JP2016030792A - 水生生物付着防止粘着テープまたはシート - Google Patents
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Abstract
【課題】防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含む粘着テープまたはシートであって、水生生物の付着を長期間にわたって効果的に防止でき、防汚層と基材層との密着性に優れた、水生生物付着防止粘着テープまたはシートを提供する。
【解決手段】本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートは、防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含む粘着テープまたはシートであって、該防汚層がシリコーン樹脂を含み、該防汚層がポリエーテル化合物を含む。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートは、防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含む粘着テープまたはシートであって、該防汚層がシリコーン樹脂を含み、該防汚層がポリエーテル化合物を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、水生生物付着防止粘着テープまたはシートに関する。詳細には、本発明は、水中構造物(船舶、ブイ、港湾設備、海上油田設備、発電所冷却水用の水路、工場冷却水用の水路、水上浮遊通路など)に水中生物が付着して繁殖することを防止するための、水生生物付着防止粘着テープまたはシートに関する。
船舶などの水中構造物は、海水に接触する部分において、フジツボ、カキ、ムラサキイガイ、ヒドラ、セルプラ、ホヤ、コケムシ、アオサ、アオノリ、付着珪藻などの海洋生物が付着して繁殖し、流体抵抗の増加や熱伝導性の低下といった設備機械性能の低下や、付着した海洋生物の海外への拡散など、好ましくない状態を引き起こしている。また、付着した海洋生物を除去する作業には大きな労力と膨大な時間が必要であり、経済的な損失を被っている。
上記のような被害を防止するため、従来、防汚塗料が水中構造物に塗装されている。防汚塗料には、古くは有機スズ化合物や現在では亜酸化銅などの毒性防汚剤が含まれている。防汚塗料の毒性によって海洋生物の付着成長はほぼ抑制できるが、有機スズ化合物や亜酸化銅などの毒性防汚剤は人体や環境に少なからず悪影響を与えるため、長期的にみれば深刻な問題となる。また、防汚塗料を塗装後に乾燥させる際には、30重量%程度の有機溶剤(VOC)が揮発し、作業環境や周辺の環境に悪影響を与えている。スプレー式塗装では、VOCの大気中への排出の他に、塗料の10重量%〜20重量%は風により周囲に飛散していると言われている。一方で、長年使用した防汚塗料を塗り替える際には、古くなった防汚塗料をサンドブラストや金属研磨機で剥離するが、その際に、有機スズ化合物や亜酸化銅などの毒性防汚剤を含んだ大量の塗膜片が周囲に飛散して作業者や環境に悪影響を与えると共に、剥離した防汚塗料は産業廃棄物として処理されるため、大きな問題となっている。
以上の様に、これまでの防汚塗料では、海洋生物に対する付着阻害効果はあるものの、人体や環境に対して大きな悪影響があり、多くの問題が解決されないまま現在に至っているのが現状である。
そこで、銅薄と粘着剤とをプライマーを介して貼り合わせた粘着テープが提案されている(特許文献1、2参照)。しかし、このような粘着テープにおいては、海洋生物の付着抑制を銅薄の銅成分によって実現させているため、環境への悪影響の可能性があるという問題がある。また、このような粘着テープは、FRP板に対するピール接着力が2.6kg/25mmまたは7.5kg/25mm(プライマー前処理後)と非常に大きく設計されており、使用後の粘着テープを貼り替える場合に粘着テープが人力で容易に剥がれるとは考えにくく、結局、削り取るなどの行為が必要なため、大きな労力が必要となる。また、銅は比重が8.94g/cm3と重い物質であり、船舶などの移動構造物に使用することは、燃費を悪化させ経済的に好ましくない。
また、シリコーンゴムと粘着剤の2層から成る防汚テープが提案されている(特許文献3参照)。しかし、防汚効果を担うシリコーンゴム層にはオイルなどの防汚剤が含まれておらず、シリコーンゴムそのものである。防汚剤が含まれていない場合は、短期的には海洋生物の付着はその撥水性によって抑制できるものの、長期間にはその防汚効果が持続できない。また、このような防汚テープは、シリコーンゴムと粘着剤の2層で構成されているため、強度的に非常に不安がある。一般的に、シリコーンゴムは破断点強度が極めて低いため、このような防汚テープを使用後に剥がす場合、テープ状態として剥がすことが困難であり現実的ではない。
また、基材上に下塗り剤を介してシリコーンエラストマーを設け、基材の逆側には粘着剤層を設けたシート状テープが提案されている(特許文献4参照)。特許文献4に開示されているシート状テープは、防汚剤として含フッ素液状化合物および/または疎水性のシリコーン系液状化合物を含む。しかし、このような防汚剤を含むシート状テープは、十分な防汚性能を発現できていない。また、特許文献4には、水中で使用できる粘着剤組成に関する記述や接着力に関する記述などが全く無いため、水生生物付着防止粘着テープまたはシートへの適用を考える上では現実性に乏しい。また、防汚テープを水中構造物に施工する際には、曲面や鋭角面に施工できるように柔軟性や伸び性の設計が必要であり、また、使用後に防汚テープを剥離する際には基材が途中で破壊しないような強度設計が必要であるが、特許文献4にはそのような記述が全く無いため、水生生物付着防止粘着テープまたはシートへの適用を考える上では現実性に乏しい。
さらに、特許文献4で提案されているような防汚テープにおいては、基材層上に防汚層を設けられているが、基材層と防汚層は要求される機能の相違に起因して物性が異なるため、互いの密着性が十分に確保できず、互いに剥がれやすいという問題がある。特に、このような防汚テープを水中構造物に施工する際には、基材層と防汚層との互いの剥がれやすさは顕著となる。
本発明の課題は、防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含む粘着テープまたはシートであって、水生生物の付着を長期間にわたって効果的に防止でき、防汚層と基材層との密着性に優れた、水生生物付着防止粘着テープまたはシートを提供することにある。
本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートは、
防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含む粘着テープまたはシートであって、
該防汚層がシリコーン樹脂を含み、
該防汚層がポリエーテル化合物を含む。
防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含む粘着テープまたはシートであって、
該防汚層がシリコーン樹脂を含み、
該防汚層がポリエーテル化合物を含む。
好ましい実施形態においては、上記ポリエーテル化合物がポリエーテル鎖のみからなるポリエーテル化合物である。
好ましい実施形態においては、上記ポリエーテル化合物が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である。
好ましい実施形態においては、上記防汚層が架橋剤を含む。
本発明によれば、防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含む粘着テープまたはシートであって、水生生物の付着を長期間にわたって効果的に防止でき、防汚層と基材層との密着性に優れた、水生生物付着防止粘着テープまたはシートを提供することができる。
本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートは、防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含む。
本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートは、防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していても良い。
本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートの厚みは、それに含まれる各層の厚みによって、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みに設定される。本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートの厚みは、好ましくは50μm〜5000μmである。
図1に、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートの一例の概略断面図を示す。本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシート100は、防汚層2と基材層3と粘着剤層4をこの順に含む。図1に示すように、防汚層2の表面や、粘着剤層4の表面には、剥離フィルム1が設けられていても良い。
防汚層は、シリコーン樹脂を含む。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合は、他の成分の含有割合によって、任意の適切な含有割合を採用し得る。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合は、好ましくは30重量%〜90重量%であり、より好ましくは35重量%〜80重量%であり、さらに好ましくは40重量%〜70重量%であり、特に好ましくは45重量%〜60重量%である。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合が上記範囲内に収まることにより、防汚層の防汚効果が十分に発現できるとともに、防汚層の機械的特性が十分に発現できる。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合が30重量%未満の場合、防汚層の機械的特性が低下するおそれがある。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合が90重量%を超える場合、防汚層の防汚効果が十分に発現できないおそれがある。
シリコーン樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーン樹脂を採用し得る。シリコーン樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このようなシリコーン樹脂としては、常温で液状のシリコーン樹脂であっても良いし、常温で固体状のシリコーン樹脂であっても良い。また、このようなシリコーン樹脂としては、縮合型のシリコーン樹脂であっても良いし、付加型のシリコーン樹脂であっても良い。また、このようなシリコーン樹脂としては、単独で乾燥させる1液型のシリコーン樹脂(例えば、1液型の室温硬化性(RTV)樹脂)であっても良いし、2液型のシリコーン樹脂(例えば、2液型の室温硬化性(RTV)樹脂)であっても良い。
シリコーン樹脂としては、具体的には、例えば、信越化学工業(株)製の1液型RTVゴム(例えば、KE−3423、KE−347、KE−3475、KE−3495、KE−4895、KE−4896、KE−1830、KE−1884、KE−3479、KE−348、KE−4897、KE−4898、KE−1820、KE−1825、KE−1831、KE−1833、KE−1885、KE−1056、KE−1151、KE−1842、KE−1886、KE−3424G、KE−3494、KE−3490、KE−40RTV、KE−4890、KE−3497、KE−3498、KE−3493、KE−3466、KE−3467、KE−1862、KE−1867、KE−3491、KE−3492、KE−3417、KE−3418、KE−3427、KE−3428、KE−41、KE−42、KE−44、KE−45、KE−441、KE−445、KE−45Sなど)、信越化学工業(株)製の2液型RTVゴム(例えば、KE−1800T−A/B、KE−66、KE−1031−A/B、KE−200、KE−118、KE−103、KE−108、KE−119、KE−109E−A/B、KE−1051J−A/B、KE−1012−A/B、KE−106、KE−1282−A/B、KE−1283−A/B、KE−1800−A/B/C、KE−1801−A/B/C、KE−1802−A/B/C、KE−1281−A/B、KE−1204−A/B、KE−1204−AL/BL、KE−1280−A/B、KE−513−A/B、KE−521−A/B、KE−1285−A/B、KE−1861−A/B、KE−12、KE−14、KE−17、KE−113、KE−24、KE−26、KE−1414、KE−1415、KE−1416、KE−1417、KE−1300T、KE−1310ST、KE−1314−2、KE−1316、KE−1600、KE−1603−A/B、KE−1606、KE−1222−A/B、KE−1241など)、信越化学工業(株)製のシリコーンシーラント(例えば、KE−42AS、KE−420、KE−450など)、信越化学工業(株)製のゴムコンパウンド(例えば、KE−655−U、KE−675−U、KE−931−U、KE−941−U、KE−951−U、KE−961−U、KE−971−U、KE−981−U、KE−961T−U、KE−971T−U、KE−871C−U、KE−9410−U、KE−9510−U、KE−9610−U、KE−9710−U、KE−742−U、KE−752−U、KE−762−U、KE−772−U、KE−782−U、KE−850−U、KE−870−U、KE−880−U、KE−890−U、KE−9590−U、KE−5590−U、KE−552−U、KE−582−U、KE−552B−U、KE−555−U、KE−575−U、KE−541−U、KE−551−U、KE−561−U、KE−571−U、KE−581−U、KE−520−U、KE−530B−2−U、KE−540B−2−U、KE−1551−U、KE−1571−U、KE−152−U、KE−174−U、KE−3601SB−U、KE−3711−U、KE−3801M−U、KE−5612G−U、KE−5620BL−U、KE−5620W−U、KE−5634−U、KE−7511−U、KE−7611−U、KE−765−U、KE−785−U、KE−7008−U、KE−7005−U、KE−503−U、KE−5042−U、KE−505−U、KE−6801−U、KE−136Y−Uなど)、信越化学工業(株)製のLIMS(液状シリコーンゴム射出成形システム)(例えば、KEG−2000−40A/B、KEG−2000−50A/B、KEG−2000−60A/B、KEG−2000−70A/B、KEG−2001−40A/B、KEG−2001−50A/B、KE−1950−10A/B、KE−1950−20A/B、KE−1950−30A/B、KE−1950−35A/B、KE−1950−40A/B、KE−1950−50A/B、KE−1950−60A/B、KE−1950−70A/B、KE−1935A/B、KE−1987A/B、KE−1988A/B、KE−2019−40A/B、KE−2019−50A/B、KE−2019−60A/B、KE−2017−30A/B、KE−2017−40A/B、KE−2017−50A/B、KE−2090−40A/B、KE−2090−50A/B、KE−2090−60A/B、KE−2090−70A/B、KE−2096−40A/B、KE−2096−50A/B、KE−2096−60A/Bなど)、旭化成ワッカーシリコーン(株)製のLR7665シリーズやLR3033シリーズ、モメンティブ(株)製のTSE3032シリーズなどが挙げられる。
本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートにおける水生生物の易除去性を向上させるために、シリコーン樹脂としては、水洗除去時の水圧などによって樹脂表面が弾性変形することにより付着物の剥離が容易になるような物性を有するシリコーン樹脂が好ましい。このようなシリコーン樹脂は、該シリコーン樹脂の100%モジュラス(引張応力)が、好ましくは0.1MPa〜10MPaであり、より好ましくは0.1MPa〜6MPaである。また、このようなシリコーン樹脂は、有機溶剤に可溶であるものが好ましい。
防汚層はポリエーテル化合物を含む。防汚層中のシリコーン樹脂に対するポリエーテル化合物の含有割合は、他の成分の含有割合によって、任意の適切な含有割合を採用し得る。防汚層中のシリコーン樹脂に対するポリエーテル化合物の含有割合は、好ましくは0.1重量%〜60重量%であり、より好ましくは0.5重量%〜50重量%であり、さらに好ましくは1重量%〜40重量%であり、特に好ましくは2重量%〜30重量%である。防汚層中のシリコーン樹脂に対するポリエーテル化合物の含有割合が上記範囲内に収まることにより、防汚層の防汚効果が十分に発現できるとともに、防汚層の機械的特性が十分に発現でき、さらに、防汚層と基材層との優れた密着性を発現できる。防汚層中のシリコーン樹脂に対するポリエーテル化合物の含有割合が60重量%を超える場合、防汚層の機械的特性が低下するおそれがある。
ポリエーテル化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なポリエーテル化合物を採用し得る。ポリエーテル化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このようなポリエーテル化合物としては、好ましくは、繰り返し単位からなる鎖状部分がポリエーテル鎖であるポリエーテル化合物である。
上記のような繰り返し単位からなる鎖状部分がポリエーテル鎖であるポリエーテル化合物とは、好ましくは、一般式:R2−O−(R1−O)n−Hで表される。R1は、好ましくは炭素数2〜10のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2〜8のアルキレン基であり、さらに好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基である。R2は、好ましくは水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基であり、より好ましくは水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基であり、さらに好ましくは水素原子である。nは、好ましくは5〜1000であり、より好ましくは10〜800であり、さらに好ましくは15〜600であり、特に好ましくは20〜500である。
上記のような繰り返し単位からなる鎖状部分がポリエーテル鎖であるポリエーテル化合物における該ポリエーテル鎖は、直鎖状のポリエーテル鎖であっても良いし、分岐状のポリエーテル鎖であっても良いし、直鎖状と分岐状の両方を有するポリエーテル鎖であっても良い。
上記のような繰り返し単位からなる鎖状部分がポリエーテル鎖であるポリエーテル化合物としては、具体的には、好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である。
なお、本発明においては、ポリエーテル化合物としてポリエーテル変性オイルは好ましくない。すなわち、本発明においては、好ましくは、防汚層はポリエーテル変性オイルを含まない。ポリエーテル化合物としてポリエーテル変性オイルを採用すると、防汚層と基材層との優れた密着性を発現できないおそれがある。このようなポリエーテル変性オイルとしては、例えば、信越化学工業(株)製のポリエーテル変性シリコーンオイル(例えば、KF−6013など)が挙げられる。
防汚層は、好ましくは、シリコーンオイルを含む。防汚層がシリコーンオイルを含むことにより、シリコーンオイルは、マトリックスであるシリコーン樹脂の表面に移行し、表面を防汚物質で覆うことによって、水生生物のシリコーン樹脂表面への付着を抑制し、さらに非加水分解性であることから、高い防汚効果を長期間維持する作用を発現することができる。
シリコーンオイルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーンオイルを採用し得る。シリコーンオイルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。シリコーンオイルは、シリコーン樹脂との反応性や自己縮合性を有さないものが好ましい。このようなシリコーンオイルとしては、シリコーン樹脂に含まれるオルガノポリシロキサンとある程度不相溶であるものが好ましく、長期間にわたって防汚効果を持続できるものが好ましい。このようなシリコーンオイルとしては、例えば、末端水酸基含有ジメチルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、高級脂肪酸エステル系シリコーンオイルなどが挙げられる。
ただし、前述したように、本発明においては、好ましくは、防汚層はポリエーテル変性オイルを含まない。シリコーンオイルとしてポリエーテル変性オイルを採用すると、防汚層と基材層との優れた密着性を発現できないおそれがある。したがって、本発明においては、好ましくは、シリコーンオイルはポリエーテル変性シリコーンオイルを含まない。
シリコーンオイルとしては、好ましくは、例えば、一般式(I)で表されるシリコーンオイルが挙げられる。
一般式(I)中、R1は、同一または異なって、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フルオロアルキル基、ポリエーテル基、または水酸基を表し、R2は、同一または異なって、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ポリエーテル基、フルオロアルキル基を表し、nは0〜150の整数を表す。
一般式(I)中のR1としては、好ましくは、メチル基、フェニル基、水酸基である。一般式(I)中のR2としては、好ましくは、メチル基、フェニル基、4−トリフルオロブチル基である。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルは、数平均分子量が、好ましくは180〜20000、より好ましくは1000〜10000である。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルは、粘度が、好ましくは10センチストークス〜10000センチストークス、より好ましくは100センチストークス〜5000センチストークスである。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルとしては、具体的には、例えば、両末端または片末端のR1が水酸基である末端水酸基含有ジメチルシリコーンオイル、R1およびR2の全てがメチル基であるジメチルシリコーンオイル、これらのジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部がフェニル基に置換されたフェニルメチルシリコーンオイルなどが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、具体的には、例えば、信越化学工業(株)製のシリコーンオイル(例えば、KF96L、KF96、KF69、KF99、KF50、KF54、KF410、KF412、KF414、FLなど)、東レダウコーニング株式会社製のシリコーンオイル(例えば、BY16−846、SF8416、SH200、SH203、SH230、SF8419、FS1265、SH510、SH550、SH710、FZ−2110、FZ−2203など)などが挙げられる。
シリコーン樹脂に対するシリコーンオイルの含有割合は、好ましくは0.5重量%〜250重量%であり、より好ましくは1重量%〜200重量%であり、さらに好ましくは10重量%〜150重量%、特に好ましくは30重量%〜120重量%、最も好ましくは50重量%〜100重量%である。シリコーン樹脂に対するシリコーンオイルの含有割合が上記範囲内に収まることにより、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートは防汚効果をより十分に発現できる。シリコーン樹脂に対するシリコーンオイルの含有割合が0.5重量%未満の場合、水生生物付着防止粘着テープまたはシートが防汚効果を十分に発現できないおそれがある。シリコーン樹脂に対するシリコーンオイルの含有割合が250重量%を超える場合、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートの外観が不良となるおそれがあり、また、防汚層の強度が低下して防汚性を持続できなくなるおそれがある。
防汚層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な防汚剤を含んでいても良い。このような防汚剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このような防汚剤としては、例えば、流動パラフィン、界面活性剤、液状炭化水素、フッ化オイル、抗菌剤、除草剤などが挙げられる。
流動パラフィンとしては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な流動パラフィンを採用し得る。流動パラフィンとしては、例えば、(株)MORESCO製のP−40、P−55、P−60、P−70、P−80、P−100、P−120、P−150、P−200、P−260、P−350、和光純薬工業(株)製の炭化水素系流動パラフィンなどが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、などが挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なアニオン界面活性剤を採用し得る。このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアルケニルリン酸エステルまたはその塩などが挙げられる。アニオン界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
ノニオン界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なノニオン界面活性剤を採用し得る。このようなノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイドなどが挙げられる。ノニオン界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
両性界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な両性界面活性剤を採用し得る。このような両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシ型またはスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。両性界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
カチオン界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なカチオン界面活性剤を採用し得る。このようなカチオン界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
液状炭化水素としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な液状炭化水素を採用し得る。例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、1−テトラデセンなどが挙げられる。
フッ化オイルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なフッ化オイルを採用し得る。このようなフッ化オイルとしては、例えば、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。化学的安定性の点でパーフルオロポリエーテルが好ましい。パーフルオロポリエーテルとしては、例えば、構造式:A−(C3F6O)x(CF2O)y(C2F4O)z―B(式中、末端基Aは、−F、−CF3、−C2F5、−C3F7、−CF(CF3)OCF3、−OF、−OCF3、−OC2F5、−OC3F7、−OCF(CF3)OCF3のいずれかあり、末端基Bは、−CF3、−C2F5、−C3F7、−CF(CF3)OCF3のいずれかあり、x、y、zは0または正の整数であり、x+y+z>1であって、25℃における粘度が50cs〜500000csである。)で表される化合物が挙げられる。パーフルオロポリエーテルの具体例としては、例えば、CF3O−(CF2CF(CF3)O)x(CF2O)y−CF3(式中、x、yは上記の通りである。)、CF3O−(CF2O)y(C2F4O)z−CF3(式中、y、zは上記の通りである)、CF3O−(CF2CF(CF3)O)x−CF3(式中、xは上記の通りである)、及び、F−(CF2CF2CF2O)x−C2F5(式中、xは上記の通りである)などが挙げられる。
抗菌剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な抗菌剤を採用し得る。このような抗菌剤としては、いわゆる抗菌剤、除草剤などが挙げられる。
いわゆる抗菌剤としては、例えば、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノミル、ビテルタノール、ブロムコナゾール、キャプタホール、キャプタン、カルベンダジム、キノメチオネート、クロロタロニル、クロゾリナート、シプロジニル、ジクロフルアニド、ジクロフェン、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジメトモルフ、ジニコナゾール、ジチアノン、エポキシコナゾール、ファモキサドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンピクロニル、フェンチン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルオルイミド、フルキンコナゾール、フルスルファミド、フルトラニル、ホルペット、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イポコナゾール、イプロジオン、クレソキシムメチル、マンゼブ、マンネブ、メパニピリム、メプロニル、メトコナゾール、メチラム、ニッケルビス(ジメチルジチオカルバメート)、ヌアリモル、オキシン銅、オキソリン酸、ペンシクロン、フタリド、プロシミドン、プロピネブ、キントゼン、硫黄、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、チフルザミド、チオフェネートメチル、チラム、トルクロホスメチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアゾキシド、トリホリン、トリチコナゾール、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラムなどが挙げられる。また、天然物の抗菌剤として、例えば、孟宗竹抽出物、ヒノキチオール、ニンニクエキス、カンゾウなどの漢方成分が挙げられる。また、銀、銅、亜鉛、錫、鉛、金などの無機抗菌剤が挙げられる。また、必要に応じて、これら無機抗菌剤の担体として、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、シリカゲル、ケイ酸アルミニウムカルシウム、ポリシロキサン化合物、リン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、イオン交換体、酸化亜鉛などが使用できる。合成物の抗菌剤としては、例えば、2−ピリジンチオール−1−オキサイド、p−クロロ−m−クレゾール、ポリヘキサメチレンヒグアナイド、ハイドロクロライド、塩化ベンゼトニウム、アルキルポリアミノエチルグリシン、ベンズイソチアゾリン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2,2’−ジチオ−ビス−(ピリジン−1−オキサイド)などが挙げられる。
除草剤としては、例えば、ベンスルフロンメチル、ピラゾスルフロンエチル、イマゾスルフロン、シクロスルファムロン、エトキシスルフロン、フルセトスルフロン、アジムスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、リムスルフロン、ハロスルフロンメチル、ニコスルフロン、チフェンスルフロンメチル、トリトスルフロン、ホラムスルフロン、アミドスルフロン、クロルスルフロン、ヨードスルフロン、メトスルフロンメチル、スルホスルフロン、フラザスルフロン、クロリムロンエチル、トリフルスルフロンメチル、オキサスルフロン、スルホメツロンメチル、トリフロキシスルフロンナトリウム、フルピルスルフロンエチルナトリウム、イマザモックス、イマゼタピル、イマザキン、イマザピル、イマザピック、フルカルバゾンナトリウム、プロポキシカルバゾンナトリウム、ビスピリバックナトリウム、ピリフタリド、ピリミノバックメチル、ピリミスルファン、ピリチオバックナトリウム、フルメツラム、ペノキススラム、メトスラム、メタゾスルフロン、プロピリスルフロン、ベンタゾン、アトラジン、シマジン、ジメタメトリン、ピリデート、ピリダホル、テルブチラジン、テルブトリン、ブロモキシニル、アイオキシニル、メトリブジン、レナシル、ブロマシル、デスメディファム、フェンメディファム、メタミトロン、シメトリン、プロメトリン、ジウロン、イソウロン、リニュロン、シデュロン、クロロトルロン、ベンゾフェナップ、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンゾビシクロン、イソキサフルトール、テフリルトリオン、テンボトリオン、イソキサクロルトール、メソトリオン、スルコトリオン、ベンゾイルヘキサジオン、プラチラクロール、ブタクロール、カフェンストロール、フェントラザミド、メフェナセット、エトベンザニド、テニルクロール、フルフェナセット、インダノファン、アニロホス、メトラクロール、メタザクロール、アラクロール、プロパクロール、ピペロホス、ジメテナミド、アセトクロール、ナプロパミド、チオベンカルブ、モリネート、ベンフレセート、ピリブチカルブ、エトフメセート、エスプロカルブ、プロスルホカルブ、ダラポン、ブチレート、ペントキサゾン、ピラクロニル、オキサジアゾン、オキサジアルギル、ピラゾジル、オキシフルオルフェン、アシフルオルフェン、ビフェノックス、ピラフルフェンエチル、フルアゾレート、フルチアセットメチル、ブタフェナシル、ベンズフェンジゾン、カルフェントラゾンエチル、スルフェントラゾン、フルミオキサジン、アクトニフェン、フルミクロラック、プロフェキサジノン、セトキシジム、クレソジム、テプラロキシジム、アロキシジム、フェノキサプロップ−P−エチル、ジクロホップメチル、フルアジホップ−P−ブチル、キザロホップ−P−エチル、シハロホップブチル、グルホシネート、グルホシネートP、ビアラホス、グリホサート、グリホサートイソプロピルアミン、スルホサート、ピクロラム、トリクロピル、クロメプロップ、MCPB、2,4−D,MCPA、ジカンバ、キンクロラック、メコプロップ、ジクロルクロップ、ジフルフェニカン、フルルタモン、ピコリナフェン、フルリドン、ノルフルラゾン、ベンフルブタミド、フルロクロリドン、パラコート、ジクワット、ブタミホス、ペンディメタリン、トリフルラリン、ジチオピル、チアゾピル、アミプロホスメチル、ブロモブチド、クミルロン、ダイムロン、イソキサベン、ジクロベニル、フルポキサム、クロルチアミド、オキサジクロメホン、イプフェンカルバゾン、フェノキサスルホン、SW−065、ペラルゴン酸、クロマゾン、およびその塩などが挙げられる。
防汚層は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の任意の適切な防汚剤を採用し得る。このような防汚剤としては、例えば、ワックス、ペトロラタム、動物脂類、脂肪酸、珪藻付着防止剤、農薬、医薬品(メデトミジンなど)、酵素活性阻害剤(アルキルフェノール、アルキルレゾルシノールなど)、生物忌避剤などが挙げられる。これらの防汚剤を用いることにより、珪藻やフジツボなどの水生生物の付着防止効果がより一層向上する。
防汚層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の添加剤を含んでいても良い。このような他の添加剤としては、例えば、耐候剤として紫外線吸収剤が挙げられる。このような紫外線吸収剤としては、具体的には、例えば、BASF製のTINUVIN571、TINUVIN460、TINUVIN213、TINUVIN234、TINUVIN329、TINUVIN326などが挙げられる。このような紫外線吸収剤の添加量は、シリコーン樹脂に対して、好ましくは0.5重量%以上10重量%未満である。シリコーン樹脂に対する紫外線吸収剤の添加量が0.5重量%未満の場合は、耐候剤としての効果が十分に発現されないおそれがある。シリコーン樹脂に対する紫外線吸収剤の添加量が10重量%以上の場合は、シリコーン樹脂の硬化反応を阻害するおそれがある。
防汚層には、強度を向上させるために、フィラーを添加させることができる。フィラーとしては、例えば、シリカ粒子、珪藻土などが挙げられる。また、フィラーとしては、分散性の観点から、表面が疎水性処理された粒子が好ましい。このような表面処理方法としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチレンジシラザン、環状ジメチルシロキサンなどで表面処理する方法が挙げられる。このような表面が疎水性処理された粒子の大きさとしては、好ましくは、平均粒径が5nm〜300nmである。このような表面が疎水性処理された粒子が小さ過ぎると、防汚層に十分な強度を付与できないおそれがある。このような表面が疎水性処理された粒子が大き過ぎると、防汚層中に該粒子が均一に分散できなくなるおそれがあり、防汚層に衝撃が加わった際にクラックが生じやすくなるおそれがある。このような表面が疎水性処理された粒子の添加量は、シリコーン樹脂に対して、好ましくは0.1重量%〜20重量%であり、より好ましくは0.2重量%〜15重量%であり、さらに好ましくは0.4重量%〜10重量%である。このような表面が疎水性処理された粒子の添加量が0.1重量%未満の場合、防汚層に十分な強度を付与できないおそれがある。このような表面が疎水性処理された粒子の添加量が10重量%より多い場合、防汚層形成材料の粘度が非常に高くなり、防汚剤など添加した材料が均一に分散できなくなるおそれや、基材層上に塗工する場合、精密に塗工できなくなるおそれがある。このような表面が疎水性処理された粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の疎水性フュームドシリカが挙げられ、具体的には、日本アエロジル社製のAEROSIL(登録商標)RXシリーズ(RX50、RX200、RX300など)、AEROSIL(登録商標)RYシリーズ(RY50、RY200、RY200Sなど)、AEROSIL(登録商標)NY50、AEROSIL(登録商標)NAXシリーズ、AEROSIL(登録商標)Rシリーズなどが挙げられる。
防汚層は、好ましくは、架橋剤を含む。防汚層が架橋剤を含むことにより、防汚層が水中に浸漬された場合のポリエーテル化合物の溶出を低減でき、防汚層の防汚効果がより十分に発現できるとともに、防汚層の機械的特性がより十分に発現でき、さらに、防汚層と基材層との優れた密着性をより発現できる。架橋剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
架橋剤としては、水酸基と反応し得る官能基を有する架橋剤が好ましく、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、メラミン系化合物、金属キレート化合物、オキサゾリン系化合物、アジリジン系化合物、エチレンイミンなどが挙げられる。架橋剤としては、これらの中でも、本発明の効果をより一層発現させ得る点で、イソシアネート系化合物が好ましい。
イソシアネート系化合物としては、好ましくは、多官能イソシアネート化合物を採用し得る。このような多官能イソシアネート化合物としては、例えば、多官能脂肪族系イソシアネート化合物、多官能脂環族系イソシアネート、多官能芳香族系イソシアネート化合物などが挙げられる。
多官能脂肪族系イソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
多官能脂環族系イソシアネート化合物としては、例えば、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,3−シクロへキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
多官能芳香族系ジイソシアネート化合物としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソソアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2’一ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
多官能イソシアネート化合物としては、上記のような各種多官能イソシアネート化合物のトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体なども挙げられる。また、これらを併用しても良い。
多官能イソシアネート化合物としては、具体的には、商品名「コロネートHK」、「コロネートHX」、「コロネート2096」、「コロネートL」、「コロネートHL」(以上、日本ポリウレタン工業社製)、商品名「デュラネートTPA−100」(旭化成ケミカルズ社製)などが挙げられる。
ポリエーテル化合物に対する架橋剤の含有割合は、好ましくは1重量%〜1000重量%であり、より好ましくは2重量%〜750重量%であり、さらに好ましくは3重量%〜600重量%、特に好ましくは5重量%〜500重量%である。ポリエーテル化合物に対する架橋剤の含有割合が上記範囲内に収まることにより、防汚層の防汚効果が十分に発現できるとともに、防汚層の機械的特性が十分に発現でき、さらに、防汚層と基材層との優れた密着性を発現できる。ポリエーテル化合物に対する架橋剤の含有割合が1重量%未満の場合、防汚層の防汚効果が十分に発現できないおそれがあるとともに、防汚層と基材層との優れた密着性を発現できないおそれがある。ポリエーテル化合物に対する架橋剤の含有割合が1000重量%を超える場合、防汚層の機械的特性が低下するおそれがある。
防汚層の厚みは、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートの用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。防汚層の厚みは、好ましくは5μm〜500μmである。防汚層の厚みが上記範囲内に収まることにより、防汚効果が十分に長く有効に働くとともに、ハンドリング性に優れ、テープのつなぎ目部分の凹凸が小さく、汚れが付きにくい。防汚層の厚みが5μmより薄いと、防汚効果が有効に働く期間が短くなり、実用的ではなくなるおそれがある。防汚層の厚みが500μmより厚いと、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートが分厚くなって重量が大きくなるため、ハンドリング性が悪くなり、テープのつなぎ目部分の凹凸が大きくなり、汚れが付きやすいおそれがある。
基材層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な基材層を採用し得る。このような基材層の材料としては、好ましくは、耐水性、強度、柔軟性、裂け性に優れるものである。このような基材層の材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンアクリル樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー類、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などが挙げられる。このような基材層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
基材層は、その伸びが、好ましくは100%以上であり、より好ましくは120%以上であり、さらに好ましくは150%以上である。基材層の伸びが100%以上であることによって、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートは、様々な被着体の形状に良好に追従でき、平面に良好に貼付できるだけでなく、船体表面に存在するような曲面部分、90度角の部分、鋭角部分などにも良好に貼付できる。基材層の伸びが100%未満の場合、様々な被着体の形状に十分に追従できず、皺や接着剤の未接着部分が発生してしまい、外観不良や接着不良の原因となるおそれがある。基材層の伸びの上限は、基材層の強度の観点から、好ましくは2000%以下である。
基材層は、その破断点応力が、好ましくは10MPa以上であり、より好ましくは12MPa以上であり、さらに好ましくは15MPa以上である。基材層の破断点応力が上記範囲内にあることによって、使用済みの本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートを被着体から剥がす際に基材層が切断されることを抑制できる。基材層の破断点応力が10MPa未満の場合、使用済みの本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートを被着体から剥がす際に、基材層が頻繁に切断してしまい、作業効率が著しく悪くなるおそれがある。基材層の破断点応力の上限は、基材層の取扱性の観点から、好ましくは200MPa以下である。
基材層は、その弾性率が、好ましくは4000MPa以下であり、より好ましくは1000MPa以下であり、さらに好ましくは100MPa以下であり、特に好ましくは50MPa以下である。基材層の弾性率が4000MPa以下であることによって、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートは、様々な被着体の形状に良好に追従でき、施工性が向上する。基材層の弾性率の下限は、基材層の取扱性の観点から、好ましくは0.1MPa以上である。
基材層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、シリコーン系ポリマー、液状アクリル系共重合体、粘着付与剤、老化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、ポリエチレンイミン、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、リン酸エステル、滑剤、界面活性剤、充填剤や顔料(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラックなど)などが挙げられる。
基材層は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。基材層が紫外線吸収剤を含むことにより、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートの耐候性が向上する。基材層が紫外線吸収剤を含んでいない場合、野外での使用において太陽光によって基材が劣化しやすくなり、当初の基材強度を維持することが難しくなるおそれがある。そして、基材が劣化してしまうと、使用済みの本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートを被着体から剥がす際に、基材層が頻繁に切断してしまい、作業効率が著しく悪くなるおそれがある。
基材層の厚みは、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートの用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。基材層の厚みは、好ましくは1μm〜1000μmであり、より好ましくは10μm〜800μmであり、さらに好ましくは20μm〜500μmである。基材層の厚みを上記範囲内に収めることにより、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートは、曲面や鋭角面など、平面以外の部位にも容易に作業性良く貼着でき、貼着後の表面にしわや浮きなどの外観不良が生じ難い。基材層の厚みが薄過ぎると、ハンドリング性が悪くなり、基材としての役割を果たせず、実用的ではなくなるおそれがある。基材層の厚みが厚過ぎると、被着体の形状に十分に追従できなくなり、テープのつなぎ目部分の凹凸が大きくなり、汚れが付きやすいおそれがある。
基材層には、防汚層との密着性を向上させるために、プライマーをあらかじめ塗工しておいても良いし、シランカップリング剤をあらかじめ添加しておいても良い。防汚層がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂の特性である低表面エネルギーが原因で、基材層への密着性が低い場合がある。防汚層と基材層の密着性が低いと、防汚効果を発揮する防汚層が、使用中の衝撃や物理的ダメージによって基材層から剥離してしまい、本来の防汚効果が持続できないおそれがある。そのため、基材層の表面にプライマーをあらかじめ塗工して防汚層との密着性を高めたり、シリコーン樹脂と反応するシラノール基やアルコキシシラン基をシランカップリング剤によって基材層中に導入し、縮合型シリコーン樹脂の塗工時に基材層上の反応基と縮合反応させて密着性を向上させたりすることができる。
シランカップリング剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。市販されている具体的なシランカップリング剤としては、例えば、信越化学工業(株)製のKBM5103、KBM1003、KBM903、KBM403、KBM802などが挙げられる。
基材層にシランカップリング剤が含まれる場合、基材層中のシランカップリング剤の含有割合は、好ましくは0.01重量%〜10重量%である。基材層中のシランカップリング剤の含有割合を上記範囲内に収めることにより、基材層が硬くなり過ぎることを抑制できるとともに、基材層と防汚層との間に十分な密着性が発現できる。基材層中のシランカップリング剤の含有割合が10重量%を超える場合、シランカップリング剤が架橋点となって基材層が硬くなってしまうおそれがある。基材層中のシランカップリング剤の含有割合が0.01重量%未満の場合、基材層と防汚層との間に十分な密着性が発現できないおそれがある。
粘着剤層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着剤層を採用し得る。このような粘着剤層の材料としては、例えば、アクリル樹脂系粘着剤、エポキシ樹脂系粘着剤、アミノ樹脂系粘着剤、ビニル樹脂(酢酸ビニル系重合体など)系粘着剤、硬化型アクリル樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤などが挙げられる。粘着剤層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着剤層は、その23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が、好ましくは30N/20mm以下であり、より好ましくは20N/20mm以下であり、さらに好ましくは15N/20mm以下である。粘着剤層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が上記範囲内に収まることにより、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートを被着体から剥がし易くなる。粘着剤層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力が30N/20mmを超える場合、使用済みの本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートを被着体から剥がすことが困難になり、作業効率が著しく悪くなるおそれがある。粘着剤層の23℃で引張速度300mm/minにおける180度ピール接着力の下限は、十分な粘着力を維持できる観点から、好ましくは3N/20mm以上である。
粘着剤層は、海水に接触させた際に、該粘着剤層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率が、海水接触前の該粘着剤層における圧縮弾性率に対して、好ましくは1.1倍以上であり、より好ましくは1.2倍以上であり、さらに好ましくは1.5倍以上である。粘着剤層を海水に接触させた際に、該粘着剤層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率が、海水接触前の該粘着剤層における圧縮弾性率の1.1倍以上であれば、水中においても良好な接着性を発現できる。粘着剤層を海水に接触させた際の、該粘着剤層における海水に接触させた部分の圧縮弾性率の、海水接触前の該粘着剤層における圧縮弾性率に対する倍率の上限は、取扱性の観点から、好ましくは100倍以下である。なお、ここにいう海水とは、市販されている模擬海水(人工海水)のことを意味する。
粘着剤層の厚みは、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートの用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。粘着剤層の厚みは、好ましくは10μm以上である。粘着剤層の厚みが10μmより薄いと、被着体の形状に十分に追従できなくなり、接着面積が減少してしまい、十分な粘着力が発現できないおそれがある。粘着剤層の厚みの上限は、取扱性の観点から、好ましくは100μm以下である。
本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートは、任意の適切な方法によって製造し得る。このような方法としては、例えば、別途準備した基材層と粘着剤層を貼付した後に防汚層形成材料を基材層上に塗布して防汚層を形成する方法、基材層の一方の面に粘着剤層形成材料を塗布して粘着剤層を形成し、基材層のもう一方の面に防汚層形成材料を塗布して防汚層を形成する方法、基材層形成材料と粘着剤層形成材料を共押出しして基材層/粘着剤層の積層体を形成させた後に防汚層形成材料を基材層上に塗布して防汚層を形成する方法、などが挙げられる。
防汚層形成材料を基材層上に塗布する方法としては、例えば、スプレー、ハケ塗り、ローラー、カーテンフロー、ロール、ディップ、コーターなどが挙げられる。これらの方法で防汚層形成材料を基材層上に塗布して、例えば、室温から250℃までの温度(好ましくは、室温から180℃の温度)で乾燥させることにより、防汚層を形成することができる。特に、本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートにおいては、コンマコーターなどの精密コーターを採用して防汚層形成材料を基材層上に塗布することは、好ましい実施形態の一つである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
<基材密着性試験>
評価を行う粘着テープまたはシートの全てを大きさ2cm×5cmに切り出し、粘着テープまたはシート中央部の防汚層のみに、長辺に対して45°の角度になるように1mm間隔の10×10の碁盤目状の切り込みをカッターを使用して入れた。その後、長辺方向を1.5倍の長さ(7.5cm)になるように延伸し、基材から防汚層が剥離するか目視で観察した。評価基準は次の通りである。
○:1.5倍に延伸しても防汚層が基材から剥離しない。
△:1.5倍に延伸した時点で防汚層が基材から剥離する。
×:切れ込みを入れた時点で防汚層が基材から剥離する。
評価を行う粘着テープまたはシートの全てを大きさ2cm×5cmに切り出し、粘着テープまたはシート中央部の防汚層のみに、長辺に対して45°の角度になるように1mm間隔の10×10の碁盤目状の切り込みをカッターを使用して入れた。その後、長辺方向を1.5倍の長さ(7.5cm)になるように延伸し、基材から防汚層が剥離するか目視で観察した。評価基準は次の通りである。
○:1.5倍に延伸しても防汚層が基材から剥離しない。
△:1.5倍に延伸した時点で防汚層が基材から剥離する。
×:切れ込みを入れた時点で防汚層が基材から剥離する。
<温水浸漬試験>
評価を行う粘着テープまたはシートの全てを大きさ5cm×5cmに切り出し、温水浸漬前の重量を測定した。切り出した粘着テープまたはシートを40℃の蒸留水に1週間浸漬後、130℃オーブンにて2時間乾燥させ、温水浸漬後の重量を測定した。以下の式により、ポリエーテル化合物の重量減少率を算出した。
ポリエーテル化合物の重量減少率(%)=((温水浸漬後重量/温水浸漬前重量)/粘着シートのシリコーン層のポリエーテル化合物含有率)×100
評価を行う粘着テープまたはシートの全てを大きさ5cm×5cmに切り出し、温水浸漬前の重量を測定した。切り出した粘着テープまたはシートを40℃の蒸留水に1週間浸漬後、130℃オーブンにて2時間乾燥させ、温水浸漬後の重量を測定した。以下の式により、ポリエーテル化合物の重量減少率を算出した。
ポリエーテル化合物の重量減少率(%)=((温水浸漬後重量/温水浸漬前重量)/粘着シートのシリコーン層のポリエーテル化合物含有率)×100
<野外防汚試験>
評価を行う粘着テープまたはシートの全てを大きさ10cm×10cmに切り出し、ほぼ同じ大きさの塩化ビニル製プレートに貼り付けた。これらの全てのプレート(サンプル)をさらにタテ23cm×ヨコ90cmの塩化ビニル製プレートに固定した。このユニットを、瀬戸内海(姫路周辺)のヨットハーバーにある防波堤にて、海水面とほぼ同じ位置になるように設置し、全てのサンプル面が防波堤壁面と逆側になるように配置した。1ヶ月間このまま放置し、その後、目視による評価を行った。評価基準は次の通りである。
○:海水面下の表面に藻類および付着生物がほとんどない状態。
△:海水面下の表面に40%程度、藻類および付着生物が付着している状態。
×:海水面下の表面に80%程度、藻類および付着生物が付着している状態。
評価を行う粘着テープまたはシートの全てを大きさ10cm×10cmに切り出し、ほぼ同じ大きさの塩化ビニル製プレートに貼り付けた。これらの全てのプレート(サンプル)をさらにタテ23cm×ヨコ90cmの塩化ビニル製プレートに固定した。このユニットを、瀬戸内海(姫路周辺)のヨットハーバーにある防波堤にて、海水面とほぼ同じ位置になるように設置し、全てのサンプル面が防波堤壁面と逆側になるように配置した。1ヶ月間このまま放置し、その後、目視による評価を行った。評価基準は次の通りである。
○:海水面下の表面に藻類および付着生物がほとんどない状態。
△:海水面下の表面に40%程度、藻類および付着生物が付着している状態。
×:海水面下の表面に80%程度、藻類および付着生物が付着している状態。
〔製造例1〕:粘着剤層の作製
冷却管、窒素導入管、温度計、および攪拌機を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):90重量部、アクリル酸(AA):10重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」、BASF製):0.1重量部を投入して分散させ、攪拌しながら窒素気流下にて上部よりUV照射することにより、一部のモノマーをポリマーに転化させて塗工可能な粘度に調整し、(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。この(メタ)アクリル系モノマー混合物に、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA):0.08重量部を添加し、これをセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み50μm)の表面にアプリケーターにて塗布し、カバーセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(BLタイプ)により紫外線を照射(紫外線照度:3.4mW/cm2、積算照射量:2000mJ/cm2)することにより、厚み50μmの粘着剤層を得た。
冷却管、窒素導入管、温度計、および攪拌機を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):90重量部、アクリル酸(AA):10重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」、BASF製):0.1重量部を投入して分散させ、攪拌しながら窒素気流下にて上部よりUV照射することにより、一部のモノマーをポリマーに転化させて塗工可能な粘度に調整し、(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。この(メタ)アクリル系モノマー混合物に、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA):0.08重量部を添加し、これをセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み50μm)の表面にアプリケーターにて塗布し、カバーセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(BLタイプ)により紫外線を照射(紫外線照度:3.4mW/cm2、積算照射量:2000mJ/cm2)することにより、厚み50μmの粘着剤層を得た。
〔実施例1〕
シリコーン樹脂としてKE−445(信越化学工業(株)製)を100重量部、シリコーンオイルとしてKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を80重量部、ポリエーテル化合物としてPEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を5重量部、架橋剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)を5重量部、シリカとしてアエロジルRY200(日本アエロジル(株)製)を5重量部、架橋触媒としてナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を0.1重量部添加し、撹拌混合することで塗布液を調整した。この塗布液をアプリケーターにて乾燥後厚み100μmとなるようにウレタン樹脂基材(エスマーURS PXII、日本マタイ(株)製、厚み100μm)上に塗布し、オーブンにて130℃×5分加熱することによりシリコーン層付き基材(1)を得た。製造例1にて得られた粘着剤層とシリコーン層付き基材(1)をハンドローラーにて貼り合わせることにより、粘着シート(1)を得た。粘着シート(1)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は2.5重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
シリコーン樹脂としてKE−445(信越化学工業(株)製)を100重量部、シリコーンオイルとしてKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を80重量部、ポリエーテル化合物としてPEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を5重量部、架橋剤としてコロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)を5重量部、シリカとしてアエロジルRY200(日本アエロジル(株)製)を5重量部、架橋触媒としてナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を0.1重量部添加し、撹拌混合することで塗布液を調整した。この塗布液をアプリケーターにて乾燥後厚み100μmとなるようにウレタン樹脂基材(エスマーURS PXII、日本マタイ(株)製、厚み100μm)上に塗布し、オーブンにて130℃×5分加熱することによりシリコーン層付き基材(1)を得た。製造例1にて得られた粘着剤層とシリコーン層付き基材(1)をハンドローラーにて貼り合わせることにより、粘着シート(1)を得た。粘着シート(1)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は2.5重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
〔実施例2〕
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を10重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)を10重量部に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(2)を得た。粘着シート(2)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は5.1重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を10重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)を10重量部に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(2)を得た。粘着シート(2)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は5.1重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
〔実施例3〕
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を4重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)を16重量部に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(3)を得た。粘着シート(3)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は2.0重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を4重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)を16重量部に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(3)を得た。粘着シート(3)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は2.0重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
〔実施例4〕
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)をサンニックスPP3000(ポリプロピレングリコール、三洋化成(株)製)18重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)を2重量部に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(4)を得た。粘着シート(4)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は9.1重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)をサンニックスPP3000(ポリプロピレングリコール、三洋化成(株)製)18重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)を2重量部に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(4)を得た。粘着シート(4)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は9.1重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
〔実施例5〕
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)をPTG−L 2000(ポリテトラメチレングリコール、保土谷化学(株)製)18.5重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)を1.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(5)を得た。粘着シート(5)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は10.1重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)をPTG−L 2000(ポリテトラメチレングリコール、保土谷化学(株)製)18.5重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)を1.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(5)を得た。粘着シート(5)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は10.1重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
〔実施例6〕
実施例1のPEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を10重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を添加しないように変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(6)を得た。粘着シート(6)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は5.1重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
実施例1のPEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を10重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を添加しないように変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(6)を得た。粘着シート(6)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は5.1重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
〔実施例7〕
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を20重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を添加しないように変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(7)を得た。粘着シート(7)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は10.2重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を20重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を添加しないように変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(7)を得た。粘着シート(7)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は10.2重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
〔実施例8〕
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)をサンニックスPP3000(ポリプロピレングリコール、三洋化成(株)製)20重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を添加しないように変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(8)を得た。粘着シート(8)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は10.2重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)をサンニックスPP3000(ポリプロピレングリコール、三洋化成(株)製)20重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を添加しないように変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(8)を得た。粘着シート(8)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は10.2重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
〔実施例9〕
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)をPTG−L 2000(ポリテトラメチレングリコール、保土谷化学(株)製)20重量部に、コロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を添加しないように変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(9)を得た。粘着シート(9)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は10.2重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)をPTG−L 2000(ポリテトラメチレングリコール、保土谷化学(株)製)20重量部に、コロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を添加しないように変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(9)を得た。粘着シート(9)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は10.2重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
〔実施例10〕
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を20重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を添加しないように、アエロジルRY200(日本アエロジル(株)製)をアエロジルRX300−5((日本アエロジル(株)製)1重量部に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(10)を得た。粘着シート(10)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は10.4重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を20重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を添加しないように、アエロジルRY200(日本アエロジル(株)製)をアエロジルRX300−5((日本アエロジル(株)製)1重量部に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(10)を得た。粘着シート(10)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は10.4重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
〔実施例11〕
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を20重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)およびアエロジルRY200(日本アエロジル(株)製)を添加しないように変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(11)を得た。粘着シート(11)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は10.4重量%であった。なお塗布液は静置した際に分離する様子が観察された。
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)を20重量部に、コロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)およびアエロジルRY200(日本アエロジル(株)製)を添加しないように変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(11)を得た。粘着シート(11)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は10.4重量%であった。なお塗布液は静置した際に分離する様子が観察された。
〔比較例1〕
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)およびコロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を添加しないように、ポリエーテル変性オイルとしてKF−6013(信越化学工業(株)製)20重量部を追加するように変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(C1)を得た。粘着シート(C1)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は0重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
実施例1のKF−96−100Cs(信越化学工業(株)製)を70重量部に、PEG#300(ポリエチレングリコール、日本油脂(株)製)およびコロネートHX(日本ポリウレタン工業(株)製)およびナーセム第2鉄(日本化学産業(株)製)を添加しないように、ポリエーテル変性オイルとしてKF−6013(信越化学工業(株)製)20重量部を追加するように変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、粘着シート(C1)を得た。粘着シート(C1)のシリコーン層のポリエーテル化合物含有率は0重量%であった。なお塗布液は静置しても分離は見られなかった。
本発明の水生生物付着防止粘着テープまたはシートは、水中生物が付着して繁殖することを防止できるため、水中構造物(船舶、ブイ、港湾設備、海上油田設備、発電所冷却水用の水路、工場冷却水用の水路、水上浮遊通路など)に好適に利用できる。
1 剥離フィルム
2 防汚層
3 基材層
4 粘着剤層
100 水生生物付着防止粘着テープまたはシート
2 防汚層
3 基材層
4 粘着剤層
100 水生生物付着防止粘着テープまたはシート
Claims (4)
- 防汚層と基材層と粘着剤層をこの順に含む粘着テープまたはシートであって、
該防汚層がシリコーン樹脂を含み、
該防汚層がポリエーテル化合物を含む、
水生生物付着防止粘着テープまたはシート。 - 前記ポリエーテル化合物がポリエーテル鎖のみからなるポリエーテル化合物である、請求項1に記載の水生生物付着防止粘着テープまたはシート。
- 前記ポリエーテル化合物が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の水生生物付着防止粘着テープまたはシート。
- 前記防汚層が架橋剤を含む、請求項1から3までのいずれかに記載の水生生物付着防止粘着テープまたはシート。
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JP2014153698A JP2016030792A (ja) | 2014-07-29 | 2014-07-29 | 水生生物付着防止粘着テープまたはシート |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2014153698A Pending JP2016030792A (ja) | 2014-07-29 | 2014-07-29 | 水生生物付着防止粘着テープまたはシート |
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