JP6462804B2 - クモ用卵のう処理剤およびクモ用卵のう処理方法 - Google Patents
クモ用卵のう処理剤およびクモ用卵のう処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6462804B2 JP6462804B2 JP2017170995A JP2017170995A JP6462804B2 JP 6462804 B2 JP6462804 B2 JP 6462804B2 JP 2017170995 A JP2017170995 A JP 2017170995A JP 2017170995 A JP2017170995 A JP 2017170995A JP 6462804 B2 JP6462804 B2 JP 6462804B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- spider
- spiders
- fatty acid
- egg
- acid ester
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
Description
一般に、クモを駆除するために、通常の殺虫エアゾールや殺虫剤を噴霧することが行なわれているが、クモは樹木の枝の間や、家屋のひさしの部分など高いところや、屋内の隙間や、ベンチの下など、薬剤が到達しがたい場所に隠れて生息していることが多く、障害物があるために薬剤がなかなかクモに到達せず、駆除することが難しい。またクモは、クモの巣を張って生息しており、クモの巣によって防御されているため、薬剤がクモ自体に接触することを妨げている。
クモは繁殖力が高いので、成虫や子グモを駆除するのみでは、クモの増殖を完全に抑制することは困難である。そこで、卵の段階で孵化を阻止することができれば、クモの絶対数を減らすことが可能となり、駆除効果に期待がもてる。しかしながら、クモは、多数の卵をひとかたまりで産み、糸でまいて繭のような「卵のう」を作るため、クモの成虫や子グモの駆除に使用する薬剤を噴霧しても、卵のうに守られている卵を有効に殺卵することは困難であった。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ノニオン系界面活性剤およびアニオン系界面活性剤を含有する組成物が、卵のうに守られている卵を殺卵し、孵化を有効に阻害することにより、クモを効率的に駆除できることを見出し、本発明を完成するに至った。
1.(A)ノニオン系界面活性剤および(B)アニオン系界面活性剤を有効成分とすることを特徴とする、クモ用卵のう処理剤。
2.(A)ノニオン系界面活性剤がグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレン硬化植物油、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコールから選択される1種以上であることを特徴とする、1.に記載のクモ用卵のう処理剤。
3.(A)ノニオン系界面活性剤がグリセリン脂肪酸エステルであり、このグリセリン脂肪酸エステルが、モノグリセリン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される1種以上であることを特徴とする、1.に記載のクモ用卵のう処理剤。
4.(B)アニオン系界面活性剤が、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪酸塩から選択される1種以上であることを特徴とする、1.〜3.のいずれかに記載のクモ用卵のう処理剤。
5.(B)アニオン系界面活性剤が、ジアルキルスルホコハク酸塩であることを特徴とする、1.〜3.のいずれかに記載のクモ用卵のう処理剤。
6.さらに、(C)殺虫成分を有効成分とする、1.〜5.のいずれかに記載のクモ用卵のう処理剤。
7.1.〜6.のいずれかに記載のクモ用卵のう処理剤を使用する、クモ用卵のう処理方法。
さらに、本発明のクモ用卵のう処理剤は、(C)殺虫成分を併用することにより、確実な殺卵、孵化阻害効果が得られるとともに、卵のう付近に存在するクモの成体を駆除することができる。これにより、見た目に不快なクモを駆除できるのみならず、建物、車両、樹木等に張るクモの巣の数、すなわち営巣数を抑制することができ、不快なクモ自体やクモの巣を目にすることがなくなる。
<(A)成分について>
本発明における(A)ノニオン系界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤として公知の、エーテル型ノニオン系界面活性剤、エステルエーテル型ノニオン系界面活性剤、エステル型ノニオン系界面活性剤の何れかから選択される1種以上のノニオン系界面活性剤を意味する。本発明における(A)ノニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、以下の化合物群が挙げられる。
(1)エーテル型ノニオン系界面活性剤
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルやポリオキシアルキレンアリールエーテルやポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等。
(2)エステルエーテル型ノニオン系界面活性剤
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルフォスフェートジエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリスチリルフェニルフォスフェートジエステル、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル等。
(3)エステル型ノニオン系界面活性剤等
ポリオキシエチレンヒマシ油等のポリオキシアルキレン植物油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシアルキレン硬化植物油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヒマシ油等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン植物油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの脂肪酸エステル等。
本発明のモノグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、グリセリンモノ脂肪酸エステル(例えば、グリセリンモノカプロアート、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリスチレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、グリセリンモノリノレート、グリセリンモノベヘネート等)、グリセリンモノ・ジ脂肪酸エステル(モノエステルとジエステルの混合物、例えば、グリセリンモノ・ジカプロアート、グリセリンモノ・ジカプリレート、グリセリンモノ・ジカプレート、グリセリンモノ・ジラウレート、グリセリンモノ・ジミリスチレート、グリセリンモノ・ジパルミテート、グリセリンモノ・ジステアレート、グリセリンモノ・ジオレート、グリセリンモノ・ジリノレート、グリセリンモノ・ジベヘネート等)、グリセリンジ・トリ脂肪酸エステル(ジエステルとトリエステルの混合物、例えば、グリセリンジ・トリカプロアート、グリセリンジ・トリカプリレート、グリセリンジ・トリカプレート、グリセリンジ・トリラウレート、グリセリンジ・トリミリスチレート、グリセリンジ・トリパルミテート、グリセリンジ・トリステアレート、グリセリンジ・トリオレート、グリセリンジ・トリリノレート、グリセリンジ・トリベヘネート等)が挙げられる。
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、ジグリセリン脂肪酸エステル(例えば、ジグリセリンモノカプロアート、ジグリセリンモノカプリレート、ジグリセリンモノカプレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノミリスチレート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンモノリノレート、ジグリセリンモノベヘネート等)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、テトラグリセリンラウレート、テトラグリセリンミリスチレート、テトラグリセリンパルミテート、テトラグリセリンステアレート、テトラグリセリンオレート、ペンタグリセリンラウレート、ペンタグリセリンミリスチレート、ペンタグリセリンパルミテート、ペンタグリセリンステアレート、ペンタグリセリンオレート、ヘキサグリセリンラウレート、ヘキサグリセリンミリスチレート、ヘキサグリセリンパルミテート、ヘキサグリセリンステアレート、ヘキサグリセリンオレート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンミリスチレート、デカグリセリンパルミテート、デカグリセリンステアレート、デカグリセリンオレート等)が挙げられる。
この中でも、本発明における(A)成分としては、炭素数6〜18の偶数の炭素数の脂肪酸とグリセリンから得られるグリセリン脂肪酸エステルから選択される1種以上が好ましい。さらに、炭素数8〜12の炭素数の脂肪酸とグリセリンから得られるグリセリン脂肪酸エステルから選択される1種以上が好ましい。
本発明における(B)アニオン系界面活性剤は、スルホネート型アニオン系界面活性剤、サルフェート型アニオン系界面活性剤、カルボン酸型アニオン系界面活性剤、ホスフェート型アニオン系界面活性剤の何れかから選択される1種以上の界面活性剤を意味する。本発明における(B)アニオン系界面活性剤の具体的としては、例えば、以下の化合物群が挙げられる。
(1)サルフェート型アニオン系界面活性剤
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等のアルキル硫酸塩(塩として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン等)等。
(2)カルボン酸型アニオン系界面活性剤
ラウリル酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム等の飽和脂肪酸塩や、オレイン酸ナトリウム、エルカ酸ナトリウム等の不飽和脂肪酸ナトリウムや、パルミトイル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の飽和脂肪酸ナトリウム、ラウリル酸カリウム、ラウリル酸リチウム、ステアリン酸カルシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属と脂肪酸との塩等。
(3)ホスフェート型アニオン系界面活性剤
ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウム等のアルキルリン酸塩(塩として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン等)等。
(4)スルホネート型アニオン系界面活性剤
パラフィン(アルカン)スルホネート塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホネート塩、モノ/ジアルキルナフタレンスルホネート塩、ナフタレンスルホネート・ホルマリン縮合物塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート塩、リグニンスルホネート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホネート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホコハク酸塩等。
この中でも、特に、ジアルキルスルホコハク酸塩、例えば、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸カルシウム、ジアルキルスルホコハク酸マグネシウム等から選択される1種以上のアニオン系界面活性剤が好ましい。
本発明のクモ用卵のう処理剤に配合される(B)アニオン系界面活性剤の含有量は、使用する場所や季節等に応じて適宜決定すればよいが、クモ用卵のう処理剤全量に対して、0.001〜20重量%含有することが好ましく、0.01〜10重量%含有することがさらに好ましい。
本発明のクモ用卵のう処理剤は、さらに、(C)殺虫成分を含有することができる。この(C)殺虫成分としては、例えば、殺虫活性を有する以下の公知化合物群を挙げることができ、これらは1種または2種以上を併用することができる。
(1)合成ピレスロイド系化合物
アクリナトリン、アレスリン、ベータ−シフルトリン、ビフェントリン、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン、エンペントリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フタルスリン、フルシトリネート、フルフェンプロックス、フルメトリン、フルバリネート、ハルフェンプロックス、ペルメトリン、プラレトリン、ピレトリン、シラフルオフェン、テフルトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、テトラメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ラムダシハロトリン、ガンマシハロトリン、フラメトリン、タウフルバリネート、メトフルトリン、ジメフルトリン、プロフルトリン、モンフルオロトリン、レスメトリン等。なお、これらの化合物には、光学異性体、立体異性体等が存在する場合があるが、本発明は、これら異性体の単独又は2以上の異性体を任意の割合で含む混合物をも含むものである。
(2)有機リン系化合物
アセフェート、リン化アルミニウム、ブタチオホス、カズサホス、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、シアノホス、ダイアジノン、DCIP、ジクロフェンチオン、ジクロルボス、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジスルホトン、EPN、エチオン、エトプロホス、エトリムホス、フェンチオン、フェニトロチオン、ホスチアゼート、ホルモチオン、リン化水素、イソフェンホス、イソキサチオン、マラチオン、メスルフェンホス、メチダチオン、モノクロトホス、ナレッド、オキシデプロホス、パラチオン、ホサロン、ホスメット、ピリミホスメチル、ピリダフェンチオン、キナルホス、フェントエート、プロフェノホス、プロパホス、プロチオホス、ピラクロホス、サリチオン、スルプロホス、テブピリムホス、テメホス、テトラクロルビンホス、テルブホス、チオメトン、トリクロルホン、バミドチオン、フォレート等。
(3)カーバメート系化合物
アラニカルブ、ベンダイオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、クロエトカルブ、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メトルカルブ、メソミル、メチオカルブ、オキサミル、ピリミカーブ、プロポキスル、XMC、チオジカルブ、キシリルカルブ、アルジカルブ等。
(4)ネライストキシン系化合物
カルタップ、ベンスルタップ、チオシクラム、モノスルタップ、ビスルタップ等。
(5)ネオニコチノイド系化合物
イミダクロプリド、ニテンピラム、アセタミプリド、チアメトキサム、チアクロプリド、ジノテフラン、クロチアニジン等。
(6)ベンゾイル尿素系化合物
クロルフルアズロン、ビストリフルロン、ジアフェンチウロン、ジフルベンズロン、フルアズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノバフルムロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、トリアズロン等。
(7)フェニルピラゾール系化合物
アセトプロール、エチプロール、フィプロニル、バニリプロール、ピリプロール、ピラフルプロール等。
(8)BTトキシン系化合物
バチルス・チューリンゲンシス菌由来の生芽胞および産生結晶毒素、並びにそれらの混合物。
(9)ヒドラジン系化合物
クロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド等。
(10)有機塩素系化合物
アルドリン、ディルドリン、ジエノクロル、エンドスルファン、メトキシクロル等。
本発明のクモ用卵のう処理剤は、(C)殺虫成分として合成ピレスロイド系化合物から選択される1種以上の成分を含有することが好ましい。また、合成ピレスロイド系化合物の中には、光学異性体や幾何異性体が存在する化合物もあるが、この光学異性体や幾何異性体も、本発明の(C)殺虫成分に含まれる。
また、本発明のクモ用卵のう処理剤の製剤を調製するにあたっては、(A)ノニオン系界面活性剤および(B)アニオン系界面活性剤とともに、通常、液体担体、ガス状担体、固体担体、界面活性剤、その他製剤助剤が使用される。
本発明のクモ用卵のう処理剤は、液体担体を使用して製剤化し、得られた液体製剤をスプレー容器に充填することにより、スプレー剤として使用することができる。スプレー容器としては、本発明のクモ用卵のう処理剤を容易に充填でき、スプレー剤として機能するものであればよいが、汎用性やスプレー精度の高さを考慮すると、以下の2つのスプレー容器が好ましい。
(1)噴霧可能なポンプ式ノズルを装着したディスペンサー式スプレー容器:このスプレー容器は、大気圧でスプレーでき、加圧ガスなどを必要とせず、かつ容器構造も比較的単純であるので安全性が高く、携帯用に好適なスプレー容器である。構造は吸い上げ式のチューブを装着した押し出しポンプ式のノズルと、これを固定し、内容物を充填するねじ式容器からなる。
(2)トリガー式スプレー容器:このスプレー容器は、内容物を充填する容器本体の口部にピストル状のトリガー式スプレー装置が装着されたものであり、大気圧でスプレーを操作でき、スプレー容器として汎用性の高いものである。ここでいうトリガー式スプレー容器には、スプレー機能を高めるために、トリガー式スプレー容器の一部を改良したものも全て含まれる。
これらスプレー容器としては使い勝手がよいことから、トリガー式スプレー容器が好適である。
液体担体としては、飽和炭化水素が好ましい。飽和炭化水素としては、パラフィン系炭化水素やナフテン系炭化水素が挙げられるが、1号灯油が好ましい。その中でもパラフィン系炭化水素が好ましく、さらに、ノルマルパラフィンとイソパラフィンの中では、ノルマルパラフィンの方が速効性を達成する上で好ましい。ノルマルパラフィンとしては、炭素数が12〜14主体のものが代表的で、例えば、中央化成(株)製のネオチオゾール、JXエネルギー(株)製のノルマルパラフィンN−12、ノルマルパラフィンN−13、ノルマルパラフィンN−14、ノルマルパラフィンMA等が挙げられる。
さらに、液体担体として次に挙げる有機溶剤を併用して配合するのが好ましい。好ましい有機溶剤としては、脂肪酸エステル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、ヘテロ環系溶剤、エステル系溶剤、およびアルコール系溶剤から選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸メチル、オレイン酸イソブチル、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、乳酸エチル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ブチルプロピレンジグリコール、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、スルホラン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、炭酸プロピレン、イソプロパノール等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、炭素数の総数が15〜22の範囲のミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸イソブチル等の高級脂肪酸エステル、N−メチル−2−ピロリドン、イソプロパノール、炭酸プロピレンが適している。
噴射剤としては、公知のものを広く使用することができ、例えば、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、代替フロン、炭酸ガス、窒素ガス等を挙げることができる。これらの中でLPG、ジメチルエーテルを使用することが好ましい。このエアゾール剤においては、噴射剤量がクモ用卵のう処理剤全体の30〜95容量%、特に50〜90容量%とすることができる。
また、必要により他に、パラクロロメタキシレノール等の殺菌剤等を添加することもできる。
本発明の駆除対象となるクモの例としては、カバキコマチグモ、セアカゴケグモ、ジョロウグモ、ゴミグモ、コガネグモ、ナガコガネグモ、オニグモ、クサグモ、ウヅキコモリグモ、イオウイロハシリグモ、ネコハエトリ、オオヒメグモ、シモフリイオグモ、ハエトリグモ、アシダカグモ等が挙げられる。
本発明のクモ用卵のう処理剤の施用量、施用濃度はいずれもクモの種類や卵のうの大きさ等に応じて、施用時期、施用場所、施用方法を考慮して適宜定めることができる。
本発明のクモ用卵のう処理剤が、(A)ノニオン系界面活性剤および(B)アニオン系界面活性剤を併用することにより、クモの卵のうに対して優れた卵孵化阻害活性を有することを、セアカゴケグモの卵のうを使用した試験により示す。
(1)試験検体
表1、2に示す組成の液剤(実施例1〜6、比較例1〜12)を、試験検体として使用した。なお、液剤の調製に際し、表1、2中の(A)成分、(B)成分は、以下のものを使用した。
グリセリンモノカプレート:サンソフトNo.760−C(太陽化学(株)製)
ポリオキシエチレンアルキル(C12−14)エーテル:NIKKOL BT−7(日光ケミカルズ(株)製)
ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル:ソルポールT−15(東邦化学工業(株)製)
ペンタグリセリンラウレート:サンソフトA−12E−C(太陽化学(株)製)
ジオクチルスルホコハク酸Na:エアロールCT−1L(東邦化学工業(株)製)
ラウリル硫酸Na:NIKKOL SLS(日光ケミカルズ(株)製)
ラウリルリン酸Na:NIKKOL SLP−N(日光ケミカルズ(株)製)
(2)試験方法
トリガー式スプレー容器に充填した上記試験検体(実施例1〜6、比較例1〜12)を、セアカゴケグモの卵のうに対して20cmの距離から、それぞれ1mL噴霧し、10日経過後に、それぞれの孵化数を計測した。
試験は2回行い、その平均値を「卵孵化数(頭)」として、試験検体の組成と併せ表1、2に示す。
(A)ノニオン系界面活性剤および(B)アニオン系界面活性剤を含有する本発明のクモ用卵のう処理剤は、卵のうに守られた卵に対して顕著な殺卵効果と孵化阻害効果を奏するため、子グモの発生を阻害し、クモの絶対数を減らす駆除効果が得られることが、この試験により確認された。
次に、(C)殺虫成分を含有する本発明のクモ用卵のう処理剤が、クモの卵のうに対して優れた殺卵活性および孵化阻害活性を有することを、セアカゴケグモの卵のうを使用した試験により示す。
(1)試験検体
表3に示す組成の液剤(実施例7、比較例13)を、試験検体として使用した。なお、液剤の調製に際し、(A)成分、(B)成分は、上記「確認試験1」と同じものを、(C)殺虫成分のビフェントリン、d−T80フタルスリン(テトラメトリン)ともに和光純薬工業(株)から入手した。
セアカゴケグモの卵のうに、上記試験検体(実施例7、比較例13)をそれぞれ60μl滴下し、10日経過後に、それぞれの孵化数を計測した。
また、セアカゴケグモの雌成体3頭に、上記試験検体をそれぞれ20μl滴下し、24時間後の致死率(%)を計測した。
それぞれの結果を、表4に示す。
(C)殺虫成分を含有する本発明のクモ用卵のう処理剤は、卵のうに守られた卵に対して顕著な殺卵効果と孵化阻害効果を奏し、かつ、クモの成体に対しても優れた殺虫活性を発揮するため、既にある卵のうから子グモが大量発生することなく、成体を駆除することにより新たに卵のうが作られることもないので、確実な駆除効果を得ることが可能となることが、この試験により確認された。
実施例7の液剤は、滴下直後に卵のうに浸透するため液滴は観察されないが、比較例13の液剤は、卵のうに浸透せず、その表面に液剤が液滴として留まった状態が観察された。
この観察により、(A)ノニオン系界面活性剤および(B)アニオン系界面活性剤を含有する本発明のクモ用卵のう処理剤は、卵のうに対する浸透性が高く、この効果により、卵のうに守られたクモの卵に対して殺卵活性および孵化阻害活性を発揮するものと考えられる。
次に、(C)殺虫成分を含有する本発明のクモ用卵のう処理剤において、(A)ノニオン系界面活性剤や(B)アニオン系界面活性剤の種類を変更しても、クモの卵のうに対して優れた殺卵活性および孵化阻害活性を有することを、セアカゴケグモの卵のうを使用した試験により示す。
(1)試験検体
表5に示す組成の液剤(実施例8〜12、比較例14〜17)を、試験検体として使用した。なお、液剤の調製に際し、(A)〜(C)成分は、下記に示すもの以外は、上記「確認試験1」「確認試験2」と同じものを使用した。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル:NIKKOL PBC−33(日光ケミカルズ(株)製)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:NIKKOL HCO−60(日光ケミカルズ(株)製)
ポリオキシエチレンソルビタンラウレート:レオドールTW−L10(花王(株)製)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール:エマルゲンPP−290(花王(株)製)
ミリスチン酸カリウム:NIKKOL MK−140(日光ケミカルズ(株)製)
(2)試験方法
セアカゴケグモの卵のうに、上記試験検体(実施例8〜12、比較例14〜17)をそれぞれ60μl滴下し、10日経過後に、それぞれの孵化数を計測した。
試験検体の組成と、卵孵化数を併せ表5に示す。
次に、本発明のクモ用卵のう処理剤の効果を、クモの営巣数から確認する試験を行った。
(1)試験検体
表6に示す組成の液剤(実施例13)を、トリガー式ノズル付きのスプレー容器に入れて使用した。なお、液剤の調製に際し、(A)成分、(B)成分、(C)成分とも、上記「確認試験2」と同じものを使用した。
(2)試験方法
イブキの生垣4m区間を処理区として、処理区内のクモの巣の数を計測した。目視で確認できる全てのクモに試験検体を噴射し、ノックダウンしたことを確認した後に、クモの巣を全て除去した。処理区内のイブキ全体が、しっかり濡れる程度に試験検体を噴射した。処理から経日的に、新たに営巣されたクモの巣の数を50日間にわたり計測した。
無処理区は、試験検体を使用しない以外、同様の方法においてクモの営巣数を計測した。
試験は2回行い、それぞれの営巣数の平均値を表7に示す。
一方、実施例13の処理区においては、子グモの発生は確認されなかった。これは、(A)ノニオン系界面活性剤および(B)アニオン系界面活性剤を含有する本発明のクモ用卵のう処理剤(実施例13)により、生垣のイブキに産み付けられていた卵のう中の卵が殺卵され、子グモが孵化しなかったことによるものと考えられる。
本発明のクモ用卵のう処理剤は、卵のうにより守られている卵を殺卵し、孵化阻害効果を発揮することにより、不快なクモ自体の生体数を抑制するとともに、クモの巣の数も顕著に抑制できることが確認された。
Claims (7)
- (A)ノニオン系界面活性剤および(B)アニオン系界面活性剤を有効成分とすることを特徴とする、クモ用卵のう処理剤。
- (A)ノニオン系界面活性剤がグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレン硬化植物油、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコールから選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のクモ用卵のう処理剤。
- (A)ノニオン系界面活性剤がグリセリン脂肪酸エステルであり、このグリセリン脂肪酸エステルが、モノグリセリン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のクモ用卵のう処理剤。
- (B)アニオン系界面活性剤が、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪酸塩から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のクモ用卵のう処理剤。
- (B)アニオン系界面活性剤が、ジアルキルスルホコハク酸塩であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のクモ用卵のう処理剤。
- さらに、(C)殺虫成分を有効成分とする、請求項1〜5のいずれかに記載のクモ用卵のう処理剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のクモ用卵のう処理剤を使用する、クモ用卵のう処理方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016173515 | 2016-09-06 | ||
JP2016173515 | 2016-09-06 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018039803A JP2018039803A (ja) | 2018-03-15 |
JP6462804B2 true JP6462804B2 (ja) | 2019-01-30 |
Family
ID=61625017
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017170995A Active JP6462804B2 (ja) | 2016-09-06 | 2017-09-06 | クモ用卵のう処理剤およびクモ用卵のう処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6462804B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109953021A (zh) * | 2017-12-26 | 2019-07-02 | 华东理工大学 | 菊酯微胶囊、其制备方法及防虫制剂 |
CN112218531B (zh) * | 2018-05-28 | 2021-10-01 | 日产化学株式会社 | 农药乳化性组合物 |
JP7137371B2 (ja) * | 2018-06-22 | 2022-09-14 | アース製薬株式会社 | 有害生物防除剤 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5761967B2 (ja) * | 2010-11-19 | 2015-08-12 | 大日本除蟲菊株式会社 | クモ用卵のう処理剤 |
JP2013234153A (ja) * | 2012-05-09 | 2013-11-21 | Sumika Life Tech Co Ltd | 透明害虫駆除剤、害虫駆除用スプレー製品、並びに、害虫の駆除方法 |
JP2014005271A (ja) * | 2012-05-31 | 2014-01-16 | Dainippon Jochugiku Co Ltd | 害虫防除用マイクロエマルジョン組成物及びこれを用いた害虫防除用製品 |
-
2017
- 2017-09-06 JP JP2017170995A patent/JP6462804B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018039803A (ja) | 2018-03-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7083606B2 (ja) | 害虫防除剤 | |
JP5352531B2 (ja) | 害虫駆除方法 | |
BRPI0609976A2 (pt) | concentrado pesticida, produto pronto-para-uso, método para usar o produto, e, processo para produzir um concentrado pesticida | |
JP6462804B2 (ja) | クモ用卵のう処理剤およびクモ用卵のう処理方法 | |
JP2020186271A (ja) | 害虫防除用エアゾール剤 | |
JP3733524B2 (ja) | マイクロエマルジョンエアゾール組成物 | |
JP6132703B2 (ja) | ハチの営巣防除用エアゾール剤、及びこれを用いたハチの営巣防除方法 | |
JP5253191B2 (ja) | ゴキブリ用エアゾール剤 | |
JP5253187B2 (ja) | クモの造網阻止エアゾール剤 | |
JP6075730B2 (ja) | ハチ防除用塗布型エアゾール剤、及びこれを用いたハチの営巣行動防止方法 | |
JP2013170140A (ja) | トコジラミの防除方法 | |
JP5761967B2 (ja) | クモ用卵のう処理剤 | |
JP2005330264A (ja) | コバエ用エアゾール製品 | |
JPH09175905A (ja) | 害虫防除用エアゾール | |
JP6654847B2 (ja) | フタルスリンの殺虫効力増強剤 | |
JP2019043903A (ja) | アリ防除剤 | |
JP4480962B2 (ja) | 殺虫組成物の殺虫効力の残効性向上方法 | |
JP6297304B2 (ja) | ハチの巣浸透補助剤 | |
JP2000226302A (ja) | 殺虫液剤組成物 | |
JP2006117538A (ja) | 可溶化型水性乳剤 | |
JP2018090613A (ja) | ハチの巣表面処理剤 | |
JP7222132B2 (ja) | アリ防除剤 | |
JP2018172311A (ja) | 害虫防除用エアゾール | |
JP6029238B2 (ja) | 飛翔害虫防除効力増強剤及びこれを用いた飛翔害虫防除方法 | |
JP3954649B2 (ja) | 昆虫類防除用の乳化性組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180116 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20181213 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20181218 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20181227 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6462804 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |