JP6500990B2 - アジン、ヒドラゾン結合の切断方法 - Google Patents
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Description
ここにおいては、水加ヒドラジン及び置換ヒドラジンを中心に説明する。水加ヒドラジン及び置換ヒドラジンの製造法としては、随分以前開発され、工業化された技術である。現在生産に使用されている技術は、この過去に開発された古い技術であり、新規な有望技術は無い。部分的な小さな技術の改善は行われたとしても基本反応は全く改良されていない。過去、現在に実施された製造方法は、下記に示す方法が基本である。
尿素を次亜塩素酸ソーダ等の塩素化剤(酸化剤)でクロル尿素又は置換クロル尿素にし、ホフマン転移でアミノイソシネートを生成させ、その後加水分解する事によって水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る方法である。(反応式1)この製法の欠点は、生成物の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンは、還元性の非常に強い化合物である為、そこに原料の酸化剤である次亜塩素酸ソーダが共存するので直ちに生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンが分解してしまう事である。その為反応系にグルー等の安定剤を添加し、水加ヒドラジンの場合4%以下の低い濃度の状態で反応を止め、分離しなければならない。この4%以下の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを濃縮し多量に生成する副生物の無機塩と分離し、副生した無機塩は廃棄物となる。更に水加ヒドラジンの場合、実用製品の濃度の60−100%に濃縮しなければならない。無水ヒドラジンの場合も先ず100%水加ヒドラジンを得なければならない。この為多量のエネルギーを消費する事となる。水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを無機酸の塩として濃縮する方法もあるが、必要な水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る為には、生成したヒドラジン類を無機塩として安定化する方法もあるが、無機塩を中和して水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンに変換しなければならない。この時また大量の無機塩の廃棄物が生成する。
第1の尿素法、第2のラシッヒ法では、生成する水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンが、原料の酸化剤である塩素化剤(次亜塩素酸ソーダ)で分解される為、低濃度で反応を停止させ、低濃度の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンしか得られないという欠点を改良した下記に示す方法が開発された。
しかし副生する大量の塩の問題やアセトンアジン又はアセトン置換ヒドラゾンになって安定化される前に、生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの強い還元性と塩素系酸化剤の反応速度の方が早く、生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンが酸化剤の塩素系酸化剤により分解される。その為反応系中でのケタジン又は置換ヒドラゾンの濃度は、第1の方法、第2の方法同様に水加ヒドラジンの場合、水加ヒドラジン換算で5%位が濃度の限界である。アセトンアジンは水様性であり、反応後過剰のアンモニアの蒸発回収、次いで沸点の低い過剰のアセトンの蒸発回収を行い、最後にアセトンアジンは水と共沸するので共沸させて分離する。蒸留塔の底部には塩濃度の高い、不純物を含んだ水溶液が残り廃棄され公害の原因になる。ここで得られたアセトンアジンの濃度は、水加ヒドラジンに換算してせいぜい20%程度である。アセトンヒドラゾン又はアセトン置換ヒドラゾンは水に不溶であり、水との共沸もしない。アセトンアジンの分離、精製法は、別途方法が必要である。ケタジン法の問題は、酸化剤の塩素化剤で酸化されない安定なアジン又は置換ヒドラゾンとなるのが特徴であるが、必要とする目的物の水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る為には、得られたケタジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンを加水分解して水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得なければならないが、硫酸や塩酸等の強酸を使用して加水分解する事は容易である。しかし得られる製品は、水加ヒドラジン、ヒドラジン誘導体のこれ等の塩でしか得られない。フリーの水加ヒドラジンやヒドラジンその物を得る為には、中和しなければならない。その結果余分のアルカリ原料や大量の副生塩が生じる事になる。安定なケタジン、ヒドラゾン、置換ヒドラゾンの強酸等を使用せずに加水分解を行う事は非常に困難な事である。他のケトン類ではアセトンの様な高い反応性は示さないのでヒドラジン類の保護剤としての効果が無く使用出来ない。ケトアジン、ヒドラゾン及びアセトン置換ヒドラゾンを加水分解して高濃度水加ヒドラジン及び置換ヒドラジンを得なければほとんどの工業用用途には使用が出来ない。特殊な場合低濃度水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを使用する例もある。アセトンアジンやアセトンヒドラゾンを強酸等を使用せず加水分解する方法として高温での加水分解の方法が考えられるが、加水分解反応と加水分解した化合物が再結合する平衡反応であり、その相互の反応速度はほとんど同じである事から高温加水分解で目的物を得る事も非常に困難である。本製法で得られたケトアジン、ヒドラゾン及びアセトン置換ヒドラゾンの加水分解で、高温熱加水分解方法を適用する場合、150−160℃近辺での高温熱加水分解が必要であり、極めて小さな平衡定数の差を利用して少しづつ目的物を得る効率が非常に悪く、大量のエネルギーを消費する大きな問題点を有している。しかし大量の副生物が生成せず、公害の原因にならないメリットがある。これについては、後で詳細説明する。
この安定なケトアジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾンを高温熱加水分解して水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを得る事は、第3の製法以上に困難な事である。第3の方法及び第4の方法において、生成したヒドラゾンを高温熱加水分解反応を行うと、加水分解時に分子内反応又はヒドラゾンとケトンが反応した副生物に多くが変換してしまう。第4の方法で使用されているケトンは、イミンの形成、安定性、反応性等の観点と反応後のケトアジン又は置換ヒドラゾンの加熱加水分解性、加水分解でケトンに再生される事等の兼ね合わせから、主にメチルエチルケトン等が使用される。これから得られるメチルエチルケタジン又はメチルエチルヒドラゾン又はメチルエチル置換ヒドラゾン等は、水に不溶性であるから水層と容易に分離出来る利点や食塩等の無機塩の廃棄物が生じない利点があるが、毒性の強いヒ素を使用した触媒を必要とする事及び190℃近辺での高温熱加水分解が必要であり、本方法に於いても第3の方法と同様に高温熱分解での反応は、平衡反応であり、わずかな平衡定数の差を利用して極めて少量づつ水加ヒドラジン及び置換ヒドラジンを得る。その為大量のエネルギーの浪費と高温加熱時に副生物の生成及び製品への着色問題等で更に困難になる。更に炭素数の多いケトンを使用した場合、ケタジンの高温熱加水分解は不可能に近いことになる。その加水分解反応は、下記の項目で詳細説明する。
第3の製法(有機法、ケタジン法)においては、アセトンアジンになり安定化される前に、生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの還元性が非常に強い為、原料の酸化剤である次亜塩素酸ソーダ等の塩素化剤で容易に酸化され分解してしまう為、生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンを酸化剤による分解以上に早く安定なアセトンアジン又はアセトン置換ヒドラゾンに変換して、酸化分解を受けないようにする方法である。アセトンヒドラゾンは片方のヒドラジノ基が遊離した状態の為容易に原料酸化剤で酸化されてしまい安定化物質となり得ない。一方水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの低濃度の状態では、目的が達成されるが、アセトンアジン又はアセトンヒドラゾン又はアセトン置換ヒドラゾンの濃度が上がってくる程、基本的に後から生成した水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンは次亜塩素酸ソーダ等の塩素系酸化剤との反応速度が早い為、この酸化剤による分解反応が優先する。その為アセトンアジン又はアセトン置換ヒドラゾン方法においても低濃度で反応を止める必要がある。最終求められる製品は、特殊な用途を除いてほとんどの場合、水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンの高濃度品であるから、ケトアジン化合物又は置換ヒドラゾンを加水分解し、濃縮して高濃度な水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンとケトンにする必要がある。
K1、K2は乖離定数を示す。
本発明は、下記反応式(6)に示されるケトンアジン、ヒドラゾン、置換ヒドラゾン又はシッフ塩基化合物を亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス、液体炭酸ガスと水和物に必要な水と加水分解に必要な水の量以上の量の水を40℃以下等(この温度に限定されるものではない)で撹拌混合する事に寄って、加水分解反応後、亜臨界炭酸ガス及び超臨界炭酸ガスは、気体と液体の両方の性質を有する状態であるが、炭酸ガスの会合したクラスターの分散状態である。故に反応後亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガスは液相条件に変更し、液体炭酸ガスと合わせて液相にする。静置するとこれ等の炭酸ガス液層と水層が分離した状態となる。水に溶解する炭酸ガスの濃度及び液体炭酸ガスに溶解する水の量は、図2に示されている。超臨界炭酸ガスは有機溶剤の性質を有する為、天然物から有用な有機物を抽出する溶剤として使用されている。しかし液体炭酸ガスが有機溶剤の様な性質を示すという報告は何処にも見られない。超臨界炭酸ガスと低モル比でのアルコール及び有機溶剤の相平衡に関する資料は見られるが、有機反応に関する詳細結果についての解析は、本発明において初めて発見した事実である。亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス及び液体炭酸ガスのその何れの状態でも原料のケタジン(ケトンアジン)及び加水分解で生成したケトン及び生成した水難溶性置換ヒドラジンは、ミクロ的には液体状態と言える亜臨界炭酸ガス層、超臨界炭酸ガス層及び液体炭酸ガス層に溶解しており、水に溶解するケトンもこれ等液体炭酸ガス層に溶解する。水に易溶性の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン及びアミノ化合物は水に溶解するので水層に溶解している。
ケトンアジン
ケトン(1)
ケトン(2)
水加ヒドラジン(ヒドラジンヒドラート、ヒドラジン水和物)
ヒドラゾン
カルバジン酸(ヒドラジンカルボン酸)
置換ヒドラジン
カルバジン酸(ヒドラジンカルボン酸)の加水分解
アセトンアジンを形成する現在の製法では、先ず反応後の組成であるアンモニア、アセトン、アセトンアジン、アセトンヒドラゾン、水化ヒドラジン、水等の揮発性の物質を全て一端留去して、蒸留塔底部に塩類を濃縮して水溶液として分離、除去する。同時に揮発成分からアンモニアを回収し、次いでケトン類を分離する。アセトンアジン及びアセトンヒドラゾンを含有する水溶液を加水分解塔で加熱分解反応に入る。
現在の過酸化水素法では、メチルエチルケトンを使用する。特許、文献等において過酸化水素法の反応過程、反応機構が明記されていないが、特許の実施例の状況及び化学知識から考えられるのは、過酸化水素法では、先ずメチルエチルエトンとアンモニアを反応させてメチルエチルケトンイミンを生成する必要がある。アセトンではアセトンイミンが不安定なのでアセトンを使用しない。過酸化水素法では、特許において原料のメチルエチルケトンとアンモニア混合に始まって、結果としてメチルエチルケタジンが生成すると記載されている。メチルエチルケタジンは水に不溶であり、分離が容易であるメリットがあるが、メチルエチルケタジンはより安定な化合物であり加水分解が更に困難であり、高温熱加水分解を行うが、この反応も反応式(5)で示す平衡反応である。高温熱加水分解時、平衡定数K1がK2を極めて小さな差であるが、K1定数が上回る温度は、180−200℃の高温である。メチルエチルケタジンの熱加水分解に必要な水とヒドラジンの水和物に必要な水との理論量以上の水との混合物を外部加熱するか或いは、180−200℃の高温蒸気を吹込み加熱して極めて少量づつ解離したメチルエチルケトンを加水分解塔の塔上から留去し、生成した水加ヒドラジン水溶液は、到底に残る。大量のエネルギーを消費し長時間を掛けて未分解のメチルエチルケタジンとメチルエチルケトンと水加ヒドラジンが再結合したメチルエチルケタジンの混合物を無限にリサイクルして水加ヒドラジンを得る。この製法での加水分解に消費するエネルギーは、アセトンアジンの加水分解に消費するエネルギーよりはるかに大きな量になる。この高温にメチルエチルケタジンを長時間さらす事によって副生物(最大成分はピラゾリン類やケトンの縮合物)の生成を増加させ、これ等の原因で製品の着色も大きな問題である。また本製法では、毒性の強いヒ素誘導体のカコジルと称する触媒が必須である。この触媒の回収方法、その為のコストが問題になる。
反応系で安定なケタジンになる中途状態で止まっている不完全反応物質としてのヒドラゾン及び熱加水分解時にケトンと水加ヒドラジンの再結合での不完全反応物質として少量のヒドラゾンが認められる。一方置換ヒドラジンとの反応の場合、原料が置換アミンとアンモニアが原料となるので種々の生成物の混合物の中の1化合物として得られる。置換基を有するアミンからの置換ヒドラゾンは、遊離のヒドラジノ基を有さないので還元性が無く安定である。ケトンとアンモニアの混合物を次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤で水加ヒドラジンを生成して時の不完全反応物、及び生成した水加ヒドラジンに、1分子のケトンが再結合して生成したヒドラゾンのみが利用出来るが、1分子の水加ヒドラジンに2分子のケトンが反応してケタジンとなり安定化合物を生成する製法と異なり、第1の製法、第2の製法と同等の問題点を有する。亜臨界状態炭酸ガスの場合、超臨界炭酸ガスの場合、液体炭酸ガス場合においても、ヒドラゾンは水への溶解性があるが、置換ヒドラゾンは、水、液体炭酸ガスへの溶解性も低いので特別に有利になる点がない。本来の合成反応において、生成したケタジン又は置換ヒドラゾンの中にヒドラゾン又は置換ヒドラゾンの状態で含まれる場合があるので、熱加水分解や本発明における液体炭酸ガス(亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス系を含む)での熱加水分解時に水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンへ変換して少しでも目的物の習得に寄与する事を目的として処理する。またヒドラゾン化合物は、不均化反応を生じてアジン化合物とヒドラジンとなる。生じたヒドラジンは、酸化剤で分解される事になる。
カルボニル化合物又はアミノ化合物を安定化させる為、よく使用されるシッフ塩基化合物のアゾメチン結合は、本発明において使用されるケトアジンの半分の構造に相当する。加水分解させ、新たにカルボニル化合物又はアミノ化合物を得る為、鉱酸を使用して加水分解を行うのは、当業者において常識の処理法である。ケトンアジンの例と同様の欠点、問題を有している。ケトンアジンの半分の構造を有しているので、ケトンアジンの加水分解反応と等価、同様と言える。これを解決する方法として本発明の方法である亜臨界、超臨界、液体炭酸ガスを使用して加水分解を行う事が有効である事は自明の理である。
炭酸が酸加水分解の効果を示してくれる事が理想であるが、炭酸水での炭酸のPk1=3.60でPk2=10.25で炭酸としてのPk=6.35と非常に弱い酸であり加水分解の酸触媒の機能は示さない。炭酸ガスは低温ほど、圧力が高いほど水への溶解度が上がり水溶液のPH値は低い値となる。(図1)
炭酸ガスの状態図は、図3に示す通りである。水存在下相図の各領域の中心領域等やそれ以上の高温、高圧下での亜臨界及び超臨界炭酸ガス状態でのケタジンの加水分解を行っても良好なケタジンの加水分解は認められない。むしろ炭酸の酸性の触媒効果で副生物の生成を多く生じる。液体炭酸ガス相に於いてはこの問題は無い。
圧力反応容器は、内部に空気が存在する場合、事前に炭酸ガスで空気を追い出し、炭酸ガスで置換しておいて、圧力反応容器の容積は、充填する液体炭酸ガス及び原料のケタジン又はヒドラゾン又は置換ヒドラゾン及び水の容量以上の充填定数から反応操作に適した余裕のある容量が必要である。気体層はほとんど炭酸ガスで占められている。圧力内部の状況は、単に液体炭酸ガスを充填した場合の圧力容器内状態図に近似していると見なされる。圧力容器内の温度変化及び圧力変化は、液体炭酸ガスの充填定数に依存し、臨界温度以下では、図3の相図で液体炭酸ガスと気体化した炭酸ガスは、平衡状態にあり沸点線上にある。充填定数に対応し、圧力容器内の温度が上昇するとそれぞれに対応する温度で圧力容器内の液体炭酸ガスが満液の状態になり、更に温度が上昇すると図4の如く圧力が急激に上昇し超臨界状態になる。
原料に使用するアジン、ヒドラゾン、置換ヒドラゾンにおいて、原料充填時に液体の化合物は、適当な方法で充填すれば良いが、固形物の場合、反応圧力容器の蓋を開けて必要量を充填する。上記に記載した様に、液体炭酸ガスを充填する前に、反応容器内の空気を炭酸ガスで完全に置換を行っておく。個体原料が液体炭酸ガスに完全に溶解しなくても反応の進行に伴って溶解して行く。
で表わされるR1、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれの化合物で同じ置換基を示す。R1、R2、R3、R4、R5、R6は、同一であっても一部同一、一部異なる基であっても全て異なる基であっても良い。R1、R2及びR3、R4が結合した環状の構造であっても良い。リサイクル使用を考えると化学式(2)の化合物と化学式(3)の化合物は、同一の化合物である事が望ましい。R1、R2、R3、R4、R5、R6は、水素、分岐していても、アンモニア、二酸化炭素、ヒドラジン等と反応しない置換基を有していても、ヘテロ原子を有していても良いアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アラルキル基、アルケニレン基、アリレーン基、脂環式基、アリール基、アリル基、複素環基、縮合環基、それ等のジイル基等で表される。しかしこれらに限定されるものではない。
以下の実施例で得られた水加ヒドラジンの分析方法。
水加ヒドラジンの分析は、ガスクロマトグラフイーで行う事が出来るが、正確な分析は、滴定法で行う方が好ましい。
試薬
1)塩酸(3+2)
白塩酸300mlに脱イオン水200mlを加える。
2)クロロホルム(試薬特級)
3)M/40ヨウ素酸カリウム溶液(5.35g KIO3/l)
ヨウ素酸カリウム(容量分析用標準試薬)を130℃で2時間加熱後、デシケーター中で放冷し、10.701gに含量補正した量を0.1mgのケタまで量り、メスフラスコ2000mlに移し、脱イオン水で溶解後定容とする。{ファクター(F)が1.000になるように調製すること}
1)濃度に応じた試料採取量(*)を精秤し、500mlメスフラスコに入れ、脱イオン水で定容とする。
2)その10mlを正確に採り、共栓フラスコ(300ml容)に移し、塩酸(3+2)50mlを加える。
3)M/40ヨウ素酸カリウム溶液で滴定し、終点近くでクロロホルム5mlを加え、激しく振盪しクロロホルム層の紅色が消えるまで滴定し、激しく振盪を繰り返す。
次式によって含量を求める。
アセトン2,320g(40モル)中に室温下100%水加ヒドラジン100g(2モル)を添加する。この際、反応熱のため昇温する。その後、内温を40〜50℃の範囲で2時間攪拌する。反応後、室温まで冷却後無水炭酸カリウム828g(6モル)を強攪拌下で徐々に加え、そのまま室温で2時間攪拌することで副製した水分を除去する。この際、攪拌が不十分であると炭酸カリが固結してしまうことがあるので注意。
乾燥後、炭酸カリウムを濾別し、濾別した炭酸カリウムをアセトンで十分に洗浄する。余剰のアセトンを減圧下留去したのち、減圧蒸留にてアセトンアジンを精留する。
メチルエチルケトン1,440g(20モル)中に60℃加温下、100%水加ヒドラジン100g(2モル)を激しい撹拌下滴下する。滴下中に外部から加温して滴下終了時に80℃になるようにする。メチルエチルケトンは、水加ヒドラジンと簡便に反応しない。滴下終了後10時間激しい撹拌下80℃で反応を行う。メチルエチルケトンと100%水加ヒドラジンとは、溶解しないので2層となる。上層のメチルエチルケトン層を分離して無水硫酸ナトリウムで脱水、乾燥する。硫酸ナトリウムを濾別した後、余剰のメチルエチルケトンを減圧溜去し、減圧蒸留にてメチルエチルケタジンを精留する。
それ以上の温度になっても29℃まで状態図の沸騰線上の状態にある。反応オートクレーブ内では、少しの温度変化が有っても安全確保の目的、超臨界炭酸ガス層の保持の安全弁付200耐圧のオートクレーブを使用している。
Claims (8)
- 亜臨界、超臨界、又は液体炭酸ガス状態の炭酸ガスの存在下、ケトンアジン、ヒドラゾン又はシッフ塩基化合物を加水分解することにより、ケトンと、水加ヒドラジン若しくは置換ヒドラジン、又はカルバジン酸若しくは置換カルバジン酸、又はカルボニル化合物とアミノ化合物、又はカルバミン化合物若しくは置換カルバミン酸を得ることを特徴とする、水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
- 前記炭酸ガスの温度が60℃以下で―56.6℃以上であり、そして前記炭酸ガスの圧力が0.52MPa以上で、亜臨界炭酸ガス、超臨界炭酸ガス、液体炭酸ガス状態を形成する温度、圧力、充填係数との組み合わせよりなる条件での、請求項1に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
- 前記炭酸ガスの温度が−30℃〜40℃であり、そして前記炭酸ガスの圧力が1.4MPa以上で亜臨界、超臨界、液体炭酸ガス状態を形成する温度、圧力、充填係数との組み合わせよりなる条件での、請求項1又は2に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
- 前記炭酸ガスがリサイクル可能である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
- 更に、前記カルバジン酸又は置換カルバジン酸を加熱して、水加ヒドラジン又は置換ヒドラジンと炭酸ガスに分解することを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
- 前記ケトンアジンが、化学式(1):
[式中、
R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、芳香族環基又は複素環基(ここで、これらの基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される1つ以上の置換基によって、場合により置換されている)であるか、或いは、
R1とR2は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、環構造(ここで、該環構造基は、置換基として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される置換基によって、場合により置換されている)を形成するか、或いは
R3とR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、環構造(ここで、該環構造基は、置換基として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される置換基によって、場合により置換されている)を形成する]
で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。 - 前記ヒドラゾンが、化学式(7):
[式中、
R1、R2、R5、R6は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、芳香族環基又は複素環基(ここで、これらの基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される1つ以上の置換基によって、場合により置換されている)であるか、或いは、
R1とR2は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、環構造(ここで、該環構造基は、置換基として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される置換基によって、場合により置換されている)を形成するか、或いは
R5とR6は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、環構造(ここで、該環構造基は、置換基として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される置換基によって、場合により置換されている)を形成する]
で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。 - 前記シッフ塩基が、化学式(9):
[式中、
R1、R2、R7は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、芳香族環基又は複素環基(ここで、これらの基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される1つ以上の置換基によって、場合により置換されている)であるか、或いは、
R1とR2は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、環構造(ここで、該環構造基は、置換基として、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、アリールオキシ基、芳香族環基及び複素環基からなる群より選択される置換基によって、場合により置換されている)を形成する]で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水加ヒドラジン、置換ヒドラジン又はアミノ化合物の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2015/072002 WO2017022063A1 (ja) | 2015-08-03 | 2015-08-03 | アジン、ヒドラゾン結合の切断方法 |
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