JP6099499B2 - 水生生物付着防止粘着テープ - Google Patents

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Description

本発明は、水生生物付着防止粘着テープに関する。詳細には、本発明は、水中構造物(船舶、ブイ、港湾設備、海上油田設備、発電所冷却水用の水路、工場冷却水用の水路、水上浮遊通路など)に水中生物が付着して繁殖することを防止するための、水生生物付着防止粘着テープに関する。
船舶などの水中構造物は、海水に接触する部分において、フジツボ、カキ、ムラサキイガイ、ヒドラ、セルプラ、ホヤ、コケムシ、アオサ、アオノリ、付着珪藻などの海洋生物が付着して繁殖し、流体抵抗の増加や熱伝導性の低下といった設備機械性能の低下や、付着した海洋生物の海外への拡散など、好ましくない状態を引き起こしている。また、付着した海洋生物を除去する作業には大きな労力と膨大な時間が必要であり、経済的な損失を被っている。
上記のような被害を防止するため、従来、防汚塗料が水中構造物に塗装されている。防汚塗料には、古くは有機スズ化合物や現在では亜酸化銅などの毒性防汚剤が含まれている。防汚塗料の毒性によって海洋生物の付着成長はほぼ抑制できるが、有機スズ化合物や亜酸化銅などの毒性防汚剤は人体や環境に少なからず悪影響を与えるため、長期的にみれば深刻な問題となる。また、防汚塗料を塗装後に乾燥させる際には、30重量%程度の有機溶剤(VOC)が揮発し、作業環境や周辺の環境に悪影響を与えている。スプレー式塗装では、VOCの大気中への排出の他に、塗料の10重量%〜20重量%は風により周囲に飛散していると言われている。一方で、長年使用した防汚塗料を塗り替える際には、古くなった防汚塗料をサンドブラストや金属研磨機で剥離するが、その際に、有機スズ化合物や亜酸化銅などの毒性防汚剤を含んだ大量の塗膜片が周囲に飛散して作業者や環境に悪影響を与えると共に、剥離した防汚塗料は産業廃棄物として処理されるため、大きな問題となっている。
以上の様に、これまでの防汚塗料では、海洋生物に対する付着阻害効果はあるものの、人体や環境に対して大きな悪影響があり、多くの問題が解決されないまま現在に至っているのが現状である。
そこで、銅薄と粘着剤とをプライマーを介して貼り合わせた粘着テープが提案されている(特許文献1、2参照)。しかし、このような粘着テープにおいては、海洋生物の付着抑制を銅薄の銅成分によって実現させているため、環境への悪影響の可能性があるという問題がある。また、このような粘着テープは、FRP板に対するピール接着力が2.6kg/25mmまたは7.5kg/25mm(プライマー前処理後)と非常に大きく設計されており、使用後の粘着テープを貼り替える場合に粘着テープが人力で容易に剥がれるとは考えにくく、結局、削り取るなどの行為が必要なため、大きな労力が必要となる。また、銅は比重が8.94g/cmと重い物質であり、船舶などの移動構造物に使用することは、燃費を悪化させ経済的に好ましくない。
また、シリコーンゴムと粘着剤の2層から成る防汚テープが提案されている(特許文献3参照)。しかし、防汚効果を担うシリコーンゴム層にはオイルなどの防汚剤が含まれておらず、シリコーンゴムそのものである。防汚剤が含まれていない場合は、短期的には海洋生物の付着はその撥水性によって抑制できるものの、長期間にはその防汚効果が持続できない。また、このような防汚テープは、シリコーンゴムと粘着剤の2層で構成されているため、強度的に非常に不安がある。一般的に、シリコーンゴムは破断点強度が極めて低いため、このような防汚テープを使用後に剥がす場合、テープ状態として剥がすことが困難であり現実的ではない。
また、基材上に下塗り剤を介してシリコーンエラストマーを設け、基材の逆側には粘着層を設けたシート状テープが提案されている(特許文献4参照)。特許文献4に開示されているシート状テープは、防汚剤として含フッ素液状化合物および/または疎水性のシリコーン系液状化合物を含む。しかし、このような防汚剤を含むシート状テープは、十分な防汚性能を発現できていない。また、特許文献4には、水中で使用できる粘着剤組成に関する記述や接着力に関する記述などが全く無いため、水生生物付着防止粘着テープへの適用を考える上では現実性に乏しい。また、防汚テープを水中構造物に施工する際には、曲面や鋭角面に施工できるように柔軟性や伸び性の設計が必要であり、また、使用後に防汚テープを剥離する際には基材が途中で破壊しないような強度設計が必要であるが、特許文献4にはそのような記述が全く無いため、水生生物付着防止粘着テープへの適用を考える上では現実性に乏しい。
さらに、特許文献4で提案されているような防汚テープにおいては、基材層上に防汚層を設けられているが、基材層と防汚層は要求される機能の相違に起因して物性が異なるため、互いの密着性が十分に確保できず、互いに剥がれやすいという問題がある。特に、このような防汚テープを水中構造物に施工する際には、基材層と防汚層との互いの剥がれやすさは顕著となる。
特公昭63−62487号公報 特公平1−54397号公報 特許第3000101号公報 特開2002−69246号公報
本発明の課題は、防汚層と基材層と粘着層をこの順に含む、水生生物の付着を効果的に防止できる粘着テープであって、防汚層と基材層との密着性に優れた、水生生物付着防止粘着テープを提供することにある。
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、
防汚層と基材層と粘着層をこの順に含む粘着テープであって、
該防汚層がシリコーン樹脂を含み、
該基材層の23℃における弾性率が0.1MPa〜100MPaであり、
該基材層の23℃における伸長回復率が70%以上である。
好ましい実施形態においては、上記基材層がポリウレタン樹脂である。
好ましい実施形態においては、上記ポリウレタン樹脂がカーボネート系ポリウレタンである。
好ましい実施形態においては、上記基材層の破断伸びが100%〜1000%である。
好ましい実施形態においては、上記基材層の破断点応力が20MPa以上である。
好ましい実施形態においては、上記粘着層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が30N/20mm以下である。
本発明によれば、防汚層と基材層と粘着層をこの順に含む、水生生物の付着を効果的に防止できる粘着テープであって、防汚層と基材層との密着性に優れた、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。
本発明の水生生物付着防止粘着テープの一例の概略断面図である。
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、防汚層と基材層と粘着層をこの順に含む。
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、防汚層と基材層と粘着層をこの順に含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していても良い。
本発明の水生生物付着防止粘着テープの厚みは、それに含まれる各層の厚みによって、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みに設定される。本発明の水生生物付着防止粘着テープの厚みは、好ましくは50μm〜5000μmである。
図1に、本発明の水生生物付着防止粘着テープの一例の概略断面図を示す。本発明の水生生物付着防止粘着テープ100は、防汚層2と基材層3と粘着層4をこの順に含む。図1に示すように、防汚層2の表面や、粘着層4の表面には、剥離フィルム1が設けられていても良い。
基材層は、その23℃における弾性率が0.1MPa〜100MPaである。上記弾性率が上記範囲内に収まることによって、防汚層と基材層との密着性に優れた水生生物付着防止粘着テープを提供し得る。
基材層は、その23℃における伸長回復率が70%以上である。上記伸長回復率が上記範囲内に収まることによって、防汚層と基材層との密着性に優れた水生生物付着防止粘着テープを提供し得る。
基材層としては、23℃における弾性率が0.1MPa〜100MPaであり、23℃における伸長回復率が70%以上である基材層であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な基材層を採用し得る。このような基材層の材料としては、好ましくは、耐水性、強度、柔軟性、裂け性に優れるものである。このような基材層の材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンアクリル樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー類、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などが挙げられる。このような基材層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
基材層としては、特に、ポリウレタン樹脂が好ましい。このようなポリウレタン樹脂としては、例えば、エーテル系ポリウレタン、エステル系ポリウレタン、カーボネート系ポリウレタンなどが挙げられ、耐久性や強度に優れる点、および、本発明の効果を十分に発現できる点から、カーボネート系ポリウレタンが特に好ましい。また、ポリウレタン樹脂のグレードとしては、難黄変グレードと無黄変グレードが好ましく、無黄変グレードがより好ましい。
基材層は、その破断伸びが、好ましくは100%〜1000%であり、より好ましくは150%〜900%であり、さらに好ましくは200%〜800%である。基材層の破断伸びが上記範囲内に収まることによって、本発明の水生生物付着防止粘着テープは、様々な被着体の形状に良好に追従でき、平面に良好に貼付できるだけでなく、船体表面に存在するような曲面部分、90度角の部分、鋭角部分などにも良好に貼付できる。基材層の破断伸びが100%未満の場合、様々な被着体の形状に十分に追従できず、皺や接着剤の未接着部分が発生してしまい、外観不良や接着不良の原因となるおそれがある。基材層の破断伸びが1000%を超えると、基材層の強度が低下するおそれがある。
基材層は、その破断点応力が、好ましくは20MPa以上であり、より好ましくは25MPa〜200MPaであり、さらに好ましくは30MPa〜150MPaであり、特に好ましくは35MPa〜100MPaである。基材層の破断点応力が上記範囲内にあることによって、使用済みの本発明の水生生物付着防止粘着テープを被着体から剥がす際に基材層が切断されることを抑制できる。基材層の破断点応力が20MPa未満の場合、使用済みの本発明の水生生物付着防止粘着テープを被着体から剥がす際に、基材層が頻繁に切断してしまい、作業効率が著しく悪くなるおそれがある。基材層の破断点応力が大き過ぎると、基材層の取扱性が悪くなるおそれがある。
基材層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、シリコーン系ポリマー、液状アクリル系共重合体、粘着付与剤、老化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、ポリエチレンイミン、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、リン酸エステル、滑剤、界面活性剤、充填剤や顔料(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラックなど)などが挙げられる。
基材層は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。基材層が紫外線吸収剤を含むことにより、本発明の水生生物付着防止粘着テープの耐候性が向上する。基材層が紫外線吸収剤を含んでいない場合、野外での使用において太陽光によって基材が劣化しやすくなり、当初の基材強度を維持することが難しくなるおそれがある。そして、基材が劣化してしまうと、使用済みの本発明の水生生物付着防止粘着テープを被着体から剥がす際に、基材層が頻繁に切断してしまい、作業効率が著しく悪くなるおそれがある。
基材層の厚みは、本発明の水生生物付着防止粘着テープの用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。基材層の厚みは、好ましくは1μm〜1000μmであり、より好ましくは10μm〜800μmであり、さらに好ましくは20μm〜500μmである。基材層の厚みを上記範囲内に収めることにより、本発明の水生生物付着防止粘着テープは、曲面や鋭角面など、平面以外の部位にも容易に作業性良く貼着でき、貼着後の表面にしわや浮きなどの外観不良が生じ難い。基材層の厚みが薄過ぎると、ハンドリング性が悪くなり、基材としての役割を果たせず、実用的ではなくなるおそれがある。基材層の厚みが厚過ぎると、被着体の形状に十分に追従できなくなり、テープのつなぎ目部分の凹凸が大きくなり、汚れが付きやすいおそれがある。
基材層には、防汚層との密着性を向上させるために、プライマーをあらかじめ塗工しておいても良いし、シランカップリング剤をあらかじめ添加しておいても良い。防汚層がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂の特性である低表面エネルギーが原因で、基材層への密着性が低い場合がある。防汚層と基材層の密着性が低いと、防汚効果を発揮する防汚層が、使用中の衝撃や物理的ダメージによって基材層から剥離してしまい、本来の防汚効果が持続できないおそれがある。そのため、基材層の表面にプライマーをあらかじめ塗工して防汚層との密着性を高めたり、シリコーン樹脂と反応するシラノール基やアルコキシシラン基をシランカップリング剤によって基材層中に導入し、縮合型シリコーン樹脂の塗工時に基材層上の反応基と縮合反応させて密着性を向上させたりすることができる。
シランカップリング剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。市販されている具体的なシランカップリング剤としては、例えば、信越化学工業(株)製のKBM5103、KBM1003、KBM903、KBM403、KBM802などが挙げられる。
基材層にシランカップリング剤が含まれる場合、基材層中のシランカップリング剤の含有割合は、好ましくは0.01重量%〜10重量%である。基材層中のシランカップリング剤の含有割合を上記範囲内に収めることにより、基材層が硬くなり過ぎることを抑制できるとともに、基材層と防汚層との間に十分な密着性が発現できる。基材層中のシランカップリング剤の含有割合が10重量%を超える場合、シランカップリング剤が架橋点となって基材層が硬くなってしまうおそれがある。基材層中のシランカップリング剤の含有割合が0.01重量%未満の場合、基材層と防汚層との間に十分な密着性が発現できないおそれがある。
防汚層は、シリコーン樹脂を含む。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合は、防汚剤などの他の成分の含有割合によって、任意の適切な含有割合を採用し得る。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合は、好ましくは30重量%〜98重量%であり、より好ましくは40重量%〜97重量%であり、さらに好ましくは45重量%〜96重量%であり、特に好ましくは50重量%〜95重量%である。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合が上記範囲内に収まることにより、防汚層の防汚効果が十分に発現できるとともに、防汚層の機械的特性が十分に発現できる。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合が30重量%未満の場合、防汚層の機械的特性が低下するおそれがある。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合が98重量%を超える場合、防汚層の防汚効果が十分に発現できないおそれがある。
シリコーン樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーン樹脂を採用し得る。シリコーン樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このようなシリコーン樹脂としては、常温で液状のシリコーン樹脂であっても良いし、常温で固体状のシリコーン樹脂であっても良い。また、このようなシリコーン樹脂としては、縮合型のシリコーン樹脂であっても良いし、付加型のシリコーン樹脂であっても良い。また、このようなシリコーン樹脂としては、単独で乾燥させる1液型のシリコーン樹脂であっても良いし、硬化剤を配合する2液型のシリコーン樹脂であっても良い。
本発明においては、シリコーン樹脂としては、これらの中でも、2液型の加熱付加型樹脂が好ましい。このような2液型の加熱付加型樹脂としては、例えば、信越化学工業(株)製のKE−1950−10(A/B)、KE−1950−20(A/B)、KE−1950−30(A/B)、KE−1950−35(A/B)、KE−1950−40(A/B)、KE−1950−50(A/B)、KE−1950−60(A/B)、KE−1950−70(A/B)、KE−1987(A/B)、KE−1988(A/B)、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のLR7665シリーズ、LR3033シリーズ、モメンティブ(株)製のTSE3032シリーズなどが挙げられる。
本発明の水生生物付着防止粘着テープにおける水生生物の易除去性を向上させるために、シリコーン樹脂としては、水洗除去時の水圧などによって樹脂表面が弾性変形することにより付着物の剥離が容易になるような物性を有するシリコーン樹脂が好ましい。このようなシリコーン樹脂は、該シリコーン樹脂の100%モジュラス(引張応力)が、好ましくは0.1MPa〜10MPaであり、より好ましくは0.1MPa〜6MPaである。また、このようなシリコーン樹脂は、有機溶剤に可溶であるものが好ましい。
防汚層は、防汚剤を含んでいても良い。
防汚剤としては、例えば、シリコーンオイル、流動パラフィン、界面活性剤、液状炭化水素、フッ化オイル、抗菌剤などが挙げられる。これらは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。防汚層が、このような防汚剤を含む場合、該防汚剤は、マトリックスであるシリコーン樹脂の表面に移行し、表面を防汚物質で覆うことによって、水生生物のシリコーン樹脂表面への付着を抑制し、高い防汚効果を長期間維持する作用を発現することができる。したがって、長期間にわたって防汚効果を持続でき、人体や環境に対する負荷が少なく、重量が軽く、安定した品質を維持でき、水生生物の付着を効果的に防止できる、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。
防汚層中、シリコーン樹脂に対する防汚剤の含有割合は、好ましくは1重量%〜200重量%である。上記の含有割合が上記範囲内に収まることにより、防汚層の防汚効果が十分に発現できるとともに、防汚層の外観特性や機械的特性が十分に発現できる。上記含有割合が少なすぎると、防汚層の防汚効果が十分に発現できないおそれがある。上記含有割合が多すぎると、最終成形品や被膜の外観が不良となるおそれがあり、また、防汚層の強度が低下して防汚性を持続できなくなるおそれがある。
シリコーンオイルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なシリコーンオイルを採用し得る。シリコーンオイルとしては、シリコーン樹脂との反応性や自己縮合性を有さないものが好ましい。このようなシリコーンオイルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーンオイルを採用し得る。このようなシリコーンオイルとしては、シリコーン樹脂に含まれるオルガノポリシロキサンとある程度不相溶であるものが好ましく、長期間にわたって防汚効果を持続できる点で、例えば、一般式(I)で表されるシリコーンオイルが好ましい。
Figure 0006099499
一般式(I)中、Rは、同一または異なって、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フルオロアルキル基、ポリエーテル基、または水酸基を表し、Rは、同一または異なって、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ポリエーテル基、フルオロアルキル基を表し、nは0〜150の整数を表す。一般式(I)中のRとしては、好ましくは、メチル基、フェニル基、水酸基である。一般式(I)中のRとしては、好ましくは、メチル基、フェニル基、4−トリフルオロブチル基である。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルは、数平均分子量が、好ましくは180〜20000であり、より好ましくは1000〜10000である。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルは、粘度が、好ましくは10センチストークス〜10000センチストークスであり、より好ましくは100センチストークス〜5000センチストークスである。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルとしては、具体的には、例えば、両末端または片末端のRが水酸基である末端水酸基含有ジメチルシリコーンオイル、RおよびRの全てがメチル基であるジメチルシリコーンオイル、これらのジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部がフェニル基に置換されたフェニルメチルシリコーンオイルなどが挙げられる。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルの市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製のKF96L、KF96、KF69、KF99、KF50、KF54、KF410、KF412、KF414、FL、東レダウコーニング株式会社製のBY16−846、SF8416、SH200、SH203、SH230、SF8419、FS1265、SH510、SH550、SH710、FZ−2110、FZ−2203が挙げられる。
流動パラフィンとしては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な流動パラフィンを採用し得る。流動パラフィンとしては、例えば、(株)MORESCO製のP−40、P−55、P−60、P−70、P−80、P−100、P−120、P−150、P−200、P−260、P−350、和光純薬工業(株)製の炭化水素系流動パラフィンなどが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、などが挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なアニオン界面活性剤を採用し得る。このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアルケニルリン酸エステルまたはその塩などが挙げられる。アニオン界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
ノニオン界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なノニオン界面活性剤を採用し得る。このようなノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイドなどが挙げられる。ノニオン界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
両性界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な両性界面活性剤を採用し得る。このような両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシ型またはスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。両性界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
カチオン界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なカチオン界面活性剤を採用し得る。このようなカチオン界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
液状炭化水素としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な液状炭化水素を採用し得る。例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、1−テトラデセンなどが挙げられる。
フッ化オイルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なフッ化オイルを採用し得る。このようなフッ化オイルとしては、例えば、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。化学的安定性の点でパーフルオロポリエーテルが好ましい。パーフルオロポリエーテルとしては、例えば、構造式:A−(CO)x(CFO)y(CO)z―B(式中、末端基Aは、−F、−CF、−C、−C、−CF(CF)OCF、−OF、−OCF、−OC、−OC、−OCF(CF)OCFのいずれかあり、末端基Bは、−CF、−C、−C、−CF(CF)OCFのいずれかあり、x、y、zは0または正の整数であり、x+y+z>1であって、25℃における粘度が50cs〜500000csである。)で表される化合物が挙げられる。パーフルオロポリエーテルの具体例としては、例えば、CFO−(CFCF(CF)O)x(CFO)y−CF(式中、x、yは上記の通りである。)、CFO−(CFO)y(CO)z−CF(式中、y、zは上記の通りである)、CFO−(CFCF(CF)O)x−CF(式中、xは上記の通りである)、及び、F−(CFCFCFO)x−C(式中、xは上記の通りである)などが挙げられる。
抗菌剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な抗菌剤を採用し得る。このような抗菌剤としては、いわゆる抗菌剤、除草剤などが挙げられる。
いわゆる抗菌剤としては、例えば、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノミル、ビテルタノール、ブロムコナゾール、キャプタホール、キャプタン、カルベンダジム、キノメチオネート、クロロタロニル、クロゾリナート、シプロジニル、ジクロフルアニド、ジクロフェン、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジメトモルフ、ジニコナゾール、ジチアノン、エポキシコナゾール、ファモキサドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンピクロニル、フェンチン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルオルイミド、フルキンコナゾール、フルスルファミド、フルトラニル、ホルペット、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イポコナゾール、イプロジオン、クレソキシムメチル、マンゼブ、マンネブ、メパニピリム、メプロニル、メトコナゾール、メチラム、ニッケルビス(ジメチルジチオカルバメート)、ヌアリモル、オキシン銅、オキソリン酸、ペンシクロン、フタリド、プロシミドン、プロピネブ、キントゼン、硫黄、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、チフルザミド、チオフェネートメチル、チラム、トルクロホスメチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアゾキシド、トリホリン、トリチコナゾール、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラムなどが挙げられる。また、天然物の抗菌剤として、例えば、孟宗竹抽出物、ヒノキチオール、ニンニクエキス、カンゾウなどの漢方成分が挙げられる。また、銀、銅、亜鉛、錫、鉛、金などの無機抗菌剤が挙げられる。また、必要に応じて、これら無機抗菌剤の担体として、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、シリカゲル、ケイ酸アルミニウムカルシウム、ポリシロキサン化合物、リン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、イオン交換体、酸化亜鉛などが使用できる。合成物の抗菌剤としては、例えば、2−ピリジンチオール−1−オキサイド、p−クロロ−m−クレゾール、ポリヘキサメチレンヒグアナイド、ハイドロクロライド、塩化ベンゼトニウム、アルキルポリアミノエチルグリシン、ベンズイソチアゾリン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2,2’−ジチオ−ビス−(ピリジン−1−オキサイド)などが挙げられる。
除草剤としては、例えば、ベンスルフロンメチル、ピラゾスルフロンエチル、イマゾスルフロン、シクロスルファムロン、エトキシスルフロン、フルセトスルフロン、アジムスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、リムスルフロン、ハロスルフロンメチル、ニコスルフロン、チフェンスルフロンメチル、トリトスルフロン、ホラムスルフロン、アミドスルフロン、クロルスルフロン、ヨードスルフロン、メトスルフロンメチル、スルホスルフロン、フラザスルフロン、クロリムロンエチル、トリフルスルフロンメチル、オキサスルフロン、スルホメツロンメチル、トリフロキシスルフロンナトリウム、フルピルスルフロンエチルナトリウム、イマザモックス、イマゼタピル、イマザキン、イマザピル、イマザピック、フルカルバゾンナトリウム、プロポキシカルバゾンナトリウム、ビスピリバックナトリウム、ピリフタリド、ピリミノバックメチル、ピリミスルファン、ピリチオバックナトリウム、フルメツラム、ペノキススラム、メトスラム、メタゾスルフロン、プロピリスルフロン、ベンタゾン、アトラジン、シマジン、ジメタメトリン、ピリデート、ピリダホル、テルブチラジン、テルブトリン、ブロモキシニル、アイオキシニル、メトリブジン、レナシル、ブロマシル、デスメディファム、フェンメディファム、メタミトロン、シメトリン、プロメトリン、ジウロン、イソウロン、リニュロン、シデュロン、クロロトルロン、ベンゾフェナップ、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンゾビシクロン、イソキサフルトール、テフリルトリオン、テンボトリオン、イソキサクロルトール、メソトリオン、スルコトリオン、ベンゾイルヘキサジオン、プラチラクロール、ブタクロール、カフェンストロール、フェントラザミド、メフェナセット、エトベンザニド、テニルクロール、フルフェナセット、インダノファン、アニロホス、メトラクロール、メタザクロール、アラクロール、プロパクロール、ピペロホス、ジメテナミド、アセトクロール、ナプロパミド、チオベンカルブ、モリネート、ベンフレセート、ピリブチカルブ、エトフメセート、エスプロカルブ、プロスルホカルブ、ダラポン、ブチレート、ペントキサゾン、ピラクロニル、オキサジアゾン、オキサジアルギル、ピラゾジル、オキシフルオルフェン、アシフルオルフェン、ビフェノックス、ピラフルフェンエチル、フルアゾレート、フルチアセットメチル、ブタフェナシル、ベンズフェンジゾン、カルフェントラゾンエチル、スルフェントラゾン、フルミオキサジン、アクトニフェン、フルミクロラック、プロフェキサジノン、セトキシジム、クレソジム、テプラロキシジム、アロキシジム、フェノキサプロップ−P−エチル、ジクロホップメチル、フルアジホップ−P−ブチル、キザロホップ−P−エチル、シハロホップブチル、グルホシネート、グルホシネートP、ビアラホス、グリホサート、グリホサートイソプロピルアミン、スルホサート、ピクロラム、トリクロピル、クロメプロップ、MCPB、2,4−D,MCPA、ジカンバ、キンクロラック、メコプロップ、ジクロルクロップ、ジフルフェニカン、フルルタモン、ピコリナフェン、フルリドン、ノルフルラゾン、ベンフルブタミド、フルロクロリドン、パラコート、ジクワット、ブタミホス、ペンディメタリン、トリフルラリン、ジチオピル、チアゾピル、アミプロホスメチル、ブロモブチド、クミルロン、ダイムロン、イソキサベン、ジクロベニル、フルポキサム、クロルチアミド、オキサジクロメホン、イプフェンカルバゾン、フェノキサスルホン、SW−065、ペラルゴン酸、クロマゾン、およびその塩などが挙げられる。
防汚剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、他の任意の適切な防汚剤を採用し得る。このような防汚剤としては、例えば、ワックス、ペトロラタム、動物脂類、脂肪酸、珪藻付着防止剤、農薬、医薬品(メデトミジンなど)、酵素活性阻害剤(アルキルフェノール、アルキルレゾルシノールなど)、生物忌避剤などが挙げられる。これらの防汚剤を用いることにより、珪藻やフジツボなどの水生生物の付着防止効果がより一層向上する。
防汚層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の添加剤を含んでいても良い。このような他の添加剤としては、例えば、耐候剤として紫外線吸収剤が挙げられる。このような紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、BASF製のTINUVIN571、TINUVIN460、TINUVIN213、TINUVIN234、TINUVIN329、TINUVIN326などが挙げられる。このような紫外線吸収剤の添加量は、シリコーン樹脂に対して、好ましくは0.5重量%以上10重量%未満である。シリコーン樹脂に対する紫外線吸収剤の添加量が0.5重量%未満の場合は、耐候剤としての効果が十分に発現されないおそれがある。シリコーン樹脂に対する紫外線吸収剤の添加量が10重量%以上の場合は、シリコーン樹脂の硬化反応を阻害するおそれがある。
防汚層には、強度を向上させるために、フィラーなどを添加させることができる。フィラーとしては、例えば、シリカ粒子、珪藻土などが挙げられる。また、フィラーとしては、分散性の観点から、表面が疎水性処理された粒子が好ましい。このような表面処理方法としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチレンジシラザン、環状ジメチルシロキサンなどで表面処理する方法が挙げられる。このような表面が疎水性処理された粒子の大きさとしては、好ましくは、平均粒径が5nm〜300nmである。このような表面が疎水性処理された粒子が小さ過ぎると、防汚層に十分な強度を付与できないおそれがある。このような表面が疎水性処理された粒子が大き過ぎると、防汚層中に該粒子が均一に分散できなくなるおそれがあり、防汚層に衝撃が加わった際にクラックが生じやすくなるおそれがある。このような表面が疎水性処理された粒子の添加量は、シリコーン樹脂に対して、好ましくは0.1重量%〜10重量%である。このような表面が疎水性処理された粒子の添加量が0.1重量%未満の場合、防汚層に十分な強度を付与できないおそれがある。このような表面が疎水性処理された粒子の添加量が10重量%より多い場合、防汚層形成材料の粘度が非常に高くなり、防汚剤など添加した材料が均一に分散できなくなるおそれや、基材層上に塗工する場合、精密に塗工できなくなるおそれがある。このような表面が疎水性処理された粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の疎水性フュームドシリカが挙げられ、具体的には、日本アエロジル社製のAEROSIL(登録商標)RXシリーズ(RX50、RX200、RX300など)、AEROSIL(登録商標)RYシリーズ(RY50、RY200、RY200Sなど)、AEROSIL(登録商標)NY50、AEROSIL(登録商標)NAXシリーズ、AEROSIL(登録商標)Rシリーズなどが挙げられる。
防汚層の厚みは、本発明の水生生物付着防止粘着テープの用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。防汚層の厚みは、好ましくは5μm〜500μmである。防汚層の厚みが上記範囲内に収まることにより、防汚効果が十分に長く有効に働くとともに、ハンドリング性に優れ、テープのつなぎ目部分の凹凸が小さく、汚れが付きにくい。防汚層の厚みが5μmより薄いと、防汚効果が有効に働く期間が短くなり、実用的ではなくなるおそれがある。防汚層の厚みが500μmより厚いと、本発明の水生生物付着防止粘着テープが分厚くなって重量が大きくなるため、ハンドリング性が悪くなり、テープのつなぎ目部分の凹凸が大きくなり、汚れが付きやすいおそれがある。
粘着層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着層を採用し得る。このような粘着層の材料としては、例えば、アクリル樹脂系粘着剤、エポキシ樹脂系粘着剤、アミノ樹脂系粘着剤、ビニル樹脂(酢酸ビニル系重合体など)系粘着剤、硬化型アクリル樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤などが挙げられる。粘着層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着層は、その23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が、好ましくは30N/20mm以下であり、より好ましくは20N/20mm以下であり、さらに好ましくは15N/20mm以下である。粘着層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が上記範囲内に収まることにより、本発明の水生生物付着防止粘着テープを被着体から剥がし易くなる。粘着層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が30N/20mmを超える場合、使用済みの本発明の水生生物付着防止粘着テープを被着体から剥がすことが困難になり、作業効率が著しく悪くなるおそれがある。粘着層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力の下限は、十分な粘着力を維持できる観点から、好ましくは3N/20mm以上である。
粘着層は、海水に接触させた際に、該粘着層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率が、海水接触前の該粘着層における圧縮弾性率に対して、好ましくは1.1倍以上であり、より好ましくは1.2倍以上であり、さらに好ましくは1.5倍以上である。粘着層を海水に接触させた際に、該粘着層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率が、海水接触前の該粘着層における圧縮弾性率の1.1倍以上であれば、水中においても良好な接着性を発現できる。粘着層を海水に接触させた際の、該粘着層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率の、海水接触前の該粘着層における圧縮弾性率に対する倍率の上限は、取扱性の観点から、好ましくは100倍以下である。なお、ここにいう海水とは、市販されている模擬海水(人工海水)のことを意味する。
粘着層の厚みは、本発明の水生生物付着防止粘着テープの用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。粘着層の厚みは、好ましくは10μm以上である。粘着層の厚みが10μmより薄いと、被着体の形状に十分に追従できなくなり、接着面積が減少してしまい、十分な粘着力が発現できないおそれがある。粘着層の厚みの上限は、取扱性の観点から、好ましくは100μm以下である。
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、任意の適切な方法によって製造し得る。このような方法としては、例えば、別途準備した基材層と粘着層を貼付した後に防汚層形成材料を基材層上に塗布して防汚層を形成する方法、基材層の一方の面に粘着層形成材料を塗布して粘着層を形成し、基材層のもう一方の面に防汚層形成材料を塗布して防汚層を形成する方法、基材層形成材料と粘着層形成材料を共押出しして基材層/粘着層の積層体を形成させた後に防汚層形成材料を基材層上に塗布して防汚層を形成する方法、などが挙げられる。
防汚層形成材料を基材層上に塗布する方法としては、例えば、スプレー、ハケ塗り、ローラー、カーテンフロー、ロール、ディップ、コーターなどが挙げられる。これらの方法で防汚層形成材料を基材層上に塗布して、例えば、室温から250℃までの温度(好ましくは、室温から180℃の温度)で乾燥させることにより、防汚層を形成することができる。特に、本発明の水生生物付着防止粘着テープにおいては、コンマコーターなどの精密コーターを採用して防汚層形成材料を基材層上に塗布することは、好ましい実施形態の一つである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
<破断伸びおよび破断点応力の評価>
JIS7161、JIS7162、JIS7127に準じて、引っ張り試験機(AUTOGRAPH AGS−X、(株)島津製作所製)および解析ソフト(TRAPEZIUM X、(株)島津製作所製)を用い、基材層の破断伸びおよび破断点応力を測定した。
<180度ピール接着力の測定>
粘着層の粘着剤をポリエステルフィルム(商品名「S−10」、東レ(株)製、厚み38μm)にハンドローラーを使用して転写し、基材付きの粘着シートを得た。これを80mm×20mmの試験片サイズにカットした。被着体として30mm×100mm×厚さ2mmのエポキシ樹脂にガラスクロスを入れて強化したプラスチックFRP板を使用した。被着体に試験片を2kgローラーで1往復して貼り合わせ、23℃で30分放置後、初期の180度ピール接着力を測定した。引張速度は300mm/minとした。
<変角度粘着力の測定>
粘着層の粘着剤をポリエステルフィルム(商品名「S−10」、東レ(株)製、厚み38μm)にハンドローラーを使用して転写し、基材付きの粘着シートを得た。これを80mm×20mmの試験片サイズにカットした。被着体として30mm×100mm×厚さ2mmのエポキシ樹脂にガラスクロスを入れて強化したプラスチックFRP板を使用した。被着体に試験片を2kgローラーで1往復して貼り合わせ、温度23℃、湿度65%RHの条件下に30分間放置後、変角度ピール試験機(商品名「山本式変角ピール測定機、YM−121」、旭精工(株)製)にて、各剥離角度で剥離に要する力を測定した。引張速度は300mm/minとした。
<施工性の評価>
粘着テープを幅150mm、長さ300mmに切断し、これを船体の船首部分(曲面)に追従させるように施工し、仕上がりを、下記の基準に従って、目視で評価した。施工は粘着テープの長手方向が船体の向きとなるようにして、船体中央部がテープ中央に沿うように配置し、施工液とスキージを用いて実施した。上記の評価方法に基づき、以下の基準で評価を行った。
○:シワもなくきれいに追従している。
△:シワが所々に存在しているが追従している。
×:追従できておらず、テープが浮いている。
<リワーク性の評価>
施工性の評価で使用した粘着シートを手で剥離し、粘着テープの向きを90°回転し、同様に施工を実施した。下記の基準に従って、リワーク性を評価した。
上記の評価方法に基づき、以下の基準で評価を行った。
○:1回目と同様の仕上がり。
△:1回目よりも劣るが施工は可能。
×:テープが変形して1回目と同様の施工ができない。
<密着性試験>
評価対象の粘着テープを2cm×6cmのサイズにカットし、防汚層にカッターで切り込みを入れ、長尺方向に延伸させ、防汚層が基材層から剥がれるか否かを評価した。
○:防汚層が基材層から剥がれない。
×:防汚層が基材層から剥がれる。
〔製造例1〕
<基材層(1)の作成>
シーダム(株)製の商品名「ハイグレスDUS451−CDR」(カーボネート系ポリウレタン、厚み=100μm)を基材層(1)として用いた。
〔製造例2〕
<粘着層の作成>
冷却管、窒素導入管、温度計、および攪拌機を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、2エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製)を90重量部、アクリル酸(AA)を10重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」、BASF製)0.05重量部を投入して分散させ、攪拌しながら窒素気流下にて上部よりUV照射することにより一部のモノマーをポリマーに転化させて塗工可能な粘度に調整することにより、アクリル系モノマー混合物を得た。このアクリル系モノマー混和物に架橋剤として1、6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を0.08重量部添加し、セパレーター(商品名「MRF50」、三菱樹脂(株)製、厚み50μm)の表面にアプリケーターにて塗布し、カバーセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(BLタイプ)により紫外線を照射することにより(紫外線照度:3.4mW/cm、積算照射量:2000mJ/cm)、厚み50μmの粘着層を得た。
作成した粘着層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力を測定した結果、13.3N/20mmであった。
〔実施例1〕
製造例2で得られた粘着層と製造例1で得られた基材層(1)をハンドローラーによって貼り合わせ、テープを得た。このテープの基材層(1)側の表面に、シリコーン樹脂(商品名「KE−1950−A」、信越化学工業(株)製):50重量部、シリコーン樹脂(商品名「KE−1950−B」、信越化学工業(株)製):50重量部、シリコーンオイル(KF96−100cs、非反応性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製):90重量部、流動パラフィン(キシダ化学(株)製):5重量部を配合したシリコーン液をアプリケーターによって塗工し、厚み100μmの防汚層を形成した。これを、150℃で10分間硬化させ、粘着テープ(1)を作成した。
粘着テープ(1)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=100μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔比較例1〕
製造例2で得られた粘着層とポリエチレンテレフタレート(PET)基材(商品名「T100C」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーによって貼り合わせ、テープを得た。このテープの基材層(2)側の表面に、シリコーン樹脂(商品名「KE−1950−A」、信越化学工業(株)製):50重量部、シリコーン樹脂(商品名「KE−1950−B」、信越化学工業(株)製):50重量部、シリコーンオイル(KF96−100cs、非反応性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製):90重量部、流動パラフィン(キシダ化学(株)製):5重量部を配合したシリコーン液をアプリケーターによって塗工し、厚み100μmの防汚層を形成した。これを、150℃で10分間硬化させ、粘着テープ(C1)を作成した。
粘着テープ(C1)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=38μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔比較例2〕
製造例2で得られた粘着層とポリエチレン(PE)基材(商品名「NSO#60」、大倉工業(株)製、厚み60μm)をハンドローラーによって貼り合わせ、テープを得た。このテープの基材層(3)側の表面に、シリコーン樹脂(商品名「KE−1950−A」、信越化学工業(株)製):50重量部、シリコーン樹脂(商品名「KE−1950−B」、信越化学工業(株)製):50重量部、シリコーンオイル(KF96−100cs、非反応性シリコーンオイル、信越化学工業(株)製):90重量部、流動パラフィン(キシダ化学(株)製):5重量部を配合したシリコーン液をアプリケーターによって塗工し、厚み100μmの防汚層を形成した。これを、150℃で10分間硬化させ、粘着テープ(C2)を作成した。
粘着テープ(C2)の構成は、防汚層(厚み=100μm)/基材層(厚み=60μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
Figure 0006099499
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、水中生物が付着して繁殖することを防止できるため、水中構造物(船舶、ブイ、港湾設備、海上油田設備、発電所冷却水用の水路、工場冷却水用の水路、水上浮遊通路など)に好適に利用できる。
1 剥離フィルム
2 防汚層
3 基材層
4 粘着層
100 水生生物付着防止粘着テープ

Claims (4)

  1. 防汚層と基材層と粘着層をこの順に含む粘着テープであって、
    該防汚層がシリコーン樹脂を含み、
    該基材層がポリウレタン樹脂であり、
    該ポリウレタン樹脂がカーボネート系ポリウレタンであり、
    該基材層の23℃における弾性率が0.1MPa〜100MPaであり、
    該基材層の23℃における伸長回復率が70%以上である、
    水生生物付着防止粘着テープ。
  2. 前記基材層の破断伸びが100%〜1000%である、請求項に記載の水生生物付着防止粘着テープ。
  3. 前記基材層の破断点応力が20MPa以上である、請求項1または2に記載の水生生物付着防止粘着テープ。
  4. 前記粘着層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が30N/20mm以下である、請求項1からまでのいずれかに記載の水生生物付着防止粘着テープ。
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