《構成》
以下、本発明に係る貨幣処理装置、貨幣処理システム及び処理方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図11は本発明の実施の形態を説明するための図である。なお、本願において「貨幣」とは「硬貨」、「紙幣」又は「硬貨」及び「紙幣」の両方のことを意味する。したがって、本願の「貨幣処理装置」は、「硬貨処理装置100」、「紙幣処理装置200」、又は、「硬貨処理装置100」及び「紙幣処理装置200」の両方のことを意味する。なお、以下では、貨幣処理装置100,200が硬貨処理装置100及び紙幣処理装置200の両方を含む態様を用いて説明する。
本願の貨幣処理システムは、棒金を収納するための棒金ドロア(特許請求の範囲の「棒金収納庫」に対応する。)506を有する棒金管理装置500を備えている(図1及び図2参照)。本願の貨幣処理システムは、硬貨処理装置100、紙幣処理装置200及び棒金管理装置500のいずれか1つ以上に接続されたPOSレジスタ300、パソコン、サーバ400等を備えてもよい。なお、硬貨処理装置100、紙幣処理装置200及び棒金管理装置500の各々が別体となっていてもよいが、これら硬貨処理装置100、紙幣処理装置200及び棒金管理装置500のうちのいずれか2つ以上は一体となってもよい。このため、硬貨処理装置100と紙幣処理装置200とは、別体となっていてもよいし一体となっていてもよい。また、硬貨処理装置100と棒金管理装置500とは、別体となっていてもよいし一体となっていてもよい。なお、本実施の形態で「外部装置」という文言が用いられた場合は、対象となっている装置以外の装置のことを意味する。
本実施の形態では、硬貨処理装置100、紙幣処理装置200、棒金管理装置500、POSレジスタ300及びサーバ(例えば店舗サーバ)400を備えた貨幣処理システムを用いて説明する。
図2乃至図4に示すように、本実施の形態のPOSレジスタ300はサーバ400に通信接続されている。そして、POSレジスタ300からサーバ400に売上金情報等の情報が送信されるようになっている。また、各種設定情報等の情報が、サーバ400からPOSレジスタ300(複数台でも可)に送信されるようになっている。なお、本実施の形態における「通信接続」には、有線での接続のみではなく無線での接続も含まれている。
図3及び図4に示すように、硬貨処理装置100は、硬貨処理装置100の一部や紙幣処理装置200の一部等を制御する上位制御部101と、硬貨処理装置100を制御する硬貨制御部102とを有しており、これら上位制御部101及び硬貨制御部102は通信接続されている。また、紙幣処理装置200は、紙幣処理装置200を制御する紙幣制御部202を有しており、この紙幣制御部202は硬貨処理装置100の上位制御部101に通信接続されている。また、棒金収納装置500は、棒金収納装置500を制御する棒金制御部502を有しており、この棒金制御部502は硬貨処理装置100の上位制御部101に通信接続されている。また、図4に示すように、POSレジスタ300は、POSレジスタ300を制御するPOS制御部302を有しており、このPOS制御部302は硬貨処理装置100の上位制御部101に通信接続されている。
そして、硬貨処理装置100において硬貨の入金処理、出金処理、精査処理、回収処理等の様々な処理を行うと、硬貨処理装置100の硬貨識別部150(図2参照)で識別された結果は硬貨処理装置100からPOSレジスタ300に出力されて、当該結果が後述するPOS表示部351で表示される。また、紙幣処理装置200において紙幣の入金処理、出金処理、精査処理、回収処理等の様々な処理を行うと、紙幣処理装置200の紙幣識別部250で識別された結果も紙幣処理装置200から上位制御部101を介してPOSレジスタ300に出力されて、当該結果がPOS表示部351で表示される。また、棒金収納装置500から出力される棒金の有無に関する情報、棒金の金種に関する情報等も棒金収納装置500から上位制御部101を介してPOSレジスタ300に出力されて、当該情報がPOS表示部351で表示される。
以下、紙幣処理装置200、硬貨処理装置100、棒金収納装置500及びPOSレジスタ300の構成について、説明する。
《紙幣処理装置200》
まず、本実施の形態の紙幣処理装置200の構成について説明する。ちなみに、本実施の形態の紙幣処理装置200は、スーパー、コンビニエンスストア、ショッピングモール、百貨店等の様々な場所で利用され、紙幣の入出金処理を行う紙幣釣銭機となっている。ところで、紙幣処理装置200としてはこのような紙幣釣銭機には限られることはなく、例えば紙幣入金機、紙幣出金機、券売機、自動販売機等も含まれる。
図2に示すように、紙幣処理装置200は、略直方体形状の紙幣筐体203と、紙幣を紙幣筐体203の外部から入金するための紙幣受入部210と、紙幣受入部210から入金された紙幣を搬送する紙幣搬送部220と、紙幣受入部210から入金された紙幣の金種等を識別して計数する紙幣識別部250と、紙幣搬送部220で搬送された紙幣を収納するとともに収納された紙幣を繰り出す紙幣収納部260と、リジェクト紙幣や紙幣収納部260に収納されていた紙幣を出金するための紙幣払出部290と、を備えている。なお、紙幣搬送部220は、図2に示すように、紙幣筐体203内の略中央部に設けられた環状の周回搬送部220aと、紙幣受入部210、紙幣収納部260、紙幣払出部290等と、周回搬送部220aとの間をそれぞれ接続する複数の接続搬送部220bとを有している。ちなみに、周回搬送部220aに紙幣識別部250が設けられている。また、本実施の形態の紙幣収納部260は金種別に紙幣を収納する3つの金種別紙幣収納部261(261a,261b,261c)を有している。
紙幣受入部210は、紙幣が入金されると自動で又は後述する操作表示部152、ボタン式操作部153、POS操作部352等からの入力信号を受けて駆動されて当該紙幣を紙幣筐体203内に繰り出す入金紙幣操出部(図示せず)を有している。また、紙幣収納部260は、必要に応じて紙幣収納部260から紙幣を繰り出す出金紙幣繰出部(図示せず)を有している。
また、図2に示すように、紙幣搬送部220には、回収処理を行う際に紙幣収納部260から繰り出された紙幣を収納する回収カセット235が連結されている。なお、紙幣識別部250で識別された紙幣の金種を収納するための紙幣収納部260がフル(満杯)状態又はニアフル(ほぼ満杯)状態である場合には、この紙幣はオーバーフロー紙幣として、回収カセット235に収納される。
また、図2に示すように、紙幣搬送部220には、紙幣収納部260から繰り出された紙幣が紙幣識別部250によって識別できない場合に、当該紙幣(出金リジェクト紙幣)を収納する出金リジェクト部230が連結されている。
紙幣処理装置200の各金種に関する在高は、対象となる金種別紙幣収納部261に収納された紙幣の枚数から当該金種別紙幣収納部261から繰り出された紙幣の枚数を差し引くことで算出可能となる。より具体的には、各金種別紙幣収納部261に対応して設けられた検知センサ225からの情報に基づいて対象となる金種別紙幣収納部261内に紙幣が収納されたことが検出され、他方、当該検知センサ225からの情報に基づいて対象となる金種別紙幣収納部261から紙幣が繰り出されたことが検出される。
なお、金種別紙幣収納部261の各々に、金種別紙幣収納部261内に収納されている紙幣の残量を検知する収容量検知センサ262(図4参照)が設けられてもよい。このような収容量検知センサ262が設けられている場合には、当該収容量検知センサ262からの情報を受けて金種別紙幣収納部261内において紙幣が、ニアフル状態なのか、フル状態なのか、ニアエンプティ(ほぼ空)状態なのか、エンプティ(空)状態なのかが紙幣制御部202で判断されるようにしてもよい。
各金種別紙幣収納部261内に収納されている紙幣の在高情報(紙幣の枚数)や紙幣の収納状態(ニアフル状態なのか、フル状態なのか、ニアエンプティ状態なのか、エンプティ状態なのか)は、硬貨処理装置100の上位記憶部155(図4参照)に送られて当該上位記憶部155で記憶されてもよい。
各金種別紙幣収納部261は紙幣を例えば100枚〜200枚収納することができるようになっている。具体的な例を持ち出して説明すると、金種別紙幣収納部261aは千円紙幣を200枚収納することができ、金種別紙幣収納部261bは五千円紙幣を100枚収納することができ、金種別紙幣収納部261cは一万円紙幣を200枚収納することができるようになっている。ちなみに、オーバーフローした紙幣は、例えば200枚までであれば回収カセット235に収納可能となる。
また、図2に示すように、検知センサ225は、出金リジェクト部230及び回収カセット235の各々に対応するようにも設けられており、当該検知センサ225からの情報に基づいて、出金リジェクト部230及び回収カセット235の各々に収納されている紙幣の枚数も検出できるようになっている。これら出金リジェクト部230及び回収カセット235の各々に収納されている紙幣の枚数に関する情報も、硬貨処理装置100の上位記憶部155に送られて当該上位記憶部155で記憶されてもよい。ちなみに、本実施の形態では、紙幣受入部210及び紙幣払出部290にも対応して検知センサ225が設けられているが、この検知センサ225は紙幣受入部210で受け入れられた紙幣が当該検知センサ225を通過したか、また、紙幣払出部290から払い出されるべき紙幣が当該検知センサ225を通過したかを検知するために用いられる。
図4に示すように、紙幣処理装置200の紙幣制御部202には、インターフェース232、紙幣受入部210、紙幣搬送部220、出金リジェクト部230、紙幣識別部250、紙幣収納部260、紙幣払出部290、収容量検知センサ262、検知センサ225等がそれぞれ接続されている。そして、紙幣制御部202は、紙幣受入部210、紙幣搬送部220、出金リジェクト部230、紙幣識別部250、紙幣収納部260、紙幣払出部290、収容量検知センサ262、検知センサ225等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。なお、紙幣制御部202には、様々な情報を記憶する紙幣記憶部205と、カードに記録された情報を読み取るカードリーダ270と、紙幣収納部260、出金リジェクト部230、回収カセット235等の所定のユニットをロックしたり、紙幣収納部260、出金リジェクト部230、回収カセット235等の所定のユニットを解錠したりする電磁閉鎖ロック部275も接続されており、これらと信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。
一例としては、本実施の形態の紙幣処理装置200における紙幣の入金速度は2.5枚/秒であり、他方、紙幣の出金速度は2.0枚/秒である。また、一例として、紙幣受入部210に一度に投入可能な紙幣の枚数は20枚であり、紙幣払出部290で一度に出金可能な紙幣の枚数は10枚である。
また、本実施の形態の紙幣処理装置200は自動精査すなわち自動在高確認動作ができるようになっていてもよい。つまり、操作表示部152、POS操作部352等から実行指示の入力を受けたり所定の設定時刻になったりすることで、紙幣処理装置200は各金種別紙幣収納部261内に収納されている紙幣の計数を開始し、実際の紙幣の在高が紙幣記憶部205等に記憶されている紙幣の在高と合致しているかを確認できるようなってもよい。
《硬貨処理装置100》
次に、本実施の形態の硬貨処理装置100の構成について説明する。ちなみに、本実施の形態の硬貨処理装置100は、スーパー、コンビニエンスストア、ショッピングモール、百貨店等の様々な場所で利用され、硬貨の入出金処理を行う硬貨釣銭機となっている。ところで、硬貨処理装置100としてはこのような硬貨釣銭機には限られることはなく、例えば硬貨入金機、硬貨出金機、券売機、自動販売機等も含まれる。
図4に示すように、本実施の形態の硬貨処理装置100の上位制御部101には、インターフェース132と、操作表示部152と、物理的なボタン等からなるボタン式操作部153と、様々な情報を記憶する上位記憶部155が接続されており、これらと信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。また、硬貨制御部102には、後述する、上位制御部101との間のインターフェース133、硬貨受入部110、入金硬貨搬送部120、硬貨識別部150、硬貨収納部160、振分部127,129、出金硬貨搬送部180、硬貨払出部190、硬貨が通過したことを検知する検知センサ124,125,165及び様々な情報を記憶する硬貨記憶部105等が接続されている。そして、上位制御部101は、操作表示部152、ボタン式操作部153及び上位記憶部155等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。また、硬貨制御部102は、硬貨受入部110、入金硬貨搬送部120、硬貨識別部150、硬貨収納部160、振分部127,129、出金硬貨搬送部180、硬貨払出部190、検知センサ124,125,165及び硬貨記憶部105等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。なお、硬貨制御部102には、カードに記録された情報を読み取るカードリーダ170と、硬貨収納部160等の所定のユニットをロックしたり、硬貨収納部160等の所定のユニットを解錠したりする電磁閉鎖ロック部175も接続されており、これらと信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。
本実施の形態の硬貨処理装置100は、図2に示すように、硬貨筐体103と、硬貨を硬貨筐体103の外部から入金するための硬貨受入部110と、硬貨筐体103内に設けられ、硬貨を収納するとともに収納された硬貨を繰り出す硬貨収納部160と、硬貨筐体103内において、硬貨受入部110から投入された硬貨を1枚ずつ硬貨収納部160まで入金経路に沿って搬送する入金硬貨搬送部120と、入金経路に沿って設けられ、入金硬貨搬送部120で搬送される硬貨を識別して計数する硬貨識別部150と、を備えている。また、図1に示すように、硬貨筐体103の上面には、操作者が操作信号を入力したり操作者に所定の情報を表示したりするための操作表示部152が設けられている。本実施の形態の操作表示部152はタッチパネルとなっており、操作表示部152に直接触れることで、操作者が操作信号を入力することができる。また、図1に示すように、硬貨入金口111には開閉自在のシャッター115が設けられてもよい。なお、操作表示部152は液晶ディスプレイ(LCD)等からなってもよい。
図2に示すように、入金経路には、後述する金種別硬貨収納部161(つまり金種別硬貨収納部161a〜161f)の各々に対応した検知センサ125と、当該検知センサ125からの情報を受けて各金種別硬貨収納部161に対応する金種の硬貨を振り分ける複数(本実施の形態では6つ)の入金振分部127が設けられている。各検知センサ125は、対応する金種別硬貨収納部161の上流位置に対応して設けられている。
また、図2に示すように、硬貨識別部150の下流位置であって硬貨収納部160の上流位置には、硬貨識別部150で金種等を識別することができなかった硬貨をリジェクト硬貨として振り分けるためのリジェクト振分部129が設けられている。
図2に示すように、リジェクト振分部129の直前の上流位置には検知センサ124が設けられている。そして、硬貨識別部150でリジェクト硬貨であると判断され、かつ、検知センサ124から硬貨が到達又は通過した旨の検知情報を受けた段階で、硬貨制御部102がリジェクト振分部129を開状態とし、リジェクト硬貨をリジェクト振分部129で取り込むようにしてもよい。なお、リジェクト振分部129が開状態となって当該リジェクト振分部129に取り込まれることで、硬貨は入金経路から外れ、リジェクト搬送経路(図示せず)を落下した後、後述する出金硬貨搬送部180によって硬貨払出部190まで送られることとなる。
図2に示すように、本実施の形態の硬貨処理装置100は、硬貨収納部160から繰り出された硬貨を出金経路に沿って搬送する出金硬貨搬送部180と、出金経路に繰り出されて出金硬貨搬送部180で搬送された硬貨を出金する硬貨払出部190も備えている。
一例としては、本実施の形態の硬貨処理装置100における硬貨の入金速度は約6枚/秒であり、他方、999円の硬貨(500円1枚、100円4枚、50円1枚、10円4枚、5円1枚及び1円4枚)を出金するのに約2.7秒かかる。また、一例として、硬貨受入部110に一度に投入可能な硬貨の枚数は50枚であり、硬貨払出部190で一度に出金可能な硬貨の枚数は50枚である。
本実施の形態の硬貨収納部160は、金種別に硬貨を収納する複数(本実施の形態では6つ)の金種別硬貨収納部161を有しており、各金種別硬貨収納部161が水平方向で並列に配置されている。金種別硬貨収納部161は、図2の下から順番に、500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨を収納するようになっている。各金種別硬貨収納部161は、対応する硬貨を例えば100枚〜200枚程度収納することができる。より具体的な例を持ち出して説明すると、金種別硬貨収納部161aは500円硬貨を105枚収納することができ、金種別硬貨収納部161bは100円硬貨を160枚収納することができ、金種別硬貨収納部161cは50円硬貨を120枚収納することができ、金種別硬貨収納部161dは10円硬貨を160枚収納することができ、金種別硬貨収納部161eは5円硬貨を120枚収納することができ、金種別硬貨収納部161fは1円硬貨を160枚収納することができるようになっている。
なお、金種別硬貨収納部161の各々は、硬貨を収納する金種別繰出収納庫と、金種別繰出収納庫内に収納された硬貨を出金経路に繰り出すための繰出部(図示せず)と、繰出部で繰り出される硬貨の枚数を検知する検知センサ165(図4参照)と、所定枚数の硬貨が繰り出された際にそれ以上の硬貨が繰り出されないように硬貨の繰り出しをストップさせるためのストッパ(図示せず)と、を有している。
本実施の形態では、硬貨処理装置100の各金種に関する在高は、対象となる金種別硬貨収納部161に収納された硬貨の枚数から当該金種別硬貨収納部161から繰り出された硬貨の枚数を差し引くことで算出可能となる。金種別硬貨収納部161に収納された硬貨の枚数を算出する際には、具体的には、各金種別硬貨収納部161に対応して設けられた入金振分部127の上流位置の検知センサ125で硬貨の通過が確認されたが当該入金振分部127の下流位置の検知センサ125で硬貨の通過が確認されなかった場合に、当該入金振分部127で硬貨が取り込まれて、当該入金振分部127に対応する金種別硬貨収納部161に硬貨が収納されたと判断されて算出される。ただし、最も下流側に位置する金種別硬貨収納部161fに関しては、当該金種別硬貨収納部161fの直前に位置する検知センサ125を通過した硬貨の枚数が当該金種別硬貨収納部161fに収納された硬貨の枚数となる。他方、各金種別硬貨収納部161から繰り出された硬貨の枚数は検知センサ165からの情報に基づいて算出される。
なお、金種別硬貨収納部161の各々に、金種別硬貨収納部161内に収納されている硬貨の残量を検知する収容量検知センサ162が設けられてもよい(図4参照)。このような収容量検知センサ162が設けられている場合には、当該収容量検知センサ162からの情報を受けて金種別硬貨収納部161内において硬貨が、ニアフル状態なのか、フル状態なのか、ニアエンプティ状態なのか、エンプティ状態なのかが硬貨制御部102や上位制御部101で判断されるようにしてもよい。収容量検知センサ162は硬貨制御部102に接続されており、硬貨制御部102と信号の送受信を行い、硬貨制御部102によって制御される。
各金種別硬貨収納部161内に収納されている硬貨の在高情報(硬貨の枚数)や硬貨の収納状態(ニアフル状態なのか、フル状態なのか、ニアエンプティ状態なのか、エンプティ状態なのか)は、硬貨処理装置100の上位記憶部155に送られて当該上位記憶部155で記憶されてもよい。
また、本実施の形態の硬貨処理装置100は自動精査すなわち自動在高確認動作ができるようになっていてもよい。つまり、操作表示部152、POS操作部352等から実行指示の入力を受けたり所定の設定時刻になったりすることで、硬貨処理装置100は各金種別硬貨収納部161内に収納されている硬貨の計数を開始し、実際の硬貨の在高が硬貨記憶部105等に記憶されている硬貨の在高と合致しているかを確認できるようなってもよい。精査処理を行う場合には、例えば、対象となっている金種別硬貨収納部161から硬貨が繰り出されて出金硬貨搬送部180によって硬貨払出部190まで送られ、このように硬貨払出部190に送られた硬貨を硬貨受入部110に投入して、硬貨識別部150で各硬貨を識別計数させればよい。
なお、図6に示すような補助収納部199を備えた硬貨処理装置100を採用することもできる。このように補助収納部199を備えた硬貨処理装置100であれば、操作表示部152、POS操作部352等からの入力を受けず、所定の設定時刻になると自動で精査処理を開始することもできる。この補助収納部199は入金経路の下方に配置されており、補助収納部199から硬貨を硬貨受入部110に繰り出すことができるようになっている。
補助収納部199は、出金経路に繰り出された硬貨のうち硬貨出金部190で出金されない硬貨を収納するために用いられる。そして、自動精査が行われる際の一例を示すと、硬貨収納部160のある金種別硬貨収納部161から硬貨が繰り出され、出金硬貨搬送部180で搬送された硬貨が補助収納部199内に取り込まれる。このように補助収納部199内に取り込まれた硬貨は、補助収納部199から硬貨受入部110に送られ、この硬貨受入部110から入金経路に繰り出され、硬貨識別部150で識別された後、元々繰り出された金種別硬貨収納部161に戻される。
ちなみに、上述したような補助収納部199を採用した場合には、ある金種別硬貨収納部161がフル状態又はニアフル状態となっており当該ある金種別硬貨収納部161に収納することができない硬貨(オーバーフロー硬貨)を当該補助収納部199に収納することもでき、例えば70枚のオーバーフロー硬貨を補助収納部199で収納することができる。オーバーフロー処理が行われる際の一例を示すと、まず、硬貨受入部110から入金経路に硬貨が繰り出され、硬貨識別部150で識別されてフル状態又はニアフル状態の金種の硬貨であると判断されると、入金振分部126が開状態となり、当該金種の硬貨は入金振分部126で補助収納部199内に取り込まれ、補助収納部199内に収納される。そして、このようにして補助収納部199内に取り込まれたオーバーフロー硬貨を対象となる金種別硬貨収納部161に戻すときには、補助収納部199から硬貨入金部110に硬貨が送られ、当該硬貨は、この硬貨入金部110から入金経路に繰り出され、硬貨識別部150で識別された後、対応する金種別硬貨収納部161に振り分けられる。なお、このような入金振分部126が設けられている態様では、当該入金振分部126は硬貨制御部102に接続されており、硬貨制御部102と信号の送受信を行い、硬貨制御部102によって制御される。
《棒金収納装置500》
次に、本実施の形態の棒金収納装置500について説明する。
図2に示すように、本実施の形態の棒金収納装置500は、棒金筐体(特許請求の範囲の「筐体」に対応する。)503と、棒金筐体503に対して開閉可能に設けられ、棒金を1本ずつ収納する棒金収納部520を複数個有する棒金ドロア506と、を備えている。本実施の形態の棒金収納部520は、それぞれ対応する金種の棒金が収納されるようになっていてもよい。また、使用される頻度が高く、出し入れされる頻度が高い金種(例えば10円硬貨及び100円硬貨)の棒金が、引出方向側(前方側)に配置されてもよい。図2で示す態様では、向かって右側の列には前方側から100円硬貨棒金(8本)、500円硬貨棒金(1本)及び50円硬貨(1本)の順で棒金が収納されるようになっており、向かって左側の列には前方側から10円硬貨棒金(6本)、1円硬貨棒金(4本)及び5円硬貨(1本)の順で棒金が収納されるようになっている。なお、各棒金収納部520は、対応する金種の棒金が収納されるようになっている必要はなく、あらゆる金種の棒金を収納することができるようになっていてもよい。
また、棒金ドロア506と棒金筐体503との間には、棒金制御部502に接続されたロータリエンコーダ(変位検出部)510(図5参照)が設けられており、棒金ドロア506の棒金筐体503に対する位置を検知することができるようになっていてもよい。加えて、左右2列に形成される棒金収納部520の並びに対応する位置の棒金筐体503内には第一光センサ511(図5参照)が設けられていてもよい。そして、第一光センサ511において光が遮断されるか否かに関する情報とロータリエンコーダ510からの位置情報とによって、棒金の有無を検知するだけでなく棒金の直径を検知することができ、棒金の金種の判定することができるようになっていてもよい。図2に示す態様では、棒金ドロア506の底面に開口部525が形成されており(図2参照)、この開口部525を第一光センサ511からの光が透過することになる。この態様を採用した場合には、第一光センサ511及びロータリエンコーダ510は、棒金ドロア506に収納されている棒金に関する収納棒金情報を取得する「棒金情報取得部」に含まれることになる。収納棒金情報には、典型的には棒金ドロア506に収納されている金種別の棒金本数が含まれるが、棒金ドロア506に収納されている棒金の総本数のみが含まれてもよいし、棒金ドロア506に棒金が収納されているか否かのみが含まれてもよい。なお、棒金の中央に穴が設けられているか(5円硬貨及び50円硬貨を参照)を検知するための第二光センサ512(図5参照)が設けられていてもよく、この場合にはこの第二光センサ512も棒金情報取得部に含まれることになる。また、棒金ドロア506内に収納された棒金の全てを第一光センサ511で検知するために、棒金ドロア506が棒金筐体503に対して所定の位置以上に開いた状態になったかを検知する開放検知部(図示せず)が設けられてもよい。
ちなみに、棒金の有無を検知するだけならば例えばレバー513(図5参照)や第三光センサ514を各棒金収納部520に設け、当該レバー513が押された場合や第三光センサ514からの光が遮光された場合には当該棒金収納部520内に棒金が有ると判断され、レバー513が押されない場合や第三光センサ514からの光が遮光されない場合には当該棒金収納部520内に棒金が無いと判断されるようにしてもよい。この場合には、レバー513及び第三光センサ514も棒金情報取得部に含まれることになる。
また、上述したような態様に限られることはなく、棒金筐体503内に走査可能な走査センサ515(図5参照)が設けられており、棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉まっている間に当該走査センサ515が棒金筐体503内を走査することで棒金ドロア506に収納されている棒金の直径を検知し、棒金の有無を検知するだけでなく、棒金の金種を判定することができるようになっていてもよい。このような走査センサ515による検知は、棒金ドロア506が棒金筐体503に対して閉じられた後で自動で開始されてもよいが、棒金ドロア506が棒金筐体503に対して閉じられた後で操作表示部152やPOS操作部352等から所定の入力が行われることで開始されてもよい。この態様を採用した場合には、走査センサ515が「棒金情報取得部」に含まれることになる。この場合にも、棒金の中央に穴が設けられているかを検知するための第二光センサ512が設けられていてもよく、この場合にはこの第二光センサ512も棒金情報取得部に含まれることになる。
また、各棒金収納部520に棒金が収納されているか、また、収納されている棒金の材質を検知する材質検知センサ516(図5参照)が設けられており、この材質検知センサ516からの情報に基づいて、各棒金収納部520における棒金の有無及び棒金の金種の判定することができるようになっていてもよい。この態様を採用した場合には、材質検知センサ516が「棒金情報取得部」に含まれることになる。この場合にも、棒金の中央に穴が設けられているかを検知するための第二光センサ512が設けられていてもよく、この場合には第二光センサ512も棒金情報取得部に含まれることになる。この態様では、棒金ドロア506を棒金筐体503に対して開閉したり、閉じた状態にしたりせずとも、各棒金収納部520に収納されている棒金の金種を検出することができる。ちなみに、1円硬貨はアルミニウムからなり、5円硬貨は黄銅からなり、10円硬貨は青銅からなり、50円硬貨及び100円硬貨は白銅からなり、500円硬貨はニッケル黄銅からなっている。棒金の金種を検知する際には、硬貨の材質で概ねの区別を行い、その後で、穴の有無を(場合によっては硬貨の径も)用いて棒金の金種を決定すればよい。
また、金種別に棒金を収納するようになっており、各金種の棒金の大きさに合わせて棒金収納部520が設けられてもよい。但し、この場合でも大きさの大きな棒金収納部520には、大きさの小さな金種の棒金が入ることから、最も大きさ(つまり厚み及び径)の小さな棒金収納部520(例えば1円硬貨を収納する棒金収納部520)にはレバー513又は第三光センサ514が設けられ、穴が開いている硬貨を収納するための棒金収納部520(例えば5円硬貨を収納する棒金収納部520及び50円硬貨を収納する棒金収納部520)には第二光センサ512と、レバー513又は第三光センサ514とが設けられ、それ以外の棒金収納部520には材質検知センサ516と第二光センサ512とが設けられるようにしてもよい。ちなみに、1円硬貨の外形は約20mmであり、厚みは約1.5mmである。5円硬貨の外形は約22mmであり、厚みや約1.5mmであるが、他方、50円硬貨の外形は約21mmであり、厚みや約1.7mmである。このため、50枚の5円硬貨を包装した棒金は径の点で50円硬貨を収納する棒金収納部520で収納することができず、他方、50枚の50円硬貨を包装した棒金は厚みの点で5円硬貨を収納する棒金収納部520で収納することができない。したがって、これらに関しては材質検知センサ516を特に設ける必要がない。
また、棒金筐体503には、棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉鎖位置に固定する閉鎖ロック部560(図5参照)が設けられている。また、本実施の形態の棒金収納装置500は、棒金筐体503に対して棒金ドロア506が開状態になっているか閉状態になっているかを検知する開閉検知部570(図5参照)も備えている。
図5に示すように、棒金収納装置500は、棒金収納装置500を制御するための棒金制御部502と、棒金ドロア506内に収納されるべき棒金の本数である収納予定棒金本数を含む様々な情報を記憶した棒金記憶部505(特許請求の範囲に記載された「記憶部」に含まれている。)とを有している。棒金制御部502は、情報取得部によって取得された収納棒金本数と棒金記憶部505に記憶された収納予定棒金本数とを比較し、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内であるかを判断するようになっている。なお、収納予定棒金本数は、棒金記憶部505とともに又は棒金記憶部505の代わりに、上位記憶部155で記憶されてもよい。この場合には、上位記憶部155は特許請求の範囲に記載された「記憶部」に含まれることになる。ちなみに、収納予定棒金本数は各金種別に設定されてもよい。なお、「許容範囲」の一例としては、「+2」、「+1」、「0」、「−1」、「−2」等を設定することができる。
図5に示すように、棒金制御部502には、インターフェース532、開閉検知部570、棒金記憶部505、閉鎖ロック部560、後述する固定ロック部561、後述する個別報知部590、ロータリエンコーダ(変位検出部)510、第一光センサ511、第二光センサ512、第三光センサ514、レバー513、走査センサ515、材質検知センサ516等がそれぞれ接続されている。そして、棒金制御部502は、開閉検知部570、棒金記憶部505、閉鎖ロック部560、固定ロック部561、後述する個別報知部590、ロータリエンコーダ(変位検出部)510、第一光センサ511、第二光センサ512、第三光センサ514、レバー513、走査センサ515、材質検知センサ516等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。なお、棒金ドロア506の棒金収納部520に収納されている棒金の在高情報(棒金の本数)は、棒金記憶部505で記憶されてもよいし、この棒金記憶部505とともに又は棒金記憶部505の代わりに、上位記憶部155で記憶されてもよい。
収納予定棒金本数は、棒金ドロア506で収納する運用上の最大本数となっていてもよい。この「運用上の最大本数」は棒金ドロア506内に物理的に収容できる最大本数以下の本数になっている。そして、この場合には、棒金制御部502は、収納棒金本数が運用上の最大本数以下の場合に許容範囲内であると判断してもよい。また、「各金種」の棒金に対して運用上の最大本数が設定されていてもよく、収納されている全ての金種における収納棒金本数が運用上の最大本数以下の場合に、棒金制御部502が許容範囲内であると判断し、いずれかの金種における収納棒金本数が運用上の最大本数を超える場合に、棒金制御部502が許容範囲外であると判断してもよい。
一例としては、500円硬貨については0本〜1本の収納予定棒金本数を設定でき、100円硬貨については0本〜8本の収納予定棒金本数を設定でき、50円硬貨については0本〜1本の収納予定棒金本数を設定でき、10円硬貨については0本〜6本の収納予定棒金本数を設定でき、5円硬貨については0本〜1本の収納予定棒金本数を設定でき、1円硬貨については0本〜4本の収納予定棒金本数を設定できてもよい。なお、「1」がつく金種の硬貨は「5」がつく金種の硬貨の代わりに用いることができるので、「1」がつく金種の硬貨の収納予定棒金本数は、「5」がつく金種の硬貨の収納予定棒金本数よりも多くなっていてもよい。
収納予定棒金本数としては、例えば、500円硬貨、50円硬貨及び5円硬貨の棒金に対しては1本が設定され、100円硬貨に対しては6本が設定され、10円硬貨に対しては4本が設定され、1円硬貨に対しては2本が設定されてもよい(図10及び図11参照)。なお、店舗や売り場で利用されない、又は、利用頻度が低い金種の棒金に関しては0本が設定されてもよい。設定された収納予定棒金本数は、操作表示部152やPOS操作部352を操作することで、操作表示部152やPOS表示部351で確認できるようになってもよい。
ちなみに、棒金情報取得部として材質検知センサ516が用いられる場合には、各金種に対して設定される収納予定棒金本数に対応して、稼働状態となる材質検知センサ516の数が変更されてもよい。より具体的には、各金種に対して設定される収納予定棒金本数と同数の材質検知センサ516が、各金種において稼働状態となってもよい。なお、このような態様に限られることはなく、例えば、設定される収納予定棒金本数とは関係なく、全ての材質検知センサ516が稼働状態となってもよい。操作者が棒金をどの棒金収納部520に載置するかが予め分からないことや、予定されている数よりも多くの棒金が収納されてしまったことを認識できることから、全ての材質検知センサ516を稼働状態とする態様を用いることは有益である。
また、棒金制御部502は、補充処理を行うための補充モードにおいて、収納棒金本数と収納予定棒金本数とを比較し、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内であるかを判断してもよい。一例としては、補充モードにおいて、全ての金種における収納棒金本数が運用上の最大本数以下の場合に、棒金制御部502が許容範囲内であると判断し、いずれかの金種における収納棒金本数が運用上の最大本数を超える場合に、棒金制御部502が許容範囲外であると判断してもよい。この場合には、通常処理においては、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内であるかの判断を行わないようにしてもよい。なお、本実施の形態における通常処理とは、回収処理及び補充処理以外の処理のことを意味し、例えば貨幣の入出金を行う処理である。
また、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲外である場合に棒金制御部502が異常処理を行ってもよい。異常処理においては、棒金制御部502が、異常が発生した旨の情報を出力し、操作表示部152や後述するPOS表示部351等の表示部で異常が発生したことが表示されてもよいし、ブザー、スピーカー等の音声出力部610からの音声で異常が発生したことを伝えてもよいし、後述する印刷部370による印刷が開始されて印刷された紙によって異常が発生したことを伝えてもよい。音声出力部610によって、どのような異常が発生したかも音声で伝えられてもよく、例えば「100円棒金を2本、取り出して下さい。」というような音声が流れてもよい。ちなみに、操作表示部152や後述するPOS表示部351等の表示部で表示される言語及び音声出力部610で出力される言語は適宜変更できるようになってもよく、日本語だけではなく、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語等に適宜変更できるようになってもよい。なお、音声出力部610及び印刷部370は、貨幣処理装置100,200又は棒金収納装置500と別体に設けられてもよいが、貨幣処理装置100,200又は棒金収納装置500に組み込まれていてもよい。また、異常が発生したことについては、操作表示部152やPOS表示部351等の表示部において強調色(例えば赤色)で強調して表示されてもよいし、点滅等して強調する態様で表示されてもよい。
また、異常処理においては、閉鎖ロック部560が、棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じた状態でロックしないようにしてもよい。また、棒金筐体503の内部であって、棒金ドロア506と棒金筐体503との間にバネ等の弾性部材(図示せず)が設けられており、閉鎖ロック部560が棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じた状態でロックしない結果、棒金筐体503に対して棒金ドロア506が開放される(棒金筐体503に対して棒金ドロア506が飛び出て開いた状態になる)ようになっていてもよい。このような態様に限られることはなく、閉鎖ロック部560によるロックと関係なく、異常処理において、棒金筐体503に対して棒金ドロア506が開放されるようになっていてもよい。この場合には、例えば、棒金筐体503内に棒金ドロア506に連結されたモータ(図示せず)が設けられており、異常処理を行う場合に当該モータが駆動されて棒金ドロア506が棒金筐体503に対して開放されるようにしてもよい。なお、棒金ドロア506が棒金筐体503に対して一定の位置までモータで開放された後は、棒金ドロア506が棒金筐体503に対して自在に移動できるような態様であってもよい。
また、上述した閉鎖ロック部560とは別に、棒金ドロア506を棒金筐体503に対して開放した状態でロックできる固定ロック部561(図5参照)が設けられていてもよい。そして、上述した材質検知センサ516、レバー513又は第三光センサ514を採用した場合に異常処理を行うときには、固定ロック部561によって、棒金ドロア506が棒金筐体503に対して開放した状態でロックされ、棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じた状態にできないようにしてもよい。
異常が発生したことを報知するためのLEDランプ等からなる(異常時には例えば赤色で点灯又は点滅する)異常表示部581、及び/又は、正常な状態であることを報知するためのLEDランプ等からなる(正常時には例えば緑色で点灯する)正常表示部582が設けられてもよい(図4参照)。また、一つの状態表示部583が、異常表示部581と正常表示部582の両方の役割を果たしてもよく、当該状態表示部583は、異常時には例えば赤色で点灯又は点滅し、正常時には例えば緑色で点灯するようになってもよい。
なお、棒金制御部502等の制御部から出力されるあらゆる情報は、操作表示部152やPOS表示部351等の表示部で表示されてもよいし、音声出力部610からの音声で伝えられてもよいし、印刷部370が印刷することで伝えられてもよい。特に述べない場合であっても、このことが本実施の形態ではあてはまるので留意が必要である。
また、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内である場合に棒金制御部502が正常処理を行ってもよい。正常処理においては、閉鎖ロック部560が、棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じた状態でロックするようにしてもよい。また、正常処理においては、棒金制御部502が、正常である旨の情報を出力し、正常であることが、操作表示部152やPOS表示部351等の表示部で表示されてもよいし、音声出力部610からの音声で伝えられてもよいし、印刷部370が印刷することで伝えられてもよい。
また、複数の棒金収納部520が存在する金種に対しては、棒金収納部520に収納されている棒金の本数が予め設定された下限を下回る場合に、棒金制御部502が当該金種の棒金が不足していることを出力するようにしてもよい。なお、この下限は許容範囲とは無関係であってもよく、許容範囲内にある場合であっても、ある金種の棒金の本数が予め設定された下限を下回る場合(例えばニアエンプティである場合)にはその旨が出力されてもよい。この際には、不足している本数が出力されるようにしてもよい。典型的な例では、収納されている全ての金種における収納棒金本数が運用上の最大本数以下の場合であっても、ある金種の棒金の本数が予め設定された下限を下回る場合には、当該ある金種の棒金の本数が予め設定された下限を下回ることが出力されてもよく、この際に不足している本数が出力されてもよい。
また、一つ以上の金種又は全ての金種に関して、収納棒金本数が収納予定棒金本数よりも許容範囲を超えて大きいかについては、補充処理の間だけでなく通常処理の間においても棒金制御部502が判断してもよい。他方、収納棒金本数が収納予定棒金本数よりも許容範囲を超えて小さいかについては、棒金制御部502は、補充処理の間だけで判断してもよい。
また、収納予定棒金本数として設定可能な棒金の金種及び棒金の本数の上限は、1つ以上の金種又は全ての金種に関して、棒金収納部520で物理的に収納可能な棒金の金種及び棒金の本数であってもよい。棒金収納部520が金種別に分かれている場合には、各金種に関して物理的に収納できる最大の本数が用いられ、他方、棒金収納部520が金種別に分かれておらず、各棒金収納部520であらゆる金種の棒金を収納できる場合には、総合計の棒金の本数が物理的に収納できる最大の本数となる。
棒金記憶部505等の記憶部に記憶された収納予定棒金本数は自動で更新されてもよい。収納予定棒金本数は、曜日や平日であるか否か等に応じて自動で更新されてもよい。一例としては、平日、土曜日、及び、日曜日と祝日の3つのカテゴリーに分け、カテゴリー毎に収納予定棒金本数が記憶されていてもよい。例えば、日曜日や祝日に客数が増える営業形態の店舗であれば、日曜日や祝日には収納予定棒金本数として他の日より多い数値を設定することが想定される。
収納予定棒金本数及び/又は許容範囲は、後述するPOS操作部352や操作表示部152のような操作部から入力されてもよい。なお、POS操作部352及び操作表示部152の各々は、特許請求の範囲の「入力部」に含まれている。
このように収納予定棒金本数及び/又は許容範囲がPOS操作部352や操作表示部152のような操作部から入力される場合には、カードリーダ170,270,360(カードリーダ360については後述する。)によって読み取られたカード情報、又は、POS操作部352や操作表示部152のような操作部から入力されたID番号等の操作者情報に基づいて所定の権限を有する操作者(例えば店舗の管理者等)であると判断された場合にのみ、当該入力が許可されてもよい。なお、ID番号が操作部から入力される場合には、パスワードの入力が要求されるようにしてもよい。カードリーダ170,270,360、POS操作部352及び操作表示部152の各々は、特許請求の範囲の「操作者判断部」に含まれている。
棒金制御部502は、1つ以上の金種又は全ての金種に関して、収納棒金本数が収納予定棒金本数よりも小さい場合に、収納予定棒金本数と収納棒金本数との差分を不足情報として出力してもよい。このことは、後述するPOS表示部351等の表示部で表示されてもよいし、管理装置(外部装置の一種)の表示部で表示されてもよいし、音声出力部610からの音声で伝えられてもよいし、印刷部370が印刷することで伝えられてもよい。この不足情報に基づいて、例えば次の営業日に棒金を補充するようにしてもよい。
各棒金収納部520に対応したLEDランプ等の個別報知部590(図5参照)が設けられていてもよい。そして、在高枚数が減ってきており補充が必要な金種に対応する個別報知部590(複数の棒金収納部520が存在する場合には、例えば全ての棒金収納部520に対応するLEDランプ)が点灯又は点滅することで、補充が必要な金種を報知できるようになっていてもよい。また、補充が必要な金種及び本数に対応する個別報知部590が点灯又は点滅することで、補充が金種とその本数を報知できるようになっていてもよい。
また、収納予定棒金本数よりも多い本数の棒金が収納された金種が存在する場合や、収納予定棒金本数よりも少ない本数の棒金が収納された金種が存在する場合には、許容範囲内にある場合であっても、当該金種に対応する全ての個別報知部590が点灯又は点滅してもよい。また、このような態様ではなく、取り除かれるべき棒金に対応する個別報知部590のみ、又は、補充されるべき棒金収納部520に対応する個別報知部590のみが点灯又は点滅してもよい。このように点灯又は点滅する個別報知部590の優先順位は予め設定されていてもよい。また、補充処理の間だけ、収納予定棒金本数よりも多い又は少ない金種の棒金に対応する個別報知部590が点灯又は点滅するようにしてもよい。なお、収納予定棒金本数を基準とするのではなく許容範囲外にある場合に、個別報知部590による点灯又は点滅が行われてもよい。
《POSレジスタ300》
次に、本実施の形態のPOSレジスタ300の構成について説明する。POSレジスタ300は、商品の購入情報を登録するとともに、硬貨処理装置100や紙幣処理装置200に対して指令を入力して、硬貨や紙幣の入金処理、出金処理、精査処理、回収処理等を行わせるようになっている。
図4に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部302は、硬貨処理装置100の上位制御部101に通信接続されるとともに、サーバ400にも通信接続されている。そして、このPOS制御部302は、硬貨処理装置100の上位制御部101を介して硬貨制御部102、紙幣制御部202及び棒金制御部502に指令を送り、この結果、硬貨処理装置100に対して硬貨の入金処理、出金処理、精査処理、回収処理等を行わせ、紙幣処理装置200に対して紙幣の入金処理、出金処理、精査処理、回収処理等を行わせ、棒金収納装置500の棒金ドロア506のロックを解錠させたりするようになっていてもよい。また、POS制御部302は、硬貨制御部102、紙幣制御部202及び棒金制御部502から、上位制御部101を介して、硬貨処理装置100、紙幣処理装置200及び棒金制御部502における硬貨、紙幣及び棒金の処理状況や在高に係る情報を受け取るようになっていてもよい。
図1に示すように、POSレジスタ300は、店員等の操作者が操作することのできるPOS操作部352と、商品の取引状況、硬貨処理装置100における硬貨の処理状況、紙幣処理装置200における紙幣の処理状況、硬貨処理装置100の内部に収納された硬貨の在高、紙幣処理装置200の内部に収納された紙幣の在高、棒金収納装置500の内部に収納された棒金の在高等を表示するPOS表示部351と、を備えている。そして、操作者は、POS操作部352を介してPOS制御部302(図参照)に対して様々な指令を与えることができるようになっている。なお、上述したPOS表示部351には、購入客に対して商品の購入代金を示したりするための購入客用表示部351a(図1参照)が含まれている。
図4に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部302は、インターフェース332を介して、硬貨処理装置100の上位制御部101やサーバ400に対して信号の送受信を行うようになっている。また、POS記憶部305には、硬貨処理装置100における硬貨の処理状況、硬貨処理装置100の内部に収納された硬貨の在高、紙幣処理装置200における紙幣の処理状況、紙幣処理装置200の内部に収納された紙幣の在高、棒金収納装置500の内部に収納された棒金の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
なお、POSレジスタ300は、クレジットカード等の各種カードを読み取るカードリーダ360と、プリンタ等からなる印刷部370も有してもよい。なお、POS表示部351で表示されるあらゆる情報やPOS記憶部305で記憶されているあらゆる情報は、当該印刷部370で印刷できるようになっている。
図4に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部302には、カードリーダ360、プリンタ等からなる印刷部370、POS表示部351、POS操作部352、POS記憶部305、インターフェース332等がそれぞれ接続されている。そして、POS制御部302は、カードリーダ360、印刷部370、POS表示部351、POS操作部352、POS記憶部305等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。
なお、以下では、操作表示部152及びPOS表示部351のいずれか1つ以上を指す用語として「表示部40」を用いる。また、操作表示部152及びPOS操作部352のいずれか1つ以上を指す用語として「操作部30」を用いる。また、上位記憶部155、硬貨記憶部105、紙幣記憶部205、棒金記憶部505及びPOS記憶部305のうちのいずれか1つ以上を指す用語として「記憶部60」を用いる。また、上位制御部101、硬貨制御部102、紙幣制御部202、棒金制御部502及びPOS制御部302のうちのいずれか1つ以上を指す用語として「制御部10」を用いる。ちなみに、操作表示部152で表示される内容はPOS表示部351で表示されてもよく、逆に、POS表示部351で表示される内容は操作表示部152で表示されてもよい。また、操作表示部152から入力される操作はPOS操作部352から入力されてもよく、逆に、POS操作部352から入力される操作は操作表示部152から入力されてもよい。また、上位記憶部155、硬貨記憶部105、紙幣記憶部205、棒金記憶部505及びPOS記憶部305のうちのいずれか1つで記憶されている情報は、上位記憶部155、硬貨記憶部105、紙幣記憶部205、棒金記憶部505及びPOS記憶部305のうちの別の1つで記憶されてもよい。上位制御部101、硬貨制御部102、紙幣制御部202、棒金制御部502及びPOS制御部302のうちのいずれか1つで行われている制御は、上位制御部101、硬貨制御部102、紙幣制御部202、棒金制御部502及びPOS制御部302のうちの別の1つで行われてもよい。
《方法》
次に、本実施の形態の棒金収納装置500又は貨幣処理システムを用いた処理方法について説明する。この「方法」においては、「構成」で述べた事項の全てを採用することができる。しかしながら、重複する記載となることから、以下では、適宜省略しつつ、取り得る態様を列記して説明する。
本実施の形態の処理方法は、記憶部60に棒金ドロア506内に収納されるべき棒金の本数である収納予定棒金本数を記憶させること(記憶工程)と、収納棒金本数と収納予定棒金本数とを比較して収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内であるかを判断すること(判断工程)と、を備えている。
記憶工程で記憶される収納予定棒金本数は、棒金ドロア506で収納する運用上の最大本数であってもよい。この場合には、判断工程において、収納棒金本数が収納予定棒金本数以下のときに許容範囲内であると判断してもよい。
判断工程は補充モードにおいて行われてもよく、当該判断工程では、収納棒金本数と収納予定棒金本数とを比較し、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内であるかが判断されてもよい。
判断工程において、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲外であると判断された場合に異常処理が行われてもよい(異常処理工程)。また、判断工程において、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内であると判断された場合に正常処理が行われてもよい(正常処理工程)。なお、許容範囲外である場合に異常処理工程を行い、かつ、許容範囲内である場合に正常処理工程を行うようにしてもよいが、異常処理工程及び正常処理工程のいずれか一方のみを行うようにしてもよい。
異常処理工程においては、異常が発生した旨の情報が出力されてもよい。このような情報が出力された結果、閉鎖ロック部560が棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じた状態でロックしないようにしてもよい。このように閉鎖ロック部560が棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じた状態でロックしない結果、棒金筐体503に対して棒金ドロア506が開放される(棒金筐体503に対して棒金ドロア506が飛び出て開いた状態になる)ようになってもよい。他方、閉鎖ロック部560によるロックと関係なく、モータが駆動される等して、棒金筐体503に対して棒金ドロア506が開放されるようになっていてもよい。なお、異常が発生した旨の情報が出力された場合には、当該情報が表示部40で表示されてもよいし、音声出力部610からの音声で伝えられてもよいし、印刷部370で印刷されてもよい。
判断工程においては、複数の棒金収納部520が存在する金種に対して、棒金収納部520に収納されている棒金の本数が予め設定された下限を下回るかが判断されてもよい。そして、棒金収納部520に収納されている棒金の本数が予め設定された下限を下回る場合には、そのことが出力されて、表示部40で表示されてもよいし、音声出力部610からの音声で伝えられてもよいし、印刷部370で印刷されてもよい。
また、判断工程において、収納棒金本数が収納予定棒金本数よりも許容範囲を超えて大きいかについて、補充処理を行っている間だけではなく通常処理を行っている間においても判断してもよい。
記憶工程で記憶される収納予定棒金本数として設定可能な棒金の金種及び棒金の本数の上限は、棒金収納部520で物理的に収納可能な棒金の金種及び棒金の本数であってもよい。
記憶工程は複数回行われてもよく、このように複数回行われる記憶工程において収納予定棒金本数は自動で更新されてもよい。
記憶工程では許容範囲が記憶されてもよい。そして、記憶工程で記憶される収納予定棒金本数及び/又は許容範囲は操作部30から入力されてもよい(入力工程)。このような入力工程は、操作者判断部からの情報に基づき所定の権限を有する操作者であると判断された場合にのみ、許可されてもよい。
また、収納棒金本数が収納予定棒金本数よりも小さい場合に、収納予定棒金本数と収納棒金本数との差分を不足情報として出力してもよい。この出力は、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内であるか否かに関係なく行われてもよい。
[記憶工程の一例]
ここで、記憶工程について、一例を用いて説明する。ここで述べる態様はあくまでも一例であることには留意が必要である。この例では操作部30及び表示部40として操作表示部152を用いることとする。
まず、操作者が、操作表示部152を操作することで、操作表示部152に表示された「棒金収納本数設定」という項目を選択する(図10(a)参照)。この際、操作表示部152に表示された三角ボタン「▲」「▼」に対応するボタンを用いて選択する項目を移動させ、「棒金収納本数設定」という項目が選択された後で、操作表示部152に表示された「決定」に対応するボタンを押下する。選択する項目の移動及び決定は、以下でも同様であり、このように三角ボタンに対応するボタン及び決定に対応するボタンを用いて行われる。
次に、操作者は、棒金収納本数を設定したい金種(例えば100円)を選択する(図10(b)参照)。そして、金種を選択すると、選択された金種に関して設定したい棒金の本数(例えば6本)を設定する(図10(c)参照)。
なお、この際に選択できる棒金の本数としては、棒金ドロア506に物理的に収納できる本数までが選択できるようになってもよい。上述したように、棒金収納部520が金種別に分かれている場合には、各金種に関して物理的に収納できる最大の本数が用いられ、他方、棒金収納部520が金種別に分かれておらず、各棒金収納部520であらゆる金種の棒金を収納できる場合には、総合計の棒金の本数が物理的に収納できる最大の本数となる。
他の金種についても棒金収納本数を設定したい場合には、同様の工程を行う。図11に示す態様で説明すると、棒金収納本数を設定したい別の金種(例えば10円)を選択する(図11(a)参照)。そして、選択された金種に関して設定したい棒金の本数(例えば4本)を設定する(図11(b)参照)。次に、棒金収納本数を設定したいさらに別の金種(例えば1円)を選択する。そして、選択された金種に関して設定したい棒金の本数(例えば2本)を設定する(図11(c)参照)。
[補充処理の一例]
次に、補充処理の一例を図7乃至図9を用いて説明する。ここで述べる態様はあくまでも一例であることには留意が必要である。
操作者が操作部30を操作することで、補充処理を行うことが選択される(図7のS11のYES)。その結果、閉鎖ロック部560による棒金ドロア506の棒金筐体503に対するロックが解錠されて、棒金ドロア506と棒金筐体503との間に設けられた弾性部材からの付勢力で、棒金筐体503に対して棒金ドロア506が開放される(図7のS12参照)。
操作者が、棒金ドロア506の棒金収納部520に棒金を収納して補充する(図7のS13参照)。
棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じる(図7のS14参照)。この例では、このように棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じる際、又は、棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じた後で、棒金情報取得部によって、棒金ドロア506内に収納された棒金の金種別本数が取得される(図7のS15参照)。この際、棒金の収納異常や異常棒金があるかも確認される。
このように棒金情報取得部によって取得された収納棒金本数と収納予定棒金本数とが、金種毎に比較され、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内であるかが判断される(判断工程)(図7のS16参照)。仮に各金種の収納予定棒金本数が棒金ドロア506で収納する運用上の最大本数であり、収納棒金本数が収納予定棒金本数以下のときに許容範囲内であると判断する態様を採用している場合には、各金種に関して収納された棒金本数が運用上の最大本数以下となっているかが判断され、各金種において収納された棒金本数が運用上の最大本数以下の場合には正常なものとして正常処理工程が行われる。他方、一つ以上の金種において収納された棒金本数が運用上の最大本数を超えている場合には異常処理工程が行われる。図8では、10円硬貨に対して収納予定棒金本数が4本となっているにも関わらず、6本の10円硬貨の棒金が収納されてしまった場合に、表示部40で表示される画像が示されている。図8では、過剰に収納されていると判断された金種及び本数が示されるだけではなく、当該棒金がどのエリアに収納されているかを示すイラスト表示(「異常位置情報」の一例)も示されている。なお、図8に示す態様では「設定本数は4本のため」と表示されており、異常処理を行った理由も表示されている。
また、棒金の収納異常又は異常棒金がある場合にも異常処理工程が行われる。収納異常としては、棒金が棒金収納部520に対して正常に収納されていない場合を挙げることができる。また、棒金収納部520に収納されるべき金種が決まっている態様を採用した場合であって、収納されるべき金種とは異なる金種の棒金が棒金収納部520に収納されてしまっているときも、収納異常の一例として挙げることができる。また、異常棒金としては、棒金を包装するフィルムが剥がれている場合や、(落とす等して)棒金の径が一定になっていない場合や、棒金内に所定枚数の硬貨が収容されていない場合等を挙げることができる。図9では、100円硬貨の棒金について収納異常又は異常棒金が発生した場合に、表示部40で表示される画像が示されている。図9でも、収納異常又は異常棒金が発生した棒金がどのエリアに収納されているかを示すイラスト表示(「異常位置情報」の一例)も示されている。ちなみに、ごみが棒金収納部520に入ってしまっている場合には(第一光センサ511を採用しているときには)第一光センサ511に含まれる発光部からの光が長時間にわたり遮光されることになり、その結果、異常が発生したことが検知されることになる。
この例では、正常な場合には正常処理工程として、棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じたときに、閉鎖ロック部560によって棒金ドロア506が棒金筐体503に対してロックされるようになっている。そして、棒金収納装置500に収納されている棒金の金種別の在高情報が更新されるようになっている(図7のS17参照)。
他方、異常な場合には異常処理工程として、棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じたときに、閉鎖ロック部560によって棒金ドロア506が棒金筐体503に対してロックされない。その結果、棒金ドロア506と棒金筐体503との間に設けられた弾性部材からの付勢力で、棒金筐体503に対して棒金ドロア506が開放されることになる(図7のS21参照)。
また、異常処理工程では、表示部40で異常が発生したことが表示され、かつ、ブザー、スピーカー等の音声出力部610からの音声で異常が発生したことが伝えられる(図7のS22参照)。
このような状況を受けて、操作者が収納されるべき棒金を修正する作業、例えば運用上の最大本数を超えた金種の棒金を棒金収納部520から取り除く作業が操作者によって行われる(図7のS23参照)。その後で、再度、棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じて、図7のS14以降の工程が再度行われる。
そして、問題が無い場合には正常処理工程が行われる。仮にまだ問題があるようであれば異常処理工程が再度行われる。
以降は、上述した工程が繰り返して行われることになる。
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態によって達成される効果であって、まだ述べていない効果又はとりわけ重要な効果について説明する。
本実施の形態によれば、収納棒金本数と記憶部60に記憶された収納予定棒金本数とを比較し、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内であるかを判断する。このため、棒金ドロア506内に収納されるべき棒金の本数と、実際に棒金ドロア506に収納されている棒金との関係を管理することができる。
収納予定棒金本数が、一つの金種以上又は全ての金種に関して、棒金ドロア506で収納する運用上の最大本数であって、制御部10が、収納棒金本数が運用上の最大本数以下の場合には許容範囲内であると判断する態様を採用した場合には、一つの金種以上又は全ての金種において、運用上の最大本数を超えた本数の棒金が収納されていないかを管理することができる。
補充モードにおいて、制御部10が、一つの金種以上又は全ての金種に関して、収納棒金本数と収納予定棒金本数とを比較し、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内であるかを判断する態様を採用した場合には、補充モードにおいて、一つの金種以上又は全ての金種に関して、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内であるかが判断されることになる。このため、補充処理を行っている間に、例えば、許容範囲外の金種の棒金が存在することや、どの金種の棒金が許容範囲外になっているのか等を操作者が容易に把握することができ、補充処理を効率よく行うことができる。
また、一つ以上の金種において、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲外である場合に制御部10が異常処理を行う態様を採用した場合には、許容範囲外の金種の棒金が存在することを操作者が容易に把握することができる。典型的には、一つ以上の金種の棒金が運用上の最大本数よりも多く収容されているときに異常処理がなされることになり、運用上の最大本数よりも多い棒金が棒金ドロア506に収納されていることを操作者が容易に把握することができる。
異常処理において、異常が発生した旨の情報が出力され、異常が発生したことが表示部40で表示されたり、音声出力部610からの音声で伝えられたり、印刷部370によって印刷されたりする場合には、視覚を通じて又は聴覚を通じて異常が発生したことを、操作者は認識することができる。
また、異常処理において閉鎖ロック部560が棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じた状態でロックしないようにする態様を採用した場合には、ロックがかからないことで異常が発生したことを、操作者は認識することができる。なお、この態様において、閉鎖ロック部560が棒金ドロア506を棒金筐体503に対して閉じた状態でロックしない結果、棒金筐体503に対して棒金ドロア506が開放されるようになっている場合には、異常が発生したときには棒金筐体503に対して棒金ドロア506が飛び出て開いた状態となることから、より容易に異常が発生したことを操作者が認識できる。当然、閉鎖ロック部560によるロックと関係なく、異常処理において、棒金筐体503に対して棒金ドロア506が開放されるようになる態様を採用した場合にも、上記と同様、容易に異常が発生したことを操作者が容易に認識できる。
また、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内である場合に制御部10が正常処理を行うようにしてもよい。より具体的には、棒金収納装置500が取り扱う全ての金種の棒金に関して、収納棒金本数と収納予定棒金本数との差が許容範囲内である場合に制御部10が正常処理を行うようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、正常処理が行われている間は、操作者は何ら異常が発生していないことを認識することができる。
また、複数の棒金収納部520が存在する金種に対して棒金収納部520に収納されている棒金の本数が予め設定された下限を下回るかが制御部10で判断され、予め設定された下限を下回る金種の棒金が存在する場合に制御部10がそのことを出力する態様を採用した場合には、棒金の本数が予め設定された下限を下回ることを迅速に把握することができる。このような判断は、常時行われてもよいが、一定の周期で確認されるようにしてもよい。また、このような判断は、通常処理の間に行われてもよいし、補充処理の間に行われてもよい。なお、一つの棒金収納部520しか存在しない金種に関しては、当該金種の棒金がなくなったときに異常処理が行われてもよい。
また、予め設定された下限を下回るかについては、バラ硬貨の在高を考慮するようにしてもよい。仮に棒金収納部520に収納されているある金種の棒金の本数が0本になった場合であっても、硬貨収納部161に当該ある金種のバラ硬貨が所定枚数以上ある場合には異常処理を行わないようにしてもよい。バラ硬貨が存在する場合には、当面は通常処理を継続することができるためである。また、予め設定された下限を下回るかについては、「1」がつく金種の硬貨、つまり100円硬貨、10円硬貨及び1円硬貨に対して行われ、「5」がつく金種の硬貨、つまり50円硬貨及び5円硬貨に対して行われないようにしてもよい。「5」がつく金種の硬貨については「1」がつく金種の硬貨によって代替え出金することができるためである。
また、制御部10が、収納棒金本数が収納予定棒金本数よりも許容範囲を超えて大きいかを通常処理の間に判断する態様を採用した場合には、予定している本数よりも多くの棒金が棒金収納装置500に収納されているかを、通常処理の間でも操作者は認識することができる。
記憶部60に記憶された収納予定棒金本数が自動で更新される態様を採用した場合には、状況に応じて適切な収納予定棒金本数が自動で設定されることになるので、運用に適した本数の棒金を棒金収納装置500で収納することができる。より具体的には、各金種に関して、記憶部60に記憶された収納予定棒金本数が自動で更新されてもよく、この場合には、各金種の棒金の本数を運用に適したものにすることができる。
自動で設定される収納予定棒金本数が曜日や平日であるか否か等に応じて自動で更新される場合には、曜日や平日であるか否かに応じて変化する必要な棒金の本数が設定されることになる。また、自動で設定される棒金の本数は操作者等が予め設定してもよいが、過去の一定期間(例えば過去3か月、6か月、1年等)の履歴を参照にして、曜日や平日であるか否かに応じて、制御部10が自動で設定するようにしてもよい。なお、許容範囲も自動で更新されるようになってもよい。また、自動で設定される許容範囲は、操作者等が条件毎に予め設定しておいてもよいが、過去の一定期間の履歴を参照にして、曜日や平日であるか否か等に応じて、制御部10が自動で設定するようにしてもよい。
収納予定棒金本数及び/又は許容範囲が操作部30から入力される態様を採用した場合には、収納予定棒金本数及び/又は許容範囲を自在に変更することができるので、より柔軟な態様で運用することができる。収納予定棒金本数及び許容範囲に関するこのような入力が操作者情報に基づいて所定の権限を有する操作者であると判断された場合にのみ許可される態様を採用した場合には、収納予定棒金本数及び許容範囲が権限のない者によって無断で変更されるリスクを低減することができる。
また、制御部10が、一つ以上の金種又は全ての金種に関して、収納棒金本数が収納予定棒金本数よりも小さいときに収納予定棒金本数と収納棒金本数との差分を不足情報として出力する態様を採用した場合には、どの金種の棒金がどの程度不足しているかを操作者が把握することができ、棒金の補充処理をより円滑に行うことができる。
ところで、上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
したがって、「表示部40」で表示されている内容は、貨幣処理装置及びPOSレジスタ300以外の外部装置(例えば管理装置)の外部表示部で表示されてもよい。「操作部30」から入力される操作は、貨幣処理装置及びPOSレジスタ300以外の外部装置の外部操作部から入力されてもよい。「記憶部60」で記憶されている情報は、貨幣処理装置及びPOSレジスタ300以外の外部装置の外部記憶部で記憶されてもよい。「制御部10」で行われている制御は、貨幣処理装置及びPOSレジスタ300以外の外部装置の外部制御部で行われてもよい。