[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、図1ないし図11を参照して説明する。
図1および図2は、専用の機械室を不要としたマシンルームレスエレベータ1(以下、エレベータと称する)を開示している。エレベータ1は、建屋に設けられた昇降路2を有している。
乗り籠3および釣合錘4が昇降路2に配置されている。乗り籠3および釣合錘4は、夫々昇降体の一例である。乗り籠3は、昇降路2に固定した第1のガイドレール5a,5bを介して昇降路2に昇降動可能に支持されている。釣合錘4は、昇降路2に固定した第2のガイドレール6a,6bを介して昇降路2に昇降動可能に支持されている。
図1に示すように、昇降路2の上端部に支持梁7が設置されている。さらに、トラクションシーブ8を有する巻上機9が支持梁7の上に固定されている。
本実施形態によると、乗り籠3および釣合錘4は、図3に示すように例えば三本のメインロープ10a,10b,10cを介して昇降路2に吊り下げられている。メインロープ10a,10b,10cの一方の端部11aは、第1のガイドレール5bの上端に固定した第1のロープヒッチ12に連結されている。メインロープ10a,10b,10cの他方の端部11bは、支持梁7に固定した第2のロープヒッチ13に連結されている。
各メインロープ10a,10b,10cの中間部11cは、乗り籠3に設けた一対の籠上シーブ14a,14b、巻上機9のトラクションシーブ8および釣合錘4に設けた一対の錘シーブ15a,15bに連続的に巻き掛けられている。さらに、各メインロープ10a,10b,10cの中間部11cは、第1のそらせシーブ16および一対の第2のそらせシーブ17a,17bを介して昇降路2内での走行方向が案内されている。
したがって、巻上機9のトラクションシーブ8でメインロープ10a,10b,10cを巻き上げたり、巻き戻すことで、乗り籠3および釣合錘4がつるべ式に摩擦駆動される。
図3に示すように、トラクションシーブ8に巻き掛けられたメインロープ10a,10b,10cは、支持梁7を間に挟むようにしてトラクションシーブ8の下方に向けて真っ直ぐに引き回されている。トラクションシーブ8から引き出された三本のメインロープ10a,10b,10cは、互いに間隔を存して一列に並んでいる。
トラクションシーブ8の付近では、トラクションシーブ8が有するロープ溝によりメインロープ10a,10b,10cの走行方向が案内されている。そのため、走行するメインロープ10a,10b,10cの振れが無視できる程度に小さいとともに、隣り合うメインロープ10a,10b,10cの間のピッチPが一定に保たれている。
本実施形態によると、保護カバー18が巻上機9に取り付けられている。保護カバー18は、トラクションシーブ8の外周面に設けられた複数のロープ溝とメインロープ10a,10b,10cとの間に異物が噛み込まれるのを防止する要素であって、トラクションシーブ8に巻き掛けられたメインロープ10a,10b,10cと向かい合っている。
さらに、保護カバー18は、メインロープ10a,10b,10cの並び方向に沿うスリット18aを有している。スリット18aは、トラクションシーブ8の上方においてメインロープ10a,10b,10cの並び方向に真っ直ぐに延びている。
乗り籠3および釣合錘4を昇降路2に吊り下げるメインロープ10a,10b,10cは、エレベータ用ワイヤーロープの一例である。メインロープ10a,10b,10cは、互いに共通の構成を有するので、一本のメインロープ10aを代表して説明する。
図4に示すように、メインロープ10aは、抗張力部材としてのロープ本体20と、ロープ本体20を全長に亘って全面的に被覆する外部被覆層21と、を主要な要素として備えている。
ロープ本体20は、複数本の鋼鉄製ストランド(以下、ストランドと称する)22を所定のピッチで撚り合わせることで構成されている。外部被覆層21は、例えばポリウレタンのような耐摩耗性および高摩擦係数を有する熱可塑性の樹脂材で形成され、隣り合うストランド22の間の隙間に充填されている。
さらに、外部被覆層21は、円形の断面形状を有するとともに、メインロープ10aの表面23を規定している。表面23は、前記各シーブ8,14a,14b,15a,15b,16,17a,17bに巻き掛けられた時に、これらシーブ8,14a,14b,15a,15b,16,17a,17bに対し摩擦を伴いながら接触するようになっている。
図5に示すように、複数の指標25が外部被覆層21の表面23に形成されている。指標25は、メインロープ10aの伸びを表示するための要素であって、メインロープ10aの長手方向に一定の間隔を存して並んでいる。隣り合う指標25の間の距離(間隔)は、例えば500mmである。各指標25は、例えば外部被覆層21の周方向に連続した実線あるいは間欠的な破線で規定されている。
なお、指標25の間の距離(間隔)は、500mmに限らず、これよりも狭くても、広くてもよい。さらに、各指標25の態様は、実線あるいは破線に限らず、メインロープ10aの伸びを表示するための要素ならば他の線種でもよい。
本実施形態によると、指標25は、例えば印刷等の簡便な手段で外部被覆層21の表面23の上に形成されている。指標25の色は、例えばレーザ光を外部被覆層21の表面23に照射した時に、表面23で反射された光の強度と指標25で反射された光の強度との間に明確な差異が生じるように、表面23の色と異ならせることが望ましい。
ところで、メインロープ10a,10b,10cは、使用期間の経過に伴ってストランド22の間の隙間およびストランド22を構成する複数の素線間の隙間が減少する。これにより、ストランド22や素線が互いに摩擦を繰り返し、ストランド22や素線の摩耗・断線が進行する。
特に、メインロープ10a,10b,10cが前記各シーブ8,14a,14b,15a,15b,16,17a,17bを通過する部分では、メインロープ10a,10b,10cが各シーブ8,14a,14b,15a,15b,16,17a,17bとの接触に基づく摩擦を繰り返し受ける。このため、メインロープ10a,10b,10cの摩耗・断線の進行具合は、メインロープ10a,10b,10cがシーブ8,14a,14b,15a,15b,16,17a,17bを通過しない部分に比べて大きい。これにより、メインロープ10a,10b,10cのロープ径が減少したり、メインロープ10a,10b,10cに局部的な伸びが生じる。
したがって、メインロープ10a,10b,10cの伸びと強度低下率との関係を明確化し、メインロープ10a,10b,10cの中でも劣化が最大となる箇所の伸びを検出することで、メインロープ10a,10b,10cの強度を管理することができる。
さらに、エレベータ1では、メインロープ10a,10b,10cの強度が規定値を下回った時にロープ交換の時期となる。そのため、強度低下に対応するメインロープ10a,10b,10cの伸び量を交換基準とすることで、ストランド22の摩耗状態を目視できない状況下においてもメインロープ10a,10b,10cを安全に使用することができる。
一方、本実施形態のエレベータ1は、メインロープ10a,10b,10cの劣化具合を診断するための診断装置30を装備している。図2に概略を示すように、診断装置30は、ロープ測長装置31、エンコーダ32、演算装置33および表示装置34を含んでいる。
ロープ測長装置31は、メインロープ10a,10b,10cに形成された指標25を光学的に検出するための要素であって、図3に示すように、巻上機9のトラクションシーブ8の周囲に配置されている。ロープ測長装置31は、ブラケット36、少なくともメインロープ10a,10b,10cの本数に対応した第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cおよびメインロープ10a,10b,10cの本数に対応した三つの光電センサ38を主要な要素として備えている。
ブラケット36は、巻上機9を支持する支持梁7に固定されている。ブラケット36は、トラクションシーブ8から下向きに真っ直ぐに引き回された三本のメインロープ10a,10b,10cに向けて突出されている。ブラケット36の突出端部は、支持梁7の外側方に位置されており、当該ブラケット36の突出端部にアタッチメント受け部42が形成されている。アタッチメント受け部42は、垂直に起立されたフラットな支持面42aを有している。
図6ないし図9に示すように、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、メインロープ10a,10b,10cの並び方向に沿って取り外し可能に連結されている。第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、互いに共通の構成を有するため、第1のアタッチメント37aを代表して説明する。
第1のアタッチメント37aは、中空の四角い箱形の要素であって、例えば電気絶縁性を有する合成樹脂材料で形成されている。第1のアタッチメント37aは、第1の連結面43a、第2の連結面43b、第1の設置面44aおよび第2の設置面44bを有している。
第1の連結面43aおよび第2の連結面43bは、夫々垂直に起立されたフラットな面であって、メインロープ10a,10b,10cの並び方向に間隔を存して向かい合うように互いに平行に配置されている。
第1の設置面44aは、メインロープ10a,10b,10cの並び方向に水平に延びるフラットな面であって、第1のアタッチメント37aの上端に位置されている。第2の設置面44bは、同じくメインロープ10a,10b,10cの並び方向に水平に延びるフラットな面であって、第1のアタッチメント37aの下端に位置されている。そのため、第1の設置面44aおよび第2の設置面44bは、メインロープ10a,10b,10cの長手方向に間隔を存して向かい合うように互いに平行に配置されている。
図9に最もよく示されるように、導電性を有する連結金具47が第1のアタッチメント37aに設けられている。連結金具47は、第1の係合部48および軸部49を有している。第1の係合部48は、第1のアタッチメント37aの第1の連結面43aの中央部から突出された円柱状の柱部50と、柱部50の先端部の外周面から放射状に張り出す複数の第1の係合片51と、を有している。
図10Aに示すように、第1の係合片51は、柱部50の周方向に等間隔を存して並んでいるとともに、第1の連結面43aから離れている。このため、第1の連結面43aと第1の係合片51との間には、柱部50の周方向に連続する第1の溝部52が形成されている。
軸部49は、柱部50と同軸状に形成されているとともに、第1のアタッチメント37aの内部に収容されている。軸部49は、第1の連結面43aから第2の連結面43bに向けて延びている。軸部49の先端部には、接触子54が形成されている。
図9および図10Bに示すように、第2の係合部55が第1のアタッチメント37aの第2の連結面43bに形成されている。第2の係合部55は、第2の連結面43bに開口する円形の凹部56と、凹部56の開口縁から径方向内側に向けて放射状に張り出す複数の第2の係合片57と、を有している。第2の係合片57は、凹部56の周方向に等間隔を存して並んでいる。
隣り合う第2の係合片57の間には、第1の係合片51を避けるような形状に切り欠かれた複数の逃げ部58が形成されている。逃げ部58は、凹部56の周方向に等間隔を存して並んでいるとともに、第1の係合片51に対し凹部56の周方向にずれている。
さらに、第2の係合片57は、凹部56の終端面から離れている。凹部56の終端面と第2の係合片57との間には、凹部56の周方向に連続する第2の溝部59と、第2の溝部59を横断するストッパ壁60と、が形成されている。加えて、本実施形態では、凹部56の終端面の中央部に貫通孔61が形成されている。貫通孔61は、第1のアタッチメント37aの内部に開口されている。
図9に示すように、第1のアタッチメント37aは、第1の係合部48を第2のアタッチメント37bの第2の係合部55に係合させることで、第2のアタッチメント37bに取り外し可能に連結される。
詳しく述べると、まず、第1のアタッチメント37aの第1の係合片51と、第2のアタッチメント37bの逃げ部58とを互いに合致させる。この状態で第1のアタッチメント37aの第1の連結面43aを第2のアタッチメント37bの第2の連結面43bに突き合わせる。これにより、第1の係合部48が第2の係合部55に入り込み、柱部50および第1の係合片51が凹部56の終端面に突き当たる。
次に、第1のアタッチメント37aおよび第2のアタッチメント37bを柱部50の周方向に相対的に回動させる。この回動により、第1の係合片51が第2の溝部59に入り込み、第2の係合片57と凹部56の終端面との間で摺動可能に挟持されるとともに、第1の係合片51がストッパ壁60に突き当たる。
この結果、第1のアタッチメント37aおよび第2のアタッチメント37bが隙間なく一体的に連結される。第1のアタッチメント37aおよび第2のアタッチメント37bが連結された状態では、第1のアタッチメント37aの第1の設置面44aと第2のアタッチメント37bの第1の設置面44aとが同一平面上に位置される。同様に、第1のアタッチメント37aの第2の設置面44bと第2のアタッチメント37bの第2の設置面44bとが同一平面上に位置される。
第2のアタッチメント37bと第3のアタッチメント37cとは、前記と同様の手順で一体的に連結される。これにより、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cがメインロープ10a,10b,10cの並び方向に沿うように一列に連結された状態に維持される。
図9に最もよく示されるように、支持梁7に固定されたブラケット36は、柱部63および複数の係合片64を備えている。柱部63および係合片64は、第1のアタッチメント37aの柱部50および第1の係合片51と同一の構造及び形状を有している。
具体的に述べると、柱部63は、アタッチメント受け部42の支持面42aの中央部から突出されている。複数の係合片64は、柱部63の先端部の外周面から放射状に張り出すとともに、柱部63の周方向に等間隔を存して並んでいる。係合片64と支持面42aとの間には、第1のアタッチメント37aの第2の係合片57が入り込む第3の溝部65が形成されている。第3の溝部65は、柱部63の周方向に連続している。
したがって、一列に連結された第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cのうち、端に位置された第1のアタッチメント37aは、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cの相互間を連結する際の手順と同様の手順でブラケット36のアタッチメント受け部42に一体的に連結される。
この結果、図5および図6に示すように、一列に連結された第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、トラクションシーブ8の付近でメインロープ10a,10b,10cと個々に向かい合うようにブラケット36を介して支持梁7に固定されている。
さらに、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cがブラケット36を介して支持梁7に固定された状態では、図7に示すように第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cから第1ないし第3のメインロープ10a,10b,10cまでの距離Lが一定に保たれている。
一列に並んだ第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cがアタッチメント受け部42に連結されると、第1のアタッチメント37aでは、軸部49の先端の接触子54が貫通孔61を通じてアタッチメント受け部42の柱部63の端面に突き当たる。
第2のアタッチメント37bでは、軸部49の先端の接触子54が貫通孔61を通じて隣り合う第1のアタッチメント37aの柱部50の端面に突き当たる。同様に第3のアタッチメント37cでは、軸部49の先端の接触子54が貫通孔61を通じて隣り合う第2のアタッチメント37bの柱部50の端面に突き当たる。
したがって、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cの第1の係合部48およびアタッチメント受け部42の柱部63は、互いに協働して電源供給経路および信号経路を構成している。
図6ないし図8に示すように、前記光電センサ38は、第1のアタッチメント37aおよび第3のアタッチメント37cの第1の設置面44a、第2のアタッチメント37bの第2の設置面44bに夫々選択的に取り付けられている。光電センサ38は、検出器の一例であって、メインロープ10a,10b,10cの外部被覆層21の表面23に向けてレーザ光を照射する発光部70と、表面23で反射された反射光を受光する受光部71と、を備えている。発光部70および受光部71は、メインロープ10a,10b,10cの長手方向に間隔を存して配置されている。
受光部71は、メインロープ10a,10b,10cの長手方向に破線Bで示す範囲内の反射光に対して検出感度を有している。そのため、外部被覆層21の表面23の指標25にレーザ光が照射されると、受光部71に向かう反射光の強度が増大する。これにより、光電センサ38は、指標25を光学的に検出するとともに、指標25を検出したことを示す検出信号を出力する。
各光電センサ38は、図示しないリード線を介して第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cが有する連結金具47の軸部49に電気的に接続されている。したがって、本実施形態では、連結金具47を介して光電センサ38に対する電源の供給が行われるとともに、光電センサ38から出力される検出信号が送出されるようになっている。
図6および図8に示すように、第1のブラケット72が第2のアタッチメント37bの第1の設置面44aに選択的に取り付けられている。第1のブラケット72は、第2のアタッチメント37bの上方に向けて突出されている。ローラ軸73が第1のブラケット72の突出端部に支持されている。ローラ軸73は、メインロープ10a,10b,10cの並び方向に沿って水平に配置されている。
三つのローラ74がローラ軸73の上に回転自在に支持されている。ローラ74は、メインロープ10a,10b,10cの振れを抑制するロープガイドの一例であって、第1のアタッチメント37aおよび第3のアタッチメント37cに取り付けられた光電センサ38よりも高い位置でメインロープ10a,10b,10cの外部被覆層21の表面23と向かい合っている。この場合、ローラ74は、外部被覆層21の表面23に転がり接触していてもよいし、外部被覆層21の表面23から僅かに離れていてもよい。
図7および図8に示すように、第1のアタッチメント37aおよび第3のアタッチメント37cの第2の設置面44bに夫々第2のブラケット75が選択的に取り付けられている。第2のブラケット75は、第1のアタッチメント37aおよび第3のアタッチメント37cの下方に向けて突出されている。ブラシ支持軸76が第2のブラケット75の突出端部の間に架け渡されている。ブラシ支持軸76は、メインロープ10a,10b,10cの並び方向に沿って水平に配置されている。
三つの清掃ブラシ77がブラシ支持軸76の上に回転自在に支持されている。清掃ブラシ77は、メインロープ10a,10b,10cの外部被覆層21の表面23を清掃する清掃具の一例であって、第2のアタッチメント37bに取り付けられた光電センサ38よりも低い位置でメインロープ10a,10b,10cの外部被覆層21の表面23に接している。
本実施形態によると、メインロープ10a,10b,10cは、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cと支持梁7との間を通過している。このため、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cがメインロープ10a,10b,10cとの支持梁7との間の手狭な空間に入り込むことはない。
この結果、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cの周囲が広く開放され、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cに対する光電センサ38、ローラ74および清掃ブラシ77の取り付け作業ならびに保守・点検に要する作業を容易に行うことができる。
診断装置30を構成する前記エンコーダ32は、図2に示すように乗り籠3に固定されている。エンコーダ32は、第1のガイドレール5aに転がり接触する検出ローラ32aを有している。乗り籠3を建屋の最上階と最下階との間で昇降動させると、エンコーダ32は、乗り籠3の昇降動に同期してメインロープ10a,10b,10cの走行量に応じたパルス信号を出力する。
さらに、診断装置30を構成する前記演算装置33は、光電センサ38から出力される検出信号をトリガにして、その間にエンコーダ32から出力されるパルス信号のカウント値に基づいて隣り合う指標25の間の距離を演算する。演算装置33によって演算された指標25の間の距離は、表示装置34に表示される。
具体的に述べると、エレベータ1の点検運転時に乗り籠3を建屋の最上階と最下階との間で昇降動させると、乗り籠3および釣合錘4を昇降路2に吊り下げているメインロープ10a,10b,10cが一定の速度でゆっくりと走行する。メインロープ10a,10b,10cの走行に同期してエンコーダ32からパルス信号が出力される。演算装置33は、エンコーダ32から出力されるパルス信号の数を逐次カウントする。
さらに、メインロープ10a,10b,10cの走行に伴って外部被覆層21の表面23に設けられた指標25が光電センサ38によって光学的に検出される。演算装置33は、光電センサ38によって指標25が検出された時のタイミングで現時点のパルス信号のカウント値を確認し、当該カウント値に基づいて隣り合う指標25の間の距離を算出する。
以降同様にして、乗り籠3が最下階から最上階又は最上階から最下階に到達するまでの間、指標25の検出タイミングでパルス信号のカウント値を確認し、そのカウント値から指標25の間の距離を順次算出する。
ところで、エレベータ据え付け時においては、メインロープ10a,10b,10cに設けられた複数の指標25は、メインロープ10a,10b,10cの長手方向に等間隔で配列されている。したがって、メインロープ10a,10b,10cに伸びが生じていない時点では、パルス信号のカウント値は、エレベータ据え付け時の指標間の距離に対応した基準値とほぼ一致する。
これに対し、メインロープ10a,10b,10cに伸びが生じている場合には、パルス信号のカウント値は、指標間の距離に対応した基準値を超えることになる。
図11は、パルス信号と指標間の距離との関係を説明する図であり、(a)は、メインロープ10a,10b,10cの走行に同期して出力されるパルス信号を示し、(b)は、エレベータ据え付け時の指標間の距離を示し、(C)は、メインロープ10a,10b,10cに伸びが生じた時の指標間の距離を示している。
エレベータ据え付け時の指標間の距離でパルス信号をカウントした時の基準値をnパルスとすると、メインロープ10a,10b,10cが劣化していない場合には、点検運転によって得られるカウント値は、エレベータ据え付け時のnパルスと多少の誤差を含み略同じである。
ところが、メインロープ10a,10b,10cに伸びが生じていると、点検運転で得られるカウント値は、エレベータ据え付け時の指標間の距離に対応したnパルスよりも多くなる。
このため、演算装置33は、測定された指標間の距離に基づいてメインロープ10a,10b,10cの伸びに起因する劣化具合を判定し、判定結果に応じた処理を実行する。
第1の実施形態のエレベータ1によると、少なくともメインロープ10a,10b,10cの本数に対応した数の第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cがメインロープ10a,10b,10cの並び方向に沿うように一列に取り外し可能に連結され、当該第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cにメインロープ10a,10b,10cの指標25を光学的に検出する光電センサ38が選択的に取り付けられている。
このため、例えばメインロープの本数が増減した場合でも、メインロープの本数に合わせてアタッチメントの数を調整することで、メインロープと向かい合う位置に光電センサ38を容易に設置することができる。したがって、ロープ測長装置31は、メインロープの本数の変化に対しても無理なく対応することができ、汎用性が向上する。
さらに、本実施形態によると、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cの第1の設置面44a又は第2の設置面44bに、光電センサ38ばかりでなくローラ74あるいは清掃ブラシ77を選択的に自由に取り付けることができる。このため、光電センサ38の付近で第1ないし第3のメインロープ10a,10b,10cの振れを抑制したり、外部被覆層21の表面23を清掃することができる。
よって、外部被覆層21の表面23に設けられた指標25を光電センサ38によって確実に検出することができ、隣り合う指標25の間の距離の変化に基づくメインロープ10a,10b,10cの劣化具合を精度よく判定することができる。
しかも、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、第1の係合部48の係合片51を第2の係合部55の逃げ部58に挿入した状態で、柱部50の軸回り方向に相対的に回動させることで取り外し可能に連結される。そのため、格別な工具類を用いることなく第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cを一体的に連結したり、互いに分離することが可能となり、アタッチメントの数を簡単に変更することができる。
第1の実施形態において、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cを含むロープ測長装置31は、支持梁7に固定することに限らず、例えばトラクションシーブ8を覆う保護カバー18に固定してもよい。この場合、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、保護カバー18のスリット18aに沿って配置するとよい。
さらに、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、巻上機9のトラクションシーブ8の周囲に配置することに限らず、例えば釣合錘4の一方の錘シーブ15aの付近、あるいは乗り籠3の一方の籠上シーブ14aの付近に配置しても何ら差支えない。
[第1の実施形態の変形例1]
図12Aおよび図12Bは、第1の実施形態の変形例1を開示している。変形例1は、隣り合う第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cの間に夫々スペーサ80を介在させたことを特徴としている。
図12Bに示すように、スペーサ80は、中空の四角い箱状の要素であって、メインロープ10a,10b,10cの並び方向に互いに間隔を存して起立する一対の側面81a,81bを有している。側面81a,81bの間の距離によって規定されるスペーサ80の幅寸法Wは、例えばメインロープ10a,10b,10cの間のピッチPよりも小さく設定されている。
連結金具82がスペーサ80に設けられている。連結金具82は、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cに設けられた連結金具47と同一の構成を有している。スペーサ80は、連結金具82を介して第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cに取り外し可能に連結される。
すなわち、連結金具82は、第1の係合部83および軸部84を有している。第1の係合部83は、スペーサ80の一方の側面81aの中央部から突出された円柱状の柱部86と、柱部86の先端部の外周面から放射状に張り出す複数の第1の係合片87と、を有している。第1の係合片87は、柱部86の周方向に等間隔を存して並んでいるとともに、側面81aから離れている。このため、側面81aと第1の係合片87との間には、第1の溝部88が形成されている。第1の溝部88は、柱部86の周方向に連続している。
軸部84は、柱部86と同軸状に形成されているとともに、スペーサ80の内部に収容されている。軸部84は、一方の側面81aから他方の側面81bに向けて延びており、当該軸部84の先端部に接触子89が設けられている。
第2の係合部91がスペーサ80の他方の側面81bに形成されている。第2の係合部91は、第1および第2のアタッチメント37a,37bの第1の係合部48が取り外し可能に入り込む要素であって、他方の側面81bに開口する円形の凹部92と、凹部92の開口縁から径方向内側に向けて放射状に張り出す複数の第2の係合片93と、を有している。第2の係合片93は、凹部92の周方向に等間隔を存して並んでいる。隣り合う第2の係合片93の間には、第1の係合片87を避けるような形状に切り欠かれた複数の逃げ部(図示せず)が形成されている。
さらに、第2の係合片93は、凹部92の終端面から離れている。凹部92の終端面と第2の係合片93との間には、第2の溝部94と、第2の溝部94を横断するストッパ壁(図示せず)と、が形成されている。加えて、凹部92の終端面の中央部に貫通孔95が形成されている。貫通孔95は、スペーサ80の内部に開口されている。
したがって、スペーサ80は、第1の実施形態で開示した第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cの相互間を連結する際の手順と同様の手順で第1のアタッチメント37aと第2のアタッチメント37bとの間、および第2のアタッチメント37bと第3のアタッチメント37cとの間に一体的に介在される。
この結果、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cおよびスペーサ80がメインロープ10a,10b,10cの並び方向に沿うように一列に連結された状態に維持される。
このような構成によれば、スペーサ80の存在により、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cがスペーサ80の幅寸法Wに対応した分だけ互いに遠ざかる。そのため、ロープ測長装置31をメインロープ10a,10b,10cのピッチPが異なる他のエレベータに適用する場合、幅寸法Wが異なる数種類のスペーサ80を用意するとともに、スペーサ80の中から最適な幅寸法Wを有するスペーサ80を選択し、当該スペーサ80を第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cの間に介在させる。
これにより、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cの間の間隔をメインロープ10a,10b,10cのピッチPに合わせて調節することができる。よって、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cに取り付けられた光電センサ38をメインロープ10a,10b,10cに対向させることができ、メインロープ10a,10b,10cのピッチPの変化に対しても無理なく対応できる。
[第1の実施形態の変形例2]
図13は、第1の実施形態の変形例2を開示している。変形例2は、光電センサ38の取り付け角度をメインロープ10a,10b,10cの長手方向に沿うように上下方向に調整可能としたことを特徴としている。
図13は、第3のアタッチメント37cに取り付けられた光電センサ38を代表して示している。光電センサ38は、角度調整用のトルクヒンジ100を介して第3のアタッチメント37cの第1の設置面44aの上に取り付けられている。
トルクヒンジ100は、光電センサ38が取り付けられた第1のブラケット101と、第3のアタッチメント37cの第1の設置面44aの上に取り付けられた第2のブラケット102と、第1のブラケット101と第2のブラケット102との間に跨るヒンジ軸103と、を主要な要素として備えている。
ヒンジ軸103は、メインロープ10a,10b,10cの並び方向に沿って水平に配置されている。第1のブラケット101および第2のブラケット102は、ヒンジ軸103の周方向に相対的に回動可能であり、当該回動時に一定のブレーキ力が発生するようになっている。
これにより、第1のブラケット101は、ヒンジ軸103を支点に第1の設置面44aに近づいたり遠ざかる方向に回動可能であるとともに、第1の設置面44aに対し上下方向に任意の角度αで傾斜した姿勢に保持されるようになっている。
このような構成によれば、光電センサ38は、トルクヒンジ100を介して第3のアタッチメント37cの第1の設置面44aの上に支持され、メインロープ10a,10b,10cに対する上下方向の角度αが任意に変更可能となっている。
このため、光電センサ38を傾けることで、メインロープ10a,10b,10cの外部被覆層21の表面23で反射された反射光の経路上に受光部71を精度よく位置させることができる。したがって、光電センサ38が例えばメインロープ10a,10b,10cの背後にある構造物等からの反射光の影響を受け難くなり、外部被覆層21の表面23の指標25を正しく検出することができる。
[第1の実施形態の変形例3]
図14および図15は、第1の実施形態の変形例3を開示している。変形例3は、光電センサ38が水平面内で回動可能に設置されたことを特徴としている。
図14および図15は、第3のアタッチメント37cに取り付けられた光電センサ38を代表して示している。ターンテーブル110が第3のアタッチメント37cの第1の設置面44aに水平に配置されている。
ターンテーブル110は、第1の設置面44aの上に収まる大きさを有するとともに、鉛直方向に延びた回動軸111を中心にメインロープ10cの周方向に回動可能に第3のアタッチメント37cに支持されている。光電センサ38は、ターンテーブル110と一体的に回動するように、当該ターンテーブル110の上に取り付けられている。
そのため、光電センサ38は、メインロープ10a,10b,10cの並び方向に首を振るように回動可能であるとともに、所定に向きに回動された姿勢に保持されるようになっている。
このような構成によれば、光電センサ38は、ターンテーブル110を介して第3のアタッチメント37cの第1の設置面44aの上に支持されている。そのため、光電センサ38を第3のアタッチメント37cに対して垂直な回動軸111を中心に回動させることで、メインロープ10cの外部被覆層21の表面23で反射された反射光の経路上に受光部71を精度よく位置させることができる。
したがって、光電センサ38が例えばメインロープ10a,10b,10cの背後にある構造物等からの反射光の影響を受け難くなり、外部被覆層21の表面23の指標25を正しく検出することができる。
[第2の実施形態]
図16は、第2の実施形態を開示している。第2の実施形態は、メインロープ10a,10b,10cの径方向に対向する位置に一組のロープ測長装置31A,31Bを配置した点が前記第1の実施形態と相違している。ロープ測長装置31A,31Bの具体的な構成は、第1の実施形態のロープ測長装置31と何等変わりがないので、第1の実施形態のロープ測長装置31と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図16に示すように、一組のロープ測長装置31A,31Bがメインロープ10a,10b,10cを間に挟んで向かい合っているので、ロープ測長装置31A,31Bが有する光電センサ38の間をメインロープ10a,10b,10cが通過している。
さらに、本実施形態では、ロープ測長装置31A,31Bのローラ74は、光電センサ38の真上でメインロープ10a,10b,10cを径方向から挟み込むように向かい合うことにより、メインロープ10a,10b,10cの振れを抑制している。
同様に、ロープ測長装置31A,31Bの清掃ブラシ77は、光電センサ38の真下でメインロープ10a,10b,10cを径方向から挟み込むことにより、外部被覆層21の表面23に付着した塵埃等の異物を除去している。
前記第1の実施形態によると、メインロープ10a,10b,10cに設けられた指標25の一部が欠損している場合に、指標25が光電センサ38の検出範囲から外れてしまい、検出漏れが発生する可能性がある。
しかるに、第2の実施形態では、ロープ測長装置31A,31Bの光電センサ38がメインロープ10a,10b,10cを径方向から挟むように向かい合っているので、たとえ指標25の一部が欠損していたとしても、いずれかの光電センサ38で指標25を検出することができる。
しかも、ロープ測長装置31A,31Bのローラ74は、光電センサ38の真上でメインロープ10a,10b,10cを径方向から挟み込んでいる。このため、光電センサ38の付近でメインロープ10a,10b,10cの振れおよび自転が抑制され、指標25が光電センサ38の検出範囲から逸脱するのを回避できる。
加えて、ロープ測長装置31A,31Bの清掃ブラシ77は、光電センサ38の真下でメインロープ10a,10b,10cを径方向から挟み込んでいる。そのため、光電センサ38の付近でメインロープ10a,10b,10cの外部被覆層21の表面23に付着した異物が排除され、指標25の箇所で反射した反射光の強度と、指標25から外れた箇所で反射した反射光の強度との差異が明確となる。
このことから、一組のロープ測長装置31A,31Bをメインロープ10a,10b,10cを間に挟んで向かい合うように配置することで、外部被覆層21の表面23の指標25を正しく検出することができる。よって、メインロープ10a,10b,10cの劣化具合を判定する上での信頼性が向上する。
[第3の実施形態]
図17および図18は、第3の実施形態を開示している。第3の実施形態は、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cを専用の支持部材200を用いて一列に並べた点が前記第1の実施形態と相違している。第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、四角い箱形の構造物であればよく、前記第1の実施形態で必須となる第1の係合部48および第2の係合部55を必要としない。
図17および図18に示すように、支持部材200は、図示を省略するが、前記第1の実施形態の支持梁に固定されている。支持部材200は、支持梁に固定されたステー201と、少なくともメインロープ10a,10b,10cに対応した数のアタッチメント収容部202a,202b,202cと、を有している。アタッチメント収容部202a,202b,202cは、個々にメインロープ10a,10b,10cと向かい合うように、メインロープ10a,10b,10cの並び方向に沿って一列に並べられているとともに、最も端に位置する一つのアタッチメント収容部202aがステー201の先端に固定されている。
各アタッチメント収容部202a,202b,202cは、四つの角部を有する四角い枠部203と、枠部203の四つの角部から延出された第1ないし第4の腕部204a,204b,204c,204dと、を備えている。
枠部203は、メインロープ10a,10b,10cと向かい合うように起立されている。第1ないし第4の腕部204a,204b,204c,204dは、枠部203の角部からメインロープ10a,10b,10cの反対側に向けて水平に突出されているとともに、互いに間隔を存して平行に配置されている。
そのため、アタッチメント収容部203a,203b,203cは、第1ないし第4の腕部204a,204b,204c,204dの突出端の間で規定される挿入口205を有している。アタッチメント収容部202a,202b,202cの挿入口205は、メインロープ10a,10b,10cの反対側に位置されている。
第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、挿入口205を通じてアタッチメント収容部201a,201b,201cに取り外し可能に収容される。第1のアタッチメント37aがアタッチメント収容部202aに収容された状態では、第1の連結面43aと第1の設置面44aとで規定される角部が第1の腕部204aの内面で摺動可能に受け止められ、第1の連結面43aと第2の設置面44bとで規定される角部が第2の腕部204bの内面で摺動可能に受け止められている。
さらに、第2の連結面43bと第1の設置面44aとで規定される角部が第3の腕部204cの内面で摺動可能に受け止められ、第2の連結面43bと第2の設置面44bとで規定される角部が第4の腕部204dの内面で摺動可能に受け止められている。
第2および第3のアタッチメント37b,37cにしても、前記第1のアタッチメント37aと同様に第1ないし第4の腕部204a,204b,204c,204dの内面で摺動可能に受け止められている。
したがって、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、夫々第1ないし第4の腕部204a,204b,204c,204dで囲まれた状態でアタッチメント収容部202a,202b,202cに保持されている。
図18に示すように、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cがアタッチメント収容部202a,202b,202cに保持された状態では、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cに取り付けられた光電センサ38がメインロープ10a,10b,10cと向かい合っている。
さらに、支持部材200は、アタッチメント収容部202a,202b,202cに保持された第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cからメインロープ10a,10b,10cまでの距離が一定となるように支持梁に固定されている。
このような構成によれば、光電センサ38が取り付けられた第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、支持部材200のアタッチメント収容部202a,202b,202cに取り外し可能に収容されている。アタッチメント収容部202a,202b,202cは、メインロープ10a,10b,10cと向かい合った位置で一列に並んでいる。
このため、メインロープの本数が変化した場合は、メインロープの本数に対応した数のアタッチメント収容部を有する支持部材を用意し、各アタッチメント収容部に光電センサ38が取り付けられたアタッチメントを収容する。これにより、メインロープと向かい合う位置に光電センサ38を設置でき、メインロープの本数の変化に対しても無理なく対応することができる。
なお、本実施形態において、エレベータに用いられる最大数のメインロープに対応した数のアタッチメント収容部を予め準備し、メインロープの数が変動した場合に、メインロープと向かい合う位置にあるアタッチメント収容部を選択するとともに、当該アタッチメント収容部に光電センサが取り付けられたアタッチメントを収容するようにしてもよい。
[第4の実施形態]
図19は、第4の実施形態を開示している。第4の実施形態は、アタッチメント37a,37b,37cを支持する支持部材300の構成が第3の実施形態と相違している。
図19に示すように、支持部材300は、前記第1の実施形態の支持梁に固定されたステー301と、一対のガイドレール302a,302bと、を備えている。ガイドレール302a,302bは、ステー301の一端からメインロープ10a,10b,10cの並び方向に突出されている。
さらに、ガイドレール302a,302bは、垂直に起立されているとともに、メインロープ10a,10b,10cの並び方向と直交する方向に互いに間隔を存して平行に配置されている。そのため、ガイドレール302a,302bの間には、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cを収容するスペースSが確保されている。スペースSの一端は、ブラケット301の一端によって閉鎖されている。スペースSの他端は、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cが挿入される挿入口303を規定している。
第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、挿入口303からガイドレール302a,302bの間のスペースSに順次挿入される。第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cの挿入方向は、メインロープ10a,10b,10cの並び方向と一致している。
スペースSに挿入された第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、メインロープ10a,10b,10cと向かい合う位置で、例えばねじのような複数の締結具を介してガイドレール302a,302bに固定される。第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cがガイドレール302a,302bに固定された状態では、第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cからメインロープ10a,10b,10cまでの距離が一定に保たれている。
このような構成によれば、光電センサ38が取り付けられる第1ないし第3のアタッチメント37a,37b,37cは、メインロープ10a,10b,10cの並び方向に沿ってスライド可能にガイドレール302a,302bの間のスペースSに挿入される。このため、メインロープの本数が増減した場合は、メインロープの本数に合わせてスペースSに挿入されるアタッチメントの数を調整することで、メインロープと向かい合う位置に光電センサ38を容易に設置することができる。
さらに、メインロープのピッチPが変化した場合は、メインロープの位置に合わせてアタッチメントをスライドさせることで、メインロープと向かい合う位置に光電センサ38を容易に設置することができる。
したがって、メインロープの本数の変化あるいはメインロープ間のピッチPの変化に対しても無理なく対応することができ、汎用性が向上する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。