実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る硬貨処理機、貨幣処理システム及び硬貨処理方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図15は本発明の実施の形態を説明するための図である。なお、本願において「貨幣」とは「硬貨」、「紙幣」又は「硬貨」及び「紙幣」の両方のことを意味する。また、硬貨処理機100において、「上流」とは硬貨の搬送方向の「上流」を意味し、「下流」とは硬貨の搬送方向の「下流」を意味する。
本願の貨幣処理システムは、硬貨を処理する硬貨処理機100の他に、紙幣を処理する紙幣処理機200及び/又は棒金を収納するための棒金ドロア506を有する棒金管理装置500を備えていてもよい(図1及び図2参照)。また、本願の貨幣処理システムは、硬貨処理機100、紙幣処理機200及び棒金管理装置500のいずれか1つ以上に接続されたPOSレジスタ300、パソコン、サーバ400等を備えてもよい(図1及び図2参照)。硬貨処理機100の他に、紙幣を処理する紙幣処理機200及び/又は棒金を収納するための棒金ドロア506を備えている場合には、硬貨処理機100と、紙幣処理機200及び/又は棒金管理装置500とは、別体となっていてもよいし一体となっていてもよい。なお、硬貨処理機100から見た場合には硬貨処理機100以外のあらゆる装置が外部装置に該当し、上述した例で言うと、紙幣処理機200、棒金管理装置500、POSレジスタ300、パソコン、サーバ400等が外部装置に該当する。
本実施の形態では、硬貨処理機100、紙幣処理機200、棒金管理装置500、POSレジスタ300及びサーバ(例えば店舗サーバ)400を備えた貨幣処理システムを用いて説明する。
本実施の形態において、硬貨処理機100は硬貨の入出金処理を行い、紙幣処理機200は紙幣の入出金処理を行うようになっている。なお、図1及び図2は、本実施の形態の貨幣処理システムの構成を示すための図面である。
本実施の形態のPOSレジスタ300はサーバ400に通信接続されている。そして、POSレジスタ300からサーバ400に売上金情報等の情報が送信されるようになっている。また、各種設定情報等の情報が、サーバ400からPOSレジスタ300(複数台でも可)に配信されるようになっている。
図2に示すように、硬貨処理機100は、硬貨処理機100を制御する上位制御部101及び硬貨制御部102を有しており、これらの上位制御部101及び硬貨制御部102は通信接続されている。また、紙幣処理機200は、紙幣処理機200を制御する紙幣制御部202を有しており、この紙幣制御部202は硬貨処理機100の上位制御部101に通信接続されている。また、棒金管理機500は、棒金管理機500を制御する棒金制御部502を有しており、この棒金制御部502は硬貨処理機100の上位制御部101に通信接続されている。また、POSレジスタ300は、POSレジスタ300を制御するPOS制御部302を有しており、このPOSレジスタ300のPOS制御部302は硬貨処理機100の上位制御部101に通信接続されている。
そして、硬貨処理機100において硬貨の入金処理、出金処理、精査処理、回収処理等の様々な処理を行うと、硬貨処理機100の硬貨識別部150で識別された結果は硬貨処理機100からPOSレジスタ300に出力されて、当該結果が後述するPOS表示部351で表示される。また、紙幣処理機200において紙幣の入金処理、出金処理、精査処理、回収処理等の様々な処理を行うと、紙幣処理機200の紙幣識別部250で識別された結果も紙幣処理機200から上位制御部101を介してPOSレジスタ300に出力されて、当該結果がPOS表示部351で表示される。また、棒金管理機から出力される棒金の有無に関する情報、棒金の金種に関する情報等も棒金管理機500から上位制御部101を介してPOSレジスタ300に出力されて、当該情報がPOS表示部351で表示される。
以下、紙幣処理機200、棒金管理機500、POSレジスタ300及び硬貨処理機100の構成について、説明する。
《紙幣処理機200》
紙幣の入出金処理する紙幣処理機200の構成について説明する。
図1に示すように、紙幣処理機200は、略直方体形状の紙幣筐体205と、紙幣を紙幣筐体205の外部から入金するための紙幣入金部210と、紙幣入金部210から入金された紙幣を搬送する紙幣搬送部220と、紙幣入金部210から入金された紙幣の金種等を識別して計数する紙幣識別部250と、紙幣搬送部220で搬送された紙幣を収納するとともに収納された紙幣を繰り出す紙幣繰出収納部260と、リジェクト紙幣や紙幣繰出収納部260に収納されていた紙幣を出金するための紙幣出金部290と、を備えている。
紙幣入金部210は、紙幣が入金されると駆動されて当該紙幣を紙幣筐体205内に繰り出す入金紙幣操出部(図示せず)を有している。また、紙幣繰出収納部260は、必要に応じて紙幣繰出収納部260から紙幣を繰り出す出金紙幣繰出部(図示せず)を有している。
また、図1に示すように、紙幣搬送部220には、回収処理を行う際に紙幣繰出収納部260から繰り出された紙幣を収納する回収カセット235が連結されている。なお、紙幣識別部250で識別された紙幣の金種を収納するための紙幣繰出収納部260がフル(満杯)状態又はニアフル(ほぼ満杯)状態である場合には、この紙幣はオーバーフロー紙幣として、回収カセット235に収納される。
また、図1に示すように、紙幣搬送部220には、紙幣繰出収納部260から繰り出された紙幣が紙幣識別部250によって識別できない場合に、当該紙幣(出金リジェクト紙幣)を収納する出金リジェクト部230が連結されている。
図2に示すように、紙幣処理機200の紙幣制御部202には、インターフェース232、紙幣入金部210、紙幣搬送部220、出金リジェクト部230、紙幣識別部250、紙幣繰出収納部260、紙幣出金部290等がそれぞれ接続されている。そして、紙幣制御部202は、紙幣入金部210、紙幣搬送部220、出金リジェクト部230、紙幣識別部250、紙幣繰出収納部260、紙幣出金部290等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。
《棒金管理機》
次に、本実施の形態の棒金管理機500について説明する。
図1に示すように、本実施の形態の棒金管理機500は、棒金筐体505と、棒金筐体505に対して引き出し自在に設けられ、棒金を1本ずつ収納する棒金収納部520を複数個有する棒金ドロア506と、を備えている。なお、この棒金ドロア506内には、棒金以外にもバラ硬貨、紙幣、商品券等も収納することができる補助収納領域530が設けられていてもよい。
また、棒金ドロア506と棒金筐体505との間には、棒金制御部502に接続されたロータリエンコーダ(変位検出手段)(図示せず)が設けられており、棒金ドロア506の棒金筐体505に対する位置を検知することができるようになっている。そして、センサとロータリエンコーダ(変位検出手段)によって、棒金の直径を検知することで、棒金の有無を検知するだけでなく、棒金の金種の判定することができるようになっており、これらセンサとロータリエンコーダ(変位検出手段)によって、棒金検知部580(図2参照)が構成されている。ちなみに、本実施の形態では、棒金ドロア506の底面にスリット525が形成されており(図1参照)、このスリット525をセンサからの光が透過することで、棒金の直径や棒金の有無を検知することができるようになっている。なお、棒金収納部520内の棒金の有無及び金種を検知する手段としては、この方式に限定されず、各棒金収納部520に有無や金種(材質)を検知するセンサを配置してもよい。また、棒金筐体505には、棒金ドロア506を棒金筐体505に対して閉鎖位置に固定するロック部560(図2参照)が設けられている。また、本実施の形態の棒金管理機500は、棒金筐体505に対して棒金ドロア506が開状態になっているか閉状態になっているかを検知する開閉検知部570(図2参照)も備えている。
図2に示すように、棒金管理機500の棒金制御部502には、インターフェース532、棒金検知部580、開閉検知部570、ロック部560等がそれぞれ接続されている。そして、棒金制御部502は、棒金検知部580、開閉検知部570、ロック部560等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。
《POSレジスタ300》
次に、POSレジスタ300の構成について説明する。POSレジスタ300は、商品の購入情報を登録するとともに、硬貨処理機100や紙幣処理機200に対して硬貨や紙幣の入金処理、出金処理、精査処理及び回収処理等を行わせるようになっている。
図2に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部302は、硬貨処理機100の上位制御部101に通信接続されているとともに、サーバ400にも通信接続されている。そして、このPOS制御部302は、硬貨処理機100の上位制御部101を介して硬貨制御部102、紙幣制御部202及び棒金制御部502に指令を送り、この結果、硬貨処理機100に対して硬貨の入金処理、出金処理、精査処理及び回収処理等を行わせ、紙幣処理機200に対して紙幣の入金処理、出金処理、精査処理及び回収処理等を行わせ、棒金管理機500の棒金ドロア506を開放させるようになっている。また、POS制御部302は、硬貨制御部102、紙幣制御部202及び棒金制御部502から、上位制御部101を介して、硬貨処理機100、紙幣処理機200及び棒金制御部502における硬貨、紙幣及び棒金の処理状況や在高に係る情報を受け取るようになっている。
図1に示すように、POSレジスタ300は、店員等の操作者が操作することのできるPOS操作部352と、商品の取引状況、硬貨処理機100における硬貨の処理状況、紙幣処理機200における紙幣の処理状況、硬貨処理機100の内部に収納された硬貨の在高、紙幣処理機200の内部に収納された紙幣の在高、棒金管理機500の内部に収納された棒金の在高等を表示するPOS表示部351と、を備えている。操作者は、POS操作部352を介してPOS制御部302に対して様々な指令を与えることができるようになっている。
図2に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部302は、インターフェース332を介して、硬貨処理機100の上位制御部101やサーバ400に対して信号の送受信を行うようになっている。また、POS記憶部355には、硬貨処理機100における硬貨の処理状況、硬貨処理機100の内部に収納された硬貨の在高、紙幣処理機200における紙幣の処理状況、紙幣処理機200の内部に収納された紙幣の在高、棒金管理機500の内部に収納された棒金の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
なお、POSレジスタ300は、クレジットカード等の各種カードを読み取るカードリーダ360と、プリンター等からなる印字部370も有している。なお、POS表示部351で表示されるあらゆる情報やPOS記憶部355で記憶されているあらゆる情報は、当該印字部370で印字することができるようになっている。
図2に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部302には、カードリーダ360、印字部370、POS表示部351、POS操作部352、POS記憶部355、インターフェース332等がそれぞれ接続されている。そして、POS制御部302は、カードリーダ360、印字部370、POS表示部351、POS操作部352、POS記憶部355等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。
《硬貨処理機100》
次に、本実施の形態の硬貨処理機100の構成について説明する。なお、図3乃至図15は、本実施の形態の硬貨処理機100の構成を示すための図面である。ちなみに、本実施の形態の硬貨処理機100は、スーパー、コンビニエンスストア、ショッピングモール、百貨店等の様々な場所で利用され、硬貨の入出金処理を行う硬貨釣銭機となっている。
ところで、硬貨処理機100としてはこのような硬貨釣銭機には限られることはなく、例えば券売機、自動販売機等も含まれる。
図2に示すように、本実施の形態の硬貨処理機100の上位制御部101には、インターフェース132と、後述する操作表示部152と、様々な情報を記憶する硬貨記憶部155が接続されている。また、硬貨制御部102には、後述する、硬貨入金部110、入金硬貨搬送部120、硬貨識別部150、硬貨繰出収納部160、振分部127,129、出金硬貨搬送部180、硬貨出金部190(特許請求の範囲の「出金部」に対応する。)、着脱検知センサ156、残留検知センサ157及び検知センサ124,125,165等が接続されている。そして、上位制御部101は、操作表示部152及び硬貨記憶部155等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。また、硬貨制御部102は、硬貨入金部110、入金硬貨搬送部120、硬貨識別部150、硬貨繰出収納部160、振分部127,129、出金硬貨搬送部180、硬貨出金部190、着脱検知センサ156、残留検知センサ157及び検知センサ124,125,165等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。
本実施の形態の硬貨処理機100は、図4に示すように、硬貨筐体(特許請求の範囲の「筐体」に対応する。)105と、硬貨を硬貨筐体105の外部から入金するための硬貨入金部110と、硬貨筐体105内に設けられ、硬貨を収納するとともに収納された硬貨を繰り出す硬貨繰出収納部160と、硬貨筐体105内において、硬貨入金部110から投入された硬貨を1枚ずつ硬貨繰出収納部160まで入金経路に沿って搬送する入金硬貨搬送部120と、入金経路に沿って設けられ、入金硬貨搬送部120で搬送される硬貨を識別して計数する硬貨識別部150と、を備えている。また、図3に示すように、硬貨筐体105の上面には、操作者が操作信号を入力したり操作者に所定の情報を表示したりするための操作表示部152が設けられている。本実施の形態の操作表示部152はタッチパネルとなっており、操作表示部152に直接触れることで、操作者が操作信号を入力することができる。
図4に示すように、硬貨入金部110は、硬貨を投入するための硬貨入金口111と、硬貨入金口111から投入された硬貨を入金経路に繰り出す繰出ベルト112と、を有している。なお、図4において、繰出ベルト112は硬貨を左方向に向かって繰り出すようになっている。
入金硬貨搬送部120は、硬貨をピンで支持し、図4において反時計回りに硬貨を搬送する無端状のピン付きベルト121と、当該ピン付きベルト121を駆動する駆動ローラ122と、を有している。この駆動ローラ122の少なくとも一つには、駆動ローラ122を駆動するための駆動モータ(図示せず)が連結されている。入金経路には、入金経路に沿って硬貨が通過したことを検知するための複数の検知センサ124,125(後述する)が設けられている。
図4に示すように、入金経路には、後述する金種別硬貨繰出収納部161(つまり金種別硬貨繰出収納部161a〜161f)の各々に対応した検知センサ125(つまり検知センサ125a〜125f)と、当該検知センサ125からの情報を受けて各金種別硬貨繰出収納部161に対応する金種の硬貨を振り分ける複数(本実施の形態では6つ)の入金振分部127(つまり入金振分部127a〜127f)が設けられている。各検知センサ125は、対応する金種別硬貨繰出収納部161の上流位置に対応して設けられている。
各検知センサ125は、光を発光する発光部と、発光部で発光された光を受光する受光部と、を有している。そして、発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになることで硬貨が受光部と発光部との間まで搬送されたことを検知し、発光部から発光された光が硬貨で遮断されなくなり、再び受光部で発光部から発光された光を受光するようになることで硬貨が受光部と発光部との間を通過したことを検知するようになっている。
また、入金振分部127(入金振分部127a〜127fのいずれか1つ)の上流位置の検知センサ125(検知センサ125a〜125fのいずれか1つ)で硬貨の通過が確認されたが当該入金振分部127の下流位置の検知センサ125で硬貨の通過が確認されなかった場合には、当該入金振分部127で硬貨が取り込まれて、当該入金振分部127に対応する金種別硬貨繰出収納部161に硬貨が収納されたと判断される。
本実施の形態の硬貨繰出収納部160は、金種別に硬貨を収納する複数(本実施の形態では6つ)の金種別硬貨繰出収納部161を有しており、各金種別硬貨繰出収納部161が水平方向で並列に配置されている。金種別硬貨繰出収納部161は、図4の下から順番に、500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨を収納するようになっている。各金種別硬貨繰出収納部161は、対応する硬貨を例えば150枚〜200枚程度収納することができる。
金種別硬貨繰出収納部161の各々は、硬貨を収納する金種別繰出収納庫162(つまり金種別繰出収納庫162a〜162f)と、金種別繰出収納庫162内に収納された硬貨を出金経路に繰り出すための繰出部163と、繰出部163で繰り出される硬貨の枚数を検知する検知センサ165(図2参照)と、所定枚数の硬貨が繰り出された際にそれ以上の硬貨が繰り出されないように硬貨の繰り出しをストップさせるためのストッパ(図示せず)と、を有している。繰出部163は、硬貨を搬送する無端状の駆動ベルト164(図6参照)と、当該駆動ベルト164を駆動する駆動ローラ(図示せず)と、を有している。各繰出部163の駆動ローラの少なくとも一つには、駆動ローラを駆動するための駆動モータ(図示せず)が連結されている。なお、図6において駆動ベルト164で搬送された硬貨は、紙面の裏側から表側に向かって繰り出されることとなる。
各検知センサ165は、光を発光する発光部と、発光部で発光された光を受光する受光部とを有している。そして、発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになることで硬貨が受光部と発光部との間まで搬送されたことを検知し、発光部から発光された光が硬貨で遮断されなくなり、再び受光部で発光部から発光された光を受光するようになることで硬貨が受光部と発光部との間を通過したことを検知するようになっている。そして、発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになる回数を計数することで、硬貨繰出収納部160から後述する出金硬貨搬送部180に繰り出された硬貨の枚数を計数することができる。
図5に示すように、本実施の形態の硬貨処理機100は、硬貨繰出収納部160から繰り出された硬貨を出金経路に沿って搬送する出金硬貨搬送部180と、出金経路に繰り出されて出金硬貨搬送部180で搬送された硬貨を出金する硬貨出金部190も備えている。出金硬貨搬送部180は、図6の左方向へと硬貨を搬送する無端状の出金搬送ベルト181と、この出金搬送ベルト181を駆動する駆動ローラ182と、を有している。この駆動ローラ182の少なくとも一つには、駆動ローラ182を駆動するための駆動モータ(図示せず)が連結されている。また、出金硬貨搬送部180は、出金搬送ベルト181の下流側端部の上方に設けられた逆転ローラ187と、出金搬送ベルト181の下流側に設けられ、略水平方向(図6の左右方向)で延在するガイド板188aと、ガイド板188aの上方に設けられ、ガイド板188aとの間で硬貨を挟持して搬送する出金搬送ベルト188bと、を有している。なお、出金搬送ベルト188bは横断面が円形状からなる丸ベルトとなっており(図5参照)、通路幅の中央で略水平方向(図5の左右方向)で延在している。
硬貨出金部190は、出金硬貨搬送部180の下流側端部、図6で言うと左側端部に設けられており、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bで搬送されて硬貨筐体105内から硬貨を繰り出すための硬貨出金口191と、硬貨筐体105の前面側に設けられ、硬貨出金口191から繰り出された硬貨を受ける出金部本体192と、を有している(図10参照)。
図4に示すように、硬貨識別部150の下流位置であって硬貨繰出収納部160の上流位置には、硬貨識別部150で金種等を識別することができなかった硬貨をリジェクト硬貨として振り分けるためのリジェクト振分部129が設けられている。本実施の形態では、図4に示すように、リジェクト振分部129は、硬貨識別部150の下流側であって入金振分部127の上流側に位置している。
図6に示すように、リジェクト振分部129の下方には、リジェクト振分部129で振り分けられた硬貨を硬貨出金部190へ導くためのリジェクト搬送経路129bが設けられている。より具体的には、リジェクト振分部129が開状態となって当該リジェクト振分部129に取り込まれることで、硬貨は入金経路から外れ、リジェクト搬送経路129bを落下した後、出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bによって硬貨出金部190まで送られることとなる。
図4に示すように、リジェクト振分部129の直前の上流位置には光を発光する発光部と、発光部で発光された光を受光する受光部とを有する検知センサ124が設けられている。そして、発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになることで硬貨が受光部と発光部との間まで搬送されたこと、つまりリジェクト振分部129の直前の上流位置に硬貨が到達したことが検知される。このため、硬貨識別部150でリジェクト硬貨であると判断され、かつ、検知センサ124から硬貨が到達又は通過した旨の検知情報を受けた段階で、硬貨制御部102がリジェクト振分部129を開状態とし、リジェクト硬貨をリジェクト振分部129で取り込むようにしてもよい。なお、当然、硬貨識別部150でリジェクト硬貨であると判断された際にリジェクト振分部129を開状態のまま維持し、リジェクト硬貨をリジェクト振分部129で取り込む態様も採用することができる。
《整列部195》
次に、整列部195について説明する。
図10に示すように、硬貨出金部190は、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出される硬貨を整列する整列部195を有している。整列部195は、直線状に延びた硬貨案内部196と、この硬貨案内部196内に設けられ、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨を当該硬貨の前面側で堰き止める堰き止め部197と、を有している。硬貨案内部196の後面側の端部は硬貨出金口191に対向して設置されており(図10、図13及び図14参照)、硬貨案内部196はこの後面側の端部から前面側に向かって(正面から見て左方向へ)概ね45°の角度で傾斜して配置されている(図12参照)。本実施の形態の整列部195の硬貨案内部196は、その上面が開放されており、操作者は、硬貨案内部196内に水平方向において直線状で一列に整列された硬貨を上方から目視可能かつ自在に取り出すことができるようになっている。また、図11に示すように、硬貨案内部196はその横断面が、硬貨の形状に沿った略U字形状となっている。なお、整列部195は例えば樹脂材料から形成される。
図12に示すように、堰き止め部197には、堰き止められた硬貨の前面を部分的に開放する部分開放部197aが形成されている。本実施の形態の堰き止め部197は平坦な板形状となっており、部分開放部197aは堰き止め部197の上端縁の中心位置に形成された略U字形状の切り欠きとなっている。なお、これはあくまでも一例であり、例えば堰き止め部197が半円形状となっていてもよく、この場合には堰き止め部197の上方の空間であって堰き止め部197で堰き止められた硬貨の前面側の空間が部分開放部197aとなる。
図15(a)に示すように、硬貨案内部196の底面が水平方向に対して例えば8°〜28°の角度、典型的には18°の角度で傾斜している。また、堰き止め部197は水平方向に対して例えば80°〜140°の角度、典型的には110°の角度で傾斜している。なお、図15(a)で示したθ1が硬貨案内部196の底面の水平方向に対する傾斜角であり、図15(a)で示したθ2が堰き止め部197の水平方向に対する傾斜角である。ところで、堰き止め部197の前方側には上面が開放された空間(指入れ空間)199が設けられており、操作者の指を自由に挿入できるようになっている。なお、このように指を入れる空間は必ずしも堰き止め部197の前方側に形成されている必要はないことには留意が必要である。
また、硬貨案内部196の幅は30mm程度となっており、最も径の大きい500円硬貨の直径(約26.5mm)よりも大きくなっている。ところで、最も多い硬貨枚数となる999円分の硬貨が硬貨出金口191から繰り出された場合には、(対応する金種の硬貨が金種別硬貨繰出収納部161内に収納されていれば)1円硬貨が4枚、5円硬貨が1枚、10円硬貨が4枚、50円硬貨が1枚、100円硬貨が4枚、500円硬貨が1枚となり、合計15枚の硬貨が硬貨出金口191から繰り出される。このため、硬貨案内部196の長さは、4枚の1円硬貨、1枚の5円硬貨、4枚の10円硬貨、1枚の50円硬貨、4枚の100円硬貨、1枚の500円硬貨の全てが重なった際の厚みよりも長くなっていることが好ましく、一例としては30枚の100円硬貨が重なった際の厚みの合計程度となっていることが好ましい。
図15(a)に示すように、硬貨出金部190の硬貨出金口191から繰り出された硬貨は、整列部195の硬貨案内部196内で、少なくとも硬貨の一部分が重なった刺し身状に整列されることとなる。つまり、硬貨出金部190の硬貨出金口191から繰り出された硬貨は、整列部195の硬貨案内部196内において、先に硬貨出金口191から繰り出された硬貨の一部に後に硬貨出金口191から繰り出された硬貨の一部がもたれかかって重なり、一列に整列されることとなる(図15(a)参照)。
本実施の形態の整列部195は、硬貨筐体105の前面側に設けられた出金部本体192に対して着脱可能となっている。より具体的は、図13に示すように、整列部195は、出金部本体192に整列部195を取り付けるための取り付け部198を有している。
この取り付け部198は、出金部本体192の側壁に嵌め込まれる一対の嵌め込み部198a,198bを有している。そして、一対の嵌め込み部198a,198bを出金部本体192の側壁に嵌め込むことによって、出金部本体192に整列部195が取り付けられ、他方、一対の嵌め込み部198a,198bを出金部本体192の側壁から取り外すことによって、出金部本体192から整列部195が取り外される。なお、本実施の形態では、このように整列部195が出金部本体192に対して着脱可能となっているが、これに限られることはなく、整列部195は出金部本体192に対して一体となっていてもよい。また、上述したような一対の嵌め込み部198a,198bが設けられておらず、整列部195が出金部本体192に単純に載置されるようになっていてもよい。
本実施の形態では、整列部195が出金部本体192に取り付けられているか否かを検知するための着脱検知手段としての着脱検知センサ156が設けられてもよい(図2参照)。この着脱検知センサ156は、出金部本体192に設けられ、光を照射する発光部と、出金部本体192に設けられ、発光部から照射された光を受光する受光部とを有している。そして、発光部から照射された光が受光部で受光される場合には、硬貨制御部102によって整列部195が出金部本体192に取り付けられていないと判断され、他方、発光部から照射された光が受光部で受光されない場合には、硬貨制御部102によって整列部195が出金部本体192に取り付けられていると判断される。ちなみに、この着脱検知センサ156としては、整列部195が出金部本体192に取り付けられていないときに、出金受け部としての出金部本体192内で硬貨が満杯状態になっているか否かを検知するためのフル検知センサを利用することもできる。なお、出金部本体192内で硬貨が満杯状態になっているか否かについては、硬貨繰出収納部160から繰り出された硬貨の枚数を計数することによっても判断される。
本実施の形態では、着脱検知センサ156からの情報に基づいて、整列部195が出金部本体192から取り外されていると判断されることを条件に、硬貨処理機100内の硬貨を機外に回収する回収処理の実行指示を受け付けるようになってもよい。一例としては、整列部195が出金部本体192に設置されている状態で仮に操作者が操作表示部152やPOSレジスタ300から回収処理を実行するよう入力しようとしても、操作表示部152やPOSレジスタ300に「整列部を取り外して下さい」とか「整列部が取り付けられているため回収処理を行うことができません」といった警告文が表示され、操作者に回収処理を行うことができないこと、また、回収処理を行うことができない理由を伝えるようになってもよい。
本実施の形態の出金部本体192は、図9に示すように、底面に設けられた開口194aと、この開口194aを開閉するための開閉部194bと、を有している。そして、回収処理を行う際には、操作者が開閉部194bを上方位置(回避位置)に揺動し、開口194aを開状態とする。回収処理を行う際には、出金部本体192の下方に硬貨を回収するための回収袋、回収容器等の回収用収納部90が載置されることとなる。そして、操作者が操作表示部152等から回収処理を実行するよう入力すると、硬貨繰出収納部160から硬貨が出金経路に繰り出され、当該硬貨が出金硬貨搬送部180によって搬送されて硬貨出金口191から出金部本体192に繰り出され、当該硬貨が開口194aを経て回収用収納部90内に落下することとなる。ちなみに、開閉部194bの揺動は手動ではなく自動で行われてもよく、操作者が操作表示部152等から所定の入力を行うことで、開閉部194bが自動で回避位置へ揺動されるようになっていてもよい。
また、本実施の形態では、整列部195の硬貨案内部196内の硬貨の残留を検知するための残留検知手段としての残留検知センサ157が設置されてもよい(図2参照)。この残留検知センサ157は、出金部本体192に設けられ、光を照射する発光部と、出金部本体192に設けられ、発光部から照射された光を受光する受光部とを有している。また、整列部195には、図12に示すように、残留検知センサ157の発光部から照射された光を通過させる発光部側穴193aと、発光部と発光部側穴193aとを結んだ直線上に位置し、発光部から照射された光を通過させて受光部で受光できるようにした受光部側穴193bと、が設けられている。上述した発光部側穴193a及び受光部側穴193bは、硬貨案内部196と堰き止め部197との間の境界線上、硬貨案内部196の下端又は堰き止め部197の下端に設けられている。残留検知センサ157の発光部から照射された光が受光部で受光される場合には、硬貨制御部102で硬貨案内部196に硬貨が残っていないと判断され、他方、発光部から照射された光が受光部で受光されない場合には、硬貨制御部102で硬貨案内部196に硬貨が残っていると判断される。なお、発光部側穴193a及び受光部側穴193bが特許請求の範囲に記載された「穴」に対応している。ところで、残留検知センサ157としては、上述したように発光部及び受光部を有する光学式センサには限られることはなく、例えば重量センサ、磁気センサ等も用いることができる。
ところで、残留検知センサ157としては、整列部195が出金部本体192に設置されていない場合に出金部本体192内の硬貨の残留を検知するための残留検知センサ(複数の残留検知センサがある場合にはその一つ)を利用してもよい。この場合には、一つの残留検知センサで、整列部195が出金部本体192に設置された場合における硬貨案内部196に対する残留検知センサ157としての役割と、整列部195が出金部本体192に設置されていない場合における出金部本体192に対する残留検知センサとしての役割の両方を果たすことができる。
本実施の形態では、整列部195が出金部本体192に取り付けられている場合に硬貨出金部190に硬貨筐体105から硬貨を繰り出す際の第一速度が、整列部195が出金部本体192に取り付けられていない場合に硬貨出金部190に硬貨筐体105から硬貨を繰り出す際の第二速度と比較して遅くなってもよい。このように第一速度をやや遅くすることにより、硬貨の跳ね返りが少なくなり、硬貨が整列しやすくなる。この場合には、以下のような態様を採用することができる。つまり、着脱検知センサ156の発光部から照射された光が受光部で受光されず、硬貨制御部102で整列部195が出金部本体192に取り付けられていると判断された場合には、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが第一速度に対応して遅い速度で回転駆動され、出金硬貨搬送部180上の硬貨が図6の左方向に向かって搬送され、遅い第一速度で硬貨筐体105から硬貨が繰り出される。他方、着脱検知センサ156の発光部から照射された光が受光部で受光され、硬貨制御部102で整列部195が出金部本体192に取り付けられていないと判断されると、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが第二速度に対応して速い速度で回転駆動され、出金硬貨搬送部180上の硬貨が図6の左方向に向かって搬送され、速い第二速度で硬貨筐体105から硬貨が繰り出される。なお、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが第一速度に対応して遅い速度で回転駆動される際には、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが第二速度に対応して速い速度で回転駆動される場合と比較して、例えば60%〜90%程度の回転速度となり、典型的には80%程度の回転速度となっている。なお、出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bによる硬貨の搬送速度の一例としては、第二速度に対応して速い速度で回転駆動される際に、420mm/s〜620mm/s程度となっており、典型的には520mm/s程度となっている。
また、上記のように整列部195が出金部本体192に取り付けられているか否かではなく、回収処理を行う場合に速い第二速度で、硬貨出金部190に硬貨筐体105から硬貨が繰り出され、他方、出金処理を行う場合に遅い第一速度で、硬貨出金部190に硬貨筐体105から硬貨が繰り出されるようにしてもよい。この態様においては、操作表示部152やPOSレジスタ300から操作者によって回収処理を行うよう入力されると、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが第二速度に対応して速い速度で回転駆動され、出金硬貨搬送部180上の硬貨が図6の左方向に向かって搬送され、速い第二速度で硬貨筐体105から硬貨が繰り出される。他方、操作表示部152等から操作者によって出金処理を行うよう入力されると、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが第一速度に対応して遅い速度で回転駆動され、出金硬貨搬送部180上の硬貨が図6の左方向に向かって搬送され、遅い第一速度で硬貨筐体105から硬貨が繰り出される。
ちなみに、整列部195が出金部本体192に取り付けられておらず、かつ、回収処理を行う場合にのみ速い第二速度で、硬貨出金部190に硬貨筐体105から硬貨を繰り出すようにしてもよい。この場合には、回収処理を行うよう操作表示部152等から入力された場合であっても整列部195が出金部本体192に取り付けられている場合には、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが第一速度に対応して遅い速度で回転駆動され、遅い第一速度で硬貨筐体105から硬貨が繰り出される。また、整列部195が出金部本体192に取り付けられていなくても回収処理以外の処理(例えば出金処理)を行うよう操作表示部152等から入力された場合にも、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが第一速度に対応して遅い速度で回転駆動され、遅い第一速度で硬貨筐体105から硬貨が繰り出される。
次に、上述した構成からなる本実施の形態による硬貨処理機100で行われる様々な処理について説明する。
《入金処理》
入金処理を行う際には、まず、硬貨が硬貨入金口111に投入される。このように硬貨が硬貨入金口111に投入されると、自動で、又は、操作表示部152等から硬貨を入金するよう指示が入力された段階で、硬貨入金部110の繰出ベルト112が駆動され、繰出ベルト112上の硬貨が図4の左方向に運ばれ、入金経路に繰り出される(図7の(1)参照)。なお、硬貨入金部110の繰出ベルト112は硬貨入金口111内の硬貨が無くなるまで駆動され続ける。上述のようにして入金経路に繰り出された硬貨は、入金硬貨搬送部120で搬送されて、硬貨識別部150で金種等が識別されて(図7の(2)参照)、正常な硬貨であると判定されれば、対応する金種の金種別硬貨繰出収納部161内に収納される(図7の(3)及び図4参照)。他方、硬貨識別部150で識別することができない硬貨は、リジェクト硬貨としてリジェクト振分部129で取り込まれ、リジェクト搬送経路129bを落下した後、出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bによって硬貨出金部190まで送られる(図6参照)。
《出金処理》
出金処理を行う際には、まず、POS操作部352、操作表示部152等から所定枚数の硬貨を出金するよう指示が入力される。このような指示が入力されると、対応する金種の硬貨を収納している金種別硬貨繰出収納部161から所定枚数の硬貨が繰り出される(図8の(1)及び図6参照)。より具体的には、当該金種別硬貨繰出収納部161の駆動ベルト164が回転されて、当該金種別硬貨繰出収納部161の金種別繰出収納庫162から所定枚数の硬貨が出金経路に繰り出される。
上述のようにして金種別繰出収納庫162から出金経路に硬貨が繰り出されると、出金経路に繰り出された硬貨は、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181によって図6の左方向に向かって搬送される(図8の(2)参照)。そして、整列部195が出金部本体192に設置されている場合には、硬貨出金口191から硬貨筐体105の外方に繰り出された硬貨は、硬貨案内部196で少なくともその一部分が重なった刺し身状に整列される(図8の(3)及び図15(a)参照)。他方、整列部195が出金部本体192に設置されていない場合には、硬貨出金口191から硬貨筐体105の外方に繰り出された硬貨は、硬貨受け部としての出金部本体192で受け取られる(図8の(3)参照)。なお、整列部195を出金部本体192に設置するか否かについては、例えば大量に出金する場合には整列部195を出金部本体192から予め取り外し、それ以外の場合には、整列部195を出金部本体192に設置しておくようにすればよい。
なお、整列部195が出金部本体192に設置された状態で出金処理を行う場合には、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが第一速度に対応して遅い速度で回転駆動され、遅い第一速度で硬貨筐体105から硬貨が繰り出されるようにしてもよい。他方、整列部195が出金部本体192に設置されていない状態で出金処理を行う場合には、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが第二速度に対応して速い速度で回転駆動され、速い第二速度で硬貨筐体105から硬貨が繰り出されるようにしてもよい。なお、出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bを、第一速度に対応して遅い速度で回転駆動させるか、第二速度に対応して速い速度で回転駆動させるかについては、着脱検知センサ156の検知結果に基づいて自動的に切り替えられるようになっていてもよい。この態様を採用した場合には、着脱検知センサ156の検知結果に基づいて整列部195が出金部本体192に取り付けられていると判断された場合には、自動的に出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが第一速度に対応して遅い速度で回転駆動され、他方、着脱検知センサ156の検知結果に基づいて整列部195が出金部本体192に取り付けられていないと判断された場合には、自動的に出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが第二速度に対応して速い速度で回転駆動される。
《回収処理》
回収処理を行う際には、POS操作部352、操作表示部152等から硬貨を回収するよう指示が入力される。このような指示が入力されると、金種別硬貨繰出収納部161から硬貨が繰り出される(図9の(1)及び図6参照)。なお、このように回収処理を行う場合には、開閉部194bが揺動されて開口194aが開状態となり、出金部本体192の下方には硬貨を回収するための回収袋、回収容器等の回収用収納部90が載置される。
ところで、POS操作部352、操作表示部152等から、全てを回収(いわゆる「全回収」)するよう指示が入力された場合には硬貨繰出収納部160内に収納された硬貨の全てが硬貨繰出収納部160から繰り出され、ある金額を指定されて回収(いわゆる「指定金額回収」)するよう指示が入力された場合には指定された金額を出金するよう対応する金種の硬貨が金種別硬貨繰出収納部161から繰り出され、ある金額又はある枚数を残すように指定されて回収(いわゆる「残置回収」)するよう指示が入力された場合には指定された金額又は枚数を残すよう対応する金種の硬貨が金種別硬貨繰出収納部161から繰り出される。なお、このように硬貨繰出収納部160から硬貨を回収する際には、全ての金種の硬貨を一斉に回収する「一斉回収」と、金種別に硬貨を回収する「金種別回収」とがある。そして、一斉回収するか金種別回収をするかについても、POS操作部352、操作表示部等から入力されるようにしてもよい。
上述のようにして金種別繰出収納庫162から出金経路に硬貨が繰り出されると、出金経路に繰り出された硬貨は、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181によって図6の左方向に向かって搬送される(図9の(2)参照)。そして、当該硬貨は、硬貨出金口191から硬貨筐体105の外方に繰り出されて、出金部本体192の底面の開口194aから回収袋、回収容器等の回収用収納部90内に落下され、回収されることとなる。なお、このように回収処理を行う場合には、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bを第二速度に対応して速い速度で回転駆動し、速い第二速度で硬貨筐体105から硬貨を繰り出すようにすることもできる。
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態によって達成される効果であって、まだ述べていない効果又はとりわけ重要な効果について説明する。
本実施の形態の硬貨出金部190は、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出される硬貨を整列する整列部195を有している。このため、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨を整列部195の硬貨案内部196内で整列させることができ、硬貨案内部196に繰り出された硬貨を取り出しやすくすることができる。とりわけ、本実施の形態では、水平方向で直線状に延びた硬貨案内部196内に、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨が一列で整列されることから、硬貨案内部196内で整列された硬貨を一度に指で挟み込んで取り出すことができる。なお、このように硬貨を取り出しやすくすることによって、硬貨を取り出す際に当該硬貨が落ちてしまうことも防止することができる。
また、上述のように整列部195で硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨を整列部195の硬貨案内部196内で整列させるので、出金部本体192から硬貨を取り出す際に一部の硬貨が残ってしまうことを防止したり、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨が硬貨出金部190から飛び出して落ちてしまったりすることを防止することができる。
また、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨が整列部195の硬貨案内部196内において水平方向で一列に刺し身状で整列することから、硬貨出金口191から繰り出された硬貨の金額の概算を操作者が一目で分かるようにすることもできる。
また、図10に示すように、本実施の形態では、整列部195の硬貨案内部196は上面が開放されており、硬貨案内部196で整列された硬貨を上方から操作者が自在に取り出すことができるようになっている。このため、操作者は、硬貨筐体105の硬貨出金口191から整列部195の硬貨案内部196内に繰り出された硬貨をすぐに取り出すことができる。
ところで、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨を筒形状の保持部に取り込み上下方向又は上下方向から傾斜した角度で平積みすることも考えられるが、このような態様を採用した場合には、硬貨が厚さ方向に重なるとともに硬貨の外縁が筒形状の保持部で取り囲まれることから、硬貨出金口191から繰り出された硬貨の金額の概算を操作者が上から見て一目で確認することができない点で不都合がある。またこのような態様では、硬貨の外縁が筒形状の保持部で取り囲まれることから、上面が開放された整列部195の硬貨案内部196から硬貨を取り出す本実施の形態と比較して、硬貨が取り出しにくくなってしまう。なおこのように、硬貨出金口191から繰り出された硬貨の金額の概算を操作者が上から見て一目で確認することができないことや、硬貨出金口191から繰り出された硬貨が取り出しにくくなってしまうことは、特に迅速な処理が求められるスーパー、コンビニエンスストア、ショッピングモール等で採用される硬貨釣銭機としては大きな問題となりうる。
本実施の形態では、上述のように硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨が整列するので、硬貨案内部196の概ね決まった位置に硬貨を位置付けることができ、硬貨の残留状況を概ね同じものにすることができる。このため、硬貨の残留を検知する際に、少ない数の残留検知センサ157で硬貨が残留しているか否かを検知することができる。この点について説明する。本実施の形態のような整列部195がない場合には、出金受けとしての出金部本体192に様々な態様で硬貨が受け入れられる。このため、出金部本体192内の硬貨の有無を検知するために一対の発光部及び受光部を設けるだけでは、硬貨が出金部本体192に残っているのか否かを高い信頼性で検知することができない。これに対して、本実施の形態によれば、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨は整列部195の硬貨案内部196内で整列され、最も前面側に位置する硬貨は硬貨案内部196のある程度決まった位置に位置付けられる。このため、少ない数、典型的には一対の発光部及び受光部を有する残留検知センサ157で硬貨が残留しているか否かを検知することができる。ところで、硬貨案内部196が所定の角度以上で傾斜している場合には、操作者によって硬貨をすくい上げた際に残った硬貨を順次前方に移動させることができ、最も前方側に位置する硬貨を堰き止め部197に当接させることができる。このため、この場合には、操作者によって硬貨をすくい上げた際に硬貨が残った場合にも、一対の発光部及び受光部を設けるだけで硬貨案内部196内に硬貨が残っているか否かを高い信頼性で検知することができる。
ところで、残留検知センサ157で硬貨が残留していることが検知されると、その旨がPOS操作部352、操作表示部等に表示され、操作者に硬貨を硬貨案内部196から取り除くよう促すようにしてもよい。
また、図12に示すように、本実施の形態の硬貨案内部196は出金部本体192に対して水平方向において硬貨処理機100の前後方向に対して傾斜した方向(硬貨処理機100の前後方向に対して概ね45°の角度)で配置されている。このため、硬貨案内部196の長さを極力長くすることができ、ひいては、硬貨案内部196で整列される硬貨の枚数を多くすることができる。
ちなみに、本実施の形態では、金種別硬貨繰出収納部161から出金搬送ベルト181上に硬貨を繰り出す際には、対象となっている金種の金種別硬貨繰出収納部161から硬貨が一旦繰り出され、その後で出金搬送ベルト181及び出金搬送ベルト188bが図6の左方向へと硬貨を搬送し、硬貨筐体105の硬貨出金口191から当該硬貨が繰り出される。このため、硬貨案内部196で整列される硬貨は概ね金種別硬貨繰出収納部161の配列順に整列されることとなる。つまり、金種別硬貨繰出収納部161は、図4の下から順番に、500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨を収納するようになっていることから、金種別硬貨繰出収納部161から繰り出される硬貨もこの順番で出金搬送ベルト181上に載置されることとなる。そして、この出金搬送ベルト181が駆動されることで当該硬貨が図6の左方向に搬送され、当該硬貨は、逆転ローラ187を経た後で、出金搬送ベルト188bによって図6の左方向に搬送され、最終的には硬貨案内部196で前方側から500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨、1円硬貨の順番で配列されることとなる。このため、硬貨案内部196内において同じ金種の硬貨をまとめて整列することができ、各金種の硬貨が何枚、硬貨出金口191から繰り出されたかを一目で確認しやすくすることができる。但し、互いに重なった状態で出金搬送ベルト181によって搬送された硬貨が逆転ローラ187で図6の右方向にはじかれる等の様々な理由から、上述した順番(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨の順番)が入れ替わる可能性があることには留意が必要である。
ちなみに、硬貨案内部196の径を前方側から段階的(より具体的には6金種に合わせて6段階)に変え、最も前面側で500円硬貨(直径約26.5mm)を受け、次に10円硬貨(直径約23.5mm)を受け、次に100円硬貨(直径約22.6mm)を受け、次に5円硬貨(直径約22.0mm)を受け、次に50円硬貨(直径約21.0mm)を受け、最も後面側で1円硬貨(直径約20.0mm)を受けることができるようにするとともに、硬貨筐体105の硬貨出金口191から硬貨案内部196内に繰り出される硬貨を、上述した順番、つまり500円硬貨、10円硬貨、100円硬貨、5円硬貨、50円硬貨及び1円硬貨としてもよい。このような態様を採用した場合には、硬貨案内部196内で各金種別に硬貨を区分けすることができ、操作者が各金種の硬貨が何枚繰り出されたかをより容易に把握することができる。
また、本実施の形態では、図12に示すように、堰き止め部197には、堰き止められた硬貨の前面を部分的に開放する部分開放部197aが形成されている。このため、操作者が前面側に設けられた当該部分開放部197aに操作者が指を置くか、又は、操作者がその指を当該部分開放部197aを通過させることで、一列に並んだ硬貨の前面側に指を当接させることができ、ひいては、一列に並んだ硬貨を容易に挟持することができる。
また、本実施の形態では、硬貨案内部196の底面が水平方向に対して所定の角度(例えば8°)以上の角度で傾いていることから、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨を硬貨案内部196の途中で止めることなく、前面側から順に刺し身状に整列させることができる。また、硬貨案内部196が水平方向に対して所定の角度(例えば28°)以下の角度で傾いていることから、硬貨案内部196内で整列された硬貨を極端に急な角度で配列しないようにすることでき、硬貨案内部196内で整列された硬貨を操作者が取り出しやすくすることができる。
また、本実施の形態では、図12乃至図14に示すように、堰き止め部197の前方側には空間(指入れ空間)199が設けられていることから、当該空間に操作者の指を挿入し、その後で、上述した部分開放部197aを指が通過できるようになっている。このため、硬貨案内部196で一列に並んだ硬貨をより容易に挟持することができるようになっている。
本実施の形態の整列部195は、出金部本体192に対して着脱可能となっている。このため、整列部195の必要なユーザが必要な場面でのみ整列部195を利用することができ、様々な運用に沿った硬貨処理機100とすることができる。
本実施の形態において整列部195が出金部本体192に取り付けられているか否かを検知するための着脱検知センサ156を設けた態様を採用した場合には、当該着脱検知センサ156から取得される情報に基づいて様々な制御を行うことができる。一例としては、着脱検知センサ156からの情報に基づいて、整列部195が出金部本体192から取り外されていると判断されることを条件に、回収処理の実行指示を受け付けるようにすることができる。この場合には、整列部195を出金部本体192に設置したままの状態で硬貨の回収処理を行ってしまうことを防止することができる。この点について説明する。
回収処理を行う場合には出金処理の場合と比較して一般に多くの硬貨が硬貨繰出収納部160から繰り出され、硬貨筐体105の硬貨出金口191から機外に繰り出される。このため、整列部195を出金部本体192に取り付けた状態で回収処理を行うと、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨が硬貨案内部196からあふれ出してしまったり、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨が硬貨案内部196で埋まってしまいそれ以上硬貨を繰り出すことができなかったりする事態等が生じうる。
この点、上述したように、整列部195が出金部本体192から取り外されていると判断されることを条件に回収処理の実行指示を受け付けるようにすることで、このような事態が発生することを未然に防止することができる。
なお、整列部195が出金部本体192に取り付けられていないときに出金部本体192に硬貨が満杯状態になっているか否かを検知するためのフル検知センサを、着脱検知センサ156として利用した場合には、一つのセンサ(一対の発光部及び受光部)で、整列部195が出金部本体192に取り付けられているか否かを検知するだけでなく、整列部195が出金部本体192に取り付けられていない場合に出金部本体192に硬貨が満杯状態になっているか否かを検知することができる。
本実施の形態では、開閉部194bを揺動して開口194aを開状態とし、かつ、出金部本体192の下方に硬貨を回収するための回収袋、回収容器等の回収用収納部90を載置したうえで、回収処理を行うことができる。このため、操作者は、操作表示部152等から回収処理の実行指示を入力するだけで、金種別硬貨繰出収納部161から繰り出された硬貨を回収用収納部90内に収納させることができ、迅速かつ容易に回収処理を行うことができる。
また、整列部195に発光部側穴193a及び受光部側穴193bを設けた場合には、硬貨案内部196に対する残留検知センサ157として、整列部195が出金部本体192に設置されていない場合に出金部本体192内の硬貨の残留を検知するための残留検知センサ(複数の残留検知センサがある場合にはその一つ)を利用することができる。このため、一つの残留検知センサ(一対の発光部及び受光部)で、整列部195が出金部本体192に取り付けられている場合に硬貨案内部196内に硬貨が残留しているか否かを検知するだけでなく、整列部195が出金部本体192に取り付けられていない場合に当該出金部本体192に硬貨が残留しているか否かを検知することができる。
また、本実施の形態において、整列部195が出金部本体192に取り付けられている場合に硬貨出金部190に硬貨筐体105から硬貨を繰り出す際の第一速度が、整列部195が出金部本体192に取り付けられていない場合に硬貨出金部190に硬貨筐体105から硬貨を繰り出す際の第二速度と比較して遅くなっている態様を採用した場合には、整列部195が出金部本体192に取り付けられているときに遅い速度で硬貨筐体105の硬貨出金口191から硬貨を繰り出すことで、硬貨案内部196内で硬貨がより確実に並ぶようにすることができ、他方、整列部195が出金部本体192に取り付けられているときには速い速度で硬貨筐体105の硬貨出金口191から硬貨を繰り出すことで、効率よく回収処理等を行うことができる。この点について説明する。整列部195が出金部本体192に取り付けられているときには、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨が硬貨案内部196内で順次並んでいくこととなるが、繰り出す速度が速すぎると硬貨が硬貨案内部196にうまく流れこまずに硬貨案内部196から飛び出してしまったり硬貨案内部196に対して斜めに入り込む等して、硬貨を硬貨案内部196内でうまく整列させることができない事態が生じる可能性がある。この点、上述したように整列部195が出金部本体192に取り付けられているときに遅い速度で硬貨筐体105の硬貨出金口191から硬貨を繰り出す態様を採用することで、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨をうまく硬貨案内部196で整列させることができる。他方、整列部195が出金部本体192に取り付けられていないときには、硬貨筐体105の硬貨出金口191から繰り出された硬貨を硬貨案内部196内で整列させることを気にする必要がないことから、速い速度で出金し、迅速に回収処理等を行うことができる。
また、回収処理を行う場合に速い第二速度で硬貨出金部190に硬貨筐体105から硬貨を出金し、他方、出金処理を行う場合に遅い第一速度で硬貨出金部190に硬貨筐体105から硬貨を繰り出す態様を採用した場合には、簡易な制御で、回収処理を行う場合には迅速に処理し、出金処理を行う場合には硬貨案内部196内で硬貨がより確実に並ぶようにすることができる。この点について説明する。この態様によれば、回収処理以外の処理、より具体的には出金処理を行うように操作表示部152等から入力された際には、整列部195が出金部本体192に取り付けられているか否かを検知するまでもなく整列部195が出金部本体192に設置されていることを前提とし、遅い第一速度で硬貨筐体105の硬貨出金口191から硬貨を繰り出すことにより、簡易な制御で、(整列部195が出金部本体192に設置されている場合には)硬貨案内部196内で硬貨が確実に並ぶようにすることができる。他方、回収処理を行うように操作表示部152等から入力された際には、整列部195が出金部本体192に取り付けられているか否かを検知するまでもなく整列部195が出金部本体192から取り外されていることを前提とし、やはり簡易な制御で、速い第二速度で硬貨を出金し、迅速に回収処理を行うことができる。
[変形例]
変形例1
次に、本実施の形態の残留検知センサ157及び着脱検知センサ156に関する変形例1と、この変形例1によって得られる効果について説明する。
本変形例の残留検知センサ157は、図16(a)−(c)に示すように、第一残留検知センサ157a、第二残留検知センサ157b及び第三残留検知センサ157cを有している。第一残留検知センサ157a、第二残留検知センサ157b及び第三残留検知センサ157cの各々は、光を照射する発光部と、発光部から照射された光を受光する受光部とを有している。そして、本変形例の整列部195には、第一残留検知センサ157aの発光部から照射された光を第一残留検知センサ157aの受光部で受光させるための透過用穴が設けられており、第三残留検知センサ157cの発光部から照射された光を第三残留検知センサ157cの受光部で受光させるための透過用穴が設けられている。なお、本変形例の整列部195に、第二残留検知センサ157bの発光部から照射された光を第二残留検知センサ157bの受光部で受光させるための透過用穴は設けられてもよいし、設けられていなくてもよい。
また、本変形例における着脱検知センサ156は、図18(a)(b)に示される位置に設置されており、光を照射する発光部と、発光部から照射された光を受光する受光部とを有している。この着脱検知センサ156は、出金部190におけるニアフル検知センサを兼ねており、出金動作中に着脱検知センサ156が継続的に遮光されると、出金部190に硬貨がたまったものと判断して出金動作を停止する。また、出金動作が行われていない待機状態等において、着脱検知センサ156の発光部から照射された光が着脱検知センサ156の受光部で受光されない場合には硬貨制御部102によって整列部195が出金部本体192に設置されていると判断され、他方、着脱検知センサ156の発光部から照射された光が着脱検知センサ156の受光部で受光される場合には硬貨制御部102によって整列部195が出金部本体192に設置されていないと判断される。そして、整列部195が出金部本体192に設置されているか否かの硬貨制御部102による判断結果に基づいて、(変形例1だけではなく変形例2及び変形例3における)後述するような各種制御を行うことができる。
整列部195が出金部本体192に設置されていない場合には、第一残留検知センサ157aの発光部から照射された光が第一残留検知センサ157aの受光部で受光され、第二残留検知センサ157bの発光部から照射された光が第二残留検知センサ157bの受光部で受光され、第三残留検知センサ157cの発光部から照射された光が第三残留検知センサ157cの受光部で受光される場合に、硬貨が出金部本体192に残留していないと硬貨制御部102によって判断される。他方、第一残留検知センサ157a、第二残留検知センサ157b及び第三残留検知センサ157cのいずれか1つ以上において、発光部から照射された光が受光部で受光されない場合に、硬貨が出金部本体192に残留していると硬貨制御部102によって判断される。
また、整列部195が出金部本体192に設置されている場合には、第一残留検知センサ157aの発光部から照射された光が第一残留検知センサ157aの受光部で受光され、第三残留検知センサ157cの発光部から照射された光が第三残留検知センサ157cの受光部で受光される場合に、硬貨が整列部195の硬貨案内部196に残留していないと硬貨制御部102によって判断される。他方、第一残留検知センサ157a及び第三残留検知センサ157cのいずれか1つ以上において、発光部から照射された光が受光部で受光されない場合に、硬貨が整列部195の硬貨案内部196に残留していると硬貨制御部102によって判断される。なお、整列部195が出金部本体192に設置されている場合には、第二残留検知センサ157bは作動しないようにしてもよいし、第二残留検知センサ157bが作動してもその検知結果は無視されるようにしてもよい。このように利用する残留検知センサ157の数を減らすことができるのは、整列部195の硬貨案内部196内に硬貨が整列することから、硬貨が存在するであろう位置を限定することができるためである。
上述したように、本変形例1では、整列部195が出金部本体192に設置されている場合に利用される残留検知センサ157の数を、整列部195が出金部本体192に設置されていない場合に利用される残留検知センサ157の数よりも少なくできる。
この効果は、整列部195を採用することで硬貨が存在するであろう位置を整列部195の硬貨案内部196内に限定できることに由来しており、残留検知センサ157の数や設置位置に限定されずに達成される効果である点には留意が必要である。そして、本変形例1における残留検知センサ157及び着脱検知センサ156の数と設置位置は、あくまでも一例に過ぎないことにも留意が必要である。
変形例2
次に、本実施の形態の残留検知センサ157及び着脱検知センサ156に関する変形例2と、この変形例2によって得られる効果について説明する。
本変形例2は、上述した変形例1と略同一の内容となっているが、残留検知センサ157が、図19(a)(c)に示すような第四残留検知センサ157dを有している点で、変形例1とは異なる。なお、本変形例2では、整列部195の部分開放部197a(図13、図14等を参照)だけでは不十分な場合には、必要に応じて、第四残留検知センサ157dの発光部から照射された光を第四残留検知センサ157dの受光部で受光させるための透過用穴が整列部195に設けられてもよい。
この第四残留検知センサ157dも、光を照射する発光部と、発光部から照射された光を受光する受光部とを有している。そして、第四残留検知センサ157dの発光部及び受光部は、硬貨案内部196に対応して配置されており、第四残留検知センサ157dの発光部から照射された光は、硬貨案内部196内を通過して、第四残留検知センサ157dの受光部で受光されることになる。なお、第四残留検知センサ157dの発光部から照射された光は、硬貨案内部196の短手方向の略中心や硬貨案内部196の底面近傍を通過して、第四残留検知センサ157dの受光部で受光されることが好ましい。
本変形例2でも、整列部195が出金部本体192に設置されていない場合には、第一残留検知センサ157aの発光部から照射された光が第一残留検知センサ157aの受光部で受光され、第二残留検知センサ157bの発光部から照射された光が第二残留検知センサ157bの受光部で受光され、第三残留検知センサ157cの発光部から照射された光が第三残留検知センサ157cの受光部で受光される場合に、硬貨が出金部本体192に残留していないと硬貨制御部102によって判断される。他方、第一残留検知センサ157a、第二残留検知センサ157b及び第三残留検知センサ157cのいずれか1つ以上において、発光部から照射された光が受光部で受光されない場合に硬貨が出金部本体192に残留していると硬貨制御部102によって判断される。整列部195が出金部本体192に設置されていない場合には、第四残留検知センサ157dは作動しないようにし、第四残留検知センサ157dが作動してもその検知結果は無視されるようにする。
上記とは異なり、整列部195が出金部本体192に設置されている場合には、第四残留検知センサ157dの発光部から照射された光が第四残留検知センサ157dの受光部で受光される場合に、硬貨が整列部195の硬貨案内部196に残留していないと硬貨制御部102によって判断される。他方、第四残留検知センサ157dの発光部から照射された光が第四残留検知センサ157dの受光部で受光されない場合に、硬貨が整列部195に残留していると硬貨制御部102によって判断される。なお、整列部195が出金部本体192に設置されている場合には、第一残留検知センサ157a、第二残留検知センサ157b及び第三残留検知センサ157cは作動しないようする。なお、本変形例2では、第一残留検知センサ157a、第二残留検知センサ157b及び第三残留検知センサ157cに対応した透過用穴は整列部195に設けられていなくてもよい。
上述したように、本変形例2では、整列部195が出金部本体192に設置されている場合に第四残留検知センサ157dを用いるようにすることで、整列部195が出金部本体192に設置されている場合に利用される残留検知センサ157の数を減らすことができる。より具体的には、たった一つの第四残留検知センサ157dを利用するだけでも、ほぼ確実に、整列部195の硬貨案内部196内に硬貨が残留しているか否かを検知することができる。
このように、整列部195が出金部本体192に設置されている場合に利用される残留検知センサ157の数を減らす(本変形例2では一つの第四残留検知センサ157dだけにする)ことができるのは、整列部195を採用することで硬貨が存在するであろう位置を整列部195の硬貨案内部196内に限定できることに由来している。そして、この効果は、残留検知センサ157の数や設置位置に限定されずに達成される効果である点には留意が必要である。そして、本変形例2における残留検知センサ157及び着脱検知センサ156の数と設置位置は、あくまでも一例に過ぎないことにも留意が必要である。
変形例3
次に、硬貨出金部190に硬貨筐体105から硬貨を繰り出す際の速度に関する変形例3と、この変形例3によって得られる効果について説明する。
上述した実施の形態では、整列部195が出金部本体192に取り付けられている場合に硬貨出金部190に硬貨筐体105から硬貨を繰り出す際の第一速度は、整列部195が出金部本体192に取り付けられていない場合に硬貨出金部190に硬貨筐体105から硬貨を繰り出す際の第二速度と比較して遅くなってもよい旨、述べた。本変形例3では、この第一速度が、硬貨筐体105から硬貨出金部190に繰り出される硬貨の枚数に応じて変化する態様になっている。より具体的には、硬貨筐体105から硬貨出金部190に繰り出される硬貨の枚数が多いほど、連続的に又は段階的に、第一速度が遅くなるようにすることができる。また、このような態様では無く、第一閾値未満では、硬貨筐体105から硬貨出金部190に繰り出される硬貨の枚数が多いほど、連続的に又は段階的に、第一速度が遅くなるようにし、他方、第一閾値以上では、第一閾値未満の最大枚数(「第一閾値−1」枚)の場合よりも第一速度が速くなるようにすることができる。なお、本変形例3においては、第一速度と第二速度との関係は特に限定されていない。このため、第一速度は第二速度と等しくなっていてもよいし、第一速度は第二速度よりも速くなっていてもよいし遅くなっていてもよい。
一例を示すとすると、以下の表1に示すような態様を採用することができる。なお、以下の表1では、出金される硬貨の枚数が1枚又は2枚のときの第一速度を100%とした際の数値である。上述した「第一閾値」は、表1では「11枚」となっている。表1の「付加条件」としては、連続して隣り合う3金種以上の硬貨が出金され、かつ、そのうち少なくとも1金種が複数枚出金されることを挙げることができる。
硬貨筐体105から硬貨出金部190に繰り出される硬貨の枚数が多いほど、連続的に又は段階的に、第一速度を遅くすることで、整列部195の硬貨案内部196内で硬貨が金種別でより確実に並ぶようにすることができる。
なお、硬貨を繰り出す際の速度の調整は、上述したように出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181の移動速度を調整することで行われる。そして、硬貨繰出収納部160から出金硬貨搬送部180に繰り出される硬貨の枚数が多い場合には、第一速度を遅くするために出金搬送ベルト181の移動速度を遅くすることで、金種の異なる硬貨が出金搬送ベルト181で移動している途中で混ざってしまうことを防止することもできる。
上述したように、第一閾値未満では、硬貨筐体105から硬貨出金部190に繰り出される硬貨の枚数が多いほど、連続的に又は段階的に、第一速度が遅くなるようにし、他方、第一閾値以上では、第一閾値未満の最大枚数(「第一閾値−1」枚)の場合よりも第一速度が速くなるようにすることもできる。この場合には、第一閾値未満の硬貨が繰り出される場合には、整列部195の硬貨案内部196内で硬貨が金種別でより確実に並ぶようにすることができる。他方、第一閾値以上の硬貨が繰り出される場合には、硬貨案内部196内に硬貨が整列されることよりも、硬貨の出金を早く終わらせることを優先させることができる。なお、このような態様を採用した理由としては、整列部195の硬貨案内部196内に案内される硬貨が多い場合には、硬貨案内部196内に硬貨が上手く整列しない可能性があることも挙げることができる。
また、硬貨繰出収納部160から繰り出された硬貨の枚数が多く、第二閾値以上になっている場合には、硬貨繰出収納部160からの硬貨の繰り出しを分割して行うようにしてもよい。複数の金種が繰り出される場合には、1つの金種毎又は複数の金種毎に分けて硬貨繰出収納部160から硬貨を繰り出すようにしてもよい。
また、硬貨繰出収納部160から出金硬貨搬送部180に硬貨を繰り出す際に、出金硬貨搬送部180をわずかに動かす寸動制御を行ってもよい。硬貨繰出収納部160から出金硬貨搬送部180に硬貨を繰り出す際に寸動制御するだけにし、基本的には出金硬貨搬送部180を移動させないようにすることで、整列部195の硬貨案内部196内に硬貨を金種別に整列させることができる。また、出金硬貨搬送部180を完全に停止させずに寸動制御を行うことで、硬貨繰出収納部160から出金硬貨搬送部180に繰り出された硬貨が重ならないようにする又は硬貨の重なりを小さくすることができるし、出金硬貨搬送部180上で重なった硬貨を崩すこともできる。なお、寸動制御を行う際には、例えば出金硬貨搬送部180が出金部190に向かって第一所定時間だけ移動し、その後、出金硬貨搬送部180が第二所定時間だけ停止することを繰り返してもよい。なお、出金硬貨搬送部180が出金部190に向かう方向と出金部190に向かう方向とは逆方向とで振動するようにして駆動されてもよい。
寸動制御を行う場合には、金種別硬貨繰出収納部161から繰り出される硬貨の枚数や金種に応じて寸動量を変えるようにしてもよい。より具体的には、金種別硬貨繰出収納部161から繰り出される硬貨の枚数が第三閾値未満の場合には大きな寸動量(第一寸動量)で出金硬貨搬送部180を移動させ、金種別硬貨繰出収納部161から繰り出される硬貨の枚数が第三閾値以上の場合には小さな寸動量(第二寸動量)で出金硬貨搬送部180を移動させるようにしてもよい。また、互いに隣接する金種別硬貨繰出収納部161から硬貨が繰り出されない場合には大きな寸動量(第一寸動量)で出金硬貨搬送部180を移動させ、互いに隣接する金種別硬貨繰出収納部161から繰り出される場合には小さな寸動量(第二寸動量)で出金硬貨搬送部180を移動させるようにしてもよい。また、これらを組み合わせてもよく、互いに隣接する金種別硬貨繰出収納部161から硬貨が繰り出されない場合には大きな寸動量(第一寸動量)で出金硬貨搬送部180を移動させ、互いに隣接する金種別硬貨繰出収納部161から繰り出される場合であって、隣接する金種別硬貨繰出収納部161の各々から繰り出される硬貨の枚数が第三閾値以上の場合には小さな寸動量(第二寸動量)で出金硬貨搬送部180を移動させ、互いに隣接する金種別硬貨繰出収納部161から繰り出される場合であって、隣接する金種別硬貨繰出収納部161のうちの一方から繰り出される硬貨の枚数が第三閾値未満であり他方から繰り出される硬貨の枚数が第三閾値以上である場合にはやや小さな寸動量(第三寸動量)で出金硬貨搬送部180を移動させ、互いに隣接する金種別硬貨繰出収納部161から繰り出される場合であって、隣接する金種別硬貨繰出収納部161の各々から繰り出される硬貨の枚数が第三閾値未満である場合にはやや大きな寸動量(第四寸動量)で出金硬貨搬送部180を移動させるようにしてもよい。このような態様を採用することで、出金硬貨搬送部180上で異なる金種の効果が混ざってしまうことを防止することができ、ひいては、整列部195の硬貨案内部196内に硬貨を金種別に整列させることができる。なお、第一寸動量、第二寸動量、第三寸動量及び第四寸動量は、第一寸動量>第四寸動量>第三寸動量>第二寸動量の条件を満たすことになる。
ちなみに、本変形例3で述べた態様、つまり、第一速度を硬貨筐体105から硬貨出金部190に繰り出される硬貨の枚数に応じて変化させること、硬貨繰出収納部160から繰り出された硬貨の枚数が第二閾値以上になっている場合に硬貨繰出収納部160からの硬貨の繰り出しを分割して行うこと、及び、硬貨繰出収納部160から出金硬貨搬送部180に硬貨を繰り出す際に出金硬貨搬送部180をわずかに動かす寸動制御を行うことのいずれか1つ以上は、紙幣処理機200による紙幣の出金処理が行われることを条件に行われてもよい。一般に紙幣処理機200による紙幣の出金処理が行われる場合には顧客に紙幣を硬貨よりも前に手渡す運用となっていることが多い。このため、本変形例3で述べた態様を採用して硬貨の出金に多少の時間がかかっても、顧客を待たせる可能性が低いためである。
また、本変形例3で述べた態様、つまり、第一速度を硬貨筐体105から硬貨出金部190に繰り出される硬貨の枚数に応じて変化させること、硬貨繰出収納部160から繰り出された硬貨の枚数が第二閾値以上になっている場合に硬貨繰出収納部160からの硬貨の繰り出しを分割して行うこと、及び、硬貨繰出収納部160から出金硬貨搬送部180に硬貨を繰り出す際に出金硬貨搬送部180をわずかに動かす寸動制御を行うことの各々に関して、採用するかしないかについてユーザが自ら選択できるようになっていてもよい。この場合には、操作表示部152、POS操作部352等から設定モードに入って、これらの態様を採用するか否かが選択できるようになっていてもよい。
最後になったが、上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。