JP2018203565A - 断熱材および真空断熱材 - Google Patents

断熱材および真空断熱材 Download PDF

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淳一郎 塩見
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高志 児玉
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真直 大堀
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Nobuhiro Shinohara
伸広 篠原
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Abstract

【課題】断熱性が改良された断熱材および真空断熱材を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される炭素数が1〜n+1の直鎖状の炭化水素基を有するシラン化剤で表面処理されたシリカ粒子を含む断熱材10、および前記断熱材10が、ガスバリア性のフィルムからなる外被材12内に減圧封入された、真空断熱材1。
(CH3−m(R)−Si−(CHCH ・・・(1)
[式中、Rは加水分解性基、mは1〜3の整数、nは0〜20の整数。]
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に疎水性修飾処理が施されたシリカ粒子を含む断熱材および真空断熱材に関する。
住宅、ビル、車両、保温保冷容器、冷蔵庫、給湯器等の様々な分野において、断熱によってエネルギー消費を低減するために断熱材が使用されている。断熱材には断熱材材料が真空封入されず大気圧状態であるものと、芯材をガスバリア性のフィルムからなる外装材内に減圧封入した真空断熱材がある(本明細書において、前者を断熱材と呼ぶ)。断熱材としてはグラスウール等の繊維系断熱材、ウレタンフォーム等の発泡系断熱材、およびヒュームドシリカ等のシリカ粒子系断熱材が知られている。特にシリカ粒子系断熱材は、空気による対流や伝導による伝熱が抑制されるため、優れた断熱作用を有する。
また真空断熱材としては、前記断熱材を板状に成形し、ガスバリアフィルムからなる外被材内に減圧封入したものが知られている。芯材として粉体を用いた真空断熱材は、芯材として繊維を用いた真空断熱材に比べて初期の断熱性能が劣るものの、低真空でも充分な断熱性能を維持できるため長期耐久性に優れる。また、芯材として粉体を用いると薄板品や曲面形状品が作り易いという利点もある。
しかし、断熱材としてシリカ粒子を用いる場合、例えば樹脂製の袋に詰めて使用すると使用時に加熱され袋内に蒸気が発生して断熱性能が低下したり、樹脂製の袋内へ充填時に静電気が発生したりするなどの問題がある。これらの問題を解決する方法として、ヘキサメチルジシラザンで表面処理し、含水率が0.5質量%のシリカ粒子(BET比表面積45m/g)は静電気の発生が抑制され、前記シリカ粒子を成形して得られたかさ密度が0.34g/cmの成形体は、熱伝導率が0.0314W/m・Kであり、水蒸気の発生が抑制されることが提案されている(特許文献1、実施例7)。
特開2012−246181号公報
しかし、特許文献1においてヘキサメチルジシラザンで処理した実施例7のシリカ粒子は30℃における熱伝導率は0.0314W/m・K(含水率は0.5質量%)であり、実施例2の未処理のシリカの熱伝導率は30℃における熱伝導率0.0297W/m・K(含水率は0.65質量%)より高く、断熱性能が悪い。ヘキサメチルジシラザンで表面処理をしたことにより断熱性に影響を与えていると考えられる。また表面処理したシリカを芯材として真空断熱材とすることは提案されていない。
本発明の断熱材は、以下の構成を有する。
[1]下記式(1)で表される炭素数が1〜n+1の直鎖状の炭化水素基を有するシラン化剤で表面処理されたシリカ粒子を含む断熱材。
(CH3−m−Si−(CHCH ・・・(1)
[式中、Rは加水分解性基、mは1〜3の整数、nは0〜20の整数。]
[2]前記表面処理されたシリカ粒子を、断熱材の100質量%中、70〜90質量%含む、[1]に記載の断熱材。
[3]前記加水分解性基がアルコキシ基である、[1]または[2]に記載の断熱材。
[4]前記加水分解性基がメトキシ基またはエトキシ基である、[3]に記載の断熱材。
[5]前記mが2または3である、[1]〜[4]のいずれか1に記載の断熱材。
[6]前記表面処理が、気相法によるものである、[1]〜[5]のいずれか1に記載の断熱材。
[7]前記断熱材が密度0.1〜0.3g/cmの板状の成形体である[1]〜[6]のいずれか1に記載の断熱材。
[8]前記[1]〜[7]のいずれか1に記載の断熱材がガスバリア性のフィルムからなる外被材内に減圧封入された真空断熱材。
本発明の断熱材は断熱性に優れる。
また、本発明の断熱材がガスバリア性のフィルムからなる外被材に減圧封入された真空断熱材は、断熱性に優れる。
本発明の真空断熱材の一例を示した模式断面図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「気相法」とは、さまざまな物質の薄膜を形成する蒸着法のひとつであり、反応管内で加熱した基板上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基板表面あるいは気相での化学反応により膜を堆積する方法である。
「輻射抑制材」とは、赤外光を反射(散乱)するか、または赤外光を一旦吸収してその吸収による温度上昇分を再放射する際に等方的に放射して赤外光の方向性を乱すことで、輻射伝熱を抑える粒子を意味する。
「芯材」とは、真空断熱材における成形体を形成する材料であって、成形によって所望の形とされるものを意味する。
<断熱材>
本発明の断熱材は、下記式(1)で表される炭素数が1〜n+1の直鎖状の炭化水素基を有するシラン化剤で表面処理されたシリカ粒子(以下シリカ粒子(1)とも言う。)を含む。
(CH3−m−Si−(CHCH ・・・(1)
Rは加水分解性基、mは1〜3の整数、nは0〜20の整数。
シリカ粒子(1)による成形体の熱伝導率は、シラン化剤で表面処理しないシリカ粒子よりも低く、シラン化剤による表面処理で断熱性が向上する。
シリカ粒子は、表面に吸着などにより存在する水の影響を受け、水分を含むシリカ粒子間では熱コンダクタンスが上昇する傾向がある。従って、熱伝導率の測定に際しては、事前に試料を加熱するなどして十分乾燥しておく必要がある。シラン化剤による表面処理は、シリカ粒子表面に疎水性を付与するために、水が吸着しにくくなる効果が期待できる。
前記シリカ粒子(1)を含む断熱材は、粒子のままでも成形体としても使用できる。粒子のまま使用する場合は通常所望の形状の袋や容器に充填して用いる。袋および容器の材質は断熱材用の袋および容器として用いられるものを制限なく使用できる。
本発明の断熱材は密度が0.1〜0.3g/cmの成形体が好ましく、0.15〜0.25g/cmがより好ましい。
また、形状は限定されないが、断熱性を均一にしやすいため板状が好ましい。
前記成形体の密度がこの範囲であると、断熱性に優れるだけでなく、ハンドリングし易い。成形体の密度を前記範囲とするには、シリカ粒子の種類、成形条件、シラン化剤の種類を選択することで調整できる。成形体の厚さは2〜50mmが好ましく、5〜30mmがより好ましい。
断熱材中に、シリカ粒子(1)は、断熱材の全量中の70〜90質量%含むことが好ましい。
また、断熱材には、シリカ粒子(1)以外のその他の粒子を含んでよい。前記その他の粒子としては、表面処理されないシリカ粒子、珪藻土等が挙げられる。
前記その他の粒子は、断熱材の全量中10質量%以下とすることが好ましい。
また、断熱材には輻射抑制材を含むことが好ましい。なお本明細書において、輻射抑制剤は前記その他の粒子に含まれない。断熱材に輻射抑制材が含まれると、赤外光を反射(散乱)されるか、または赤外光を一旦吸収してその吸収による温度上昇分を再放射する際に等方的に放射されることで、断熱材を通過する赤外光の総量が減少するため、輻射伝熱が抑えられる。輻射抑制材同士の接触が少なくなり、固体伝熱パスが形成されにくくなることから、断熱材に輻射抑制材が均一に分散されることが好ましい。輻射抑制材としては、例えば、金属粒子(アルミニウム粒子、銀粒子、金粒子等)、無機粒子(グラファイト、カーボンブラック、炭化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム等)等が挙げられる。輻射抑制剤の含有量は、断熱材の全量中3〜30質量%が好ましい。
輻射抑制材の平均粒子径は、0.1〜100μmが好ましく、0.5〜50μmがより好ましく、1〜20μmが特に好ましい。輻射抑制材の平均粒子径が前記下限値以上であれば、成形体中に輻射抑制剤を均一に分散させやすく、優れた断熱性が得やすい。輻射抑制材の平均粒子径が前記上限値以下であれば、成形体の強度が低くなりすぎず、成形体のハンドリングがしやすい。断熱材の全量(100質量%)中の輻射抑制材の(含有)割合は、3〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%が特に好ましい。輻射抑制材の割合が前記下限値以上であれば、輻射抑制材の効果が得られやすい。輻射抑制材の割合が前記上限値以下であれば、輻射抑制材による固体伝熱の増大を抑制できるため、優れた断熱性能が得られやすい。
また、本発明の断熱材は効果を損なわない範囲で、繊維を含むことが好ましい。繊維を含むと、低密度の成形体を得やすい。
断熱材の全量中、繊維は15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
繊維としては、シリカ粒子系断熱材に通常使用される繊維が使用でき、例えば、樹脂繊維、無機繊維が挙げられる。なかでも、耐熱性に優れる点から、無機繊維が好ましい。繊維は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、本発明の断熱材をガスバリア性のフィルムの間に真空封入し、真空断熱材とする場合は、真空下でガス成分の揮発が少なく、真空度の低下による断熱性能の低下を抑制しやすい点で繊維としては樹脂繊維または無機繊維が好ましい。
無機繊維としては、例えば、アルミナ繊維、ムライト繊維、シリカ繊維、グラスウール、グラスファイバー、ロックウール、スラグウール、炭化ケイ素繊維、カーボン繊維、シリカ・アルミナ繊維、シリカ・アルミナ・マグネシア繊維、シリカ・アルミナ・ジルコニア繊維、シリカ・マグネシア・カルシア繊維等が挙げられる。なかでも、価格や安全性などの点からして、グラスファイバー、ロックウール、またはシリカ・マグネシア・カルシア繊維が好ましい。
また、断熱材は効果を損なわない範囲で、無機バインダを含んでもよい。無機バインダを含むと低密度の成形体を得やすい。無機バインダとしては、例えば、ケイ酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。なかでも、優れた断熱性が得られやすい点から、ケイ酸ナトリウムが特に好ましい。
バインダは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
断熱材の好ましい組成としては、シリカ粒子(1):その他の粒子:輻射抑制剤の質量比で70〜90:0〜10:5〜20が好ましい。
また断熱材に繊維を含む場合の断熱材の組成は、(シリカ粒子(1)とその他の粒子と輻射抑制剤の合計の質量)と、繊維との質量比で、90〜100:10〜0が好ましい。
(シリカ粒子)
シリカ粒子は、ヒュームドシリカ、多孔質シリカ等が挙げられる。これらのうち、断熱性に優れ、強度が高い芯材が得られ易いため、ヒュームドシリカが好ましい。
ヒュームドシリカとは、アモルファスかつ球状で、細孔のない一次粒子からなるシリカ微粒子を意味する。ヒュームドシリカは、たとえば、四塩化ケイ素を気化し、高温の水素炎中で気相反応を行う方法によって得られる。
ヒュームドシリカは極めて微細な粉末であるため、粒の大きさを表す指標としては通常比表面積が用いられる。
ヒュームドシリカの比表面積は、50〜400m/gが好ましく、100〜350m/gがより好ましく、200〜300m/gが特に好ましい。ヒュームドシリカの比表面積が前記下限値以上であれば、優れた断熱性能が得られやすい。ヒュームドシリカの比表面積が前記上限値以下であれば、シラン化剤による表面の処理がしやすい。
本発明における比表面積は、窒素吸着法(BET法)により測定される。
ヒュームドシリカの具体例としては、例えば、アエロジル200(比表面積200m/g、日本アエロジル社製)、アエロジル300(比表面積300m/g、日本アエロジル社製)、CAB−O−SIL M−5(比表面積200m/g、キャボットジャパン社製)、CAB−O−SIL H−300(比表面積300m/g、キャボットジャパン社製)、レオロシールQS30(比表面積300m/g、トクヤマ社製)等が挙げられる。
ヒュームドシリカは、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、シリカ粒子は、ヒュームドシリカと、それ以外のシリカ粒子の混合物でもよいが、断熱性に優れ、強度が高い芯材を得るためには、ヒュームドシリカ以外のシリカ粒子の混合割合は、シリカ粒子全量中10質量%以下であることが好ましい。
(シラン化剤)
シラン化剤は、下記式(1)で表され、炭素数が1〜1+nの直鎖状の炭化水素基を有する。
(CH3−m−Si−(CHCH ・・・(1)
Rは加水分解性基、mは1〜3の整数、nは0〜20の整数。
mは2または3が好ましい。nは2〜17の整数が好ましい。mおよびnが前記範囲であると、断熱性に優れた断熱材、および真空断熱を得やすい。
炭化水素基が直鎖状であると、界面における熱の伝達ルートを少なくすることができ、熱コンダクタンスを抑制しやすい。
Rで表される複数の加水分解性基は同じでも異なっていてもよい。前記加水分解性基はアルコキシ基が好ましく、中でもメトキシ基、またはエトキシ基がより好ましい。
前記式(1)で表されるシラン化剤としては、具体的にはメチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシランオクタデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのうち、特に断熱性に優れるため、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、およびオクタデシルトリメトキシシランが好ましい。
(表面処理方法)
シラン化剤でシリカ粒子の表面処理をする方法は、気相法や液相法があるが、気相法が簡便であり、また、溶媒を使用しないので、処理中に粒子が会合するようなことがないため好ましい。気相法によるシリカ粒子の表面処理方法は、気相下においてガス化させたシラン化剤とシリカ粒子とを反応させる方法である。
気相法の反応温度は、100〜200℃が好ましく、130〜170℃がより好ましい。前記温度の範囲であると、容易にシラン化剤をガス化し気相とすることができる。反応時間は1〜3時間が好ましい。前記時間の範囲であると、気相のシラン化剤によりシリカ粒子表面が効果的に反応され、修飾することができる。
(成形体の製造方法)
成形体の製造方法としては、例えば、シリカ粒子(1)を加圧する方法がある。
断熱材に輻射抑制剤およびその他の粒子(以下輻射抑制剤等とも言う。)を含有させる場合は、シリカ粒子(1)と輻射抑制剤等とを混合してから加圧して成形する。
シリカ粒子(1)と輻射抑制剤等とを混合する方法としては、例えば、V型混合機、撹拌機付きのブレンダー等を使用する方法が挙げられる。なかでも、各成分の分散性が良好になる点から、撹拌機付きブレンダーのような高速撹拌装置を用いる方法が好ましい。
シリカ粒子(1)を加圧して成形体を得る方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、シリカ粒子(1)を金型に投入し、プレス機等により加圧して成形する方法等が挙げられる。
<真空断熱材>
図1は、本発明の真空断熱材の一例を示した模式断面図である。一般に真空断熱材は、芯材が気密性を有する外被材内に減圧封入されたものである。
真空断熱材1は、図1に示すように、芯材としての断熱材10が、気密性を有する外被材12内に減圧封入されたものである。断熱材10は成形体であるとハンドリングが容易なため好ましい。
断熱材10は、前述の断熱材を使用する。芯材として前述の断熱材を使用すると、熱伝導率を低減できる。
真空断熱材に使用される断熱材10は、好ましい態様も含めて、前述の断熱材と同様である。
(外被材)
外被材12は、気密性を有し、成形体10を減圧封入できるものであればよい。外被材12としては、例えば、ガスバリアフィルムからなる袋等が挙げられる。ガスバリアフィルムは、真空断熱材に使用される公知のものを制限なく使用でき、たとえば多層ラミネートフィルムが挙げられる。多層ラミネートフィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アルミニウム箔、ナイロンフィルム、ヒートシール層となるポリエチレンフィルムをこの順に積層したものが挙げられる。
外被材12の大きさおよび形状は、特に限定されず、目的とする真空断熱材1の大きさおよび形状に合わせて適宜決定すればよい。
真空断熱材1における外被材12内の真空度は、優れた断熱性能が得られ、また真空断熱材1の寿命が長くなる点から、1×10Pa以下が好ましく、5×10Pa以下がより好ましく、1×10Pa以下がさらに好ましい。外被材12内の真空度は、外被材内を減圧することが容易な点から、1Pa以上が好ましく、10Pa以上がより好ましい。
(真空断熱材の製造方法)
真空断熱材1の製造方法としては、例えば、下記の工程(x)、および工程(y)を有する方法が挙げられる。
(x)シリカ粒子(1)を加圧して断熱材10を得る工程。
(y)断熱材10を外被材12内に減圧封入して真空断熱材1を得る工程。
(工程(x))
工程(x)は、前述の断熱材の成形体の製造方法と同様である。
(工程(y))
例えば、工程(x)で得られた成形体10を外被材12内に収納し、減圧条件下においてその外被材12を密封した後、外被材12の外部を大気圧条件に戻して真空断熱材1を得る。具体的には、2枚のガスバリアフィルムをヒートシール層を内側にして重ね合わせて予め3辺がシールしてある外被材12内に成形体10を収納し、ヒートシール機能が付いた真空チャンバー内に設置し、該真空チャンバーの内部を減圧する。チャンバー内が所定の圧力に減圧された後に、外被材12の開放された残りの1辺をヒートシールして密封し、その後にチャンバー内を大気圧条件に戻す。
なお、工程(y)では、成形体10を外被材12内に収納した後、外被材12内の空気を吸い出して外被材12の内部を減圧しつつ、ヒートシール等で外被材12を密封することで、成形体10を外被材12内に減圧封入する方法を採用してもよい。
以上説明した本発明の真空断熱材は、シラン化剤で表面処理されたシリカ粒子を含む断熱材を使用しているため、断熱性が優れる。
なお、本発明の真空断熱材は、前記した真空断熱材1には限定されない。例えば、本発明の真空断熱材は、通気性を有する内袋内に成形体を収納した状態で外被材内に減圧封入した真空断熱材であってもよい。すなわち、芯材からなる成形体が内袋内に収納されたものを用いるものであってもよい。
上記内袋としては、通気性を有し、芯材を形成する粉体が減圧封入の際に漏れないようにできるものであればよく、例えば、紙材、不織布等からなる袋等が挙げられる。
内袋の大きさおよび形状は、特に限定されず、目的とする真空断熱材の大きさおよび形状に合わせて適宜決定すればよい。
内袋を使用する場合の真空断熱材の製造方法としては、工程(y)において成形体を内袋内に収納した状態で外被材内に減圧封入する以外は、前記真空断熱材1で説明した方法と同様の方法を採用できる。
(作用機序)
本発明は、前記式(1)で表されるシラン化剤を用いてシリカ粒子の表面処理を行うことにより、表面処理をしないシリカ粒子と比較して、熱コンダクタンスが低減できることを見出したものである。
本発明の効果についての詳細の理由は明らかではないが、シリカ粒子間に特定の長さ、密度で存在するシラン化剤が粒子間の熱伝導を阻害する効果を発揮していると考えられる。
また、前記断熱材を外被材内に減圧封入した真空断熱材は、固体の伝熱と輻射の伝熱が支配的であるため、前記式(1)で表されるシラン化剤で処理されないシリカ粒子を芯材とする真空断熱材よりも固体の伝熱が低減され、断熱性が向上すると考えられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によっては限定されない。
[熱伝導率の測定]
実施例1〜5、および比較例1で得られた試料の大気中および真空中の熱伝導率は、熱流束法による熱伝導率測定装置を用いて測定した。熱流束法による熱伝導率(λ)は、λ=QΔx/ΔT(Q:サンプルの熱流束、Δx:サンプルの厚さ、ΔT:サンプルの両端温度差)から求められる。また、実施例6、7および比較例2で得られた真空断熱材の熱伝導率は、熱伝導率測定装置FOX50(英弘精機社製)を用いて測定した。
[成形体の密度]
成形体の密度は、当該成形体の寸法と質量から算出した。
[実施例1]
ヒュームドシリカ粒子(キャボット社製、一次粒子径:7nm、BET比表面積300m/g)3gに対して、シリカ−マグネシア−カルシア繊維(商品名「スーパーウール バルク」、新日本サーマルセラミックス社製)0.3gを加え、ブレンダーにより混合して混合粉体を得た。得られた混合粉体2.8gを用いて、プレス機により、密度が概ね0.2g/cmで、寸法が縦40mm、横70mm、厚さ5mmの板状の成形体を作製した。成形体を200℃で1h乾燥した後、成形体の寸法、重量から成形体嵩密度を測定した。ついで、成形体から縦10mm、横10mmのサイズのサンプルを切り出し、気相シランカップリング法によって表面修飾を行った。具体的には、上記の切り出した成形体をオゾンクリーナーで表面洗浄した後,メチルトリメトキシシランと共に窒素雰囲気下でテフロン(登録商標)容器に密閉して、150℃で2時間,電気炉を用いて加熱、反応させ、メチルトリメトキシシランで表面処理された成形体を得た。この成形体を用いて、大気中及び真空中(0.5Pa)での熱伝導率を測定した。熱伝導率測定結果を表1に示す。
[実施例2〜5]
メチルトリメトキシシランに代えてそれぞれ表1に示したシラン化剤を用いた以外は、実施例1と同様にして縦10mm、横10mmサイズの成形体をシラン化処理した。処理後成形体の大気中及び真空中における熱伝導率を表1に示す。
[比較例1]
シラン化処理を行っていない縦10mm、横10mmサイズの成形体を用いて、大気中及び真空中での熱伝導率を測定した。熱伝導率測定結果を表1に示す。
Figure 2018203565
実施例1〜5で得られた断熱材は、式(1)で表されるシラン化剤でシラン化処理がされた成形体であり、シラン化処理をしない比較例1の成形体よりも熱伝導率が8〜20%低く、断熱性が改善した。
また、実施例1〜5のシラン化処理された成形体は、シラン化処理をしない比較例1に比べて真空中での熱伝導率が33〜56%低く、断熱性能が改善した。
[実施例6]
ヒュームドシリカ(キャボット社製、一次粒子径:7nm、BET比表面積300m/g)粒子の2gを用い、気相シランカップリング法によって粒子の表面修飾を行った。具体的には、上記のシリカ粒子をオゾンクリーナーで表面洗浄した後,プロピルトリメトキシシランと共に窒素雰囲気下でテフロン(登録商標)容器に密閉して、150℃で2時間,電気炉を用いて加熱、反応させ、プロピルトリメトキシシランで表面処理されたシリカ粒子を得た。
ついで、前記表面処理されたシリカ粒子2gに対して、シリカ−マグネシア−カルシア繊維(商品名「スーパーウール バルク」、新日本サーマルセラミックス社製)0.2gを加え、ブレンダーにより混合して混合粉体を得た。得られた混合粉体を用いて、プレス機により、密度が概ね0.2g/cmで、寸法が縦30mm、横30mm、厚さ5mmの板状の成形体を作製した。成形体の寸法、質量から成形体嵩密度を求めた。ついで、同成形体を芯材とし、市販のガスバリアフィルム(ADY−134、エーディーワイ株式会社製、熱溶着層/金属層/表面保護層の3層構造)からなる外被材内に減圧条件下(100Pa以下)で挿入し、ヒートシールして減圧封入し、真空断熱材を得た。用いた真空断熱材の熱伝導率を測定した。真空断熱材の熱伝導率測定結果を表2に示す。
[実施例7]
ヒュームドシリカ(キャボット社製、一次粒子径:7nm、BET比表面積300m/g)の2gを用い、ヘキシルトリメトキシシランで表面処理を行った他は、実施例6と同様にして真空断熱材の熱伝導率を測定した。結果を表2に示す。
[比較例2]
シラン化処理を行っていないヒュームドシリカ粒子を用いて2gに対して、シリカ−マグネシア−カルシア繊維(商品名「スーパーウール バルク」、新日本サーマルセラミックス社製)0.2gを加え、ブレンダーにより混合して混合粉体を得た。得られた混合粉体を用いて、プレス機により、密度が概ね0.2g/cmで、寸法が縦30mm、横30mm、厚さ5mmの板状の成形体を作製した。実施例1〜5と乾燥状態を合わせるため成形体を200℃で1h乾燥した後、成形体の寸法、重量から成形体嵩密度を測定した。本成形体をさらに100℃で1h乾燥したものを芯材として実施例6と同様にして真空断熱材を作製し、熱伝導率を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2018203565
実施例6、7で得られた真空断熱材は、式(1)で表されるシラン化剤で表面処理がされたヒュームドシリカを含むため、表面処理をしない比較例2による真空断熱材よりも熱伝導率が18〜23%低く、断熱性が改善した。
本発明により得られた断熱材および真空断熱材は、省エネルギー化が求められる保温や保冷、断熱が必要な箇所に適用できる。具体的には、例えば住宅およびビルの壁・屋根・床・配管、太陽光・熱設備などの住設分野、恒温槽、湯沸かし器、温水タンク、炊飯器、冷蔵庫、冷凍庫、保冷庫・保冷タンク、自動販売機、クーラーボックス、保冷カバー、防寒服などの保温・保冷分野、ノートパソコン、液晶プロジェクター、コピー機、バッテリー、燃料電池などの電気・電子機器、半導体製造装置などの産業機器分野、自動車、バス、トラック、保冷車、列車、貨物車、船舶、航空機など移動体分野に適用が可能である。
1 真空断熱材
10 成形体(断熱材)
12 外被材

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される炭素数が1〜n+1の直鎖状の炭化水素基を有するシラン化剤で表面処理されたシリカ粒子を含む断熱材。
    (CH3−m−Si−(CHCH ・・・(1)
    [式中、Rは加水分解性基、mは1〜3の整数、nは0〜20の整数。]
  2. 前記表面処理されたシリカ粒子を、断熱材の100質量%中、70〜90質量%含む、請求項1に記載の断熱材。
  3. 前記加水分解性基がアルコキシ基である、請求項1または2に記載の断熱材。
  4. 前記加水分解性基がメトキシ基またはエトキシ基である、請求項3に記載の断熱材。
  5. 前記mが2または3である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の断熱材。
  6. 前記表面処理が、気相法によるものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の断熱材。
  7. 前記断熱材が、密度0.1〜0.3g/cmの板状の成形体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の断熱材。
  8. 前記請求項1〜7のいずれか一項に記載の断熱材が、ガスバリア性のフィルムからなる外被材内に減圧封入された、真空断熱材。
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