JP2015224706A - 真空断熱材の製造方法 - Google Patents

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伸広 篠原
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裕也 濱田
弘法 佐藤
Kobo Sato
弘法 佐藤
健 楢木
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健 楢木
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準一 齋藤
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Abstract

【課題】施工面に応じた三次元的な曲面形状を有する真空断熱材を簡便に製造できる真空断熱材の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】芯材が成形された平板状の成形体10の片方の面10aに溝からなる凹部14を形成する工程(x)、および凹部14を形成した成形体10を外袋12内に減圧封入し、その減圧封入により外袋12に生じる応力によって、成形体10をその凹部12を形成した領域が窪むように湾曲させ、曲面形状を有する真空断熱材を得る工程(y)を有する、真空断熱材1の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空断熱材の製造方法に関する。
住宅、ビル、車両、保温保冷容器、冷蔵庫、給湯器等の様々な分野において、断熱によってエネルギー消費を低減するために真空断熱材が使用されている。真空断熱材としては、例えば、発泡体(ウレタンフォーム等)、パーライト、シリカ等を含む成形体を用いた芯材が外袋内に減圧封入された真空断熱材が知られている。
住宅等においては平板状の真空断熱材が用いられることが多い。しかし、例えば、保温保冷容器、給湯器等のように施工面が湾曲している場合は、該施工面に沿うように湾曲した真空断熱材が必要である。
湾曲した施工面に対応可能な真空断熱材の製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(3)の方法が提案されている。
(1)無機繊維からなるシート状成形体を2層以上積層した芯材をガスバリア性フィルムで覆い、減圧密封して平板状の真空断熱材とする。その後、圧縮成形により、前記真空断熱材の厚み方向に垂直な側面部に溝を一本以上形成し、該溝を利用して真空断熱材を外部から力を加えることで湾曲させる(特許文献1)。
(2)芯材を形成する平板状の成形体に、表面にU字形やV字形の断面構造を有する薄肉構造を形成させる。該成形体をガスバリア性フィルムからなる外被材内に減圧封入し、U字形やV字形の断面構造を有する軸方向に延びた複数のスリットを有する平板状の真空断熱材を得た後、該スリットを利用して真空断熱材を外部から力を加えることで湾曲させる(特許文献2)。
(3)通気性を有する袋体内に断熱材としてシリカ粉末からなる無機質粉体を収容し、さらに長方形の一対のフィルムの三方が融着され、一方が開口した包被体内に収容する。一方に複数の突条が設けられた上下一対の成形型を用い、型内を減圧した状態で無機質粉体を収容した前記包被体を狭圧し、開口部を融着させて密封する。型内を常圧に戻した後に成形型を開き、溝が形成された平板状の真空断熱材を得た後、該溝を利用して真空断熱材を外部から力を加えることで湾曲させる(特許文献3)。
(1)〜(3)の方法で得られる真空断熱材はいずれも平板状であるが、施工時に溝またはスリットを利用して人手で湾曲させ、施工面に応じた三次元的な曲面形状へと変形させることができる。
特開2001−336691号公報 特許第4857999号公報 特許第3137946号公報
しかし、(1)〜(3)の方法で得られる真空断熱材は、施工時に作業者が施工面に合わせて変形させる必要があるため、作業が煩雑になる。また、(1)、(3)の方法では、成形型に傷や突起等があると包被体のフィルムに傷が付いて断熱性能が低下するおそれがある。また、(3)の方法では、減圧が可能な成形装置が必要なため、装置が複雑になるうえ、コストが高くなる。
本発明は、施工面に応じた三次元的な曲面形状を有する真空断熱材を簡便に製造できる真空断熱材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の真空断熱材の製造方法は、下記の工程(x)および工程(y)を有する。
(x)芯材が成形された平板状の成形体の片面または両面に凹部を形成する工程。
(y)前記凹部を形成した成形体を外袋内に減圧封入し、その減圧封入により前記外袋に生じる応力よって前記成形体をその前記凹部を形成した領域が窪むように湾曲させ、曲面形状を有する真空断熱材を得る工程。
本発明の真空断熱材の製造方法では、前記芯材が粉体を含むことが好ましい。
また、前記芯材がさらに繊維を含むことが好ましい。
また、前記芯材がさらにバインダを含むことが好ましい。
また、前記工程(x)において、前記成形体の両面に、それぞれの面に形成された凹部同士が向かい合わないように凹部を形成することが好ましい。
また、前記工程(x)において、前記成形体の片方の面における、第1の縁に対して垂直方向の中央よりも該第1の縁側の領域に凹部を形成し、かつ、前記成形体の他方の面における、前記中央よりも前記第1の縁と対向する第2の縁側の領域に凹部を形成し、前記工程(y)において、前記減圧封入により外袋に生じる応力によって前記成形体を断面S字状に湾曲させることが好ましい。
また、前記凹部が溝および非貫通孔の穴のいずれか一方もしくは両方であることが好ましい。
また、前記成形体の厚みが1〜500mmであり、前記工程(x)において、幅が0.5〜20mmで、かつ前記成形体の厚みに対する深さが10〜90%の溝からなる凹部を、該凹部のピッチが1〜100mmとなるように形成することが好ましい。
また、前記工程(y)において、減圧封入時の真空度を1×10Pa以下とし、減圧封入により前記外袋に生じる応力よって、前記成形体を曲率半径Rが30〜2000mmとなるように湾曲させることが好ましい。
本発明の真空断熱材の製造方法によれば、施工面に応じた三次元的な曲面形状を有する真空断熱材を簡便に製造できる。
本発明の製造方法で得られる真空断熱材の一例を示した断面図である。 本発明の真空断熱材の製造方法の一工程を示した斜視図である。 凹部を形成した平板状の成形体を減圧封入する際の凹部近傍の拡大断面図である。 本発明の真空断熱材の製造方法の一工程を示した断面図(A)、および該工程を経て得られる真空断熱材の例を示した断面図である。 実施例1で得られた真空断熱材を斜め上から撮影した写真(A)、および側面側から撮影した写真(B)である。 実施例2で得られた真空断熱材を上から撮影した写真(A)、および側面側から撮影した写真(B)である。 実施例3で得られた真空断熱材を上から撮影した写真(A)、および側面側から撮影した写真(B)である。 実施例4で得られた真空断熱材を上から撮影した写真(A)、および側面側から撮影した写真(B)である。 実施例5で得られた真空断熱材を上から撮影した写真(A)、および側面側から撮影した写真(B)である。 実施例6で得られた真空断熱材を上から撮影した写真(A)、および側面側から撮影した写真(B)である。 実施例7で得られた真空断熱材を斜め上から撮影した写真である。 実施例8で得られた真空断熱材を上から撮影した写真(A)、および側面側から撮影した写真(B)である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「芯材」とは、真空断熱材における成形体を形成する材料であって、成形によって所望の形とされるものを意味する。
「バインダ付きヒュームドシリカ」とは、多孔質シリカ、繊維等の他の成分と混合する前のヒュームドシリカの表面に予めバインダが付与されたものを意味する。なお、「ヒュームドシリカ」とは、アモルファスかつ球状で、細孔のない一次粒子からなるシリカ微粒子を意味する。ヒュームドシリカは、例えば、四塩化ケイ素を気化し、高温の水素炎中で気相反応を行う方法により得られる。
「輻射抑制材」とは、赤外光を反射(散乱)するか、または赤外光を一旦吸収してその吸収による温度上昇分を再放射する際に等方的に放射して赤外光の方向性を乱すことで、輻射伝熱を抑える粒子を意味する。
「繊維長D30」とは、個数基準で求めた繊維長分布の全個数を100%とした累積個数分布曲線において30%となる点の繊維長を意味する。また、「繊維長D90」とは、個数基準で求めた繊維長分布の全個数を100%とした累積個数分布曲線において90%となる点の繊維長を意味する。繊維長分布は、光学顕微鏡で観察した写真において無作為に50本以上の繊維の長さを測定して得られる頻度分布および累積個数分布曲線で求められる。
[真空断熱材]
図1は、本発明の真空断熱材の製造方法で製造される真空断熱材の一例を示した断面図である。
真空断熱材1は、図1に示すように、芯材が成形された成形体10と、気密性を有する外袋12とを有する。真空断熱材1は、成形体10が外袋12内に減圧封入された断熱材である。真空断熱材1は、円筒形状の一部を形成するように湾曲した三次元的な曲面形状を有している。
{成形体}
成形体10は、後述のように、平板状の成形体10の片方の面10aに形成された複数の凹部14が潰れるように、面10aを内側にして湾曲した三次元的な曲面形状を有している。予め凹部14を形成した成形体10が外袋12内に減圧封入されることで、外袋12にかかる応力によって成形体10が平板状から三次元的な曲面形状に変形する。
平板状の成形体10の面10aに予め形成される凹部14としては、溝、穴(非貫通孔)が挙げられる。凹部14として溝のみを形成してもよく、穴のみを形成してもよく、溝と穴の両方を形成してもよい。溝、穴の断面形状は、成形体を減圧封入した時に、溝、穴にできるだけ中空部分ができなければよく、どのような形をしていてもよい、例えば半円状、矩形状等であってもよい。真空断熱材1の曲面形状は、平板状の成形体10の面10aに予め形成される凹部14の形状、大きさ、位置、数によって調節できる。
成形体10としては、三次元的な曲面形状を有する真空断熱材の製造が容易になる点から、芯材として粉体を含むことが好ましく、より高強度な成形体を得やすい点から、粉体に加えて繊維およびバインダのいずれか一方もしくは両方を含むことがより好ましい。また、成形体10としては、発泡ウレタンフォーム等の有機材料を用いてもよい。
成形体10を形成する成分は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(粉体)
粉体としては、真空断熱材の芯材として通常使用される粉体を使用できる。成形体の強度を高くしやすい点から、ヒュームドシリカを含む粉体を使用することが好ましい。また、粉体としては、多孔質シリカ、輻射抑制材を使用してもよい。
粉体は、1種でもよく、2種以上でもよい。
ヒュームドシリカは極めて微細な粉末であるため、粒の大きさを表す指標としては通常比表面積が用いられる。
ヒュームドシリカの比表面積は、50〜400m/gが好ましく、100〜350m/gがより好ましく、200〜300m/gが特に好ましい。ヒュームドシリカの比表面積が前記下限値以上であれば、優れた断熱性能が得られやすい。ヒュームドシリカの比表面積が前記上限値以下であれば、粒子の表面にバインダを付けやすい。
本発明における比表面積は、窒素吸着法(BET法)により測定される。
ヒュームドシリカの具体例としては、例えば、アエロジル200(比表面積200m/g、日本アエロジル株式会社製)、アエロジル300(比表面積300m/g、日本アエロジル株式会社製)、CAB−O−SIL M−5(比表面積200m/g、キャボットジャパン株式会社製)、CAB−O−SIL H−300(比表面積300m/g、キャボットジャパン株式会社製)、レオロシールQS30(比表面積300m/g、株式会社トクヤマ製)等が挙げられる。
ヒュームドシリカは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
多孔質シリカの比表面積は、100〜800m/gが好ましく、200〜750m/gがより好ましく、300〜700m/gが特に好ましい。多孔質シリカの比表面積が前記下限値以上であれば、優れた断熱性能が得られやすい。多孔質シリカの比表面積が前記上限値以下であれば、バインダを用いた場合に多孔質シリカに吸収されるバインダ量を少なくできる。そのため、添加するバインダ量が少なくてもより低い圧力で成形体を成形でき、その結果、成形体の密度を低くでき、優れた断熱性能が得られやすくなる。
多孔質シリカの気孔率は、60〜90%が好ましく、65〜85%がより好ましく、70〜80%が特に好ましい。多孔質シリカの気孔率が前記下限値以上であれば、固体の熱伝導を少なくできるため、優れた断熱性能が得られやすい。多孔質シリカの気孔率が前記上限値以下であれば、成形時に多孔質シリカ粒子がつぶれにくく、多孔性が維持されるために優れた断熱性能が得られやすい。
気孔率は、窒素吸着法(BJH法)により測定される。
多孔質シリカの平均粒子径は、レーザー回折散乱法やコールターカウンター法などにより、体積基準で測定された場合において、1〜300μmが好ましく、2〜150μmがより好ましく、3〜100μmが特に好ましい。多孔質シリカの平均粒子径が前記下限値以上であれば、高い気孔率を有する多孔質シリカが得られやすく、優れた断熱性能が得られやすい。多孔質シリカの平均粒子径が前記上限値以下であれば、成形体の密度が高くなりすぎず、優れた断熱性能が得られやすい。
多孔質シリカの具体例としては、例えば、M.S.GELやサンスフェア(いずれもAGCエスアイテック株式会社製)等が挙げられる。
多孔質シリカは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
輻射抑制材としては、例えば、金属粒子(アルミニウム粒子、銀粒子、金粒子等)、無機粒子(グラファイト、カーボンブラック、炭化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム等)等が挙げられる。
輻射抑制材は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(バインダ)
凹部を形成した成形体が得られやすい点、およびより低密度で充分な強度を有する成形体を成形でき、優れた断熱性能を有する真空断熱材が得られやすい点から、成形体は芯材として粉体に加えてバインダを含むことが好ましい。特に粉体としてヒュームドシリカを使用し、予め該ヒュームドシリカの表面にバインダを付与してバインダ付きヒュームドシリカとすることが好ましい。ヒュームドシリカの表面に付与されたバインダによって、成形時の圧力が低くても、バインダ付きヒュームドシリカ同士、またはバインダ付きヒュームドシリカと他の芯材(多孔質シリカ、繊維等)が互いに接着される。
多孔質シリカにバインダを付与しても、バインダが多孔質シリカに吸収されてしまうためにバインダによる効果は得られにくい。
バインダとしては、有機バインダであってもよく、無機バインダであってもよい。なかでも、バインダとしては、熱伝導性が低く、優れた断熱性が得られやすい点から、無機バインダが好ましい。
無機バインダとしては、例えば、ケイ酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。なかでも、優れた断熱性が得られやすい点から、ケイ酸ナトリウムが特に好ましい。
バインダは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(繊維)
繊維としては、真空断熱材に通常使用される繊維が使用でき、例えば、樹脂繊維、無機繊維が挙げられる。なかでも、真空下でのアウトガスが少なく、真空度の低下による断熱性の低下を抑制しやすい点、および耐熱性に優れる点から、無機繊維が好ましい。
繊維は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
無機繊維としては、例えば、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカ繊維、グラスウール、グラスファイバー、ロックウール、スラグウール、炭化ケイ素繊維、カーボン繊維、シリカアルミナ繊維、シリカアルミナマグネシア繊維、シリカアルミナジルコニア繊維、シリカマグネシアカルシア繊維等が挙げられる。
使用する繊維の繊維長D30は、100μm以上が好ましく、200μm以上がより好ましい。繊維長D30が前記下限値以上であれば、破断しにくい高強度な真空断熱材が得られる。
また、使用する繊維の繊維長D90は、20mmが好ましく、10mm以下がより好ましい。繊維長D90が前記上限値以下であれば、繊維同士が絡まりにくいために粉体と均一に混合しやすく、繊維による効果が充分に得られる。
繊維の太さ(直径)は、繊維による固体伝熱の増大を抑制できる点から、10μm以下が好ましい。また、繊維の太さ(直径)は、破断しにくい高強度な真空断熱材が得られやすい点から、1μm以上が好ましい。
(粉体、バインダ、繊維の割合)
粉体(100質量%)中のヒュームドシリカの割合は、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%が特に好ましい。ヒュームドシリカの割合が前記下限値以上であれば、強度の高い真空断熱材が得られやすい。
粉体(100質量%)中の多孔質シリカの割合は、0〜50質量%が好ましく、0〜30質量%がより好ましく、0〜20質量%が特に好ましい。多孔質シリカの割合が前記下限値以上であれば、断熱性能に優れた真空断熱材が得られやすい。多孔質シリカの割合が前記上限値以下であれば、強度の高い真空断熱材が得られやすい。
粉体が予め表面にバインダを付与したバインダ付きヒュームドシリカと多孔質シリカを含む場合、バインダ付与前のヒュームドシリカの質量Mと多孔質シリカの質量Mとの比M/Mは、50/50以上が好ましく、70/30以上がより好ましく、80/20以上が特に好ましい。前記比M/Mが前記下限値以上であれば、より低密度で充分な強度を有する成形体が得られるため、断熱性能に優れた真空断熱材が得られやすい。
粉体が輻射抑制材を含む場合、粉体(100質量%)中の輻射抑制材の割合は、3〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%が特に好ましい。輻射抑制材の割合が前記下限値以上であれば、輻射抑制材の効果が得られやすい。輻射抑制材の割合が前記上限値以下であれば、輻射抑制材による固体伝熱の増大を抑制できるため、優れた断熱性能が得られやすい。
バインダの割合は、予め表面にバインダを付与したバインダ付きヒュームドシリカを使用する場合、バインダ付与前のヒュームドシリカ100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜4質量部が特に好ましい。前記バインダの割合が前記下限値以上であれば、より低密度で充分な強度を有する成形体が得られるため、断熱性能に優れた真空断熱材が得られやすい。前記バインダの割合が前記上限値以下であれば、バインダによる固体伝熱の増大を抑制できるため、断熱性能の低下を抑制しやすい。
また、ヒュームドシリカ、バインダおよびそれ以外の成分(多孔質シリカ、繊維等)を同時に混合する場合等、予め表面にバインダを付与したバインダ付きヒュームドシリカを使用しない場合のバインダの割合は、粉体100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜4質量部が特に好ましい。バインダの割合が前記下限値以上であれば、より低密度で充分な強度を有する成形体が得られるため、断熱性能に優れた真空断熱材が得られやすいバインダの割合が前記上限値以下であれば、バインダによる固体伝熱の増大を抑制できるため、断熱性能の低下を抑制しやすい。
繊維の割合は、粉体100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、2〜20質量部がより好ましく、4〜10質量部が特に好ましい。繊維の割合が前記下限値以上であれば、破断しにくい高強度な真空断熱材が得られやすい。繊維の割合が前記上限値以下であれば、繊維による固体伝熱の増大を抑制できるため、断熱性能の低下を抑制しやすい。
粉体ならびに必要に応じて使用する繊維およびバインダのいずれか一方もしくは両方を含む場合の成形体10の密度は、150〜350kg/mが好ましく、180〜250kg/mがより好ましい。成形体10の密度が前記下限値以上であれば、成形体のハンドリングがしやすく、また減圧封入の際に成形体を形成する芯材が飛散しにくい。成形体10の密度が前記上限値以下であれば、優れた断熱性能が安定して得られやすい。
{外袋}
外袋12は、気密性を有し、成形体10を減圧封入できるものであればよい。外袋12としては、例えば、ガスバリアフィルムからなる袋等が挙げられる。ガスバリアフィルムは、真空断熱材に使用される公知のものを制限なく使用できる。
外袋12の大きさおよび形状は、特に限定されず、目的とする真空断熱材1の大きさおよび形状に合わせて適宜決定すればよい。
真空断熱材1における外袋12内の真空度は、優れた断熱性能が得られ、また真空断熱材1の寿命が長くなる点から、1×10Pa以下が好ましく、1×10Pa以下がより好ましい。外袋12内の真空度は、外袋内を減圧することが容易な点から、1Pa以上が好ましく、10Pa以上がより好ましい。
{他の態様}
本発明の製造方法で製造する真空断熱材は、通気性を有する内袋内に粉末(粉体、繊維、バインダを含む芯材)を収納した後、その粉末を収納した内袋の一方の表面に金型プレスなどによって凹部を形成した状態で外袋内に減圧封入したものであってもよい。
内袋としては、通気性を有し、成形体を形成する粉体が減圧封入の際に漏れないようにできるものであればよく、例えば、紙材、不織布等からなる袋等が挙げられる。
内袋の大きさおよび形状は、特に限定されず、目的とする真空断熱材の大きさおよび形状に合わせて適宜決定すればよい。
[真空断熱材の製造方法]
本発明の真空断熱材の製造方法は、内袋の使用の有無によって、下記の方法(α)および方法(β)に分類される。
(α)成形体をそのまま外袋内に減圧封入する方法。
(β)成形体を内袋内に収納した状態で外袋内に減圧封入する方法。
{方法(α)}
以下、方法(α)の一例として、前記した真空断熱材1の製造方法について説明する。方法(α)では、内袋を使用しない。方法(α)は、下記の工程(x)、および工程(y)を有する。
(x)芯材が成形された平板状の成形体の片面に凹部を形成し、図2に示すように、片方の面10aに凹部14が形成された平板状の成形体10を得る工程。
(y)凹部14を形成した成形体10を外袋12内に減圧封入し、その減圧封入により外袋12に生じる応力よって、図1に示すように、成形体10をその凹部14を形成した領域が窪むように湾曲させ、曲面形状を有する真空断熱材1を得る工程。
(工程(x))
この例では、工程(x)において、片方の面10aに断面形状が三角形状の溝からなる凹部14が複数本並行して形成された成形体10を形成する。なお、凹部は断面形状が三角形状の溝には限定されず、断面形状が半円状、矩形状等の溝であってもよい。
平板状の成形体を作製する方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。
例えば、粉体、繊維、バインダを含む芯材を用いる場合、それらの各成分の混合方法としては、例えば、V型混合機、撹拌機付きのブレンダ等を使用する方法が挙げられる。なかでも、各成分の分散性が良好になる点から、撹拌機付きブレンダのような高速撹拌装置を用いる方法が好ましい。
ヒュームドシリカ、多孔質シリカおよびバインダを併用する場合、予め表面にバインダを付与してバインダ付きヒュームドシリカを得た後に、該バインダ付きヒュームドシリカと多孔質シリカを混合することが好ましい。これにより、バインダが多孔質シリカに吸収されることを抑制できるため、バインダの使用量を低減できる。
なお、バインダを混合する時期は特に限定されず、例えば、ヒュームドシリカと多孔質シリカと繊維とバインダを同時に混合してもよい。
バインダは溶媒に溶解してバインダ液として混合することが好ましい。バインダ液に使用する溶媒としては、特に限定されず、例えば、水、エタノール等が挙げられる。
バインダ液(100質量%)中のバインダの割合は、4〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。バインダの割合が前記範囲内であれば、粉体へのバインダの付与が容易になる。バインダ液としては、ケイ酸ナトリウムの水溶液である水ガラスが特に好ましい。
バインダ液はスプレーコート等によって粉体や繊維に塗布してもよい。
粉体と混合したバインダ液の溶媒は、工程(y)で成形体10を外袋12内に減圧封入する前に揮発させる。これにより、バインダによって粉体同士や粉体と繊維がより良好に接着される。溶媒を揮発させる方法としては、例えば、定温乾燥機、電気炉等で加熱する方法等が挙げられる。
粉体、および必要に応じて使用する繊維、バインダを含む芯材を使用する場合に、凹部14が形成された成形体10を得る方法としては、例えば、凹部が形成されていない平板状の成形体を成形した後に、該成形体に凹部を形成する方法が挙げられる。
凹部が形成されていない平板状の成形体を成形する方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、粉体を含む芯材を金型に投入して平板状に成形する方法等が挙げられる。
凹部が形成されていない成形体に凹部を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、切断機または人手による溝切り加工が挙げられる。
また、粉体、繊維、バインダを含む芯材を使用する場合に、凹部14が形成された成形体10を得る方法としては、成形と同時に凹部を形成する方法を採用してもよい。具体的には、凹部14と相補的な形状の凸部を設けた金型を用いて芯材を成形し、面10aに凹部14が形成された平板状の成形体10を得る方法を採用してもよい。
凹部14を成形体10の面10aの1辺に平行か、それに近い状態で設けた場合は、10aを曲面の内面側として円筒状の曲面を有する真空断熱材が得られる。また、凹部14を成形体10の面10aの中心から同心円状や放射状に、またはそれに近い状態で設けた場合は、面10aの中心を頂点として三次元状に湾曲した曲面を有する真空断熱材が得られる。球面形状の一部を形成するような三次元状に湾曲した曲面を得るためには、成形体10の面10a上に均等に分布した貫通していない穴を開けても良い。
成形体10の厚みは、1mm〜500mmが好ましく、2mm〜300mmがより好ましく、3mm〜200mmがさらに好ましい。成形体10の厚みが、1mm未満であると、外部から力を加えることで曲面形状が得られやすく、500mm超であると、減圧による応力で曲面形状が得られにくい。
溝からなる凹部14の深さは、成形体10の厚みに対して、10%〜90%が好ましく、20%〜80%がより好ましい。凹部14の深さが前記下限値以上であれば、成形体10を充分に湾曲させやすく、三次元的な曲面形状を有する真空断熱材が得られやすい。凹部14の深さが前記上限値以下であれば、充分な強度を有する真空断熱材が得られやすい。
溝からなる凹部14の幅は、0.5〜20mmが好ましく、1.0〜10mmがより好ましい。凹部14の幅が前記範囲内であれば、成形体10を充分に湾曲させやすく、三次元的な曲面形状を有する真空断熱材が得られやすい。
溝からなる凹部14の本数は、1本以上であればよく、所望する曲面半径Rにより任意に設定することができる。
溝からなる凹部14のピッチは、1mm〜100mmが好ましく、2mm〜80mmがより好ましい。所望する曲面半径Rにより任意に設定することができる。
(工程(y))
例えば、工程(x)で得られた、凹部14が形成された平板状の成形体10を外袋12内に収納し、減圧条件下においてその外袋12を密封した後、大気圧条件に戻して、真空断熱材1を得る。
具体的には、例えば、2枚のフィルムを重ね合わせて予め3辺がシールしてある外袋12内に平板状の成形体10を収納し、ヒートシール機能が付いた真空チャンバー内に設置し、該真空チャンバーの内部を減圧する。チャンバー内が所定の圧力に減圧された後に、外袋12の開放された残りの1辺をヒートシールして密封し、その後にチャンバー内を大気圧条件に戻す。
この例の工程(y)では、減圧条件下で成形体10を外袋12内に入れて密封した後に外袋12の外部を大気圧条件に戻すことで、外袋12にかかる応力によって、人手等で外力を加えなくても、成形体10をその凹部14を形成した領域が窪むように湾曲させることができる。これにより、三次元的な曲面形状を有する真空断熱材1が得られる。このように三次元的な曲面形状を有する真空断熱材1が得られる要因は、以下のように考えられる。
凹部14が形成されていることで、成形体10の面10aの面積は凹部が形成されていない面10bに比べて表面積が大きくなっている。減圧条件下で外袋12内に成形体10を封入した後に外袋12の外部が大気圧条件とされると、図3に示すように、外袋12における成形体10の面10a側は、圧力が低下した凹部14内に引っ張り込まれて凹部14の表面に密着しようとする。そのため、成形体10の面10a側には、外袋12によって、溝からなる凹部14の幅方向に圧縮する力が働く。一方、凹部が形成されていない成形体10の面10b側にはこのような力が働かない。これにより、外袋12にかかる応力によって凹部14が潰れて、凹部14を形成した領域が窪むように成形体10が湾曲し、成形体10の面10a側を内側とする、円筒形状の一部を形成するような三次元的な曲面形状を有する真空断熱材1となる。
なお、工程(y)では、成形体10を外袋12内に収納した後、外袋12内の空気を吸い出して外袋12の内部を減圧しつつ、ヒートシール等で外袋12を密封することで、成形体10を外袋12内に減圧封入する方法を採用してもよい。該方法によっても、減圧封入の際に外袋12にかかる応力によって、成形体10をその凹部14を形成した領域が窪むように湾曲した三次元的な曲面形状を有する真空断熱材1が得られる。
真空断熱材1の曲面形状の曲率半径Rは、真空断熱材1の施工面の形状に応じて適宜設定すればよい。
真空断熱材1の曲面形状の曲率半径Rは、溝からなる凹部14の幅、ピッチ、数等により調節できる。具体的には、凹部14の幅を広くするほど、真空断熱材1の曲率半径Rが小さくなる。また、凹部14のピッチを短くするほど、真空断熱材1の曲率半径Rが小さくなる。また、凹部14の数を多くするほど、真空断熱材1の曲率半径Rが小さくなる。
本発明では、厚みが1〜500mmの成形体を用いて、工程(x)で幅0.5〜20mmで、かつ前記成形体の厚みに対する深さが10〜90%の溝からなる凹部14を、該凹部14のピッチが1〜100mmとなるように形成することが好ましい。そして、さらに工程(y)で減圧封入時の真空度を1×10Pa以下とし、減圧封入により外袋に生じる応力よって、前記成形体を曲率半径Rが30〜2000mmとなるように湾曲させることが好ましい。なお、条件は所望する曲面半径Rにより任意に設定することができる。
{方法(β)}
以下、方法(β)の一例として、成形体10が通気性を有する内袋内に収納された状態で外袋12内に減圧封入されている以外は真空断熱材1と同じ構成の真空断熱材を製造する方法について説明する。
方法(β)では、内袋を使用する。方法(β)は、下記の工程(x)および工程(y)を有する。
(x)芯材が成形された平板状の成形体の片面に、内袋に収納した状態で凹部を形成する工程。
(y)凹部を形成した成形体を内袋内に収納した状態で外袋内に減圧封入し、その減圧封入により前記外袋に生じる応力によって、成形体をその凹部を形成した領域が窪むように湾曲させ、曲面形状を有する真空断熱材を得る工程。
(工程(x))
方法(β)では、通気性のある内袋に粉末を収納した状態で凹部を形成する必要があるため、凹部14が形成された成形体10を得る方法としては、成形と同時に凹部を形成する方法を採用することが好ましい。具体的には、凹部14と相補的な形状の凸部を設けた金型を用いて粉体を収納した内袋を含む芯材を成形し、面10aに凹部14が形成された平板状の成形体10を得る方法を採用することができる。
(工程(y))
方法(β)の工程(y)は、凹部を形成した平板状の成形体を内袋内に収納した状態で外袋内に減圧封入する以外は、方法(α)の工程(y)と同様に行える。内袋を使用することで、芯材にバインダを使用していなくても成形体が取り扱い易くなる。
方法(β)においても、内袋内に収納した状態で成形体を外袋内に入れて減圧封入する際に外袋にかかる応力によって、外力を加えなくても成形体をその凹部を形成した領域が窪むように湾曲させることができ、三次元的な曲面形状を有する真空断熱材が得られる。
{作用効果}
以上説明した本発明の真空断熱材の製造方法によれば、凹部を形成した平板状の成形体を減圧封入する際に外袋にかかる応力によって、該凹部が潰れるように成形体を湾曲させることができる。そのため、施工面に応じた三次元的な曲面形状を有する真空断熱材を簡便に製造できる。また、本発明の製造方法で製造した真空断熱材は、施工面に応じた三次元的な曲面形状を有するため、施工時に作業者が施工面に合わせて変形させる必要がなく、取り扱いが容易である。
また、本発明の真空断熱材の製造方法で得られる曲面形状を有する真空断熱材の断熱性能は、成形体に凹部を設けずに平板状の真空断熱材とした場合の断熱性能と同等である。
なお、本発明の真空断熱材の製造方法は、前記した態様の真空断熱材を製造する方法には限定されない。
例えば、工程(x)で平板状の成形体に形成する溝からなる凹部の断面形状は、半円状、矩形状等であってもよい。また、成形体の片面に直角に交差する複数の溝を設けてもよい。この場合は、該成形体を減圧封入することにより、溝を形成した面側を内側として、球面形状の一部を形成するような曲面形状の真空断熱材が得られる。
また、凹部として、穴(非貫通孔)を形成してもよい。例えば、成形体の片面に複数の穴を均等に設けることによって、球面形状の一部を形成するような曲面形状の真空断熱材が得られる。凹部として穴を形成する場合も、その形状、大きさ、深さ、数、穴間のピッチによって真空断熱材の曲面形状を調節することができる。
穴の深さは、成形体の厚みに対して、10%〜90%が好ましく、20%〜80%がより好ましい。穴の深さが前記下限値以上であれば、成形体を充分に湾曲させやすく、三次元的な曲面形状を有する真空断熱材が得られやすい。穴の深さが前記上限値以下であれば、充分な強度を有する真空断熱材が得られやすい。
穴の開口径は、0.5〜20mmが好ましく、1〜10mmがより好ましい。穴の開口径が前記範囲内であれば、成形体を充分に湾曲させやすく、三次元的な曲面形状を有する真空断熱材が得られやすい。
成形体に凹部として穴を形成する方法は、溝を形成する場合と同様に行える。
また、本発明の真空断熱材の製造方法では、工程(x)において平板状の成形体の両面に凹部を形成してもよい。工程(x)において成形体の両面に凹部を形成する場合、成形体の両方のそれぞれの面に形成された凹部同士が向かい合わないように凹部を形成することが好ましい。これにより、工程(y)において、減圧封入により外袋に生じる応力によって、成形体をその凹部を形成した領域が窪むように両面側に湾曲させることが容易になる。
具体的には、例えば、工程(x)において図4(A)に例示した成形体10Aを形成してもよい。成形体10Aは、片方の面10aにおける第1の縁10cに対して垂直方向である幅方向(図4(A)の左右方向)の中央よりも第1の縁10c側の領域に、溝からなる3本の凹部14が長さ方向(図4(A)の紙面に垂直な方向)に形成されている。また、他方の面10bにおける幅方向の中央よりも第2の縁10d(第1の縁10cと対向する縁)側の領域に、溝からなる3本の凹部16が長さ方向に形成されている。
成形体10Aのように凹部14,16を形成すれば、図4(B)に示すように、成形体10Aのそれぞれの凹部14,16を形成した領域が窪むように湾曲した、断面S字状の曲面形状を有する真空断熱材2が得られる。
本発明の真空断熱材は、保温や保冷が必要な湾曲した施工面に直接貼り付けるなどして適用してもよいが、内面側に柔軟性や可撓性のある素材を貼り付けて使用すると、湾曲した施工面と断熱材の間の空間を埋めることができるため、より好ましい。真空断熱材の周囲全面を柔軟性や可撓性のある素材で被覆してもよい。
柔軟性や可撓性のある素材としては、例えば、軟質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム等の発泡樹脂や、ゴム系断熱材、グラスウールやロックウール等の無機繊維系のフェルトや、ブランケット等が挙げられる。
本発明により得られた真空断熱材は、優れた断熱特性を長期に亘って維持でき、省エネルギー化が求められる保温や保冷が必要で、かつ湾曲した施工面を持つ箇所に適用できる。具体的には、例えば住宅およびビルの壁・屋根・床・配管、太陽光・熱設備などの住設分野、恒温槽、湯沸かし器、温水タンク、炊飯器、冷蔵庫、冷凍庫、保冷庫・保冷タンク、自動販売機、クーラーボックス、保冷カバー、防寒服などの保温・保冷分野、ノートパソコン、液晶プロジェクター、コピー機、バッテリー、燃料電池などの電気・電子機器、半導体製造装置などの産業機器分野、自動車、バス、トラック、保冷車、列車、貨物車、船舶などの移動体分野に適用が可能である。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[曲率半径Rの測定]
得られた真空断熱材の曲率半径Rの測定は、以下のようにして行った。
同一の溝幅、溝深さを有する凹部が、等間隔に配置されて形成された曲面形状を有する真空断熱材では、曲面は曲率半径Rを有する円弧を形成しているものとみなすことができる。この円弧の両端を結ぶ直線の長さと、その直線と円弧の頂点との間の長さから、円弧の曲率半径Rを算出することができる。
[実施例1]
ヒュームドシリカ(アエロジル300、比表面積300m/g、日本アエロジル株式会社製。以下、同じ。)45質量部に対して、けい酸ソーダ3号(AGCエスアイテック株式会社製)の1.2質量部(固形分換算)をイオン交換水22.5質量部で希釈したバインダ液をブレンダによって混合した。その後、ヒュームドシリカ45質量部と、多孔質シリカとしてM.S.GEL(AGCエスアイテック株式会社製)10質量部を加え、さらに無機繊維としてスーパーウール(シリカマグネシアカルシア繊維、D30:227μm、D90:902μm、新日本サーマルセラミックス株式会社製)10質量部を追加して、ブレンダにより混合して芯材を得た。得られた芯材80gを、一対の雄型と雌型を有する縦200mm×横200mmサイズの金型に投入し、厚さ8mmになるまで圧力をかけて平板状に成形した後、200℃で1時間加熱して成形体を作製した。
切断機を用いた溝切り加工により、前記成形体の片面に幅約2mm、深さ約5mmの縦方向の溝を20mmピッチで9本形成した。その後、該成形体を市販のガスバリアフィルム(ADY−134、エーディーワイ株式会社)からなる外袋内に収納し、ヒートシール機能付きの真空チャンバー内に設置した。その後、チャンバー内を30Paまで減圧し、その状態で外袋の開口部をヒートシールして密封し、外袋の外部を大気圧条件に戻して真空断熱材を得た。
得られた真空断熱材は、外袋の外部を大気圧条件に戻すと同時に、外袋のフィルムにかかる応力によって成形体が湾曲し始め、円筒形状の一部を形成するような曲率半径Rが約60mmの曲面形状となった。結果を図5に示す。
[実施例2]
成形体の片面に形成した溝のピッチを30mm、本数を6本に変更した以外は、実施例1と同様にして真空断熱材を作製した。得られた真空断熱材は、円筒形状の一部を形成するような曲率半径Rが約100mmの曲面形状となった。結果を図6に示す。
[実施例3]
成形体の片面に形成した溝のピッチを40mm、本数を4本に変更した以外は、実施例1と同様にして真空断熱材を作製した。得られた真空断熱材は、円筒形状の一部を形成するような曲率半径Rが約120mmの曲面形状となった。結果を図7に示す。
実施例1〜3における、平板状の成形体の片面に形成した溝の幅、深さ、ピッチおよび本数と、該成形体の溝が形成された面の横方向の長さから溝の幅と本数の積を差し引いた長さd1と、該成形体の溝が形成されていない面の横方向の長さd2と、該成形体の厚みd3を表1に示す。また、真空断熱材の曲率半径Rの予測値と実測値を表1に示す。
実測値は前記[曲率半径Rの測定]に記載した方法で、また、予測値は以下のようにして求めた。
曲率半径Rの曲面を有した真空断熱材では、成形体の内面の周方向の長さは、外面の周方向の長さと比べて成形体の厚みに依存して短くなり、かつその長さの差は曲率半径Rが大きいほど少なく、曲率半径Rが小さいほど大きくなる。実施例1〜3の曲率半径Rの予測では、成形体面に設けられた凹部が、曲面形状を形成する際に、図3に示す応力によってほぼ閉じた状態にあるとした。そして、曲面形状となった状態の内周の長さが、前記長さd1と一致し、外周の長さが前記長さd2と一致するとして、それら内周および外周から曲率半径Rの予測値を算出した。
表1に示すように、実施例1〜3で得られた真空断熱材の曲率半径Rの実測値は、予測値と近く、溝からなる凹部の設計によって真空断熱材の曲面形状を制御できることが確認された。
[実施例4]
縦200×横200mmサイズの金型の雄型における、成形体の溝を形成する面と接する部分に、直径2mmの複数のロッドを20mmピッチで貼り付け、さらにその上をガラスクロスで覆った以外は、実施例1と同様に成形を行って成形体を作製した。得られた成形体には、幅約2mm、深さ約2mmの縦方向の溝が20mmピッチで9本形成された。また、該成形体を用いて、実施例1と同様にして真空断熱材を作製した。得られた真空断熱材は、円筒形状の一部を形成するような曲率半径Rが約320mmの曲面形状となった。結果を図8に示す。
[実施例5]
直径3mmのロッドを用いた以外は、実施例4と同様にして成形体を得た。得られた成形体には、幅約3mm、深さ約3mmの縦方向の溝が20mmピッチで9本形成された。また、該成形体を用いて、実施例1と同様にして真空断熱材を作製した。得られた真空断熱材は、円筒形状の一部を形成するような曲率半径Rが約195mmの曲面形状となった。結果を図9に示す。
[実施例6]
直径4mmのロッドを用いた以外は、実施例4と同様にして成形体を得た。得られた成形体には、幅約4mm、深さ約4mmの縦方向の溝が20mmピッチで9本形成された。また、該成形体を用いて、実施例1と同様にして真空断熱材を作製した。得られた真空断熱材は、円筒形状の一部を形成するような曲率半径Rが約170mmの曲面形状となった。結果を図10に示す。
[実施例7]
寸法が120mm×200mm×10mmの板状の硬質ウレタンフォームの上面に、切断機を用いて、直線状の溝を中央から放射状になるように形成した。その後、手加工により、さらに複数の円形の溝を同心円状に形成し、クモの巣状に溝が形成された成形体を作製した。該成形体を芯材として用いて、実施例1と同様にして真空断熱材を作製した。得られた真空断熱材は、溝を形成した面を内面とする、球面形状の一部を形成するような曲面形状を有するものとなった。結果を図11に示す。
[実施例8]
寸法が120mm×200mm×10mmの板状の硬質ウレタンフォームの上面に、直径5〜6mm、深さ5〜6mmの穴が20mm間隔で概ね均等に分布しているように穴加工を施し、穴が形成された成形体を作製した。該成形体を芯材として用いて、実施例1と同様にして真空断熱材を作製した。得られた真空断熱材は、穴を形成した面を内面とする、球面形状の一部を形成するような曲面形状を有するものとなった。結果を図12に示す。
[実施例9]
実施例1と同様にして芯材を得た。得られた芯材96gを、一対の雄型と雌型を有する縦200mm×横200mmサイズの金型に投入し、厚さ10mmになるまで圧力をかけて板状に成形した後、200℃で1時間加熱して成形体を作製した。
切断機を用いて成形体を縦100mm×横200mmサイズに切断した後、さらに溝切り加工により、前記成形体の片面に幅約2mm、深さ約3mmの縦方向の溝を20mmピッチで9本形成した。その後、該成形体を市販のガスバリアフィルム(ADY−134、エーディーワイ株式会社製)からなる外袋内に収納し、真空チャンバー内に設置した。その後、チャンバーの内部を30Paまで減圧し、その状態で外袋の開口部をヒートシールして密封し、外袋の外部を大気圧条件に戻して真空断熱材を得た。得られた真空断熱材は、外袋の外部を大気圧条件に戻すと同時に、外袋のフィルムにかかる応力によって成形体が湾曲し始め、円筒形状の一部を形成するような曲面形状となった。
得られた曲面形状の真空断熱材を、内部温度を60℃とした側壁が円筒形状のウォーターバスの外壁面に設置した。設置から1時間経過後、真空断熱材の表面温度を測定したところ25℃であった。熱伝導率が既知の平板における温度差と熱流束の関係を用いてこの曲面形状の真空断熱材の熱伝導率を推算したところ、0.008W/mKであった。
本発明の真空断熱材の製造方法によれば、施工面に応じた三次元的な曲面形状を有する真空断熱材を簡便に製造できる。そのため、住宅、ビル、車両、保温保冷容器、冷蔵庫、給湯器等の様々な分野において、施工面が三次元的な曲面形状を有する場合に有用である。
1 真空断熱材
10 成形体
10a 片方の面
12 外袋
14 凹部

Claims (9)

  1. 下記の工程(x)および工程(y)を有する、真空断熱材の製造方法。
    (x)芯材が成形された平板状の成形体の片面または両面に凹部を形成する工程。
    (y)前記凹部を形成した成形体を外袋内に減圧封入し、その減圧封入により前記外袋に生じる応力よって前記成形体をその前記凹部を形成した領域が窪むように湾曲させ、曲面形状を有する真空断熱材を得る工程。
  2. 前記芯材が粉体を含む、請求項1に記載の真空断熱材の製造方法。
  3. 前記芯材がさらに繊維を含む、請求項2に記載の真空断熱材の製造方法。
  4. 前記芯材がさらにバインダを含む、請求項2または3に記載の真空断熱材の製造方法。
  5. 前記工程(x)において、前記成形体の両面に、それぞれの面に形成された凹部同士が向かい合わないように凹部を形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の真空断熱材の製造方法。
  6. 前記工程(x)において、前記成形体の片方の面における、第1の縁に対して垂直方向の中央よりも該第1の縁側の領域に凹部を形成し、かつ、前記成形体の他方の面における、前記中央よりも前記第1の縁と対向する第2の縁側の領域に凹部を形成し、
    前記工程(y)において、前記減圧封入により外袋に生じる応力によって前記成形体を断面S字状に湾曲させる、請求項5に記載の真空断熱材の製造方法。
  7. 前記凹部が溝および非貫通孔の穴のいずれか一方もしくは両方である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の真空断熱材の製造方法。
  8. 前記成形体の厚みが1〜500mmであり、前記工程(x)において、幅が0.5〜20mmで、かつ前記成形体の厚みに対する深さが10〜90%の溝からなる凹部を、該凹部のピッチが1〜100mmとなるように形成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の真空断熱材の製造方法。
  9. 前記工程(y)において、減圧封入時の真空度を1×10Pa以下とし、減圧封入により前記外袋に生じる応力よって、前記成形体を曲率半径Rが30〜2000mmとなるように湾曲させる、請求項8に記載の真空断熱材の製造方法。
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