JP6476794B2 - 断熱板の製造方法およびその製造装置、ならびに真空断熱材およびその製造方法 - Google Patents

断熱板の製造方法およびその製造装置、ならびに真空断熱材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、断熱板の製造方法およびその製造装置、ならびに断熱板が外袋内に減圧封入された真空断熱材およびその製造方法に関する。
断熱材としては、多孔質の断熱板(芯材)を外袋内に減圧封入した真空断熱材が知られている。
該真空断熱材は、粉体を含む断熱材料を、上型および下型を備えた製造装置によって板状にプレス成形して断熱板を得た後、該断熱板を外袋内に減圧封入することによって製造される。
該真空断熱材の製造方法には、下記の問題がある。
(i)粉体の流動性が悪いため、プレス成形時に断熱材料中の空気が抜けにくい。そのため、プレス時間が長くなり、断熱板の生産性が悪くなる。
(ii)断熱板を外袋内に減圧封入する際に、断熱板と外袋との間に空気が残ると、外袋に皺が生じることがある。真空断熱材の主表面に外袋の皺に由来する凹凸があると、断熱対象物の表面に真空断熱材を設けた場合、断熱対象物と真空断熱材との間に隙間が生じ、断熱効率が低下する。
(i)、(ii)の問題を解決する方法としては、下記の方法が提案されている。
断熱板を製造する際に上型および下型の少なくとも一方として排気孔および表面にパターン(凸部)を有するものを用いる方法(特許文献1)。
該方法によれば、型が排気孔を有するため、プレス成形時に断熱材料中の空気が排気孔を通じて効率よく抜ける。また、該方法によれば、型が表面にパターン(凸部)を有するため、断熱板の主表面に空気抜き用のパターン(溝)を形成できる。断熱板の主表面に空気抜き用のパターンが形成されることによって、断熱板を外袋内に減圧封入する際に、断熱板と外袋との間の空気が空気抜き用のパターンを通じて効率よく抜ける。
しかし、該方法では、断熱板の主表面のパターンに由来する凹凸が真空断熱材の主表面に生じ、結局のところ、断熱対象物の表面に真空断熱材を設けた場合、断熱対象物と真空断熱材との間に隙間が生じ、断熱効率が低下する。
特開2014−095471号公報
本発明は、真空断熱材の主表面に凹凸を生じさせにくい断熱板を生産性よく製造できる製造方法および該製造方法に用いることができる製造装置、ならびに主表面に凹凸が少ない真空断熱材およびその製造方法を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
[1]粉体を含む断熱材料を、上型および下型を備えた製造装置によって板状にプレスする成形工程を有する断熱板の製造方法であって、前記上型および前記下型のいずれか一方もしくは両方が、排気孔を有し、前記上型の前記断熱材料と接する表面(ただし、排気孔および側壁部の表面を除く。)における、下記の算術平均粗さRaの平均値が、10μm以下であり、前記下型の前記断熱材料と接する表面(ただし、排気孔および側壁部の表面を除く。)における、下記の算術平均粗さRaの平均値が、10μm以下であり、前記断熱板の密度が、0.15〜0.30g/cmである、断熱板の製造方法。
(算術平均粗さRaの平均値)
測定対象の表面から無作為に選ばれた3箇所について、ISO 4287:1997に基づいて基準長さ10cm、カットオフ(λs、λc)なしで算術平均粗さRaを測定し、3箇所の算術平均粗さRaを平均した値。
[2]前記排気孔の数が、前記断熱板の1m3あたり、600〜40000個である、[1]の断熱板の製造方法。
[3]単位面積あたりの前記排気孔の数が、前記断熱材料と接する型の表面における周縁の領域(I)よりも、該領域(I)に囲まれた領域(II)の方が多い、[1]または[2]の断熱板の製造方法。
[4]前記排気孔を有する型の前記断熱材料と接する表面が、排気孔を有しない周縁の領域(I)と該領域(I)に囲まれた排気孔を有する領域(II)とからなる、[1]または[2]の断熱板の製造方法。
[5]前記排気孔の直径が、0.3〜3mmである、[1]〜[4]のいずれかの断熱板の製造方法。
[6]粉体を含む断熱材料を板状にプレス成形する断熱板の製造装置であって、上型および下型を備え、前記上型および前記下型のいずれか一方もしくは両方が、排気孔を有し、前記上型の前記断熱材料と接する表面(ただし、排気孔および側壁部の表面を除く。)における、下記の算術平均粗さRaの平均値が、10μm以下であり、前記下型の前記断熱材料と接する表面(ただし、排気孔および側壁部の表面を除く。)における、下記の算術平均粗さRaの平均値が、10μm以下である、断熱板の製造装置。
(算術平均粗さRaの平均値)
測定対象の表面から無作為に選ばれた3箇所について、ISO 4287:1997に基づいて基準長さ10cm、カットオフ(λs、λc)なしで算術平均粗さRaを測定し、3箇所の算術平均粗さRaを平均した値。
[7]前記排気孔の数が、前記断熱板の1m3あたり、600〜40000個である、[6]の断熱板の製造装置。
[8]単位面積あたりの前記排気孔の数が、前記断熱材料と接する型の表面における周縁の領域(I)よりも、該領域(I)に囲まれた領域(II)の方が多い、[6]または[7]の断熱板の製造装置。
[9]前記排気孔を有する型の前記断熱材料と接する表面が、排気孔を有しない周縁の領域(I)と該領域(I)に囲まれた排気孔を有する領域(II)とからなる、[6]または[7]の断熱板の製造装置。
[10]前記排気孔の直径が、0.3〜3mmである、[6]〜[9]のいずれかの断熱板の製造装置。
[11]前記[1]〜[5]のいずれかの断熱板の製造方法によって断熱板を得る工程と、得られた断熱板を外袋内に減圧封入する工程とを有する、真空断熱材の製造方法。
[12]断熱板が外袋内に減圧封入された真空断熱材であって、第1の主表面と第1の主表面とは反対側の第2の主表面とを有し、前記真空断熱材の第1の主表面における、下記の算術平均粗さRaの平均値が、30μm以下であり、前記真空断熱材の第2の主表面における、下記の算術平均粗さRaの平均値が、30μm以下である、真空断熱材。
(算術平均粗さRaの平均値)
測定対象の表面から無作為に選ばれた3箇所について、ISO 4287:1997に基づいて基準長さ10cm、カットオフ(λs、λc)なしで算術平均粗さRaを測定し、3箇所の算術平均粗さRaを平均した値。
本発明の断熱板の製造方法および製造装置によれば、真空断熱材の主表面に凹凸を生じさせにくい断熱板を生産性よく製造できる。
本発明の断熱板の製造装置は、本発明の断熱板の製造方法に使用することができる。
本発明の真空断熱材は、主表面に凹凸が少ない。
本発明の真空断熱材の製造方法によれば、主表面に凹凸が少ない真空断熱材を製造できる。
本発明の断熱板の製造装置の一例を示す断面図である。 図1の製造装置における下型の側壁部近傍の拡大断面図である。 図1の製造装置を用いた本発明の断熱板の製造方法における成形工程を示す断面図である。 図1の製造装置を用いた本発明の断熱板の製造方法における成形工程を示す断面図である。 本発明の真空断熱材の一例を示す断面図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「主表面」とは、板状の部材において、側面を除く2つの表面を意味する。
「ヒュームドシリカ」とは、アモルファスかつ球状で、細孔のない一次粒子からなるシリカ微粒子を意味する。ヒュームドシリカは、たとえば、四塩化ケイ素を気化し、高温の水素炎中で気相反応を行う方法によって得られる。
「バインダ付きヒュームドシリカ」とは、他の成分(多孔質シリカ、繊維等)と混合する前のヒュームドシリカの表面にバインダがあらかじめ付与されたものを意味する。
「輻射抑制材」とは、赤外光を反射(散乱)するか、または赤外光を一旦吸収してその吸収による温度上昇分を再放射する際に等方的に放射して赤外光の方向性を乱すことで、輻射伝熱を抑える粒子を意味する。
「繊維長D30」とは、個数基準で求めた繊維長分布の全個数を100%とした累積個数分布曲線において30%となる点の繊維長を意味する。
「繊維長D90」とは、個数基準で求めた繊維長分布の全個数を100%とした累積個数分布曲線において90%となる点の繊維長を意味する。
「繊維長分布」は、光学顕微鏡で観察した写真において無作為に50本以上の繊維の長さを測定して得られる頻度分布および累積個数分布曲線で求められる。
<断熱板の製造方法>
本発明の断熱板の製造方法は、粉体を含む断熱材料を、上型および下型を備えた製造装置によって板状にプレスして断熱板を得る成形工程を有する方法である。
以下、本発明の断熱板の製造方法の一例として、図1および図2に例示した製造装置1を用いる場合について説明する。
(断熱板の製造装置)
図1に示すように、製造装置1は、上型10と、下型30と、上型10を上下させるシリンダ40とを備える。
上型10は、下型の凹部32に嵌め合わされる凸部12と、凸部12の上面に接する天蓋部22とを有する。
凸部12は、平板状の底部14と、底部14の周縁から立ち上がる側壁部16とからなる。凸部12の底部14の下面は、断熱材料と接する上型面12aとなる。凸部12には、底部14および側壁部16に囲まれた上方に開口する凹部18、および上型面12aから凹部18に貫通する複数の排気孔20が形成されている。
凸部12の凹部18は、上方の開口が天蓋部22によって塞がれることによって減圧室24となる。減圧室24は、天蓋部22または側壁部16に形成された吸気孔(図示略)および吸気孔に接続する吸気管(図示略)を介して真空ポンプ(図示略)に接続される。
下型30は、平面状の底部34と、底部34の周縁から立ち上がる側壁部36とからなる。下型30には、底部34および側壁部36に囲まれた上方に開口する凹部32が形成されている。下型30の底部34の上面は、断熱材料と接する下型面32aとなり、側壁部36の内壁面は、断熱材料と接する側型面32bとなる。
シリンダ40の第1の端部は、上型10の天蓋部22に接続され、シリンダ40の第2の端部は、シリンダ40を上下方向に移動させる駆動装置(図示略)に接続されている。
製造装置1においては、シリンダ40に接続された駆動装置を駆動させることによって、上型10の凸部12が下型30の凹部32に上方から入り込み、凹部32に充填された断熱材料が上下から板状にプレス成形される。このように、製造装置1においては、上型10が雄型、下型30が雌型の関係になっている。
上型10および下型30の材料としては、たとえば、通常のプレス成形の型に用いられる金属、樹脂等が挙げられ、断熱材料と接する型の表面の算術平均粗さRaを低く抑える点からは、金属が好ましい。
上型10の凸部12の上型面12a(ただし、排気孔20を除く。)における、下記の算術平均粗さRaの平均値は、10μm以下であり、3.2μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。算術平均粗さRaの平均値が前記上限値以下であれば、真空断熱材の主表面に形成される凹凸が少なくなる。上型10の凸部12の上型面12aにおける算術平均粗さRaの平均値は、0μm以上であり、上型10の製造のしやすさの点からは、0.025μm以上が好ましい。
下型30の凹部32の下型面32aにおける、下記の算術平均粗さRaの平均値は、10μm以下であり、3.2μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。算術平均粗さRaの平均値が前記上限値以下であれば、真空断熱材主の表面に形成される凹凸が少なくなる。下型30の凹部32の下型面32aにおける算術平均粗さRaの平均値は、0μm以上であり、下型30の製造のしやすさの点からは、0.0025μm以上が好ましい。
下型30の凹部32の側型面32bにおける、下記の算術平均粗さRaの平均値は、特に限定はされないが、10μm以下が好ましく、3.2μm以下がより好ましく、0.2μm以下がさらに好ましい。算術平均粗さRaの平均値が前記上限値以下であれば、真空断熱材の側面に形成される凹凸が少なくなる。下型30の凹部32の側型面32bにおける算術平均粗さRaの平均値は、0μm以上であり、下型30の製造のしやすさの点からは、0.0025μm以上が好ましい。
上型面12aの算術平均表面粗さRaと下型面32aの算術平均表面粗さRaは、ほぼ同じであることが好ましい。
算術平均粗さRaの平均値は、測定対象の表面から無作為に選ばれた3箇所について、ISO 4287:1997(JIS B 0601:2001)に基づいて基準長さ10cm、カットオフ(λs、λc)なしで算術平均粗さRaを測定し、3箇所の算術平均粗さRaを平均した値である。
上型10の凸部12の上型面12aの法線方向から見た上型面12aの形状は、下型30の凹部32の下型面32aの法線方向から見た下型面32aの形状と同じとされ、かつ上型面12aの大きさは、下型面32aよりも若干小さくされている。そのため、図2に示すように、上型10の凸部12が下型30の凹部32に入り込んだ際、上型10の凸部12と下型30の側壁部36との間に隙間38が形成される。プレス成形の際、断熱材料中の空気は、隙間38からも排気される。
また、下型30の底部34と側壁部36との間にもわずかに隙間(図示略)が存在する。そのため、プレス成形の際、断熱材料中の空気は、該隙間からも排気される。
隙間38における上型10の凸部12と下型30の側壁部36との間隔Dは、0.1〜3mmが好ましく、0.2〜2mmがより好ましい。間隔Dが前記下限値以上であれば、断熱材料中の空気が排気されやすい。間隔Dが前記上限値以下であれば、隙間38から断熱材料が漏れ出しにくい。
排気孔20の長手方向に直交する断面の形状は、円形であってもよく、楕円形であってもよく、多角形であってもよく、不定形であってもよい。
排気孔20の直径は、上型面12a側と凹部18側とで同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、排気孔20の直径が上型面12a側で小さく、凹部18側で大きい場合、すなわち排気孔20が逆円錐状にテーパとなっている場合、排気孔20から空気が勢いよく排気されるため、断熱材料が排気孔20内に侵入しやすい。その結果、排気孔20に対応する断熱板の主表面に、大きな突起が形成されやすい。よって、排気孔20の直径は、上型面12a側から凹部18側にわたって同じであることが好ましい。
断面の形状が円形以外の排気孔20の直径は、排気孔20の長手方向に直交する断面における断面積から求めた換算直径である。
排気孔20の上型面12a側の直径は、0.3〜3mmが好ましく、0.5〜2mmがより好ましく、0.5〜1mmがさらに好ましい。排気孔20の直径が前記上限値以下であれば、排気孔20から断熱材料が漏れ出しにくい。また、真空断熱材の主表面に形成される凹凸がさらに少なくなる。
排気孔20の数は、断熱板の1mあたり、600〜40000個が好ましく、1000〜35000個がより好ましく、2000〜30000個がさらに好ましい。排気孔20の数が前記下限値以上であれば、プレス成形の際、断熱材料中の空気が充分に排気される。排気孔20の数が前記上限値以下であれば、真空断熱材の主表面に形成される凹凸がさらに少なくなる。
上型面12aの周縁の領域(I)においては、断熱材料中の空気が隙間38から排気されるため、領域(I)においては排気孔20の数が少なくてよく、排気孔20がなくてもよい。
よって、製造装置1においては、単位面積あたりの排気孔20の数が、上型面12aにおける周縁の領域(I)よりも、該領域(I)に囲まれた領域(II)の方が多いことが好ましい。また、上型面12aが、排気孔20を有しない周縁の領域(I)と該領域(I)に囲まれた排気孔20を有する領域(II)とからなることがより好ましい。
(断熱材料)
断熱材料は、粉体を含む。断熱材料は、より高強度な断熱板を得やすい点から、繊維およびバインダのいずれか一方または両方をさらに含むことが好ましい。
粉体:
粉体としては、通常の断熱板に用いられる粉体が挙げられる。具体的には、ヒュームドシリカ、多孔質シリカ、輻射抑制材等が挙げられる。粉体としては、充分な強度を有する断熱板が得られやすい点から、ヒュームドシリカを含むものが好ましい。
ヒュームドシリカは極めて微細な粉末であるため、粒の大きさを表す指標としては通常比表面積が用いられる。
ヒュームドシリカの比表面積は、50〜400m/gが好ましく、100〜350m/gがより好ましく、200〜300m/gがさらに好ましい。ヒュームドシリカの比表面積が前記下限値以上であれば、優れた断熱性能が得られやすい。ヒュームドシリカの比表面積が前記上限値以下であれば、粒子の表面にバインダを付けやすい。
比表面積は、窒素吸着法(BET法)により測定される。
ヒュームドシリカとしては、下記のものが挙げられる。
日本アエロジル社製:アエロジル(登録商標)200(比表面積:200m/g)、アエロジル(登録商標)300(比表面積:300m/g)、
キャボットジャパン社製:CAB−O−SIL(登録商標) M−5(比表面積:200m/g)、CAB−O−SIL(登録商標) H−300(比表面積:300m/g)、
トクヤマ社製:レオロシール(登録商標)QS30(比表面積:300m/g)等。
ヒュームドシリカは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多孔質シリカの比表面積は、100〜800m/gが好ましく、200〜750m/gがより好ましく、300〜700m/gがさらに好ましい。多孔質シリカの比表面積が前記下限値以上であれば、優れた断熱性能が得られやすい。
多孔質シリカの気孔率は、60〜90%が好ましく、65〜85%がより好ましく、70〜80%がさらに好ましい。多孔質シリカの気孔率が前記下限値以上であれば、固体の熱伝導を少なくできるため、優れた断熱性能が得られやすい。多孔質シリカの気孔率が前記上限値以下であれば、プレス成形時に多孔質シリカ粒子がつぶれにくく、多孔性が維持されるために優れた断熱性能が得られやすい。
気孔率は、窒素吸着法(BJH法)により測定される。
多孔質シリカの平均粒子径は、コールターカウンタ法によって、体積基準で測定された場合において、1〜300μmが好ましく、2〜150μmがより好ましく、3〜100μmがさらに好ましい。多孔質シリカの平均粒子径が前記下限値以上であれば、高い気孔率を有する多孔質シリカが得られやすく、優れた断熱性能が得られやすい。多孔質シリカの平均粒子径が前記上限値以下であれば、断熱板の密度が高くなりすぎず、優れた断熱性能が得られやすい。
多孔質シリカとしては、下記のものが挙げられる。
AGCエスアイテック社製:M.S.GEL、サンスフェア(登録商標)等。
輻射抑制材としては、金属粒子(アルミニウム粒子、銀粒子、金粒子等)、無機粒子(グラファイト、カーボンブラック、炭化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム等)等が挙げられる。
バインダ:
断熱材料は、断熱板を低密度にしても充分な強度が得られやすい点から、バインダをさらに含むことが好ましい。特に粉体としてヒュームドシリカを用い、該ヒュームドシリカの表面にバインダをあらかじめ付与してバインダ付きヒュームドシリカとすることが好ましい。ヒュームドシリカの表面に付与されたバインダによって、プレス成形時の圧力が低くても、バインダ付きヒュームドシリカ同士、またはバインダ付きヒュームドシリカと他の材料(多孔質シリカ、繊維等)が互いに接着される。
多孔質シリカにバインダを付与しても、バインダが多孔質シリカに吸収されてしまうためにバインダによる効果は得られにくい。
バインダは、有機バインダであってもよく、無機バインダであってもよい。バインダとしては、熱伝導性が低く、優れた断熱性が得られやすい点から、無機バインダが好ましい。
無機バインダとしては、ケイ酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。優れた断熱性が得られやすい点から、ケイ酸ナトリウムが特に好ましい。
繊維:
断熱材料に繊維が含まれると、高強度な断熱板が得られやすい。
繊維としては、通常の断熱材に用いられる繊維が挙げられ、樹脂繊維、無機繊維が挙げられる。断熱板を真空断熱材の芯材とする場合に真空下でのアウトガスが少なく、真空度の低下による断熱性の低下を抑制しやすい点、および耐熱性に優れる点から、無機繊維が好ましい。
無機繊維としては、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカ繊維、グラスウール、グラスファイバ、ロックウール、スラグウール、炭化ケイ素繊維、カーボン繊維、シリカアルミナ繊維、シリカアルミナマグネシア繊維、シリカアルミナジルコニア繊維、シリカマグネシアカルシア繊維等が挙げられる。
繊維の繊維長D30は、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましい。繊維長D30が前記下限値以上であれば、断熱板に割れが生じることを抑制しやすい。
繊維の繊維長D90は、20mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましい。繊維長D90が前記上限値以下であれば、繊維同士が過度に絡まりにくいために粉体と均一に混合しやすく、繊維による効果が得られやすい。
繊維の太さ(直径)は、繊維による固体伝熱の増大を抑制できる点から、10μm以下が好ましい。繊維の太さ(直径)は、断熱板に割れが生じることを抑制しやすい点から、1μm以上が好ましい。
配合割合:
粉体(100質量%)中のヒュームドシリカの割合は、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%がさらに好ましい。ヒュームドシリカの割合が前記下限値以上であれば、強度の高い断熱板が得られやすい。
粉体(100質量%)中の多孔質シリカの割合は、0〜50質量%が好ましく、0〜30質量%がより好ましく、0〜20質量%がさらに好ましい。多孔質シリカの割合が多いほど、断熱性能に優れた断熱板が得られやすい。多孔質シリカの割合が前記上限値以下であれば、強度の高い断熱板が得られやすい。
粉体がバインダ付きヒュームドシリカと多孔質シリカを含む場合、バインダ付与前のヒュームドシリカの質量Mと多孔質シリカの質量Mとの比M/Mは、50/50以上が好ましく、70/30以上がより好ましく、80/20以上がさらに好ましい。M/Mが前記下限値以上であれば、より低密度で優れた断熱性能を有し、かつ充分な強度を有する断熱板が得られやすい。
粉体が輻射抑制材を含む場合、粉体(100質量%)中の輻射抑制材の割合は、3〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。輻射抑制材の割合が前記下限値以上であれば、輻射抑制材の効果が得られやすい。輻射抑制材の割合が前記上限値以下であれば、輻射抑制材による固体伝熱の増大を抑制できるため、優れた断熱性能が得られやすい。
バインダの割合は、バインダ付きヒュームドシリカを用いる場合、バインダ付与前のヒュームドシリカ100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜4質量部がさらに好ましい。バインダの割合が前記下限値以上であれば、より低密度で優れた断熱性能を有し、かつ充分な強度を有する断熱板が得られやすい。バインダの割合が前記上限値以下であれば、バインダによる固体伝熱の増大を抑制できるため、断熱性能の低下を抑制しやすい。
ヒュームドシリカ、バインダおよびそれ以外の成分(多孔質シリカ、繊維等)を同時に混合する場合等、バインダ付きヒュームドシリカを用いない場合のバインダの割合は、粉体100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜4質量部がさらに好ましい。バインダの割合が前記下限値以上であれば、より低密度で優れた断熱性能を有し、かつ充分な強度を有する断熱板が得られやすい。バインダの割合が前記上限値以下であれば、バインダによる固体伝熱の増大を抑制できるため、断熱性能の低下を抑制しやすい。
繊維の割合は、粉体100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、2〜20質量部がより好ましく、4〜10質量部がさらに好ましい。繊維の割合が前記下限値以上であれば、高強度な断熱板が得られやすい。繊維の割合が前記上限値以下であれば、繊維による固体伝熱の増大を抑制できるため、断熱性能の低下を抑制しやすい。
ヒュームドシリカ、多孔質シリカ、輻射抑制剤および繊維の好ましい比率は、質量比で、ヒュームドシリカ:多孔質シリカ:輻射抑制剤:繊維=50〜90:0〜20:5〜20:5〜10である。
(断熱板の製造方法)
断熱板の製造方法としては、たとえば、下記の混合工程、成形工程および熱処理工程を有する方法が挙げられる。
混合工程:粉体および必要に応じて他の材料を混合し、撹拌して断熱材料を得る。
成形工程:製造装置1を用いて断熱材料を板状にプレス成形する。
熱処理工程:成形工程で得られた断熱板を熱処理して乾燥させる。
混合工程:
粉体、繊維およびバインダを用いる場合、各成分の混合方法としては、たとえば、V型混合機、撹拌機付きのブレンダ等を用いる方法が挙げられる。各成分の分散性が良好になる点から、撹拌機付きブレンダのような高速撹拌装置を用いる方法が好ましい。
ヒュームドシリカ、多孔質シリカおよびバインダを併用する場合、バインダ付きヒュームドシリカを得た後に、バインダ付きヒュームドシリカと多孔質シリカを混合することが好ましい。これにより、バインダが多孔質シリカに吸収されることを抑制できるため、バインダの使用量を低減できる。なお、バインダを混合するタイミングは特に限定されず、たとえば、ヒュームドシリカと多孔質シリカと繊維とバインダを同時に混合してもよい。
バインダは溶媒に溶解したバインダ液として混合することが好ましい。バインダ液に用いる溶媒としては、特に限定されず、水、エタノール等が挙げられる。
バインダ液(100質量%)中のバインダの割合は、4〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。バインダの割合が前記範囲内であれば、粉体へのバインダの付与が容易になる。バインダ液としては、ケイ酸ナトリウムの水溶液である水ガラスが特に好ましい。
バインダ液はスプレーコート等によって粉体や繊維に塗布してもよい。
成形工程:
図3に示すように、製造装置1における下型30の凹部32に断熱材料Mを充填する。
真空ポンプを作動せて、上型10の減圧室24を減圧状態にする。
図4に示すように、シリンダ40に接続された駆動装置を駆動させることによって、上型10を下降させ、上型10と下型30との間で断熱材料Mを板状にプレス成形する。
この際、断熱材料Mの中央部の空気は、排気孔20から排気され、断熱材料Mの周縁部の空気は、隙間38から排気される。
プレス成形時の圧力は、断熱材料Mの組成、目標とする断熱板の厚さ等に応じて適宜設定すればよく、通常は、0.1〜1MPaである。
プレス時間は、生産性向上のため、得られる断熱板に割れや膨れ等の不具合が生じない範囲内であれば、極力短時間とすることが好ましい。
熱処理工程:
成形工程で得られた断熱板を熱処理して乾燥させることで、断熱板内に残存する溶媒が揮発し、バインダによって粉体同士や粉体と繊維とがより良好に接着される。
断熱板を熱処理する方法としては、特に限定されず、例えば、定温乾燥機、電気炉等で加熱する方法等が挙げられる。
断熱板の密度は、0.15〜0.30g/cmであり、0.17〜0.20g/cmが好ましく、0.17〜0.18g/cmが好ましい。断熱板の密度が前記下限値以上であれば、断熱板のハンドリング性が良好になる。また、真空断熱材とする場合において、断熱板を外袋内に減圧封入する際に断熱材料が飛散しにくい。断熱板の密度が前記上限値以下であれば、優れた断熱性能が安定して得られやすい。また、真空断熱材とする場合において、断熱板を外袋内に減圧封入する際に、断熱板と外袋との間に残存する空気が断熱板を通って排気されやすく、外袋に皺が生じにくい。
目標の密度の断熱板を得るためには、断熱板の目標の体積(cm)と目標の密度(g/cm)から、下型30の凹部32に充填する断熱材料Mの質量(g)とプレス完了時の上型10と下型30との間隔(cm)を算出し、これに基づいて仕上がりの密度となるように成形工程を実施すればよい。
(作用機序)
以上説明した断熱板の製造方法にあっては、上型10が排気孔20を有するため、プレス成形時に断熱材料M中の空気が排気孔20を通じて効率よく抜ける。その結果、プレス時間が短くなり、断熱板の生産性がよくなる。
また、以上説明した断熱板の製造方法にあっては、上型10の凸部12の上型面12a(ただし、排気孔を除く。)における算術平均粗さRaの平均値が10μm以下であり、下型30の凹部32の下型面32aにおける算術平均粗さRaの平均値が10μm以下であるため、断熱板の主表面に凹凸が少ない。その結果、断熱板を外袋内に減圧封入した真空断熱材の主表面に、断熱板に由来する凹凸を生じさせにくい。なお、排気孔20に対応する断熱板の主表面には、排気孔20に由来する突起が形成されやすいが、該突起は断熱板の主表面に点在し、その数もさほど多くないため、該突起が真空断熱材の主表面の形状に与える影響は小さい。
また、以上説明した断熱板の製造方法にあっては、得られる断熱板の密度が、0.15〜0.30g/cmであるため、断熱板の内部の空隙が多くなる。その結果、断熱板を外袋内に減圧封入する際に、断熱板と外袋との間に残存する空気が断熱板を通って排気されやすく、外袋に皺が生じにくい。
以上説明した断熱板の製造装置にあっては、上型10が排気孔20を有し、上型10の凸部12の上型面12a(ただし、排気孔を除く。)における算術平均粗さRaの平均値が10μm以下であり、下型30の凹部32の下型面32aにおける算術平均粗さRaの平均値が10μm以下であるため、本発明の断熱板の製造方法に用いることができる。
(他の実施形態)
なお、本発明の断熱板の製造方法は、上型および下型のいずれか一方もしくは両方が、排気孔を有し、上型の断熱材料と接する表面(ただし、排気孔および側壁部の表面を除く。)における算術平均粗さRaの平均値が、10μm以下であり、下型の断熱材料と接する表面(ただし、排気孔および側壁部の表面を除く。)における算術平均粗さRaの平均値が、10μm以下であり、断熱板の密度が、0.15〜0.30g/cmである方法であればよく、図示例の製造装置を用いた方法に限定はされない。
たとえば、排気孔を下型のみに設けてもよく、排気孔を上型および下型の両方に設けてもよい。
また、排気孔を、型の断熱材料と接する表面の全面に均一に設けてもよい。
また、真空ポンプを作動させることなく、断熱材料中の空気を排気孔から自然に排出してもよい。
また、上型が雌型であり、下型が雄型であってもよい。
また、上型を固定し、下型を上下に移動できるようにしてもよく、角筒状の側壁部の中を平板状の上型および平板状の下型のいずれか一方または両方を上下動させてもよい。
さらに、上型10の凸部12の側壁部16および下型30の側壁部36のいずれか一方または両方に排気孔を有していてもよい。
<真空断熱材の製造方法>
本発明の真空断熱材の製造方法は、本発明の断熱板の製造方法により断熱板を得る工程と、得られた断熱板を外袋内に減圧封入する工程を有する。
断熱板を得る工程は、上述したとおりである。
断熱板を外袋内に減圧封入する工程としては、公知の方法を採用できる。
断熱板を外袋内に減圧封入する方法としては、たとえば、断熱板を外袋内に収納し、減圧条件下において該外袋を密封した後、大気圧条件に戻して、真空断熱材を得る方法が挙げられる。具体的には、下記の方法が挙げられる。
2枚のフィルムを重ね合わせて3辺をシールした外袋内に断熱板を収納し、ヒートシール機能が付いた真空チャンバ内に設置し、該真空チャンバの内部を減圧する。チャンバ内が所定の圧力に減圧された後に、外袋の開放された残りの1辺をヒートシールして密封し、その後にチャンバ内を大気圧条件に戻す。
なお、断熱板を外袋内に収納した後、外袋内の空気を吸い出して外袋の内部を減圧しつつ、ヒートシール等で外袋を密封することによって、断熱板を外袋内に減圧封入する方法を採用してもよい。
(真空断熱材)
図5は、本発明の真空断熱材の一例を示す断面図である。
真空断熱材50は、フィルム52とフィルム54とを重ね合わせた外袋56と、外袋56内に減圧封入された断熱板58とを有する。
外袋56は、気密性を有し、断熱板58を減圧封入できるものであればよい。外袋56としては、たとえば、ガスバリアフィルムからなる袋等が挙げられる。ガスバリアフィルムとしては、通常の真空断熱材に用いられる公知のものが挙げられる。
外袋56の大きさおよび形状は、特に限定されず、断熱板58の大きさおよび形状に合わせて適宜決定すればよい。
真空断熱材50における外袋56内の真空度は、優れた断熱性能が得られ、また真空断熱材50の寿命が長くなる点から、1×10Pa以下が好ましく、1×10Pa以下がより好ましい。
真空断熱材50は、第1の主表面50aと第1の主表面50aとは反対側の第2の主表面50bとを有する。
真空断熱材50の第1の主表面50aにおける、下記の算術平均粗さRaの平均値は、30μm以下であり、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。算術平均粗さRaの平均値が前記上限値以下であれば、真空断熱材50の第1の主表面50aに形成される凹凸が少なくなる。真空断熱材50の第1の主表面50aにおける算術平均粗さRaの平均値は、0mm以上であり、真空断熱材50の製造のしやすさの点からは、1μm以上が好ましい。
なお、排気孔20に対応する断熱板58の主表面には、排気孔20に由来する突起60が形成されやすい。そのため、真空断熱材50の第1の主表面50aにも、突起60に由来する突起62が形成されやすいが、突起62は真空断熱材50の第1の主表面50aに点在し、その数もさほど多くないため、突起62が算術平均粗さRaの平均値、すなわち真空断熱材50の第1の主表面50aの形状に与える影響は小さい。
真空断熱材50の第2の主表面50bにおける、下記の算術平均粗さRaの平均値は、30μm以下であり、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。算術平均粗さRaの平均値が前記上限値以下であれば、真空断熱材の第2の主表面50bに形成される凹凸が少なくなる。真空断熱材50の第2の主表面50bにおける算術平均粗さRaの平均値は、0mm以上であり、真空断熱材50の製造のしやすさの点からは、1μm以上が好ましい。
算術平均粗さRaの平均値は、測定対象の表面から無作為に選ばれた3箇所について、ISO 4287:1997(JIS B 0601:2001)に基づいて基準長さ10cmで算術平均粗さRaを測定し、3箇所の算術平均粗さRaを平均した値である。
(作用機序)
以上説明した本発明の真空断熱材の製造方法にあっては、本発明の断熱板の製造方法によって断熱板を製造し、該断熱板を用いて真空断熱材を製造するため、断熱板の製造方法において説明した作用機序によって、主表面に凹凸が少ない真空断熱材を製造できる。
以上説明した本発明の真空断熱材にあっては、各主表面における算術平均粗さRaの平均値が、30μm以下であるため、主表面に凹凸が少ない。
真空断熱材の主表面に凹凸が少ないため、断熱対象物の表面に真空断熱材を設けた場合、断熱対象物と真空断熱材との間に隙間が生じにくく、断熱効率が向上する。
(他の実施形態)
なお、本発明の真空断熱材の製造方法においては、通気性を有する内袋内に断熱板を収納した状態で外袋内に減圧封入して真空断熱材を得る方法としてもよい。
内袋としては、通気性を有し、芯材を形成する粉体が減圧封入の際に漏れないようにできるものであればよく、例えば、紙材、不織布等からなる袋等が挙げられる。
内袋の大きさおよび形状は、特に限定されず、断熱板の大きさおよび形状に合わせて適宜決定すればよい。
内袋を用いる場合の真空断熱材の製造方法としては、断熱板を内袋内に収納した状態で外袋内に減圧封入する以外は、前記した方法と同様の方法を採用できる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
例1は比較例であり、例2は実施例である。
(算術平均粗さRaの平均値)
算術平均粗さRaの平均値は、測定対象の表面から無作為に選ばれた3箇所について、ISO 4287:1997(JIS B 0601:2001)に基づいて基準長さ10cm、カットオフ(λs、λc)なしで算術平均粗さRaを測定し、3箇所の算術平均粗さRaを平均した値である。
(断熱材料)
粉体としてヒュームドシリカ(日本アエロジル社製、アエロジル(登録商標)300、比表面積:300m/g)の90質量部および多孔質シリカ(AGCエスアイテック社製、M.S.GEL、平均粒子径:70μm)の10質量部と、無機繊維としてシリカマグネシアカルシア繊維(新日本サーマルセラミックス社製、スーパーウール(登録商標)、D30:227μm、D90:902μm)の10質量部と、バインダとしてけい酸ソーダ3号(AGCエスアイテック社製)の3.4質量部(固形分換算にて1.3質量部)をイオン交換水の25.0質量部で希釈したバインダ液とをブレンダによって混合して断熱材料を得た。
(例1)
図1に示す製造装置1の上型10を、排気孔が形成されていない上型に変更した比較用製造装置を用意した。
上型の凸部の上型面は、大きさ:500mm×500mmである。
下型30の凹部32の下型面32aは、大きさ:500mm×500mmである。
比較用製造装置の下型30の凹部32の下型面32aの上にアルミニウム製トレイを配置し、その上にガラスクロス#470(モリマーエスエスピー社製)を配置し、その上に断熱材料の884gを投入した。
断熱材料の上にガラスクロス#470(モリマーエスエスピー社製)を配置した。
上型を下降させ、圧力:0.5MPa、プレス時間:10分間の条件で、密度が0.22g/cm、縦500mm×横500mm×厚さ13mmとなるように断熱材料をプレス成形して板状の断熱板を得た。得られた断熱板を圧力:5Paの条件でガスバリアフィルムからなる外袋内に減圧真空封入し、真空断熱材を得た。
(例2)
図1に示す製造装置1を用意した。
上型10の凸部12の上型面12aは、大きさ:500mm×500mm、算術平均粗さRaの平均値:3μmである。上型面12aは、周縁に幅:10mmの領域(I)と、領域(I)に囲まれた領域(II)とからなり、領域(II)には、ピッチ:20mmで、24×24=576個の排気孔20(直径:1.5mm)が形成されている。
下型30の凹部32の下型面32aは、大きさ:500mm×500mm、算術平均粗さRaの平均値:3μmである。
図1に示す製造装置1の下型30の凹部32の下型面32aの上に断熱材料の884gを投入した。
真空ポンプを作動させることなく、上型を下降させ、圧力:0.5MPa、プレス時間:10分間の条件で、密度が0.22g/cm、縦500mm×横500mm×厚さ13mmとなるように断熱材料をプレス成形して板状の断熱板を得た。得られた断熱板を圧力:5Paの条件でガスバリアフィルムからなる外袋内に減圧真空封入し、真空断熱材を得た。
(結果)
例1の真空断熱材は、第1の主表面および第2の主表面ともに、ガラスクロスの織り目に由来する縦横に延びる凹凸パターンが目視ではっきりと確認できた。第1の主表面および第2の主表面ともに、外袋の皺は確認できなかった。例1の真空断熱材の第1の主表面(断熱板が上型に接していた側)の算術平均粗さRaの平均値は、46.2μmであった。
例2の真空断熱材は、第1の主表面(断熱板が上型に接していた側)に、排気孔に由来する突起が目視でかろうじて確認できた。第1の主表面には、外袋の皺は確認できなかった。第2の主表面には、突起および外袋の皺は確認できなかった。例2の真空断熱材の第1の主表面(断熱板が上型に接していた側)の算術平均粗さRaの平均値は、15.0μmであった。
本発明の製造方法で製造された真空断熱材は、省エネルギー化が求められる、保温、保冷、断熱が必要な箇所に適用できる。具体的には、住設分野(住宅およびビルの壁、屋根、床、配管等;太陽光設備;熱設備等)、保温、保冷分野(恒温槽、湯沸かし器、温水タンク、炊飯器、冷蔵庫、冷凍庫、保冷庫、保冷タンク、自動販売機、クーラーボックス、保冷カバー、防寒服等)、産業機器分野(電気・電子機器(ノートパソコン、液晶プロジェクタ、コピー機、バッテリ、燃料電池等)、半導体製造装置等)、移動体分野(自動車、バス、トラック、保冷車、列車、貨物車、船舶等)、プラントの配管等に適用が可能である。
1 製造装置
10 上型
12 凸部
12a 上型面
14 底部
16 側壁部
18 凹部
20 排気孔
22 天蓋部
24 減圧室
30 下型
32 凹部
32a 下型面
32b 側型面
34 底部
36 側壁部
38 隙間
40 シリンダ
50 真空断熱材
50a 第1の主表面
50b 第2の主表面
52 フィルム
54 フィルム
56 外袋
58 断熱板
60 突起
62 突起
D 間隔
M 断熱材料

Claims (12)

  1. 粉体を含む断熱材料を、上型および下型を備えた製造装置によって板状にプレスする成形工程を有する断熱板の製造方法であって、
    前記上型および前記下型のいずれか一方もしくは両方が、排気孔を有し、
    前記上型の前記断熱材料と接する表面(ただし、排気孔および側壁部の表面を除く。)における、下記の算術平均粗さRaの平均値が、10μm以下であり、
    前記下型の前記断熱材料と接する表面(ただし、排気孔および側壁部の表面を除く。)における、下記の算術平均粗さRaの平均値が、10μm以下であり、
    前記断熱板の密度が、0.15〜0.30g/cmである、断熱板の製造方法。
    (算術平均粗さRaの平均値)
    測定対象の表面から無作為に選ばれた3箇所について、ISO 4287:1997に基づいて基準長さ10cm、カットオフ(λs、λc)なしで算術平均粗さRaを測定し、3箇所の算術平均粗さRaを平均した値。
  2. 前記排気孔の数が、前記断熱板の1mあたり、600〜40000個である、請求項1に記載の断熱板の製造方法。
  3. 単位面積あたりの前記排気孔の数が、前記断熱材料と接する型の表面における周縁の領域(I)よりも、該領域(I)に囲まれた領域(II)の方が多い、請求項1または2に記載の断熱板の製造方法。
  4. 前記排気孔を有する型の前記断熱材料と接する表面が、排気孔を有しない周縁の領域(I)と該領域(I)に囲まれた排気孔を有する領域(II)とからなる、請求項1または2に記載の断熱板の製造方法。
  5. 前記排気孔の直径が、0.3〜3mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の断熱板の製造方法。
  6. 粉体を含む断熱材料を板状にプレス成形する断熱板の製造装置であって、
    上型および下型を備え、
    前記上型および前記下型のいずれか一方もしくは両方が、排気孔を有し、
    前記上型の前記断熱材料と接する表面(ただし、排気孔および側壁部の表面を除く。)における、下記の算術平均粗さRaの平均値が、10μm以下であり、
    前記下型の前記断熱材料と接する表面(ただし、排気孔および側壁部の表面を除く。)における、下記の算術平均粗さRaの平均値が、10μm以下である、断熱板の製造装置。
    (算術平均粗さRaの平均値)
    測定対象の表面から無作為に選ばれた3箇所について、ISO 4287:1997に基づいて基準長さ10cm、カットオフ(λs、λc)なしで算術平均粗さRaを測定し、3箇所の算術平均粗さRaを平均した値。
  7. 前記排気孔の数が、前記断熱板の1mあたり、600〜40000個である、請求項6に記載の断熱板の製造装置。
  8. 単位面積あたりの前記排気孔の数が、前記断熱材料と接する型の表面における周縁の領域(I)よりも、該領域(I)に囲まれた領域(II)の方が多い、請求項6または7に記載の断熱板の製造装置。
  9. 前記排気孔を有する型の前記断熱材料と接する表面が、排気孔を有しない周縁の領域(I)と該領域(I)に囲まれた排気孔を有する領域(II)とからなる、請求項6または7に記載の断熱板の製造装置。
  10. 前記排気孔の直径が、0.3〜3mmである、請求項6〜9のいずれか一項に記載の断熱板の製造装置。
  11. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の断熱板の製造方法によって断熱板を得る工程と、得られた断熱板を外袋内に減圧封入する工程とを有する、真空断熱材の製造方法。
  12. 断熱板が外袋内に減圧封入された真空断熱材であって、
    第1の主表面と第1の主表面とは反対側の第2の主表面とを有し、
    前記真空断熱材の第1の主表面における、下記の算術平均粗さRaの平均値が、30μm以下であり、
    前記真空断熱材の第2の主表面における、下記の算術平均粗さRaの平均値が、30μm以下である、真空断熱材。
    (算術平均粗さRaの平均値)
    測定対象の表面から無作為に選ばれた3箇所について、ISO 4287:1997に基づいて基準長さ10cm、カットオフ(λs、λc)なしで算術平均粗さRaを測定し、3箇所の算術平均粗さRaを平均した値。
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