JP6481591B2 - 電解質膜の製造方法、燃料電池用接合体の製造方法 - Google Patents

電解質膜の製造方法、燃料電池用接合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池の製造に関する。
電解質膜の前駆体にプロトン伝導性を付与する化学処理を施すために、搬送補助用のバックシートを前駆体に貼り付けて、前駆体の強度を補強する手法が知られている(特許文献1)。
特開2014−026901号公報
上記バックシートは、電解質膜を含む接合体を製造する際に、除去する必要がある。上記先行技術文献では、この除去について検討されていない。本願発明は、前駆体に密着させたバックシートを除去する際に、前駆体の反対側に配置された積層物(バックシートや触媒層)の界面に応力が加わり、界面で生じる剥離の低減を解決課題とする。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、以下の形態として実現できる。
本発明の一形態によれば、電解質膜の製造方法が提供される。この製造方法は;アルカリ溶液に溶出する溶出成分で構成された溶出バックシートを電解質膜の前駆体の第1の面に密着させ、前記アルカリ溶液に溶出しない成分を含む不溶出バックシートを前記前駆体の第2の面に密着させることによって、積層体を得る工程と;前記積層体を前記アルカリ溶液に浸漬し、その後、酸溶液に浸漬することによって、前記前駆体から前記電解質膜を得る工程と;を含む。この形態によれば、電解質膜を得る工程において、溶出バックシートから溶出成分が溶出するので、溶出バックシートと前駆体との密着力が低下する。この結果、溶出バックシートを前駆体または電解質膜から剥離する工程が存在する場合でも、第2の面に密着させた不溶出バックシートが意図せず剥離することで前駆体または電解質膜が損傷する製造不良を低減できる。
上記形態において、前記溶出バックシートは、前記アルカリ溶液に浸漬されることによって、前記前駆体から除去されてもよい。この形態によれば、溶出バックシートを剥離する工程を省略できるので、製造コストを低減できる。さらには、溶出バックシートを剥離することに起因する不良を殆ど無くすことができる。
他の形態として、燃料電池用接合体を製造する方法が提供される。この製造方法は;アルカリ溶液に溶出する成分としての混入物と、前記アルカリ溶液に溶出しない成分とを含む複合材バックシートを、第1及び第2の面を有する電解質膜の前駆体の前記第2の面に密着させることによって積層体を得る工程と;前記積層体を前記アルカリ溶液に浸漬し、その後、酸溶液に浸漬することによって、前記前駆体から前記電解質膜を得る工程と;前記電解質膜の前記第1の面に触媒層を積層することと、前記触媒層に拡散層を積層することとを実行する積層工程と;前記積層する工程の後、前記複合材バックシートを前記第2の面から剥離する工程とを含む。この形態によれば、バックシートは、アルカリ溶液に浸漬されることによって前駆体との密着力が低下し、ひいては電解質膜との密着力が低下する。このため、バックシートを剥離する工程において、触媒層と拡散層とが剥離する損傷を低減できる。
上記形態において、前記電解質膜を得る工程において、前記前駆体から前記アルカリ溶液にフッ化ナトリウムが溶出し;前記混入物は、フッ化ナトリウムでもよい。上記形態によれば、前駆体の反応によって生成する成分と混入物とが同じなので、混入物が溶出しても、前駆体の反応の妨げになることが殆どなくなる。
上記形態において;前記積層体を得る工程において、前記前駆体の前記第1の面に、前記アルカリ溶液に溶出する成分としての溶出成分で構成された溶出バックシートを密着させ;前記積層工程の前に、前記溶出バックシートを前記第1の面から除去してもよい。この形態によれば、溶出バックシートを前駆体または電解質膜から剥離する工程が存在する場合でも、第2の面に密着させた複合材バックシートが意図せず剥離することで前駆体または電解質膜が損傷する製造不良を低減できる。
上記形態において、前記溶出バックシートは、前記アルカリ溶液に浸漬されることによって、前記前駆体から除去されてもよい。この形態によれば、上記した効果を得ることができる。上記した効果とは、この形態と同じ特徴を有する電解質膜の製造方法において得ることができる効果のことである。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現できる。例えば、上記の製造方法を実現する製造装置の形態で実現できる。
燃料電池用接合体の製造方法を示すフローチャート。 電解質膜の製造方法を示すフローチャート。 溶融含浸の工程を示す図。 アルカリ処理および酸処理を示す図。 フッ素系バックシートを剥離する工程を示す図。 燃料電池用接合体を示す図。 第1のフッ素系バックシートを剥離する工程を示す図(比較例)。 アルカリ処理および酸処理を示す図(実施形態2)。 複合材バックシートの製造方法を示すフローチャート。 複合材バックシートの製造の様子を示す図。 剥離強度とフッ化ナトリウムの混入量との関係を示すグラフ。 バックシートを剥離する工程を示す図。 アルカリ処理および酸処理を示す図(実施形態3)。
実施形態1を説明する。図1は、燃料電池用接合体500(符号500は図6に図示)の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態でいう燃料電池用接合体とは、電解質膜と触媒層とガス拡散層との接合体のことであり、燃料電池セルの構成要素である。
まず、図1に示すようにエンプラ系バックシート130(溶出バックシート)を製造する(S200)。エンプラとは、エンジニアリングプラスチックの略称である。本実施形態では、ポリイミド(Poly Imide)系のエンプラを用いた。ポリイミド系のエンプラは、アルカリ溶液に溶出する溶出成分であり、他のエンプラの材質に比べて、アルカリ溶液に溶出しやすい。エンプラ系バックシート130は、溶融含浸(後述するS340)における温度に耐える耐熱性を有する。エンプラ系の材料は、実施形態2で後述する複合材バックシート230よりも安価である。また、エンプラ系バックシート130は、ポリイミド系のエンプラのみで形成されているので、複合材バックシート230とは異なり複合材料ではなく、この点においても複合材バックシート230よりも安価に製造できる。エンプラ系バックシート130は、薄膜である。具体的には、エンプラ系バックシート130の厚さを、20〜200μmに設定した。
次に、第2のフッ素系バックシート230A(不溶出バックシート)を製造する(S200)。第2のフッ素系バックシート230Aは、樹脂層で形成されている。樹脂層とは、フッ素系樹脂粉末によって形成されたシートである。樹脂層は、アルカリ溶液に溶出しない。
次に、図1に示すように、電解質膜317を製造する(S300)。図2は、電解質膜317の製造方法を示すフローチャートである。まず、電解質樹脂層311を製造する(S310)。本実施形態では、末端基がF型のフッ素性電解質樹脂を用いて製造する。電解質樹脂層311の厚さは、2〜30μmに設定した。
次に、補強膜312を製造する(S320)。本実施形態における補強膜312は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の延伸多孔質膜である。
次に、積層を実施する(S330)。具体的には、補強膜312の両面それぞれに、電解質樹脂層311を積層し、更に、複合材バックシート230とエンプラ系バックシート130とで挟み込むことによって、5層の積層体を得る。この積層体の長さは100m、幅は100〜500mmに設定した。
次に、加熱プレスを実行する(S340)。具体的には、図3に示すように、S330で得た積層体を、ローラ341にセットする。そして、ヒートローラ342とヒートローラ343とで、積層体を加熱しながら加圧する。本実施形態においては、ヒートローラ342とヒートローラ343との何れの温度も、180℃〜300℃に設定した。
加熱プレスによって、溶融含浸が起こる。ここでいう溶融含浸とは、両面の電解質樹脂層311が溶融して、補強膜312に含浸することである。溶融含浸によって、電解質樹脂層311と補強膜312とから、前駆体315を得る。
さらに、加熱プレスによって、エンプラ系バックシート130と第2のフッ素系バックシート230Aとがそれぞれ、前駆体315に密着する。前駆体315の面のうち、エンプラ系バックシート130が密着した面を第1の面315a、第2のフッ素系バックシート230Aが密着した面を第2の面315bと呼ぶ。このようにした得られた3層の積層体を、積層体345と呼ぶ。
次に、図4に示すように、積層体345をローラ344から繰り出し、アルカリ溶液に浸漬させる(S350)。以下、アルカリ溶液に浸漬させることを、アルカリ処理という。本実施形態では、1〜10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いる。
積層体345をアルカリ溶液に浸漬させると、2つの変化が起こる。1つ目の変化として、前駆体315において次の反応が起こり、末端基が−SO2Fから−SO3Naに変化する。
−SO2F+2NaOH → −SO3Na+NaF+H2
この反応は、本実施形態では加水分解と呼ぶ。より詳細には、アルカリ加水分解と呼ぶ。
2つ目の変化は、エンプラ系バックシート130全体が溶出することである。つまり、エンプラ系バックシート130は、S350によって消失する。この結果、前駆体315の第1の面315aが露出する。
なお、第2のフッ素系バックシート230Aは、アルカリ溶液に溶出する成分を殆ど含有しないので、アルカリ処理を経ても殆ど変化しない。
なお、アルカリ溶液に溶出した混入物233(フッ化ナトリウム)が、前駆体315の反応に悪影響を与えることは殆どない。フッ化ナトリウムは、1つ目の変化として説明した通り、前駆体315の反応によって生成する物質だからである。
次に、第2のフッ素系バックシート230Aと前駆体315とを純水で洗浄する(S360)(図4には図示していない)。次に、第2のフッ素系バックシート230Aと前駆体315との積層体を、酸溶液に浸漬する(S370)。本実施形態においては、1〜10mol/Lの硝酸を用いる。
S370によって、前駆体315において次の反応が起こり、末端基が−SO3Naから−SO3Hに変化する。
−SO3Na+HNO3 → −SO3H+NaNO3
この反応は、中和反応である。この反応を経ることによって、前駆体315から電解質膜317を得る。電解質膜317は、複合電解質膜である。このようして得られた電解質膜317は、第1の面317aが露出している。第1の面317aは、前駆体315の第1の面315aと同じ面である。
次に、複合材バックシート230と電解質膜317とを純水で洗浄し(S380)(図4には図示していない)、ローラ361に巻き取る。
次に、図1に示すように、電解質膜317の第1の面317aに、触媒層411とガス拡散層421とを積層する(S400)。
次に、図5に示すように、第2のフッ素系バックシート230Aを剥離する(S500)。この結果、電解質膜317の第2の面317bが露出する。
次に、電解質膜317の第2の面317bに、触媒層412とガス拡散層422とを積層する(S600)。この結果、図6に示す燃料電池用接合体500を得る。
比較例を説明する。比較例が実施形態1と異なる点は、エンプラ系バックシート130の代わりに、第1のフッ素系バックシート130Aを用いることである。第1のフッ素系バックシート130Aは、第2のフッ素系バックシート230Aと同様、樹脂層によって形成されている。
図7は、比較例において、第1のフッ素系バックシート130Aを剥離する工程を示す。この工程は、図2と共に説明したS340の後、且つS350の前に実行される。第1のフッ素系バックシート130Aは、樹脂層によって形成されているので、アルカリ溶液に殆ど溶出しない。そこで比較例では、S350を実行する前に、図7に示すように第1のフッ素系バックシート130Aを剥離する。
図7に示すように、第2のフッ素系バックシート230Aと前駆体315と第1のフッ素系バックシート130Aとの積層体である積層体345Aを、ローラ344から繰り出し、剥離バー630を用いて第1のフッ素系バックシート130Aを前駆体315から剥離する。剥離された第1のフッ素系バックシート130Aは、ローラ620に巻き取られる。複合材バックシート230及び前駆体315は、図4と共に説明したローラ344Aに巻き取られる。ローラ344Aは、実施形態1のローラ344(図4)の代わりに、アルカリ溶液に浸漬するための繰り出しを実行する。
比較例では、図7に示すように、第2のフッ素系バックシート230Aと前駆体315とが、部分的に剥がれる不良品が発生した。これは、次の2つの密着力が略同じであることが原因の一つである。2つの密着力の1つ目は、第2のフッ素系バックシート230Aと前駆体315との密着力である。2つ目は、第1のフッ素系バックシート130Aと前駆体315との密着力である。なお、上記の不良の発生の有無は、目視で判定した。
これに対して実施形態1は、比較例で発生した不良品が殆ど発生しなかった。これは、実施形態1では、剥離バー630によってバックシートを剥離する工程が省略されているからである。さらに、実施形態1は、比較例と比較して、工程の省略によって製造コストの低減を実現している。
実施形態2を説明する。実施形態2の説明は、実施形態1と異なる点を中心に実施し、特に説明しない点については実施形態1と同じである。
図8は、実施形態2におけるアルカリ処理および酸処理を示す図である。実施形態2においては、図8に示すように、エンプラ系バックシート130の代わりに、先述した第1のフッ素系バックシート130Aが用いられる。さらに、第2のフッ素系バックシート230Aの代わりに、複合材バックシート230が用いられる。
図9は、複合材バックシート230の製造方法を示すフローチャートである。この処理は、実施形態1のS200の代わりに実行される。図10は、複合材バックシート230の製造の様子を示す。
まず、溶融押出を実行する(S210)。具体的には、製膜用溶融押出ダイ213に、フッ素系樹脂粉末とフッ化ナトリウム粉末とを投入する。なお、フッ素系樹脂粉末に代えて、フッ素系樹脂のペレットを投入してもよい。
製膜用溶融押出ダイ213から押し出された膜を冷却することによって、複合材バックシート230を得る(S220)。この冷却は、製膜用溶融押出ダイ213から押し出された膜が、ローラ215を経てローラ225に巻き取られるまでに生じる自然冷却で実現される。
複合材バックシート230は、図8に示すように、樹脂層231内に混入物233が散在している構成を有する。樹脂層231は、第1のフッ素系バックシート130Aを構成する樹脂層と同じ材質のものである。混入物233は、フッ化ナトリウム粉末によって形成された混入物であり、アルカリ溶液に溶出する。樹脂層231及び混入物233共に、溶融含浸における温度に耐える耐熱性を有する。複合材バックシート230は、薄膜である。具体的には、複合材バックシート230の厚さを、20〜100μmに設定した。
第1のフッ素系バックシート130Aは、アルカリ溶液に溶出する成分を殆ど含有しないので、アルカリ処理を経ても殆ど変化しない。このため、実施形態2では、先述した比較例と同様、第1のフッ素系バックシート130Aを物理的に剥離する。
一方、図8に示すように、複合材バックシート230に含まれる混入物233は、アルカリ溶液に溶出する。この結果、複合材バックシート230を構成するのは、殆どが樹脂層231になる。この樹脂層231は、混入物233が溶出した結果、多数の空隙を有する。
なお、アルカリ溶液に溶出した混入物233(フッ化ナトリウム)が、前駆体315の反応に悪影響を与えることは殆どない。フッ化ナトリウムは、前駆体315の反応によって生成する物質だからである。
複合材バックシート230が有する空隙は、前駆体315との界面付近にも存在する。このため、複合材バックシート230と前駆体315と密着力が低下する。密着力が低下する主な原因は、空隙の発生によって複合材バックシート230と前駆体315との接触面積が低下することである。
図11は、剥離強度と、フッ化ナトリウムの混入量との関係を調べた実験結果を示すグラフである。この剥離強度とは、電解質膜317と複合材バックシート230との剥離強度(N/m)である。フッ化ナトリウムの混入量とは、複合材バックシート230に占める混入物233の割合を、質量%で示した値である。
剥離強度の測定には、オートグラフを用いた。剥離角度は180度に設定した。剥離速度は1000m/minに設定した。
剥離強度が大きいと、S500における損傷が発生しやすくなる。図12は、先述した比較例において、この損傷の様子を示す図である。先述したように、第2のフッ素系バックシート230Aは、樹脂層231によって形成されているので、アルカリ溶液に溶出する成分を殆ど有しない。従って、S350を実行しても、前駆体315と第2のフッ素系バックシート230Aとの密着力は殆ど変化しない。この結果、電解質膜317と第2のフッ素系バックシート230Aとの密着力は、実施形態2における電解質膜317と複合材バックシート230との密着力よりも高くなる。この高い密着力が、上記S500における損傷の原因であると考えられる。
一方で、図11に示すように、フッ化ナトリウムの混入量が大きくなると、剥離強度が低下することが確認できた。そして、フッ化ナトリウムの混入量が或る値を上回ると、目標値となる剥離強度を達成できることが分かった。
実施形態2における複合材バックシート230は、この実験結果に基づき、混入物233の混入量が決定されている。このため、実施形態2では、S500における損傷は殆ど発生しなかった。
実施形態3を説明する。実施形態3の説明は、実施形態1と異なる点を中心に実施し、特に説明しない点については実施形態1と同じである。
図13は、実施形態3におけるアルカリ処理および酸処理を示す図である。実施形態3においては、図13に示すように、第2のフッ素系バックシート230Aの代わりに、複合材バックシート230を用いる。このため、実施形態3では、実施形態1の効果と、実施形態2の効果との両方を得ることができる。
本発明は、本明細書の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、先述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、先述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことができる。その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。例えば、以下のものが例示される。
溶出バックシートの材質は、アルカリ溶液に溶出する他の材質でもよい。例えばポリアミドイミド(Polyamide Imide)系や、ポリフェニレンサルファイド(Poly Phenylene Sulfide)系のエンプラでもよい。
この場合、溶出バックシートは、アルカリ処理によって、前駆体から除去されてもよいし、されなくてもよい。
なお、溶出バックシートが前駆体から除去されるとは、少なくとも以下の2つの形態を含む概念である。1つ目は、実施形態1,2のように溶出バックシート全体がアルカリ溶液に溶出すること、つまり溶出バックシートが消失する形態である。2つ目は、比較例および実施形態2で説明したように、物理的に剥離させる形態である。よって、溶出バックシート全体がアルカリ溶液に溶出することを、溶出バックシートが前駆体から除去されたと言い換えてもよい。また、比較例および実施形態2における「剥離」を「除去」と言い換えてもよい。
なお、本願において、溶出バックシートと前駆体との密着力が低下するという概念は、密着力がゼロになることを含む。つまり、アルカリ処理によって溶出バックシートが除去された場合も、溶出バックシートと前駆体との密着力が低下した場合に含まれる。
複合材バックシートに含まれる混入物は、フッ化ナトリウム以外でもよい。
例えば、塩化ナトリウムでもよいし、塩化カリウム等の無機物でもよい。
或いは、複合材バックシートに含まれる混入物は、溶出バックシートに含まれる溶出成分と同じでもよい。例えば、両者の溶出成分として、ポリイミド系のエンプラを採用してもよい。このように溶出バックシートに含まれる溶出成分と複合材バックシートに含まれる混入物とが同じである場合、溶出する成分の種類が増えないので、複合材バックシートに含まれる混入物が製造不良の主たる原因となる可能性が低くなる。
また、複合材バックシートに含まれる混入物は複数種類でもよい。これら溶出成分は、アルカリ溶液に溶出する他の全種類の成分と同じでもよい。
アルカリ溶液は、水酸化ナトリウム水溶液でなくてもよい。例えば、水酸化カリウムでもよい。
酸溶液は、硝酸でなくてもよい。例えば、硫酸でもよい。
130…エンプラ系バックシート(溶出バックシート)
130A…第1のフッ素系バックシート
213…製膜用溶融押出ダイ
215…ローラ
225…ローラ
230…複合材バックシート
230A…第2のフッ素系バックシート(不溶出バックシート)
231…樹脂層
233…混入物
311…電解質樹脂層
312…補強膜
315…前駆体
315a…第1の面
315b…第2の面
317…電解質膜
317a…第1の面
317b…第2の面
341…ローラ
342…ヒートローラ
343…ヒートローラ
345…積層体
345A…積層体
361…ローラ
411…触媒層
412…触媒層
421…ガス拡散層
422…ガス拡散層
610…ローラ
620…ローラ
630…剥離バー

Claims (5)

  1. アルカリ溶液に溶出する溶出成分で構成された溶出バックシートを電解質膜の前駆体の第1の面に密着させ、前記アルカリ溶液に溶出しない成分を含む不溶出バックシートを前記前駆体の第2の面に密着させることによって、積層体を得る工程と、
    前記積層体を前記アルカリ溶液に浸漬し、その後、酸溶液に浸漬することによって、前記前駆体から前記電解質膜を得る工程と、
    を含む電解質膜の製造方法。
  2. 前記溶出バックシートは、前記アルカリ溶液に浸漬されることによって、前記前駆体から除去される
    請求項1に記載の電解質膜の製造方法。
  3. アルカリ溶液に溶出する成分としての混入物と、前記アルカリ溶液に溶出しない成分とを含む複合材バックシートを、第1及び第2の面を有する電解質膜の前駆体の前記第2の面に密着させることによって積層体を得る工程と、
    前記積層体を前記アルカリ溶液に浸漬し、その後、酸溶液に浸漬することによって、前記前駆体から前記電解質膜を得る工程と、
    前記電解質膜の前記第1の面に触媒層を積層することと、前記触媒層に拡散層を積層することとを実行する積層工程と、
    前記積層する工程の後、前記複合材バックシートを前記第2の面から剥離する工程と、
    を含み、
    前記積層体を得る工程において、前記前駆体の前記第1の面に、前記アルカリ溶液に溶出する成分としての溶出成分で構成された溶出バックシートを密着させ、
    前記積層工程の前に、前記溶出バックシートを前記第1の面から除去する、
    燃料電池用接合体の製造方法。
  4. 前記電解質膜を得る工程において、前記前駆体から前記アルカリ溶液にフッ化ナトリウムが溶出し、
    前記混入物は、フッ化ナトリウムである
    請求項3に記載の燃料電池用接合体の製造方法。
  5. 前記溶出バックシートは、前記アルカリ溶液に浸漬されることによって、前記前駆体から除去される
    請求項3又は4に記載の燃料電池用接合体の製造方法。
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