JPH1150349A - Uvカット性織物 - Google Patents

Uvカット性織物

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JPH1150349A
JPH1150349A JP9209455A JP20945597A JPH1150349A JP H1150349 A JPH1150349 A JP H1150349A JP 9209455 A JP9209455 A JP 9209455A JP 20945597 A JP20945597 A JP 20945597A JP H1150349 A JPH1150349 A JP H1150349A
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JP
Japan
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yarn
softening point
yarns
woven fabric
composite
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JP9209455A
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English (en)
Inventor
Ikuhiko Fukumori
郁彦 福森
Hideo Ikenaga
秀雄 池永
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、外観・風合いを殆ど変化させず
に、紫外線遮蔽効果の高い織物を得ることを目的とす
る。 【解決手段】 本発明は、織物の片面が軟化点差を有す
る二種以上の糸条が複合された複合糸条で構成され、か
つカバーファクターが1800〜3200であって、該
片面が熱プレスされてなるUVカット性織物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般衣料やスポー
ツ衣料等に用いられるUVカット性織物、すなわち紫外
線遮蔽性を有する織物に関する。
【0002】
【従来の技術】通常紫外線(UV)の波長は、400〜
200nm域にあり、UVA波(400〜320n
m)、UVB波(320〜280nm)、UVC波(2
80〜200nm)とに区分される。UVC波は空気中
のオゾン層や塵埃のため地上には届かないため問題ない
が、UVA波は、活性酸素発生や色素沈着などの傷害が
あり、またUVB波は紅斑や水泡の皮膚炎を生じさせる
など人体への傷害問題がある。近年、このUV波を極力
カットするために種種の方法が提案されている。例え
ば、UV加工剤処理した布帛、糸に酸化チタンを練り込
んだ布帛、あるいは高密度の布帛などがある。UV加工
剤処理としては、紫外線吸収剤あるいは反射剤を樹脂に
練り込み浸漬、コーティング、ラミネートなどの処理に
よりカットするものであるが、風合いが粗硬で、耐久性
に劣り、また通気性が殆どないため快適性に劣り、コス
トも高くなるなどの欠点を有する。また、紫外線吸収剤
あるいは反射剤を糸に練り込んだものは、取扱が容易で
あり糸として効果あるものの、通常織編み物にしたとき
は構成する糸間に発生する空隙からの入射を遮蔽する事
が出来ず、十分満足するまでには至っていない。また、
織編み物を高密度化して織編物を構成する糸間に発生す
る空隙を減少させて紫外線を遮蔽する方法もあるが、風
合いが硬くなったりして用途も限定されたものとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来の
問題点に鑑みて、織物の風合い、外観品位を大きく変化
させることなく紫外線遮蔽効果を向上させたUVカット
性織物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、1,8
00〜3,200のカバーファクターを有するUVカッ
ト性織物であって、該織物の少くとも片面が少くとも2
種類の糸条から成る複合糸で構成されており、該少くと
も2種類の糸条が下記,に示す糸条組合せの何れか
であり、 天然繊維、人造繊維の如く軟化点を有しない繊維か
ら成る糸条と、熱可塑性繊維の如く軟化点を有する繊維
から成る糸条を少くとも含んで成る組合せ、 軟化点の異なる繊維をそれぞれ用いて作られた少く
とも2種類以上の糸条を含んで成る組合せ、且つ前記
の組合せ中の軟化点を有する繊維から成る糸条又は前記
の組合せ中の低軟化点を有する方の繊維から成る糸条
が複合糸内間隙及び織目間隙を実質的に埋める状態で配
置されていることを特徴とするUVカット性織物によっ
て達成される。
【0005】前記複合糸内間隙及び織目間隙を実質的に
埋めるために用いる糸条がポリエステルマルチフィラメ
ントのPOY繊維から成る糸条であると好ましく、又前
記複合糸内間隙及び織目間隙を実質的に埋めるために用
いる糸条が異形断面繊維から成る糸条であると好まし
い。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明でいうUVカット性、すな
わち紫外線遮蔽性は、UVA波及びUVB波を対象とし
たものであり、先ず積分球付き分光光度計(島津製作所
製)を用いて280〜400nm波長域の紫外線透過率
(積分値%)を測定し、下記式によって求める。 紫外線遮蔽性(%)=100−紫外線透過率
【0007】本発明の織物では、その織物の少くとも片
面を少くとも2種類の糸条から成る複合糸で構成する。
ここにいう2種類の糸条とは片方の糸条に熱によって軟
化しやすい繊維から成る糸条を用い、他方の糸条に熱に
よって軟化しないか又は熱によって軟化しにくい繊維か
ら成る糸条を用いる。より具体的には、前述の,に
示す糸条の組合せの何れかを採用して行う。なお前記複
合糸を形成するに際して前述の又はの組合せの糸条
に他の糸条を必要に応じて加えて用いてもよい。
【0008】本発明でいう軟化点とは、熱応力試験機に
よる温度と応力との関係から得られる最大熱応力発生時
の温度を軟化パラメーターとして表すものである(測定
条件は、初荷重1/30 g/d、昇温速度150℃/
min である)。このように少くとも片方の糸条に熱によ
って軟化しやすい繊維から成る糸条(以下低軟化点糸条
という)を含む複合糸を用いた織物を熱プレスすると、
低軟化点糸条が熱変形をして織物を構成する複合糸内間
隙及び織目間隙を実質的に埋めることになり、それによ
って織物の紫外線遮蔽性を向上させることになる。その
際低軟化点糸条は前記熱変形によって部分的に偏平化
し、複合糸内間隙及び織目間隙を実質的に閉塞するもの
と考えられる。本発明でいう低軟化点繊維糸条が熱変形
によって部分的に偏平化するとは、主に糸条自体が偏平
化することを指すが、糸条構成内の単繊維の一部が熱変
形を起こして偏平化することを含む。一方熱によって軟
化しないか又は熱によって軟化しにくい繊維から成る糸
条(以下高軟化点糸条)は、熱プレスによる熱の影響が
低いため織物の風合の変化を少くし、当初のソフトな触
感を維持することができる。
【0009】本発明においては、特に通常の織密度であ
るカバーファクターが1800〜2400の織物を用い
ることにより風合い、外観を殆んど変えることなくソフ
ト性をもった織物で紫外線を大幅にカットすることがで
きる。また高密度であるカバーファクターが2400〜
3200の織物では熱プレスが施されなくても織目をあ
る程度埋めているため紫外線遮蔽効果はあるが、熱プレ
スを施すことにより更に紫外線遮蔽性を向上することが
できる。なお前記カバーファクターが1800以下で
は、織目が粗過ぎるため例え本発明の構成を有する織物
であっても紫外線遮蔽性に劣る。カバーファクターが3
200以上では、高密度過ぎて毛羽が発生したり織込み
ができなかったりする。
【0010】本発明でいうカバーファクター(K)は、
次式によって算出する。 K=(W+F)×D1/2 Wは経密度(本/インチ)、Fは緯密度(本/インチ) Dは糸の太さ(デニール)を示す。織物が千鳥状、スト
ライブ状などの柄織りであって、異素材が表面に露出す
る場合は、1インチ当りの各素材毎のW,F,Dの値を
1 ,W2 ,…,DA1 ,DA2 ,…、及びF1
2 ,…,DB1 ,DB2 ,…のように算出し、K1
1 ・DA1 1/2+F1 ・DB1 1/2+…,K2 =W2 ・D
2 1/2+F2 ・DB2 1/2…とし、K=K1 +K2 +…で
算出する。
【0011】本発明における織物としては通常の一層織
物が多用されるが2層以上の多層織物でもよい。又織組
織としては、平織、綾織、朱子織、さらにこれらの各種
変化組織を用いることができ、特に限定するものではな
く、用途により適宜選定すればよい。
【0012】高軟化点糸条に軟化点を有する合成繊維等
の繊維から成る糸条を用いる場合には、低軟化点糸条を
構成する繊維との間の軟化点の差を20℃以上、好まし
くは30℃以上にすると好ましい。軟化点の差を20℃
未満とすると、熱プレスによる熱が低軟化点糸条と高軟
化点糸条の双方にほぼ近い状態で作用するので風合が硬
化する。本発明に用いる複合糸の低軟化点糸条の軟化点
は、80〜180℃、好ましくは100〜160℃とす
る。軟化点が80℃未満では、染色工程等の織物製造工
程中に受ける熱に耐えられない。軟化点が180℃を越
えると、熱プレス時の熱により織物を構成する繊維が黄
変あるいは強度低下を起こすので好ましくない。また、
この複合糸の繊度(糸の太さ)は、用途により適宜選定
すればよいが、複合糸を構成する低軟化点糸条/高軟化
点糸条の繊度比は、0.5〜5.0、好ましくは1.0
〜3.0とする。繊度比が0.5未満では低軟化点糸条
が少なすぎて熱プレス効果が小さくUV遮蔽性の向上が
図れない。また、繊度比が5.0を越えると低軟化点糸
条が多すぎて熱プレス効果が大きくなり、外観を大きく
損なうとともに風合いも硬化する。また、複合糸を構成
する低軟化点糸条はマルチフィラメント糸や紡績糸を用
いるのが好ましい。これらの糸を用いると織物面への分
散性が大きく、糸条間空隙や織目を塞ぐ効果が増す。
【0013】本発明の織物が通常の単層織物の場合は織
物を構成する糸条の全てを前記複合糸にするとよい。し
かし目的とする織物の種類(用途又は織組織)によって
は経糸又は緯糸の何れか一方を複合糸とし、他方の糸に
通常の糸を用いてもよい。又本発明の織物を2層以上の
多層織物にしてもよい。その場合は織物の片面層のみを
複合糸で構成してもよい。又3層以上の織物にしてその
中間層を複合糸で構成してもよい。
【0014】本発明で用いる複合糸は、撚糸、カバリン
グ、エアー混繊、仮撚、複合紡績あるいは紡糸混繊など
によって得ることができる。複合糸の形態としては、高
軟化点糸条の周りに低軟化点糸条を配置した構造、すな
わち芯に高軟化点糸条、鞘に低軟化点糸条の芯鞘構造の
ものが好ましい。芯鞘構造によって、鞘部の低軟化点糸
条は熱プレスによって熱を受け易い。すなわち、熱変形
を起こし易く糸条間空隙及び織目を効率よく埋める効果
がある。一方芯部の高軟化点糸条は熱を受けにくいため
風合いの硬化や糸条の損傷を起こしにくいという効果が
ある。このような芯鞘構造糸条としては、芯糸を高軟化
点糸条、鞘糸を低軟化点糸条とした組合せ、高収縮糸を
芯糸に低収縮糸を鞘糸とした収縮差を利用した組合せ、
低伸度糸を芯糸に高伸度糸を鞘糸にした伸度差を利用し
た組合せ、低フィード糸を芯糸に高フィード糸を鞘糸に
したフィード差を利用した配置等を採用することによっ
て得ることができる。
【0015】高軟化点糸条に用いる繊維としては、綿、
麻、ウール、絹などの天然繊維、レーヨンなどの再生繊
維、アセテートなどの半合成繊維、ポリアミド、ポリエ
ステル、ポリアクリル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル
などの合成繊維を用いることができ、用途に応じて軟化
点差が20℃以上になるように適宜低軟化点糸条と高軟
化点糸条として組み合わせて複合糸とすることができ
る。低軟化点糸条として熱可塑性繊維、中でもポリアミ
ド、ポリエステルの未延伸糸、半延伸糸あるいは共重合
糸、低重合糸、グラフト重合糸、異ポリマーブレンド糸
などが加工特性、物性の面で好ましい。
【0016】低軟化点糸条としてポリエステルマルチフ
ィラメントのPOY繊維から成る糸条を使用すると好ま
しい。POY繊維は高配向で低結晶構造のため、低温で
容易に熱変形を起こし熱プレス面層を緻密化し糸条間空
隙及び織目の隙間を埋め易く、熱履歴後も風合いがソフ
トで外観変化が少なく取扱い、加工性、品位などの点で
優れる。さらには、このPOY繊維から成る糸条と高軟
化点糸条と引き揃えてエアー混繊あるいは仮より加工す
ることにより芯鞘構造の複合糸条ができ、POY繊維か
ら成る糸条による膨らみ感が発現したものとなり、熱プ
レスによって織目の隙間を埋める効果が増す。さらに
は、POY繊維から成る糸条を弛緩熱処理することによ
り自発伸長性を付与して同様に引き揃えてエアー混繊あ
るいは仮より加工を行うことにより、POY繊維からな
る糸条の糸長がさらに増大し膨らみ感がより増して織目
の隙間を埋め易くなる。このPOY繊維から成る糸条
は、2000m/min 以上、好ましくは2500〜40
00m/min の巻き取り速度で紡糸した糸条であって、
複屈折率Δnが0.02〜0.08、好ましくは0.0
3〜0.05のものである。Δnがこの範囲外のPOY
繊維から成る糸条では自発伸長糸とならないため、膨ら
み感が減少し熱プレスによる織目の隙間の埋め込みが減
少する。また、POY繊維の結晶化度は30%以下が好
ましい。30%より大きいと熱変形性が劣る。
【0017】また、この低軟化点糸条を異型断面繊維で
構成すると好ましい。異型断面としては、楕円形、三角
・四角などの多角形、C形、Y形、H形、I形、L形、
W形あるいはそれらを応用した変形タイプなどの各種異
型状のものを使用することが出来るが、より好ましくは
W形、平形などの偏平断面の糸条を用いる。これは、偏
平断面糸条が面方面に並び、糸条空隙および織目をより
塞ぎ紫外線遮蔽性向上に効果がある。この偏平断面の図
1で規定する短/長径比は0.15以上、好ましくは
0.20〜0.80とする。0.15未満では紡糸が困
難であったり糸物性が低下する。
【0018】高軟化点糸条としては、熱可塑性合成繊維
マルチフィラメント糸、より好ましくはポリエステルマ
ルチフィラメント糸を用いるとよい。例えば、単糸デニ
ールが0.5〜6デニールの通常のポリエステルマルチ
フィラメント糸、前記したPOY繊維とはΔnが異なる
ポリエステルマルチフィラメントPOY繊維から成る糸
条並びにこれらの冷延伸糸、糸軸方向に未延伸部を有す
るいわゆるシックアンドシン糸、中実または中空のサイ
ドバイサイド型、偏芯型などのコンジュゲート糸、60
00m/min 好ましくは7000m/min 以上の巻取り
速度で紡糸したスピンテイクアップ方式や4000m/
min 好ましくは5000m/min 以上の巻取り速度で紡
糸−延伸−巻取りを一連工程で行うスピンドローテイク
アップ方式で得られたいわゆる高速紡糸のポリエステル
糸条並びにこれらの冷延伸糸、沸水収縮率が6〜30%
程度の高収縮糸やかかる高収縮糸と低収縮糸からなるい
わゆる異収縮混繊糸等があり、これらの一種又は二種以
上混用してもよい。中でも、高収縮糸の使用がより好ま
しい。これは、加工工程中に受ける熱処理により織物の
密度を上げること、鞘となる低軟化点糸条に膨らみが付
与され織目を埋め易いことなどで紫外線遮蔽性の向上に
効果がある。この高収縮糸としては、例えばイソフタル
酸、スルホイソフタル酸、ジエチレングリコール、2.
2−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}
プロパンなどの第3成分を2〜12モル%共重合したポ
リエステル、ジメチル(5−ナトリウムスルホ)イソフ
タル酸が1〜4%共重合されたカチオン可染性ポリエス
テルやポリブチレンテレフタレートと通常のポリエチレ
ンテレフタレート(酸化チタンなどの艶消し剤を含有さ
せたいわゆるセミダル、フルダル糸を含む)やカチオン
染着座席を有しない他の成分を共重合したポリエステル
などの複合紡糸(例えばサイドバイサイド型、偏芯型な
どのコンジュゲート糸)や紡糸混繊糸がある。
【0019】また、これらの複合糸に用いる繊維には、
用途、使用形態により紡糸段階で窒化チタン、炭化ジル
コニウム、炭化チタン、ハフニウム、タンタル、アンチ
モン含有酸化スズ、インジウム含有酸化スズ、カーボン
などの蓄熱剤、顔料などの着色剤、酸化銅などの耐熱
剤、その他制電剤、蓄光剤、抗菌剤、消臭剤などの物
質、微粉末が添加された機能性付与の糸条であってもよ
い。
【0020】前述のように熱プレスを受ける織物面全面
に前記複合糸を用いると好ましい。しかし織物の用途及
び種類によっては一部使用でも本発明の目的は達成でき
る。部分使用の比率は少くとも20%、好ましくは30
%以上である。20%未満では熱プレスによって織目を
埋める率が小さくなり、目標の紫外線遮蔽性を達成でき
ない。又前述のように本発明の織物において複合糸以外
の糸条を用いる場合は、その糸条の繊維としては各種の
繊維を目的に応じて任意に選定して用いればよい。たゞ
し熱プレスによる織物全体の風合い硬化を防ぐために複
合糸以外の糸条としてその複合糸を構成する低軟化点糸
条と同等又は以下の軟化点を有する繊維から成る糸条は
避けることが必要である。
【0021】本発明では、前記構成の織物の複合糸を用
いた織物面に熱プレスを施す。この熱プレスによって、
織物表面にある複合糸を構成する低軟化点糸条は熱変形
を起こして実質的に織物表面の糸条間空隙および織目を
塞ぐとともに織物表層部の繊維充填度を高めて紫外線遮
蔽性を向上させる。また、熱プレスは複合糸を構成する
低軟化点糸条のみに有効に働くため、複合糸を構成する
高軟化点糸条および該織物の中層、裏層は熱の影響をあ
まり受けず、初期(熱プレス前)の風合いをほぼ維持
し、しかも強度低下が殆どない。また、外観変化も大き
く損なわない織物を得ることができる。
【0022】熱プレスは一方が加熱、他方が低温のロー
ル、ベルト、平板などの間で加圧して加工を行うが、加
工性面から一方がメタル製の加熱ロール、他方がメタル
製、樹脂製など硬質の低温ペーパーロールあるいはゴ
ム、フェルトなど中軟質の低温ロールとからなる一般の
カレンダー加工機を用いるのが好ましい。熱プレスの条
件としては、加熱側面の温度(T1 ℃)は、Tm+80>
1 >Tm−10好ましくはTm+60>T1 >Tmと
する(Tmは複合糸を構成する低軟化点糸条の軟化パラ
メーターの温度を表す)。T1 がTm+80℃以上で
は、低軟化点糸条が軟化しすぎて加工後の風合いが粗硬
となり外観も阻害する。T1がTm−10℃以下では低
軟化点糸条が軟化不足となり熱変形を起こさず偏平、緻
密化が図れない。また、低温側面の温度(T2 ℃)は、
1 −30>T2 好ましくはT1 −50>T2 とする。
2 がT1 −30℃以上では、織物全体が高温の熱の影
響を受けるため風合いが粗硬となったり外観を損なった
りする。また、加圧は、線圧として10〜150Kgf /
cm、好ましくは30〜100Kgf /cmとする。線圧が1
0Kgf /cm以下では低軟化点糸条の偏平、軟化が不足し
紫外線遮蔽性が得られない。線圧が150Kgf /cm以上
では織物全体が押しつぶされて風合いが粗硬で外観も阻
害する。加工速度としては、3〜30m/min 好ましくは
5〜20m/min とする。加工速度が3m/min 未満で
は生産性に劣り、30m/min を越えると熱プレス斑が
発生し、外観品位、性能を損なう。なお、この熱プレス
は加熱側面の材質が通常フラットのもので加工される
が、用途によりあるいは外観変化、柄出しを望む場合は
加熱側面の材質を凹凸のあるもので加工(一般にいうエ
ンボス加工)を行ってもよい。また、この熱プレスの工
程は通常染色仕上げ(プリントも含む)後に行うが、染
色前の精練セット後に行ってもよい。
【0023】本発明のUVカット性織物では、本発明の
構成に基づいて得られる紫外線遮蔽性をさらに向上させ
るために、糸に無機系微粒子のアルミ、チタン、亜鉛、
アンチモン、ジルコニウムなどの酸化物あるいは硫酸バ
リウム、炭酸カルシウム、窒化ホウソ、アルミ酸ストロ
チウム、硫化亜鉛などを練り込んだり、布帛に有機物の
ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート
系、ベンゾトリアゾール系などの吸収剤を吸尽処理ある
いは樹脂と併用して浸漬処理、コーティング処理などを
行ってもよい。
【0024】本発明のUVカット性織物を使用するに際
して、用途、使用形態により熱プレス面を表使いあるい
は裏使いのいずれにしてもよい。また、本発明のUVカ
ット性織物には、用途、使用形態により蓄熱剤、制電
剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤など
の各種加工により機能付与を施してもよい。以上の構成
により得られた本発明のUVカット性織物は、風合いや
外観が殆ど損なわれずして、目標の紫外線遮蔽性を得る
ことができ、一般衣料用途をはじめスポーツ衣料用途と
して着用快適性に極めて優れたものとなる。
【0025】
【実施例】以下本発明のUVカット性織物を実施例によ
り詳述する。各実施例の説明に先立ち、実施例、比較例
の評価に用いた各項目の測定法を以下説明する。 ・ 引裂強力保持率 JIS L1096 6.15引裂強さA−2法(シン
グルタング法)により引裂強さを測定し、下記式により
算出する。 引裂強力保持率=熱プレス後の強力/熱プレス前の強力
×100 ・ 風合および外観の評価 熱プレス前の織物との対比において10人の検査員によ
る官能検査を行い、10人の評価結果の平均値で示す。 風合の評価基準 ○…殆んど変わらない △…やゝ硬くなる ×…硬くなる 外観の評価基準 ○…殆んど変化がない △…やゝ変化する ×…変化する ・ カバーファクター 実施例、比較例に示すカバーファクターの数値は熱プレ
ス加工前の織物を分解して算出した値である。
【0026】実施例1〜3、比較例1〜3 高軟化点糸条として、通常のポリエステル延伸糸30d
/12f(軟化パラメーター185℃)と、低軟化点糸
条として3500m/min の巻取り速度で紡糸した酸化
チタン2.5%含有のポリエステルPOY繊維から成る
マルチフィラメント50d/48f丸断面(軟化パラメ
ーター95℃)をインターレース後同時仮より(1ヒー
ター165℃加工)を行い、撚数250T/Mで撚糸し
た複合糸を得た。該複合糸を経糸、緯糸として吋当りの
経緯密度100×88,100×105,140×13
5の平織組織で織成し、精練・染色(サーキュラー染色
機130℃処理、白色)仕上げを行った。3種類の織物
のカバーファクターを表1に示す。次いでこの3種類の
織物に160℃のメタル製熱ロール、他方が60℃の樹
脂製ペーパーロールを使用して線圧90kg/cm、加工速
度10m/min にて片面熱カレンダー加工を行った。こ
のようにして得られた3種類づつのカレンダー加工未加
工の織物と加工済の織物の試験を行った。試験結果は表
1に示す通り、本発明の実施例は風合い、外観ともに大
きな変化はなく、紫外線遮蔽率の値が高く、且つその向
上効果も高いものであった。織物中の低軟化点糸条が熱
カレンダーによって軟化するが表1に示すように本発明
の織物は引裂強力が熱カレンダー加工によって低下しな
いことが証明された。
【0027】
【表1】
【0028】比較例4,5 前記実施例1において、複合糸を構成する低軟化点糸条
に酸化チタン2.5%含有の通常のポリエステル延伸糸
50d/48f(軟化パラメーター184℃)を使用し
た以外は前記実施例1と同構成、同条件の仮より、製織
(密度100×105本/吋)、精練染色仕上げを行っ
た。熱カレンダー加工は、片面が200℃のメタル製熱
ロールを使用した以外は前記実施例1と同じ条件で加工
した。結果は表2に示すとおり紫外線遮蔽性の向上は認
めれるが、遮蔽率自体の値は低く風合い、外観変化の大
きいものであった。
【0029】
【表2】
【0030】実施例4,比較例6 前記実施例1において、複合糸を構成する低軟化点糸条
に、3300m/minの巻取り速度で紡糸した酸化チタ
ン2.3%含有のポリエステルPOY繊維糸50d/3
0f W型断面、断面の短/長径比0.35(軟化パラ
メーター98℃)を用い、前記実施例1と同条件の仮よ
り、製織、精練染色仕上げを行い、熱カレンダー加工を
施したもの及び未加工布を作成した。結果は表2に示す
とおり、本実施例4は風合い、外観変化が殆どなく、紫
外線遮蔽の向上効果が大きく、遮蔽率も高いものであっ
た。
【0031】実施例5,比較例7 高軟化点糸条として、ジメチル(5−ナトリウムスル
ホ)イソフタレートを2.2モル%含むηsp/c=0.
57、酸化チタン0.2%含有のポリエステルと共重合
物を含まないηsp/c=0.70、酸化チタン0.2%
含有の通常のポリエステルを別々に溶融し、混合比1:
1のサイドバイサイドに複合して、紡出し巻取った。次
いで延伸して30d/12fの円形断面のポリエステル
コンジュゲート糸(軟化パラメーター164℃)を得
た。低軟化点糸条として3300m/分の巻取り速度で
紡糸した酸化チタン2.3%含有のポリエステルPOY
繊維糸50d/30f W型断面、断面の短/長径比
0.35(軟化パラメータ98℃)を用いて、実施例1
と同条件の仮より、製織、精練染色仕上げを行い、熱カ
レンダー加工を施したもの及び未加工のものを作成し
た。結果は表2に示すとおり、本実施例5は風合い外観
変化が殆どなく、紫外線遮蔽の向上効果は大きく、遮蔽
率も高いものであった。
【0032】実施例6,7,比較例8,9 低軟化点糸条と高軟化点糸条の繊度比を比較するため
に、高軟化点糸条として、通常のポリエステル延伸糸3
0d/12f(軟化パラメーター185℃)と低軟化点
糸条として、3500m/min の巻取り速度で紡糸した
ポリエステルPOY繊維糸50d/48f丸断面(軟化
パラメーター95℃)及び75d/48f丸断面(軟化
パラメーター96℃)を用いて、低軟化点糸条/高軟化
点糸条の繊度比を50d/120d(0.42)、10
0d/60d(1.67)、125d/30d(4.1
6)、175d/30d(5.83)として、インター
レース後同時仮撚(1ヒーター165℃)を行い、撚数
200T/Mで撚糸した複合糸を得た。この複合糸を経
糸、緯糸として、経密度を75本/吋として、緯密度
を、それぞれ86,91,94,72本/吋とした平織
組織を織成し、実施例1と同条件の精練・染色仕上げを
行い、いづれもほぼ同等のカバーファクターの織物を作
成した。次いで実施例1と同条件の片面熱カレンダー加
工を行った。試験結果は表3に示すとおり、比較例8は
紫外線遮蔽率が低く、比較例9は風合、外観が悪くなっ
たが、実施例6,7は、紫外線遮蔽効果があり風合い、
外観も良好であった。
【0033】
【表3】
【0034】実施例8,9、比較例10 低軟化点糸条の繊維に異形断面糸を用いた場合の繊維断
面形状の短/長径比を比較するために、高軟化点糸条と
して通常のポリエステル延伸糸30d/12f(軟化パ
ラメーター185℃)を、低軟化点糸条として3300
m/min W型断面、断面の短/長径比を0.13,0.
18,0.71(各々の軟化パラメーターは97℃)を
用い、実施例1と同条件で仮撚、撚糸した複合糸を得
た。この複合糸条を実施例1と同条件の織成、精練・染
色仕上及び片面熱カレンダー加工を行った。試験結果は
表4に示すとおり、比較例10は毛羽糸で製織不良であ
ったが、実施例8,9は、紫外線遮蔽性が高く、風合
い、外観も良好であった。
【0035】
【表4】
【0036】実施例10 高軟化点糸条としてキュプラ長繊維糸条50d/30f
(軟化点なし)を、低軟化点糸条として3500m/mi
n の巻取り速度で紡糸したポリエステルPOY繊維糸7
5d/30f W型断面、断面の短/長径比0.33
(軟化パラメーター97℃)を用い、インターレース後
同時仮撚(1ヒーター165℃)を行い、撚数200T
/Mで撚糸した複合糸を得た。この複合糸を経緯糸とし
て、経緯密度90本/吋の平織組織を織成し、実施例1
と同条件の精練・染色仕上、及び片面熱カレンダー加工
を行った。試験結果は表4に示す通り紫外線遮蔽性があ
り、風合い、外観も良好であった。
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明のUVカット性織物
は、外観や風合いを殆ど損なわずに紫外線遮蔽性の向上
に大きな効果があり、一般衣料用およびスポーツ衣料用
をはじめ帽子、傘などの副資材としても極めて商品価値
の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】異形断面糸の短/長径比の測定方法を示す繊維
断面図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,800〜3,200のカバーファク
    ターを有するUVカット性織物であって、該織物の少く
    とも片面が少くとも2種類の糸条から成る複合糸で構成
    されており、該少くとも2種類の糸条が下記,に示
    す糸条組合せの何れかであり、 天然繊維、人造繊維の如く軟化点を有しない繊維か
    ら成る糸条と、熱可塑性繊維の如く軟化点を有する繊維
    から成る糸条を少くとも含んで成る組合せ、 軟化点の異なる繊維をそれぞれ用いて作られた少く
    とも2種類以上の糸条を含んで成る組合せ、 且つ前記の組合せ中の軟化点を有する繊維から成る糸
    条又は前記の組合せ中の低軟化点を有する方の繊維か
    ら成る糸条が複合糸内間隙及び織目間隙を実質的に埋め
    る状態で配置されていることを特徴とするUVカット性
    織物。
  2. 【請求項2】 前記複合糸内間隙及び織目間隙を実質的
    に埋めるために用いる糸条がポリエステルマルチフィラ
    メントのPOY繊維から成る糸条であることを特徴とす
    る請求項1記載のUVカット性織物。
  3. 【請求項3】 前記複合糸内間隙及び織目間隙を実質的
    に埋めるために用いる糸条が異形断面繊維から成る糸条
    であることを特徴とする請求項1記載のUVカット性織
    物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016003405A (ja) * 2014-06-16 2016-01-12 尾張整染株式会社 ポリエステル織物とその製造方法、並びに光沢加工シート
JP2021042481A (ja) * 2019-09-06 2021-03-18 東レ株式会社 複合仮撚加工糸及びそれからなる織編物

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