JP6045882B2 - 2液型注形用エポキシ樹脂組成物および電子部品 - Google Patents
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Description
とりわけ、2液型の樹脂組成物において、主剤成分に充填材として配合されたアルミナは沈降し易いため、表面をカップリング剤により処理しなければならず、コストの高いものであった(特許文献4)。また、充填材が沈降してしまうと、樹脂中での充填材の分散性が劣るだけでなく、欠陥となる可能性があり、機械強度の低下が懸念される。
また、充填材として分散性に優れた比表面積の大きな超微粉シリカの配合量を規定した、成形性作業性に優れ、バリ特性が良好であり、成形後や半田処理時の反りが小さく、耐温度サイクル性、耐半田クラック性、高熱伝導性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物が提案されている(特許文献5)。
さらに、ポリアマイド化合物からなる沈降防止剤を含む注形用エポキシ樹脂組成物(特許文献6)および有機ベントナイトからなる沈降防止剤を含む注形用エポキシ樹脂組成物(特許文献7)が提案されている。
さらにまた、2種類以上の封止用液状樹脂組成物において、それぞれ(A)液状エポキシ樹脂、(B)硬化剤及び(C)無機充填剤を含有し、かつ(C)無機充填剤において全無機充填剤量の70重量%以上を占める主な無機充填剤の種類が、それぞれの該封止用液状樹脂組成物の間で異なる封止用液状樹脂組成物の製造方法が提案されている(特許文献8)。
しかしながら、上記の提案においても、充填材の分散性または沈降防止に関しては十分な効果が得られていない。
すなわち、本発明は、
(1)(A)エポキシ樹脂、(B)表面未処理アルミナ粒子、(C)シランカップリング剤、(D)シリカ微粒子および(E)pHが7〜14である硬化促進剤を配合した主剤成分と(F)酸無水物および(B)表面未処理アルミナ粒子を配合した硬化剤成分からなることを特徴とする2液型注形用エポキシ樹脂組成物、
(2)前記(B)硬化促進剤が1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7の有機酸塩又は、第4級アンモニウム塩である請求項1に記載の2液型注形用エポキシ樹脂組成物、
(3)前記主剤成分が前記(A)エポキシ樹脂100重量部に対して前記(D)シリカ微粒子を0.5〜3重量部含む請求項1又は2記載の2液型注形用エポキシ樹脂組成物および
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の2液型注形用エポキシ樹脂組成物を注型してなる電子部品
を提供する。
まず、本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物の主剤成分について述べる。
本発明に用いる成分(A)のエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば、分子量、分子構造等に制限されることなく一般的に用いられているものを用いることができ、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂のようなビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等の芳香族系エポキシ樹脂、ナフタレン型多官能型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、同グリシジルエステル型エポキシ樹脂、および、シクロヘキサンポリエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂のようなシクロヘキサン誘導体等のエポキシ化によって得られる脂環族系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の脂環族系エポキシ樹脂が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
また、この他に、必要に応じて液状のモノエポキシ樹脂を併用成分として使用することができ、さらに、難燃性を付与しようとする場合には、臭素系のエポキシ樹脂を使用することもできる。
モノエポキシ樹脂や臭素系のエポキシ樹脂を併用する場合、その配合量は2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂との合計量中20質量%以下、好ましくは10質量%以下である。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、三菱化学(株)の「品番:jER806」等が挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、日本化薬(株)の「品番:EOCN-1020-65」、新日鉄住金化学(株)の「品番:YDPNシリーズ、YDCNシリーズ」、DIC(株)の「商品名:エピクロンシリーズ」等が挙げられる。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、三菱化学(株)の「品番:YX4000シリーズ」等が挙げられる。
ナフタレン型多官能エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、DIC(株)の「エピクロンHPシリーズ」等を挙げることができる。
脂環型エポキシ樹脂の市販品としては、ダイセル化学工業(株)のシクロヘキサンポリエーテル型エポキシ樹脂「品番:EHPEシリーズ」等を挙げることができる。
この成分(B)の表面未処理アルミナ粒子は、前記成分(A)のエポキシ樹脂100質量部に対して、100〜300質量部、好ましくは200〜275質量部の範囲で配合される。配合量が100質量部未満では強度が低下する懸念があり、300質量部を超えると、粘度が上昇し、作業性が低下してしまう懸念がある。
具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、γ−メルカプトシラン、ビニルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤の配合量は、前記成分(A)のエポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜2質量部の範囲とすることが好ましい。0.1質量部未満では配合の効果が得られず、2質量部を越えると過剰となり、逆に樹脂組成物の誘電特性を低下させることになる。
本発明に用いる成分(D)のシリカ微粒子の市販品としては、アエロジル200、アエロジル380(日本アエロジル株式会社、商品名)等が挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
シリカ微粒子の成分(A)のエポキシ樹脂に対する配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対し0.3〜10質量部である。0.3質量部以上含まれる場合に、その他の必須成分と組み合わせることにより、曲げ強度向上の効果が十分に得られる。10質量部以下であれば、樹脂組成物中に均一に分散させることができる。配合量の好ましい範囲は0.5〜5質量部である。
これらは単独又は2種類以上を混合して使用することができる。
硬化促進剤の成分(A)のエポキシ樹脂に対する配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対し0.3〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。0.3質量部以上とすることにより、硬化が十分に進行し、所望の特性を有する硬化物が得られる。10質量部以下とすることにより、過剰量の使用を防止し、所望の特性を有する硬化物が得られる。
以上、成分(A)〜(E)を配合したものを、例えば、ダルトン社製万能混合機等を用いて均一に混合することにより、本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物の主剤成分を調製することができる。
硬化剤成分は成分(F)の酸無水物と前記主剤成分中においても配合される成分(B)の表面未処理アルミナ粒子との配合物である。
酸無水物としては、前記した成分(A)のエポキシ樹脂と反応してエポキシ樹脂を硬化させることが可能なものであれば、いかなるものでも使用することができ、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる分子中に酸無水物基を有するものであれば特に制限されずに用いることができる。具体的には、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(Me-HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらの酸無水物は単独又は2種以上を混合して使用することができる。
また、硬化剤成分においては混合した樹脂の粘度を低下させるという観点から粒子径の異なる表面未処理アルミナ粒子を用いることが好ましい。
主剤成分/硬化剤成分の配合比率は質量比で100/77〜100/90程度である。
最終的には、前記主剤成分と硬化剤成分を配合したエポキシ樹脂組成物中のエポキシ基/酸無水物基のモル比が1/0.9〜1/1になるように決められる。
モル比を上記範囲とすることにより、本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物の硬化物において、所望の特性が得られる。
以上、成分(F)と(B)を配合したものを、例えば、万能混合機等を用いて均一に混合することにより、本発明の2液型注形用エポキシ樹脂組成物の硬化剤成分を調製することができる。
<2液型注形用エポキシ樹脂組成物の製造>
(実施例1)
成分(A)として旭電化工業(株)製のエポキシ樹脂〔ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、品番EP4100E、エポキシ当量188〕100質量部、成分(B)として昭和電工(株)製の表面未処理アルミナ粒子〔品番AL−47H、平均粒径4μm〕250質量部、成分(C)として日本ユニカー(株)製のシランカップリング剤〔品番A−187〕0.5部、成分(D)としてエボニック(株)製のシリカ微粒子であるアエロジル200〔商品名〕1重量部、成分(E)のpHが7〜14である硬化促進剤(アルカリ性触媒)としてサンアプロ(株)製の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(以下、DBU)のオクチル酸塩〔U-CATSA102、pH 9.0〕1.0部、消泡剤〔モメンティブ社製のシリコーン系消泡剤、品番TSA720〕0.1部を配合して1時間、真空下、万能混合機を用いて混合することにより主剤成分を調製した。
一方、成分(F)として、新日本理化株式会社製のメチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30の混合物〔品番MH700〕100質量部、成分(B)として昭和電工(株)製の表面未処理アルミナ粒子〔品番AL−47H、平均粒径4μm〕100質量部及び太平洋ランダム(株)製の表面未処理アルミナ粒子〔品番LA1200、平均粒径12μm〕100質量部、添加剤としてロームアンドハース(株)製のコアシェルゴム〔品番EXL2314〕8質量部を配合して1時間、真空下、万能混合機を用いて混合することにより硬化剤成分を調製した。
次いで、上記主剤成分と硬化剤成分を、万能混合機を用いて混合して2液型注形用エポキシ樹脂組成物を調製した。
表1に示す成分の各質量部を配合することにより実施例1と同様に2液型注形用エポキシ樹脂組成物および比較用の樹脂組成物を調製した。
実施例1〜4及び比較例1〜7で得られた2液型注形用エポキシ樹脂組成物を100℃、3時間硬化させ、次いで150℃、15時間で加熱硬化させた硬化物の特性を評価し、その結果を樹脂組成物の樹脂特性とともに表1に示した。
*1:AL−47H*
AL−47Hに、表面処理剤として信越シリコーン社製KBM−403をエアースプレーにより塗布した試作品である。
*2:触媒のpH
1%水溶液を作製し、JIS Z8802のpH測定方法に準拠して測定を実施した。
*3:主剤成分ろ過性
2液型注形用エポキシ樹脂組成物を調製後、40メッシュ×100cm2の金網を用いて主剤成分の1000gが加圧なしで通過するのに要する時間を測定し、下記の基準で評価した。
○:金網を5分以内で通過する。
○△:5分超、10分未満で金網を通過する。
△:10分〜60分で金網を通過する。
×:60分を超へても一部が金網を通過せず。
*4:主剤成分粘度
B型粘度計でNo.4ローターを用いて60℃、12rpmで測定した。
15Pa・s以下を合格とする。
*5:主剤成分沈降性
60℃で3日間放置して沈降物の堆積高さ(mm)を観察した。
*6:主剤成分/硬化剤成分混合後のゲルタイム
両成分を100/77(質量比)で混合し、10gの混合液を試験管とガラス棒を用いて100℃でかきまぜて樹脂からガラス棒が抜けなくなるまでの時間(単位:秒)を測定した。
*7:曲げ強さ、曲げ弾性率
実施例1〜4及び比較例1〜7で得られた硬化物についてJIS C2105に準じ、温度25℃において測定した。単位はN/mm2である。
*8:絶縁信頼性
東京精電(株)製の絶縁破壊試験機を用いて硬化物の絶縁破壊電圧をJIS C2110により測定した。単位はkVである。
(1)U-CATSA102(DBU-オクチル酸塩)pH9.0(アルカリ性触媒)
(2)U-CATSA603(DBU-ギ酸塩)pH8.0(アルカリ性触媒)
(3)M2-100R(第4級アンモニウム塩)pH7.5(アルカリ性触媒)
(4)U-CATSA5003(第4級ホスホニウム塩)pH5.7(酸性触媒)
Claims (3)
- (A)エポキシ樹脂、(B)表面未処理アルミナ粒子、(C)シランカップリング剤、(D)シリカ微粒子および(E)1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7の有機酸塩又は、第4級アンモニウム塩を配合した主剤成分と(F)酸無水物および(B)表面未処理アルミナ粒子を配合した硬化剤成分からなることを特徴とする2液型注形用エポキシ樹脂組成物。
- 前記主剤成分が前記(A)エポキシ樹脂100重量部に対して前記(D)シリカ微粒子を0.5〜3重量部含む請求項1記載の2液型注形用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の2液型注形用エポキシ樹脂組成物を注型してなる電子部品。
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