JP2020005122A - 監視装置 - Google Patents

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【課題】レーザセンサで検知した物体を追尾撮影する監視装置において、追尾する人物が倒れるなどし地面と水平方向に照射されるレーザ光の高さ以下になると、追尾撮影できなくなる。【解決手段】監視装置2は、移動物体の位置を検知する物体検知部5と、撮影方向及びズーム倍率を制御する撮影制御を行うカメラ制御手段73と、撮影制御に基づき、撮影方向及びズーム倍率を制御可能な撮像部6とを備える。カメラ制御手段73は、検知された移動物体を追尾対象として、当該移動物体の検知位置に基づいて撮影制御を行う追尾撮影処理を実行し、当該移動物体が監視領域内にて検知されなくなると、最後の検知位置から推定した当該移動物体の現在位置に基づいて撮影制御を行い、当該移動物体の追尾撮影を継続する撮影継続処理を実行する。【選択図】図2

Description

本発明は、監視領域内を移動する物体の位置に応じて撮影方向を変え、物体を追尾撮影する監視装置に関する。
従来、レーザセンサなどのエリアセンサ装置を用いて監視領域を走査することで移動物体を検知し、検知した物体の位置に応じてカメラの撮影方向を変え、物体を追尾撮影するシステムが知られている。
従来の監視システムとして、レーザセンサの監視領域外へと物体が移動して検知できなくなると、カメラをホームポジションへ向ける構成が提案されている(下記特許文献1)。
特開2010−124023号公報
地面と水平方向にレーザ光を照射するレーザセンサでは、検知していた物体が匍匐移動を始めたり、倒れたりして所定の高さ以下になると、当該物体がレーザ光を反射しなくなるため、実際には監視領域内に移動物体が存在していても検知できなくなる。このような場合に、監視領域外へと物体が移動した場合と同様にカメラをホームポジションに向ける処理を行うと、実際には監視領域内に物体が存在するにもかかわらず、追尾撮影が行われなくなってしまうという問題が生じる。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、移動物体を監視領域内で検知できなくなった場合にも追尾撮影の継続を図ることができる監視装置を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る監視装置は、監視領域の移動物体を追尾撮影する装置であって、前記移動物体の位置を検知する物体検知部と、撮影方向及びズーム倍率を制御する撮影制御を行う制御部と、前記撮影制御に基づき、前記撮影方向及び前記ズーム倍率を制御可能な撮像部とを備え、前記制御部は、検知された前記移動物体を追尾対象として、当該移動物体の検知位置に基づいて前記撮影制御を行う追尾撮影処理を実行し、当該移動物体が前記監視領域内にて検知されなくなると、最後の前記検知位置から推定した当該移動物体の現在位置に基づいて前記撮影制御を行い、当該移動物体の追尾撮影を継続する撮影継続処理を実行する。
(2)上記(1)に記載の監視装置において、前記制御部は、前記追尾対象の移動物体が前記監視領域における外縁領域にて検知されなくなった場合には前記撮影継続処理を行わず、一方、前記監視領域のうち前記外縁領域より内側にて検知されなくなった場合には前記撮影継続処理を行う構成とすることができる。
(3)上記(1)及び(2)に記載の監視装置において、前記制御部は、前記移動物体の前記追尾撮影処理の継続時間を求め、当該継続時間が所定時間以上であることを前記撮影継続処理を行う条件とすることができる。
(4)上記(1)〜(3)に記載の監視装置において、前記移動物体について、予め定めた特徴量を評価して追尾撮影の対象らしさの度合いを示す追尾撮影対象度を求める評価手段をさらに備え、前記制御部は、前記追尾対象の移動物体の前記追尾撮影対象度が所定以上であることを前記撮影継続処理を行う条件とすることができる。
(5)上記(1)〜(4)に記載の監視装置において、前記制御部は、前記撮影継続処理において、前記最後の検知位置から所定範囲内を前記現在位置として推定し、当該所定範囲を含むように前記撮影制御を行う構成とすることができる。
(6)上記(1)〜(5)に記載の監視装置において、前記制御部は、前記撮影継続処理において、前記追尾撮影処理における前記最後の検知位置での前記撮影方向及び前記ズーム倍率を基準とし、前記撮影方向を基準撮影方向と同一とし前記ズーム倍率を基準ズーム倍率よりも小さい所定値とすることができる。
(7)上記(1)〜(6)に記載の監視装置において、前記撮像部は、移動している物体を検知する動体検知手段を備え、前記撮影継続処理は、前記追尾撮影処理における前記最後の検知位置から所定範囲内にて前記動体検知手段で検知した移動物体の位置を、前記追尾対象の移動物体の前記現在位置として推定し、当該現在位置に基づいて前記撮影制御をする構成とすることができる。
(8)上記(1)〜(7)に記載の監視装置において、前記制御部は、検知されなくなった前記追尾対象の移動物体が前記物体検知部により再び検知されると、前記撮影継続処理から前記追尾撮影処理に切り替えて、当該移動物体を追尾撮影する構成とすることができる。
本発明によれば、移動物体を監視領域内で検知できなくなった場合にも追尾撮影の継続を図ることが可能となる。
本発明の実施形態に係る監視システムの概略の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る監視装置の概略の構成を示すブロック図である。 監視領域における外縁領域を説明する模式図である。 本発明の実施形態に係る監視装置のカメラ制御の一例の概略のフロー図である。
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)として、本発明に係る監視装置を含んで構成される監視システム1について、図面に基づいて説明する。
図1は実施形態に係る監視システム1の概略の構成を示す模式図である。監視システム1は監視装置2と監視センタ3とを含んで構成される。監視装置2と監視センタ3とは通信可能に接続される。
監視装置2は、監視対象である監視領域4が設定される場所、建物等に設置され、監視領域4の移動物体(人物、車両など)を追尾撮影する。監視装置2は物体検知部5、撮像部6及び制御部7を含んで構成され、これらのうち少なくとも物体検知部5及び撮像部6は監視領域4を臨む位置に設置される。例えば、監視領域4は屋外に設定され、物体検知部5及び撮像部6は建物の外壁面や、監視領域4に隣接して立設されたポール等に設置される。一方、制御部7は監視領域4内の所定箇所や監視領域4の近傍などに設置され、例えば、LANなどを介して物体検知部5及び撮像部6と接続される。制御部7は物体検知部5及び撮像部6に近接した場所に設置することもできるし、物体検知部5及び撮像部6は屋外に設置して制御部7は屋内に設置するというように、物体検知部5及び撮像部6から分離した位置に置くこともできる。また、制御部7の各機能は、物体検知部5や撮像部6に備えるようにしてもよい。
監視領域4は、例えば監視装置2を中心とした半径数十メートル〔m〕(例えば20mなど)の半円状に設定される。このように設定された監視領域4においては、汎用のカメラではカメラから離れた位置で検知した物体の解像度がそれほど高くなく物体の情報を十分に得られないため、適切にズーム制御をする必要が生じてくる。なお、監視領域はこの例に限定されるものではなく警備のプランニングにより適宜定められる。
物体検知部5は監視領域4内で移動物体を検知し、当該移動物体の位置を含む検知結果を出力する。また、物体検知部5は制御部7に後述のトラッキング情報を送信する。
撮像部6は制御部7からのカメラ制御コマンドに従ってカメラ制御を行い、監視領域4の移動物体の動きを追いながら撮影する。
制御部7は当該物体のトラッキング情報に基づき、撮像部6への制御指示としてカメラ制御コマンドを生成する。
監視センタ3は警備会社などが運営する施設であり、通常、1又は複数のコンピュータで構成されるセンタ装置が設置されている。また、監視センタ3は、1又は複数の監視装置2とネットワークを介して接続される。監視センタ3では、センタ装置により例えば、各種機器を制御し、監視装置2から受信した異常信号を記録するとともに、異常の情報や撮像部6で撮像された撮影画像をディスプレイに表示し、監視員が監視領域を監視している。
図2は監視装置2の概略の構成を示すブロック図である。以下、図2に示す監視装置2の構成を説明する。
物体検知部5はエリアセンサ装置を含み、例えば、ビーム状の探査信号を用い所定の周期で監視領域4に対する空間走査を行い、光路上にある物体(人物、車両など)にて反射した反射光を受光することで、監視領域4内に存在する物体の位置を検出する。また、物体検知部5は複数時刻における位置の検知結果を用いて、物体の移動速度や移動方向を算出することができる。
物体検知部5は通信手段51、記憶手段52、検知手段53、追跡手段54、制御手段55を備える。
通信手段51は制御部7と接続され、制御部7から出力される警備開始信号及び警備解除信号を受信して制御手段55に当該信号を入力する。また、通信手段51は、検知手段53にて監視領域4における移動物体の存在が判定されると、自己のアドレス情報を含む検出信号を制御部7に送信する。例えば、検出信号として、トラッキング情報が制御部7に送信される。
記憶手段52はHDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などで構成される記憶装置であり、各種設定情報や、物体検知部5を動作させるためのプログラムなどを記憶する。例えば、記憶手段52には物体検知部5自身を特定するためのアドレス情報が記憶される。また、記憶手段52には、物体検知部5にて監視すべき範囲として設定された監視領域4を示す監視領域情報と、検知手段53にて生成された基準データと、検知手段53にて取得された過去所定周期分の測定データ及び移動物体(侵入物体)のトラッキング情報とが記憶される。
ここで、基準データは、移動物体を検出する物体抽出処理において、監視領域4に新規に出現した移動物体を抽出するために現在の測定データと比較されるデータである。具体的には、基準データは、検知手段53による走査開始後から現在までの何れかの過去時点で取得された測定データから生成される。例えば、監視領域4に移動物体が存在しない状態における走査で取得された植栽や外壁などの既設物が基準データとして用いられる。基準データは例えば、角度(方向)に距離を対応付けたテーブルの形式で記憶することができる。
トラッキング情報は、監視領域4に新規に出現した移動物体を複数周期に渡り追跡するトラッキング処理に用いられる情報であり、移動物体の検知位置や大きさ、形状などからなる。また、トラッキング情報は評価手段74が追尾撮影対象度を求める際にも用いられる。トラッキング情報は、移動物体同士を区別する識別子(物体ID)と、移動物体(物体ID)ごとに当該物体が監視領域に初めて出現した位置、大きさ及び形状と、現在までの各周期における位置、大きさ及び形状とが時系列に対応づけられている。また、トラッキング情報には移動物体の種別情報(車両、人物等)や移動物体を最初に検知してからの経過時間(追跡時間)を対応付けてもよい。
検知手段53は基本的に監視領域4を周期的に走査して、監視領域4に存在する物体を検知するとともに当該物体の位置を算出する手段である。本実施形態では検知手段53はレーザセンサを用いて構成され、探査信号としてレーザ光を出射する。例えば、レーザセンサは、監視領域4における検知対象にレーザ光が照射されるように、レーザ光の出射方向が水平または一定の俯角を有するように設置される。
具体的には検知手段53は、レーザセンサを中心として監視領域4を臨む水平方向の角度範囲に対して所定周期(例えば60ミリ秒)で走査を繰り返す。検知手段53による測距は、走査角度範囲内にて所定の角度ステップ(例えば0.25゜)ごとに飛行時間法(TOF法:Time of Flight)を用いて行われる。すなわち、レーザパルスの出射から受光までに要する時間を計測し、当該時間と光速度とからレーザを反射した物体までの距離が算定される。
検知手段53による測定データは走査角(方位)と距離とで表され、レーザセンサを視点とした物体上のレーザ光反射点の位置が当該測定データで与えられる。具体的には、測定データは、レーザ光の送受信の角度(方向)と反射点までの距離とを対応付けた複数の測定点データの集まりからなる情報である。なお、所定時間内に反射光が返って来ない場合には、レーザ光の照射可能な距離内に物体がないと考えることができ、検知手段53は距離として所定の擬似データ(例えば、監視領域4の外周までの距離値、レーザ光による有効測定距離以上の適当な値等)を設定する。
また、検知手段53は、現在の測定データと基準データとを比較して監視領域4に出現した移動物体を検出する。具体的には、現在の測定データから得られる走査角度ごとの距離値と基準データに記憶された角度ごとの距離値との差分を、対応する角度ごとに算出して、距離値が変化した角度における現在の測定データの測定点を検出点とする。そして、検出点群のうち、同一の被測定物により距離値が変化したと考えられる近接する検出点を測距データとしてグループ化し、移動物体として検知する。また、この移動物体の大きさとして、グループ化された検出点のうち両端点の角度と距離とから両端点間の実空間上での長さ、すなわち、現在における移動物体の幅を算出する。また、この移動物体の形状として、グループ化された検出点における距離のばらつきにより、現在における移動物体の直線性を算出する。具体的には、距離のばらつきが大きくなるのは、物体表面に凹凸がある場合などであることから、距離のばらつきが大きい場合には直線性が低い形状とする。
なお、検知手段53はレーザセンサに限定されず、超音波センサなど、物体の位置を検知可能な種々のセンサを用いて構成することができる。
追跡手段54は、前回周期及び現周期で検出された移動物体間の対応付けを行ってトラッキング情報を生成・更新し、これを用いて移動物体を追跡する。当該対応付けは、距離と大きさなどにより行う。すなわち、両周期で検出された物体間の距離が閾値以内で、かつ大きさの変動が閾値以内である場合に、両周期における移動物体が同一の物体として対応付けられる。
制御手段55はCPU(Central Processing Unit)、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、マイクロコンピュータが記憶手段52からプログラムを読み出して実行することで物体検知部5を制御する。
制御手段55は、通信手段51を介して制御部7から警備開始信号が入力されると検知手段53に駆動信号を出力し、検知手段53の駆動を開始させる。これにより、検知手段53におけるレーザ光の出射や、レーザ光の走査角を変化させる走査鏡の駆動などが開始される。一方、制御手段55は、制御部7から警備解除信号が入力されると検知手段53に駆動停止信号を出力し、その時点での走査が終了すると検知手段53の駆動を停止させる。これにより、レーザ光の出射や走査鏡の駆動などが停止される。
撮像部6は、移動物体を追尾撮影するために撮影方向を変更可能である。また撮像部6は、監視装置2から距離が遠い物体などについて十分な解像度の物体像を得るために、ズーム制御が可能である。つまり、本実施形態の撮像部6はパン、チルト及びズーム(PTZ)の制御が可能なカメラ(PTZカメラ)を用いて構成され、物体検知部5で検知した移動物体のトラッキング情報に基づく制御部7の指示により、移動物体が画角内に収まるように、特に、画角中央にくるように、PTZ制御を行い移動物体を撮像する。なお、撮像部6のカメラは、上述のように物体検知部5のレーザセンサと共に監視領域4を臨む位置に設置される。ここで、撮像部6は物体検知部5と同じ位置に設置することもできるし、また、物体検知部5に対し上下方向にずれた位置や、その他、物体検知部5近傍の別の場所に設置されてもよい。
撮像部6はカメラ駆動手段61、撮像手段62、通信手段63、記憶手段64、動体検知手段65を備える。
カメラ駆動手段61は、カメラの撮影方向(パン、チルト)を変化させる駆動機構、及びカメラのズームレンズを駆動し画角を変化させる駆動機構を含み、制御部7からの制御指示に基づいてそれら駆動機構を動作させ、パン、チルトの制御やズーム制御を行う。
撮像手段62は例えば撮像素子を用いたカメラで構成され、監視領域や移動物体を撮影する。なお、撮像手段62は1フレームの画像を撮影する動作を周期的に繰り返し、複数フレームからなる動画を撮影することができる。
通信手段63は制御部7からのカメラ制御信号を受信する。また、通信手段63は撮像手段62による撮影画像を、制御部7を介して監視センタ3に送信する。
記憶手段64はHDD、ROM、RAMなどで構成される記憶装置であり、撮影画像を記憶する。また、記憶手段64はカメラのホームポジション(移動物体を追尾撮影していないときの撮影方向及びズーム倍率)を記憶する。
動体検知手段65は撮影画像のフレーム間での差分処理により画像の変化領域を求め、当該変化領域に基づいて、撮影領域内で動いている物体像を検知する。
制御部7は物体検知部5及び撮像部6と通信可能に接続され、それらに制御信号を出力し、またそれらから検知信号や撮影画像が入力される。また、制御部7は遠隔の監視センタ3と通信可能に接続され、監視センタ3から監視装置2に対する制御信号を受信して動作したり、監視領域4に関し検知された異常信号や撮影画像を監視センタ3へ送信したりする。例えば、制御部7と監視センタ3との間の通信は、インターネット等の広域ネットワーク(WAN)上に構築された仮想専用ネットワーク(VPN)を介して行うことができる。
また、例えば、監視装置2に備えた操作部にて利用者が監視領域4の監視を開始又は解除するための操作を行ったり、監視センタ3から監視の開始又は解除の指示を受信したりすることにより、制御部7は監視領域4の監視状態を開始又は解除に設定し、警備開始信号又は警備解除信号を物体検知部5に送信する。
制御部7は通信手段71、記憶手段72、カメラ制御手段73、評価手段74、種別判定手段75及び追尾撮影対象設定手段76を含んで構成される。制御部7はCPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、マイクロコンピュータが記憶手段72からプログラムを読み出して実行することで記憶手段72、カメラ制御手段73、評価手段74、種別判定手段75、追尾撮影対象設定手段76などとして機能する。
通信手段71は、監視装置2内における物体検知部5及び撮像部6と制御部7との間の通信、並びに監視センタ3との通信を行う。例えば、通信手段71は、物体検知部5へ警備開始信号又は警備解除信号を送信する。また、監視センタ3に対しては、監視領域4に関し異常が検知された際に生成される異常信号や、撮影画像を送信する。
記憶手段72はHDD、ROM、RAMなどで構成される記憶装置であり、各種設定情報や、制御部7を動作させるためのプログラムなどを記憶する。例えば、記憶手段72は物体のトラッキング情報を蓄積する。また、物体検知部5と撮像部6との相対位置も記憶手段72に予め記憶される。
カメラ制御手段73は物体のトラッキング情報から得られる検知位置や移動速度に基づいて、撮像部6に制御指示(PTZの制御量やその速度)を与える信号を生成する。カメラ制御手段73についてはさらに後述する。
評価手段74は、物体検知部5で検知された移動物体ごとに、その予め定めた特徴量を評価して追尾撮影の対象らしさの度合いを示す追尾撮影対象度を求める。追尾撮影対象度は、「0〜100%」のように数値で定義してもよいし、「高・中・低」のようなレベル、段階で定義してもよい。この評価は、新規に移動物体を検知したときや所定時間ごとに行うことができる。
本実施形態では、人物や車両が追尾撮影の対象であり、評価する特徴量として移動物体の大きさや形状等の指標を用いて、移動物体が人物あるいは車両である確からしさ(人らしさ、車らしさ)を示す追尾撮影対象度を求める。
評価手段74は、記憶手段72に記憶されたトラッキング情報を参照し、評価対象の移動物体についてその大きさや形状を取得し、人物や車両が一般的に有する特徴と比較する。例えば、人物を示す測距データには、物体の幅が所定範囲内(例えば20cm〜100cm)、物体表面に凹凸があり直線性が低い(距離のばらつきが所定以上ある)、といった特徴があり、評価手段74は、移動物体の幅や形状が人物の特徴に合致するほど追尾撮影対象度(人らしさ)を高く評価する。また、車両を示す測距データには、物体の幅が所定範囲内(例えば1m〜5m)、物体表面に直線性が高く、2つの直線が直交している、といった特徴があり、評価手段74は、移動物体の幅や形状が車両の特徴に合致するほど追尾撮影対象度(車らしさ)を高く評価する。
なお、評価する特徴量として移動速度を用いてもよい。この場合、評価手段74は、トラッキング情報に含まれる移動履歴から移動物体の移動速度を算出し、移動速度が人物や車両の特徴に合致するほど追尾撮影対象度を高く評価する。例えば、人物を追尾撮影対象とする場合は、移動速度が時速10km以下に近いほど追尾撮影対象度が高くなるように評価し、車両を追尾撮影対象とする場合には、移動速度が時速30〜60kmに近いほど追尾撮影対象度が高くなるように評価する。
種別判定手段75は、物体検知部5の検知結果に基づいて移動物体の種別を判定する。 本実施形態では種別判定手段75は、検知物体の種別として、車両と人物とを少なくとも判定する。種別判定手段75は例えば、検知物体の大きさ、形状、移動速度に基づいて種別を判定する。例えば、検知物体が所定以上の大きさ、及び直角を含む形状を有し、かつ移動速度が所定以上であれば、当該検知物体の種別を車と判定することができる。また、上述の人らしさや車らしさの追尾撮影対象度が所定値(例えば「50%」、「中」)以上であることをもって、移動物体の種別を判定してもよい。
追尾撮影対象設定手段76は例えば、検知物体の追尾撮影対象度に基づいて追尾撮影対象にする物体を設定する。追尾撮影対象設定手段76は、物体検知部5により移動物体が1つだけ検知された場合には追尾撮影対象度によらず当該移動物体を追尾撮影対象に設定し、一方、移動物体が複数検知された場合には追尾撮影対象度が高い移動物体を優先して追尾撮影対象に設定する。例えば、複数の移動物体のうち追尾撮影対象度が最も高いものを追尾撮影対象に設定することができる。
また、追尾撮影対象設定手段76は、追尾撮影対象度と他の判断基準とを組み合わせて追尾撮影対象を設定することもできる。例えば、追尾撮影対象度が最も高い移動物体が複数存在する場合には、他の判断基準によりそれら複数の移動物体のうちから追尾撮影対象を選択することができる。
例えば、追尾撮影対象設定手段76は、複数の移動物体について追尾撮影対象度が同等である場合には、当該移動物体のうち現在移動している物体を追尾撮影対象に設定する構成とすることができる。ちなみに、トラッキング情報により、物体が現在移動しているか静止しているかを判断することができる。
また、種別判定手段75が判定する種別に関して、移動物体を追尾撮影対象として設定する際の優先度(撮影優先度)を予め定めておき、追尾撮影対象度だけではなく撮影優先度を考慮に入れて追尾撮影対象を選択することができる。例えば、複数の移動物体について追尾撮影対象度が同等である場合に、撮影優先度が高い物体を追尾撮影対象に設定することができる。
また、それら複数の移動物体のうち最も新しく、又は古く検知した物体を優先して追尾撮影対象に設定することもできる。
さて、カメラ制御手段73は移動物体の位置に応じて撮影制御を行う。すなわちカメラ制御手段73は撮影方向の制御及びズーム制御を行う。撮影方向(パン、チルト)の制御では、基本的には物体が画角の中央に写るようにし、ズーム制御では所定の大きさで物体が写るようにする。ズーム制御は検知物体の位置(物体までの距離)に基づいて行い、基本的に、物体が撮像部6から遠ざかるとズーム倍率を上げてズームインするように制御し、一方、撮像部6に近づくとズーム倍率を下げてズームアウトするように制御する。なお、ズーム制御においては物体の移動速度も考慮することができる。具体的には、高速の物体ほどズームアウトして撮影することができる。
ここで、カメラ制御手段73は、物体検知部5により検知された移動物体を追尾対象として上述の撮影制御により追尾撮影する追尾撮影処理を行う。一方、カメラ制御手段73は、当該移動物体が監視領域4内にて物体検知部5により検知されなくなると、最後の検知位置(消失位置)から当該移動物体(消失物体)の現在位置を推定し、物体検知部5による検知位置に代え、推定した現在位置(推定位置)に基づいて上述の撮影制御をする撮影継続処理を行う。ちなみに追尾中の移動物体が監視領域4内にて物体検知部5により検知されなくなる事象として、監視している人物が倒れたり、侵入者が匍匐して検知を回避したりする例が挙げられる。
消失位置が図3に示す監視領域4内における外縁領域100内である場合、つまり追尾対象の移動物体が監視領域4のうちその境界に近い部分にて検知されなくなった場合には、追尾対象が監視領域4の外に移動した可能性が高い。そこで、この場合、カメラ制御手段73は撮影継続処理を行わないこととすることができ、例えば、消失位置での撮影制御を所定時間維持して消失物体の復帰を待ち、復帰しなければ、撮影方向及びズーム倍率を記憶手段64に記憶されているホームポジションに設定する。
一方、消失位置が監視領域4内における外縁領域100以外である場合、つまり、監視領域4のうち外縁領域100より内側にて検知されなくなった場合には、追尾対象が監視領域4内に存在する可能性が高い。そこで、この場合、カメラ制御手段73は撮影継続処理を実行する。
外縁領域100の幅(監視領域4の境界から内側への距離)は例えば、追尾対象の移動物体が検知手段53の走査周期の間に移動可能な距離に応じて設定することができる。当該距離は追尾対象の移動物体の種別に応じて設定することができ、当該物体に想定され得る速度と走査周期とから算出することができる。
また、制御部7は、移動物体の追尾撮影処理の継続時間を求め、カメラ制御手段73は当該継続時間が所定時間以上であることを撮影継続処理を行う条件とすることができる。ちなみに、物体検知部5の記憶手段52にトラッキング情報として、上述したように、移動物体を最初に検知してからの経過時間(追跡時間)が記録され得る。この場合、追尾撮影対象についての当該追跡時間を、追尾撮影処理の継続時間として用いることができる。これにより、監視領域4を横切る鳥のように、一時的に監視領域4内で検知されたものの、追尾撮影を行わなくてもよい物体に対して、撮影継続処理を行ってしまうことを防止できる。
カメラ制御手段73は、追尾対象の移動物体について評価手段74が求めた追尾撮影対象度が所定(例えば「50%」、「中」)以上であることを撮影継続処理を行う条件とすることもできる。これにより、人物や車両などの追尾撮影の対象となる移動物体以外の物体に対して、撮影継続処理を行ってしまうことを防止できる。
消失物体は上述のように、倒れた人物や匍匐移動する侵入者が想定されるため、消失位置の付近に留まっている可能性が高い。そこで、撮影継続処理では、消失物体は消失位置の近傍(消失位置から所定範囲内)に存在すると推定して、カメラ制御手段73は撮影制御により当該所定範囲を含むように撮影範囲を設定して撮影を行う。また、消失位置が画角の中央になるように撮影方向を制御しつつ、消失位置に基づくズーム倍率よりも低倍率でズーム制御を行うこともできる。つまり、追尾撮影処理における最後の検知位置での撮影方向及びズーム倍率をそれぞれ基準撮影方向、基準ズーム倍率とすると、撮影方向を基準撮影方向と同一としズーム倍率を基準ズーム倍率よりも小さい所定値とした撮影範囲を設定する。そして、撮影継続処理にてカメラ制御手段73は撮影制御により当該撮影範囲を設定して撮影を行う。
また、撮影継続処理の別の例では、消失位置から所定範囲内にて撮像部6の動体検知手段65で移動物体が検知されると、その位置を消失物体の現在位置として推定し、当該現在位置に基づいて撮影制御をする。
撮影継続処理は所定期間に亘って行うことができる。換言すれば、撮影継続処理には上限時間を設け、当該時間経過後、処理を打ち切ることができる。カメラ制御手段73は、撮影継続処理を打ち切った後、例えば、記憶手段64に記憶されているホームポジションに設定する撮影制御を行う。なお、撮影継続処理を打ち切る判断は、予め定めた時間(例えば30秒)の経過以外に、例えば、トラッキング情報から消失物体の動きを外挿するなどして消失物体が監視領域外へ移動したと推定される場合や、他の移動物体が検知され当該物体の追尾撮影の方が重要とされる(追尾撮影対象度が高いなど)場合などに行うこともできる。
一方、カメラ制御手段73は、消失物体、つまり検知されなくなった追尾対象の移動物体が物体検知部5により再び検知されると、撮影継続処理から追尾撮影処理に切り替えて、当該移動物体の追尾撮影を再開することができる。なお、消失前後の移動物体が同一物体であるか否かは消失前後での大きさや形状の比較結果に基づいて判定することができる。また、同一物体であるとの判定に際しては、消失位置から所定範囲内で検知されていることを条件としてもよい。
図4は監視装置2のカメラ制御の一例の概略のフロー図である。物体検知部5において移動物体が検知されると(ステップS1)、追尾撮影対象設定手段76が追尾撮影対象にする検知物体を設定し、カメラ制御手段73は当該物体について追尾撮影処理を開始する(ステップS2)。追尾撮影対象とする検知物体が監視領域4内にて物体検知部5により検知されている間(ステップS3にて「No」の場合)、追尾撮影処理S2が継続される。
一方、検知物体が物体検知部5により検知できなくなった場合、カメラ制御手段73は当該物体が消失したと判断し(ステップS3にて「Yes」の場合)、撮影制御を追尾撮影処理から撮影継続処理に切り替える(ステップS4)。
撮影継続処理はその後、消失物体が物体検知部5により再検知されなければ(ステップS5にて「No」の場合)、所定時間が経過するまで実行される(ステップS6にて「No」の場合)。カメラ制御手段73は所定時間が経過すると(ステップS6にて「Yes」の場合)、撮影継続処理を打ち切り、撮像部6をホームポジションに向けるカメラ制御を行う(ステップS7)。
一方、消失物体に対する撮影継続処理の間に、消失物体が物体検知部5により再検知された場合(ステップS5にて「Yes」の場合)、カメラ制御手段73は追尾撮影処理S2に復帰する。
なお、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
1 監視システム、2 監視装置、3 監視センタ、4 監視領域、5 物体検知部、6 撮像部、7 制御部、51,63,71 通信手段、52,64,72 記憶手段、53 検知手段、54 追跡手段、55 制御手段、61 カメラ駆動手段、62 撮像手段、65 動体検知手段、73 カメラ制御手段、74 評価手段、75 種別判定手段、76 追尾撮影対象設定手段。

Claims (8)

  1. 監視領域の移動物体を追尾撮影する監視装置において、
    前記移動物体の位置を検知する物体検知部と、
    撮影方向及びズーム倍率を制御する撮影制御を行う制御部と、
    前記撮影制御に基づき、前記撮影方向及び前記ズーム倍率を制御可能な撮像部と、を備え、
    前記制御部は、検知された前記移動物体を追尾対象として、当該移動物体の検知位置に基づいて前記撮影制御を行う追尾撮影処理を実行し、当該移動物体が前記監視領域内にて検知されなくなると、最後の前記検知位置から推定した当該移動物体の現在位置に基づいて前記撮影制御を行い、当該移動物体の追尾撮影を継続する撮影継続処理を実行すること、
    を特徴とする監視装置。
  2. 前記制御部は、前記追尾対象の移動物体が前記監視領域における外縁領域にて検知されなくなった場合には前記撮影継続処理を行わず、一方、前記監視領域のうち前記外縁領域より内側にて検知されなくなった場合には前記撮影継続処理を行うこと、
    を特徴とする請求項1に記載の監視装置。
  3. 前記制御部は、前記移動物体の前記追尾撮影処理の継続時間を求め、当該継続時間が所定時間以上であることを前記撮影継続処理を行う条件とすること、
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の監視装置。
  4. 前記移動物体について、予め定めた特徴量を評価して追尾撮影の対象らしさの度合いを示す追尾撮影対象度を求める評価手段をさらに備え、
    前記制御部は、前記追尾対象の移動物体の前記追尾撮影対象度が所定以上であることを前記撮影継続処理を行う条件とすること、
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の監視装置。
  5. 前記制御部は、前記撮影継続処理において、前記最後の検知位置から所定範囲内を前記現在位置として推定し、当該所定範囲を含むように前記撮影制御を行うこと、
    を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の監視装置。
  6. 前記制御部は、前記撮影継続処理において、前記追尾撮影処理における前記最後の検知位置での前記撮影方向及び前記ズーム倍率を基準とし、前記撮影方向を基準撮影方向と同一とし前記ズーム倍率を基準ズーム倍率よりも小さい所定値とすること、
    を特徴とする請求項5に記載の監視装置。
  7. 前記撮像部は、移動している物体を検知する動体検知手段を備え、
    前記撮影継続処理は、前記追尾撮影処理における前記最後の検知位置から所定範囲内にて前記動体検知手段で検知した移動物体の位置を、前記追尾対象の移動物体の前記現在位置として推定し、当該現在位置に基づいて前記撮影制御をすること、
    を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の監視装置。
  8. 前記制御部は、検知されなくなった前記追尾対象の移動物体が前記物体検知部により再び検知されると、前記撮影継続処理から前記追尾撮影処理に切り替えて、当該移動物体を追尾撮影すること、
    を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の監視装置。
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