JP6500990B2 - アジン、ヒドラゾン結合の切断方法 - Google Patents

アジン、ヒドラゾン結合の切断方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体炭酸ガス、超臨界状態炭酸ガス、亜臨界状態炭酸ガスを利用してアジン化合物のアジン結合やヒドラゾン化合物のヒドラゾン結合、シッフ塩基のアゾメチン結合の切断を行い、低エネルギーで副生物の生成を抑制して、カルバジン酸(ヒドラジンカルボン酸)、水加ヒドラジン、置換ヒドラジン、カルバジン酸誘導体、カルバミン酸誘導体、アミノ化合物を容易に得る製造方法に関する。
水加ヒドラジン類は、ボイラーの水に溶存する酸素を除去してボイラーの腐食を防止する作用、樹脂の発泡剤の原料、高分子重合開始剤、エアーバッグのガス発生剤の原料、多数の医薬、農薬の原料、ロケット燃料、人工衛星の姿勢制御用燃料、電子材料用の金属微粒子製造用、回路基板のエッチング試薬等々広い範囲で使用され重要な化合物である。又置換ヒドラジン、カルバミン酸誘導体及びカルバジン酸誘導体は、医薬、農薬の合成原料及び反応試薬として重要な化合物である。
[既存製法の説明]
ここにおいては、水加ヒドラジン及び置換ヒドラジンを中心に説明する。水加ヒドラジン及び置換ヒドラジンの製造法としては、随分以前開発され、工業化された技術である。現在生産に使用されている技術は、この過去に開発された古い技術であり、新規な有望技術は無い。部分的な小さな技術の改善は行われたとしても基本反応は全く改良されていない。過去、現在に実施された製造方法は、下記に示す方法が基本である。
第1の方法として尿素法と言われる方法がある。(非特許文献1)
尿素を次亜塩素酸ソーダ等の塩素化剤(酸化剤)でクロル尿素又は置換クロル尿素にし、ホフマン転移でアミノイソシネートを生成させ、その後加水分解する事によって水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る方法である。(反応式1)この製法の欠点は、生成物の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンは、還元性の非常に強い化合物である為、そこに原料の酸化剤である次亜塩素酸ソーダが共存するので直ちに生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンが分解してしまう事である。その為反応系にグルー等の安定剤を添加し、水加ヒドラジンの場合4%以下の低い濃度の状態で反応を止め、分離しなければならない。この4%以下の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを濃縮し多量に生成する副生物の無機塩と分離し、副生した無機塩は廃棄物となる。更に水加ヒドラジンの場合、実用製品の濃度の60−100%に濃縮しなければならない。無水ヒドラジンの場合も先ず100%水加ヒドラジンを得なければならない。この為多量のエネルギーを消費する事となる。水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを無機酸の塩として濃縮する方法もあるが、必要な水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る為には、生成したヒドラジン類を無機塩として安定化する方法もあるが、無機塩を中和して水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンに変換しなければならない。この時また大量の無機塩の廃棄物が生成する。
[反応式1]
第2の方法としてラシッヒ法と称されるアンモニア又は置換アミンを次亜塩素酸ソーダ等の塩素化剤(酸化剤)でクロラミンを生成させ、このクロラミンとアンモニア又はアミン誘導体を低温で反応させて水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る方法がある。(反応式2)この反応において生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンは、非常に強い還元剤である為、酸化剤の塩素化剤(次亜塩素酸ソーダ)と反応して生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを分解する。これを避ける為には、本製法においてもグルー等を添加して安定化しても、生成水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの濃度を4%以下の低濃度で反応を停止し、副生した無機塩との分離と水加ヒドラジンの場合、よく使用される60−100%濃度の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンまで濃縮する必要がある。又無水ヒドラジンを得る為には、先ず100%水加ヒドラジンを得なければならない。この時大量のエネルギーが消費され、大量の副生塩が生成する事が問題で公害の原因になっている。生成したヒドラジン類を無機塩として安定化する方法もあるが、無機塩を中和して水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンに変換しなければならない。この時また大量の無機塩の廃棄物が生成する。(非特許文献2)
[反応式2]

第1の尿素法、第2のラシッヒ法では、生成する水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンが、原料の酸化剤である塩素化剤(次亜塩素酸ソーダ)で分解される為、低濃度で反応を停止させ、低濃度の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンしか得られないという欠点を改良した下記に示す方法が開発された。
第3の方法として有機法とかケタジン法と呼ばれる製法で、ラシッヒ法の反応時、大過剰のアンモニア水又はアミン誘導体と大過剰のアセトンの存在下、低温で酸化剤の次亜塩素酸ソーダ等の塩素化剤を少量づつ激しい撹拌下で滴下して次亜塩素酸ソーダ水溶液の分散、拡散を促進させ、アンモニアとの反応を促進させる。生成した低濃度水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを、直ちにヒドラジン又は置換ヒドラジンとの反応性が非常に高いアセトンと反応させて、化学的に安定なアセトンアジン又はアセトン置換ヒドラゾンに変化させ、塩素化剤(酸化剤)の酸化を受けないようにする方法であるが、やはり酸化剤の次亜塩素酸ソーダによる分解反応が早く大きな効果は得られない。(反応式3)。アセトンヒドラゾンは一方のみが保護されている為、もう一方の遊離のヒドラジノ基が水加ヒドラジンと同等に酸化され易い為、酸化剤の次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤による酸化を受けない保護化合物とならない。水加ヒドラジンでは両末端、置換ヒドラジンでは、ヒドラジノ基がアセトンと反応してケタジン又は置換ヒドラジンのヒドラゾンにならなければ酸化剤で酸化分解する事から逃れる事が出来ない。(特許文献1)
[反応式3]

しかし副生する大量の塩の問題やアセトンアジン又はアセトン置換ヒドラゾンになって安定化される前に、生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの強い還元性と塩素系酸化剤の反応速度の方が早く、生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンが酸化剤の塩素系酸化剤により分解される。その為反応系中でのケタジン又は置換ヒドラゾンの濃度は、第1の方法、第2の方法同様に水加ヒドラジンの場合、水加ヒドラジン換算で5%位が濃度の限界である。アセトンアジンは水様性であり、反応後過剰のアンモニアの蒸発回収、次いで沸点の低い過剰のアセトンの蒸発回収を行い、最後にアセトンアジンは水と共沸するので共沸させて分離する。蒸留塔の底部には塩濃度の高い、不純物を含んだ水溶液が残り廃棄され公害の原因になる。ここで得られたアセトンアジンの濃度は、水加ヒドラジンに換算してせいぜい20%程度である。アセトンヒドラゾン又はアセトン置換ヒドラゾンは水に不溶であり、水との共沸もしない。アセトンアジンの分離、精製法は、別途方法が必要である。ケタジン法の問題は、酸化剤の塩素化剤で酸化されない安定なアジン又は置換ヒドラゾンとなるのが特徴であるが、必要とする目的物の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る為には、得られたケタジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンを加水分解して水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得なければならないが、硫酸や塩酸等の強酸を使用して加水分解する事は容易である。しかし得られる製品は、水加ヒドラジン、ヒドラジン誘導体のこれ等の塩でしか得られない。フリーの水加ヒドラジンやヒドラジンその物を得る為には、中和しなければならない。その結果余分のアルカリ原料や大量の副生塩が生じる事になる。安定なケタジン、ヒドラゾン、置換ヒドラゾンの強酸等を使用せずに加水分解を行う事は非常に困難な事である。他のケトン類ではアセトンの様な高い反応性は示さないのでヒドラジン類の保護剤としての効果が無く使用出来ない。ケトアジン、ヒドラゾン及びアセトン置換ヒドラゾンを加水分解して高濃度水加ヒドラジン及び置換ヒドラジンを得なければほとんどの工業用用途には使用が出来ない。特殊な場合低濃度水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを使用する例もある。アセトンアジンやアセトンヒドラゾンを強酸等を使用せず加水分解する方法として高温での加水分解の方法が考えられるが、加水分解反応と加水分解した化合物が再結合する平衡反応であり、その相互の反応速度はほとんど同じである事から高温加水分解で目的物を得る事も非常に困難である。本製法で得られたケトアジン、ヒドラゾン及びアセトン置換ヒドラゾンの加水分解で、高温熱加水分解方法を適用する場合、150−160℃近辺での高温熱加水分解が必要であり、極めて小さな平衡定数の差を利用して少しづつ目的物を得る効率が非常に悪く、大量のエネルギーを消費する大きな問題点を有している。しかし大量の副生物が生成せず、公害の原因にならないメリットがある。これについては、後で詳細説明する。
第4の方法として開発されたのが過酸化水素法と称される方法である。(特許文献2)(特許文献3)
第1、第2、第3の方法は、何れの方法も大量の副生塩を生成する事で公害の原因になっている。また生成物が原料の次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤で分解されるのを避ける為、反応を低濃度で停止しなければならない点である。大量の副生塩を生成しない方法として、酸化剤として過酸化水素を使用する方法が開発された。反応機構が開示されていないが、化学反応の知識から従来の製法の反応機構と全く異なる反応であり、その反応機構の推測は容易に行う事が出来る。しかし単にアンモニア又はアミン誘導体と過酸化水素を混合すれば良いと言うものではない。何れの文献においても反応中間物及び反応機構の確認、説明が行われていない。想定される反応は、先ずケトンとアンモニアを反応させ、安定なケチミン(ケトンイミン)の生成が好ましい事が想定される。ケチミン(ケトンイミン)を生成するケトンは、アンモニア又はアミン誘導体との反応性があり、ケトンとの反応で生成したケチミン(ケトイミン)は、逆に安定な化合物が好ましい。第3の方法で使用されているアセトンでは、アセトンイミンが生成する事になるが、アセトンイミン又はアセトンイミン誘導体は不安定である為、アセトンイミン又はアセトンイミン誘導体は操作の難点、収率、副反応、分解反応から避けられている。本技術では、安定なケトンイミンを生成するケトンであればどんなケトンでも良いが、2分子のケトンイミンを過酸化水素で酸化してケトンアジン又は置換ヒドラゾンを生成させる。第3の方法で示されたと同じ問題が生じる。ケトンアジンを強酸で加水分解するとヒドラジン塩又は置換ヒドラジン塩が得られる。公害の原因となる副生塩の生成やコストアップになる強酸を使用する事無く、高温熱加水分解方法を取って水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る事が望ましい。ケタジン及び置換ヒドラゾンの高温熱加水分解時及び後処理の観点からメチルエチルケトンとアンモニア又はアミン誘導体とを反応させ、安定なメチルエチルケチミン(ケトンイミン)を得て、そのケチミンを毒性の強いヒ素化合物を含む触媒(カコジル)存在下、過酸化水素で酸化して2分子のケチミンのNH構造を結合させ、N−N結合を生成させてケトアジンを生成させるか、同様の反応でケチミンと置換アミンを結合させて、置換ヒドラゾンを得るのであるから、得られたメチルエチルケタジン又は置換ヒドラゾンは、アセトンアジン又はアセトンヒドラゾン誘導体よりも更に非常に安定なケトアジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンである。目的の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る為には、ここで得られるケトンアジン及び置換ヒドラゾンを加水分解しなければならない。(反応式4)
[反応式4]

この安定なケトアジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンを高温熱加水分解して水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る事は、第3の製法以上に困難な事である。第3の方法及び第4の方法において、生成したヒドラゾンを高温熱加水分解反応を行うと、加水分解時に分子内反応又はヒドラゾンとケトンが反応した副生物に多くが変換してしまう。第4の方法で使用されているケトンは、イミンの形成、安定性、反応性等の観点と反応後のケトアジン又は置換ヒドラゾンの加熱加水分解性、加水分解でケトンに再生される事等の兼ね合わせから、主にメチルエチルケトン等が使用される。これから得られるメチルエチルケタジン又はメチルエチルヒドラゾン又はメチルエチル置換ヒドラゾン等は、水に不溶性であるから水層と容易に分離出来る利点や食塩等の無機塩の廃棄物が生じない利点があるが、毒性の強いヒ素を使用した触媒を必要とする事及び190℃近辺での高温熱加水分解が必要であり、本方法に於いても第3の方法と同様に高温熱分解での反応は、平衡反応であり、わずかな平衡定数の差を利用して極めて少量づつ水加ヒドラジン及び置換ヒドラジンを得る。その為大量のエネルギーの浪費と高温加熱時に副生物の生成及び製品への着色問題等で更に困難になる。更に炭素数の多いケトンを使用した場合、ケタジンの高温熱加水分解は不可能に近いことになる。その加水分解反応は、下記の項目で詳細説明する。
[ケタジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンを得る製法に於けるケタジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンの高温熱加水分解方法の説明]
第3の製法(有機法、ケタジン法)においては、アセトンアジンになり安定化される前に、生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの還元性が非常に強い為、原料の酸化剤である次亜塩素酸ソーダ等の塩素化剤で容易に酸化され分解してしまう為、生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを酸化剤による分解以上に早く安定なアセトンアジン又はアセトン置換ヒドラゾンに変換して、酸化分解を受けないようにする方法である。アセトンヒドラゾンは片方のヒドラジノ基が遊離した状態の為容易に原料酸化剤で酸化されてしまい安定化物質となり得ない。一方水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの低濃度の状態では、目的が達成されるが、アセトンアジン又はアセトンヒドラゾン又はアセトン置換ヒドラゾンの濃度が上がってくる程、基本的に後から生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンは次亜塩素酸ソーダ等の塩素系酸化剤との反応速度が早い為、この酸化剤による分解反応が優先する。その為アセトンアジン又はアセトン置換ヒドラゾン方法においても低濃度で反応を止める必要がある。最終求められる製品は、特殊な用途を除いてほとんどの場合、水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの高濃度品であるから、ケトアジン化合物又は置換ヒドラゾンを加水分解し、濃縮して高濃度な水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンとケトンにする必要がある。
第4の製法(過酸化水素法)において、推定反応機構から考えると、メチルエチルケトンとアンモニア又は置換アミンを反応させて、メチルエチルケトイミンを先ず生成させ、そのメチルエチルケトイミンをヒ素系触媒の存在の下、過酸化水素で酸化してN−N結合を生成させて最初にメチルエチルケトアジン又はメチルエチル置換ヒドラゾンに変換すると考えられる。反応の最初に水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを生成させない為、過酸化水素の酸化剤で水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンが分解する問題はない。メチルエチルケトアジン又はメチルエチル置換ヒドラゾンとしての濃度を上げる事が出来るが、これ等化合物は、極めて安定な化合物である。最終目標製品は、水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの高濃度品であるからメチルエチルケタジン又はメチルエチル置換ヒドラゾン化合物を加水分解して水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンとケトンにして、メチルエチルケトンを回収し、水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの濃縮を行う必要がある。
第3の製法、第4の製法の両製法において、ケトンアジン又は置換ヒドラゾンの安定物質で得て来る為、ケトンアジン又は置換ヒドラゾンの加水分解が必須である。鉱酸等を触媒にすれば容易に加水分解されるが、得られる化合物はヒドラジン又は置換ヒドラジンの鉱酸塩となり、アルカリで再度中和して水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンとしなければならない為に、更に大量の副生塩が生成し公害の原因になると同時に余分の中和原料を使用する為コストアップにもなる。
これを避ける為に実生産では、安定性の高いケタジン又は置換ヒドラゾンから副生塩が生成しない、高温熱加水分解法が取られている。しかし高温熱加水分解で生成したケトンと水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの再結合反応速度定数も大きくなる。反応速度の差が出せない平衡反応である。最適条件を選択しても極めて少量の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得るに過ぎない。(反応式5)
更に高温での熱加水分解反応を行うと加水分解反応定数が上がるが、ケトンと遊離した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンとの反応速度定数も上がる二律背反の条件である。高温熱加水分解においてわずかにこの平衡定数に差がある温度点があり、その為高温熱加水分解して得られた水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンとして分離出来る量は極めて少なく、その高温においてケタジン又は置換ヒドラゾンを無限にリサイクルして熱加水分解を行い低濃度の水加ヒドラジン又は置換ヒドラゾンを得るに過ぎない。加水分解温度を更に上げて行くとそれに対応して反応速度定数の差が大きくなるという訳ではない。アセトンアジン又はアセトン置換ヒドラゾン(第3の製法)の加水分解には150−160℃程度の温度が最低必要であり、メチルエチルケトンアジン又はメチルエチルケトン置換ヒドラゾン(第4の製法)では180−190℃程度の温度が最低必要である。その他のケトンでは、ケタジン又は置換ヒドラゾンの生成及びこれら化合物の熱加水分解は、不可能に近い。高温熱加水分解を長時間リサイクルして水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る為、大量のエネルギーの浪費とケトンアジン合成時にケトンアジン化の時の不完全反応からヒドラゾンが生じると共に、高温熱加水分解時に不完全分解及び再結合時にヒドラゾンが生成する。ヒドラゾンは、加熱されるとケトアジンと水加ヒドラジンとなる不均化反応を生じるが、水加ヒドラジンとケトンとのヒドラゾンは、不安定化合物であり分子内反応又はケトンとの反応によって、この高温加熱履歴中に多量のピラゾリンやその他の副生物を生成する。又ケトン自体も高温での長時間履歴で縮合物を生じる。またこれ等副生物が原因で製品の純度低下や着色を及ぼす。高温加熱加水分解方法では、エネルギー消費が極めて大きくなり経済性が悪い事と、不純物の含有、着色を有する低品質製品しか得られない問題を有している。ケタジン法での高温熱加水分解で得られる水加ヒドラジン濃度、副生する塩類、その分離方法、濃縮方法等については、その項目で記載した通りである。何れの方法も蒸留精製、必要に応じて再精留が必要となる。
[反応式5]

K1、K2は乖離定数を示す。
Ger.P.1,082,889(June 9,1960) FR.P.2260569(November,5,1975) US.P.4093656(June.6.1978)
J. Fischer, J. Jander, Z. Anorg. Allgem. Chem., 313, 14(1961) J.E. Troyan, Ind. Eng. Chem., 45, 2608(1953) 林弘、有機合成化学協会誌、33、451頁(1975) 日本産業・医療ガス協会「液化炭酸ガス取扱テキスト」(2015年9月、54ページ)
本発明は、ケタジン(ケトンアジン)又はヒドラゾン、置換ヒドラゾン又はシッフ塩基化合物の加水分解を鉱酸等の触媒を使用する事無く、その為副生物や廃棄物の生成が無く、消費エネルギーが少なく、常温等の低い温度で高収率、高効率の方法で行い、高純度、高濃度、任意の濃度の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを経済的に生産する製造法を提供する事を課題とする。又原料として使用するケトンやアルデイド等のカルボニル基を有する化合物が広く使用する事が出来る。使用する炭酸ガスは、循環リサイクル使用が可能である。又従来法では、ケトアジン化合物又はケト置換ヒドラゾン化合物を鉱酸等の触媒を使用する事無く加水分解を行い水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを生成する方法では高温熱加水分解を必要とする為、実質使用可能なケトン化合物は、アセトンかメチルエチルケトンに限定される。又副生塩が大量に出ても良いならば、鉱酸を使用して加水分解し、ヒドラジンの鉱酸塩を得て、再度中和して水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る事が出来る。しかし経済性が悪い、大量の副生塩が生じて公害の原因になる等の決定的な欠点を有する。その代り広いカルボニル化合物が使用出来るが、実質生産法としては、使用困難である。
本発明の方法は、全く異なる加水分解機構であるので広い範囲のカルボニル化合物が使用出来る。
本発明者は、上記課題を解決する為、ケトンアジン、ヒドラゾン、置換ヒドラゾン又はシッフ塩基化合物の加水分解において触媒効果の期待される化合物の発見とその使用方法を鋭意検討行った結果、ルイス酸や通常の炭酸水や加圧して炭酸ガスを溶解させた程度の酸性度では、本加水分解反応を行っても低い変換率、低濃度の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得るに過ぎない。加水分解反応の温度を上げると反応は、若干促進されるが、副反応も促進される。本発明の目的を満足させる物ではない。水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンと強固な塩を生成せず、分離して廃棄しなければならない様な塩の生成も無い酸としては、炭酸が考えられるが、常温、常圧での炭酸水のPHは、6.35であり、加圧して溶解度を上げるとPHも下がるが、PH=2.9程度が限界である。この程度の酸性度では、アジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンの加水分解は非常に少ない。反応性を上げる為温度を加圧下で上げて行っても、副反応物が増加するのみで目的物の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの生成はそれほど増加しない。後で詳細説明するが、炭酸ガスは、圧力と温度の兼ね合わせで炭酸ガス状態、亜臨界状態の領域、超臨界状態、液体炭酸ガス状態となる。意外にも最も低圧条件での亜臨界、超臨界状態の炭酸ガス及び更に相図における液体炭酸ガス条件において、水の存在下一挙にスムーズに不純物も生じる事無くアジン、ヒドラゾン、置換ヒドラゾン又はシッフ塩基化合物が加水分解され、目的物の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン、又はカルボニル化合物とアミノ化合物が短時間に高収率、高効率で生成される事を発見した。
亜臨界、超臨界炭酸ガス及び液体炭酸ガスによって加水分解して、ケトンアジン、ヒドラゾン、置換ヒドラゾン又はシッフ塩基化合物から水加ヒドラジン、置換ヒドラジン、カルボニル化合物又はアミノ化合物にする為に、水和物として付加するのに必要な水の量と加水分解反応に必要な量以上の量の水との溶液及び分散物を、40℃等以下の温和な条件で撹拌混合する事によって、効率良く高純度で高濃度、水の量の調整で任意の濃度の水加ヒドラジン、カルバジン酸(ヒドラジンカルボン酸)、置換ヒドラジン、置換カルバジン酸、カルバミン酸誘導体、又はカルボニル化合物とアミノ化合物を得る事が出来る事を発見した。
この予想外の反応機構については、仮定であるが、液体炭酸ガスの会合と気体でもなく液体でもないと言われる超臨界炭酸ガスは、ミクロに見ると単分子のガス体ではなく、多くの分子が会合した状態であり、それによる電子リレー機構又はプロトンリレー機構による作用機構を推測して提示する事が出来る。本発明では水との混合物を使用するので、会合炭酸ガスの末端はカルボン酸と考えられる。上記会合機構によってこのプロトンが強い酸性を示すと推定される。生成水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンと炭酸ガスが反応して生成したカルバジン酸又は置換カルバジン酸は、40−70℃に加温する事によって容易に、安全に水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンと炭酸ガスに分解し、生成物として高純度で高濃度、使用した水の量によって任意の濃度の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る事を見出した。必要であれば低濃度品を得る条件で行った場合、先ず水を蒸留塔で溜去して、水加ヒドラジンとの共沸状態で蒸留を行うと80%水加ヒドラジンが得られ、更に水のみ溜去して濃縮して蒸留を行うと100%水加ヒドラジンが得られる。またこの時に精製が行われる事になる。これらの事実確認を行う事によって本発明を完成するに至った。
[課題を解決するための手段の詳細な説明]
本発明は、下記反応式(6)に示されるケトンアジン、ヒドラゾン、置換ヒドラゾン又はシッフ塩基化合物を亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス、液体炭酸ガスと水和物に必要な水と加水分解に必要な水の量以上の量の水を40℃以下等(この温度に限定されるものではない)で撹拌混合する事に寄って、加水分解反応後、亜臨界炭酸ガス及び超臨界炭酸ガスは、気体と液体の両方の性質を有する状態であるが、炭酸ガスの会合したクラスターの分散状態である。故に反応後亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガスは液相条件に変更し、液体炭酸ガスと合わせて液相にする。静置するとこれ等の炭酸ガス液層と水層が分離した状態となる。水に溶解する炭酸ガスの濃度及び液体炭酸ガスに溶解する水の量は、図2に示されている。超臨界炭酸ガスは有機溶剤の性質を有する為、天然物から有用な有機物を抽出する溶剤として使用されている。しかし液体炭酸ガスが有機溶剤の様な性質を示すという報告は何処にも見られない。超臨界炭酸ガスと低モル比でのアルコール及び有機溶剤の相平衡に関する資料は見られるが、有機反応に関する詳細結果についての解析は、本発明において初めて発見した事実である。亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス及び液体炭酸ガスのその何れの状態でも原料のケタジン(ケトンアジン)及び加水分解で生成したケトン及び生成した水難溶性置換ヒドラジンは、ミクロ的には液体状態と言える亜臨界炭酸ガス層、超臨界炭酸ガス層及び液体炭酸ガス層に溶解しており、水に溶解するケトンもこれ等液体炭酸ガス層に溶解する。水に易溶性の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン及びアミノ化合物は水に溶解するので水層に溶解している。
資料(1)に示す様に、液体炭酸ガスの比重は、温度と液化させる圧力によって異なって来る。液体炭酸ガスの臨界点は、31.1℃、7.38MPaである。液体炭酸ガスの各温度、圧力における密度は、資料(1)に示される通りである。本発明で使用する溶剤は亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス及び液化炭酸ガスと水であり、反応終了後亜臨界炭酸ガス及び超臨界炭酸ガスを温度又は、及び圧力を調整して液体炭酸ガスに変換する。図2に示されるように低温での液化炭酸ガスに溶解する水も、水に溶解する液化炭酸ガスも非常に低い濃度である。相互に溶解し得ない水及び液化炭酸ガスは分離した状態である。水又は液化炭酸ガスに溶解するケトンアジン又はケトンヒドラゾン又はケトン置換ヒドラゾン及び水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンやカルバジン酸又は置換カルバジン酸等の物質によって凝固点降下を示したとしても、水の量が多くなると非常に低温にすると氷になる。撹拌下水層が個体になるので液体炭酸ガス層に固体化した水層のスラリー状態になる。−10℃以上では液体炭酸ガスの比重は1以下となり、本発明の方法を好ましい反応条件で実行する場合、液体炭酸ガスと水の混合系であるので、液体炭酸ガス層が上層に来て水の層が下層にくる。液化炭酸ガス及び水に溶解出来る以上の原料が使用される場合、原料は液化炭酸ガス及び水に分散した状態もしくは液化炭酸ガス、水、原料の3層を形成する。原料及び生成物によって凝固点降下を起こすが、又は液体炭酸ガス層に固体化した水層のスラリー状態の物を処理しても良いが、反応性、熱効率、後処理等の観点から−30℃位以上40℃以下の温度で反応を行うのが好ましい。更に好ましくは、−10℃以上30℃以下の温度で反応を行うのが好ましい。これ等の温度に対する圧力については、圧力容器の容積と充填する液体炭酸ガスの充填量(充填定数)に依存し、図4の項目で説明する。60%水加ヒドラジンの凝固点は、−70.7℃で、100%水加ヒドラジンの凝固点は、−51.7℃である。しかしこれらの反応条件に限定されるものではない。
(非特許文献4)
原料のアジン、ヒドラゾン、置換ヒドラゾン又はシッフ塩基化合物の量に対して任意の割合の液体炭酸ガスの使用が可能である。加水分解反応が進行するに従って、原料のケトンアジン、ヒドラゾン、置換ヒドラゾン又はシッフ塩基化合物は、水加ヒドラジン、置換ヒドラジン、カルバジン酸、置換カルバジン酸、カルバミン酸、カルバミン酸誘導体、アミノ化合物とケトン又はカルボニル化合物に加水分解される。生成した水易溶性の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン、カルバジン酸及び置換カルバジン酸は、水層に溶解し、ケトン、水難溶性の置換ヒドラジン類及び置換カルバジン酸は液体炭酸ガスに溶解する。シッフ塩基化合物は、カルボニル化合物とアミノ化合物又はカルバミン酸誘導体に分解され、同様に液体炭酸ガス層又は水層に溶解する。
本技術による加水分解では、ケトンと水加ヒドラジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラジンとの反応で生じるアジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンに戻る反応やケトンの縮合物等の副生物を全く生じない。反応後温度又は圧力を調整し亜臨界、超臨界炭酸ガスの場合、液体炭酸ガスに変換し、液体炭酸ガス層と水層を分離する。水層を30−100℃に好ましくは、40−70℃に加温する事に寄って残存しているカルバジン酸又は置換カルバジン酸として存在する化合物が、水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンと炭酸ガスに容易に安全に分解される。(反応式7)しかしこの条件に限定されるものではない。シッフ塩基化合物の場合も同様である。
水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの濃度は、添加する水の量に依存するが、目的とする水加ヒドラジンの製品濃度に対応する水の量を加水分解反応時に添加して目的の濃度に近い水加ヒドラジンを直接得る事が出来る。通常60−100%の濃度の水加ヒドラジンが使用される。ユーザーによっては、5−60%の水加ヒドラジンも使用されている場合があるので、その濃度になるように水の量を調節しても良い。精密な製品の濃度に設定する場合は、得られた粗製水加ヒドラジンの濃度を分析し、必要に応じて高濃度水加ヒドラジンを添加するか、水を添加して所定の濃度に調整する。
更に高純度の水加ヒドラジンを必要とする場合、得られた高濃度水加ヒドラジンを精留して得る事が出来る。100%水加ヒドラジンで精留しておくと、希釈する事に寄って任意濃度の水加ヒドラジンを調整することで各種濃度の製品対応が可能である。また粗製水加ヒドラジンの濃度調整用に使用も出来る。又無水ヒドラジンが必要な場合、100%水加ヒドラジンから脱水を行い、必要に応じて蒸留する事によって得る事が出来る。水加ヒドラジンは80%で水と共沸するので、共沸製品で分留すると80%水加ヒドラジンが得られるが、反応時に使用する水の量をアジン又はヒドラゾンの加水分解に必要な水の量と80%水加ヒドラジンへの必要量以下の量にしておくと、80%水加ヒドラジン以上の任意の高濃度の水加ヒドラジンを得る事が出来る。置換ヒドラジンは水和物を形成しないので加水分解に必要な水の量以上の水の添加で良い。これ等から水の沸点まで上げて水のみを留去させ、その後濃縮された100%水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを分留すれば良い。水加ヒドラジンの蒸留時には、水加ヒドラジンの分解、空気中の酸素での分解を避ける為に窒素等の不活性ガス中で蒸留しなければならない。又置換ヒドラジンは、更に不安定であるので置換ヒドラジンに適した不活性ガスと添加剤の中で蒸留しなければならない。
[反応式6]
[化学式1]
ケトンアジン
反応式(6)における化合物(1)は、ケタジン(ケトンアジン)を示し、化合物(2)はケトンを示す。化合物(3)は化合物(2)と同様のケトンを示すか、別種のケトンを示す。化合物(4)は、水加ヒドラジン(ヒドラジンヒドラート、ヒドラジン水和物)を示す。化学式1のR、R、R、Rは、同一でもそれぞれ異なっていても又その組合せでも又RとR及びR、Rが結合していても良い。炭素のみでなく水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有していても良い。置換基を有していても良い。置換基としてアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アラルキル基、アルキレン基、アリール基、アリル基、縮合環基、ヘテロ原子を有するこれ等の基で、又ケトンアジン又はヒドラゾンを生成する時に悪い影響を及ぼさないハロゲン、ニトロ基、OH基、チオール基等の置換基を有していても良い。しかしこれ等の置換基に限定されるものではない。少なくともR、R、R、Rと結合した1個のカルボニル基とヒドラジンが結合した構造を有する事を基本条件とする。
[化学式2]
ケトン(1)
化学式(1)で示した条件のケトンを示す。R、R、は、化学式(1)で記載した内容と同じである。
[化学式3]
ケトン(2)
化学式(1)で示した条件のケトンを示す。R、Rは、化学式(1)で記載した内容と同じである。
[化学式4]
水加ヒドラジン(ヒドラジンヒドラート、ヒドラジン水和物)
[化学式5]
ヒドラゾン
化学式(1)で示した条件のヒドラゾンを示す。R、R、R、Rは、化学式(1)で記載した内容と同じである。R5、R6も化学式(1)でR、R、R、Rで記載した内容と同一である。
[化学式6]
カルバジン酸(ヒドラジンカルボン酸)
[化学式7]
置換ヒドラジン
化学式(7)におけるR、Rは、化学式(5)で記載した内容と同じである。
[反応式7]
カルバジン酸(ヒドラジンカルボン酸)の加水分解
本発明は、前記化学式(1)及び化学式(5)で示されるケトンアジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンを鉱酸等のプロトン触媒等を使用する事なく、室温等の低温において亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス及び液体炭酸ガス中で加水分解して、副生物を生成しない高純度で高濃度又は任意の濃度の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを実質的に1段反応で得て、液体炭酸ガス層(温度及び圧力で変換した亜臨界、超臨界状態を含む)と水層を層分離して容易で安全な方法によって、安価で副生物がなく、省エネルギーで無公害な方法で水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを製造する方法である。使用する液体炭酸ガスや原料に使用したケトンやアルデヒドの副反応を起こす事無く容易に分離回収し、リサイクル使用する事が出来る水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの製造方法である。
本発明の目的は、水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る事であるが、上記に記載した推定反応機構から明白な様にケトンアジンやヒドラゾンの加水分解に限定される物ではなく、シッフ塩基等の構造に示されるイミノ結合(−C=N−)を有する化合物の加水分解にも適用出来る反応である。
図1は、COで飽和した水のpHを示す。 図2は、水に対するCOの溶解度及びCOに対する水の溶解度を示す。 図3は、COの状態図を示す。 図4は、圧力容器内のCOの状態を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、亜臨界炭酸ガス又は超臨界炭酸ガス又は液体炭酸ガスと水との混合系に、ケトンアジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンを添加し−56.6℃以上で60℃以下、好ましくは−30℃〜40℃、更に好ましくは−10〜30℃で撹拌混合する事に寄って、ケトンアジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンを加水分解し、ケトンと水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンに高効率、高濃度で変換する水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの製造方法である。詳細な説明は、「問題を解決する為の手段の詳細な説明」の項において説明した通りである。反応結果の詳細な解析を行うと反応式(6)及び(9)で示される反応で進行していると考えられる。更に反応式(6)を詳細に解析すると、反応式(8)及び反応式(7)の反応及び反応生成物も認められる。加水分解反応後、亜臨界炭酸ガス層、超臨界炭酸ガス層の温度及び圧力を調整して、好ましくは全て液体炭酸ガス層として分離して、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーで分析すると原料のケトンが確認される。液体炭酸ガス層から液体炭酸ガスを炭酸ガス化して気化させるとケトンが残る事が確認される。低温で分離した水層を減圧下濃縮するとかメタノール等の水に溶解する貧溶媒を添加すると一部結晶が析出する。この結晶をIR及び液体クロマトグラフィーで確認するとカルバジン酸(ヒドラジンカルボン酸)又は置換カルバジン酸と同定された。カルバジン酸又は置換カルバジン酸は、不安定な化合物で40℃から60℃程度の温度が掛かると容易に安全に又完全に水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンと炭酸ガスに分解する。本反応の水層を加熱すると泡が発生し分析すると炭酸ガスである事が判明した。
[アセトンアジン又はアセトンヒドラゾンの現在製法に於ける加水分解]
アセトンアジンを形成する現在の製法では、先ず反応後の組成であるアンモニア、アセトン、アセトンアジン、アセトンヒドラゾン、水化ヒドラジン、水等の揮発性の物質を全て一端留去して、蒸留塔底部に塩類を濃縮して水溶液として分離、除去する。同時に揮発成分からアンモニアを回収し、次いでケトン類を分離する。アセトンアジン及びアセトンヒドラゾンを含有する水溶液を加水分解塔で加熱分解反応に入る。
、R、R、Rがメチル基であるアセトンアジンに於ける加水分解は、多数段方式の加水分解塔の底部缶のアセトンアジン水溶液(アセトンアジンと水は共沸を示す。水化ヒドラジンと水も共沸する)を反応式(1)で示すK1が僅かにK2を上回る130−150℃に加熱して、先ず過剰の水を留去し、更に高温熱加水分解で生じた水加ヒドラジンとアセトンとの再結合を免れた極めて少量の遊離アセトンを留去し、未加水分解、再結合して生成したアセトンアジンをリサイクル高温熱加水分解を行い少量づつ塔頂からアセトンを留去する。生成した水加ヒドラジンは塔底に残る。大量の蒸気を消費し長時間を掛けてアセトンアジンをリサイクルして20−30%の水加ヒドラジン水溶液を得る。長時間アセトンアジンを高温にさらす事によって片方が加水分解されたアセトンヒドラゾンからピラゾリン等の副反応物やアセトンの縮合物等の副生物の生成を増加させる。塔底に得られて20−30%の低濃度水加ヒドラジンを空気中の酸素で分解される事を避ける為、また安全性の確保の為窒素等の不活性ガスの存在下で別途精留を行い、先ず水を留去して濃縮を行い、次いで水加ヒドラジンと水との共沸物で精留を行うと80%水加ヒドラジンとして得られる。それでもまだ不純物を含有する。高純度及び高濃度水加ヒドラジンを必要とする場合、酸化を防止する為又安全性を確保する為、窒素等の付加性ガスの存在下水を先ず留去し濃度を上げて再精留を行う。100%水加ヒドラジンを得るには、酸化を防止する為窒素等の不活性ガスの存在下、先ず水を塔頂から留去して塔底に100%水加ヒドラジンを得て、これを再度精留して塔頂から100%水加ヒドラジンを得る。
置換ヒドラジンを得る場合は、不安定化合物である為、水加ヒドラジンと同様の処理で得る事は出来ない。置換ヒドラジンの蒸留の為の特別の環境条件が必要である。
[過酸化水素法の現在製法に於ける加水分解]
現在の過酸化水素法では、メチルエチルケトンを使用する。特許、文献等において過酸化水素法の反応過程、反応機構が明記されていないが、特許の実施例の状況及び化学知識から考えられるのは、過酸化水素法では、先ずメチルエチルエトンとアンモニアを反応させてメチルエチルケトンイミンを生成する必要がある。アセトンではアセトンイミンが不安定なのでアセトンを使用しない。過酸化水素法では、特許において原料のメチルエチルケトンとアンモニア混合に始まって、結果としてメチルエチルケタジンが生成すると記載されている。メチルエチルケタジンは水に不溶であり、分離が容易であるメリットがあるが、メチルエチルケタジンはより安定な化合物であり加水分解が更に困難であり、高温熱加水分解を行うが、この反応も反応式(5)で示す平衡反応である。高温熱加水分解時、平衡定数K1がK2を極めて小さな差であるが、K1定数が上回る温度は、180−200℃の高温である。メチルエチルケタジンの熱加水分解に必要な水とヒドラジンの水和物に必要な水との理論量以上の水との混合物を外部加熱するか或いは、180−200℃の高温蒸気を吹込み加熱して極めて少量づつ解離したメチルエチルケトンを加水分解塔の塔上から留去し、生成した水加ヒドラジン水溶液は、到底に残る。大量のエネルギーを消費し長時間を掛けて未分解のメチルエチルケタジンとメチルエチルケトンと水加ヒドラジンが再結合したメチルエチルケタジンの混合物を無限にリサイクルして水加ヒドラジンを得る。この製法での加水分解に消費するエネルギーは、アセトンアジンの加水分解に消費するエネルギーよりはるかに大きな量になる。この高温にメチルエチルケタジンを長時間さらす事によって副生物(最大成分はピラゾリン類やケトンの縮合物)の生成を増加させ、これ等の原因で製品の着色も大きな問題である。また本製法では、毒性の強いヒ素誘導体のカコジルと称する触媒が必須である。この触媒の回収方法、その為のコストが問題になる。
その他のR、R、R、R、R、Rの分子量が大きなカルボニル基を有する化合物のアジン化合物類及びヒドラゾン化合物類の場合、加熱加水分解は、不可能になる。強酸による加水分解でしか解離させる事は出来ない。ベンゾフェノンやシクロヘキサノンを使用する発表もあるが、硫酸等の強酸で加水分解し、ヒドラジンの硫酸塩等を得ている。水加ヒドラジンを得る為には、アルカリ物質で中和し、大量の塩の副生物を生じる問題がある。(非特許文献3)
[ヒドラゾンの場合の説明]
反応系で安定なケタジンになる中途状態で止まっている不完全反応物質としてのヒドラゾン及び熱加水分解時にケトンと水加ヒドラジンの再結合での不完全反応物質として少量のヒドラゾンが認められる。一方置換ヒドラジンとの反応の場合、原料が置換アミンとアンモニアが原料となるので種々の生成物の混合物の中の1化合物として得られる。置換基を有するアミンからの置換ヒドラゾンは、遊離のヒドラジノ基を有さないので還元性が無く安定である。ケトンとアンモニアの混合物を次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤で水加ヒドラジンを生成して時の不完全反応物、及び生成した水加ヒドラジンに、1分子のケトンが再結合して生成したヒドラゾンのみが利用出来るが、1分子の水加ヒドラジンに2分子のケトンが反応してケタジンとなり安定化合物を生成する製法と異なり、第1の製法、第2の製法と同等の問題点を有する。亜臨界状態炭酸ガスの場合、超臨界炭酸ガスの場合、液体炭酸ガス場合においても、ヒドラゾンは水への溶解性があるが、置換ヒドラゾンは、水、液体炭酸ガスへの溶解性も低いので特別に有利になる点がない。本来の合成反応において、生成したケタジン又は置換ヒドラゾンの中にヒドラゾン又は置換ヒドラゾンの状態で含まれる場合があるので、熱加水分解や本発明における液体炭酸ガス(亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス系を含む)での熱加水分解時に水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンへ変換して少しでも目的物の習得に寄与する事を目的として処理する。またヒドラゾン化合物は、不均化反応を生じてアジン化合物とヒドラジンとなる。生じたヒドラジンは、酸化剤で分解される事になる。
本発明における処理の中間物としてヒドラゾン化合物の存在、経由の可能性が考えられる。反応の途中段階で液体クロマトグラフィーで確認を行うとヒドラゾン化合物と推定されるピークを認める。又熱加水分解過程で途中段階の反応液の中にも液体クロマトグラフィーでヒドラゾン化合物の存在が認められる。本発明の処理反応液の中には、酸化剤が存在しない故に、ヒドラゾン化合物が存在し得ると考えられる。又は熱加水分解処理において完全分解されず中途分解産物として生成すると考えられる。水に溶解する安定なヒドラゾン化合物を分離して本発明の処理方法を適用すると本発明の効果でアジン化合物と同様に加水分解されて副生物を生じる事無く水加ヒドラジンを得る事が出来る。
[シッフ塩基化合物の場合]
カルボニル化合物又はアミノ化合物を安定化させる為、よく使用されるシッフ塩基化合物のアゾメチン結合は、本発明において使用されるケトアジンの半分の構造に相当する。加水分解させ、新たにカルボニル化合物又はアミノ化合物を得る為、鉱酸を使用して加水分解を行うのは、当業者において常識の処理法である。ケトンアジンの例と同様の欠点、問題を有している。ケトンアジンの半分の構造を有しているので、ケトンアジンの加水分解反応と等価、同様と言える。これを解決する方法として本発明の方法である亜臨界、超臨界、液体炭酸ガスを使用して加水分解を行う事が有効である事は自明の理である。
[炭酸ガス、水との間の溶解度]
炭酸が酸加水分解の効果を示してくれる事が理想であるが、炭酸水での炭酸のPk=3.60でPk=10.25で炭酸としてのPk=6.35と非常に弱い酸であり加水分解の酸触媒の機能は示さない。炭酸ガスは低温ほど、圧力が高いほど水への溶解度が上がり水溶液のPH値は低い値となる。(図1)
しかしこの程度のPH値の炭酸では、ケタジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンの加水分解を優位的に起こす事が出来ない。加水分解されるケタジンは少量であり、むしろ炭酸の酸性が触媒となり副生物の生成が多く生じる。水に対する炭酸ガスの溶解度は図2に示す通りである。炭酸ガスに溶解する水の量は、超臨界状態の高温、高圧の状態では、高い濃度になるが、高温故に副反応の方が優先して水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンが得られない。低温での液体炭酸ガスへの水の溶解度は、低いが溶解した水が重要である。新しい水の溶解、液体炭酸ガスとの接触確率を上げる為、十分な撹拌が必要である。
[炭酸ガスの挙動、溶解度(ガス、亜臨界、超臨界、液体)]
炭酸ガスの状態図は、図3に示す通りである。水存在下相図の各領域の中心領域等やそれ以上の高温、高圧下での亜臨界及び超臨界炭酸ガス状態でのケタジンの加水分解を行っても良好なケタジンの加水分解は認められない。むしろ炭酸の酸性の触媒効果で副生物の生成を多く生じる。液体炭酸ガス相に於いてはこの問題は無い。
炭酸ガスの状態図の液体炭酸ガス、超臨界炭酸ガスの状態である条件で水の存在下ケタジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンの加水分解を行うと水層を分離して水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの他に存在するカルバジン酸又は置換カルバジン酸を加温、加熱処理を行い加水分解すると併せて極めて高収率、高効率、高濃度の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンが得られ、高圧化の高濃度炭酸水や温度の高い条件での亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス状態で反応させた時に生成し易いピラゾリンやケトンの縮合物の生成が全く認められない。亜臨界炭酸ガス及び超臨界炭酸ガスの使用時、温度が高くなると悪い結果を示すので臨界点に近い出来るだけ低温での処理を行うと良好な加水分解の効果を示す。
[圧力容器内の状況]
圧力反応容器は、内部に空気が存在する場合、事前に炭酸ガスで空気を追い出し、炭酸ガスで置換しておいて、圧力反応容器の容積は、充填する液体炭酸ガス及び原料のケタジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾン及び水の容量以上の充填定数から反応操作に適した余裕のある容量が必要である。気体層はほとんど炭酸ガスで占められている。圧力内部の状況は、単に液体炭酸ガスを充填した場合の圧力容器内状態図に近似していると見なされる。圧力容器内の温度変化及び圧力変化は、液体炭酸ガスの充填定数に依存し、臨界温度以下では、図3の相図で液体炭酸ガスと気体化した炭酸ガスは、平衡状態にあり沸点線上にある。充填定数に対応し、圧力容器内の温度が上昇するとそれぞれに対応する温度で圧力容器内の液体炭酸ガスが満液の状態になり、更に温度が上昇すると図4の如く圧力が急激に上昇し超臨界状態になる。
黒色の線は、充填定数1.34の場合で約22℃で満液となり、更に温度が上昇した時の液体及び超臨界状態での圧力変化を示す。灰色の線は、充填定数1.6の場合で29℃で満液となり、更に温度が上昇した時の超臨界状態での圧力変化を示す。液体炭酸ガスとガス状炭酸ガスが平衡状態にある条件では沸騰線上の状態にある。
[液体炭酸を使用するアジン類の加水分解反応、操作の詳細な説明]
原料に使用するアジン、ヒドラゾン、置換ヒドラゾンにおいて、原料充填時に液体の化合物は、適当な方法で充填すれば良いが、固形物の場合、反応圧力容器の蓋を開けて必要量を充填する。上記に記載した様に、液体炭酸ガスを充填する前に、反応容器内の空気を炭酸ガスで完全に置換を行っておく。個体原料が液体炭酸ガスに完全に溶解しなくても反応の進行に伴って溶解して行く。
亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス、液体炭酸ガス中にアジン1モルに対して3モル以上の水を添加し、アジンを一部加水分解して得られるヒドラゾンの場合、ヒドラゾン1モルに対して2モル以上の水を添加し、液体炭酸ガスはアジンやヒドラゾンに対して特に限定されないが、大過剰の量が好ましい。水の量はアジン1モルに対して3モル以上の量、ヒドラゾン1モルに対して2モル以上の量、置換ヒドラゾンの場合、置換ヒドラゾン1モルに対して水2モル以上が必要であるが、目標とする水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの濃度になるように調整した水の量であってもよく、特に限定されるものではない。
反応条件は、図3に示す炭酸ガスの状態図に於いて液体である温度は−56.6℃から31.1℃であり、圧力は0.52MPa以上から7.38MPa以上であるが、望ましくは、−20℃から31℃であり、圧力は2.0MPa以上から7.4MPa以上であり、更に好ましくは−10℃から20℃で2.8MPa以上から5.8MPa以上であるが、これ等の温度に対する圧力は、液化炭酸ガスの状態図の沸騰線上にあり、充填定数に依存するが、高温側で圧力容器内が満液となった場合、少しの温度変化で急激な圧力上昇の可能性がある。故に圧力反応容器内の液体炭酸ガスの充填定数の選定及び圧力上昇した場合の対応の為、耐圧能力は例えば10MPaの様な余裕を持たせる事が良い。それ以上の圧力になった時には、系外に排出される安全弁を付けておく事が重要である。しかし圧力容器の耐圧性は、これ等に限定されるものではない。亜臨界炭酸ガス状態及び31.1℃以上の温度で7.38MPa以上の圧力での超臨界状態炭酸ガスの時は、好ましくは、対応する充填定数において、31.1℃から80℃以下の温度で、7.38MPa以上の圧力である。圧力容器の耐圧性は液体炭酸ガスの場合と同様である。液体炭酸ガスの容器及び使用の仕方については、高圧ガス取締法及びメーカーの取扱い説明を参照する。この超臨界炭酸ガスや液体炭酸ガスの状態になる温度と圧力でアジンの加水分解を行った後、温度を変化させる事によって超臨界炭酸ガスを含め全ての炭酸ガスを液体炭酸ガス層に変換し、液体炭酸ガス層と水層の2層として、それぞれの層を分離する。低温を維持していると水層に水加ヒドラジン及びカルバジン酸として存在する。カルバジン酸は、30℃以上に昇温すると炭酸ガスを発生して水加ヒドラジンとなる。カルバジン酸の安全な分解温度は、好ましくは、40−60℃である。亜臨界炭酸ガスの場合及び超臨界炭酸ガスの場合、温度の影響が非常に大きく、本加水分解の目的には低温である事が望ましい、故に臨界点である31.1℃、7.38MPaに近い条件を選択する事が望ましい。しかしこれら数値や条件に限定されるものではなく、作業、操作に適した温度、圧力であれば良い。
一般に市販されているサイフォン付液化炭酸ガスボンベは、沸騰液状態で販売されている。大型の大量使用においては、デュワー瓶型の真空断熱層を有する容器に―20℃の低温液化炭酸ガスで販売されているが、熱伝導がゼロではないので内部液体炭酸ガスが蒸発する事によって低温が保持されている。
液体炭酸ガス層と水層の分離は、温度とそれぞれに溶解する物質の濃度によって層が逆転するので画一的に示す事は出来ない。センサー付液面計で計測して分離を行う。遊離したケトンは、ケトンの種類によって溶解度は異なるが、液体炭酸ガス層に溶解している量が多い。ケトンの種類によって異なるが、一般に現在の製造に使用されているアセトンやメチルエチルケトンでは、液体炭酸ガスに溶解し易く、特にメチルエチルケトンは水に溶解しない。これ等のケトンが溶解した液体炭酸ガスは、アジン又は置換ヒドラゾンに対して大量の液体炭酸ガスを使用している場合、これ等ケトンを溶解したままリサイクル使用が可能である。亜臨界炭酸ガス又は超臨界炭酸ガスと水層での反応の場合、水層を分離する。しかしこれに限定されるものではない。
液体炭酸ガスへのケトンの溶解が遅いとか困難になった時点で、亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス、液体炭酸ガスを気化器でガス化して系外に取り出し、ケトンは残液として残る。この回収ケトンはそのままリサイクル使用が出来るが、精製が必要となった時点で精留して精製する。作業、操作の都合で任意に選択すれば良い。
全体の反応系で熱エネルギーを有効に利用する事を希望する場合、液体炭酸ガスを気化器でガス化する時気化熱で冷却されるが、ブライン等で加温すると共に冷熱を低温ブラインとして回収してケトンの蒸留での冷却液化に利用するとか他の冷却部分に利用する。ガス化した炭酸ガスは、ガス化した時の冷却熱で冷却するとか別途冷熱源が近傍に有る場合、炭酸ガスを冷却し、冷却液化するか、その後コンプレッサーで加圧して液化する。事前に炭酸ガスが冷却されている場合、コンプレッサーで圧縮、液化する時の効率を上げる事が出来、コンプレッサーに使用する電気エネルギーの抑制が出来る。コンプレッサーで圧縮する時、発熱して外部に熱を放出する。この時発生する熱を回収して水加ヒドラジンの濃縮、精製とかケトンの蒸留時の加熱エネルギーとして利用する。これらエクセルギーの応用によって理想的にエネルギー消費を抑制する事が提案出来る。しかしこれら操作に限定されるものではない。

で表わされるR、R、R、R、R、Rは、それぞれの化合物で同じ置換基を示す。R、R、R、R、R、Rは、同一であっても一部同一、一部異なる基であっても全て異なる基であっても良い。R、R及びR、Rが結合した環状の構造であっても良い。リサイクル使用を考えると化学式(2)の化合物と化学式(3)の化合物は、同一の化合物である事が望ましい。R、R、R、R、R、Rは、水素、分岐していても、アンモニア、二酸化炭素、ヒドラジン等と反応しない置換基を有していても、ヘテロ原子を有していても良いアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アラルキル基、アルケニレン基、アリレーン基、脂環式基、アリール基、アリル基、複素環基、縮合環基、それ等のジイル基等で表される。しかしこれらに限定されるものではない。
、R、R、R、R、Rの具体的な例としては、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基等のアルキル基を示す。シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基を示す。化合物構造式の炭素を含めてシクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基を示す。ビニル基、アリル基等のアルケニル基を示す。シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基を示す。化合物構造式の炭素を含めてシクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基を示す。フェニル基、ナフチル基等の芳香族環基を示す。ピラゾール基、ピラゾリン基、イミダゾール基、イミダゾリン基、ピリジル基、ピロール基、トリアゾール基、オキサゾール基、ピペジニル基、キノリン基等の複素環基を示す。更にこれ等の基にアンモニア、炭酸ガス、ヒドラジン等と反応しないアルコキシ基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アリールオキシ基、芳香族環基、複素環基等の置換基を有していても良い。好ましくは、水素、メチル基、エチル基、イソブチル基、アリール基、シクロヘプタン環、シクロヘキサン環等である。具体的には、化学式(2)、化学式(3)で表現すると、アセトアルデヒド、イソプロピルアルデヒド、ベンツアルデイド、ナフチルアルデヒド、フルフラール、等のアルデヒド類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルシクロペンチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、フラノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、フルオレノン、フルオネリルケトン等である。しかしこれらに限定されるものではない。
以下実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[水加ヒドラジンの分析、定量方法]
以下の実施例で得られた水加ヒドラジンの分析方法。
水加ヒドラジンの分析は、ガスクロマトグラフイーで行う事が出来るが、正確な分析は、滴定法で行う方が好ましい。
[滴定法による水加ヒドラジンの分析方法]
試薬
1)塩酸(3+2)
白塩酸300mlに脱イオン水200mlを加える。
2)クロロホルム(試薬特級)
3)M/40ヨウ素酸カリウム溶液(5.35g KIO3/l)
ヨウ素酸カリウム(容量分析用標準試薬)を130℃で2時間加熱後、デシケーター中で放冷し、10.701gに含量補正した量を0.1mgのケタまで量り、メスフラスコ2000mlに移し、脱イオン水で溶解後定容とする。{ファクター(F)が1.000になるように調製すること}
操作
1)濃度に応じた試料採取量(*)を精秤し、500mlメスフラスコに入れ、脱イオン水で定容とする。
2)その10mlを正確に採り、共栓フラスコ(300ml容)に移し、塩酸(3+2)50mlを加える。
3)M/40ヨウ素酸カリウム溶液で滴定し、終点近くでクロロホルム5mlを加え、激しく振盪しクロロホルム層の紅色が消えるまで滴定し、激しく振盪を繰り返す。
次式によって含量を求める。
備考
[標準実験原料の合成]
[アセトンアジンの合成]
アセトン2,320g(40モル)中に室温下100%水加ヒドラジン100g(2モル)を添加する。この際、反応熱のため昇温する。その後、内温を40〜50℃の範囲で2時間攪拌する。反応後、室温まで冷却後無水炭酸カリウム828g(6モル)を強攪拌下で徐々に加え、そのまま室温で2時間攪拌することで副製した水分を除去する。この際、攪拌が不十分であると炭酸カリが固結してしまうことがあるので注意。
乾燥後、炭酸カリウムを濾別し、濾別した炭酸カリウムをアセトンで十分に洗浄する。余剰のアセトンを減圧下留去したのち、減圧蒸留にてアセトンアジンを精留する。
[メチルエチルケトンアジンの合成]
メチルエチルケトン1,440g(20モル)中に60℃加温下、100%水加ヒドラジン100g(2モル)を激しい撹拌下滴下する。滴下中に外部から加温して滴下終了時に80℃になるようにする。メチルエチルケトンは、水加ヒドラジンと簡便に反応しない。滴下終了後10時間激しい撹拌下80℃で反応を行う。メチルエチルケトンと100%水加ヒドラジンとは、溶解しないので2層となる。上層のメチルエチルケトン層を分離して無水硫酸ナトリウムで脱水、乾燥する。硫酸ナトリウムを濾別した後、余剰のメチルエチルケトンを減圧溜去し、減圧蒸留にてメチルエチルケタジンを精留する。
攪拌機を有する容積400ml、耐圧20MPaの安全弁付オートクレーブにサイフォン管付き液化炭酸ガスボンベ、過冷却装置、高圧定量ポンプを設置して、オートクレーブを恒温槽に漬ける。オートクレーブに炭酸ガスを前もって流してオートクレーブ内の空気を完全に置換しておく。20℃の恒温槽でオートクレーブ全体を20℃とする。水31.5g(1.75モル)にアセトンアジン28g(0.25モル)を溶解した溶液を20℃に調整してオートクレーブに注入する。その上に撹拌下液化炭酸ガスの導入時に一挙に気体化しないようにする為、過冷却器を通して液体炭酸ガスボンベからの炭酸ガスを高圧流体定量ポンプで徐々に213g(4.84モル)をオートクレーブに注入する。注入された液体炭酸ガス量は、定量ポンプからの量と液体炭酸ガスが充填されたオートクレーブの重量変化の両方で測定する。オートクレーブ内の圧力は約5.7MPaを示す。そこでバブルを閉めて20℃で12時間撹拌を行う。ボンベ内の液体炭酸ガスと水及びアセトンアジンの液体成分が約270mlを占め、気体状態の容積は約130mlを占め、状態図の沸騰線上の状態である。
反応終了後20℃では液体炭酸ガスの比重は水より小さく、その為下層の水層部を耐圧容器に取り出し、ガス放出弁から溶解している炭酸ガスを放出し、その後徐々に55℃に加温する。水層に存在するカルバジン酸を分解して水加ヒドラジンと炭酸ガスとし、炭酸ガスは放出弁から系外に出される。水層からサンプルを採取して、上記の滴定分析で水加ヒドラジンの量を算出する。滴定分析の結果、水加ヒドラジンは、11.75g(0.235モル)(収率94%)である事が判明した。水加ヒドラジンの濃度は、液化炭酸ガスに溶解している水の量は、この温度と圧力では非常に少ないので、約38.4%濃度の水加ヒドラジン溶液である。
温度を10℃とし、水22.5g(1.25モル)とした以外は、実施例1と同様の反応、処理を行う。水層の滴定分析を行うと0.24モルの水加ヒドラジンが算出された。収率96%である。これは約55.7%濃度の水加ヒドラジン溶液である。
温度を0℃とし、水22.5g(1.25モル)とした以外は、実施例1と同様の反応、処理を行う。水層の滴定分析を行うと0.246モルの水加ヒドラジンが算出された。収率98.4%である。これは約57.2%濃度の水加ヒドラジン溶液である。
攪拌機を有する容積400ml、耐圧20MPaのオートクレーブの上部にサイフォン付き液化炭酸ガスボンベ、炭酸ガス貯槽、過冷却器、高圧定量ポンプを設置し、オートクレーブを恒温槽に漬ける。事前にオートクレーブに炭酸ガスを流してオートクレーブ内の空気を完全に置換しておく。32℃の恒温槽でオートクレーブ全体を32℃とする。水22.5g(1.25モル)にアセトンアジン28g(0.25モル)を溶解した溶液を32℃に調整してオートクレーブに注入する。その上に撹拌下で過冷却器を通って来た液体炭酸ガスボンベからの液体炭酸ガスを高圧流体定量ポンプで徐々に219g(4.98モル)をオートクレーブに注入する。オートクレーブの内圧は、約9MPaを示す。液体成分を全て液体炭酸ガスと仮定すると炭酸ガスの充填定数は、約1.6に相当するが、液体炭酸ガス以外の液体成分が約50g充填されているので正確に充填定数1.6とは言えない。そこでバブルを閉めて32℃で12時間撹拌を行う。32℃ではオートクレーブ内の圧力は約9MPaとなる。通常の液体炭酸ガス使用目的のボンベでは、ボンベ内の液体炭酸ガスは、31.1℃臨界点以下では状態図の沸騰線上の状態である。この充填定数の条件では約29℃では、炭酸ガスボンベ内では、ガス層が無くなり満液状態の臨界炭酸ガス状態となっている。反応オートクレーブ内では、少しの温度変化が有っても圧力が急激に上昇する為、安全を目的、超臨界炭酸ガス層の保持の為安全弁付200MPaのオートクレーブを使用している。
反応終了後10℃にオートクレーブ及び内容物を冷却し、比重の大きい下層の水層部を耐圧容器に取り出し、ガス放出弁から溶解している炭酸ガスを放出し、その後徐々に55℃に加温する。水層に存在するカルバジン酸を分解して水加ヒドラジンと炭酸ガスとし、炭酸ガスは放出弁から系外に出される。水層からサンプルを採取して、上記の滴定分析で水加ヒドラジンの量を算出する。滴定分析の結果、水加ヒドラジンは、0.205モル(収率82%)である事が判明した。水加ヒドラジンの濃度は、液化炭酸ガスに溶解している水の量は、この温度と圧力では非常に少ないので、約47.3%濃度の水加ヒドラジン溶液である。
攪拌機を有する容積400ml、耐圧20MPaのオートクレーブの上部にサイフォン付き液化炭酸ガスボンベ、気化器、炭酸ガス貯槽、過冷却器、高圧定量ポンプを設置して、オートクレーブを恒温槽に漬ける。オートクレーブに炭酸ガスを流してオートクレーブ内の空気を完全に置換しておく。20℃の恒温槽でオートクレーブ全体を20℃とする。水22.5g(1.25モル)にメチルエチルケトンアジン35g(0.25モル)を溶解した溶液を20℃に調整してオートクレーブに注入する。その上に撹拌下過冷却器を通って来た液体炭酸ガスを高圧流体定量ポンプで徐々に215g(4.9モル)をオートクレーブに注入する。そこでバブルを閉めて20℃で12時間撹拌を行う。液体炭酸ガスの充填定数は、約1.6である。この充填定数では、通常の液体炭酸ガスボンベでは、ボンベ内は液体炭酸ガスと気体炭酸ガス層が存在する。29℃以下では平衡状態の状態図の沸騰線上の状態である。20℃では、オートクレーブ内の圧力は、約5.9MPaを示す。
それ以上の温度になっても29℃まで状態図の沸騰線上の状態にある。反応オートクレーブ内では、少しの温度変化が有っても安全確保の目的、超臨界炭酸ガス層の保持の安全弁付200耐圧のオートクレーブを使用している。
反応終了後20℃では液体炭酸ガスの比重は水より小さく、その為下層の水層部を耐圧容器に取り出し、ガス放出弁から溶解している炭酸ガスを放出し、その後徐々に55℃に加温する。水層に存在するカルバジン酸を分解して水加ヒドラジンと炭酸ガスとし、炭酸ガスは放出弁から系外に出される。水層からサンプルを採取して、上記の滴定分析で水加ヒドラジンの量を算出する。滴定分析の結果、水加ヒドラジンは、0.233モル(収率93%)である事が判明した。水加ヒドラジンの濃度は、液化炭酸ガスに溶解している水の量は、この温度と圧力では非常に少ないので、約54.0%濃度の水加ヒドラジン溶液である。
原料にベンゾフェノンアジン72g(0.20モル)、液体炭酸ガス188g(4.27モル)、水31.5g(1.75モル)を使用し、充填定数は約1.58である。実施例1と同様の処理を行うと水加ヒドラジン9.1g(0.182モル)を得る。収率91%で水加ヒドラジン濃度は、29.8%である。
実施例1においてオートクレーブ内に分離して保存した液体炭酸ガスの入ったオートクレーブの重量測定から最初の空の状態のオートクレーブの重量、加水分解で生じて液体炭酸ガスに溶解していると予測されるアセトンの重量を差し引きして、残存液体炭酸ガスの概量を203gとみなした。この上に水27g(1.5モル)とアセトンアジン28g(0.25モル)を充填して実施例1と同様の反応、処理を行った。充填定数は約1.7と概算した。分析結果水加ヒドラジン10.4g(0.208モル)収率83%を示した。

Claims (8)

  1. 亜臨界、超臨界、又は液体炭酸ガス状態の炭酸ガスの存在下、ケトンアジン、ヒドラゾン又はシッフ塩基化合物を加水分解することにより、ケトンと、水加ヒドラジン若しくは置換ヒドラジン、又はカルバジン酸若しくは置換カルバジン酸、又はカルボニル化合物とアミノ化合物、又はカルバミン化合物若しくは置換カルバミン酸を得ることを特徴とする、水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
  2. 前記炭酸ガスの温度が60℃以下で―56.6℃以上であり、そして前記炭酸ガスの圧力が0.52MPa以上で、亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス、液体炭酸ガス状態を形成する温度、圧力、充填係数との組み合わせよりなる条件での、請求項1に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
  3. 前記炭酸ガスの温度が−30℃〜40℃であり、そして前記炭酸ガスの圧力が1.4MPa以上で亜臨界、超臨界、液体炭酸ガス状態を形成する温度、圧力、充填係数との組み合わせよりなる条件での、請求項1又は2に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
  4. 前記炭酸ガスがリサイクル可能である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
  5. 更に、前記カルバジン酸又は置換カルバジン酸を加熱して、水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンと炭酸ガスに分解することを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
  6. 前記ケトンアジンが、化学式(1):

    [式中、
    〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、芳香族環基又は複素環基(ここで、これらの基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される1つ以上の置換基によって、場合により置換されている)であるか、或いは、
    とRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、環構造(ここで、該環構造基は、置換基として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される置換基によって、場合により置換されている)を形成するか、或いは
    とRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、環構造(ここで、該環構造基は、置換基として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される置換基によって、場合により置換されている)を形成する]
    で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
  7. 前記ヒドラゾンが、化学式(7):

    [式中、
    、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、芳香族環基又は複素環基(ここで、これらの基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される1つ以上の置換基によって、場合により置換されている)であるか、或いは、
    とRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、環構造(ここで、該環構造基は、置換基として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される置換基によって、場合により置換されている)を形成するか、或いは
    とRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、環構造(ここで、該環構造基は、置換基として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される置換基によって、場合により置換されている)を形成する]
    で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
  8. 前記シッフ塩基が、化学式(9):

    [式中、
    、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、芳香族環基又は複素環基(ここで、これらの基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される1つ以上の置換基によって、場合により置換されている)であるか、或いは、
    とRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、環構造(ここで、該環構造基は、置換基として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される置換基によって、場合により置換されている)を形成する]で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
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