JP6500715B2 - 空燃比センサの制御装置 - Google Patents
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Description
図1から図4は第1実施形態の説明図を示す。図1には、空燃比センサの制御装置1の電気的構成を概略的なブロック図により示している。図1に示す制御装置1は、車両用の内燃機関(図示せず)が排出する排気燃焼ガスを被検出ガスとし、排気中の酸素濃度を検出し、空燃比を特定するための空燃比センサ2の各種制御処理を行うものである。制御装置1は、例えば特定用途向けの集積回路(application specific integrated circuit)であるASICにより構成され、デジタル処理部3、第1電圧印加回路4、第2電圧印加回路5、電流検出抵抗6、増幅器7、及び、A/D変換器(A/D変換部相当)8を備える。
演算器15は、このセンス電流Isを空燃比のフィードバック出力17とすると共に制御器16に出力する。制御器16は、記憶部18を備えており、設定器14から入力される固定値、及び、センス電流Isのデジタル値の演算結果に基づいて第1D/A変換器9の第1入力デジタル値を指令値として出力する。このとき、空燃比センサ2に印加するための目標電圧をVtarとしたとき、制御器16は、下記の(1a)式のように第1D/A変換器9の出力電圧Vuを算出し、この出力電圧Vuに対応するように第1D/A変換器9の第1入力デジタル値を制御する。ここで抵抗11の抵抗値をRuとしている。本実施形態では、抵抗11の抵抗値Ruは保護抵抗の抵抗値Rpとなる。
空燃比センサ2の素子電流の増減は空燃比の増減(リーン/リッチ)に対応する。図2は、空燃比センサ2の印加電圧電流特性を示すものであり、印加電圧Vsu−Vsd[V]に対応したセンス電流Is[mA]を示す。この図2に示すように、例えば空燃比がリーンになれば素子電流は正となり、空燃比がリッチになれば素子電流は負となる。本実施形態は、目標電圧Vtarを所定電圧に制御する。このため、例えば図2の(a)に示す負荷線19に沿った電圧を空燃比センサ2に印加する。負荷線19とセンス電流Isの特性とがクロスする部分では、センス電流Isが印加電圧Vsu−Vsdの変化に対してほとんど変化しない。これにより、センス電流Isが印加電圧Vsu−Vsdの変化に対して安定的に推移する特性領域にて空燃比センサ2を使用できる。
図4は、比較対象例における動作例を示している。例えば特許文献1記載の技術を採用したときには、空燃比センサ2の素子に流れる電流がタイミングT2において急峻に変化したときにアナログ制御することになる。このため、図4の期間TZに示すように、空燃比センサ2への印加電圧の変化も緩やかなものとなり、所定の整定時間だけ長時間待機しなければならなくなる。
これに対し、本実施形態によれば、デジタル処理部3によりデジタル制御すると共に第1及び第2D/A変換器9、12及び第1及び第2オペアンプ10、13によるボルテージフォロワ回路を用いて端子Su、Sdに電圧出力している。これにより端子Su、Sdへの印加電圧Vsu、Vsdの分解能を高くしながら制御できる。このため、空燃比センサ2のセンス電流Isに微小変化ΔIを生じたとしても、この微小変化ΔIに即座に対応することができ、空燃比センサ2への印加電圧Vsu−Vsdを一定電圧Vu0−Vd0に即座に制御できる。この結果、空燃比センサ2への印加電圧を、極力時間を要することなく目標電圧Vtarに制御できる。デジタル処理部3がデジタル制御することにより実現しているため、複雑なアナログフィードバックを備えなければならない構成に比較して製造コストを抑制できる。
図5及び図6は第2実施形態の追加説明図を示す。第2実施形態では、上流側の端子Suに固定電圧を印加し、下流側の端子Sdの電圧を可変可能にする形態を示す。デジタル処理部3に代わるデジタル処理部103は、設定器114、演算器115及び制御器116を備え、制御器116は記憶部118を備える。設定器114は、端子Suの電圧を所定電圧Vout(=Vsu)とするように第1D/A変換器9に入力される第1入力デジタル値を固定値に設定する。この固定値は制御器116にも入力される。演算器115は、前述の(2)式に応じてセンス電流Isを算出し、このセンス電流Isを空燃比のフィードバック出力とすると共に制御器116に出力する。制御器116は、設定器114から入力される固定値、及び、センス電流Isのデジタル値に基づいて第2D/A変換器12の第2入力デジタル値を指令値として出力する。このとき、空燃比センサ2に印加するための目標電圧をVtarとしたとき、制御器116は、下記の(1b)式のようにに第2D/A変換器12の出力電圧Vdを算出し、この出力電圧Vdに対応するように第2D/A変換器12の第2入力デジタル値を制御する。
この(1b)式の抵抗Rd + Ruは、第1電圧印加回路4の出力から第2電圧印加回路5の出力に至るまでの空燃比センサ2のインピーダンスZ分を除く抵抗値を加算した抵抗値に相当する。前述構成の本実施形態の特徴に関わる動作について図6を参照しながら説明する。本実施形態においても電流変化のタイミングに時点でどのように制御するかを重点的に説明する。デジタル処理部103は、クロック信号のエッジ発生タイミングにおいてセンス電流Isを算出し、このセンス電流Isを算出した直後に空燃比センサ2の印加電圧を制御する。このセンス電流Isの算出処理、印加電圧制御処理は、クロック信号のエッジ発生毎に逐次実施される。
(第3実施形態)
図7は第3実施形態の追加説明図を示す。図7に示すモータコントローラ201は、第1実施形態にて参照した図1に対応して示す構成図であり、第1実施形態と異なる部分は保護用の抵抗11を設けていないところにある。すなわち、このモータコントローラ201を適用したときには、前述した(1a)式においてRu=0とした場合と同様であり、本実施形態では(1a)式に代えて以下の(1c)式を用いると良い。
したがって、第1実施形態と同様に、電流変化ΔIを生じたときには、I×Rd分だけ上流側の印加電圧を上昇変化させると良い。これにより上流側の端子Suの印加電圧VsuをVu0に制御することができ、空燃比センサへの印加電圧Vsu−Vsdを一定電圧Vu0−Vd0に制御できる。その他は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
(第4実施形態)
図8は第4実施形態の追加説明図を示す。図8に示すモータコントローラ301は、第2実施形態にて参照した図5に対応して示す構成図であり、第2実施形態と異なる部分は保護用の抵抗11を設けていないところにある。すなわち、このモータコントローラ301を適用したときには、前述した(1b)式のRu=0とした場合と同様であり、本実施形態では(1b)式に代えて以下の(1d)式を用いると良い。
したがって、第2実施形態と同様に、電流変化ΔIを生じたときには、I×Rd分だけ下流側の印加電圧を下降変化させると良い。これにより、下流側の端子Sdの印加電圧VsdをVd0に制御することができ、空燃比センサ2への印加電圧Vsu−Vsdを一定電圧Vu0−Vd0に制御できる。その他は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。本実施形態によっても前述実施形態と同様の作用効果を奏する。
図9は第5実施形態の追加説明図を示す。図9に示すモータコントローラ401は、第1実施形態にて参照した図1に対応して示すと共に第3実施形態にて参照した図7にも対応して示す構成図である。本実施形態が第1及び第3実施形態と異なる部分は、第1電圧印加回路4の第1オペアンプ10の出力端子と上流側の端子Suとの間に直列接続した抵抗406を電流検出抵抗としたところにあり、第3実施形態と同様に保護抵抗として機能する抵抗を設けていない。
図10は第6実施形態の追加説明図を示す。図10に示すモータコントローラ501は、は第2実施形態にて参照した図5に対応して示すと共に第4実施形態にて参照した図8にも対応して示す構成図である。本実施形態が第2及び第4実施形態と異なる部分は、第1電圧印加回路4の第1オペアンプ10の出力端子と上流側の端子Suとの間に直列接続した抵抗406を電流検出抵抗としたところにあり、第3実施形態と同様に保護抵抗として機能する抵抗を設けていない。
図11は第7実施形態の追加説明図を示す。第7実施形態では、制御器16が下流側の端子Sdの電圧を複数段階又は連続的に変化させ、この際に、A/D変換器8にてA/D変換電圧をサンプリングし、連続する複数点のサンプリング電圧(例えば2点のサンプリング電圧)に基づいてセンス電流Is又はインピーダンスZを演算するところを特徴の一部としている。
これは、平均電圧(AD_H+AD_L)/2をゲインGと電流検出用の抵抗6の抵抗値Rdで除した値である。また、演算器115が、空燃比センサ2のインピーダンスZを算出するときには、差電圧(AD_H − AD_L)に基づいて算出するが、演算器115は例えば下記の(4)式に基づいて空燃比センサ2のインピーダンスZを算出する。
/(AD_H − AD_L) …(4)
これは、下記の(5)〜(7)式に基づく関係を展開することにより求められる数式である。下記の(5)〜(7)式において、電流Ihは、高電圧Vhを端子Sdに印加したときに空燃比センサ2に流れる電流を示し、電流Ilは、高電圧Vlを端子Sdに印加したときに空燃比センサ2に流れる電流を示す。
G×Rd×Il = AD_L …(6)
Z×Ih + Rd×Ih − (Z×Il + Rd×Il) = ΔV …(7)
増幅器のゲインG、差電圧ΔV及び抵抗6の抵抗値Rdは、予め規定されているため、前述の(4)式に基づいて空燃比センサ2のインピーダンスZを算出できる。特に連続する2点のA/D変換値AD_H、AD_Lを用いてインピーダンスZを算出することで空燃比センサ2のインピーダンスZを概ねリアルタイムに算出できる。これにより、算出された空燃比センサ2のインピーダンスZをフィードバック制御に利用できる。
前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。
Claims (5)
- 内燃機関の空燃比を検出するための空燃比センサ(2)の一端子と他端子との間に印加する電圧を目標電圧に制御する制御装置(1、101、201、301、401、501)であって、
第1入力デジタル値を指令値として入力しアナログ変換する第1D/A変換部(9)、及び、前記第1D/A変換部の出力アナログ電圧を非反転入力端子に入力し反転入力端子に出力端子を接続した第1オペアンプ(10)を備え、前記第1オペアンプの出力端子の出力電圧を前記空燃比センサの一端子に印加する第1電圧印加回路(4)と、
第2入力デジタル値を指令値として入力しアナログ変換する第2D/A変換部(12)、及び、前記第2D/A変換部の出力アナログ電圧を非反転入力端子に入力し反転入力端子に出力端子を接続した第2オペアンプ(13)を備え、前記第2オペアンプの出力端子の出力電圧を前記空燃比センサの他端子に印加する第2電圧印加回路(5)と、
前記第1電圧印加回路の第1オペアンプの出力端子と前記第2電圧印加回路の第2オペアンプの出力端子との間の前記空燃比センサへの電圧印加経路に介在して構成され当該空燃比センサに流れる電流をセンス電流として検出する電流検出抵抗(6、406)と、
前記電流検出抵抗により検出される検出電圧をA/D変換しデジタル値を出力するA/D変換部(8)と、
前記A/D変換部のデジタル値に基づいて前記第1D/A変換部の第1入力デジタル値及び前記第2D/A変換部の第2入力デジタル値を前記指令値として出力するデジタル処理部(3、103)と、を備え、
前記デジタル処理部は、
前記第2電圧印加回路の出力電圧を所定電圧とするように前記第2入力デジタル値を設定する設定器(14、114)と、
前記A/D変換部の出力デジタル値を前記電流検出抵抗の抵抗値で除した値に基づいて前記電流検出抵抗に流れるセンス電流のデジタル値を演算する演算器(15、115)と、
前記所定電圧をVout、前記空燃比センサに印加する前記目標電圧をVtar、前記センス電流をIs、前記電流検出抵抗の抵抗値をRsとしたとき、
前記センス電流のデジタル値の演算結果に基づいて前記第1電圧印加回路の第1オペアンプの出力端子の出力電圧を
Vout ± (Vtar + Is × Rs) …(1)
に示すように前記第1入力デジタル値を制御する制御器(16、116)と、を備え、
前記(1)式の「±」のうち「+」は前記第1電圧印加回路の出力電圧を前記空燃比センサの上流側に設けられる前記一端子に印加すると共に前記第2電圧印加回路の出力電圧を前記空燃比センサの下流側に設けられる前記他端子に印加する場合を示し、「−」は前記第1電圧印加回路の出力電圧を前記空燃比センサの下流側に設けられる前記一端子に印加すると共に前記第2電圧印加回路の出力電圧を前記空燃比センサの上流側に設けられる前記他端子に印加する場合を示す空燃比センサの制御装置。 - 請求項1記載の空燃比センサの制御装置において、
前記電流検出抵抗は、前記空燃比センサの他端子と前記第2オペアンプの出力端子との間に接続されているときに、前記空燃比センサの一端子と前記第1オペアンプの出力端子との間に保護抵抗をさらに設け、
前記デジタル処理部は、
前記保護抵抗の抵抗値をRpとしたとき、
前記第1電圧印加回路のオペアンプの出力端子の出力電圧を、前記(1)式の前記電流検出抵抗の抵抗値に前記保護抵抗の抵抗値を加算した
Vout ± {Vtar + Is × (Rs + Rp)} …(2)
に示すように前記第1入力デジタル値を制御する空燃比センサの制御装置。 - 請求項1または2記載の空燃比センサの制御装置において、
前記デジタル処理部が前記空燃比センサに印加する目標電圧を固定電圧とする空燃比センサの制御装置。 - 請求項1または2記載の空燃比センサの制御装置において、
前記デジタル処理部が前記空燃比センサに印加する目標電圧を前記電流検出抵抗によるセンス電流に応じて変化させる空燃比センサの制御装置。 - 請求項1から4の何れか一項に記載の空燃比センサの制御装置において、
前記デジタル処理部が前記空燃比センサに印加する電圧を掃引して複数点のサンプリング電圧に基づいて前記空燃比センサに流れるセンス電流又は前記空燃比センサのインピーダンスを算出する空燃比センサの制御装置。
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