2 (ja) * 2017-06-28 2021-08-18 株式会社ア−キテック 鉄筋管理システム
JP6949598B2 (ja) * 2017-07-25 2021-10-13 清水建設株式会社 検査支援システムおよび検査支援装置
JP6932057B2 (ja) * 2017-10-06 2021-09-08 大林道路株式会社 路面性状調査装置及び路面性状調査システム
JP6954169B2 (ja) * 2018-02-15 2021-10-27 株式会社デンソー 仮想環境作成装置
US11037382B2 (en) * 2018-11-20 2021-06-15 Ford Global Technologies, Llc System and method for evaluating operation of environmental sensing systems of vehicles
CN111238494B (zh) * 2018-11-29 2022-07-19 财团法人工业技术研究院 载具、载具定位系统及载具定位方法
JP6656495B1 (ja) * 2019-02-27 2020-03-04 三菱電機株式会社 データ処理装置、データ処理システム、データ処理方法、およびデータ処理プログラム
JP7193728B2 (ja) 2019-03-15 2022-12-21 富士通株式会社 情報処理装置および蓄積画像選択方法
JP7360111B2 (ja) * 2019-03-29 2023-10-12 成典 田中 点群データ管理システム
JP2021070993A (ja) * 2019-10-31 2021-05-06 パナソニックIpマネジメント株式会社 インフラ検査システム、及び、インフラ検査方法
CN111578951B (zh) * 2020-04-30 2022-11-08 阿波罗智能技术(北京)有限公司 一种自动驾驶中用于生成信息的方法和装置
WO2022101972A1 (ja) * 2020-11-10 2022-05-19 三菱電機株式会社 情報管理システムおよび情報管理方法
JP7399065B2 (ja) * 2020-11-18 2023-12-15 三菱電機株式会社 構造物情報提供システム、構造物情報提供方法、および構造物情報提供装置
WO2022130550A1 (ja) * 2020-12-17 2022-06-23 日本電気株式会社 インフラ管理システム、インフラ管理方法、及び、記録媒体

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007280282A (ja) * 2006-04-11 2007-10-25 Oriental Consultants:Kk 構造物の点検記録システム
JP4758880B2 (ja) * 2006-12-18 2011-08-31 株式会社日立製作所 設備管理装置、設備管理方法およびプログラム
JP6265634B2 (ja) * 2013-06-25 2018-01-24 川田テクノシステム株式会社 路面補修支援装置、路面補修支援プログラム、及び路面補修支援方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110567745A (zh) * 2019-09-16 2019-12-13 中国铁道科学研究院集团有限公司铁道建筑研究所 一种桥梁水下桥墩检测评估系统
CN110567745B (zh) * 2019-09-16 2022-06-07 中国铁道科学研究院集团有限公司铁道建筑研究所 一种桥梁水下桥墩检测评估系统

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016142662A (ja) 2016-08-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6284240B2 (ja) 構造物情報提供システム
JP6503500B2 (ja) 点群データ利用システム
Zhang et al. Automated progress control using laser scanning technology
US10551280B2 (en) Arrangement and method for inspecting an object, in particular a building
Eschmann et al. Web-based georeferenced 3D inspection and monitoring of bridges with unmanned aircraft systems
Akula et al. Real-time drill monitoring and control using building information models augmented with 3D imaging data
Sadhu et al. A review of data management and visualization techniques for structural health monitoring using BIM and virtual or augmented reality
Hammad et al. Mobile model‐based bridge lifecycle management system
JP6412658B2 (ja) 点検計画立案支援システム、方法およびプログラム
JP6465421B1 (ja) 構造物変状検出装置
CN105277233A (zh) 天空地一体化土地数据获取系统和方法
Perez Jimeno et al. An integrated framework for non-destructive evaluation of bridges using UAS: A case study
JP7336415B2 (ja) 補修計画策定装置
Su Construction crew productivity monitoring supported by location awareness technologies
Samuel A Human-Centered Infrastructure Asset Management Framework Using BIM and Augmented Reality
Turkan et al. Automated progress tracking of erection of concrete structures
Saidi et al. Development and use of the NIST intelligent and automated construction job site testbed
Lukaszewska et al. D7. 1 Ashvin technology demonstration plan
Uchański et al. The use of Terrestrial Laser Scanning for the purposes of preparing technical documentation in BIM technology
JP6509546B2 (ja) 画像検索システム及び画像検索方法
Ostroglazov et al. System analysis and processing of transport infrastructure information
Rada et al. Automation of monitoring construction works based on laser scanning from unmanned aerial vehicles
Akanmu et al. Spatial mapping approach to component tracking using RTLS system
JP7312864B2 (ja) 対象物、特に建造物を検査するための構成および方法
KR102625537B1 (ko) 3차원 모델을 통한 안전진단 플랫폼 및 그 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170412

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20170413

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170412

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20170629

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170822

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171017

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180126

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6284240

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250