JP6497070B2 - 半導体装置およびその制御方法 - Google Patents
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Description
従来技術として、IGBTを駆動する制御電圧の伝達経路中に、制御電圧を時間遅延する素子を配置し、時間遅延させた制御電圧にもとづいて、IGBTのオン時にゲート放電トランジスタをオフさせ、IGBTのオフ時にゲート放電トランジスタをオンさせる技術が提案されている。
すなわち、前記遅延回路は、前記第2の判別信号によって前記第2のトランジスタをオンさせたときの前記半導体スイッチのコレクタ電流の第1の変化率よりも、前記第2の制御信号によって前記第2のトランジスタをオンさせたときのコレクタ電流の第2の変化率の方が小さくなるような時間遅延が設定されていてもよい。
図1(a)は半導体装置の構成例を示す図である。第1の実施の形態の半導体装置1は、半導体スイッチ1aと、ドライブ回路2とを備え、ドライブ回路2は、トランジスタ2a(第1のトランジスタ)、トランジスタ2b(第2のトランジスタ)、比較回路2c、遅延回路2d及びトランジスタ2eを含む。
遅延回路2dは、判別信号d2を所定時間遅延させて、制御信号ct2(第2の制御信号)を出力する。
このように、半導体装置1は、半導体スイッチ1aのターンオフ時、第1の引抜き力で半導体スイッチ1aのゲート電荷を引抜き、それによりゲート電圧が閾値レベルまで低下してから所定時間遅延させた後に、第1の引抜き力よりも大きな第2の引抜き力でゲート電荷を引抜く。
(遅延回路を含まないIPMの構成)
次に本技術の半導体装置1をIPMに適用した場合について、設計段階毎に詳しく説明する。最初に、本技術の構成要素の1つである遅延回路2dを含まないIPMの構成について説明する。なお、以降の説明では、引抜き力のことをゲート電荷引抜き能力と呼ぶ。ゲート電荷が引き抜かれる結果ゲート電圧は低下することになる。
また、ドライブ回路12は、トランジスタM0、M1、M2、AND素子IC1、コンパレータIC2、基準電圧源Vrおよび抵抗R1、R2を含む。なお、トランジスタM0には、PチャネルMOSFET、トランジスタM1、M2には、NチャネルMOSFETを使用している例を示している。
AND素子IC1の出力端子は、トランジスタM2のゲートに接続し、トランジスタM2のソースはGNDに接続する。コンパレータIC2の出力端子は、AND素子IC1の入力端子in2と接続し、コンパレータIc2の入力端子(+)は、基準電圧源Vrの正極端子と接続する。基準電圧源Vrの負極端子は、GNDに接続する。
IPMの動作について説明する。ドライブ回路12内のトランジスタM0〜M2において、トランジスタM0は、IGBT11aをオンさせるためのゲート電圧制御素子であり、PMOSを使用している。トランジスタM1、M2は、IGBT11aをオフさせるためのゲート電圧制御素子である。トランジスタM1、M2には、NMOSを使用している。
なお、以降の説明では、トランジスタM0をオン側トランジスタM0、トランジスタM1をオフ側トランジスタM1、トランジスタM2をオフ保持トランジスタM2と呼ぶ。また、基準電圧源Vrが発生する基準電圧をVrefとする。基準電圧Vrefは閾値電圧であり、例えば、2Vとする。
制御信号ct1がHレベルの場合、オン側トランジスタM0はオフし、オフ側トランジスタM1およびオフ保持トランジスタM2はオンする。このとき、オフ側トランジスタM1がオンした後、一定時間差を持ってオフ保持トランジスタM2がオンすることになる。
一方、コンパレータIC2の入力端子(−)には、電圧V1が入力する。電圧V1は、オフ側トランジスタM1のドレイン電圧が抵抗R1、R2によって抵抗分割された電圧である。コンパレータIC2では、電圧V1と、基準電圧源Vrが発生する基準電圧Vrefとを比較する。
そして、オフ側トランジスタM1のドレイン電圧、すなわち、IGBT11aのゲート電圧が、閾値電圧まで下がると、ゲート電圧引抜き能力が強いオフ保持トランジスタM2がオンするという構成になっている。
上記のように、IPM10では、IGBT11aをターンオフさせる際には、オフ側トランジスタM1と、オフ保持トランジスタM2との2つを用いており、また、オフ側トランジスタM1のゲート電荷引抜き能力は弱く、オフ保持トランジスタM2のゲート電荷引抜き能力は強くしている。
すなわち、di/dtが大きい程(単位時間におけるコレクタ電流の変化率(減少変化率)が大きい程)、サージ電圧は(サージ電圧のピークは)大きくなる。逆に、di/dtが小さい程、サージ電圧は小さくなる。なお、di/dtは、電流の時間に対する傾きに相当する。
IPM10における、IGBT11aのターンオフ時の動作について、シミュレーション波形を示しながら説明する。
3つの波形は、IGBT11aのゲート電圧Vg、IGBT11aのコレクタ−エミッタ間電圧VceおよびIGBT11aのコレクタ電流Icを示している。
〔t11<t<t12〕ゲート電圧Vgはゆるやかに低下している。コレクタ電流Icと、コレクタ−エミッタ間電圧Vceとには顕著な変化はない。
〔t13<t<t14〕ゲート電圧Vgが閾値電圧2Vを下回る。コレクタ−エミッタ間電圧Vce(サージ電圧)は上昇し続けている。コレクタ電流Icは、減少している。
〔t14<t〕ゲート電圧VgはGNDレベル(0V)近傍に位置している。コレクタ−エミッタ間電圧Vce(サージ電圧)は低下し、振幅を繰り返しながら減少していく。コレクタ電流Icは略0Aに位置している。
このため、本発明による技術では、オフ保持トランジスタM2のオン動作に遅れを持たせることで、確実にアンダーシュートの発生を抑制して、サージ電圧のピークの抑制を図るものである。
図4はIPMの構成例を示す図である。第2の実施の形態のIPM10aは、IGBT回路11、ドライブ回路12aおよびIPMコントローラ3を備える。IGBT回路11は、トランジスタ11aを含む。
IPM10aは、図2に示したIPM10にあらたな構成要素として遅延回路12a−1を備えるものであり、その他の構成はIPM10と同じである。
このように、IGBT11aのコレクタ電流の変化率を減少させることで、IGBT11aのターンオフ時に発生するサージ電圧のピークを低下させる。すなわち、遅延回路12a−1では、IGBT11aのターンオフ時に、サージ電圧のピークが所定値を超えてしまうほど、コレクタ電流Icのdi/dtが大きくならないように時間遅延が設定されているものである。
図5は遅延回路の構成例を示す図である。遅延回路12a−1は、例えば、時定数回路であり、コンデンサC3と抵抗R3を含む。
本発明の動作のIPM10aにおける、IGBTのターンオフ時の動作について、シミュレーション波形を示しながら説明する。
3つのグラフは、IGBT11aのゲート電圧Vg、IGBT11aのコレクタ−エミッタ間電圧VceおよびIGBT11aのコレクタ電流Icを示している。
〔t1<t<t2〕ゲート電圧Vgはゆるやかに低下している。コレクタ電流Icと、コレクタ−エミッタ間電圧Vceとには顕著な変化はない。
〔t3<t≦t4〕ゲート電圧Vgが閾値電圧2Vを下回る。コレクタ−エミッタ間電圧Vce(サージ電圧)は上昇し、時刻t4ではピークが625Vになっている。コレクタ電流Icは、減少している。
〔t=t5〕オフ保持トランジスタM2は、時刻t4からΔt時間経過した時刻t5でオンする。
すなわち、オフ側トランジスタM1だけのオンでサージ電圧がピークに到達するまで待ち、そのピークが過ぎてからオフ保持トランジスタM2をオンしても、サージ電圧のピークは、図3の場合と比べて低下することになる。したがって、ゲート電圧Vgが電圧V1に達したときの時間から、サージ電圧のピークが過ぎる時間まで、AND素子IC1の出力である判別信号d1を遅延させてもよい。
1a 半導体スイッチ
2 ドライブ回路
2a、2b、2e トランジスタ
2c 比較回路
2d 遅延回路
2f 論理積回路
Vg ゲート電圧
T、T0、T1、T2 時刻
Δt 遅延時間
ct1 第1の制御信号
ct2 第2の制御信号
d1、d2 判別信号
Claims (8)
- 半導体スイッチと、
第1の制御信号にもとづいて、前記半導体スイッチのターンオフ時にオンして、第1の最大ドレイン電流にもとづく第1の引抜き力で前記半導体スイッチのゲート電荷を引抜く第1のトランジスタと、前記半導体スイッチのゲート電圧と閾値レベルとを比較し、前記ゲート電圧が前記閾値レベルまで低下したことを判別すると第1の判別信号を出力する比較回路と、前記第1の制御信号と前記第1の判別信号とを入力とし、出力として第2の判別信号を出力する2入力1出力の単一の論理積回路と、前記第2の判別信号を所定時間遅延させた第2の制御信号を出力する遅延回路と、前記第2の制御信号にもとづいて、前記第1のトランジスタがオンした後にオンして、前記第1の最大ドレイン電流よりも大きな第2の最大ドレイン電流にもとづく第2の引抜き力で前記ゲート電荷を引抜く第2のトランジスタと、を含み前記半導体スイッチの駆動制御を行うドライブ回路と、
を有することを特徴とする半導体装置。 - 半導体スイッチを駆動するための半導体装置であって、
第1の制御信号にもとづいて、前記半導体スイッチのターンオフ時にオンして、第1の最大ドレイン電流にもとづく第1の引抜き力で前記半導体スイッチのゲート電荷を引抜くための第1のトランジスタと、
前記半導体スイッチのゲート電圧と閾値レベルとを比較し、前記ゲート電圧が前記閾値レベルまで低下したことを判別すると第1の判別信号を出力する比較回路と、前記第1の制御信号と前記第1の判別信号とを入力とし、出力として第2の判別信号を出力する2入力1出力の単一の論理積回路と、
前記第2の判別信号を所定時間遅延させた第2の制御信号を出力する遅延回路と、
前記第2の制御信号にもとづいて、前記第1のトランジスタがオンした後にオンして、前記第1の最大ドレイン電流よりも大きな第2の最大ドレイン電流にもとづく第2の引抜き力で前記ゲート電荷を引抜くための第2のトランジスタと、
を有することを特徴とする半導体装置。 - 前記遅延回路は、前記第2の判別信号によって前記第2のトランジスタをオンさせたときの前記半導体スイッチのコレクタ電流の第1の変化率よりも、前記第2の制御信号によって前記第2のトランジスタをオンさせたときのコレクタ電流の第2の変化率の方が小さくなるような時間遅延が設定されていることを特徴とする請求項1乃至2記載の半導体装置。
- 前記遅延回路は、前記第2の判別信号を、前記ゲート電圧が前記閾値レベルに達した時間から、前記ゲート電圧がGNDレベルを維持する時間まで遅延させることを特徴とする請求項1乃至3記載の半導体装置。
- 前記遅延回路は、前記第2の判別信号を、前記ゲート電圧が前記閾値レベルに達した時間から、前記半導体スイッチのコレクタ電流がゼロを維持する時間まで遅延させることを特徴とする請求項1乃至3記載の半導体装置。
- 前記遅延回路は、前記第2の判別信号を、前記ゲート電圧が前記閾値レベルに達した時間から、前記半導体スイッチに発生するサージ電圧のピークが過ぎる時間まで遅延させることを特徴とする請求項1乃至3記載の半導体装置。
- 半導体スイッチのゲート電圧を制御するための半導体装置の制御方法において、
第1の制御信号にもとづいて、前記半導体スイッチのターンオフ時にオンする第1のトランジスタであって、前記第1のトランジスタにより、第1の最大ドレイン電流にもとづく第1の引抜き力で前記半導体スイッチのゲート電荷を引抜き、
比較回路により、前記半導体スイッチのゲート電圧と閾値レベルとを比較し、前記ゲート電圧が前記閾値レベルまで低下したことを判別すると第1の判別信号を出力し、
2入力1出力の単一の論理積回路により、前記第1の制御信号と前記第1の判別信号との論理積演算を行い出力として第2の判別信号を出力し、
遅延回路により、前記第2の判別信号を所定時間遅延させた第2の制御信号を出力し、
前記第2の制御信号にもとづいて、前記第1のトランジスタがオンした後にオンする第2のトランジスタであって、前記第2のトランジスタにより、前記第1の最大ドレイン電流よりも大きな第2の最大ドレイン電流にもとづく第2の引抜き力で前記ゲート電荷を引抜く、
ことを特徴とする半導体装置の制御方法。 - 半導体スイッチを駆動するための半導体装置であって、
第1の制御信号にもとづいて、前記半導体スイッチのターンオフ時にオンして、第1の最大ドレイン電流にもとづく第1の引抜き力で前記半導体スイッチのゲート電荷を引抜くための第1のトランジスタと、
前記半導体スイッチのゲート電圧と閾値レベルとを比較し、前記ゲート電圧が前記閾値レベルまで低下したことを判別すると第1の判別信号を出力する比較回路と、
前記第1の制御信号と前記第1の判別信号とを入力とし、出力として第2の判別信号を出力する2入力1出力の単一の論理積回路と、
前記第2の判別信号を所定時間遅延させた第2の制御信号を出力する遅延回路と、
前記第2の制御信号にもとづいて、前記第1のトランジスタがオンした後にオンして、前記第1の最大ドレイン電流よりも大きな第2の最大ドレイン電流にもとづく第2の引抜き力で前記ゲート電荷を引抜く第2のトランジスタと、
前記半導体スイッチをオンさせるための第3のトランジスタと、
を備え、
前記第1の制御信号が入力される装置入力端は、前記第3のトランジスタのゲート、前記第1のトランジスタのゲートおよび前記論理積回路の第1の入力端子に接続され、
前記第3のトランジスタのソースは、電源電圧に接続され、
前記第1のトランジスタのソースは接地され、
前記第3のトランジスタのドレインは、前記第1のトランジスタのドレイン、第1の抵抗の一端、前記第2のトランジスタのドレインおよび装置出力端に接続され、
前記装置出力端は、前記半導体スイッチのゲートに接続され、
前記第1の抵抗の他端は、前記比較回路の第1の入力端子と、第2の抵抗の一端とに接続され、
前記第2の抵抗の他端は接地され、
前記比較回路の出力端子は、前記論理積回路の第2の入力端子に接続され、
前記論理積回路の出力端子は、前記遅延回路の入力端子に接続され、
前記遅延回路の出力端子は、前記第2のトランジスタのゲートに接続され、
前記第2のトランジスタのソースは接地され、
前記比較回路の第2の入力端子は、基準電圧源に接続される、
ことを特徴とする半導体装置。
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