JP6473299B2 - ポリエステル織物とその製造方法、並びに光沢加工シート - Google Patents

ポリエステル織物とその製造方法、並びに光沢加工シート Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステル織物とその製造方法、並びに光沢加工シートに関する。
従来、織物の表面光沢を高める方法として、織物の表面層を押圧加工する方法があり、いわゆるカレンダー加工として知られている。特に、ポリエステルのような熱可塑性の合成繊維においては、熱を併用して表面を平滑にするのが一般的である。
ポリエステル繊維からなる織物は、カレンダー加工をすることで、表面の光沢性が向上する。その反面、織物が熱プレスされることでその厚みが薄くなり、地厚感、ボリューム感、柔軟さが損なわれる。特に繻子織物ではその特徴である地厚感、ボリューム感、柔軟さの消失が著しい。
特許文献1には、加熱硬質ロールと軟質ロールの間に織物を挟み込んでカレンダー加工することが記載されている。
特許文献2には、ポリエステルなどの熱可塑性ポリマーからなり、数平均による単繊維直径が10〜200nmであるナノファイバーを用いた布帛において、該布帛の鏡面光沢度が少なくとも150%であり、且つ該鏡面光沢度の最大値と最小値の対比光沢度が5.0%以下であり(その請求項1)、該布帛が熱ロールカレンダー加工されていること(その請求項4)、が記載されている。
特許文献3には、単繊維径50〜1500nmの有機繊維を含み、かつ織物組織または編物組織を有する布帛に加圧加熱加工を施すこと(その請求項1)、前記有機繊維がポリエステルマルチフィラメントであること(その請求項2)、前記の加圧加熱加工がカレンダー加工であること(その請求項10)、が記載されている。
特開平01−321999号公報 特開2008−081853号公報 特開2009−155791号公報
しかしながら、特許文献1〜3記載の既知のカレンダー加工を施すと、織物の一方の面(表面層)は加熱金属ロールで強く押圧され平坦化されて高い鏡面光沢性を発現するが、もう一方の面(裏面層)もゴムロールによる強い押圧力を受けるために、薄くて平たくなることが避けられない。その結果、織物の厚みが薄くなり、地厚感、ボリューム感、柔軟さが損なわれる。特に繻子織物ではその特徴である地厚感、ボリューム感、柔軟さの消失が著しい。
上述の課題に鑑みて、本発明の目的とするところは、ポリエステル織物本来の地厚感、ボリューム感、柔軟な風合いを維持しながら高度な鏡面光沢性を有するポリエステル織物と、その製造方法を提供することである。
本発明者は鋭意研究し、繊維業とは異なる分野の製紙業で湿潤状態原紙の乾燥、成型、各種加工に用いられている加熱金属ロールとフェルトを介した「フェルト押圧乾燥機」に着目し、これを改良して繊維製品の押圧加工に活用することを初めて実行し本発明に至った。
本発明のポリエステル織物は、ポリエステル繊維からなる織物であって、所定の熱ロール加工が浮き糸に施されたことで光沢のある面が形成されており、前記光沢のある面における浮き糸の扁平率がその反対側の面における当該糸の扁平率よりも小さいことを特徴とする。
本発明によれば、前記織物としては本来の地厚感、ボリューム感、柔軟な風合いを維持しながら高度な鏡面光沢性を有する織物となる。
ここで、浮き糸とは、織糸(経糸または緯糸)が組織点から浮いている状態の糸を指しており、浮き糸の割合が大きい面には光沢が強く表れることとなる。
本発明は、前記光沢のある面において、前記浮き糸の露出面積が全露出面積の50%超であり、かつ、前記浮き糸の断面径の扁平率が70%未満であることを特徴とする。
本発明によれば、前記織物が、熱ロール加工前の鏡面光沢度を100%とすると、熱ロール加工後の鏡面光沢度が200%超となり、かつ、熱ロール加工前の厚みを100%とすると、熱ロール加工後の厚みが70%超となる。
本発明は、前記熱ロール加工において、前記浮き糸が加熱ロールに当接したことで前記光沢のある面となったものであり、その反対側の面が繊維ベルトに当接したことで前記光沢のある面よりも光沢のない面となったものであることを特徴とする。
本発明によれば、前記光沢のある面が平坦化して高い鏡面光沢性が付与されるとともに、前記光沢のない面は加熱及び押圧がマイルドになるため前記光沢のある面ほどは平坦化されないので、全体としては地厚感、ボリューム感があまり損なわれない。
本発明は、前記織物が朱子織または綾織のいずれかないしはそれらの誘導変化組織であることを特徴とする。
本発明によれば、前記織物の特徴である地厚感、ボリューム感、柔軟さが特に活かされる。
組織中の交錯点から、たての方向に前の経糸の交錯点まで移動するときに数える緯糸の本数は、飛び数と規定されている。飛び数が大きいほど、光沢効果が得られ易いことから、本願発明においては、飛び数2超であることが好ましい。
朱子織は繻子織とも表記され、経糸と緯糸の組織点が規則的に配列されずに一定の間隔をおき、更に綾線が出難く組織され、経糸または緯糸が少なくとも4点以上表面に浮いた織組織(JIS L 0206 番号1016における飛び数が4、同JIS 番号1003における浮きに相当)、長く表面に浮き出た糸は布の表面に光沢をもたらし易い。ベネシアン、ドスキン、イタリアン等が例示出来る。また、綾織とは別名斜文織ともいわれ、経糸、緯糸の交点が斜め方向に配列され、斜めの綾目畝が表れる織組織であり、葛城、ジンス、ウエストポイント、デニム、スレーキ、ギャバジン、サージ、ツイード、フラネルがある。
本発明では朱子織、繻子織、または綾織の基本織組織から誘導し、変化および混合させてつくった誘導変化組織を含み、斜子織の正則斜子、不規則斜子、畝織の経畝織、緯畝織、急斜文、緩斜文、山形斜文、杉織、飛び斜文、破れ斜文、曲がり斜文、飾り斜文、昼夜斜文、ダイヤモンド斜文、組斜文、不規則朱子、拡げ朱子、重ね朱子、昼夜朱子、蜂巣織、ハックアバック等が例示出来る。かような基本織物組織、および誘導変化組織の詳細な説明は、例えば、テキスタイル・エンジニアリング[2]「織物・ニットから仕上げ」(繊維工業構造改善事業協会、平成6年3月 3刷発行)に記載があり、前記織物を選択するときには、前記文献を参照することができる。
本発明は、前記織物には、難燃加工、遮熱加工、消臭加工、撥水加工、撥油加工、防汚加工、防黴加工、抗菌加工のいずれか1種ないしはいずれか2種以上が施されていることを特徴とする。
本発明によれば、多機能を有する前記織物となり、より付加価値が高められる。
本発明のポリエステル織物の製造方法は、ポリエステル繊維からなる織物に対して、所定の熱ロール加工を浮き糸に施すことで光沢のある面を形成し、その際、前記光沢のある面における浮き糸の扁平率をその反対側の面における当該糸の扁平率よりも小さくすることを特徴とする。
本発明によれば、前記織物としては本来の地厚感、ボリューム感、柔軟な風合いを維持しながら高度な鏡面光沢性を有する織物とすることができる。
本発明は、前記熱ロール加工において、加熱ロールとその外周に配された繊維ベルトからなる熱ロール加工機を用いて、前記浮き糸を加熱ロールに当接させて前記光沢のある面とし、その反対側の面を繊維ベルトに当接させて前記光沢のある面よりも光沢のない面とすることを特徴とする。
本発明によれば、光沢をつける面を平らにすることで高い鏡面光沢性を付与させるとともに、光沢をつけない面に対する加熱及び押圧をマイルドにするので前記光沢をつけない面は前記光沢をつける面ほど平坦化されず、全体としては地厚感、ボリューム感をあまり損なわせることがない。
本発明は、前記加熱ロールの主要部が金属製であり、前記繊維ベルトの主要部がフェルト製であることを特徴とする。
本発明によれば、前記光沢をつける面に対する加熱及び押圧をより高めることができるとともに、前記光沢をつけない面に対する加熱及び押圧をよりマイルドにすることができる。
ここで、前記加熱ロールの主要部が金属製であるとは、金属製の加熱ロール、金属製の加熱ロール表面にフッ素樹脂などの耐熱性樹脂で被覆したもの、その他主要部が金属製である加熱ロールを指す。前記金属は、熱伝導率が高い硬質金属が好ましく、より具体的には、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。
また、前記繊維ベルトの主要部がフェルト製であるとは、フェルト製の繊維ベルト、フェルト製の繊維ベルト表面にフッ素樹脂などの耐熱性樹脂で被覆したもの、その他主要部がフェルト製の繊維ベルトを指す。前記フェルトは、毛のからみあう性質を利用して、羊毛などの毛を縮絨させて固めて布状にしたもの、アラミド繊維を融着積層シート状にしたものが好適である。
本発明の光沢加工シートは、上述の本発明に係るポリエステル織物を、ソファー表装、カーシート表装、自動車内装、カバン、ハンドバック、帽子、衣料、カーテン、緞帳、テント、ブラインド、家屋の壁、家屋の天井、家屋の床、寝具、調度品、車両内装材のいずれか1種ないしはいずれか2種以上に適用したことを特徴とする。
本発明の光沢加工シートは、上述の本発明に係るポリエステル織物からなる。
本発明によれば、前記織物の特徴である地厚感、ボリューム感、柔軟さが活かされることとなる。
より具体的には、前記光沢加工シートをソファー表装とすることで新規なソファーとなる。前記光沢加工シートをカーシート表装とすることで新規なカーシートとなる。自動車内装についても同様である。前記光沢加工シートを生地としてカバン、ハンドバック、帽子、衣料、カーテン、緞帳、テント、ブラインドを構成することができる。前記光沢加工シートを家屋の壁の地肌に貼設(若しくは張設)することで新規な家屋の壁となる。家屋の天井や家屋の床についても同様である。前記光沢加工シートを生地として寝具、調度品、車両内装材を構成することができる。その他、前記光沢加工シートの生地の厚みを厚くすることでより丈夫で遮光性の高いシートとなり、前記光沢加工シートの生地の厚みを薄くすることでより軽くてしなやかなシートとなる。
本発明のポリエステル織物とその製造方法によれば、前記織物としては本来の地厚感、ボリューム感、柔軟な風合いを維持しながら高度な鏡面光沢性を有する織物となる。本発明によれば、前記織物は、熱ロール加工後の鏡面光沢度が、熱ロール加工前の鏡面光沢度の200%超となる。また、前記織物は、熱ロール加工後の厚みが、熱ロール加工前の厚みの70%超となる。本発明によれば、一方の面が平坦化して高い鏡面光沢性が付与されるとともに、他方の面は加熱及び押圧がマイルドになるため、全体としては地厚感、ボリューム感があまり損なわれない。
本発明のポリエステル織物とするための熱ロール加工機を機能的に示す図である。 本発明のポリエステル織物を例示する図であり、図2(a)は平面図であり、図2(b)はE−E線断面図である。 熱ロール加工前の織物を例示する図であり、図3(a)は平面図であり、図3(b)はE−E線断面図である。 熱ロール加工前の織物を例示する縦断面の画像図であり、図4(a)は光沢をつける面の露出した浮き経糸の扁平状態を示す図であり、図4(b)はその反対側の面の露出糸の扁平状態を示す図である。 本発明の実施例の織物を例示する縦断面の画像図であり、図5(a)は光沢をつけた面の露出した浮き経糸の扁平状態を示す図であり、図5(b)はその反対側の面の露出糸の扁平状態を示す図である。 比較例の織物を例示する縦断面の画像図であり、図6(a)は光沢をつけた面の露出した浮き経糸の扁平状態を示す図であり、図6(b)はその反対側の面の露出糸の扁平状態を示す図である。
本発明を実施するための形態を以下に説明する。
図1は、本発明のポリエステル織物とするための熱ロール加工機100を機能的に示す図である。ここで、符号120は金属製の加熱ロールであり、符号130はガイドロールであり、符号140は繊維フェルト製のベルトであり、符号150はガイドロールである。また、符号2は熱ロール加工前の織物であり、符号2Aは光沢をつける面であり、符号2Bは光沢をつけない面である。符号1は熱ロール加工後の織物であり、符号1Aは光沢がある面であり、符号1Bは光沢がない面である。
本発明者は鋭意研究し、繊維加工とは異なる分野の製紙業で湿潤状態原紙の乾燥、成型、各種加工に用いられている加熱金属ロールとフェルトを介した「フェルト押圧乾燥機」に着目し、これを改良して熱ロール加工機100とし、繊維の押圧加工に活用することを初めて実行し本発明に至った。
すなわち、図1に示すように、適当な緊張状態のフェルト製ベルト140と加熱金属ロール120との隙間に、ポリエステル織物2を挟み込み加熱しながら押圧する熱ロール加工機と熱ロール加工方法を開発したのである。本発明によって、ポリエステル織物2は、加熱金属ロール120に接しされた2A面が平坦化して高い鏡面光沢性が付与された1A面となり、また、フェルト製ベルト140に接しされた2B面は、加熱及び押圧がマイルドになるためそれほど平坦化されずに1B面となる。
よって、本発明によれば、織物本来の地厚感、ボリューム感、柔軟な風合いを維持しながら高度な鏡面光沢性を有するポリエステル織物1となる。
図2は、本発明のポリエステル織物1を例示する図であり、図2(a)は平面図であり、図2(b)はE−E線断面図である。図3は、熱ロール加工前の織物2を例示する図であり、図3(a)は平面図であり、図3(b)はE−E線断面図である。ここで、符号31は浮き経糸であり、符号32は浮き経糸になる経糸[以下、(浮き)経糸と略記]である。符号41と42は緯糸である。符号t2は熱ロール加工前の生地の厚みであり、符号t1は熱ロール加工後の生地の厚みである。
織物2は、2A面において露出している浮き経糸31、および浮き経糸なった時32の露出面積の割合が50%超であり、2A面において露出している浮き経糸31、および浮き経糸になった時の32の断面径の扁平率が70%超である(図3を参照)。
本発明のポリエステル織物1は、光沢のある1A面において露出している浮き経糸31,および浮き経糸になった時32の露出面積の割合が50%超であり、かつ、光沢のある1A面において露出している浮き経糸31,および浮き経糸になった時の32の断面径の扁平率が70%未満であることを特徴とする(図2を参照)。尚且つ、光沢のない1B面において浮きになっていないで露出している経糸31,32の断面径の扁平率が70%超であることを特徴とする(図2を参照)。図2(b)に示す例では、1A面において露出している経糸31,32の断面径の扁平率を符号DrAとすると、DrA=100×d312/d311となる。また、図2(b)に示す例では、1B面において露出している経糸31,32の断面径の扁平率を符号DrBとすると、DrB=100×d322/d321となる。
本発明によれば、前記織物の浮き経糸もしくは浮き緯糸で構成する部分において、熱ロール加工前の鏡面光沢度を100%とすると、熱ロール加工後の鏡面光沢度が200%超となり、かつ、熱ロール加工前の厚みを100%とすると、熱ロール加工後の厚みが70%超となる。
ここで鏡面光沢度の評価について触れておく。布帛等の繊維製品の鏡面光沢度測定は、現在のところJIS等で、特に定まってはいないものの、当発明者が試行した結果、JIS Z 8741 方法2の紙、その他に運用されている方法が最も信頼出来る測定方法であると考えられる。前記測定方法は入射角75度での(φ0s)に対する反射角75度鏡面反射光(φs)を測定し、同一条件における屈折率(n)=1.567のガラス表面の反射光(φ0s)を基準として、その比で表す。しかしながら該測定法による測定値が同一組織でしかも同一の押圧加工を経た織物であっても染色、色相、色彩によって大きく変わることは否めない。
本発明のポリエステル織物1に用いられるポリエステル繊維は、特に限定されないが、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート等のテレフタレートからなるフイラメントであり、更にはこれらテレフタレートに(ソヂウム)スルホイソフタレートを共重合したポリエステルフイラメントでも差し支えない。より好ましく用いられるのはポリエチレンフタレートである。また係るポリエステル繊維には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤、防黴剤、抗菌剤等の機能剤が含まれていてもよい。
更に本発明で用いられているポリエステル織物2は、押圧加工によって平坦化される面に露出している浮き経糸もしくは浮き緯糸の面積比率が60%超で、且つ織組織が繻子組織織、斜文織組織、畝織組織、斜子織組織等であっても、直線状、曲線状、多角状、楕円状、円形状、絵柄状、紋様状等の変化織組織等が含まれていても差し支えない。更には構成する経糸、緯糸の断面形状、撚りの有無は特に限定されないが、より光沢が得られ易い三角断面ブライトフイラメントが特に好ましく用いられる。
本発明の地厚感、ボリューム感、があって鏡面光沢を有する押圧ポリエステル織物1は衣料用途が少ない。従って用いられる経糸、緯糸が80〜600dtx/24〜192fil、経糸、緯糸密度が50〜150本/吋で、ウオータージェットルーム、エアージェットルーム、レピアルーム、シャトルルーム、スルーザー等で織られることが多いが特に限定されなく、織物の特性に合致した織機であれば差し支えない。
本発明のフェルト押圧加工における加熱金属ロール120は、表面粗さの極めて少ない表面が好ましく、例えば、バフ磨きされた鏡面性の高いSUS−314製がより好適であり、また、繊維表面の融着防止等の目的でフッ素系樹脂を被覆したものであっても差し支えなく、直径40〜100cm、加熱温度が150〜200℃の範囲、回転速度5〜10rpm、加工速度5〜15m/分が好ましい。一方、フェルト製ベルト140は、温度による変形が少ない素材、例えばウール、麻、ガラス、合繊ではアラミドが好適で、厚みが5〜20mmの範囲内、見掛け密度が0.25〜0.45の範囲内、JIS K 6301 Aに準拠した硬度計TECLOCK GS−706N TYPE A.による硬度が35〜50の範囲内が好ましい。
本発明のフェルト押圧加工において、フェルト製ベルト140による加熱金属ロール120への押圧は、フェルト製ベルト140の張力によってコントロールする。加工対象によってコントロール条件は若干異なるが、テンションゲージ MODEL STG−75B(荷重1kg)による測定値で1.0〜2.0mmの範囲内が好ましく、より好ましくは1.3〜1.9mmの範囲内である。
次に本発明の実施例および比較例について説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例および比較例中の各評価等は下記の方法で測定した。
織物と、フェルト製ベルトの厚みは、DIAL THICKNESS GAUGE H型 (株式会社 尾崎製作所製)を用いて測定した。
フェルト製ベルトの硬度は、JIS 6301 Aに準拠した硬度計 TECKLOCK GS−706N TYPE A を用いて硬度を測定した。
フェルト製ベルトの張力は、テンションゲージ MODERU STG−75B サン技研(株)製、荷重1kgで測定した。
織物の鏡面光沢度は、JIS Z 8741に準拠した光沢測定機 VG−Σ80 (日本電色工業株式会社製)を用いて75度鏡面光沢度(%)を測定した。
糸の断面径は、デジタルマイクロスコープ VHX−2000(株式会社 キーエンス社製)をもちいて×200倍で測定した。
糸の扁平率は、前記デジタルマイクロスコープを用いて無作為に抽出した7測定点の扁平率の算術平均値を採用した。
織物の硬さは、JIS L 1096 8.19.A法に占めす45度カンチレバー法を用いて測定した。測定値が大きいほど硬いことを示す。
織物のボリューム感は、人の触感による判定で、1劣→優5とし、押圧加工前の当該ポリエステル織物の水準を5とした。
織物の色相及び彩度は、JIS Z 8729に準拠するGretag Macbeth社製測色機、CE−3100を用いて測色した。
フェルト製ベルトの硬度は、JIS K 6301 Aに準拠した硬度計TECLOCK GS−706N TYPE を用いて測定した。
熱ローラ加工前のポリエステル織物200A
経糸に△断面ポリエステルフイラメントブライト56dtx/36fil/3本合糸を、緯糸にポリエステルフイラメント84dtx/48fil・3本合糸を用い、ウオータージェットルーム(以下、WJLと略記する)でポリエステル枚朱子織物を織り、定法の液流染色で黒染めした。経糸密度72本/吋、緯糸密度66本/吋、厚み0.41mm、鏡面光沢度6.43%、色相・色彩のL値6.43、a値0.39、b値−0.91、糸の扁平率DrAが89%、糸の扁平率DrBが83%、カンチレバー縦方向硬さが表41mm、裏42mmであり、ボリューム感は優5とした。
熱ローラ加工前のポリエステル織物200B
上記織物200Aと同様の枚朱子織物の染めなしを用いた。厚み0.41mm、鏡面光沢度15.05%、色相・色彩のL値93.5光沢のある値2.09、b値−8.02、糸の扁平率DrAが91%、糸の扁平率DrBが87%、縦方向45度カンチレバー硬さが表44mm、裏43mmであり、ボリューム感は優5とした。
熱ローラ加工前のポリエステル織物200C
経糸にポリエステルフイラメント84dtx/36fil・3本合糸、250t/mを、緯糸にポリエステルフイラメント167dtx/48fil・3本合糸を用い、レピアルーム(以下、RLと略記する)でポリエステル枚朱子織物を織り、定法の液流染色で黒染めした。経糸本数58本/吋、緯糸本数58本/吋、厚み0.71mm、鏡面光沢度0.92%、色相・色彩のL値17.2光沢のある値0.10、b値−1.35、糸の扁平率DrAが98%、糸の扁平率DrBが94%、縦方向カンチレバー硬さが表40mm、裏29mmであり、ボリューム感は優5とした。
ここで、図4は、熱ロール加工前の織物を例示する縦断面の画像図であり、図4(a)は光沢をつける面の露出糸の扁平状態を示す図であり、図4(b)はその反対側の面の露出糸の扁平状態を示す図である。
熱ローラ加工前のポリエステル織物200D
上記織物200Cと同様の経緯糸を用いてポリエステル枚繻子織物をRLで織り、定法の液流染色で青に染めた。経緯糸本数は上記織物200Cと同様で、厚み0.67mm、鏡面光沢度1.12%、色相・色彩のL値46.68、a値5.86、b値−44.29、糸の扁平率DrAが96%、糸の扁平率DrBが96%、縦方向カンチレバー硬さが表48mm、裏35mmであり、ボリューム感は5とした。
熱ローラ加工前のポリエステル織物200E
上記織物200Cと同様の経緯糸を用いてに示すポリエステル畝朱子織物をシャトルルームで織り、定法の染色方法で黒染めした。朱子部分について、面積比率が65%、厚み0.72mm、鏡面光沢度0.88%、色相・色彩のL値19.27、a値0.29、b値−1.49、糸の扁平率DrAが97%、糸の扁平率DrBが96%、縦方向カンチレバー硬さが表38、裏27であり、ボリューム感は優5とした。
これら熱ローラ加工前のポリエステル織物2(200A〜200E)を表1に示す。
実施例
本発明に係る熱ロール加工機1を用いて、前記ポリエステル織物200に所定の熱ロール加工を施した。熱ロール加工機1の設定は、加熱金属ロール120は、径800mm、有効長2940mm、加熱温度170〜190℃である。繊維フェルト製ベルト140は、素材アラミド繊維製、厚み9mm、見掛け密度0.367、全長7.4m、硬度41、張力1.58mm、加工速度10〜13m/分とした。加工諸条件と実施結果を表2に示す。
ここで、図5は、本発明の実施例7の織物を例示する縦断面の画像図であり、図5(a)は光沢をつけた面の露出糸の扁平状態を示す図であり、図5(b)はその反対側の面の露出糸の扁平状態を示す図である。
表2と図5に示す通り、本実施例によって得られた押圧加工ポリエステル枚朱子の諸特性は地厚感、ボリューム感、風合、鏡面光沢度共にバランス良く保たれていた。
比較例
比較例として既知の定法カレンダー加工機を用いて、前記ポリエステル織物200に押圧加工を施した。加工諸条件と実施結果を表3に示す。
ここで、図6は、比較例7の織物を例示する縦断面の画像図であり、図6(a)は光沢をつけた面の露出糸の扁平状態を示す図であり、図6(b)はその反対側の面の露出糸の扁平状態を示す図である。
表3と図6に示す通り、比較例では鏡面光沢度が高い反面、両方の面の露出糸が平坦化し、極度に扁平になった結果、地厚感、ボリューム感が大きく損なわれ風合いも粗硬化した。
視覚的にも触感的にも、前記織物としては本来の地厚感、ボリューム感、柔軟な風合いを維持しながら高度な鏡面光沢性を有し、意匠性の高い「本発明のポリエステル織物」は、カーシートをはじめ各種表皮材用に提供出来、その工業的価値は極めて大きい。
1 本発明のポリエステル織物、
2 熱ローラ加工前の織物、
31,32 経糸、
41,42 緯糸、
100 本発明に係る熱ロール加工機、
120 加熱ロール(加熱金属ロール)、
140 繊維ベルト(フェルト製ベルト)、

Claims (5)

  1. 主要部が金属製の加熱ロールと、その外周に配された主要部がフェルト製の繊維ベルトと、前記繊維ベルトを前記加熱ロールに面接触させる複数のガイドロールを備えた熱ロール加工機を用いるとともに、前記繊維ベルトによる前記加熱ロールへの押圧を、前記ガイドロールを備えた前記繊維ベルトの張力によって面接触加工としてコントロールするフェルト押圧加工とすることで、
    ポリエステル繊維からなる織物に対して、浮き糸を前記加熱ロールに押圧させて光沢のある面として、前記光沢のある面における浮き糸の断面径の扁平率を70%未満とするとともに、その反対側の面を繊維ベルトに押圧させて前記光沢のある面よりも光沢のない面として、前記反対側の面における当該糸の断面径の扁平率を70%超とし、かつ、前記光沢のある面を、熱ロール加工前の鏡面光沢度を100%とすると、熱ロール加工後の鏡面光沢度が200%超とし、かつ、熱ロール加工前の前記織物の厚みを100%とすると、熱ロール加工後の厚みを70%超とし、前記張力を、荷重1kgのテンションゲージによる測定値で1.0〜2.0mmの範囲内とすることを特徴とするポリエステル織物の製造方法。
  2. 前記張力を、荷重1kgのテンションゲージによる測定値で1.3〜1.9mmの範囲内とすることを特徴とする請求項記載のポリエステル織物の製造方法。
  3. 前記光沢のある面において、前記浮き糸の露出面積が全露出面積の50%超であり、前記加熱ロールは、直径40〜100cm、加熱温度が150〜200℃の範囲、回転速度5〜10rpm、加工速度5〜15m/分の範囲内とされ、前記繊維ベルトは、厚み5〜20mm、見掛け密度0.25〜0.45、硬度35〜50の範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル織物の製造方法。
  4. 前記織物には、難燃加工、遮熱加工、消臭加工、撥水加工、撥油加工、防汚加工、防黴加工、抗菌加工のいずれか1種ないしはいずれか2種以上が施されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載のポリエステル織物の製造方法。
  5. 加熱ロールと、その外周に配された繊維ベルトと、前記繊維ベルトを前記加熱ロールに面接触させるガイドロールを備え、
    前記繊維ベルトによる前記加熱ロールへの押圧を、前記ガイドロールを備えた前記繊維ベルトの張力によって面接触加工としてコントロールする熱ロール加工機を用いて、
    ポリエステル繊維からなる前記織物に対して、浮き糸を前記加熱ロールに当接させて光沢のある面とし、その反対側の面を前記繊維ベルトに当接させて前記光沢のある面よりも光沢のない面とし、かつ、熱ロール加工前の前記織物の厚みを100%とすると、熱ロール加工後の厚みを70%超とし、前記張力を、荷重1kgのテンションゲージによる測定値で1.0〜2.0mmの範囲内とすることを特徴とするポリエステル織物の製造方法。
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