JP6475597B2 - コイル含浸用エポキシ樹脂組成物およびモールドコイル - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、コイル含浸用エポキシ樹脂組成物およびこれを使用したモールドコイルに関する。
従来、自動車、テレビ等における電子部品、産業用モジュール等の絶縁処理にエポキシ樹脂組成物が使用されている。電子部品として、例えば、自動車用点火コイルであるイグニッションコイルが挙げられる。
このような用途に使用されるエポキシ樹脂組成物については、コイルに対する含浸性が高いことが求められる。また、含浸および硬化させたときの絶縁信頼性が高いことが求められる。
絶縁信頼性を向上させる方法として、例えば、特定の充填材を使用する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、特定の平均粒径を有する充填材を使用する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2006−169312号公報 特開2008−195782号公報
近年、イグニッションコイルについては、自動車の低燃費化およびダウンサイジング化により、これまでよりも高いエネルギーを発生させることが求められている。これに伴い、このようなイグニッションコイルに使用されるエポキシ樹脂組成物についても絶縁信頼性の向上が求められている。
しかしながら、従来のエポキシ樹脂組成物においては、必ずしも十分な絶縁信頼性が得られていない。また、十分な絶縁信頼性を得るために充填材の含有率を高くすると、コイルに対する含浸性が低下しやすい。
本発明は、このような課題を解消するためになされたものであって、コイルに対する含浸性が高く、かつ含浸および硬化させたときの絶縁信頼性も高いエポキシ樹脂組成物を提供することを目的としている。また、本発明は、このようなエポキシ樹脂組成物を使用したモールドコイルを提供することを目的としている。
本発明のコイル含浸用エポキシ樹脂組成物は、(A)液状エポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)硬化促進剤、(D)平均粒径0.5〜20μmの第1のシリカ、および(E)ゾルゲル法により製造された平均粒径5〜60nmの第2のシリカを必須成分とする。(D)第1のシリカは、(A)液状エポキシ樹脂100質量部に対して、100〜500質量部である。(E)第2のシリカは、(D)第1のシリカ100質量部に対して、0.5〜10質量部である。
本発明によれば、コイルに対する含浸性が高く、かつコイルに含浸および硬化させたときの絶縁信頼性も高いエポキシ樹脂組成物が提供される。また、本発明によれば、絶縁信頼性の高いモールドコイルが提供される。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明のコイル含浸用エポキシ樹脂組成物は、(A)液状エポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)硬化促進剤、(D)平均粒径0.5〜20μmの第1のシリカ、および(E)ゾルゲル法により製造された平均粒径5〜60nmの第2のシリカを必須成分とする。(D)第1のシリカは、(A)液状エポキシ樹脂100質量部に対して、100〜500質量部である。(E)第2のシリカは、(D)第1のシリカ100質量部に対して、0.5〜10質量部である。以下、コイル含浸用エポキシ樹脂組成物を単にエポキシ樹脂組成物と記して説明する。
(A)液状エポキシ樹脂としては、1分子に2個以上のエポキシ基を有し、かつ常温(25℃)で液状である化合物を使用することができる。このようなものとしては、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
(A)液状エポキシ樹脂においては、必要に応じて、1分子に1個のエポキシ基を有する液状の化合物を使用することができる。例えば、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、パラ−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、パラキシリルグリシジルエーテル、グリシジルアセテート、グリシジルブチレート、グリシジルヘキソエート、グリシジルベンゾエート等が挙げられる。
(A)液状エポキシ樹脂は、液状脂環式エポキシ樹脂を20〜60質量%含有することが好ましい。液状脂環式エポキシ樹脂を20〜60質量%含有することにより絶縁信頼性が向上する。この場合、他のエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル等の液状ビスフェノール型エポキシ樹脂を併用することが好ましい。液状脂環式エポキシ樹脂とともに液状ビスフェノール型エポキシ樹脂を併用することにより、エポキシ樹脂組成物の含浸性が向上する。
(A)液状エポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂組成物中、6〜40質量%が好ましい。(A)液状エポキシ樹脂の含有量が6質量%以上になると、粘度が低下して作業性が良好になる。(A)液状エポキシ樹脂の含有量は、10質量%以上がより好ましい。また、(A)液状エポキシ樹脂の含有量が40質量%以下になると、エポキシ樹脂組成物の絶縁信頼性がさらに良好になる。(A)液状エポキシ樹脂の含有量は、30質量%以下がより好ましい。
(B)酸無水物としては、分子中に酸無水物基を有するものを使用することができ、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として使用されているものを使用することができる。(B)酸無水物としては、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(ME−HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(ME−THPA)、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)等が挙げられる。
(B)酸無水物の含有量は、エポキシ樹脂組成物中、6〜40質量%が好ましい。(B)酸無水物の含有量が6質量%以上になると、エポキシ樹脂組成物の硬化性が良好になる。(B)酸無水物の含有量は、10質量%以上がより好ましい。また、(B)酸無水物の含有量が40質量%以下になると、エポキシ樹脂組成物の耐熱性が良好になる。(B)酸無水物の含有量は、30質量%以下がより好ましい。
(A)液状エポキシ樹脂が有するエポキシ基数(a)と(B)酸無水物が有する酸無水物基(b)との比((a)/(b))は、0.5〜1.5が好ましい。上記比が0.5以上になると、エポキシ樹脂組成物の硬化性が良好になる。上記比は、0.8以上がより好ましい。また、上記比が1.5以下になると、エポキシ樹脂組成物の耐熱性が良好になる。上記比は、1.2以下がより好ましい。
(C)硬化促進剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化に使用されている硬化促進剤を使用することができる。(C)硬化促進剤としては、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)、第4級アンモニウム塩等を使用することができる。4級アンモニウム塩としては、市販品を使用することができ、このようなものとしてM2−100(日本油脂製、商品名)等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
(C)硬化促進剤の含有量は、(B)酸無水物100質量部に対して、0.3〜5質量部が好ましい。(C)硬化促進剤の含有量が0.3質量部以上になると、エポキシ樹脂組成物の硬化性がより良好になる。(C)硬化促進剤の含有量は、0.4質量部以上がより好ましい。また、(C)硬化促進剤の含有量が5質量部以下になると、エポキシ樹脂組成物のポットライフが長くなる。(C)硬化促進剤の含有量は、3質量部以下がより好ましい。
(D)第1のシリカは、0.5〜20μmの平均粒径を有する。(D)第1のシリカとしては、平均粒径が異なる2種以上のシリカが使用されてもよい。このように平均粒径が異なる2種以上のシリカが使用される場合、各シリカが0.5〜20μmの平均粒径を有する。(D)第1のシリカの平均粒径は、0.7〜20μmが好ましく、0.9〜20μmがより好ましく、1.0〜20μmがさらに好ましい。
なお、本明細書における平均粒径は、JIS Z8825−1に準拠した方法でレーザー法粒子測定器によって求められる体積加積曲線上の50質量%値で示される粒径(体積平均粒子径d50)である。
(D)第1のシリカとしては、破砕溶融シリカ、球状溶融シリカ、結晶シリカ等を使用することができる。これらは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
(D)第1のシリカとしては、市販品を使用することができる。破砕溶融シリカとしては、RD−8(龍森社製、商品名、平均粒径:18μm)、WX(龍森社製、商品名、平均粒径:1μm)等が挙げられる。球状溶融シリカとしては、FB−5D(デンカ社製、商品名、平均粒径:6μm)、FB−950(旭電化社製、商品名、平均粒径:18μm)、MSR−15(龍森社製、商品名、平均粒径:15μm)、MSR(龍森社製、商品名、平均粒径:25μm)等が挙げられる。結晶シリカとしては、A−A(龍森社製、商品名、平均粒径:6μm)等が挙げられる。
(D)第1のシリカの含有量は、(A)液状エポキシ樹脂100質量部に対して、100〜500質量部が好ましい。(D)第1のシリカの含有量が100質量部以上になると、エポキシ樹脂組成物の絶縁信頼性がより良好になる。(D)第1のシリカの含有量は、200質量部以上がより好ましく、300質量部以上がさらに好ましい。また、(D)第1のシリカの含有量が500質量部以下になると、エポキシ樹脂組成物の含浸性がより良好になる。
(D)第1のシリカは、破砕溶融シリカを20〜70質量%含有することが好ましい。破砕溶融シリカを20〜70質量%含有する場合、エポキシ樹脂組成物の絶縁信頼性がより良好になる。破砕溶融シリカの含有量は、30質量%以上がより好ましい。また、破砕溶融シリカの含有量は、60質量%以下がより好ましい。
破砕溶融シリカは、平均粒径が異なる2種以上の破砕溶融シリカからなることが好ましい。このようなものとしては、例えば、平均粒径が0.5〜5μm(但し、5μmを除く)の第1の破砕溶融シリカと、平均粒径が5〜20μmの第2の破砕溶融シリカとからなるものが挙げられる。このように破砕溶融シリカが第1の破砕溶融シリカと第2の破砕溶融シリカとからなることにより、エポキシ樹脂組成物の含浸性および絶縁信頼性がより良好になる。第1の破砕溶融シリカは、0.5〜3μmの平均粒径を有することが好ましい。第2の破砕溶融シリカは、10〜20μmの平均粒径を有することが好ましい。
第1の破砕溶融シリカの含有量は、破砕溶融シリカの全体中、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、第1の破砕溶融シリカの含有量は、破砕溶融シリカの全体中、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
(E)第2のシリカは、ゾルゲル法により製造されたものであり、5〜60nmの平均粒径を有する。(D)第1のシリカとともに(E)第2のシリカを使用することにより、エポキシ樹脂組成物の含浸性および絶縁信頼性が良好になる。
(E)第2のシリカの含有量は、(D)第1のシリカ100質量部に対して、0.5〜10質量部である。(E)第2のシリカの含有量が0.5質量部以上になると、エポキシ樹脂組成物の絶縁信頼性が良好になる。(E)第2のシリカの含有量は、1質量部以上が好ましい。また、(E)第2のシリカの含有量が10質量部以下になると、エポキシ樹脂組成物の含浸性が良好になる。(E)第2のシリカの含有量は、9質量部以下が好ましい。
(E)第2のシリカとしては、市販品を使用することができる。このようなものとしては、アドマナノYA010C−SV1(アドマテックス社製、商品名、ゾルゲル法により製造されたもの、平均粒径:10nm)、アドマナノYA050C−SV6(アドマテックス社製、商品名、ゾルゲル法により製造されたもの、平均粒径:50nm)等が挙げられる。
(E)第2のシリカとしては、予めエポキシ樹脂中に分散されたものを使用することが好ましい。このようなものを使用することにより、エポキシ樹脂組成物に対する分散性がより良好になる。このようなエポキシ樹脂中に(E)第2のシリカが分散されたものとしては、市販品を使用することができる。このようなものとしては、NANOPOX E500(Nanoresins社製、商品名、ビスフェノールF型エポキシ樹脂中にゾルゲル法により製造された平均粒径50nmのシリカが40質量%含有されたもの)、NANOPOX E400(Nanoresins社製、商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂中にゾルゲル法により製造された平均粒径50nmのシリカが40質量%含有されたもの)が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物は、カップリング剤を含有することが好ましい。カップリング剤を含有することにより、(D)第1のシリカおよび(E)第2のシリカの表面改質が行われて、さらにエポキシ樹脂組成物の絶縁信頼性が良好になる。
カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる、耐湿性等の向上に優れることから、シランカップリング剤が好ましく、特にエポキシシランカップリング剤が好ましい。
エポキシシランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルトリエトキシシラン(日本ユニカー社製、商品名:A−1871)、γ−グリシドキシプロピルメチルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製、商品名:A−187)、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製、商品名:A−186)等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
カップリング剤を使用する場合、その含有量は、エポキシ樹脂組成物中、0.01〜3質量%が好ましい。カップリング剤の含有量が0.01〜3質量%である場合、(D)第1のシリカおよび(E)第2のシリカの改質が効果的に行われる。カップリング剤の含有量は、エポキシ樹脂組成物中、0.01〜1質量%がより好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、上記成分に加えて、必要に応じて、かつ本発明の趣旨に反しない限度において、この種のエポキシ樹脂組成物に一般に含有される成分を含有することができる。このような成分としては、アルミナ、マグネシア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、クレー、ベンガラ、ガラス繊維、炭素繊維等の無機充填材、消泡剤、顔料、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、有機リン系化合物等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必須成分、すなわち、(A)液状エポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)硬化促進剤、(D)第1のシリカ、および(E)第2のシリカ、ならびに必要に応じて含有される任意成分を混合することにより製造することができる。
ここで、本発明のエポキシ樹脂組成物は、主剤と硬化剤とからなる2液性のエポキシ樹脂組成物とすることができる。2液性のエポキシ樹脂組成物とした場合、主剤と硬化剤とを混合して使用する。
2液性のエポキシ樹脂組成物としては、例えば、(A)液状エポキシ樹脂、(D)第1のシリカ、および(E)第2のシリカを含有する主剤と、(B)酸無水物および(C)硬化促進剤を含有する硬化剤と、からなるものが挙げられる。
また、2液性のエポキシ樹脂組成物としては、例えば、(A)液状エポキシ樹脂を含有する主剤と、(B)酸無水物、(C)硬化促進剤、(D)第1のシリカ、および(E)第2のシリカを含有する硬化剤と、からなるものが挙げられる。
なお、(D)第1のシリカは、主剤および硬化剤の双方に分割して含有されてもよい。このように(D)第1のシリカが主剤および硬化剤の双方に分割して含有される場合、主剤と硬化剤とが混合されたときに、(A)液状エポキシ樹脂に対して(D)第1のシリカの含有量が所定の割合になればよい。
(E)第2のシリカについても、主剤および硬化剤の双方に分割して含有されてもよい。このように(E)第2のシリカが主剤および硬化剤の双方に分割して含有される場合についても、主剤と硬化剤とが混合されたときに、(D)第1のシリカに対して(E)第2のシリカの含有量が所定の割合になればよい。
また、(E)第2のシリカは、(D)第1のシリカと同じ液側に含有されてもよいし、異なる液側に含有されてもよい。例えば、主剤に(D)第1のシリカが含有される場合、硬化剤に(E)第2のシリカが含有されてもよい。また、例えば、硬化剤に(D)第1のシリカが含有される場合、主剤に(E)第2のシリカが含有されてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、被覆銅線が巻き回されたコイルに含浸および硬化させてモールドコイルの製造に好適に使用される。含浸方法としては、注形による方法が好適なものとして挙げられる。硬化方法としては、加熱による方法が好適なものとして挙げられる。
モールドコイルとしては、特に制限されないが、高圧トランス等のトランス類が挙げられる。具体的には、自動車用点火コイルであるイグニッションコイルが挙げられる。イグニッションコイルは、磁気コアに1次コイルおよび2次コイルが設けられたコイル本体にエポキシ樹脂組成物が含浸および硬化されたものである。
イグニッションコイルの製造に本発明のエポキシ樹脂組成物を使用することにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の特性が発揮されて、絶縁信頼性の高いイグニッションコイルが容易に得られる。通常、イグニッションコイルにおけるエポキシ樹脂組成物の占有体積は30体積%以下が好ましい。
イグニッションコイルとしては、例えば、エポキシ樹脂組成物が含浸および硬化されたコイル本体が円筒状のプラスチックケースに収容されたペンタイプのイグニッションコイルが挙げられる。このようなペンタイプのイグニッションコイルに使用されるコイル本体としては、例えば、磁気コアに直径50μm以下の被覆導線が巻かれたものが挙げられる。また、プラスチックケースとしては、例えば、直径2.0cm以下のものが挙げられる。
また、イグニッションコイルとしては、例えば、エポキシ樹脂組成物が含浸および硬化されたコイル本体が箱形のプラスチックケースに収容された矩形タイプのイグニッションコイルが挙げられる。このような矩形タイプのイグニッションコイルに使用されるコイル本体としては、例えば、磁気コアに直径30μm以下の被覆導線が巻かれたものが挙げられる。また、プラスチックケースとしては、例えば、4.0cm角程度のものが挙げられる。
以下、実施例を参照して本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
以下に示すようにして、主剤および硬化剤からなる2液性のエポキシ樹脂組成物を製造した。
主剤は、液状エポキシ樹脂としてのビスフェノールF型エポキシ樹脂(長春人造樹脂廠製、商品名:BEF−170)75質量部および脂環式エポキシ樹脂(ダウケミカル社製、商品名:セロキサイド2021P)25質量部、平均粒径0.5〜20μmのシリカとしてのシリカ1(龍森社製、商品名:RD−8、平均粒径14μm、破砕溶融シリカ)165質量部およびシリカ2(龍森社製、商品名:WX、平均粒径1μm、破砕溶融シリカ)18質量部、ゾルゲル法により製造された平均粒径5〜60nmのシリカとしてシリカ4(アドマテックス社製、商品名:アドマナノYA010C−SV−1、平均粒径10nm)10質量部、消泡剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、商品名:TSA720)0.2質量部、エポキシシランカップリング剤(日本ユニカー社製、商品名:A187)2質量部、着色剤(日本化薬社製、商品名:カヤセットブラック)1.2質量部、湿潤分散剤(ビックケミー社製、商品名:BYK410)1.0質量部を混合して製造した。
硬化剤は、酸無水物としてのメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(日立化成社製、商品名:HN7000、液状)100質量部、平均粒径0.5〜20μmのシリカとしてのシリカ9(デンカ社製、商品名:FB−5D、球状溶融シリカ、平均粒径6μm)220質量部およびシリカ10(龍森社製、商品名:WX、破砕溶融シリカ、平均粒径1μm)24.5質量部、消泡剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、商品名:TSA720)0.2質量部、硬化促進剤(サンアプロ社製、商品名:U−CAT2313、アミン)0.6質量部を混合して製造した。
このようにして製造された2液性のエポキシ樹脂組成物の主剤と硬化剤とを混合して評価用のエポキシ樹脂組成物を製造した。なお、本実施例における主剤と硬化剤との混合割合は、質量での割合で、主剤:硬化剤=100:120である。
(実施例2〜8、比較例1〜3)
表1に示すように組成を変更したこと以外は実施例1と同様にして評価用のエポキシ樹脂組成物を得た。
なお、実施例2〜8および比較例1〜3の評価用のエポキシ樹脂組成物の製造に使用した上記以外の成分の詳細を以下に示す。
・シリカ3(デンカ社製、商品名:FB−5D、球状溶融シリカ、平均粒径6μm)
・シリカ5(アドマテックス社製、商品名:アドマナノYA050C−SV−6、ゾルゲル法により製造されたもの、平均粒径50nm)
・シリカ6(Nanoresins社製、商品名:NANOPOX E 500、ゾルゲル法により製造された平均粒径50nmのシリカがビスフェノールF型エポキシ樹脂中に40質量%含有された分散液)
・シリカ7(Nanoresins社製、商品名:NANOPOX E 400、ゾルゲル法により製造された平均粒径50nmのシリカがビスフェノールA型エポキシ樹脂中に40質量%含有された分散液)
・シリカ8(エボニックデグザ社製、商品名:RY50、フュームドシリカ、平均粒径40nm)
次に、実施例および比較例の評価用のエポキシ樹脂組成物について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(含浸性)
テストコイル(巻線径:40μm、巻数:22000)に評価用のエポキシ樹脂組成物を真空注入により含浸し、硬化させた。その後、この評価用のエポキシ樹脂組成物が含浸および硬化されたテストコイルを切断し、その断面を観察して、エポキシ樹脂組成物が含浸された含浸部分の面積と、エポキシ樹脂組成物が含浸されていない未含浸部分の面積とを求めた。そして、下記式により含浸率を求めた。
含浸率=(含浸部分の面積/(含浸部分の面積+未含浸部分の面積))
×100[%]
(ボイド)
上記テストコイルの断面を目視により観察してボイドの有無を評価した。
表中、ボイドが見られないものを「無」で示し、ボイドが見られたものを「有」で示した。
(曲げ強さ、曲げ弾性率)
評価用のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させた硬化物について、JIS C 2105に準じて、温度25℃における曲げ強さおよび曲げ弾性率を測定した。
(破壊靭性)
評価用のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させた硬化物について、SENB法に準じて、温度25℃における破壊靭性値を測定した。
(耐クラック性1)
金属シャーレ(直径60mm、高さ10mm)の中心に炭素鋼(S45C)からなる柱(10mm×10mm×30mm)を立てて、高さが10mmになるように評価用のエポキシ樹脂組成物を注形して硬化させた。その後、−30℃で1時間保持した後、140℃で1時間保持する工程を1サイクルとする冷熱サイクルを行い、評価用のエポキシ樹脂組成物からなる部分にクラックが発生するまでのサイクル数を測定した。
(耐クラック性2)
テストコイルとして、ボビン(SABIC社製、商品名:IGN5531、直径:11mm、材質:PPE)にコイル(直径:40μm、巻数:22000、材質:エナメル線)が設けられたコイル本体がケース(DIC社製、商品名:FZ2140、縦40mm、横30mm、深さ30mm、厚さ1mm、材質:PPS)に収容されたものを用意した。このテストコイルに評価用のエポキシ樹脂組成物を真空注入により含浸させて硬化させた。その後、−30℃で1時間保持した後、140℃で1時間保持する工程を1サイクルとする冷熱サイクルを行い、評価用のエポキシ樹脂組成物からなる部分にクラックが発生するまでのサイクル数を測定した。
Figure 0006475597
表1から明らかなように、実施例1〜8の評価用のエポキシ樹脂組成物は、含浸性に優れている。また、曲げ強さ、曲げ弾性率、破壊靭性値が高く、耐クラック性に優れている。従って、実施例1〜8の評価用のエポキシ樹脂組成物によれば、絶縁信頼性に優れるモールドコイルを容易に製造することができる。

Claims (8)

  1. (A)液状エポキシ樹脂、(B)酸無水物、(C)硬化促進剤、(D)平均粒径0.5〜20μmの第1のシリカ、および(E)ゾルゲル法により製造された平均粒径5〜60nmの第2のシリカを必須成分とし、
    前記(A)液状エポキシ樹脂100質量部に対して前記(D)第1のシリカが100〜500質量部、前記(D)第1のシリカ100質量部に対して前記(E)第2のシリカが0.5〜10質量部であることを特徴とするコイル含浸用エポキシ樹脂組成物。
  2. さらに、カップリング剤を含有することを特徴とする請求項1記載のコイル含浸用エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記(E)第2のシリカとして予めエポキシ樹脂中に分散されたものを使用することを特徴とする請求項1または2記載のコイル含浸用エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記(D)第1のシリカは破砕溶融シリカを20〜70質量%含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のコイル含浸用エポキシ樹脂組成物。
  5. 前記(A)液状エポキシ樹脂、前記(D)第1のシリカ、および前記(E)第2のシリカを含有する主剤と、
    前記(B)酸無水物および前記(C)硬化促進剤を含有する硬化剤と、
    からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のコイル含浸用エポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項記載のコイル含浸用エポキシ樹脂組成物を使用したことを特徴とするモールドコイル。
  7. イグニッションコイルであることを特徴とする請求項6記載のモールドコイル。
  8. 請求項1乃至5のいずれか1項記載のコイル含浸用エポキシ樹脂組成物をコイルに含浸させる工程と、
    前記コイルに含浸された前記コイル含浸用エポキシ樹脂組成物を加熱硬化させる工程と、
    を有することを特徴とするモールドコイルの製造方法。
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