JP7213140B2 - 石炭灰利用資材及び埋立方法 - Google Patents
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Description
そして、さらに石炭灰を有効利用する土木資材の開発と実用が望まれている。
以下に示す発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれるものである。
(1)項の記載の石炭灰利用資材は、海面処分場の埋立材料、護岸建設のための建設資材、及び災害時の復旧資材等に使用されるものであって、石炭灰利用資材を水域に投入するだけの作業で、投入後に袋体内に浸入する水とセメントとの水和反応により、所定強度の石炭灰構造体(石炭灰地盤)を造成することができる。また、(1)項に記載の石炭灰利用資材は、これを製造するための複雑な設備も必要なく簡易化することができる。また陸上ヤードにて養生・固化する期間も必要ないので、製造ヤードの省スペース化を実現す
ることができる。また、(1)項に記載の石炭灰利用資材は、土砂と比較して土粒子密度が小さな石炭灰と、セメントとを混合してなる粉体状の混合物で構成されるために袋体全体としても軽量であり、一般的な大型土嚢などと比較して運搬効率が良い。また、混合物は、セメントを、石炭灰に対して重量比1~10%で混合して構成されるので、石炭灰利用資材を、水中に設置して一定時間経過すると、一軸圧縮強度100kN/m 2 以上の強度を発現させることができる。しかも、袋材内の強度を用途に応じて設定することが可能であり、特に5%以下の場合は、一般的なセメント改良土のセメント添加量の最低必要量50kg/m 3 と比較しても、本石炭灰利用資材に必要となるセメント添加量(2%の場合は約20kg/m 3 )は少なく、セメントの材料費として安価となる。また破砕材など製造時に水を混合する材料の場合の最適セメント添加量は100kg/m 3 を超える場合もある。これと比較しても10%以下の添加量は経済的な範疇である。
(2)項に記載の石炭灰利用資材では、石炭火力発電所から排出される約9割のフライアッシュ(約1割がクリンカアッシュ)を対象としているので、石炭灰の有効利用に対して効果的である。また、フライアッシュとセメントとを粉体状で撹拌混合するのでセメントが略均一に行き渡る。その結果、必要強度を発揮するための必要セメント添加量が少なくてよく、当該石炭灰利用資材を水中に投入して設置した際に、石炭灰利用資材において強度の偏りが抑制され、全体が略均一の強度を有するようになる。
(3)項に記載の石炭灰利用資材は、海面処分場を区画する堤体の背面に所定強度の非液状化石炭灰地盤を造成する際の埋立材料として採用される。
(4)項に記載の埋立方法では、石炭灰とセメントとを混合してなる粉体状の混合物を通水防塵性の袋体に充填してなる石炭灰利用資材を、堤体の背面の水域に投入して積層するだけの作業で、堤体の背面に所定強度を有する非液状化石炭灰地盤を造成することができる。また、埋立後に堤体に作用する土圧が一般土砂より軽減される。さらに、セメント量の総使用量を抑制できる。
(5)項に記載の埋立方法では、石炭灰とセメントとを混合してなる粉体状の混合物を通水防塵性の袋体に充填してなる石炭灰利用資材を、堤体の背面から間隔を置いて堤体と平行に列状に並べることで、その石炭灰利用資材をその後に別途投入する改質埋立材料(例えばスラリー状にしたもの)の堰き止め壁部として機能させることができる。その結果、当該改質埋立材料が堰き止め壁部で堰き止められるので、これを繰り返すことで、短期間で堤体の背面に、法勾配を急にした必要最小限の非液状化石炭灰地盤を造成することが
でき、袋体の袋材の費用および製造費を削減し非液状化石炭灰地盤の造成コストを低減できる。
また、本発明に係る埋立方法によれば、石炭灰利用資材を、堤体の背面の水域に投入するだけの作業で、その水域に所定強度を有する非液状化石炭灰地盤を造成することができ、その結果、製造ヤードの省スペース化と施工上の簡便さとを実現することができる。さらに、非液状化材料として石材を用いる必要がなく、もともとの埋立材料である石炭灰を利用することができ、石炭灰の処分容量を確保することができる。
本発明の実施形態では、その石炭灰利用資材1が管理型廃棄物海面処分場10の埋立材料として使用される。本石炭灰利用資材1は、図1に示すように、石炭灰であるフライアッシュ2とセメント3とを混合してなる粉体状の混合物を袋体5に充填して構成される。混合物に、クリンカアッシュを含めてもよい。フライアッシュ2とセメント3とは、共に乾燥した粉体状であり、撹拌しながら混合される。その結果、セメント3が略均一に分散された状態で袋体5に封入される。フライアッシュ2は、石炭火力発電所にて発生する副産物である。なお、フライアッシュ2は、新生灰でも良いし、既成灰でも良い。新生灰は、自硬性を有している場合が多いために、水中に投入後強度を発現しやすく必要セメント添加量の低減を図りやすいものである。一方、一旦埋め立てられ水和反応した後の既成灰も採用することも可能であり、セメント3を新生灰の場合より多く混合することで所定の強度を発現させることが可能である。
その後は、非液状化石炭灰地盤15の内側に、湿灰を直接投入して埋め立ても良いし、フライアッシュ2に水を混合してスラリー状にしたものを圧送して埋め立てても良い(図2及び図3においてグレーで示す範囲)。
このような用途で使用する場合でも、本発明の実施形態に係る石炭灰利用資材は、運搬時には軽量であるため、積載重量制限のある運搬車両に数をより多く積載することができる。または1袋あたりの容積を大きくすることができる。
Claims (5)
- 海面処分場に使用される石炭灰利用資材であって、
当該石炭灰利用資材は、石炭灰とセメントとを混合してなる粉体状の混合物を、通水防塵性の袋体に充填して構成され、
前記混合物は、前記セメントを、前記石炭灰に対して重量比1~10%で混合して構成され、
前記石炭灰利用資材は、水中に設置され所定期間経過すると、一軸圧縮強度100kN/m 2 以上の強度を発現するものであることを特徴とする石炭灰利用資材。 - 前記石炭灰はフライアッシュであり、乾灰であることを特徴とする請求項1に記載の石炭灰利用資材。
- 前記石炭灰利用資材は、前記海面処分場の埋立に使用される埋立材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の石炭灰利用資材。
- 堤体により区画された海面処分場の埋立方法であって、
前記堤体の背面に、請求項1~3いずれかに記載の石炭灰利用資材を多数投入して積層し、石炭灰地盤を造成することを特徴とする埋立方法。 - 堤体により区画された海面処分場の埋立方法であって、
前記堤体の背面との間に間隔を置いて、石炭灰とセメントとを混合してなる粉体状の混合物を、通水防塵性の袋体に充填してなる石炭灰利用資材を列をなして設置した後、
前記堤体の背面と前記各石炭灰利用資材との間に、石炭灰にセメント及び水を混合した改質埋立材料を投入し、これを繰り返し積層して、石炭灰地盤を造成することを特徴とする埋立方法。
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