(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係る検知装置100および検知システム120について図1、図2を用いて説明する。
図1は、検知装置100および検知システム120のブロック図である。図1に示すように、検知装置100は、撮像部2と、制御部3と、を備える。
撮像部2は、検知装置100が人の存在の有無を検知する領域を撮像する。
制御部3は、検知部31と、判断部34と、導出部33と、判定部35と、を備える。検知部31は、撮像部2が撮像した解析画像の検知領域内の人の存在の有無を検知する。判断部34は、検知部31の検知結果に基づいて、解析画像の検知領域内の人の存在の有無を判断する。導出部33は、解析画像の検知領域内において、所定期間T1(第1の所定期間)における輝度変化量が第1の閾値S1以上である領域(以下、「輝度変化領域」という)の大きさを導出する。判定部35は、導出部33が導出した輝度変化領域の大きさが第2の閾値S2以上であれば光変化有りと判定する。
なお、解析画像の検知領域は、例えば、撮像部2が撮像した画像の一部の領域であってもよく、撮像部2が撮像した画像の全ての領域であってもよい。
制御部3は、更に、所定期間T1と、所定期間T2と、第1の閾値S1と、第2の閾値S2と、を記憶する記憶部32を備える。
すなわち、解析画像の検知領域内に、後述する制御対象の動作モードの切り替えや、外乱により急激な光変化が発生する場合には、所定期間T1における輝度変化量が第1の閾値S1と比較される。所定期間T1における輝度変化量が第1の閾値S1以上である領域があれば、導出部33は、この領域(輝度変化量が第1の閾値S1以上である領域)を輝度変化領域として輝度変化領域の大きさを導出する。そして、判定部35は、輝度変化領域の大きさが第2の閾値S2以上であれば、光変化有りと判定する。そのため、制御部3は、解析画像の検知領域内の急激な光変化の発生を検知することができる。なお、ここでいう急激な光変化は、解析画像の白とびに至らない程度の輝度変化や、明るい状態(高輝度)から暗い状態(低輝度)へと変化する場合の光変化も含んでいる。更には、急激でない光変化、例えば照明装置のフェードイン、フェードアウトに伴い、明るさが徐々に変化するようない光変化についても、判定部35が光変化有りと判定する構成であってもよい。
検知部31が人の存在の有無を検知する検知方法は、特に限定しない。例えば、解析画像のデータと背景画像のデータの差分により人の存在の有無を検知してもよく、フレーム間の解析画像のデータの差分により人の存在の有無を検知してもよい。
判断部34は、通常、検知部31の人の存在の有無を検知する検知結果に基づいて、人の存在の有無を判断する。一方、判定部35が光変化有りと判定した場合、すなわち、急激な光変化が発生した場合、判断部34は、所定期間T2(第2の所定期間)において、検知部31の人の存在の有無の検知結果を採用しない。つまり、判断部34は、光変化有りと判定されると、所定期間T2の間は、検知部31の検知結果を採用しないで所定期間T2の開始前の判断結果を維持する。
所定期間T1は、例えば予め記憶部32に記憶される一定期間(例えば0.5秒間)でもよく、フレーム間の期間でもよい。なお、フレーム間の期間は、例えば0.033秒間であるが、それに限定しない。
所定期間T2は、例えば急激な光変化が発生する期間に相当する期間である。すなわち、所定期間T2は、例えば判定部35が光変化有りと判定する時から、光変化から回復した(つまり、判定部35が光変化有りと判定しなくなる)時まで、の期間に相当する。
図2は、検知装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS21において、導出部33は、解析画像の検知領域内において、所定期間T1における輝度変化量が第1の閾値S1以上である輝度変化領域の大きさを導出し、ステップS22に進む。なお、解析画像の検知領域内において、所定期間T1における輝度変化量が第1の閾値S1未満である場合には、輝度変化領域の大きさを導出しない。
ステップS22において、判定部35は、輝度変化領域の大きさが第2の閾値S2以上の場合(ステップS22のYES)、光変化有りと判定し、ステップS23に進む。輝度変化領域の大きさが第2の閾値S2未満の場合(ステップS22のNO)、ステップS21に戻って、導出部33は、解析画像の検知領域内において、所定期間T1における輝度変化量が第1の閾値S1以上である輝度変化領域の大きさを導出する。
なお、輝度変化領域の大きさの導出方法について、特に限定せず、導出部33は、例えば、輝度変化領域を構成する画素の数を輝度変化領域の大きさとして導出してもよく、当該画素の面積の合計を輝度変化領域の大きさとしてもよい。
ステップS23において、判断部34は、判定部35が光変化有りと判定したとき、所定期間T2において、検知部31の検知結果を採用しない。つまり、判定部35で光変化有りと判定されてステップS23に進むと、判断部34は、所定期間T2が経過するまでは、検知部31の検知結果を採用せずに所定期間T2の開始前の判断結果を維持する。
ステップS23において、所定期間T2が過ぎると(ステップS23のYES)、判断部34は、検知部31の人の存在の有無の検知結果に基づいて、人の存在の有無を判断する(ステップS24)。
なお、検知部31は、ステップS21〜S24と並行して撮像部2が撮像した解析画像の検知領域内の人の存在の有無を検知している。これに限らず、例えば、定期的にステップS21〜S24を行うのではなく、検知部31が、撮像部2が撮像した解析画像の検知領域内に人の存在があることを検知したときに、ステップS21〜S24を行うようにしてもよい。この場合、定期的にステップS21〜S24を行う場合に比べて、検知装置100を省電力化することができる。また、判断部34が、検知部31の検知結果に基づいて、人の存在があると判断したときに、ステップS21〜S24を行うようにしてもよい。
検知システム120は、上記検知装置100と、制御対象となる負荷5と、を有する。
すなわち、検知システム120は、撮像部2と、検知部31と、判断部34と、導出部33と、判定部35と、制御対象となる負荷5と、を備える。検知部31は、撮像部2が撮像した解析画像の検知領域内の人の存在の有無を検知する。判断部34は、検知部31の検知結果に基づいて、人の存在の有無を判断する。導出部33は、上記検知領域内において所定期間T1における輝度変化量が第1の閾値S1以上である輝度変化領域の大きさを導出する。判定部35は、上記輝度変化領域の大きさが第2の閾値S2以上であれば光変化有りと判定する。判定部35が上記光変化有りと判定した場合、所定期間T2において、判断部34が検知部31の検知結果を採用しないで所定期間T2の開始前の判断結果を維持する。
なお、検知システム120において、例えば検知部31を検知装置100に設けず、検知装置100に外付けしてもよい。また、検知システム120は、検知装置100が、判断部34の人の存在の有無の判断結果に基づいて、直接的に負荷5を制御するように構成されていてもよいし、検知装置100が送信部を更に有していてもよい。前者の場合、検知装置100の制御部3が、判断部34の人の存在の有無の判断結果に基づいて、制御対象である負荷5を直接的に制御する。後者の場合、送信部が、判断部34の人の存在の有無の判断結果に基づいて、制御対象に制御信号を送信する。つまり、送信部は、判断部34から判断結果を取得し、この判断結果に基づく制御信号を、制御対象である負荷5に送信することで、負荷5を制御する。送信部は、制御部3に外付けされていてもよいし、制御部3に含まれていてもよい。また、送信部は、検知装置100とは別に設けられ、検知装置100および負荷5と共に検知システム120を構成してもよい。
負荷5は、少なくとも「消灯」と、「点灯」と、の2つの動作モードを有する照明装置であると想定するが、これに限定するのもではない。例えば、空調機器(室内の温湿度を調整する空調設備)、調理機器等のように、少なくとも2つの動作モードを有する電気機器であればよい。
検知装置100は、判断部34が人の存在があると判断した場合、負荷5に対して「点灯」を指示する制御信号を送信する。そして、検知装置100は、判断部34が人の存在がないと判断した場合、負荷5に対して「消灯」を指示する制御信号を送信する。なお、検知装置100から負荷5への制御信号の送信方法は特に限定しない。例えば、検知装置100は、負荷5に対して直接的に制御信号を送信してもよいし、中継器を経由して送信してもよい。
負荷5は、検知装置100から「点灯」を指示する制御信号を受信すると、「消灯」の動作モードから「点灯」の動作モードに切り替える。その際に、撮像部2が撮像する解析画像に急激な光変化が発生してしまう。その際に、検知部31は、人を検知することができない、または誤検知してしまう可能性がある。
そこで、検知装置100および検知システム120は、上述したように、判定部35が光変化有りと判定した場合、所定期間T2において判断部34が検知部31の検知結果を採用しない。したがって、負荷5の動作モードの切り替えや外乱により解析画像に急激な光変化が発生する際、検知部31による検出対象の検知に誤りが発生しても、それに影響され難く、判断部34は人の存在の有無を判断することができる。よって、検知装置100および検知システム120は、解析画像の検知領域内において急激な光変化により例えば白とび等が発生しても、人の存在の有無を誤判断するのを抑制することができる。
また、負荷5の動作モードの切り替えや外乱による解析画像の急激な光変化は、ある程度の期間が経過すれば、落ち着く。そこで、判断部34は、上述の急激な光変化が発生する期間に相当する所定期間T2において、人の存在の有無の検知結果を採用しないことで、上述の急激な光変化がなくなると、引き続き、検知部31の検知結果に基づいて人の存在の有無を判断することができる。すなわち、判断部34は、判定部35が光変化有りと判定した場合、所定期間T2が経過すると、検知部31の検知結果に基づく人の存在の有無の判断を再開する。よって、検知装置100および検知システム120は、より精度高く人の存在の有無を判断することができる。
なお、制御部3が、検知部31、記憶部32、導出部33、判断部34および判定部35を備えるように説明しているが、これに限定しない。例えば、記憶部32が制御部3に外付けされていてもよい。
また、判定部35が光変化有りと判定した場合、所定期間T2において、判断部34が検知部31の人の存在の有無の検知結果を採用しないと説明したが、判定部35が光変化有りと判定した場合、所定期間T2において、検知部31が検知動作を停止してもよい。この場合、検知部31が検知動作を停止しているため、解析画像の検知領域内において急激な光変化により例えば白とび等が発生しても、人の存在の有無を誤判断するのを抑制することができる。
また、判定部35が光変化ありと判定する場合、撮像部2は、フレームレートを上げてもよい。つまり、検知装置100は、所定期間T2において、撮像部2のフレームレートを上げるように構成されていてもよい。撮像部2は、フレームレートを上げることで、フィードバックする期間を短縮することができるため、急激な光変化が発生するときから急激な光変化が回復するまでの期間を短縮することができる。
また、検知装置100および検知システム120の使用環境、使用目的に応じて、所定期間T2を、急激な光変化が発生する期間より短い期間にしてもよく、急激な光変化が発生する期間より長い期間にしてもよい。所定期間T2が急激な光変化が発生する期間より短い期間であったとしても、所定期間T2を全く設けない場合と比較して、急激な光変化の影響を受ける期間を短くすることができ、人の存在の有無を誤判断するのを抑制することができる。
また、所定期間T2は、急激な光変化が発生する期間より長い期間であるとき、判断部34は、急激な光変化が終了した場合、直ちにではなく期間(時間)をおいてから検知部31の人の存在の有無の検知結果に基づく人の存在の有無の判断を再開することになる。つまり、判断部34は、急激な光変化の終了後、直ちに検知部31の検知結果を採用するのではなく、期間をおいて検知部31の検知結果に基づいて人の存在の有無を判断することで、より精度高く人の存在の有無を判断することができる。
また、所定期間T2は、予め記憶部32に記憶されていると説明したが、その限りではない。例えば判定部35は、光変化有りと判定した後に、光変化の終了を判定し、判定部35が光変化有りと判定した時から光変化が終了すると判定した時までの期間を所定期間T2としてもよい。この場合、検知装置100は、周囲環境の変化に応じて所定期間T2の長さを調整することができる。つまり、この場合においては、所定期間T2は、判定部35が光変化有りと判定した時から光変化が終了すると判定した時までの期間、というように予め決められた(所定の)期間である。このように、所定期間T2は、予め決められた(所定の)長さの期間である必要はなく、可変長の期間であってもよい。
また、上述の光変化の終了を判定する手段について、特に限定しないが、例えば、判定部35は、以下のようにして光変化の終了を判定できる。つまり、導出部33が所定期間T2において、解析画像の検知領域内の所定期間T1における輝度変化量が第3の閾値S3以下である領域の大きさが第2の閾値以上であれば、判定部35は、光変化が終了すると判定できる。または、判定部35は、撮像部2の利得の回復状況と、撮像部2の露光期間と、解析画像の検知領域内の輝度値と、に基づいて光変化の終了を判定してもよい。
要するに、判定部35は、所定期間T2において、検知領域内の所定期間T1における輝度変化量が第3の閾値S3以下である非変化領域の大きさが第2の閾値S2以上であれば、上記光変化の終了と判定してもよい。この場合、所定期間T2は、判定部35が上記光変化有りと判定する時から判定部35が上記光変化の終了と判定する時までの期間であることが好ましい。
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る検知装置200および検知システム220について図3、図4を用いて説明する。検知装置200および検知システム220は、検知装置100および検知システム120とは、検知部31が人の存在があると検知したとき、検知した人を囲む存在領域を作成する作成部36を制御部3が更に有する点と、判断部34の動作と、が異なる。なお、実施形態1と同様の構成については、同符号を付して説明を適宜省略する。
図3は、検知装置200および検知システム220のブロック図である。図3に示すように、制御部3は、更に作成部36を有する。
作成部36は、検知部31が人の存在があることを検知したとき、解析画像の検知領域内における当該人の幅、高さに基づいて、当該人を囲むように、長方形状の存在領域を解析画像の検知領域内に作成する。作成部36は、1フレーム毎に存在領域を作成してもよい。また、作成部36は、所定数のフレーム毎に存在領域を作成してもよい。
作成部36は、判定部35が光変化有りと判定した場合、判定部35が光変化有りと判定する直前に作成部36が作成した存在領域に基づいて所定期間T2以上の長さの所定期間T3(第3の所定期間)に人が存在していると仮想する仮想存在領域を作成する。
なお、存在領域や仮想存在領域の形状は、長方形状に限定するものではない。例えば、菱形でもよい。
以下、作成部36は、判定部35が光変化有りと判定する直前に作成した存在領域を仮想存在領域とする、として説明するが、その限りではない。例えば、作成部36は、判定部35が光変化有りと判定する直前より前に作成した存在領域に基づいて仮想存在領域を作成してもよい。
判断部34は、作成部36の結果をもとに人の存在の有無を判断する。すなわち、判断部34は、存在領域と仮想存在領域とのいずれか一方でも存在すれば、人の存在があると判断し、存在領域と仮想存在領域とが両方とも存在しなければ、人の存在がないと判断する。
図4は、検知装置200の動作の一例を示すフローチャートである。なお、ステップS41、S45は、図2のステップS21、S24と同様である。
ステップS42において、ステップS41により導出部33が導出した輝度変化領域の大きさがS2以上の場合(ステップS42のYES)、判定部35は、光変化ありと判定し、ステップS44に進む。輝度変化領域の大きさが第2の閾値S2未満の場合(ステップS42のNO)、ステップS41に戻って、導出部33は、引き続き輝度変化領域の大きさを導出する。
ステップS44において、判断部34は、所定期間T2において、検知部31の検知結果を採用しない(ステップS44a)。そして、作成部36は、判定部35が光変化有りと判定する直前に作成した、検知部31が検出した人の存在領域を当該人の仮想存在領域として作成する(ステップS44b)。
なお、ステップS44bは、ステップS44aと同時に行ってもよい。
ステップS44において、所定期間T2が過ぎると(ステップS44のYES)、判断部34は、検知部31の人の存在の有無の検知結果に基づいて、人の存在の有無を判断する(ステップS45)。
ステップS46において、所定期間T2以上の長さの所定期間T3を経過していなければ(ステップS46のNO)、ステップS45に戻る。
ステップS46において、所定期間T3が過ぎる(ステップS46のYES)と、作成部36は、ステップS44bで作成した仮想存在領域を解除(ステップS48)して、ステップS41に戻る。
なお、所定期間T2と所定期間T3とは、同時にカウントを開始してもよいし、例えば所定期間T2が終了してから所定期間T3´をカウントし始めてもよい。この場合、所定期間T3´の長さを所定期間T3の長さから所定期間T2の長さを引いた長さにすればよい。
所定期間T3が所定期間T2より長い場合、所定期間T2が終了後、すなわち急激な光変化の終了後、作成部36は、直ちに仮想存在領域を解除するのではなく、ある程度の期間を経てから解除する。そのため、所定期間T2が終了後、検知部31が人の存在がないと検知しても、判断部34は、直ちに人の存在がないと判断するのではなく、仮想存在領域が解除されて初めて人の存在がないと判断する。これにより、急激な光変化の終了後、人が解析画像の検知領域内において滞在する、または動きが小さいときに検知部31が人の存在を検知できなくても、判断部34は、直ちには人の存在がないと判断しない。つまり、判断部34は、急激な光変化の終了後、仮想存在領域が解除されるまでに、検知部31が継続的に人の存在がないと検知した場合に、人の存在がないと判断する。それ故、検知装置200および検知システム220は、より精度高く人の存在の有無を判断することができる。
すなわち、検知装置200は、更に、検知部31が人の存在があると検知した場合、検知した人を囲む存在領域を検知領域に作成する作成部36を有している。判定部35が光変化有りと判定した場合、作成部36は、判定部35が上記光変化有りと判定する前に作成した上記存在領域に基づいて所定期間T2以上の長さの所定期間T3に人が存在していると仮想する仮想存在領域を作成する。判断部34は、上記仮想存在領域が存在する場合に、人の存在があると判断する。
要するに、作成部36は、検知部31が人の存在があると検知した場合、当該人の存在領域を作成する。また、作成部36は、判定部35が光変化有りと判定した場合、所定期間T3において、判定部35が光変化有りと判定する直前に作成部36が作成した存在領域に基づいて仮想存在領域を作成し、所定期間T3が過ぎると、作成した仮想存在領域を解除する。そして、判断部34は、仮想存在領域が存在すれば、人の存在があると判断する。そのため、検知装置200および検知システム220は、負荷5の動作モードの切り替えや外乱により解析画像に急激な光変化が発生する際、検知部31による検出対象の検知に誤りが発生しても、誤って人の存在がないと判断することを防ぐことができる。
また、例えば、人が椅子に座っている場合等、人が解析画像の検知領域内に進入した後に、人の移動量、動き量が、解析画像の検知領域内に進入する際より小さくなることも想定される。例えば、作成部36が存在領域を作成した後に、人の移動量または動き量が所定の閾値よりも小さくなった場合には、検知部31は、存在領域内において、解析画像の検知領域内の他の領域より高い精度、例えば画素単位で人の存在の有無を検知してもよい。この場合、検知装置200および検知システム220は、より精度高く人の存在の有無を検知することができる。
なお、作成部36は、判定部35が光変化有りと判定する直前に作成した存在領域に基づいて、その存在領域より大きい領域を仮想存在領域として作成してもよい。また、作成部36は、存在領域の位置から人の移動方向に所定距離(例えば、10画素)だけずれた領域を仮想存在領域として作成してもよい。検知部31が検知した人が、所定期間T2において移動することも想定することができる。そこで、作成部36が存在領域より大きい領域、または存在領域の位置から人の移動方向に所定距離だけずれた領域を仮想存在領域として作成することで、検知部31は、より精度高く人の存在の有無を検知することができる。
なお、ステップS44aにおいて、判断部34は、判定部35が光変化有りと判定した場合、所定期間T2において、検知部31の検知結果を採用しないと説明したが、実施形態1と同様に、所定期間T2において、検知部31が検知動作を停止してもよい。
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係る検知装置300および検知システム320について説明する。検知装置300および検知システム320は、主に検知装置200および検知システム220とは、導出部33が、検知部31が検知した人の仮想移動距離を導出する点と、作成部36の動作と、が異なる。導出部33は、所定期間T2が終了してから所定期間T3が終了するまでに間において、検知部31が人の存在があると検知した場合に、検知部31が検知した人の仮想移動距離を導出する。なお、実施形態2と同様の構成については、同符号を付して説明を適宜省略する。
導出部33は、検知部31が人の存在の有無を検知するとともに、所定期間T4(第4の所定期間)における検知部31が検知した人の移動状況に基づいて当該人の移動速度を導出する。例えば、導出部33は、あるフレームにおける存在領域の中心と、当該フレームから所定期間T4が経ったフレームにおける存在領域の中心との間の距離を人の移動距離として導出し、人の移動距離を所定期間T4で割って得た値を当該人の移動速度とする。そして、導出部33は、導出した人の移動速度と所定期間T2とを掛け算して得た値を仮想移動距離とする。
なお、所定期間T4は、予め記憶部32に記憶する一定期間(例えば0.2秒間)でもよいし、連続する2フレームの間隔(例えば0.033秒間)にしてもよい。
また、導出部33は、判定部35が光変化ありと判定するまでに検知部31が検出した人の移動速度を定期的に更新してもよい。例えば、所定期間T4を連続する2フレームの間隔にする場合、導出部33は、フレーム間ごとに人の移動速度を導出して記憶部32に記憶し、判定部35が光変化ありと判定する直前に記憶された人の移動速度に基づいて仮想移動距離を導出する。
作成部36は、所定期間T2が終了した後に検知部31が人の存在があると検知したとき、検知領域に新たに存在領域を作成する。このとき、作成部36が新たに作成する存在領域(以下、「現存在領域」という)は、検知領域のうち所定期間T2において作成した仮想存在領域とは別の領域に作成される。そして、作成部36は、所定期間T2が終了した後に作成した現存在領域と仮想存在領域との距離を仮想移動距離と比較し、現存在領域と仮想存在領域との距離が仮想移動距離未満であれば、仮想存在領域を解除し、存在領域を残す。
なお、現存在領域と仮想存在領域との距離の導出方法について、例えば、導出部33は、現存在領域の中心と仮想存在領域の中心との間の距離を現存在領域と仮想存在領域との距離として導出してもよい。また、導出部33は、仮想存在領域と現存在領域との最も距離が近い2点の間の距離を現存在領域と仮想存在領域との距離として導出してもよい。
図5は、検知装置300の動作の一例を示すフローチャートである。なお、ステップS51は、実施形態2のステップS45と同じである。すなわち、図5に示す検知装置300の動作のフローチャートは、実施形態2のステップS45の続きである。
ステップS52において、検知部31が人の存在があると検知した場合(ステップS52のYES)、作成部36は、検知した人の存在領域(現存在領域)を作成し(ステップS53)、ステップS54に進む。そうでなければ(ステップS52のNO)、ステップS56に進む。
ステップS54において、存在領域(現存在領域)と仮想存在領域との距離が、仮想移動距離未満であれば(ステップS54のYES)、作成部36は、仮想存在領域を解除し(ステップS55)、ステップS56に進む。そうでなければ、ステップS56に進む。
ステップS56において、判断部34は、作成部36が作成した存在領域(現存在領域)または仮想存在領域に基づいて人の存在の有無を判断する。すなわち、判断部34は、存在領域(現存在領域)と仮想存在領域との少なく一方が存在すれば、人の存在があると判断し、存在領域(現存在領域)と仮想存在領域とが両方とも存在しなければ、人の存在がないと判断する。
検知装置300は、ステップS56の後に、引き続き検知部31により人の存在の有無を検知する。
なお、所定期間T3が経過した後は、作成部36が仮想存在領域を解除するため、所定期間T2が終了した後に新たに作成された存在領域(現存在領域)が存在しなければ、判断部34は、人の存在がないと判断する。このとき、所定期間T3を所定期間T2より長く設定すれば、所定期間T2が終了後、すなわち、急激な光変化の期間が終了後、検知部31が人の存在がないと検知しても、判断部34は、直ちに人の存在がないとは判断しない。所定期間T2が終了後、すなわち、急激な光変化の期間が終了後、検知部31が人の存在がないと検知しても、判断部34は、ある程度の期間が経って継続的に人の存在がないと検知した場合に人の存在がないと判断する。
すなわち、上述したように、所定期間T2の終了後において、作成部36は、検知部31が人の存在があると検知した場合、検知領域内に存在領域を現存在領域として新たに作成することが好ましい。この場合に、導出部33は、更に、所定期間T4における人の移動速度を導出し、上記移動速度に基づいて所定期間T2における当該人の仮想移動距離を導出することが好ましい。この場合、所定期間T2の終了後において、作成部36は、上記現存在領域と、上記仮想存在領域と、の距離が上記仮想移動距離未満であれば、上記仮想存在領域を解除して上記現存在領域を残すことが好ましい。
あるいは、導出部33は、更に、判定部35が上記光変化有りと判定する前の人の移動速度を導出し、上記移動速度に基づいて所定期間T2における当該人の仮想移動距離を導出してもよい。この場合に、所定期間T2の終了後において、作成部36は、上記現存在領域と、上記仮想存在領域と、の距離が上記仮想移動距離未満であれば、上記仮想存在領域を解除して上記現存在領域を残すことが好ましい。
要するに、作成部36は、検知部31の検知結果に基づいて作成した存在領域(現存在領域)と仮想存在領域との距離が仮想移動距離未満であれば、仮想存在領域を解除する。これにより、検知装置300および検知システム320は、急激な光変化が発生した後に検知した人と、急激な光変化が発生する前に検知した人とは、同一な人であるかどうかが分かる。すなわち、検知装置300および検知システム320は、検知装置200および検知システム220と比べ、急激な光変化が発生した後に解析画像の検知領域内に複数人が存在しているとき、より精度高く複数人の存在の有無を検知することができる。
(実施形態4)
以下、本発明の実施形態4に係る検知装置400および検知システム420について説明する。検知装置400および検知システム420は、主に検知装置300および検知システム320とは、作成部36が、所定期間T2が終了してから所定期間T3が終了するまでに間において、仮想移動距離に基づいて仮想存在領域を広げる点、で異なる。なお、実施形態3と同様の構成については、同符号を付して説明を適宜省略する。
導出部33は、実施形態3と同じ手順で仮想移動距離を導出する。そして、作成部36は、所定期間T2が終了した場合、仮想存在領域を仮想移動距離の移動方向に仮想移動距離の相当分だけ広げる。なお、移動方向について、人の移動速度の方向を移動方向にしてもよく、人の移動速度の方向から推測できる移動方向範囲、例えば人の移動速度の方向から0°〜±90°の範囲を移動方向にしてもよい。その場合、人の移動速度の方向から0°〜±90°の範囲に、仮想存在領域を仮想移動距離の相当分だけ広げる。
作成部36は、所定期間T2が終了した後に検知部31が人の存在があると検知したとき、新たに存在領域(現存在領域)を作成する。そして、作成部36は、所定期間T2が終了した後に作成した存在領域(現存在領域)と領域が広げられた後の仮想存在領域との距離を仮想移動距離と比較し、仮想移動距離未満であれば、仮想存在領域を解除する。
図6は、検知装置400の動作の一例を示すフローチャートである。なお、ステップS61、S63〜S67は、図5のステップS51〜S56と同様である。
ステップS62において、作成部36は、導出部33が導出した仮想移動距離に基づいて仮想存在領域を広げる。
なお、ステップS62の順番を限定しない。ステップS62は、例えば、ステップS63とステップS64との間にあってもよい。すなわち、作成部36は、先に検知部31が人の存在の有無を検知してから、仮想移動距離に基づいて仮想存在領域を広げてもよい。また、ステップS62はステップS64とステップS65との間にあってもよい。
ステップS65において、ステップS64で作成部36が作成した存在領域とステップS62で領域が広げられた仮想存在領域との距離が、仮想移動距離未満であれば(ステップS65のYES)、作成部36は、仮想存在領域を解除する(ステップS66)。
すなわち、上述したように、導出部33は、更に、所定期間T4における人の移動速度を導出し、上記移動速度に基づいて所定期間T2における当該人の仮想移動距離を導出することが好ましい。この場合、所定期間T2の終了後において、作成部36は、上記仮想移動距離に基づいて上記仮想存在領域を広げることが好ましい。
あるいは、導出部33は、更に、判定部35が上記光変化有りと判定する前の人の移動速度に基づいて当該人の仮想移動距離を導出してもよい。この場合、所定期間T2の終了後において、作成部36は、上記仮想移動距離に基づいて上記仮想存在領域を広げることが好ましい。
要するに、導出部33は、判定部35が光変化ありと判定する前に検知部31が検知した人の所定期間T2における仮想移動距離を導出する。作成部36は、所定期間T2が終了した後、すなわち、判定部35が判定した光変化状態が終了した後、検知部31が検知した人の移動速度の方向に仮想移動距離に基づいて仮想存在領域を広げることで、より当該人の存在領域を特定することができる。それ故、検知装置400および検知システム420は、検知装置300および検知システム320と比べ、より精度高く人の存在の有無を検知することができる。
(実施形態5)
以下、本発明の実施形態5に係る検知装置500および検知システム520について図7〜図13を用いて説明する。検知装置500および検知システム520は、主に検知装置200および検知システム220とは、検知部31が移動検知モードおよび滞在検知モードを有する点と、作成部36の動作と、が異なる。なお、実施形態2と同様の構成については、同符号を付して説明を適宜省略する。
検知装置500および検知システム520では、作成部36は、検知部31が人の存在があると検知した場合に、検知した人を囲む存在領域を検知領域に作成する機能を有しているが、仮想存在領域を作成する機能は有しない。つまり、作成部36は、判定部35が光変化有りと判定した場合でも、判定部35が光変化有りと判定する直前に作成部36が作成した存在領域に基づいて仮想存在領域を作成しない。そのため、検知装置500および検知システム520は、仮想存在領域が存在する場合に、判断部34が人の存在があると判断する機能もない。
検知部31は、検知モードとして、解析画像の検知領域内における人の存在の有無を検知する移動検知モードと、検知領域内で停滞した存在領域からなる滞在領域内における人の動き量に基づいて人の存在の有無を検知する滞在検知モードと、を有する。そして、検知部31は、検知領域内に存在領域があり且つ移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定した場合、少なくとも所定期間T2においては検知モードを移動検知モードから滞在検知モードに切り替える。
ここで、検知部31が移動検知モードで動作している限り、作成部36は、人が検知装置100の解析画像の検知領域内を移動するにつれて、存在領域の位置を更新することで、検知領域内の人の位置を存在領域にて追跡する。すなわち、移動検知モードにおいては、検知部31は、検知領域の全域を対象として人の存在の有無を検知し、検知領域内で人が大きく移動した場合でも、人の位置を追跡することで継続的に当該人の存在の有無を検知する。一方、滞在検知モードにおいては、検知部31は、検知領域内で停滞した存在領域である滞在領域、つまり検知領域内での位置が固定された存在領域である滞在領域内を対象として、人の存在の有無を検知する。よって、滞在検知モードにおいては、検知部31は、人が検知領域内の一箇所に止まっている(停滞している)状態にあっても、当該人の微動を検知することで、滞在領域内の人の存在の有無を検知できる。
ただし、検知部31は、移動検知モードと、滞在検知モードと、を完全に切り替えるのではなく、原則、移動検知モードで動作している。検知部31は、検知領域内に滞在領域が出現すると(存在領域の停滞が発生すると)、滞在領域内についてのみ滞在検知モードで人の存在の有無を検知し、検知領域のうち滞在領域以外の領域は移動検知モードで人の存在の有無を検知する。つまり、検知部31は、検知領域内に滞在領域が出現すると、滞在領域についてのみ、部分的に検知モードを滞在検知モードとするのであって、検知モードが移動検知モードから滞在検知モードへ完全に切り替わるのではない。
なお、検知部31での移動検知モードにおける人の存在の有無の検知方法、つまり、作成部36での存在領域の作成に用いられる検知部31での人の存在の有無の検知方法は特に限定されず、従来の人検知の技術を用いてもよい。例えば、背景差分を用いて人の存在の有無を検知する手法でもよく、フレーム間差分を用いて解析画像の検知領域における人の動き量を導出することで人の存在の有無を検知する手法でもよい。
以下、検知部31の検知モードの切り替えについて、図8を用いて説明する。図8は、検知装置500の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS81において、検知部31は、移動検知モードでの動作、つまり検知領域内における人の存在の有無の検知を開始し、ステップS82に進む。ステップS82において、検知部31は、検知領域内における存在領域の有無も判断しており、検知領域内に存在領域があり且つ移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定した場合にのみ、ステップS83に進む。ステップS82においては、検知部31は、判定部35から光変化の有無の判定結果を取得し、判定部35が光変化有りと判定しなければ(ステップS82のNO)、移動検知モードでの動作を継続する。検知部31が移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定すると(ステップS82のYES)、検知部31は、少なくとも所定期間T2においては検知モードを移動検知モードから滞在検知モードに切り替え(ステップS83)、ステップS84に進む。ただし、ステップS82において、検知部31は、検知領域内における存在領域の有無も判断しており、検知領域内に存在領域があり且つ移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定した場合にのみ、ステップS83に進む。なお、ここでは、所定期間T2は、判定部35が光変化有りと判定した時から光変化が終了すると判定した時までの期間、つまり可変長の期間であることとする。
ステップS84において、検知部31は、判定部35から光変化の有無の判定結果を取得し、判定部35が光変化有りと判定している(ステップS84のYES)間は、滞在検知モードでの動作を継続する。つまり、検知部31は、少なくとも判定部35が光変化有りと判定した時から光変化が終了すると判定した時までの期間、つまり所定期間T2においては、検知モードを滞在検知モードに維持する。判断部34は、光変化有りと判定されると、所定期間T2の間は、検知部31の検知結果を採用しないで所定期間T2の開始前の判断結果を維持するので、所定期間T2においては、検知部31の検知モードにかかわらず判断部34の判断結果は変化しない。
光変化が終了したと判定部35が判定すると(ステップS84のNO)、所定期間T2が終了するため、判断部34は、滞在検知モードで動作中の検知部31の検知結果に基づいて、人の存在の有無を判断する(ステップS85)。詳しくは後述するが、検知装置500においては、判断部34は、検知部31が移動検知モードで人の存在が有ると判断すれば「移動状態」と判断し、検知部31が滞在検知モードで人の存在が有ると判断すれば「滞在状態」と判断する。つまり、判断部34の判断結果は検知部31の検知モードによって異なる。そのため、検知部31が滞在検知モードで動作中においては、判断部34は、「滞在状態」か否かを判断する滞在検知を行い、この状態で、検知部31が人の存在が有ることを検知すれば(ステップS85のYES)、「滞在状態」と判断する(ステップS86)。
一方、検知部31は、滞在検知モードにおいて滞在領域内に人の存在がないと判定した場合に(ステップS85のNO)、検知モードを滞在検知モードから移動検知モードに切り替え(ステップS87)、ステップS82に戻る。詳しくは後述するが、検知部31は、滞在検知モードにおいて人の存在がない状態が所定時間Qにわたって継続すると、滞在領域内に人の存在がないと判定し、滞在検知モードから移動検知モードへ切り替わる。
ところで、導出部33は、所定期間における滞在領域内での人の動き量を導出する。また、導出部33は、所定期間における検知領域内での存在領域の位置変化量を導出する。なお、説明の便宜上、上述の「所定期間」を撮像部2が撮像した解析画像の連続した2つのフレームのフレーム間隔として説明するが、その限りではなく、例えば予め設定した期間を用いてもよい。また、滞在領域における人の動き量を導出する所定期間と、存在領域の位置変化量を導出する所定期間とは、同じ期間であってもよいし、異なる期間であってもよい。
検知部31は、移動検知モードにおいて、検知領域内での存在領域の位置変化量が停滞閾値“I”未満になると、検知領域内での当該存在領域の位置を固定し、当該存在領域を滞在領域として、当該滞在領域について滞在検知モードで人の存在の有無を検知する。つまり、滞在領域は、検知領域内での位置変化量が停滞閾値“I”未満となることで、検知領域内で停滞したとみなされた存在領域である。このように、検知部31は、基本的には検知領域内での存在領域の位置変化量に基づいて、検知モードが移動検知モードから滞在検知モードに切り替わる。
ただし、検知部31は、移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定して、検知モードが移動検知モードから滞在検知モードに切り替わる場合においては、存在領域の位置変化量にかかわらず移動検知モードから滞在検知モードに切り替わる。つまり、検知部31は、検知領域内に存在領域があり且つ移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定した場合、少なくとも所定期間T2においては、存在領域の位置変化量にかかわらず存在領域を滞在領域する。そして、検知部31は、当該滞在領域について滞在検知モードで人の存在の有無を検知する。これにより、検知部31が移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定すると、検知部31の検知モードは移動検知モードから滞在検知モードに切り替わることになる。
以下、作成部36の存在領域の作成方法と、導出部33の滞在領域内での人の動き量および存在領域の位置変化量の導出方法について、図9A、図9B、図10A、および図10Bを用いて説明する。
図9Aおよび図9Bは、作成部36が作成する存在領域22の一例と、導出部33が存在領域22の位置変化量を導出する一例を示す概念図である。図9Aおよび図9Bは、連続する2つのフレームの解析画像の検知領域21を示す図である。
図9Aに示すように、作成部36は、移動検知モードにおいて、検知部31が人の存在があることを検知したとき、当該人の幅、高さに基づいて、長方形状の存在領域22を、解析画像内に当該人を囲むように作成する。つまり、存在領域22は、解析画像の検知領域21内において、検知部31で検知された人を含むように作成される領域である。
図9Bは、図9Aの次のフレームを示しており、この場合、人が移動していることを想定するため、存在領域22が、図9Aにおける存在領域22aから図9Bにおける存在領域22bに移動する。
導出部33は、存在領域22aの中心と22bの中心との間の距離L1を算出し、距離L1を存在領域22の位置変化量として導出する。
検知部31は、移動検知モードにおいて、導出部33により導出した位置変化量と、記憶部32に記憶された停滞閾値“I”と、を比較する。位置変化量が停滞閾値“I”以上の場合、検知部31は、移動検知モードのままで人の存在の有無を検知し、位置変化量が停滞閾値“I”未満の場合、部分的に検知モードを滞在検知モードとする。
作成部36は、人が検知装置100の解析画像の検知領域21内を移動するにつれて、存在領域22の位置を更新することで、検知部31が解析画像の検知領域内の人を追跡することができる。移動検知モードにおいては、検知部31は、解析画像における検知領域21内に存在領域22が存在すれば検知領域21に人の存在があると検知し、検知領域21内に存在領域22が存在しなければ検知領域21に人の存在がないと検知する。つまり、図9Aおよび図9Bのいずれの場合でも、検知部31は人の存在があると検知する。
図10Aおよび図10Bは、検知装置100が滞在検知モードで人の存在の有無を検知する際に導出部33が人の動き量を導出する一例を示す概念図である。図10Aおよび図10Bは、連続する2つのフレームの滞在領域23a、23bを示す図である。なお、図10Aおよび図10Bでは、検知領域21内で存在領域が停滞しているため、「23a」、「23b」で示す存在領域はいずれも滞在領域23である。
図10Aおよび図10Bに示すように、滞在検知モードにおいて、検知部31は、停滞中の存在領域、つまり滞在領域23における人の動き量に基づいて人の存在の有無を検知する。図10Aおよび図10Bに示すように、人の動きが、図10Aの滞在領域23aから図10Bの滞在領域23bに変化する際に、滞在領域23a、23bにおける画素の輝度は、人の動きの変動に基づいて変化する。
導出部33は、所定期間において、滞在領域23(滞在領域23a、23b)における人の動き量を導出する。すなわち、導出部33は、滞在領域23b内の画素のうち滞在領域23aからの輝度の変化量が記憶部32に記憶された導出閾値“K”以上の画素の数、を人の動き量として導出する。
検知部31は、滞在検知モードにおいて、導出部33により人の動き量を導出することで、人の動き量と、記憶部32に記憶された検知閾値“T”と、を比較する。検知部31は、人の動き量が検知閾値“T”以上であれば、人の存在があると判定する。また、検知部31は、人の動き量が検知閾値“T”未満であれば、人の存在がないと判定する。つまり、検知部31は、滞在検知モードにおいて、人の動き量が検知閾値“T”未満であれば、人の存在がないと判定し、人の動き量が検知閾値“T”以上であれば、人の存在があると判定する。
ただし、検知部31は、滞在検知モードにおいて、人の動き量が検知閾値“T”未満であればすぐに人の存在がないと判定するのでなく、滞在領域における人の動き量が検知閾値“T”未満の状態が所定期間Qにわたって継続して初めて、人の存在がないと判定する。つまり、滞在検知モードにおいて検知部31が所定期間Qにわたって継続的に人の存在がないと検知したときに人の存在がないと判定することで、滞在検知モードにおける人の存在の有無をより精度高く検知することができる。
ここで、検知部31は、滞在検知モードにおいて滞在領域内に人の存在がないと判定した場合に、滞在領域を解除し、滞在領域内の検知モードを滞在検知モードから移動検知モードへ切り替える。つまり、検知部31は、第2の所定期間の終了後において滞在検知モードで人の存在がないと判断すると、滞在領域を解除して、検知モードを滞在検知モードから移動検知モードに切り替える。そのため、滞在検知モードにおいて、滞在領域における人の動き量が検知閾値“T”未満の状態が、所定期間Qにわたって継続すると、検知部31は、人の存在がないと判定し、且つ、滞在検知モードから移動検知モードへの切り替えを行う。
なお、ここでいう滞在領域の解除とは、検知領域内に設定された滞在領域を削除することを意味する。滞在領域を解除した場合、検知部31は、当該滞在領域を存在領域に戻してもよいし、当該滞在領域を存在領域に戻すことなく単に滞在領域の設定を解消してもよい。前者の場合、滞在領域が解除されると、検出領域における当該滞在領域と同じ位置に、当該滞在領域に代わる存在領域が出現する。後者の場合、滞在領域が解除されると、検出領域における当該滞在領域と同じ位置には、滞在領域と存在領域とのいずれも残らない。
また、検知領域内の複数箇所に滞在領域が設定されている状態において、検知部31は、滞在検知モードから移動検知モードへの切り替えについては、滞在領域毎に行ってもよいし、全ての滞在領域について一斉に行ってもよい。
要するに、滞在領域内に人の存在が検知されないまま一定時間が経過すると、この滞在領域は解除されることになる。その結果、人の存在がないと判定された滞在領域は解除されて移動検知モードに切り替わるので、検知部31は、人がいなくなった滞在領域について、いつまでも滞在検知モードで人の存在の有無を検知することを回避できる。
なお、導出部33は、検知領域21内での存在領域22の位置変化量を導出する際に、必ずしも存在領域22の中心を基準点とする限りではない。つまり、導出部33は、例えば、移動する前後における存在領域22の代表点間の距離を算出し、この距離を存在領域22の位置変化量として導出する構成であってもよい。ここでいう代表点は、例えば存在領域22の重心、頂点などである。
また、検知部31は、導出部33により導出した位置変化量が、停滞閾値“I”以上となるとすぐに、検知モードを移動検知モードから滞在検知モードへの切り替える構成に限らない。例えば、検知部31は、直前のフレームと比較した場合の検知領域21内での存在領域22の位置変化量が、停滞閾値“I”未満であるフレームを停滞候補とし、当該停滞候補となるフレームが規定フレーム数連続した場合に、滞在検知モードへの切り替えてもよい。この場合、検知部31は、移動検知モードで動作中に、停滞候補となるフレーム数をカウントし、このカウント値(フレーム数)が規定フレーム数に達すると、検知モードを滞在検知モードへ切り替える。この場合において、カウント値が規定フレーム数に達する前に、導出部33により導出した位置変化量が、停滞閾値“I”以上となると、カウント値はリセットされる。これにより、検知部31は、人が暫くの間、検知領域21内に停滞して初めて、当該人に対応する存在領域22を滞在領域として、滞在検知モードでの検知を開始することになる。
また、解析画像の検知領域21が、撮像部2が撮像した画像の一部の領域である場合、検知部31は、検知領域21外であっても解析画像内に含まれる人の存在の有無を検知する。検知部31が検知領域21外で人の存在ありと検知した場合、作成部36は、当該人を囲む存在領域22を作成する。これにより、人が検知領域21外から検知領域21内に進入する場合、存在領域22は、当該人を追跡するようにして解析画像における検知領域21外から検知領域21に進入することになる。したがって、検知部31は、移動検知モードにおいて、検知領域21内における存在領域22の存在の有無に基づいて、検知領域21内における人の存在の有無を検知する構成であってもよい。これにより、検知部31は、検知領域21内の人と検知領域21外の人とを区別して検知することができる。なお、検知部31は、存在領域22が一部でも検知領域21に重複する場合には、存在領域22が検知領域21内に存在すると判定することが好ましい。
この場合において、検知部31は、存在領域22が検知領域21内に存在する場合にのみ移動検知モードで動作し、存在領域22が検知領域21内に存在しなければ移動検知モードとは別の進入検知モードで動作する。検知部31は、基本的には進入検知モードでも移動検知モードと同じように動作するが、進入検知モードでは検知領域21内に位置する存在領域22がないため、存在領域22を滞在領域とすることがない。したがって、検知部31は、進入検知モードにおいては、検知モードが直接的に滞在検知モードに切り替わることはない。つまり、進入検知モードから直接的に切り替わることができる検知モードは移動検知モードのみであって、進入検知モードから滞在検知モードへは、移動検知モードを経て切り替わることになる。
また、判断部34は、検知部31が滞在検知モードで人の存在があると判定するときと、移動検知モードで人の存在があると判定するときに、それぞれ異なる判断結果を出力する。つまり、検知部31が検知領域21内に人の存在があると検知した場合、検知部31の検知モードが滞在検知モードか移動検知モードかで、判断部34での最終的な判断結果が異なっている。具体的には、判断部34は、検知部31が移動検知モードで人の存在があると検知したときは「移動状態」と判断し、検知部31が滞在検知モードで人の存在があると検知したときは「滞在状態」と判断する。そして、検知装置100は、検知領域21内の人が移動している(移動状態にある)のか、滞在している(滞在状態にある)のか、を区別可能な形で判定結果を出力する。そうすることで、検知装置500は、人の移動、滞在に応じて負荷5を制御することができる。
なお、「移動状態」と「滞在状態」との両方の判断結果が重複して得られた場合、検知装置500は、例えば、「滞在状態」の判断結果を優先的に採用する。検知部31が移動検知モードと滞在検知モードとのいずれでも人の存在がないと検知したときには、判断部34は、「不在状態」と判断する。
更に、検知領域内に存在領域があり且つ検知部31が移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定して、検知モードが移動検知モードから滞在検知モードに切り替わる場合、少なくとも所定期間T2においては、判断部34が「移動状態」と判断する。この場合、所定期間T2の終了後において検知部31が滞在検知モードで人の存在が有ると判断すると、判断部34が「滞在状態」と判断する。つまり、検知領域内に存在領域があり且つ検知部31が移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定した場合、少なくとも所定期間T2においては、判断部34が検知部31の検知結果を採用しないで所定期間T2の開始前の判断結果を維持する。そのため、少なくとも所定期間T2においては判断部34は「移動状態」と判断する。そして、判断部34は、所定期間T2の終了後において検知部31が滞在検知モードで人の存在が有ると判断することを以て初めて「滞在状態」と判断する。
要するに、判定部35が光変化有りと判定した場合に、検知部31の検知モードが移動検知モードから滞在検知モードに切り替わったとしても、判断部34は、所定期間T2の終了後に即座に「滞在状態」と判断することはない。そのため、負荷5の動作モードの切り替えや外乱により解析画像に急激な光変化が発生する際、検知部31による検出対象の検知に誤りが発生しても、それに影響され難く、判断部34は「移動状態」と「滞在状態」とを区別して判断することができる。
以下、検知領域内に存在領域があり且つ検知部31が移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定した場合における制御部3の動作について、図11〜図13を用いて説明する。図11〜図13は、いずれも人が検知領域21の外から検知領域21内に進入することに伴って負荷5(照明装置)が「消灯」から「点灯」に移行する前後の一定期間に撮像される解析画像を表している。図11〜図13は、横軸を時間軸とした撮像部2の被写体の照度の時間変化を上段に表し、時点t1〜t4の各時点での解析画像を下段に表している。なお、図11〜図13は、オフィスの天井に取り付けられた撮像部2にてオフィス内を移動する人70を上方から撮像した場合を想定している。
図11は、人70が検知領域21の外から検知領域21内に進入した後、更に、検知領域21の中央に向けて移動し続けた場合の例である。
図11の例では、時点t1では検知領域21内に人70が存在しないため、負荷5である照明装置は消灯している。このとき、撮像部2の視野内には人70が存在しているため、検知部31は、進入検知モードで動作して解析画像内における人70の存在を検知し、作成部36は、当該人70を囲むように存在領域22を作成する。
時点t2において、存在領域22が検知領域21内に進入するので、検知部31は、検知モードが進入検知モードから移動検知モードに切り替わり、検知領域21内の人70の存在を検知する。そのため、時点t2では、判断部34が検知部31の検知結果を受けて人70の存在が有ると判断し、制御部3が、判断部34の判断結果に基づいて、負荷5である照明装置を制御して点灯させる。これにより、時点t2から暫くの間、撮像部2の被写体の照度が時間経過に伴い上昇し、撮像部2が撮像する解析画像には急激な光変化が発生する。
そのため、判定部35は、時点t2の直後の時点t3から照度が安定する(光変化がなくなる)までの所定期間T2にわたり、光変化有りと判定する。したがって、検知領域21内に存在領域22があり且つ検知部31が移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定することになるため、検知領域21内での存在領域22の位置が固定され存在領域22が滞在領域23となる。これにより、時点t3において、検知部31の検知モードが移動検知モードから滞在検知モードに切り替わる。
検知部31は、所定期間T2にわたって滞在検知モードで動作するため、撮像部2の被写体の照度が安定して所定期間T2が終了する時点t4においても、検知領域21内における滞在領域23の位置は時点t3と同じである。図11の例においては、時点t4で人70は滞在領域23内には存在せず、滞在領域23よりも更に検知領域21の中央に近い位置に移動している。そのため、滞在領域23における人の動き量が検知閾値“T”未満の状態が、所定期間Qにわたって継続することとなり、検知部31は、滞在領域23を解除し、滞在検知モードから移動検知モードへの切り替えを行う。一方で、検知部31は、移動検知モードにおいて検知領域21内における人70の存在を検知するため、作成部36は、当該人70を囲むように存在領域22を作成する。
その結果、判断部34は、時点t2で「移動状態」と判断すると、その後、時点t4以降にかけても「移動状態」との判断を継続することになる。
図12は、人70が検知領域21の外から検知領域21内に進入した後、その場で立ち止まった(停滞した)場合の例である。図12の例において、時点t1〜t3までは図11の例と同様であるから、以下では説明を省略する。
検知部31は、所定期間T2にわたって滞在検知モードで動作するため、撮像部2の被写体の照度が安定して所定期間T2が終了する時点t4においても、検知領域21内における滞在領域23の位置は時点t3と同じである。図12の例においては、時点t4でも人70は滞在領域23内に存在している。そのため、滞在領域23における人の動き量が検知閾値“T”以上になることで、検知部31は、滞在検知モードで人の存在が有ると判断し、滞在検知モードでの動作を継続する。
その結果、判断部34は、時点t2で「移動状態」と判断すると、その後、所定期間T2が終了する時点t4までは「移動状態」との判断を継続し、時点t4以降で滞在領域23における人の動き量が検知閾値“T”以上になり次第、「滞在状態」と判断する。
図13は、人70が検知領域21の外から検知領域21内に進入した後、すぐに検知領域21から離脱する向きに移動した場合の例である。図13の例において、時点t1〜t3までは図11、図12の例と同様であるから、以下では説明を省略する。
検知部31は、所定期間T2にわたって滞在検知モードで動作するため、撮像部2の被写体の照度が安定して所定期間T2が終了する時点t4においても、検知領域21内における滞在領域23の位置は時点t3と同じである。図13の例においては、時点t4で人70は滞在領域23内には存在せず、更に、検知領域21の外に移動している。そのため、滞在領域23における人の動き量が検知閾値“T”未満の状態が、所定期間Qにわたって継続することとなり、検知部31は、滞在領域23を解除し、滞在検知モードから移動検知モードへの切り替えを行う。一方で、検知部31は、移動検知モードにおいて検知領域21内に人70の存在がないことを検知するため、移動検知モードから進入検知モードへと切り替わる。検知部31は、進入検知モードで動作して解析画像内における人70の存在を検知し、作成部36は、当該人70を囲むように存在領域22を作成する。
その結果、判断部34は、時点t2で「移動状態」と判断すると、その後、所定期間T2が終了する時点t4までは「移動状態」との判断を継続し、時点t4以降で検知領域21内に人が存在しない状態、つまり「不在状態」と判断することになる。
ところで、実施形態5に係る検知装置500は、上述した構成に加えて、赤外線検知部6と、確定部4と、を更に備えている。赤外線検知部6は、赤外線の受光量の変化に基づいて検知領域21内における人の存在の有無を検知する。確定部4は、判断部34の判断結果および赤外線検知部6の検知結果に基づいて、検知領域内の人の存在の有無の判断を確定する。ここで、確定部4は、所定期間T2において、赤外線検知部6で人の存在が有ると検知された場合、赤外線検知部6の検知結果を判断部34の判断結果より優先して検知領域21内の人の存在の有無の判断を確定する。
さらに詳しく説明すると、赤外線検知部6は、例えば、焦電型赤外線センサのように、人から発せられる赤外線の受光量の変化を捉えて人の存在を検知する受動型のセンサである。この種の微分型の赤外線検知部6は、止まっている(停滞している)人については赤外線の受光量が変化しないため検知せず、移動している人を検知する。赤外線検知部6の赤外線の受光範囲は、撮像部2で撮像される解析画像の検知領域に合わせて設定されている。確定部4は、例えば、マイコン(マイクロコンピュータ)などの演算処理装置である。確定部4は、制御部3と赤外線検知部6との両方に接続されており、判断部34の判断結果と赤外線検知部6の検知結果との両方に基づいて、検知領域内の人の存在の有無の判断を確定する。検知装置500は、確定部4で確定された検知領域内の人の存在の有無の判断に基づいて負荷5を制御する。
定常時においては、確定部4は、判断部34の判断結果を赤外線検知部6の検知結果より優先して検知領域21内の人の存在の有無の判断を確定する。一方、判定部35が光変化有りと判定すると、確定部4は、所定期間T2においては、赤外線検知部6で人の存在が有ると検知された場合に、赤外線検知部6の検知結果を判断部34の判断結果より優先して検知領域21内の人の存在の有無の判断を確定する。つまり、所定期間T2においては、判断部34が検知部31の検知結果を採用しないため、確定部4は、赤外線検知部6の検知結果を優先することにより、検知領域21内の人の存在の有無の判断を継続的に行うことができる。
ここで、制御部3は、確定部4を通して赤外線検知部6の検知結果を取得できるように構成されていることが好ましい。制御部3は、所定期間T2において赤外線検知部6の検知結果を取得することで、所定期間T2に人が移動したか否かを推定し、これにより検知部31の検知モードを滞在検知モードと移動検知モードとで切り替えることが可能である。すなわち、所定期間T2において、検知部31が検知モードを移動検知モードから滞在検知モードに切り替えた場合を想定する。この場合において、人が移動することで赤外線検知部6が当該人の存在が有ると検知すると、検知部31は滞在領域を解除し、滞在領域内の検知モードを滞在検知モードから移動検知モードへ切り替える。一方、人が移動せず赤外線検知部6が人の存在がないと場合、検知部31は滞在検知モードでの動作を継続する。
以上説明したように、実施形態5に係る検知装置500および検知システム520は、検知部31が人の存在があると検知した場合、検知した人を囲む存在領域を検知領域に作成する作成部36を有している。検知部31は、検知領域内における人の存在の有無を検知する移動検知モードと、検知領域内で停滞した存在領域からなる滞在領域内における人の動き量に基づいて人の存在の有無を検知する滞在検知モードと、を有している。検知部31は、検知領域内に存在領域があり且つ移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定した場合、少なくとも所定期間T2においては検知モードを移動検知モードから滞在検知モードに切り替える。
したがって、負荷5の動作モードの切り替えや外乱により解析画像に急激な光変化が発生する際、検知部31による検出対象の検知に誤りが発生しても、それに影響され難く、判断部34は人の存在の有無を判断することができる。特に、急激な光変化の発生中に人が検知領域内で停滞した場合にも、検知部31は、強制的に滞在検知モードに移行するため、人を見失わずに検知することができる。よって、検知装置500および検知システム520は、解析画像の検知領域内において急激な光変化により例えば白とび等が発生しても、人の存在の有無を誤判断するのを抑制することができる。
検知部31は、移動検知モードにおいて、検知領域内での存在領域の位置変化量が停滞閾値“I”未満になると、検知領域内での存在領域の位置を固定し、存在領域を滞在領域として、滞在領域について滞在検知モードで人の存在の有無を検知することが好ましい。ここで、検知部31は、判定部35が光変化有りと判定したことをトリガにして検知モードが移動検知モードから滞在検知モードに切り替わる場合、少なくとも所定期間T2においては、存在領域の位置変化量にかかわらず当該存在領域を滞在領域とする。そして、検知部31は、当該滞在領域について滞在検知モードで人の存在の有無を検知することが好ましい。
この構成によれば、検知部31は、定常時には存在領域の位置変化量が停滞閾値“I”未満になると滞在検知モードに移行するのに対し、判定部35が光変化有りと判定した場合には、存在領域の位置変化量にかかわらず滞在検知モードに移行する。そのため、負荷5の動作モードの切り替えや外乱により解析画像に急激な光変化が発生する際、検知部31による検出対象の検知に誤りが発生しても、それに影響され難く、検知部31は滞在検知モードに移行することができる。なお、この構成は必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
また、判断部34は、上述したように、検知部31が移動検知モードで人の存在が有ると判断した場合には、移動状態と判断し、検知部31が滞在検知モードで人の存在が有ると判断した場合には、滞在状態と判断していることが好ましい。ここで、判定部35が光変化有りと判定したことをトリガにして検知部31の検知モードが移動検知モードから滞在検知モードに切り替わる場合、少なくとも所定期間T2においては、判断部34が移動状態と判断することが好ましい。また、この場合、所定期間T2の終了後において検知部31が滞在検知モードで人の存在が有ると判断すると、判断部34が滞在状態と判断することが好ましい。
この構成によれば、判定部35が光変化有りと判定した場合に、検知部31の検知モードが移動検知モードから滞在検知モードに切り替わったとしても、判断部34は、所定期間T2の終了後に即座に「滞在状態」と判断することはない。そのため、負荷5の動作モードの切り替えや外乱により解析画像に急激な光変化が発生する際、検知部31による検出対象の検知に誤りが発生しても、それに影響され難く、判断部34は「移動状態」と「滞在状態」とを区別して判断することができる。なお、この構成は必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
なお、検知領域内に存在領域があり且つ検知部31が移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定した場合、検知モードを滞在検知モードに切り替える点と、赤外線検知部6および確定部4を備える点とは、共に採用するものに限らない。つまり、検知領域内に存在領域があり且つ検知部31が移動検知モードで動作中に判定部35が光変化有りと判定した場合、検知モードを滞在検知モードに切り替える点と、赤外線検知部6および確定部4を備える点とは、一方のみ採用されてもよい。
(プログラムおよび検知方法)
以上説明したような検知装置の制御部3は、適当なプログラムをコンピュータに実行させることによって実現することができる。すなわち、このプログラムは、コンピュータを、検知装置として機能させるためのプログラムであり、例えば、記録媒体に記録されて提供され、あるいは電気通信回線を通じて提供される。ここでいう検知装置は、検知部31と、判断部34と、導出部33と、判定部35と、を備えている。検知部31は、解析画像の検知領域内の人の存在の有無を検知する。判断部34は、検知部31の検知結果に基づいて、人の存在の有無を判断する。導出部33は、検知領域内において所定期間T1における輝度変化量が第1の閾値以上である輝度変化領域の大きさを導出する。判定部35は、輝度変化領域の大きさが第2の閾値以上であれば光変化有りと判定する。そして、判定部35が光変化有りと判定した場合、所定期間T2において、検知部31が検知動作を停止する、または所定期間T2において、判断部34が検知部31の検知結果を採用しないで所定期間T2の開始前の判断結果を維持する。
また、この種の検知装置を用いることで、以下のような検知方法を実現することができる。すなわち、ここでいう検知方法は、検知段階と、判断段階と、導出段階と、判定段階と、を含んでいる。検知段階では、解析画像の検知領域内の人の存在の有無を検知する。判断段階では、検知段階の検知結果に基づいて、人の存在の有無を判断する。導出段階では、検知領域内において所定期間T1における輝度変化量が第1の閾値以上である輝度変化領域の大きさを導出する。判定段階では、輝度変化領域の大きさが第2の閾値以上であれば光変化有りと判定する。そして、判定段階で光変化有りと判定した場合、所定期間T2において、検知段階で検知動作を停止する、または所定期間T2において、判断段階で検知段階の検知結果を採用しないで所定期間T2の開始前の判断結果を維持する。
(結び)
以上のように、本発明における技術の例示として、実施形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。