JP6470044B2 - がんに対する免疫療法の有効性の予測方法 - Google Patents
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Description
被検者から採取された試料に含まれるゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の遺伝子型を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された遺伝子型に基づいて前記被検者のがんに対するペプチドワクチン療法の有効性を予測する予測ステップと、
を含み、
前記予測ステップでは、
前記決定ステップで決定された遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合には、前記遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法が前記被検者に有効であると予測し、
前記決定ステップで決定された遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合には、前記遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法が前記被検者に有効でないと予測する。
被検者から採取された試料に含まれるゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の遺伝子型を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された遺伝子型に基づいて前記被検者のがんに対するペプチドワクチン療法の有効性を予測する予測ステップと、
を含み、
前記予測ステップでは、
前記決定ステップで決定された遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合には、前記遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法後の前記被検者の生存期間が長いと予測し、
前記決定ステップで決定された遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合には、前記遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法後の前記被検者の生存期間が短いと予測する。
前立腺がん又は消化器がんである、
こととしてもよい。
血液である、
こととしてもよい。
また、前記予測ステップでは、
前記決定ステップで決定された遺伝子型に対応する、前記ペプチドワクチン療法の統計的に有意な有効性を予測する、
こととしてもよい。
ゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の部位を含む連続する少なくとも10塩基を、PCR産物の塩基配列中に含むように設計されたものである。
ゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の部位を含む連続する少なくとも10塩基を塩基配列中に含む核酸、又はその核酸を増幅したPCR産物に相補的な核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするものである。
こととしてもよい。
本発明の第3の観点に係るプライマー対及び本発明の第4の観点に係るプローブの少なくとも一つを含む。
がんに対するペプチドワクチン療法の有効性を予測するために使用されるマイクロチップであって、
被検者から採取されたゲノムDNAを含む試料が注入される注入部と、
前記注入部に注入された試料からゲノムDNAを抽出する抽出部と、
前記抽出部で抽出されたゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の部位を含む領域を増幅する増幅部と、
を備える。
本発明の第6の観点に係るマイクロチップと、
前記マイクロチップで増幅された領域に含まれる前記一塩基多型の遺伝子型を決定する決定部と、
前記決定部で決定された遺伝子型に基づいて前記被検者のがんに対するペプチドワクチン療法の有効性を予測する予測部と、
を備える。
被検者から採取された試料に含まれるゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の遺伝子型を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定された遺伝子型に基づいて前記被検者のがんに対するペプチドワクチン療法の有効性を予測する予測手段と、
を備える。
この場合、前記予測手段は、
前記決定手段で決定された遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合には、前記遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法が前記被検者に有効であると予測し、
前記決定手段で決定された遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合には、前記遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法が前記被検者に有効でないと予測する、
こととしてもよい。
また、前記予測手段は、
前記決定手段で決定された遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合には、前記遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法後の前記被検者の生存期間が長いと予測し、
前記決定手段で決定された遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合には、前記遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法後の前記被検者の生存期間が短いと予測する、
こととしてもよい。
また、前記がんは、
前立腺がん又は消化器がんである、
こととしてもよい。
また、前記試料は、
血液である、
こととしてもよい。
また、前記予測手段は、
前記決定手段で決定された遺伝子型に対応する、前記ペプチドワクチン療法の統計的に有意な有効性を予測する、
こととしてもよい。
また、本発明の第9の観点に係るがんに対する免疫療法の有効性の予測用キットは、
被検者から採取された試料に含まれるゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の遺伝子型を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定された遺伝子型に基づいて前記被検者のがんに対する免疫療法の有効性を予測する予測手段と、
を備えるがんに対する免疫療法の有効性の予測用キットであって、
前記決定手段は、
前記ゲノムDNAにおける前記一塩基多型の部位を含む連続する少なくとも10塩基を塩基配列中に含む核酸、又はその核酸に相補的な核酸を増幅したPCR産物にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするプローブを備え、
前記プローブは、
前記一塩基多型の部位から1塩基5’末端側の部位に対応する塩基がグアニン、アデニン又はチミンである。
また、本発明の第10の観点に係るプローブは、
被検者から採取された試料に含まれるゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の遺伝子型を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された遺伝子型に基づいて前記被検者のがんに対する免疫療法の有効性を予測する予測ステップと、
を含むがんに対する免疫療法の有効性の予測方法に用いるプローブであって、
前記ゲノムDNAにおける前記一塩基多型の部位を含む連続する少なくとも10塩基を塩基配列中に含む核酸、又はその核酸に相補的な核酸を増幅したPCR産物にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、
前記一塩基多型の部位から1塩基5’末端側の部位に対応する塩基がグアニン、アデニン又はチミンである。
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
次に、実施の形態2について説明する。本発明の実施の形態2は、標的塩基を含むゲノムDNAの連続する少なくとも10塩基を、PCR産物の塩基配列中に含むように設計された、上記がんに対する免疫療法の有効性の予測方法に用いるプライマー対である。
本発明の実施の形態3は、標的塩基を含むゲノムDNAの連続する少なくとも10塩基を塩基配列中に含む核酸、又はその核酸に相補的な核酸にハイブリダイズし、上記がんに対する免疫療法の有効性の予測方法に用いるプローブである。
本発明の実施の形態4は、上記プライマー対及び上記プローブの少なくとも一方を含む、がんに対する免疫療法の有効性の予測用キットである。
本発明の実施の形態5に係るマイクロチップ100及び解析装置200について図面を参照して説明する。
本実施例では、ペプチドワクチン療法前の患者について、DNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現プロファイルを解析した。次に、各遺伝子の発現量に基づいて遺伝子を選択した。続いて、選択された遺伝子から免疫又はがんに関連する遺伝子として選択されたHP遺伝子に着目し、HP遺伝子のSNPを解析した。以下実施例について詳細に説明する。
1.患者試料にTRIzol(登録商標) LS(インビトロジェン社製)を3倍量添加し、混濁した。
2.得られた溶液750μlに、200μlのクロロホルムを加え、混濁後、遠心分離した。
3.上清を新しいチューブに移し、上清の0.55倍量のエタノールを添加した。
4.得られた溶液をSV Total RNA Isolation System(プロメガ社製)のカラムにアプライし、フィルターを通した。
5.フィルターを500μlのWashバッファで洗浄した。
6.80μlのヌクレアーゼフリー水でフィルターからRNAを溶出した。
7.分光光度計を用いて、RNAの濃度を測定した。
8.Experionシステム(バイオラッド社製)を用いて、電気泳動によりRNAの質をチェックした。
上記のようにして、予後良好群(ペプチドワクチン療法後の生存期間が900日以上)の患者18名、予後不良群(ペプチドワクチン療法後の生存期間が300日以下)の患者19名から遺伝子発現プロファイルの解析が可能なRNAが得られた。
逆転写による一本鎖cDNAの合成
1.各500μgのRNAを含むチューブにヌクレアーゼフリー水を加え、11μlの溶液を調製した。
2.調製した溶液に9μlのReverse Transcription Master Mixを加え、チューブを42℃で2時間インキュベートした。
1.インキュベート後、80μlのSecond Strand Master Mixをチューブに添加した。
2.チューブを16℃で2時間インキュベートした。
1.インキュベート後、250μlのcDNA Bindingバッファをチューブに添加した。
2.得られた溶液を、cDNA Filter Cartridgeを用いて、遠心によりフィルターに通した。
3.フィルターを500μlのWashバッファで洗浄した。
4.cDNAを、19μlの50〜55℃に予熱しておいたヌクレアーゼフリー水でフィルターから溶出した。
1.7.5μlのIVT Master Mixを、溶出したcDNA溶液を含むチューブに添加した。
2.チューブを37℃で14時間インキュベートした。
3.インキュベート後、75μlのヌクレアーゼフリー水をチューブに添加した。
1.350μlのcRNA Bindingバッファをチューブに添加した。
2.250μlの100%エタノールをチューブに加え、混濁した。
3.得られた溶液を、cRNA Filter Cartridgeを用いて、遠心によりフィルターに通した。
4.フィルターを650μlのWashバッファで洗浄した。
5.cRNAを、100μlの50〜55℃に予熱しておいたヌクレアーゼフリー水でフィルターから溶出した。
6.cRNAの濃度を吸光度で測定後、ハイブリダイゼーション用試料とした。
ハイブリダイゼーション用cRNAの調製
1.500μgのcRNAを含むハイブリダイゼーション用試料にヌクレアーゼフリー水を加え、10μlに調製した。
2.得られた溶液に20μlのGEX‐HYBを加え、65℃で5分間インキュベートした。
1.専用チャンバーにセットしたHumanWG‐6 v3.0 Expression BeadChip(マイクロアレイ)に上記調製済みのcRNA溶液をアプライした。
2.専用チャンバーの蓋を閉めて、55℃で18時間インキュベートした。
1.Wash E1BC溶液中で、マイクロアレイのカバーを外した。
2.マイクロアレイを速やかにスライドラックにセットし、55℃に予熱しておいた1×High‐Temp Washバッファで10分間洗浄した。
3.マイクロアレイをWash E1BC溶液で5分間洗浄した。
4.マイクロアレイをエタノールで5分間洗浄した。
5.マイクロアレイをWash E1BC溶液で5分間洗浄した。
6.染色専用トレイに4mlのブロックE1バッファを入れ、マイクロアレイを1枚ずつセットし、室温で10分間ブロッキングを行った。
7.2mlのブロックE1バッファに対して2μlのストレプトアビジン‐Cy3を、染色専用トレイに加え、マイクロアレイを1枚ずつセットし、室温で10分間染色を行った。
8.マイクロアレイをWash E1BC溶液で5分間洗浄後、遠心により乾燥させた。
1.Ilumina社専用スキャナにマイクロアレイをセットし、標準モードでスキャンを行った。
2.スキャン終了後、専用ソフトウェアBeadStudioを用いて、マイクロアレイ上の各スポットのシグナル強度を数値化した。
各遺伝子の発現量と生存期間との相関及び予後良好群と予後不良群との間の発現変動を基準として遺伝子を選択した。発現変動は、予後良好群の平均発現量を対照として、予後不良群の平均発現量の増加又は減少を評価した。遺伝子の発現量と生存期間との相関の統計学的解析には、Pearsonの積率相関係数、Spearmanの順位和係数を用いた。一方、予後良好群と予後不良群との間の発現変動の統計学解析には、3つの方法、Limma(Tusher VG et al. Significance analysis of microarrays applied to the ionizing radiation response, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2001, 98, 5116-5121)、SAM(Smyth GK, Linear models and empirical bayes methods for assessing differential expression in microarray experiments, Stat Appl. Genet. Mol. Biol., 2004, 3, Article3)、Rank Prod(Breitling R et al. Rank products: a simple, yet powerful,new method to detect differentially regulated genes in replicated microarray experiments, FEBS Lett, 2004, 573, 83-92)を用いた。
上記5つの方法で選択された上位300個の遺伝子から免疫又はがんに関連する遺伝子として選択した39個の遺伝子の遺伝子シンボルを表1に示す。
上記で選択された遺伝子を対象としてSNP解析を行うために、各患者から採取されたヒト末梢血単核球をTrizol(インビトロジェン社)で処理することで得た有機溶媒層から以下の処理によりゲノムDNAを抽出した。
1.有機溶媒層100μlにエタノール100μlを加えて混合し、室温で5分間静置した。
2.4℃、20,000rpmで30分間の遠心後、上清を除去した。
3.沈殿を150μlの0.1Mクエン酸ナトリウム溶液に懸濁し、室温で30分間静置した後、4℃、20,000rpmで20分間の遠心後、上清を除去した。
4.上記3の操作を繰り返した。
5.沈殿を200μlの75%エタノールに懸濁し、室温で20分間静置した後、4℃、20,000rpmで10分間の遠心後、上清を除去した。
6.沈殿を完全に乾燥させた後、15μlの8mM水酸化ナトリウム溶液に溶解し、4℃で15時間静置した後、4℃、1,200rpmで10分間の遠心後、上清を回収してゲノムDNA溶液とした。
上記処理の結果、予後良好群の患者17名、予後不良群の患者21名から配列解析が可能なゲノムDNAが得られ、以下のDNA塩基配列の決定に用いた。
上記で選択された39個の遺伝子の内、HPのプロモータ領域に着目し、以下のダイレクトシークエンス法によりSNPを同定した。
1.まず、ゲノムDNA溶液を鋳型として、PCRによる増幅反応を行った。増幅反応は、2μlのゲノムDNA溶液を用いて、25μlの反応系で行った。増幅反応の条件は、94℃で3分→94℃で30秒→56℃で40秒→72℃で80秒を35サイクル繰り返した後、72℃で3分間とした。反応液の組成を次に示す。
1×Ex Taq Buffer
200μM dNTP Mixture
200nM HP‐F1 primer
200nM HP‐R1 primer
1U TaKaRa Ex Taq HS DNA polymerase(タカラバイオ社)
なお、Hp‐F1 primerの塩基配列は、tcagtgtcaccatgattatcca(配列番号2)、Hp‐R1 primerの塩基配列は、gatttaacacactaagccctttgg(配列番号3)である。
2.増幅反応後のDNA溶液9μlに、1μlのEo‐SAP(GEhealthcare社)を加え、37℃で30分間と80℃で30分間処理した後、BigDye(登録商標) Terminator v3.1 Cycle Sequence Kit(ライフテクノロジーズジャパン社)を用いて配列解析反応を行った。反応系は、当該キットによって提供されたプロトコルに従って調製した。配列解析用のプライマーは、HP‐R1 primerを用いた。
3.配列解析反応によって得られた溶液を用いて、Applied Biosystems 3130によって塩基配列を決定した。
配列決定の結果、HP遺伝子の転写開始点から55塩基上流の塩基にSNP(rs5472)を同定した。同定したSNPの遺伝子型の分布を表2に示す。なお、以下では、rs5472の遺伝子型として、アデニンのホモ接合体を「AA」、グアニンのホモ接合体を「GG」及びアデニンとグアニンのヘテロ接合体を「AG」と省略することもある。
この結果により、当該SNPの遺伝子型がGGの場合には、AG又はAAである場合よりも、ペプチドワクチン療法後の生存期間が長く、ペプチドワクチン療法がより有効であったと言える。その逆に、当該SNPの遺伝子型がAAの場合には、AG又はGGである場合よりも、ペプチドワクチン療法後の生存期間が短く、ペプチドワクチン療法の有効性が乏しい傾向にあると言える。
上記実施例1における予後良好群の患者及び予後不良群の患者に、さらに35名を加えた73名の再燃前立腺がん患者のゲノムDNAにおけるrs5472の遺伝子型を上記実施例1と同様に決定した。
図3は、rs5472の各遺伝子型におけるペプチドワクチン療法開始後の日数に対する前立腺がん患者の生存率を示す。なお、本実施例でのp値は、ログランク検定で算出した。遺伝子型がGGの患者群は、AAの患者群と比較して、有意に生存期間が長かった(p=0.00114、ハザード比=0.4861)。また、AGの患者群は、AAの患者群と比較して、有意に生存期間が長かった(p=0.0259、ハザード比=0.5078)。
ペプチドワクチン療法を受けた胃がん患者43名について、ペプチドワクチン療法の開始後の生存期間とrs5472の遺伝子型との相関について調べた。胃がん患者のヒト末梢血単核球から、上記実施例1と同様にゲノムDNAを抽出し、rs5472の遺伝子型を決定した。
図4は、rs5472の各遺伝子型におけるペプチドワクチン療法開始後の日数に対する胃がん患者の生存率を示す。遺伝子型がGGの患者群は、AAの患者群と比較して、有意に生存期間が長かった(p=0.0444、ハザード比=0.5681)。
リアルタイムかつ高感度でrs5472の遺伝子型を決定するために、表面プラズモン共鳴(SPR)法を用いた。SPR法によるSNPの遺伝子型の決定では、表面にプローブを固定したセンサチップに、標的核酸を含む試料溶液を接触させ、プローブと標的核酸とのハイブリダイゼーションを計測した。
1.まず、rs5472の遺伝子型がAA、GG又はAGであるゲノムDNA溶液(10ng/μl)を鋳型として、PCRによる1次増幅反応を行い、763塩基のPCR産物を得た。1次増幅反応は、1μlのゲノムDNA溶液を用いて、20μlの反応系で行った。増幅反応の条件は、95℃で5分の後、94℃で30秒→59℃で30秒→72℃で20秒を35サイクル繰り返した後、72℃で3分間を経て4℃で終了とした。PCRの反応液の組成を次に示す。
Ex Taq(タカラバイオ社):10.0μl
5μM LEFT Primer:0.4μl
5μM RIGHT Primer:0.4μl
蒸留水:8.2μl
ゲノムDNA溶液:1.0μl
なお、ここでのフォワードプライマーの塩基配列は、agatggccacacacaaggtg(配列番号4)、リバースプライマーの塩基配列は、ccacgggagctgatgacata(配列番号5)である。
Ex Taq(タカラバイオ社):30.0μl
5μM LEFT Primer:12.0μl
0.5μM RIGHT Primer:3.0μl
蒸留水:13.5μl
763塩基のPCR産物の溶液(10000倍希釈):1.5μl
なお、ここでのフォワードプライマーの塩基配列は、ccagggccaaagtttgtaga(配列番号6)、リバースプライマーの塩基配列は、gggcatctgctggtcttttt(配列番号7)である。
なお、Lブロッカーの塩基配列は、cgtaattcctgtgtctacaa(配列番号20)であって、Rブロッカーの塩基配列は、ttatgctgccactagctcac(配列番号21)である。
1.まず、rs5472の部位がアデニン又はグアニンである90塩基の核酸を合成した。rs5472の部位がアデニンである合成核酸の塩基配列は、ccagggccaaagtttgtagacacaggaattacgaaatggagaagggggagaagtgagctagtggcagcataaaaagaccagcagatgccc(配列番号22)である。一方、rs5472の部位がグアニンである合成核酸の塩基配列は、ccagggccaaagtttgtagacacaggaattacgaaatggaggagggggagaagtgagctagtggcagcataaaaagaccagcagatgccc(配列番号23)である。
BiotinSAM膜を形成したセンサチップに、5チャンネル構成のポリジメチルシロキサン(PDMS)を装着しSPR装置にセットした。PBS−T溶液(1倍希釈のPBS及び0.05%TW20)で各チャンネルを十分に洗浄し、各チャンネルにPBS−T溶液を15μl入れ、1分間静置した。PBS−T溶液を取り除き、PBS−T溶液で希釈した0.025mg/mlのAvidin溶液を各チャンネルに15μl入れ、30分間静置した。途中、15分間経過後にピペッティングを行った。Avidin溶液を取り除き、PBS−T溶液で洗浄を行い、PBS−T溶液を15μl入れ、1分間静置した。各チャンネルのPBS−T溶液を取り除き、チャンネルに対応させてアデニン検出用プローブ、グアニン検出用プローブ又はチミン検出用プローブの溶液を15μl入れ、30分間静置した。途中、15分間経過後にピペッティングを行った。各チャンネルの溶液を取り除き、PBS−T溶液で洗浄を行い、PBS−T溶液を15μl入れ、1分間静置した。
プローブを固定後、5チャンネル構成のPDMSを測定用PDMSに取り替え、センサチップ上に形成された反応槽を200μlのランニングバッファで洗浄し、200μlのランニングバッファを反応槽に入れ、ランニングバッファを反応槽に入れて45秒後の共鳴角を測定し、反応前の共鳴角とした。ランニングバッファを取り除き、上記で調製した100μlのPCRサンプル、合成核酸サンプルA又は合成核酸サンプルGを反応槽に入れ、ピペッティングし、5分間静置した。その後、PCRサンプル等を取り除き、反応槽を200μlのランニングバッファで洗浄し、200μlのランニングバッファを反応槽に入れ、ランニングバッファを反応槽に入れて45秒後の共鳴角を測定し、反応後の共鳴角とした。なお、測定後は、ランニングバッファを取り除き、20mMの水酸化ナトリウム溶液を反応槽に入れてピペッティングし、ランニングバッファで洗浄して、次のサンプルの測定を行った。
反応前後の共鳴角の差である共鳴角の変化の大きさ(以下、単に「共鳴角変化量」とする)としてハイブリダイゼーションの強さを定量した。なお、共鳴角変化量は、単位をRUとする共鳴信号の強度で表され、1000RU=0.1°である。
2 テーブル
3 制御部
4 蓋
5 蓄圧器
6 電磁弁
7 チューブ
8 電源部
9 解析部
10a、10b ピン穴
21a、21b ピン
22 温度調整部
23 測定部
41 ヒンジ
42 加圧穴
43 電磁石
100 マイクロチップ
101 試料注入部
102 洗浄バッファ注入部
103 PCR試薬注入部
104 抽出部
105 排出口
106 PCR部
107 流路
200 解析装置
Claims (19)
- 被検者から採取された試料に含まれるゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の遺伝子型を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された遺伝子型に基づいて前記被検者のがんに対するペプチドワクチン療法の有効性を予測する予測ステップと、
を含み、
前記予測ステップでは、
前記決定ステップで決定された遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合には、前記遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法が前記被検者に有効であると予測し、
前記決定ステップで決定された遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合には、前記遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法が前記被検者に有効でないと予測する、
がんに対する免疫療法の有効性の予測方法。 - 被検者から採取された試料に含まれるゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の遺伝子型を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された遺伝子型に基づいて前記被検者のがんに対するペプチドワクチン療法の有効性を予測する予測ステップと、
を含み、
前記予測ステップでは、
前記決定ステップで決定された遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合には、前記遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法後の前記被検者の生存期間が長いと予測し、
前記決定ステップで決定された遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合には、前記遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法後の前記被検者の生存期間が短いと予測する、
がんに対する免疫療法の有効性の予測方法。 - 前記がんは、
前立腺がん又は消化器がんである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のがんに対する免疫療法の有効性の予測方法。 - 前記試料は、
血液である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のがんに対する免疫療法の有効性の予測方法。 - 前記予測ステップでは、
前記決定ステップで決定された遺伝子型に対応する、前記ペプチドワクチン療法の統計的に有意な有効性を予測する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のがんに対する免疫療法の有効性の予測方法。 - ゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の部位を含む連続する少なくとも10塩基を、PCR産物の塩基配列中に含むように設計された、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のがんに対する免疫療法の有効性の予測方法に用いるプライマー対。 - ゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の部位を含む連続する少なくとも10塩基を塩基配列中に含む核酸、又はその核酸に相補的な核酸を増幅したPCR産物にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のがんに対する免疫療法の有効性の予測方法に用いるプローブ。 - 前記一塩基多型の部位から1塩基5’末端側の部位に対応する塩基がグアニン、アデニン又はチミンである、
ことを特徴とする請求項7に記載のプローブ。 - 請求項6に記載のプライマー対、請求項7に記載のプローブ及び請求項8に記載のプローブの少なくとも一つを含む、
がんに対する免疫療法の有効性の予測用キット。 - がんに対するペプチドワクチン療法の有効性を予測するために使用されるマイクロチップであって、
被検者から採取されたゲノムDNAを含む試料が注入される注入部と、
前記注入部に注入された試料からゲノムDNAを抽出する抽出部と、
前記抽出部で抽出されたゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の部位を含む領域を増幅する増幅部と、
を備えるマイクロチップ。 - 請求項10に記載のマイクロチップと、
前記マイクロチップで増幅された領域に含まれる前記一塩基多型の遺伝子型を決定する決定部と、
前記決定部で決定された遺伝子型に基づいて前記被検者のがんに対するペプチドワクチン療法の有効性を予測する予測部と、
を備える解析装置。 - 被検者から採取された試料に含まれるゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の遺伝子型を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定された遺伝子型に基づいて前記被検者のがんに対するペプチドワクチン療法の有効性を予測する予測手段と、
を備えるがんに対する免疫療法の有効性の予測用キット。 - 前記予測手段では、
前記決定手段で決定された遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合には、前記遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法が前記被検者に有効であると予測し、
前記決定手段で決定された遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合には、前記遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法が前記被検者に有効でないと予測する、
ことを特徴とする請求項12に記載のがんに対する免疫療法の有効性の予測用キット。 - 前記予測手段は、
前記決定手段で決定された遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合には、前記遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法後の前記被検者の生存期間が長いと予測し、
前記決定手段で決定された遺伝子型がアデニンのホモ接合体の場合には、前記遺伝子型がグアニンのホモ接合体又はヘテロ接合体の場合よりも、前記ペプチドワクチン療法後の前記被検者の生存期間が短いと予測する、
ことを特徴とする請求項12又は13に記載のがんに対する免疫療法の有効性の予測用キット。 - 前記がんは、
前立腺がん又は消化器がんである、
ことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載のがんに対する免疫療法の有効性の予測用キット。 - 前記試料は、
血液である、
ことを特徴とする請求項12乃至15のいずれか一項に記載のがんに対する免疫療法の有効性の予測用キット。 - 前記予測手段は、
前記決定手段で決定された遺伝子型に対応する、前記ペプチドワクチン療法の統計的に有意な有効性を予測する、
ことを特徴とする請求項12乃至16のいずれか一項に記載のがんに対する免疫療法の有効性の予測用キット。 - 被検者から採取された試料に含まれるゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の遺伝子型を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定された遺伝子型に基づいて前記被検者のがんに対する免疫療法の有効性を予測する予測手段と、
を備えるがんに対する免疫療法の有効性の予測用キットであって、
前記決定手段は、
前記ゲノムDNAにおける前記一塩基多型の部位を含む連続する少なくとも10塩基を塩基配列中に含む核酸、又はその核酸に相補的な核酸を増幅したPCR産物にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするプローブを備え、
前記プローブは、
前記一塩基多型の部位から1塩基5’末端側の部位に対応する塩基がグアニン、アデニン又はチミンである、
がんに対する免疫療法の有効性の予測用キット。 - 被検者から採取された試料に含まれるゲノムDNAにおける、米国バイオテクノロジー情報センターのSNPデータベースにrs5472として登録された一塩基多型の遺伝子型を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された遺伝子型に基づいて前記被検者のがんに対する免疫療法の有効性を予測する予測ステップと、
を含むがんに対する免疫療法の有効性の予測方法に用いるプローブであって、
前記ゲノムDNAにおける前記一塩基多型の部位を含む連続する少なくとも10塩基を塩基配列中に含む核酸、又はその核酸に相補的な核酸を増幅したPCR産物にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、
前記一塩基多型の部位から1塩基5’末端側の部位に対応する塩基がグアニン、アデニン又はチミンである、
プローブ。
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