JP6499431B2 - 樹脂組成物、防汚材、および、積層フィルム - Google Patents

樹脂組成物、防汚材、および、積層フィルム Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物、防汚材、および積層フィルムに関する。より具体的には、本発明は、例えば、水中構造物(船舶、ブイ、港湾設備、海上油田設備、発電所冷却水用の水路、工場冷却水用の水路、水上浮遊通路など)に水生生物が付着して繁殖することを防止するために用い得る積層フィルム、それの構成材料として用い得る防汚材、および、それの構成材料として用い得る樹脂組成物に関する。
船舶などの水中構造物は、海水に接触する部分において、フジツボ、カキ、ムラサキイガイ、ヒドラ、セルプラ、ホヤ、コケムシ、アオサ、アオノリ、付着珪藻などの水生生物が付着して繁殖し、流体抵抗の増加や熱伝導性の低下といった設備機械性能の低下や、付着した水生生物の海外への拡散など、好ましくない状態を引き起こしている。また、付着した水生生物を除去する作業には大きな労力と膨大な時間が必要であり、経済的な損失を被っている。
上記のような被害を防止するため、従来、防汚塗料が水中構造物に塗装されている。防汚塗料には、古くは有機スズ化合物や現在では亜酸化銅などの毒性防汚剤が含まれている。防汚塗料の毒性によって水生生物の付着成長はほぼ抑制できるが、有機スズ化合物や亜酸化銅などの毒性防汚剤は人体や環境に少なからず悪影響を与えるため、長期的にみれば深刻な問題となる。また、防汚塗料を塗装後に乾燥させる際には、30重量%程度の有機溶剤(VOC)が揮発し、作業環境や周辺の環境に悪影響を与えている。スプレー式塗装では、VOCの大気中への排出の他に、塗料の10〜20重量%は風により周囲に飛散していると言われている。一方で、長年使用した防汚塗料を塗り替える際には、古くなった防汚塗料をサンドブラストや金属研磨機で剥離するが、その際に、有機スズ化合物や亜酸化銅などの毒性防汚剤を含んだ大量の塗膜片が周囲に飛散して作業者や環境に悪影響を与えると共に、剥離した防汚塗料は産業廃棄物として処理されるため、大きな問題となっている。
以上の様に、これまでの防汚塗料では、水生生物に対する付着阻害効果はあるものの、人体や環境に対して大きな悪影響があり、多くの問題が解決されないまま現在に至っているのが現状である。
そこで、銅薄と粘着剤とをプライマーを介して貼り合わせた粘着テープが提案されている(特許文献1、2参照)。しかし、このような粘着テープにおいては、水生生物の付着抑制を銅薄の銅成分によって実現させているため、環境への悪影響の可能性があるという問題がある。また、このような粘着テープは、FRP板に対するピール接着力が2.6kg/25mmまたは7.5kg/25mm(プライマー前処理後)と非常に大きく設計されており、使用後の粘着テープを貼り替える場合に粘着テープが人力で容易に剥がれるとは考えにくく、結局、削り取るなどの行為が必要なため、大きな労力が必要となる。また、銅は比重が8.94g/cmと重い物質であり、船舶などの移動構造物に使用することは、燃費を悪化させ経済的に好ましくない。
また、シリコーンゴム層と粘着剤層の2層から成る防汚テープが提案されている(特許文献3参照)。しかし、防汚効果を担うシリコーンゴム層は、短期的には水生生物の付着はその撥水性によって抑制できるものの、長期間にはその防汚効果が持続できない。また、このような防汚テープは、シリコーンゴム層と粘着剤層の2層で構成されているため、強度的に非常に不安がある。一般的に、シリコーンゴムは破断点強度が極めて低いため、このような防汚テープを使用後に剥がす場合、テープ状態として剥がすことが困難であり現実的ではない。
また、基材上に下塗り剤を介してシリコーンエラストマーを設け、基材の逆側には粘着層を設けたシート状テープが提案されている(特許文献4参照)。しかし、特許文献4には、海洋中で使用できる粘着剤組成に関する記述や接着力に関する記述などが全く無いため、水中構造物に水生生物が付着して繁殖することを防止するために用い得る積層フィルムへの適用を考える上では現実性に乏しい。また、積層フィルムを水中構造物に施工する際には、曲面や鋭角面に施工できるように柔軟性や伸び性の設計が必要であり、また、使用後に積層フィルムを剥離する際には基材が途中で破壊しないような強度設計が必要であるが、特許文献4にはそのような記述が全く無いため、水中構造物に水生生物が付着して繁殖することを防止するために用い得る積層フィルムへの適用を考える上では現実性に乏しい。
最近、水中構造物への水生生物の付着を効果的に防止する手段として、防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含み、該防汚層がシリコーン樹脂を含む、水生生物付着防止粘着テープが開発されている(特許文献5)。
この特許文献5の実施例1〜13で評価している水生生物付着防止粘着テープによれば、長期間にわたって防汚効果を持続でき、特に、各種問題を引き起こす代表的な水生生物であるフジツボの付着を効果的に防止できている。
ここで、水中構造物に付着しやすく、各種問題を引き起こす代表的な水生生物としては、フジツボ以外に、藻類も良く知られている。しかし、特許文献5の実施例1〜13で評価している水生生物付着防止粘着テープにおいては、藻類の付着については十分な効果を発現できていないという問題がある。
さらに、防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含むような構成を有する積層フィルムにおいては、防汚層と基材層との間の密着性が十分に確保されていることが求められる。しかしながら、従来においては、防汚層と基材層との間の密着性が十分に確保されていない場合があり、水中構造物に水生生物が付着して繁殖することを防止するために用い得る積層フィルムへの適用が難しいことがある。特に、防汚層がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂の特性である低表面エネルギーが原因で、基材層への密着性が低い場合があり、防汚効果を発揮する防汚層が、使用中の衝撃や物理的ダメージによって基材層から剥離してしまい、本来の防汚効果が持続できないという問題が生じる。
特公昭63−62487号公報 特公平1−54397号公報 特許第3000101号公報 特開2002−69246号公報 特開2013−147629号公報
本発明の課題は、人体や環境に対する影響が少なく、長期にわたって藻類などの水生生物の付着を効果的に防止でき、防汚層と基材層との間の密着性を十分に確保できる、積層フィルムを提供することにある。また、そのような積層フィルムの構成材料として用い得る防汚材を提供することにある。さらに、そのような防汚材の構成材料として用い得る樹脂組成物を提供することにある。
本発明の樹脂組成物は、
シリコーン樹脂とオイル成分を含む樹脂組成物であって、
該オイル成分がシリコーンオイルを含み、
該シリコーンオイルの少なくとも1種がポリエーテル変性シリコーンオイルであり、
該シリコーン樹脂100重量部に対する該ポリエーテル変性シリコーンオイルの含有量が0.01重量部〜5重量部である。
好ましい実施形態においては、上記樹脂組成物100重量部に対する上記オイル成分の含有量が0.01重量部〜120重量部である。
好ましい実施形態においては、上記シリコーン樹脂が、2液型の付加型シリコーン樹脂である。
本発明の防汚材は、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層を基材上に有する。
本発明の積層フィルムは、本発明の防汚材の防汚層と反対側の面に粘着剤層を有する。
本発明によれば、人体や環境に対する影響が少なく、長期にわたって藻類などの水生生物の付着を効果的に防止でき、防汚層と基材層との間の密着性を十分に確保できる、積層フィルムを提供することができる。また、そのような積層フィルムの構成材料として用い得る防汚材を提供することができる。さらに、そのような防汚材の構成材料として用い得る樹脂組成物を提供することができる。
本発明の積層フィルムの一例の概略断面図である。
≪樹脂組成物≫
本発明の樹脂組成物は、シリコーン樹脂とオイル成分を含む。
本発明の樹脂組成物に含まれるシリコーン樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
本発明の樹脂組成物中のシリコーン樹脂の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。本発明の樹脂組成物中のシリコーン樹脂の含有割合は、好ましくは30重量%〜98重量%であり、より好ましくは40重量%〜97重量%であり、さらに好ましくは45重量%〜96重量%であり、特に好ましくは50重量%〜95重量%である。本発明の樹脂組成物中のシリコーン樹脂の含有割合が上記範囲内に収まることにより、該樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の防汚効果がより十分に発現でき、長期にわたって藻類などの水生生物の付着をより効果的に防止できるとともに、防汚層の機械的特性がより十分に発現できる。
シリコーン樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーン樹脂を採用し得る。このようなシリコーン樹脂としては、常温で液状のシリコーン樹脂であっても良いし、常温で固体状のシリコーン樹脂であっても良い。また、このようなシリコーン樹脂としては、縮合型のシリコーン樹脂であっても良いし、付加型のシリコーン樹脂であっても良い。また、このようなシリコーン樹脂としては、単独で乾燥させる1液型のシリコーン樹脂であっても良いし、硬化剤を配合する2液型のシリコーン樹脂であっても良い。
本発明においては、シリコーン樹脂としては、本発明の効果がより発現し得る点で、上記の中でも、2液型のシリコーン樹脂が好ましく、2液型の付加型シリコーン樹脂がより好ましい。このような2液型の付加型シリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業(株)製のKE−1950−10(A/B)、KE−1950−20(A/B)、KE−1950−30(A/B)、KE−1950−35(A/B)、KE−1950−40(A/B)、KE−1950−50(A/B)、KE−1950−60(A/B)、KE−1950−70(A/B)、KE−1987(A/B)、KE−1988(A/B)、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のLR7665シリーズ、LR3033シリーズ、モメンティブ(株)製のTSE3032シリーズ、LSRシリーズなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物に含まれるオイル成分は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
本発明の樹脂組成物100重量部に対するオイル成分の含有量は、好ましくは0.01重量部〜120重量部であり、より好ましくは0.05重量部〜115重量部であり、さらに好ましくは0.10重量部〜110重量部であり、特に好ましくは0.5重量部〜105重量部であり、最も好ましくは1重量部〜100重量部である。本発明の樹脂組成物100重量部に対するオイル成分の含有量が上記範囲内に収まることにより、該樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の防汚効果がより十分に発現でき、長期にわたって水生生物の付着をより効果的に防止できる。
オイル成分はシリコーンオイルを含む。
オイル成分中のシリコーンオイルの含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有割合を採用し得る。オイル成分中のシリコーンオイルの含有割合は、好ましくは10重量%〜120重量%であり、より好ましくは15重量%〜115重量%であり、さらに好ましくは20重量%〜110重量%であり、特に好ましくは25重量%〜1100重量%であり、最も好ましくは30重量%〜90重量%である。オイル成分中のシリコーンオイルの含有割合が上記範囲内に収まることにより、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の防汚効果がより十分に発現でき、長期にわたって藻類などの水生生物の付着をより効果的に防止できる。
本発明において、シリコーンオイルの少なくとも1種は、ポリエーテル変性シリコーンオイルである。ポリエーテル変性シリコーンオイルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。シリコーンオイルの少なくとも1種がポリエーテル変性シリコーンオイルであることにより、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の防汚効果が十分に発現でき、長期にわたって藻類などの水生生物の付着を効果的に防止できる。
本発明において、シリコーン樹脂100重量部に対するポリエーテル変性シリコーンオイルの含有量は0.01重量部〜5重量部であり、より好ましくは0.05重量部〜5重量部であり、さらに好ましくは0.1重量部〜5重量部であり、特に好ましくは0.5重量部〜5重量部である。シリコーン樹脂100重量部に対するポリエーテル変性シリコーンオイルの含有量が上記のように非常に狭い限られた範囲内に収まることにより、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の防汚効果が十分に発現でき、長期にわたって藻類などの水生生物の付着を効果的に防止できるとともに、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層を基材上に有する防汚材において防汚層と基材層との間の密着性を十分に確保できる。
本発明において、ポリエーテル変性シリコーンオイルは、そのHLBが、好ましくは3〜15であり、より好ましくは3〜10である。ポリエーテル変性シリコーンオイルのHLBが上記範囲内に収まることにより、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の防汚効果がより十分に発現でき、長期にわたって藻類などの水生生物の付着をより効果的に防止できるとともに、防汚層の外観特性や機械的特性が十分に発現できる。なお、HLBとは、オイルの親水性と親油性とのバランスを数値的に示した親水性親油性バランスのことであり、Valau of Hydrophile and Liophile Balanceの略称である。ポリエーテル変性シリコーンオイルのHLBは、例えば、ポリエーテルポリオキシアルキレン鎖(基)とジメチルシロキサン鎖(基)との鎖長の選択、ポリエーテルポリオキシアルキレン鎖(基)のうち、親水性のポリエチレンオキサイドとこれよりも疎水性のポリプロピレンオキサイドのそれぞれの鎖長の選択、などにより制御し得る。
ポリエーテル変性シリコーンオイルは、主鎖がシロキサン結合を有するポリシロキサンであり、1個以上のポリオキシアルキレン基を置換基として有するものである。主鎖は環を形成していても良い。
ポリエーテル変性シリコーンオイルにおけるポリオキシアルキレン基の結合位置は、任意の適切な結合位置であり得る。例えば、ポリオキシアルキレン基が主鎖の両末端に結合されていても良いし、ポリオキシアルキレン基が主鎖の片末端に結合されていても良いし、ポリオキシアルキレン基が側鎖に結合されていても良い。
本発明の効果をより十分に発現させるためには、ポリエーテル変性シリコーンオイルとして、ポリオキシアルキレン基が側鎖に結合された、側鎖型(直鎖タイプ)ポリエーテル変性シリコーンオイルを選択することが好ましい。
側鎖型(直鎖タイプ)ポリエーテル変性シリコーンオイルは、好ましくは、一般式(1)で表される。
Figure 0006499431
一般式(1)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基を表し、Rは−(CO)−(CO)−で表されるポリオキシアルキレン基であり、aは1〜50であり、bは0〜30であり、mは1〜7000であり、nは1〜50である。
一般式(1)中、Rは、好ましくはメチル基である。
ポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、例えば、信越シリコーン(株)製の、商品名「KF−6011」(HLB:14.5)、「KF−6011P」(HLB:14.5)、「KF−6012」(HLB:7.0)、「KF−6013」(HLB:10.0)、「KF−6015」(HLB:4.5)、「KF−6016」(HLB:4.5)、「KF−6017」(HLB:4.5)、「KF−6017P」(HLB:4.5)、「KF−6043」(HLB:14.5)、「KF−6004」(HLB:9.0)、KF351A、KF352A、KF353、KF354L、KF355A、KF615A、KF945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−644、KF−6020、KF−6204、X22−4515等の側鎖型(直鎖タイプ)ポリエーテル変性シリコーンオイル;信越シリコーン(株)製の、商品名「KF−6028」(HLB:4.0)、「KF−6028P」(HLB:4.0)等の側鎖型(分岐鎖タイプ)ポリエーテル変性シリコーンオイル;信越シリコーン(株)製の、商品名「KF−6038」(HLB:3.0)等の側鎖型(分岐鎖タイプ、アルキル共変性タイプ)ポリエーテル変性シリコーンオイル;などが挙げられる。
本発明において、シリコーンオイルは、ポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルを含んでいても良い。このようなポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
本発明において、シリコーンオイルがポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルを含むことにより、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の防汚効果がより十分に発現でき、長期にわたって藻類などの水生生物の付着をより効果的に防止できる。
また、本発明において、シリコーンオイルがポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルを含むことにより、シリコーンオイルが本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の表面へ効果的にしみ出すことができ、防汚効果がより長期間にわたって持続できるとともに、水生生物が付着した後にそれを除去した後も防汚効果がより十分に発現できる。
ポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルとしては、主鎖がシロキサン結合からなるポリシロキサンであり、置換基を有していてもよい。主鎖は環を形成していても良い。ポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルとしては、例えば、ストレートシリコーンオイル、変性シリコーンオイル(ポリエーテル変性シリコーンオイルを除く)が挙げられる。
ストレートシリコーンオイルにおける置換基は、好ましくは、メチル基、フェニル基である。
ストレートシリコーンオイルにおける置換基の結合位置は、任意の適切な結合位置であり得る。例えば、置換基が主鎖の両末端に結合されていても良いし、置換基が主鎖の片末端に結合されていても良いし、置換基が側鎖に結合されていても良い。
ポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルは、好ましくは、一般式(2)で表される。
Figure 0006499431
一般式(2)中、Rは、同一または異なって、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フルオロアルキル基、ポリエーテル基、または水酸基を表し、Rは、同一または異なって、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ポリエーテル基、フルオロアルキル基を表し、nは0〜150の整数を表す。一般式(I)中のRとしては、好ましくは、メチル基、フェニル基、水酸基である。一般式(I)中のRとしては、好ましくは、メチル基、フェニル基、4−トリフルオロブチル基である。
一般式(2)で表されるシリコーンオイルは、数平均分子量が、好ましくは180〜20000であり、より好ましくは1000〜10000である。
一般式(2)で表されるシリコーンオイルは、粘度が、好ましくは10センチストークス〜10000センチストークスであり、より好ましくは100センチストークス〜5000センチストークスである。
一般式(2)で表されるシリコーンオイルとしては、具体的には、例えば、両末端または片末端のRが水酸基である末端水酸基含有ジメチルシリコーンオイル、RおよびRの全てがメチル基であるジメチルシリコーンオイル、これらのジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部がフェニル基に置換されたフェニルメチルシリコーンオイルなどが挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルとしては、例えば、信越シリコーン(株)製の、商品名「KF96L」、「KF96」、「KF69」、「KF99」、「KF50」、「KF54」、「KF410」、「KF412」、「KF414」、「FL」、「KF−6104」、「KF−6100」;東レダウコーニング(株)製の、商品名「BY16−846」、「SF8416」、「SH200」、「SH203」、「SH230」、「SF8419」、「FS1265」、「SH510」、「SH550」、「SH710」、「FZ−2110」、「FZ−2203」;などが挙げられる。
本発明において、シリコーン樹脂100重量部に対するポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルの含有量は、好ましくは10重量部〜120重量部であり、より好ましくは15重量部〜110重量部であり、さらに好ましくは20重量部〜100重量部であり、特に好ましくは25重量部〜95重量部である。シリコーン樹脂100重量部に対するポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルの含有量が上記範囲内に収まることにより、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の防汚効果がより十分に発現でき、長期にわたって水生生物の付着をより効果的に防止できるとともに、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の外観特性や機械的特性がより十分に発現できる。
オイル成分としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他のオイルを含んでいても良い。このような他のオイルとしては、例えば、流動パラフィン、界面活性剤、液状炭化水素、フッ化オイル、抗菌剤、ワックス、ペトロラタム、動物脂類、脂肪酸、珪藻付着防止剤、農薬、医薬品(メデトミジンなど)、酵素活性阻害剤(アルキルフェノール、アルキルレゾルシノールなど)、生物忌避剤などが挙げられる。これらは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
本発明の樹脂組成物が、オイル成分として、このような他のオイルを含む場合、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の防汚効果がより十分に発現できる場合があり、長期にわたって水生生物の付着をより効果的に防止できる場合があり、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の外観特性や機械的特性がより十分に発現できる場合がある。
流動パラフィンとしては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な流動パラフィンを採用し得る。流動パラフィンとしては、例えば、(株)MORESCO製のP−40、P−55、P−60、P−70、P−80、P−100、P−120、P−150、P−200、P−260、P−350、和光純薬工業(株)製の炭化水素系流動パラフィンなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物が、オイル成分として、流動パラフィンを含むと、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の防汚効果がより一層十分に発現できる場合があり、長期にわたって水生生物の付着をより一層効果的に防止できる場合がある。
本発明の樹脂組成物が、オイル成分として、流動パラフィンを含む場合、シリコーン樹脂100重量部に対する流動パラフィンの含有量は、好ましくは0.1重量部〜50重量部であり、より好ましくは0.5重量部〜30重量部であり、さらに好ましくは1重量部〜25重量部であり、特に好ましくは1重量部〜20重量部である。シリコーン樹脂100重量部に対する流動パラフィンの含有量が上記範囲内に収まることにより、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層の防汚効果がより十分に発現でき、長期にわたって水生生物の付着をより効果的に防止できる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、などが挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なアニオン界面活性剤を採用し得る。このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアルケニルリン酸エステルまたはその塩などが挙げられる。アニオン界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
ノニオン界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なノニオン界面活性剤を採用し得る。このようなノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイドなどが挙げられる。ノニオン界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
両性界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な両性界面活性剤を採用し得る。このような両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシ型またはスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。両性界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
カチオン界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なカチオン界面活性剤を採用し得る。このようなカチオン界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
抗菌剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な抗菌剤を採用し得る。このような抗菌剤としては、いわゆる抗菌剤、除草剤などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の添加剤を含んでいても良い。このような他の添加剤としては、例えば、耐候剤として紫外線吸収剤が挙げられる。このような紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、BASF製の、商品名「TINUVIN571」、「TINUVIN460」、「TINUVIN213」、「TINUVIN234」、「TINUVIN329」、「TINUVIN326」などが挙げられる。このような紫外線吸収剤の添加量は、シリコーン樹脂100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上10重量部未満である。シリコーン樹脂に対する紫外線吸収剤の添加量を上記範囲内に調整することにより、防汚層の形成を阻害することなく耐候剤としての効果を十分に発現し得る。また、その他の添加剤としては、光安定剤が挙げられる。このような光安定剤としては、具体的には、例えば、BASF製の商品名「TINUVIN123」、「TINUVIN292」、「TINUVIN5100」などが挙げられる。このような光安定剤の添加量は、シリコーン樹脂100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上10重量部未満である。シリコーン樹脂に対する光安定剤の添加量を上記範囲内に調整することにより、防汚層の形成を阻害することなく光安定剤としての効果を十分に発現し得る。
防汚層には、強度を向上させるために、フィラーなどを添加させることができる。フィラーとしては、例えば、シリカ粒子、珪藻土などが挙げられる。また、フィラーとしては、分散性の観点から、表面が疎水性処理された粒子が好ましい。このような表面処理方法としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチレンジシラザン、環状ジメチルシロキサンなどで表面処理する方法が挙げられる。このような表面が疎水性処理された粒子の大きさとしては、好ましくは、平均粒径が5nm〜300nmである。このような表面が疎水性処理された粒子の大きさを上記範囲内に調整することにより、防汚層に十分な強度を付与し得るとともに、防汚層中に該粒子が均一に分散し得、防汚層に衝撃が加わった際にクラックが生じにくくなり得る。また、防汚層と基材との密着性も向上し得る。このような表面が疎水性処理された粒子の添加量は、シリコーン樹脂に対して、好ましくは0.1重量%〜10重量%である。このような表面が疎水性処理された粒子の添加量を上記範囲内に調整することにより、防汚層に十分な強度を付与し得るとともに、防汚剤など添加した材料を均一に分散し得、基材層上に塗工する場合、精密に塗工し得る。
このような表面が疎水性処理された粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の疎水性フュームドシリカが挙げられ、具体的には、日本アエロジル社製の、商品名「AEROSIL(登録商標)RXシリーズ」(RX50、RX200、RX300など)、「AEROSIL(登録商標)RYシリーズ」(RY50、RY200、RY200Sなど)、「AEROSIL(登録商標)NY50シリーズ」、「AEROSIL(登録商標)NAXシリーズ」、「AEROSIL(登録商標)Rシリーズ」などが挙げられる。
≪防汚材≫
本発明の防汚材は、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層を基材上に有する。本発明の防汚材は、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層を基材上に有していれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していても良い。
基材は、少なくとも1層の基材層からなる。すなわち、基材層は、1層のみであっても良いし、2層以上の積層体であっても良い。基材層が2層以上の積層体である場合は、該積層体は、例えば、ラミネートで成形しても良いし、共押出しによって成形しても良い。
基材層の材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンアクリル樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー類、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、アクリル樹脂などが挙げられる。このような基材層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
基材層としては、特に、ポリウレタン樹脂が好ましい。このようなポリウレタン樹脂としては、例えば、エーテル系ポリウレタン、エステル系ポリウレタン、カーボネート系ポリウレタンなどが挙げられ、耐久性や強度に優れる点、および、本発明の効果を十分に発現できる点から、カーボネート系ポリウレタンが特に好ましい。また、ポリウレタン樹脂のグレードとしては、難黄変グレードと無黄変グレードが好ましく、無黄変グレードがより好ましい。
基材は、その破断伸びが、好ましくは5%〜1000%であり、より好ましくは20%〜900%であり、さらに好ましくは50%〜800%である。基材の破断伸びを上記範囲内に調整することによって、本発明の防汚材、さらには、本発明の防汚材を有する本発明の積層フィルム(後述)は、様々な被着体の形状に良好に追従でき、平面に良好に貼付され得るだけでなく、曲面部分、90度角の部分、鋭角部分などにも良好に貼付され得る。
基材は、その破断点応力が、好ましくは20MPa以上であり、より好ましくは25MMPa以上であり、さらに好ましくは30MPa以上であり、特に好ましくは35MPa以上である。基材の破断点応力を上記範囲内に調整することによって、例えば、被着体に貼付された本発明の防汚材、さらには、本発明の積層フィルム(後述)を被着体から剥がす際に基材層が切断されることを抑制できる。
なお、上記破断伸びおよび破断点応力は、例えば、JIS7161、JIS7162、JIS7127に準じて、引っ張り試験機(AUTOGRAPH AGS−X、(株)島津製作所製)および解析ソフト(TRAPEZIUM X、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。
基材の厚みは、用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。基材の厚みは、好ましくは1μm〜1000μmであり、より好ましくは10μm〜800μmであり、さらに好ましくは20μm〜500μmである。基材の厚みを上記範囲内に調整することにより、本発明の防汚材、さらには、本発明の防汚材を有する本発明の積層フィルム(後述)は、様々な被着体の形状に良好に追従でき、平面に良好に貼付され得るだけでなく、曲面部分、90度角の部分、鋭角部分などにも良好に貼付され得る。
基材は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、シリコーン系ポリマー、液状アクリル系共重合体、粘着付与剤、老化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、ポリエチレンイミン、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、リン酸エステル、滑剤、界面活性剤、充填剤や顔料(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラックなど)などが挙げられる。
本発明の防汚材、さらには、本発明の防汚材を有する本発明の積層フィルム(後述)の耐候性を向上させるためには、基材が紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
基材には、防汚層との密着性をより向上させるために、プライマーをあらかじめ塗工しておいても良いし、シランカップリング剤や反応性添加剤をあらかじめ添加しておいても良い。
プライマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。具体的なプライマーとしては、信越化学工業(株)製のX−33−518(A/B)がある。例えば、信越化学工業(株)製のX−33−518(A/B)を、あらかじめ均一混合(配合比率A/B=100/10重量部)し、基材上に均一塗布し、常温雰囲気で30分程度風乾後、80℃で10分乾燥する。その処理面に配合を行った樹脂組成物を塗工し、乾燥することによって、基材と防汚層との密着性をより向上し得る。
シランカップリング剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。具体的なシランカップリング剤としては、例えば、信越化学工業(株)製の、商品名「KBM5103」、「KBM1003」、「KBM903」、「KBM403」、「KBM802」などが挙げられる。
基材にシランカップリング剤が含まれる場合、基材中のシランカップリング剤の含有割合は、好ましくは0.01重量%〜10重量%である。基材中のシランカップリング剤の含有割合を上記範囲内に調整することにより、基材と防汚層との密着性をより向上し得る。
反応性添加剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。具体的な反応添加剤としては、例えば、信越化学工業(株)製の反応性シリコーンオイルである商品名「KF99」「KF9901」等が挙げられる。
基材中の反応性添加剤の含有割合は、好ましくは0.01重量%〜5重量%である。基材中の反応性添加剤の含有割合を上記範囲内に調整することにより、基材と防汚層との密着性をより向上し得る。
本発明の防汚材は、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層を基材上に設けることができる方法であれば、任意の適切な方法によって製造し得る。このような方法としては、好ましくは、基材上に本発明の樹脂組成物を塗布して乾燥させることによって、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる防汚層を基材上に設ける方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を基材上に塗布する方法としては、例えば、スプレー、ハケ塗り、ローラー、カーテンフロー、ロール、ディップ、コーターなどが挙げられる。これらの方法で本発明の樹脂組成物を基材上に塗布して、例えば、室温から250℃までの温度(好ましくは、室温から180℃の温度)で乾燥させることにより、防汚層を形成することができる。特に、コンマコーターなどの精密コーターを採用して本発明の樹脂組成物を基材層に塗布することは、好ましい実施形態の一つである。
防汚層の厚みは、本発明の防汚材、さらには、本発明の積層フィルム(後述)の用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。防汚層の厚みは、好ましくは10μm〜500μmであり、より好ましくは20μm〜500μmであり、さらに好ましくは50μm〜500μmである。防汚層の厚みを上記範囲内に調整することにより、防汚効果が十分に長く有効に働くとともに、ハンドリング性に優れる。
本発明の防汚材の厚みは、用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。本発明の防汚材の厚みは、好ましくは50μm〜1000μmであり、より好ましくは70μm〜800μmであり、さらに好ましくは100μm〜700μmである。本発明の防汚材の厚みを上記範囲内に調整することにより、本発明の防汚材、さらには、本発明の防汚材を有する本発明の積層フィルム(後述)は、様々な被着体の形状に良好に追従でき、平面に良好に貼付され得るだけでなく、曲面部分、90度角の部分、鋭角部分などにも良好に貼付され得る。
≪積層フィルム≫
本発明の積層フィルムは、本発明の防汚材の防汚層と反対側の面に粘着剤層を有する。すなわち、本発明の積層フィルムは、防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含む。
本発明の積層フィルムの厚みは、それに含まれる各層の厚みによって、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みに設定される。本発明の積層フィルムの厚みは、好ましくは100μm〜2000μmであり、より好ましくは100μm〜800μmであり、さらに好ましくは150μm〜800μmである。本発明の積層フィルムの厚みを上記範囲内に調整することにより、十分な強度を有するとともに貼付施工性の良好な積層フィルムを提供することができる。
本発明の積層フィルムは、防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していても良い。
図1に、本発明の積層フィルムの一例の概略断面図を示す。図1において、本発明の積層フィルム100は、防汚層2と基材層3と粘着剤層4をこの順に含む。図1に示すように、防汚層2の表面や、粘着剤層4の表面には、剥離フィルム1が設けられていても良い。
図1に示す本発明の積層フィルムの一例においては、本発明の積層フィルムは、防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含み、好ましくは、防汚層と基材層と粘着剤層がこの順に直接に積層されてなる。
粘着剤層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着剤層を採用し得る。このような粘着剤層の材料としては、例えば、アクリル樹脂系粘着剤、エポキシ樹脂系粘着剤、アミノ樹脂系粘着剤、ビニル樹脂(酢酸ビニル系重合体など)系粘着剤、硬化型アクリル樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤などが挙げられる。粘着剤層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着剤層は、その23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が、好ましくは30N/20mm以下であり、より好ましくは20N/20mm以下であり、さらに好ましくは15N/20mm以下である。粘着剤層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力を上記範囲内に調整することにより、本発明の積層フィルムを被着体から剥がし易くすることができる。粘着剤層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力の下限は、十分な粘着力を維持できる観点から、好ましくは3N/20mm以上である。なお、180度ピール接着力の測定方法としては、例えば、試験対象の積層フィルムの粘着剤層の粘着剤をポリエステルフィルム(商品名「S−10」、東レ(株)製、厚み38μm)にハンドローラーを使用して転写し、基材付きの粘着シートとし、これを80mm×20mmのサイズにカットして試験片とし、被着体として30mm×100mm×厚さ2mmのエポキシ樹脂にガラスクロスを入れて強化したプラスチックFRP板を使用して、被着体に試験片を2kgローラーで1往復して貼り合わせ、23℃で30分放置後、初期の180度ピール接着力を、引張速度=300mm/minで測定する方法が挙げられる。
粘着剤層は、海水に接触させた際に、該粘着剤層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率が、海水接触前の該粘着剤層における圧縮弾性率に対して、好ましくは1.1倍以上であり、より好ましくは1.2倍以上であり、さらに好ましくは1.5倍以上である。粘着剤層を海水に接触させた際に、該粘着剤層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率が、海水接触前の該粘着剤層における圧縮弾性率の1.1倍以上であれば、水中においても良好な接着性を発現できる。粘着剤層を海水に接触させた際の、該粘着剤層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率の、海水接触前の該粘着剤層における圧縮弾性率に対する倍率の上限は、取扱性の観点から、好ましくは100倍以下である。なお、ここにいう海水とは、市販されている模擬海水(人工海水)のことを意味する。
粘着剤層の厚みは、本発明の積層フィルムの用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。粘着剤層の厚みは、好ましくは10μm以上である。粘着剤層の厚みを上記範囲内に調整することにより、被着体の形状に十分に追従し得るようになり、接着面積が確保し得、十分な粘着力を発現し得る。粘着剤層の厚みの上限は、取扱性の観点から、好ましくは200μm以下である。
本発明の積層フィルムは、任意の適切な方法によって製造し得る。このような方法としては、例えば、(1)別途準備した基材(基材層となる)に粘着剤層を貼付した後に、本発明の樹脂組成物を該基材(基材層となる)の該粘着剤層の反対側の表面上に塗布して防汚層を形成する方法、(2)基材(基材層となる)の一方の面に粘着剤層形成材料を塗布して粘着剤層を形成し、基材(基材層となる)のもう一方の面に本発明の樹脂組成物を塗布して防汚層を形成する方法、(3)基材層形成材料と粘着剤層形成材料を共押出しして基材層/粘着剤層の積層体を形成させた後に、本発明の樹脂組成物を該基材層の該粘着剤層の反対側の表面上に塗布して防汚層を形成する方法、などが挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
<防汚試験>
積層フィルムを大きさ10cm×15cmに切り出し、塩化ビニル製プレート(10cm×15cm)に貼り付けた。このパネルを、瀬戸内海姫路付近の播磨灘のヨットハーバーにある桟橋にて、パネルの最上面が海水面に重なるように設置し、全てのサンプル貼り付け面が日中に日が当たるように配置した。2月下旬より投入し2か月半この状態を維持し、その後パネルを引き上げ目視による観察を行った。
緑藻や珪藻等の藻類などの植物性の汚れを観察し、下記の基準にて評価した。
◎:厚みが0.5mm以上の汚れ、もしくは緑藻に覆われた面積が防汚膜全体の面積の20%未満である。
○:厚みが0.5mm以上の汚れ、もしくは緑藻に覆われた面積が防汚膜全体の面積の20%以上50%未満である。
△:厚みが0.5mm以上の汚れ、もしくは緑藻に覆われた面積が防汚膜全体の面積の50%以上70%未満である。
△△:厚みが0.5mm以上の汚れ、もしくは緑藻に覆われた面積が防汚膜全体の面積の70%以上90%未満である。
×:厚みが0.5mm以上の汚れ、もしくは緑藻に覆われた面積が防汚膜の90%以上を覆っている。
<密着性試験>
積層フィルムに対して、カッターで切れ込み(深さ:基材層まで達する防汚層の厚みの深さ、長さ:1.5cm程度)を入れたときの断面の様子を目視により観察した。
下記の基準にて評価した。
○:基材層と防汚層とが剥離しない。
×:基材層と防汚層とが剥離する。
〔実施例1〕
(樹脂組成物)
紫外線吸収剤(Tinuvin571、BASF製):2重量部、触媒(CATPL−50T、信越化学工業(株)製):0.25重量部、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名「KF6017」、信越シリコーン(株)製):1重量部、ジメチルシリコーンオイル(商品名「KF96−100Cs」、信越化学工業(株)製):79重量部、流動パラフィン(キシダ化学(株)製):5重量部を混合、撹拌した後、シリコーン樹脂(商品名「KE−1950−50」のA液、信越化学工業(株)製)とシリコーン樹脂(商品名「KE−1950−50」のB液、信越化学工業(株)製):A液とB液の合計で100重量部を加え、撹拌し、樹脂組成物(1)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(1)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(1)上に防汚層(1)を有する防汚材(1)得た。防汚層(1)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
冷却管、窒素導入管、温度計、および攪拌機を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):90重量部、アクリル酸(AA):10重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」、BASF製):0.1重量部を投入して分散させ、攪拌しながら窒素気流下にて上部よりUV照射することにより、一部のモノマーをポリマーに転化させて塗工可能な粘度に調整し、(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。この(メタ)アクリル系モノマー混合物に、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA):0.08重量部を添加し、これをセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み50μm)の表面にアプリケーターにて塗布し、カバーセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(BLタイプ)により紫外線を照射(紫外線照度:3.4mW/cm、積算照射量:2000mJ/cm)することにより、厚みが50μmの粘着剤層(1)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(1)を、防汚材(1)の基材層(1)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(1)を得た。
積層フィルム(1)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例2〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を3重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を77重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(2)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(2)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(2)上に防汚層(2)を有する防汚材(2)得た。防汚層(2)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(2)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(2)を、防汚材(2)の基材層(2)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(2)を得た。
積層フィルム(2)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例3〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を5重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を75重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(3)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(3)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(3)上に防汚層(3)を有する防汚材(3)得た。防汚層(3)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(3)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(3)を、防汚材(3)の基材層(3)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(3)を得た。
積層フィルム(3)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例4〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6016」を0.5重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を79.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(4)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(4)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(4)上に防汚層(4)を有する防汚材(4)得た。防汚層(4)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(4)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(4)を、防汚材(4)の基材層(4)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(4)を得た。
積層フィルム(4)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例5〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6013」を0.5重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を79.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(5)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(5)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(5)上に防汚層(5)を有する防汚材(5)得た。防汚層(5)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(5)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(5)を、防汚材(5)の基材層(5)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(5)を得た。
積層フィルム(5)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例6〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を0.5重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を79.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(6)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(6)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(6)上に防汚層(6)を有する防汚材(6)得た。防汚層(6)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(6)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(6)を、防汚材(6)の基材層(6)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(6)を得た。
積層フィルム(6)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例7〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を0.1重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を79.9重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(7)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(7)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(7)上に防汚層(7)を有する防汚材(7)得た。防汚層(7)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(7)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(7)を、防汚材(7)の基材層(7)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(7)を得た。
積層フィルム(7)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例8〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を0.05重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を79.95重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(8)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(8)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(8)上に防汚層(8)を有する防汚材(8)得た。防汚層(8)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(8)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(8)を、防汚材(8)の基材層(8)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(8)を得た。
積層フィルム(8)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例9〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を0.01重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を79.99重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(9)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(9)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(9)上に防汚層(9)を有する防汚材(9)得た。防汚層(9)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(9)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(9)を、防汚材(9)の基材層(9)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(9)を得た。
積層フィルム(9)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例10〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を0.5重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を29.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(10)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(10)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(10)上に防汚層(10)を有する防汚材(10)得た。防汚層(10)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(10)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(10)を、防汚材(10)の基材層(10)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(10)を得た。
積層フィルム(10)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例11〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を0.5重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を59.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(11)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(11)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(11)上に防汚層(11)を有する防汚材(11)得た。防汚層(11)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(11)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(11)を、防汚材(11)の基材層(11)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(11)を得た。
積層フィルム(11)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例12〕
(樹脂組成物)
ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を99重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(12)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(12)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(12)上に防汚層(12)を有する防汚材(12)得た。防汚層(12)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(12)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(12)を、防汚材(12)の基材層(12)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(12)を得た。
積層フィルム(12)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例13〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を0.5重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を79.5重量部、流動パラフィン(キシダ化学(株)製)を10重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(13)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(13)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(13)上に防汚層(13)を有する防汚材(13)得た。防汚層(13)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(13)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(13)を、防汚材(13)の基材層(13)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(13)を得た。
積層フィルム(13)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例14〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を1.5重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を58.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(14)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(14)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(14)上に防汚層(14)を有する防汚材(14)得た。防汚層(14)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(14)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(14)を、防汚材(14)の基材層(14)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(14)を得た。
積層フィルム(14)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例15〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を0.5重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を79.5重量部、流動パラフィン(キシダ化学(株)製)を15重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(15)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(15)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(15)上に防汚層(15)を有する防汚材(15)得た。防汚層(15)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(15)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(15)を、防汚材(15)の基材層(15)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(15)を得た。
積層フィルム(15)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔比較例1〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルを用いず、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を80重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(C1)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(C1)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(C1)上に防汚層(C1)を有する防汚材(C1)得た。防汚層(C1)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(C1)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(C1)を、防汚材(C1)の基材層(C1)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(C1)を得た。
積層フィルム(C1)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔比較例2〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を6重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を74重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(C2)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(C2)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(C2)上に防汚層(C2)を有する防汚材(C2)得た。防汚層(C2)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(C2)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(C2)を、防汚材(C2)の基材層(C2)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(C2)を得た。
積層フィルム(C2)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔比較例3〕
(樹脂組成物)
ポリエーテル変性シリコーンオイルとして信越シリコーン(株)製の商品名「KF6017」を0.005重量部、ジメチルシリコーンオイルとして信越化学工業(株)製の商品名「KF96−100Cs」を79.995重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物(C3)を得た。
(防汚材)
得られた樹脂組成物(C3)を、厚み100μmのTPU基材(製品名:ハイグレスDUS451、シーダム株式会社製)の表面に塗工し、140℃で2分間乾燥することにより、基材層(C3)上に防汚層(C3)を有する防汚材(C3)得た。防汚層(C3)の厚みは100μmであった。
(粘着剤層)
実施例1と同様に行い、粘着剤層(C3)を得た。
(積層フィルム)
得られた粘着剤層(C3)を、防汚材(C3)の基材層(C3)側にハンドローラーにて貼り合わせ、積層フィルム(C3)を得た。
積層フィルム(C3)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着剤層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔比較例4〕
塩ビ板(商品名「ヒシプレート」、三菱樹脂社製)を評価した。
評価結果を表1に示した。
Figure 0006499431
本発明の樹脂組成物、本発明の防汚材、および、本発明の積層フィルムは、水中生物が付着して繁殖することを防止できるため、水中構造物(船舶、ブイ、港湾設備、海上油田設備、発電所冷却水用の水路、工場冷却水用の水路、水上浮遊通路など)に好適に利用できる。
1 剥離フィルム
2 防汚層
3 基材層
4 粘着剤層
100 積層フィルム

Claims (4)

  1. 樹脂組成物の硬化物からなる防汚層を基材上に有する防汚材であって、
    該樹脂組成物がシリコーン樹脂とオイル成分を含み、
    該オイル成分がシリコーンオイルを含み、
    該シリコーンオイルの少なくとも1種がポリエーテル変性シリコーンオイルであり、
    該シリコーンオイルがポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルを含み、
    該ポリエーテル変性シリコーンオイルが一般式(1)で表され、
    該ポリエーテル変性シリコーンオイル以外の非反応性シリコーンオイルが一般式(2)で表され、
    該シリコーン樹脂100重量部に対する該ポリエーテル変性シリコーンオイルの含有量が0.01重量部〜5重量部である、
    防汚材。
    Figure 0006499431
    (一般式(1)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜15のアルキル基を表し、Rは−(CO)−(CO)−で表されるポリオキシアルキレン基であり、aは1〜50であり、bは0〜30であり、mは1〜7000であり、nは1〜50である。)
    Figure 0006499431
    (一般式(2)中、Rは、同一または異なって、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フルオロアルキル基、またはポリエーテル基を表し、Rは、同一または異なって、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ポリエーテル基、フルオロアルキル基を表し、nは0〜150の整数を表す。)
  2. 前記樹脂組成物100重量部に対する前記オイル成分の含有量が0.01重量部〜120重量部である、請求項1に記載の防汚材。
  3. 前記シリコーン樹脂が、2液型の付加型シリコーン樹脂である、請求項1または2に記載の防汚材。
  4. 請求項1から3までのいずれかに記載の防汚材の防汚層と反対側の面に粘着剤層を有する、積層フィルム。
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