JP6481692B2 - 熱疲労特性に優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品 - Google Patents

熱疲労特性に優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼及びそれからなる排気系部品 Download PDF

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Description

本発明は、自動車用の排気系部品、特にタービンハウジング等に適する熱疲労特性に優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼、及びそれからなる排気系部品に関する。
近年、地球規模での環境負荷の低減や環境保全が叫ばれ、自動車に対して、大気汚染物質の排出量を削減するための排ガスの浄化と、地球温暖化の一因であるCO2の排出量抑制のための燃費効率の向上(低燃費化)とが強く求められている。そのため、エンジン自体の高性能化及び低燃費化、排ガスの浄化、車両の軽量化、車体の空気抵抗の低減、エンジンから駆動系へのロスの少ない効率的な動力伝達等の様々な技術が開発され、実用化されてきた。
エンジン自体の高性能化及び低燃費化のための技術として、燃料の直噴化、燃料噴射の高圧化、圧縮比の増大、ターボチャージャー(過給機)の採用による排気量の削減、エンジンの小型軽量化(ダウンサイジング)等が挙げられ、高級車に限らず大衆車にも導入されてきている。その結果、燃料をより高温高圧で燃焼させる傾向にあり、これに伴ってエンジンの燃焼室から排気系部品に排出される排ガスの温度も上昇傾向にある。例えば、大衆車でも排ガス温度は高級スポーツカー並みの1000℃以上となり、排気系部品の表面温度も900℃を超えることがある。このように高温の酸化性ガスに曝される排気系部品は、従来より厳しい酸化環境でエンジンの運転及び停止による加熱/冷却の繰り返し熱サイクルを受けるので、従来にも増して耐熱性や耐久性の向上が求められる。
従来、自動車に用いるタービンハウジング、エキゾーストマニホルド等の排気系部品は、形状が複雑であることから形状自由度の高い鋳物により製造されており、しかも使用条件が高温で過酷であることから、高Si球状黒鉛鋳鉄、ニレジスト鋳鉄(Ni-Cr系オーステナイト鋳鉄)等の耐熱鋳鉄、フェライト系耐熱鋳鋼、オーステナイト系耐熱鋳鋼等が用いられている。特に排気系部品の表面温度が900℃以上となる場合には、排気系部品の材料としては、フェライト系耐熱鋳鋼又はオーステナイト系耐熱鋳鋼が用いられている。
しかし、フェライト系耐熱鋳鋼は通常900℃以上での高温強度に劣るという問題があるため、950℃を超える温度域での採用は困難である。フェライト系耐熱鋳鋼より高温に耐える材料として、オーステナイト系耐熱鋳鋼がある。例えば、WO 2005/103314は、重量基準でC:0.2〜1.0%、Si:3%以下、Mn:2%以下、Cr:15〜30%、Ni:6〜30%、W及び/又はMo:0.5〜6%(W+2Moとして)、Nb:0.5〜5%、Al:0.23%以下、N:0.01〜0.5%、S:0.5%以下、及びO:0.07%以下を含有し、残部実質的にFe及び不可避的不純物からなる高Cr高Niオーステナイト系耐熱鋳鋼を提案している。このオーステナイト系耐熱鋳鋼は、高い高温耐力、耐酸化性及び室温伸びを有し、特に1000℃以上と高温の排ガスに曝されたときの熱疲労特性に優れているので、自動車用エンジンの排気系部品等に好適である。
ところで、排気系部品には、エンジンから排出されるガスによる温度上昇や酸化への対応のほかにも過酷な使用条件への対応が求められている。例えば、排ガス浄化処理(排ガス浄化装置に内蔵した触媒やフィルタにより排ガス中の有害物質等を除去する処理)においては、エンジン始動時に触媒を早期に昇温し活性化させたり、排ガスを触媒やフィルタ全体に均等に供給したりして浄化性能を向上させる必要がある。触媒の早期活性化のためには、排気系部品を通過する排ガスの温度低下を少なく、すなわち排ガスの熱が極力奪われないようにしなければならない。従って、排気通路のヒートマス(熱容量)を小さくするために排気系部品には薄肉化が要求されている。しかし、排気系部品は薄肉化するほど排ガスによる温度上昇が大きくなる。
近年のターボチャージャーの採用による排気量削減、エンジンの小型軽量化のトレンドは、排気系部品の使用環境を一層過酷なものとしている。すなわち、エンジンの小型化に伴って排気系部品も小型化する。上述した排ガス浄化処理のための排気系部品の薄肉化に加えて、排気系部品の小型化によって部品全体のヒートマスが小さくなるため、排気系部品は温度上昇が大きくなる。
ターボチャージャー等の過給により吸気ガス量が増加すると、排ガス量も増加する。排ガス量の増加は、排気系部品に加わる熱流量の増大となり、これは排気系部品の単位時間当たりの温度上昇(昇温速度)を大きくする。排気系部品は、薄肉部や厚肉部を含み、かつ排ガスが接触する部位と接触しない部位を含む複雑形状を有するので、排ガスの通過した排気系部品内に温度差が生ずる。一般に、金属部材に温度差、即ち温度勾配により熱応力が発生すると、亀裂や割れの傾向が高まる。過給により熱流量が増大すると、排気系部品の昇温速度が大きくなり、排気系部品は部材内の温度勾配が拡大する。温度勾配が大きいと、発生する熱応力も高くなるため、排気系部品は亀裂や割れの傾向が高まる。排気系部品の温度勾配の拡大は、過給圧や過給効率が高くなるほど顕著となる。
このように自動車用の排気系部品は、排ガスによる温度上昇及び酸化、薄肉化やヒートマス減少による温度上昇、熱流量増大による温度勾配の拡大等に対応しなければならない。具体的には、排気系部品は950〜1100℃と高温の排ガスに曝されることもあるが、このような高温の排ガスに曝されると排気系部品自体は900〜1050℃と1000℃付近まで上昇する。排気系部品はこのような高温域での優れた耐熱性や耐久性を有する必要がある。この要求に応えるために、排気系部品を構成する材料は、熱疲労特性、耐酸化性、高温強度、延性(伸び)等に優れていることが求められる。WO 2005/103314のオーステナイト系耐熱鋳鋼は、1000℃以上の排ガスに曝される排気系部品への使用を想定しているが、上記のような過酷な条件に曝される排気系部品に使用するには十分ではなく、特に熱疲労特性に改良の余地がある。
従って本発明の目的は、1000℃付近での熱疲労特性に優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼、及びこのオーステナイト系耐熱鋳鋼からなるタービンハウジング等の排気系部品を提供することである。
オーステナイト系耐熱鋳鋼の耐熱性、特に熱疲労特性を向上できる組成範囲を見出すべく鋭意研究した結果、本発明者等は、C、Cr、Ni及びNb等の主要合金元素の含有量を適正範囲に限定することで、熱疲労特性が大幅に向上したオーステナイト系耐熱鋳鋼が得られることを発見し、本発明に想到した。
すなわち、熱疲労特性に優れた本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は、質量基準で、
C:0.3〜0.6%、
Si:0.5〜3%、
Mn:0.5〜2%、
Cr:15〜30%、
Ni:6〜30%、
Nb:0.6〜5%、
N:0.01〜0.5%、及び
S:0.01〜0.5%を含有し、
CとNの含有量比C/Nが4〜7であり、
残部Fe及び不可避的不純物からなり、
かつ下記式(1) 及び(2) により表されるCr炭化物生成指数AとNb炭化物生成指数Bとの比率A/Bが0.6〜1.7である
A=8.5C−Nb+0.05Cr+0.65Ni−5・・・(1)
B=7.8Nb・・・(2)
[ただし、各式中の元素記号はその含有量(質量%)を示す。]
ことを特徴とする。
本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼はさらに0.005〜0.5質量%のZrを含有するのが好ましい。Zrを含有する前記オーステナイト系耐熱鋳鋼は、組織中の円相当径1.5μm以上のZr窒化物粒子の数が視野面積0.25 mm2当たり20〜150個であるのが好ましい。
本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は、試験温度900℃、ひずみ振幅0.5%、ひずみ速度0.1%/秒、及び圧縮保持時間1分の条件で引張・圧縮によりひずみを加除する高温低サイクル疲労試験により測定した疲労寿命が1500サイクル以上であるのが好ましい。
本発明の排気系部品は、上記熱疲労特性に優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼からなることを特徴とする。この排気系部品の例として、タービンハウジング、エキゾーストマニホルド、タービンハウジング一体エキゾーストマニホルド、触媒ケース、触媒ケース一体エキゾーストマニホルド、及びエキゾーストアウトレットが挙げられる。
本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は優れた耐熱性や耐久性を有するとともに、1000℃付近で高い熱疲労特性を有するので、それからなるタービンハウジング等の排気系部品は1000℃付近での高温で過酷な条件で使用可能である。
実施例35の試験片の電子顕微鏡写真である。
[1] オーステナイト系耐熱鋳鋼
本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼の構成について以下詳細に説明する。なお、耐熱鋳鋼を構成する各元素の含有量は、特に断りのない限り質量%で示す。
(A) 組成
(1) C(炭素):0.3〜0.6%
Cは溶湯の流動性、すなわち鋳造性を良くするとともに、一部基地を固溶強化し、また炭化物を形成して高温強度を向上させる。このような作用を有効に発揮するために、Cの含有量は0.3%以上必要である。しかし、Cが0.6%を超えると炭化物が多くなり過ぎ、耐熱鋳鋼の熱疲労特性及び被削性が低下するとともに、延性が低下する。従って、Cの含有量は0.3〜0.6%とする。Cの含有量の下限は好ましくは0.35%であり、より好ましくは0.4%である。また、Cの含有量の上限は好ましくは0.55%であり、より好ましくは0.5%である。
(2) Si(ケイ素):0.5〜3%
Siは溶湯の脱酸剤としての役割を有するほか、耐酸化性の向上と、これに起因する熱疲労特性の改善に有効な元素である。このような作用を得るためにSiの含有量は0.5%以上必要である。しかし、過剰なSiはオーステナイト組織を不安定にし、耐熱鋳鋼の鋳造性を劣化させ、さらに硬化により被削性を悪化させる。このためSiの含有量は3%以下とする。従って、Siの含有量は0.5〜3%とする。Siの含有量の下限は好ましくは0.8%であり、より好ましくは1%である。また、Siの含有量の上限は好ましくは2%であり、より好ましくは1.6%である。
(3) S(硫黄):0.01〜0.5%
SはMnやCrと結合してMnS、(Mn/Cr)S等の硫化物を形成し、硫化物の潤滑作用により耐熱鋳鋼の被削性を向上させる。この効果を得るには、Sは0.01%以上必要である。しかし、Sが0.5%を超えると、耐熱鋳鋼の高温強度や延性の劣化傾向が高まるとともに、硫化物が過剰に生成して耐熱鋳鋼の熱疲労特性を悪化させる。そのため、Sの含有量は0.01〜0.5%とする。Sの含有量の下限は好ましくは0.05%であり、より好ましくは0.1%である。また、Sの含有量の上限は好ましくは0.3%であり、より好ましくは0.2%である。
(4) Mn(マンガン):0.5〜2%
Mnは、Siと同様に溶湯の脱酸剤として有効であるほか、Sと結合してMnS等の硫化物を形成することにより耐熱鋳鋼の被削性を改善する。これらの効果を発揮させるために、Mnの含有量は0.5%以上必要である。しかし、過剰なMnは耐熱鋳鋼の耐酸化性を劣化させるので、Mnの含有量は2%以下とする。このためMnの含有量は0.5〜2%とする。Mnの含有量の下限は好ましくは0.7%であり、Mnの含有量の上限は好ましくは1.3%である。
(5) Cr(クロム):15〜30%
Crは、後述のNiとともに耐熱鋳鋼の組織をオーステナイト化することにより、耐熱鋳鋼の耐熱性(高温強度及び耐酸化性)を高めるのに有効な元素である。特に1000℃付近の高温域での耐熱性の効果を発揮させるためには、Crは15%以上必要である。しかし、Crは、Cr23C6及びCr7C3を主体とするCr炭化物を晶出させる元素である。Cr炭化物は結晶構造的にオーステナイト基地とミスフィットであるため、Cr炭化物とオーステナイトとの共晶界面は脆弱であり、亀裂の伝播経路となる。Crの含有量が30%を超えるとCr炭化物の晶出が多くなり、亀裂の伝播が促進される傾向が高まって、耐熱鋳鋼の熱疲労特性及び延性を著しく低下させる。また、Crは過剰に含有すると、組織中にフェライトが晶出して高温強度が低下してしまう。このため、Cr含有量は15〜30%とする。Crの含有量の下限は好ましくは20%であり、より好ましくは24%である。また、Crの含有量の上限は好ましくは28%であり、より好ましくは26%である。
(6) Ni(ニッケル):6〜30%
Niはオーステナイト生成元素であり、耐熱鋳鋼のオーステナイト組織を安定化するとともに、Crとともに耐熱鋳鋼の高温強度及び耐酸化性を高めるほか、薄肉で複雑形状の排気系部品の鋳造性を高める。このような作用を発揮するために、Niの含有量は6%以上である必要がある。しかし、30%を超えてNiを含有すると、基地中へのNiの固溶量の増加にともなって、基地のCの固溶限を低下させ、Cr炭化物の晶出が過剰となって、耐熱鋳鋼の熱疲労特性を低下させる。また、Niは30%を超えて含有しても上記特性の向上効果は飽和するとともに、高価な元素のため経済的に不利である。このため、Ni含有量は6〜30%とする。Niの含有量の下限は好ましくは10%であり、より好ましくは11%である。また、Niの含有量の上限は好ましくは25%であり、より好ましくは22%である。
(7) Nb(ニオブ):0.6〜5%
NbはCrより優先的にCと結合し、微細なNb炭化物を形成する。これによりCr炭化物の晶出を抑制して間接的に耐熱鋳鋼の高温強度及び熱疲労特性を向上させる。さらに、NbはオーステナイトとNb炭化物との共晶炭化物を形成するため、排気系部品のような薄肉で複雑形状の鋳物を製造する際に重要な鋳造性を向上させる。このような目的で、Nbは0.6%以上必要である。一方、Nbが5%を超えると、結晶粒界に生成する硬質の共晶炭化物が多くなって、かえって耐熱鋳鋼の高温強度及び熱疲労特性が低下し、また脆化して延性が著しく低下する。さらに過剰なNbは、粒径の小さなNb炭化物とオーステナイトとの共晶炭化物をコロニー状に密集して生成し、酸化傾向を助長するため、耐熱鋳鋼の耐酸化性を低下させる。従って、Nb含有量は0.6〜5%とする。Nbの含有量の下限は好ましくは0.8%である。また、Nbの含有量の上限は好ましくは3%であり、より好ましくは2.2%である。
(8) N(窒素):0.01〜0.5%
Nは強力なオーステナイト生成元素であり、耐熱鋳鋼のオーステナイト基地を安定化して高温強度を向上させる。Nはまた、結晶粒微細化のための鍛造又は圧延を行うことができない複雑形状の鋳造品の結晶粒を微細化させるのに有効な元素である。Nを含有することにより結晶粒が微細化し、もって耐熱鋳鋼の延性及び被削性が向上する。またNはCの拡散速度を遅らせるので、析出炭化物の凝集を遅らせて炭化物の粗大化を抑制し、もって脆化を有効に防止する。このような効果を得るために、Nの含有量は0.01%以上必要である。しかし、0.5%超のNは、Niと同様に、基地のCの固溶限を低下させて、Cr炭化物の晶出が過剰となって、耐熱鋳鋼の熱疲労特性を低下させる。またNは0.5%を超えて多量に含有すると、基地中へのNの固溶量が増加して、耐熱鋳鋼が硬化するとともに、Cr及びAlと結合してCr2N、AlN等の硬くて脆い窒化物を多量に析出させ、耐熱鋳鋼の高温強度及び延性を悪化させる。さらに、過剰なNは、鋳造時にピンホールやブローホール等のガス欠陥の発生を助長し、鋳造歩留りを悪化させる。そのため、Nの含有量は0.01〜0.5%とする。Nの含有量の下限は好ましくは0.05%であり、より好ましくは0.06%である。また、Nの含有量の上限は好ましくは0.4%であり、より好ましくは0.2%である。
(9) C/N:4〜7
CとNの含有量比(C/N)の最適化は、炭窒化物の晶出を制御するための一手段である。侵入型元素であるCとNは、いずれも基地中に固溶してオーステナイト基地を安定にして高温強度を向上する。またC及びNは基地に固溶することで固定されるので、これらと結合して凝固末期に粒界に晶出する炭窒化物が減少して熱疲労特性の低下が抑制される。特に、Cr含有量の多い本発明の耐熱鋳鋼においては、Cr23C6及びCr7C3を主体とする板状又は網目状のCr炭化物が粒界に晶出して熱疲労特性を著しく悪化させるので、Cはできるだけ基地中に固溶させるのが望ましい。Cを基地に固溶するためにはNの含有量を極力低減させることも考えられるが、本発明の耐熱鋳鋼においては、Nはオーステナイト結晶粒の微細化による延性及び被削性の向上、並びに析出炭化物の粗大化抑制による脆化防止にも有効に作用するために適量必要となる。CとNを適量含有したうえで、基地中へのCの固溶を促進するためには、C/Nを最適化することが有効である。C/Nの最適化によって、N含有の効果を享受しつつ、Cの固溶限を大きくすることができる。
Nに対してCが相対的に少ない(C/Nが小さい)と、基地中へのNの固溶が多くなって、Cの固溶限を下げるので、Cr炭化物の晶出が多くなって熱疲労特性を低下させる。良好な熱疲労特性を得るためには、C/Nは4以上必要である。一方、Nに対してCが相対的に多い(C/Nが大きい)と、基地中へのCの固溶が多くなって、Nの固溶限を下げる。CよりNの方がオーステナイト基地を安定化する効果が高いため、Nの固溶が抑制されると高温強度を低下させる。良好な高温強度を得るためには、C/Nは7以下である必要がある。以上から、C/Nは4〜7とする。C/Nは好ましくは5〜6である。
(10) A/B:0.6〜1.7
本発明では、各元素が上記組成範囲を満足した上で、さらに下記式(1) 及び(2) で表されるCr炭化物生成指数AとNb炭化物生成指数Bの比率A/Bが0.6〜1.7を満たすのが好ましい。
A=8.5C−Nb+0.05Cr+0.65Ni−5・・・(1)
B=7.8Nb・・・(2)
[ただし、各式中の元素記号はその含有量(質量%)を示す。]
式(1) について、Cr炭化物の晶出傾向を示すCr炭化物生成指数Aは、C、Cr及びNiの含有量が多くなると大きくなり(Cr炭化物の晶出が多くなり)、Nbの含有量が多くなると小さくなる(Cr炭化物の晶出が少なくなる)。式(2) について、Nb炭化物の晶出傾向を示すNb炭化物生成指数Bは、Nbの含有量に比例して大きくなる(Nb炭化物の晶出が多くなる)。
C、Cr、Ni及びNbの含有量によりCr炭化物及びNb炭化物の晶出量が変化し、かつ両者の晶出量がほぼ同量のとき、熱疲労特性が最大化する。従って、A/Bが大きいと、NbによるCの固定が少なく、Cr炭化物の晶出が多くなって熱疲労特性及び延性が低下する。一方、A/Bが小さいと、Cr炭化物の晶出は少なくなるもののNb炭化物の晶出が多くなって熱疲労特性、高温強度及び延性が低下する。良好な熱疲労特性を得るためには、A/Bは0.6〜1.7が好ましく、0.7〜1.3がより好ましく、0.8〜1.2が最も好ましい。
A/Bを所望の範囲とするために、Ni含有量に応じてNb含有量を調整するのが好ましい。例えば、Ni含有量が10%程度の場合、Nb含有量は0.6〜1%にするのが望ましく、Ni含有量が13%程度の場合、Nb含有量は0.75〜1.2%にするのが望ましく、Ni含有量が20%程度の場合、Nb含有量は1.3〜2%にするのが望ましい。
(11) Zr(ジルコニウム):0.005〜0.5%
本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は、Zrの含有により、結晶粒の微細化したオーステナイトからなる基地に、Cr炭化物粒子、Nb炭化物粒子、MnS等の硫化物粒子及びZr窒化物粒子が分散した組織を有する。特に、円相当径が1.5μm以上のZr窒化物粒子が視野面積0.25 mm2当たり20〜150個有すると、耐熱鋳鋼の基地が強化され、耐熱鋳鋼の熱疲労特性が向上する。
Zrの含有により生成するZrO2、ZrN、ZrC等の酸化物、窒化物及び炭化物は耐熱鋳鋼の基地に分散して、Nb炭化物及びMnS等の硫化物の生成核となるので、Nb炭化物及びMnS等の硫化物は微細分散する。なお、凝固の末期に晶出するCr炭化物は、ZrO2、ZrN、ZrC等の生成核ではなく、凝固の初期に晶出するNb炭化物の微細分散及びオーステナイト結晶粒の微細化により、間接的に微細分散すると推察される。
Zrを含有しない場合、Nb炭化物粒子はNb炭化物とオーステナイトとの共晶炭化物がコロニー状又はラメラー状に密集して多量に生成する。酸化傾向が強いNb炭化物が密集して晶出すると、Nb炭化物粒子同士が接近し過ぎ、酸化が進行しやすくなる。その結果、耐熱鋳鋼の耐酸化性は低下し、もって熱疲労特性も低下する。Zrの含有により、Nb炭化物は塊状になるとともに微細分散する。その結果、Nb炭化物粒子同士の距離が大きくなって酸化傾向を低減して、耐熱鋳鋼の熱疲労特性が向上する。
さらに、ZrはNと結合してNb炭化物及びMnS等の硫化物の生成核として機能するZrNを生成するのみならず、生成核とは別に単独の微細に分散したZr窒化物を晶出し、基地を強化する。その結果、耐熱鋳鋼の熱疲労特性を向上する。
上述の効果を得るためにZrを含有させる場合、Zrは0.005%以上が好ましい。一方、Zrが0.5%を超えてもそれに応じた効果の増大は得られず、ZrNやZrC等の炭窒化物が過剰に晶出して脆化し、高温強度、延性及び被削性を低下させるとともに、高価な元素のため経済的に不利となる。そのため、Zrを含有させる場合には、その含有量は0.005〜0.5%とする。Zrの含有量の下限は好ましくは0.01%であり、より好ましくは0.03%であり、最も好ましくは0.04%である。また、Zrの含有量の上限は好ましくは0.3%であり、より好ましくは0.2%であり、最も好ましくは0.1%である。
(12) 不可避的不純物
本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼に含有される不可避的不純物は主に、原材料及び/又は脱酸剤から混入するP、Al、W及びMoである。Pは結晶粒界に偏析して靭性を著しく低下させるので少ないほど好ましく、0.06%以下とするのが望ましい。AlはAl2O3からなるスラグやノロといった介在物を生成して鋳造欠陥を助長して鋳造歩留りを悪化させ、また硬くて脆いAlNを生成して、延性及び被削性を低下させる。そのため、Alは少ないほど好ましく、0.05%以下とするのが望ましい。W及びMoは炭化物を生成して延性を低下させる。さらにW及びMoは、基地に固溶してCrの基地への固溶量を減少させることで、基地の耐酸化性を低下させ、かつCr炭化物の晶出を促進することで熱疲労特性を悪化させるので、少ないほど好ましく、W及びMoを各々0.5%以下とするのが好ましく、合計でも0.5%以下とするのがより好ましい。
(B) 組織
本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は、Zrを含有することにより、組織中に円相当径1.5μm以上のZr窒化物粒子を視野面積0.25 mm2当たり20〜150個有するのが好ましい。円相当径1.5μm以上のZr窒化物粒子が視野面積0.25 mm2当たり20個以上存在すれば、基地が強化され、耐熱鋳鋼の熱疲労特性が向上する。なお、円相当径1.5μm未満のZr窒化物粒子では熱疲労特性の向上効果が大きくないので、本発明では円相当径1.5μm以上のZr窒化物粒子の数を規定した。一方、Zr窒化物粒子は硬くて脆いため、視野面積0.25 mm2当たりのZr窒化物粒子の数が150個を超えると、耐熱鋳鋼の延性及び被削性を低下させる。視野面積0.25 mm2当たりの円相当径1.5μm以上のZr窒化物粒子の数は30〜100個であるのがより好ましい。なお、耐熱鋳鋼の延性及び被削性を向上するために、Zr窒化物粒子は微細なほど好ましい。具体的には、Zr窒化物粒子のサイズは平均円相当径で1.5〜10μmが好ましく、1.5〜5μmがより好ましく、1.5〜3μmが最も好ましい。
(C) 熱疲労特性
排気系部品には、エンジンの運転(加熱)と停止(冷却)の繰り返しに対する熱疲労寿命が長いことが要求される。熱疲労寿命は、熱疲労特性の優劣を表す指標の1つである。熱疲労試験での加熱冷却の繰り返しで生じる亀裂や変形により、熱疲労破壊に至るまでのサイクル数が多いほど熱疲労寿命が長く、熱疲労特性に優れている。熱疲労寿命を評価するための熱疲労試験には、(a) 材料を拘束して加熱と冷却による温度振幅を繰り返し与えることで、加熱冷却に伴う伸縮を機械的に拘束して熱疲労破壊を起こさせる熱疲労寿命試験(TMF:Thermo-Mechanical Fatigue)と、(b) 材料を一定温度及び一定ひずみ振幅で引張・圧縮により繰り返しひずみを加除することで熱疲労破壊を起こさせる高温低サイクル疲労試験(LCF:Low-Cycle Fatigue)とがある。
TMFは、加熱冷却による熱疲労寿命を評価するもので、実際のエンジンに近い試験といえるが、例えば冷却下限温度150℃、加熱上限温度1000℃及び温度振幅850℃で、昇温時間2分、保持時間1分及び冷却時間4分の合計7分を1サイクルとする加熱冷却サイクルを繰り返す試験のため、試験に要する時間が膨大であるうえに、加熱冷却による膨張・収縮で試験中に材料がネッキングするため、精度良く熱疲労寿命を評価できないことがある。一方、LCFは、ひずみの加除10秒及び圧縮保持1分で合計1分10秒(70秒)を1サイクルとする引張・圧縮サイクルを繰り返す試験のため、試験時間が短く、また試験温度が一定のため材料の膨張・収縮によるネッキングが起こらないため、TMFに比較して精度よく熱疲労寿命を評価できる。従って、TMF及びLCFの両方の熱疲労試験を実施し、LCFにより耐熱鋳鋼の熱疲労特性を評価し、TMFは参考とした。
本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は、試験温度900℃、ひずみ振幅0.5%、ひずみ速度0.1%/秒、及び圧縮保持時間1分の条件で引張・圧縮によりひずみを加除する高温低サイクル疲労試験(LCF)により測定した疲労寿命が1500サイクル以上であるのが好ましい。LCFによる熱疲労寿命が1500サイクル以上であれば、オーステナイト系耐熱鋳鋼は優れた熱疲労特性を有するということができ、950〜1100℃の排ガスに曝されて、1000℃付近まで温度が上昇する排気系部品に好適である。LCFによる熱疲労寿命は1800サイクル以上がより好ましく、1900サイクル以上が更に好ましく、2000サイクル以上が最も好ましく、2200サイクル以上が特に好ましい。
本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼において、A/Bを0.6〜1.7とし、かつZr含有量を0.005〜0.5%とすることで、LCFによる熱疲労寿命を2000サイクル以上とすることができる。
[2] 排気系部品
本発明の排気系部品は上記オーステナイト系耐熱鋳鋼からなる。排気系部品の好ましい例は、タービンハウジング、エキゾーストマニホルド、タービンハウジングとエキゾーストマニホルドとを一体に鋳造したタービンハウジング一体エキゾーストマニホルド、触媒ケース、触媒ケースとエキゾーストマニホルドとを一体に鋳造した触媒ケース一体エキゾーストマニホルド、及びエキゾーストアウトレットであるが、勿論限定的でない。
本発明の排気系部品は、950〜1100℃の排ガスに曝されて900〜1050℃に達しても高い耐熱性及び耐久性を発揮する。つまり本発明の排気系部品は、高温で過酷な使用条件に対応できるので、エンジンの高性能化及び低燃費化の技術を大衆車にも適用することを可能とし、自動車の排ガス浄化や燃費改善に貢献することが期待される。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。ここでも、オーステナイト系耐熱鋳鋼を構成する各元素の含有量は、特に断りがない限り「質量%」で表す。
実施例1〜25、及び比較例1〜33
実施例1〜25のオーステナイト系耐熱鋳鋼の化学組成、C/N及びA/Bを表1-1及び表1-2に示し、比較例1〜33の耐熱鋳鋼の化学組成、C/N及びA/Bを表2-1及び表2-2に示す。比較例1〜33は、化学組成、C/N及びA/Bの少なくとも1つが本発明の範囲外である。比較例33はWO 2005/103314に記載の高Cr高Niオーステナイト系耐熱鋳鋼の一例であり、2.8質量%のWを含有する。なお、比較例33のWを除き、各耐熱鋳鋼中の不可避的不純物として、Pは0.02%以下、Alは0.03%以下、Wは0.1%以下、及びMoは0.1%以下であった。
実施例1〜25及び比較例1〜33の各原料を、100 kgの高周波溶解炉(塩基性ライニング)を用いて大気溶解した後、1550〜1600℃で出湯し、直ちに1500〜1550℃で1インチYブロック用鋳型に注湯して各鋳鋼の供試材を得た。各供試材から試験片を切り出して、以下の評価を行った。
(1) 熱疲労特性
熱疲労特性として、熱疲労寿命試験(TMF)及び高温低サイクル疲労試験(LCF)により熱疲労寿命を測定した。
(a) 熱疲労寿命試験(TMF)
1インチYブロックの各供試材から標点間距離25 mm及び直径10 mmの平滑丸棒試験片を切り出し、これを電気-油圧サーボ式材料試験機(株式会社島津製作所製、商品名サーボパルサーEHF-ED10TF-20L)に拘束率0.25で取り付け、各試験片に対して大気中で、冷却下限温度150℃、加熱上限温度1000℃及び温度振幅850℃で、1サイクルを昇温時間2分、保持時間1分及び冷却時間4分の合計7分とする加熱冷却サイクルを繰り返し、加熱冷却に伴う伸縮を機械的に拘束して熱疲労破壊を起こさせることにより、熱疲労寿命を測定した。
機械的な拘束の程度は、[(自由熱膨張伸び−機械的拘束下での伸び)/(自由熱膨張伸び)]で定義される拘束率で表す。例えば、拘束率1.0とは、試験片が150℃から1000℃まで加熱されたときに、全く伸びを許さない機械的拘束条件をいう。また拘束率0.5とは、自由膨張伸びが、例えば2 mm伸びるところを1 mmの伸びしか許さない機械的拘束条件をいう。従って拘束率0.5では、昇温中には圧縮荷重がかかり、降温中には引張荷重がかかる。実際の自動車用の排気系部品の拘束率は、ある程度伸びを許容する0.1〜0.5程度であるので、熱疲労特性を拘束率0.25で評価した。
熱疲労寿命の判定基準は、加熱冷却の繰り返しに伴う荷重の変化から求まる荷重-温度線図において、2サイクル目の最大引張荷重(冷却下限温度で発生)を基準(100%)として、各サイクルで測定される最大引張荷重が75%に低下するまでの加熱冷却サイクル数とした。実施例1〜25及び比較例1〜33のTMFによる熱疲労寿命の測定結果をそれぞれ表3及び表4に示す。
1000℃付近で十分な耐熱性を有するために、加熱上限温度1000℃、温度振幅850℃及び拘束率0.25の条件で加熱冷却するTMFにより測定した熱疲労寿命(以下、TMF熱疲労寿命という)は、900サイクル以上であるのが好ましい。TMF熱疲労寿命が900サイクル以上の耐熱鋳鋼からなる排気系部品は、エンジンの加熱冷却の繰り返しにより生ずる亀裂や変形によって熱疲労破壊に至るまでの寿命が長い。
表3及び表4から明らかなように、実施例1〜25のTMF熱疲労寿命は全て900サイクル以上であった。これから、本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は熱疲労特性に優れ、1000℃付近の温度までの加熱と冷却とを繰り返す排気系部品に使用した場合に、排気系部品が十分な耐熱性及び耐久性を発揮することが期待される。これに対して、比較例1〜33の鋳鋼は、比較例2を除いていずれもTMF熱疲労寿命が900サイクル未満であった。なお、比較例2はLCFによる熱疲労寿命が短かった。
(b) 高温低サイクル疲労試験(LCF)
高温低サイクル疲労試験(LCF)は、2003年6月2日(社)日本材料学会発行の「高温低サイクル疲労試験法標準(JSMS-SD-7-03)」に準拠して、以下の通り実施した。すなわち、1インチYブロックの各供試材から標点間距離25 mm及び直径10 mmの平滑丸棒つばつき試験片を切り出し、これをTMFと同じ電気-油圧サーボ式材料試験機に取り付け、各試験片に対して大気中で、900℃の一定温度で、ひずみ波形を圧縮保持とし、ひずみ振幅0.5%、ひずみ速度0.1%/秒、及び圧縮保持時間1分の条件で、1サイクルを引張による0.25%のひずみ加除を5秒、圧縮による0.25%のひずみ加除を5秒、及び圧縮による0.25%のひずみ保持を60秒の合計70秒とする引張・圧縮によりひずみの加除を繰り返した。なお、ひずみ振幅を0.5%としたのは、実際の自動車用の排気系部品で亀裂を発生する部位でのひずみ量が約0.5%と推定されるためであり、ひずみ速度を0.1%/秒としたのは、「高温低サイクル疲労試験法標準(JSMS-SD-7-03)」で推奨するひずみ速度が0.1%/秒であるからである。
熱疲労寿命の判定基準は、引張・圧縮の繰り返しに伴う荷重(応力)の低下を基準として、引張荷重が、亀裂発生以前の引張荷重の変化傾向の外挿線から75%に低下するまでの引張圧縮サイクル数とした。実施例1〜25及び比較例1〜33のLCFによる熱疲労寿命の測定結果をそれぞれ表3及び表4に示す。
1000℃付近で十分な耐熱性を有するために、試験温度900℃、ひずみ振幅0.5%、ひずみ速度0.1%/秒、及び圧縮保持時間1分の条件で引張・圧縮によりひずみを加除するLCFにより測定した疲労寿命(LCF熱疲労寿命)は、1500サイクル以上であるのが好ましい。LCF熱疲労寿命が1500サイクル以上の耐熱鋳鋼からなる排気系部品は、エンジンの加熱冷却の繰り返しにより生ずる亀裂や変形によって熱疲労破壊に至るまでの寿命が長い。
表3から明らかなように、実施例1〜25のLCF熱疲労寿命は全て1500サイクル以上であった。中でも、Cr含有量を24〜26%、Ni含有量を11〜22%、及びA/Bを0.7〜1.3とした実施例9〜13、15〜21及び23では、LCF熱疲労寿命は1800サイクル以上であった。
以上の結果から、本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は熱疲労特性に優れ、1000℃付近の温度までの加熱と冷却とを繰り返す排気系部品に使用した場合に、排気系部品が十分な耐熱性及び耐久性を発揮することが期待される。これに対して、表4から明らかなように、比較例1〜33の鋳鋼はいずれもLCF熱疲労寿命が1500サイクル未満であった。
(2) 酸化減量
エンジンからの950〜1100℃の排ガス(硫黄酸化物、窒素酸化物等の酸化性ガスを含有する)に曝される排気系部品の表面には、酸化膜が形成される。酸化が進行すると酸化膜を起点に亀裂が入り、排気系部品内部まで酸化が進展し、最終的には排気系部品の表面から裏面まで亀裂が貫通して排ガスの漏洩や排気系部品の割れを招く。そのため、排気系部品の1050℃における耐酸化性を評価するために、以下の方法により酸化減量を求めた。すなわち、1インチYブロックの各供試材から直径10 mm及び長さ20 mm丸棒試験片を切り出し、これを大気中1050℃に200時間保持した後、ショットブラスト処理を施して酸化スケールを除去し、酸化試験前後の単位面積当たりの質量変化[酸化減量(mg/cm2)]を求めた。実施例1〜25及び比較例1〜33における酸化減量をそれぞれ表3及び表4に示す。
1000℃付近で十分な耐熱性を発揮するためには、酸化減量は30 mg/cm2以下であるのが好ましく、20 mg/cm2以下であるのがより好ましく、10 mg/cm2以下であるのが最も好ましい。表3から明らかなように、実施例1〜25の酸化減量は全て30 mg/cm2未満であった。これから、本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は耐酸化性に優れ、1000℃付近の温度に到達する排気系部品に使用した場合に十分な耐酸化性を発揮することが分る。これに対して、表4から明らかなように、Si、Cr又はNiの含有量の少なすぎる比較例7、11及び13、及びMn又はNbの含有量の多すぎる比較例9及び22は、いずれも酸化減量が30 mg/cm2を超えていた。これは、比較例7、9、11、13及び22の鋳鋼は1000℃付近の温度に到達する排気系部品に使用した場合に十分な耐酸化性を発揮できないことを意味する。
(3) 高温耐力
排気系部品には、エンジンの運転(加熱)と停止(冷却)の繰り返しによっても熱変形を生じにくい耐熱変形性が要求される。十分な耐熱変形性を確保するためには、高い高温強度を有するのが好ましい。高温強度は、1050℃における0.2%耐力(高温耐力)により評価できる。1インチYブロックの各供試材から標点間距離50 mm及び直径10 mmの平滑丸棒つばつき試験片を切り出し、これをTMFと同じ電気-油圧サーボ式材料試験機に取り付け、各試験片について大気中1050℃での0.2%耐力(MPa)を測定した。実施例1〜25及び比較例1〜33の高温耐力をそれぞれ表3及び表4に示す。
1000℃付近で十分な耐熱性を発揮するために、1050℃における0.2%耐力は20 MPa以上であるのが好ましい。1050℃における0.2%耐力が20 MPa以上の耐熱鋳鋼からなる排気系部品は、拘束下で950〜1100℃に曝されても亀裂及び割れの発生を抑制するのに十分な強度を有する。本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼の1050℃における0.2%耐力は30 MPa以上がより好ましい。
表3から明らかなように、実施例1〜25の試験片の高温耐力は20 MPa以上であった。これから、本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は高温耐力に優れ、1000℃付近の温度に到達する排気系部品に使用した場合に十分な高温強度を発揮することが分る。これに対して、表4から明らかなように、Nの含有量が少なすぎる比較例23、及びC、Si、S、Cr、Nb又はNの含有量の多すぎる比較例6、8、10、12、22及び24はいずれも高温耐力が20 MPa未満であった。これは、比較例6、8、10、12及び22〜24の鋳鋼は高温耐力が不十分であり、1000℃付近の温度に到達する排気系部品に使用した場合に十分な高温強度を発揮できないことを意味する。
(4) 室温伸び
排気系部品には、エンジンの運転(加熱)と停止(冷却)の繰り返しによっても熱変形を生じにくい耐熱変形性が要求される。十分な耐熱変形性を確保するためには、高い高温耐力の他に高い延性を有するのが好ましい。延性を評価するために、1インチYブロックの各供試材から標点間距離50 mm及び直径10 mmの平滑丸棒つばつき試験片を切り出し、これをTMFと同じ電気-油圧サーボ式材料試験機に取り付け、各試験片の大気中25℃での室温伸び(%)を測定した。実施例1〜25及び比較例1〜33の室温伸びをそれぞれ表3及び表4に示す。
本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は室温における伸びが2.0%以上であるのが好ましい。室温伸びが2.0%以上の耐熱鋳鋼からなる排気系部品は、高温から室温付近まで冷却されたときに、高温で発生した圧縮応力から転じた引張応力により変形及び亀裂が発生するのを抑制するに十分な延性を有する。また、排気系部品は、製造中、エンジンへの組み付け中、自動車の始動時や運転中等に加わる機械的な振動及び衝撃に抗して、亀裂及び割れを抑制できる。本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼の室温伸びは3.0%以上であるのがより好ましく、4.0%以上であるのが最も好ましい。
表3から明らかなように、実施例1〜25の室温伸びは全て2.0%以上であった。これから、本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は室温伸びに優れ、また加熱/冷却を繰り返す排気系部品に使用した場合に十分な耐熱変形性を発揮することが分る。これに対して、表4から明らかなように、S、Cr、Nb又はNの含有量の多すぎる比較例10、12、22及び24は、室温伸びが2.0%未満であった。これは、比較例10、12、22及び24の鋳鋼は室温伸びが不十分であり、また加熱/冷却を繰り返す排気系部品に使用した場合に十分な耐熱変形性を発揮できないことを意味する。
上記の通り、本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は、1000℃付近の温度に到達する排気系部品に要求される耐熱性及び耐久性を発揮するために必要な優れた熱疲労特性のみならず、耐酸化性、高温強度及び耐熱変形性も有することが分った。
実施例26〜49、及び比較例34
実施例26〜49のオーステナイト系耐熱鋳鋼、及び比較例34の耐熱鋳鋼の化学組成、C/N及びA/Bを表5-1及び表5-2に示す。なお、各耐熱鋳鋼中の不可避的不純物として、Pは0.02%以下、Alは0.03%以下、Wは0.1%以下、及びMoは0.1%以下であった。
実施例1〜25と同じ方法で、実施例26〜49及び比較例34の各耐熱鋳鋼を製造し、熱疲労特性、酸化減量、高温耐力、室温伸び、及びZr窒化物粒子の数を測定した。測定結果を表6に示す。
(1) 熱疲労特性
表6から明らかなように、実施例26〜49のTMF熱疲労寿命は全て1000サイクル以上であり、LCF熱疲労寿命は全て2000サイクル以上であった。これから、本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は熱疲労特性に優れ、1000℃付近の温度までの加熱と冷却とを繰り返す排気系部品に使用した場合に、排気系部品が十分な耐熱性及び耐久性を発揮することが期待される。これに対して、Nb含有量が少なすぎ、C/Nが小さい比較例34の鋳鋼はTMF熱疲労寿命が900サイクル未満であり、LCF熱疲労寿命が1500サイクル未満であった。
(2) 酸化減量
表6から明らかなように、実施例26〜49の酸化減量は全て30 mg/cm2未満であった。これから、本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は耐酸化性に優れ、1000℃付近の温度に到達する排気系部品に使用した場合に十分な耐酸化性を発揮することが分る。これに対して、Nb含有量が少なすぎ、C/Nが小さい比較例34の鋳鋼は、酸化減量が30 mg/cm2を超えていた。これは、比較例34の鋳鋼は1000℃付近の温度に到達する排気系部品に使用した場合に十分な耐酸化性を発揮できないことを意味する。
(3) 高温耐力
表6から明らかなように、実施例26〜49の高温耐力は20 MPa以上であった。これから、本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は高温耐力に優れ、1000℃付近の温度に到達する排気系部品に使用した場合に十分な高温強度を発揮することが分る。
(4) 室温伸び
表6から明らかなように、実施例26〜49の室温伸びは全て2.0%以上であった。これから、本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼は室温伸びに優れ、また加熱/冷却を繰り返す排気系部品に使用した場合に十分な耐熱変形性を発揮することが分る。
上記の通り、Zrを含有する本発明のオーステナイト系耐熱鋳鋼も、1000℃付近の温度に到達する排気系部品に要求される耐熱性及び耐久性を発揮するために必要な優れた熱疲労特性のみならず、耐酸化性、高温強度及び耐熱変形性も有することが分った。
(5) Zr窒化物粒子の数
実施例35の供試材の1インチYブロックの底部から切り出した組織観察用試験片を鏡面研磨し、腐食なしで、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM:株式会社日立ハイテクノロジーズ製のSU-70)を用いて、158μm×119μmの視野の電子顕微鏡写真を撮った。図1は電子顕微鏡写真の一枚である。図1において、薄い灰色部分はオーステナイト相1であり、白色粒子は塊状のNb炭化物2であり、角状の灰白色粒子はZr窒化物3であり、濃い灰色粒子はCr炭化物4であり、黒色粒子はMnS等の硫化物粒子5である。Zr窒化物粒子は、電界放出型走査電子顕微鏡に装着されたエネルギー分散型X線分析装置(EDS:アメテック株式会社製のEDAX Genesis)を用いた分析により確認した。
各供試材から組織観察用試験片を切り出し、500μm×500μm(0.25 mm2)の任意の3視野の電子顕微鏡写真を撮り、各視野について、画像解析により円相当径1.5μm以上のZr窒化物粒子の数をカウントし、3視野について平均した。実施例26〜49及び比較例34の結果を表6に示す。表6から明らかなように、Zrを含有する実施例26〜49の耐熱鋳鋼では、組織中の円相当径1.5μm以上のZr窒化物粒子の数は視野面積0.25 mm2当たり20〜150個であった。

Claims (6)

  1. 質量基準で、
    C:0.3〜0.6%、
    Si:0.5〜3%、
    Mn:0.5〜2%、
    Cr:15〜30%、
    Ni:6〜30%、
    Nb:0.6〜5%、
    N:0.01〜0.5%、及び
    S:0.01〜0.5%を含有し、
    CとNの含有量比C/Nが4〜7であり、
    残部Fe及び不可避的不純物からなり、
    かつ下記式(1) 及び(2) により表されるCr炭化物生成指数AとNb炭化物生成指数Bとの比率A/Bが0.6〜1.7である
    A=8.5C−Nb+0.05Cr+0.65Ni−5・・・(1)
    B=7.8Nb・・・(2)
    [ただし、各式中の元素記号はその含有量(質量%)を示す。]
    ことを特徴とする熱疲労特性に優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  2. 請求項1に記載のオーステナイト系耐熱鋳鋼において、さらに0.005〜0.5質量%のZrを含有することを特徴とするオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  3. 請求項2に記載のオーステナイト系耐熱鋳鋼において、組織中の円相当径1.5μm以上のZr窒化物粒子の数が視野面積0.25 mm2当たり20〜150個であることを特徴とするオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のオーステナイト系耐熱鋳鋼において、試験温度900℃、ひずみ振幅0.5%、ひずみ速度0.1%/秒、及び圧縮保持時間1分の条件で引張・圧縮によりひずみを加除する高温低サイクル疲労試験により測定した疲労寿命が1500サイクル以上であることを特徴とするオーステナイト系耐熱鋳鋼。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のオーステナイト系耐熱鋳鋼からなることを特徴とする排気系部品。
  6. 請求項5に記載の排気系部品において、タービンハウジング、エキゾーストマニホルド、タービンハウジング一体エキゾーストマニホルド、触媒ケース、触媒ケース一体エキゾーストマニホルド、又はエキゾーストアウトレットであることを特徴とする排気系部品。
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