以下、発明を実施するための形態について、図面を用いて詳細に説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機(ATM)の構成]
まず第1の実施の形態について説明する。図1に、この第1の実施の形態における現金自動預払機(以下、これをATMとも呼ぶ)1の全体構成の概略を示す。
このATM1は、キャッシュカードや紙幣、取引明細票等を取引媒体とし、利用者の操作によって、現金の預け払いや支払い、振り込み等の処理を行うようになっている。
このATM1の内部上方には、利用者のキャッシュカード等を処理するカード処理機(図示せず)と、取引明細票(以下、これをレシートとも呼ぶ)を印字して利用者へ発行するレシート印刷機(図示せず)が設けられている。
カード処理機は、ATM1の前面(利用者に対向する面)に設けられたカード挿入返却口2より投入された利用者のキャッシュカードを処理し、レシート印刷機は、ATM1の前面に設けられたレシート発行口3より取引明細票を利用者へ放出する。
またATM1の内部下方には、紙幣を処理する紙幣入出金機4が設けられている。この紙幣入出金機4の前面上方には、ATM1の前面に露出する入出金口シャッタ5が設けられ、この入出金口シャッタ5の開閉に応じて紙幣の入出金が行われる。
さらにATM1の前面には、利用者の取引内容を表示すると共に、取引のための様々な情報や項目を入力する操作表示部6と、暗証番号等を入力するテンキー7とが設けられている。
さらにATM1の内部には、ATM1の全体を統括的に制御して、上述した各部の制御を行う主制御部8や、ATM1の運用情報等を記憶するメモリ部9が設けられている。
さらにこれら主制御部8及びメモリ部9とは別に、紙幣入出金機4の内部に、紙幣入出金機4の制御を行う制御部10と、この制御部10の記憶領域となるメモリ部11とが設けられている。
[1−2.紙幣入出金機の構成]
次に、図2を用いて、紙幣入出金機4の内部構成について説明する。紙幣入出金機4は、ATM1の内部に設けられている板厚の厚い鋼板で囲われた金庫部20のさらに内側に設けられている。
紙幣入出金機4の前面(利用者に対向する面)上方には、利用者が紙幣の投入や受け取りを行うための入出金口部21が配置され、この入出金口部21の入出金口21aに上述した入出金口シャッタ5が設けられている。
紙幣入出金機4では、この入出金口シャッタ5を開くことで、入出金口部21をATM1の前面から露出させ、利用者に対して紙幣の投入や紙幣の受け取りを行わせ得るようになっている。
この入出金口部21の下方に、紙幣の真偽、正損、金種、搬送状態等を判別する鑑別部22が配置されている。入出金口部21は、この鑑別部22と接続できるようになっている。
また入出金口部21の後方、且つ鑑別部22の上方には、利用者が入金した紙幣を取引成立まで一時的に保管する一時保留部23が配置されている。この一時保留部23も、鑑別部22と接続できるようになっている。
鑑別部22の前方には、利用者へ出金する紙幣として適さないと判別された紙幣(これを出金リジェクト紙幣とも呼ぶ)を収納するリジェクト庫24と、利用者が入出金口部21から取り忘れた紙幣を収納する取込庫25とが、リジェクト庫24を上側、取込庫25を下側として上下方向に並べて配置されている。これらリジェクト庫24、及び取込庫25も、鑑別部22と接続できるようになっている。
また鑑別部22の後方には、紙幣を金種別に収納する複数(例えば4個)の紙幣収納庫26(26a〜26d)が前後方向に並べて配置されている。
さらにこれら4個の紙幣収納庫26(26a〜26d)の上方、且つ鑑別部22の後方には、前後方向に延在する振分搬送路27が配置されている。
この振分搬送路27は、鑑別部22及び各紙幣収納庫26(26a〜26d)と接続可能で、鑑別部22と各紙幣収納庫26(26a〜26d)との間で、紙幣を双方向に搬送できるようになっている。
すなわち、振分搬送路27は、紙幣収納庫26(26a〜26d)へ収納する紙幣を、鑑別部22から紙幣収納庫26(26a〜26d)へと搬送する一方で、紙幣収納庫26(26a〜26d)から利用者へ出金する紙幣を、紙幣収納庫26(26a〜26d)から鑑別部22へと搬送するようになっている。
ちなみに、この紙幣入出金機4では、4個の紙幣収納庫26(26a〜26d)を、紙幣を金種別に収納する収納庫として使用する以外に、例えば、4個の紙幣収納庫26(26a〜26d)の一つを、出金リジェクト紙幣を収納するリジェクト庫に設定することで、リジェクト庫として使用できるようにもなっている。
ここで、紙幣入出金機4の鑑別部22と振分搬送路27の構成について、図2にくわえて図3を用いて、より詳しく説明する。尚、図2と図3のうち図3にのみ示す部分については(図3参照)と記載している。
鑑別部22は、図2及び図3に示すように、紙幣を搬送する搬送路30と、搬送路30を通る紙幣を鑑別する複数の鑑別センサ31(31a〜31d)と、接続先を切り替える複数の搬送路切替器32(32a〜32c)と、紙幣の搬送状態を検知する搬送状態検知センサ33(図3参照)とで構成されている。
搬送路30は、上下方向に延存する2本の平行な直線路30a、30bと、これら2本の直線路30a、30bの下端を繋ぐ円弧状の曲線路30cとによって、全体としてU字形状の搬送路となっている。尚、直線路30a、30bは、前後方向に配置されていて、ここでは、前方の直線路30aを前方直線路30a、後方の直線路30bを後方直線路30bと呼び、これらの下端を繋ぐ曲線路30cを下方曲線路30cと呼ぶことにする。
この搬送路30には、搬送路30を挟んで対向配置された複数の搬送ローラ40と、搬送路30に沿って設けられた搬送ガイド41(図3参照)と、搬送ローラ40に装着された搬送ベルト42とが設けられ、図示しないモータにより搬送ローラ40を任意の方向に回転させることで、紙幣を双方向に搬送できるようになっている。
さらにこの搬送路30の前方直線路30aに、複数の鑑別センサ31(31a〜31d)が配置されていて、複数の鑑別センサ31(31a〜31d)は、この前方直線路30aを通るときに紙幣を鑑別するようになっている。
また上述の入出金口部21は、前方直線路30aの上方に位置していて、この前方直線路30aの上端と接続可能となっている。さらに上述の一時保留部23は、後方直線路30bの上方に位置していて、この後方直線路30bの上端と接続可能となっている。
さらに上述のリジェクト庫24は、前方直線路30aの前方に位置していて、この前方直線路30aの上端と接続可能となっている。さらに上述の取込庫25は、下方曲線路30cの前方に位置していて、この下方曲線路30cの下端と接続可能となっている。
さらに上述の振分搬送路27は、後方直線路30bの上端後方に位置していて、この後方直線路30bの上端と接続可能となっている。
さらにこの搬送路30には、入手金口部21、一時保留部23、リジェクト庫24、取込庫25、及び振分搬送路27との接続箇所となる前方直線路30aの上端、後方直線路30bの上端、及び下方曲線路30cの下端の計3箇所に、それぞれ搬送路切替器32(32a、32b及び32c)が設けられている。
すなわち、入出金口部21及びリジェクト庫24との接続箇所となる前方直線路30aの上端に搬送路切替器32aが設けられ、一時保留部23及び振分搬送路27との接続箇所となる後方直線路30bの上端に搬送路切替器32bが設けられ、取込庫25との接続箇所となる下方曲線路30cの下端に搬送路切替器32cが設けられている。
これら3個の搬送切替器32(32a〜32c)は、制御部10によって制御され、鑑別部22と、入手金口部21、一時保留部23、リジェクト庫24、取込庫25、振分搬送路27との間を接続/非接続に切り替えることができ、これにより、紙幣の搬送先を、入手金口部21、一時保留部23、リジェクト庫24、取込庫25、又は振分搬送路27に切り替えられるようになっている。
さらに後方直線路30bには、上端に設けられた搬送路切替器32bより下方の所定位置に、搬送状態検知センサ33が配置されていて、この搬送状態検知センサ33により、後方直線路30b内の紙幣の搬送状態を検知するようになっている。
尚、上述した鑑別センサ31(31a〜31c)は、前方直線路30aの上端に設けられた搬送路切替器32aより下方に配置されている。
鑑別部22は、このような構成となっている。
一方、振分搬送路27は、鑑別部22の後端から最後列の紙幣収納庫26dの上端まで前後方向に延在する直線路となっている。
この振分搬送路27には、振分搬送路27を挟んで対向配置された複数の搬送ローラ50と、振分搬送路27に沿って設けられた搬送ガイド51(図3参照)と、搬送ローラ50に装着された搬送ベルト52とが設けられ、図示しないモータにより搬送ローラ50を任意の方向に回転させることで、紙幣を双方向に搬送できるようになっている。
この振分搬送路27は、前端が、鑑別部22の後方直線路30bの上端、及び最前列の紙幣収納庫26aの上端と接続可能となっていて、後端が、最後列の紙幣収納庫26dの上端と接続可能となっている。
また振分搬送路27は、前端と後端との間の所定の2箇所で、残り2個の紙幣収納庫26b、26cの上端と接続可能となっている。
さらにこの振分搬送路27には、鑑別部22、及び4個の紙幣収納庫26(26a〜26d)との接続箇所となる前端、後端、及び前端と後端との間の所定の2箇所の計4箇所に、それぞれ搬送路切替器53(53a〜53d)が設けられている。
すなわち、鑑別部22及び最前列の紙幣収納26aとの接続箇所となる振分搬送路27の前端に搬送路切替器53aが設けられ、これより後方の2番目の紙幣収納庫26bとの接続箇所に搬送路切替器53bが設けられ、これより後方の3番目の紙幣収納庫26cとの接続箇所に搬送路切替器53cが設けられ、最後列の4番目の紙幣収納庫26dとの接続箇所となる振分搬送路27の後端に搬送切替器53dが設けられている。
これら4個の搬送路切替器53(53a〜53d)も、制御部10によって制御され、振分搬送路27と、鑑別部22、及び4個の紙幣収納庫26との間を接続/非接続に切り替えることができ、これにより、紙幣の搬送先を、鑑別部22、又は4個の紙幣収納庫26のうちの1つに切り替えられるようになっている。
さらに振分搬送路27には、前端と後端の2箇所に、それぞれ搬送状態検知センサ54(54a、54b)(図3参照)が配置されていて、この搬送状態検知センサ54(54a、54b)により、振分搬送路27内の紙幣の搬送状態を検知するようになっている。
振分搬送路27は、このような構成となっている。
尚、上述した紙幣入出金機4を構成する各機構部には、図示していないが、駆動モータや電磁ソレノイド、機構位置検知センサが組み込まれていて、制御部10は、紙幣の取り引きに応じて、必要な駆動モータや電磁ソレノイドを駆動させ、機構位置検知センサにより機構部の状態を検知するようになっている。
またこれら各機構部には、紙幣の位置を検知する紙幣位置検知センサが組み込まれていて、制御部10は、紙幣の取り引きに応じて、各機構部に組み込まれた紙幣位置検知センサにより紙幣の位置や移動を監視するようになっている。
[1−3.紙幣入出金機における入金計数処理]
次に、図4乃至図7を用いて、紙幣入出金機4における入金計数処理の動作について説明する。尚、この動作は、主として、紙幣入出金機4の制御部10の制御のもとに行われるものである。
紙幣入出金機4は、利用者によりATM1にキャッシュカード等が挿入され、操作表示部6を介して、取引項目(この場合、入金)、暗証番号等が入力されると、入出金口シャッタ5を開ける。これにより紙幣入出金機4は、紙幣の投入が可能な状態となる。
その後、図4に示すように、利用者により入出金口部21に紙幣が投入されると、紙幣入出金機4は、入出金口部21内のセンサにより紙幣の投入を検知して、入出金口シャッタ5(図2)を閉じる。
その後、図5に示すように、入出金口部21に投入された紙幣は、1枚ずつ分離され、下流の鑑別部22に繰り出される。
鑑別部22では、内部に実装された鑑別センサ31(図2)により紙幣の特徴を1枚ずつ抽出して、紙幣の真偽、正損、金種、搬送状態等を1枚ずつ判別する。この判別結果に応じて、一時保留部23及び振分搬送路27との接続箇所に配置された搬送路切替器32b(図2)の切り替えが行われる。
すなわち、鑑別部22によって紙幣が入金受入可能な紙幣(すなわち正常紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が、一時保留部23となるように、搬送路切替器32b(図2)の切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22から一時保留部23へと搬送され、一時保留部23内に集積される。このとき、制御部10は、鑑別部22によって鑑別された紙幣の金種をもとに、一時保留部23内に集積した紙幣の計数を行う。
一方、鑑別部22によって紙幣が入金受入不可能な紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が、振分搬送路27となるように、搬送路切替器32b(図2)の切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22から振分搬送路27へと搬送され、振分搬送路27内に一時貯留される。
その後、入出金口部21内の紙幣の計数が完了すると、紙幣入出金機4は、振分搬送路27に一時貯留している紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)を利用者へ返却する。
一方で、一時貯留されている入金リジェクト紙幣の枚数が規定枚数(すなわち一時貯留可能な最大枚数)に達すると、紙幣入出金機4は、入金計数処理を中断して、振分搬送路27に一時貯留している紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)を利用者へ返却する。
入金リジェクト紙幣を返却する場合、図6に示すように、振分搬送路27に一時貯留されている入金リジェクト紙幣が、1枚ずつ鑑別部22に繰り出され、鑑別部22を経由して入出金口部21に戻されて、入出金口部21内に集積される。
ここで、ATM1は、操作表示部6に入金リジェクト紙幣の受取案内を表示する。そしてこのとき紙幣入出金機4が、入出金口シャッタ5を開くことで、入金リジェクト紙幣の受け取りが可能な状態となる。
その後、図7に示すように、利用者により入出金口部21から紙幣が抜き取られると、入出金口部21内のセンサにより紙幣の受け取りが検知され、入出金口シャッタ5が閉じる。そして、再度、入出金口シャッタ5が開き、紙幣の投入が可能な状態となる。
ここで、利用者により、再度、入出金口部21に紙幣が投入されると、入出金口部21内のセンサにより紙幣の投入が検知され、入出金口シャッタ5が閉じる。そして、上述した手順で、再度、投入された紙幣の計数が行われる。
このような手順で、紙幣入出金機4における入金計数処理が行われるようになっている。
この入金計数処理が完了すると、ATM1は、操作表示部6に入金計数結果を表示して、利用者に対して入金計数結果の確認を行う。
ここで、利用者により操作表示部6を介して入金取引の確定が指示入力されると、紙幣入出金機4は、後述する紙幣収納処理を行う。
[1−4.紙幣入出金機における入金リジェクト紙幣取込処理]
次に、図8及び図9を用いて、紙幣入出金機4における入金リジェクト紙幣取込処理の動作について説明する。尚、この動作も、主として、紙幣入出金機4の制御部10の制御のもとに行われるものである。
この入金リジェクト紙幣取込処理は、上述の入金計数処理で入金リジェクト紙幣を入出金口部21に戻した後、利用者がこれを取り忘れたときに行われる処理である。
実際、紙幣入出金機4は、入出金口部21に入金リジェクト紙幣を戻した後、規定時間内に入金リジェクト紙幣が入出金口部21から抜き取られない場合、まず入出金口シャッタ5を閉じる。
その後、図8に示すように、入出金口部21に集積されている入金リジェクト紙幣は、1枚ずつ分離され、下流の鑑別部22を経由して一時保留部23に搬送され、この一時保留部23に既に集積されている紙幣と一緒に集積される。
その後、図9に示すように、一時保留部23に集積されている紙幣は、1枚ずつ鑑別部22に繰り出され、鑑別部22から取込庫25へと搬送され、取込庫25内に集積される。
このような手順で、紙幣入出金機における入金リジェクト紙幣取込処理が行われる。
[1−5.紙幣入出金機における紙幣収納処理]
次に、図10乃至図12を用いて、紙幣入出金機4における紙幣収納処理の動作について説明する。尚、この動作も、主として、紙幣入出金機4の制御部10の制御のもとに行われるものである。
この紙幣収納処理は、利用者により入金取引の確定が指示入力された後に行われる処理である。
実際、上述した入金計数処理で一時保留部23に集積された紙幣は、図10に示すように、1枚ずつ分離され、鑑別部22に繰り出される。
鑑別部22では、内部に実装された鑑別センサ31(図2)により紙幣の特徴を1枚ずつ抽出して、紙幣の正損、金種、搬送状態等を1枚ずつ判別する。この判別結果に応じて、入出金口部21及びリジェクト庫24との接続箇所に配置された搬送路切替器32a(図2)の切り替えが行われる。
すなわち、鑑別部22によって紙幣が収納不適合な紙幣(すなわち収納リジェクト紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が、リジェクト庫24となるように、搬送路切替器32aの切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22からリジェクト庫24へと搬送され、リジェクト庫24内に集積される。
一方、鑑別部22によって紙幣が収納可能な紙幣(すなわち正常紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が、入出金口部21となるように、搬送路切替器32aの切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22から入出金口部21へと搬送され、入出金口部21内に集積される。
その後、入出金口部21内に集積された紙幣は、図11に示すように、1枚ずつ分離され、再度、下流の鑑別部22に繰り出される。
鑑別部22では、再度、鑑別センサ31により紙幣の特徴を1枚ずつ抽出して、紙幣の金種、搬送状態等を1枚ずつ判別する。この判別結果に応じて、一時保留部23及び振分搬送路27との接続箇所に配置された搬送路切替器32b(図2)の切り替えが行われる。
すなわち、鑑別部22によって紙幣が収納可能な紙幣(正常紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が、振分搬送路27となるように、搬送路切替器32bの切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22から振分搬送路27へと搬送される。
振分搬送路27では、鑑別部22から搬送されてきた紙幣の金種に応じて、搬送路切替器53(53a〜53d)の切り替えが行われる。
すなわち、紙幣の搬送先が、紙幣の金種に応じた紙幣収納庫26(26a〜26d)となるように、搬送路切替器53(53a〜53d)の切り替えが行われる。そして、この紙幣が、振分搬送路27から、その金種に応じた紙幣収納庫26へと搬送され、その金種に応じた紙幣収納庫26(26a〜26d)内に集積される。
一方、鑑別部22によって紙幣が収納不適合な紙幣(収納リジェクト紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が一時保留部23となるように、搬送路切替器32b(図2)の切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22から一時保留部23へと搬送され、一時保留部23内に集積される。
その後、入出金口部21内の紙幣を全て鑑別し終えると、一時保留部23内に集積されている紙幣(すなわち収納リジェクト紙幣)は、図12に示すように、1枚ずつ鑑別部22に繰り出され、鑑別部22を経由してリジェクト庫24内に集積される。
このような手順で、紙幣入出金機4における紙幣収納処理が行われるようになっている。
尚、紙幣収納庫26(26a〜26d)のうちの1つが、リジェクト庫に設定されている場合、鑑別部22によって収納不適合な紙幣(収納リジェクト紙幣)と判別された紙幣は、リジェクト庫24の代わりに、リジェクト庫として設定されている紙幣収納庫26に集積される。
ここまで説明した入金計数処理、入金リジェクト紙幣取込処理、及び紙幣収納処理が、紙幣の入金に関わる処理であり、以降では、出金に関わる処理について説明する。
[1−6.紙幣入出金機における出金取引処理]
次に、図13を用いて、紙幣入出金機4における出金取引処理の動作について説明する。尚、この動作も、主として、紙幣入出金機4の制御部10の制御のもとに行われるものである。
紙幣入出金機4は、利用者によりATM1にキャッシュカード等が挿入され、操作表示部6を介して、取引項目(この場合、出金)、暗証番号、出金金額等が入力されると、要求金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識し、この金種毎の紙幣枚数に応じて紙幣収納庫26(26a〜26d)から紙幣を1枚ずつ振分搬送路27に繰り出して鑑別部22に搬送する。
鑑別部22では、内部に実装された鑑別センサ31(図2)により紙幣の搬送状態等を1枚ずつ判別する。この判別結果に応じて、入出金口部21及びリジェクト庫24との接続箇所に配置された搬送路切替器32a(図2)の切り替えが行われる。
すなわち、鑑別部22によって紙幣が出金不可能な紙幣(すなわち出金リジェクト紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が、リジェクト庫24となるように、搬送路切替器32cの切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22からリジェクト庫24へと搬送され、リジェクト庫24内に集積される。
一方、鑑別部22によって紙幣が出金可能な紙幣(すなわち正常紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が、入出金口部21となるように、搬送路切替器32aの切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22から入出金口部21へと搬送され、入出金口部21内に集積される。
出金金額に応じた紙幣の搬送が完了すると、紙幣入出金機4は、入出金口シャッタ5を開ける。これにより入出金口部21内に集積されている紙幣の受け取りが可能な状態となる。
その後、利用者により入出金口部21から紙幣が抜き取られると、入出金口部21内のセンサにより紙幣の受け取りが検知され、入出金口シャッタ5が閉じる。
このような手順で、紙幣入出金機4における出金取引処理が行われるようになっている。
[1−7.紙幣入出金機における出金紙幣取込処理]
次に、図14及び図15を用いて、紙幣入出金機4における出金紙幣取込処理の動作について説明する。尚、この動作も、主として、紙幣入出金機4の制御部10の制御のもとに行われるものである。
この出金紙幣取込処理は、上述の出金取引処理で紙幣を入出金口部21に集積した後、利用者がこれを取り忘れたときに行われる処理である。
実際、紙幣入出金機4は、入出金口部21に紙幣を集積した後、規定時間内に紙幣が入出金口部21から抜き取られない場合、まず入出金口シャッタ5を閉じる。
その後、入出金口部21に集積されている紙幣(すなわち取り忘れ紙幣)は、図14に示すように、1枚ずつ分離され、下流の鑑別部22に繰り出される。
鑑別部22では、内部に実装された鑑別センサ31(図2)により紙幣の搬送状態等を1枚ずつ判別する。この判別結果によらず、紙幣の搬送先が一時保留部23となるように、鑑別部22の搬送路切替器32bの切り替えが行われる。
そして、この紙幣が、鑑別部22から一時保留部23へと搬送され、一時保留部23に集積される。
その後、一時保留部23に集積されている紙幣(すなわち取り忘れ紙幣)は、図15に示すように、1枚ずつ鑑別部22に繰り出され、鑑別部22を経由してリジェクト庫24内に集積される。
このような手順で、紙幣入出金機4における出金紙幣取込処理が行われるようになっている。
尚、紙幣収納庫26(26a〜26d)のうちの1つが、リジェクト庫に設定されている場合、取り忘れ紙幣は、リジェクト庫24の代わりに、リジェクト庫として設定されている紙幣収納庫26に集積される。
また、この紙幣入出金機4では、予め設定しておくことにより、取り忘れ紙幣のうち、出金に再利用可能な紙幣を、紙幣収納庫26(26a〜26d)に収納することもできるようになっている。
実際、取り忘れ紙幣を再利用するように設定されている場合、入出金口部21に集積されている紙幣(すなわち取り忘れ紙幣)は、1枚ずつ分離され、下流の鑑別部22に繰り出される。
鑑別部22では、内部に実装された鑑別センサ31により紙幣の特徴を1枚ずつ抽出して、紙幣の真偽、正損、金種、搬送状態等を判別する。この判別結果に応じて、一時保留部23及び振分搬送路27との接続箇所に配置された搬送路切替器32bの切り替えが行われる。
すなわち、鑑別部22によって紙幣が収納可能な紙幣(正常紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が振分搬送路27となるように、搬送路切替器32bの切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22から振分搬送路27へと搬送される。
振分搬送路27では、鑑別部22から搬送されてきた紙幣の金種に応じて、搬送路切替器53(53a〜53d)の切り替えが行われ、紙幣が、その金種に応じた紙幣収納庫26(26a〜26d)内に集積される。
一方、鑑別部22によって紙幣が収納不適合な紙幣と判別されると、この紙幣の搬送先が一時保留部23となるように、搬送路切替器32bの切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22から一時保留部23へと搬送され、一時保留部23内に集積される。
その後、入出金口部21内の紙幣を全て鑑別し終えると、一時保留部23内に集積されている紙幣(すなわち取り忘れ紙幣のうち、再利用できない紙幣)は、1枚ずつ鑑別部22に繰り出され、鑑別部22を経由してリジェクト庫24内に集積される。
尚、紙幣収納庫26(26a〜26d)のうちの1つが、リジェクト庫に設定されている場合、鑑別部22によって収納不適合な紙幣と判別された紙幣は、リジェクト庫24の代わりに、リジェクト庫として設定されている紙幣収納庫26に集積される。
ここまで説明した出金取引処理、及び出金紙幣取込処理が、紙幣の出金に関わる処理である。
[1−8.入金リジェクト紙幣の一時貯留]
ここで、上述した紙幣入金計数処理で入金リジェクト紙幣を振分搬送路27内に一時貯留するときの動作について、図16乃至図20を用いて、より詳しく説明する。尚、この動作も、主として、紙幣入出金機4の制御部10の制御のもとに行われるものである。
まず、入出金口部21に投入された紙幣のうち、鑑別部22の前方直線路30aに配置されている鑑別センサ31によって入金受入不可能と判別された1枚目の紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)BL1は、鑑別部22の前方直線路30aから下方曲線路30cを通り、後方直線路30b内を上方に進んでいく。
そして図16に示すように、この1枚目の入金リジェクト紙幣BL1の先端が、後方直線路30bに配置されている搬送状態検知センサ33に到達すると、この旨をこの搬送状態検知センサ33が検知する。
尚、ここでは、紙幣の搬送方向の両端のうち、搬送時に先に位置する方の端を先端、後に位置する方の端を後端と呼ぶことにする。
この時点で、紙幣入出金機4は、この1枚目の入金リジェクト紙幣BL1の搬送先が振分搬送路27となるように、搬送状態検知センサ33より先(すなわち上方)に配置されている搬送路切替器32bの切り替えを行う。
またこのとき、紙幣入出金機4は、図示しないモータを起動して、振分搬送路27の搬送方向が前端から後端へと向かう方向となるように、振分搬送路27の搬送ローラ50を回転させる。
尚、このとき、振分搬送路27に配置されている搬送路切替器53(53a〜53d)は、それぞれ振分搬送路27と紙幣収納庫26(26a〜26d)とが接続しないように既に切り替えられている。
つまり、搬送路切替器53(53a〜53d)は、紙幣が、どの紙幣収納庫26にも入らずに紙幣搬送路27を後方に進んでいくように切り替えられている。
その後、後方直線路30bの搬送状態検知センサ33を通過した入金リジェクト紙幣BL1は、鑑別部22から振分搬送路27へと搬送され、振分搬送路27を後方に進んでいく。
そして図17に示すように、この1枚目の入金リジェクト紙幣BL1の後端が、振分搬送路27の前端に配置されている搬送状態検知センサ54aに到達すると、この旨をこの搬送状態検知センサ54が検知する。
このとき、紙幣入出金機4は、図示しないモータを停止させ、振分搬送路27の搬送ローラ50の回転を停止させる。すると、入金リジェクト紙幣は、振分搬送路27の前端で停止する。このようにして、1枚目の入金リジェクト紙幣が、振分搬送路27に一時貯留される。
その後、図18に示すように、2枚目の入金リジェクト紙幣BL2の先端が後方直線路30bに配置されている搬送状態検知センサ33に到達すると、紙幣入出金機4は、この旨を搬送状態検知センサ33で検知して、この2枚目の入金リジェクト紙幣BL2の搬送先が振分搬送路27となるように、搬送状態検知センサ33より先(すなわち上方)に配置されている搬送路切替器32bの切り替えを行う。
またこのとき、紙幣入出金機4は、再び図示しないモータを起動して、振分搬送路27の搬送方向が前端から後端へと向かう方向となるように、振分搬送路27の搬送ローラ50を回転させる。
これにより、振分搬送路27に一時貯留されている1枚目の入金リジェクト紙幣BL1が、後方に進んでいく。
つまり、振分搬送路27では、搬送されてくる2枚目の入金リジェクト紙幣BL2と、1枚目の入金リジェクト紙幣BL1とが重ならないように、2枚目の入金リジェクト紙幣BL2が入ってくる前に、1枚目の入金リジェクト紙幣BL1を、後方に進ませるようになっている。
その後、後方直線路30bの搬送状態検知センサ33を通過した2枚目の入金リジェクト紙幣BL2は、鑑別部22から振分搬送路27へと搬送され、振分搬送路27を後方に進んでいく。
ここで、1枚目の入金リジェクト紙幣BL1は、2枚目の入金リジェクト紙幣BL2が振分搬送路27に入ってくる前に、後方に進んでいるので、このとき、1枚目の入金リジェクト紙幣BL1と2枚目の入金リジェクト紙幣BL2は、一定の間隔を空けた状態で後方に進んでいく。
そして図19に示すように、2枚目の入金リジェクト紙幣BL2の後端が、振分搬送路27の前端に配置されている搬送状態検知センサ54aに到達すると、紙幣入出金機4は、この旨をこの搬送状態検知センサ54aで検知して、図示しないモータを停止させ、振分搬送路27の搬送ローラ50の回転を停止させる。すると、2枚目の入金リジェクト紙幣BL2は、振分搬送路27の前端で停止する。
このとき、1枚目の入金リジェクト紙幣BL1は、2枚目の入金リジェクト紙幣BL2の先に一定の間隔を空けて停止する。
このようにして、1枚目及び2枚目の入金リジェクト紙幣BL1及びBL2が、振分搬送路27内に一時貯留される。
その後も、紙幣入出金機4は、利用者により投入された紙幣のうち、入金リジェクト紙幣と判別した紙幣については、上述のようにして、振分搬送路27に一時貯留していく。
このようにして振分搬送路27に入金リジェクト紙幣を一時貯留していき、図20に示すように、1枚目の入金リジェクト紙幣BL1の先端が、振分搬送路27の後端に配置されている搬送状態検知センサ54bに到達した場合、この時点で、振分搬送路27内に一時貯留されている入金リジェクト紙幣の枚数が一時貯留可能な最大枚数に達したことになる。
尚、図20は、一例として、振分搬送路27内に、最大枚数である5枚の入金リジェクト紙幣BL1〜BL5が一時貯留されている状態を示している。
このように振分搬送路27内に一時貯留されている入金リジェクト紙幣の枚数が一時貯留可能な最大枚数に達すると、もしくは一時貯留可能な最大枚数に達する前に入出金口部21に投入された紙幣に対する入金計数処理が完了すると、紙幣入出金機4は、図6を用いて説明したようにして、振分搬送路27に一時貯留している入金リジェクト紙幣を利用者へ返却する。
[1−9.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣入出金機4は、入出金口部21と一時保留部23との間に、これらを繋ぐ搬送路30とこの搬送路30の途中に設けられた鑑別センサ31とで構成される鑑別部22を配置するようにした。
そして紙幣入出金機4は、入金計数処理時、入出金口部21に投入された紙幣を下流の鑑別部22に搬送して、この鑑別部22の鑑別センサ31で紙幣の鑑別を行い、鑑別の結果、正常紙幣と判別した紙幣を下流の一時保留部23に搬送して、この一時保留部23内に集積する。
またこの紙幣入出金機4は、鑑別部22の搬送路30の、鑑別センサ31より下流で一時保留部23との接続箇所近傍に振分搬送路27が繋がっていて、この位置に、紙幣の搬送先を一時保留部23又は振分搬送路27に切り替える搬送路切替器32を配置するようにした。
そして紙幣入出金機4は、入金計数処理時、鑑別部22の鑑別センサ31で紙幣の鑑別を行った結果、この紙幣が入金リジェクト紙幣であると判別すると、紙幣の搬送先を、一時保留部23から振分搬送路27に切り替えて、この紙幣を、振分搬送路27に搬送して、この振分搬送路27内に貯留する。
こうすることで、入出金口部21に従来のような仕切板を設けることなく、例えば、入金計数処理時に入金リジェクト紙幣を例えば入金計数処理が完了するまで一時貯留しておき、入金計数処理が完了した後、この入金リジェクト紙幣を入出金口部21に戻して利用者に返却することができる。
また、この第1の実施の形態では、入金計数処理時の入金リジェクト紙幣の一時貯留先として、紙幣収納処理時及び出金取引処理時に、鑑別部22と複数の紙幣収納庫26(26a〜26d)との間の搬送路として機能する振分搬送路27を利用するようにした。
すなわち、従来、入金計数処理時には利用されていなかった振分搬送路27を、この第1の実施の形態では、入金計数処理時の入金リジェクト紙幣の一時貯留先として利用するようになっている。
こうすることで、入金リジェクト紙幣専用の一時収納庫を別途設ける必要がなく、入金リジェクト紙幣を一時貯留する場合のコスト増を最小限に抑えることができ、また紙幣入出金機4が大型化してしまうことを回避することができる。
尚、多くの紙幣入出金機4は、紙幣の金種ごとに複数(例えば4つ以上)の紙幣収納庫26(26a〜26d)を有しているので、これらを繋ぐ振分搬送路27は、一定枚数以上の入金リジェクト紙幣を貯留できるだけの長さを有している。
ゆえに、多くの紙幣入出金機4で、振分搬送路27を延長したりせずに、そのまま入金リジェクト紙幣の一時貯留先として利用することができる。
さらに、この第1の実施の形態では、入出金口部21と一時保留部23との間を繋ぐ搬送路30と、この搬送路30の途中に配置された鑑別センサ31とで鑑別部22を構成し、さらにこの搬送路30上の、入金計数処理時に鑑別部22の鑑別センサ31より下流となる位置に、紙幣の搬送先を一時保留部23又は振分搬送路27に切り替える搬送路切替器32を設けるようにした。
こうすることで、入出金口部21に投入された紙幣のうち、正常紙幣は一時保留部23へ、入金リジェクト紙幣は振分搬送路27へと振り分けながら、投入された紙幣を連続的に処理することができる。
以上の構成によれば、入出金口部21に従来のような仕切板を設けることなく、入金計数処理時に入金リジェクト紙幣を振分搬送路27に搬送して例えば入金計数処理が完了するまで一時貯留しておき、入金計数処理が完了した後、この入金リジェクト紙幣を入出金口部に戻して利用者に返却することができる。かくして、従来と比して入出金口部の機構を簡易化し得る。
[2.第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、入金リジェクト紙幣の一時貯留先を振分搬送路ではなく紙幣収納庫の1つとした実施の形態である。
尚、入金リジェクト紙幣の一時貯留先が異なる点以外、第1の実施の形態と同様であるので、紙幣入出金機4の構成等については、第1の実施の形態を参照とする。ゆえに、ここでは、主に入金計数処理について説明する。
[2−1.紙幣入出金機4における入金計数処理]
この第2の実施の形態での紙幣入出金機4における入金計数処理の動作について説明する。尚、この動作も、主として、紙幣入出金機4の制御部10の制御のもとに行われるものである。
この第2の実施の形態では、予め紙幣入出金機4の紙幣収納庫26(26a〜26d)のうちの1つ(例えば最後尾の紙幣収納庫26d)が、入金リジェクト紙幣の一時貯留先として設定されており、残りの紙幣収納庫26(26a〜26c)が、金種ごとの紙幣収納庫として設定されている。
このように設定された紙幣入出金機4は、利用者によりATM1にキャッシュカード等が挿入され、操作表示部6を介して、取引項目(この場合、入金)、暗証番号等が入力されると、入出金口シャッタ5を開ける。これにより紙幣入出金機4は、紙幣の投入が可能な状態となる。
その後、利用者により入出金口部21に紙幣が投入されると、紙幣入出金機4は、入出金口部21内のセンサにより紙幣の投入を検知して、入出金口シャッタ5を閉じる。
その後、入出金口部21に投入された紙幣は、図21に示すように、1枚ずつ分離され、下流の鑑別部22に繰り出される。
鑑別部22では、内部に実装された鑑別センサ31(図2)により紙幣の特徴を1枚ずつ抽出して、紙幣の真偽、正損、金種、搬送状態等を1枚ずつ判別する。この判別結果に応じて、一時保留部23及び振分搬送路27との接続箇所に配置された搬送路切替器32b(図2)の切り替えが行われる。
すなわち、鑑別部22によって紙幣が入金受入可能な紙幣(すなわち正常紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が、一時保留部23となるように、搬送路切替器32bの切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22から一時保留部23へと搬送され、一時保留部23内に集積される。このとき、制御部は、鑑別部22によって鑑別された紙幣の金種をもとに、一時保留部23内に集積した紙幣の計数を行う。
一方、鑑別部22によって紙幣が入金受入不可能な紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が、振分搬送路27となるように、搬送路切替器32bの切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22から振分搬送路27へと搬送される。
振分搬送路27では、鑑別部22から搬送されてきた入金リジェクト紙幣の搬送先が、入金リジェクト紙幣の一時貯留先として設定されている最後尾の紙幣収納庫26d(図3)となるように、搬送切替器53(53a〜53d)の切り替えが行われる。
そして、この入金リジェクト紙幣が、振分搬送路27から紙幣収納庫26dへと搬送され、紙幣収納庫26d内に一時貯留される。
その後、入出金口部21内の紙幣の計数が完了すると、紙幣入出金機4は、紙幣収納庫26dに一時貯留している紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)を利用者へ返却する。
一方で、一時貯留されている入金リジェクト紙幣の枚数が規定枚数(すなわち一時貯留可能な最大枚数)に達すると、紙幣入出金機4は、入金計数処理を中断して、紙幣収納庫26dに一時貯留している紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)を利用者へ返却する。
入金リジェクト紙幣を返却する場合、図22に示すように、紙幣収納庫26dに一時貯留されている入金リジェクト紙幣が、1枚ずつ紙幣搬送路27に繰り出され、紙幣搬送路27から鑑別部22を経由して入出金口部21に戻されて、入出金口部21内に集積される。
ここで、ATM1は、操作表示部6に入金リジェクト紙幣の受取案内を表示する。そしてこのとき紙幣入出金機4が、入出金口シャッタ5を開くことで、入金リジェクト紙幣の受け取りが可能な状態となる。
その後、利用者により入出金口部21から紙幣が抜き取られると、入出金口部21内のセンサにより紙幣の受け取りが検知され、入出金口シャッタ5が閉じる。そして、再度、入出金口シャッタ5が開き、紙幣の投入が可能な状態となる。
ここで、利用者により、再度、入出金口部21に紙幣が投入されると、入出金口部21内のセンサにより紙幣の投入が検知され、入出金口シャッタ5が閉じる。そして、上述した手順で、再度、投入された紙幣の計数が行われる。
このような手順で、紙幣入出金機4における入金計数処理が行われるようになっている。
[2−2.動作及び効果]
以上の構成において、この第2の実施の形態では、予め紙幣入出金機4の紙幣収納庫26(26a〜26d)のうちの1つを、入金リジェクト紙幣の一時貯留先に設定しておく。
そして紙幣入出金機4は、入金計数処理時、鑑別部22の鑑別センサ31で紙幣の鑑別を行った結果、この紙幣が入金リジェクト紙幣であると判別すると、この紙幣を、振分搬送路27を経由して紙幣収納庫26dに搬送し、この紙幣収納庫26d内に一時貯留する。
こうすることで、入出金口部21に従来のような仕切板を設けることなく、入金計数処理時に入金リジェクト紙幣を紙幣収納庫26dに搬送して例えば入金計数処理が完了するまで一時貯留しておき、入金計数処理が完了した後、この入金リジェクト紙幣を入出金口部に戻して利用者に返却することができる。
また、この第2の実施の形態では、紙幣収納庫26(26a〜26d)の1つを入金リジェクト紙幣の一時貯留先として利用するようにしたことで、わざわざ入金リジェクト紙幣専用の一時収納庫を別途設ける必要がなく、入金リジェクト紙幣を一時貯留する場合のコスト増を最小限に抑えることができ、また紙幣入出金機4が大型化してしまうことを回避することができる。
[3.第3の実施の形態]
次に第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は、紙幣収納庫26(26a〜26d)の1つを一時保留部として機能させ、代わりに一時保留部23を入金リジェクト紙幣の一時貯留先とした実施の形態である。
尚、紙幣入出金機4の構成等については、第1の実施の形態と同様であるので、第1の実施の形態を参照とする。ゆえに、ここでは、主に入金計数処理について説明する。
[3−1.紙幣入出金機4における入金計数処理]
この第3の実施の形態での紙幣入出金機4における入金計数処理の動作について説明する。尚、この動作も、主として、紙幣入出金機4の制御部10の制御のもとに行われるものである。
この第3の実施の形態では、予め紙幣入出金機4の紙幣収納庫26(26a〜26d)のうちの1つ(例えば最後尾の紙幣収納庫26d)が、一時保留部23の代わりに一時保留部として設定されており、残りの紙幣収納庫26(26a〜26c)が、金種ごとの紙幣収納庫として設定されている。さらに予めもともとの一時保留部23が入金リジェクト紙幣の一時貯留先として設定されている。
このように設定された紙幣入出金機4は、利用者によりATM1にキャッシュカード等が挿入され、操作表示部6を介して、取引項目(この場合、入金)、暗証番号等が入力されると、入出金口シャッタ5を開ける。これにより紙幣入出金機4は、紙幣の投入が可能な状態となる。
その後、利用者により入出金口部21に紙幣が投入されると、紙幣入出金機4は、入出金口部21内のセンサにより紙幣の投入を検知して、入出金口シャッタ5を閉じる。
その後、入出金口部21に投入された紙幣は、図23に示すように、1枚ずつ分離され、下流の鑑別部22に繰り出される。
鑑別部22では、内部に実装された鑑別センサ31(図2)により紙幣の特徴を1枚ずつ抽出して、紙幣の真偽、正損、金種、搬送状態等を1枚ずつ判別する。この判別結果に応じて、一時保留部23及び振分搬送路27との接続箇所に配置された搬送路切替器32b(図2)の切り替えが行われる。
すなわち、鑑別部22によって紙幣が入金受入可能な紙幣(すなわち正常紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が、振分搬送路27となるように、搬送路切替器32bの切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22から振分搬送路27へと搬送される。
振分搬送路27では、鑑別部22から搬送されてきた正常紙幣の搬送先が、一時保留部として設定されている最後尾の紙幣収納庫26dとなるように、搬送切替器53(53a〜53d)の切り替えが行われる。
そして、正常紙幣が、振分搬送路27から紙幣収納庫26dへと搬送され、紙幣収納庫26d内に一時保留される。このとき、制御部10は、鑑別部22によって鑑別された紙幣の金種をもとに、一時保留部として設定されている紙幣収納庫26d内に集積した紙幣の計数を行う。
一方、鑑別部22によって紙幣が入金受入不可能な紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)と判別されると、この入金リジェクト紙幣の搬送先が、一時保留部23となるように、搬送路切替器32bの切り替えが行われる。そして、この入金リジェクト紙幣が、鑑別部22から一時保留部23へと搬送され、一時保留部23内に一時貯留される。
その後、入出金口部21内の紙幣の計数が完了すると、紙幣入出金機4は、一時保留部23に一時貯留している紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)を利用者へ返却する。
一方で、一時貯留されている入金リジェクト紙幣の枚数が規定枚数(すなわち一時貯留可能な最大枚数)に達すると、紙幣入出金機4は、入金計数処理を中断して、一時保留部23に一時貯留している紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)を利用者へ返却する。
入金リジェクト紙幣を返却する場合、図24に示すように、一時保留部23に一時貯留されている入金リジェクト紙幣が、1枚ずつ鑑別部22に繰り出され、鑑別部22を経由して入出金口部21に戻されて入出金口部21内に集積される。
ここで、ATM1は、操作表示部6に入金リジェクト紙幣の受取案内を表示する。そしてこのとき紙幣入出金機4が、入出金口シャッタ5を開くことで、入金リジェクト紙幣の受け取りが可能な状態となる。
その後、利用者により入出金口部21から紙幣が抜き取られると、入出金口部21内のセンサにより紙幣の受け取りが検知され、入出金口シャッタ5が閉じる。そして、再度、入出金口シャッタ5が開き、紙幣の投入が可能な状態となる。
ここで、利用者により、再度、入出金口部21に紙幣が投入されると、入出金口部21内のセンサにより紙幣の投入が検知され、入出金口シャッタ5が閉じる。そして、上述した手順で、再度、投入された紙幣の計数が行われる。
このような手順で、紙幣入出金機4における入金計数処理が行われるようになっている。
[3−2.紙幣入出金機における紙幣収納処理]
次に、この第3の実施の形態の紙幣入出金機4における紙幣収納処理の動作についても簡単に説明する。尚、この動作も、主として、紙幣入出金機4の制御部10の制御のもとに行われるものである。
この紙幣収納処理は、利用者により入金取引の確定が指示入力された後に行われる処理である。
実際、上述した入金計数処理で紙幣収納庫26dに集積された紙幣は、図25に示すように、1枚ずつ分離され、鑑別部22に繰り出される。
鑑別部22では、内部に実装された鑑別センサ31(図2)により紙幣の特徴を1枚ずつ抽出して、紙幣の正損、金種、搬送状態等を1枚ずつ判別する。この判別結果に応じて、入出金口部21及びリジェクト庫24との接続箇所に配置された搬送路切替器32a(図2)の切り替えが行われる。
すなわち、鑑別部22によって紙幣が収納不適合な紙幣(すなわち収納リジェクト紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が、リジェクト庫24となるように、搬送路切替器32aの切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22からリジェクト庫24へと搬送され、リジェクト庫24内に集積される。
一方、鑑別部22によって紙幣が収納可能な紙幣(すなわち正常紙幣)と判別されると、この紙幣の搬送先が、入出金口部21となるように、搬送路切替器32aの切り替えが行われる。そして、この紙幣が、鑑別部22から入出金口部21へと搬送され、入出金口部21内に集積される。
以下、第1の実施の形態と同様、図11に示した手順で、紙幣がその金種に応じた紙幣収納庫26(26a〜26c)に収納される。
このような手順で、紙幣入出金機4における紙幣収納処理が行われるようになっている。
[3−3.動作及び効果]
以上の構成において、この第3の実施の形態では、予め紙幣収納庫26(26a〜26d)の1つを一時保留部に設定しておくと共に、もともとの一時保留部23を入金リジェクト紙幣の一時貯留先に設定しておく。
そして紙幣入出金機4は、入金計数処理時、鑑別部22の鑑別センサ31で紙幣の鑑別を行った結果、この紙幣が入金リジェクト紙幣であると判別すると、この紙幣を、一時保留部23に貯留する。
こうすることで、入出金口部21に従来のような仕切板を設けることなく、入金計数処理時に入金リジェクト紙幣を一時保留部23に搬送して例えば入金計数処理が完了するまで一時貯留しておき、入金計数処理が完了した後、この入金リジェクト紙幣を入出金口部21に戻して利用者に返却することができる。
また、この第3の実施の形態では、紙幣収納庫26(26a〜26d)の1つを一時保留部として機能させる代わりに、一時保留部23を入金リジェクト紙幣の一時貯留先として利用するようにしたことで、わざわざ入金リジェクト紙幣専用の一時収納庫を別途設ける必要がなく、入金リジェクト紙幣を一時貯留する場合のコスト増を最小限に抑えることができ、また紙幣入出金機4が大型化してしまうことを回避することができる。
[4.第4の実施の形態]
次に第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態は、鑑別部及び振分搬送路の構成が第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。
尚、鑑別部及び振分搬送路以外の構成等については、第1の実施の形態と同様であるので、第1の実施の形態を参照とする。ゆえに、ここでは、主に鑑別部及び振分搬送路の構成について説明する。
[4−1.鑑別部及び振分搬送路の構成]
この第4の実施の形態における紙幣入出金機4の鑑別部100及び振分搬送路101の構成について、図26を用いて説明する。
尚、ここでは、主に、鑑別部100及び振分搬送路101の構成のうち、第1の実施の形態の鑑別部22及び振分搬送路27とは異なる部分について説明し、同様の部分については適宜その説明を省略する。
この第4の実施の形態の鑑別部100には、後方直線路30bの上端に配置されている搬送路切替器32bよりさらに後方の、振分搬送路101との接続箇所の直前に、搬送されてくる紙幣の一端を叩く羽根車110が配置されている。またこの羽根車110の上方に、この羽根車110と対向するようにして搬送ローラ40が追加で配置されている。
さらに鑑別部100には、この羽根車110と搬送路切替器32bとの間に、紙幣の搬送状態を検知する搬送状態検知センサ111が配置されている。
このように、羽根車110、羽根車110と対向する搬送ローラ40、及び搬送状態検知センサ111を追加した点が、第1の実施の形態の鑑別部22と異なる部分である。
一方、振分搬送路101は、第1の実施の形態の振分搬送路27の前端に配置されていた搬送状態検知センサ54aを省略した構成となっている。
このように、搬送状態検知センサ54aを取り除いた点が、第1の実施の形態の振分搬送路27と異なる部分である。
[4−2.入金リジェクト紙幣の一時貯留]
次に、図27乃至図37を用いて、上述した構成でなる鑑別部100及び振分搬送路101によって、入金リジェクト紙幣を振分搬送路101内に一時貯留するときの動作について、詳しく説明する。尚、この動作も、主として、紙幣入出金機4の制御部10の制御のもとに行われるものである。
入出金口部21に投入された紙幣のうち、鑑別部100の前方直線路30aに配置されている鑑別センサ31(図2)によって入金受入不可能と判別された1枚目の紙幣(すなわち入金リジェクト紙幣)BL1は、鑑別部100の前方直線路30aから下方曲線路30cを通り、後方直線路30b内を上方に進んでいく。
そしてこの入金リジェクト紙幣BL1の先端が、後方直線路30bに配置されている搬送状態検知センサ33に到達すると、この旨をこの搬送状態検知センサ33が検知する。
この時点で、紙幣入出金機4は、この1枚目の入金リジェクト紙幣BL1の搬送先が振分搬送路27となるように、搬送状態検知センサ33より先(すなわち上方)に配置されている搬送路切替器32bの切り替えを行う。
その後、1枚目の入金リジェクト紙幣BL1の先端が、搬送路切替器32bより後方に配置されている搬送状態検知センサ111に到達すると、この旨を搬送状態検知センサ111が検知する。
すると、この時点から所定時間経過後に、紙幣入出金機4は、図示しないモータを起動して、振分搬送路101の搬送方向が前端から後端へと向かう方向となるように、振分搬送路101の搬送ローラ50を回転させる。
ここで、入金リジェクト紙幣BL1の後端を検知してから搬送ローラ50の回転を開始させるまでの処理時間は、図27に示すように、入金リジェクト紙幣BL1の先端が振分搬送路101の前端に配置されている最前列の搬送ローラ50に到達する直前に搬送ローラ50の回転が開始されるように設定されている。
尚、このとき、振分搬送路101に配置されている搬送路切替器53(53a〜53d)は、それぞれ振分搬送路101と紙幣収納庫26(26a〜26d)とが接続しないように既に切り替えられている。
つまり、搬送路切替器53(53a〜53d)は、紙幣が、どの紙幣収納庫26にも入らずに振分搬送路101を前端から後端に向かう方向に進んでいくように切り替えられている。
その後、1枚目の入金リジェクト紙幣BL1の後端が、搬送状態検知センサ111に到達すると、この旨を搬送状態検知センサ111が検知する。
すると、この時点から所定時間経過後に、紙幣入出金機4は、図示しないモータを停止させ、振分搬送路101の搬送ローラ50の回転を停止させる。
ここで、入金リジェクト紙幣BL1の後端を検知してから搬送ローラ50の回転を停止させるまでの所定時間は、図28に示すように、入金リジェクト紙幣BL1のほぼ全体が振分搬送路27内に入り、後端が羽根車110によって下方に押さえ付けられる位置まで進んだところで搬送ローラ50の回転が停止されるように設定されている。
この結果、1枚目の入金リジェクト紙幣BL1は、後端を羽根車110により下方に押さえ付けられた状態で、振分搬送路101の前端で停止する。このようにして、1枚目の入金リジェクト紙幣が、振分搬送路101に一時貯留される。
尚、このとき鑑別部100では、引き続き後続の紙幣に対する鑑別が行われている。
その後、2枚目の入金リジェクト紙幣BL2の先端が、搬送状態検知センサ33に到達すると、紙幣入出金機4は、この旨を搬送状態検知センサ33で検知して、この2枚目の入金リジェクト紙幣BL2の搬送先が振分搬送路101となるように、搬送状態検知センサ33より先(すなわち上方)に配置されている搬送路切替器32bの切り替えを行う。
その後、2枚目の入金リジェクト紙幣BL2の先端が、搬送路切替器32bより先(すなわち後方)に配置されている搬送状態検知センサ111に到達すると、紙幣入出金機4は、この旨を搬送状態検知センサ111で検知し、所定時間経過後に図示しないモータを起動して、振分搬送路101の搬送方向が前端から後端へと向かう方向となるように、振分搬送路101の搬送ローラ50を回転させる。
ここで、入金リジェクト紙幣BL2の先端を検知してから搬送ローラ50の回転を開始させるまでの所定時間は、1枚目と同様、入金リジェクト紙幣BL2の先端が振分搬送路101の前端に配置されている最前列の搬送ローラ50に到達する直前に搬送ローラ50の回転が開始されるように設定されている。
換言すると、この所定時間は、図29に示すように、2枚目の入金リジェクト紙幣BL2の先端部分が、羽根車110によって下方に押さえ付けられている1枚目の入金リジェクト紙幣BL1の後端部分の上に重なる位置まで進んだところで搬送ローラ50の回転を開始するように設定されている。
この結果、2枚目の入金リジェクト紙幣BL2の先端部分が、1枚目の入金リジェクト紙幣BL1の後端部分の上に重なった状態で、これら2枚の入金リジェクト紙幣BL1及びBL2が搬送されていく。
その後、2枚目の入金リジェクト紙幣BL2の後端が、搬送状態検知センサ111に到達すると、紙幣入出金機4は、この旨を搬送状態検知センサ111で検知し、所定時間経過後に図示しないモータを停止させ、振分搬送路101の搬送ローラ50の回転を停止させる。
ここで、入金リジェクト紙幣BL2の後端を検知してから搬送ローラ50の回転を停止させるまでの所定時間は、1枚目と同様、入金リジェクト紙幣BL2のほぼ全体が振分搬送路27内に入り、後端部分が羽根車110によって下方に押さえ付けられる位置まで進んだところで搬送ローラ50の回転が停止されるように設定されている。
この結果、2枚目の入金リジェクト紙幣BL2は、図30に示すように、後端部分を羽根車110により下方に押さえ付けられた状態で、且つ先端部分が1枚目の入金リジェクト紙幣BL1の後端部分の上に重ねられた状態で振分搬送路101の前端で停止する。
このようにして、1枚目及び2枚目の入金リジェクト紙幣BL1及びBL2が、振分搬送路101に一部を重ねた状態で一時貯留される。
その後も、紙幣入出金機4は、図31及び図32に示すように、利用者により投入された紙幣のうち、入金リジェクト紙幣と判別した紙幣については、上述のように一部を重ねた状態で振分搬送路101に一時貯留していく。
このようにして振分搬送路101に入金リジェクト紙幣を一時貯留していき、図33に示すように、1枚目の入金リジェクト紙幣BL1の先端が、振分搬送路101の後端に配置されている搬送状態検知センサ54bに到達した場合、この時点で、振分搬送路101内に一時貯留されている入金リジェクト紙幣の枚数が一時貯留可能な最大枚数に達したことになる。
このように振分搬送路101内に一時貯留されている入金リジェクト紙幣の枚数が一時貯留可能な最大枚数に達すると、もしくは一時貯留可能な最大枚数に達する前に入出金口部21に投入された紙幣に対する入金計数処理が完了すると、紙幣入出金機4は、振分搬送路101に一時貯留している入金リジェクト紙幣を利用者へ返却する。
この場合、紙幣入出金機4は、振分搬送路101に一時貯留している入金リジェクト紙幣を1枚ずつ鑑別部100に繰り出すようになっている。
ここで、例えば、振分搬送路101に10枚の入金リジェクト紙幣BL1〜BL10が一時貯留されているとする。
このとき、紙幣入出金機4は、図示しないモータを起動して、図34に示すように、振分搬送路101の搬送方向が後端から前端へと向かう方向(すなわち一時貯留時とは逆方向)となるように、振分搬送路101の搬送ローラ50を回転させる。
これにより、振分搬送路101に一時貯留されている10枚の入金リジェクト紙幣BL1〜BL10が、振分搬送路101内を前方に進んでいく。
尚、このとき、紙幣入出金機4は、鑑別部100の搬送ローラ40も図示しないモータにより一時貯留時とは逆方向に回転させている。
また、このとき、紙幣入出金機4は、鑑別部100の羽根車110による入金リジェクト紙幣の押さえ付けを解除するように羽根車110を一時貯留時とは逆方向に回転させている。
その後、紙幣入出金機4は、図35に示すように、先頭の10枚目の入金リジェクト紙幣(すなわち1番最後に貯留した入金リジェクト紙幣)BL10の先端が、鑑別部100の搬送状態検知センサ111に到達すると、この旨を搬送状態検知センサ111で検知する。
このとき、ちょうど10枚目の入金リジェクト紙幣BL10の後端が、振分搬送路101の最前列の搬送ローラ50より前方まで進み、9枚目の入金リジェクト紙幣BL9が、最前列の搬送ローラ50に挟まれる位置まで進んだ状態となるようになっている。
ここで、紙幣入出金機4は、図示しないモータを停止させ、振分搬送路101の搬送ローラ50の回転を停止させる。尚、このとき、鑑別部100の搬送ローラ40についてはそのまま回転させ続けるようになっている。
この結果、図36に示すように、1枚目〜9枚目までの入金リジェクト紙幣BL1〜BL9は振分搬送路101内に残されて停止する一方で、10枚目の入金リジェクト紙幣BL10は、鑑別部100に繰り出されて鑑別部100内を進んでいくことになる。
このようにして、10枚目の入金リジェクト紙幣BL10が、振分搬送路101から鑑別部100に繰り出される。
その後、図37に示すように、この入金リジェクト紙幣BL10の後端が、鑑別部100の搬送状態検知センサ33に到達すると、紙幣入出金機4は、この旨を搬送状態検知センサ33で検知する。
このとき、紙幣入出金機4は、図示しないモータを起動して、振分搬送路101の搬送方向が後端から前端へと向かう方向となるように、振分搬送路101の搬送ローラ50を回転させることで、次の入金リジェクト紙幣BL9を、振分搬送路101から鑑別部100に繰り出す。
その後も、紙幣入出金機4は、同様にして、1枚目〜8枚目の入金リジェクト紙幣BL1〜BL8を1枚ずつ鑑別部100に繰り出すようになっている。
そして、このようにして鑑別部100に繰り出された10枚の入金リジェクト紙幣BL1〜BL10は、第1の実施の形態と同様にして入出金口部21に戻されて利用者に返却される。
[4−3.動作及び効果]
以上の構成において、この第4の実施の形態では、振分搬送路101内に複数の入金リジェクト紙幣を一時貯留する際に、それぞれ一定の間隔を空けて貯留するのではなく、一部を重ねるようにして一時貯留するようにした。
こうすることで、入金リジェクト紙幣を一定の間隔を空けて貯留するようにした第1の実施の形態と比して、振分搬送路101の長さは変えずに、一時貯留可能な最大枚数を増加させることができる。
またこの第4の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、振分搬送路101を入金リジェクト紙幣の一時貯留先と利用することで、入金リジェクト紙幣専用の一時収納庫を別途設ける必要がなく、入金リジェクト紙幣を一時貯留する場合のコスト増を最小限に抑えることができ、また紙幣入出金機4が大型化してしまうことを回避することができる。
[5.他の実施の形態]
[5−1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1の実施の形態では、ATM1の内部に設けられている板厚の厚い鋼板で囲われた金庫部20の内側に紙幣入出金機4を設けるようにした。
これに限らず、例えば図38に示すように、紙幣入出金機4を、入出金口部21及び一時保留部23を有する上部4aと、鑑別部22、リジェクト庫24、取込庫25、紙幣収納庫26、振分搬送路27を有する下部4bとに分け、下部4bのみを、金庫部20の内側に配置するようにしてもよい。
このことは、第1の実施の形態に限らず、第2乃至第4の実施の形態についても同様である。
[5−2.他の実施の形態2]
また、上述した第1の実施の形態では、鑑別部22を、U字形状の搬送路30とこの搬送路30の途中に配置された鑑別センサ31とで構成するようにした。
そして、この鑑別部22の搬送路30の周りに、搬送先となる各部(入出金口21、一時保留部23、リジェクト庫24、取込庫25、振分搬送路27)を配置して、これらと搬送路30とを必要に応じて接続するようにした。
これに限らず、鑑別部22の搬送路30の形状や、搬送路30と各部の位置関係については、ATM1の仕様に応じて適宜変えてもよい。
[5−3.他の実施の形態3]
さらに、上述した第4の実施の形態では、鑑別部100の後端に羽根車110を設けるようにしたが、これに限らず、振分搬送路101の前端にこの羽根車110を設けるようにしてもよい。
[5−4.他の実施の形態4]
さらに、上述した第4の実施の形態では、鑑別部100の所定位置に搬送状態検知センサ111を配置して、この搬送状態検知センサ111で紙幣を検知した後、所定のタイミングで、振分搬送路101の搬送ローラ50の回転を開始させたり停止させたりするようにした。
これに限らず、第4の実施の形態と同様の効果が得られる範囲内であれば、搬送状態検知センサ111で紙幣を検知してから搬送ローラ50の回転を開始させたり停止させたりするタイミングを変えたり、搬送状態検知センサ111の位置を変えたりしてもよい。
[5−5.他の実施の形態5]
さらに、上述した第1及び第4の実施の形態では、振分搬送路27及び101を入金リジェクト紙幣を一時的に貯留する一時貯留部として利用するようにした。
また第2の実施の形態では、複数の紙幣収納庫26(26a〜26d)のうちの1つを、第3の実施の形態では、一時保留部23を入金リジェクト紙幣を一時的に貯留する一時貯留部として利用するようにした。
これに限らず、紙幣入出金機4が、これら振分搬送路27や振分搬送路101、紙幣収納庫26、一時保留部23以外にも、鑑別部22や鑑別部100に対して双方向に紙幣を搬送でき、且つ入金リジェクト紙幣を一時的に貯留できる箇所を有しているのであれば、このような箇所を一時貯留部として利用するようにしてもよい。
[5−6.他の実施の形態6]
さらに、上述した第1乃至第4の実施の形態では、本発明を、ATM1に設けられた紙幣入出金機4に適用したが、本発明は、これに限らず、入金時に投入された紙幣のうち、入金に不適合と判別された入金リジェクト紙幣を一時的に貯留する装置であれば、この他種々の装置に適用することができる。
さらに上述した第1乃至第4の実施の形態では、本発明を、紙幣処理装置としてのATM1に適用したが、本発明は、これに限らず、入金時に投入された紙幣のうち、入金に不適合と判別された入金リジェクト紙幣を一時的に貯留する紙幣入出金機を備えた装置であれば、この他種々の装置に適用することができる。
[5−7.他の実施の形態7]
さらに、本発明は、上述した第1乃至第4の実施の形態と、上述した他の実施の形態とに限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1乃至第4の実施の形態と上述した他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。