第1の実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る硬貨回収用部材、回収用部材付き硬貨処理装置及び処理システムの第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図25は本発明の第1の実施の形態を説明するための図である。なお、本願において「貨幣」とは「硬貨」、「紙幣」又は「硬貨」及び「紙幣」の両方のことを意味する。また本願において、「硬貨」とは、社会に流通している鋳貨だけでなく、ゲームセンターなどの特定の場所において使用可能なコインやメダルをも含む概念である。
本願の処理システムは、硬貨を処理する硬貨処理装置100の他に、紙幣を処理する紙幣処理装置200及び/又は棒金を収納するための棒金ドロア506を有する棒金管理装置500を備えていてもよい(図1乃至図5参照)。また、本願の処理システムは、硬貨処理装置100、紙幣処理装置200及び棒金管理装置500のいずれか1つ以上に接続されたPOSレジスタ300、パソコン、サーバ400等を備えてもよい。なおPOSレジスタ300、パソコン、サーバ400等は、硬貨処理装置100、紙幣処理装置200及び棒金管理装置500等と通信できるようになっていればよく、すなわち通信接続されていればよく、物理的に接続されている必要は必ずしもない。硬貨処理装置100の他に、紙幣を処理する紙幣処理装置200及び/又は棒金を収納するための棒金管理装置500を備えている場合には、硬貨処理装置100と、紙幣処理装置200及び/又は棒金管理装置500とは、別体となっていてもよいし一体となっていてもよい。また図示はしないが、処理システムは、硬貨処理装置100およびPOSレジスタ300を備え、紙幣処理装置200及び/又は棒金管理装置500を備えていなくてもよい。なお、例えば硬貨処理装置100から見た場合には硬貨処理装置100以外のあらゆる装置が外部装置に該当し、上述した例で言うと、紙幣処理装置200、棒金管理装置500、POSレジスタ300、パソコン、サーバ400等が外部装置に該当する。本願の特許請求の範囲における「外部装置」は、例えばPOSレジスタ300を意味している。
本実施の形態では、硬貨処理装置100、紙幣処理装置200、棒金管理装置500、POSレジスタ300及びサーバ(例えば店舗サーバ)400を備えた処理システムを用いて説明する。なお、図3乃至図5は、本実施の形態の処理システムの構成を示すための図面である。
図4及び図5に示すように、本実施の形態のPOSレジスタ300はサーバ400に通信接続されている。そして、POSレジスタ300からサーバ400に売上金情報等の情報が送信されるようになっている。また、各種設定情報等の情報が、サーバ400からPOSレジスタ300(複数台でも可)に配信されるようになっている。
図4及び図5に示すように、硬貨処理装置100は、後述する操作表示部152を含む硬貨処理装置100の一部の部材や紙幣処理装置200の一部の部材等を制御する上位制御部101と、硬貨処理装置100を制御する硬貨制御部102を有しており、これらの上位制御部101及び硬貨制御部102は通信接続されている。また、紙幣処理装置200は、紙幣処理装置200を制御する紙幣制御部202を有しており、この紙幣制御部202は硬貨処理装置100の上位制御部101に通信接続されている。また、棒金管理機500は、棒金管理機500を制御する棒金制御部502を有しており、この棒金制御部502は硬貨処理装置100の上位制御部101に通信接続されている。また、図5に示すように、POSレジスタ300は、POSレジスタ300を制御するPOS制御部302を有しており、このPOSレジスタ300のPOS制御部302は硬貨処理装置100の上位制御部101に通信接続されている。
そして、硬貨処理装置100において硬貨の入金処理、出金処理、精査処理、回収処理等の様々な処理を行うと、硬貨処理装置100の硬貨識別部150で識別された結果は硬貨処理装置100からPOSレジスタ300に出力されて、当該結果が後述するPOS表示部351で表示される。また、紙幣処理装置200において紙幣の入金処理、出金処理、精査処理、回収処理等の様々な処理を行うと、紙幣処理装置200の紙幣識別部250で識別された結果も紙幣処理装置200から上位制御部101を介してPOSレジスタ300に出力されて、当該結果がPOS表示部351で表示される。また、棒金管理機から出力される棒金の有無に関する情報、棒金の金種に関する情報等も棒金管理機500から上位制御部101を介してPOSレジスタ300に出力されて、当該情報がPOS表示部351で表示される。
以下、紙幣処理装置200、棒金管理機500、POSレジスタ300及び硬貨処理装置100の構成について、説明する。
《紙幣処理装置200》
まず、本実施の形態の紙幣処理装置200の構成について説明する。ちなみに、本実施の形態の紙幣処理装置200は、スーパー、コンビニエンスストア、ショッピングモール、百貨店等の様々な場所で利用され、紙幣の入出金処理を行う紙幣釣銭機となっている。ところで、紙幣処理装置200としてはこのような紙幣釣銭機には限られることはなく、例えば紙幣入金機、紙幣出金機、券売機、自動販売機等も含まれる。
図3に示すように、紙幣処理装置200は、略直方体形状の紙幣筐体205と、紙幣を紙幣筐体205の外部から入金するための紙幣受入部210と、紙幣受入部210から入金された紙幣を搬送する紙幣搬送部220と、紙幣受入部210から入金された紙幣の金種等を識別して計数する紙幣識別部250と、紙幣搬送部220で搬送された紙幣を収納するとともに収納された紙幣を繰り出す紙幣収納部260と、リジェクト紙幣や紙幣収納部260に収納されていた紙幣を出金するための紙幣払出部290と、を備えている。なお、紙幣搬送部220は、図3に示すように、紙幣筐体205内の略中央部に設けられた環状の周回搬送部220aと、紙幣受入部210、各紙幣収納部260、紙幣払出部290等と、周回搬送部220aとの間をそれぞれ接続する複数の接続搬送部220bとを有している。ちなみに、周回搬送部220aに紙幣識別部250が設けられている。
紙幣受入部210は、紙幣が入金されると自動で又は操作表示部152、操作部153、POS操作部352等からの入力信号を受けて駆動されて当該紙幣を紙幣筐体205内に繰り出す入金紙幣操出部(図示せず)を有している。また、紙幣収納部260は、必要に応じて紙幣収納部260から紙幣を繰り出す出金紙幣繰出部(図示せず)を有している。
また、図3に示すように、紙幣搬送部220には、回収処理を行う際に紙幣収納部260から繰り出された紙幣を収納する回収カセット235が装着されている。なお、紙幣識別部250で識別された紙幣の金種を収納するための紙幣収納部260がフル(満杯)状態又はニアフル(ほぼ満杯)状態である場合には、この紙幣はオーバーフロー紙幣として、回収カセット235に収納される。
また、図3に示すように、紙幣搬送部220には、紙幣収納部260から繰り出された紙幣が紙幣識別部250によって識別できない場合に、当該紙幣(出金リジェクト紙幣)を収納する出金リジェクト部230が連結されている。
図5に示すように、紙幣処理装置200の紙幣制御部202には、インターフェース232、紙幣受入部210、紙幣搬送部220、出金リジェクト部230、紙幣識別部250、紙幣収納部260、紙幣払出部290等がそれぞれ接続されている。そして、紙幣制御部202は、紙幣受入部210、紙幣搬送部220、出金リジェクト部230、紙幣識別部250、紙幣収納部260、紙幣払出部290等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。なお、紙幣制御部202には、様々な情報を記憶する紙幣記憶部206と、カードに記録された情報を読み取るカードリーダ270と、紙幣収納部260、出金リジェクト部230、回収カセット235等の所定のユニットをロックしたり、紙幣収納部260、出金リジェクト部230、回収カセット235等の所定のユニットを解錠したりする電磁ロック部275も接続されている。
《棒金管理機500》
次に、本実施の形態の棒金管理機500について説明する。
図3に示すように、本実施の形態の棒金管理機500は、棒金筐体505と、棒金筐体505に対して引き出し自在に設けられ、棒金を1本ずつ収納する棒金収納部520を複数個有する棒金ドロア506と、を備えている。なお、この棒金ドロア506内には、棒金以外にもバラ硬貨、紙幣、商品券等も収納することができる補助収納領域530が設けられていてもよい。
また、棒金ドロア506と棒金筐体505との間には、棒金制御部502に接続されたロータリエンコーダ(変位検出手段)(図示せず)が設けられており、棒金ドロア506の棒金筐体505に対する位置を検知することができるようになっている。そして、センサとロータリエンコーダ(変位検出手段)によって、棒金の直径を検知することで、棒金の有無を検知するだけでなく、棒金の金種の判定することができるようになっており、これらセンサとロータリエンコーダ(変位検出手段)によって、棒金検知部580(図5参照)が構成されている。ちなみに、本実施の形態では、棒金ドロア506の底面にスリット525が形成されており(図3参照)、このスリット525をセンサからの光が透過することで、棒金の直径や棒金の有無を検知することができるようになっている。なお、棒金収納部520内の棒金の有無及び金種を検知する手段としては、この方式に限定されず、各棒金収納部520に有無や金種(材質)を検知するセンサを配置してもよい。また、棒金筐体505には、棒金ドロア506を棒金筐体505に対して閉鎖位置に固定するロック部560(図5参照)が設けられている。また、本実施の形態の棒金管理機500は、棒金筐体505に対して棒金ドロア506が開状態になっているか閉状態になっているかを検知する開閉検知部570(図5参照)も備えている。
図5に示すように、棒金管理機500の棒金制御部502には、インターフェース532、棒金検知部580、開閉検知部570、ロック部560等がそれぞれ接続されている。そして、棒金制御部502は、棒金検知部580、開閉検知部570、ロック部560等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。なお、棒金制御部502には、様々な情報を記憶する棒金記憶部506も接続されている。
《POSレジスタ300》
次に、本実施の形態のPOSレジスタ300の構成について説明する。POSレジスタ300は、商品の購入情報を登録するとともに、硬貨処理装置100や紙幣処理装置200に対して指令を入力して、硬貨や紙幣の入金処理、出金処理、精査処理、回収処理等を行わせるようになっている。
図5に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部302は、硬貨処理装置100の上位制御部101に通信接続されるとともに、サーバ400にも通信接続されている。そして、このPOS制御部302は、硬貨処理装置100の上位制御部101を介して硬貨制御部102、紙幣制御部202及び棒金制御部502に指令を送り、この結果、硬貨処理装置100に対して硬貨の入金処理、出金処理、精査処理、回収処理等を行わせ、紙幣処理装置200に対して紙幣の入金処理、出金処理、精査処理、回収処理等を行わせ、棒金管理機500の棒金ドロア506のロックを解除させたりするようになっている。また、POS制御部302は、硬貨制御部102、紙幣制御部202及び棒金制御部502から、上位制御部101を介して、硬貨処理装置100、紙幣処理装置200及び棒金制御部502における硬貨、紙幣及び棒金の処理状況や在高に係る情報を受け取るようになっている。
図1に示すように、POSレジスタ300は、店員等の操作者が操作することのできるPOS操作部352と、商品の取引状況、硬貨処理装置100における硬貨の処理状況、紙幣処理装置200における紙幣の処理状況、硬貨処理装置100の内部に収納された硬貨の在高、紙幣処理装置200の内部に収納された紙幣の在高、棒金管理機500の内部に収納された棒金の在高等を表示するPOS表示部351と、を備えている。そして、操作者は、POS操作部352を介してPOS制御部302(図5参照)に対して様々な指令を与えることができるようになっている。なお、上述したPOS表示部351には、顧客に対して商品の購入代金を示したりするための顧客用表示部351a(図1参照)が含まれている。
図5に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部302は、インターフェース332を介して、硬貨処理装置100の上位制御部101やサーバ400に対して信号の送受信を行うようになっている。また、POS記憶部305には、硬貨処理装置100における硬貨の処理状況、硬貨処理装置100の内部に収納された硬貨の在高、紙幣処理装置200における紙幣の処理状況、紙幣処理装置200の内部に収納された紙幣の在高、棒金管理機500の内部に収納された棒金の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
なお、POSレジスタ300は、クレジットカード等の各種カードを読み取るカードリーダ360と、プリンタ等からなる印字部370も有している。なお、POS表示部351で表示されるあらゆる情報やPOS記憶部305で記憶されているあらゆる情報は、当該印字部370で印字することができるようになっている。
図5に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部302には、カードリーダ360、プリンタ等からなる印字部370、POS表示部351、POS操作部352、POS記憶部305、インターフェース332等がそれぞれ接続されている。そして、POS制御部302は、カードリーダ360、印字部370、POS表示部351、POS操作部352、POS記憶部305等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。
《硬貨処理装置100》
次に、本実施の形態の硬貨処理装置100の構成について説明する。なお、図6乃至図9は、本実施の形態の硬貨処理装置100の構成を示すための図面である。ちなみに、本実施の形態の硬貨処理装置100は、紙幣処理装置200と同様、スーパー、コンビニエンスストア、ショッピングモール、百貨店等の様々な場所で利用され、硬貨の入出金処理を行う硬貨釣銭機となっている。ところで、硬貨処理装置100としてはこのような硬貨釣銭機には限られることはなく、例えば硬貨出金機、券売機、自動販売機等も含まれる。
図5に示すように、本実施の形態の硬貨処理装置100の上位制御部101には、インターフェース132と、後述する操作表示部152と、物理的なボタン等からなる操作部153と、様々な情報を記憶する上位記憶部155が接続されている。また、硬貨制御部102には、後述する、インターフェース133、硬貨受入部110、入金硬貨搬送部120、硬貨識別部150、硬貨収納部160、振分部127,129、出金硬貨搬送部180、硬貨払出部190、検知センサ124,125,165、収容量検知センサ158、残留検知センサ157、様々な情報を記憶する硬貨記憶部106等が接続されている。そして、上位制御部101は、操作表示部152、操作部153及び上位記憶部155等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。また、硬貨制御部102は、硬貨受入部110、入金硬貨搬送部120、硬貨識別部150、硬貨収納部160、振分部127,129、出金硬貨搬送部180、硬貨払出部190、検知センサ124,125,165、収容量検知センサ158、残留検知センサ157、様々な情報を記憶する硬貨記憶部106 等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。例えば硬貨制御部102は、硬貨収納部160および出金硬貨搬送部180を制御して、出金硬貨搬送部180によって搬送された硬貨を硬貨筐体105から外部に送り出す回収処理を実施するように構成されている。なお、硬貨制御部102には、カードに記録された情報を読み取るカードリーダ170と、硬貨収納部160等の所定のユニットをロックしたり、硬貨収納部160等の所定のユニットを解錠したりする電磁ロック部175も接続されている。
上述した残留検知センサ157は、後述する出金トレー192のトレー本体193に硬貨が存在(残留)しているかを検知するためのセンサであり、より具体的には、出金トレー192のトレー本体193に何らしかの硬貨が存在(残留)しているか否か、すなわちトレー本体193内の硬貨の有無を検知するセンサである。他方、収容量検知センサ158は、出金トレー192のトレー本体193内に硬貨が所定量以上収容されているかを検知するためのセンサであり、より具体的には、出金トレー192のトレー本体193内に硬貨がニアフル状態又はフル状態となっているか否かを検知するためのセンサである。
本実施の形態の硬貨処理装置100は、図7に示すように、硬貨筐体(特許請求の範囲の「筐体」に対応する。)105と、硬貨を硬貨筐体105の外部から入金するための硬貨受入部110と、硬貨筐体105内に設けられ、硬貨を収納するとともに収納された硬貨を繰り出す硬貨収納部160と、硬貨筐体105内において、硬貨受入部110から投入された硬貨を1枚ずつ硬貨収納部160まで入金経路に沿って搬送する入金硬貨搬送部120と、入金経路に沿って設けられ、入金硬貨搬送部120で搬送される硬貨を識別して計数する硬貨識別部150と、を備えている。また、図6に示すように、硬貨筐体105の上面には、作業者等を含む操作者が操作信号を入力したり操作者に所定の情報を表示したりするための操作表示部152が設けられている。本実施の形態の操作表示部152はタッチパネルとなっており、操作表示部152に直接触れることで、操作者が操作信号を入力することができる。なお、この操作表示部152の近辺に物理的なボタン等からなる操作部153が設けられている。
図7に示すように、硬貨受入部110は、硬貨を投入するための硬貨入金口111と、硬貨入金口111から投入された硬貨を入金経路に繰り出す繰出ベルト112と、を有している。また、図10(a)(b)及び図15(a)(b)等で示すように、硬貨入金口111には開閉自在のシャッター115が設けられてもよい。なお、図7において、繰出ベルト112は硬貨を左方向に向かって繰り出すようになっている。
入金硬貨搬送部120は、硬貨をピンで支持し、図7において反時計回りに硬貨を搬送する無端状のピン付きベルト121と、当該ピン付きベルト121を駆動する駆動ローラ122と、を有している。この駆動ローラ122の少なくとも一つには、駆動ローラ122を駆動するための駆動モータ(図示せず)が連結されている。入金経路には、入金経路に沿って硬貨が通過したことを検知するための複数の検知センサ124,125(後述する)が設けられている。
図7に示すように、入金経路には、後述する金種別硬貨収納部161(つまり金種別硬貨収納部161a〜161f)の各々に対応した検知センサ125(つまり検知センサ125a〜125f)と、当該検知センサ125からの情報を受けて各金種別硬貨収納部161に対応する金種の硬貨を振り分ける複数(本実施の形態では6つ)の入金振分部127(つまり入金振分部127a〜127f)が設けられている。各検知センサ125は、対応する金種別硬貨収納部161の上流位置(つまり硬貨の搬送方向に沿って見たときの上流位置)に対応して設けられている。
各検知センサ125は、光を発光する発光部と、発光部で発光された光を受光する受光部と、を有している。そして、発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになることで硬貨が受光部と発光部との間まで搬送されたことを検知し、発光部から発光された光が硬貨で遮断されなくなり、再び受光部で発光部から発光された光を受光するようになることで硬貨が受光部と発光部との間を通過したことを検知するようになっている。
また、入金振分部127(入金振分部127a〜127fのいずれか1つ)の上流位置の検知センサ125(検知センサ125a〜125fのいずれか1つ)で硬貨の通過が確認されたが当該入金振分部127の下流位置(つまり硬貨の搬送方向に沿って見たときの下流位置)の検知センサ125で硬貨の通過が確認されなかった場合には、当該入金振分部127で硬貨が取り込まれて、当該入金振分部127に対応する金種別硬貨収納部161に硬貨が収納されたと判断される。
本実施の形態の硬貨収納部160は、金種別に硬貨を収納する複数(本実施の形態では6つ)の金種別硬貨収納部161を有しており、各金種別硬貨収納部161が水平方向で並列に配置されている。金種別硬貨収納部161は、図7の下から順番に、500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨を収納するようになっている。各金種別硬貨収納部161は、対応する硬貨を例えば150枚〜200枚程度収納することができる。
金種別硬貨収納部161の各々は、硬貨を収納する金種別繰出収納庫162(つまり金種別繰出収納庫162a〜162f)と、図9に示すように金種別繰出収納庫162内に収納された硬貨を出金経路に繰り出すための繰出部163と、繰出部163で繰り出される硬貨の枚数を検知する検知センサ165(図5参照)と、所定枚数の硬貨が繰り出された際にそれ以上の硬貨が繰り出されないように硬貨の繰り出しをストップさせるためのストッパ(図示せず)と、を有している。繰出部163は、硬貨を搬送する無端状の駆動ベルト164(図9参照)と、当該駆動ベルト164を駆動する駆動ローラ(図示せず)と、を有している。各繰出部163の駆動ローラの少なくとも一つには、駆動ローラを駆動するための駆動モータ(図示せず)が連結されている。なお、図9において駆動ベルト164で搬送された硬貨は、紙面の裏側から表側に向かって繰り出されることとなる。
各検知センサ165は、光を発光する発光部と、発光部で発光された光を受光する受光部とを有している。そして、発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになることで硬貨が受光部と発光部との間まで搬送されたことを検知し、発光部から発光された光が硬貨で遮断されなくなり、再び受光部で発光部から発光された光を受光するようになることで硬貨が受光部と発光部との間を通過したことを検知するようになっている。そして、発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになる回数を計数することで、硬貨収納部160から後述する出金硬貨搬送部180に繰り出された硬貨の枚数を計数することができる。
図9に示すように、本実施の形態の硬貨処理装置100は、硬貨収納部160から繰り出された硬貨を出金経路に沿って搬送する出金硬貨搬送部180と、出金経路に繰り出されて出金硬貨搬送部180で搬送された硬貨を出金する硬貨払出部190も備えている。出金硬貨搬送部180は、反時計回りに回転して図9の左方向へと硬貨を搬送する無端状の出金搬送ベルト181と、この出金搬送ベルト181を駆動する駆動ローラ182と、を有している。この駆動ローラ182の少なくとも一つには、駆動ローラ182を駆動するための駆動モータ(図示せず)が連結されている。また、出金硬貨搬送部180は、出金搬送ベルト181の下流側端部の上方に設けられた逆転ローラ187と、出金搬送ベルト181の下流側に設けられ、略水平方向(図9の左右方向)で延在するガイド板188aと、ガイド板188aの上方に設けられ、ガイド板188aとの間で硬貨を挟持して搬送する出金搬送ベルト188bと、を有している。ガイド板188aおよび出金搬送ベルト188bによって搬送された硬貨は、例えば図9において矢印Aで示すように、第1搬送経路189aを介して硬貨筐体105から出金トレー192へ送り出される。
硬貨払出部190は、出金硬貨搬送部180の下流側端部、図9で言うと左側端部に設けられており、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bで搬送されて硬貨筐体105内から硬貨を送り出すための硬貨出金口191と、硬貨筐体105の前面側に設けられ、硬貨筐体105内から硬貨出金口191によって外部に送り出された硬貨を受ける出金トレー192と、を有している。本実施の形態の出金トレー192は、図10(a)(b)に示すように、開口部193aが形成されたトレー本体193と、開口部193aを開閉する開閉部194と、を有している。
図7に示すように、硬貨識別部150の下流位置であって硬貨収納部160の上流位置には、硬貨識別部150で金種等を識別することができなかった硬貨をリジェクト硬貨として振り分けるためのリジェクト振分部129が設けられている。本実施の形態では、図7に示すように、リジェクト振分部129は、硬貨識別部150の下流側であって入金振分部127の上流側に位置している。
図9に示すように、リジェクト振分部129の下方には、リジェクト振分部129で振り分けられた硬貨を硬貨払出部190へ導くためのリジェクト搬送経路129bが設けられている。より具体的には、リジェクト振分部129が開状態となって当該リジェクト振分部129に取り込まれることで、硬貨は入金経路から外れ、リジェクト搬送経路129bを落下した後、出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bによって硬貨払出部190まで送られることとなる。
図7に示すように、リジェクト振分部129の直前の上流位置には光を発光する発光部と、発光部で発光された光を受光する受光部とを有する検知センサ124が設けられている。そして、発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになることで硬貨が受光部と発光部との間まで搬送されたこと、つまりリジェクト振分部129の直前の上流位置に硬貨が到達したことが検知される。このため、硬貨識別部150でリジェクト硬貨であると判断され、かつ、検知センサ124から硬貨が到達又は通過した旨の検知情報を受けた段階で、硬貨制御部102がリジェクト振分部129を開状態とし、リジェクト硬貨をリジェクト振分部129で取り込むようにしてもよい。なお、当然、硬貨識別部150でリジェクト硬貨であると判断された際にリジェクト振分部129を開状態のまま維持し、リジェクト硬貨をリジェクト振分部129で取り込む態様も採用することができる。
なお、硬貨処理装置から硬貨を回収する際に、POS操作部352、操作表示部152等の操作部から、全てを回収(いわゆる「全回収」)するよう指示が入力された場合には硬貨収納部160内に収納された硬貨の全てが硬貨収納部160から繰り出される。他方、硬貨処理装置から硬貨を回収する際に、POS操作部352、操作表示部152等の操作部から、ある金額又はある枚数が指定されて回収(いわゆる「指定回収」)するよう指示が入力された場合には、指定された金額又はある枚数を出金するよう対応する金種の硬貨が金種別硬貨収納部161から繰り出される。また、硬貨処理装置から硬貨を回収する際に、POS操作部352、操作表示部152等の操作部から、ある金額又はある枚数を残すように指定されて回収(いわゆる「残置回収」)するよう指示が入力された場合には、指定された金額又は枚数を残すよう対応する金種の硬貨が金種別硬貨収納部161から繰り出される。なお、このように硬貨収納部160から硬貨を回収する際には、全ての金種の硬貨を一斉に回収する「一斉回収」と、金種別に硬貨を回収する「金種別回収」とがある。そして、一斉回収するか金種別回収をするかについても、POS操作部352、操作表示部等の操作部から入力されるようにしてもよい。
次に図11乃至図13を参照して、出金トレー192、並びに、出金トレー192に設けられた残留検知センサ157および収容量検知センサ158について詳細に説明する。
はじめに残留検知センサ157について説明する。上述の検知センサ165と同様に、残留検知センサ157も、光を発光する発光部と、発光部で発光された光を受光する受光部とを有している。本実施の形態においては、残留検知センサ157が、発光部および受光部の対を以下のように4つ含む例について説明する。
第1の対:第1発光部および第1受光部
第2の対:第2発光部および第2受光部157d
第3の対:第3発光部157eおよび第3受光部157f
第4の対:第4発光部157gおよび第4受光部157h
また図11乃至図13においては、第1発光部から発光された光が通過する開閉部194の孔が符号197aで表され、第2発光部から発光された光が通過する開閉部194の孔が符号197cで表され、第3発光部から発光された光が通過する開閉部194の孔が符号197eで表されている。また、第1受光部によって受光される光が通過する開閉部194の孔が符号197bで表されて、第2受光部によって受光される光が通過する開閉部194の孔が符号197dで表され、第4受光部によって受光される光が通過する開閉部194の孔が符号197hで表されている。
図11乃至図13に示す例において、残留検知センサ157の発光部および受光部の各対は、発光部から受光部へ向かう光が少なくとも部分的に、閉状態にある開閉部194の孔を通過するよう、配置されている。この場合、開閉部194上に硬貨が残留していると、残留検知センサ157の各対の少なくともいずれかにおいて、発光部から発光された光が硬貨によって遮蔽され、光が受光部によって受光されなくなる。これによって、硬貨が出金トレー192に残留していることを検知することができる。なお、残留検知センサ157が含む発光部および受光部の対の数や配置が図11乃至図13に示す形態に限られることはなく、様々な構成が適宜採用され得る。
次に収容量検知センサ158について説明する。残留検知センサ157と同様に、収容量検知センサ158も、図11乃至図13に示すように、光を発光する第1発光部158aと、第1発光部158aで発光された光を受光する第1受光部158bとを有している。図11乃至図13に示す例において、残留検知センサ157の発光部および受光部の各対は、発光部から受光部へ向かう光が、閉状態にある開閉部194の上端部よりも上方の位置を通るよう、配置されている。
なお図11乃至図13においては、出金トレー192のトレー本体193の底部に開口部193aが形成され、この開口部193aに開閉部194が設けられる例を示した。しかしながら、開閉部194が開状態のときに開口部193aを介して硬貨を回収することができる限りにおいて、開口部193aおよび開閉部194の配置が特に限られることはない。例えば図14(a)、(b)に示すように、開口部193aがトレー本体193の側部193cに形成され、この開口部193aに開閉部194が設けられていてもよい。この場合、例えば図14(a)、(b)に示すように、水平方向に対して傾斜するよう底部193bが構成される。また、底部193bの下部に、側部193cに取り付けられたヒンジ193dを軸として回動可能な開閉部194が設けられる。これによって、図14(b)に示すように、第1搬送経路189aから送り出された硬貨を、底部193b上を摺動させた後に開口部193aから外部へ排出させることが可能になる。
《硬貨回収用部材10》
本実施の形態では、図15(a)(b)で示すように、硬貨処理装置100に対して取り外し自在になった硬貨回収用部材10が設けられている。そして、開閉部194が開状態にあるときに硬貨筐体105から外部に繰り出された硬貨が開口部193aを経て当該硬貨回収用部材10内に落下することとなる。
この硬貨回収用部材10は、本体部20と、本体部20を硬貨処理装置100に取り付けるための取付部30と、本体部20が取付部30によって硬貨処理装置100に取り付けられた状態で、開口部193aを経て落下した硬貨を受け入れる受入部40と、を備えている。硬貨回収用部材10の材料としては、例えば、プラスチック、金属等を採用することができる。
本実施の形態では、取付部30は、硬貨筐体105又は出金トレー192に係合することで本体部20を硬貨処理装置100に取り付けるようになっている。取付部30が出金トレー192に係合する場合には、例えば図15(a)(b)で示すように、出金トレー192の前面側を覆うようにして、取付部30が出金トレー192に取り付けられることとなる。なお、図15(a)(b)で示す態様では、取付部30が外れ防止部30aを有しており、この外れ防止部30aが出金トレー192の前面側の中心に係合されることとなる。この結果、硬貨回収用部材10が出金トレー192に対して安定した状態で取り付けられることとなる。
硬貨回収用部材10の受入部40の形態としては様々なものを採用することができるが、一例としては、図17(a)(b)に示すように、受入部40が、開口部193aを経て落下した硬貨を内部に収納する袋、箱等のような収納体になったものを挙げることができる。
別の例としては、図18(a)(b)に示すように、受入部40が、その下面で開口しており、開口部193aを経て落下した硬貨を受入部40の下方へ落下させる態様(シュートタイプ)を挙げることができる。なお、このような下面が開口したタイプ(シュートタイプ)を採用する場合には、図18(a)(b)に示すように、受入部40の下方に、受入部40の下面の開口を経た硬貨を受けて収容するための袋、箱、バッグ等からなる収容部45が設けられてもよい。また、この収容部45は、図18(a)(b)に示すように、貨幣処理装置が載置される載置台600の引出部610内に載置されてもよい。
本実施の形態の硬貨回収用部材10の本体部20は、図16(a)(b)に示すように、取付部30を含む第一本体部材21と、受入部40を含む第二本体部材26とに分離可能となっていてもよい。そして、この場合には、第一本体部材21と第二本体部材26とが、これら第一本体部材21と第二本体部材26との分離を防止するストッパ機構27a,22を用いて連結されていてもよい。より具体的には、受入部40を含む第二本体部材26は、先端にラッチ27aが設けられた突出部27を有している。他方、取付部30を含む第一本体部材21は、図16(b)に示すように、第二本体部材26の略全体を差し込んで収容するための差込部23を有するとともに、第二本体部材26を第一本体部材21に差し込んだときに上述したラッチ27aが嵌め込まれる切欠き22を有している。
図15(a)(b)及び図16(a)(b)等で示すように、本実施の形態の硬貨回収用部材10の本体部20には、その外面に把持部50が設けられてもよい。本実施の形態では、この把持部50は第一本体部材21の前面側の全体を覆うようにして設けられており、非常に大きなものとなっている。ちなみに、これはあくまでも一例であり、非常に小さな把持部50が設けられてもよく、第一本体部材21の前面側の一部(例えば中央部)のみを覆うようにして設けられていてもよい。但し、受入部40が袋のような収納体になった場合であって、当該受入部40に相当程度の硬貨が収納されるようになっている場合には、十分な強度を実現するという観点からは、把持部50は第一本体部材21の前面側の全体を覆うようにして設けられているか、又は、把持部50が第一本体部材21の前面側の一部のみを覆うようになっているものの当該把持部50が金属材料等から構成されている態様を採用することが考えられる。
また、本実施の形態の硬貨回収用部材10は、図19(a)(b)及び図20(a)(b)に示すように、硬貨回収用部材10の本体部20を硬貨処理装置100に取り付けた際に、出金トレー192の開閉部194を開状態にするための開き機構部60(60a,60b)を有していてもよい。このように硬貨回収用部材10が開き機構部60を有する場合には、硬貨回収用部材10の開き機構部60と連動する開き機構部196(196a,196b)を硬貨処理装置100の出金トレー192が有していてもよい。そして、このような硬貨回収用部材10の開き機構部60と出金トレー192の開き機構部196の両者によって、硬貨回収用部材10を硬貨処理装置100に取り付けた際に出金トレー192の開閉部194を開状態にする開き機構部60,196が構成されることとなる。
このような開き機構部60,196の一例としては、図19(a)(b)に示すように、出金トレー192の開閉部194がスライド形式になり開き機構部196aを構成しており、硬貨回収用部材10の開き機構部60aがスライド形式になった開閉部194に係合したり当接したりすることで開閉部194が開状態になるものを挙げることができる。また、別の例としては、図20(a)(b)に示すように、出金トレー192の開閉部194が揺動軸194aを中心に揺動可能となるとともに、開閉部194の下端から下方に突出部194bが突出しており、このような揺動軸194a及び突出部194bを含む開閉部194が出金トレー192の開き機構部196bを構成する。そして、硬貨回収用部材10の開き機構部60aが上記突出部194bに係合したり当接したりすることで開閉部194が揺動軸194aを中心に揺動することで、開閉部194が開状態になるものを挙げることができる。
また、開閉部194には、硬貨回収用部材10が硬貨処理装置100に取り付けられていないときに、出金トレー192の開閉部194を閉状態にするための閉じ機構199(199a,199b)が設けられていてもよい。一例としては、図19(a)(b)に示すように出金トレー192の開閉部194がスライド形式になり開き機構部60aを構成している場合には、開閉部194に当該開閉部194を閉状態に保とうとするバネ等の弾性部材199aが連結されており、硬貨回収用部材10が硬貨処理装置100から取り外されると、当該弾性部材199aの付勢力によって開閉部194が閉じられるようになっていてもよい。また、別の例としては、図20(a)(b)に示すように出金トレー192の開閉部194が揺動軸194aを中心に揺動可能なるとともに開閉部194の下端から下方に突出部194bが突出している場合には、開閉部194に当該開閉部194を開口部193aに向かって揺動することで閉状態に保とうとする板バネ等の付勢部材199bが連結されており、硬貨回収用部材10が硬貨処理装置100から取り外されると、当該付勢部材199bによって開閉部194が閉じられるようになっていてもよい。
また、本実施の形態では、硬貨回収用部材10を硬貨処理装置100に取り付けた際にも、残留検知センサ157及び/又は収容量検知センサ158が硬貨回収用部材10によって遮蔽されない態様となっていてもよい。つまり、硬貨回収用部材10を硬貨処理装置100に取り付けた状態においても、残留検知センサ157の発光部から発光されて残留検知センサ157の受光部で受光される光の光路上に硬貨回収用部材10が位置しない態様となってもよく、また、硬貨回収用部材10を硬貨処理装置100に取り付けた状態においても、収容量検知センサ158の発光部から発光されて収容量検知センサ158の受光部で受光される光の光路上に硬貨回収用部材10が位置しない態様となってもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、上述の硬貨処理装置100の硬貨収納部160に収納された硬貨を硬貨筐体105から外部に送り出す回収処理について、図21乃至図25を参照して説明する。
《回収処理》
はじめに作業者は、POSレジスタ300のPOS操作部352を操作して、回収処理の開始をPOSレジスタ300に指示する。POS操作部352が回収処理の指示を受けると、POSレジスタ300が硬貨処理装置100の硬貨制御部102に回収処理を実施させるよう、硬貨制御部102に指示を送る。なお、回収処理を硬貨処理装置100に開始させるための指示は、POSレジスタ300を介して硬貨処理装置100の硬貨制御部102に送られるのではなく、硬貨処理装置100に直接入力されてもよい。例えば、硬貨処理装置100の操作表示部152を操作することにより、回収処理が硬貨処理装置100に指示されてもよい。
回収処理を開始する際、作業者が回収形態を選択するステップS101が実施されてもよい。例えば、作業者が回収作業の開始の指示をPOS操作部352に入力した後、タッチパネル操作等によって選択され得る複数の回収形態がPOS表示部351に表示されてもよい。若しくは、POS操作部352が、複数の回収形態に対応するボタン等をそれぞれ含んでいてもよい。回収形態の例としては、上述の「全回収」(図21の「第1形態」)、「残置回収」(図21の「第2形態」)、「指定金額回収」(図21の「第3形態」)を挙げることができる。
複数の回収形態を選択することができる場合、回収処理は、選択された回収形態に応じて、回収処理を終了させる回収終了条件を設定するステップを含んでいてもよい。例えば全回収が選択された場合、硬貨制御部102は、回収終了条件として、「硬貨収納部160内の硬貨の枚数がゼロである」という条件や、「累積の送出量が、回収処理の開始時に硬貨収納部160内に収納されていた硬貨の量に一致する」という条件を設定する(ステップS102)。また残置回収が選択された場合、硬貨制御部102は、回収終了条件として、「硬貨収納部160内の硬貨の金額または枚数が、指定された残置量に一致する」という条件を設定する(ステップS103)。また指定回収が選択された場合、硬貨制御部102は、回収終了条件として、「累積の送出量が、指定された硬貨の金額または枚数に一致する」という条件を設定する(ステップS104)。以下に説明する例においては、全回収が選択された場合について説明する。
硬貨制御部102が回収処理の指示を受けると、硬貨制御部102は、硬貨収納部160および出金硬貨搬送部180を制御して、出金硬貨搬送部180によって搬送された硬貨を硬貨筐体105から外部に送り出す回収処理を実施する。本実施の形態においては、回収処理が選択し得る回収モードが、第1回収モードおよび第2回収モードを少なくとも含むよう、硬貨制御部102が構成されている。第1回収モードとは、所定の単位量以下の硬貨の、硬貨筐体105から外部への送り出しを、複数回実施するモードのことである。第1回収モードにおいては、開閉部194が閉状態にある出金トレー192に硬貨筐体105から硬貨が送り出される。また第2回収モードとは、単位量を超える量の硬貨を連続的に硬貨筐体105から外部に送り出すモードのことである。第2回収モードにおいては、開閉部194が開状態にある出金トレー192に硬貨筐体105から硬貨が送り出される。各回収モードの詳細については後述する。
硬貨制御部102が回収処理の指示を受けると、はじめに硬貨制御部102は、予め硬貨記憶部106等に記憶されている単位量を読み出すステップS111を実施する。「単位量」とは、出金トレー192に送り出された硬貨を作業者が出金トレー192から取り出す時に、出金トレー192から硬貨がこぼれ落ちてしまうことを抑制するよう、出金トレー192の容量に応じて定められた量のことである。例えば、出金トレー192に送り出される硬貨が全て100円玉である場合、単位量が60枚に定められ得る。また、出金トレー192に送り出される硬貨の金種に応じて単位量が定められていてもよい。例えば、出金トレー192に送り出される硬貨が全て500円玉である場合、単位量が30〜40枚の範囲内に定められ得る。また、出金トレー192に送り出される硬貨が様々な金種を含む場合、単位量が40〜60枚の範囲内に定められ得る。このように「単位量」は、出金トレー192の容量だけでなく、送り出され得る硬貨の金種をも考慮して定められてもよい。以下に説明する例においては、単位量が、出金トレー192に送り出される硬貨の金種に依らず50枚である場合について説明する。
なお図21においては、単位量を読み出すステップS111が、回収形態を選択するステップS101の後であって、第1回収モードS200が開始される前に実施される例を示した。しかしながら、単位量を読み出すステップS111が実施されるタイミングが特に限られることはない。
その後、硬貨制御部102は、図21に示すように、第1回収モードS200を実施して、硬貨筐体105から出金トレー192への硬貨の送り出しを開始する。次に、出金トレー192の開閉部194が開いているかどうかを判断する開閉判断ステップS400を実施する。図21に示すように、開閉判断ステップS400において開閉部194が開状態にあると判断された場合、硬貨制御部102はその後、第2回収モードS300を実施する。一方、開閉判断ステップS400において開閉部194が閉状態にあると判断された場合、硬貨制御部102はその後、継続して第1回収モードS200を実施する。
以下、図22を参照して、第1回収モードS200、第2回収モードS300および開閉判断ステップS400について詳細に説明する。はじめに、開閉判断ステップS400について説明する。
第1回収モードS200が開始されると、はじめに、硬貨筐体105から出金トレー192へ硬貨を送り出すステップS201が実施される。図23(a)は、第1回収モードS200において硬貨の送り出しが実施されている時に硬貨処理装置100あるいはPOSレジスタ300の表示部152,351に表示される画面の一例を示す図である。次に、上述の開閉判断ステップS400が実施される。開閉判断ステップS400は、図22に示すように、所定の判定期間の間、残留検知センサ157が継続して遮光されていたかどうかに基づいて開閉部194の開閉状態を判断するステップS401を含んでいる。
具体的には、ステップS401においては、硬貨筐体105から硬貨制御部102へ硬貨が送り出されている際、所定の判定期間にわたって継続して残留検知センサ157の各受光部が対応する発光部からの光を受光しなかった場合、開閉部194が閉状態にあると判断される。なぜなら、開閉部194が閉状態にある場合、開閉部194上に硬貨が積み上げられており、このため残留検知センサ157の受光部には、所定の判定期間の間、対応する発光部からの光が全く到達しないからである。この場合、第1回収モードS200による硬貨の送り出しが継続される(ステップS202)。すなわち、第1回収モードS200が継続される。
一方、ステップS401においては、硬貨筐体105から硬貨制御部102へ硬貨が送り出されている際、所定の判定期間の間に残留検知センサ157の受光部が対応する発光部からの光を受光する時があった場合、開閉部194が開状態にあると判断される。なぜなら、開閉部194が開状態にある場合、硬貨が開口部193aを通過して出金トレー192の下方に配置された硬貨回収用部材10等へ向かう。このため、所定の判定期間の間に、残留検知センサ157の発光部からの光が少なくとも部分的に硬貨間の隙間を通って対応する受光部に到達すると考えられるからである。この場合、回収モードが第1回収モードS200から第2回収モードS300に移行される(ステップS402)。
上述の判定期間は、開閉部194が開状態にある場合には、残留検知センサ157の発光部からの光が少なくとも部分的に硬貨間の隙間を通って対応する受光部に到達することができる程度に長く設定される。一方、判定期間が長く設定され過ぎると、ステップS401が完了するよりも前に、硬貨筐体105から送り出された硬貨の送出量が単位量に到達してしまうことが考えられる。これらの点を考慮すると、例えば判定期間は、100ms〜200msの範囲内に設定される。もちろん、単位量によっては、判定期間が200msよりも長く設定されていてもよい。
なお、硬貨の送り出しを開始した直後に上述のステップS401を実施する場合、開閉部194が閉状態にある場合であっても、残留検知センサ157の発光部から発光された光が硬貨によっては完全に遮蔽されず、部分的に受光部に到達してしまい、開閉部194の開閉状態が誤って判断されてしまうことが考えられる。このような誤判断が生じることを抑制するため、硬貨の送り出しを開始した後、所定の期間が経過するのを待ってから、上述のステップS401を実施してもよい。
次に、第1回収モードS200について説明する。第1回収モードS200においては、硬貨筐体105から出金トレー192へ硬貨が送り出されている間、硬貨の送出量が単位量に到達したかどうかを、一定の間隔で判定する(ステップS203)。
硬貨の送出量が単位量に到達していない場合、次に、回収終了条件に到達したかどうかが判定される(ステップS204)。例えば、硬貨収納部160内の硬貨の枚数がゼロであるかどうかを判定する。回収終了条件に到達している場合、硬貨制御部102は、硬貨の送り出しを停止させて、第1回収モードS200を終了させる。一方、回収終了条件に到達していない場合、硬貨制御部102は、硬貨筐体105から出金トレー192への硬貨の送り出しを継続させる(ステップS202)。
硬貨の送出量が単位量に到達していた場合、硬貨制御部102は、硬貨収納部160からの硬貨の送り出しを停止させる(ステップS205)。このとき、図23(b)に示すように、出金トレー192に送り出された硬貨の回収を作業者に促すための画像が硬貨処理装置100あるいはPOSレジスタ300の表示部152,351に表示されてもよい。
第1回収モードS200においては、硬貨収納部160からの硬貨の送り出しが停止された後、一定の間隔で残留検知センサ157を確認して(ステップS206)、残留検知センサ157が遮光されているかどうかを判定する(ステップS207)。すなわち、残留検知センサ157の受光部が、対応する発光部から発光された光を受光していないかどうかを判定する。これによって、出金トレー192に硬貨が残っているかどうか、すなわち出金トレー192の硬貨が作業者によって完全に取り出されたかどうかを判定する。
残留検知センサ157が遮光されている場合、すなわち受光部が光を受光していない場合、出金トレー192に硬貨が残っていると判定される。この場合、硬貨制御部102は、一定の期間を空けて、残留検知センサ157を確認するステップS206を再び実施する。
残留検知センサ157が遮光されていない場合、すなわち受光部が光を受光している場合、出金トレー192に硬貨が残っていないと判定される。この場合、硬貨制御部102は、送出量をリセットする(ステップS208)。その後、硬貨制御部102は、次の回の、出金トレー192への硬貨の送り出しを実施させる(ステップS202)。このようにして、第1回収モードにおいては、単位量の硬貨の送り出しが、回収終了条件に到達するまで複数回にわたって自動的に繰り返し実施される。図23(c)は、第1回収モードS200が終了した時に硬貨処理装置100あるいはPOSレジスタ300の表示部152,351に表示される画面の一例を示す図である。
なお、回収処理が開始された直後の第1回収モードS200において、「送出量」とは、開閉判断ステップS400の前の、ステップS201における送出量、および、開閉判断ステップS400の後の、ステップS202における送出量の和である。一方、単位量に到達するまでの1回目の硬貨の送り出しが終了した後の、2回目以降の硬貨の送り出しの場合、「送出量」とは、ステップS202における送出量のことである。
また、ステップS208においてリセットされる送出量は、第1回収モードの各回における送出量である。各回における送出量とは別に、各回の送出量を積算した累積の送出量が、リセットされずに保持されていてもよい。
次に、第2回収モードS300について説明する。図24(a)は、第2回収モードS300において硬貨の送り出しが実施されている時(ステップS301)に硬貨処理装置100あるいはPOSレジスタ300の表示部152,351に表示される画面の一例を示す図である。
第2回収モードS300においては、硬貨筐体105から出金トレー192へ硬貨が送り出され、開口部193aを通った硬貨が硬貨回収用部材10内に投入されている間(ステップS301)、回収終了条件に到達したかどうかを、一定の間隔で判定する(ステップS302)。例えば、硬貨収納部160内の硬貨の枚数がゼロであるかどうかを判定する。回収終了条件に到達していない場合、硬貨制御部102は、硬貨の送り出しを継続させる(ステップS301)。一方、回収終了条件に到達している場合、硬貨制御部102は、硬貨の送り出しを停止させて、第2回収モードS300を終了させる(ステップS303)。このように第2回収モードS300においては、硬貨の連続的な送り出しが、回収終了条件に到達するまで継続される。図24(b)は、第2回収モードS300が終了した時に硬貨処理装置100あるいはPOSレジスタ300の表示部152,351に表示される画面の一例を示す図である。
なお、第2回収モードS300において、「送出量」とは、開閉判断ステップS400の前の、ステップS201における送出量、および、開閉判断ステップS400の後の、ステップS301における送出量の和である。
《効果》
本実施の形態によれば、硬貨処理装置100の硬貨制御部102によって実施される回収処理として選択し得る回収モードが、所定の単位量の硬貨の、硬貨筐体105から出金トレー192への送り出しを複数回実施する第1回収モードS200を含んでいる。このため、硬貨筐体105から出金トレー192の容量に応じて単位量を予め適切に設定しておくことにより、適切な量の硬貨を出金トレー192に送り出すことができる。これによって、回収処理の際に硬貨が出金トレー192からこぼれ落ちてしまうことを容易に抑制することができる。
また本実施の形態によれば、回収モードが、単位量を超える量の硬貨を連続的に硬貨筐体105から出金トレー192の開口部193aを介して硬貨回収用部材10に送り出す第2回収モードをさらに含んでいる。このため、状況に応じて第1回収モードS200と第2回収モードS300とを使い分けることができる。例えば上述のように、硬貨筐体105から出金トレー192への硬貨の送り出しを行っている間に、残留検知センサ157に基づいて、開閉部194が開状態にあると判断されると、回収モードが自動的に第2回収モードS300に移行される。このため、回収処理の作業性を向上させることができる。
このように本実施の形態によれば、新たなセンサを追加することなく、従来から一般に設けられている残留検知センサ157を用いて、第1回収モードS200の際に硬貨が出金トレー192からこぼれ落ちてしまうことを抑制することができる。また残留検知センサ157を用いて、回収処理の作業性を向上させることができる第2回収モードS300に自動的に移行させることができる。
なお、第1回収モードS200および第2回収モードS300のいずれにおいても、収容量検知センサ158が遮光されている場合、すなわち出金トレー192が満杯になっている場合、硬貨の送り出しが停止されてもよい。第1回収モードS200の場合、出金トレー192内における硬貨の積み上がり方によっては、送出量が単位量以下の場合であっても、出金トレー192が満杯になる可能性がゼロではない。また第1回収モードS200の場合にも、残留検知センサ157の誤作動などに基づいて、出金トレー192が満杯になる可能性がある。従って、収容量検知センサ158に基づいた制御を実施することは有用である。図25は、出金トレー192が満杯である場合に硬貨処理装置100あるいはPOSレジスタ300の表示部152,351に表示される画面の一例を示す図である。
なお上述の本実施の形態においては、残留検知センサ157が、光を発光する発光部と、発光部で発光された光を受光する受光部とを有する光学式のものである例を示した。しかしながら、出金トレー192のトレー本体193に硬貨が存在しているかどうかを検知することができる限りにおいて、残留検知センサ157の具体的な方式や構成が特に限られることはない。例えば残留検知センサ157は、光以外の物理量、例えば磁気などに基づいて、出金トレー192のトレー本体193に硬貨が存在しているかどうかを検知するよう構成されていてもよい。
第2の実施の形態
次に図26乃至図31を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。上述の第1の実施の形態においては、硬貨の送り出しが行われている時(送り出し動作前)に、開閉部194が開状態にあるか閉状態にあるかが検知される例を示した。第2の実施の形態においては、硬貨の送り出しが行われていない時に、開閉部194が開状態にあるか閉状態にあるかが検知され、その結果に基づいて第1回収モードまたは第2回収モードが選択される例について説明する。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、第1の実施の形態において得られる作用効果が第2の実施の形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
図26(a)および図26(b)はそれぞれ、閉状態および開状態にある出金トレー192を示す図である。図26(a)、(b)に示すように、本実施の形態において硬貨処理装置100は、出金トレー192の近傍において硬貨筐体105に設けられ、開閉部194が開状態にあるか閉状態にあるかを検知する開閉検知センサ195をさらに備えている。図26(a)、(b)に示す例において、開閉検知センサ195は、光を発光する発光部195aと、発光部195aで発光された光を受ける受光部195bと、を含んでいる(いわゆるフォトインタラプタ)。また開閉部194の底面には、開閉部194が閉状態にある時に発光部195aと受光部195bとの間に位置し、発光部195aから受光部195bに向かう光を遮蔽する遮蔽板194cが取り付けられている。この場合、受光部195bが光を受光していない場合は、開閉部194が図26(a)に示すような閉状態にあると判断される。一方、受光部195bが光を受光している場合は、開閉部194が図26(b)に示すような開状態にあると判断される。
なお、硬貨の送り出しが行われていない時に開閉部194の開閉状態を判断するための開閉検知センサ195の構成が、図26(a)、(b)に示す構成に限られることはない。例えば図27(a)、(b)に示すように、開閉検知センサ195は、開閉部194の底面に取り付けられた金属片194dが近傍に存在するかどうかに基づいて開閉検知センサ195の開閉状態を判断する磁気センサ195cであってもよい。この場合、金属片194dが磁気センサ195cの近傍に存在する場合は、開閉部194が図27(a)に示すような閉状態にあると判断される。一方、金属片194dが磁気センサ195cの近傍に存在しない場合は、開閉部194が図27(b)に示すような開状態にあると判断される。
上述の図26(a)、(b)および図27(a)、(b)においては、開閉部194の開閉を非接触で検知することができるよう開閉検知センサ195が構成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、例えば図28(a)、(b)に示すように、開閉検知センサ195は、開閉部194が接触しているかどうかに基づいて開閉検知センサ195の開閉状態を判断するマイクロスイッチ195dであってもよい。この場合、マイクロスイッチ195dが押されている場合は、開閉部194が図28(a)に示すような閉状態にあると判断される。一方、マイクロスイッチ195dが押されていない場合は、開閉部194が図28(b)に示すような開状態にあると判断される。
上述の図26(a)、(b)、図27(a)、(b)および図28(a)、(b)においては、残留検知センサ157とは別に設けられた開閉検知センサ195によって、硬貨筐体105から出金トレー192への硬貨の送り出しが行われていない時に、開閉部194の開閉状態が判断される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、硬貨の送り出しが行われていない時に、残留検知センサ157に基づいて、開閉部194の開閉状態が判断されてもよい。すなわち残留検知センサ157が、本実施の形態における開閉検知センサ195として機能してもよい。例えば図29(b)に示すように、開閉部194が開状態にあるときには、残留検知センサ157の第3発光部157eから第3受光部157fに至る光Lが開閉部194によって遮蔽されるよう、開閉部194、第3発光部157eおよび第3受光部157fを配置する。この場合、硬貨の送り出しが行われていない場合であって、第3受光部157fが光を受光している場合は、開閉部194が図29(a)に示すような閉状態にあると判断される。一方、硬貨の送り出しが行われていない場合であって、第3受光部157fが光を受光していない場合は、開閉部194が図29(b)に示すような開状態にあると判断される。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、硬貨処理装置100の硬貨収納部160に収納された硬貨を硬貨筐体105から外部に送り出す回収処理について、図30および図31を参照して説明する。
《回収処理》
回収処理が指示されると、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、本実施の形態においても、はじめに、作業者が回収形態を選択するステップS101や、単位量を読み出すステップS111などが実施される。その後、本実施の形態においては、図30に示すように、硬貨の送り出しが行われていない時に、例えば硬貨の送り出しが開始される前に、出金トレー192の開閉部194が開いているかどうかを判断する開閉判断ステップS400を実施する。開閉判断ステップS400において、開閉部194が開状態にあることが、開閉検知センサ195に基づいて判断された場合、硬貨制御部102はその後、第2回収モードS300を開始する。一方、開閉判断ステップS400において、開閉部194が閉状態にあることが、開閉検知センサ195に基づいて判断された場合、硬貨制御部102はその後、第1回収モードS200を開始する。
図31(a)および図31(b)はそれぞれ、本実施の形態における第1回収モードS200および第2回収モードS300を示すフローチャートである。図31(a)に示すように、第1回収モードS200が開始されると、硬貨筐体105から出金トレー192へ硬貨を送り出すステップS202が実施される。その後、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、単位量の硬貨の送り出しが、回収終了条件に到達するまで複数回にわたって実施される。一方、図31(b)に示すように、第2回収モードS300においては、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、硬貨の連続的な送り出しが、回収終了条件に到達するまで継続される。
なお、本実施の形態による第1回収モードS200や第2回収モードS300において、「送出量」とは、開閉判断ステップS400の後の、ステップS202やステップS301における送出量のことである。
《効果》
本実施の形態によれば、硬貨筐体105から出金トレー192への硬貨の送り出しが行われていない時に、開閉検知センサ195に基づいて、開閉部194が開状態にあるか閉状態にあるかを判断することができる。このため、硬貨筐体105から出金トレー192への硬貨の送り出しを開始する前に、第1回収モードS200または第2回収モードS300のいずれかが自動的に選択され得る。これによって、硬貨処理装置100の制御をより簡潔なものとすることができ、このことにより、回収処理の誤作動などが生じることを抑制することができる。
なお上述の第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、残留検知センサ157や開閉検知センサ195などのセンサに基づいて、開閉部194の開閉状態が判断される例を示した。しかしながら、開閉部194の開閉状態を判断するための手段が、上述の手段に限られることはない。例えば開閉部194がモーターなどの駆動手段によって駆動される場合、モーターの駆動状況(駆動動作を行ったか否か)に応じて、開閉部194の開閉状態を判断してもよい。
また上述の第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、開閉部194の開閉状態に基づいて自動的に、第1回収モードS200および第2回収モードS300の切り替えや選択が実施される例を示した。しかしながら、これにかぎられることはなく、第1回収モードS200および第2回収モードS300の切り替えや選択が、POS操作部352や操作表示部152等の操作部への入力によって手動で実施されてもよい。例えばPOS操作部352には、第1回収モードS200または第2回収モードS300を選択するためのボタンなどが設けられていてもよい。
第3の実施の形態
次に図32乃至図34を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。上述の第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、第1回収モードS200および第2回収モードS300のいずれの場合にも、硬貨筐体105から出金トレー192に向けて硬貨が繰出される例を示した。第3の実施の形態においては、第1回収モードS200の場合に硬貨が硬貨筐体105から送り出される場所と、第2回収モードS300の場合に硬貨が硬貨筐体105から送り出される場所とが異なる例について説明する。第3の実施の形態において、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、第1の実施の形態または第2の実施の形態において得られる作用効果が第3の実施の形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
図32は、本実施の形態における硬貨処理装置100を示す斜視図である。図32に示すように、硬貨処理装置100は、硬貨筐体105に装着可能な回収カセット550をさらに備えている。図示はしないが、本実施の形態において、硬貨処理装置100の出金トレー192には、開口部193aや開閉部194が設けられていなくてもよい。
図示はしないが、回収カセット550は、硬貨筐体105から送り出された硬貨を受け入れる開口部と、開口部開閉するシャッター機構と、を有していてもよい。この場合、好ましくは、シャッター機構は、回収カセット550を硬貨処理装置100に装着する動作に連動して、シャッター機構が開放され、これによって回収カセット550が硬貨筐体105から硬貨を受け入れ(回収)可能となるよう、動作する。また好ましくは、シャッター機構は、回収カセット550を硬貨処理装置100から取り外す動作に連動して、シャッター機構が閉じられて開口部が閉鎖されるよう、動作する。この場合、回収カセット550が持ち運ばれている間は、硬貨が回収カセット550から露出しないので、回収カセット550の持ち運び作業の安全性を高めることができる。このような回収カセット550は、回収カセット550が精算室等に持ち込まれたときに、鍵などの操作によってシャッター機構が開放され得るよう、構成されている。
また図示はしないが、硬貨処理装置100は、回収カセット550が硬貨筐体105に装着されているかどうかを検知するカセット装着検知手段をさらに備えていてもよい。カセット装着検知手段は、上述の開閉検知センサ195の場合と同様に、フォトインタラプタ、磁気センサやマイクロスイッチ等として構成され得る。また図示はしないが、上述の棒金管理装置500がさらに設けられていてもよい。
図33は、本実施の形態における硬貨処理装置100で用いられる硬貨収納部160、出金硬貨搬送部180、硬貨払出部190、回収カセット550等を示した縦断面図である。図33に示すように、硬貨処理装置100は、硬貨を硬貨筐体105から出金トレー192へ搬送する第1搬送経路189aに加えて、第1搬送経路189aとは異なる場所で硬貨を硬貨筐体105から外部へ搬送する第2搬送経路189bをさらに備えている。第2搬送経路189bは、例えば図33において矢印Bで示すように、硬貨筐体105から回収カセット550へ硬貨を送り出すように構成されている。第1搬送経路189aと第2搬送経路189bとの間における、硬貨の搬送経路の切り替えは、例えば図33に示すように、ガイド板188aに設けられた駆動部189dを軸として回動するよう構成された可動板189cによって実現され得る。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、硬貨処理装置100の硬貨収納部160に収納された硬貨を硬貨筐体105から外部に送り出す回収処理について、図34を参照して説明する。
《回収処理》
回収処理が指示されると、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、本実施の形態においても、はじめに、作業者が回収形態を選択するステップS101や、単位量を読み出すステップS111などが実施される。その後、本実施の形態においては、図34に示すように、硬貨の送り出しが行われていない時に、例えば硬貨の送り出しが開始される前に、回収モードを決定する回収モード決定ステップS500が実施される。回収モードが第1回収モードS200に決定されると、硬貨制御部102は、第1回収モードS200を開始する。一方、回収モードが第1回収モードS200に決定されると、硬貨制御部102は、第2回収モードS300を開始する。
以下、回収モード決定ステップS500について説明する。回収モードを第1回収モードS200または第2回収モードS300に決定するための方法が特に限られることはなく、様々な方法が採用され得る。例えば、POS操作部352や操作表示部152等の操作部への入力に基づいて、回収モードが第1回収モードS200または第2回収モードS300に決定されてもよい。また、回収カセット550が硬貨筐体105に装着されているかどうかを検知するカセット装着検知手段が設けられている場合、回収カセット550の有無に基づいて回収モードが自動的に決定されてもよい。例えば、回収カセット550が硬貨筐体105に装着されていることがカセット装着検知手段によって検知された場合、回収モードが第2回収モードS300に決定され、第2回収モードS300が実施される。
回収モードが第1回収モードS200に決定された場合、硬貨制御部102は、第1搬送経路189aを介して硬貨が硬貨筐体105から出金トレー192へ搬送されるよう、可動板189cの位置を制御する。その後、硬貨制御部102は、第1回収モードS200を実施させ、硬貨の送り出しを開始させる。第1回収モードS200における硬貨の送出方法は、図31(a)に示す第2の実施の形態における硬貨の送出方法と同一であるので、詳細な説明を省略する。
回収モードが第2回収モードS300に決定された場合、硬貨制御部102は、第2搬送経路189bを介して硬貨が硬貨筐体105から回収カセット550へ搬送されるよう、可動板189cの位置を制御する。その後、硬貨制御部102は、第2回収モードS300を実施させ、硬貨の送り出しを開始させる。第2回収モードS300における硬貨の送出方法は、図31(b)に示す第2の実施の形態における硬貨の送出方法と同一であるので、詳細な説明を省略する。なお本実施の形態による第2回収モードS300において、回収カセット550内の硬貨が満杯になったことは、例えば、出金硬貨搬送部180や第2搬送経路189bに設けられたセンサによって検知され得る。
変形例
上述の各実施の形態において、第1回収モードS200および第2回収モードS300における、硬貨収納部160からの硬貨の繰り出しは、硬貨の金種ごとに実施されてもよい。この場合、例えば回収形態として全回収が選択されていると仮定すると、回収終了条件は、「硬貨収納部160内の硬貨の枚数がゼロである」という条件ではなく、「硬貨収納部160内の特定の金種の硬貨の枚数がゼロである」という条件になる。従って、硬貨収納部160内の特定の金種の硬貨の枚数がゼロになると、回収処理が終了され、その後、異なる金種の硬貨に対して、回収処理が新たに開始される。この場合、特定の金種の硬貨の回収処理が終了するたびに、POS表示部351や操作表示部152等の表示部に、特定の金種の硬貨の回収処理が終了した旨のメッセージや、続けて次の金種の回収処理が実施される旨のメッセージが表示されてもよい。例えば、「○○円硬貨の回収を終了しました。次に△△円硬貨の回収を実施します。」等のメッセージが表示され得る。
また上述の各実施の形態においては、回収処理が選択し得る回収モードが、第1回収モードS200および第2回収モードS300を少なくとも含む例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、回収処理が選択し得る回収モードは、第1回収モードS200を少なくとも含んでいればよい。このように第2回収モードS300が設けられていない場合であっても、回収処理の際に硬貨が出金トレー192からこぼれ落ちてしまうことを容易に抑制する、という効果が、第1回収モードS200によって実現され得る。
また上述の各実施の形態においては、回収処理において、硬貨収納部160から繰り出された硬貨が、出金硬貨搬送部180を介して出金トレー192などの硬貨払出部190へ送り出される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、硬貨収納部160から繰り出された硬貨が、出金硬貨搬送部180を介することなく出金トレー192などの硬貨払出部190へ送り出されてもよい。例えば、図示はしないが、硬貨収納部160から繰り出された硬貨が、シュートを介して出金トレー192などの硬貨払出部190へ送り出されてもよい。この場合、硬貨処理装置100は出金硬貨搬送部180を備えていなくてもよい。
また上述の各実施の形態の第1回収モードにおける複数回の送り出しにおいて、1回1回の送出量が可変に設定されていてもよい。但し、1回1回の送出量は、上述の「単位量」以下に設定される。このことにより、回収処理の際に硬貨がこぼれ落ちてしまうことを抑制することができる。
最後になったが、上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。