JP6357089B2 - 2液型注形用エポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物の製造方法、及びコイル部品 - Google Patents

2液型注形用エポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物の製造方法、及びコイル部品 Download PDF

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Description

本発明は、2液型注形用エポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物の製造方法、及び該エポキシ樹脂組成物を注形し、硬化させてなるコイル部品に関する。
電気機器部品は、構成部品の保護、絶縁等を目的として、多くは注形用樹脂組成物で注形封止されている。コイル装置の含浸注形には、絶縁性、機械特性、耐クラック性、長期信頼性に優れたエポキシ樹脂組成物が多く用いられている。近年、多機能化によりコイル装置には、より高い信頼性が要求されるようになり、注形用樹脂組成物には、コイル製造時の作業性がよく、硬化後の長期信頼性の優れた樹脂組成物が求められている。
このようなエポキシ樹脂組成物において、絶縁信頼性を付与する手法としては、樹脂の不純物を低減することや、特定の機能性樹脂粉末を添加することなどが提案されている(例えば、特許文献1乃至2参照)。また、分散剤の添加により作業性や注形性を改良することも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2005−187609号公報 特開2006−169312号公報 特開2004−359793号公報
しかしながら、上記の手法では、硬化物の機械強度の低下を防ぐには不十分であった。また、長期信頼性試験後の耐クラック性が十分なものではなく、特に、高絶縁信頼性に対する要求が高い大型コイル装置の耐クラック性を向上させることは困難であった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、機械強度に優れ、初期だけでなく長期信頼性試験後の耐クラック性に優れた硬化物の形成材料となり、且つ、コイル製造時の作業性に優れた2液型注形用エポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物の製造方法、及び該エポキシ樹脂組成物を注形し、硬化させてなるコイル部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、エポキシ樹脂組成物中に、平均粒径5〜30μmのシリカ粒子と共に、平均粒径5〜40nmの微粉末シリカを含有させることにより、硬化物の機械強度、及び初期だけでなく長期信頼性試験後の耐クラック性を優れたものとすることができることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供する。
[1](A)エポキシ樹脂、(B)平均粒径5〜30μmのシリカ粒子、及び(C)平均粒径5〜40nmの微粉末シリカを含有する主剤と、(D)酸無水物、及び(E)硬化促進剤を含有する硬化剤とを含む、2液型注形用エポキシ樹脂組成物。
[2]前記微粉末シリカが、親水性のフュームドシリカである、上記[1]に記載の2液型注形用エポキシ樹脂組成物。
[3]上記[1]又は[2]に記載の2液型注形用エポキシ樹脂組成物をコイルに注形し、硬化させてなる、コイル部品。
[4](B)平均粒径5〜30μmのシリカ粒子の表面に、(C)平均粒径5〜40nmの微粉末シリカを被覆させ被覆体としたのち、該被覆体を(A)エポキシ樹脂に混合して主剤を製造する工程(1)と、(D)酸無水物と、(E)硬化促進剤とを混合して硬化剤を製造する工程(2)とを有する、2液型注形用エポキシ樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、機械強度に優れ、初期だけでなく長期信頼性試験後の耐クラック性に優れた硬化物の形成材料となり、且つ、コイル製造時の作業性に優れた2液型注形用エポキシ樹脂組成物、該エポキシ樹脂組成物の製造方法、及び該エポキシ樹脂組成物を注形し、硬化させてなるコイル部品を提供することができる。
本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)平均粒径5〜30μmのシリカ粒子、及び(C)平均粒径5〜40nmの微粉末シリカを含有する主剤と、(D)酸無水物、及び(E)硬化促進剤を含有する硬化剤とからなる。
まず、本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)の主剤について述べる。
本発明で用いる(A)成分のエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば、分子構造、分子量などは特に制限されるものではなく、一般に用いられているものを用いることができ、例えば、ビスフェノール型、ノボラック型、ビフェニル型等の芳香族系エポキシ樹脂、ポリカルボン酸のグリシジルエーテル型、シクロヘキサン誘導体等のエポキシ化によって得られる脂環族系エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
また、これらの他に、樹脂組成物の粘度を調製するために必要に応じて液状のモノエポキシ樹脂等を併用成分として使用することができ、さらに、難燃性を付与しようとする場合には、ハロゲン化合物やリン化合物などで変性したエポキシ樹脂を使用することもできる。
樹脂組成物中の(A)成分の配合量は、良好な硬化性や硬化物特性が得られるという観点から、好ましくは10〜35質量%、より好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは15〜25質量%である。
本発明で用いる(B)成分のシリカ粒子は、平均粒径が5〜30μm、好ましくは5〜25μm、より好ましくは10〜25μm、更に好ましくは10〜20μmである。5μm未満では、高粘度となるおそれがある。30μm超過では、シリカ粒子が沈降し易くなり、硬化物の機械強度の低下を招くおそれがある。
なお、上記平均粒径は、レーザ回折式粒子径分布測定装置(たとえば、堀場製作所製、装置名:LA-920)を用いて、レーザ回折法による50%平均粒径(D50)を算出することにより、求めることができる。
上記シリカ粒子としては、溶融破砕シリカ、結晶破砕シリカ、及び球状シリカなどが挙げられるが、硬化物の機械強度、信頼性の観点から、溶融破砕シリカが好ましい。
溶融破砕シリカの市販品としては、例えば、(株)龍森製のヒューズレックスRD−8(商品名)等が挙げられる。
また、上記シリカ粒子は、樹脂組成物中に後述のカップリング剤を添加することで、その表面が改質され、硬化物の機械強度、絶縁信頼性等を更に向上させることができ、好ましい。
樹脂組成物中の(B)成分のシリカ粒子の配合量は、好ましくは40〜85質量%、より好ましくは45〜80質量%、より好ましくは50〜75質量%、更に好ましくは50〜60質量%である。配合量を40質量%以上とすることで、硬化物の機械強度を優れたものとし、85質量%以下とすることで、粘度上昇を抑え、作業性の低下を防ぐことができる。
本発明で用いる(C)成分の微粉末シリカは、樹脂組成物中に、上記(B)成分のシリカ粒子と共に含有させることで、上記シリカ粒子の表面が上記微粉末シリカで被覆された被覆体を形成する。これにより、硬化物の機械強度、及び耐クラック性を向上させることができる。
上記微粉末シリカは、平均粒径が5〜40nm、好ましくは5〜20nmである。5nm未満では上記シリカ粒子の表面を十分に被覆することができないおそれがある。40nm超過では、硬化物の耐クラック性向上が不十分になるおそれがある。
なお、上記平均粒径は、(B)成分のシリカ粒子の平均粒径の測定と同様の方法により求めた値である。
また、上記微粉末シリカは、BET法による比表面積が、好ましくは60〜500m/g、より好ましくは100〜400m/g、更に好ましくは150〜350m/gである。上記範囲内とすることで、シリカ粒子表面に対する被覆率を高めることができる。
上記微粉末シリカとしては、親水性のフュームドシリカ、疎水性のフュームドシリカが挙げられ、コイル含浸性の観点から、親水性のフュームドシリカが好ましい。
親水性のフュームドシリカは、例えば、四塩化ケイ素の火炎加水分解法により得ることができる。中でも、表面に親水性のシラノール基(Si−OH)を有し、比表面積が60〜450m/gのものが好ましい。また、疎水性のフュームドシリカは、上記親水性のフュームドシリカを、シラン、シロキサン等で化学的に処理し、疎水化することによって得ることができる。中でも、比表面積が60〜200m/gのものが好ましい。
親水性のフュームドシリカの市販品としては、例えば、アエロジル#200、#300、#380(以上、日本アエロジル(株)製、商品名)等が挙げられ、疎水性のフュームドシリカの市販品としては、例えば、RX200、RY200、R805(以上、日本アエロジル(株)製、商品名)等が挙げられる。
(C)成分の微粉末シリカの配合量は、(A)成分のエポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5〜6質量部、より好ましくは1〜5質量部、更に好ましくは2〜4質量部である。0.5質量部以上とすることで、硬化物及びコイルの耐クラック性を向上させることができ、6質量部以下とすることで、樹脂組成物中のシリカ((B)成分及び(C)成分)を沈降し難くし、硬化物の機械強度を向上させることができる。
上記(B)成分のシリカ粒子と、上記(C)成分の微粉末シリカとの質量比((B)/(C))は、好ましくは40/1〜300/1、より好ましくは45/1〜200/1、更に好ましくは50/1〜150/1である。質量比((B)/(C))を40/1以上とすることで樹脂組成物中のシリカ((B)成分及び(C)成分)を沈降し難くし、300/1以下とすることにより、硬化物の耐クラック性を向上させることができる。
次に、本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物における硬化剤について述べる。
本発明で用いる(D)成分の酸無水物は、通常、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる分子中に酸無水物基を有するものであれば特に制限なく用いることができ、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、無水メチルハイミック酸等が挙げられる。
これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(D)成分の酸無水物の配合量は、上記(A)成分のエポキシ樹脂の量に応じて適宜調製するが、上記(A)成分のエポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは60〜150質量部、より好ましくは80〜120質量部の割合で配合する。
本発明で用いる(E)成分の硬化促進剤は、(A)成分のエポキシ樹脂同士、又は(A)成分のエポキシ樹脂と(D)成分の酸無水物との反応を促進する作用を有するものであれば特に制限されるものではなく、硬化促進剤として一般に用いられているものを用いることができる。例えば、2−エチル−4−エチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−エチルイミダゾール等のイミダゾール類、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)及びそのオクチル塩等の3級アミン類、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、4級アンモニウム塩等が挙げられ、これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
(E)成分の硬化促進剤の配合量は、(D)成分の酸無水物100質量部に対して、好ましくは0.3〜5質量部、より好ましくは0.3〜2質量部、更に好ましくは0.5〜1.5質量部である。配合量を0.3質量部以上とすることで、硬化時間が長くなるのを抑え、硬化特性を十分に向上させることができ、5質量部以下とすることで、反応速度が速くなり過ぎず、ポットライフを長くすることができる。
本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物には、以上の各成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、この種の組成物に一般に配合されるアルミナ、マグネシア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、クレー、ベンガラ、ガラス繊維、炭素繊維等の無機充填剤、カップリング剤、消泡剤、顔料その他添加剤及び水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン等などの難燃剤等を必要に応じて配合することができる。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等を用いることができ、耐湿性等の特性向上に優れていることから、シランカップリング剤を用いることが好ましく、特に、アミノシラン系カップリング剤を用いることが好ましい。
上記アミノシラン系カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上併用してもよい。
カップリング剤を使用する場合の配合量は、樹脂組成物中に0.1〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。上記範囲内であれば、上記シリカ粒子の表面改質を十分に行うことができる。
本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物中に含まれる上記(A)成分〜(E)成分の合計含有量は、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%である。
本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物の粘度は、B型粘度計を用いて測定することができ、25℃、回転速度12rpmの条件で測定した値は、好ましくは12Pa・s以下、より好ましくは5〜12Pa・s、更に好ましくは5〜10Pa・sである。
また、本発明によれば、上記樹脂組成物中のシリカ((B)成分及び(C)成分)の沈降性は、好ましくは4%以下、より好ましくは、0〜1%とすることができる。
本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物は、このような特性を有するため、コイル作製時の作業性に優れたものである。
また、本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物の機械強度(曲げ強さ)は、好ましくは145MPa以上、より好ましくは148MPa以上とすることができる。
本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物の製造方法は、(B)平均粒径5〜30μmのシリカ粒子の表面に、(C)平均粒径5〜40nmの微粉末シリカを被覆させ被覆体としたのち、該被覆体を(A)エポキシ樹脂に混合して主剤を製造する工程(1)と、(D)酸無水物と、(E)硬化促進剤とを混合して硬化剤を製造する工程(2)とを有する。
〔工程(1)〕
本工程では、まず、(B)平均粒径5〜30μmのシリカ粒子の表面に、(C)平均粒径5〜40nmの微粉末シリカを被覆させ被覆体とする。該被覆体とする方法は、特に限定されず、例えば、公知のゾルゲル法、粉体/粉体混合法等により行うことができる。このように被覆体とすることにより、得られる硬化物の耐クラック性、及び機械強度を向上させることができる。
なお、上記微粉末シリカは、上記シリカ粒子の表面全体を被覆していてもよいし、シリカ粒子表面の一部を被覆していてもよい。
次に、(A)エポキシ樹脂に、上記被覆体を混合し、主剤を製造する。混合方法は、特に限定されず、例えば、ニーダー、ルーダー、ミキシングロール、プラネタリーミキサー、ディゾルバー等を用いて、従来よく知られた方法を採用することができる。
なお、上記主剤は、(A)成分のエポキシ樹脂と、(B)成分の平均粒径5〜30μmのシリカ粒子と、(C)成分の平均粒径5〜40nmの微粉末シリカとを、通常の混合方法により、均一に混合することにより製造してもよい。
〔工程(2)〕
本工程では、(D)酸無水物と、(E)硬化促進剤とを通常の混合方法により、均一に混合して硬化剤を製造する。
なお、工程(1)で得られた主剤と、工程(2)で得られた硬化剤とは、注形直前に両者を混合するのが好ましい。
また、(B)成分の平均粒径5〜30μmのシリカ粒子の一部と、(C)成分の平均粒径5〜40nmの微粉末シリカの一部とを、硬化剤に配合してもよく、その場合には、主剤と硬化剤とを混合した後の(B)成分の配合量及び(C)成分の配合量が、それぞれ上記で説明した(B)成分の配合量及び(C)成分の配合量となるように調製すればよい。
本発明のコイル部品は、上述した2液型注形用エポキシ樹脂組成物をコイルに注形し、硬化させてなるものである。このようなコイル部品としては、直径0.3〜1.0mmの被覆銅線を鉄心に巻いたコイルに上記樹脂組成物を注形し、硬化させてなるコイル部品等が挙げられる。
従来、コイル用の樹脂組成物としては、その含浸性から、十分な特性を有するものがなかった。また、該樹脂組成物を用いた硬化物は、クラックが発生してしまい、製品として使用することが難しかった。
これに対し、本発明のコイル部品は、上述した2液型注形用エポキシ樹脂組成物をコイルに注形し、硬化させてなるものなので、優れた耐クラック性、及び機械強度を有する。
本発明のコイル部品は、例えば、コイルを金型内に固定して金型内を真空状態とし、本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物を金型内に注形してコイル内に含浸させ、100〜300℃、好ましくは150〜200℃程度の温度で、0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間程度加熱硬化させることにより得ることができる。含浸率は80%以上であることが好ましい。
次に実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
<2液型注形用エポキシ樹脂組成物の製造>
(実施例1)
シリカ粒子〔(株)龍森製、商品名:ヒューズレックスRD−8、平均粒径15μm〕258質量部を500mlの攪拌機付きフラスコに入れ、更に微粉末シリカ〔日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル#200、平均粒径12nm〕2質量部を追加して30分攪拌し、表面に微粉末シリカを被覆させたシリカ粒子を作成した。
次いで、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂〔三菱化学(株)製、商品名:R140P、エポキシ当量190〕80質量部、可とう性エポキシ樹脂〔旭電化工業(株)製、商品名:EP4000、エポキシ当量320〕20質量部、消泡剤〔モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製、商品名:TSA720〕0.1質量部、シランカップリング剤〔モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製、商品名:A−187〕0.5質量部を配合した混合液に、前記表面に微粉末シリカを被覆させたシリカ粒子260質量部を加え、真空下、万能混合機を用いて1時間攪拌、混合することにより主剤を調製した。
一方、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸と4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸との混合物〔日立化成(株)製、商品名:HN2000〕100質量部、硬化促進剤〔花王(株)製、商品名:カオーライザーNo.20〕1質量部を配合して1時間、真空下、万能混合機を用いて混合することにより硬化剤を調製した。
次いで、上記主剤と上記硬化剤とを、万能混合機を用いて混合して2液型注形用エポキシ樹脂組成物を調製した。
(実施例2〜、及び比較例1〜
表3に示す成分の各質量部を配合することにより実施例1と同様に2液型注形用エポキシ樹脂組成物および比較用のエポキシ樹脂組成物を調製した。
(硬化物の製造)
実施例1〜、及び比較例1〜で得られたエポキシ樹脂組成物を100℃で3時間、次いで150℃で3時間加熱硬化させて、硬化物を得た。
(コイル装置の製造)
直径0.5mmの被覆銅線をポリカーボネート製のボビン(幅:10mm、直径5mm)に100回巻きつけたものをモデルコイルとし、該コイルに実施例1〜、及び比較例1〜で得られたエポキシ樹脂組成物を注形し、100℃で3時間、次いで130℃で3時間加熱硬化させ、コイル装置を得た。
以下に示す測定条件により、樹脂組成物の樹脂特性、並びに硬化物、及びコイル装置の特性を評価した。なお、結果を表3に示した。
<評価項目>
(1)主剤/硬化剤の混合液の粘度
主剤と硬化剤とを均一に混合した直後の混合液粘度を、B型粘度計を用いて、25℃、12rpmの条件で測定した。12Pa・s以下を合格とする。
(2)主剤/硬化剤の混合液中のシリカ((B)成分及び(C)成分)の沈降性
主剤と硬化剤とを均一に混合した後、混合液を硬化物作成用金型(10×10×100mm)に注形し、100℃で3時間、次いで130℃で3時間加熱硬化させて、硬化物を得た。該硬化物の上部10mm、下部10mmを切り取り、それぞれの硬化物比重を測定し、下記式により沈降性を求めた。4%以下を合格とする。
(下部比重−上部比重)/理論比重=沈降性(%)
(3)硬化物のガラス転移点
得られた硬化物について、TMA法により、昇温温度を15℃/minとして室温から185℃まで昇温させて、測定した。
(4)硬化物の曲げ強さ
得られた硬化物について、JIS C 2105に準じ、温度25℃において測定した。
(5)長期信頼性試験後の硬化物の耐クラック性
硬化物が直径40mm、高さ70mmの円柱状になるようにM16のボルトとナットを埋め込んだサンプルを5個ずつ作製し、冷熱サイクル試験を行った。表1に示した条件に従い、上限温度で20分放置し、次いで、下限温度で20分放置した後のサンプルを目視にて観測した。サンプルにクラックが観測されたサイクル数を該サンプルのクラック指数とし、5個のサンプルのクラック指数の平均値を求めた。なお、クラック指数が21以上を合格とする。
(6)長期信頼性試験後のコイル装置の耐クラック性
実施例1〜、及び比較例1〜で得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、上記コイル装置の製造に従い、それぞれコイル装置を5個作成した。表2に示した条件に従い、130℃で15分放置し、次いで、−40℃で15分放置した後のコイル装置を目視にて観測した。コイル装置にクラックが観測されたサイクル数を該コイル装置のクラック指数とし、コイル装置5個のクラック指数の平均値を求めた。なお、クラック指数が30以上を合格とする。
(結果のまとめ)
表3から、実施例1〜の成分(C)の微粉末シリカを含む主剤と、硬化剤との混合液の粘度は、6〜10Pa・sであり、粘度の上昇はみられず、また、該混合液中のシリカ((B)成分及び(C)成分)の沈降性は0.1〜3.6%と低く、作業性に優れることがわかった。また、実施例1〜では、硬化物の曲げ強さは148〜150MPaであり、成分(C)を含まない樹脂組成物を用いた比較例1〜3と比較して、値が高いことから、硬化物の機械強度が向上したといえる。更に、実施例1〜では、硬化物の耐クラック性(クラック指数)が22〜43.2であり、比較例1〜3と比較して値が高く、コイルの耐クラック性(クラック指数)が30〜65と高いことから、耐クラック性が向上したといえる。
本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物は、電気機器部品、例えば、コイル、ICチップ等の封止、被覆、絶縁材料として有用である。特に、高い信頼性を要求される大型コイル装置の絶縁材料として極めて有用である。

Claims (4)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)平均粒径5〜30μmのシリカ粒子、及び(C)親水性のフュームドシリカである、平均粒径5〜40nmの微粉末シリカを含有する主剤と、(D)酸無水物、及び(E)硬化促進剤を含有する硬化剤とを含む、2液型注形用エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記(B)成分のシリカ粒子と前記(C)成分の微粉末シリカとの質量比((B)/(C))が40/1〜300/1である、請求項1に記載の2液型注形用エポキシ樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の2液型注形用エポキシ樹脂組成物をコイルに注形し、硬化させてなる、コイル部品。
  4. (B)平均粒径5〜30μmのシリカ粒子の表面に、(C)親水性のフュームドシリカである、平均粒径5〜40nmの微粉末シリカを被覆させ被覆体としたのち、該被覆体を(A)エポキシ樹脂に混合して主剤を製造する工程(1)と、(D)酸無水物と、(E)硬化促進剤とを混合して硬化剤を製造する工程(2)とを有する、2液型注形用エポキシ樹脂組成物の製造方法。
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