JP3624461B2 - 岸壁の修復方法及び岸壁構造体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、岸壁の修復方法及び岸壁構造体に関し、特に、既設岸壁を撤去して再構築することにより岸壁の復旧を行なうための岸壁の修復方法、及び地震等の自然条件に対しても安定した構造を有する岸壁構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
船舶を繋留して、船荷の積下し、船客の乗降り、船舶の停泊などを行なうことを目的として構築される繋船施設としての岸壁は、内陸部と海との境界線上に設けられるもので、船荷の積下しや船舶の離岸や接岸を支障無く能率的に行なうことができるように、対象とする船舶が離着し、繋留されるのに十分な水深(バース水深)と、水際線延長を持ち、かつその水際線は天端から海底まで直立壁となっているのが通常である。また、岸壁の背後の内陸沿岸部分は、船荷などを積下ししたり、運搬したり、荷さばきするのに便利なように、十分に整地する必要があり、またコンクリートなどで適宜舗装して用いられている。
【0003】
そして、かかる岸壁は、船舶によって人や貨物等を移動する際の重要な施設であるとともに、付近の地域の経済活動と密接に関連するため、その機能を損なわないように、長年の間に発生する地震や波浪等の自然条件や、船荷、荷役機械等の載荷重に対しても十分耐えうるような安定した構造を備えるものでなければならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、このように強固に構築された岸壁であっても、例えば、設計強度を上回る予想外の大地震等が生じた時などにおいては、岸壁が損傷する場合があり、このような場合には、損傷した既設の岸壁を迅速に復旧しその機能を回復する必要がある。
【0005】
また、未だ損傷していない岸壁についても、より過酷な自然条件にも耐え得るように、その構造をさらに安定したものに復旧する必要を生じる場合がある。
【0006】
そして、損傷した岸壁を復旧したり、既設岸壁をより強固な構造のものに再構築する際の一般的な方法として、例えば図4に示すように、まず損傷した既設岸壁50の背部の地盤52を、地表面からこの既設岸壁50の基礎53に至る深さまで、掘削後の側面の地山が自立し得るような緩い傾斜の法面、例えば1:2程度の勾配の法面を形成しつつ、例えば水中掘削作業により掘削し、次いで既設岸壁50を撤去してこれの基礎53を整備し、さらに、整備した基礎53の上に、ケーソン等からなる岸壁の本体構造物51を据え付けた後に、本体構造物51の背面の掘削部分52を埋戻し、その表面55を整地し舗装する方法が考えられている。
【0007】
しかしながら、かかる従来の方法では、既設岸壁50の背部に、掘削作業のための相当の幅の作業領域を必要とし、しかもかかる広範囲の作業領域は、新たに岸壁の本体構造物51が据え付けられてその背部が埋戻されるまでの長い期間、船荷の運搬や荷さばき等を行うための沿岸施設として利用することができないという課題があった。
【0008】
また、かかる従来の方法によって再構築された岸壁によれば、前面の海からの波浪や背面の地盤からの土圧のほとんどを、本体構造物51の構造のみによって支持する構成となっているため、例えば予想外の大きな地震力等に対しても安定した構造とするためには、本体構造物51自体を非常に大がかりものとする必要があり、したがって、このような安定した岸壁を経済的かつ効率良く構築することが困難であるという課題があった。
【0009】
そこで、この発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、長期間占有することになる岸壁の背部の作業領域を低減して、復旧作業中でも岸壁の背部の地盤面を沿岸施設として有効利用することができるとともに、安定した岸壁を経済的かつ効率良く再構築することのできる岸壁の修復方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
また、この発明は、大規模な地震等に対して効率良く抵抗することのできる安定した構造を有する岸壁構造体を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するためになされたもので、その要旨は、既設岸壁を撤去して再構築することにより岸壁の復旧を行なう岸壁の修復方法であって、既設岸壁と間隔を置いてこれの背面側の地盤中に自立構造体を造成する工程と、造成した自立構造体と既設岸壁との間の地盤を掘削除去するとともに、前記既設岸壁を撤去する工程と、撤去した既設岸壁の基礎部分を整備して、再構築する岸壁の基礎を造成する工程と、該造成した基礎上にケーソン等からなる岸壁本体構造物を据え付ける工程と、据え付けた岸壁本体構造物と前記自立構造体との間を埋戻す工程とからなることを特徴とする岸壁の修復方法にある。
【0012】
ここで、この発明の岸壁の修復方法は、前記自立構造体を、深層混合処理工法により地盤を固化させて造成することが好ましい。
【0013】
また、この発明の岸壁の修復方法は、前記自立構造体を、前記岸壁本体構造物の延長方向に延長するフラット壁と、このフラット壁の背面側に突出形成されたリブ壁とからなるスーパーリブ構造を地中に設けることにより造成しても良い。
【0014】
さらに、この発明の岸壁の修復方法は、前記据え付けた岸壁本体構造物と前記自立構造体との間を埋戻す工程を、固化材を用いて事前混合処理を行った土砂を使用して行なうことが好ましい。
【0015】
そして、この発明の他の要旨は、岸壁の前端部分において海底面に造成された基礎上に据え付けられる、ケーソン等からなる岸壁本体構造物と、該岸壁本体構造物の背面側に造成される自立構造体と、前記岸壁本体構造物と前記自立構造体との間の埋戻し地盤とからなることを特徴とする岸壁構造体にある。
【0016】
なお、この発明の岸壁構造体は、上記岸壁の修復方法によって再構築されるものに限定されるものではない。
【0017】
ここで、この発明の岸壁構造体は、前記自立構造体を、深層混合処理工法により地盤を固化させて造成した改良地盤によって構成することが好ましい。
【0018】
また、この発明の岸壁構造体は、前記自立構造体を、前記岸壁本体構造物の延長方向に延長するフラット壁と、このフラット壁の背面側に突出形成されたリブ壁とからなるスーパーリブ構造によって構成することができる。
【0019】
さらに、この発明の岸壁構造体は、前記岸壁本体構造物とこれの背面側に造成した前記自立構造体との間には、固化材を用いて事前混合処理を行った土砂からなる埋戻し地盤を造成することが好ましい。
【0020】
【作用】
そして、この発明の岸壁の修復方法によれば、既設岸壁を撤去すべく行なう、既設岸壁の背面の地盤を掘削除去する作業に先立って、既設岸壁と間隔を置いてこれの背面側の地盤中に自立構造体を造成する。すなわち、かかる自立構造体は、それ自身で自立してこれの背面の地盤からの土圧を支持し、また海からの波浪等によって容易に浸食することがなく、したがってその壁面を垂直ないしは急勾配として、既設岸壁の撤去作業のための背面の地盤の掘削領域を低減することができるとともに、自立構造体を造成した後は、これの上部あるいはこれの背面上部の地盤は、安定した沿岸施設のための地盤として短期間に利用することが可能になる。
【0021】
また、造成された自立構造体は、岸壁本体構造物が新たに据え付けられ埋戻しを行って岸壁の修復作業が完了した後においても、背後の地盤中に残置され、岸壁本体構造物とともに土圧や波浪等による荷重を支持するので、岸壁本体構造物は、自立構造体によって補強されて、大規模な地震等の自然条件に対してより安定した岸壁を構成にすることになる。
【0022】
なお、自立構造体を造成する作業は、岸壁背後の内陸沿岸部分における作業に適した工法として、深層混合処理工法により地盤を固化させて造成する方法や、あるいは岸壁本体構造物の延長方向に延長するフラット壁と、このフラット壁の背面側に突出形成されたリブ壁とからなるスーパーリブ構造を地中に設けることにより造成する方法を用いて容易に行なうことができる。
【0023】
また、据え付けた岸壁本体構造物と前記自立構造体との間を埋戻す工程を、固化材を用いて事前混合処理を行った土砂を使用して行なえば、これを固化させて支持強度を発揮させるとともに、自立構造体と岸壁本体構造物との一体化を図って、復旧した岸壁を大規模な地震等に対してさらに安定した構成にすることができる。
【0024】
そして、この発明の岸壁構造体によれば、ケーソン等からなる岸壁本体構造物と、この岸壁本体構造物の背面側に造成される自立構造体とからなるので、岸壁本体構造物のみならず自立構造体によっても周囲の地盤からの土圧や波浪等による荷重を支持することができ、これによって、岸壁本体構造物は、自立構造体によって強固に補強されて、大規模な地震等の自然条件に対して安定した岸壁を構成することができる。
【0025】
また、岸壁本体構造物を補強する自立構造体は、深層混合処理工法による改良地盤や、フラット壁とリブ壁とからなるスーパーリブ構造等によって、岸壁背後の内陸沿岸部分の地盤中に容易に設けることができるとともに、岸壁本体構造物と自立造体との間の埋戻し地盤を、固化材を用いて事前混合処理を行った土砂によって造成すれば、かかる埋戻し地盤に支持強度を発揮させ、かつ自立構造体と岸壁本体構造物との一体化を図って、より安定した岸壁を提供することが可能になる。
【0026】
【実施例】
以下、この発明の実施例を添付図面を参照しつつ詳細に説明するが、この発明は、これらの各実施例の態様のものに限定されるものではない。
【0027】
図1はこの発明の第1実施例を示すもので、一例として、所定の海域を埋め立てて造成した地盤20の沿岸部分に構築された既設岸壁10が、例えば大規模の激震により損傷した場合に、かかる損傷した既設岸壁10を復旧すべく、これを撤去して、新たに、岸壁本体構造物としてのケーソン11と、自立構造体としての、深層混合処理工法により造成した改良地盤12とからなる岸壁構造体13を形成する際に、この発明の岸壁の復旧方法を採用したものである。
【0028】
すなわち、この実施例によれば、既設岸壁10の背面側の地盤を掘削除去する作業を行なう前に、予め、既設岸壁10の背面との間に例えば7〜8m程度の間隔をおいて、深層混合処理工法を用いて、既設岸壁10と並行して延長する改良地盤12を例えば15m程度の幅で造成する。
【0029】
ここで、この実施例で用いる深層混合処理工法は、地盤改良工法中の固結工法の一種で、地盤に石灰、セメントなどの安定材を混合撹拌し、土砂を化学的に固結させる工法として知られるもので、例えばDM工法等として知られる公知の種々の工法を採用することができる。そして、この工法によれば、安定材を高圧で噴射しながら地盤を撹拌する噴射ロッドや、撹拌翼で地盤と安定材とを機械的に撹拌するオーガロッド等を、改良地盤12を造成すべき領域内において、地表面から地中所定深度に至るまで、縦横に整列させて多数挿入し、地盤の土砂と安定材とを順次混合して行くことにより、一体となった改良地盤12を迅速かつ容易に形成することができる。
【0030】
なお、この造成された改良地盤12は、埋立て地盤20の液状化対策を兼ねることもできるものである。すなわち、この改良地盤12によれば、埋立地盤20を構成する土材料、すなわちレキ、砂質土、及び粘性土を、石灰、セメントなどの安定材で固化することにより強度が増加し、地震力による土粒子間の構造変化、すなわち体積変化による過剰間隙水圧の上昇を防止することにより、埋立て地盤20の液状化を容易に防止することができる。
【0031】
また、この改良地盤12は、これが造成固化された後は、これの表面を強固かつ安定した地盤面として、後述する掘削作業や、既設岸壁10及びケーソン11の撤去あるいは据付け作業等を行なう際の作業ヤードとして有効に利用することができる他、船荷の運搬や荷さばき等を行うための沿岸施設として、岸壁の復旧作業中においても引き続き使用することができる。
【0032】
そして、既設岸壁10の背面側に改良地盤12を造成したら、既設岸壁10と改良地盤12との間の地盤19を掘削除去するとともに、損傷した既設岸壁10を撤去する作業を行なう。すなわち、かかる掘削作業は、例えば造成した改良地盤12上に移動配置したバックフォー、クラムシェル等の掘削重機を用いることにより、既設岸壁10の基礎が位置する深さまで、容易に行なうことができる。
【0033】
なお、かかる掘削作業は、海面以下の深さでは、水中掘削作業になるとともに、掘削作業先立って造成された改良地盤12を山留め部材として、掘削側壁面の崩壊が防止されることになるので、背後になだらかな法面を形成しつつ掘削して掘削領域及び掘削土量を過大にすることなく、これらを必要最小限のものに留めつつ効率良く掘削作業を行なうことができる。
【0034】
一方、既設岸壁10を撤去する作業は、レッカーやクレーン船等の吊上げ重機などを使用しつつ容易に行なうことができる。
【0035】
既設岸壁10を撤去したら、次に、新たに製作したケーソン11を岸壁本体構造物として据え付けるための基礎15を、岸壁の前端部分に位置する海底面に造成する作業を行なう。かかる基礎15の造成作業は、既設岸壁10の基礎として用いられていたものを整備してそのまま使用することができ、この実施例では、既設岸壁10の基礎部分及びこれの下方の置換砂16を整備した後、この置換砂16の上面に新たに基礎15を造成する。
【0036】
ここで、基礎15の造成作業は、基礎捨石17や被覆石18を海中に投入した後、潜水夫等による水中作業によって、表面を平らにしたり、所定の法面勾配で海底面にすり付けたりすることによって行われ、また適宜水中コンクリートを打設して、その表面を平坦に仕上げることもできる。
【0037】
なお、上記置換砂16は、地震力により液状化の恐れがある場合でも、サンドコンパクション等の締固め工法あるいは深層混合等の固化工法などの地盤改良工法により、これの液状化を容易に防止することができる。
【0038】
そして、基礎15を造成したら、これの上面に、岸壁本体構造物としてのケーソン11を、岸壁の延長線に沿って多数据え付ける作業を行なう。すなわち、かかる据え付け作業は、例えば海上や沿岸部に設けたドック内で製作したプレキャスト部材としての、幅10m高さ15m程度の大きさの断面を有するケーソン11を、造成した基礎15の上方まで各々曳航運搬した後、これの内部に注水等を行って沈設することにより行なうことができる他、ケーソン11が小規模のものである場合には、陸上を経て運搬してきたケーソン11をレッカーやクレーン等の吊上げ重機等を使用して吊り上げながら沈設することにより、容易に基礎15の上に据え付けることもできる。なお、据え付けたケーソン11の内部には中詰め土砂を充填し、これの重量によってケーソン11を安定させる。
【0039】
ケーソン11の据え付け作業が終了したら、さらに、ケーソン11とこれの背後に造成した改良地盤12との間の空隙部分19’を埋戻す作業を行なう。かかる埋戻し作業は、この実施例では、セメントや石灰等の固化材を用いて事前混合処理を行った土砂を上記空隙部分19’に投入するとともに、投入作業が進んで埋戻し土砂が水面より上方に堆積してきたら、ブルドーザなどの締固重機等を使用して、埋戻し地盤19”を十分に締め固めることにより行なう。
【0040】
埋戻し作業が終了したら、最後に、構築された岸壁構造体13の上面を整地舗装するとともに、使用した工事用の資機材を撤去して、岸壁の修復作業を終了する。
【0041】
そして、この実施例の岸壁の修復方法によれば、既設岸壁10の撤去及び再構築の作業中でも、内陸沿岸部分の地盤25は自立構造体としての改良地盤12よって強固に防護されるとともに、背後の地盤25からの土圧を改良地盤12を山留め部材として支持することにより、既設岸壁10の背面の掘削領域19を必要最小限の範囲に留め、かつ改良地盤12の表面を安定した強固な地盤として、これが固化するまでの短期間の後、沿岸施設として使用することを可能にすることができる。
【0042】
また、この実施例により構築された岸壁構造体13によれば、造成された改良地盤12は、岸壁の修復作業が終了した後においても、背後の地盤中に残置され、岸壁本体構造物としてのケーソン11とともに土圧や波浪等による荷重を支持するので、ケーソン11は、改良地盤12によって補強されて、大規模な地震等の自然条件に対しても、より安定した岸壁を構成することになる。
【0043】
さらに、この実施例では、ケーソン11とこれの背後に造成した改良地盤12との間の空隙部分19’を埋戻す作業を、セメントや石灰等の固化材を用いて事前混合処理を行った土砂をこの空隙部分19’に投入することによって行なうので、かかる埋戻し地盤19”が固化することにより、支持強度を発揮することになり、また、ケーソン11と改良地盤12とを一体化して、復旧した岸壁をさらに安定した構造とすることができる。
【0044】
一方、図2は、この発明の第2実施例を示すものであり、この実施例は、上記自立構造体を、岸壁の延長方向に延長するフラット壁30と、このフラット壁の背面側に突出形成されたリブ壁31とからなるスーパーリブ構造32によって構成する点のみが第1実施例と相違するものである。
【0045】
ここで、スーパーリブ構造32とは、大型自立山留め壁を構成する地中壁体の構造として従来より公知のもので、図3に示すように、いわゆる剛接ジョイント工法を用いて構築された山留め壁としてのフラット壁30すなわちフラットパネルと、このフラットパネル30の剛接部分33に構築される、フラットパネル30の後方に突出するT字型杭を併用したリブ壁31すなわちリブパネルとからなり、かかるスーパーリブ構造32の平面形状に即して、岸壁の延長方向に沿って地中に掘削形成した連続溝に、鉄筋篭34を挿入した後コンクリートを打設して固化させることにより、迅速かつ容易に強固な自立構造体を造成することができるものである。
【0046】
そして、この第2実施例にかかるスーパーリブ構造32からなる自立構造体によっても、第1実施例の場合と同様に、既設岸壁10の背面の掘削領域を必要最小限の範囲に留め、かつこれの背面の地盤を短期間で沿岸施設として使用することを可能にすることができ、また岸壁の修復作業が終了した後は、このスーパーリブ構造32からなる自立構造体がケーソン11を補強して、より安定した岸壁を構成することができる。
【0047】
なお、上記いずれの実施例の場合においても、自立構造体の背面には、さらに地盤改良35を造成して人工地盤の液状化対策を行なうことができる。
【0048】
また、この発明で造成する自立構造体は、上記各実施例のものに限定されるものではなく、これらの他にも、例えば、鋼製の矢板を間隔をおいて2列に打ち込み、これの上端部分を巾止めして、鋼製の矢板とこれによって挟まれる地盤とによって自立構造体とすることもできる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この発明の岸壁の修復方法によれば、既設岸壁の背面側に自立構造体を造成して復旧作業を行なうので、かかる復旧作業を行なうために長期間占有することになる岸壁の背部の作業領域を低減して、復旧作業中でも岸壁の背部の地盤面を沿岸施設として短期間で有効利用することを可能にするとともに、岸壁の修復が完了した後は、この自立構造体によって岸壁本体構造物を補強して、安定した岸壁を経済的かつ効率良く再構築することができる。
【0050】
また、自立構造体を造成する作業は、岸壁背後の内陸沿岸部分における作業に適した工法として、深層混合処理工法により地盤を固化させて造成する方法や、あるいは岸壁本体構造物の延長方向に延長するフラット壁と、このフラット壁の背面側に突出形成されたリブ壁とからなるスーパーリブ構造を地中に設けることにより造成する方法を用いて容易に行なうことができるとともに、据え付けた岸壁本体構造物と前記自立構造体との間を埋戻す工程を、固化材を用いて事前混合処理を行った土砂を使用して行なえば、これを固化させて支持強度を発揮させるとともに、自立構造体と岸壁本体構造物との一体化を図って、復旧した岸壁をさらに安定した構成とすることができる。
【0051】
そして、この発明の岸壁構造体によれば、ケーソン等からなる岸壁本体構造物と、この岸壁本体構造物の背面側に造成される自立構造体と、岸壁本体構造物と自立構造体との間の埋戻し地盤とからなり、岸壁本体構造物のみならず自立構造体によっても、周囲の地盤からの土圧や波浪等による荷重を支持することができるので、岸壁本体構造物が、自立構造体によって強固に補強されて、大規模な地震等の自然条件に対して効率良く安定して抵抗することができる。
【0052】
また、岸壁本体構造物を補強する自立構造体は、深層混合処理工法による改良地盤や、フラット壁とリブ壁とからなるスーパーリブ構造等によって、岸壁背後の内陸沿岸部分の地盤中に容易に設けることができるとともに、岸壁本体構造物と自立構造体をとの間の埋戻し地盤を、固化材を用いて事前混合処理を行った土砂によって造成すれば、かかる埋戻し地盤に支持強度を発揮させ、かつ自立構造体と岸壁本体構造物との一体化を図って、より安定した岸壁を提供することが可能になる。
【0053】
なお、この発明の岸壁構造体は、上記岸壁の修復方法によって再構築されるものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例にかかる岸壁の修復方法及び岸壁構造体の施工状況を説明する横断面図である。
【図2】この発明の第2実施例にかかる岸壁の修復方法及び岸壁構造体の施工状況を説明する横断面図である。
【図3】この発明の第2実施例にかかる岸壁の修復方法及び岸壁構造体において造成される、スーパーリブ構造による自立構造体の構成を示す概略斜視図である。
【図4】従来の岸壁の修復方法の施工状況を説明する横断面図である。
【符号の説明】
10 既設岸壁
11 ケーソン(岸壁本体構造物)
12 改良地盤(自立構造体)
13 岸壁構造体
15 基礎
19 掘削地盤
19” 埋戻し地盤
20 埋立て地盤
30 フラット壁
31 リブ壁
32 スーパーリブ構造(自立構造体)
Claims (8)
- 既設岸壁を撤去して再構築することにより岸壁の復旧を行なう岸壁の修復方法であって、既設岸壁と間隔を置いてこれの背面側の地盤中に自立構造体を造成する工程と、造成した自立構造体と既設岸壁との間の地盤を掘削除去するとともに、前記既設岸壁を撤去する工程と、撤去した既設岸壁の基礎部分を整備して、再構築する岸壁の基礎を造成する工程と、該造成した基礎上にケーソン等からなる岸壁本体構造物を据え付ける工程と、据え付けた岸壁本体構造物と前記自立構造体との間を埋戻す工程とからなることを特徴とする岸壁の修復方法。
- 前記自立構造体を、深層混合処理工法により地盤を固化させて造成することを特徴とする請求項1に記載の岸壁の修復方法。
- 前記自立構造体を、前記岸壁本体構造物の延長方向に延長するフラット壁と、このフラット壁の背面側に突出形成されたリブ壁とからなるスーパーリブ構造を地中に設けることにより造成することを特徴とする請求項1に記載の岸壁の修復方法。
- 前記据え付けた岸壁本体構造物と前記自立構造体との間を埋戻す工程を、固化材を用いて事前混合処理を行った土砂を使用して行なうことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の岸壁の修復方法。
- 岸壁の前端部分において海底面に造成された基礎上に据え付けられる、ケーソン等からなる岸壁本体構造物と、該岸壁本体構造物の背面側に造成される自立構造体と、前記岸壁本体構造物と前記自立構造体との間の埋戻し地盤と、からなることを特徴とする岸壁構造体。
- 前記自立構造体が、深層混合処理工法により地盤を固化させて造成した改良地盤によって構成されることを特徴とする請求項5に記載の岸壁岸壁構造体。
- 前記自立構造体が、前記岸壁本体構造物の延長方向に延長するフラット壁と、このフラット壁の背面側に突出形成されたリブ壁とからなるスーパーリブ構造によって構成されることを特徴とする請求項5に記載の岸壁構造体。
- 前記岸壁本体構造物とこれの背面側に造成した前記自立構造体との間には、固化材を用いて事前混合処理を行った土砂からなる埋戻し地盤が造成されることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の岸壁構造体。
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