JP2005512921A - 外面マーキング付き吊り上げベルト - Google Patents

外面マーキング付き吊り上げベルト Download PDF

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Abstract

エレベーターシステムにおける耐荷重アセンブリ(26)はアセンブリの外面に複数の検出可能なマーキング(40)を含む。監視装置は少なくともひとつの検出器(38)を有し、アセンブリの長さに沿ってマーキングの位置を検出する。マーキング同士の間隔の変化はベルト(26)の荷重状態を示し、またベルトの交換が必要かどうかに対するベルトの状態を判断することができる。さまざまなマーキングとさまざまな検出装置が開示されている。

Description

本発明は一般的にエレベーターシステム内にあるロープやベルトなどの耐荷重アセンブリに関する。特に、本発明はそのアセンブリの状態に関する情報を提供するための識別可能なマーキングを有する耐荷重アセンブリに関する。
エレベーターシステムは一般的に、細長い耐荷重部材を用いて連結された、かごとカウンターウェイトとを有する。典型的な耐荷重部材として、鋼製ロープ、より最近では合成繊維のロープや高分子化合物被覆強化ベルトなどの複合要素のロープが挙げられる。高層ビルでのエレベーター使用の増加に伴い、鋼製ロープを用いた構造と比較して、その重量対強度比率のために高分子化合物被覆強化ベルトの使用増加要求が上がってきている。
エレベーターシステムにおける耐荷重部材の点検はいくつかの方法で行われてきた。従来の鋼製ロープでは、手作業の視覚によるロープの点検によって、鋼製ロープの一部の素線が擦り切れたり、傷ついたりまたは擦り減ったことを、技術者が判断する。しかしながら、この点検方法はロープの外側の部分に限られており、ロープの内部の素線の状態に関してはいかなる兆候も見出せない。その上、この検査方法はやや困難で時間がかかり、耐荷重構造の全長の完全な検査が常に出来るわけではない。
より新しいロープに対して視覚による点検技術を用いることにも同様な限界がある。例えば高分子化合物被覆強化ベルトは、一般的により糸を覆っているジャケットやコーティングの為に視覚による点検ができない。そのような耐荷重構造の点検を容易にするいくつかの新案が提案されてきた。一例は米国特許第5,834,942号に示されており、該特許では少なくとも一本のカーボンファイバーが耐荷重部材に含まれている。電流がそのファイバーに流される。そのファイバーの電圧を測定する事によって耐荷重部材の状態に関する判断が下される。しかしながら、この案は耐荷重部材の長さに沿った最大のひずみ位置に関するいかなる情報も提供しないという点で制限がある。さらに、カーボンファイバーを通る伝導率の低下が耐荷重部材のひずみや損傷に直接の相互関係があるということを保証する方法はない。そのような構造の他の欠点は時間の経過による耐荷重部材の劣化に関する質的情報がないことである。
エレベーターシステムにおける耐荷重部材の状態を判断するための改良された構成および方法が必要とされている。本発明はその問題に対し独自の解決法を提案する。
大まかに言えば、本発明はエレベーターシステムに使われる耐荷重アセンブリである。本発明の構造は複数の細長い耐荷重部材を含む。ジャケットは少なくとも部分的に耐荷重部材を被っている。複数の検出可能なマーキングは少なくともジャケットの一側面に縦に一定の間隔で配置されている。マーキングはアセンブリが初期状態であるときジャケットの側面に沿ってある間隔をおいて配置されている。少なくとも二つのマーキング間の間隔はアセンブリの状態の変化に応じて変わる。
マーキング間の間隔の変化は、伸びやひずみや疲労状態を示す。本発明の構成はアセンブリの状態の定期的な点検を可能とし、システムのメンテナンスやベルトの交換が必要かどうか判断する。さらに、本発明の構成はアセンブリの性能履歴に関するデータを収集することも可能にする。
マーキングは本発明のアセンブリのジャケットに様々な方法で付けられる。例えば、レーザーによるマーキング、エッチング、スタンプおよび塗装が用いられてもよい。マーキングの種類や選択されたマーキングの技術は、いくぶん、選ばれる監視や点検の技術や設備によって決まるであろう。
一例では、ペアのマーク同士は選択された間隔で置かれるが、ペア同士の間隔は必ずしも調整されるわけではない。ペアのマークの間隔は厳密に調整されていることが好ましく、その変化を監視することによって、マーク付近のアセンブリの状態の兆候を見分けることが出来る。
本発明の様々な特徴と利点が、以下にある現時点での好ましい実施例の詳細な説明によって当業者には明らかになるであろう。
図1はエレベーターシステム20を概略的に図示している。当該分野で知られているように、例えばエレベーターかご22は着床場所と建物との間の昇降路24を通って移動する。耐荷重アセンブリ26はかごが通常の方法で移動するとき、かご22を支持する。
様々な耐荷重アセンブリ26が本発明の範囲内で使用可能である。その例としては、フラットベルトが挙げられ、その中のいくつかは複数の耐荷重部材を覆う高分子化合物製のジャケットを有している。他の種類のベルトやロープも本発明の実施例で使用されてもよい。「ベルト」や「ロープ」という言葉は本説明で使用される場合、厳密な意味で解釈されるべきではない。
監視装置30は、耐荷重アセンブリ26の状態を監視するように耐荷重アセンブリ26に対して戦略的に位置決めされる。監視装置30は、例えばエレベーター技術者などによって用いられる、遠隔に配置されたコンピューターモジュール32と通信してもよい。あるいは(さらに図示された例に加えて)監視装置30はかご22と関連するコントローラー34と通信する。このようなコントローラーは既知であるが、構成内に含まれているものは好ましくは特別な事態のために必要とされた時に監視装置と通信するようプログラムされている。長期にわたって監視装置30が昇降路24内に置かれるような例では、要求に応じて、かご22に関連する特定の耐荷重アセンブリ26に関する履歴データが集められメモリ34に記憶されてもよい。
図2で概略的に図示されているように、監視装置30はエンハンサー36と検出器38とを有する。耐荷重アセンブリ26はアセンブリ26の外面に沿って複数のマーキング40を有する。マーキングは、好ましくはアセンブリ26のジャケットの少なくとも片側に付けられている。検出器38はマーキングの位置を監視し、マーキング同士の間隔に関する情報を提供することが可能である。エンハンサー36は検出器によるより良い検出を促進する。例えば、マーキング40が視覚による検出が可能で検出器38がカメラの場合、エンハンサー36は検出器38の視野42内にあるアセンブリ26の一部を照らすライトである。選択された検出器38の種類とエンハンサー36が必要であるか否かは、アセンブリ26の特別な構造とマーキング40の種類による。
耐荷重アセンブリ26の外面にあるマーキング40は耐荷重アセンブリ26の状態に関する検出可能な兆候を提供する。マーキング同士の距離や間隔が変化するとき、それは耐荷重アセンブリの状態の変化を示す。例えばアセンブリ26に負荷がかかって伸びた場合、間隔は変化するであろう。同様に耐荷重アセンブリがひずんだり疲労が起こったりすると、アセンブリのある領域が伸び、それに関連するマーキング同士の間隔に変化があるだろう。
様々な種類のマーキングが本発明の範囲内において使用されてもよい。図2の例は円形のマーキング40を示す。図3の例は線状のマーキング40を示す。検出器38がマーキングとそれぞれに対応する耐荷重アセンブリ26上の位置を識別できるのであれば、どんな幾何学的な形や図形が選択されてもよい。
マーキング40は様々な方法で取り付けられてよい。一例では、マーキングは耐荷重アセンブリ26のジャケットの外面に塗装されている。他の例ではジャケットの外面に反射性材料が付けられる。他の例ではアセンブリ26の外面にマーキングを付ける為にレーザーが使われる。マーキングはアセンブリ26の表面に打ち込まれたりエッチングされたりされてもよい。他の選択肢として、インパクト装置、鋳込み、プレス加工、または加熱による型押しなどを用いてマークを付けることも挙げられる。耐荷重アセンブリ26の外面の材料によって、マーキングの検出可能な特性がアセンブリ26の予想寿命を超えて損なわれずにいるように、適切なマーキングが選択される。
マーキング40は、例えば耐荷重アセンブリの伸びやコンプライアンスに関する情報を提供することにより、耐荷重アセンブリ26の状態を示す。図3から理解できるように、監視装置30はマーキング同士の距離を測定する。図3の例では距離Xはマーキング40Bと40Cとの間と、40Cと40Dとの間でそれぞれ測定される。距離X+δはマーキング40Dと40Eとの間である。変化δの量を決定し、それを所定の基準値と比較することによって、マーキング40Dと40Eの間のセクションに対応するアセンブリ26の部分がひずんだのか、もしくはアセンブリの交換を必要とするほど損害を受けているのか判断が下される。例えば、変化δはエレベーターシステムの負荷状況によるものであって、必ずしもアセンブリの質や適合性の低下によるものではないという可能性もある。
いくつかの例では、マーキング40は好ましくはアセンブリ26に沿って縦に大変規則正しい間隔で配置されている。そのような例ではアセンブリ26が初期状態の時、すなわち製造後で且つまだエレベーターシステムでの稼動前においては、それぞれの隣接するマーキング同士の距離は好ましくは一定、もしくは許容差内である。
他の例では、マーキング40は必ずしも調整された間隔で配置されるわけではない。そのような例では監視装置30がベルトの初期と思われる状態のときに隣接するマーキング同士の間隔に関する情報を収集し、後の比較のためにそのデータを記録する。そのような例では二つのマーキング間の測定は、同じ二つのマーキング間の次の測定と比較され、間隔に変化があるかどうか判断する。それぞれのマーキング同士が最初に異なった間隔を有する可能性があるので、監視装置30はそれぞれの個々のマーキングと、隣接するマーキングに対するベルトアセンブリ26上の位置と、を記録できることが好ましい。そのような例では、監視装置30がマーキング間の違いを区別できるように、マーキングに独自の識別子が組み込まれている。
他の例では、選択されたペア間の測定が耐荷重アセンブリの状態に関する望まれる情報を提供するように、マーキングのペアは高度に調整された間隔で設定される。そのような例では特定のペアのマーキング間の間隔は好ましくは調整されるが、異なったペア間の間隔は規則的である必要は無い。なぜなら、ペアとなったマーキング同士の測定のみがアセンブリの状態を判断する為に使われるからである。
図4は調整された間隔dでマーキングのペアを作成する装置50を概略的に図示している。構造52は二つのマーキング装置54および56を支持している。図示された例ではマーキング装置はレーザーであり、マーキング60と62を耐荷重アセンブリの外面に付ける。マーキング装置54と56は調整された距離dに設定されているので、結果としてベルトジャケット上のマーキングもまた距離dに設定される。マーキングのペアがベルトの選択された長さに沿って配置されるように、ベルト26は装置54と56に対してスライドまたは移動されてもよい。そのような構造によって、測定目的に合わせたマーキング間の正確な距離が可能となる。
図5を参照すると、マーキングの第一のペアであるマーキング60Aと62Aとは距離d離れている。60Bと62Bのマーキングの第二のペアも距離d離れている。しかしながら、マーキングのペア間の距離は統一されている必要はなく、距離dと同じである必要も無い。検出器38がマーキング60および62に関する情報を集める場合、それぞれのペアの設定されたマーキング間の距離のみが利用されて、アセンブリの状態に関する判断を下す。
例えば図5で示されているように、マーキングのペアはペアの始まりとペアの終わりとの間で、何らかの区別をつけることが好ましい。図5の例ではマーキング60Aおよび60Bは直線であるが、62Aおよび62Bは破線である。監視装置30は好ましくは、マーキング60Aおよび60Bがマーキングのペアの始まりを示し、マーキング62Aおよび62Bがそれぞれのマーキングの終わりに相当するということを認識するようにプログラムされている。ペアを見分ける方法には、ペアである二つのマーキングを取り囲む視野42を有する単一の検出器38が挙げられる。あるいは、二つの個々の検出器38が用いられてもよい。この場合、各検出器がペアのマーキングの一方を認識することを許容する空間的な関係を有し、各ペアのマーキング間の距離を決定するために適切なプログラミングが用いられる。
図5の例では、マーキングのペアは重複しない。ある例ではマーキングの重複は望ましい、もしくは必要なことかもしれない。そのような状況では、監視装置30がマーキングのペアを認識できるように、マーキングの区別が行われることが好ましい。そのような例が図6で示され、マーキング60Aと60Bはアセンブリの外面に直線上に並ぶ一方で、マーキング62Aと62Bも互いにずれて直線上に並ぶ。この例ではマーキング60Aと62Aが測定のペアとなる。同様に、マーキング60Bと62Bもペアとなる。監視装置30は好ましくは、マーキングの横方向の位置を認識して、どのマーキングがペアかを決定し、適切な測定を行うための情報を収集するようにプログラムされている。
監視装置30がマーキングの適切なペアを認識し、測定を行うために必要な情報を収集できるようにするため、多様なマーキングの形状や区別する方法が提供されてもよい。この説明を読むことによって当業者は、それぞれ特有の状況のニーズを満たす為の適切な構成を実現することが可能であろう。
さまざまなマーキングの方法がある。耐荷重アセンブリは連続動作でマーキング装置を通過させられてもよく、徐々に移動またはスライドされてもよい。アセンブリがどのように単一もしくは複数のマーキング装置を通過するかに関わらず、マーキングが付けられているアセンブリの領域に均一な長手方向の張力を保つことが望まれる。
マーキング間の間隔を調整する方法にはさまざまな方法がある。上述したように、ペアのマーキング装置は所定間隔をあけて使われる。あるいは、光学センサーやデジタルもしくは他のカメラを用いて特定の空間的配置で既に付けられたマークの検知や、たとえば回転式エンコーダーや他の機械的センサーからのアセンブリの線状移動の表示に応じて、マーキング装置はアセンブリ上に新しいマークを付けるように起動されてもよい。
マーキングは、アセンブリの外表面の特徴や外観と対照して、色や反射力や表面のきめ、または別の物理的な形態によってアセンブリ外側の一般的な表面と区別されてもよい。
様々な検出器38が使用されてもよい。一例では、デジタルアレイカメラが利用される。なぜなら、それらは適切なレベルの量的な測定を提供するからである。また本発明に従って設計されたシステムで実行され得る様々なハードウェアやソフトウェア技術が現在利用可能である。他の例としては、従来のカメラや他の光学センサーが挙げられる。例えば、ガラス繊維感知器は、比較的安価なので正しい選択だと考えられる。そのようなセンサーは、近接性、コントラスト、光の反射率などの変化を検出するものであってもよい。本記述によって当業者は、本発明によってもたらされた結果を実現するにあたり、市販されている検出器や装置の中から選択することが可能である。
監視装置30をサービス技術者などによって一時的に昇降路内に設置するのか、昇降路内に永久に取り付けるつもりなのかによって、センサーの選択肢や使用されるマーキングの種類が必然的に決まるであろう。
一例ではレーザーバーコードリーダーを使用し、アセンブリ26上のマーキングを検出する。レーザーバーコードリーダーは正しい選択だと考えられる。なぜならそれらは比較的安価で、エレベーターシステム内に永久に設置するのに十分丈夫だからである。永久的に設置されたレーザーバーコードリーダーを含む例は、エレベーターシステム内で稼動中のアセンブリの寿命を越えてデータを提供するであろう。
レーザーバーコードリーダーはマーキング同士の間隔に関する情報を提供することができる。加えて、マーキングはそれぞれのマーキングを識別する為のコーディングや情報を含むことができる。
一例ではベルトジャケットは黒で、マーキングはジャケット上の白い直線を含む。市販されている塗料がマークをつけるために利用されうる。白と黒のコントラストによって、バーコードリーダーが必要な情報を収集することが可能になる。
一台の検出装置のみが使われる場合、検出装置に対する耐荷重アセンブリの移動速度は好ましくは注意深く調整され、監視される。これは例えばエレベーターのかごの移動速度を知るような従来の技術で成し遂げられる。
監視装置30は、マーキングを有する耐荷重アセンブリの表面から一定の距離をおくことが好ましい。これを行うひとつの方法は、耐荷重アセンブリに対向して設けられた複数のバネ付勢されたローラや他の機械的ガイドを有する支持装置70(図1参照)を用いることである。支持構造74は耐荷重アセンブリの選択された範囲内に監視装置30を保持し正確な読み取りを確保することが好ましい。一例ではローラや機械的ガイドはまた、耐荷重アセンブリが監視装置30に対して長手方向に移動するとき、その横方向の動きを妨げる。
ひとつの構造例はテレセントリックレンズを有する検出器を含み、ベルトと検出器の相対位置におけるいかなる変化も補正する。
ひとつの好ましい構造はデジタルアレイカメラである二つの監視装置を有する。そのカメラは好ましくはカメラ間の距離がペアのマーク(ペアのマークは上述されたように用いられる)間の間隔に一致するように形成された硬質のハウジングに取り付けられる。監視装置30内に二台の検出器38が含まれる場合、それぞれのカメラの視野を個々のマークが通過するタイミングで同時に画像を撮るために両方の検出装置が作動する。一例では検出装置はカメラの視野内にマーキングがあると思われるときに作動して画像を撮る。
他の例ではカメラは常に画像を撮っており、視野内でマーキングの位置が一致するときには画像を保存するように作動される。画像撮影(または画像の保存)を作動することは、例えば検出装置の視野の一定部分内でのマークの検出、補助カメラによるマークの検出や、光学センサーでのマークの検出、または回転エンコーダーや他のセンサーなどを使って耐荷重アセンブリの直線のずれを測定することに基づいている。
エンハンサー36が特殊な状況のニーズに応じて利用されてもよい。デジタルアレイカメラが検出器38として利用される場合、エンハンサー36は好ましくはストロボライトである。ストロボライトは、マーキングの検出に一致する検出器が発生した信号の最適なぶれ(blurring)を達成するものとして知られている。例えば、ある状況では、補間アルゴリズムがマーキングの位置を測定できる精度は、ストロボライトが使用された場合高められるであろう。ストロボのライトパルスの存続時間は好ましくはタイミングがはかられ、望まれた結果を達成する。この説明と画像撮影の技術の当業者の知識によれば、適切なストロボや他の光調節は理解されるはずである。
マーキング同士の間隔の測定方法はいくつかあるうちのひとつで達成可能である。
いくつかの状況において、それぞれのマークからマークの間隔を複数にわたって測定することが好ましい。個々の間隔の測定データはコンピューターモジュール32(またはコントローラー34)によって統計的に処理され、測定上の光の散乱による影響を減らし、ジャケット表面のひびや欠陥とマークとを区別し、偶然の引っかき傷や表面の他のマークと技術上のマークとを区別し、ジャケット表面にあるちりや埃による影響を取り除き、擦り切れや他の過程である位置で起こり得るマークの部分的破損にかかわらず、マークからマークの間隔を正確に測定し、そして引張り部材の異常なひずみを示すマークのゆがみを検出する。
ある例は耐荷重アセンブリ26が製造された際の初期測定値を有し、それを基本の測定値として使用することを含む。そのような初期測定値はマーキングがどのように耐荷重アセンブリ上に最初に置かれたかの印を提供する。しかしながら、そのような基本測定値は、かごの自重と耐荷重アセンブリ上の張力のためにエレベーターシステム内の作動位置に耐荷重アセンブリをただ設置しただけで起こるかもしれない伸びを考慮する場合、限られた価値しかない。
他の例はエレベーターシステムが負荷状況を把握して、基本測定値をとることを含む。この基本測定値は後に同じ負荷状況に対応して利用され得る。あるいは、異なった負荷状況における後の測定値が利用されてもよく、負荷状況の違いに基づいた対応係数が用いられて、マーキング同士の間隔の変化に関する適切な判断を行う。
また、耐荷重アセンブリが監視装置30を通過するときの耐荷重アセンブリ上の荷重の変化に適応することも本発明の範囲内である。例えば、エレベーターのかごが昇降路の底部にある時、昇降路の頂部近くにあるベルト部分の荷重は、エレベーターのかごが頂部近くにあるときと比べて大きい。これは耐荷重アセンブリ自身に重量があり、特定の位置でアセンブリ上の荷重の一因となるためである。したがって、負荷状況の変化によるベルトの長さに沿ったマーキング同士の間隔の変化に適応することは本発明の範囲内である。かごが空など調整された負荷状況下で測定を行うことが最も好ましい。ベルトの長さに沿った測定過程の途中で乗客がかごを出入りすることが無いように、エレベーターかごが使用されないときに測定を行うことが最も好ましい。
システム上の荷重の変化に適応するひとつの方法は、昇降路内でかごを移動させるモーターが発生するトルクを測定することである。トルクの監視技術は周知である。トルクは荷重によって変化するので、トルクを測定することはシステム上の重量や荷重を関連づける能力を提供し、トルクの変化によって荷重の変化の補正が可能となる。したがって荷重状況の変化によるマーキング同士の間隔の変化は補正されて、耐荷重アセンブリの状況に関する決定を下す際に適切に対処され得る。
マーク間の距離における小さな変化も識別できるように、マーキングが配置されることが好ましい。1パーセントもしくはそれ以下の距離の変化を検出できることが望ましい。というのは、そのように少しずつ増加していく変化はベルト状態の変化を指し示すものと思われているからである。
図7は本発明の構造を使って集められたデータを分析するひとつの方法をグラフによって示している。マークの予想間隔は点線100で示されている。最初の例の実際の間隔は線102で示されていて、時が経つにつれて耐荷重アセンブリのコンプライアンスが一様に低下していくことを表している。
他の線104は位置106で局部的な劣化を示し、例えばそれはまげ疲労による耐荷重アセンブリのひずんだ部分に相当する。特定の耐荷重アセンブリの特性によって、予期された間隔100と、線104および102とのそれぞれの差異はアセンブリの状況と交換が必要であるか否かを示す。まげ疲労試験などの既知の技術が用いられて正しいデータを作り上げることができ、判断が実際の測定結果に基づいて行われることができる。
初期設置直後の耐荷重アセンブリの測定から予想される間隔100が求められ、既知の負荷状況の下でのアセンブリの状況が分かる場合に、図7の例は有用である。線102と104が結果である測定は、後で同じ負荷状況で測定され、正確な比較を提供することが好ましい。この比較から状況決定が下される。
他の例の測定グラフは図8に示されている。最初の負荷における間隔の距離は線110で示されている。2回目の負荷における間隔の距離は線112で示されている。この例では線110と線112との間の変化が耐荷重アセンブリに沿って一定のままなら間隔の距離における違いは単に負荷による変化のせいだと考えられるであろう。もし、異なった変化が耐荷重アセンブリに沿って表れたら、ベルトの長さに沿った特定の場所がひずんでいるか、さもなければ疲労しているかもしれない。
図7および8で見られるように、マーキング同士の間隔はアセンブリの長さに沿って、予期された間隔100においてさえ増加している。これは、上述したように、昇降路内のかごの位置によっていくつかの異なった伸びが起こる耐荷重アセンブリを含む状況に当てはまる。
上記の記述は限定する性質のものではなく単に典型的なものである。開示された例に対する変更および修正は当業者にとって明らかとなるものであり、必ずしも本発明の本質から離れるものではない。本発明に与えられた法的保護の範囲は下記の請求項を参照することによってのみ定められる。
本発明の実施例に従って設計された耐荷重アセンブリと監視装置を含むエレベーターシステムの概略説明図である。 図1の実施例の部分説明図である。 本発明の実施例に従って設計された耐荷重アセンブリの概略説明図である。 本発明に従って耐荷重アセンブリにマーキングをつけるのに有用なマーキング装置の一例の概略説明図である。 本発明の実施例に従って設計された耐荷重アセンブリの別の例の概略説明図である。 本発明の実施例に従って設計された耐荷重アセンブリの更に別の例の概略説明図である。 本発明の構成を用いて集められたデータセットの一例を示すグラフである。 本発明の構成を用いて集められたデータセットの別の例を示すグラフである。

Claims (22)

  1. 複数の細長い耐荷重部材と、
    少なくとも部分的に耐荷重部材を被うジャケットと
    少なくともジャケットの一つの側面に長手方向に離間した複数の検出可能なマーキングであって、該マーキングはアセンブリが第一の状態のときにはジャケットの前記側面に沿って第一の間隔に設けられており、アセンブリの状態の変化に応じて少なくとも二つのマーキング間の間隔が変化するマーキングと、を有するエレベーターシステムで用いられる耐荷重アセンブリ。
  2. マーキングが光学的に検出可能であることを特徴とする請求項1記載のアセンブリ。
  3. マーキングがジャケットの側面上の刻み目であることを特徴とする請求項1記載のアセンブリ。
  4. マーキングは隣接するマーキングの組が調整された間隔で離間するように設けられていることを特徴とする請求項1記載のアセンブリ。
  5. マーキングは複数の第一のマーキングと複数の第二のマーキングとを含み、第一のマーキングは互いに離間し、第二のマーキングは互いに離間していることを特徴とする請求項1記載のアセンブリ。
  6. 第一のマーキングは第一の形状を有し、第二のマーキングは第一の形状とは異なる第二の形状を有することを特徴とする請求項5記載のアセンブリ。
  7. 第一のマーキングはジャケットに沿って長手方向に互いに離間し、第二のマーキングはジャケットに沿って長手方向に互いに離間し、かつ第一のマーキングから横方向にずれていることを特徴とする請求項5記載のアセンブリ。
  8. ジャケットは第一の色を有し、マーキングはジャケットの上に塗装されるとともに第二の色を有することを特徴とする請求項1記載のアセンブリ
  9. 複数の耐荷重部材を選択された配列に配置し、
    耐荷重部材を少なくとも部分的にジャケット内に配置し、
    アセンブリが第一の状態のときにはマーキングが第一の間隔で離間するとともに、少なくとも二つのマーキングの間隔がアセンブリの状態の変化に応じて変化するように、複数のマーキングを少なくともジャケットの一つの側面に長手方向に離間して配置することを含むことを特徴とするエレベーターシステムに用いられる耐荷重アセンブリを製造する方法。
  10. レーザーを使用してジャケットにマーキングを付けることを含む請求項9記載の方法。
  11. 第一の特性を有する第一の材料からジャケットを形成し、第一の材料の特性とは異なる第二の特性を有する第二の材料をジャケットに付けてマーキングを形成することを含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
  12. ジャケット上にマーキングを塗装することを含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
  13. 第一の空間的関係を互いに有する複数の第一のマーキングを配置し、第二の空間的関係を互いに有する複数の第二のマーキングを配置することを含むことを特徴とする請求項9記載の方法
  14. 隣接するマーキングの間の間隔を調整することを含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
  15. 調整された間隔で配置された二つのレーザーを使って、マーキングのペアを付けることを含むことを特徴とする請求項15記載の方法。
  16. エレベーターシステム内の耐荷重アセンブリの状態を判断する方法であって、該耐荷重アセンブリは、少なくともその一つの側面に検出可能なマーキングを含むジャケット内に複数の耐荷重部材を有しており、前記方法は、
    少なくとも二つのマーキング間の現在の間隔を決定するステップと、
    マーキングの現在の間隔を利用して、アセンブリの現在の状態を判断するステップと、を含むことを特徴とする方法。
  17. 制御されたアセンブリの荷重状態下での基準の間隔を決定し、該基準の間隔と現在の間隔とを用いて現在の状況を判断することを含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
  18. エレベーターシステムに関連して設けられているとともに耐荷重アセンブリを動かす動力を提供するモーターのトルクを測定し、このモータートルクと現在の間隔とを用いて現在の状態を判断することを含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
  19. アセンブリの長さに沿って設けられたマーキングのうちで選択されたマーキングの間の間隔の変化を決定し、アセンブリ上の荷重の変化を決定し、決定された間隔の変化が決定された荷重の変化に対応しているかを判断することを含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
  20. 耐荷重アセンブリ上のマーキングに関する情報を収集する検出器と、
    検出器によって収集された情報を利用して、耐荷重アセンブリの状態に関する判断を下す制御装置と、を有するエレベーターシステムにおける耐荷重アセンブリを点検する装置。
  21. 検出器は耐荷重アセンブリ上の少なくとも二つのマーキングの間の間隔に関する情報を収集し、制御装置はこの間隔に関する情報を用いて状態に関する判断を下すことを特徴とする請求項20記載の装置。
  22. 制御装置がアセンブリ上の荷重の変化を考慮し、選択されたマーキングの間の間隔の変化が荷重の変化に対応するか否かを判断することを特徴とする請求項21記載の装置。
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