JP6490632B2 - ロミデプシン固体形態及びそれらの使用 - Google Patents

ロミデプシン固体形態及びそれらの使用 Download PDF

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Description

本出願は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている、2010年7月12日に出
願された米国特許仮出願第61/363,522号の優先権を主張するものである。
(分野)
ロミデプシンの固体形態及びこれらの形態を含有する組成物が本明細書に提供される。
一部の実施態様において、ロミデプシンの多形形態が提供される。一部の実施態様におい
て、ロミデプシンの溶媒和形態が提供される。一部の実施態様において、非晶質ロミデプ
シンが提供される。同じくそのような形態及び組成物を製造する方法も提供される。
(背景)
ロミデプシンは、藤沢薬品工業(Fujisawa Pharmaceuticals)によりクロモバクテリウム
・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)から単離された天然の生成物である。日本
国特開平7(1995)-64872;及び、1990年12月11日に発行された米国特許第4,977,138号を参
照することとし、これらは各々引用により本明細書中に組み込まれている。ロミデプシン
の様々な調製及び精製は、PCT公報WO02/20817に開示されており、これは引用により本明
細書中に組み込まれている。
これは、4個のアミノ酸残基(D-バリン、D-システイン、デヒドロブチリン、及びL-バリ
ン)及び新規酸(3-ヒドロキシ-7-メルカプト-4-ヘプテン酸)からなる二環式ペプチドであ
る。ロミデプシンは、アミド結合及びエステル結合の両方を含むデプシペプチドである。
ロミデプシンは、発酵を使用するC.ビオラセウムの生成に加え、合成手段又は半合成手段
によっても調製することができる。Kahnらにより報告されたロミデプシンの全合成(J. Am
. Chem. Soc. 118:7237-7238, 1996)には、14工程が関与し、且つ全収率18%でロミデプ
シンを生成した。ロミデプシンの構造を、以下に示し、以後「化合物I」と称する:
Figure 0006490632
化合物Iは、抗菌活性、免疫抑制活性、及び抗腫瘍活性を有することが示されている。
化合物Iは、米国において、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)及び末梢T細胞リンパ腫(PTCL)の治
療に関して承認されており、且つ現在例えば、他の悪性血液疾患(例えば多発性骨髄腫な
ど)及び固形腫瘍(例えば前立腺癌、膵臓癌など)の患者の治療における使用について試験
されている。これは、デアセチラーゼ(例えば、ヒストンデアセチラーゼ、チューブリン
デアセチラーゼ)を選択的に阻害することにより作用すると考えられ、抗癌療法の新たな
種類を開発するための新たな標的の見込みがある(Nakajimaらの文献、Experimental Cell
Res. 241:126-133, 1998)。一つの作用様式は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の1種以
上のクラスの阻害が関与している。
(概要)
一態様において、化合物Iの固体形態が本明細書において提供される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Cの調製方法及びその特性評価が本明細書
において提供される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Dの調製方法及びその特性評価が本明細書
において提供される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Eの調製方法及びその特性評価が本明細書
において提供される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Hの調製方法及びその特性評価が本明細書
において提供される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Fの調製方法及びその特性評価が本明細書
において提供される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Iの調製方法及びその特性評価が本明細書
において提供される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Jの調製方法及びその特性評価が本明細書
において提供される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Kの調製方法及びその特性評価が本明細書
において提供される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Lの調製方法及びその特性評価が本明細書
において提供される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Nの調製方法及びその特性評価が本明細書
において提供される。
一部の実施態様において、非晶質化合物Iの調製方法及びその特性評価が本明細書にお
いて提供される。
一部の実施態様において、化合物I、及びその固体形態が、医薬組成物の調製に使用さ
れる。一部の実施態様において、化合物Iの固体形態を含有する組成物及び製剤(例えば、
医薬組成物及び医薬製剤)が提供される。
別の態様において、化合物I、その固体形態及びそれらを含有する組成物を使用し、増
殖性疾患、免疫媒介性疾患、感染症、ある種の循環器系疾患、及びある種の神経変性疾患
を治療する方法が、本明細書において提供される。一部の実施態様において、癌を治療す
る方法が、本明細書に提供される。一部の実施態様において、癌は、癌腫、肉腫、白血病
、リンパ腫などを含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施態様におい
て、癌は悪性血液疾患である。いくつかの実施態様において、癌は固形腫瘍である。
別の態様において、化合物I療法を受けている患者のための電解質補充の方法が、本明
細書において提供される。
(図面の説明)
図1(a)は、化合物Iから得られた代表的溶液1HNMRスペクトルを図示する。
図1(b)は、化合物Iの分子構造を図示する。
図1(c)は、室温で収集された化合物I形態CのXRPDを図示する。
図1(d)は、図1(c)のXRPDに存在する観察されたピーク(パートi);及び、顕著なピーク(パートii)を表にしている。
図1(e)は、化合物I形態Cについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図1(f)は、化合物I形態Cについて得られたTGAサーモグラムを図示する。
図1(g)は、化合物I形態Cについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図1(h)は、図1(g)のFT-IRスペクトルに存在するバンドのピーク位置を表にしている。
図1(i)は、準周囲温度で収集された化合物I形態Cの計算されたXRPDを図示する。
図1(j)は、図1(i)のXRPDに存在する理論的に観察されたピーク(パートi);及び、代表的ピーク(パートii)を図示する。
図1(k)は、化合物I形態Cを描くORTEPを図示し、水分子は示していない。
図1(l)は、結晶学的a軸方向から見た化合物I形態Cのパッキング図を図示する。
図1(m)は、結晶学的b軸方向から見た化合物I形態Cのパッキング図を図示する。
図1(n)は、結晶学的c軸方向から見た化合物I形態Cのパッキング図を図示する。
図1(o)は、化合物I形態Cの位置パラメータ及び概算された標準偏差を表にしている。
図1(p)は、化合物I形態Cの結合距離(Å)を表にしている。
図1(q)は、化合物I形態Cの結合角(度)を表にしている。
図2(a)は、室温で収集された化合物I形態DのXRPDを図示する。
図2(b)は、図2(a)のXRPDに存在する観察されたピーク(パートi);及び、顕著なピーク(パートii)を表にしている。
図2(c)は、化合物I形態Dについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図2(d)は、化合物I形態Dについて得られたTGAサーモグラムを図示する。
図2(e)は、化合物I形態Dについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図2(f)は、図2(e)のFT-IRスペクトルに存在するバンドのピーク位置を表にしている。
図3(a)は、室温で収集された化合物I形態EのXRPDを図示する。
図3(b)は、図3(a)のXRPDに存在する観察されたピーク(パートi);及び、顕著なピーク(パートii)を表にしている。
図3(c)は、化合物I形態Eについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図3(d)は、化合物I形態Eについて得られたTGAサーモグラムを図示する。
図3(e)は、化合物I形態Eについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図3(f)は、図3(e)のFT-IRスペクトルに存在するバンドのピーク位置を表にしている。
図3(g)は、化合物I形態EについてのFT-ラマンスペクトルを図示する。
図3(h)は、準周囲温度で収集された化合物I形態Eの計算されたXRPDを図示する。
図3(i)は、図3(h)のXRPDに存在する理論的に観察されたピーク(パートi);及び、代表的ピーク(パートii)を図示する。
図3(j)は、化合物I形態Eを描くORTEPを図示する。
図3(k)は、結晶学的a軸方向から見た化合物I形態Eのパッキング図を図示する。
図3(l)は、結晶学的b軸方向から見た化合物I形態Eのパッキング図を図示する。
図3(m)は、結晶学的c軸方向から見た化合物I形態Eのパッキング図を図示する。
図3(n)は、化合物I形態Eの位置パラメータ及び概算された標準偏差を表にしている。
図3(o)は、化合物I形態Eの結合距離(Å)を表にしている。
図3(p)は、化合物I形態Eの結合角(度)を表にしている。
図4(a)は、室温で収集された化合物I形態HのXRPDを図示する。
図4(b)は、図4(a)のXRPDに存在する観察されたピーク(パートi);及び、顕著なピーク(パートii)を表にしている。
図4(c)は、化合物I形態Hについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図4(d)は、化合物I形態Hについて得られたTGAサーモグラムを図示する。
図4(e)は、化合物I形態Hについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図4(f)は、図4(e)のFT-IRスペクトルに存在するバンドのピーク位置を表にしている。
図5(a)は、室温で収集された化合物I形態IのXRPDを図示する。
図5(b)は、図5(a)のXRPDに存在する観察されたピークを表にしている。
図5(c)は、化合物I形態Iについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図5(d)は、化合物I形態Iについて得られたTGAサーモグラムを図示する。
図5(e)は、化合物I形態Iについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図5(f)は、図5(e)のFT-IRスペクトルに存在するバンドのピーク位置を表にしている。
図5(g)は、準周囲温度で収集された化合物I形態Iの計算されたXRPDを図示する。
図5(h)は、図5(g)のXRPDに存在する理論的に観察されたピーク(パートi);及び、代表的ピーク(パートii)を図示する。
図5(i)は、化合物I形態Iを描くORTEPを図示し、クロロホルムは示していない。
図5(j)は、結晶学的a軸方向から見た化合物I形態Iのパッキング図を図示する。
図5(k)は、結晶学的b軸方向から見た化合物I形態Iのパッキング図を図示する。
図5(l)は、結晶学的c軸方向から見た化合物I形態Iのパッキング図を図示する。
図5(m)は、化合物I形態Iの位置パラメータ及び概算された標準偏差を表にしている。
図5(n)は、化合物I形態Iの結合距離(Å)を表にしている。
図5(o)は、化合物I形態Iの形態Cの結合角(度)を表にしている。
図5(p)は、化合物I形態IのXRPDを図示する。
図5(q)は、図5(p)のXRPDに存在する観察されたピークを表にしている。
図5(r)は、図5(p)のXRPDに存在する顕著なピークを表にしている。
図5(s)は、化合物I形態Iについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図5(t)は、図5(s)のFT-IRスペクトルに存在するバンドのピーク位置を表にしている。
図5(u)は、化合物I形態IについてのPanalytical社X-Pert Pro MPD PW3040データを図示する。
図5(v)は、化合物I形態Iについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図5(w)は、化合物I形態Iについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図5(x)は、化合物I形態Iについて得られたTGAサーモグラムを図示する。
図5(y)は、化合物I形態Iについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図6(a)は、化合物I形態DのX線回折パターンオーバーレイ及び化合物I形態Jの計算されたX線回折パターンを図示する。
図6(b)は、化合物I形態Jの単結晶構造を描くORTEPを図示する。
図6(c)は、準周囲温度で収集された化合物I形態Jの計算されたXRPDを図示する。
図6(d)は、図6(c)のXRPDに存在する理論的に観察されたピーク(パートi);及び、顕著なピーク(パートii)を図示する。
図6(e)は、結晶学的a軸方向から見た化合物I形態Jのパッキング図を図示する。
図6(f)は、結晶学的b軸方向から見た化合物I形態Jのパッキング図を図示する。
図6(g)は、結晶学的c軸方向から見た化合物I形態Jのパッキング図を図示する。
図6(h)は、化合物I形態Jの位置パラメータ及び概算された標準偏差を表にしている。
図6(i)は、化合物I形態Jの結合距離(Å)を表にしている。
図6(j)は、化合物I形態Jの結合角(度)を表にしている。
図6(k)は、化合物I形態JのXRPDを図示する。
図6(l)は、図6(k)のXRPDに存在する観察されたピークを表にしている。
図6(m)は、図6(k)のXRPDに存在する顕著なピークを表にしている。
図6(n)は、化合物I形態Jについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図6(o)は、図6(n)のFT-IRスペクトルに存在するバンドのピーク位置を表にしている。
図6(p)は、化合物I形態JについてのPanalytical社X-Pert Pro MPD PW3040データを図示する。
図6(q)は、化合物I形態Jについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図6(r)は、化合物I形態Jについて得られたTGAサーモグラムを図示する。
図6(s)は、化合物I形態Jについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図7(a)は、室温で収集された非晶質化合物IのXRPDを図示する。 図7(b)は、非晶質化合物Iについて得られた変調DSCサーモグラムを図示する。
図7(c)は、非晶質化合物Iについて得られたTGAサーモグラムを図示する。
図7(d)は、非晶質化合物Iについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図7(e)は、図7(d)のFT-IRスペクトルに存在するバンドのピーク位置を表にしている。
図7(f)は、非晶質化合物IのFT-ラマンスペクトルを図示する。
図8(a)は、室温で収集された化合物I形態KのXRPDを図示する。
図8(b)は、図8(a)のXRPDに存在する観察されたピーク(パートi);及び、顕著なピーク(パートii)を表にしている。
図8(c)は、化合物I形態KのXRPDを図示する。
図8(d)は、図8(c)のXRPDに存在する観察されたピークを表にしている。
図8(e)は、図8(c)のXRPDに存在する顕著なピークを表にしている。
図8(f)は、化合物I形態Kについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図8(g)は、図8(f)のFT-IRスペクトルに存在するバンドのピーク位置を表にしている。
図8(h)は、化合物I形態KについてのPanalytical社X-Pert Pro MPD PW3040データを図示する。
図8(i)は、化合物I形態Kについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図8(j)は、化合物I形態Kについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図8(k)は、化合物I形態Kについて得られたTGAサーモグラムを図示する。
図8(l)は、化合物I形態Kについてのデータを図示する。
図9(a)は、化合物Iの形態FのXRPDを図示する。
図9(b)は、図9(a)のXRPDに存在する観察されたピークを表にしている。
図9(c)は、図9(a)のXRPDに存在する顕著なピークを表にしている。
図9(d)は、化合物Iの形態FのXRPDを図示する。
図9(e)は、図9(d)のXRPDに存在する観察されたピークを表にしている。
図9(f)は、図9(d)のXRPDに存在する顕著なピークを表にしている。
図9(g)は、化合物I形態Fについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図9(h)は、図9(g)のFT-IRスペクトルに存在するバンドのピーク位置を表にしている。
図9(i)は、化合物I形態FについてのPanalytical社X-Pert Pro MPD PW3040データを図示する。
図9(j)は、化合物I形態Fについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図9(k)は、化合物I形態Fについて得られたTGAサーモグラムを図示する。
図9(l)は、化合物I形態FのFT-IRスペクトルを図示する。
図10(a)は、化合物I形態LのXRPDを図示する。
図10(b)は、図10(a)のXRPDに存在する観察されたピークを表にしている。
図10(c)は、図10(a)のXRPDに存在する顕著なピークを表にしている。
図10(d)は、化合物I形態Lについて得られたFT-IRスペクトルを図示する。
図10(e)は、図10(d)のFT-IRスペクトルに存在するバンドのピーク位置を表にしている。
図10(f)は、化合物I形態LについてのPanalytical社X-Pert Pro MPD PW3040データを図示する。
図10(g)は、化合物I形態Lについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図10(h)は、化合物I形態Lについて得られたTGAサーモグラムを図示する。
図10(i)は、化合物I形態Lのデータを図示する。
図11(a)は、化合物I形態NのXRPDを図示する。
図11(b)は、化合物I形態Nについて得られたDSCサーモグラムを図示する。
図11(c)は、化合物I形態Nについて得られたTGAサーモグラムを図示する。
図12は、化合物Iの固体形態に関する単結晶構造の概要を表にしている。
(定義)
本明細書に使用される用語「治療する」、「治療している」又は「治療」とは、疾患及
び/又はその随伴症状を軽減するか又は無効にする方法をいう。本明細書に使用される用
語「予防する」、「予防している」又は「予防」とは、疾患を獲得することから対象を防
御する方法をいう。
用語「治療的有効量」とは、治療される状態又は障害の1つ以上の症状の発症を予防す
るか又はある程度軽減するのに十分な投与される化合物の量をいう。
用語「対象」は、非限定的に、霊長類(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ
、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含む哺乳動物などの動物を含むと、本明細書にお
いて定義される。好ましい実施態様において、対象はヒトである。
用語「医薬として許容し得る塩」は、比較的無毒の酸により調製された活性化合物の塩
を含むことを意味する。酸付加塩は、そのような化合物の天然型を、十分量の所望の酸と
、希釈せず又は好適な不活性溶媒中のいずれかで、接触することにより得ることができる
。医薬として許容し得る酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素(m
onohydrogencargonic)、リン酸、リン酸一水素(monohydrogenphosphoric)、リン酸二水素
(dihydrogenphosphoric)、硫酸、硫酸一水素(monohydrogensulfuric)、ヨウ化水素酸、又
は亜リン酸などの無機酸に由来するものに加え、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイ
ン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、
ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの
比較的無毒の有機酸に由来する塩を含む。同じくアルギン酸などのアミノ酸の塩、並びに
グルクロン酸又はガラクツロン酸などの有機酸の塩も含む(例えば、Bergeらの文献、J. P
harm. Sci. 66:1-19(1977)を参照されたい)。
化合物の医薬として許容し得る塩形は、その化合物の最終の単離及び精製時に現場で(i
n situ)、又は遊離塩基官能基を好適な有機酸若しくは無機酸と反応することにより別個
に、調製することができる。典型的医薬として許容し得る無毒の酸付加塩の例は、塩酸、
臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸と、又は酢酸、シュウ酸、マレイ
ン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、又はマロン酸などの有機酸と、又は、イオン交換な
どの当該技術分野において使用される別の方法を使用することにより、形成されたアミノ
基の塩である。他の医薬として許容し得る塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコル
ビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸
塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプ
ロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル
酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸
塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン
酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩
、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸
塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロ
ピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、
コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン
酸塩、吉草酸塩などを含むことができる。代表的アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩
は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む。更なる医
薬として許容し得る塩は、適切な場合には、ハロゲン化物イオン、水酸化イオン、カルボ
ン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオン、
及びアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを用いて形成された、無毒のアンモニウム
、第四級アンモニウム、及びアミンの陽イオンを含むことができる。
前記化合物の中和型は、それらの塩を塩基又は酸と接触させ、且つ常法で親化合物を単
離することにより、再生することができる。本化合物の親型は、様々な塩型と、極性溶媒
中の溶解度などのいくつかの物理的特性が異なるが、他方これらの塩は、本発明の目的に
関しては本化合物の親型と同等である。
用語「多形体」及び「多形形態」及び関連用語とは、特定の化合物により採用され得る
多種多様な結晶構造のひとつをいう。一部の実施態様において、多形体は、特定の化合物
が2つ以上の構造配置で結晶化することができる場合に生じる。異なる多形体は、例えば
融解温度、融解熱、溶解度、溶解速度、及び/又は結晶格子における分子の配置若しくは
配座の結果としての振動スペクトルなどの異なる物理的特性を有してもよい。多形体によ
って示される物理的特性における違いは、貯蔵安定性、圧縮率及び密度(製剤及び製品の
製造において重要)、並びに溶解速度(生物学的利用能の決定における重要因子)などの医
薬パラメータに影響を及ぼす。安定性の差異は、化学的反応性における変化(例えば、あ
る多形体から構成される場合において別の多形体から構成される場合よりも剤形がより迅
速に変色するような差次的酸化(differential oxidation))又は機械的変化(例えば、錠剤
は貯蔵時に、動力学的に好ましい多形体が熱力学的により安定な多形体に変換するにつれ
て砕ける。)又はその両方(例えば、ある多形体の錠剤は、高い湿度でより崩壊しやすい。
)から結果として生じ得る。溶解度/溶解の違いの結果として、極端な場合、いくつかの多
形遷移が、結果として効能の欠如、又はその他の結果においては毒性を生じるかもしれな
い。加えて、結晶の物理的特性は、加工する上で重要であるかもしれず、例えば、ある多
形体は、溶媒和物を形成する可能性がより高いことがあり、又は不純物を含まずに濾過し
且つ洗浄するのが困難であり得る(すなわち、粒子の形状及びサイズ分布は、多形体間で
異なり得る。)。
分子の多形体は、当該技術分野において公知のように、数多くの方法により得ることが
できる。そのような方法は、融解再結晶化、融解冷却、溶媒再結晶、脱溶媒和、急速蒸発
、急速冷却、緩徐冷却、蒸気拡散、及び昇華を含むが、これらに限定されるものではない
。多形は、熱分析、例えば示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)を用い決定するこ
とができる。
多形体を特性評価する技術は、示差走査熱量測定(DSC)、X線粉末回折法(XRPD)、単結晶
X線回折測定、例えばIR分光法及びラマン分光法などの振動分光法、溶液熱量測定、固体N
MR、ホットステージ光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡(SEM)、電子線結晶学及び定量分析
、粒径分析(PSA)、表面積分析、溶解度試験及び溶解試験を含むが、これらに限定される
ものではない。
本明細書において使用される用語「溶媒和物」とは、溶媒を含む物質の結晶形態をいう
。用語「水和物」とは、溶媒が水である溶媒和物をいう。
本明細書において使用される用語「脱溶媒された溶媒和物」とは、溶媒和物から溶媒を
除去することによってのみ製造することができる物質の結晶形態をいう。
本明細書において使用される用語「プロドラッグ」とは、生理的条件下で容易に化学変
化を受け当該化合物を提供する、化合物の構造的に改変された形態をいう。加えてプロド
ラッグは、エクスビボ環境において化学的又は生化学的方法により、当該化合物へ変換さ
れ得る。プロドラッグは、場合によっては当該化合物又は親薬物よりも投与が容易である
ことがあるので、プロドラッグは有用であることが多い。例えば、親薬物は経口投与によ
り生体利用可能でないのに対し、プロドラッグは生体利用可能であることがある。またプ
ロドラッグは、親薬物を上回る医薬組成物中での改善された溶解度を有することもある。
プロドラッグの加水分解又は酸化的活性化に頼るものなどの、多種多様なプロドラッグ誘
導体が、当該技術分野において公知である。プロドラッグの非限定的例は、エステル(「
プロドラッグ」)として投与されるが、その後活性実体であるカルボン酸へと代謝的に加
水分解される化合物であろう。
本明細書において使用される用語「約」とは、本明細書において言及される任意の°2
θ値に関連して使用される場合、言及された値±0.1°2θをいう。
本明細書において使用される用語「無水物」とは、実質的に水を含まない化合物の形態
をいう。当業者は、無水固体は、様々な量の残留水を含み得、その水は結晶格子に取り込
まれていないことを理解するであろう。そのような残留水の取り込みは、化合物の吸湿性
及び貯蔵条件によって左右され得る。
本明細書において使用される用語「水和物」とは、化学量論的量又は非化学量論的量の
いずれかの水が結晶格子に取り込まれている特定の化合物により採用される結晶形態をい
う。
本明細書において使用される用語「担体」とは、化合物Iの安定性と調和する任意の化
学物質(例えば、所望の特定の剤形に適した、溶媒、希釈剤、又は他の液体媒体、分散若
しくは懸濁助剤、界面活性剤、等張化剤、増粘剤又は乳化剤、保存剤、固体結合剤、滑沢
剤など、「レミントンの薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第15版、E. W.
Martin編集(Mack Publishing社、イーストン、Pa.、1975年))をいう。いくつかの実施態
様において、用語「担体」とは、医薬として許容し得る担体をいう。本明細書における例
証的担体は水である。
本明細書において使用される用語「により特性評価される」とは、結晶形態が、特定の
データセット(例えば、XRPDピーク、融点、DSC、TGA、DSC-TGA、及び/又は当業者に公知
の他の特性評価法の1つ以上、又はそれらの組合せ)と関連付けられることを意味する。一
部の実施態様において、固体形態は、データのセットが、その形態を関連化合物の他の公
知の形態から識別し、及び/又は他の実体(例えば、当該化合物の他の形態及び/又は当該
化合物ではない成分)を含む組成物中に特定の形態の存在を検出する場合に、そのデータ
のセット「により特性評価される」。本開示は、様々な異なる固体形態から得られた代表
的データを含み;提供されたデータの比較は、当業者が、本明細書に開示された任意の固
体形態を「特性評価する」データセットを決定することを可能にする。
本明細書において使用される用語「電解質補充」とは、対象の血清電解質レベルを上昇
するために、1種以上の電解質を含む組成物を対象へ投与することをいう。本開示の目的
のために、電解質補充が療法の「前、途中、又は後」に投与される場合、これは組合せる
阻害剤療法の開始前(すなわち、任意の投与量の投与前)、又は1回若しくは複数回の任意
の特定の投与量の前、投与量と同時に、若しくは投与量の後に投与されてよい。
本明細書において使用される用語「製剤」とは、患者への投与のために、少なくとも1
種の活性化合物(例えば、少なくとも化合物Iの提供された形態)を、1種以上の賦形剤又は
他の医薬添加剤と組合せて含有する組成物をいう。概して、特定の賦形剤及び/又は医薬
添加剤は、活性化合物の望ましい安定性、放出、分布及び/又は活性を実現するために、
当該技術分野の知識に従い選択される。
本明細書において使用される語句「組合せ」とは、2種以上の物質の対象への投与をい
う。2種以上の物質は、対象が両方(又はそれ以上)の物質に同時に曝露される限りは、「
組合せて」投与されると考えられることは理解されるであろう。2種以上の物質は各々、
異なるスケジュールに従い投与されてよく;異なる物質の個別の投与量は、同時に又は同
じ組成物中で投与される必要はない。むしろ、両方(又はそれ以上)の物質が対象の体内に
残存する限りは、これらは「組合せ」て投与されると考えられる。
本明細書において使用される用語「同形の」又は「同形」とは、幾何学的に類似の構造
単位の本質的に同じ三次元配置を含む化合物の2つ以上の固体形態をいう。一部の実施態
様において、「同形の」形態は、類似の又は同一の単位格子寸法、同じ空間群、及び共通
原子の類似又は同一の原子座標を示す。一部の実施態様において、「同形の」形態は、同
じ構造を有すが、同じ格子寸法も同じ化学組成も有さず、且つ格子寸法及び化学組成の変
動性と同等のそれらの原子座標の変動性を有する。一部の実施態様において、本開示は、
例えば以下に説明された化合物Iの形態から引き出されるものを含む、化合物Iの同形の形
態のセットを説明している。一部の実施態様において、本開示は、例えば形態J及び/又は
形態Dなどの同形の形態のセットを説明している。一部の実施態様において、本開示は、
例えば形態E及び/又は形態Hを含む、同形の形態のセットを説明している。一部の実施態
様において、本開示は、例えば、形態C及び/又はShigematsuらの文献に報告されたメタノ
ール溶媒和物を含む、同形の形態のセットを説明している(The Journal of Antibiotics,
Vol. 47, No. 3,「クロモバクテリウム・ビオラセウムにより生成された新規抗腫瘍性二
環式デプシペプチドFR901228 (FR901228, A Novel Antitumor Bicyclic Depsipeptide Pr
oduced by Chromobacterium violaceum)」、No. 968, pp. 311-314 (1994年3月))。
本明細書において使用される用語「凍結乾燥」とは、固体物質を溶液から分離するプロ
セス及び/又は溶媒除去のプロセスをいう。一部の実施態様において、これは、例えば蒸
発(例えば、一例として回転蒸発器により、真空下で)、フリーズドライ、並びに/又は真
空条件下での溶液の凍結及び凍結した溶媒の除去などを含む、当業者に公知の様々な技術
により実現することができる。
本明細書において使用される用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、滑液
嚢内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内及び頭蓋内への注射又は注入の技術を含む。
本明細書において使用される用語「実質的に全て」は典型的には、化合物のX線粉末回
折(「XRPD」)ピークを説明するために使用される場合、その化合物のXRPDが参照と比べて
ピークの少なくとも約80%を含むことを意味する。例えば、XRPDが参照リストのピークの
「実質的に全て」か、又は参照XRPDのピークの全てを含むと称される場合、これは、その
XRPDが、特定された参照のピークの少なくとも80%を含むことを意味する。他の実施態様
において、語句「実質的に全て」は、その化合物のXRPDが、参照と比較した場合に、ピー
クの少なくとも約85、90、95、97、98、又は99%を含むことを意味する。
本明細書において使用される用語「実質的に含まない」とは、有意でない量を超えない
量を含むことを意味する。一部の実施態様において、組成物又は調製品が列挙された要素
を5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、又は1重量%未満含む場合、組成物又は調製品
はその要素を「実質的に含まない」。一部の実施態様において、組成物又は調製品は、列
挙された要素を0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%未満
又はそれよりも少なく含む。一部の実施態様において、組成物又は調製品は、列挙された
要素を検出不能な量含む。
本明細書において使用される用語「実質的に類似した」とは、互いに類似性を共有する
か、及び/又は1つ以上の参照データのセットからそれらを識別するようなデータのセット
(例えば、スペクトル/サーモグラム)をいう。いくつかの実施態様において、データのセ
ットの互いの類似性及び1つ以上の参照データのセットからの差異が、そのふたつの比較
されたデータのセットは化合物の同じ形態から引き出されたのに対し、参照データのセッ
トは化合物の異なる形態から引き出されたと結論づけるのに十分である場合に、これらの
データのセットは互いに「実質的に類似している」と考えられる。一部の実施態様におい
て、ふたつの「実質的に類似した」データのセットは同一である(すなわち、実験誤差内
で同一である)。一部の実施態様において、化合物の特定の形態に特徴的な1つ以上のデー
タポイントのデータのセットには存在するが、異なる形態で特徴的であるデータポイント
(例えば、参照データのセットにおいて通常存在するデータポイント)の一部又は全てには
存在しないことは、データのセットを互いに実質的に類似しているものとして定義する。
本明細書において使用される表現「単位投与量」とは、治療される対象に適した製剤の
物理的に個別の単位(例えば、単回投与量)をいい;各単位は、所望の治療作用を生じるた
めに選択された活性物質の予め決定された量を(所望の又は最適な作用を達成するために
、反復投与量が必要とされることがあることは理解される)、任意に予め決定された量で
提供され得る医薬として許容し得る担体と一緒に含有する。単位投与量は、例えば、1種
以上の治療的物質の予め決定された量を含有するある量の液体(例えば許容し得る担体)、
固形の1種以上の治療的物質の予め決定された量、1種以上の治療的物質の予め決定された
量を含有する持続放出製剤又は薬物送達器具などであってよい。単位投与量は、治療的物
質に加え、様々な成分を含有してよいことは、理解されるであろう。例えば、許容し得る
担体(例えば、医薬として許容し得る担体)、希釈剤、安定剤、緩衝液、保存剤などを、以
下に説明されたように含んでよい。しかし、本開示の製剤の総一日使用量は、妥当な医学
的判断の範囲内で担当医により決定されることは理解されるであろう。任意の特定の対象
又は生体に関する具体的な有効量のレベルは、治療される障害及びその障害の重症度;利
用される具体的化合物の活性;利用される具体的組成物;対象の年齢、体重、全身の健康
状態、性別及び食事;利用される具体的活性化合物の投与の時刻、及び排泄率;治療期間
;利用される具体的化合物と組合せて又は同時に使用される薬物及び/又は追加の療法、
並びに医学分野において周知の類似の要因を含む、様々な要因によって左右される。
(詳細な説明)
化合物Iは、様々な固体形態で存在することができることはわかっている。そのような
固体形態は、純粋な(neat)結晶形態を含む。そのような固体形態は、溶媒和形態及び非晶
質形態も含む。本開示は、化合物Iのいくつかのそのような固体形態を提供する。いくつ
かの実施態様において、本開示は、本明細書に記載の形態で化合物Iを含有する組成物を
提供する。提供される組成物の一部の実施態様においては、化合物Iは、1種以上の固体形
態の混合物として存在し;提供される組成物の一部の実施態様においては、化合物Iは単
独の形態のみで存在する。
本開示のいくつかの実施態様において、化合物Iは、結晶質固体として提供される。い
くつかの実施態様において、化合物Iは、非晶質化合物Iを実質的に含まない結晶質固体と
して提供される。いくつかの実施態様において、化合物Iは、非晶質形態として提供され
る。いくつかの実施態様において、化合物Iは、溶媒和形態として提供される。
一部の実施態様において、特定の組成物中に存在する化合物Iは全て、特定の形態で存
在し;そのような実施態様の一部において、組成物は化合物Iのいずれか他の形態を実質
的に含まない。一部の実施態様において、組成物は、異なる形態の組合せで存在する化合
物Iを含有する。
一部の実施態様において、本開示は、本明細書に記載の1つ以上の固体形態を含む化合
物Iの凍結乾燥品を提供する。一部の実施態様において、凍結乾燥品は非晶質化合物Iを含
有する。一部の実施態様において、凍結乾燥品は、1つ以上の結晶形態を含む。一部の実
施態様において、凍結乾燥品は、1つ以上の結晶形態を実質的に含まない。一部の実施態
様において、凍結乾燥品は、いかなる結晶形態も実質的に含まない。
一部の実施態様において、本開示は、本明細書に記載の1つ以上の固体形態を、1つ以上
の他の成分と組合せて提供する。一部のそのような実施態様において、他の成分は、例え
ば、緩衝液、担体、結晶化阻害剤、希釈剤、賦形剤、pH調節剤、溶媒、又はその他の患者
への投与のための医薬添加剤からなる群から選択される。
いくつかの実施態様において、化合物Iが非晶質形態である(例えばいくつかの凍結乾燥
品中)場合、そのような組成物は1種以上の結晶化阻害剤を含有する。
特定の化合物の個々の結晶形態を特性評価するため、及び/又は当業者に公知の複雑な
複合技術で特定の形態の存在を検出するために、いくつか名前を挙げると、X線回折パタ
ーン、示差走査熱量式サーモグラム、熱重量分析式サーモグラム、融点情報、偏光顕微鏡
、ホットステージ顕微鏡、顕微鏡写真、動的蒸気吸着/脱着情報、含水量、IRスペクトル
、NMRスペクトル、及び吸湿性プロファイルなどが使用される。当業者は更に、例えばX線
回折パターンにおける全てのピークの正確なアイデンティティは、結晶形態の合致を明ら
かにするためには必要でないことを理解するであろう。むしろ特定の特徴的ピークの存在
若しくは非存在、並びに/又はピークのパターン及び強度が、典型的には両方共必要であ
り、且つ特定の形態を特性評価し及び/又は同定するためには十分である。
(固体形態)
本開示は、化合物Iの固体形態を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、
結晶形態の化合物Iを提供する。一部の実施態様において、結晶形態は溶媒を実質的に含
まない。一部の実施態様において、結晶形態は溶媒和物である。一部の実施態様において
、本開示は、非晶質形態の化合物Iを提供する。ロミデプシン固体形態のまとめの表(表1)
を、以下に提供する。
一実施態様において、本明細書に提供される化合物Iの固体形態は、改善された特性を
有する。これらの特性は、生物学的利用能、吸湿性、安定性(非限定的に、光安定性及び
熱安定性を含む)、溶解度、圧縮性、流動性、静電特性、嵩密度、及び溶解速度を含むが
、これらに限定されるものではない。
表1. ロミデプシン固体形態
Figure 0006490632
(結晶形態A及び結晶形態B)
化合物Iは、形態A及び形態Bとして公知の異なる結晶形態で存在することが分かってい
る。これらの形態は、2001年8月22日に出願されたPCT公報WO02/020817に開示されており
、これは引用により本明細書中に組み込まれている。
(結晶形態C)
一部の実施態様において、本開示は、化合物Iの形態C、及び形態Cを含有する組成物を
提供する。一部の実施態様において、化合物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化
合物Iを結晶形態で含有し、この結晶形態は形態Cを含む。
一実施態様において、化合物I形態Cは、アセトン/水混合液から得られる。
一実施態様において、化合物I形態Cは、光学顕微鏡、X線粉末回折法、示差走査熱量測
定、変調示差走査熱量測定、熱重量分析、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びラマン分
光法の1つ以上により分析される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Cは、そのXRPDパターンからの1以上、2以
上、3以上、4以上、5以上、又は6以上のピークの存在により特徴付けられ、そのピークは
、以下に説明するように、単独で又は他の特性評価データと一緒に採用される場合、形態
Cを他の形態から識別する。一実施態様において、化合物I形態Cは、図1(c)のものに実質
的に類似したピークを有するX線回折を示す。例えば、形態Cは、約11.45 2θでのXRPDの
ピークにより特徴付けられる。他の特徴的ピークは、8.28、12.19、及び21.13 2θを含む
本明細書に記載のように、化合物Iの結晶形態Cは、例えば、以下に図1(c)から1(q)に提
供された(及び実施例2で考察された)例証的データの一部又は全てにより特徴付けられる
。一実施態様において、化合物I形態Cについて得られたDSCサーモグラムは、〜97℃及び
〜140℃(最小)で広幅の吸熱事象を示し;〜257℃(最小)で吸熱;及び、およそ177℃(最大
)で小さい発熱事象を示す。一実施態様において、化合物I形態Cについて得られたTGAサー
モグラムは、〜5.3%の重量損失を示す。
一部の実施態様において、形態Cは、Shigematsuらの文献に報告されたメタノール溶媒
和物と同形である(The Journal of Antibiotics, Vol. 47, No. 3,「クロモバクテリウム
・ビオラセウムにより生成された新規抗腫瘍性二環式デプシペプチドFR901228 (FR901228
, A Novel Antitumor Bicyclic Depsipeptide Produced by Chromobacterium violaceum)
」、No. 968, pp. 311-314 (1994年3月))。
(結晶形態D)
一部の実施態様において、本開示は、アセトンから得られた結晶形態を提供する。一部
の実施態様において、アセトンは冷たい。一部の実施態様において、アセトンは、温度-1
5℃以下(例えば-25℃、-35℃、-50℃、-70℃又はそれ以下)を有する。一部の実施態様に
おいて、そのような結晶形態は溶媒和物である。一部の実施態様において、アセトン溶媒
和物は、化合物Iの形態Dと称される。一部の実施態様において、形態Dは、以下に説明す
る形態Jと同形であってよい。
一実施態様において、化合物I形態Dは、光学顕微鏡法、X線粉末回折法、示差走査熱量
測定、変調示差走査熱量測定、熱重量分析、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びラマン
分光法の1つ以上により分析される。
一部の実施態様において、本開示は、化合物Iの形態D、及び形態Dを含有する組成物を
提供する。一部の実施態様において、化合物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化
合物Iを結晶形態で含有し、この結晶形態は形態Dを含む。一部の実施態様において、化合
物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化合物Iを結晶の溶媒和形態で含有し、この結
晶形態は形態Dを含む。いくつかの実施態様において、溶媒和形態は、アセトン溶媒和物
である。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Dは、そのXRPDパターンからの1以上、2以
上、3以上、4以上、5以上、又は6以上のピークの存在により特徴付けられ、そのピークは
、以下に説明するように、単独で又は他の特性評価データと一緒に採用される場合、形態
Dを他の形態から識別する。一実施態様において、化合物I形態Dは、図2(a)のものに実質
的に類似したピークを有するX線回折を示す。例えば、形態Dは、約7.54 2θでのXRPDのピ
ークにより特徴付けられる。他の特徴的ピークは、11.86及び16.66 2θを含む。
本明細書に記載のように、化合物I形態Dは、以下に図2(a)から2(f)に提供された(及び
実施例3で考察された)例証的データの一部又は全てにより特徴付けられる。一実施態様に
おいて、化合物I形態Dについて得られたDSCサーモグラムは、〜91℃(最小)で小さい吸熱
事象を;及び、〜261℃(最小)で吸熱を;その後、見かけの分解を示す。一実施態様にお
いて、化合物I形態Dについて得られたTGAサーモグラムは、〜10.9%の重量損失を示す。
(結晶形態E)
一部の実施態様において、本開示は、t-ブタノールから得られた結晶形態を提供する。
一部の実施態様において、本開示は、t-ブタノールと水の混合液から得られた結晶形態を
提供する。一部の実施態様において、そのような結晶形態は溶媒和物である。一部の実施
態様において、t-ブタノール溶媒和物は、化合物Iの形態Eと称される。一部の実施態様に
おいて、形態Eは、以下に説明する形態Hと同形であってよい。
一部の実施態様において、本開示は、化合物Iの形態E、及び形態Eを含有する組成物を
提供する。一部の実施態様において、化合物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化
合物Iを結晶形態で含有し、この結晶形態は形態Eを含む。一部の実施態様において、化合
物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化合物Iを結晶の溶媒和形態で含有し、この結
晶形態は形態Eを含む。いくつかの実施態様において、溶媒和形態は、t-ブタノール溶媒
和物である。
一実施態様において、化合物I形態Eは、光学顕微鏡法、X線粉末回折法、示差走査熱量
測定、変調示差走査熱量測定、熱重量分析、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びラマン
分光法の1つ以上により分析される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Eは、そのXRPDパターンから1以上、2以上
、3以上、4以上、5以上、又は6以上のピークの存在により特徴付けられ、そのピークは、
以下に説明するように、単独で又は他の特性評価データと一緒に採用される場合、形態E
を他の形態から識別する。一実施態様において、化合物I形態Eは、図3(a)のものに実質的
に類似したピークを有するX線回折を示す。例えば、形態Eは、約10.3 2θでのXRPDのピー
クにより特徴付けられる。他の特徴的ピークは、9.0、11.7、及び20.04 2θを含む。
本明細書に記載のように、化合物I形態Eは、以下に図3(a)から3(p)に提供された(及び
実施例4で考察された)例証的データの一部又は全てにより特徴付けられる。一実施態様に
おいて、化合物I形態Eについて得られたDSCサーモグラムは、〜158℃(最小)で吸熱事象を
;〜255℃(最小)で吸熱を;その後、見かけの分解を示す。一実施態様において、化合物I
形態Eについて得られたTGAサーモグラムは、〜10.9%の重量損失を示す。
(結晶形態F)
一部の実施態様において、本開示は、クロロホルムから得られた結晶形態を提供する。
一部の実施態様において、本開示は、化合物Iの形態F、及び形態Fを含有する組成物を
提供する。一部の実施態様において、化合物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化
合物Iを結晶形態で含有し、この結晶形態は形態Fを含む。一部の実施態様において、その
ような結晶形態は溶媒和物である。
一部の実施態様において、化合物I形態Fは、光学顕微鏡法、X線粉末回折法、示差走査
熱量測定、変調示差走査熱量測定、熱重量分析、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びラ
マン分光法の1つ以上により分析される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Fは、そのXRPDパターンから1以上、2以上
、3以上、4以上、5以上、又は6以上のピークの存在により特徴付けられ、そのピークは、
以下に説明するように、単独で又は他の特性評価データと一緒に採用される場合、形態F
を他の形態から識別する。一実施態様において、化合物I形態Fは、図9(a)又は9(d)のもの
に実質的に類似したピークを有するX線回折を示す。例えば、形態Fは、約20.28 2θでのX
RPDのピークにより特徴付けられる。他の特徴的ピークは、10.17、17.8、19.34、20.04、
及び22.63 2θを含む。
本明細書に記載のように、化合物I形態Fは、例えば、以下に図9(a)から9(l)に提供され
た例証的データの一部又は全てにより特徴付けられる。一実施態様において、化合物I形
態Fについて得られたDSCサーモグラムは、〜97℃(最小)で広幅の吸熱事象を;及び、〜25
6℃(最小)で吸熱を示す。一実施態様において、化合物I形態Fについて得られたTGAサーモ
グラムは、〜17%の重量損失を示す。一実施態様において、下記の条件下で得られた化合
物I形態FについてのPanalytical社X-Pert Pro MPD PW3040データが提供される:X線管:C
u(1.54059Å)、電圧:45kV;アンペア数40mA;走査範囲:1.00〜39.98°2θ;ステップサ
イズ:0.017°2θ;収集時間:721秒;走査速度:3.2°/分;スリット:発散スリット(DS
):1/2°;散乱スリット(SS):ゼロ;回転時間:1.0秒、モード:透過。一実施態様にお
いて、下記の条件下で得られた化合物Iの形態Fについてのデータが提供される:検出器:
DTGS KBr;走査回数:512;分解能:2cm-1
(結晶形態H)
一部の実施態様において、本開示は、クロロホルムから得られた結晶形態を提供する。
一部の実施態様において、そのような結晶形態は溶媒和物である。一部の実施態様におい
て、クロロホルム溶媒和物は、化合物Iの形態Hと称される。一部の実施態様において、形
態Hは、以下に説明する形態Eと同形であってよい。
一部の実施態様において、本開示は、化合物Iの形態H、及び形態Hを含有する組成物を
提供する。一部の実施態様において、化合物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化
合物Iを結晶形態で含有し、この結晶形態は形態Hを含む。一部の実施態様において、化合
物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化合物Iを結晶の溶媒和形態で含有し、この結
晶形態は形態Hを含む。いくつかの実施態様において、溶媒和形態は、クロロホルム溶媒
和物である。
一部の実施態様において、化合物I形態Hは、光学顕微鏡法、X線粉末回折法、示差走査
熱量測定、変調示差走査熱量測定、熱重量分析、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びラ
マン分光法の1つ以上により分析される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Hは、そのXRPDパターンから1以上、2以上
、3以上、4以上、5以上、又は6以上のピークの存在により特徴付けられ、そのピークは、
以下に説明するように、単独で又は他の特性評価データと一緒に採用される場合、形態H
を他の形態から識別する。一実施態様において、化合物I形態Hは、図4(a)のものに実質的
に類似したピークを有するX線回折を示す。例えば、形態Hは、約10.67 2θでのXRPDのピ
ークにより特徴付けられる。他の特徴的ピークは、8.94、9.69、10.51、13.13、及び19.4
3 2θを含む。
本明細書に記載のように、化合物I形態Hは、以下に図4(a)から4(f)に提供された(及び
実施例6で考察された)例証的データの一部又は全てにより特徴付けられる。一実施態様に
おいて、化合物I形態Hについて得られたDSCサーモグラムは、〜96℃(最小)で吸熱事象を
;及び、〜257℃(最小)で吸熱を示す。一実施態様において、化合物I形態Hについて得ら
れたTGAサーモグラムは、〜10.1%の重量損失を示す。
(結晶形態I)
一部の実施態様において、本開示は、クロロホルムから得られた結晶形態を提供する。
一部の実施態様において、そのような結晶形態は溶媒和物である。一部の実施態様におい
て、クロロホルム溶媒和物は、化合物Iの形態Iと称される。
一部の実施態様において、本開示は、化合物Iの形態I、及び形態Iを含有する組成物を
提供する。一部の実施態様において、化合物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化
合物Iを結晶形態で含有し、この結晶形態は形態Iを含む。一部の実施態様において、化合
物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化合物Iを結晶の溶媒和形態で含有し、この結
晶形態は形態Iを含む。一部の実施態様において、溶媒和形態は、クロロホルム溶媒和物
である。
一部の実施態様において、化合物I形態Iは、光学顕微鏡法、X線粉末回折法、示差走査
熱量測定、変調示差走査熱量測定、熱重量分析、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びラ
マン分光法の1つ以上により分析される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Iは、そのXRPDパターンから1以上、2以上
、3以上、4以上、5以上、又は6以上のピークの存在により特徴付けられ、そのピークは、
以下に説明するように、単独で又は他の特性評価データと一緒に採用される場合、形態I
を他の形態から識別する。一実施態様において、化合物Iの形態Iは、図5(a)又は5(p)のも
のに実質的に類似したピークを有するX線回折を示す。例えば、形態Iは、約20.96 2θで
のXRPDのピークにより特徴付けられる。他の特徴的ピークは、10.63、17.97、18.74、19.
12、及び23.18 2θを含む。
本明細書に記載のように、化合物Iの結晶形態Iは、以下に図5(a)から5(y)に提供された
(及び実施例7で考察された)例証的データの一部又は全てにより特性評価される。一実施
態様において、化合物I形態Iについて得られたDSCサーモグラムは、〜74℃(最小)で広幅
の吸熱事象を;〜100℃(最小)で吸熱を;及び、〜256.4℃(最小)で吸熱を示す(10℃/分、
C)。別の実施態様において、化合物I形態Iについて得られたDSCサーモグラムは、〜88℃(
最小)で広幅の吸熱事象を;〜113℃(最小)で吸熱事象を;及び、〜256℃(最小)で吸熱(10
℃/分、C)を示す。一実施態様において、化合物I形態Iについて得られたTGAサーモグラム
は、〜33%の重量損失を示す。別の実施態様において、化合物I形態Iについて得られたTG
Aサーモグラムは、〜27%の重量損失を示す。一実施態様において、下記の条件下で得ら
れた化合物Iの形態IについてのPanalytical社X-Pert Pro MPD PW3040データが提供される
:X線管:Cu(1.54059Å)、電圧:45kV;アンペア数40mA;走査範囲:1.00〜39.99°2θ;
ステップサイズ:0.017°2θ;収集時間:718秒;走査速度:3.3°/分;スリット:DS:1
/2°;SS:ゼロ;回転時間:1.0秒、モード:透過。一実施態様において、下記の条件下
で得られた化合物I形態Iについてのデータが提供される:検出器:DTGS KBr;走査回数:
512;分解能:2cm-1
(結晶形態J)
一部の実施態様において、本開示は、メチルエチルケトンから得られた結晶形態を提供
する。一部の実施態様において、そのような結晶形態は溶媒和物である。一部の実施態様
において、メチルエチルケトン溶媒和物は、化合物Iの形態Jと称される。一部の実施態様
において、形態Jは、以下に説明する形態Dと同形であってよい。
一部の実施態様において、本開示は、化合物Iの形態J、及び化合物Iの形態Jを含有する
組成物を提供する。一部の実施態様において、化合物Iを含有する組成物は、少なくとも
一部の化合物Iを結晶形態で含有し、この結晶形態は形態Jを含む。一部の実施態様におい
て、化合物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化合物Iを結晶の溶媒和形態で含有し
、この結晶形態は形態Jを含む。いくつかの実施態様において、溶媒和形態は、メチルエ
チルケトン溶媒和物である。
一部の実施態様において、化合物I形態Jは、光学顕微鏡法、X線粉末回折法、示差走査
熱量測定、変調示差走査熱量測定、熱重量分析、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びラ
マン分光法の1つ以上により分析される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Jは、そのXRPDパターンから1以上、2以上
、3以上、4以上、5以上、又は6以上のピークの存在により特徴付けられ、そのピークは、
以下に説明するように、単独で又は他の特性評価データと一緒に採用される場合、形態J
を他の形態から識別する。一実施態様において、化合物I形態Jは、図6(k)のものに実質的
に類似したピークを有するX線回折を示す。例えば、形態Jは、約15.24 2θでのXRPDのピ
ークにより特徴付けられる。他の特徴的ピークは、7.44、11.80、及び16.60 2θを含む。
本明細書に記載のように、化合物Iの結晶形態Jは、以下に図6(a)から6(u)に提供された
(及び実施例8で考察された)例証的データの一部又は全てにより特徴付けられる。一実施
態様において、化合物I形態Jについて得られたDSCサーモグラムは、〜130℃(最小)で広幅
の吸熱事象を;及び、〜260℃(最小)で吸熱を示す。一実施態様において、化合物I形態J
について得られたTGAサーモグラムは、〜12%の重量損失を示す。一実施態様において、
下記の条件下で得られた化合物I形態JについてのPanalytical社X-Pert Pro MPD PW3040デ
ータが提供される:X線管:Cu(1.54059Å)、電圧:45kV;アンペア数40mA;走査範囲:1.
00〜39.99°2θ;ステップサイズ:0.017°2θ;収集時間:718秒;走査速度:3.3°/分
;スリット:DS:1/2°;SS:ゼロ;回転時間:1.0秒、モード:透過。一実施態様におい
て、下記の条件下で得られた化合物I形態Iについてのデータが提供される:検出器:DTGS
KBr;走査回数:512;分解能:2cm-1
(結晶形態K)
一部の実施態様において、本開示は、化合物I形態K、及び形態Kを含有する組成物を提
供する。一部の実施態様において、化合物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化合
物Iを結晶形態で含有し、この結晶形態は形態Kを含む。一部の実施態様において、化合物
Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化合物Iを結晶の溶媒和形態で含有し、この結晶
形態は形態Kを含む。一実施態様において、化合物I形態Kは、ニトロメタンから得られる
。一実施態様において、化合物I形態Kはニトロメタン溶媒和物である。
一部の実施態様において、化合物I形態Kは、光学顕微鏡法、X線粉末回折法、示差走査
熱量測定、変調示差走査熱量測定、熱重量分析、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びラ
マン分光法の1つ以上により分析される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Kは、そのXRPDパターンから1以上、2以上
、3以上、4以上、5以上、又は6以上のピークの存在により特徴付けられ、そのピークは、
以下に説明するように、単独で又は他の特性評価データと一緒に採用される場合、形態K
を他の形態から識別する。一実施態様において、化合物I形態Kは、図8(c)のものに実質的
に類似したピークを有するX線回折を示す。例えば、形態Kは、約7.89 2θでのXRPDのピー
クにより特徴付けられる。他の特徴的ピークは、11.25、16.81、19.40、及び20.96 2θを
含む。
本明細書に記載のように、化合物I形態Kは、以下に図8(a)から8(l)に提供された(及び
実施例10で考察された)例証的データの一部又は全てにより特徴付けられる。一実施態様
において、化合物I形態Kについて得られたDSCサーモグラムは、〜62℃(最小)で広幅の吸
熱事象を;〜155℃(最小)で別の広幅の吸熱事象を;及び、〜257℃(最小)で吸熱を示す。
別の実施態様において、化合物I形態Kについて得られたDSCサーモグラムは、〜69℃及び8
1℃で広幅の吸熱事象を;〜146℃(最小)で別の広幅の吸熱事象を;及び、〜257℃(最小)
で吸熱を示す。一実施態様において、化合物I形態Kについて得られたTGAサーモグラムは
、〜9.5%の重量損失を示す。一実施態様において、下記の条件下で得られた化合物I形態
KについてのPanalytical社X-Pert Pro MPD PW3040データが提供される:X線管:Cu(1.540
59Å)、電圧:45kV;アンペア数40mA;走査範囲:1.00〜39.99°2θ;ステップサイズ:0
.017°2θ;収集時間:717秒;走査速度:3.3°/分;スリット:DS:1/2°;SS:ゼロ;
回転時間:1.0秒、モード:透過。一実施態様において、下記の条件下で得られた化合物I
形態Kについてのデータが提供される:検出器:DTGS KBr;走査回数:512;分解能:2cm-
1
(結晶形態L)
一部の実施態様において、本開示は、アセトンから得られ、且つメタノールで拡散され
た結晶形態を提供する。
一部の実施態様において、本開示は、化合物I形態L、及び形態Lを含有する組成物を提
供する。一部の実施態様において、化合物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化合
物Iを結晶形態で含有し、この結晶形態は形態Lを含む。一実施態様において、化合物I形
態Lはメタノール溶媒和物である。
一部の実施態様において、化合物I形態Lは、光学顕微鏡法、X線粉末回折法、示差走査
熱量測定、変調示差走査熱量測定、熱重量分析、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びラ
マン分光法の1つ以上により分析される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Lは、そのXRPDパターンから1以上、2以上
、3以上、4以上、5以上、又は6以上のピークの存在により特徴付けられ、そのピークは、
以下に説明するように、単独で又は他の特性評価データと一緒に採用される場合、形態L
を他の形態から識別する。一実施態様において、化合物I形態Lは、図10(a)のものに実質
的に類似したピークを有するX線回折を示す。例えば、形態Lは、約21.46 2θでのXRPDの
ピークにより特徴付けられる。他の特徴的ピークは、8.26、10.05、11.59、及び12.31 2
θを含む。
本明細書に記載のように、化合物I形態Lは、以下に図10(a)から10(i)に提供された例証
的データの一部又は全てにより特徴付けられる。一実施態様において、化合物I形態Lにつ
いて得られたDSCサーモグラムは、〜168℃(最小)で吸熱事象を;及び、〜259℃(最小)で
吸熱を示す。一実施態様において、化合物I形態Lについて得られたTGAサーモグラムは、
〜6%の重量損失を示す。一実施態様において、下記の条件下で得られた化合物I形態Lに
ついてのPanalytical社X-Pert Pro MPD PW3040データが提供される:X線管:Cu(1.54059
Å)、電圧:45kV;アンペア数40mA;走査範囲:1.00〜39.99°2θ;ステップサイズ:0.0
17°2θ;収集時間:716秒;走査速度:3.2°/分;スリット:DS:1/2°;SS:ゼロ;回
転時間:1.0秒、モード:透過。一実施態様において、下記の条件下で得られた化合物Iの
形態Lについてのデータが提供される:検出器:DTGS KBr;走査回数:512;分解能:2cm-
1
(結晶形態N)
一部の実施態様において、本開示は、ニトロメタンから得られる結晶形態を提供する。
一部の実施態様において、本開示は、化合物Iの形態N、及び形態Nを含有する組成物を
提供する。一部の実施態様において、化合物Iを含有する組成物は、少なくとも一部の化
合物Iを結晶形態で含有し、この結晶形態は形態Nを含む。一実施態様において、化合物I
の形態Nはニトロメタン溶媒和物である。
一部の実施態様において、化合物I形態Nは、光学顕微鏡法、X線粉末回折法、示差走査
熱量測定、変調示差走査熱量測定、熱重量分析、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びラ
マン分光法の1つ以上により分析される。
一部の実施態様において、化合物Iの結晶形態Nは、そのXRPDパターンから1以上、2以上
、3以上、4以上、5以上、又は6以上のピークの存在により特徴付けられ、そのピークは、
以下に説明するように、単独で又は他の特性評価データと一緒に採用される場合、形態N
を他の形態から識別する。一実施態様において、化合物I形態Nは、図11(a)のものに実質
的に類似したピークを有するX線回折を示す。例えば、形態Nは、約8.92 2θでのXRPDのピ
ークにより特徴付けられる。他の特徴的ピークは、7.07、9.76、10.75、11.22、15.46、2
0.37、及び21.31 2θを含む。
本明細書に記載のように、化合物I形態Nは、以下に図11(a)から11(d)に提供された例証
的データの一部又は全てにより特徴付けられる。一実施態様において、化合物I形態Nにつ
いて得られたDSCサーモグラムは、〜150℃(最小)で吸熱を示す。一実施態様において、化
合物I形態Nについて得られたTGAサーモグラムは、〜5%の重量損失を示す。一実施態様に
おいて、下記の条件下で得られた化合物I形態NについてのPanalytical社X-Pert Pro MPD
PW3040データが提供される:X線管:Cu(1.54059Å)、電圧:45kV;アンペア数40mA;走査
範囲:1.00〜39.99°2θ;ステップサイズ:0.017°2θ;収集時間:717秒;走査速度:3
.3°/分;スリット:DS:1/2°;SS:ゼロ;回転時間:1.0秒、モード:透過。
(非晶質形態)
一部の実施態様において、本開示は、非晶質化合物I、及び非晶質化合物Iを含有する組
成物を提供する。一部の実施態様において、本開示は、化合物Iの実質的に全てが非晶質
形態である化合物Iを含有する組成物(すなわち、該組成物は結晶性化合物Iを実質的に含
まない)を提供する。一部の実施態様において、本開示は、化合物Iの少なくとも一部は、
非晶質以外の形態である化合物I(例えば、例として形態A、形態B、形態C、形態D、形態E
、形態F、形態H、形態I、形態J、形態K、形態L、形態Nなどの結晶形態、及びそれらの組
合せである)を含有する組成物を提供する。
一部の実施態様において、非晶質化合物Iは、XRPDパターンにおいてバックグラウンド
を上回る規定されたピークの非存在により特徴付けられる。一部の実施態様において、非
晶質化合物Iは、化合物Iの形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、形態F、形態H、形態I、
形態J、形態K、形態L、形態N、及びそれらの組合せで存在し得る特徴的ピークの非存在に
より特徴付けられる。一部の実施態様において、非晶質化合物Iは、図7(a)に実質的に類
似した粉末X線回折パターンを有することにより特徴付けられる。一部の実施態様におい
て、非晶質化合物Iは、水/ジクロロメタン混合液、又はイソプロパノール-トリフルオロ
エタノール/メタノール混合液から得られる。
本明細書に記載のように、非晶質化合物Iは、以下に図7(a)から7(f)に提供された例証
的データにより特徴付けられる(実施例9参照)。一実施態様において、非晶質化合物Iにつ
いて得られたDSCサーモグラムは、〜91℃のガラス転移温度を示す。一実施態様において
、非晶質化合物Iについて得られたTGAサーモグラムは、〜3.5%の重量損失を示す。
(化合物Iの提供された形態を含む組成物)
本開示は、本明細書に記載の化合物Iの固体形態を含有する及び/又はそれから調製され
た組成物を提供する。化合物Iの本明細書に提供された任意の形態を、組成物へ混入する
ことができる。一部の実施態様において、本開示は、本明細書に記載の化合物Iの固体形
態を含有する及び/又はそれから調製された医薬組成物を提供する。一部の実施態様にお
いて、医薬組成物は、治療的有効量の化合物I及び少なくとも1種の医薬として許容し得る
担体又は賦形剤を含有する。
一部の実施態様において、化合物Iを含有する組成物は、凍結乾燥品として提供される
。一部の実施態様において、本開示は、本明細書に記載の1種以上の固体形態を含む化合
物Iの凍結乾燥品を提供する。一部の実施態様において、凍結乾燥品は、非晶質化合物Iを
含む。一部の実施態様において、凍結乾燥品は、1種以上の結晶形態を含む。一部の実施
態様において、凍結乾燥品は、1種以上の結晶形態を実質的に含まない。一部の実施態様
において、凍結乾燥品は、いずれの結晶形態も実質的に含まない。
一部の実施態様において、本開示は、組成物が1種以上の追加成分を更に含有する、本
明細書に記載の化合物Iの固体形態を含有する又はそれから調製された組成物を提供する
一部の実施態様において、提供される組成物は、化合物Iに加え、担体(例えば医薬とし
て許容し得る担体)などの少なくとも1種の他の成分を含有する。但し任意の常用の担体媒
体が本明細書に記載の化合物又は形態と相溶性がある限りは、何らかの望ましくない生物
学的作用の発生によるか、又はそうでなければ組成物の任意の他の成分及び/若しくはそ
れらの使用との有害な様式での相互作用によるなどは、本開示の範囲内であることが企図
されている。
一部の実施態様において、許容し得る担体(例えば医薬として許容し得る担体)として働
くことができる物質は、乳糖、グルコース、及びショ糖などの糖類;トウモロコシデンプ
ン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロース、並びにカルボキシメチルセルロ
ースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのその誘導体;トラガカン
ト末;麦芽;ゼラチン;タルク;クレモフォール;ソルトール(Solutol);カカオバター
及び坐薬用ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油;ひまわり油;ゴマ油;オリー
ブ油;トウモロコシ油及びダイズ油などの油類;プロピレングリコールなどのグリコール
;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウム及
び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;
リンゲル液;エチルアルコール、及びリン酸緩衝液;更には、ラウリル硫酸ナトリウム及
びステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒の相溶性のある滑沢剤を含むが、これらに限
定されるものではなく;更には、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味剤及び
香料、保存剤及び抗酸化剤も、処方担当者の判断に従い、本組成物中に存在することがで
きる。
本明細書に記載の化合物Iを含有する組成物は、経口、非経口、吸入スプレーによる、
局所的、経直腸、経鼻、口腔内、経膣、又は埋め込み式の貯蔵庫により製剤することがで
きる。一部の実施態様において、組成物は、経口又は非経口的に投与される。
一部の実施態様において、組成物は非経口投与される。一部の実施態様において、組成
物は腹腔内又は静脈内に投与される。
当該技術分野において公知のように、注射製剤は、溶液、又は例えば水性若しくは油性
懸濁液などの懸濁液として提供されることが多い。そのような溶液又は懸濁液は、例えば
好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用し、当該技術分野において公知の技術に従い
製剤することができる。注射製剤は典型的には無菌である。一部の実施態様において、注
射溶液又は注射懸濁液は、無毒の非経口的に許容し得る希釈剤又は溶媒を含有する。典型
的に利用される例証的媒体及び溶媒は、水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液、アセ
トン、クロロホルム、ジクロロメタン、イソプロパノール、メタノール、メチルエチルケ
トン、tert-ブチルアルコール、トリフルオロエタノール及び1,3-ブタンジオール、及び
それらの組合せを含む。
一部の実施態様において、無菌の不揮発油が、溶媒又は懸濁媒体として通常利用されて
いる。合成モノ-又はジ-グリセリドを含む任意の無刺激の不揮発油を利用することができ
る。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、それらのポリオキシエチル化
型を含むオリーブ油又はヒマシ油などの天然の医薬として許容し得る油類であるので、こ
れらは注射剤の調製において有用であることが多い。一部の実施態様において、そのよう
な油性溶液又は懸濁液は、カルボキシメチルセルロースなどの長鎖アルコール希釈剤若し
くは分散剤、又は乳剤及び懸濁剤を含む医薬として許容し得る剤形の製剤において通常使
用される類似の分散剤を含む。一部の実施態様において、Tweens、Spansなどの通常使用
される界面活性剤、並びに許容し得る(例えば医薬として許容し得る)固体、液体、又は他
の剤形の製造において通常使用される他の乳化剤又は生物学的利用能向上剤も、製剤を目
的として使用することができる。
経口的に許容し得る剤形は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤又は液剤を含むが、これら
に限定されるものではない。経口使用のための錠剤の場合、通常使用される担体は、乳糖
及びトウモロコシデンプンを含む。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も、典型的に
は添加される。カプセル剤の形態での経口投与のために有用な希釈剤は、通常乳糖及び乾
燥トウモロコシデンプンを含む。水性懸濁液が経口送達のために調製される場合、活性成
分は典型的には、任意に非経口製剤に関して先に考察されたものと同じく、乳化剤及び懸
濁化剤と組合せられる。望ましいならば、ある種の甘味料、香料又は着色剤も添加するこ
とができる。
経口組成物の投与は、望ましくは食物摂取の期間に関連することができる。例えば一部
の実施態様において、経口組成物は、食品と一緒に投与され;一部の実施態様においては
、経口組成物は食品とは別に、又は食品の消費に対し特定の時間枠内で投与される。一部
の実施態様において、経口組成物は、食物摂取の時期とはほとんど又は全く無関係に投与
される。
経口投与ための組成物は、固体又は液体の調製品として製剤することができる。一部の
実施態様において、シロップ剤、注射剤、点眼剤などの液体製剤は、pH調節剤(例えば塩
酸)、可溶化剤、等張化剤などと一緒に、更には必要に応じ溶解補助剤、安定剤、緩衝剤
、懸濁化剤、抗酸化剤などと一緒に、調製される。一部の実施態様において、液体製剤は
、凍結乾燥され、且つ注射剤は、静脈内、皮下、又は筋肉内に投与される。使用すること
ができる懸濁化剤は、メチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロー
ス、アラビアゴム、トラガカント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキ
シエチレンソルビタンモノラウレートなどを含むが、これらに限定されるものではない。
使用することができる溶解補助剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート
80、ニコチンアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを含むが、これ
らに限定されるものではない。使用することができる可溶化剤は、亜硫酸ナトリウム、メ
タ亜硫酸ナトリウム、エーテルなどを含むが、これらに限定されるものではない。使用す
ることができる保存剤は、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソル
ビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレソールなどを含むが、これらに限定される
ものではない。
一部の実施態様において、提供される組成物は、直腸投与のために、例えば坐薬として
製剤されてよい。そのような経直腸に適した形態は、例えば、室温では固体であるが直腸
温度では液体であり、結果的に直腸内で溶融し薬物を放出する好適な非刺激性賦形剤と該
物質を混合することにより、調製することができる。そのような物質は、カカオバター、
蜜ろう及び/又はポリエチレングリコールを含む。
一部の実施態様において、提供される組成物は、局所投与のために製剤され、例えばそ
の治療部位は、局所適用により容易に接近可能な領域又は臓器、例えば目、皮膚、又は下
位腸管などを含む。
下位腸管への局所適用は、直腸坐薬製剤(前記参照)又は好適な浣腸製剤によりもたらさ
れることが多い。一部の実施態様において、局所又は経真皮貼付剤を使用してもよい。
一部の実施態様において、局所製剤は、1種以上の担体中に懸濁又は溶解された活性成
分を含有する好適な軟膏で調製される。局所投与のための担体は典型的には、鉱油、液体
ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロ
ピレン化合物、乳化ワックス及び水を含むが、これらに限定されるものではない。局所組
成物は、例えば、1種以上の医薬として許容し得る担体中に懸濁又は溶解された1種以上の
活性成分をを含有する、好適なローション又はクリームにおいて製剤することができる。
好適な担体は、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステル
ワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水
、並びにそれらの組合せを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
眼科用送達のための製剤は、溶液又は懸濁液(例えば、等張の、pH調節された無菌食塩
水)として調製されることが多い。一部の実施態様において、1種以上の保存剤(例えば塩
化ベンザルコニウム)も含まれる。眼科用組成物は、ワセリンなどの軟膏中に製剤されて
もよい。
経鼻送達のための組成物は、エアロゾルとして通常製剤される。そのようなエアロゾル
製剤は、例えば、任意に1種以上の保存剤(例えばベンジルアルコール)、吸収促進剤(例え
ば生物学的利用能を増強するため)、及び/又は可溶化剤若しくは分散剤(例えばフルオロ
カーボン)を含有する溶液又は懸濁液(例えば食塩水中)であるか又はこれらを含んでよい
一部の実施態様において、本明細書に記載の組成物(例えば医薬組成物)は、1種以上の
加工処理剤及び/若しくは結晶化阻害剤、又はそれらの組合せを含むことができる。
一部の実施態様において、提供される組成物は、1種以上の加工処理剤を含有する。一
部の実施態様において、加工処理剤は水である。一部の実施態様において、加工処理剤は
tert-ブチルアルコールである。一部の実施態様において、加工処理剤はタルクである。
一部の実施態様において、加工処理剤は乳糖である。一部の実施態様において、加工処理
剤は沈降炭酸カルシウムである。一部の実施態様において、加工処理剤は二酸化チタンで
ある。一部の実施態様において、加工処理剤はシリカである。一部の実施態様において、
加工処理剤は微晶質セルロースである。
一部の実施態様において、提供される組成物は、1種以上の結晶化阻害剤を含む。一部
の実施態様において、結晶化阻害剤は水に可溶性である。いくつかの実施態様において、
結晶化阻害剤は水に不溶性である。
例証的結晶化阻害剤は、ポリビニルピロリドンのホモ‐及びコポリマー並びにN‐ビニ
ルピロリドンのホモポリマー若しくはコポリマーを含むポリビニルピロリドン(PVP又はポ
ビドン);クロスポビドン;ガム;セルロース誘導体(例えば、HPMCポリマー、ヒドロキシ
プロピルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム);デキストラン;アカシアゴム;ビニルラクタムのホモ‐及びコポ
リマー、並びにそれらの混合物;シクロデキストリン;ゼラチン;ヒプロメロースフタル
酸エステル;糖類;マンニトールを含む糖アルコール;多価アルコール;ポリエチレング
リコール(PEG);ポリエチレンオキシド;ポリオキシエチレン誘導体;ポリビニルアルコ
ール;プロピレングリコール誘導体など、SLS、Tweens、Eudragits(メタクリル酸コポリ
マー);並びに、それらの組合せ;プロリンなどのアミノ酸を含むが、これらに限定され
るものではない。
一部の実施態様において、組成物中の化合物Iは、非晶質である。一部の実施態様にお
いて、結晶化阻害剤はポリビニルピロリドン(PVP又はポビドン)である。一部の実施態様
において、結晶化阻害剤は、米国薬局方/医薬品集(USP/NF)、欧州薬局方(Ph. Eur)、又は
日本薬局方(JPE)に収載のポビドンである。一部の実施態様において、化合物Iの量及びポ
ビドンの量は、約1:2(重量)の比で組成物中に存在する。一部の実施態様において、化合
物Iの量及びポビドンの量は、約1:1(重量)の比で組成物中に存在する。一部の実施態様
において、化合物Iの量及びポビドンの量は、約2:1(重量)の比で組成物中に存在する。
一部の実施態様において、化合物Iの量及びポビドンの量は、約3:1(重量)の比で組成物
中に存在する。一部の実施態様において、化合物Iの量及びポビドンの量は、約4:1(重量
)の比で組成物中に存在する。一部の実施態様において、化合物Iの量及びポビドンの量は
、約5:1(重量)の比で組成物中に存在する。
いくつかの実施態様において、本開示において利用される結晶化阻害剤は、PVPポリマ
ーである。
いくつかの実施態様において、本開示において利用されるPVPポリマーは、分子量約2,0
00〜約50,000ダルトン、約2,000〜約30,000ダルトン、約2,000〜約20,000ダルトン、約2,
500〜約15,000ダルトン、約2,500〜約10,000ダルトン、又は約3,000〜約10,000ダルトン
を有する。
いくつかの実施態様において、本開示において利用されるPVPポリマーは、動的粘度(20
℃で水中10%)約1.3〜約700、約1.5〜約500、約1.8〜約300、約2.0〜約200、約2.2〜約15
0、約2.5〜約100、約2.8〜約70、約3.0〜約40、約3.2〜約25、又は約3.5〜約8.5mPasを有
する。
任意の種類のポビドンを、本明細書に提供される組成物において使用することができる
。一部の実施態様において、ポビドンは、N-ビニル-2-ピロリドンの合成の水溶性ホモポ
リマーであるPlasdone(登録商標)PVPポリマーから選択される。本明細書に提供される組
成物において有用なPlasdoneポリマーは、Plasdone C-12及びPlasdone C-17を含むが、こ
れらに限定されるものではない。
一部の実施態様において、ポビドンは、12〜17のK値を有する。一部の実施態様におい
て、ポビドンは、12〜15のK値を有する。
いくつかの実施態様において、本開示において利用されるPVPポリマーは、Kollidon(登
録商標)PVPポリマー(例えば、Kollidon(登録商標)12PF、Kollidon(登録商標)17PF)から選
択される。
いくつかの実施態様において、本開示において利用される結晶化阻害剤は、PEGポリマ
ーである。
いくつかの実施態様において、本開示において利用されるPEGポリマーは、平均分子量
約5,000〜20,000ダルトン、約5,000〜15,000ダルトン、又は約5,000〜10,000ダルトンを
有する。
いくつかの実施態様において、本開示において利用される結晶化阻害剤は、界面活性剤
である。いくつかの実施態様において、結晶化阻害剤は、Tween(登録商標)界面活性剤で
ある。例証的Tween(登録商標)は、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)40、Tween(登録
商標)60、Tween(登録商標)65及びTween(登録商標)80を含む。
いくつかの実施態様において、本開示において利用される結晶化阻害剤は、HPMC(ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース)ポリマーである。
HPMCポリマーは、それらのセルロース主鎖の鎖長が変動し、及び結果的に例えば水中2
%(w/w)で測定されるそれらの粘度が変動する。いくつかの実施態様において、HPMCポリ
マーは、水中粘度(濃度2%(w/w)において)約100〜約100,000cP、約1000〜約15,000cP、例
えば約4000cPを有する。いくつかの実施態様において、HPMCポリマーの分子量は、約10,0
00よりも大きいが、約1,500,000を超えず、約1,000,000を超えず、約500,000を超えず、
又は約150,000を超えることはない。
またHPMCポリマーは、セルロース主鎖上の利用可能なヒドロキシル基のメトキシ基及び
ヒドロキシプロポキシ基による置換の相対度も変動する。ヒドロキシプロポキシ置換が増
加するにつれて、得られるHPMCポリマーは、自然により親水性となり始める。いくつかの
実施態様において、HPMCポリマーは、メトキシ置換約15%〜約35%、約19%〜約32%、又
は約22%〜約30%を有し、且つヒドロキシプロポキシ置換約3%〜約15%、約4%〜約12%
、又は約7%〜約12%を有する。
例証的HPMCポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、酢酸フタル酸ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC‐AP)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチル
セルロース(HPMC‐AS)、酢酸トリメリト酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC‐A
T)及びフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC‐P)を含むが、これらに限定
されるものではない。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の等級は、3FG、4FG、5FG、6FG、15FG、50
FG及びK100Mを含むが、これらに限定されるものではない。酢酸コハク酸ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース(HPMC‐AS)の等級は、HPMC‐AS‐LF、HPMC‐AS‐MF、HPMC‐AS‐HF
、HPMC‐AS‐LG、HPMC‐AS‐MG及びHPMC‐AS‐HGを含む。フタル酸ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース(HPMC‐P)の等級は、50、55、55Sを含む。
他の例証的HPMCポリマーは、Dow Chemical社の「Methocel(商標)」及び信越化学社(Shi
n‐Etsu Chemical Co.)の「Metolose(商標)」の商品名で入手可能である。中程度の粘度
を有する好適なHPMCポリマーの例は、Methocel(商標)E4M、及びMethocel(商標)K4Mを含み
、両方共水中2%(w/w)で、粘度約4000cPを有する。比較的高い粘度を有するHPMCポリマー
の例は、Methocel(商標)E10M、Methocel(商標)K15M、及びMethocel(商標)K100Mを含み、
これらは各々水中2%(w/w)で、粘度約10,000cP、15,000cP、及び100,000cPを含む。
一部の実施態様において、提供される製剤は、1種以上の結晶化阻害剤を含んでよい。
いくつかの実施態様において、第二の結晶化阻害剤はPVPポリマーである。いくつかの実
施態様において、第二の結晶化阻害剤はPEGポリマーである。いくつかの実施態様におい
て、第二の結晶化阻害剤は、Tween(登録商標)界面活性剤である。いくつかの実施態様に
おいて、本製剤又は組成物は、製剤又は組成物の総重量を基に少なくとも約1%、5%、10
%、12%、15%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%
、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は99%(w/w)の量の1種以上の結晶化阻害剤を含
む。
一部の実施態様において、組成物は、溶液からの凍結乾燥により調製される。特定の実
施態様において、組成物は、t-ブタノール/水の(60:40)(v/v)溶液からの凍結乾燥により
調製される。一部の実施態様において、溶媒はtert-ブタノールである。一部の実施態様
において、溶媒はtert-ブタノール及び水の混合物である。一部の実施態様において、pH
調節剤は塩酸である。
(ISTODAX(登録商標)ラベル)
ISTODAX(登録商標)は、化合物Iを10mg及び増量剤ポビドンUSPを20mg含有する無菌の凍
結乾燥された粉末を単回使用バイアル内に含むキットとして供給される。加えて各キット
は、80%プロピレングリコールUSP及び20%無水アルコールUSPで構成された希釈剤2mLが
入った1個の無菌バイアルを含む。
ポビドンUSPのK値は17である。ポビドンUSPの分子量は約10.000ダルトンである。
ISTODAX(登録商標)は、投与量14mg/m2で、28日間サイクルの1、8及び15日目に、4時間
かけて、静脈内投与される。サイクルは、28日毎に反復される。
(用途)
(治療されるべき状態)
細胞増殖性障害、疾患又は状態の治療に関連する方法及び組成物が提供される。細胞増
殖性障害、疾患又は状態は、異常な細胞成長、好ましくは異常に増加した細胞増殖により
特徴付けられる様々な状態を含む。提供される組成物及び方法を用い治療することができ
る細胞増殖性障害、疾患又は状態は、癌、免疫媒介性反応及び疾患(例えば、移植拒絶反
応、移植片対宿主疾患、遺伝子治療に対する免疫反応、自己免疫疾患、病原体が誘導した
免疫異常調節など)、ある種の循環器疾患、及びある種の神経変性疾患を含むが、これら
に限定されるものではない。
いくつかの実施態様において、癌を治療する方法が提供される。癌は、異常な細胞の制
御できない成長及び播種により特徴付けられる疾患群である。癌は、癌腫、肉腫、白血病
、リンパ腫などを含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施態様におい
て、癌は悪性血液疾患である。いくつかの実施態様において、癌は固形腫瘍である。
いくつかの実施態様において、本開示は、悪性血液疾患の治療に関する。悪性血液疾患
の症状発現は、循環する悪性細胞及び悪性塊を含む。悪性血液疾患は、血液、骨髄、及び
/又はリンパ節に影響を及ぼす癌の種類である。ロミデプシンを使用し治療することがで
きる悪性血液疾患は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄
性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、
非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、多発性骨髄
腫、及び骨髄異形成症候群を含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施
態様において、ロミデプシンは、多発性骨髄腫を治療するために使用される。いくつかの
特定の実施態様において、癌は、再発性及び/又は難治性多発性骨髄腫である。他の実施
態様において、ロミデプシンは、慢性リンパ性白血病(CLL)を治療するために使用される
。いくつかの特定の実施態様において、癌は再発性及び/又は難治性CLLである。他の実施
態様において、ロミデプシンは、慢性骨髄性白血病(CML)を治療するために使用される。
いくつかの実施態様において、ロミデプシンは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)を治療す
るために使用される。いくつかの実施態様において、ロミデプシンは、急性骨髄性白血病
(AML)を治療するために使用される。いくつかの実施態様において、癌は皮膚T細胞リンパ
腫(CTCL)である。他の実施態様において、癌は末梢T細胞リンパ腫(PTCL)である。いくつ
かの実施態様において、癌は骨髄異形成症候群である。
本開示の一部の実施態様において、治療される癌は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、末梢T
細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)などのヒトT細胞指向性ウイルス(HTLV)
に関連したリンパ腫、B細胞リンパ腫、急性リンパ性白血病、急性非リンパ性白血病、慢
性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、ホジキン病、非ホジキンリ
ンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などの、白血病及びリンパ腫を含むが、これら
に限定されるものではない。
一部のそのような実施態様において、本開示は、肺、乳房、結腸、肝臓、膵臓、腎臓、
前立腺、卵巣、及び/又は脳などの固形腫瘍の治療に関連している。一部の実施態様にお
いて、本開示は膵臓癌の治療に関連している。一部の実施態様において、本開示は腎臓癌
の治療に関連している、一部の実施態様において、本開示は前立腺癌の治療に関連してい
る。一部の実施態様において、本開示は肉腫の治療に関連している。一部の実施態様にお
いて、本開示は軟部組織肉腫の治療に関連している。
一部の実施態様において、治療することができる癌は、中皮腫、頭頸部癌(例えば、口
腔、喉頭部及び食道の)、泌尿生殖器癌(例えば、前立腺、膀胱、腎臓、子宮、卵巣、精巣
、直腸及び結腸の)、メラノーマ及び他の皮膚癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌及び甲状腺癌な
どの成人の一般的固形腫瘍、並びに/又は脳腫瘍、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ウィル
ムス腫瘍、骨腫瘍、及び軟部組織肉腫などの小児固形腫瘍を含むが、これらに限定される
ものではない、固形癌である。一部の実施態様において、本開示は、固形腫瘍の治療に関
する。
併用療法を含む本明細書に提供された方法を使用し治療することができる癌は、結腸癌
、肺癌、骨癌、膵臓癌、胃癌、食道癌、皮膚癌、脳腫瘍、肝臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、子
宮癌、精巣癌、前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌、及び神経内分泌癌を含むが、これらに限定さ
れるものではない。
いくつかの実施態様において、癌は膵臓癌である。いくつかの実施態様において、癌は
前立腺癌である。いくつかの具体的実施態様において、前立腺癌はホルモン抵抗性前立腺
癌である。
一部の特定の実施態様において、白血病を治療する方法が提供される。いくつかの実施
態様において、白血病は、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血
病、急性骨髄性白血病、又は成人T細胞白血病/リンパ腫である。
一部の実施態様において、リンパ腫を治療する方法が提供される。一部の実施態様にお
いて、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫(例えば、末梢T細胞リンパ
腫、皮膚T細胞リンパ腫などのT細胞リンパ腫)である。
一部の実施態様において、本開示は、多発性骨髄腫及び/又は骨髄異形成症候群の治療
に関連している。
一部の実施態様において、異種移植を含む、心臓、腎臓、肝臓、骨髄、皮膚、角膜、血
管、肺、膵臓、腸、四肢、筋肉、神経組織、十二指腸、小腸、膵島細胞などの組織の機能
の全て又は一部を代替するための、合成の若しくは有機物の移植材料、細胞、臓器若しく
は組織の移植後の拒絶反応;移植片対宿主疾患;関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、甲状
腺炎、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、1型糖尿病、若年発症若しくは最近
発症した糖尿病、ブドウ膜炎、グレーヴス病、乾癬、アトピー性皮膚炎、クローン病、潰
瘍性大腸炎、血管炎、自己抗体媒介性疾患、再生不良性貧血、エバンス症候群、自己免疫
性溶血性貧血などの、自己免疫疾患を含むが、これらに限定されるものではない、1種以
上の免疫媒介性反応及び疾患を治療する方法が提供される。
一部の実施態様において、例えば、B型及びC型肝炎感染症、HIV、黄色ブドウ球菌感染
症、ウイルス性脳炎、敗血症により引き起こされるものを含む、外傷若しくは病原体が誘
発した免疫異常調節、損傷が炎症反応により引き起こされる寄生虫症(例えばハンセン病)
などの、異常な免疫応答及び/又は活性化を引き起こす1種以上の感染症を治療する方法が
提供される。
一部の実施態様において、移植片対宿主疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、乾癬
、アトピー性皮膚炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、又は多発性硬化症を治療する方法が提
供される。
一部の実施態様において、自己細胞への外来遺伝子の導入及びコードされた産物の発現
などの、遺伝子治療に関連した免疫応答の治療の方法が提供される。一部の実施態様にお
いて、動脈硬化、アテローム性動脈硬化症、血管炎、結節性多発性動脈炎又は心筋炎など
の循環器疾患を治療する方法が提供される。
一部の実施態様において、下記を含む非限定的リストの様々な神経変性疾患のいずれか
を治療する方法が提供される:
I. アルツハイマー病;アルツハイマー型老年性認知症;及びピック病(脳葉萎縮)など
の、他の顕著な神経学的兆候が存在しない進行性認知症により特徴付けされた障害;
II. 進行性認知症が、A)主に成人に出現する症候群(例えば、ハンチントン病、運動失
調及び/又はパーキンソン病の症状発現を伴う認知症と複合された多系統萎縮症、進行性
核上麻痺(スティール・リチャードソン・オルスゼフスキー)、びまん性レヴィー小体病、
及び皮質歯状核黒質変性症);並びに、B)主に小児又は若年成人に出現する症候群(例えば
、ハレルフォルデン・スパッツ病及び進行性家族性ミオクローヌてんかん):などの他の
顕著な神経学的異常と複合された症候群;
III. 振戦麻痺(パーキンソン病)、線条体黒質変性症、進行性核上麻痺、捻転ジストニ
ー(捻転性痙攣;変形性筋ジストニー)、痙性斜頚及び他のジスキネジア、家族性振戦、及
びギレス・デ・ラ・トゥレット症候群などの、徐々に発症する姿勢異常及び運動異常の症
候群;
IV. 小脳変性症(例えば、小脳皮質変性症及びオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA));並びに
、脊髄小脳変性症(フリードライヒ失調症及び関連障害):などの進行性運動失調の症候群

V. 中枢自律神経系の障害の症候群(シャイ・ドレーガー症候群);
VI. 感覚的変化を伴わない筋力低下及び消耗の症候群(筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋
萎縮症(例えば、乳児脊髄性筋萎縮症(ウェルドニッヒ・ホフマン)、若年性脊髄性筋萎縮
症(ヴォールファルト・クーゲルベルグ・ヴェランダー)及び他の家族性脊髄性筋萎縮症型
などの運動ニューロン疾患)、原発性側索硬化症、及び遺伝性痙性対麻痺;
VII. 腓骨筋萎縮症(シャルコー・マリー・トゥース)、肥厚性間質性多発性ニューロパ
シー(デジェリン・ソッタス)、及び慢性進行性ニューロパシーの多種多様な型などの、感
覚的変化を伴う筋力低下及び消耗と複合された症候群(進行性神経原性筋萎縮症;慢性家
族性多発性ニューロパシー);
VIII. 網膜の色素変性(網膜色素変性症)、及び遺伝性の視神経萎縮(レーバー病)など
の進行性失明の症候群。
一部の実施態様において、神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び
/又はハンチントン病である。
一部の実施態様において、本疾患又は状態は、クロマチン再構築に関連している。
(投薬)
一部の実施態様において、化合物I及び/又は化合物Iを含有する組成物は、標準の投薬
計画に従い投与される。一部の実施態様において、化合物I及び/又は化合物Iを含有する
組成物は、促進投薬計画(accelerated dosing regimen)に従い投与される。
(化合物Iの標準投薬)
一部の実施態様において、化合物Iの単位投与量は、体表面積1m2当たり約0.5mg〜約28m
gの範囲内である。一部の実施態様において、約6〜約18mg/m2の範囲が使用される。一部
の実施態様において、この範囲は約10mg/m2〜約17mg/m2である。一部の実施態様において
、特定の単位投与量は、10mg/m2、12mg/m2、13mg/m2、14mg/m2、及び15mg/m2である。
一部の実施態様において、化合物Iは、静脈内に投与される。一部の実施態様において
、静脈内投薬計画は、2週間にわたる毎日投薬、4週間にわたる週2回の投薬、4週間にわた
る週3回の投薬、及び様々な他の間隔スケジュール(例えば、21日又は28日のサイクルの1
、3、及び5日目;4及び10日目;1、8及び15日目;1及び15日目;5及び12日目;又は、5、
12、及び19日目)を含む。
一部の実施態様において、化合物Iは、28日毎の反復コースで、1、8、及び15日目に個
々の単位投与量で4時間にわたり投与される。時には、数回のコース(例えば、少なくとも
4回、少なくとも6回、又はそれ以上)が投与される。実際、例として、72回も多くのコー
スが投与されたことが報告されている。一部の実施態様において、個々の単位投与量は、
4時間注入により投与される。
(化合物Iの促進投薬)
1つ以上の個々の単位投与量が、約1時間未満又は約1時間の期間にわたり静脈内に投与
される化合物Iの促進投薬計画を利用することができる。一部の実施態様において、1つ以
上の個々の投与量が、約50分間未満、40分間、30分間、20分間、又はそれ未満の期間にわ
たり静脈内に投与される。約1時間(60分間)未満の期間にわたり投与される少なくとも1つ
の単位投与量を含む任意の投薬計画は、本開示に従い促進投薬計画と考えることができる
一部の実施態様において、投与計画内の全ての単位投与量は、約1時間未満又は約1時間
の期間にわたり静脈内に投与される。一部の実施態様において、投与計画内の単位投与量
の一部のみが、約1時間未満又は約1時間の期間にわたり投与される。一部の実施態様にお
いて、投与計画内の1つ以上の単位投与量が、静脈内投与以外の経路(例えば、経口、皮下
、経鼻、局所など)により投与される。
化合物Iの促進投薬計画は、個別の単位投与量が4時間の期間をかけて静脈内に投与され
る同様の投与計画(例えばそれ以外は同一の投与計画)と比べ、毒性又は有害事象の、特に
重篤な有害事象の著しい増加を伴わずに、投与することができる。促進投薬計画は、28日
サイクルの1、8、及び15日目に約6〜14mg/m2の投与量で4時間の静脈内注入により投与さ
れる化合物Iの標準投与計画と比べ、毒性又は有害事象の、特に重篤な有害事象の著しい
増加を伴わずに、投与することができる。
一部の実施態様において、化合物Iは、1つ以上の単位投与量が、(例えば、約4時間の期
間にわたるよりも)約1時間未満である期間にわたり投与されること以外は、標準投薬計画
(前記参照)と同一である促進投薬計画で投与される。
一部の実施態様において、化合物Iの単位投与量は、約0.5mg/m2〜約28mg/m2の範囲内で
ある。いくつかの実施態様において、単位投与量は、約1mg/m2〜約25mg/m2の範囲である
。いくつかの実施態様において、単位投与量は、約0.5mg/m2〜約15mg/m2の範囲である。
いくつかの実施態様において、単位投与量は、約1mg/m2〜約15mg/m2の範囲である。いく
つかの実施態様において、単位投与量は、約1mg/m2〜約8mg/m2の範囲である。いくつかの
実施態様において、単位投与量は、約0.5mg/m2〜約5mg/m2の範囲である。いくつかの実施
態様において、単位投与量は、約2mg/m2〜約10mg/m2の範囲である。一部の実施態様にお
いて、単位投与量は、約10mg/m2〜約20mg/m2の範囲である。いくつかの実施態様において
、単位投与量は、約5mg/m2〜約10mg/m2の範囲である。一部の実施態様において、単位投
与量は、約10mg/m2〜約15mg/m2の範囲である。一部の実施態様において、単位投与量は、
約6〜約19mg/m2の範囲である。一部の実施態様において、単位投与量は、およそ8mg/m2
ある。更に別の実施態様において、単位投与量は、およそ9mg/m2である。更に別の実施態
様において、単位投与量は、およそ10mg/m2である。更に別の実施態様において、単位投
与量は、およそ11mg/m2である。更に別の実施態様において、単位投与量は、およそ12mg/
m2である。更に別の実施態様において、単位投与量は、およそ13mg/m2である。更に別の
実施態様において、単位投与量は、およそ14mg/m2である。更に別の実施態様において、
単位投与量は、およそ15mg/m2である。更に別の実施態様において、単位投与量は、およ
そ30mg/m2である。
いくつかの実施態様において、化合物I治療計画内の異なる個別の単位投与量は、様々
である。一部の実施態様において、化合物Iの増加する投与量が、サイクルのコースにわ
たり投与される。いくつかの実施態様において、およそ8mg/m2の投与量が投与され、引き
続きおよそ10mg/m2の投与量が、引き続きおよそ12mg/m2の投与量が、サイクルにわたり投
与されてよい。
個別の単位投与量で投与される化合物Iの量は、投与される化合物Iの形態に応じて変動
する。本明細書において与えられる用量は、活性成分である化合物Iに関して等しい投与
量である。
いくつかの実施態様において、化合物Iの個別の単位投与量は、1日投与され、引き続き
化合物Iが投与されない日が数日続く。いくつかの実施態様において、化合物Iは、週2回
投与される。いくつかの実施態様において、化合物Iは、週1回投与される。他の実施態様
において、化合物Iは隔週投与される。
一部の実施態様において、化合物Iは、毎日(例えば2週間にわたり)、週2回(例えば4週
間にわたり)、週3回(例えば4週間にわたり)、又は様々な他の間隔のスケジュール(例えば
21日又は28日サイクルの、1、3、及び5日目;4及び10日目;1及び15日目;5及び12日目;
又は、5、12、及び19日目)のいずれかで投与される。
いくつかの実施態様において、化合物Iは、28日サイクルの1、8、及び15日目に投与さ
れる。いくつかの特定の実施態様において、化合物Iの投与量8mg/m2が1日目に投与され、
化合物Iの投与量10mg/m2が8日目に投与され、且つ化合物Iの投与量12mg/m2が15日目に投
与される。いくつかの実施態様において、化合物Iは、28日サイクルの1日目及び15日目に
投与され、8日目は省かれる。28日の投薬サイクルは反復されてよい。いくつかの実施態
様において、28日サイクルは、2〜10、2〜7、2〜5、又は3〜10回反復される。いくつかの
実施態様において、治療は5サイクルを含む。いくつかの実施態様において、治療は6サイ
クルを含む。いくつかの実施態様において、治療は7サイクルを含む。いくつかの実施態
様において、治療は8サイクルを含む。いくつかの実施態様において、10サイクルが投与
される。いくつかの実施態様において、10サイクル以上が投与される。
いくつかの実施態様において、化合物Iの投薬計画内で1つ以上の単位投与量が、静脈内
投与以外の経路により投与されてよい。一部の実施態様において、1つ以上の投与量が、
経口的に投与されてよい。いくつかの実施態様において、化合物Iは、10mg/m2〜300mg/m2
の範囲で経口投与される。いくつかの実施態様において、化合物Iは、25mg/m2〜100mg/m2
の範囲で経口投与される。いくつかの実施態様において、化合物Iは、100mg/m2〜200mg/m
2の範囲で経口投与される。いくつかの実施態様において、化合物Iは、200mg/m2〜300mg/
m2の範囲で経口投与される。いくつかの実施態様において、化合物Iは、300mg/m2より多
く経口投与される。いくつかの実施態様において、化合物Iは、50mg/m2〜150mg/m2の範囲
で経口投与される。他の実施態様において、経口用量は、25mg/m2〜75mg/m2の範囲である
いくつかの実施態様において、化合物Iは、毎日を基本に経口投与される。一部の実施
態様において、化合物Iは、隔日に経口投与される。更に別の実施態様において、化合物I
は、3、4、5、又は6日毎に経口投与される。いくつかの実施態様において、化合物Iは毎
週経口投与される。いくつかの実施態様において、化合物Iは隔週経口投与される。
一部の実施態様において、化合物Iの1つ以上の単位投与量が局所投与される。
当業者に理解されるように、化合物Iの特定の単位投与量の投与の用量、時期及び/又は
経路は、治療される患者及び状態に応じて変動してよい。いくつかの実施態様において、
サイクルは、患者が反応する限りは継続される。療法は、一旦疾患が進行するか、治癒又
は寛解が達成されるか、又は副作用が不耐性となり始めた時点で、終了される。有害な副
作用は、投与される化合物Iの用量を減少するか、又は投与量が投与されるスケジュール
の調節も必要とすることがある。
(化合物Iの毒性及び有害事象)
化合物Iは、様々な異なる臨床状況及び試験において患者へ投与されている。観察され
た毒性は、疲労、悪心、吐気、及び骨髄抑制(血小板減少症及び/又は好中球減少症、例え
ばグレード3)を含む。ECGにおける非特異的S-Tセグメント及びQTc間隔の延長が、多くの
患者において生じる。観察された毒性は、軽度から中等度である。ECGにおいて観察され
た変化は、上昇した連続した血清トロポニンレベル及びマルチゲート収集(MUGA)スキャン
とは相関せず、これらは両方共一貫して正常であった。
初期の開発において、化合物Iの臨床試験時に、6例の死亡が生じた(450名以上の患者に
おいて)。これらの死亡のうち1例を除いて全て、有意な心臓血管系リスク因子が、化合物
I試験への組入れ時に存在したか、又は本試験の過程において出現したかのいずれかであ
った。6人目の患者は、サルコイドーシスの既往歴があり、且つ同じくQTc間隔の延長を引
き起こすことが分かっている別の薬物が同時に投与されていた。
(血液学的事象)
化合物Iの投与は、好中球減少症及び/又は血小板減少症を引き起こすことがある。一般
に、グレード3又はグレード4の好中球減少症又は血小板減少症の患者の特異的血球減少が
グレード1(すなわち、ANCが>1.9×109/Lまで回復し、且つ血小板数が≧75×109/Lまで回
復する)又はそれ未満に回復するまで、これらの患者では、更なる治療を保留することが
推奨されており、回復した時点で総投与量での療法を継続することができる。グレード4
の好中球減少症又は血小板減少症が5日を超えて継続するか又は出血と関係した場合、特
異的血球減少がグレード1又はそれ未満に回復するまで、治療を保留することが一般に推
奨されており、その時点で好ましくは減量した投与量(例えば10mg/m2)での療法を継続す
ることができる。血小板輸血を必要とするグレード4の発熱(≧38.5℃)性好中球減少症又
は血小板減少症が認められる場合、特異的血球減少がグレード1又はそれ未満に回復する
まで、治療を保留することが一般に推奨され、その時点で好ましくは減量した投与量(例
えば10mg/m2)での療法を継続することができる。
血液学的事象は典型的には、標準の化合物I投薬計画で、約21〜52%の割合で認められ
る(米国国立癌研究所(NCI) IND 57,810、2007年版年次報告書)。例えば、NCI 2007年版年
次報告書は、以下の血液異常及び骨髄異常に関して以下の割合を提示している:血小板(5
2%)、ヘモグロビン/貧血(41%)、異常な白血球数(39%)、異常なANC/AGC(37%)、及びリ
ンパ球減少症(21%)(NCI IND 57,810、2007年版年次報告書)。
(心臓事象)
化合物I投与により観察された心臓事象は、以下のいずれか又は全てを含み得る:
・現在の治療サイクルに関して治療前ベースラインからのQTcの≧500ミリ秒までの延長
、又は≧60ミリ秒の増加;
・心室性不整脈(すなわち、心室頻拍又は心室細動[連続して≧3拍動]);
・洞頻脈(横臥後、脈拍>140/分);
・心房性律動異常(SVT、心房細動、又は心房粗動)の新たな出現、再分極異常若しくは
虚血の指標であるST波及びT波の変化(主QRSベクトルが正である限りは、例えば、≧2mmの
ST波の低下[等電位線からSTセグメントまで測定]及び/又は≧4mmのT波の逆転[等電位線か
らT波のピークまで測定])。
文献は、ベースラインからのQTcの変化の中央値は、16.5ミリ秒であることを報告して
いる(Piekarzらの文献、Clin Cancer Res, 12:3762, 2006参照)。表2は、心臓事象が認め
られた場合の、投与量変更に関する一般的推奨を提示している。
表2. 心臓事象時の投与量変更の推奨
Figure 0006490632
a. 等電位線からT波のピークまで測定
b. 等電位線からSTセグメントまで測定
心臓事象は典型的には、標準化合物I投薬計画で、約24%の割合で観察された(NCI IND
57,810、2007年版年次報告書)。
(胃腸管事象)
胃腸管事象は典型的には、標準化合物I投薬計画で、約15〜64%の割合で認められた(NC
I IND 57,810、2007年版年次報告書)。例えば、NCI 2007年版年次報告書は、以下の胃腸
管事象に関して以下の割合を提示している:悪心(64%)、食欲不振(39%)、吐気(39%)、
便秘(19%)、味覚障害(18%)、及び下痢(15%)(NCI IND 57,810、2007年版年次報告書)。
化合物Iは、関連する毒性(例えば、投与量を制限する毒性、重篤な有害事象、及び/又
は有害事象の1つ以上の割合及び/又は重症度)を臨床的に有意に増加させずに、促進投薬
計画により投与することができる。一部の実施態様において、認められた毒性(例えば、
疲労、血液学的毒性、心毒性、胃腸管毒性、体質上の毒性(constitutional toxicities)
、又はそれらの組合せ)の割合が、化合物Iの単位投与量が約4時間の期間にわたり静脈内
投与される点のみが異なる同等の投薬計画の投与に関して認められるものよりも著しく悪
化しないような化合物Iの促進投薬計画が提供される。一部の実施態様において、認めら
れた毒性の割合が、標準化合物I療法計画の投与に関して認められるものよりも著しく悪
化しないような化合物Iの促進投薬計画が提供される。
一部の実施態様において、化合物Iを受け取る対象が、指定された期間内は、1つ以上の
特定の有害事象、又は重篤な有害事象を経験しないような化合物Iに関する促進投薬計画
が提供される。一部の実施態様において、この指定された期間は、促進投与量の投与期間
である。一部の実施態様において、この指定された期間は、促進投与量の注入の終了後約
2〜約6時間以内である。一部の実施態様において、この指定された期間は、促進投与量の
注入の終了後約2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36
、38、40、42、44、46、48時間以内又はそれ以上である。
任意の副作用、毒性、又は有害事象は、この指定された期間には存在しないことがある
。一部の実施態様において、対象のQTcは、指定された期間中は、約500ミリ秒以下に維持
され;一部の実施態様において、対象は、指定された期間中は、心室性不整脈を経験せず
;一部の実施態様において、対象は、指定された期間中は、洞頻拍を経験せず;一部の実
施態様において、対象は、指定された期間中は、心房性律動異常を経験せず;一部の実施
態様において、対象は、指定された期間中は、再分極の指標であるST波又はT波の変化を
経験しない。
(併用療法)
一部の実施態様において、化合物Iは、1種以上の他の医薬品と組合せて投与される。一
部の実施態様において、化合物Iは、1種以上の他の化学療法薬と組合せて及び/又は1種以
上の他の医薬品(例えば、鎮痛剤、抗炎症薬、抗生物質、ステロイド剤、抗葉酸剤、キナ
ーゼ阻害剤、メチルトランスフェラーゼ阻害剤、抗体など)と組合せて投与される。
いくつかの実施態様において、化合物Iは、1種以上の細胞毒性物質と組合せて投与され
る。例示的な細胞毒性物質は、ゲムシタビン、デシタビン、及びフラボピリドールを含む
が、これらに限定されるものではない。いくつかの実施態様において、化合物Iは、1種以
上のタキサン及び/又は1種以上のプロテアソーム阻害剤と組合せて投与される。例示的プ
ロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))、ペプチドボロン酸、サリノ
スポラミドA(NPI-0052)、ラクタシスチン、エポキソマイシン(Ac(Me)-Ile-Ile-Thr-Leu-E
X)、MG-132(Z-Leu-Leu-Leu-al)、PR-171、PS-519、エポネマイシン、アクラシノマイシン
A、CEP-1612、CVT-63417、PS-341(ピラジルカルボニル-Phe-Leu-ボロネート)、PSI(Z-Ile
-Glu(OtBu)-Ala-Leu-al)、MG-262(Z-Leu-Leu-Leu-bor)、PS-273(MNLB)、オムラリド(clas
to-ラクタシスチン-β-ラクトン)、NLVS(Nip-Leu-Leu-Leu-ビニルスルホン)、YLVS(Tyr-L
eu-Leu-Leu-vs)、ジヒドロエポネマイシン、DFLB(ダンシル-Phe-Leu-ボロネート)、ALLN(
Ac-Leu-Leu-Nle-al)、3,4-ジクロロイソクマリン、4-(2-アミノエチル)-ベンゼンスルホ
ニルフルオリド、TMC-95A、グリオトキシン、EGCG((-)-エピガロカテキン-3-ガラート)、
YU101(Ac-hFLFL-ex)、及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
いくつかの実施態様において、化合物Iは、1種以上の抗葉酸剤と組合せて投与される。
一部のそのような実施態様において、化合物Iは、下記の1種以上と組合せて投与される:
フォリン酸(ロイコボリン)、メトトレキセート、プララトレキセート、プレメクストレド
(premextred)、トリアジナート、又はそれらの組合せ。
いくつかの実施態様において、化合物Iは、1種以上のキナーゼ阻害剤(例えば、チロシ
ンキナーゼ阻害剤)と組合せて投与される。一部の実施態様において、化合物Iは、キナー
ゼ阻害剤として作用する1種以上の抗体と組合せて投与される。一部の実施態様において
、化合物Iは、ABT-869、AC220、AZD7762、BIBW 2992、BMS-690154、CDKIAT7519、CYC116
、ISIS3521、GSK690693、GSK-461364、MK-0457、MLN8054、MLN8237、MP470、ON 01910.Na
、OSI-930、PHA-739358、R935788、SNS-314、TLN-232、XL147、XL228、XL281、XL418、又
はXL765の1種以上と組合せて投与される。
いくつかの実施態様において、化合物Iは、1種以上のメチルトランスフェラーゼ阻害剤
と組合せて投与される。
いくつかの実施態様において、化合物Iは、1種以上の治療用抗体と組合せて投与される
。一部の実施態様において、化合物Iは、以下の1種以上と組合せて投与される:ベバシズ
マブ、セツキシマブ、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニ
ブ、ニロチニブ、パニツムマブ、ペガプタニブ、ラニビズマブ、ソラフェニブ、スニチニ
ブ、トラスツズマブ、又はこれらの部分の1つにより結合された抗原に結合する任意の抗
体。
一部の実施態様において、化合物Iは、抗炎症薬、鎮痛剤、嘔吐抑制薬、又は解熱薬と
組合せて投与される。本明細書に提供される方法において有用な抗炎症薬は、アスピリン
、イブプロフェン、及びアセトアミノフェンなどを含むが、これらに限定されるものでは
ない。
いくつかの実施態様において、化合物Iは、ステロイド剤と組合せて投与される。いく
つかの実施態様において、化合物Iは、ジプロピオン酸(diproprionate)アルクロメタゾン
、アムシノニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、安息香酸ベタメタゾン
、ジプロピオン酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナ
トリウム・酢酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸(proprionate)クロベ
タゾール、ピバル酸クロコルトロン、コルチゾール(ヒドロコルチゾン)、酢酸コルチゾー
ル(ヒドロコルチゾン)、酪酸コルチゾール(ヒドロコルチゾン)、シピオン酸コルチゾール
(ヒドロコルチゾン)、リン酸コルチゾール(ヒドロコルチゾン)ナトリウム、コハク酸コル
チゾール(ヒドロコルチゾン)ナトリウム、吉草酸コルチゾール(ヒドロコルチゾン)、酢酸
コルチゾン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン
酸デキサメタゾンナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、酢酸フルドロコルチゾン、フルニソ
リド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオロメトロン、フルランドレノ
リド、ハルシノニド、メドリゾン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、
コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、フランカルボン酸モメタゾン、酢酸パラメタ
ゾン、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト
酸プレドニゾロン、プレドニソン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、二
酢酸トリアムシノロン、トリアムシノロン ヘキサセトニド、又はそれらの組合せからな
る群から選択されるステロイド剤と組合せて投与される。一部の実施態様において、化合
物Iはデキサメタゾンと組合せて投与される。
いくつかの実施態様において、化合物Iは、悪心、吐気、及び下痢などの胃腸管障害を
治療する薬剤と組合せて投与される。そのような薬剤は、制吐剤、止瀉剤、補液、電解質
補液などを含むことができる。
いくつかの実施態様において、化合物Iは、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム
などの電解質補液又は補充と組合せて投与される。いくつかの実施態様において、化合物
Iは、カリウム、マグネシウムなどの電解質補液又は補充と組合せて投与される。
いくつかの実施態様において、化合物Iは、抗不整脈剤と組合せて投与される。
いくつかの実施態様において、化合物Iは、血小板の生成を増加させる薬剤と組合せて
投与される。
いくつかの実施態様において、化合物Iは、血液細胞の生成を増強する薬剤と組合せて
投与される。いくつかの実施態様において、この薬剤はエリスロポエチンである。
一部の実施態様において、化合物Iは、高血糖症を予防する薬剤と組合せて投与される
いくつかの実施態様において、化合物Iは、他のHDAC又はDACの阻害剤とともに投与され
る。
(電解質補充)
一部の実施態様において、電解質補充が、化合物I療法を受ける対象に投与される。電
解質レベルが低い(例えば、低カリウム及び/又はマグネシウムレベル)個体は、化合物I療
法が投与される場合、望ましくない副作用の発生を起こしやすい(例えば、米国特許公開
第2008/0124403号を参照されたい。これは引用により本明細書中に組み込まれている。)
そのような患者は、QTc延長(しかし著しい心機能の変化がない可能性もある)及び/又は
心律動異常を含む、心筋再分極作用の発生を特に起こしやすいことがある。観察されるこ
とのある特定の異常には、ECGにおけるQTc間隔の増加及び/又はSTセグメントの異常(例え
ばSTセグメントの低下)及び/又はT波の異常(例えばT波平坦化)がある。
カリウム血清濃度が約3.5mmol/L(3.5mEq/L)未満及び/又は血清マグネシウム濃度が約0.
8mml/L(1.95mEq/L)未満である個体は、心筋再分極作用及び/又は律動異常が発生するリス
クが増加する。
カリウムの血清濃度は、約3.5〜5.5mEq/L又は約3.5〜5.0mEq/Lの範囲内である場合に「
正常」と一般的に考えられる。化合物I療法の投与の前に(及び/又はその間に)個体の血清
カリウム濃度がこれらの範囲内であることを確実にすることが望ましいことが多い。
マグネシウムの血清濃度は、約1.5〜2.5mEq/L又は約1.5〜2.2mEq/L又は約1.25〜2.5mEq
/L又は約1.25〜2.2mEq/Lの範囲内である場合に「正常」と一般的に考えられる。化合物I
療法の投与の前に(及び/又はその間に)個体の血清マグネシウム濃度がこれらの範囲内で
あることを確実にすることが望ましいことが多い。
一部の実施態様において、個体の血清カリウム及び/又はマグネシウム濃度は、化合物I
療法の投与前に(及び/又はその間に)正常範囲上限にある。一部の実施態様において、個
体の血清カリウム濃度は、化合物I療法の投与前及び/又はその間に、少なくとも約3.8mEq
/L、3.9mEq/L、4.0mEq/L、又はそれ以上である。一部の実施態様において、血清カリウム
濃度が約5.0mEq/L、5.2mEq/L、又は5.5mEq/Lを超えないように注意がはらわれる。一部の
実施態様において、個体の血清マグネシウム濃度は、化合物I療法の投与前及び/又はその
間に、少なくとも約1.9mEq/L又はそれ以上である。一部の実施態様において、マグネシウ
ム濃度が約2.5mEq/Lを超えないように注意がはらわれる。
本開示の一部の実施態様において、化合物I療法の投与前及び/又はその間に、個体の血
清カリウム濃度は少なくとも約3.5mEq/L(一部の実施態様において、少なくとも約3.8mEq/
L、3.9mEq/L、4.0mEq/L又はそれ以上)であり、個体の血清マグネシウム濃度は少なくとも
約1.85mEq/L(一部の実施態様において、少なくとも約1.25mEq/L、1.35mEq/L、1.45mEq/L
、1.55mEq/L、1.65mEq/L、1.75mEq/L、1.85mEq/L、1.95mEq/L又はそれ以上)である。
一部の実施態様において、電解質レベル(例えば、カリウムレベル及び/又はマグネシウ
ムレベル、任意にカルシウムレベル)は、化合物I療法の経過の間に2回以上評価され;一
部の実施態様において、異なる評価が一定間隔(例えば、0.5日間以下、1日間、2日間、3
日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、
14日間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月など)隔てられる。一部の実施態様
において、電解質レベルは化合物Iの各投与の前に評価される。
個体の血清カリウム及び/又はマグネシウム及び/又は他の電解質の濃度は、利用可能な
任意の手段により評価することができる。例えば、試料を静脈血又は動脈血から採取し、
血漿又は血清の分析用に処理することができる。一部の実施態様において、静脈サンプリ
ングが利用される。利用可能な任意のアッセイを評価に利用することができる。一部の実
施態様において、カリウムは、炎光光度測定法、ダイレクトポテンショメトリー(例えば
、Kochらの文献、Clin. Chem. 29:1090, 1983参照)、酵素法(例えば、トリプトファナー
ゼの利用による;例えばKimuraらの文献、Clin. Chem. 38:44, 1992参照)、比色法(例え
ば、テトラフェニルホウ酸塩の利用による)により測定される。一部の実施態様において
、マグネシウムは、錯滴定、炎光発光分光法、原子吸光分光法、酵素技術及び色素結合法
を含む他の分光光度技術(例えば、Magnon色素結合及び重クロム酸吸光度;例えば、Barbo
urらの文献、Clin. Chem. 34:2103, 1988参照;ビリルビンによる干渉の除去;例えばReh
akらの文献、Clin. Chem 35:1031, 1989参照など)により測定される。多くの実施態様に
おいて、アッセイは、自動臨床化学分析装置(例えば、Abbott社のARCHITECT(登録商標)な
ど)において実施される。
カリウムとマグネシウムの両方のレベルが評価される場合、それらは別々に又は一緒に
評価してよい。カリウム及び/又はマグネシウムレベルの評価は、化合物I療法の開始前、
それと同時に、及び/又はその後で実施してよい。
一部の実施態様において、個体が、正常未満又は本明細書に記載のとおり正常値の上限
未満の血清カリウム及び/又はマグネシウム濃度を有すると決定された場合、カリウム及
び/又はマグネシウム補充が化合物I療法の開始前、それと同時に、及び/又はその後で投
与される。一部の実施態様において、化合物I療法は、血清カリウム及び/又はマグネシウ
ムレベルが上昇するまで、中断又は延期される。一部の実施態様において、化合物I療法
は、血清カリウム及び/又はマグネシウムレベルが正常範囲内へ、又は正常範囲の上限内
へ上昇するまで、中断又は延期される。一部の実施態様において、化合物I療法は、血清
カリウム濃度が約3.5mEq/Lを超えるまで;又は、約3.8mEq/Lを超えるまで、中断又は延期
される。一部の実施態様において、化合物I療法は、血清マグネシウム濃度が約1.25mEq/L
を超えるか;又は、約1.8mEq/Lを超えるか;又は、約1.9mEq/Lを超えるまで、中断又は延
期される。一部の実施態様において、化合物I療法は、血清カリウム濃度及び血清マグネ
シウム濃度の両方が先に記載のとおり上昇するまで、中断又は延期される。
一部の実施態様において、電解質補充は、化合物I療法の開始前、それと同時に、及び/
又はその後で投与することができ、カリウム及び/又はマグネシウム補充を含むことがで
きる。一部の実施態様において、電解質補充は、ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシ
ウム、マグネシウム、炭酸水素塩、リン酸塩、硫酸塩、及びそれらの組合せからなる群か
ら選択される1種以上の電解質の補充を含むことができる。
種々の異なるカリウム補充形態が利用可能である(例えば、以下のワールドワイドウェ
ブアドレスのウェブページを参照:pdrhealth.com)。例えば、塩化カリウム、クエン酸カ
リウム、グルコン酸カリウム、炭酸水素カリウム、アスパラギン酸カリウム及び/又はオ
ロチン酸カリウムの形態のカリウムサプリメントは、容易に入手することができる。
カリウム補充形態の1つは、高カリウム(1杯につき最大800mgまで)、低ナトリウムの野
菜ジュースである。一部のソフトドリンクは、カリウムが豊富である。一部のソフトドリ
ンクは、他のカリウムサプリメントより苦みの少ないグルコン酸カリウムを含むものもあ
る。代替塩はカリウムに富む。
レーズン、イチジク、アプリコット、サーディン、子牛、バナナ、アボカド、及びブロ
ッコリーなどのカリウムに富むいくつかの食品は、カリウムサプリメントとして使用する
ことができる。カリウムに富む食品は、容易に生物学的に利用可能である、カリウムを与
えることができ、及び/又はカリウム塩の投与に関連する胃腸副作用を軽減し得る。カリ
ウムサプリメントは、総合ビタミン剤の一部として与えてもよい。
カリウムは、典型的には経口又は静脈内に補充されるが、他の送達様式も本開示の範囲
内である。
カリウムサプリメントのいくつかの市販の形態には、例えば、酢酸カリウム(例えば、
注射用2mEq/mL又は4mEq/mL);酢酸カリウム(例えば、錠剤75mg、95mg、99mg、及び180mg
、並びに/又は注射用2mEq/mL、10mEq/50mL、20mEq/50mL、10mEq/100mL、20mEq/100mL、30
mEq/100mL、40mEq/100mL、並びに/又は再構成用の液体20mEq/15mL、40mEq/15mL及び/若し
くは散剤20mEq若しくは25mEq、並びに/又は徐放性錠剤9mEq、10mEq、若しくは20mEq)、及
びグルコン酸カリウム(例えば、錠剤486mg、500mg、550mg、595mg、610mg、及び620mg)が
ある。
様々な異なるマグネシウム補充形態も利用可能である。例えば、塩化マグネシウム、グ
ルコン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、酸化マグネシウム、及び/又は硫酸マグネシ
ウムの形態のサプリメントは、容易に入手することができる。
アーティチョーク、バナナ、イチジク、アーモンド、カシューナッツ、松の実、ブラジ
ルナッツ、豆、ほうれん草、及びトマトなどマグネシウムに富むいくつかの食品をマグネ
シウムサプリメントとして使用することができる。マグネシウムサプリメントは総合ビタ
ミン剤の一部として与えてもよい。
マグネシウムサプリメントのいくつかの市販形態には、塩化マグネシウム(例えば、注
射用200mg/ml、徐放性錠剤535mg)、グルコン酸マグネシウム(液体3.25mg/mL、1000mg/5mL
;錠剤500mg);乳酸マグネシウム(徐放性錠剤84mg);酸化マグネシウム(例えば、カプセ
ル剤、散剤140mg、600mg、及び/又は錠剤200mg、250mg、400mg、420mg、及び500mg)、硫
酸マグネシウム(例えば、注射用40mg/mL、80mg/mL、125mg/mL、500mg/mL)がある。
一部の実施態様において、電解質補充は、化合物I療法に関連した1つ以上の心毒性を軽
減するか、又はその発症を遅延するのに十分な量で投与される。一部の実施態様において
、電解質投与は、悪心、吐気、疲労(嗜眠、不安感、無力症)、クレアチンホスホキナーゼ
(CPK)増加、高尿酸血症、低カルシウム血症、高血糖症、熱、胃炎、下痢、腹痛、脱水、
体重減少、低リン酸塩血症、低ナトリウム血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症、
失神、低酸素症、胸水、低血圧、心筋虚血、心筋トロポニンI増加、錯乱、及び/又は骨髄
抑制、並びにこれらの組合せの1種以上も軽減することができる。
一部の実施態様において、心毒性は、心拍数補正QT(QTc)間隔延長、上室性不整脈(上室
性頻拍(SVT)/心房細動/心房粗動)、及びこれらの組合せからなる群から選択される。一部
の実施態様において、QTc延長及び/又は他の電気生理学的変化は、電解質補充の後に正常
な値又は範囲に低減される。
他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は全て、当業者に
一般に公知である意味に従う。本明細書で言及された刊行物、特許、公開特許出願、及び
他の参考文献は全て、それらの全体が引用により本明細書に組み込まれている。本開示の
実施態様は相互排除的であると考えるべきでなく、組合せることができる。
(実施例)
(固体形態の特性評価の一般的手順)
化合物Iの提示された形態を説明するための特性評価情報の組合せ(assortment)を、本
明細書に提供する。しかし、そのような特定の形態が所与の組成物中に存在することを決
定するために、そのような情報の全てが当業者には必要ではないこと、しかし特定の形態
の決定は、例えばたとえ単独の識別できるピークが当業者がそのような特定の形態が存在
することを理解するために十分であったとしても、特定の形態の存在を確立するのに十分
であると当業者が認識するであろう特性評価情報の任意の部分を使用し実現され得ること
は理解されなければならない。米国薬局方(USP)は、結晶形態の特性評価に関する追加の
指針を提供している(米国薬局方、X線回折〈941〉、第31版、Rockville, MD:United Sta
tes Pharmacopeial Convention;2008:372-374を参照されたい。これは引用により本明細
書中に組み込まれている。)。
(材料)
溶媒は、別に言及しない限りは、HPLC等級又はACS等級のいずれかであった。試料は、
化合物I形態A固形物から、又はこれらの固形物から生成した試料から調製した。これらの
材料に関する形態の指定は、X線粉末回折法(XRPD)を基にした。別に言及しない限りは、
試料は光から防御するよう注意した。特性評価の前に、固形物を、以下のように貯蔵した
:形態A及び形態B(更に形態A固形物を含んでよい)は周囲条件下で、形態E及び形態Hは冷
凍庫内の乾燥剤上で、形態Cは冷蔵庫内で母液と接触して、形態Dは冷凍庫内で母液と接触
して、並びに形態Iは周囲条件下又は冷凍庫内で母液と接触して。形態Dの明らかな不安定
性のために、溶液プロトン核磁気共鳴分光法(1H-NMR)以外の全ての特性評価データは、形
態Dについて同じ日に収集した。1H-NMR分析は2、3日後まで試行しなかったが、分析用の
溶液は、残りの特性評価と同じ日に調製した。
(機器技術)
(光学顕微鏡法)
光学顕微鏡法は、Leica MZ12.5実体顕微鏡を用いて実施した。試料は、直交偏光板と一
次赤色補償板(first order red compensator)を交差させ、原位置で(in situ)又はスライ
ドガラス上で目視した(時にはParatone-N油で覆った)。0.8〜10倍の範囲の、様々な対物
レンズを使用した。
(X線粉末回折法(XRPD)(Inel社))
XRPDパターンは、120°2θ範囲で、湾曲した位置の高感度検出器を装着した、Inel社XR
G-3000回折計を用いて収集した。CuKα線の入射ビーム(40kV, 30mA)を使用し、分解能0.0
3°2θで、リアルタイムでデータを収集した。この分析の前に、Si 111ピーク位置を検証
するために、シリコン標準物質(NIST製SRM 640c)を分析した。試料は、それらを薄肉ガラ
スキャピラリー内に封入することにより、分析のために調製した。各キャピラリーは、ゴ
ニオメーターヘッド上に搭載し、データ獲得時には回転した。モノクロメーターのスリッ
トは、5mm×160μmに設定した。各パターンに関するデータ獲得パラメータは、データセ
クションの画像上に表示した。
(PANalytical透過)
XRPDパターンは、PANalytical社のX'Pert Pro回折計を使用し収集した。CuKα線の入射
ビームは、Optix社の長い高精度焦点線源を用いて作製した。楕円状に段階的な(elliptic
ally graded)多層反射鏡を使用し、線源のCuKαX線を、標本を通り、且つ検出器上に焦点
を合わせた。データを収集し、X'Pert Pro Data Collectorソフトウェア(v.2.2b)を用い
分析した。この分析前に、シリコン標本(NIST製SRM 640c)を分析し、Si 111ピーク位置を
検証した。標本は、厚さ3μmのフィルムの間に挟み、透過幾何学で分析し、且つ配向の統
計を最適にするように回転した。ビーム停止を用い(ヘリウムガスであることが多い)、空
気散乱により生じたバックグラウンドを最小化した。ソーラースリットを、入射ビーム及
び回折ビームの、軸方向の発散(axial divergence)を最小化するために使用した。回折パ
ターンは、標本から240mmに配置した走査位置高感度検出器(X'Celerator)を用いて収集し
た。
(PANalytical反射)
XRPDパターンは、PANalytical社X'Pert Pro回折計を用いて収集した。CuKα線の入射ビ
ームは、長い高精度焦点線源及びニッケルフィルターを備えるセラミック管を用いて発生
させた。回折計は、反射台及び手動操作のスピナーにより対称Bragg-Brentano幾何学を用
いて配置した。データを収集し、X'Pert Pro Data Collectorソフトウェア(v.2.2b)を用
い分析した。この分析前に、シリコン標本(NIST製SRM 640c)を分析し、Si 111ピーク位置
を検証した。標本は、シリコンゼロ-バックグラウンド基板上に中心を持つ薄い円形の層
として調製した。散乱防止用のスリットを使用し、空気散乱により生じたバックグラウン
ドを最小化した。ソーラースリットを、入射ビーム及び回折ビームの、軸方向の発散を最
小化するために使用した。回折パターンは、標本から240mmに配置した走査位置-高感度検
出器(X'Celerator)を用いて収集した。各パターンに関するデータ獲得パラメータは、デ
ータセクションの画像上に表示した。
(ピーク識別法(XRPD))
最大約30°2θの範囲内のピークを選択した。異なる丸めアルゴリズムを使用し、各ピ
ークを、データを収集するために使用した機器及び/又は固有ピーク分解能に応じて最も
近い0.1°又は0.01°2θに丸めた。図面と表の両方におけるx-軸(°2θ)に沿ったピーク
の位置は、プロプライエタリ・ソフトウェア1を用い自動的に決定し、前記判定規準を基
に小数点の後ろで1桁又は2桁の有効数字に丸めた。ピーク位置の変動性は、X線粉末回折
法における変動性のUSP考察2において概説された推奨を基に±0.1°2θ以内で得られる。
d-スペース列挙のために、d-スペースの計算に使用した波長は、Cu-Kα1波長とCu-Kα2
3の重み付き平均である1.541874Åであった。d-スペースの推定値に関連した変動性は
、各d-スペース配置でUSP推奨値から計算し、各データ表に記した。
1 PatternMatch(商標)3.0.4
2 米国薬局方、USP 32, NF 27, 第1巻392頁、2009年5月1日、〈941〉「X線回折」
3 a)SSCI実験ノート4005-87、b)Phys. Rev., A56(6)4554-4568(1997)
ただ1つのXRPDパターンを有し、且つ試料が粉末平均の良い近似を提供するかどうかを
評価するための他の手段を有さない試料に関して、ピークの表は、「顕著ピーク」として
のみ同定されたデータを含む。これらのピークは、全ての観察されたピークリストの部分
集合である。顕著ピークは、強度が強い、好ましくは重複しない低角度ピークを同定する
ことにより、観察されたピークから選択される。
複数の回折パターンが入手可能である場合、粒子統計(PS)及び/又は好ましくは粒子配
向(PO)の評価が可能である。単独の回折計上で分析された複数の試料のXRPDパターン間の
再現性は、その粒子統計は妥当であることを指摘している。複数の回折計からのXRPDパタ
ーン間の相対強度の一貫性は、良好な配向統計を指摘している。或いは観察されたXRPDパ
ターンは、入手可能であるならば、単結晶構造を基に計算されたXRPDパターンと比べるこ
とができる。面検出器を使用する二次元散乱パターンも、PS/POを評価するために使用す
ることができる。PS及びPOの両方の作用が無視できると決定される場合、そのXRPDパター
ンは、試料に関する粉末平均強度の代表であり、且つ顕著ピークは「代表ピーク」として
同定することができる。
「特徴的ピーク」は、代表ピークの部分集合であり、且つ1つの結晶性多形体を別の結
晶性多形体から識別するために使用される。特徴的ピークは、もしあれば、どの代表ピー
クが、その化合物の他の公知の全ての結晶性多形体に対し、±0.1°2θ以内に、化合物の
1つの結晶性多形体中に存在するかを評価することにより決定される。化合物の全ての結
晶性多形体が必ずしも少なくとも1つの特徴的ピークを有するわけではない。
(示差走査熱量測定(DSC))
DSCは、TA Instruments社Q2000示差走査熱量計を用いて行った。温度較正は、NIST製の
トレーサブルのインジウム金属を用いて行った。試料は、アルミニウムDSCパンに配置し
、重量を正確に記録した。パンは蓋で覆い、蓋はクリンプした(crimp)。秤量したクリン
プしたアルミニウムパンを、セルの参照側に配置した。試料セルを、初期温度で平衡とし
、且つ窒素掃流下で加熱した。サーモグラムに関するデータ獲得パラメータは、データセ
クションの画像上に表示した。報告された温度は、別に言及しない限りは、最大転移(tra
nsition maxima)でのものである。
(変調示差走査熱量測定(MDSC))
MDSCデータは、冷蔵冷却システム(RCS)を装着した、TA Instruments社Q2000示差走査熱
量計を用いて行った。温度較正は、NIST製トレーサブルのインジウム金属を用いて行った
。試料は、アルミニウムDSCパンに配置し、重量を正確に記録した。パンはレーザーピン
ホールで穿孔した蓋で覆い、蓋はクリンプしたか、又は密封されたパンをその後クリンプ
した。秤量したクリンプしたアルミニウムパンを、セルの参照側に配置した。データは、
-50.00℃から200.00℃まで2.00℃/分の基礎となる加熱速度で、変調振幅±0.50℃及び60
秒間を使用し、入手した。報告されたガラス転移温度は、反転熱流(reversing heat flow
)対温度曲線の階段状の変化の変曲点から入手した。
(熱重量分析(TGA))
TG分析は、TA Instruments社2050熱重量分析装置を用いて行った。温度較正は、ニッケ
ル及びAlumel(商標)を用いて行った。試料は、アルミニウムパンに配置し、TG炉へ挿入し
た。一実施態様において、パンは開放したま放置した。試料セルは、初期温度で平衡とし
、且つ炉を窒素下で加熱した。別の実施態様においては、この装置は、掃流及び均衡のた
めに、各々、10及び90cc/分のヘリウム流下で操作し、且つ炉を最終温度250℃まで、20℃
/分の速度でヘリウム下で加熱した。
(赤外分光法(FT-IR))
一実施態様において、本明細書に記載の固体形態に関するFT-IRスペクトルは、Ever-Gl
o中赤外/遠赤外線源、拡大された範囲の臭化カリウム(KBr)ビーム分割器、及び重水素化
硫酸トリグリシン(DTGS)検出器を装着した、Magna-IR 860(登録商標)フーリエ変換赤外(F
T-IR)分光計(Thermo Nicolet社)において獲得した。一部の非晶質固体形態FT-IRスペクト
ルは、先にMagna-IR 860(登録商標)について説明されたものと同じ方式で装着した、Nexu
s 670(登録商標)を用いて獲得した。Magna-IR 860(登録商標)及びNexus 670(登録商標)に
関する波長検定は、NIST製SRM 1921b(ポリスチレン)を用いて行った。データ獲得のため
には、ゲルマニウム(Ge)結晶を備えた減衰全反射測定(ATR)付属品(Thunderdome(商標)、T
hermo Spectra-Tech社)を使用した。各パターンに関するデータ獲得パラメータは、デー
タセクションの画像上に表示した。バックグラウンドデータのセットは、透明なGe結晶で
獲得した。Log 1/R(R=反射率)スペクトルは、互いに対しこれら2つのデータのセットの
比を得ることにより入手した。
別の実施態様において、FT-IRスペクトルは、Ever-Glo中赤外/遠赤外線源、臭化カリウ
ム(KBr)ビーム分割器、及び重水素化硫酸トリグリシン(DTGS)検出器を装着した、Nexus 6
70(登録商標)フーリエ変換赤外分光計(Thermo Nicolet社)において獲得した。波長検定は
、NIST製SRM 1921b(ポリスチレン)を用いて行った。データ獲得のためには、ゲルマニウ
ム(Ge)結晶を備えた減衰全反射測定(ATR)付属品(Thunderdome(商標)、Thermo Spectra-Te
ch社)を使用した。各スペクトルは、スペクトル分解能2cm-1で収集した、512の同時添加
した(co-added)走査を表している。バックグラウンドデータのセットは、透明なGe結晶で
獲得した。Log 1/R(R=反射率)スペクトルは、互いに対しこれら2つのデータのセットの
比を得ることにより入手した。
ピーク位置は、標準スペクトルソフトウェアを使用し決定した。ピーク位置の変動性は
、選定されたピークの観察された鋭敏さ及び1cm-1データ点スペース(分解能2cm-1)を使用
するデータの獲得を基に、±2cm-1以内とした。本明細書に報告された任意の特定の測定
に関連した精度及び精密さは決定していない。
(核磁気共鳴(NMR))
溶液のプロトン核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)は、Varian UNITYINOVA-400分光計によ
り獲得した。試料は、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)を溶媒とする溶液として
調製した。
(ラマン分光法)
ラマンスペクトルは、ゲルマニウム(Ge)検出器を装着したFT-Raman 960分光計(Thermo
Nicolet社)において獲得した。波長検定は、イオウ及びシクロヘキサンを用いて行った。
各試料は、試料を直径13mmの金でコーティングされたカップに配置し、且つ材料を平準化
することにより、分析のために調製した。各スペクトルは、スペクトル分解能2cm-1で収
集した、512の同時添加した走査を表している。
(実施例1:化合物Iの全般的調製)
化合物Iの様々な調製及び精製は、1990年12月11日に発行された米国特許第4,977,138号
及び2001年8月22日に出願されたPCT国際出願第WO02/20817号に開示されており、これらは
各々それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
一部の実施態様において、引用により本明細書中に組み込まれている、2007年12月28日
に出願された米国特許出願公開第US 20090186382号に説明されているように、見かけのpH
が約6.5未満及び/又は見かけのpHがほぼ約6.0未満である化合物Iの生成、精製及び/又は
貯蔵は、二量体化された、オリゴマー化された又は重合された化合物Iの形成を防止する
ことがわかっている。一実施態様において、1つ以上の精製工程は、見かけのpHが6.5未満
で実行される。別の実施態様において、1つ以上の精製工程は、見かけのpHが6.0未満で実
行される。いくつかの実施態様において、1つ以上の精製工程は、見かけのpHが4.0〜6.0
の範囲で実行される。いくつかの実施態様において、精製工程は全て、見かけのpHが約4.
0〜約6.0の範囲で実行される。望ましくない夾雑物の形成を防止するために、化合物Iを
含有する溶液の見かけのpHは、約7.0を超える、又はより好ましくは約6.0を超える見かけ
のpHには到達させない。全ての精製プロセスの見かけのpHは、モニタリングされ、引き続
き必要ならば、約6.0未満の見かけのpHまで調節されることが好ましい。いくつかの実施
態様において、これは約4.0〜約6.0の見かけのpH範囲以内に維持される。水溶液を使用す
るプロセス又は工程の最後に向かう精製工程における見かけのpHの制御は、望ましくない
夾雑物の形成を減らすか又は排除するのに特に有用であることが分かっている。任意の酸
又は緩衝液を使用し、pHを制御することができる。いくつかの実施態様において、酢酸又
はギ酸などの有機酸を使用し、1つ以上の精製工程においてpHを制御する。いくつかの実
施態様において、リン酸又は塩酸などの無機酸を使用する。
見かけのpHをモニタリングし且つ必要ならば見かけのpHを低下することにより、望まし
くない副産物の形成を防止するよう、発酵、半合成、又は完全合成のいずれかによる化合
物Iを精製する任意の手順を、本開示を基に改変することができる。
1H-NMRの形での化合物Iの例証的データを、図1(a)に図示し、且つ化合物Iの分子構造を
図1(b)に図示している。図1(a)に図示された1H-NMRは、化合物Iと一致した化学シフト及
び積分値を示し、存在する残留アセトン(約2.08ppm)を有し、且つ水ピーク(3.33ppmに出
現)は切り捨てられている。
(実施例2:形態C及び/又は形態C含有組成物の調製及び特性評価)
化合物I形態Cを、化合物I形態Cを含有する固形物による、ロミデプシン形態Aの飽和溶
液の連続結晶種投入により調製し、ここで各生成された物質で得られたX線粉末回折法(XR
PD)パターンは、最終品(the last)よりもより多くの化合物I形態Cパターンに存在する反
射を示した。このシリーズは、3つの実験を含んだ:(a)1回目の結晶種投入手順;(b)2回
目の結晶種投入手順;及び、(c)化合物I形態Cの最終調製。最終生成物化合物I形態Cに関
して収集されたXRPDパターンは、化合物I形態Aからの反射を示すようには見えない。これ
らの実験は下記のように実行した:
(a)1回目の結晶種投入手順−分量1及び分量2試料の調製
化合物I形態A(103mg, 0.2mmol)及びアセトン(5mL)を、ガラスバイアルに投入し、約1分
間激しく攪拌し、透明な溶液を作製した。このバイアルを、NIST-トレーサブルの温度計
により測定しながら、-5℃の浴に浸した。試料を、約26時間攪拌せずに浴中に放置し、わ
ずかな沈殿物を生じた。この沈殿物を、透明なガラスバイアルへと0.2μmナイロンフィル
ターディスクを通す濾過により除去し、透明な溶液を得た。
この溶液が依然冷たい間に、かきまぜずに冷水(15mL)を添加した。この溶液は、透明且
つ冷たいままであり、視認可能な沈殿物はなく、この試料は-5℃の浴に戻した。試料は、
約5日間攪拌せずに浴内に放置した。第1日目の夜の後、バイアルを穏やかに振盪し、その
後浴に戻し、試料中に明らかな変化は生じなかった。5日後、バイアルの底に固形物が認
められた。
その上清をデカントし、固形物を優しく破砕し、スラリーを生じた。このスラリーの分
量(portion)(「分量1」)を、X線粉末回折法による分析のために、1.0mmガラスキャピラリ
ー内で、小さいアリコートで、周囲温度で遠心分離した。遠心分離は、約10分まで数秒間
のインクリメントで行い、合計の遠心分離は20分間を超えた。X線粉末回折分析は、化合
物I形態A及び化合物I形態Cに存在する反射の証拠を示し、これは回収された固形物が相の
混合物であることを示唆している。
第2の分量(「分量2」)は、周囲温度でバイアル内で開放したまま放置し、固形物を部分
的に乾燥しながら、キャピラリーを調製した。キャピラリー試料及びバルク試料の両方を
、分析の前及び後に、冷蔵庫内で貯蔵した。キャピラリー試料は、調製後短時間のうちに
分析し、且つバルク試料は、その単離した日に結晶種として使用した。
(b)2回目の結晶種投入手順
化合物I形態A(1.03g, 1.9mmol)及びアセトン(37mL)をガラスバイアルに投入し、短時間
激しく攪拌し、透明な溶液を作製した。このバイアルを、NIST-トレーサブルの温度計に
より測定しながら、-5℃の浴に浸した。試料を、約1.5時間攪拌せずに浴中に放置し、比
較的少量の沈殿物を生じた。この沈殿物を、透明ガラスの丸底フラスコへと0.2μmナイロ
ンフィルターディスクを通す冷却濾過により除去した。
このフラスコは、化合物I形態Cの形成を促進するために、結晶種として「分量2」から
の固形物(スパチュラ先端とほぼ同じ量)を含んだ。沈殿物は明らかではなかったが、結晶
種の固形物は残存した。「分量2」からの追加の固形物(スパチュラ先端とほぼ同じ量)を
添加した。沈殿物は明らかではなかったが、結晶種の固形物は残存した。
冷水(111mL)を一気に全て注いだ。数分後、わずかな沈殿物が存在するように見えた。
このフラスコを-5℃の浴に一晩浸した。わずかな沈殿物のみが観察された。試料は短時間
振盪し、浴に約2時間戻し、かなりの沈殿物を得た。固形物をフラスコ壁から優しく掻き
取った。
フラスコ底の上の固形物に的を絞るため、「分量3」を、X線粉末回折法による分析のた
めに、1.0mmガラスキャピラリー内で、小さいアリコートで、周囲温度で遠心分離した。
遠心分離は、数秒間のインクリメントで行った。X線粉末回折分析は、回収された固形物
が主に化合物I形態Cと一致し、且つ化合物I形態Aの存在の指標であることを示した。
この試料は、分析の前及び後に、冷蔵庫内で貯蔵したが、翌日まで分析しなかった。冷
蔵庫から取り出した直後に分析を行った(「分量4」)。「分量4」は、周囲温度で密閉して
放置しながら、キャピラリーを調製し、-5℃の浴に約3日間戻し、その後結晶種として使
用する直前まで、冷蔵庫で貯蔵した。
(c)形態Cの最終調製
化合物I形態A(1.09g, 2.0mmol)及びアセトン(39mL)を、ガラスバイアルに投入し、激し
く攪拌し且つ短く浴で音波処理し、透明な溶液を作製した。このバイアルを、NIST-トレ
ーサブルの温度計により測定しながら、-5℃の浴に浸した。試料を、約2.5時間攪拌せず
に浴中に放置し、比較的少量の沈殿物を生じた。この固形沈殿物を、透明ガラスの丸底フ
ラスコへと0.2μmナイロンフィルターディスクを通す冷却濾過により除去し、透明な溶液
を得た。
このフラスコは、化合物I形態Cの形成を促進するために、「分量4」からのスラリー(約
1mL)により結晶種投入した。沈殿物は明らかではなかったが、結晶種の固形物は残存した
冷水(400mL)を一気に全て注いだ。非常にわずかな沈殿物が存在するように見え、結晶
種固形物が沈殿した。「分量4」からの追加のスラリー(約1mL)を添加し、フラスコを短時
間旋回させた後であっても、同じ結果を生じた。このフラスコを-5℃の浴に約3日間浸し
、溶媒を凍結した。
このフラスコを冷蔵庫内に一晩放置した後、溶媒は融解したが、固形物は残留した。フ
ラスコを旋回させ、試料を、2個のプラスチック製遠心管内で、同時に、50mLアリコート
で、周囲温度で遠心分離した。遠心分離は、約5〜10分のインクリメントで行い、試料の
温まりを最小とし、かつ透明な上清の生成を確実にした。得られた上清を、透明なHDPEボ
トルへとデカントした。最終的なフラスコアリコートは、ボトルからの液体(数mL)により
1回すすぎ、フラスコ壁から追加の固形物を回収することを含んだ。これらの固形物は、
新たな沈殿物であるようには見えなかったが、試料をフラスコからチューブへと注いだ時
に、壁上に収集された。残留試料はフラスコにはほとんど存在せず、且つこの残留物は回
収しなかった。フラスコ試料を空にした後、遠心した試料を1本のチューブに回収し、他
方のチューブをボトルからの液体で2回すすいだ(1回のすすぎにつき約15mL)。最終の上清
は固形物と一緒に残した。チューブ、フラスコ及びボトルは、操作しない時は、冷蔵庫内
に貯蔵した。遠心分離は2日間かけて完了し、且つ固形物は遠心分離の翌日まで分離しな
かったので、これは一晩の貯蔵を含んだ。
チューブの底の固形物に的を絞るために、最終生成物である化合物I形態Cの分量を、X
線粉末回折法による即時分析のために、1.0mmガラスキャピラリー中で、小さいアリコー
トで、周囲温度で遠心分離した。遠心分離は、数秒間のインクリメントで実行した。
X線回折パターン(XRPD)、示差走査熱量サーモグラム(DSC)、熱重量分析サーモグラム(T
GA)、赤外スペクトル(FT-IR)、及び単結晶構造データ(例えば、ORTEP図、パッキング図、
位置パラメータ、結合距離及び結合角)の形での化合物I形態Cの例証的データを、前掲の
図1(c)から1(q)に図示する。図1(c)から1(q)に提示された例証的データのまとめは以下で
ある。
形態Cは、単結晶データ(図1(i)から1(q)参照)から決定されたように、化合物Iの結晶性
非化学量論的水和物である。その結晶構造は、1個の完全に占拠された水分子及び第二の
水部位を含み、正確な占拠率は約73%である。化合物Iの形態Cの特性評価を、表3にまと
めている。
表3:化合物I形態Cの特性評価
Figure 0006490632
化合物I形態CのXRPDパターン最終生成物(図1(c)及び1(d)参照);と、化合物Iの形態Cの
構造から準周囲温度で収集された計算されたパターン(図1(i)及び1(j)参照)の比較は、XR
PDパターンは単相を表すこと、及び観察された反射は化合物I形態Aが原因ではないことを
示唆している。単結晶データは、極低温度で収集し、温度作用に起因した2θピーク位置
の非常に小さい平坦でないシフトが観察された。
化合物I形態Cに関する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム(図1(e)参照)は、熱重量分
析(TGA)サーモグラムにおいて観察された5.3%の重量損失(図1(f)参照)を基に、溶媒の喪
失に起因する、約97℃及び140℃(最小)で広幅の吸熱性事象を示した。この重量損失は、
水約1.7モルに相当し、これは単結晶データから得られた結果に類似している。しかし、
試料はアセトン/水混合液から結晶化されたので、この喪失はアセトンを含み得る。DSCサ
ーモグラムはまた、約257℃(最小)で吸熱を示す(図1(e)参照)。この吸熱は化合物I形態A
の融解及び固形物の見かけの脱溶媒和に相当すると考えられる。小さい発熱性事象が、約
177℃で観察された(図1(e)参照)。見かけの融解温度を基に、これは化合物I形態Aへの再
結晶を表すように見える。TGAからの最終重量損失は、化合物I形態Aに関するように、分
解がDSCにより観察された見かけの融解と同時であることを示唆している。化合物I形態C
に関する代表的熱データを得るために、固形物は、分析前に、実験室ドラフトにおいて、
周囲温度で約2.5時間風乾し、残存する溶媒を除去した。
当業者は、形態Cは、Shigematsuらの文献に報告されたメタノール溶媒和物と同形であ
り得ることを、示したデータから容易に確かめることができるであろう(The Journal of
Antibiotics, Vol. 47, No. 3,「クロモバクテリウム・ビオラセウムにより生成された新
規抗腫瘍性二環式デプシペプチドFR901228(FR901228, A Novel Antitumor Bicyclic Deps
ipeptide Produced by Chromobacterium violaceum)」、No. 968, pp. 311-314 (1994年3
月))。
(実施例3:形態D及び/又は化合物I形態D含有組成物の調製及び特性評価)
化合物I形態A(1.20g, 2.2mmol)及びアセトン(38mL)を、ガラス製エレンマイヤーフラス
コに投入し振盪し、旋回させ、且つ浴で数分間音波処理し、固形物の大半を溶解した。溶
けなかった固形物を、透明なガラス製エレンマイヤーフラスコへと0.2μmナイロンフィル
ターディスクを通す濾過により除去し、透明な溶液を得た。ヘキサン(152mL)を添加し、
このことはかきまぜることなく直ちに固形物を沈殿させた。フラスコを冷凍庫内に一晩放
置し、固形物をフラスコの底に沈降させた。透明な上清をデカントし、固形物のアリコー
トを、即時X線粉末回折分析のために取り出した。この分析は、固形物が化合物I形態Dか
らなることを示した。固形物を、熱分析及び分光分析のために、分析試料から回収した。
使用しない物質は冷凍庫内に貯蔵した。
XRPD、DSC、TGA及びFT-IRの形での化合物I形態Dの例証的データを、前掲の図2(a)から2
(f)に図示する。図2(a)から2(f)に提示された例証的データのまとめは以下である。実施
例8に記載されたように、当業者は、化合物I形態Dは、MEK溶媒和物(化合物I形態J)と同形
であり得ることを、示したデータから容易に確かめることができるであろう。
形態Dは、周囲条件下で形態Aへ変換する化合物Iの不安定な結晶性アセトン溶媒和物で
ある。冷アセトン溶液から調製された結晶は、指数化した(indexed)。この指数化溶液は
、下記の格子パラメータ及び計算された容積を持つ、斜方晶系単位格子であることが決定
された:a=9.093、b=15.581、c=23.141Å、V=3278.57(9) Å3。式量は598.81g/molで
あると決定された。格子パラメータは、化合物I形態Jの結晶構造から得られた格子に類似
している。化合物I形態Dと化合物I形態Jの2つの単位格子及びXRPDパターンの間の類似性
は、これら2つの試料は関連した結晶形態であることを示唆している。化合物I形態Jは、
化合物Iのモノメチルエチルケトン溶媒和物であることが決定されているので、恐らく形
態Dは化合物Iの一溶媒和物であろう。化合物I形態Dの特性評価を、表4にまとめている。
表4:化合物I形態Dの特性評価
Figure 0006490632
実験的化合物I形態Dパターンは、図2(b)の添付ラインリストと共に、図2(a)に提供して
いる。パターンは、化合物I形態Dのパターンと一致し、且つ図6(a)に提示されたXRPDオー
バーレイにおいて観察された化合物I形態Jのパターンに類似している。この図2(a)の高分
解能パターンは、物質を冷凍庫内に貯蔵した後に収集し、且つ化合物I形態D及び化合物I
形態Aの存在を示し、これは相の混合を示唆し、そのため冷凍庫内の貯蔵後の物質から作
製されたパターンを使用し、化合物I形態Dに関する対応するピークリストを作成した(図2
(b)参照)。
化合物I形態DのFT-IRスペクトル及び付随するピークリストは、図2(e)及び図2(f)とし
て提供している。溶媒喪失からの形態変換の可能性を避けるために、FT-IRデータに関す
る固形物は、冷凍庫から取り出したら直ちに収集した。
化合物I形態Dに関するTGAサーモグラム(図2(d)参照)は、約10.9%の重量損失を示し、
且つDSCサーモグラム(図2(c)参照)は、約91℃での小さい発熱性事象を示した。化合物I形
態Dの不安定性及び化合物I形態Aへの変換の傾向を基に、これらの事象は、各々、脱溶媒
和及び化合物I形態Aへの再結晶に主に関連しているように見える。TGAにより観察された
重量損失は、アセトンのモル数よりわずかに多くに対応している。溶媒喪失からの形態変
換の可能性を避けるために、固形物は、冷凍庫から取り出したら直ちに分析した。分析の
開始前には重量損失は観察されなかったので、観察された重量損失は、結晶格子からの溶
媒喪失が原因であり、また化合物I形態Dはアセトン溶媒和物であることを示唆している。
DSCサーモグラムはまた、約261℃(最小)での吸熱を示している。吸熱は、先の多形スクリ
ーニングにおいて収集されたデータ(実施例11参照)及び固形物の見かけの脱溶媒和を基に
、化合物I形態Aの融解に対応していると考えられる。TGAからの最終重量損失は、化合物I
形態Aに関するように、分解がDSCにより観察された見かけの融解と同時であることを示唆
している。
(実施例4:形態E及び/又は形態E含有組成物の調製及び特性評価)
化合物I形態A(2.75g, 5.1mmol)及びt-ブタノールと水の混合液[60:40(v/v)]を含有す
る溶液(31mL)を、50mLのエレンマイヤーフラスコに投入した。固形物が残留した。試料を
一晩周囲温度で攪拌し、得られた固形物を、真空濾過により収集した。回収された固形物
を、秤量紙に移し、周囲条件下で約2時間乾燥した。乾燥した固形物をガラスバイアルへ
移し、周囲条件下で貯蔵した。X線粉末回折分析は、この固形物は、化合物I形態Eと一致
することを示した。固形物の回収は、2.79g(89%)であった。
XRPD、DSC、TGA、FT-IR、ラマンスペクトル及び単結晶構造データ(例えば、ORTEP図、
パッキング図、位置パラメータ、結合距離及び結合角)の形での化合物I形態Eの例証的デ
ータを、前掲の図3(a)から3(p)に図示する。図3(a)から3(p)に提示された例証的データの
まとめは以下である。当業者は、化合物I形態Eは、化合物I形態H(実施例6参照)と同形で
あり得ることを、ここに提示したデータから容易に確かめることができるであろう。
化合物I形態Eは、単結晶データから決定されるように、化合物Iの結晶性tert-ブタノー
ル一溶媒和物(図3(h)から3(p)参照)である。化合物I形態Eの特性評価を、表5にまとめて
いる。
表5:化合物Iの形態Eの特性評価
Figure 0006490632
化合物I形態Eの実験したもの(図3(a)及び3(b)参照)と計算したもの(図3(h)及び3(i)参
照)のXRPDパターン及び付随するピークリストの比較を提供している。単結晶データは、
極低温度で収集し、そのため温度作用に起因した2θピーク位置の非常に小さい平坦でな
いシフトが観察された。化合物I形態Eの付随するピークリストを伴うFT-IR(図3(e)及び3(
f)参照)及びFT-ラマンスペクトル(図3(g)参照)を提供する。
化合物I形態EのDSCサーモグラム(図3(c)参照)は、TGAサーモグラム(図3(d)参照)を基に
した、脱溶媒和に起因した、約158℃(最小)での吸熱性事象を示し、且つホットステージ
顕微鏡により約157℃での複屈折の部分的喪失を示した。ホットステージ顕微鏡は、約250
℃(最小)でのDSCにおける吸熱により指摘されるように、標本が約243℃で融解することを
示した。この融解温度を基に、本試料は融解前に化合物I形態Aへと脱溶媒和されると考え
られる。TGAからの最終重量損失は、化合物I形態Aに関するように、分解は、ホットステ
ージ顕微鏡により観察された融解と同時であることを示唆している。
(実施例5:形態F及び/又は形態F含有組成物の調製及び特性評価)
一実施態様において、化合物I形態A(Fujisawa社ロット番号005033L[1], 105.9mg, 0.2m
mol)及びクロロホルム(4mL)を、ガラスバイアルに投入し、浴で約1分間音波処理し(conic
ated)、わずかな不溶性の粒子を伴う、透明な溶液を作製した。追加の化合物I形態A(Fuji
sawa社ロット番号005033L, 281.7mg, 0.5mmol)を添加した。得られたスラリーを、周囲条
件下で〜12時間、回転ホイール上で激しくかきまぜた。試料をホイールから取り外し、残
存する固形物は溶液の表面に浮かんだ。この溶液を、ピペットでくみ出し、且つ分量を、
透明なガラスバイアルへと0.2μmナイロンフィルターディスクを通し濾過した。バイアル
は、周囲実験室ドラフト内で蒸発するよう開放したまま放置した。回収された固形物を、
X線粉末回折(XRPD)により分析した。得られたパターンは、反射の分解能を示し、結晶性
物質であることを指摘した。このパターンは独特であるので、これはパターンFと称した
別の実施態様において、化合物I形態A(Sandoz社ロット番号49800203, 740mg, 1.4mmol)
及びクロロホルム(30mL)を、ガラスバイアルに投入し、浴で数分間音波処理し、透明な溶
液を作製した。過剰な固形物のスラリー化を確実にするために、化合物I形態A(Sandoz社
ロット番号49800203, 750mg, 1.4mmol)を添加した。得られた試料を、回転ホイール上で
約4日間激しくかきまぜた。静置時に、残存する固形物は表面に浮かび、バイアルの底に
透明な溶液を生じた。この溶液のおよそ1/4を、透明なガラスバイアルへくみ出し、固形
物を、実験室ドラフト内で溶媒の緩徐な蒸発により沈殿させた(バイアルは孔の空いたア
ルミニウム箔で覆った)。約2日後、溶媒は認められなかった。固形物は、密封したバイア
ル内に、周囲温度で約1日間放置し、その後冷凍庫に貯蔵した。
XRPD及びFT-IRの形での化合物I形態Fの例証的データを、前掲の図9(a)から9(l)に図示
する。
化合物I形態Fは、化合物Iの結晶性クロロホルム溶媒和物である。化合物I形態Fの特性
評価を、表6にまとめている。
表6:化合物I形態Fの特性評価
Figure 0006490632
(実施例6:形態H及び/又は形態H含有組成物の調製及び特性評価)
化合物I形態A(500mg, 0.9mmol)及びクロロホルム(5mL)は、ガラスバイアルに投入し、
浴で約20分間音波処理し、透明な溶液を作製した。穏やかな振盪は、固形沈殿物を生じた
。得られた混合物を、周囲温度で一晩、回転ホイール上で激しくかきまぜた。固形物は液
体の表面に浮かび、そのためこの液体をピペットでくみ出しだ。この固形物のおよそ1/3
を、水浴を利用する回転蒸発器により約15分間かけて乾燥した。蒸発時の浴の温度範囲は
、NIST-トレーサブルの温度計により測定すると、57〜64℃であった。回収された固形物
は、XRPDによる分析まで、周囲条件下で貯蔵した。分析は、この固形物が化合物I形態Hと
一致することを示した。XRPD分析後、試料を、乾燥剤と一緒に冷凍庫で貯蔵した。固形物
の回収は178mgであった。
XRPD、DSC、TGA及びFT-IRの形での化合物I形態Hの例証的データを、前掲の図4(a)から4
(f)に図示する。図4(a)から4(f)に提示された例証的データのまとめは以下である。当業
者は、化合物I形態Hは、化合物I形態E(実施例4参照)と同形であり得ることを、ここに提
示したデータから容易に確かめることができるであろう。
化合物I形態Hは、化合物Iの結晶性クロロホルム溶媒和物である。化合物I形態Hの特性
評価を、表7にまとめている。
表7:化合物Iの形態Hの特性評価
Figure 0006490632
化合物I形態Hの高分解能XRPDパターン及び付随するラインリストを、図4(a)及び4(b)に
提示する。化合物I形態HのFT-IRスペクトル及び付随するラインリストは、図4(e)及び4(f
)に提示する。
過去のXRPDデータの検証は、多形スクリーニングにおいて観察された先の化合物I形態H
のXRPDパターン(実施例11参照)は、化合物I形態H及び化合物I形態Aの両方の粉末パターン
からの反射を示していることを示唆し、これは試験した標本は混合物であることを示唆し
ている。従って、化合物I形態Hを用いて作製されたXRPDパターンは、そのパターンの形態
H分量と一致するように見える。しかしこの知見を確認するためには、XRPDデータの追加
の試験が必要であろう。化合物I形態Hの構造が生成された結晶に関する単結晶X線により
決定することができない場合、高分解能XRPDパターンの指数化は、収集されたパターンは
単相を表すことを確認することを示唆しているであろう。
化合物I形態HのDSCサーモグラム(図4(c)参照)は、約96℃(最小)での吸熱性事象を示す
。この事象は、化合物I形態Hに関するTGAサーモグラム(図4(d)参照)において観察された
、重量損失約10.1%を基に、脱溶媒和に主に関連しているように見える。これは、クロロ
ホルム0.5モル以上に相当している。溶媒喪失からの形態変換の可能性を避けるために、
固形物は、冷凍庫から取り出したら直ちに分析した。分析の開始前には重量損失は観察さ
れなかったので、観察された重量損失は、結晶格子からの溶媒喪失が原因であり、化合物
I形態Hは溶媒和物であることを示唆している。DSCサーモグラム(図4(c)参照)はまた、約2
56℃(最小)での吸熱を示している。吸熱は、先の多形スクリーニングにおいて収集された
データ(実施例11参照)及び固形物の見かけの脱溶媒和を基に、化合物I形態Aの融解に対応
していると考えられる。TGAからの最終重量損失(図4(d)参照)は、化合物I形態Aに関する
ように、分解がDSCにより観察された見かけの融解と同時であることを示唆している。
(実施例7:形態I及び/又は形態I含有組成物の調製及び特性評価)
一実施態様において、化合物I形態A(500mg, 0.9mmol)及びクロロホルム(5mL)を、ガラ
スバイアルに投入し、浴で約20分間音波処理し、透明な溶液を作製した。穏やかな振盪は
、固形物の沈殿を生じた。得られた混合物は、周囲温度で、1時間未満、回転ホイール上
で激しくかきまぜ、固形物の分量を、Swinnex Milliporeフィルター本体中の0.22μmナイ
ロンフィルターで濾過することにより、X線粉末回折法(XRPD)のために回収した。フィル
ターケーキは洗浄せず、固形物は回収時に乾燥しているように見えた。この固形物は、XR
PD分析前に、優しく破砕した。この分析は、化合物I形態I及び化合物I形態Hの存在を示し
、これは回収された固形物は相混合物であることを示唆している。
残存する試料を、ホイールに戻し、一晩スラリー化した。固形物は液体の表面に浮かび
、そのためこの液体をピペットでくみ出した。残存する固形物は、冷凍庫内で乾燥剤の上
で、密封したバイアル内で貯蔵した。高分解能XRPDデータを収集する試みは、この固形物
は、分析前に化合物I形態Hへ変換されることを指摘した。
別の実施態様において、化合物I形態A(517mg, 1.0mmol)及びクロロホルム(5mL)を、ガ
ラスバイアルに投入し、浴で約20分間音波処理し、微量の固形物を伴う、透明な溶液を作
製した。得られた混合物を、回転ホイール上で、約1ヶ月間、周囲温度で激しくかきまぜ
た。固形物を、冷蔵庫内で、母液中で貯蔵した。固形物の分量(「分量1」)を、Swinnex M
illiporeフィルター本体中の0.22μmナイロンフィルターで濾過することにより、X線粉末
回折法(XRPD)のために回収した。フィルターケーキは洗浄せず、固形物は回収時に乾燥し
ているように見えた。この固形物は、XRPD分析前に、優しく破砕した。この分析は、固形
物は化合物I形態Iと一致することを示している。固形物の別の分量(「分量2」)は、透明
なガラスバイアルへのピペッティング及び液体のデカントにより、溶液プロトン核磁気共
鳴分光法(1H-NMR)のために回収した。XRPD試料及び1H-NMR試料は、分析前は密封したバイ
アル内に周囲温度で貯蔵した。
更に別の実施態様において、化合物I形態A(Sandoz社により作製されたSSCI試料4043-93
-034、ロット番号49800203, 〜180mg, 0.3mmol)を、ガラスバイアルに投入した。バイア
ルを、固形物の蒸気圧のために、クロロホルム(〜10mL)を含むガラスジャー内に蓋をせず
に放置した。固形物は約7日間圧力を加え、その後冷凍庫に移し、そこでこれらをクロロ
ホルム蒸気下に留めた。
4. Celgene社へのSSCIレポート、「選択的ロミデプシン物質の調製及び特性評価(Prepar
ation & Characterization of Select Romidepsin Materials)」、12/17/2010、SR-20101
273.01。
XRPD、DSC、TGA、FT-IR、及び単結晶構造データ(例えば、ORTEP図、パッキング図、位
置パラメータ、結合距離及び結合角)の形での化合物I形態Iの例証的データを、前掲の図5
(a)から5(y)に図示する。図5(a)から5(y)に提示された例証的データのまとめは以下であ
る。
化合物I形態Iは、周囲条件下で形態Hへ変換する化合物Iの結晶性クロロホルム溶媒和物
である。この構造は、クロロホルムスラリーから調製された結晶について解明された。バ
ルク固形物の部分試料からの化合物I形態IのXRPDパターンを基に、この結晶は化合物I形
態Iであると考えられた。単結晶データ(図5(g)から5(o)参照)は、クロロホルム溶媒和物
であることを指摘し、残留電子密度により分離された化合物Iの分子の相からなるこの構
造は、遊離クロロホルム及び精製されたクロロホルム分子を含むポケットであると考えら
れる。
化合物I形態Iの実験データは、図5(a)から5(y)に提供している。化合物I形態Iの特性評
価を、表8にまとめている。
表8:化合物Iの形態Iの特性評価
Figure 0006490632
クロロホルム中のスラリーからの最初の沈殿物及び単離された固形物は両方共、化合物
I形態Iと一致するXRPDパターンを示した。バルク固形物の試料について収集した高分解能
XRPDパターンは、化合物I形態Hであるように見える。化合物I形態Hは、化合物I形態Iに関
するXRPDパターンを示す固形物の乾燥により先の多形スクリーニングで調製されたので(
実施例11参照)、本試料をデータ収集時に化合物I形態Iへ変換することは可能である。対
照的に、化合物I形態Iの固形物に関する最初のXRPDデータは、ガラスキャピラリー内の固
形物について収集され、従ってその固形物の乾燥を妨害する。
化合物I形態IのDSCサーモグラム(図5(c)参照)は、約74℃で広幅の吸熱性事象及び約100
℃(最小)での吸熱性事象を示す。これらの事象は、TGAサーモグラムにおいて観察された1
9から102℃までの重量損失約33%を基に(図5(d)参照)、脱溶媒和に主に関連しているよう
に見える。これは、クロロホルムの2モル以上に相当している。TGAサーモグラムはまた、
19℃以前の重量損失も示し、これは恐らく残留クロロホルムによるものであり;しかし、
大きな重量損失への明らかな移行であるように見える。DSCサーモグラム(図5(c)参照)も
、約258℃(最小)で吸熱を示す。吸熱は、先の多形スクリーニングにおいて収集されたデ
ータ(実施例11参照)及び固形物の見かけの脱溶媒和を基に、化合物I形態Aの融解に対応し
ていると考えられる。TGAからの最終重量損失は、化合物I形態Aに関するように、分解がD
SCにより観察された見かけの融解と同時であることを示唆している。溶媒喪失からの形態
変換の可能性を避けるために、固形物は、冷凍庫から取り出したら直ちに分析した。
化合物I形態IのFT-IRスペクトル(図5(e)及び5(s)参照)を提供した。溶媒喪失からの形
態変換の可能性を避けるために、固形物は、冷凍庫から取り出したら直ちに分析した。
(実施例8:形態J及び/又は形態J含有組成物の調製及び特性評価)
一実施態様において、化合物I(56.4mg)形態Jを、メチルエチルケトン(4.5mL)に溶解し
た。この溶液を、0.2μmナイロンフィルターを通して濾過した。試料を、実験室ドラフト
内で、孔を開けたアルミニウム箔(1個のピンホール)で蓋をしたバイアル中に配置し、周
囲条件下で蒸発乾固させた。試料を、単結晶X線による指数化まで、周囲条件下で貯蔵し
た。結晶化は、当業者に公知の方法を使用し行うことができる。
別の実施態様において、化合物I形態A(Sandoz社ロット番号49800203, 1.03g, 1.9mmol)
及びメチルエチルケトン(80mL)を、エレンマイヤーフラスコに投入し、簡単にかきまぜ、
浴で数分間音波処理し、透明な溶液を作製した。この溶液のおよそ半分を、透明なガラス
バイアルへ、0.2μmナイロンフィルターを通して濾過した。バイアルに蓋をし、溶液から
固形物を沈殿するために、冷凍庫に配置した。約5日後、試料を冷凍庫から取り出し、沈
殿した固形物を、透明な上清をデカントすることにより分離した。固形物を、冷凍庫内で
溶媒と共に湿った状態で貯蔵した。
単結晶構造データ(例えば、ORTEP図、パッキング図、位置パラメータ、結合距離及び結
合角)の形での化合物I形態Jの例証的データを、前掲の図6(a)から6(j)に図示する。図6(a
)から6(j)に提示された例証的データのまとめは以下である。
化合物I形態Jの単結晶構造は、分子構造及び単位格子の内容(content)を確認した。こ
の試料は、キラルの斜方晶系空間群P212121で結晶化され、且つ化合物Iのメチルエチルケ
トン(MEK)溶媒和物であることが決定された。化合物I形態J(MEK溶媒和物)の構造は、結晶
学的c軸に対し垂直に走る隣接化合物I分子へ水素結合された化合物I分子の相からなる。
アセトン溶媒和物(化合物I形態D)の実験パターンにおける反射は、MEK溶媒和物(化合物I
形態J)の計算されたXRPDパターンで表現され、これはこれら2つの形態が同形であり得る
ことを示唆している(実施例3参照)。
化合物I形態Jは、化合物Iの結晶性メチルエチルケトン溶媒和物である。化合物I形態J
に関する実験データは、図6(a)から6(s)に提供している。化合物I形態Jの特性評価を、表
9にまとめている。
表9:化合物I形態Jの特性評価
Figure 0006490632
(実施例9:非晶質化合物I及び/又は非晶質化合物I含有組成物の調製及び特性評価)
(ジオキサン/水9:1の調製)
化合物I(1.0652g)を、9:1のジオキサン/水(10mL)に溶解した。この溶液を、0.2μmナイ
ロンフィルターを通して濾過し、ドライアイス及びイソプロパノールの浴に浸した300mL
丸底フラスコ内で凍結した。凍結した試料の入ったフラスコを、凍結乾燥器に装着し、約
4日間乾燥した。乾燥後、固形物を単離し、使用時まで乾燥剤上に冷凍庫で貯蔵した。
(回転蒸発器による調製)
化合物I(133.4mg)を、ジクロロメタン(1.5mL)に溶解した。この溶液を、0.2μmナイロ
ンフィルターを通して濾過した。試料バイアルを、回転蒸発器上に配置し、周囲温度で、
水浴中に含浸した。溶媒を、真空下で迅速に蒸発乾固させた。その後固形物を、使用時ま
で乾燥剤上に冷凍庫で貯蔵した。
(急速蒸発による調製)
化合物I(24.7mg)を、水(1.5mL)及びジクロロメタン(0.5mL)の二成分溶媒の混合液に溶
解した。この溶液を、0.2μmナイロンフィルターを通して濾過した。試料を、実験室ドラ
フト内で蓋をせずに放置し、周囲条件下で蒸発乾固させた。この固形物を、使用時まで周
囲条件下で貯蔵した。
XRPD、変調DSCサーモグラム、TGA、FT-IR、FT-ラマン分光法及び1HNMRの形での非晶質
化合物Iの例証的データを、前掲の図7(a)から7(f)に図示する。非晶質化合物Iに関する例
証的データのまとめ(例えば、表10のXRPD結果のまとめ)は以下である。
非晶質化合物Iの高分解能XRPDパターンを、図7(a)に提供する。非晶質化合物Iの変調DS
Cサーモグラム(図7(b)参照)は、ガラス転移温度約91℃を示している。約3.5%の重量損失
が、TGAサーモグラムにおいて観察された(図7(c)参照)。非晶質化合物IのFT-IRスペクト
ル(図7(d)及び7(e)参照)及びFT-ラマンスペクトル(図7(f)参照)も提供する。
表10:X線非晶質化合物I及び/又は非晶質化合物I含有組成物の調製
Figure 0006490632
a. B=複屈折、E=消光
b. 出発物質として3695-02-01
(実施例10:化合物I形態Kの調製及び特性評価)
一実施態様において、化合物I形態A(Sandoz社、ロット番号49800203, 410mg, 0.8mmol)
及びニトロメタン(20mL)を、ガラスバイアルに投入し、浴で数分間音波処理し、透明な溶
液を作製した。この溶液を、透明なガラスバイアルへ0.2μmナイロンフィルターを通して
濾過し、実験室ドラフト内でゆっくり蒸発させた(バイアルは孔を開けたアルミニウム箔
で覆った)。およそ12日後、蒸発を早めるために、試料をほぼ等しい4つの分量に分割した
。この試料は、追加の7日間、緩徐な蒸発を継続した。4つのバイアル中2つは蓋をせず(急
速蒸発)、一晩蒸発させた。翌日、これらの試料の1つにおいてのみ、少量の溶媒が視認で
きた。この溶媒の大部分をデカントにより除去した後、他の3つの試料から沈殿した固形
物を、当初の試料へとプールした。再度一緒にした固形物は、冷凍庫内で、密封バイアル
内で貯蔵した。
(緩徐蒸発(SE))
別の実施態様において、溶液を、様々な溶媒中に周囲温度で調製し、ガラスバイアルへ
と0.2μmナイロンフィルターを通した。濾過した溶液は、1個以上のピンホールを持つ孔
の開いたアルミニウム箔で覆ったバイアル内で、周囲環境で(at ambient)蒸発させた。形
成された任意の固形物を分離し且つ分析した。緩徐蒸発によりニトロメタンから得られた
固形物は、化合物Iの形態KのXRPDパターンを示した(図8(a))。
(蒸気拡散)
更に別の実施態様において、溶液は、周囲温度で様々な溶媒により調製され、且つガラ
スバイアルへと0.2μmナイロンフィルターを通した。この充満したバイアルを、貧溶媒(a
ntisolvent)を含んだガラスバイアル内に配置し、且つ蓋をした。概して貧溶媒は、その
溶媒と混和性であり、且つ典型的にはより揮発性である。本実験は、周囲温度で平静に放
置した。形成された任意の固形物は分離し、且つ分析した。
2つのスケールアップ凍結乾燥の試み(ジオキサン/水9:1v/vを使用する約2gスケール)を
行った。第一の試みは、XRPDの目視による比較により決定されるように、形態A及び形態K
において認められたピークの証拠を伴い、無秩序な結晶性物質を生成した。第二の試みは
、目視による比較により、同じく形態Kにおいて認められたピークの証拠を伴い、無秩序
な結晶性物質を生成した。
化合物I形態Kは、化合物Iの結晶性ニトロメタン溶媒和物である。化合物I形態Kの実験
データを、図8(a)から8(l)に提供する。化合物I形態Kの特性評価を、表11にまとめている

表11:化合物I形態Kの特性評価
Figure 0006490632
(実施例11:化合物I形態Lの調製及び特性評価)
化合物I形態A(Sandoz社、ロット番号49800203, 910mg, 1.7mmol)及びアセトン(48mL)を
、ガラスビーカーに投入し、数分間攪拌し、透明な溶液を作製した。この溶液を、透明な
ガラスビーカーへと0.2μmナイロンフィルターを通して濾過し、蒸気拡散により固形物を
溶液から沈殿するために、ビーカーをメタノール(〜50mL)を含むガラス製ジャー内に覆わ
ずに放置した。約12日後、沈殿した固形物を、透明な上清のデカントにより単離した。固
形物を、透明なガラスバイアルに移し、冷凍庫内でメタノール蒸気下で貯蔵した。
化合物I形態Lは、化合物Iの結晶性メタノール溶媒和物である。化合物I形態Kに関する
実験データは、図10(a)から10(i)に提供している。化合物Iの形態Lの特性評価を、表12に
まとめている。
表12:化合物I形態Lの特性評価
Figure 0006490632
(実施例12:化合物I形態Nの調製及び特性評価)
一実施態様において、化合物I形態Nは、周囲温度で、約5時間、約50mTorrで真空乾燥し
、初期重量の約12.4%を喪失した。得られた固形物を、プロトンNMR分光法により特性評
価した。このスペクトルは、本固形物は、ニトロメタン約1/3モルを含んだことを示した
。引き続き、乾燥した試料をDSCにより特性評価した。観察された結果は、分析時に使用
した条件に左右された。DSCデータは、クリンプしたパン内で収集し、加熱時の揮発物の
喪失に関連し得る約150℃で小さい吸熱性事象、及び約256℃(開始)での強い吸熱を示した
。残存する固形物(43mg)は、真空炉において、約42℃、約20mTorrで、約22時間乾燥した
。重量損失は決定しなかったが、乾燥した固形物は、XRPDにより特性評価した。得られた
パターンは、形態NのXRPDピークを含むが、追加の不明のピークを示し、これは変換が生
じたことを示唆している。従って、引き続きの溶媒除去実験を周囲温度で実施した。
形態A(推定1.6g)を、ニトロメタン(9mL)中で約5日間スラリー化した。固形物を真空濾
過により回収し、ニトロメタン(2×1mL)で洗浄した。固形物を、真空下で数分間、フィル
ター上に放置した。固形物約1.3gを回収した。固形物は、形態Nについて先に観察された
ものに類似した、偏光顕微鏡により、矩形平板及び直角柱(rectangular plates and pris
ms)の混合を示した。得られた高分解能XRPDパターンは、形態Nと一致した。
2つの周囲温度真空乾燥実験を、形態Nからニトロメタンを除去するために実行した。一
実施態様において、固形物94.0mgを、約16.5時間、約20mTorrで乾燥し、初期重量の約0.7
%を喪失した。別の実施態様において、固形物308.3mgを、約5日間、約5mTorrで乾燥し、
初期重量の約0.7%を得た(3〜5日目に約0.1%を得た)。固形物において、偏光顕微鏡によ
る変化はないように見え、且つ両方の試料は、高分解能XRPD分析により形態Nを示した。
一実施態様において、これらのパターンは、弱い不明のピークを約9.1°2θに示し、これ
は5日目試料について、16.5時間試料よりもより顕著であった。両方の試料は、プロトンN
MR分光法によりニトロメタン約1/3モルを含んだ。
一実施態様において、溶媒が分析時に自由に離れることができることを確実にするため
に、試料は、開放したパンの配置で、DSC及びTGAにより特性評価した。観察された結果は
、分析時に使用した条件に左右された。得られたDSCサーモグラムは、約148℃に肩がある
、約161℃で広幅の吸熱性事象を示した。この事象は、TGAサーモグラムにおいて観察され
た130〜160℃での約4.9%の重量損失と同時であるように見え、これはニトロメタン約1/2
モルに相当し、この重量損失は溶媒の喪失のみが原因であると推定した。サーモグラムは
、約256〜259℃(開始)で吸熱を示した。TGAからの最終重量損失は、分解がこの吸熱と同
時であることを示唆した。
一実施態様において、形態N試料からニトロメタンを除去するために、固形物152.4mgを
、アセトニトリル(1mL)中で約1時間スラリー化した。固形物を、真空濾過により回収し、
アセトニトリル(4×1mL)で洗浄した。固形物を、真空下で数分間フィルター上に放置し、
固形物を乾燥した。固形物97.7mgを回収した。別の実施態様において、固形物309.5mgを
、水(4mL)で約24.5時間スラリー化した。固形物を、真空濾過により回収し、水(2×1mL)
で洗浄した。固形物は、真空下で約1.5時間フィルター上に放置し、固形物を乾燥した。
固形物270.4mgを回収した。偏光顕微鏡により固形物に変化は存在しなかったが;しかし
、XRPD分析により、パターンTはアセトニトリルから生じ、且つ形態C及び形態Aの混合物
は水から生じた。水スラリーからの固形物の高分解能XRPDパターンは、形態NのXRPDパタ
ーンに存在する追加のピークを示し、このことは不完全な変換を示唆した。
加えて、形態Nに関するプロトンNMRデータは、この物質が、ニトロメタン約1/3モルを
含むことを示唆した。形態N溶液の空間群(P21212)は、溶媒位置が部分的に占拠されない
場合に、非対称ユニット内の1個未満の溶媒分子のみを示すことができ、すなわち非対称
ユニットの一部は溶媒分子を含み、他は含まない。
化合物I形態Nの実験データを、図11(a)から11(c)に提供する。化合物I形態Nの特性評価
を、表13にまとめている。
表13:化合物I形態Nの特性評価
Figure 0006490632
化合物I形態Nの調製からの固形物の特性評価を、表14にまとめている。
表14:ロミデプシン形態N調製/溶媒除去の試みからの固形物の特性評価
Figure 0006490632
Figure 0006490632
a. 先に指定された形態N;追加の弱いピークは、XRPDパターン(ファイル421490)におい
て、約8.37、11.37、13.10、16.23、及び21.86°2θに存在した。
b. 真空システムのためのインラインケージからの真空圧。
c. XRPDパターンにおける追加ピークは、形態AのXRPDパターンに存在する。
d. 試料は乾燥前に、蓋付き容器内でRTで1日間貯蔵した。試料は独立型の炉で乾燥した
;炉の真空圧はMcLeodゲージにより測定した。
e. 3日目のチェックから0.1%wt増加。
f. 粒子は溶媒により変化しないように見える。
g. XRPDパターンにおける追加のピークは、形態NのXRPDパターンに存在する。
(実施例13:溶解度試験)
化合物I形態A(受け取ったまま)に関する周囲温度での溶解度データを、表15にまとめて
いる。これらの固形物は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)及び2,2,2-
トリフルオロエタノール(TFE)に関して100mg/mlを十分に上回る見かけの溶解度を示した
。物質は、試験した溶媒及び溶媒の組合せの大部分において、中等度の溶解度(例えば>1
0mg/ml)を示した。唯一の例外は、4.6mg/mLのイソプロパノール(IPA)であった。一部の溶
解度データは、下記表15に提示したように、複数の試料について得た。
表15:化合物I形態Aに関する溶解度データ
Figure 0006490632
a. 容積(mL)を基にした溶媒比
b. 溶解度評価は、特に指定しない限りは、周囲温度で行った。報告された値は、目視検
査を基にした各試験溶液中の化合物Iの実際の溶解度よりも低いか又は等しく、結果的に
概数である。
c. 実験は、70℃に設定したホットプレート上で行った。
d. 実験は、60℃に設定したホットプレート上で行った。
(実施例14:多形スクリーニング)
一連の溶媒-ベースの実験は、スラリー化、蒸発、破砕沈殿、及び蒸気拡散の技術を利
用し計画した。試料は、化合物I形態Aにより調製し、且つ実験結果は、表16及び17にまと
めている。
一実施態様において、形態A及びBに関する結晶化プロセスからの溶媒を使用する実験は
、形態AからE、H、及びJへと称される独自のXRPDパターンを示し、且つ以下に記載された
、これらの実験から回収された選択された固形物の特性評価を生じた。いくつかの独自の
XRPDパターンは、X線非晶質固形物を含む、別の実験条件からも入手した。これらの固形
物の更なる特性評価は、行わなかった。結晶化実験に関する例証的XRPD結果のまとめは、
表16に提示している。
表16:結晶化実験に関するXRPD結果のまとめ
Figure 0006490632
蒸気拡散実験に関する例証的XRPD結果のまとめは、表17に提示している。
表17:蒸気拡散実験に関するXRPD結果のまとめ
Figure 0006490632
a. 括弧内の溶媒比は、別に注記しない限り、容積を基にしている。
b. B:複屈折、E:交差偏光下で消光
(実施例15:組成物/製剤)
本実施例は、下記の工程を使用しバルク溶液バッチとして製剤された、本開示に従う化
合物Iを含有する代表的製剤中に存在する様々な成分を例示している:(a)化合物Iの固体
形態を調製する工程;(b)tert-ブチルアルコール及び水を含有する配合溶液を調製する工
程;(c)化合物Iの固体形態と配合溶液を一緒にし、混合物を形成する工程;(d)この混合
物へポビドンを添加する工程;(e)この混合物のpHを、塩酸溶液の添加により調節し、製
剤された溶液を生じる工程;(f)この製剤された溶液の滅菌濾過を実行する工程;並びに
、(g)この製剤された溶液を無菌条件下で凍結乾燥し、化合物Iを含有する最終組成物を得
る工程。これらの工程は、下記表18に詳述している。
表18:バルク溶液の様々な成分
Figure 0006490632
(実施例16:凍結乾燥品の調製)
(配合溶液の調製)
必要とされる装置の構成部品(栓及びバイアル)の調製及び滅菌に続き、全ての加工処理
装置は、残留すすぎ水を含まないことを確実にするように検査した。20ガロンの、ジャケ
ット付きステンレス鋼製容器である容器1を、窒素NF/EPで掃流した。必要量のtert-ブチ
ルアルコールを、容器1に添加した。この原材料を自由流動性液体として維持するために
、tert-ブチルアルコール及び配合容器の温度を前もって28〜32℃に調節した。tert-ブチ
ルアルコールの添加及び混合の開始後、必要量の注射用水(WFI)を添加し、この溶液を10
±2分間完全に混合し、最終配合溶液56Lを生じた。この配合溶液の分量(25%)を、引き続
きの配合工程に使用するために、第二のより小型のジャケット付きステンレス鋼製容器(
容器2)へ移した。両方の容器は、28〜32℃に温度管理し、且つ容器1は、窒素NF/EPでオー
バーレイし維持した。
(製剤されたバルク溶液の調製)
化合物I固体形態の薬剤物質を、アイソレーターにおいて秤量し、その後1回使用式使い
捨てアイソレーター移動バッグにより、配合溶液タンク(容器1)へ直接移し、薬剤物質の
溶液を形成した。この移動バッグは、容器2からの配合溶液の分量により3回すすぎ、各す
すぎ液は、配合溶液タンクに加えた。
薬剤物質の溶液は、28〜32℃で30±5分間混合した。非晶質化合物Iの溶解後、特定量の
ポビドン(USP)を、この配合容器に添加した。秤量容器を、配合溶液の分量で1回すすぎ、
このすすぎ液を、配合タンクに移し、これを28〜32℃で20±5分間混合し、ポビドンを溶
解した。
このバルク溶液のpHを、予め決定した量の0.1N HCl溶液により調節し、且つ28〜32℃で
10±2分間混合し、製剤されたバルク溶液を形成した。この製剤されたバルク溶液から、
試料採取し、その見かけのpHが3.6〜4.0の間であることを検証した。配合溶液のQS容積は
、算出された標的重量が、容器2から容器1へ移されたことを達成するために必要であった
。製剤されたバルク溶液は、28〜32℃で10±2分間混合し、その後外観、アッセイ、密度
、pH、及び微生物汚染数(bioburden)を含む、品質管理(QC)試験のために試料採取した。
配合タンクを密封し、且つ滅菌濾過まで、その温度を28〜32℃に維持した。
(製剤されたバルク溶液の滅菌濾過)
製剤されたバルク溶液を含む配合タンクを、クラス100,000配合室(compounding suite)
から、クラス10,000充填室に隣接された準備室へ動かした。製剤されたバルク溶液を、滅
菌窒素、NF/EPによる過剰加圧により、3/8"ステンレス鋼編組Teflon(登録商標)製ホース
を介して、滅菌充填室の壁内の開口部を通過して、充填室へと移した。製剤されたバルク
溶液は最初に、Millipore Opticap(登録商標)フィルター(0.22μm Durapore(登録商標)メ
ンブレン)を通り透明化され、次に2つのMillipore Millipak(登録商標)0.22μm Durapore
(登録商標)フィルターを連続して装備した無菌コア内に位置したフィルター集成体を通る
濾過により、滅菌受け器へと滅菌された。生成物滅菌フィルターの完全性は、湿潤性溶液
としてイソプロピル水(IPA)/水(60%/40%)を使用し、濾過前及び濾過後に、圧力及び流
量について試験した。最低圧力保持値は、濾過前は10psiであり、最高流量は濾過後12psi
で1.3mL/分であった。滅菌濾過した製剤されたバルク溶液は、外観、アッセイ、密度、及
びpHを含む、QC試験のために試料採取した。
(薬品のバイアル無菌充填)
滅菌バイアルの無菌充填及び栓付けは、クラス100条件下で、自動化されたTL充填ライ
ンを用いて行った。プロセス制御は、充填操作を通じて正確な充填容積を証明するための
バイアルの指定重量チェックを含んだ。
各バイアルの充填直後に、滅菌凍結乾燥栓を、バイアル内に部分的に配置し、充填され
たバイアルの各トレーを、クラス100無菌領域内の凍結乾燥器のための装填領域へ移動さ
せた。トレーは、凍結乾燥器の予め冷却した棚の上に直ちに装填した。
(凍結乾燥)
組成物を含むバイアルを、プログラムされた凍結乾燥サイクルを使用し、無菌条件下で
凍結乾燥した。凍結乾燥サイクルのプロセス及び制御のまとめを、表19に提示する。
表19:凍結乾燥プロセス及び制御
Figure 0006490632
1. 最初の2時間の維持を含む、合計の乾燥終結時間は、18±1時間である。
2. 棚は、荷下ろし前に製品を長時間保持する必要がある場合にのみ、5±3℃まで冷却し
た。
一実施態様において、工程11(表19)に続く二次的乾燥後の追加の工程は、温度50℃で最
大24時間の圧力50μmHgでのバイアルの乾燥を含む。別の実施態様において、追加の工程
は、温度50℃で最大48時間の圧力50μmHgでのバイアルの乾燥を含む。
別の実施態様において、工程11(表19)に続く二次的乾燥後の追加の工程は、温度60℃で
最大3時間の圧力100μmHgでのバイアルの乾燥を含む。更に別の実施態様において、追加
の工程は、温度60℃で最大6時間の圧力100μmHgでのバイアルの乾燥を含む。別の実施態
様において、追加の工程は、温度60℃で最大12時間の圧力100μmHgでのバイアルの乾燥を
含む。別の実施態様において、追加の工程は、温度60℃で最大24時間の圧力100μmHgでの
バイアルの乾燥を含む。別の実施態様において、追加の工程は、温度60℃で最大48時間の
圧力100μmHgでのバイアルの乾燥を含む。
別の実施態様において、工程11(表19)に続く二次的乾燥後の追加の工程は、温度70℃で
最大24時間の圧力25mmHgでのバイアルの乾燥を含む。別の実施態様において、追加の工程
は、温度70℃で最大48時間の圧力25mmHgでのバイアルの乾燥を含む。
このサイクルの完了後(セグメント12)、バイアルは、大気圧で、滅菌窒素、NF/EPによ
り逆充填(backfilled)し、且つ栓を完全に嵌め、その後凍結乾燥器チャンバーを開放した
。トレーを荷下ろしし、密閉領域に移した。
組成物を含むバイアルは、凍結乾燥器チャンバーから荷下ろし後、直ちに密封した。各
シールには、自動密封ラインに組み込まれたビデオジェットプリンターを使用し、組成物
ロット番号を刷り込んだ。シールの検査は、密封作業の間は15分毎に行った。
密封作業後、化合物I組成物のバイアルを、検査し、ラベルをつけ、且つ包装し、適切
な工程のプロセスバリデーション及び/又は評価を引き続き行った。
(同等物)
当業者は、本明細書に記載の開示の具体的な実施態様の多くの同等物を、慣習的なもの
を超えない実験を用い、認めるか又は確認することができるであろう。本開示の範囲は、
先の説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ添付された請求項に示されて
いる。
請求項において「ある」及び「その」(a、an及びthe)などの冠詞は、矛盾することが指
摘されるか、又はそうでなければ文脈から明らかでない限りは、1又は2以上を意味するこ
とができる。群の1つ以上の要員の間で「又は(or)」を含む請求項又は説明は、矛盾する
ことが指摘されるか、若しくはそうでなければ文脈から明らかでない限りは、1つの、2つ
以上の、又は全ての群の要員が、所与の生成物又はプロセスに存在するか、利用されるか
、又はそうでなければ関連していることを満たしていると考えられる。本開示は、正に1
つの群の要員が、所与の生成物又はプロセスに存在するか、利用されるか、又はそうでな
ければ関連しているような実施態様を含む。本開示は、群の要員の2つ以上又は全てが、
所与の生成物又はプロセスに存在するか、利用されるか、又はそうでなければ関連してい
るような実施態様を含む。更に本開示は、列記された請求項の1項以上からの1つ以上の限
定、要素、条項、記述用語などが、別請求項に導入されるような、全ての変動、組合せ、
及び置換を包含することは理解されるべきである。例えば、別請求項に従属する任意の請
求項は、同じ基本請求項に従属する任意の他の請求項に認められた1つ以上の限定を含む
ように改変されることができる。
要素が例えばマーカッシュ(Markush)グループフォーマットなどのリストとして提示さ
れる場合、これらの要素の各下位集団も同じく開示され、且つ任意の要素をこの群から省
くことができることは理解されるべきである。概して、開示又は開示の態様が特定の要素
、特徴などを含むと称される場合、開示又は開示の態様のいくつかの実施態様は、そのよ
うな要素、特徴などからなるか又は本質的になることは理解されるべきである。簡易化を
目的に、それらの実施態様は、本明細書において言葉どおりに(in haec verba)具体的に
示されてはいない。用語「含む」は、排他的出ないことが意図され、且つ追加の要素又は
工程を包含することを許容していることは留意すべきである。
範囲が示される場合、エンドポイントが含まれる。更に別に指摘するか或いはそうでな
ければ文脈若しくは当業者の理解から明らかでない限りは、範囲として表された数値は、
本開示の様々な実施態様において言及された範囲内の具体的数値又は部分範囲を、文脈が
明確に指摘しない限りはその範囲の下限の単位の1/10までを想定することができることは
理解されるべきである。
加えて、先行技術に収まる本開示のいずれか特定の実施態様は、本請求項のいずれか一
項以上から明白に除外され得ることは理解されるべきである。そのような実施態様は、当
業者に公知であると考えられるので、これらはその除外が本明細書において明確に示され
ない場合であっても、除外され得る。本開示の組成物のいずれか特定の実施態様(例えば
、任意の標的化部分、任意の疾患、障害及び/又は状態、任意の連結剤、任意の投与方法
、任意の治療的適用など)は、先行技術の存在との関連の有無に拘わらず、理由を問わず
、いずれか一項以上の請求項から除外することができる。
先に及び本文を通じて考察された刊行物は、本特許出願の出願日に先立ち明らかなもの
についてのみ提供される。本明細書のいかなるものも、本発明者らが、先行する開示を理
由にそのような開示に先行するものとして権利を付与するものではないことの承認として
構築されるものではない。

Claims (10)

  1. 図7(a)に示したX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、非晶質ロミデプシン。
  2. 水/ジクロロメタン混合液から得られる、請求項1記載の非晶質ロミデプシンを製造するための方法。
  3. イソプロパノール-トリフルオロエタノール/メタノール混合液から得られる、請求項1記載の非晶質ロミデプシンを製造するための方法。
  4. 約91℃のガラス転移温度を示す、請求項1記載の非晶質ロミデプシン。
  5. 熱重量分析(TGA)サーモグラムが、3.5%の重量損失を示す、請求項1記載の非晶質ロミデプシン。
  6. 請求項1記載の非晶質ロミデプシン及び結晶化阻害剤を含む、組成物であって、該結晶化阻害剤が、セルロース誘導体、ガム、デキストラン、ビニルラクタム、シクロデキストリン、ゼラチン、ヒプロメロースフタル酸エステル、糖アルコール、多価アルコール、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン誘導体、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール誘導体、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、Tween、メタクリル酸コポリマー、及びアミノ酸からなる群から選択される、前記組成物。
  7. 前記結晶化阻害剤が、セルロース誘導体である、請求項6記載の組成物。
  8. 前記セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項7記載の組成物。
  9. 前記セルロース誘導体が、HPMCポリマーである、請求項8記載の組成物。
  10. 皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)又は末梢T細胞リンパ腫(PTCL)を治療するための医薬の製造における、請求項1〜5のいずれか一項記載の非晶質ロミデプシンの使用。
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