JP6490899B2 - 補強土壁及び補強土壁の構成方法 - Google Patents
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Description
また、ジオテキスタイル工により土留め構造体を構成する場合に、垂直に近い法面を綺麗に収めるため、盛土の法面側の端部に壁面材を設置し、これらをジオテキスタイルで囲うように設けて盛土を補強することが行われている(例えば特許文献3,4参照)。
仮設構造物は、本工事が始まるまでの間だけ一時的に設置されるものであるが、本工事が始まるまでに数年を要して仮設構造物の設置が長期間に亘ることも多く、その間、周辺の景観に悪影響を及ばさないように、仮設構造物の外観は見栄え良く収められていることが好ましい。また、敷設した土嚢が劣化することがないように、異物が堆積し難くい形状に設けられていることが好ましい。
土留め構造体の法面を垂直に収めるときは、土嚢間の段差や土嚢の外側に膨らんで湾曲した外周面が露出しないように、前記の如く法面側の端部に壁面材を設置して土嚢表面を覆ったり、段差部分にモルタルを充填して隣接した土嚢の外周面の部分を平滑な面に仕上げたりする必要がある。
そこで、本発明では、内部に中詰材を一杯に充填しても角型に保持されるように構成されたコンテナバッグを用いて土嚢を形成し、これを地盤に敷き詰めて、土嚢列の段差や凹凸が小さく、表面が略平滑な補強土壁を構成した。
前記フレキシブルコンテナバッグが、四角筒形の胴部の四隅角部の内側に角部の両側の側面に跨る仕切り片が各々取り付けられ、前記四隅角部の各角部の内側に、二つ折りされた吊用ベルトがその両端部を角部の両側の側面の内側で前記仕切り片の両端部にそれぞれ重ねられ、且つ胴部の下部から上部に亘る当該側面の内面に止着されて角部の内側に各々一体に取り付けられているとともに、前記胴部の下部が底部を設けて塞がれ、前記四隅角部の内側に吊用ベルトが取り付けられた胴部の上部開口の内周縁に筒状の投入部が取り付けられてなることを特徴とする。
従って、前記コンテナバッグに中詰材を充填して角型土嚢を形成し、これを地盤上に一列又は複数列に敷き詰め、さらにその上に角型土嚢を積み重ねれば、隣接する土嚢と土嚢の間に段差がなく、表面が平滑な補強土壁を構成することができる。
前記構成の補強土壁は、隣り合う土嚢同士が互いの側面全体を密着させて設置されるので、表面に段差や凹凸がなく、段差や凹凸が表出したとしても極めて小さいものなので、外観が方形ブロックを積み重ねた如き直角に交わる平面が強調された見栄えの良いものとなり、また、土嚢と土嚢の間に異物が堆積したり引っ掛かったりし難く、異物の堆積に伴って土嚢が劣化することを防止することができる。
地盤上にジオテキスタイルを敷き、このジオテキスタイル上であってその前端部よりも内側の位置で前記角型土嚢を一列又は複数列に敷き詰め、敷き詰めた角型土嚢の後方の地盤上に土を盛り、表面を敷き均し転圧した後、前記ジオテキスタイルの前端側を敷き詰めた角型土嚢の後方へ折り返して角型土嚢の前面から上面に亘って巻き付けるとともに後方へ折り返した端部を前記盛土の上面に固定して地盤上に第1の補強土壁を形成し、
次いで、前記第1の補強土壁の上面にジオテキスタイルを敷き、このジオテキスタイル上であってその前端部よりも内側の位置で、前記角型土嚢を一列又は複数列に敷き詰め、当該敷き詰めた角型土嚢の後方の前記第1の補強土壁上に土を盛り、表面を敷き均し転圧した後、前記ジオテキスタイルの前端側を敷き詰めた角型土嚢の後方へ折り返して角型土嚢の前面から上面に亘って巻き付けるとともに後方へ折り返した端部を前記盛土の上面に固定して第1の補強土壁上に第2の補強土壁を形成した構成を有することを特徴とする。
補強土壁の壁面に段差や凹凸がないので、土留め構造体の法面を垂直に収める場合に、法面側の端部に段差や凹凸を覆う壁面材を設置したり、段差部分にモルタルを充填して平滑な面に仕上げたりする工事は不要である。勿論、法面に沿って補強するため、壁面材を補強土壁の壁面に設置したり壁面に沿ってモルタルを充填して固めたりしてもよい。
この場合、仕切り片で仕切られた角部内側の空間全体に隈無く且つスムーズに内容物が入り込むようにするため、角部の上端から下端に至る仕切り片の配置間隔(S)が、仕切り片の短手幅(W)の長さと略同じ(S≒W)に設けられていることが好ましい(図7参照)。
なお、本発明を適用して、道路や河川の応急仮工事や災害復旧工事などに耐候性大型土嚢積層工法を実施する場合、コンテナバッグに中詰材を詰め入れて形成される土嚢は、一般財団法人土木研究センターが発刊した『「耐候性大型土のう積層工法」設計・施工マニュアル』で規定される強度や変形特性、耐久性、排水・透水性などの性能を満足する性能を有するものであることが好ましい。
図1は本発明の補強土壁を構成する角型土嚢を示しており、この角型土嚢SBは、図2に示される角型のコンテナバッグ1に中詰材である土砂を詰め入れて形成されており、コンテナバッグ1内に土砂を一杯に充填した状態で、外周面が平面視正方形に保時されるように構成されたものである。
また、吊用ベルト6は、胴部2の四隅角部21で二つ折りにされて、その両端部が角部21の両側の側面22,22の内側に挿入され、且つ胴部2の下部から上部に亘る側面22,22の内面に縫い付けられて、角部21の内側に一体に取り付けてある。
また、胴部2の四隅角部21の内側に取り付けられた四本の吊用ベルト6は、隣り合った隅角部21,21にそれぞれ取り付けられたた二本の吊用ベルト6,6同士と、他の二本の吊用ベルト6,6同士を、それぞれ連結吊りベルト7,7で連結してあり、両連結吊りベルト7,7をクレーンで吊って角型土嚢SBを移送することができるように設けてある(図1参照)。
詳しくは、図示したコンテナバッグ1は、胴部2の四隅角部21の内側に、角部21の上端から下端に亘って互いに等間隔を開け、且つ長手方向を水平横向きにして角部21を挟んで隣り合う両側面22,22間に跨るように配置された三つの帯状の仕切り片5が各々その両端部51,51を側面22,22の内面に縫い付けて取り付けられ、前記形態と同様に、各仕切り片5が取り付けられた位置の角部21の内側部分が角部21を挟む両側面22,22と仕切り片5とで平面視略直角三角形の空間に仕切られた形状に設けてある。吊用ベルト6が、各四隅角部21の内側に一体に取り付けてあること、二本の吊用ベルト6,6同士が連結吊りベルト7で連結してあることは前記形態と同様である。
各角部21への仕切り片5と吊用ベルト6の取り付けは、例えば図7に示されるように、リング状に二つ折りにした吊用ベルト6に等間隔を開けて平行に配置した三つの仕切り片5の両端部51,51を一体に縫い合わせておき、これを各仕切り片5と吊用ベルト6が角部21を跨ぐように配置して側面22,22の内面に重ね合せた状態で、各仕切り片5ととともに吊用ベルト6を両側面22,22に縫い合せることにより行うことができる。
図6に示されるコンテナバッグ1のように、各角部21の内側にその上端から下端に亘って複数の仕切り片5を適宜な間隔を開けて取り付けてあれば、大小の塊を含む土砂をコンテナバッグ1に詰め入れ際に、上下の仕切り片5,5の間の隙間を通して土砂が角部21内側の空間部にスムーズに入り込み、胴部2の四隅角部21に隈無く詰め入れることが可能である。コンテナバッグ1に土砂を一杯に充填したときに、角部21の内側の空間に隙間ができて、角部21が潰れたり湾曲したりするようなことはない。
また、吊用ベルト6を胴部2の角部21の内側に取り付けてあるので、角型土嚢SBが長期間屋外に設置されていても、吊用ベルト6の取付け部に紫外線が直接照射されるようなことなく、紫外線を受けることによる前記取り付け部の劣化を防止して、クレーンで吊用ベルト6或いは連結吊りベルト7を吊って角型土嚢SBを安全に移送することが可能である。
このように構成された補強土壁は、敷き詰めた角型土嚢SB列の表面に段差や凹凸がなく、壁面部が地盤Gに対して略垂直に交差した見栄えの良い外観のものとなる。
同図に示されるように、先ず、地盤G上にジオテキスタイgeoを敷く(同図(A))、このジオテキスタイルgeo上に角型土嚢SBを一列又は複数列に敷き詰める(同図(B))。この際、角型土嚢SBは、ジオテキスタイルgeoの前端部よりも内側の位置に設置しておく。
次いで、敷き詰めた角型土嚢SBの後方の地盤G上に土を盛る(同図(C))。盛土の表面を敷き均し転圧したならば、ジオテキスタイルgeoの前端側を敷き詰めた角型土嚢SBの後方へ折り返して角型土嚢SBの前面から上面に亘って巻き付けるとともに、後方へ折り返した端部を前記盛土の上面に固定し(同図(D))、さらに、その上に土を盛り。表面を敷き均し転圧して第1の補強土壁を形成する(同図(E))。
そして、第1の補強土壁の上面にジオテキスタイルgeoを敷き、このジオテキスタイルgeo上であってその前端部よりも内側の位置で、角型土嚢SBを一列又は複数列に敷き詰め(同図(F))、以降、上記と同様にして、敷き詰めた角型土嚢SBの後方の第1の補強土壁上に土を盛り、表面を敷き均し転圧した後、ジオテキスタイルgeoの前端側を敷き詰めた角型土嚢の後方へ折り返して角型土嚢SBの前面から上面に亘って巻き付けるとともに後方へ折り返した端部を前記盛土の上面に固定し、土を盛って第1の補強土壁上に第2の補強土壁を形成し、同様にして、第3、第4の補強土壁を積層して適宜な高さに補強土壁を構成することができる。
これによれば、補強土壁のジオテキスタイルが巻き付けられる側の壁面は、角型土嚢SBと角型土嚢SBの間の段差や凹凸がなく、地盤に対して略垂直に交差する平滑な面となるので、ジオテキスタイルgeoを巻き付けつつ補強土壁を積層することで、壁面部が略垂直な土留め構造体を構成することができる。
Claims (3)
- フレキシブルコンテナバッグに中詰材を詰め入れて形成された角型土嚢が、地盤上に一列又は複数列に敷き詰められ、その上に前記角型土嚢が積み重ねられた構成を有する補強土壁において、
前記フレキシブルコンテナバッグは四角筒形の胴部の四隅角部の内側に角部の両側の側面に跨る仕切り片が各々取り付けられ、
前記四隅角部の各角部の内側に、二つ折りされた吊用ベルトがその両端部を角部の両側の側面の内側で前記仕切り片の両端部にそれぞれ重ねられ、且つ胴部の下部から上部に亘る当該側面の内面に止着されて角部の内側に各々一体に取り付けられているとともに、
前記胴部の下部が底部を設けて塞がれ、前記四隅角部の内側に吊用ベルトが取り付けられた胴部の上部開口の内周縁に筒状の投入部が取り付けられてなることを特徴とする補強土壁。 - 複数の帯状の仕切り片が角部の上端から下端に亘り互いに間隔を開けて止着された構成のフレキシブルコンテナバッグを用いてなる請求項1に記載の補強土壁。
- 四角筒形の胴部の四隅角部の内側に角部の両側の側面に跨る仕切り片が各々取り付けられ、前記四隅角部の各角部の内側に、二つ折りされた吊用ベルトがその両端部を角部の両側の側面の内側で前記仕切り片の両端部にそれぞれ重ねられ、且つ胴部の下部から上部に亘る当該側面の内面に止着されて角部の内側に各々一体に取り付けられているとともに、前記胴部の下部が底部を設けて塞がれ、前記四隅角部の内側に吊用ベルトが取り付けられた胴部の上部開口の内周縁に筒状の投入部が取り付けられてなるフレキシブルコンテナバッグに中詰材を詰め入れて角型土嚢を形成し、
地盤上にジオテキスタイルを敷き、このジオテキスタイル上であってその前端部よりも内側の位置で前記角型土嚢を一列又は複数列に敷き詰め、敷き詰めた角型土嚢の後方の地盤上に土を盛り、表面を敷き均し転圧した後、前記ジオテキスタイルの前端側を敷き詰めた角型土嚢の後方へ折り返して角型土嚢の前面から上面に亘って巻き付けるとともに後方へ折り返した端部を前記盛土の上面に固定して地盤上に第1の補強土壁を形成し、
次いで、前記第1の補強土壁の上面にジオテキスタイルを敷き、このジオテキスタイル上であってその前端部よりも内側の位置で、前記角型土嚢を一列又は複数列に敷き詰め、当該敷き詰めた角型土嚢の後方の前記第1の補強土壁上に土を盛り、表面を敷き均し転圧した後、前記ジオテキスタイルの前端側を敷き詰めた角型土嚢の後方へ折り返して角型土嚢の前面から上面に亘って巻き付けるとともに後方へ折り返した端部を前記盛土の上面に固定して第1の補強土壁上に第2の補強土壁を形成することを特徴とする補強土壁の構成方法。
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