JP6472735B2 - すべり軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ポンプやコンプレッサなどの回転流体機械の軸受として好適に使用されるすべり軸受装置に係り、例えば、先行待機運転ポンプのようなドライ条件で運転管理を行うポンプなどで、回転軸外周の高速化に対応したすべり軸受装置に関する。
近年の先行待機運転ポンプの状況により、背景技術の一例を説明する。
近年、都市化の進展により、緑地の減少及び路面のコンクリート化、アスファルト化の拡大が進むことでヒートアイランド現象が発生し、いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれる局所的な集中豪雨が都市部で頻発している。局所的な大量の降雨は、コンクリート化、アスファルト化した路面では、地中に吸収されることなくそのまま水路に導かれる。その結果、大量の雨水が、短時間のうちに排水機場に流入する。
頻発するこのような集中豪雨によってもたらされる大量の雨水の速やかな排水に備えるために排水機場に設置する排水ポンプでは、始動遅れによる浸水被害が生じないよう、雨水が排水機場に到達する前に予め始動させておく先行待機運転が行われている。
図1は、先行待機運転を行う立軸ポンプの部分概略図である。排水機場の水槽100には、縦方向に配置された回転軸10の先端にインペラ22を備え、インペラ22に水と共に空気を吸い込ませることにより、水槽100の水位が最低運転水位LWL以下であっても運転(先行待機運転)を継続することが可能な立軸ポンプ3が配置されている。この立軸ポンプ3には、インペラ22の入口側の吸い込みベル27の側面部に貫通孔5が設けられており、この貫通孔5には、外気に接する開口6aを備えた空気管6が取付けられている。これにより、この立軸ポンプ3では貫通孔5を介して立軸ポンプ3内に供給する空気の供給量を水位に応じて変化させ、最低運転水位LWL以下で立軸ポンプ3の排水量がコントロールされる。
図2は、先行待機運転の運転状態を説明する図である。例えば大都市の雨水排水用として、吸込水位に関係なく降雨情報等により予め立軸ポンプを始動しておく(A:気中運転)。低水位の状態から水位が上昇するに従って、インペラの位置まで水位が達し、立軸ポンプは空運転(気中運転)からインペラで水を撹拌する運転(B:気水撹拌運転)、さらに貫通孔を経て供給される空気を水と共に吸い込ませつつ水量を徐々に増やす運転(C:気水混合運転)を経て100%水の排出を行う全量運転(D:定常運転)へ移行する。また、高水位から水位が低下するときは、全量運転から貫通孔を経て供給する空気を水と共に吸い込ませつつ水量を徐々に減らす運転(C:気水混合運転)へ移行する。水位がLLWL近くに至ると、水を吸い込まず排水もしない運転(E:エアロック運転)へ移行する。これら5つの特徴ある運転を総称して先行待機運転という。なお、ポンプ始動は、ケーシング下端よりも低い水位LLLWLから開始する。
図3は、図1に示した先行待機運転を行う立軸ポンプ3の全体を示す断面図である。なお、図2に示した貫通孔5及び空気管6は図示省略されている。
図3に示すように、立軸ポンプ3は、ポンプ設置床に設置固定される吐出エルボ30と、この吐出エルボ30の下端に接続されるケーシング29と、ケーシング29の下端に接続されるとともにインペラ22を内部に格納する吐出ボウル28と、吐出ボウル28の下端に接続されるとともに水を吸い込むための吸い込みベル27とを備えている。
立軸ポンプ3のケーシング29、吐出ボウル28、及び吸い込みベル27の径方向略中心部には、上下二本の軸が軸継手26によって互いに接続されることにより形成された一本の回転軸10が配置されている。
回転軸10は、支持部材を介してケーシング29に固定されている上部軸受32と、支持部材を介して吐出ボウル28に固定されている下部軸受33によって支持されている。回転軸10の一端側(吸い込みベル27側)には、水をポンプ内に吸い込むためのインペラ22が接続されている。回転軸10の他端側は、吐出エルボ30に設けられた孔を通って立軸ポンプ3の外部へ延び、インペラ22を回転させる図示しないエンジンやモータ等の駆動機へ接続される。
回転軸10と吐出エルボ30に設けられた孔との間には、フローティングシール、グランドパッキンまたはメカニカルシール等の軸シール34が設けられており、軸シール34により立軸ポンプ3が扱う水が立軸ポンプ3の外部に流出することを防止する。
駆動機は、保守点検を容易に行うことができるように陸上に設けられる。駆動機の回転は回転軸10に伝達され、インペラ22を回転させることができる。インペラ22の回転によって水は吸込みベル27から吸い込まれ、吐出ボウル28、ケーシング29を通過して吐出エルボ30から吐出される。
図4は、図3に示した軸受32,33に適用される従来の軸受装置の拡大図である。図5は、図4に示す軸受装置に設置されたすべり軸受の斜視図である。図4に示すように、従来の軸受装置は、回転軸10の外周に、ステンレス鋼、セラミックス、焼結金属又は表面改質された金属からなるスリーブ11を有している。スリーブ11の外周側には、中空円筒の樹脂材料、セラミックス、焼結金属又は表面改質された金属からなるすべり軸受1が設けられている。スリーブ11の外周面は、すべり軸受1の内周面(すべり面)と非常に狭いクリアランスを介して対面し、すべり軸受1に対して摺動するように構成されている。すべり軸受1は、金属又は樹脂からなる軸受ケース12によりつば部12aを介してポンプのケーシング29(図3参照)等へ繋がる支持部材13に固定されている。図5に示すように、すべり軸受1は中空円筒状の形状を有しており、内周面1aがスリーブ11の外周面と対面し、外周面1bが軸受ケース12に嵌合される。
図3に示した立軸ポンプ3は、ポンプ起動時には大気中で運転される。すなわち、軸受32,33は液体の潤滑のないドライ条件で運転される。ここでドライ条件とは、ポンプ運転中の軸受32,33の雰囲気が、液体の潤滑がない大気中である条件をいい、ドライ運転とはその条件で運転することをいう。また、図4に示した軸受32,33は軸受に通水した排水条件でも運転される。ここで、排水条件とは、ポンプ運転中の軸受32,33の雰囲気が、土砂等の異物(スラリー)が混入した水中である条件をいい、排水運転とはその条件で運転すること、例えば気水混合運転、全量運転、エアロック運転等をいう。このような条件で軸受32,33が使用される。
尚、図3における立軸ポンプ3は、回転軸10について、軸受32,33が2箇所配置されているが、回転軸10の長さが長くなれば、それに応じてより多くの軸受が配置される。
ところで、近年、ポンプの大容量化が更に進んでおり、それに伴い軸径を太くするようになってきた。そのため、軸受の摺動面の速度は高速化した。
また、ポンプ機場はより深い地下に配置されるようになり、それに応じた先行待機ポンプも長軸化と高揚程化が必要とされてきている。高揚程化に対応するには、回転数をあげる必要があり、また、長軸化に応じて軸径を太くし、剛性を高める必要が生まれてきた。
しかしながら、軸径を太くし、回転数を上げることにより、新たな技術的課題が発生する虞がある。図6(a),(b)は、ポンプ運転時における回転軸10、スリーブ11およびすべり軸受1の状態を示す模式的断面図である。ドライ運転においては、回転軸が従来に比べて高速で回転するので、軸受32,33におけるすべり軸受1と、回転軸10に取り付けたスリーブ11が摺動する際に、接触部で多大な摩擦熱が発生しやすくなり、そこで局所的に高温となる虞がある。図6(a),(b)において斜線部は局所的に高温になる部分である。
このような回転軸に取り付けたスリーブの局所的な高温化は、軸受1の高温化および膨張を引起す虞があるが、ポンプの回転軸10は軸径が太くなり、あるいは長軸化しているので、むしろ、図6(a)に示すように、回転軸10の局所的な膨張により回転軸がわずかに曲がる虞があり、それによりポンプの回転部分と固定部分の干渉による振動や、軸受荷重の増加が起こりやすくなる。すなわち、回転体としてのアンバランス方向に接触し、この接触部が発熱するために軸断面に温度分布が生じ、熱膨張のために軸が曲がる。この際、曲がりにより回転体重心がずれるために回転体全体のアンバランスが徐々に大きくなっていく。また、曲がりにより軸受の当たり方が変化し、各軸受の温度勾配が変化する場合もある。
さらに、軸曲がりによる変位が軸受すきまより大きくなると、図6(b)に示すように、逆位相の2点接触状態となり、曲げ変位が拘束される。さらに熱膨張が続くために押付荷重が上昇するが、荷重上昇⇒発熱量増加⇒熱曲がり加速⇒荷重上昇といった悪循環に陥り、加速度的に軸受温度が上昇する。
そこで、回転軸の曲がりを低減したり、回転軸の高温化する接触部を冷却したりする機能を有する装置あるいは構造が求められる。これらは、大掛かりで複雑な装置ではなく、ポンプ効率への影響、冷却設備とポンプとの組立・分離・調整などの様々な影響を克服した簡便なものが求められる。
以上は、先行待機の例であるが、他にも横軸多段ポンプ、コンプレッサや蒸気タービンなどでも大容量化、高速回転化は進んでおり、これらの機器のラビリンスシール部などの回転部分と固定部分の間隔が狭い部分において、上記説明したような、回転軸の局所的な高温化による回転軸の曲がりと、それに伴う振動(ラビング振動)の発生が危惧されている。
そこで、本発明者らは、このような問題に鑑み、先に特願2014−129688(2014年6月24日出願)の特許出願(未公開)において、回転流体機械の回転軸の支持に使用され、軸受すべり面が大気中に露出するドライ条件で使用されるすべり軸受装置であって、回転軸の外周に固定されたスリーブと、そのスリーブに摺接する軸受すべり面を有したすべり軸受とを備え、スリーブは、回転軸側から断熱層、伝熱層、摺動層の順序で積層した三層構造からなるすべり軸受装置と、回転流体機械の回転軸の支持に使用され、軸受すべり面が大気中に露出するドライ条件で使用されるすべり軸受装置であって、回転軸の外周に固定されたスリーブと、そのスリーブが摺接する軸受すべり面を有したすべり軸受とを備え、スリーブは、回転軸を環状に囲む摺動層と伝熱層があり、摺動層と伝熱層の互いの端部は接しているすべり軸受装置とを提案した。
これらの構造は、回転軸の摺動層表面で発生した摺動摩擦熱が、伝熱性のよい材料による伝熱層に伝わると、伝熱層によって迅速に周方向および軸方向に摺動摩擦熱が拡散し、また、同時に半径方向には断熱性のよい材料によって断熱層を設けることにより、回転軸での摺動摩擦熱の移動を遅らせることができ、これらの効果により、回転軸における局所的な高温化を緩和し、周方向の温度差が付きにくくすることで、熱膨張による軸曲がりを低減することを目的としたものである。また、摺動層と伝熱層の互いの端部は接していることで、接触部の熱を伝熱層に分散して放熱することができ、熱を早く拡散させることができるため、摺動材料の発熱部の温度上昇を緩和することを目的としたものである。
しかしながら、これらの構造には、摺動層の局所高温化する場所から、伝熱層に熱を伝える最短距離は摺動層の厚みであり、摺動層の熱伝導率は小さいので、摺動摩擦による発熱の激しい場合や、摺動層の厚みが必要な場合には、摺動層の局所的な高温化が進行する。
このことにより、摺動層及び、すべり軸受が損傷する虞がある。したがって、摺動層の摺動摩擦による局部高温化を低減する必要があるが、摺動層の局部高温化する場所は予めどこに発生するかわからないので、摺動層のどこで高温化しても対応できるようにしなければならない。
さらに加えて、摺動層、伝熱層、断熱層、及び軸は、互いに性質の異なる材料でできており、これらの各々の熱膨張係数は異なる。常温で組み上がった状態で互いに遊びのない嵌めあいであったとしても、温度が上昇するにつれて各材料の膨張の程度の差が大きくなる。即ち、外層の熱膨張係数が、その内層の熱膨張係数より大きい場合には、両者の間に隙間が生じ易くなり、外層の熱膨張係数が、その内層の熱膨張係数より小さい場合には、外層の材料は内層の材料の膨張により破損したり、あるいは内層の材料が軸方向に延伸したりする虞がある。
また、構造的に見た場合、熱伝導率の高い伝熱層は、比較的全周にわたって均等に温度上昇するので、伝熱層は均等に熱膨張する。しかしながら、摺動層は熱伝導率が小さいので、高温化した部分以外は温度が上昇していない状態であるので、膨張する箇所も偏在している。したがって、伝熱層の熱膨張によるストレスは、摺動層の熱膨張の少ない箇所に集中する。
一方、回転軸はステンレス製であるので、回転軸の熱膨張係数は伝熱層に用いられる材料の熱膨張係数と比較的近いが、回転軸と伝熱層の間には断熱層があるので、伝熱層が摺動層の摩擦熱の流入によって温度上昇しても、回転軸の温度はそれに追随しない。そのため、回転軸の熱膨張は、伝熱層の熱膨張より少ない。したがって、摺動による回転方向の力がかかる部分でありながら、全体的に膨張する伝熱層と回転軸の間に隙間が生じる虞がある。
さらに、このように、3層構造は使用温度範囲に応じて各層の熱膨張、熱収縮による寸法の違いや、熱の伝達に必要な厚みを考慮すると設計が難しく、また組立も難しいので、より簡単な構造が求められていた。
特開2000−352396号公報 特開2005−36692号公報 特開平8−248483号公報
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、回転流体機械において、回転軸の軸径の拡大化あるいは軸の長軸化が進み、軸外周の周速がより高速化しても、すべり軸受と軸の接触部の摩擦熱に伴う局部的高温化を低減し、接触部の熱を速やかに分散して放熱する機能を有するとともに、より簡便な構造のすべり軸受装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明のすべり軸受装置は、回転流体機械の回転軸の支持に使用され、軸受すべり面が大気中に露出するドライ条件で使用されるすべり軸受装置であって、前記回転軸の外周に固定されたスリーブと、前記スリーブが摺接する軸受すべり面を有したすべり軸受とを備え、前記スリーブは、回転軸側から断熱層、摺動層の順序で積層した二層構造からなり、前記摺動層の軸方向の端部に伝熱層を配置し、前記摺動層に、前記伝熱層に接する伝熱流路を設けたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記伝熱流路は、前記摺動層より熱伝導率が大きいことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記摺動層の軸方向の両端部に伝熱層を配置したことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記伝熱流路は、前記摺動層の円周方向に間隔をおいて複数個配置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記伝熱流路は、前記摺動層の軸方向に沿って配置されているか又は前記摺動層の軸方向に対して傾斜して配置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記伝熱流路は、頂辺と底辺とを有する多角形の断面形状を有し、前記頂辺は前記摺動層の外周に露出しているか又は前記摺動層の外周より半径方向内方の位置にあり、前記底辺は前記摺動層内において前記回転軸に対向した位置にあることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記多角形は、頂辺の長さがゼロの三角形を含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記伝熱流路は、略円形の断面形状又は略半円形の断面形状を有することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記摺動層の軸方向の両端部より内側の位置に、前記軸方向と略直交する方向に円環状の伝熱環路を設けたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記伝熱環路は、前記摺動層より熱伝導率が大きいことを特徴とする。
本発明の回転流体機械は、上記すべり軸受装置を用いたことを特徴とする。
本発明のポンプは、上記すべり軸受装置を用いたことを特徴とする。
本発明の回転流体機械用スリーブは、回転流体機械の回転軸に装着されるスリーブであって、前記スリーブは、回転軸側から断熱層、摺動層の順序で積層した二層構造からなり、前記摺動層の軸方向の端部に伝熱層を配置し、前記摺動層の外周側に、前記伝熱層に接する伝熱流路を設けたことを特徴とする。
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)内周から外周に断熱層、摺動層の順序で積層した二層構造のスリーブを回転軸の外周に設けた構造において、摺動層の軸方向の端部に伝熱層を配置し、摺動層に伝熱層に接する伝熱流路を設けたので、より簡便な構造のすべり軸受装置となるとともに、すべり軸受と軸の接触部の摩擦熱に伴う局所的な高温化が摺動層表面のどこで発生しても、摺動層から伝熱層に伝熱するだけでなく発熱部に最寄り(近く)の伝熱流路を介して伝熱するので、速やかに熱を拡散させることができる。
(2)回転流体機械において、回転軸の軸径の拡大化あるいは軸の長軸化が進み、軸外周の周速がより高速化しても、すべり軸受と軸の接触部の摩擦熱に伴う局部的高温化を低減し、接触部の熱を速やかに分散して放熱する機能を有するとともに、より簡便な構造のすべり軸受装置を提供することができる。
図1は、先行待機運転を行う立軸ポンプの部分概略図である。 図2は、先行待機運転の運転状態を説明する図である。 図3は、図1に示した先行待機運転を行う立軸ポンプの全体を示す断面図である。 図4は、図3に示した軸受に適用される従来の軸受装置の拡大図である。 図5は、図4に示す軸受装置に設置されたすべり軸受の斜視図である。 図6(a),(b)は、ポンプ運転時における回転軸およびすべり軸受の状態を示す模式的断面図である。 図7は、背景技術に係るすべり軸受装置の基本構成を示す断面図である。 図8は、図7の三層構造のスリーブを拡大した模式図である。 図9は、本発明のすべり軸受装置の軸方向に切断した断面図である。 図10(a)は、回転軸及びスリーブの外観図であり、図10(b)は、図10(a)のA−A線断面図である。 図11は、図10(a),(b)に示すスリーブにおける発熱部からの伝熱を模式的に示す図である。 図12は、図10(a),(b)に示すスリーブにおける発熱部からの伝熱を模式的に示す図である。 図13は、本発明に係るすべり軸受装置のスリーブの別の態様における発熱部からの伝熱を模式的に示す図である。 図14(a),(b)は、本発明に係るすべり軸受装置のスリーブの更に別の態様を示す図である。 図15(a),(b)は、本発明に係るすべり軸受装置のスリーブの更に別の態様を示す図である。 図16(a),(b)は、本発明に係るすべり軸受装置のスリーブの更に別の態様を示す図である。 図17は、本発明に係るすべり軸受装置のスリーブの更に別の態様を示す図である。 図18は、摺動層の外周に設置された伝熱流路の変形例を示す模式図である。
本発明に係るすべり軸受装置の理解を容易にするため、先に背景技術で説明した特願2014−129688において提案されているすべり軸受装置を図7および図8を参照して説明し、続いて本発明に係るすべり軸受装置の実施形態を図9乃至図18を参照して説明する。図7乃至図18において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図7は、背景技術に係るすべり軸受装置の基本構成を示す断面図である。当該軸受装置は、例えば図3に示した軸受32,33に適用される。図7に示すように、軸受装置は、回転軸10の外周に、各層が異なる性質をもつ同心の三層構造からなるスリーブ11を有している。スリーブ11は回転軸10に固定されており、回転軸10の回転に伴って回転する。スリーブ11の外周に相対してすべり軸受1がスリーブ11を囲んで配置されている。すべり軸受1は、ポンプケーシングなどに接続している支持部材13に軸受ケース12を介して固定されている。
図7に示すように、スリーブ11は、回転軸側から断熱層11A、伝熱層11B、摺動層11Cに積層しており、摺動層11Cの外周がすべり軸受1の内周と相対している。断熱層11Aとは、材料自体の断熱特性を利用する場合も、材料自体は断熱性はなくても構造的に断熱特性を持たせた場合も含んでいる。
断熱層11Aは、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PA(ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)、EP(エポキシ樹脂)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の樹脂及びその複合材料及び/又はNBR(ニトリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、EPDM等のゴムからなる。これらの材料の熱膨張係数はおおむね数十〜百数十(×10-6/℃)である。
伝熱層11Bは、銅、金、銀、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属及びその合金、又は炭素及びその複合材料からなる。これらの材料の熱膨張係数はおおむね10〜20(×10-6/℃)である。
摺動層11Cは、樹脂及びその複合材料、ステンレス鋼、セラミックス、焼結金属、表面改質された金属、炭素及びその複合材料からなる。これらの材料の熱膨張係数は、ステンレス鋼のように10〜20(×10-6/℃)のものもあるが、セラミックス、焼結金属のように10(×10-6/℃)以下のものもある。
尚、回転軸は、ステンレス鋼である。
各層の特徴は、伝熱層11Bは、回転軸10、摺動層11C、断熱層11Aのどれよりも熱伝達が良い。すなわち熱伝達係数が大きい。そして、伝熱層11Bは、その外周の摺動層11Cと接触面積を多くするよう密着している。この構造のため、摺動層11Cのいかなる所に、局部的に摩擦熱が発生し高温になっても、伝熱層11Bが熱を伝えやすいので伝熱層11Bを通じて速やかに伝熱層全体に熱が拡散し、伝熱層全体が均等に温度上昇するようになる。
断熱層11Aは、回転軸10、摺動層11C、に比べて熱伝達が悪い。すなわち熱伝達係数が小さい。このため、摺動層11Cで局所的に発生する摩擦熱が回転軸10までの伝熱ルートの最短距離だけを通して回転軸10に熱を伝えることを防ぐ。伝熱層11Bから熱が回転軸10に容易に伝わらないようにするため、伝熱層11Bの面と回転軸10の面の間に断熱層11Aは介在し、伝熱層11Bが回転軸10に密着することを妨げている。なお、図示するように、断熱層11Aの端部にフランジ状に半径方向外側に延びる部分を形成し、伝熱層11Bと回転軸との直接接触および摺動層11Cと回転軸10との直接接触を防止するようにしてもよい。
伝熱層11Bから熱が回転軸10に容易に伝わらないので、摺動層11Cから伝熱される熱は、いったん伝熱層11Bに溜まり、伝熱層11Bの部位全体で均等に温度上昇できる。
摺動層11Cの摩擦熱に応じて伝熱層11Bの温度が均等に上昇し、回転軸10との温度差が次第につくと、その温度差と断熱層11Aの熱伝達率にみあった熱が回転軸10に流れる。摩擦熱が一定になれば、伝熱層11Bと回転軸10の温度差は一定となる。断熱層11Aの熱伝達率が小さいほど、温度差は大きくなり、回転軸10の温度上昇は小さくなる。
ところで、この構造にはいくつかの課題がある。図8は図7の三層構造のスリーブを拡大した模式図である。この構造では、摺動層11Cの局所高温化する場所から、伝熱層11Bに熱を伝える最短距離は摺動層11Cの厚みであり、熱は白抜き矢印で示したように伝熱層11Bに伝わる。ところが、摺動層11Cの熱伝導率は小さいので、摺動摩擦による発熱の激しい場合や、摺動層11Cの厚みが必要な場合には、摺動層11Cの局所的な高温化が進行する。
このことにより、摺動層11C及び、すべり軸受1が損傷する虞がある。
次に、熱膨張に関しては、概念的な話として、直径が1m程度の回転軸で、摺動摩擦により起動前の停止時の温度から100℃温度上昇する場合、熱膨張係数が1×10-6/℃の材料であれば、約0.1mm延びる。このことを、伝熱層や回転軸にあてはめると、両者の材料は熱膨張係数がほぼ同じで10×10-6/℃なので、同じように温度上昇すれば、約1〜2mm延びることになる。
ところが、回転軸と伝熱層の間には断熱層があるので、回転軸の温度上昇は伝熱層の温度上昇に比べて非常に小さくなり、膨張もそれに応じている。一方、伝熱層の材料は熱伝導率が非常に高いため、摺動層に生じた摩擦熱が伝熱層に伝えられると速やかに熱が伝熱層全域にいきわたり、したがって伝熱層は温度分布が比較的均等な状態を保ちつつ全体的に温度上昇するので、均等に熱膨張する。そのため、摺動により回転方向の力がかかるにもかかわらず、伝熱層と回転軸の間に隙間が生じる虞がある。
また、摺動層の材料は熱膨張係数も熱伝導率も伝熱層の材料よりも小さい。摺動層は、摩擦熱により温度上昇する部分の他は、あまり温度上昇しないので、さらに熱膨張しない。一方、伝熱層の材料は熱伝導率が非常に高く、伝熱層は温度分布が比較的均等に温度上昇するので、均等に熱膨張する。そのため、伝熱層の材料の膨張によるストレスが、摺動層において温度上昇しない膨張しない箇所に集中する虞がある。
そこで、本発明者らは、以上の問題を改善することができる本発明のすべり軸受装置を創案したものである。図9乃至図12は、本発明のすべり軸受装置の一実施態様を示す図である。なお、図9以降の図面では、断熱層11A、伝熱層11B,11B’、摺動層11C、伝熱流路11D等を斜線や網掛け等を用いて区別している。
図9は本発明のすべり軸受装置の軸方向に切断した断面図である。図10(a)は、回転軸及びスリーブの外観図であり、図10(b)は、図10(a)のA−A線断面図である。
図9に示すように、本発明のすべり軸受装置は、回転軸10の外周に、各層が異なる性質をもつ同心の二層構造からなるスリーブ11を有している。スリーブ11は回転軸10に固定されており、回転軸10の回転に伴って回転する。スリーブ11の外周に相対してすべり軸受1がスリーブ11を囲んで配置されている。すべり軸受1は、ポンプケーシングなどに接続している支持部材13に軸受ケース12を介して固定されている。
図9に示すように、本発明では、スリーブ11の構造は、基本的には回転軸側から断熱層11A、摺動層11Cが積層した同心の二層構造である。ただし、摺動層11Cは軸方向の両端面は、回転軸10を取り囲む環状の伝熱層11B,11B’の端面に接触している。断熱層11Aは回転軸1の外周に密着し、摺動層11Cは断熱層11Aの外周に密着している。また、断熱層11Aの外周には伝熱層11B,11B’が密着している。断熱層11Aは、回転軸10、摺動層11C、伝熱層11B,11B’に比べて熱伝達が悪い。すなわち熱伝達係数が小さい。このため、摺動層11Cで局所的に発生する摩擦熱が回転軸10に直接伝えられて、回転軸の温度が偏在化することや、後述するように伝熱層11B,11B’に流入した摩擦熱が回転軸10に直接伝えられて、回転軸の温度が偏在化することを防ぐ。
図10(a),(b)に示すように、摺動層11Cの外周には、図示例では6か所であるが、複数の伝熱流路11Dが配置され、各伝熱流路11Dは軸方向に延びて伝熱層11B,11B’に接触している。伝熱流路11Dは、後述するように摺動層11Cに用いられる材料より熱伝導率の高い材料で構成され、各伝熱流路11Dの面は、摺動層11Cと密着している。
伝熱層11B,11B’は、熱容量を大きくとり、外表面に放熱部11Ba,11Baを設けている。摺動層11Cにおける摩擦熱は、直接伝熱層11B,11B’へ、または伝熱流路11Dを介して伝熱層11B,11B’へ伝熱し、放熱部11Ba,11Baにより外気に放熱される。
尚、伝熱層11B,11B’は、構造上の制約や、放熱部の性能により、必ずしも両方必要なわけではなく、伝熱層11B,11B’のどちらか一方でも構わない。
断熱層11Aは、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PA(ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)、EP(エポキシ樹脂)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の樹脂及びその複合材料及び/又はNBR(ニトリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)、EPDM等のゴムからなる。但し、断熱層11Aとは、材料自体の断熱特性を利用する場合も、材料自体は断熱性はなくても構造的に断熱特性を持たせた場合も含んでいる。
伝熱層11B,11B’と伝熱流路11Dは、必ずしも同じ材料でなくてもよいが、銅、金、銀、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属及びその合金、又は炭素及びその複合材料からなる。
摺動層11Cは、樹脂及びその複合材料、ステンレス鋼、セラミックス、焼結金属、表面改質された金属、炭素及びその複合材料からなる。尚、回転軸は、ステンレス鋼である。
但し、温度条件により伝熱流路11Dが摺動層11Cの外表面から突出することを避けるように、伝熱流路11Dと摺動層11Cの熱膨張係数は、同等程度であることが好ましく、両者に差がある場合には、熱膨張係数の小さい方に対して他方が大きくとも3倍以内の範囲で選ばれることが好ましい。
また、摺動層11Cの熱膨張係数は、回転軸10の熱膨張係数と比べて同等以下であるように選ぶことで、温度上昇した時に両者の間に隙間が生じる虞がなくなる。
各層の特徴は、伝熱層11B,11B’及び伝熱流路11Dが、回転軸10、摺動層11C、断熱層11Aのどれよりも熱伝達が良いことである。すなわち熱伝達係数が大きい。
伝熱流路11Dは、図10(a),(b)において見られるように深さd、幅w、長さHの略直方体である。摺動層11Cの外周に周方向に均等な角度で深さd、幅wの溝が軸方向に設けられ、その溝表面に密着するように伝熱流路11Dが備えられる。
伝熱流路11Dの幅wは、隣り合う伝熱流路11Dの間隔Iよりも小さい。隣り合う伝熱流路11Dの間隔Iは、どの隣り合う伝熱流路Dにおいても同等の長さであることが好ましく、各伝熱流路11Dの幅wは互いに同等の長さであることが好ましい。さらに言えば、各伝熱流路11Dの位置は、軸心の周方向に均等な角度で配置されることが好ましい。
このようにすると、図11に示すように、摺動層11Cの表面における摩擦熱(発熱部)は、二つの最寄り(近く)の伝熱流路11Dと伝熱層11B,11B’に囲まれているので、摺動層11Cのどこで局所高温化しても最寄り(近く)の伝熱流路11Dまでの距離が比較的均等であるので、接触部の熱を速やかに分散して放熱でき、接触部の局所に熱が偏らないようにすることができる。
したがって、構造としては、摺動層11Cと断熱層11Aによる二層構造をとることができ、摺動層11Cと断熱層11Aの間に伝熱層がないので、摺動層11Cの熱膨張係数を回転軸10の熱膨張係数の同等以下であるように選ぶことで、従来のような伝熱層と回転軸の間に隙間が生じる虞がなくなり、温度上昇した時に摺動層11Cと回転軸10の間に隙間が生じる虞がなくなる。
また、二層構造をとることで、三層構造に比べて設計や組み立てが簡単になる。伝熱流路Dは直方体であり、摺動層11Cの溝も簡単な形状であるので、材料の加工及び組立も容易である。
伝熱流路11Dの幅w、深さdによる、熱流路断面積w×dは、想定される摩擦熱と、摺動部の温度上昇の許容値により決められる。
伝熱性能だけを考えれば、摺動層11Cの表面における任意の位置における摩擦熱を、いち早く伝熱層11B,11B’に発散するには、伝熱流路Dの数を増やし、隣り合う伝熱流路11Dの間隔Iをより短くし、伝熱流路11Dの幅w、深さdをより長くとる方が好ましい。
しかしながら、伝熱流路11Dが摺動層11Cの表面に多く占めると、摺動負荷に対する軸受の性能が低下する。
したがって、伝熱流路11Dの数、隣り合う伝熱流路11Dの間隔I、伝熱流路11Dの幅wは、摺動層11Cの軸方向長さHとともに、摺動負荷も考慮して決められる。
図11および図12は、図10(a),(b)に示すスリーブ11における発熱部からの伝熱を模式的に示す図である。
図11および図12に示すように、摺動層11Cの表面における摩擦熱(発熱部)は、二つの最寄り(近く)の伝熱流路11Dと伝熱層11B,11B’に囲まれているので、これらに向けて流れる。熱伝導は、発熱部からの距離に反比例するので、発熱部に近いほど熱流れは多い。
伝熱層11Bから伝熱層11B’までの距離、すなわち伝熱流路11Dの長さHに対して、仮に、隣り合う伝熱流路11Dの間隔Iを等しくした場合、摺動層11Cの発熱部から伝熱層11B,11B’に伝熱するルートが、発熱部から直接伝熱層11B,11B’に伝熱するルート(中央の白抜き矢印で示す)と、隣り合う伝熱流路11Dを介して伝熱層11B,11B’に伝熱するルート(左右の白抜き矢印で示す)の二つになり、伝熱流路11Dがない場合に比べて約2倍の熱量を伝熱層11B,11B’に伝熱することが可能になる。したがって、摺動層11Cの発熱部の温度上昇幅も半分近くに抑えることが可能になる。
このように、伝熱流路11Dの長さHに対して、隣り合う伝熱流路11Dの間隔Iをどの程度にするかにより、摺動層11Cの発熱部から伝熱層11B,11B’に伝熱する量、および摺動層の発熱部の温度上昇幅も決めることができる。
また、熱伝導は、熱流方向に垂直な断面積に比例する。直方体の伝熱流路においては深さdは深い方が熱流方向に垂直な断面積を伝熱流路11Dに増やすことができ、より多くの熱量を受け取ることができる。その意味では、深さdは摺動層11Cの径方向の厚み相当までにしてもよい。
しかしながら、摺動層11Cの熱伝導率は、伝熱流路11Dの熱伝導率に比べて一桁以上小さいので、深さdは摺動層11Cの径方向の厚みの半分から1/3としてもかまわない。同様に、伝熱流路11Dの深さdと幅wの積による伝熱流路11Dの断面積は、それほど大きくとらなくても、熱を伝熱層11B,11B’に輸送する際の妨げにはならないので、伝熱流路11Dの幅wは、摺動層11Cの径方向の厚み程度から、厚みの1/4程度でも構わない。
図13は、本発明に係るすべり軸受装置のスリーブの別の態様における発熱部からの伝熱を模式的に示す図である。図13に示す態様は、伝熱流路11Dの断面形状が、頂辺とそれより長い底辺をもつ図形で、頂辺が摺動層11Cの外周に向いて略接し、底辺が回転軸中心に対向し周方向に広がって摺動層11C内に配置されている態様の一つで、伝熱流路11Dを略三角柱状の形状としたものである。
伝熱流路11Dの三角柱の断面は、二等辺三角形で二等辺による頂点が摺動層11Cの外周に向いて略接している。図示例の場合、頂辺は長さゼロである。二等辺でない底辺は、二等辺の各辺よりも長く、回転軸中心に対向し周方向に広がっている。
摺動層11Cにおける伝熱流路11Dに密着して伝熱流路11Dに対応する孔または溝は、切削加工により形成される。三角柱からなる伝熱流路11Dの各面は、摺動層11Cに密着している。このような構造にすると、二等辺三角形の底辺の端部が、摺動層11Cの発熱部に向けて近づく格好で張り出し、二等辺によって作られる三角柱の面も図13に示すように発熱部からの熱流の方向に略垂直な断面として広く占めることができるので、伝熱流路11Dは、発熱部からの熱をより効率よく受け取ることができる。
また、伝熱流路11Dの頂辺が摺動層11Cの外周表面に向いて略接する構造であるので、頂辺に所定の長さを持たせることにより、摺動層11Cの外周表面を摺動に適した強度と硬度の材料で極力覆い、摩耗に強いスリーブにすることができる。
図14(a),(b)は、本発明に係るすべり軸受装置のスリーブの更に別の態様を示す図である。図14(a)は、回転軸及びスリーブの外観図であり、図14(b)は、図14(a)のA−A線断面図である。図14(a),(b)に示す態様は、伝熱流路11Dの断面形状が、頂辺とそれより長い底辺をもつ図形で、頂辺が摺動層11Cの外周に向いて略接し、底辺が回転軸中心に対向し周方向に広がって摺動層11C内に配置されている別の態様の一つで、伝熱流路11Dを略凸型の断面の八角柱状の形状としたものである。
凸型の頂辺が摺動層11Cの外周に向いて略接し、凸型の底辺は回転軸中心に対向し周方向に広がっている。
図14(a),(b)に示すように構成しても、図13に示す態様における断面が二等辺三角形の場合と同じように、底辺の端部が、摺動層11Cの発熱部に向けて近づく形態で張り出し、凸形状の頂辺と底辺を除く辺によって作られる柱状体の面も、発熱部からの熱流の方向に垂直な断面として広く占めることができるので、伝熱流路11Dは、発熱部からの熱をより効率よく受け取ることができる。
また、伝熱流路11Dの頂辺が摺動層11Cの外周表面に向いて略接する構造であるので、摺動層11Cの外周表面を摺動に適した強度と硬度の材料で極力覆い、摩耗に強いスリーブにすることができる。
さらに、図14(a),(b)に示したように、伝熱流路11Dが配置される部分において、摺動層11Cを二つ割れに分割可能に加工しても、伝熱流路11Dの断面形状による楔効果があるので、スリーブの分解組立が容易に確実に行える。
以上、伝熱流路11Dの断面形状が、頂辺とそれより長い底辺をもつ図形で、頂辺が摺動層11Cの外周に向いて略接し、底辺が回転軸中心に対向し周方向に広がって摺動層11C内に配置されている例を、図13および図14(a),(b)において示したが、これに限るものではなく、伝熱流路11Dの断面形状が、台形の形状、半円形状のもの(この場合、弧の両端を結ぶ直線が底辺、底辺に対向する円弧の頂上が頂辺になる)も含まれる。
図15(a),(b)は、本発明に係るすべり軸受装置のスリーブの更に別の態様を示す図である。図15(a)は、回転軸及びスリーブの外観図であり、図15(b)は、図15(a)のA−A線断面図である。図15(a),(b)に示す態様は、伝熱流路11Dを略円柱形状としたものである。
図15(a),(b)に示すように構成すると、摺動層11Cにおける切削加工はキリ孔加工であり、また、円柱状の伝熱流路11Dも市販品を用いることが可能であるので、組立は更に容易になり、製作期間の短縮やコストの低減に寄与する。
図16(a),(b)および図17は、本発明に係るすべり軸受装置のスリーブの更に別の態様を示す図である。図16(a)は、回転軸及びスリーブの外観図であり、図16(b)は、図16(a)のA−A線断面図である。図17は、図16(a),(b)に示すスリーブを備えた本発明のすべり軸受装置の軸線に平行な断面図である。図16(a),(b)および図17に示す態様は、摺動層11Cの軸方向長さHが長い場合に、その軸方向の中間位置の外周に伝熱環路11Eを設けたものである。
図16(a),(b)および図17に示すように、摺動層11Cの外周には、図示例では6か所であるが、複数の伝熱流路11Dが配置され、各伝熱流路11Dは軸方向に延びて伝熱層11B,11B’に接触している。本例では、摺動層11Cの軸方向長さHが長いので、その軸方向の中間位置の外周に、円環状の伝熱環路11Eを設けている。伝熱環路11Eは、伝熱層11B,11B’および伝熱流路11Dと同等の熱伝導率を有した材料から形成されている。このような伝熱環路11Eを摺動層11Cの軸方向に適宜配置することにより、伝熱層11B,11B’に通じる熱流路が均等に配置されるので、摺動層11Cのいかなる場所で発熱しても、速やかに伝熱層11B,11B’に熱を流すことが可能になり、摺動層11Cに局所的に発生する摺動摩擦とそれによる局所的な高温化を緩和することが可能になる。
図18は、摺動層11Cの外周に設置された伝熱流路11Dの変形例を示す模式図である。図18に示す態様は、伝熱流路11Dを、軸方向に平行に伸ばすのではなく、軸方向と角度θをなして、摺動層11Cの外周側に螺旋を描いて伸ばし、伝熱流路11Dの両端部を伝熱層11B,11B’に接続するようにしたものである。その他の構成については、これまで説明した構成を用いることができる。
このように軸方向と角度θをとることにより、隣り合う伝熱流路11D間の最短距離が短くとれるので、摺動層11Cの発熱部から最寄り(近く)の伝熱流路11Dまでの距離がより短くとれるので、より速やかに伝熱層11B,11B’に熱を流すことが可能になり、摺動層11Cに局所的に発生する摺動摩擦とそれによる局所的な高温化を緩和することが可能になる。
図9乃至図18に示す本発明に係るすべり軸受装置は、図3に示した軸受32,33に適用される。
図3に示した立軸ポンプ3は、ポンプ起動時には大気中で運転される。すなわち、軸受32,33は液体の潤滑のないドライ条件で運転される。ここでドライ条件とは、ポンプ運転中の軸受32,33の雰囲気が、液体の潤滑がない大気中である条件をいい、ドライ運転とはその条件で運転することをいう。また、図4に示した軸受32,33は軸受に通水した排水条件でも運転される。ここで、排水条件とは、ポンプ運転中の軸受32,33の雰囲気が、土砂等の異物(スラリー)が混入した水中である条件をいい、排水運転とはその条件で運転すること、例えば気水混合運転、全量運転、エアロック運転等をいう。このような条件で軸受32,33が使用される。
本発明によれば、立軸ポンプ3において、これまで説明したスリーブ構造をもつすべり軸受装置を備えるので、回転軸径の拡大化あるいは軸の長軸化が進み、軸外周の周速がより高速化しても、すべり軸受1と回転軸10の接触部の摩擦熱に伴う回転軸10の局部的高温化による軸の曲がりを低減するとともに、接触部の熱をよりすみやかに分散して放熱することができるようになるので、すべり軸受1の熱による損傷が低減できる。
以上、本発明に係る具体的実施例を先行待機ポンプを一例として説明した。
ところで、本発明に係るスリーブ、あるいは摺動層と伝熱層の互いの端部が接した状態で摺動層と伝熱層が回転軸を環状に囲む構造のスリーブは、すべり軸受だけでなく、例えば、コンプレッサや蒸気タービンなどの液体の潤滑のない条件で運転する回転流体機械の回転軸に装着してラビリンスシール部などに用いることができる。また、立軸に限らず横軸回転機械にも用いられる。このようにすることにより、スリーブの高温化、回転軸の曲がりをおさえ、回転流体機械の大容量化や、高速回転化を行うことができる。
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
1 すべり軸受
1a 内周面
1b 外周面
3 立軸ポンプ
5 貫通孔
6 空気管
6a 開口
10 回転軸
11 スリーブ
11A 断熱層
11B 伝熱層
11B’ 伝熱層
11Ba 放熱部
11C 摺動層
11D 伝熱流路
11E 伝熱環路
12 軸受ケース
12a つば部
13 支持部材
22 インペラ
26 軸継手
27 吸い込みベル
28 吐出ボウル
29 ケーシング
30 吐出エルボ
32 上部軸受
33 下部軸受
34 軸シール
100 水槽

Claims (13)

  1. 回転流体機械の回転軸の支持に使用され、軸受すべり面が大気中に露出するドライ条件で使用されるすべり軸受装置であって、
    前記回転軸の外周に固定されたスリーブと、
    前記スリーブが摺接する軸受すべり面を有したすべり軸受とを備え、
    前記スリーブは、回転軸側から断熱層、摺動層の順序で積層した二層構造からなり、
    前記摺動層の軸方向の端部に伝熱層を配置し、
    前記摺動層に、前記伝熱層に接する伝熱流路を設けたことを特徴とするすべり軸受装置。
  2. 前記伝熱流路は、前記摺動層より熱伝導率が大きいことを特徴とする請求項1記載のすべり軸受装置。
  3. 前記摺動層の軸方向の両端部に伝熱層を配置したことを特徴とする請求項1記載のすべり軸受装置。
  4. 前記伝熱流路は、前記摺動層の円周方向に間隔をおいて複数個配置されていることを特徴とする請求項1記載のすべり軸受装置。
  5. 前記伝熱流路は、前記摺動層の軸方向に沿って配置されているか又は前記摺動層の軸方向に対して傾斜して配置されていることを特徴とする請求項4記載のすべり軸受装置。
  6. 前記伝熱流路は、頂辺と底辺とを有する多角形の断面形状を有し、前記頂辺は前記摺動層の外周に露出しているか又は前記摺動層の外周より半径方向内方の位置にあり、前記底辺は前記摺動層内において前記回転軸に対向した位置にあることを特徴とする請求項4または5に記載のすべり軸受装置。
  7. 前記多角形は、頂辺の長さがゼロの三角形を含むことを特徴とする請求項6記載のすべり軸受装置。
  8. 前記伝熱流路は、略円形の断面形状又は略半円形の断面形状を有することを特徴とする請求項4または5に記載のすべり軸受装置。
  9. 前記摺動層の軸方向の両端部より内側の位置に、前記軸方向と略直交する方向に円環状の伝熱環路を設けたことを特徴とする請求項1記載のすべり軸受装置。
  10. 前記伝熱環路は、前記摺動層より熱伝導率が大きいことを特徴とする請求項9記載のすべり軸受装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のすべり軸受装置を用いたことを特徴とする回転流体機械。
  12. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のすべり軸受装置を用いたことを特徴とするポンプ。
  13. 回転流体機械の回転軸に装着されるスリーブであって、
    前記スリーブは、回転軸側から断熱層、摺動層の順序で積層した二層構造からなり、
    前記摺動層の軸方向の端部に伝熱層を配置し、
    前記摺動層の外周側に、前記伝熱層に接する伝熱流路を設けたことを特徴とする回転流体機械用スリーブ。
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